平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(全文)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成27年9月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成27年8月26日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第119号から議案第147号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第119号から議案第147号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     野尻邦彦
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課副主査     中尾祐一
 総務課長       西原龍也
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第119号から議案第147号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 41番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。
 久しぶりの質問でありますので、多少緊張しているかと思いますが、よろしくお願いをいたします。
 今議会は、44年ぶりの国体開催も伴い、何かと慌ただしい感じもいたしますので、私の質問も2問に絞っての質問にさせていただきたいと思います。当局の取り組み、考え方をお伺いするものであります。当局の明瞭かつ誠意のある答弁を期待しております。
 今回の第1点目といたしましては、「みなべ・田辺梅システム」世界農業遺産認定登録についてであります。
 世界農業遺産とは何か。以前にもこの場で紹介いたしましたので、今回は簡単におさらいし、まず、認識を共有していきたいと思います。
 世界農業遺産とは、2002年、イタリア・ローマに本部を置く国連食糧農業機関が創設した制度でありまして、世界各国を対象に、地域の伝統を生かした農法や生物多様性、農村文化や景観などが保全される農業システムを評価し、認定し、これをモデルとして持続可能な農業や地域の暮らしを目指そうとするものであります。
 現在、世界では13カ国、31地域が認定をされておられます。日本では5地域が認定をされております。
 手続といたしましては、地域や市町村、県が候補地を選定、これを農林水産省に申請し、書類審査や説明会とともに、農林水産省の編成する専門家委員会による現地調査などの審査を経て、国連食糧農業機関に認定の承認申請が行われます。それをもとに、国連食糧農業機関による審査が始まり、最終的には、国連食糧農業機関・科学委員会による現地調査が行われ、その後に最終決定ということになります。
 現在のみなべ・田辺地域に係る進捗状況は、去る5月21日、国連食糧農業機関の3名の科学委員による現地調査が行われ、あとは認定の決定待ちという段階でございます。なお、今年度は全国から7地域の要望、申請がありましたが、農林水産省からの承認は、和歌山県も含めて3件でございました。
 では、今回、世界農業遺産の候補になっているみなべ・田辺梅システムはどのような内容なのか、簡単に紹介をいたします。
 養分の乏しいれき質の斜面に囲まれたみなべ・田辺地域は、古来より水田農業や林業には好まれない地域でありましたが、400年前、先人はこの不利な立地条件を見事に克服し、山の尾根には雑木林を残し、まきや炭として利用するとともに、斜面に対して水や養分を提供し、あわせて崩落防止という機能を持たせました。余談ながら、その炭は、現在、紀州備長炭として大ブランドとなっております。
 傾斜地には梅を植え、やがて南高梅といった最高級ブランドを育て上げ、今や、その生産量は我が国全体の半分以上を占めるに至っております。営々と築き上げてきたみなべ・田辺の梅林は、一目100万、香り10里とも言われる見事な景観をつくり上げてきました。
 早春、梅の花は、どの花よりも早く花を咲かせます。巣箱の中で今か今かと春を待っていたミツバチは、一斉に梅の花を求めて飛び回ります。早く飛び始めたミツバチは元気がいい。元気なミツバチは元気な子供を産み、元気な子、孫を残します。ミツバチのおかげで受粉が行われ、梅の花は青い実となり、やがて大きな南高梅となり、初夏の農家のはじけるような笑顔へと実りを運んでくれます。
 私は、ここに見事な生物多様性の姿を見ることができました。ミツバチの減少は世界的な危機であり、その保護・保全には、国連食糧農業機関も大きな関心を寄せております。
 地域に根差した資源を大切に利用した人々の努力の積み重ねが梅を中心とする持続的な農業を確立し、現在では、生産、加工、販売、そして観光といった多様な分野が連携することになり、700億円とも言われる梅産業を育て上げ、働く人の約7割が何らかの形で梅の恩恵にあずかっているという裾野の広い就業の場をつくり出し、地域の安定した暮らしに大きく貢献をしております。
 はやりの言葉で言いますと、6次産業化のモデルともいうべきみなべ・田辺の梅システムは、持続可能な農業を目指す世界のモデルともなるものであります。
 これまでの取り組みを振り返ってみたいと思います。
 平成26年5月、みなべ町長、田辺市長を先頭に、地元の皆さんによるみなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会が設立され、運動の母体となりました。何といっても、地元の熱烈な取り組みと努力が、今日の期待を大きく膨らませている原動力であります。その努力には、お礼を言っても言い尽くせるものではありません。
 6月、県議会みなべ・田辺地域世界農業遺産促進協議会を設立していただきました。超党派でバックアップしていただいた県議会の取り組みは、本当に大きな力と勇気をいただきました。この際、議会の皆様に厚くお礼を申し上げる次第であります。
 また、資料の作成、農林水産省への説明、現地調査への対応、国連食糧農業機関への申請書の作成など、終始一貫して事務局方として熱心に取り組んでいただいた知事初め県当局の努力に対し、改めてお礼を申し上げたいと思います。
 しかしながら、一方で、市場情勢を見てみますと、近年、梅の市場価格は長らく低迷を続けております。私の信条は、「1次産業の隆盛なくして地域の繁栄なし」であります。
 今回の梅に係る世界農業遺産への登録は、梅を中心とした生産システムが世界の農業システムのモデルとなり得るという面での評価であり、このことはまことにありがたいし、すばらしいことであります。
 しかし、私には夢があります。欲があります。今回の世界農業遺産がうまくいけば、国連食糧農業機関によって世界中にみなべ・田辺が紹介され、世界中に梅が紹介されることになります。梅の知名度は一挙に世界中に広がることを意味します。
 最近、私は、外国人が梅を食べないというのはどうやら私たちの一方的な思い込みだったのではないかと反省をしているところであります。5月、国連食糧農業機関の現地調査の際、ゲストスピーカーとして講演されたイラン出身のカゼム・アジア太平洋大学准教授に対し、梅料理を研究されてる岩本さんと婦人部の皆さんが用意してくださった梅料理を食していただいた際、試しに梅干しを勧めてみたところ、おいしいと言って、その場で2個も頬張り、加えて、うめ研究所の視察の際には青梅まで頬張るほどでありました。
 この光景を見て、私は、これはきちんと説明をし、正しい情報を届ければ、外国の方々も梅を食べると確信をした次第でございます。
 そこで、当局に要望ですが、この後、世界農業遺産登録がうまくいき、国連食糧農業機関から世界中に英文での紹介が発信される際、できれば、「梅は健康食品である。梅産業は健康産業である」という1文をどこかに入れてもらえないかということであります。
 英文で何と表現するのか、そこは専門家にお任せしますが、私は、今回の世界農業遺産への認定登録作業は、認定登録で最終ゴールだとは思っておりません。この千載一遇のチャンスを生かして、世界中に梅を紹介すること、世界中に健康食品である梅をPRすることに大きな意義があるものと思っております。このことによって、梅のマーケットは世界中に広がることでしょう。
