平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、5項目にわたりまして一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、不登校対策についてお伺いしたいというふうに思います。
 先ごろ、県から平成27年度学校基本調査が発表されました。その中で、和歌山県において、30日以上の長期欠席者、不登校児の数が増加しているということが示されました。
 不登校とは、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいは、したくてもできない状況にあり──病気や経済的な理由は除いているわけですが、30日以上の長期欠席をしている者をいいます。
 不登校児童の問題は、一時、大変問題にされ、マスコミなどでも取り上げられました。県教育委員会は、その対策として、学校へのスクールカウンセラーの配置や相談活動の充実などを図ってきましたが、ここ数年、じわじわとその数値が上がってきています。
 在学者数に占める不登校児童の比率を見てみると、平成21年度は0.35%、22年度は0.31%、23年度は0.41%、24年度は0.42%、25年度は0.50%、26年度は0.53%となっています。26年度に限って言うと、全国平均が0.39%ということなので、0.53%という数字は見過ごすことができません。
 この基本調査を見てみると、幾つかの問題点が見えてきます。
 まず、小学校では、1年生の時点で既に長期欠席者があらわれているということ、そして、その数が4年生の段階で大きく膨れ上がり、6年生まで増加していく傾向にあるということです。一旦不登校になると、学年が上になっても継続することが多いということも示されています。また、小学校から中学校に進学する段階で一気に数がふえ、その数は減少することなく、2年、3年生へと増加していきます。
 中でも、和歌山市は圧倒的に多く、県内小学校の不登校児童の255人のうち104人が、中学校不登校生徒の889人のうち418人が和歌山市の児童生徒で占められています。
 このような状況に対し、昨日、中議員の質問に、知事は、大変憂慮する事態であると受けとめを示し、不登校にはこれといった決め手がなく、今から検討していくとのことでありました。また、この問題については最重要課題として取り組んでいくとも表明されました。さらに、県教育委員会は、未然防止、早期発見、早期対応という対策を示されました。
 この不登校問題は今に始まったことではなく、私も現職の教員であったとき、1人の不登校生を担任したことがあります。毎日の連絡や家庭訪問、不登校児に対しての子供たちへの呼びかけ等々、さまざまな対応をしながら、日々心を痛め、勤務していたことを覚えています。結局、1年間で──担任した1年間ですが──不登校を改善することができないまま担任を外れたのですが、その後、同和推進教員を担当しましたもので、その生徒とは、卒業まで週に何度か児童館等で学習を進め、関係を持つことができました。
 しかし、結局、小学校に在籍中は不登校を解決することができませんでした。私にもっと不登校児についての知識やスキルがあったら早く解決できたかもしれませんが、その当時の私にとっては精いっぱいでした。1人の不登校児の問題を担任1人が抱え込むには、限界があったように思います。
 そこで、今回、古くて新しい問題として浮かび上がってきたこの不登校の問題を県教育委員会としてどのように捉えているのか、また、不登校のあらわれ方の傾向についても見解をお伺いします。また、未然防止、早期発見、早期対応の対策についても具体的な取り組みをお伺いします。
 教育委員会は、学校の教職員が一致団結して取り組む等々、答弁されていますが、具体的に教職員が一致団結して取り組めるよう、今後、どのように支援され、対策を講じようとされているのか、お伺いしたいというふうに思います。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの藤本眞利子さんの質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県の小中学校在学者数に占める不登校児童生徒数の割合は、ここ数年、全国と比べて高い数値を示しており、今回の調査ではさらに厳しい結果となりました。県教育委員会としましては、このことを大変重く受けとめ、不登校問題の解消を28年度の最重要課題として取り組んでまいります。
 議員御指摘のとおり、不登校児童生徒は、小学校中学年から増加傾向にあり、特に中学1年生で急増しています。また、本県の調査では、不登校児童生徒のうち約半数が長期化の傾向にあります。不登校の要因や背景はさまざまな要素が複雑に絡み合っていることを踏まえ、児童生徒の状況把握を丁寧に進め、未然防止はもとより、欠席傾向を示し始めた児童生徒への早期支援と、不登校状態にある児童生徒の復帰への支援を柱に取り組むことが重要であると考えております。
