平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 紀の国わかやま国体は目前です。関係者の皆様、大変御苦労さまでございます。このたび質問を準備している最中に、悲しいニュースが飛び込んでまいりました。それは、8月20日の夕刊、21日の朝刊での国体の交通規制責任者であった県警警視の方が自殺されたという報道です。
 県民期待の国体の交通規制という大変な仕事を担われ、その仕事がようやく花開く国体の直前に自殺をされた。国体のための超過労働が原因であったとしたら、どんなに大変なことだったのだろう。心からお悔やみ申し上げたいと思います。
 この警視の方は、200時間を超えて超過勤務をしたと新聞報道されています。普通、80時間で過労死ラインと言われる。警察職員だけでなく、県庁職員、教育職員についても心配ですが、ここで全ての問題を取り上げるわけにはいきません。とりあえず、警察本部長にお伺いいたします。
 6月、7月、200時間を超えて超過労働という報道ですが、その実態はどうだったのでしょうか。そのことをどうお考えになるでしょうか。警察本部長からお答えください。
○副議長(藤山将材君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 警察本部長直江利克君。
  〔直江利克君、登壇〕
○警察本部長(直江利克君) 我が県警察の職員がこのようなことになり、本部長といたしまして痛恨のきわみでございます。当該職員の御冥福をお祈りするとともに、御遺族に対し、謹んで哀悼の意を表するものであります。
 本県におきまして、本年7月には全国高等学校総合体育大会が既に開催され、本年9月と10月には第70回国民体育大会と第15回全国障害者スポーツ大会が開催されますが、全国的にも例のない3つの大会が近接した警備に、県警察は総力を挙げて取り組んでいるところであります。
 このような中、大会警備の中心となる部署では、当該職員を含め全職員が、誇りと使命感と責任感を持って、与えられた役割を果たすべく業務に邁進してきた結果、月に200時間を超える超過勤務となる職員がかなり出てまいりました。
 3つの大会の警備に万全を期するという崇高な使命のためとはいえ、部下職員が長時間勤務による疲労を慢性化させてしまったことを深く受けとめ、当該部署の職員1人当たりの業務量を少しでも緩和するため、警察官6人を増強したところであります。
 また、県警察職員の健康管理対策として、各級幹部に対し、部下職員には必要な休暇を確実に取得させるよう指示し、一定時間以上の超過勤務を行っている職員に対しては、医師による面談を早期に実施することとしております。
 県警察といたしましては、今後二度とこのようなことが起こらないように、全職員の健康管理対策を徹底していくとともに、残る2つの大会の警備に万全を期する所存でございます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 交通規制の仕事は、皇室への警護の関係もあり、大変だったのだろうと推察いたします。警察に限らず、関係職員の皆さん、くれぐれも健康に留意されながら国体を成功させていただきたいと思います。
 次へ行かせてもらいます。
 次の問題は、児童虐待についてであります。
 児童虐待について、胸の痛むようなニュースが後を絶ちません。親が人間として育ち切れていない問題など、深いところに根本的な問題があるように思います。とりあえずは、起こってしまった児童虐待については、早期に発見して適切に子供を保護することが求められます。
 子供を育てられない親は、自分がしていることの意味をよく理解できずに、「子供を返せ」と言ってくる場合もあるでしょう。和歌山県では、その問題に適切に対処できずに子供を返してしまい、子供を死に追いやったという事件もありました。私自身も、「子供を返してくれない」と訴える親について児童相談所にお伺いしたこともあり、判断の難しさを痛感したこともありました。
 しかし、親と子供を引き離すだけが全てではないでしょう。まずは緊急の措置として子供を保護すること、さらには、子供がどういう環境で今後育っていくかという問題があります。
 まず、和歌山県での児童虐待の実態はどうか。その対策について福祉保健部長にお伺いしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 本県における児童虐待について、児童相談所に寄せられる相談件数は、近年増加の一途をたどっており、平成26年度は932件で、この5年間で倍増し、過去最多の件数となっています。
 児童虐待防止対策としては、児童相談所の専門職員の増員による体制強化や警察等関係機関との連携推進、市町村への体制支援など、児童相談体制の充実を図るほか、虐待をしてしまった保護者に対する支援プログラムを重点的に実施し、虐待への早期対応、再発防止に努めているところです。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 大変な状況が起こっているようです。
 そこで、第2は、虐待を受けた児童が、その後どういう環境のもとで育つのかという問題です。虐待の原因を究明して、親と子が一緒に生活できるようになれば一番いいでしょう。しかし、それは大変な困難を伴うものではないかとも思います。実情はどうなのでしょうか。お伺いしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 虐待により児童の安全が確保されない状況にある場合は、児童相談所が一時保護を行い、まず安全を確保します。児童相談所では、児童の家族再統合を第一に、個々の児童ごとに援助方針を決定します。
