平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成27年9月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成27年8月27日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第119号から議案第147号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第119号から議案第147号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(1人)
 7番 井出益弘
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     野尻邦彦
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課副主査     中尾祐一
 総務課長       西原龍也
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第119号から議案第147号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 13番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 私が政治を志したのは31年前、当時、新進気鋭の青年政治家・二階俊博代議士との出会いでありました。二階代議士は、将来の地域の発展のためには、陸海空の高速交通体系の整備が喫緊の課題であると訴えておられました。当時、まだ日高の山間部には、私も含め、多くの人が暮らしていましたが、やがて来る高齢化と過疎化の波は防ぎようがなく、一刻も早く若者の働ける環境を整えなくてはならないと考えておられたからであります。そのためには、企業を誘致し、雇用の場を確保しなくてはなりませんが、当時、インフラ整備が他県と比べるとはるかにおくれていました。
 そこで、高速道路の紀南延伸、港湾整備、白浜空港のジェット化の整備が必要と考え、着実に実行され、現在に至っています。ようやくインフラ整備はほぼ整いましたが、既に人口は激減しており、早急に対応しなくてはならない時期に来ています。
 安倍政権になって、ようやく地方創生への事業が提唱され、地方の繁栄なくして日本の繁栄がないことが提言されました。しかし、今般の最高裁の1票の格差是正判決により、参議院の地方の選挙区が合区されることになりました。やがて和歌山も他府県と合区され、議席がなくなるかもしれません。都会と地方の1票の格差が違憲との判断が相次ぎ、是正されることになったわけですが、世界の趨勢は、1票の格差の是正より、地域の声が国政に届かなくなることを重視しているという現実もあります。
 民主主義の代表国であるアメリカ合衆国では、カリフォルニア州とワイオミング州の人口格差は70倍以上ですが、地域間の発言権を公平にするために、各州2人の上院議員の定数にしています。我が国も都道府県に1議席を割り当て、県、市町村の意見を国政に集約していましたが、合区されると選出されなかった地域に住む人々の国政参政権が剥奪されることにもなりかねず、憲法に定めた我が国のどこに住んでいても同じ権利を有するという法のもとの平等性を損なうのではないか、そしてこのことこそが憲法に違反しているのではないかと考えます。
 都市の住民の意見は、現有議席でも十分過ぎるほど国会に反映されています。そのことは、現在の社会インフラが整った都市の発展を見れば一目瞭然であります。むしろ地方は、長い間、国家の繁栄のため、都市部のインフラ整備を優先し、辛抱強く支え続けた結果、都市は人口がふえ、快適な生活が保障され、現在の人口格差や生活格差を生んできたと言っても過言ではありません。地方の繁栄なくして、この国の発展は望めません。
 そこで、今回、私の政治の原点である地方に持続的な循環型社会を構築するために、政府が進める木質バイオマス発電についてお伺いすることにいたしました。
 木質バイオマス発電所は、御承知のとおり、杉、ヒノキの間伐材や一般の雑木林であっても、森林経営計画を提出し、許可を受けた木材をチップ燃料として利用すれば、2000キロワット未満であれば40円で買い取り、2000キロワット以上の発電であれば32円の価格が保障されます。和歌山県では、現在、木質バイオマス発電所は設置されていませんが、この発電システムは、人口が激減する中山間地域で持続可能な循環型社会を構築する上で大変有効な手段になるのではと期待が大きく膨らみ、地方創生に取り組む多くの県で取り組みが始まりました。
 昭和30年から40年代には、紀伊山地にも木材を搬出するための多くの林業従事者が家族とともに暮らし、循環型社会が形成されていました。しかし、高度経済成長に伴い、都市部で住宅需要が増加し、国内産の供給が追いつかなくなり不足し、外材を輸入しなくてはならない状況になってしまいました。40年代は、植林や下刈り作業等、仕事もありましたが、外材普及とともに一気に需要が少なくなり、林業は衰退していったのであります。さらに、生活形態がまきからガス、電気へと急激に変化する中、雑木林の需要も減り、山に入らなくなりました。いろんな要因が重なり、中山間部の仕事と人口が激減し、現在、超高齢化が進み、限界集落と言われ、やがて消滅する集落とも言われています。
 中山間部の人口が高齢化し、減少すると、山林を管理、活用する人々が少なくなり、山は荒れ、山自体が持っている保水力が低下し、最近頻発する大型台風や集中豪雨による大量の雨は、そのまま河川に流入し、ダムの調整能力をはるかに上回ります。
 平成23年の紀伊半島大水害がダムの許容量を超え、下流に甚大な被害を及ぼしたことを私たちは忘れることができません。手入れがなされていない山で砂防ダムのない谷川から土石流が発生し、住宅地域をのみ込み、多くのとうとい命が犠牲になったことは、永遠に忘れることのできない出来事であり、痛恨のきわみであります。
 近年、広島の市街地でも、豪雨による土石流が人家をのみ込み、多くの犠牲者が出ました。山は入ってこそよみがえるのであり、放置されたままの山は負の連鎖を私たちに与えます。植林された山や高木樹が目立つ放置された山肌は、土がむき出しになり、崩壊を起こす原因となります。
 また、猿、イノシシ、鹿などは、食べる木の実をつける低木樹が育たないため、山里にまで餌を求め出没し、農作物に大きな被害を与えています。また、腐葉土のない地面は保水力と栄養分を失い、災害や環境汚染につながり、注がれる河川と海岸の生態系にも大きな影響を与えることになりました。
 中山間部で人と山がかつてのように共生できる循環型社会を早急に構築することが地球温暖化対策につながり、災害に強い国土強靱化にもつながり、私たちの生活の安全保障につながり、ひいては鳥獣害等の諸課題の対策にもつながるのではないでしょうか。
 しかし、採算性が低いと言われた林業は、長い間、政策的にも具体策を講じることができず、低迷してまいりました。その意味からして、このたびのベースロード電源になり得る電源である木質バイオマス発電は、久しぶりに中山間地域で持続可能な循環型社会を構築できる可能性を秘めた政策として期待を寄せるものであります。山が豊かになれば川も海も豊かになり、地方の1次産業にも活気がよみがえるのです。
 我が国の森林の再生力は世界屈指であり、皆伐しても30年以上経過するともとの山に復元すると言われています。森林は若木から成長する過程で最も二酸化炭素を吸収し、地球温暖化対策にも効果があると言われています。
 地球の温暖化は、台風を大型化させ、毎年、我が国を襲います。一昨日も台風15号が沖縄や九州地方を直撃し、観測史上最大瞬間風速71メートルの暴風が吹き荒れ、大きな被害を与えました。
 もう1つ心配していることがあります。高齢化する林業従事者の伐採等の技術が途絶えてしまうのではないかということです。我がふるさとには、現在、林業に従事している方がまだおられます。彼らの伐採技術はすばらしいものであります。その技術を継承していくことも大変重要なことであります。
 前置きが大変長くなりましたが、仁坂知事にお伺いをいたします。
 間伐材や森林の木材が発電用燃料チップとして有効利用される木質バイオマス発電に対しての御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 バイオマス発電は、再生可能エネルギーの中でも原子力、火力、水力、地熱発電と同様のベースロード電源になり得る電源でありますから、今後、電力の安定供給の観点から大きく期待されると考えますが、いかがですか。
 やがて廃炉になる原子力や、地球温暖化問題やエネルギー源を他国に頼らざるを得ない火力発電、ダム湖の土砂堆積による機能低下が懸念される水力発電、地熱発電も国立公園法や温泉街の理解等、それぞれ多くの課題を抱えています。その点、まさしく永遠に再生する山林をエネルギー源とする木質バイオマス発電こそが、安全性や安定性、環境負荷等を総合的に考えると、我が国の発電事業の一翼を担うにふさわしい発電システムであると考えますが、木質バイオマス発電について知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 木質バイオマス発電については、これまで未利用のまま森林内に放置されていた木材の有効利用につながり、また、木材需要を生みますから、地域の林業活性化の観点からも重要なものであると考えております。また、地域で発生する間伐材などを燃料とすることから、大気中の二酸化炭素濃度に影響を与えない地球環境に優しいエネルギーでありまして、他の再生エネルギーに比べ、24時間稼働可能な天候に左右されない安定した電源でもあります。
 しかしながら、木質バイオマス発電には、例えば2000キロワット級の発電所で年間3~4万トン程度と言われる大量の燃料用原木ないしは原木相当物質が必要でございます。この原木を安定的に集めていくことが木質バイオマス発電の実現に向けた大きな課題でございます。
 日本でも幾つか実現しているものが既にございますけれども、いずれも低コストで大量に原料を集め得る構造をうまくつくっとるということでございます。こうした課題に対応しながら、バイオマス発電の推進に、ぜひ実現に向けて頑張ってまいりたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ありがとうございます。
 長い間、中山間地域は衰退の一途をたどってまいりました。それは、国内産木材の低迷により雇用の場が極端に減少し、若者の働く場がなくなったからであります。
 平成14年から26年まで緑の雇用事業により1225人の方が山林地帯に就労いたしましたが、現在は168人です。うちI・Uターン者は474人中88人が現在まだ就労していますが、離職された方でも県内に40%の方が残られて、別の職業につかれています。和歌山県は、それだけすばらしいということなんでしょう。
 では、なぜ離職したのでしょうか。それは、木材需要が少なく、したがって林業の仕事が持続できず生活が困難になったからではないでしょうか。木質バイオマス発電は、たくさんのチップ材を必要としますから、山林を計画的に伐採し、資源として循環させることは、政策として理にかなっていると考えます。
 和歌山県は、県土の大半が山林であることから、災害対策や過疎対策にかけるコストを考えると、山間部の持続可能な循環型社会の維持管理に必要な経費として、木質バイオマス発電に関する事業に補助金や助成金制度を取り入れてもいいのではないかと考えます。
 国は、原子力発電や火力発電を立地した自治体に電源立地交付金を支給しています。それならば、木質バイオマス発電のチップ材の国内自給率を確保するために新しい交付金制度を導入するよう国に働きかけてもいいのではないでしょうか。知事のお考えをお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 木質バイオマス発電の推進にこれまでも熱心に取り組んでまいりました。いろいろと難しい問題がありまして、コストをどう合わすかとか、どういうビジネスモデルをつくるかという議論でございますが、私が就任以来、アイデアをあちこちで成功例でかりてこないかんと思って、それでちょっとでも可能性のありそうなことをやってるところには、必ず人をやって調査をしてまいりましたが、基本的には逆有償というのが結構多いんですね。つまり、木材を買ってくれるんじゃなくて、潰してやるから持ってきてよろしいという、そういうようなものがあって、これは廃材を中心としてでき上がっているシステムでございます。