 不登校を未然に防止するためには、互いを思いやり、存在を認め合える学級づくりが重要です。そのため、本年度から新たに配付したリーフレット「不登校を生まない集団づくり」を活用した安心できる学級づくりを全ての小中学校で推進してございます。
 また、本年度、拡充して配置しているスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを積極的に活用し、学校現場の教職員が一致団結して、一人一人の児童生徒に向き合いながら、しっかりと取り組んでまいります。
 さらに、市町村教育委員会と一体となって、欠席傾向を示し始めた児童生徒の一人一人の状況を学校から詳しく聞き取り、改善に向けた具体的な助言を行います。
 また、課題のある学校に対しては、学校訪問を実施し、個々の児童生徒の状況や学校の事情に応じた支援を積極的に行ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 不登校対策について、お伺いしたわけです。
 県としては、欠席傾向を示し始めた児童生徒への早期支援、それから、不登校状態にある児童生徒の復帰への2つのアプローチを柱に取り組むということが重要というふうに示されたと思います。
 最初の気づきは、やっぱり担任であります。授業や生徒指導をこなしながら、欠席傾向を示し始めた児童生徒に対して丁寧なアプローチが十分に行えるかというと、大変難しいと思います。何とかしなければというやる気はあっても、個人には限界がありますので、学校の中で誰がどのように対応していくのかといった具体的な取り組みが進められるよう、県教育委員会として支援をしていただきたいというふうに思います。
 また、スクールカウンセラーも、常時相談できる体制になっていません。配置の拡充を図るとともに、常時相談できる体制をつくっていただくよう要望いたします。
 次の質問に移ります。
 中学校の夜間学級の設置についてであります。
 昨年度、文科省が初めて中学校の夜間学級のニーズを全国調査を行いました。この中で、現在、8都道府県の25市区に31の中学校の夜間学級が設置されており、1849人──外国籍の1498人を含めるんですが──在籍しているということが明らかになりました。
 和歌山県には、中学校夜間学級はありませんが、和歌山市内の岩橋地区に自主夜間中学校が開設されています。本日も来ていただいていますが、この夜間中学校は、岩橋地区の識字学級で学んでいた故能勢博之さん──享年65歳の方の、卒業証書が欲しいという要望を受けて、識字学級の教師で小学校教員でもあった吉本拓司さんが2000年に始められたものです。現在4人が学んでいますが、この方々は県内における夜間中学校の設立を求めて活動しています。
 この岩橋夜間中学校で学んでいる70歳の北川さんにお話を伺ってきました。北川さんは、週に3日、この学校で学んでいます。北川さんは、病弱だったお父さんにかわって行商に出て家をあけるお母さんを支えるために、母親を支えるために、家事とか弟の世話などで小学校4年生までしか学校に通えなかったとおっしゃっています。
 北川さんは、「小学校の卒業証書はないんよ」と話されています。中学校進学の案内はあったそうですが、勉強がわからず、1カ月ほどでやめてしまったということです。その当時、みんな泉南の紡績に働きに行ったなど、昔の苦労話に花が咲きました。「今、夜間学校や識字教室で勉強するのが楽しい。学校を出てないと隠す人もあるけど、私は隠すのは嫌や、いつも前向いて生きていくんよ」と、笑顔で話してくれたのがとても印象的でした。
 北川さんのように、小中学校の卒業証書をもらっていない方が、和歌山市内では、昭和22年から昭和35年までの卒業生で5000人いるという調査結果もあります。先ほど、不登校児童生徒の問題を提起させていただきましたが、現在においても、不登校や虐待などのさまざまな理由で、ほとんど学校に通えず、実質的に十分な教育を受けないまま、学校の配慮等により中学校を卒業した方もあります。近年は、親の結婚や就労のため来日している外国籍の生徒などもおり、義務教育終了程度の学力を保障するためにも、公立の中学校夜間学級が再び注目されてきています。
 文科省も、学びのニーズに応えようと、1県に1夜間中学校が望ましいといった通達を出し、今まで蚊帳の外に置かれていた方々に教育の機会を保障する取り組みを進めようと動き始めています。
 本年7月30日には、形だけの卒業で形式卒業者と呼ばれる方々に対して、改めて中学校で学び直すことを希望する方については、中学校夜間学級への再入学を許可するとの通知が文科省から出されました。和歌山県においても、他の都道府県と同様、中学校夜間学級のニーズは必ずあると思います。また、全ての県民に教育を保障することは、行政の責務だと考えます。