 具体的には、家庭の状況調査や保護者面談、児童の行動観察や心理判定、保護者支援プログラム等を実施した上で、虐待について保護者の正しい理解が得られず、当面の家庭引き取りが困難である場合には、児童養護施設への入所または里親への委託を決定することになります。
 施設入所後における児童の心理状況や家庭の事情により施設入所が長期にわたる場合もありますが、児童の生活環境を最優先に対応を行っているところでございます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 家庭の再統合ができない場合に、適切な里親が見つかれば、それが家庭に近い環境を保障することになるというふうに思っています。里親を見つけるという取り組みは、実態はどうなってるんでしょうか。引き続きお答えください。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 里親に係る県の取り組みと実態については、平成26年度において、里親への委託を行った児童の割合を示す里親委託率は約14%となっています。
 県としては、温かい家庭環境のもと、実の親にかわり児童を養育する里親制度は、児童の健全育成の観点から非常に有用な制度であるとの認識から、将来的には委託率30%を目標に、里親登録制度の普及啓発や里親支援制度の充実など、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 家庭に引き取られることが困難な場合には、施設で家庭に準ずる環境のもとで大事に保護されなくてはなりません。施設に暮らす子供たちにはいろいろな事情があると思いますが、きょうは児童虐待にかかわってお伺いしていますので、児童虐待で家庭や里親に引き取られなかった子供たちの短期的、長期的な保護の状況について、もう少しお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 児童養護施設に入所した児童の状況については、施設の児童指導員や家庭支援専門相談員など専門職員の指導のもと、集団生活を通じた人間関係の中で必要な社会性を養うことのできる環境で生活しながら、学齢期の子供は小学校、中学校、高等学校へ通学しています。
 また、虐待を受けた児童に対しては、児童心理司によるカウンセリングなど、心理的ケアに十分配慮しつつ、児童が安心して生活できる環境を確保しています。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この児童虐待という問題は、世代間の連鎖があるというふうにも言われています。不幸なそういう状況で育った子供たちが温かい環境で育って、世代間の連鎖がないように、いい里親が見つかればいいんですが、今14%を30%に引き上げたいという、こういうお話もありました。そういうさまざまな皆さんの努力で、こうした子供たちが幸せに暮らせることを願っております。
 では、次へ参ります。
 医師不足あるいは偏在にかかわっての問題です。
 医師不足ということがよく言われます。不足ではなく偏在だとも言われます。私の地元の市民病院の建てかえは、市民の長年の念願でした。新しい海南医療センターが完成しました。ここに、産科を置いてほしいという強い要望があります。お医者さんさえ確保できれば、いつでも産科を開けるように施設は整備しているそうですが、お医者さんが確保できない、産科医の不足、特定の診療科のお医者さんの不足です。
 もう1つは、公立病院のお医者さんが開業していく。優秀な人気のあるお医者さんがやめていかれると大変だと言われます。開業医は多いのに、公立病院では医師不足になるという偏在です。また、地域的な偏在もあります。
 まず、福祉保健部長にお伺いいたします。和歌山県の医師不足、あるいは申し上げたような偏在の状況は、どうなっているのでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 厚生労働省の調査では、和歌山県の人口10万人当たりの医療施設に従事する医師数は269.2人となっており、全国平均の226.5人を上回っています。しかし、診療所で働く医師の割合が高く、公立病院を初めとする病院勤務医の不足が見受けられます。特に、産科医師については、全国的にもなり手が少なく、本県においても同様の状況です。また、和歌山保健医療圏に医師の約6割が集中しており、地域偏在も見られます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 それでは、その医師不足と偏在の原因と対策についてお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 病院勤務医の不足や偏在の主な原因は、臨床研修制度が導入され、若手医師の都市部民間病院志向が高まり、大学病院に医師が集まりにくくなったため、大学病院から病院への医師派遣機能が低下したことなどが考えられます。
 県では、地域の拠点病院の医師不足を解消する抜本的対策として、県立医科大学の40名の定員増、医師不足が特に深刻な産科などを目指す研修医を対象とした修学資金制度の創設、若手医師の定着を支援する地域医療支援センターの県立医科大学への設置といった医師確保対策に取り組んでまいりました。