 その後、有償でうまくいってるというような例もありましたが、例えば大分なんかは、物すごく大きな製材所があって、くずだけでかなりのロットがそろうんで、それを別のところへ持っていって実は売っておると、こういうことでございました。物すごく──くずですから安くてもいいんですけど、そういう事態でございました。
 そうこうしてるうちに、岡山県なんかで、もうちょっと立派なビジネスができ上がっているというようなこともございまして、林業の人に頼むとどうもエネルギーのことがわからんと、エネルギーをやってる人だともう林業のことがわからんということで、これは両方精通した人が必要だなあということで、本年4月からちょっと人事システムを変えまして、林業の専門職員を産業技術政策課──これはエネルギー担当ですが──に配置をして、それで両方で頑張れと、今こういうことになって情報集めをさしているところでございます。
 先ほども申し上げましたように、最終的には採算が合うかどうかという課題でございます。議員御指摘のように、国の再生可能エネルギーの固定価格買取制度という結構ありがたい制度がありますので、こういう優遇政策をうまく使いながらやっていきたいと思っております。
 そうではございますけれども、県としても、使えるあらゆる施策を動員して、その推進に努めたいと思っておりまして、今後、その政策の強化を含め、必要があれば国への要望も考えていきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 知事のおっしゃってることもわかりますし、今まで山で循環しなかったというのが、柱材、製材にする木材でも、出すコストが消費する、製品にするときのコストに合わないということで、なかなか日本の国の木材が日本で使われない、むしろカナダとか遠くから運んできたほうが安いというような、そんな奇妙な現象が起きてるのが現実だと思います。
 しかし、私の身内も、今まだ山林で林業の伐採業務に従事してるんですけども、彼らも、雨なんか降ると全く山へ入れないんですよね。だから、月のうち15日ぐらい働ければまあいいほうかなと。そうなると、日にち割りでいくと、日当をかなりもらっても、15日しか働けなければ余り多くの月収を得ることができないということで、若者の定着率とか、そういうのがなされなかったというように私は思います。
 ただ、この木質バイオマスになりますと、ずっと消費しますし、また、雨の日でも横持ちとか、チップ材に加工したり乾燥したりというようないろんな仕事が一連としてありますから、20日なり25日なり働くことができればそれなりの収入が確保され、林業に、また加工も含めて一貫した仕事が循環できれば山で働く人も生活も楽になるし、若者も定着する。
 先ほど申し上げましたように、緑の雇用事業に来て、決して和歌山が嫌いになったり、みんながそれをやりたくないからというて離れたわけではないように僕は聞いています。皆、仕事はしたいんだけど、仕事の絶対量がなくなった。国の事業だったんで、ある程度、生活保障してたんで、緑の雇用事業はそれなりにだったんですけども、それではやっぱり限界がありますよね。やっぱり経済の法則にのっとって経済が循環しないと長く持続していかないということになりますんで、そういう意味で私はこの木質バイオマスに対する期待が大きいわけでありまして、全国各地で木質バイオマス事業が今推進されている状況であります。
 我が和歌山県も有数の森林地帯を抱えてますので、ぜひこの機会を逃さず、豊かな森林資源を生かして──私の本当のところは木質バイオマスの工場をつくってくれということではないんです。
 私は、当時、美山村というところに昭和33年に生まれた。その当時は、たくさんの山林業務者もいましたし、たくさんの子供たちも住んでいました。そういう中山間地域で、もう一度、持続可能な循環型社会を構築する上での1つのアイテムとしてこの木質バイオマスを取り上げただけでありまして、私の本来の意図するところは、中山間地域の再生、復興をなし遂げたいという思いでありまして、この質問をいたしました。それについて、知事、最後に御答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私も、実は議員と全く同じ目的意識でございます。エネルギーということを考えますと、木質バイオマス発電のそう大きなものが簡単につくれるわけではございませんので、発電量のほうからいうと、それほど大きいとは言えませんけれども、まず木質バイオマス発電所ができて木材ないしはくずを買ってくれるということになると、それだけ需要が出るというわけですから、林業が盛んになって、それで林業が盛んになると中山間地域の雇用がふえて、それでその地域一帯が元気になってくると、これが一番大事なところでございます。
 そういう意味で、これからも頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞ御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
○議長(前芝雅嗣君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 前向きな御答弁、ありがとうございました。
 知事に1つ提案があるのですが、知事は、景観条例や、また避難道路を確保するため老朽化した危険な家屋の撤去を求める行政代執行ができる、そのような条例を全国で先駆けてつくられましたよね。同じように、放置された森林は大変危険だと私は考えているんです。森林の所有者は当然管理責任があると思いますが、日ごろから手入れの行き届いた森林が豪雨により崩壊したのであれば、それはいたし方ない、もうそれはそれだけの雨の量だったんだろうと納得しますけども、荒れ放題に放置された森林が崩壊し、人や家屋が被害をこうむるというのはいかがなもんかと。
 だからといって罰則まで科せられませんが、自分の所有する山が危険な山になってるということを所有者にももっと認識してもらう必要があるんではないかと私は思います。公的な機関で森林の危険度を診断して山林所有者に通知し、適切に管理してもらう制度も必要ではないかと私は考えるわけです。
 県道等に覆いかぶさるように生い茂った大木が人や車の通行を邪魔して危険な状態になってるところもあります。また、所有者に伐採をお願いしても、それぞれの事情によってなかなか進まないので──私の前の道は、これは町道ですけども、人が出て、とにかく大きな木を切るんで、もし倒れてきて事故が起こったり何かすると誰が責任とるんだろうかと思ったときに、どうだと僕もちょっと心配はしたんですけども、地域の比較的若い住民が出てきて、そこはちょうど通学路でバスも通るんですよ。だから物すごい危険な状況になっとったんで、山主の方に了解を得て、地域で道路際の木を切ってました。でも、もうそれは4年、5年前やけど、もう一緒ですわ。また、覆いかぶさってきています。
 そろそろそういう森林を管理する条例等を検討してもいい時期に来てるんじゃないかなと。財産権がありますんで、非常に財産権が強いもんですから勝手に県が行って切るわけにもいかんですし、勝手に地域の人が切るわけにもいかんし、やはりある程度、公に見て危険にさらされてるなというところは、行政代執行とまではいきませんけども、そういう形で地主さんに、もちろん通告はするとしても切らしていただくという、そういうような条例もこういう時期になったら必要ではないかなあという気もいたしますんで、それは一度御検討してください。
 次に、日高川水系河川整備計画についてお尋ねをいたします。
 日高川は、日本一の2級河川であり、日高地方にとっては母なる川として親しまれ、とうとうと流れるその清流は地域の歴史と文化を育んでまいりました。その反面、日高川は過去に大変大きな被害を地域住民にももたらしてまいりました。
 豪雨から下流地域を守るため、平成元年、椿山ダムが完成し、100年に一度の大雨にも耐えられると喜んでおりましたが、平成23年の紀伊半島大水害においては、その機能をはるかに超える雨が紀伊山地に降り、昭和28年の水害以来の大きな被害を流域に及ぼしました。
 そこで、このたび日高川を総合的に見直し、整備するため、各方面から意見聴取して計画案を作成されているとお聞きをいたしました。この河川整備計画を作成することにより日高川がどのように改修されていくのか、その見通しをまず県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 日高川水系の河川整備計画につきましては、平成27年度中の策定を目指して検討を進めており、これまで日高川を考える会を都合2回開催し、関係住民の方々の御意見を伺った上で素案を策定したところでございます。
 この整備計画素案では、既往最大洪水である昭和28年洪水、平成23年洪水への対応を基本としますが、整備に多くの費用と期間を要することとなるため、既往最大洪水の次に大きい平成15年の洪水に対して住宅地への浸水被害が発生しないよう、計画期間20年間の中で整備をすることとしています。
 今般、この素案について今月19日に開催した和歌山県河川整備審議会河川整備計画部会において学識経験者の意見を伺ったところであり、今後、パブリックコメントの実施、関係市町の意見を伺うなどのプロセスを経て日高川水系河川整備計画を策定し、それに沿った計画的な河川改修を実施してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 続いて、日高川には多く支流があります。その中でも下流に近い西川と江川は、普通の台風の豪雨でさえ、たびたび浸水し、家屋や道路、田畑に多大な被害を与えてまいりました。
 余談になりますが、ことしの台風11号到来の当日朝、切目川地域の浸水被害が心配になり、見に行きますと、驚いたことにいつも浸水する古屋・宮ノ前地区が浸水していませんでした。毎年、台風が来れば必ずと言っていいほど浸水していたのですが、切目川ダムの調整機能が発揮され、洪水は堤防を超えることはありませんでした。
 紆余曲折のあった切目川ダムですが、改めてこのダムが切目川流域の住民の生命と財産を守ってくれるのだと確信をした次第であります。この場をおかりして、ダムの完成に御尽力賜りました仁坂知事初め県当局の皆様に、心から感謝を申し上げたいと思います。
 引き続き、まだ羽六までの河川改修も計画に入っておりますので、していただきたいんですが、できればその上流の古井までの、それは局部の改修でいいんで、危険なところだけ、古井ぐらいまでは改修していただけたらなあというふうに思います。
 しかし、西川と江川にはそのようなダムをつくることはできませんが、河川改修を進めていかねばなりません。今後の両支川の災害対策と河川改修について、県土整備部長に御答弁をお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 日高川河口付近で合流する西川の流域では、これまでも西川本川、下川、斉川、堂閉川、東裏川などの沿川で浸水被害が発生しています。これらの浸水被害は、西川本川の左岸側に堤防のない無堤区間が残されていること、下川、堂閉川は河道が狭い区間が残されていること、斉川、東裏川は洪水時に西川本川の水位が上昇し西川に流れ込みにくくなることなどが主な原因となっています。
 そのため、現在策定中の日高川水系河川整備計画では、西川本川においては河道掘削による水位低下と無堤区間の堤防整備を、下川においては放水路整備を、堂閉川においては河道つけかえを、斉川、東裏川においては西川本川の水位低下に合わせた排水能力の向上をそれぞれ行うことで浸水被害の軽減を図ることとしています。
 また、日高川の狭窄部で合流する江川では、洪水時に本川の水位が上昇し、本川に流れ込みにくくなるため、浸水被害が発生しやすくなっています。そのため、本川の狭窄部対策として実施している若野地区の引き堤工事により本川水位の低下を図るとともに、合流点付近の江川の改修を行うことで浸水被害の軽減を図ることが可能と考えています。
 さらに、江川では、本年7月の台風11号洪水において越水が発生するなど、床下浸水11戸を含めた大きな被害が発生したことから、今後、災害復旧を行う際には、単なる原形復旧ではなく、河道拡幅などによる流下能力の向上もあわせて行う改良復旧事業の活用についても検討してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 大変前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。