 そこで、県として中学校夜間学級の設置についてどのような見解をお持ちなのか、お伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 中学校夜間学級は、さまざまな事情で義務教育を受けることができなかった方々に対して、学習機会を提供し、中学校の教育課程を修了する場としての役割を担っています。
 議員御指摘のとおり、文部科学省は、平成26年度に実施した全国調査の結果をもとに、各県に少なくとも1校の設置を目指すという方針を立て、新たに委託事業を設け、未設置県における検討を促進しています。
 県教育委員会としましては、市町村が中学校夜間学級の設置を検討する場合には、どこに設置するか、対象をどうするか、費用負担や教員配置をどうするかなど、検討すべき課題が数多くあると考えております。
 今後、中学校夜間学級の設置の要望が出され、検討してきた経緯のある和歌山市とともに研究を進めてまいります。
 また、全県的に考えますと、改めて学びたいという子供から高齢者の方々の学びの場として、通信教育を初めさまざまな方法を検討していくことも大切ではないかと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 県民の皆さんの中には、今ごろ何で、中学校の夜間学級が必要なんよなんて思われる方も多いというふうに思います。しかし、基礎的な力が十分でないために、人にはなかなか言えないけれども、生きていく上で苦しんでおられる方がいるのも事実であります。
 近畿の中で、この中学校の夜間学級がないのは、滋賀と和歌山の、この2県だけであります。先日、大阪市天満中学校の夜間学級で行われた全国夜間中学校研究会の夏季研修会があり、参加をしてきました。丹波・篠山よみかきの会からは、アジアから結婚で日本に来られた方、それから、先ほど紹介させていただいた岩橋の夜間学校の方、それから、高知の朝倉夜間中学校からは、不登校で学校に通えなかった方など、お一人お一人が学びの思いを語ってくれました。
 立場はそれぞれ違っていますが、共通していたことは、学ぶことは本当に喜びやと。自分の尊厳をも取り戻す営みであるというふうなことでした。教育の原点を見たような思いになりました。
 本年は、戦後70年。戦争や差別、貧困で学びを奪われた人たちや、障害がゆえに学べなかった人たち、近年は、結婚等で日本に移住しているアジアの人たち、働くために渡日した人たち、不登校や閉じこもりの若者たちと、目を凝らさなければ見えないけれども、教育の機会を奪われてきた人たちに教育の機会を保障することは、行政の責任だというふうに思います。さまざまな事情を抱えた人たちがもう一度学び合える場所が、中学校の夜間学級だと思います。
 さまざまな立場の人たちが集い、共感し合い、学び合う中でこそ、深い人間性が培われるのだと思います。人は人として接して、人として成長することができます。通信教育ではそういうことはできないというふうに思います。集うということが教育では欠かせない営みであるというふうに思います。
 そこで、もう一度、教育長にお伺いします。
 教育長は、中学校夜間学級の必要性をどのように感じておられるのか、再度お伺いしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 中学校夜間学級を含めまして、これから、子供たち、あるいは高齢者の方々が、どのような学びの場が重要であるかということを含めまして、県教育委員会としまして、しっかり研究していくということでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 研究されるということは、必要性を感じているというふうに前向きに受けとめたいというふうに思うんですが、そういうことで、よろしくお願いいたします。
 では、次の質問に移りたいと思いますが、どうかよろしくお願いします。
 次は、英語教育についてであります。
 文科省では、生徒の英語力向上を目指して、グローバル化に対応した英語教育改革実施計画、平成25年の12月に公表されているんですが、その計画により、小・中・高校を通じた先進的な取り組みや教員研修などの支援を進めてきました。
 しかしながら、先般公表した高校3年生を対象とした平成26年度英語教育改善のための英語力調査の結果によると、聞く、話す、読む、書くの4技能において課題があり、平成23年度以降、毎年実施してきた英語教育実施状況調査の中学校、高校の英語力のアンケート結果も十分な改善が見られないとして、平成27年度、新たに生徒の英語力向上推進プランを策定しました。