 引き続き、安全・安心な医療提供体制の充実に向けて、医師不足と偏在の解消を図ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 お答えいただきましたように、和歌山県では、県立医科大学の定数増など積極的な施策をとっていただいていると思っています。また、同時に勤務医の労働条件改善という問題も大きな課題ではないかと思っています。さまざまな方面から、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、次に教育長にお伺いしたいのですが、紀南地方の小中学校養護教員から、学校の健康診断で耳鼻科の専門医の検診が長い間やられていないという悩みをお聞きしました。恐らく、地域的偏在の結果ではないかと思います。実態はいかがでしょうか。
 病院へのお医者さんの確保には一定の時間がかかるのですが、健康診断への専門医の参加が得られないという問題は、交通がここまで便利になっている今日、解決できないことはないと考えますが、教育長、いかがでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校における健康診断は、児童生徒等の健康の保持増進を図り、学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資するため、大変重要でございます。
 耳鼻科検診につきましては、高い専門性を有する医師が健康診断を行うことが望ましいと考えます。しかしながら、県内の専門医の現状から、議員御指摘のように紀南地域を中心に専門医による検診ができていないことは認識してございます。
 今後、県医師会を初め関係機関と協議を進めながら、専門医の検診の実現に向けて市町村教育委員会に働きかけてまいります。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この問題は、医師会などの協力も得なければなりませんが、ぜひとも改善をしていっていただきたいと思います。必要があれば、それに必要な予算などもつけることも検討していただきたいと思っています。
 続けて行きます。
 次に、風力発電などの低周波被害にかかわる問題です。
 私は、風力発電低周波被害について何度も取り上げてまいりました。それは、自然エネルギーの利用としての風力発電には期待をしながら、余りにも集落に近いところで、しかもますます大規模な風力発電、1基2000キロワット、3000キロワットというものが建てられ、健康被害の訴えがあっても個人差があるために、少数の訴えが無視され、地域や家庭から排除されるのは問題だというものでした。
 県当局の答弁は、国の環境基準ができていないので規制できないというものですが、同時に、毎年の和歌山県の政府要望には、環境基準の早期策定をということが1項目として上げられるようになりました。まず、どういう意味で県として国に環境基準の早期策定を求めるのか、環境生活部長からお示しいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 国に環境基準の早期策定を求めてございますが、その理由ということでございます。
 全国的に風力発電施設が増加する中で、周辺の住民から健康被害の訴えが起こるなど、全国的な課題となってございます。風力発電施設からの低周波音に関しましては、評価するための基準が現在存在しないため、環境に配慮した風力発電事業を推進していく上で非常に不都合な状況になってございます。
 風力発電施設からの低周波音の影響について、客観的かつ適切な評価及び対応ができるよう、国に対して低周波音に係る環境基準の早期設定を求めているところでございます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 環境基準について国に求めていることについて、御説明いただきました。
 和歌山県は、風力発電低周波被害では、ある意味で先進県として注目されています。県民から被害の訴えがあり、環境基準を国に要望している和歌山県だから、手ぶらで要望するのではなく、低周波測定と健康被害調査のデータを集積して、国に対してそれを示しながら要望することが必要ではないかと考えるものです。
 低周波測定の実績としては、和歌山県では大変すぐれた実績を持っています。それは、海南市下津町大窪での測定です。今から5年前、私が被害の訴えを聞いて、県の環境生活部の担当課にお願いして測定してもらっている。県の担当課では快く応じてくれ、海南保健所、海南市、そして風力発電を運営するユーラスエナジーとも連携して測定が始まりました。
 第1回の測定には、私も立ち会いました。被害を訴える方の家の前、あるいは家の中に県が測定器を置き、会社は風車の根元に測定器を置いて、トランシーバーで連絡をとりながら10基もの風車を動かしたりとめたりしながら──これをオン・アンド・オフと言うそうですが──測定をするものです。あれから毎年9回の調査が行われた。被害者の救済にはなりませんが、測定だけは誠実にやってくれたということで、地元では感謝しています。
 ところが、もう1つの問題の地域は、由良町畑地区などです。こちらで被害を訴える方の症状については、2013年2月の県議会で詳しくお話をいたしました。私が畑地区に入って驚いたのは、集会に集まってきた方に、アトランダムに「あなたは風車で何か異常を感じますか」と聞いて回ると、口々に症状を訴えることでした。こんなことは、大窪では見られません。
 昨年、東京大学の大学院生が、論文をお書きになるために健康異常について聞き取り調査に入り、私の場当たり的な聞き取りよりももっと客観的な資料が出されています。