 最近、テレビなどでは、よく和食や日本食材が外国で人気があるとの報道がなされております。和食も無形文化遺産への認定登録から火がついたものでしょう。梅もこの機会を大いに利用し、世界中の方々に梅のよさを知ってもらう、梅を世界のブランドにする、そして世界中の方々の健康に貢献する、すばらしいことであります。
 私は、この際、地産外商を提案します。外商の「外」は県外の「外」であり、国外の「外」であります。
 梅の持つ整腸作用や疲労回復効果は、1300年の歴史を持っております。私たちは、毎日、テレビや新聞で、衰弱し、体を壊したまま亡くなっていくかわいそうな子供の姿を目にします。梅を通して、私たちはこうした世界の健康に多少なりとも貢献できるかもしれません。世界中に梅が紹介されること、世界の人々の健康に梅が貢献できること、これが私の夢であります。
 もう一踏ん張り、当局にも、関係者の皆さんにも、もう一息応援をしていただいて、何とかこの私の夢をぜひ実現をしていただきたい、切に切にお願いする次第であります。
 梅のマーケットが広がり、梅産業が元気になりますと、梅農家も元気になります。幸い、これまで、みなべ・田辺地域は、梅やミカン、漁業といった1次産業が頑張ってくれたおかげで地域も活性化し、全国的に見ましても活力ある地域として紹介されるほどでございました。
 政府は、地方創生が大看板です。政府が旗を立てることも大切であります。国が地方に頑張れと呼びかけることも大切であります。しかし、本当の地方創生は、やはり地方みずからが地に足をつけ、産業を興し、地域の担い手を育成し、子供を産み育てることではないかと思います。こうした地道な取り組みこそが、地方消滅などといったばかな指摘をはね返し、真に豊かな地方をつくり上げていくことにつながるのではないでしょうか。私は、そう信じております。
 そこで、質問であります。
 県が、今後の世界農業遺産登録のスケジュールや英語での紹介文をどう捉えているのか、また、今回の世界農業遺産というこの事業をどう評価し、どう活用しようとしているのか。前半を部長から、後半を知事から答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの坂本登君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) みなべ・田辺地域の世界農業遺産の認定につきましては、一昨年の12月定例会での坂本議員の御提案がきっかけとなり、取り組むことになったものでございます。
 私は、みなべ・田辺の梅システムは、地域の人々が、地形や地質、長年にわたって育まれた梅の多様な遺伝資源、薪炭林に生息するミツバチなど、限られた資源を有効に活用して、自然と共生をしながら、知恵と工夫により現在の産地を形成するとともに、生物多様性や文化を育んできたもので、まさに世界農業遺産にふさわしいものと考えております。梅産業やみなべ・田辺地域、また、本県の発展のためにも、世界農業遺産に認定されることは大変重要であると考えて頑張ってまいりました。
 さらに、地元の皆さんが、梅システムを次世代に残すべく、また世界にPRすべく、認定に向けた積極的な取り組みを進めてこられたことを私は大変すばらしいことと思っております。県も地元とともに取り組み、認定まであと一歩のところまで来ておりまして、早期に認定されることを期待しております。
 そのため、7月にミラノの食博に行かしていただいたことを──ついでにと言ったらあれでございますが──それを利用いたしまして、国連食糧農業機関、ローマに出向き、代表のダ・シルバ事務局長や関係者に早期の認定を強く要望したところであります。で、事務局長や事務局次長からは、内容的には高く評価していただいたものと認識しております。
 唯一の問題は、認定スケジュールが、FAO(国連食糧農業機関)で決まっていないということでございますが、これも、早く決めてくれというふうに強く頼んでまいりました。
 認定されれば国際的にその価値が認められたことになりまして、国内外での梅の需要拡大や観光の振興にもつながるというふうに思います。まさに千載一遇のチャンスでありますので、地域がこれを積極的に活用することが重要であると思います。
 議員は、御発言のように地産外商を提唱されているということでございますが、1次産業は和歌山県の基幹産業であり、「1次産業の隆盛なくして地域の繁栄はなし」は、全く私も同感であります。
 そのときに、地産地消もベースとして大事でございますけれども、それだけだと需要は少ないわけですから、ぜひ外商で頑張らなきゃいけないということでございます。県としても、私が率先して国内外の市場に梅や梅加工品のすばらしさをPRし、販路を大きく拡大させていきたいと考えております。
 海外につきましては、梅酒は、結構、欧州を中心に浸透しつつあります。梅をちゃんと使ってくれる梅酒じゃないと困るもんですから、本格梅酒というブランドをつくってもらうように、いろいろ企画をいたしまして、その結果、そこが成功いたしましたので、これからは、さらに梅酒の拡販、即、梅の販売促進というふうになる素地ができたと考えております。
 梅干しも、議員御指摘のように、私も、世間で言われてるように、日本人だけが好むというわけではないと思っております。特に健康志向の世の中、特にアメリカなんかは太った人が圧倒的に多いわけで、すしも、そういう観点から米国文化の中に取り入れられてきているわけでございますので、ぜひここに火をつけたいと思っておるんでございますが、残念ながら力及ばずで、まだ手がかりをつかんではおりません。
 継続的に大いに頑張って、世界的に需要がふえて、梅農家の方が喜んでつくっていただけるようにしていきたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 世界農業遺産の認定スケジュールですが、議員お話しのとおり、ことし5月に国連食糧農業機関の外部機関である世界農業遺産科学委員会委員3名による2日間の現地調査が行われ、委員からはおおむね好評価を得てございます。
 認定時期につきましては、先ほど知事から答弁もありましたが、知事が直接、国連食糧農業機関に対して早期認定を要望したところであり、また、これまでも農林水産省を通じて強く要望してまいりました。
 しかしながら、現時点では、認定時期に対する回答はいただけておりません。今後とも、農林水産省、国連大学、本県と同時に申請を行っている宮崎県、岐阜県とも連携を図り、国連食糧農業機関に対し、引き続き働きかけを行ってまいります。
 なお、世界農業遺産登録に際して、国連食糧農業機関が行うシステムの紹介に、「梅は健康にいい。梅は健康産業である」という内容を入れてもらうことは、梅の非常に効果的なPRにつながるものであり、ぜひ国連食糧農業機関にも働きかけてまいりたいと考えています。
○議長(前芝雅嗣君) 坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 知事並びに当局から答弁をいただきました。
 世界農業遺産に関しては、一段の要望を行いたいと思います。
 まず、世界農業遺産の登録に関してですが、このことに関する私と知事との考え方、捉え方は、ほとんど同じであると受けとめました。世界農業遺産への登録は、最終ゴールではなく、梅産業振興への大きな足がかりであるとの認識は、まことにそのとおりであり、ともに海外販路開拓に汗を流したいと思います。
 認定までのスケジュールでありますが、まだ判明してないとの答弁がありますが、関係者と連携を密にして、引き続き頑張っていただきたいと思います。
 なお、登録後の国連食糧農業機関が行う英文での紹介文には、何が何でも「梅は健康食品である。梅は健康産業である」との表示がなされるよう全力で働きかけてほしい、重ねて強く指摘をしておきます。
 このことの持つ意味は、梅産業にとどまらず、今後の本県農業にとっても大変大きな意義を持つものと肝に銘じ、なお一層頑張ってください。強く要望をしておきます。
 それでは、続いて第2点として、すぐれた農業者の育成と和歌山県立農業大学校のあり方についてお伺いをいたします。
 先ほども申し上げましたが、1次産業の発展なくして地域の発展がないというのが私の信条でもあります。1次産業が元気であれば、商業や工業、福祉、教育、全てに私はつながるものと確信をしているからであります。
 グローバル時代を迎え、世界は大変狭くなり、近くなりました。農業も、かつてのように日本国内だけを考え、国内で大消費地だけに目を向けるばかりではやっていけない時代になってきております。情報の質、量、スピード、あるいは流通機構の急速な進歩は、日ごろから梅のビジネスにかかわっている私たちさえ驚き、農業を取り巻く環境が大きく変化してきてることを実感しております。