 日高川というのは、私も日高川流域に生まれて育ちましたんで、一番よく知ってるんですけども、私の思うところ、この江川と西川以外で、支川でそんなに、かなりの大量の雨が降っても被害が出るというところは、僕はほぼないんじゃないかなと、僕の経験から思うんですけども、この西川と江川というのは本当に──ちょっと問題点は違うんですけども、西川も本当に海抜ゼロメーターみたいなところを流れてる。西川は、今言うように河口口が若野を向いて、上流を向いて受け口になってる川で、どうしても水がはけないと。ちょっと形態は違うんですけども、同じ浸水を起こす川ですから。西川については、さきの議会で地元の中村裕一議員からも御質問がありましたので、できるだけ今の御答弁のように、したがって改修なり、地域の人が安心して、雨が降っても心配なしに暮らせるような、そういうことにしていただきたい。
 42号線で雨が降ると必ず通行どめになるというのは、あの地区だけなんじゃないかなと。越波とかそんなんで通行どめ、危険があるというのはあるんですけど、あそこは越波じゃなくて水没ですからね、42号線。それで、僕も日高町へ当日行こうと思っても、県の人が来て国道を通行どめにしてました。回り道もない。そこが全部つかっていますから。そやから、そもそも一番の生活道路の国道42号線が約1日近く通行どめになってたんじゃないかと思うんですけども、そんなことがあってええんかというのもあるんで、国が管理する42号線ですから、国とも十分協議をいただいて、せめて42号線が雨で1日も通れないというのは、こういうのはゆゆしき問題だと思いますんで、県からも国に対して強く働きかけていただきたいと思います。
 次に、インターネットの有害サイトから青少年を守る施策についてお伺いをいたします。
 御承知のとおり、出会い系サイトや児童ポルノ、掲示板によるいじめ等、少年少女への被害は後を絶ちません。しかも、検挙されるのはごく一部であり、温床は深く広範にわたり社会問題となってることは、御承知のとおりです。
 このような状況を憂い、国は、有害サイトへの青少年のアクセスを制限するフィルタリングを義務づける法律を施行いたしました。しかし、携帯端末を販売してる販売店では、フィルタリングを確実にかけているとは言えません。和歌山県青少年健全育成条例でも、青少年を有害サイトから守ることが明記されていますが、そのことを知っている県民は少ないのではないでしょうか。
 いま一度、真剣に子供たちをインターネット犯罪から守る方法を、それぞれの立場で実効性のある具体的な政策を講じるときに来ていると考えます。
 そこで、教育長にお伺いをいたします。
 学校の教育現場で有害サイトから子供たちを守るためにどのような対策を講じられていますか。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) インターネット上の出会い系サイトやソーシャルネットワーキングサービス、いわゆるSNSや無料通信アプリ等の危険性を、子供はもとより保護者の皆様にも啓発をしていくことが大切であると考えてございます。
 県教育委員会といたしましては、これまでSNS等での誹謗中傷、問題行動の投稿、個人情報の掲載等、不適切な投稿に学校、家庭、地域が一体となって対応していくため、県青少年・男女共同参画課等と連携しながらネットパトロールを実施してきました。これら不適切な投稿を発見した場合には、市町村教育委員会や学校を通して、子供たちや保護者にインターネットの危険性や情報モラルについての指導を行っておるところでございます。
 また、子供たちの間でのさまざまなネットトラブルに対応するために、本年度、新たに県青少年・男女共同参画課と連携して子供たち向けの教材を作成するとともに、教職員向けにネット指導教員養成講座を開催し、インターネットの危険性や子供たちのネット依存防止のための研修を行っております。各学校では、この養成講座を受講した教員が校内研修等でほかの職員に教材の活用方法を周知することで、全ての教職員がその教材を活用して子供たちの指導を行うこととしてございます。
 さらに、県内全ての学校において、入学生の保護者の皆様に対し、フィルタリングの利用や家庭内でのルールづくりを呼びかける啓発パンフレットを配布してございます。また、市町村によっては、PTAと学校が連携してスマートフォン等の利用時間を制限する運動を展開してございます。
 今後とも、関係機関と連携し、市町村教育委員会と一体となって子供たちを有害情報等から守るための取り組みを徹底してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 出会い系サイトで少女が買春されたり、そのときにまたスマホで写真を撮られたり、その写真がまた他の掲示板サイトへ張りつけられて、そうなると一生消えないわけでしょう、あれ。今のところね。そうすると、その子供の将来のことを考えたときに本当に危惧するところが大きいんで、とにかく学校教育の中で、そういう出会い系サイトやとか有害なサイトに触れさせないように、徹底して家族、保護者、そしてまた本人、生徒にも教育、また啓発していただくようによろしくお願いしたいと思います。
 環境生活部長にお伺いいたします。
 フィルタリングの普及率をどのように把握していますか。もっと広報活動を広げ、特に販売店に啓発ポスター等を配布し、窓口の社員の方の意識向上と御協力を求めなくてはならないと考えますが、いかがですか。
○議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) フィルタリングの普及についてお答えをいたします。
 青少年のインターネット有害情報対策といたしましては、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境を整備するため、和歌山県青少年健全育成条例に基づきまして、青少年が使用する携帯電話のフィルタリングの普及促進に努めてまいりました。しかしながら、フィルタリングの利用率につきましては、昨年11月の保護者を対象にいたしましたアンケートの結果を見ましても、小学生が76.6%、中学生が61.4%、高校生では51.9%となっており、一層の向上が課題であると認識してございます。
 このフィルタリングの利用率が低い要因の1つといたしまして、フィルタリングを利用するとLINEが使えないという青少年や保護者の思い込みがあると分析をしてございます。本年3月には、このLINEが審査機関の認定を受け、フィルタリングを利用していてもLINEを使用できるように変更となってございます。こういった青少年や保護者が持つフィルタリングに関する認識不足を払拭するような具体的でわかりやすい啓発を行い、フィルタリングへの理解を促進してまいりたいと考えております。
 今後、議員御提案の携帯電話販売店へのポスター等の配布や保護者に対する重点的な啓発など、より効果的な方法を検討し、鋭意取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 保護者も、当然、子供は自分の将来のこともありますし、また販売する販売店の人も、出会い系で子供たちが買春されたり、また児童ポルノにさらされたりという、犯罪に直結してるという意識がちょっと低いんじゃないかなと。そういうことを思うんで、掲示ポスターなんかも、普通のどうやこうやと、フィルタリングの効用とかそんなんではなくて、もっと防犯的な色合いの強いポスターにしてはどうかなと思いますんで、それは御検討いただきたいと思います。
 警察本部長にお伺いいたします。
 出会い系サイト等を利用した少年少女の福祉を害する犯罪の近年の実態はどのような傾向で推移しておりますか。
○議長(前芝雅嗣君) 警察本部長直江利克君。
  〔直江利克君、登壇〕
○警察本部長(直江利克君) 出会い系サイト等を利用した少年の福祉を害する犯罪の県警での検挙でございますが、昨年中は12件12人、本年7月末現在の統計でございますが、8件8人となっております。内訳は、淫行等の青少年健全育成条例違反が14件14名、児童買春・児童ポルノ禁止法違反が6件6名でございます。被害者は、昨年中は全てが女子、本年中は男子が1名、女子7名となっております。学職別では、小学生が1人、中学生が10人、高校生9人でございます。
 また、インターネットを利用した犯罪には地理的制約がないことから、これまでに県内のみならず複数の県外被疑者も検挙いたしております。
 近年の急速なスマートフォンの普及を背景に、コミュニティーサイトを利用した福祉犯罪被害が全国的に増加していることから、警察では、サイバーパトロールを強化し、有害情報の収集やサイバー補導により、今後もこの種の事犯の事件検挙と被害防止に精力的に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 知事にお伺いをいたします。
 国は青少年インターネット環境整備法を平成21年4月に施行して、インターネット事業者に対してフィルタリングサービスの提供を義務化していますが、保護者が断ればフィルタリングを提供しなくてもいいというただし書きがあります。
 和歌山県青少年健全育成条例では、保護者とインターネット事業者に対し、フィルタリングをかける努力義務を課していますが、フィルタリングをかけなかった場合の条例上の罰則規定はありません。
 条文には、「性的感情を刺激し、著しく粗暴性若しくは残忍性を助長し、又は犯罪若しくは自殺を誘発し」と、インターネット犯罪の危険性を表現する割には、その措置として、青少年の健全育成を害する情報から守るためフィルタリングを活用するようにという努力義務を課しているだけであります。条例の中の表現が物すごくきついというか、そういう割に最後の締めくくりの部分が何々しましょうという努力義務みたいになってるんで、ちょっと違和感があるんですよね。
 残念なことに、24日、県青少年健全育成条例違反で、35歳の会社員が15歳の少女にみだらな行為をしたとして逮捕されました。2人の出会いは、やはり出会い系アプリでありました。
 知事は、この和歌山県青少年健全育成条例の21条の7、21条の8、21条の9が、子供たちをさきに述べた犯罪から守るため効果を発揮しているとお考えですか。当然、罰則規定は設けられていませんので、青少年インターネット環境整備法の抜本的見直しを国に対し提言すべきと考えますが、いかがですか。
 各方面から閲覧の自由や表現の自由について御意見も寄せられると思いますが、私は、子供たちをインターネットの被害から守るためという毅然とした対応をこの際求めたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御質問の第1の、この制度で十分かという点については、実は、和歌山県青少年健全育成条例をつくったときの問題意識も、法律は十分ではないなあというふうに思っていたわけでございます。
 というのは、フィルタリングの解除には親の同意が必要なんですが、要するに子供がフィルタリングを解除したいために親の同意書なんていいかげんにつくってくると、すぐに解除されてしまうわけですね。それを物すごく難しくしようとしたのが青少年健全育成条例の考え方だったんでございますが、実はどんどん同意をしてしまわれまして、それでフィルタリングを外す率というか、フィルタリングを外さない率と言ってもいいかもしれませんが、和歌山県のほうがちょっとプラスなんですけども、大してプラスではないんでございます。そういう意味では、法律も不十分だったし、我々の取り組みも今のところ不十分であったんじゃないかなあというふうに思っております。
 そういう要因をいろいろ考えますと、条例の周知が十分でなかったことがあるかもしらんなあと思うし、それから保護者の危機意識がないということもあるかもしれないし、それから事業者が熱心な対応をしなかった、「これはこういうことですよ」と言ってちゃんとお勧めをして、それで厳密な意味で親の同意書をきちんとチェックしなかったということもあるかもしれないし、それから行政も──行政って県庁ですが──制度をつくったんでまあいいかという気持ちが強かったかもしらんなあという、いろいろ反省がございます。
 そこで、まず我々がやらなきゃいけないのは、先ほど栗山部長が申し上げておりましたように、保護者が青少年のインターネット利用による危険性を十分に理解し、安易にフィルタリングを解除することに同意しないように新たな仕組みを検討してまいりたいと思っております。