 国に環境基準を求めるのは結構ですが、県として責任を持てる測定データと健康データをつくることが、国に環境基準をつくらせる上でも、また住民と県の信頼関係をつくる上でも大切だと考えますが、やっていただけませんか。これは環境生活部長、それから福祉保健部長、それぞれお答えいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 環境生活部長。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 由良町畑地区の低周波音を県が測定するべきとのことでございますが、事業者、地元区、由良町が締結いたしました協定に基づきまして、既に計量法の登録を受けた一般社団法人日本気象協会が、平成23年に低周波の被害を訴えている方の御自宅を含め11カ所で測定してございます。現時点で、県が改めて測定することは考えておりません。
 今後も、引き続き由良町、地元区の意向を踏まえ、県として必要な対応について検討してまいります。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 健康被害調査の実施については、事業者、区、市町が締結した協定に基づき、3者が連携し実施すべきであり、当該調査を実施する場合は県も協力いたします。
 なお、現在、県立保健所のクリニックにおいて、健康不安、体調不良に対し健康相談を実施するとともに、地元区及び市町と連携し、個別訪問をするなど対応しております。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ただいまの御答弁ですが、由良町ではこれだけ被害が出ているのに、県は手をこまねいているように見える。そして、行政と住民の信頼関係ができていない。低周波の測定はやられたのですが、測定した会社が、人体への被害はないとコメントをして住民に配りました。その結果、風力発電業者を擁護する測定でないかという不信を生んでいます。下津町大窪では県が主導して9回も測定しているのですから、由良町の測定に県が乗り出してもおかしくないと私は思います。
 健康調査についても、大学院生による調査が行われ、問題提起がされているわけですから、保健所としても放っておけないのではないかと思いますが、県が待っているだけで、行政が待っているだけで、腰を上げようとしないのは大変残念でございます。これは、これからも引き続き要望していきたいと思います。
 もう1つ、次の問題に入ります。
 風力発電でその後問題になったのは、日高町、白浜町椿の風力発電でしたが、住民の皆さんが由良町畑地区の様子を伝え聞く中で、計画が中止になりました。今、印南町での風力発電建設は、環境アセスメントは終わって建設が始まろうとしています。ここで私が心配しますのは、集落から1.3キロメートルしか離れていないところで、2000キロワットもの風車13基が建設されるという問題です。地滑りはないのかという心配の声も上がっています。
 そこで質問です。第1に、この地域の地質、地形は、地滑りなどの心配はないのでしょうか。農林水産部長からお答えください。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 地滑りを起こしている区域及びこれに隣接する地域のうち、地滑りを助長もしくは誘発するおそれの極めて大きい地域などは、地滑り等防止法により地滑り防止区域として指定されるところでございますが、当該開発区域は地滑り防止地域に指定されておりません。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 現在、建設予定地はそういう地域でないということなんですが、現状では心配なくても、山の木を切って大きな風車を建てる。大丈夫だろうか、こういうことが、住民の皆さんの中には心配の声があることを申し上げておきたいと思います。
 次に、風力発電会社は、「健康被害があれば風車をとめます」と住民の皆さんに説明しているようです。そうであるならば、風力発電近くで健康被害が生じた場合、風力発電会社は誠実に対応すべきだと考えますが、県はどう考えますか。商工観光労働部長、いかがでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 一般的に、風力発電による低周波と健康被害との因果関係が明らかになっていない段階では、発電事業者が所要の措置をとることは困難だと思いますが、それぞれの発電事業者がみずからの責任により、地元住民の声を十分に聞きながら事業を行っていく必要があると考えています。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今、御答弁の中で因果関係という言葉が出ました。この発電事業者が住民の声を聞いて誠実な対応をすべきだが、因果関係が明らかになっていない段階では対応することは困難ではないか、こういう考えのようです。これでは、風力発電会社が何を約束していても、因果関係という壁にぶつかってどうにもならない、住民の皆さんの心配は解消できないと思います。
 さらに、大窪地区の低周波測定結果を見て考えることですが、風車をとめたときでも一定の低周波が測定されるわけです。とまっている風車にも風が当たって低周波が出るのではないかと考える方もいる。風車ができる前に測定しておけばよかったが、今から風車を取り除いて測定することはできない。