 生徒の英語力向上推進プランには、「~英語教育改革のGOAL2020を目指して~」との安易なサブタイトルがつけられ、生徒の着実な英語力に係る国の目標を踏まえた都道府県ごとの目標設定公表を要請しています。
 英語教育実施状況調査に基づく都道府県別の生徒の英語力の結果の公表を2016年度から実施、生徒の英語力調査による把握、分析を行うため、国として義務教育段階の中学生の英語4技能を測定する全国的な調査を検討、実施するなど、生徒の英語力向上のため、目標を設定し、試験を行い、その結果を公表するとしています。また、例えば、中学校卒業段階で英検3級以上、高校卒業段階で英検準2級程度から2級程度を達成した割合を50%とするなどと示されています。
 私は、この2020年のオリンピックを目指すというふうな短絡的なサブタイトルはどうかと思うんですが、教育というのはそんな短いスパンで考えるものではないというふうに考えるから、どうかなと思うんですが、そんなふうなことで、英語教育は国も県も必死になって進めようとしているわけです。その目的としては、グローバル化に対応するとあります。私は、英語教育を全然否定するつもりも反対するつもりもありませんが、今の進めようとしているやり方で本当に生徒に英語力が養われるんだろうかと、疑問に思います。
 教育とは何かの目的のために行うものであるなら、県教育委員会が考えるグローバル化した社会とはどのような社会と捉えているのか、また、そのような社会に対応する児童生徒とはどういった生徒なのかという見解をお伺いしたいと思います。
 県では、文科省の推進プランに先んじて、中学校3年生全員に公費で英検を受験させるとしていますが、その意義について、またどのような教育的効果を期待しているのか、お伺いします。
 また、県の教育委員会は、中学校と高校の英語教師に指導力と英語力をつけてもらうためと称して、4年間かけて全員に研修を受けさせ、その後、全員に公費でTOEICのテストを受験させ、さらにその点数が県教育委員会の示す基準よりも低ければ再研修を行うということを発表されているわけです。
 インターネットでTOEICと調べてみますと、英語における国際的なコミュニケーション能力判定テストというふうにされていまして、ちょっと意味がわかりにくいんですが、調べてみると、実はTOEICというのは、1979年当時に、経済団体と通商産業省がTOEFLを作成していたアメリカのテスト作成機関であるETSというところに要請して誕生した英語能力判定テストだということですね。また、このテストは、学術的に高い能力を要求されるTOEFLのように、国際的に認められているものはないということも記載されておりました。
 そこで、このようなTOEICなどの外部検定試験を教員に受験させる意義を説明していただくとともに、このテストが高得点であることと現場での教員としての指導力はまた別のものではないかなと考えているんですが、この点について見解をお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) グローバル化した社会とは、政治、経済を初めさまざまな分野で、人や物、情報が国境を越えて移動し、異なる文化・文明との共存や国際協力が求められている社会と捉えています。
 このような社会に対応するために、子供たちに求められている力は、語学力や外国の方とコミュニケーションできる能力、多様な人と協調したり異なる文化を理解したりする力、日本の文化や歴史を尊重する態度などが挙げられます。その中にあって、外国の人々と自信を持って積極的にかかわっていくためにも、国際共通語である英語力の向上は極めて重要な教育課題であります。
 本年度から中学校3年生に、実用英語技能検定いわゆる英検を実施する意義につきましては、生徒自身が中学校教育を通して、聞く、話す、読む、書くという4つの技能がどの程度定着しているかを確認することや、英検受験を目標として意欲的に英語学習を進めることで、英語に対する興味を高めたり、わかる喜びを実感したりすることと考えています。
 また、英検の結果分析をもとにした学習状況の報告を活用した授業改善を進めることで、生徒の英語力の一層の向上につながるという教育的効果が期待できます。
 次に、英語科教員が外部検定試験に取り組むことについてお答えします。
 生徒に英語によるコミュニケーション能力を身につけさせるためには、授業を英語で進めていくことが今まで以上に求められています。そのため、今年度から4年間かけて新たな授業改善のための研修を実施し、その一環として、文部科学省が推奨している外部検定試験の1つであるTOEICテストを行います。この試験結果をもとに、教員は、自己の実践的な英語でのコミュニケーション能力を把握するとともに、さらなる英語力の向上に向けて自己研さんすることで、生徒の実践的な英語能力を育てていくことにつながると考えております。