 ただし、当県でだけ厳しくいたしますことは、第1には、法律の規制レベルと条例の委任関係の問題が生ずることが法律論としてあるわけでございます。
 もう1つは、厳しくしていない他県で買ってくるのは自由だと、こういうことも想像されるわけでございますので、そこでやっぱり国全体としてもう少し、議員御提案の御趣旨のように検討してもらう必要があるんではないかと思っております。
 国の青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律については、青少年が適切にインターネットを利用できるよう、保護者に対して管理義務を課しているけれども、努力義務にとどまっている。議員御指摘のとおりでございます。フィルタリングに関して、保護者に対する義務の強化、さらに事業者に対しては罰則の付加も視野に入れた対策の強化など、法改正を提言してまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 実は、私も、自分の娘が高校へ進学するときにスマホを買いにドコモショップへ行ったんですけども、親の同意が必要やろということで私のところへ、携帯へ電話がかかってきまして、向こうの社員の方と、私がかわりまして話した。私が「結構です。私の娘です」というのを本人確認されたんですけども、そのときに「フィルタリングはかけといてくださいね」と私がその社員の方に申し上げましたら、「えっ、フィルタリングかけるんですか」と言われた。「当然でしょう。法律で決まってるじゃないですか」と私はそう言ったんですけども、それでうちの娘のあれはフィルタリングがかかったと思うんです。
 ただ、今言うたように、子供たちはいろんな興味が旺盛というか、我々若いときもそうでしたけど、私たちが子供のときはこういう携帯なんかなかったんで、そういうことはなかったんでしょうけども、今は本当にページを開けば大人の社会、犯罪の社会に紙一重のところで今の少年少女は暮らしてるわけですから、やはり我々大人が子供たちを守るんだという意思を強く持ってこういうことに対応していかないと、被害者は後を絶たないと思いますんで。そしてまた、こんなにして出てくる、先ほど県警本部長から統計も申し上げていただきましたけども、僕は、これ、氷山の一角だと思ってるんですよ。その方だけが起こした犯罪では僕はないと思います。まだその中に内包されたというか、表に出てこない、そこで泣き寝入りしたり、まだ現在進行形で被害に遭ってる少年や少女が僕はいるんではないかということも強く危惧いたしますので、どうか県政挙げて、和歌山県のみならず日本の子供たちを守るんだという強い意思を持って御対応いただきたいということを再度お願い申し上げまして、終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
○秋月史成君 親愛なる花田先輩に引き続き、議長のお許しをいただきましたが、質問に先立ちまして、一言御挨拶させていただきます。
 本年4月の和歌山県議会議員選挙において、西牟婁郡選挙区より選出されました秋月史成でございます。この歴史と伝統ある和歌山県議会に登壇の機会を与えていただきましたことを、心から深く感謝申し上げます。また、県議会の壇上に押し上げていただきましたふるさと西牟婁郡の皆様に、改めて感謝する次第であります。
 私は、活気に満ち、笑顔あふれるふるさと和歌山をつくりたい、私同様、市井の皆様の声を県政に届け形にしたいという思いを持ち、昨年11月上旬、出馬の意思を固め、西牟婁郡3町を歩き、住民の皆様の声を聞いてまいりました。
 日本人は、古来より勤勉で秩序正しく、伝統を重んじ、利他の心を持ち合わせるすばらしい国民性を兼ね備えた優秀な民族です。明治維新以降、この国や地域を支えてきたのは、歴史に名を残した偉人だけではなく、地元に根づいて頑張ってきた名もなき人々一人一人であり、そんな人たちが力を合わせて幾多の困難な時代を乗り越え、未来を切り開いてきたのです。
 私は、この郷里和歌山、祖国日本をこよなく愛し、和歌山の未来、日本の未来をともに考える志ある人々一人一人の思いを県政に届け、声を形にしたいと考えております。歩けばわかります。現在の西牟婁郡、いえ、和歌山の現状が。
 空き家や荒れ果てた耕作放棄地をよく目にいたします。出会う人は高齢者が多く、福祉車両を多く目にいたします。子供や若者より高齢者が多い。私たちのころは豊かさを求めて都会に行きましたが、現在は違います。豊かさと仕事を求めて都会に行きます。雇用創出のため、新たな企業誘致、今まで地域に根づいてきた企業、産業にさらなる活力を与えなくてはなりませんが、4年前の東北大震災から大きな大きな政治課題がさらに急務となりました。
 防災対策、減災対策です。津波や家屋の倒壊から命を守れるだろうか。国民、県民が英知を出し、克服しなくてはなりません。その1つとして国土強靱化法があります。防災インフラ、減災インフラの構築は急務ではありますが、しかし、1年、2年の短期で達成できるものではありません。いつ起こるともわからない巨大地震に備え、救出システム、減災システムの構築が急務と考えます。
 ここ和歌山では、仁坂知事を先頭に県当局の皆様もその重要性を認識し、日々御尽力いただいていることではありますが、今後は、仁坂知事、県当局の皆様、先輩・同僚議員の皆様と協調し、時には激論を交わしながら、県民の生命、財産、生活を守るという視点に立って、和歌山県政初の国防族県議会議員として、また零細企業の経営者として培ってきた商人の知恵を生かし、全身全霊、政治活動に取り組んでまいりたいと考えております。何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、通告に従い、一般質問に入らせていただきます。何分、政治経験の浅い私ですので、ふなれな点も多々あろうかと思いますが、精いっぱい頑張りますので、よろしくお願いいたします。
 南紀白浜空港の利用者の取り組みについてお尋ねいたします。
 南紀白浜空港は、県内唯一の空港として1968年に初代南紀白浜空港が開港し、1996年には、ジェット化に伴い、現在の新空港が開港されました。2000年には、滑走路も2000メートルに延長され、供用を開始しております。先人の方々の御努力に敬意をあらわす次第であります。
 現在では、首都東京と紀南地方をつなぐ重要な交通手段として活躍しております。観光や商業目的でさまざまな人々が利用しております。また、それだけではなく、災害時には重要な防災拠点空港になることは、皆様も承知のことかと思います。
 標高約90メートルの高台に位置し、ほぼ日本列島の中心付近に位置する空港でもあります。近隣の空港では、中部国際空港や関西国際空港、徳島空港など、さまざまな空港がありますが、いずれも標高の低い沿岸部に、その多くは位置する傾向にあります。
 巨大地震が起こったときに発生する津波の影響を受けることも想定されます。宮城県中南部の海岸線に近い場所に位置する仙台空港が津波により冠水し、使用不可能になったことは、皆様の記憶にも新しいことと思います。
 しかしながら、南紀白浜空港は、先ほども申し上げましたとおり、標高約90メートルの高台に位置し、巨大地震発生時に起こる津波の影響を直接受けない絶好の場所に位置しています。災害が発生した際、救出・救援活動、物資輸送の観点から見ても、非常に好条件の場所に位置いたします。
 しかし、よいことばかりではありません。標高が高い場所に位置するということは、それだけ雲に近く、航空機の離発着時に悪影響を及ぼすということにもなります。特に着陸時には、滑走路の視程が悪いと着陸困難となります。
 私の調べましたところ、欠航率は約2%から3%と、離島空港を除いた地方管理空港の中では決して高い欠航率と言えませんが、雲や霧が滑走路にかかり、視程が悪く、視程回復を待つために上空旋回を繰り返し、上空待機を余儀なくされたり、着陸復行を何度も行ったりと、乗客として私も幾度となく経験したことがあります。
 さらなる利用率向上、安定・安全運航のために、また防災という視点から、空港整備、計器着陸装置ILSのさらなる向上をあわせて望みたいと思っておりますし、最新鋭の機材就航も望むところではあります。
 前振りは長くなったんですけども、本題に入ります。
 現在、南紀白浜空港は、首都圏と紀南地方をつなぐ空港として、主に観光、商業目的の利用者を乗せた民間旅客機が運航しております。お盆休みも過ぎ、学生の夏休みも終わりを迎えようとはしていますが、南紀白浜空港は、まだまだ観光最盛期を終えてはいません。
 本年1月から7月までのデータでは、搭乗者数も前年と比べると8704人ふえている状況でもあります。現在、3往復6便就航中のうち、2往復4便の機材が大型化した7月だけでも、対前年度、搭乗者数は2155人ふえております。また、大型機材が就航していない6月も、対前年度搭乗者数2113人がふえております。利用者の増加が顕著にあらわれております。景気回復、アジア、欧米からの観光客増加、首都圏におけるPR活動、パンダ効果、世界遺産効果が功を奏したと思われますが、それ以上に関係者の並々ならぬ努力の成果、地道な努力の成果、機材が大きくなった効果が出たと私は考えております。
 日本航空は、需要対応及び国の地方航空路線活性化プログラムなどによる利用増を背景に、本年7月、8月の2カ月62日間、2往復4便に使用機材もエンブラエル170、76席から機材変更をし、ボーイング737─800、165席を導入しております。その結果、期間中の座席は2万2000席余り増加しております。
 先日も、東京での要望活動のため、私も737に搭乗いたしましたが、エンブラエル170と比べると座席も広く、たった1時間のフライトでしたが、快適に過ごすことができました。御一緒させていただいた前芝議長も御満悦の様子でした。
 しかし、今のところ、本年7月、8月の2カ月間限定の就航となっております。9月26日から紀の国わかやま国体も始まり、紀南地方にも選手や観戦者が多く来県されることになります。そんなやさきに機材を変更し、小型化されることは残念でなりません。また、エンブラエル170機材では、座席数も76席と、修学旅行等の団体利用者も使用しづらく、何とか座席数の多き機材を継続的に就航していただきたく思っております。今後の継続的大型機材就航常態化について、企画部長のお考えをお伺いいたします。
 引き続き、もう1つの質問に入ります。
 現在、南紀白浜空港は、日本航空ジェイエア、1日3往復6便の東京国際空港・羽田路線のみの定期就航となっております。東京国際空港・羽田は、2010年10月に国際ターミナルが開業され、国際定期便が復活し、現在多く運航され、新たな世界との窓口となっております。また、引き続き国内線のハブ空港として活躍し、日本国内と海外をつなぐ国際空港として進化しております。
 東京国際空港・羽田から約1時間のフライトで南紀白浜空港まで到着いたします。以前は、旧空港から数えますと大阪便、名古屋便、福岡便、広島西空港便など定期就航路線もありましたが、利用者が少なく、残念ながら廃止路線となりました。
 しかし、東京国際空港・羽田が、日本国内、海外をつなぐハブ空港に再び進化した現在、南紀白浜空港が世界、国内各地と紀南地方をつなぐ空港に進化したと言っても過言ではありません。観光目的、商業目的等での利用を考えますと、以前に比べ随分利用しやすい時刻表となってはおりますが、さらに利便性を高めるためにも、世界、国内各地と紀南地方をつなぐ南紀白浜空港─羽田便の増便に向けた取り組みについて、企画部長にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 南紀白浜空港の利用者数向上の2項目の御質問に一括してお答えします。
 まず、機材の大型化についてでございますが、議員お話しのように、昨年度から国の地方航空路線活性化プログラムを活用して首都圏からの誘客に取り組んでおり、本年1月からの搭乗者数は昨年を大きく上回っております。
 こうしたことから、夏季の需要増に向けて、日本航空に対して機材の大型化や特便割引期間の拡大を積極的に働きかけた結果、本年7月及び8月、朝夕2往復の機材が大型化されるとともに、これにあわせて特便割引7や特便割引3を利用できる特便割引適用期間が拡大され、運賃の低減が図られたところでございます。
 引き続き、南紀白浜空港の利用促進に向けて、日本航空に対し、機材の大型化や運賃低減に向けた特便割引適用期間の拡大などを働きかけ、利用しやすい環境づくりに取り組んでまいります。