 世界農業遺産の中でも触れましたが、これからの農業は、一段と視野を広げ、地域にあっては、生産から加工、販売まで、いわゆる6次産業化を推し進め、いかに産地としての付加価値を高めるかといった点が大きな焦点となってまいりますし、マーケットとしては、いやが応でも外国への輸出といった点を視野に入れないとやっていけない時世だと思います。
 もちろん、こうした変化に対しては、競争に打ち勝つ技術の進歩も伴わなければなりませんが、最も大切なことは、農業者みずからが、これまでの生産一辺倒から、経営あるいはビジネスという部門まで視野を広げていくことであります。
 農業に限らず、どんな分野にあっても、いい日ばかりではありません。悪い日ばかりでもありません。悪いときには、歯を食いしばり、何とかその打開策を模索する、いいときは、その追い風をどう膨らませるか、いずれにしても経営者の才覚にかかっています。結局は人です。人をどう育てるかであります。
 県には、かつらぎ町に和歌山県農業大学校があります。昭和38年、農業センターとして開設して以来、半世紀以上の伝統を誇り、これまで多くの卒業生を輩出し、県の農業振興に多大の貢献をしてきました。その功績に対しては大いに敬意を表するところでありますが、先ほど来、私が申し上げてまいりましたように、農業を取り巻く世の中の環境が大きく変化をしております。そして、そのスピードは、私たちや役所の感覚をはるかに上回る速さです。ぼやぼやしていては取り残されてしまいます。
 今回の私の主張は、和歌山県農業大学校における経営面での強化とビジネス部門の積極的導入ということであります。これまでも、農業経営という分野があり、どちらかといえば農業生産に係る経費、コストなどの記載、分析に重点を置かれていたという印象があります。もちろん、この分野も大変重要であり、農業経営には欠かせない分野でありますが、最近は、パソコンやそのためのソフトが比較的に簡単に手に入り、意識の高い農業者は既に積極的に取り組んでおります。
 私の今回の提案は、その分野をさらに充実するとともに、もう一歩進めて、農業施策としてはこれまでやや苦手としてきたマーケティングや販売戦略といった面を強化し、農業者みずからがリスクを覚悟で、より大きいリターン、収入を目指して挑戦できるような若き農業者の育成を目指してはどうかということであります。
 最近は、政府も、農業を成長産業と位置づけ、積極的に海外へ打って出るという姿勢を示しています。また、国内にあっても6次産業化を奨励し、生産者側といいますか、産地側での付加価値の増大を奨励しております。どちらかといえば生産技術に重点を置いた和歌山県農業大学校には、この時代の流れといいますか、時代の要請に十分応え得るであろうかと危惧する次第であります。平成27年度の募集要項を見ますと、やはり生産技術の向上に重点を置いたカリキュラムになっているのではないかと印象を持ちました。
 全国の農業大学校の取り組みを見てみましても、既に幾つかの県で、時代への対応といいますか、新しい時代の農業者の育成を目指しての取り組みが見られます。奈良県では、平成28年度に奈良県農業大学校を改編し、なら食と農の魅力創造国際大学校を開校し、農業の担い手を育成する学科に加え、6次産業化の担い手となる知識を持った若者を育成すべく、6次産業化研修拠点施設を整備、農の担い手と食の担い手がともに学び、卒業後も幅広くネットワークを築くことにより、新しい農業の可能性と実現に向けて取り組みを強化しようとしております。また、埼玉県や三重県では、農業大学校と他の4年制の大学との連携を図り、学生や教員の交流を促し、農業技術だけでなく、幅広い資質を備えた若き農業者を育成する取り組みも始まっております。
 そこで、私の提案であります。
 1つは、農業大学校の経営面での教育の強化についてであります。
 県農林水産部の職員の中には、大学で農業経営を専攻してきた職員も多くいるものと思います。その職員による経営講座を充実してはどうでしょうか。職員は現に勤めている勤務先と兼任すればいいと思います。あるいは、農林水産部以外の職員を充てることも考えてはどうでしょうか。
 提案2の2点目は、さらに学生の視野を大きく育てるため、外部の大学あるいは企業のしかるべき方々を講師に呼ぶというのはどうでしょうか。今や、外国の事情や企業の海外戦略などをよく知らないと、自分たちが取り組むべき加工の方向も販売戦略もわからないのではないでしょうか。視野を広く持って地産外商、これからは打って出る農業がより可能性を広げるものと考えます。
 そこで、質問です。
 第1点は、県は、現在の農業を取り巻く環境、状況をどう捉え、認識しているのか、今、農業施策として何を優先すべきなのかといった点についてであります。
 私は、主として日高地方の農業をイメージしながら質問をしてまいりましたが、知事からは、国の農業施策や国際情勢も視野に入れた幅広いお考えをお伺いするものであります。
 2点目は、県として、今後あるいは将来にわたってどのような農業者を育成したいのか、そのためには県立農業大学校はどうあるべきかといった点です。知事からお考えを聞かせてください。
 3点目は、私が提案した県職員の派遣や他の大学、企業との連携を強化し、農業大学校の資質向上を図ってはどうかといった点です。農林水産部長の答弁を求めます。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の農業を取り巻く環境は、農業者の高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増加、国内外の競争の激化など、大変厳しいものとなっております。
 こうした現状を打破し、基幹産業である本県の農業を発展させるには、ビジネスとしての強い農業の推進が必要であります。すなわち、それは、つくる農業から売れる農業、さらにはもうかる農業の推進でありまして、そのためには、高品質の作物栽培や6次産業化の推進による付加価値の創造、農地の集約による経営規模の拡大、販路開拓などに取り組んでいく必要があると思います。
 以上申し上げましたことは、全く坂本議員の御趣旨に沿うものだと思っております。私は、知事就任時に思ったところ──農業政策について、あるいは和歌山の農業について思ったところ──は、和歌山の農業は、商品作物をつくっている割には、農業者の方は、つくることはとてもうまくて熱心なんだけど、JAに出したら終わりというような人が多いなあということで、やっぱり販売のところまで熱心に取り組まないと、あんまりもうからんかもしれないなあというふうに思いまして、それで、販売促進、加工などにかなり熱心に取り組んでまいりました。
 印象としては、初めはそればっかりでありまして、最近は、これはやっぱり品種改良などの技術開発とか、あるいは生産力強化とか、そういうことも大事だといって、それもつけ加えてるところでございます。
 しかしながら、御指摘を受けて、よく考えてみますと、農業大学校に関しては栽培技術にのみ重点を置いてきてしまったなあと、改めて気づいたところでございます。もうかる農業を推進していくためには、それを支える農業技術と経営の知識、両方にたけた、やる気のある農業者の育成が重要であり、農業大学校も、それをサポートするようなものでなければならないと改めて気づきました。
 県としては、今後は、あるいは今後ともと言ってもいいかもしれませんが、農業大学校を本県農業を担う人材育成の中核機関として位置づける、それは変わりはございませんが、栽培技術だけではなくて、もうかる農業を実現する観点から、農業経営をしようとする者に教えなければならないことを広く教えるようにし、関係機関と協力しながら、時代のニーズに対応した、皆さんがこぞって来てもらえるような、そういう大学校づくりを目指していきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 県農業大学校の質的向上についてでございますが、議員御指摘のとおり、グローバル化が急速に進展する中、生産技術だけでなく、マーケティングや販売戦略など、広い視野を持ち、経営感覚にすぐれた農業者を育成することが重要と考えます。
 現在、農業大学校では、教職員による基礎的な農業技術の講義に加え、試験研究機関の研究員による新技術や外部講師による流通の講義などを行っておりますが、先進的なアグリビジネスへの対応は十分とは言えない状況です。