 議員御指摘のとおり、英語力そのものが高い指導力に必ずつながるものではございません。教員は、身につけた英語力を生かして、授業を実際のコミュニケーションの場面とし、生徒に英語を使う楽しさを感じ取らせる指導力を身につけることが大切です。
 県教育委員会といたしましては、英語運用能力を身につけるとともに、よりよい授業づくりのために切磋琢磨する教員の育成に力を入れてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 英語教育について御答弁いただきました。
 中学校3年生全員に、公費を使って──聞くところによると2800円ぐらいだそうですが──受験させる意義についてお伺いしました。
 英語の4技能がどの程度定着しているのか、また、一人一人が英検受験を目指して意欲的に英語学習を進めることで、英語に対する興味を高め、わかることを今まで以上に実感できるようになるとの答弁であります。
 こんなん言うてどうかと思うんですが、本当にそういうことで英語に対する興味を高めることができるのかなあと。私は、反対に英語嫌いの生徒をふやすことにならないかなあというふうに危惧をしているわけです。
 学習に一番必要な要素は、やる気だというふうに思うんですね。和歌山、日本の子供たちはやる気がとっても少ないって、いつも言われています。やる気は、人から押しつけられるものではないというふうに思います。自分の力を試したいと自発的に英検を受けるのであれば英語に対する興味を高めることにもつながると思いますが、そうでないなら逆効果じゃないかと。できない生徒は、ますます英語が嫌いになるんじゃないか。また、4技能の定着は、英検をしなくても、ふだんの学習とテストで私はわかると思います。
 また、教員に対するTOEIC、このテストも、自己英語力を把握するとともに、自己研さんし、英語力の向上を図るとしています。英語力向上のためにTOEICに──これもお金かかるわけで、受験をさせるよりも、ほかにいろんな研修が考えられるんじゃないかなあと。テストで高い英語力がつくというには、あんまりにもちょっと安易なやり方やなあというふうに思えてなりません。
 県教育委員会は、もっと有効で、先生たちもやる気の出るような研修を考えていただきたいなあというふうに思うわけです。再考してはというふうに言いたいところですが、教育委員会としてはやめるとは言いにくいと思いますので、その結果について、ことし始まっていますので、結果について、今後の報告を待ちたいというふうに思います。
 次の質問に行きます。
 岩橋千塚古墳群の整備と活用についてお伺いしたいというふうに思います。
 岩橋千塚古墳群は、紀州徳川家の家督を相続した徳川頼倫の尽力で、大野雲外によって、明治40年、考古学的調査を開始、すぐれた文化財としての価値がいち早く世に知られたものです。学術的、文化財的価値が高く、貴重な古墳群であったことから、昭和27年には、戦後の文化財保護法のもと、特別史跡として指定されました。古墳群の特別史跡は全国でも2カ所しかなく、宮崎の西都原古墳群と岩橋千塚古墳群です。
 前回の6月議会において多田議員が質問されていますが、和歌山県の貴重な財産でもある岩橋千塚古墳群を、地域づくりの視点から新たな緑の拠点として活用していただきたいという観点で、質問をさせていただきます。
 岩橋千塚古墳群は、花山、大谷山、大日山、岩橋前山B、岩橋前山A、和佐、山東、寺内、井辺、井辺前山地区にまたがる広大な範囲に点在しており、現在、特別史跡に指定されているのは、全体から言うと一部でしかありません。資料を配付させていただいていますが、その広範囲の部分が岩橋千塚古墳群であります。
 古墳は確認されているだけで848基ありますが、紀伊風土記の丘は、その主要部の430基を管理しているとお聞きしています。その中には、旧紀州藩家老・安藤家のものを譲り受けたものもあります。
 当初の指定面積は約25.5ヘクタールで、その後の追加指定で、現在は61ヘクタールとなっています。それ以外の部分は、山中──民有地ということで、荒廃されたまま放置されているわけです。しかしながら、特に、井辺前山古墳群、井辺古墳群、花山古墳群には、判明する重要古墳が密集していることがあり、この貴重な古墳がこのままでは毀損、消滅してしまうかもしれないといった状態です。
 平成25年に、岩橋千塚を守る会、1万5000人の請願書が提出され、喫緊の天王塚古墳、大谷山22号墳をよみがえらせ、特別史跡に追加指定のための測量を開始したと聞いています。今こそ、天王塚古墳の整備に続き、広範囲にわたる岩橋千塚古墳群をよみがえらせ、新たな紀伊風土記の丘として変貌させる絶好のチャンスであり、貴重な財産である古墳群が朽ち果てる前によみがえらせる作業に取り組んでもらいたいものです。