 次に、白浜─羽田便の増便についてですが、議員お話しのように、南紀白浜空港には、日本航空がエンブラエル170、76人乗りで1日3往復就航しています。昨年度の搭乗者数は約10万8000人で、搭乗率は65.8%でした。また、機材が大型化された本年7月の搭乗者数は、昨年に比べ2100人余り増加しておりますが、搭乗率は51.6%にとどまっています。
 このような状況の中、直ちに増便を要望することは難しいものと考えます。まずは、利用者数の向上のために、年間を通した機材の大型化や運賃低減に向けた特便割引適用期間の拡大などを日本航空に働きかけてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 企画部長、御答弁ありがとうございます。
 先日、要望活動のために東京に出向きまして、自由民主党の総務会長室に御訪問させていただきました。そのときに、南紀白浜空港─羽田便が1日3便では少ないのではないかと言われまして、総務会長にともに頑張ろうと言われまして、確かに1日3便では少ないかなとは思いますが、何せ相手は民間企業のことですので、企画部長の御答弁でもありましたように、かなり難しいのかなと思うんですけども、昨年の搭乗率が65.8%、大型機材就航の7月搭乗率が51%とお聞きしましたが、では、何%なら大型機材就航が継続的に、また常態化するのか、搭乗率が何%なら増便の可能性があるのかに向けて庁内でも再検討していただき、大型機材の就航に向け、また増便していただけるようになるかを前向きにお考えいただけるように切にお願いいたします。
 南紀白浜空港は、和歌山県の宝だと私は思っています。現状維持は衰退だと思いますので、私も微力ながら、さらなる南紀白浜空港の進化のために額に汗して頑張っていきたいと思いますんで、そちらのほうも、当局のほうもよろしくお願いいたします。
 次の質問に入ります。
 次に、西牟婁郡内の道路問題についての質問に移りたいと思います。
 上富田町における問題点を住民の方々の声を聞きながら歩いておりましたが、道路問題では、その中で一番住民が語気を強めていたのは県道220号線、岩田保呂線のことでございます。
 岩田保呂線は、県道219号線から上富田町岩田橋付近から継ぎ、富田川左岸を走り、国道42号線郵便橋南詰に至る路線延長約4.3キロ、富田川右岸を走る国道311号線の対岸道路です。毎年2月に行われる上富田町最大のイベント、紀州口熊野マラソンのコースにもなり、多くのランナーが走る道路でもあります。長年、交通の支障になっていた生馬─保呂間の300メートルも現道拡幅が終わりましたが、あと少しの区間が残されております。
 また、岩田橋から生馬橋に続く区間1.5キロメートルは未改良区間であり、幅員が狭く、車両の対向にも困難を来している状況でもあります。富田川左岸は右岸側同様、近年、多くの住宅地が建ち並ぶ地域となっております。ふだんの生活用道路としてはもちろんのことながら、隣接する食品加工会社の荷物を運ぶ産業道路としても現在活用しております。また、災害時における重要な迂回路として整備を、上富田町民だけではなく、隣接地域の住民も待ち望んでおります。
 平成10年ごろに計画があり、測量設計も既に終了しておりましたが、用地取得に難航し、残念した経緯もありますし、地籍調査も一部は済んでいない区間もありますが、未改良区間がまだまだ残る県道岩田保呂線についてどのようなお考えをお持ちか、県当局にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 本県では、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道といった高速道路を初め、これらを補完するX軸や川筋ネットワーク道路などの幹線道路の整備に重点的に取り組むとともに、日常生活に欠かせない生活道路については、防災や交通安全などに配慮して、交通の支障となる箇所を着実に整備しているところでございます。
 県道岩田保呂線につきましては、1日の交通量が約1500台と少なく、また富田川対岸に幹線道路である国道311号が整備されていることから、現道対策として生馬橋から郵便橋の間で逐次整備を進めているところです。
 今後は、この事業中区間の整備を進めた上で、議員御指摘の岩田橋から生馬橋間の未整備区間につきましても、地籍調査が進展し、用地の協力が得られるのであれば、事業化について検討してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 御答弁、ありがとうございます。
 生馬橋から保呂までの区間が若干未整備の区間が残っております。地域に住む住民といたしましては、もう少しなのになと思うところでもあります。その箇所におきましては、改良を加速いただきますようお願いいたします。
 それと、御答弁の中で1日の交通量が約1500台と少ないとありましたが、上富田の住民としては改良ができてないから少ないんです。本当は通りたいんだけど、通りにくいから1500台と少ないのではないかなと私は考えております。発想の転換をして、まずは現道対策を迅速にお願いいたしますし、また、私も上富田町当局、地域住民の方々と連携を密にして、微力ながら事業化に向けて奔走したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 県道日置川大塔線についてお尋ねいたします。
 待ちに待った紀の国わかやま国体が、もう間もなく開催されます。8月30日に開通する紀勢自動車道南紀白浜─すさみ南間24キロ、県道白浜温泉線、フラワーラインも国体開催までの9月18日に2.4キロ、一部の区間を除き供用開始となります。
 また、長年、先人の方々が夢見ていました県道白浜久木線も事業化が決まり、工事開始を待つばかりとなりました。紀勢自動車道の開通並びに県道建設に際し御尽力なされました仁坂知事を初めとする県当局の皆様、全ての皆様に、西牟婁郡に住む者として深く感謝申し上げます。
 また、仁坂知事が強く推し進めております紀勢自動車道のさらなる延伸、X軸、川筋ネットワークなど、道路行政に際し、私も微力ながら精いっぱい頑張ってまいりたいと思っております。
 紀勢自動車道南紀白浜─すさみ南間が開通し、県道日置川大塔線に日置川インターでつながります。日置川大塔線は、日置川大橋から田辺市合川までの約32.5キロの、ほぼ日置川に沿った県道です。日置大橋─日置駅─田野井の区間や安居─向平は2車線整備がされておりますが、その他の区間は1車線で狭隘な道路が続き、見通しの悪いカーブを持つ区間が多いのが現状です。
 現在まで多くの箇所で補修、改良工事が行われましたが、現在も日置─大古工区では歩道の設置、矢田工区では200メートルの現道拡幅工事に着手され、用地買収が進められております。口ケ谷区間では、300メートルの現道拡幅改良が、一部工事も着手されております。しかし、まだまだ集落と集落の間では、路肩から落石が路面に散らばりやすい箇所が多く、実質的迂回路が存在しないことから、たびたび時限的、長期的通行どめともなります。過疎化が進む地域ではありますが、日置川筋に住む住民にとりましては重要な生活道路でもあります。特に宇津木橋から玉伝橋までの間は狭隘な道路が続き、以前は崖から転落し、死者も出たと聞いております。
 また、樹木の枝が道路に垂れ下がり、観光客を乗せた大型観光バスが運行しにくい区間が多く存在し、日置川筋の観光に支障を来しているのが現状です。将来、白浜久木線が開通し、主要な集落をつなぐ生活道路である日置川に沿った日置川大塔線について、将来どのようなビジョンをお持ちか、また、改修に対するお考えを県当局にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 県道日置川大塔線につきましては、これまで沿道の主な集落から田辺市方面へ直接アクセスする県道市鹿野鮎川線や上富田すさみ線を重点的に整備してきたため、その整備が相対的におくれてきた経緯があります。
 当該路線につきましては、現在、白浜町内の矢田地区及び口ケ谷地区において現道拡幅を、また、紀勢自動車道の日置川インターチェンジ周辺において、現道拡幅とあわせて歩道整備を実施しているところです。
 残る未改良区間につきましては、今後、紀勢自動車道の供用により交通の流れが変化し、当該路線の果たす役割も変化することが予想されるため、狭隘箇所の現状や周辺道路の整備状況などを十分勘案した上で、その整備のあり方について検討してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 県道整備部長、御答弁ありがとうございます。
 県道日置川大塔線におきましては、優先順位が低かったため整備がおくれたとの御答弁と私は理解してるんですが、物事には優先順位があるのは理解はしたいと思いますが、整備がおくれたから日置川筋が過疎化を加速させてしまったのではないかなと思います。紀勢自動車道の供用により人と物の流れが変化を生じます。
 私にとりましては、日置川は産湯をつかった町でもありますので、墳墓のまち、日置川のために、また地域住民の悲願達成のために、さらなる御尽力を当局としてよろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 次に、南紀支援学校の老朽化に伴う建てかえ問題についてお尋ねいたします。
 南紀支援学校は、私が住む上富田町は岩田地域に所在する、主に紀南地方に住む肢体不自由の児童や生徒が勉強し、一人一人の障害に応じた自立に向けた活動を行う学校です。昭和42年に建てられ、ことしで48年となります。私より1つ年上となります。
 静かで自然あふれる上富田町岩田地域に建つ学校で、小学部、中学部、高等部の3学部を設置し、寄宿舎も設置され、児童生徒はスクールバスを利用し通学するほか、寄宿舎や隣接する福祉施設からも通学しております。しかしながら、現在、かなりの問題を抱えた学校施設となっております。
 私も、この9月で47歳となります。私は、今のところ幸い大きなけがや病気もせず健康でいますが、私の同級生の話を聞きますと、ここが悪いとか、どこが悪いとか、健康診断を行うと悪い数値が出たとか、また、病気で亡くなった者さえいます。そろそろ体の痛みや衰えが発生する年ごろとなりました。現在議場におられる諸先輩を初めとする皆様も、同じ状況ではないでしょうか。
 実は、私より1つ年上の南紀支援学校も同じ状況です。私は、保護者や学校関係者の方々から御相談を受け、何度か施設に訪れ、その現状を細かく見てまいりました。校地面積5268坪、建物面積1609坪の広大な敷地に、主に平家の建物が建ち並ぶ学校ですが、建物と建物をつなぐ渡り廊下があり、雨の日は学生がずぶぬれになりながら渡り廊下を渡らなくてはならず、肢体不自由の学生にとってはかなりの負担がかかり、問題のある構造となっております。
 また、冬場などは建物内部と渡り廊下の寒暖の差が激しく、心身に悪影響を来す可能性もあります。地盤沈下で教室、職員室の戸のたてつけも悪く、戸の開閉に支障も来しております。水道設備も老朽化が進み、夕方近くになると水圧が下がり、トイレの使用にも支障を来してる現状もあります。建物内部も老朽化が進み、剥がれかけた壁や薄暗い廊下、教室等々、数えれば切りがないほど老朽化が進んでおります。まさに劣悪な教育環境としか言いようがありません。
 6月議会の開催中に県当局の方々と相談し、現在の南紀支援学校の状況をお伝えしたところ、平成20年ころから現在の状況を掌握してる。入学式、卒業式等の行事でその劣悪な環境を教育長を初めとする職員の皆様も掌握しているそうでございます。なのに、なぜ改修が進まないのでしょうか。
 簡単な補修改修で済む施設ではなく、全面建てかえが必要な施設であるという認識もお示しいただいています。また、幾多の議論を重ねているそうでございます。幾多の議論を重ねていながら一向に問題が前に進まず、建てかえのめどをお示しいただけないのか、本当に不思議でなりません。問題を先送りにして放置してると、保護者や学校関係者から、また県民から思われても仕方ないのかもしれません。私も我が子を持つ親の端くれです。全ての親の共通する思いは、我が子をよい環境に置きたい。保護者も学校関係者もまた皆同じ思いです。