 このため、今後は、海外でのマーケティングなどの専門知識を持った県職員による講義に加え、大学や企業の専門家による先進的な講義を取り入れるなど、カリキュラムの充実を図り、議員が提唱する地産外商を推進できる人材の育成に力を注いでまいりたいと考えてございます。
 また、新たなアグリビジネス部門の設置につきましては、農業大学校の魅力を高めるとともに、時代に適した人材育成にとって重要であるため、前向きに検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 知事並びに当局から答弁をいただきました。
 農業大学校のあり方に関しては、再質問を行いたいと思います。
 農業大学校のあり方については、知事から、ビジネスとして強い農業を育成する、そのためには、やる気のある農業者の育成が何より大事であり、農業大学校をそのための中核機関としての充実をしていくとの答弁があり、農林水産部長からは、生産技術だけではなく、マーケティングや販売戦略など、広い視野を持って経営感覚にすぐれた農業者を育成するとの答弁がありました。私も、そのとおりだと思います。
 問題は、では、この目標に向かってどのような取り組みがなされるのか、どのような改善がなされているのかということであります。
 農業を取り巻く厳しい環境は、本県に限らず全国的な問題であり、そのため、よその県では、さまざまな取り組みが具体的に進められております。幸い、和歌山県の農業は、商品価値の高い農産物に支えられて頑張っていますが、やはり一日も早く、産地間競争や国際競争に勝ち抜くための農業へと飛躍、発展する必要があります。そうすれば、繰り返しになりますが、やはり最大の課題は人材育成、確保であります。
 聞くところによりますと、農業大学校の受験生は、定数を大幅に下回り、その受験生も他府県からの応募も多いと聞きますが、さらに、農業を志す学生は半数に満たず、最終的には、農業に従事する学生は年間4~5名程度ではないかとのことであります。何のための農業大学校なのか、誰のための農業大学校なのか、これから家業として農業に従事しようとする後継者にとって本当に必要な知識、経験が身につくところなのか、どうすれば農業大学校にとってやる気のあるすぐれた農業者の育成ができるのか、事態を聞くにつけ、私は、農業大学校の現状や今後の方向について少々疑問を持つものであります。
 農業を取り巻く環境は、今、大きく変わろうとしております。農林水産部や県内の議論にとどまることなく、広く有識者の意見も聞きながら、今後の農業大学校のあり方をいま一度考え直してみてはという時期に来ているのではないでしょうか。知事の所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほどお答え申し上げましたように、農業大学校については、既存の栽培技術の内容の充実には私たちも努めてきましたが、時代のニーズに合った、もっと幅広い農業人材の育成に十分応えてきたかというと、そうではないというふうに気づかされたところでございます。
 社会情勢が急速に変化し、農業者に求められる資質も変化しているため、時代にふさわしいような形で農業大学校を改革すべく、まさにこれから、本日の議論を踏まえて、先ほどお答えしたとおりの改革をしていきたいと考えております。
 そのためには、今後、広い視野を持ち、ビジネス感覚にすぐれた農業者を育成するために、外部の有識者の意見も聞きながら、大学の連携とか、とりわけビジネス部門からの教師とか、そういう方々も来ていただいて、農業大学校を先ほどお答えしたような形に切りかえていくように努力をしていきたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 知事から答弁をいただきました。
 前向きに取り組んでくださることを期待し、私の一般質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、5項目にわたりまして一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、不登校対策についてお伺いしたいというふうに思います。
 先ごろ、県から平成27年度学校基本調査が発表されました。その中で、和歌山県において、30日以上の長期欠席者、不登校児の数が増加しているということが示されました。
 不登校とは、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいは、したくてもできない状況にあり──病気や経済的な理由は除いているわけですが、30日以上の長期欠席をしている者をいいます。
 不登校児童の問題は、一時、大変問題にされ、マスコミなどでも取り上げられました。県教育委員会は、その対策として、学校へのスクールカウンセラーの配置や相談活動の充実などを図ってきましたが、ここ数年、じわじわとその数値が上がってきています。
 在学者数に占める不登校児童の比率を見てみると、平成21年度は0.35%、22年度は0.31%、23年度は0.41%、24年度は0.42%、25年度は0.50%、26年度は0.53%となっています。26年度に限って言うと、全国平均が0.39%ということなので、0.53%という数字は見過ごすことができません。
 この基本調査を見てみると、幾つかの問題点が見えてきます。
 まず、小学校では、1年生の時点で既に長期欠席者があらわれているということ、そして、その数が4年生の段階で大きく膨れ上がり、6年生まで増加していく傾向にあるということです。一旦不登校になると、学年が上になっても継続することが多いということも示されています。また、小学校から中学校に進学する段階で一気に数がふえ、その数は減少することなく、2年、3年生へと増加していきます。
 中でも、和歌山市は圧倒的に多く、県内小学校の不登校児童の255人のうち104人が、中学校不登校生徒の889人のうち418人が和歌山市の児童生徒で占められています。
 このような状況に対し、昨日、中議員の質問に、知事は、大変憂慮する事態であると受けとめを示し、不登校にはこれといった決め手がなく、今から検討していくとのことでありました。また、この問題については最重要課題として取り組んでいくとも表明されました。さらに、県教育委員会は、未然防止、早期発見、早期対応という対策を示されました。
 この不登校問題は今に始まったことではなく、私も現職の教員であったとき、1人の不登校生を担任したことがあります。毎日の連絡や家庭訪問、不登校児に対しての子供たちへの呼びかけ等々、さまざまな対応をしながら、日々心を痛め、勤務していたことを覚えています。結局、1年間で──担任した1年間ですが──不登校を改善することができないまま担任を外れたのですが、その後、同和推進教員を担当しましたもので、その生徒とは、卒業まで週に何度か児童館等で学習を進め、関係を持つことができました。
 しかし、結局、小学校に在籍中は不登校を解決することができませんでした。私にもっと不登校児についての知識やスキルがあったら早く解決できたかもしれませんが、その当時の私にとっては精いっぱいでした。1人の不登校児の問題を担任1人が抱え込むには、限界があったように思います。
 そこで、今回、古くて新しい問題として浮かび上がってきたこの不登校の問題を県教育委員会としてどのように捉えているのか、また、不登校のあらわれ方の傾向についても見解をお伺いします。また、未然防止、早期発見、早期対応の対策についても具体的な取り組みをお伺いします。
 教育委員会は、学校の教職員が一致団結して取り組む等々、答弁されていますが、具体的に教職員が一致団結して取り組めるよう、今後、どのように支援され、対策を講じようとされているのか、お伺いしたいというふうに思います。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの藤本眞利子さんの質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県の小中学校在学者数に占める不登校児童生徒数の割合は、ここ数年、全国と比べて高い数値を示しており、今回の調査ではさらに厳しい結果となりました。県教育委員会としましては、このことを大変重く受けとめ、不登校問題の解消を28年度の最重要課題として取り組んでまいります。