 このことから、私は、まず、まちづくりの専門家や古墳の専門家、その他有識者、各地域代表、一般市民など、多様な意見を聞き、将来的には、岩橋千塚古墳群全域の活用策と環境整備を行うための指針となる構想を作成してはどうかと考えています。
 そこで、お伺いします。
 県では、これら古墳群をよみがえらすため、どのような取り組みをしているのか、また今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 岩橋千塚古墳群は、学術的価値が確認されていた地区を中心として、昭和6年に国史跡、昭和27年に特別史跡に指定されました。その後、2回の追加指定を経て、現在は約61ヘクタールとなっております。
 平成15年度からは、計画的に毎年発掘調査と整備を進め、大日山35号墳に、県民参加のもと、築造当初の埴輪群を復元整備し、引き続き前山A58号墳の復元整備を進めております。また、園内の植生の管理、園路や排水路の整備など、里山としての整備も実施しております。
 平成26年度から、史跡地外に所在する首長墓である大谷山22号墳と天王塚古墳につきましても、土地の境界確定や墳丘の測量、発掘調査を実施して、規模や築造年代などの解明を進めており、早期の追加指定を目指してまいります。
 古墳群の調査や整備には長い期間を要しますが、土地所有者や周辺住民の方々の御理解と御協力をいただきながら、今後も、特別史跡地外の主要古墳などの追加指定について、着実に進めてまいります。
 また、引き続き古墳群のすばらしさを普及啓発するとともに、周辺のさまざまな土地利用状況などを見きわめながら、適切に保存されるよう努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 私は、岩橋千塚古墳群の整備や保存だけでなくて、全域をよみがえらせることで、和歌山市の活性化や観光にも寄与できるんじゃないかなあと考えて質問したわけですが、全体像から計画を進めることがちょっと難しいようですので、今後とも、風土記の丘の整備も含めて着実にお取り組みいただきますように要望いたします。
 最後の質問に移ります。
 マイナンバー制度についてであります。
 これは、同僚議員からも質問がありましたが、私は私の観点で質問をさせていただきます。
 マイナンバー制度、2013年の5月の法律公布後、政令や省令が出されるなど、順次、施行されつつありますが、本格的に、本年10月の番号通知、そして来年1月の番号利用カード交付開始というふうになります。
 2013年の9月において、マイナンバー制度に係る経費やタイムスケジュール、成り済ましや情報漏えいの危険性などについて指摘をさせていただきましたが、今回は、その後の県の取り組みと問題点、課題についてお聞きしたいというふうに思います。
 マイナンバーを導入するに当たって、政府の説明は、1番が、公平公正な社会の実現として、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくするとともに、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困ってる方にきめ細やかな支援を行うというふうにしています。
 2番目に、国民の利便性の向上ということで、添付書類の削減など行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減される、また、行政の持っている自分の情報を確認、サービスのお知らせを受け取れるということであります。
 3つ目が、行政の効率化ということで、行政機関や地方公共団体などで、さまざまな照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されるとのことでありました。
 しかし、社会保障給付の申請や届け出の際に少々国民の負担が軽減されるとしても、そのために使われる税金がどれほどのものかというふうに考えます。
 一昨年、経費をお聞きしたところ、システム整備費用が国、地方を合わせて2000億から3000億円ということで、県の経費は、システムの詳細が示されていないため不明とのことでした。
 そこで、県として、マイナンバー制度の導入に伴うシステム改修費用などがどの程度か、また、マイナンバー制度は国の事業であるため経費も全額国費で賄うとされてきましたが、県の持ち出しはないのかなど、マイナンバー制度の構築に平成27年度はどの程度の予算が組まれているのか、まずお聞きをしたいと思います。で、今後のランニングコストはどうするのか、お伺いしたいと思います。
 次には、和歌山県には30市町村あるわけですが、住基ネットの際も規模によって負担が大きく異なっていたというふうな指摘がされました。今回のこのマイナンバー制度もそのようなことが懸念されていますが、各市町村の経費と負担はどの程度か、お伺いします。