 県当局の方々も、子を持つ親の方が多いと思います。我が子が劣悪な環境に置かれたらどう思いますか。自分の子供だったらどう思いますか。児童生徒、保護者、学校関係者も皆、建てかえのめどを、一寸の光を待ち望んでおります。我が子の時代は難しくても、次代の子供に何とかよい環境で学んでもらいたいと切実な思いを持っておられます。今後の南紀支援学校の建てかえに対するお考えを、まためどについて教育長にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 南紀支援学校は、昭和42年に県内最初の養護学校として開校以来、県内の肢体不自由教育を牽引してまいりました。
 議員御指摘のとおり、これまで施設の耐震化や修繕等を行ってきましたが、建設から50年近くが経過し、老朽化が進んできている現状にあることは認識してございます。
 これまで、県教育委員会では、障害のある児童生徒の県内支援体制の構築とともに、課題となっていた紀北地域における県立特別支援学校の過大規模化の解消等に取り組んでまいりました。
 教育長就任後、大きな課題として田辺・西牟婁地方の特別支援教育のあり方、南紀支援学校の障害特性に対応した施設整備を実現することが必要であると考え、新たに庁内ワーキンググループ会議を設け、具体的な検討に着手するよう指示し、平成27年度内に一定の方向性を取りまとめる予定にしてございます。その後、学校関係者や保護者、地域の皆様方から御意見をいただくとともに、関係部局との協議を順次進め、できる限り早く具体的なプランとしてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 教育長、まずは御答弁ありがとうございます。
 しかし、私といたしましては、決して満足したお答えではありません。7年も問題を認識していながら、紀北地域における県立支援学校整備とどうして並行して南紀支援学校の建てかえ計画が進まなかったのか、かなり残念です。それと、やっと庁内にワーキンググループ会議の設置。当局といたしましては協議が遅過ぎたのではなかったのかなと思わざるを得ません。
 今回の質問に際し、私は本当は知事答弁を求めたかったのですが、保護者も学校関係者も県民も仁坂知事の声を聞きたかったのですが、━━━━━━━━━━━━、知事の答弁はかなうことができませんでした。私も政治経験が浅いですし、人生初の一般質問ということもありまして、父母の教えのとおり、年長者の意見にはできるだけ添うようにと言い聞かされましたので、今回は断念いたしました。
 また、27年度に整備にかかわる一定の方向をまとめていただけるということ、私や県民の感覚では、2~3年以内に建てかえができるのではないかなという少し明るい光が見えてきましたが、できない理由を考えるのでなく、できるにはどうしたらよいのかという発想に転換していただき、仕事に納期があるように、いつも期限つきという発想で計画を迅速に推し進めていただきますようお願いいたします。
 こうして議論を重ねているうちにも、刻一刻と時間が過ぎております。劣悪な環境で子供たちが過ごしております。県当局としては、問題を掌握し、看過できない施設であるということを認識し、早期建てかえを目指して今後努力いただけることとは思います。仁坂知事も、私の質問で問題を認識していただけたと思います。心温かき仁坂知事の御英断を早くいただき、早期問題解決について強く要望いたします。
 次に参ります。
 県当局の方々のお話では、将来建てかえる際には、紀南地方における複合的な障害者施設のモデル施設にしたいという希望を持っておられるようですが、具体的にどのような施設をお考えか。また、どういった理念の施設かをお示しいただきたく思います。
 また、上富田町岩田地域の本来災害時における避難場所となる公民館等の施設が9カ所と、十分とは言えない状況です。岩田地域、隣接の岡地域は地区人口3720人の地域ですが、災害時における避難場所は多ければ多いほどよいと思われます。災害時の避難場所機能を備えた施設をお考えかを、あわせて教育長にお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 南紀支援学校の施設整備については、先ほどお答え申し上げましたとおり、田辺・西牟婁地方における特別支援教育のあり方をまずしっかりと見据えていきたいと思ってございます。また、障害のある児童生徒のさまざまなニーズに応えることをしっかりと念頭に置きまして、現在、検討を進めさせてございます。
 議員御要望の観点等も含めまして、地元地域の皆さん方とも協議しながら、施設の整備構想を取りまとめていきたいというふうに考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 御答弁ありがとうございます。
 今回の私の質問では、南紀支援学校の児童生徒、保護者、学校関係者の視点に立った質問だったのですが、南紀支援学校の建てかえについては、今後、上富田町内におけるまちづくりにもかかわる問題だと思います。答弁にもありましたように、保護者や学校関係者、地域自治体、地元地域と、時間はありませんが、できるだけ丁寧に協議し、最大公約数の方々に喜ばれるような整備構想作成をお願いいたします。
 これで、私の人生初の一般質問を終わります。最後までおつき合いいただきましたことを深く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時37分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、一般質問に入らせていただきます。
 まず最初に、1項目めは、県民の医療費負担の軽減についてお尋ねをいたします。
 県民の暮らしにとって、健康に対する不安が一番大きく、病気になったらどうしよう、体の心配の前にお金の心配で眠れないなどと、よく聞かれます。しかし、今、安心して療養できる環境にあるでしょうか。
 ことしの6月30日に閣議決定された財政・経済政策の基本方針、骨太の方針2015は、今後の社会保障の伸びを毎年5000億円に抑制するとしています。高齢化などに伴う社会保障費の自然増は毎年8000億円から1兆円と言われており、削減幅は3000から5000億円に上ります。
 また、厚生労働省が7月2日に公表した国民生活基礎調査の結果、2013年の1世帯当たりの平均所得が前年比1.5%、8万3000円減となったことがわかりました。生活が苦しいと感じている世帯の割合は、昨年の2014年7月時点で、前年比2.5ポイント増の62.4%に上り、過去最高となっています。これは、1世帯当たりの所得の落ち込みが続いたことや、14年4月に消費税率を8%に引き上げたことなどが影響していると、厚労省は分析しています。1世帯当たりの平均所得は、ここ10年で最も低く、データが残る1985年以降では4番目の低さです。26年前とほぼ同じ水準となっており、非正規雇用の増加などが背景にあると、時事通信社の「厚生福祉」7月24日号では伝えています。
 社会保障の負担が生活を圧迫している状況の中で、一層社会保障の削減を推し進めれば、国民から、医療や介護、福祉など、ますます遠ざけるものになってしまいます。保険料負担が重くのしかかり、受診抑制につながり、ひいては命にかかわりかねません。
 そこで、今回は4点についてお伺いをしたいと思います。
 1つは、国保制度は、被保険者の高齢化、低所得者層の増加など、制度の抱える構造的な問題により、その財政的基盤は極めて脆弱です。被保険者は低所得や無職の割合が高い中で医療費が年々増加する状況にあって、負担額をふやすことにも限界があるということが市町村国保広域化等支援方針の中でも指摘されています。実際、被保険者のうち、無職者が41.9%、60歳以上が48%を占めています。
 そこで、まず、各自治体の保険料、収納率などの現状はどのようになっていますか。福祉保健部長にお尋ねいたします。御答弁、よろしくお願い申し上げます。
○副議長(藤山将材君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 平成27年度の市町村の保険料は、例えば所得250万円の40歳代夫婦で、未成年の子供が2人などの一定の条件を設定して試算した場合、最高が56万700円、最低が34万9600円で、県平均が44万1540円となります。
 市町村の収納率につきましては、平成25年度の現年分では、最高が99.56%、最低が88.37%、県平均が91.97%となっております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁をいただきました。
 今、例えばということで、所得250万円の40歳代夫婦で未成年の子供が2人、そういった条件のもとで試算したその額が言われました。最高が56万、そして最低が34万、この保険料の負担が非常に重い、そういうふうに思いました。
 そういった中で、次に質問をさせていただきます。
 このように、さきに述べたように、県民の暮らしは大変厳しい状況です。この保険料が高過ぎるのではないでしょうか。県としてどのようにお考えでしょうか。福祉保健部長に質問させていただきます。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 国民健康保険の被保険者には、退職された方など無職の方が多く、また年齢構成が高いため医療費も高くなり、被用者保険と比べて保険料負担が大きくなるという構造的な問題を抱えております。
 そのため、国民健康保険の保険料につきましては、所得に応じて応益割の7割、5割、2割を軽減する制度があり、平成26年度からは5割軽減、2割軽減の対象者が大幅に拡大され、平成27年度も対象者の拡大が図られるなど、所得の低い方への保険料負担の軽減が図られております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 重ねて再度申し上げますが、所得250万円、4人世帯で最高が56万700円ということです。同じ所得での昨年度と比較しますと、最高は、別の町ですが、53万5900円です。
 ことし、10町村で値上げされ、最高額も上がったわけです。所得250万円の22%にも上る保険税です。所得250万円ということは、サラリーマンなら収入では年およそ383万円です。2カ月近くの収入が保険税として徴収される、これは負担能力を超える保険税ではありませんか。
 例えば、協会けんぽでは、およその計算ですが、この年収ですと約22万円くらいの保険料になります。国保は極めて高くなっているわけです。
 ここまで高騰した保険税が払えないために保険証を取り上げられ、資格証が発行されている世帯が、県内で平成26年6月1日現在では3488世帯あります。全日本民主医療機関連合会の調査では、保険証の取り上げなど経済的な理由で病院にかかれず死亡した人が、わかっているだけでも昨年56人に上っています。
 和歌山市の資格証発行世帯は、ことし3月末で1528世帯ありますが、そのうち15%は所得ゼロ、22%は所得200万円以下です。低所得で保険料が払えない、その状況が浮き彫りになっていると考えます。国保料・税が余りに高過ぎるため払えないことで保険証を取り上げるというのは、国民皆保険制度を空洞化させるものではないでしょうか。この点でのお考えをお聞きいたします。福祉保健部長、お答えください。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 保険料を納付できない特別の事情がないにもかかわらず、1年以上滞納している方については、国民健康保険法第9条に基づき、被保険者証にかえて被保険者資格証を交付するものと定められております。
 この制度は、納付意識が低い滞納者との面会機会を確保して保険料納付を促し、きちんと納付されてる方との負担の公平を図り、医療保険制度の維持を図るために必要な制度であると考えております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 以前にも、資格証の発行のことで議会で質問させていただいたことがございますが、先ほど申し上げたように、和歌山市の例を挙げましても、所得がゼロという方も資格証が発行されているということで、この資格証が発行されている場合は窓口で全額支払わなければいけない、そういったことになっています。
 そういうことでは、なかなか資格証を持って医療機関に行くということさえ大変な思いをされて行くことになります。また、我慢をしてしまう、そういったことになりかねません。そういう意味では、一人一人の状況をぜひつかんでいただいて、しっかりと対応していただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたが、国保の問題は、無職や年齢構成が高いため医療費が高くなるが被保険者の収入は低いという、先ほども言いましたように構造的な問題がある、これについては県もそのように同じ認識だと思います。この国民皆保険を支える国保制度が重大な危機にあるのではないでしょうか。