 議員御指摘のとおり、不登校児童生徒は、小学校中学年から増加傾向にあり、特に中学1年生で急増しています。また、本県の調査では、不登校児童生徒のうち約半数が長期化の傾向にあります。不登校の要因や背景はさまざまな要素が複雑に絡み合っていることを踏まえ、児童生徒の状況把握を丁寧に進め、未然防止はもとより、欠席傾向を示し始めた児童生徒への早期支援と、不登校状態にある児童生徒の復帰への支援を柱に取り組むことが重要であると考えております。
 不登校を未然に防止するためには、互いを思いやり、存在を認め合える学級づくりが重要です。そのため、本年度から新たに配付したリーフレット「不登校を生まない集団づくり」を活用した安心できる学級づくりを全ての小中学校で推進してございます。
 また、本年度、拡充して配置しているスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを積極的に活用し、学校現場の教職員が一致団結して、一人一人の児童生徒に向き合いながら、しっかりと取り組んでまいります。
 さらに、市町村教育委員会と一体となって、欠席傾向を示し始めた児童生徒の一人一人の状況を学校から詳しく聞き取り、改善に向けた具体的な助言を行います。
 また、課題のある学校に対しては、学校訪問を実施し、個々の児童生徒の状況や学校の事情に応じた支援を積極的に行ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 不登校対策について、お伺いしたわけです。
 県としては、欠席傾向を示し始めた児童生徒への早期支援、それから、不登校状態にある児童生徒の復帰への2つのアプローチを柱に取り組むということが重要というふうに示されたと思います。
 最初の気づきは、やっぱり担任であります。授業や生徒指導をこなしながら、欠席傾向を示し始めた児童生徒に対して丁寧なアプローチが十分に行えるかというと、大変難しいと思います。何とかしなければというやる気はあっても、個人には限界がありますので、学校の中で誰がどのように対応していくのかといった具体的な取り組みが進められるよう、県教育委員会として支援をしていただきたいというふうに思います。
 また、スクールカウンセラーも、常時相談できる体制になっていません。配置の拡充を図るとともに、常時相談できる体制をつくっていただくよう要望いたします。
 次の質問に移ります。
 中学校の夜間学級の設置についてであります。
 昨年度、文科省が初めて中学校の夜間学級のニーズを全国調査を行いました。この中で、現在、8都道府県の25市区に31の中学校の夜間学級が設置されており、1849人──外国籍の1498人を含めるんですが──在籍しているということが明らかになりました。
 和歌山県には、中学校夜間学級はありませんが、和歌山市内の岩橋地区に自主夜間中学校が開設されています。本日も来ていただいていますが、この夜間中学校は、岩橋地区の識字学級で学んでいた故能勢博之さん──享年65歳の方の、卒業証書が欲しいという要望を受けて、識字学級の教師で小学校教員でもあった吉本拓司さんが2000年に始められたものです。現在4人が学んでいますが、この方々は県内における夜間中学校の設立を求めて活動しています。
 この岩橋夜間中学校で学んでいる70歳の北川さんにお話を伺ってきました。北川さんは、週に3日、この学校で学んでいます。北川さんは、病弱だったお父さんにかわって行商に出て家をあけるお母さんを支えるために、母親を支えるために、家事とか弟の世話などで小学校4年生までしか学校に通えなかったとおっしゃっています。
 北川さんは、「小学校の卒業証書はないんよ」と話されています。中学校進学の案内はあったそうですが、勉強がわからず、1カ月ほどでやめてしまったということです。その当時、みんな泉南の紡績に働きに行ったなど、昔の苦労話に花が咲きました。「今、夜間学校や識字教室で勉強するのが楽しい。学校を出てないと隠す人もあるけど、私は隠すのは嫌や、いつも前向いて生きていくんよ」と、笑顔で話してくれたのがとても印象的でした。
 北川さんのように、小中学校の卒業証書をもらっていない方が、和歌山市内では、昭和22年から昭和35年までの卒業生で5000人いるという調査結果もあります。先ほど、不登校児童生徒の問題を提起させていただきましたが、現在においても、不登校や虐待などのさまざまな理由で、ほとんど学校に通えず、実質的に十分な教育を受けないまま、学校の配慮等により中学校を卒業した方もあります。近年は、親の結婚や就労のため来日している外国籍の生徒などもおり、義務教育終了程度の学力を保障するためにも、公立の中学校夜間学級が再び注目されてきています。
 文科省も、学びのニーズに応えようと、1県に1夜間中学校が望ましいといった通達を出し、今まで蚊帳の外に置かれていた方々に教育の機会を保障する取り組みを進めようと動き始めています。
 本年7月30日には、形だけの卒業で形式卒業者と呼ばれる方々に対して、改めて中学校で学び直すことを希望する方については、中学校夜間学級への再入学を許可するとの通知が文科省から出されました。和歌山県においても、他の都道府県と同様、中学校夜間学級のニーズは必ずあると思います。また、全ての県民に教育を保障することは、行政の責務だと考えます。
 そこで、県として中学校夜間学級の設置についてどのような見解をお持ちなのか、お伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 中学校夜間学級は、さまざまな事情で義務教育を受けることができなかった方々に対して、学習機会を提供し、中学校の教育課程を修了する場としての役割を担っています。
 議員御指摘のとおり、文部科学省は、平成26年度に実施した全国調査の結果をもとに、各県に少なくとも1校の設置を目指すという方針を立て、新たに委託事業を設け、未設置県における検討を促進しています。
 県教育委員会としましては、市町村が中学校夜間学級の設置を検討する場合には、どこに設置するか、対象をどうするか、費用負担や教員配置をどうするかなど、検討すべき課題が数多くあると考えております。
 今後、中学校夜間学級の設置の要望が出され、検討してきた経緯のある和歌山市とともに研究を進めてまいります。
 また、全県的に考えますと、改めて学びたいという子供から高齢者の方々の学びの場として、通信教育を初めさまざまな方法を検討していくことも大切ではないかと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 県民の皆さんの中には、今ごろ何で、中学校の夜間学級が必要なんよなんて思われる方も多いというふうに思います。しかし、基礎的な力が十分でないために、人にはなかなか言えないけれども、生きていく上で苦しんでおられる方がいるのも事実であります。
 近畿の中で、この中学校の夜間学級がないのは、滋賀と和歌山の、この2県だけであります。先日、大阪市天満中学校の夜間学級で行われた全国夜間中学校研究会の夏季研修会があり、参加をしてきました。丹波・篠山よみかきの会からは、アジアから結婚で日本に来られた方、それから、先ほど紹介させていただいた岩橋の夜間学校の方、それから、高知の朝倉夜間中学校からは、不登校で学校に通えなかった方など、お一人お一人が学びの思いを語ってくれました。
 立場はそれぞれ違っていますが、共通していたことは、学ぶことは本当に喜びやと。自分の尊厳をも取り戻す営みであるというふうなことでした。教育の原点を見たような思いになりました。
 本年は、戦後70年。戦争や差別、貧困で学びを奪われた人たちや、障害がゆえに学べなかった人たち、近年は、結婚等で日本に移住しているアジアの人たち、働くために渡日した人たち、不登校や閉じこもりの若者たちと、目を凝らさなければ見えないけれども、教育の機会を奪われてきた人たちに教育の機会を保障することは、行政の責任だというふうに思います。さまざまな事情を抱えた人たちがもう一度学び合える場所が、中学校の夜間学級だと思います。
 さまざまな立場の人たちが集い、共感し合い、学び合う中でこそ、深い人間性が培われるのだと思います。人は人として接して、人として成長することができます。通信教育ではそういうことはできないというふうに思います。集うということが教育では欠かせない営みであるというふうに思います。
 そこで、もう一度、教育長にお伺いします。