 次に、マイナンバーの付番は住民票コードからとお聞きしています。住民票コードはかなり精密に管理運営をされていると考えますが、住民登録の抹消や、もともとない方、不当滞在されている外国人、DV被害などにより登録地と現住所の異なる方の対応等はどういうふうになっているのか、お伺いします。
 ことしの6月に年金の情報流出が大きな社会問題となりました。サイバー攻撃を受け、日本年金機構が持つ情報のうち101万人もの情報が漏えいしました。和歌山県では、2万2045人が該当しています。このように、万全を期しても、情報漏えいというのは防げないわけです。このような情報漏えいに対して県としてはどのような対策を行うのか、また、成り済ましなどに対する対応についてお伺いします。
 次に、マイナンバー制度は、当初、利用範囲について、社会保障分野──年金、労働、福祉、医療その他ですね、2つ目に税分野、3つ目に災害対策分野に関する事務、また、類する事務で地方公共団体が条例で定める事務に限定すると明言してきました。
 しかし、2014年の6月、政府は、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)──ちょっと舌かむような戦略本部なんですが──が作成した世界最先端IT国家創造宣言というのがありまして、これ、閣議決定をして、公共サービスがワンストップで、誰でもどこでもいつでも受けられる社会の実現を掲げ、マイナンバー制度の利活用の促進を明示しました。
 その中で、戸籍事務、旅券事務、預貯金付番、医療・介護、健康情報の管理連携、自動車検査登録などが盛り込まれました。その後、内閣官房IT総合戦略本部マイナンバー等分科会は、中間取りまとめを発表し、その中で、マイナンバー制度の普及と利活用を図るため、国、地方、民間が連携して取り組む事例を明示するとなっています。
 当初、社会保障と税の一体改革を進めるとしたマイナンバー制度は、社会保障よりも、国民の多くが保有する預貯金が把握の対象から漏れている状態は改めるべきであり、預金口座へのマイナンバーの付番について早急に検討すべき、こんなことを言ってます。将来的には、民間利用が可能となった場合には、金融機関の顧客管理等に利用といった議論がなされ、そんなような制度へと変更される勢いであります。国民の預貯金にまで手を突っ込むような制度に変えていこうという動きが加速をしています。
 そこで、これら利用拡大に伴い県独自の事務を規定する条例の改定を行うとのことですが、どのような状況になっているのか、お伺いします。
 次に、今後、行政だけでなく、民間においてもさまざまな事務手続の中にマイナンバーが拡大されていきますが、その安全管理はどのように周知徹底していくのか、また、民間におけるシステム改修の進捗はどうなっているのかもお伺いします。
 以上です。
○議長(前芝雅嗣君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) マイナンバー制度につきまして、7点、お答えいたします。
 最初に、マイナンバー制度構築に係る平成27年度当初予算についてでございますが、約1億3000万円というふうになっております。
 この予算は、マイナンバー制度の導入に当たって必要となるシステムの改修や、既存業務システムを統合管理するためのシステム開発などに係る経費でございます。
 また、財源につきましては、基本的に国庫補助あるいは地方交付税措置の対象とされておりますが、マイナンバー制度の導入に合わせて県で追加的に行うシステム改修やデータの精査などにつきましては、県による負担で行っております。
 次に、現時点での今後のランニングコストの見込みにつきましてでございます。
 主なものとしましては、全国の他の団体と情報連携するための機能を備えたサーバーに係るものが年間約200万円、県庁内の既存業務システムを統合管理するためのシステムに係るものが年間約700万円となっております。また、そのほか既存システムにつきましても、今回改修しておりますので、理論的には追加的に費用が発生することも想定されますが、既存部分も含めたシステム全体で維持管理費用を計上するため、マイナンバー制度導入による影響額のみを特定することは困難でございます。
 なお、ランニングコストに係る財政措置につきましては、国において財政措置を講じるよう、全国知事会などを通じて要望しているところでございます。
 次に、市町村の経費と負担についてでございます。