 そこで、風車がつくられようとしている印南で、風車ができていない時点で測定をやってほしいという住民の方の要望があります。環境生活部長、いかがでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 環境生活部長。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 印南町で計画されております風力発電施設に関する環境アセスメントでございますが、この中において、風車ができる前の低周波音の測定が実施されております。その結果につきましては、環境影響評価書に記載され、現在、印南町、みなべ町両役場に備えつけられております。また、事業者のホームページにおいても公開されているところでございます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今では、環境アセス書にも事前の低周波測定が盛り込まれるようになっていると、こういう御答弁でございます。5年前に私が低周波ではないかと取り上げて、地域の皆さんと一緒に取り組んできたことが環境アセスのあり方も変えてきた、このことはよかったと思っています。
 ただ、環境アセス報告書というものは大変分厚いものでして、役場で公開されているといっても、簡単に目を通せるものではない。会社のホームページにアップされているんですが、印刷やダウンロードできないような特殊な仕組みになっている。住民の立場に立った環境アセス報告書公開にしなければならないということも、この際申し上げておきたいと思います。
 このまま建設が進んだ場合、低周波がどんなあらわれ方をするのか、地域住民の皆さんと一緒に検証していきたいと思いますが、県としても一緒にやっていただけるでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 環境生活部長。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) この事業に係る環境アセスメントにおきましては、事業者が施設の供用開始後、騒音、低周波音に関する調査を実施して環境影響の程度を検証し、その結果を公表するとともに、県、地元自治体に報告することとなってございます。
 県といたしましては、この報告書が提出されれば、この報告をもとに、環境影響評価書に記載された環境保全措置が適正に実施されているかなど、チェックしてまいりたいと考えております。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 検証していただけるということです。ただ、それでも検証結果の対応が、この因果関係の壁に阻まれるのではないかという問題が残るわけです。
 私は、一定以上の低周波を出している風車の近くでは環境被害がある、そこから離れれば症状が消えるという単純明瞭な事実を因果関係として認めるような環境基準がつくれるように、低周波測定と健康調査データを積み上げていく必要があるということを、改めて申し上げておきたいと思います。
 さて、次の問題に入りますが、次に、ことしの2月県議会で、松坂県議が由良町の介護施設に設置されたヒートポンプの低周波被害について取り上げました。国の参照値を超しているとして行政指導をいただいたわけですが、当該の介護施設が、これまで指導のテーブルに着いていたものの、費用のかかる対策はできないという姿勢に転じたのに対して、県は行政指導をやめたと聞きます。施設の姿勢が後退しているというのに、県が指導を強め、改善を求めるどころか、指導をやめてしまうというのは逆ではないかと思いますが、いかがでしょうか。環境生活部長からお答えください。
○副議長(藤山将材君) 環境生活部長。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) お答えいたします。
 県、地元自治体、また健康被害を訴えている方及び介護施設の話し合いの中で、施設側は、ヒートポンプ給湯器の運転時間帯を深夜から昼間に変更するとともに、昼間の運転出力を60%に低減するなどの対策を講じてまいりました。しかしながら、健康被害を訴えている方の症状が解消されないため、介護施設に対して引き続き行政指導を行ってまいりました。介護施設側も、施工業者や製造メーカーと協議しながらさらなる対策を検討しましたが、残念ながら新たな改善には至りませんでした。
 行政指導では、これ以上の改善を図ることは困難であると判断をしたものでございます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 きょうも被害を訴える方がこの議場に傍聴に来ていただいてますが、先ほどお話を聞いても症状は全く変わっていないということです。国の参照値をオーバーして行政指導しても、言うことを聞かなければどうしようもないというのでは、被害者は救われません。何のための行政指導かわからないんではないでしょうか。
 風力発電被害でも、環境基準が示されても同じことになりかねません。この低周波被害というものは、被害を訴えられる方から言うと地獄だと言われます。個人差が大きく、周りから理解されないことが、苦痛をさらに大きくします。風力発電であれば夜間とめるとか、転居された方への補償を考えるとか、被害を訴える方に寄り添った企業や行政の対応をぜひとも進めていきたい。きょうの答弁ではなかなかそれが期待できるような答弁になっていませんが、これからも、被害を訴える皆さんと一緒に要求をしていきたいと思っています。
 以上で、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。

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