 教育長は、中学校夜間学級の必要性をどのように感じておられるのか、再度お伺いしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 中学校夜間学級を含めまして、これから、子供たち、あるいは高齢者の方々が、どのような学びの場が重要であるかということを含めまして、県教育委員会としまして、しっかり研究していくということでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 研究されるということは、必要性を感じているというふうに前向きに受けとめたいというふうに思うんですが、そういうことで、よろしくお願いいたします。
 では、次の質問に移りたいと思いますが、どうかよろしくお願いします。
 次は、英語教育についてであります。
 文科省では、生徒の英語力向上を目指して、グローバル化に対応した英語教育改革実施計画、平成25年の12月に公表されているんですが、その計画により、小・中・高校を通じた先進的な取り組みや教員研修などの支援を進めてきました。
 しかしながら、先般公表した高校3年生を対象とした平成26年度英語教育改善のための英語力調査の結果によると、聞く、話す、読む、書くの4技能において課題があり、平成23年度以降、毎年実施してきた英語教育実施状況調査の中学校、高校の英語力のアンケート結果も十分な改善が見られないとして、平成27年度、新たに生徒の英語力向上推進プランを策定しました。
 生徒の英語力向上推進プランには、「~英語教育改革のGOAL2020を目指して~」との安易なサブタイトルがつけられ、生徒の着実な英語力に係る国の目標を踏まえた都道府県ごとの目標設定公表を要請しています。
 英語教育実施状況調査に基づく都道府県別の生徒の英語力の結果の公表を2016年度から実施、生徒の英語力調査による把握、分析を行うため、国として義務教育段階の中学生の英語4技能を測定する全国的な調査を検討、実施するなど、生徒の英語力向上のため、目標を設定し、試験を行い、その結果を公表するとしています。また、例えば、中学校卒業段階で英検3級以上、高校卒業段階で英検準2級程度から2級程度を達成した割合を50%とするなどと示されています。
 私は、この2020年のオリンピックを目指すというふうな短絡的なサブタイトルはどうかと思うんですが、教育というのはそんな短いスパンで考えるものではないというふうに考えるから、どうかなと思うんですが、そんなふうなことで、英語教育は国も県も必死になって進めようとしているわけです。その目的としては、グローバル化に対応するとあります。私は、英語教育を全然否定するつもりも反対するつもりもありませんが、今の進めようとしているやり方で本当に生徒に英語力が養われるんだろうかと、疑問に思います。
 教育とは何かの目的のために行うものであるなら、県教育委員会が考えるグローバル化した社会とはどのような社会と捉えているのか、また、そのような社会に対応する児童生徒とはどういった生徒なのかという見解をお伺いしたいと思います。
 県では、文科省の推進プランに先んじて、中学校3年生全員に公費で英検を受験させるとしていますが、その意義について、またどのような教育的効果を期待しているのか、お伺いします。
 また、県の教育委員会は、中学校と高校の英語教師に指導力と英語力をつけてもらうためと称して、4年間かけて全員に研修を受けさせ、その後、全員に公費でTOEICのテストを受験させ、さらにその点数が県教育委員会の示す基準よりも低ければ再研修を行うということを発表されているわけです。
 インターネットでTOEICと調べてみますと、英語における国際的なコミュニケーション能力判定テストというふうにされていまして、ちょっと意味がわかりにくいんですが、調べてみると、実はTOEICというのは、1979年当時に、経済団体と通商産業省がTOEFLを作成していたアメリカのテスト作成機関であるETSというところに要請して誕生した英語能力判定テストだということですね。また、このテストは、学術的に高い能力を要求されるTOEFLのように、国際的に認められているものはないということも記載されておりました。
 そこで、このようなTOEICなどの外部検定試験を教員に受験させる意義を説明していただくとともに、このテストが高得点であることと現場での教員としての指導力はまた別のものではないかなと考えているんですが、この点について見解をお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) グローバル化した社会とは、政治、経済を初めさまざまな分野で、人や物、情報が国境を越えて移動し、異なる文化・文明との共存や国際協力が求められている社会と捉えています。
 このような社会に対応するために、子供たちに求められている力は、語学力や外国の方とコミュニケーションできる能力、多様な人と協調したり異なる文化を理解したりする力、日本の文化や歴史を尊重する態度などが挙げられます。その中にあって、外国の人々と自信を持って積極的にかかわっていくためにも、国際共通語である英語力の向上は極めて重要な教育課題であります。
 本年度から中学校3年生に、実用英語技能検定いわゆる英検を実施する意義につきましては、生徒自身が中学校教育を通して、聞く、話す、読む、書くという4つの技能がどの程度定着しているかを確認することや、英検受験を目標として意欲的に英語学習を進めることで、英語に対する興味を高めたり、わかる喜びを実感したりすることと考えています。
 また、英検の結果分析をもとにした学習状況の報告を活用した授業改善を進めることで、生徒の英語力の一層の向上につながるという教育的効果が期待できます。
 次に、英語科教員が外部検定試験に取り組むことについてお答えします。
 生徒に英語によるコミュニケーション能力を身につけさせるためには、授業を英語で進めていくことが今まで以上に求められています。そのため、今年度から4年間かけて新たな授業改善のための研修を実施し、その一環として、文部科学省が推奨している外部検定試験の1つであるTOEICテストを行います。この試験結果をもとに、教員は、自己の実践的な英語でのコミュニケーション能力を把握するとともに、さらなる英語力の向上に向けて自己研さんすることで、生徒の実践的な英語能力を育てていくことにつながると考えております。
 議員御指摘のとおり、英語力そのものが高い指導力に必ずつながるものではございません。教員は、身につけた英語力を生かして、授業を実際のコミュニケーションの場面とし、生徒に英語を使う楽しさを感じ取らせる指導力を身につけることが大切です。
 県教育委員会といたしましては、英語運用能力を身につけるとともに、よりよい授業づくりのために切磋琢磨する教員の育成に力を入れてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 英語教育について御答弁いただきました。
 中学校3年生全員に、公費を使って──聞くところによると2800円ぐらいだそうですが──受験させる意義についてお伺いしました。
 英語の4技能がどの程度定着しているのか、また、一人一人が英検受験を目指して意欲的に英語学習を進めることで、英語に対する興味を高め、わかることを今まで以上に実感できるようになるとの答弁であります。
 こんなん言うてどうかと思うんですが、本当にそういうことで英語に対する興味を高めることができるのかなあと。私は、反対に英語嫌いの生徒をふやすことにならないかなあというふうに危惧をしているわけです。
 学習に一番必要な要素は、やる気だというふうに思うんですね。和歌山、日本の子供たちはやる気がとっても少ないって、いつも言われています。やる気は、人から押しつけられるものではないというふうに思います。自分の力を試したいと自発的に英検を受けるのであれば英語に対する興味を高めることにもつながると思いますが、そうでないなら逆効果じゃないかと。できない生徒は、ますます英語が嫌いになるんじゃないか。また、4技能の定着は、英検をしなくても、ふだんの学習とテストで私はわかると思います。
 また、教員に対するTOEIC、このテストも、自己英語力を把握するとともに、自己研さんし、英語力の向上を図るとしています。英語力向上のためにTOEICに──これもお金かかるわけで、受験をさせるよりも、ほかにいろんな研修が考えられるんじゃないかなあと。テストで高い英語力がつくというには、あんまりにもちょっと安易なやり方やなあというふうに思えてなりません。
 県教育委員会は、もっと有効で、先生たちもやる気の出るような研修を考えていただきたいなあというふうに思うわけです。再考してはというふうに言いたいところですが、教育委員会としてはやめるとは言いにくいと思いますので、その結果について、ことし始まっていますので、結果について、今後の報告を待ちたいというふうに思います。