 根本的な原因は、私は、1984年に国保財政の50%だった国庫負担を23%にまで抑制したことにあるのではないでしょうか。しかし、この構造的な問題を解決することなく、この国会で成立した国保法改定は、2018年度から国保の都道府県化を決めました。今年度は、その第一歩として、既に財政運営広域化、つまり、1円以上の全てのレセプトを共同安定化事業として市町村から拠出金を出すやり方が導入されました。これは、国保料・税の平準化を進めるものであって、実際に、これまで医療費支出が低く、保険税が低かった町村などで値上げが起こっています。
 このことから、都道府県化で、分賦金を決め、標準保険料率と収納率目標を示すといったやり方になれば、一層高い保険料になるおそれがあるのではないでしょうか。こうしたことにならないよう、県の姿勢が一層問われてくると思います。その点を指摘させていただき、次の質問に移らせていただきます。
 次は、後期高齢者医療制度の問題についてお聞きします。
 後期高齢者医療制度は、2008年の制度開始以来、高齢者への差別医療だと廃止を求める声が上がり続けています。民主党政権のもとで一旦廃止が約束されていましたが、それもほごにされ、制度が継続されています。しかも、保険料は、改定のたびに値上げされています。
 そこで、後期高齢者医療広域連合の会計状況の現状を福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 和歌山県後期高齢者医療広域連合の平成26年度の決算状況については、保険給付などを行う特別会計では、歳入が約1354億円、歳出が約1313億円で、差し引き約41億円の赤字となっており、ここから翌年度に返還する国庫負担金等の予定額を除いた剰余金は約5億6000万円となっております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁いただきましたが、ちょっと私、聞き違えたのかもわからないんですが、広域連合の歳入歳出で、差し引き約41億円の黒字……(「赤字って答えた」と呼ぶ者あり)赤字って聞こえたんですが、赤字じゃなくて黒字……。
 今、福祉保健部長のほうから御答弁いただいたんですが、再度御確認をさせていただきたいんですが。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 先ほど答弁を間違えました。
 広域連合の歳入は1354億円、歳出が1313億円で、差し引き約41億円の黒字となっております。ここから翌年度に返還する国庫負担金等の予定額を引いた剰余金は、約5億6000万円となっております。
 失礼いたしました。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、保険料改定時には、県が管理する財政安定化基金を取り崩して保険料の低減に充てることができると思いますが、2012年改定、2014年改定では全く取り崩さず、連続値上げとなりました。保険料が払えず、短期保険証が交付されたり、差し押さえが行われる高齢者も出ています。保険料の引き下げと、広域連合に対して県としてどうお考えでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 後期高齢者医療の保険料は、和歌山県後期高齢者医療広域連合が2カ年の財政運営期間ごとに改定を行っており、次期改定は平成28年4月となっております。
 和歌山県後期高齢者医療財政安定化基金は、原則として、医療費の急増による財源不足など短期的な変動に対応するためのものであり、保険料の増加抑制に活用することは特例であるため、まずは和歌山県後期高齢者医療広域連合が剰余金を活用することになります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度質問させていただきます。
 平成26年度に保険料値上げが行われましたが、決算では約41億円の黒字、剰余金約5億6000万円ということです。この剰余金というのは、保険料を集め過ぎた分に当たることになります。昨年度の保険料値上げがどうだったのかが問われる状況です。剰余金を後期高齢者に返さなければならないと思います。県は、次期改定に当たり、剰余金の活用は、当然、財政安定化基金取り崩しを含め、保険料を引き上げないよう、後期高齢者医療広域連合との協議にぜひ臨んでいただきたいと思います。
 また、保険料特例軽減の廃止が打ち出されています。特例軽減は、後期医療反対の世論に押されてつくられたものです。年金収入の低い方やこれまで被扶養者だった方に、9割、8.5割など、保険料を軽減するものです。これが廃止されますと、9割軽減の人は3倍、8.5割軽減の人は2倍に、扶養家族だった方は5から10倍もの負担増が強いられます。
 この継続を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。福祉保健部長、再度お答えください。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 国において予算措置として実施されております後期高齢者の保険料軽減特例については、平成29年度から原則的に本則に戻すこととされており、その実施に当たっては、所得の低い方に配慮しつつ、急激な負担増となる方については、きめ細かな激変緩和措置を講ずるとしています。その具体的内容については、国において検討されているところです。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 御答弁いただいて、この財政安定化基金は、激変緩和とか、そういったことで使うことができるという点で答弁もいただいたので、こういったこと、これから後期高齢者の方たちは介護保険料の負担やさまざまな負担がある中で、保険料の引き下げ、また上昇の緩和など、ぜひ県としてもしっかりと国に意見を上げていただきたいと思いますので、これは要望をさせていただきます。
 次は、子供の医療費助成にかかわる問題で、子供の医療費助成に係る国保の減額調整措置についてお尋ねいたします。
 現在、県では、保護者負担を軽減するため、市町村と連携しながら就学前の乳幼児の医療費補助がされています。さらに、各自治体の中に対象を広げてほしいという声が強く、県制度以上に小学校、中学校、高校卒業まで医療費の補助が実現しています。ある市では、新日本婦人の会の皆さんが14回もの請願を出すなど、今も運動が広がっています。
 現行では、市区町村が独自助成すると国からの負担金が減額されるペナルティーの仕組みがあります。厚生労働省は、国保の減額調整措置を見直す動きがあると聞きますが、進捗状況をお聞かせください。福祉保健部長、御答弁、よろしくお願いします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 地方単独事業として子供の医療費に係る一部負担金の減免を行った場合、国は、受診回数が増加することにより医療費が増加するという観点から、増加したとみなされる医療費について、国民健康保険の国庫負担の対象とせず、減額措置がとられております。
 この減額措置につきましては、従来から、全国知事会などを通じ、国に対して廃止するよう強く求めておりましたところ、少子社会における子供の医療のあり方に関する検討会が設けられることとなり、今後、この検討会の場で、子供の医療費助成に係る国庫負担金の減額措置も含め、議論が行われるものと思われます。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 要望させていただきます。
 子供の医療費の助成対象を広げる市区町村が、今、ふえています。厚生労働省の調査では、通院で中学卒業またはそれ以上まで助成する自治体は、全国で1134市区町村、65%に上っています。2004年は11自治体しかなく、10年で103倍にふえています。
 ぜひ、和歌山県としても、来年の予算で県として対象年齢の拡充を考えていただきたいと思います。子育てしている保護者の皆さんの切実な願いが届けられていると思います。歯がぼろぼろになっても歯科の通院ができない、そういった方がたくさんいらっしゃいます。そのようなことも含めて、未来の子供たちの健康にかかわる問題ですので、ぜひよろしくお願い申し上げます。
 次、医療費の軽減についての項目で、最後4番目に、医療費が非常に負担がある中でも少しでも軽減につながるという点から質問させていただきます。
 差額ベッド料の免除や高額療養費制度の活用の周知徹底について、お尋ねいたします。
 入院治療の際、保険適用でない差額ベッド料の負担や高額の治療費の負担を考えると、必要な治療ができないという場合があります。入院すると差額ベッド料が請求されます。差額ベッド料とは、保険のきかない部屋代のことです。
 厚労省は、個室から4人部屋で徴収を認めています。全国で約26万床、全病床の19%を占めています。患者負担額は、個室で、平均1日7563円、最高は36万7500円というところもあります。差額ベッド料は、高額療養費の対象にはなりません。
 2014年3月26日から厚労省が通知をされ、差額ベッド料を請求できない場合、患者さんに特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合としては、具体的には以下の例を挙げています。
 同意書による同意の確認を行っていない場合──同意書に室料の記載がない、患者側の署名がないなど、内容が不十分である場合も含みます──また2つ目には、患者本人の治療上の必要により特別療養環境室へ入院させる場合、また3番目に、病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者さんの選択によらない場合には請求をしてはいけないというようなことになっているかと思います。
 そういった問題や、また高額療養費制度について──高額療養費というのは、1月間に保険診療を受けて支払った一部負担額が自己負担限度額を超えた場合、申請すれば、その超えた分が支給されるという制度です──こういった軽減措置の一部ですが、このようなことがどのように周知されているのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 差額ベッド料の取り扱いにつきましては、厚生労働省から留意事項が示されており、直近では、平成26年3月26日付厚医発0326第1号の通知の中で、特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合の具体例が記載されております。当該通知につきましては、近畿厚生局を通じ、保険医療機関に周知されているところです。
 高額療養費制度につきましては、保険者である市町村において、加入者にリーフレットを送付するなど、周知を図っております。
 なお、限度額適用認定証の交付を受ければ、当該認定証を医療機関の窓口に提示することによって、同じ医療機関での支払いは限度額までとなります。また、後から高額療養費を申請することもでき、高額療養費の支給対象となる方につきましては、市町村からその旨の通知が届くこととなっております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 差額ベッド料については、保険医療機関に周知されているというようなことでおっしゃっていただいたんですが、医療機関だけでなくって、こういった免除というのか、そういう制度があるということを県民自身がやはり知っていただけるように、さらにそういった点でも周知をしていただきたいなと思います。
 また、高額療養費制度についても、国民保険のしおりというようなところで、各市町村が皆さんにお渡ししてると思うんですけども、和歌山市の場合でも、非常に字が小さかったり、また、せんだって県政報告会というのを私もさせていただいたんですけど、その中で、こういった制度をなかなか知らないとか、そういったこともあります。申請してこその制度であるかと思うので、そういった点で、ぜひ県民の皆さんにもしっかりと周知するようなことを取り組んでいただきたいなと、これは要望して、次のところに行かせていただきます。