 市町村におきましても、国の財政措置を受けまして、県と同様にシステム改修などを行っております。マイナンバー制度の導入に必要なシステム改修などに要する主な経費につきましては、市町村の人口規模などによりまして異なりますが、国の試算によりますと、1万人以下の人口規模で約1600万円から約2400万円、1万人から10万人の人口規模で約2600万円から約1億3000万円、30万人から40万人の人口規模で約5800万円から約2億4000万円となっております。
 次に、マイナンバー付番に係る課題への対応についてでございます。
 マイナンバーにつきましては、住民票を有する者に付されるというふうになっております。中長期の在留者や特別永住者などの外国人にも付番されることとなっております。
 また、マイナンバーは、ことしの10月以降、原則、住民票の住所へ世帯ごとに送付されることとなっております。しかしながら、DV、ストーカー行為、児童虐待などの被害者で、やむを得ない事情によりまして住民票の住所地以外に居住されている方は、居所情報の登録申請を9月25日までに住所地の市町村に行うことで、居所においてマイナンバーの通知を受け取ることができるようになっております。
 県におきましては、関係機関、施設に対しまして、リーフレットを配布するなど、この制度の周知を図るとともに、市町村に対しましても手続の周知徹底を図るよう助言を行っておるところでございます。今後とも、国、市町村などと連携しながら、DV被害者などに漏れなくこの制度の内容が伝わるよう、周知の徹底を図ってまいります。
 次に、情報漏えい、成り済まし対策についてでございますが、マイナンバーを安全・安心に利用いただくために、不正行為に対する罰則規定を設けたり、個人情報は一元的に管理せず、従来どおり各行政機関ごとに分散して管理するなど、制度面及びシステム面の両方から、個人情報の保護に関してさまざまな安全管理措置が講じられているところでございます。
 また、成り済まし対策につきましては、マイナンバーを記載した書類を提出する際には、個人番号カードや運転免許証など、顔写真つきの証明書などによりまして厳格な本人確認を行うことが必要とされており、成り済ましによる申請ができないようになっております。
 次に、県独自の事務条例についてでございますが、社会保障、税、災害対策の各分野におきまして、法律で定められた事務に加えて、これらに類する事務についても条例で定めることによりまして、地方独自の利用が可能となっております。
 県としましては、県民の利便性の向上や行政の効率化などにつながる独自利用事務の検討を進めておりまして、12月定例会に条例案の提出を予定しているところでございます。
 最後に、民間における安全管理とシステム改修の進捗についてでございますが、現在、国、県、市町村におきまして、県民や事業者に対して説明会の開催を初め、冊子、リーフレットの配布などさまざまな広報を行っております。
 説明会につきましては、対象者を事業者に限定して開催もしており、事業者が行うべき手続、安全管理措置など、詳細な説明を行っているところでございます。
 また、事業者におけるシステム改修の状況につきましては、現状の人事給与などのシステム改修、整備が必要なケースもあると思われますので、来年1月からのマイナンバー制度が円滑に運用されるよう、引き続き説明会などを通じて周知してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 マイナンバーについて御答弁いただきましたが、聞けば聞くほど難しくて、メリットが少ないなあと思うんですよ。いっぱい何か心配なことが余計ふえてしまった、そんな感じがいたします。
 民間に拡散されていくわけですよね、その給料明細とかいろんなところにね。それが、今度、本当に、国民は、常にそこからも情報が漏れたりとか、成り済ましなどの犯罪とかにつながっていくんじゃないかというふうに、すごい危険性というか心配がふえていくわけでありまして。企業なんかも、善意の企業ばっかりじゃなくて、今、ブラック企業なんていって、ひどい企業もあるわけでして、そんなところへも、こういうふうにマイナンバーが拡散されていくということですよね。
 マイナンバーって、よく、小さく生んで大きく育てるんやというふうに言われていまして、その利用方法についてもちょっとやっぱり心配なんですよね、先ほどちょっと言わせていただいたんですが。議論が分かれているところだと思うんですが、個人のプライバシーみたいなのが丸裸にされてしまうんじゃないか、そんなおそれがあるなあというふうにとても思っています。
 12月には県の条例が提出されるとのことですので、その点については考慮して、検討していただきたいということを要望して、質問を終わります。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時40分休憩
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