 次の質問に行きます。
 岩橋千塚古墳群の整備と活用についてお伺いしたいというふうに思います。
 岩橋千塚古墳群は、紀州徳川家の家督を相続した徳川頼倫の尽力で、大野雲外によって、明治40年、考古学的調査を開始、すぐれた文化財としての価値がいち早く世に知られたものです。学術的、文化財的価値が高く、貴重な古墳群であったことから、昭和27年には、戦後の文化財保護法のもと、特別史跡として指定されました。古墳群の特別史跡は全国でも2カ所しかなく、宮崎の西都原古墳群と岩橋千塚古墳群です。
 前回の6月議会において多田議員が質問されていますが、和歌山県の貴重な財産でもある岩橋千塚古墳群を、地域づくりの視点から新たな緑の拠点として活用していただきたいという観点で、質問をさせていただきます。
 岩橋千塚古墳群は、花山、大谷山、大日山、岩橋前山B、岩橋前山A、和佐、山東、寺内、井辺、井辺前山地区にまたがる広大な範囲に点在しており、現在、特別史跡に指定されているのは、全体から言うと一部でしかありません。資料を配付させていただいていますが、その広範囲の部分が岩橋千塚古墳群であります。
 古墳は確認されているだけで848基ありますが、紀伊風土記の丘は、その主要部の430基を管理しているとお聞きしています。その中には、旧紀州藩家老・安藤家のものを譲り受けたものもあります。
 当初の指定面積は約25.5ヘクタールで、その後の追加指定で、現在は61ヘクタールとなっています。それ以外の部分は、山中──民有地ということで、荒廃されたまま放置されているわけです。しかしながら、特に、井辺前山古墳群、井辺古墳群、花山古墳群には、判明する重要古墳が密集していることがあり、この貴重な古墳がこのままでは毀損、消滅してしまうかもしれないといった状態です。
 平成25年に、岩橋千塚を守る会、1万5000人の請願書が提出され、喫緊の天王塚古墳、大谷山22号墳をよみがえらせ、特別史跡に追加指定のための測量を開始したと聞いています。今こそ、天王塚古墳の整備に続き、広範囲にわたる岩橋千塚古墳群をよみがえらせ、新たな紀伊風土記の丘として変貌させる絶好のチャンスであり、貴重な財産である古墳群が朽ち果てる前によみがえらせる作業に取り組んでもらいたいものです。
 このことから、私は、まず、まちづくりの専門家や古墳の専門家、その他有識者、各地域代表、一般市民など、多様な意見を聞き、将来的には、岩橋千塚古墳群全域の活用策と環境整備を行うための指針となる構想を作成してはどうかと考えています。
 そこで、お伺いします。
 県では、これら古墳群をよみがえらすため、どのような取り組みをしているのか、また今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 岩橋千塚古墳群は、学術的価値が確認されていた地区を中心として、昭和6年に国史跡、昭和27年に特別史跡に指定されました。その後、2回の追加指定を経て、現在は約61ヘクタールとなっております。
 平成15年度からは、計画的に毎年発掘調査と整備を進め、大日山35号墳に、県民参加のもと、築造当初の埴輪群を復元整備し、引き続き前山A58号墳の復元整備を進めております。また、園内の植生の管理、園路や排水路の整備など、里山としての整備も実施しております。
 平成26年度から、史跡地外に所在する首長墓である大谷山22号墳と天王塚古墳につきましても、土地の境界確定や墳丘の測量、発掘調査を実施して、規模や築造年代などの解明を進めており、早期の追加指定を目指してまいります。
 古墳群の調査や整備には長い期間を要しますが、土地所有者や周辺住民の方々の御理解と御協力をいただきながら、今後も、特別史跡地外の主要古墳などの追加指定について、着実に進めてまいります。
 また、引き続き古墳群のすばらしさを普及啓発するとともに、周辺のさまざまな土地利用状況などを見きわめながら、適切に保存されるよう努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 私は、岩橋千塚古墳群の整備や保存だけでなくて、全域をよみがえらせることで、和歌山市の活性化や観光にも寄与できるんじゃないかなあと考えて質問したわけですが、全体像から計画を進めることがちょっと難しいようですので、今後とも、風土記の丘の整備も含めて着実にお取り組みいただきますように要望いたします。
 最後の質問に移ります。
 マイナンバー制度についてであります。
 これは、同僚議員からも質問がありましたが、私は私の観点で質問をさせていただきます。
 マイナンバー制度、2013年の5月の法律公布後、政令や省令が出されるなど、順次、施行されつつありますが、本格的に、本年10月の番号通知、そして来年1月の番号利用カード交付開始というふうになります。
 2013年の9月において、マイナンバー制度に係る経費やタイムスケジュール、成り済ましや情報漏えいの危険性などについて指摘をさせていただきましたが、今回は、その後の県の取り組みと問題点、課題についてお聞きしたいというふうに思います。
 マイナンバーを導入するに当たって、政府の説明は、1番が、公平公正な社会の実現として、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくするとともに、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困ってる方にきめ細やかな支援を行うというふうにしています。
 2番目に、国民の利便性の向上ということで、添付書類の削減など行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減される、また、行政の持っている自分の情報を確認、サービスのお知らせを受け取れるということであります。
 3つ目が、行政の効率化ということで、行政機関や地方公共団体などで、さまざまな照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されるとのことでありました。
 しかし、社会保障給付の申請や届け出の際に少々国民の負担が軽減されるとしても、そのために使われる税金がどれほどのものかというふうに考えます。
 一昨年、経費をお聞きしたところ、システム整備費用が国、地方を合わせて2000億から3000億円ということで、県の経費は、システムの詳細が示されていないため不明とのことでした。
 そこで、県として、マイナンバー制度の導入に伴うシステム改修費用などがどの程度か、また、マイナンバー制度は国の事業であるため経費も全額国費で賄うとされてきましたが、県の持ち出しはないのかなど、マイナンバー制度の構築に平成27年度はどの程度の予算が組まれているのか、まずお聞きをしたいと思います。で、今後のランニングコストはどうするのか、お伺いしたいと思います。
 次には、和歌山県には30市町村あるわけですが、住基ネットの際も規模によって負担が大きく異なっていたというふうな指摘がされました。今回のこのマイナンバー制度もそのようなことが懸念されていますが、各市町村の経費と負担はどの程度か、お伺いします。
 次に、マイナンバーの付番は住民票コードからとお聞きしています。住民票コードはかなり精密に管理運営をされていると考えますが、住民登録の抹消や、もともとない方、不当滞在されている外国人、DV被害などにより登録地と現住所の異なる方の対応等はどういうふうになっているのか、お伺いします。
 ことしの6月に年金の情報流出が大きな社会問題となりました。サイバー攻撃を受け、日本年金機構が持つ情報のうち101万人もの情報が漏えいしました。和歌山県では、2万2045人が該当しています。このように、万全を期しても、情報漏えいというのは防げないわけです。このような情報漏えいに対して県としてはどのような対策を行うのか、また、成り済ましなどに対する対応についてお伺いします。
 次に、マイナンバー制度は、当初、利用範囲について、社会保障分野──年金、労働、福祉、医療その他ですね、2つ目に税分野、3つ目に災害対策分野に関する事務、また、類する事務で地方公共団体が条例で定める事務に限定すると明言してきました。
 しかし、2014年の6月、政府は、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)──ちょっと舌かむような戦略本部なんですが──が作成した世界最先端IT国家創造宣言というのがありまして、これ、閣議決定をして、公共サービスがワンストップで、誰でもどこでもいつでも受けられる社会の実現を掲げ、マイナンバー制度の利活用の促進を明示しました。