 次、2項目めに移らせていただきます。
 地域医療構想の策定についてお聞きいたします。
 強行された医療保険法改定では、都道府県が策定する医療費適正化計画の強化も盛り込まれました。昨年成立した医療介護総合法では地域医療構想による病床削減が導入され、それとリンクさせて、医療給付費の伸びを県の責任で抑制していく仕組みづくりが押しつけられようとしています。
 政府は、「入院から在宅へ」のかけ声で、病床数の削減、特に急性期病床を大幅に削減し、患者を在宅へ押し出し、医療費を抑制する方針ではないかと思います。そのために、医療機関からの病床機能報告制度をつくり、都道府県は、2015年度中に地域医療構想を策定することになりました。
 2025年の人口推計をもとに、いかに病床削減、再編を進めるかの枠組みを示す地域医療構想策定ガイドラインが出されています。そして、6月15日には政府の推計を発表し、2025年には、全国で入院ベッド数を今の1割ほどに当たる16万から20万床削減し、各都道府県ごとに望ましいベッド数を上げました。それによれば、和歌山県では、2013年の1万3100床を2025年に9500床に、削減率27.5%、3600床もの削減という数字が上げられたわけです。
 こうしたやり方で、必要な医療体制が守られるのでしょうか。県として、政府の病床削減をどのように受けとめ、今後、どうしていくのかお聞きをいたします。知事、答弁、よろしくお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 地域医療構想は、2次保健医療圏ごとに、急性期、回復期、慢性期から在宅に至るまで、将来の医療需要を推計し、病床機能別の必要病床数等を県が定めるものでございます。また、在宅医療に誘導するわけでございますんで、その前提として、在宅医療をちゃんと行えることを含む地域包括ケアシステムをつくり上げていかなきゃいかんということで、これは結構大変でございます。
 この地域医療構想に関し、今回、政府が示した病床削減の推計値がございます。これは、国の地域医療構想ガイドラインで示した計算方法により、全国の人口推計等を用い計算した、あくまでも最高値であります。
 そうはいっても、和歌山県の場合、今後、人口減少もあり、将来の医療需要にふさわしい一定の病床削減は必要となってくると思われます。病床再編の作業は、県がやらないといけない。地域医療構想を策定し、進めることとなっておりますけれども、一方で、医療制度の根幹をなす診療報酬、これはいわば量を考えるときの価格みたいなもんなんですが、これは国が決めておるために大変難しい、そういう価格で誘導することができない、まあこういうことでございます。
 ただ、医療費の高騰を国民が全体として負担できるかという問題を背景に、法律でも決まったことでございますんで、今後、地域の実情を踏まえ、市町村や医療関係者等の意見を十分聞きながら、地域医療構想を策定し、その実現に取り組んでいくしかないというふうに思っております。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ベッド削減がありきということではなくて、やはり地域の医療需要、地域の医療要求に基づいて、今でも和歌山県は医師の偏在とか、いろいろ医療についても医療要望が強いところもあったり、地域によってさまざまだと思うんですが、そういったところをしっかりと県民の皆さんの命やそういったことを守るという立場から、地方自治の本旨に基づいて、この医療のあり方をぜひ考えていただきたいなというふうに思います。
 それで、次にお尋ねいたします。
 保健医療計画との関係で、どのように位置づけられるのか、お聞きをします。
 平成25年の3月、第6次保健医療計画に、「保健医療計画は、良質かつ適切な医療を効果的に提供する体制を構築し、県民の皆さんの医療に対する安心・信頼の確保を図るために、医療法に基づき策定するものです」と述べられています。
 保健医療計画には、各保健医療圏ごとに、現状と課題、圏域での取り組み方向が書かれています。今後、地域医療構想が策定されますが、保健医療計画との関係はどのようになりますか。これは、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 地域医療構想は、2次保健医療圏ごとに将来の医療需要に見合った地域の医療提供体制の目指すべき姿を示すものであり、医療法に基づき、保健医療計画の一部として新たに策定するものです。
 次期保健医療計画においては、今回策定する地域医療構想の内容を組み込む形で改定を行ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 先ほども申し上げましたが、地域医療では、医師や看護師の不足が進んで、医療崩壊と言われるほど深刻な状況になっている地域もございます。今でも病院から早期退院を迫られてリハビリもないまま在宅に帰らなければいけない、戻される、介護に移行させるといっても、特別養護老人ホームの待機者が県内で約2600人もいる中、ショートステイの長期利用など、高齢者が漂流しているといった状況もあるのではないでしょうか。
 国の病床削減政策を県内に当てはめるのではなく、本当に地域の実情に見合って、医療関係者、住民の意見を反映させていくことが必要です。
 また、保健医療計画では、5疾病、5事業ごと、また、圏域ごとに課題が出されています。例えば、産科・小児科医師の地域偏在や分娩を取り扱う医療機関の減少への対策、2次救急医療体制の充実などが上げられています。こうした医療供給体制の充実の課題を反映した地域医療構想を策定していくのかどうか、県の姿勢をもう一度お尋ねしたいと思います。福祉保健部長、よろしくお願いします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 保健医療計画では、がんなどの疾病、または救急医療というような事業ごとの医療提供体制について、現状と課題、そして施策の方針を示しています。これに対して地域医療構想というのは、総体としての医療需要を圏域ごとに推計して、必要な医療提供体制の構築を目指すものでございます。
 先ほども申し上げたとおり、次期保健医療計画策定に当たっては、地域医療構想で定めた事項を盛り込んで、安心で信頼できる医療提供体制を目指していきたいと考えています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今の医療の現状を見て、住民がやはり安心できる、その地域で住み続けられる、そういった状況にしていくために積極的な住民からの意見も聞いていただいて、地域医療構想を、地域の医療が前に向いていく、充実させていくという立場で、ぜひ策定を考えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 3項目め、最後です。
 雇用問題についてお尋ねをいたします。
 病気や障害などあっても安心して働ける環境づくりが必要です。ここで問題にしたいのは、障害者認定に至らない場合や、軽度の脳卒中、心疾患、糖尿病、精神疾患などの治療をしながら安心して働くことができることは、大変生きがいにつながることです。憲法第27条では、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」とうたわれています。
 最近、40代前半の男性の方から相談を受ける機会がありました。彼は、てんかんで3級の障害者手帳を持っていましたが、2年間、薬物治療にて発作の発生が見られず、障害手帳を受給することができませんでした。年金生活の両親と同居しているため、何とか日々を送れていますが、御本人は「年齢的にも親孝行しなければならないのに。働きたい」と言われています。ハローワークにも通っています。しかし、主治医から、運転や不規則な仕事は禁止されています。
 このように、療養しながら働くということは、大変困難な状況があります。企業にとっても受け入れが難しい問題ですが、県としての対策はどうなっていますか。また、企業への働きかけはいかがでしょうか。商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 長期にわたり病気治療をされている方や、障害があるものの手帳を交付されていない方の就労につきましては、症状や治療の状況などにより仕事に制約がある場合が多いことから、働く意欲のある方に対しては、きめ細やかな就労支援が必要であると認識しています。
 県では、就職の総合相談窓口であるジョブカフェわかやまにおいて、症状やこれまでの就労経験等を詳しくお聞きしながら、治療と就労を両立するためのアドバイスを行ったり、新規就労を希望される方には、ハローワークにつないで、就労が可能な職場を紹介しているところです。
 また、長期治療中の方などの就労には、事業者の理解が不可欠なことから、企業への働きかけが重要であると考えています。国においては、障害者手帳の有無にかかわらず、てんかんや精神疾患のある方などの雇用を促進するために、職場定着や職場復帰などに取り組む事業者を支援する助成制度が設けられております。
 また、障害により長期間仕事をするに当たって配慮が必要な方などに対して、障害を理由とする差別的取り扱いの禁止や、就労に支障となる事項の改善を事業者に義務づけた改正障害者雇用促進法も、平成28年4月から施行されます。県といたしましては、事業者に対して、企業研修会などの場を利用して、このような助成制度や法改正の趣旨を周知徹底するとともに、治療と就労の両立について理解を求めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁いただいて、障害者手帳の有無にかかわらず、いろんな、てんかんとか精神疾患のある方など、雇用を促進するためにということでそういったことが進められていくと思います。
 そういう答弁だったと思うんですけど、その点で、ぜひとも県としても積極的に──やはり病気というのは、多種多様の、いろんな制約とか抱えながら治療していかなければいけないという方が結構いらっしゃると思うんです。そういった人たちも含めて、やっぱり働ける環境をぜひよくしていくという点で、これについては、もう何といっても企業の方の協力とか理解とか、そういったことがないといけないと思いますので、その点で、ぜひとも県としても、啓発や、事業者の皆さんと一緒になって具体的な受け入れを考えていくとか、そういったことを進めていただきたいと思うんです。
 ここで紹介したいのが、内閣府が昨年実施した──これはがんの関係ですが──がん対策に関する世論調査では、がん治療で2週間に1回程度、通院が必要な場合、働き続けることができる環境にはないと思っている方が、「どちらかといえばそう思う」という方も含めると3分の2に上っているというような調査の結果が出ています。また、5割以上の方が、その理由として、かわりに仕事をする人がいないし、いても頼みにくい、職場が休むことを許してくれるかどうかわからない、休むと職場での評価が下がると、事業者の理解に係るものも上げています。
 治療と就労の両立は非常に難しいものがありますが、働く意欲のある方が働くことのできる社会づくりは、生きがいを持って自立した生活を送るためにも大変重要なことだと思うんです。そのためには、がんに限ったものではありませんが、先ほどのアンケート結果にもあるとおり、行政はもちろん、社会全体、とりわけ事業者の理解が重要です。
 部長は、事業者の理解が不可欠であり、理解を求めていくと答弁していただきました。県は、障害者雇用率が2.44%と、法定の2.3%を上回って障害者の雇用を進めているということです。また、病気で長期治療が必要な職員には、病気休暇の制度を使って、仕事をしながら治療ができる環境が整えられていますし、病気等により、例えば自動車運転に支障がある職員の方には、運転の業務をさせないなど、治療と仕事が両立できるよう細かい配慮がなされていると聞いています。
 中小企業では、体制的にはなかなか難しい問題もあると思いますが、県の取り組みなんかも紹介しながら、ぜひ障害のある方や病気で長期に治療が必要な方が意欲と希望に応じて働くことができるよう、ぜひ事業者への啓発を、また協力を得られるように、これからもしっかりと施策を進めていっていただくことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時56分散会

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