 その中で、戸籍事務、旅券事務、預貯金付番、医療・介護、健康情報の管理連携、自動車検査登録などが盛り込まれました。その後、内閣官房IT総合戦略本部マイナンバー等分科会は、中間取りまとめを発表し、その中で、マイナンバー制度の普及と利活用を図るため、国、地方、民間が連携して取り組む事例を明示するとなっています。
 当初、社会保障と税の一体改革を進めるとしたマイナンバー制度は、社会保障よりも、国民の多くが保有する預貯金が把握の対象から漏れている状態は改めるべきであり、預金口座へのマイナンバーの付番について早急に検討すべき、こんなことを言ってます。将来的には、民間利用が可能となった場合には、金融機関の顧客管理等に利用といった議論がなされ、そんなような制度へと変更される勢いであります。国民の預貯金にまで手を突っ込むような制度に変えていこうという動きが加速をしています。
 そこで、これら利用拡大に伴い県独自の事務を規定する条例の改定を行うとのことですが、どのような状況になっているのか、お伺いします。
 次に、今後、行政だけでなく、民間においてもさまざまな事務手続の中にマイナンバーが拡大されていきますが、その安全管理はどのように周知徹底していくのか、また、民間におけるシステム改修の進捗はどうなっているのかもお伺いします。
 以上です。
○議長(前芝雅嗣君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) マイナンバー制度につきまして、7点、お答えいたします。
 最初に、マイナンバー制度構築に係る平成27年度当初予算についてでございますが、約1億3000万円というふうになっております。
 この予算は、マイナンバー制度の導入に当たって必要となるシステムの改修や、既存業務システムを統合管理するためのシステム開発などに係る経費でございます。
 また、財源につきましては、基本的に国庫補助あるいは地方交付税措置の対象とされておりますが、マイナンバー制度の導入に合わせて県で追加的に行うシステム改修やデータの精査などにつきましては、県による負担で行っております。
 次に、現時点での今後のランニングコストの見込みにつきましてでございます。
 主なものとしましては、全国の他の団体と情報連携するための機能を備えたサーバーに係るものが年間約200万円、県庁内の既存業務システムを統合管理するためのシステムに係るものが年間約700万円となっております。また、そのほか既存システムにつきましても、今回改修しておりますので、理論的には追加的に費用が発生することも想定されますが、既存部分も含めたシステム全体で維持管理費用を計上するため、マイナンバー制度導入による影響額のみを特定することは困難でございます。
 なお、ランニングコストに係る財政措置につきましては、国において財政措置を講じるよう、全国知事会などを通じて要望しているところでございます。
 次に、市町村の経費と負担についてでございます。
 市町村におきましても、国の財政措置を受けまして、県と同様にシステム改修などを行っております。マイナンバー制度の導入に必要なシステム改修などに要する主な経費につきましては、市町村の人口規模などによりまして異なりますが、国の試算によりますと、1万人以下の人口規模で約1600万円から約2400万円、1万人から10万人の人口規模で約2600万円から約1億3000万円、30万人から40万人の人口規模で約5800万円から約2億4000万円となっております。
 次に、マイナンバー付番に係る課題への対応についてでございます。
 マイナンバーにつきましては、住民票を有する者に付されるというふうになっております。中長期の在留者や特別永住者などの外国人にも付番されることとなっております。
 また、マイナンバーは、ことしの10月以降、原則、住民票の住所へ世帯ごとに送付されることとなっております。しかしながら、DV、ストーカー行為、児童虐待などの被害者で、やむを得ない事情によりまして住民票の住所地以外に居住されている方は、居所情報の登録申請を9月25日までに住所地の市町村に行うことで、居所においてマイナンバーの通知を受け取ることができるようになっております。
 県におきましては、関係機関、施設に対しまして、リーフレットを配布するなど、この制度の周知を図るとともに、市町村に対しましても手続の周知徹底を図るよう助言を行っておるところでございます。今後とも、国、市町村などと連携しながら、DV被害者などに漏れなくこの制度の内容が伝わるよう、周知の徹底を図ってまいります。
 次に、情報漏えい、成り済まし対策についてでございますが、マイナンバーを安全・安心に利用いただくために、不正行為に対する罰則規定を設けたり、個人情報は一元的に管理せず、従来どおり各行政機関ごとに分散して管理するなど、制度面及びシステム面の両方から、個人情報の保護に関してさまざまな安全管理措置が講じられているところでございます。
 また、成り済まし対策につきましては、マイナンバーを記載した書類を提出する際には、個人番号カードや運転免許証など、顔写真つきの証明書などによりまして厳格な本人確認を行うことが必要とされており、成り済ましによる申請ができないようになっております。
 次に、県独自の事務条例についてでございますが、社会保障、税、災害対策の各分野におきまして、法律で定められた事務に加えて、これらに類する事務についても条例で定めることによりまして、地方独自の利用が可能となっております。
 県としましては、県民の利便性の向上や行政の効率化などにつながる独自利用事務の検討を進めておりまして、12月定例会に条例案の提出を予定しているところでございます。
 最後に、民間における安全管理とシステム改修の進捗についてでございますが、現在、国、県、市町村におきまして、県民や事業者に対して説明会の開催を初め、冊子、リーフレットの配布などさまざまな広報を行っております。
 説明会につきましては、対象者を事業者に限定して開催もしており、事業者が行うべき手続、安全管理措置など、詳細な説明を行っているところでございます。
 また、事業者におけるシステム改修の状況につきましては、現状の人事給与などのシステム改修、整備が必要なケースもあると思われますので、来年1月からのマイナンバー制度が円滑に運用されるよう、引き続き説明会などを通じて周知してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 マイナンバーについて御答弁いただきましたが、聞けば聞くほど難しくて、メリットが少ないなあと思うんですよ。いっぱい何か心配なことが余計ふえてしまった、そんな感じがいたします。
 民間に拡散されていくわけですよね、その給料明細とかいろんなところにね。それが、今度、本当に、国民は、常にそこからも情報が漏れたりとか、成り済ましなどの犯罪とかにつながっていくんじゃないかというふうに、すごい危険性というか心配がふえていくわけでありまして。企業なんかも、善意の企業ばっかりじゃなくて、今、ブラック企業なんていって、ひどい企業もあるわけでして、そんなところへも、こういうふうにマイナンバーが拡散されていくということですよね。
 マイナンバーって、よく、小さく生んで大きく育てるんやというふうに言われていまして、その利用方法についてもちょっとやっぱり心配なんですよね、先ほどちょっと言わせていただいたんですが。議論が分かれているところだと思うんですが、個人のプライバシーみたいなのが丸裸にされてしまうんじゃないか、そんなおそれがあるなあというふうにとても思っています。
 12月には県の条例が提出されるとのことですので、その点については考慮して、検討していただきたいということを要望して、質問を終わります。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時40分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 紀の国わかやま国体は目前です。関係者の皆様、大変御苦労さまでございます。このたび質問を準備している最中に、悲しいニュースが飛び込んでまいりました。それは、8月20日の夕刊、21日の朝刊での国体の交通規制責任者であった県警警視の方が自殺されたという報道です。
 県民期待の国体の交通規制という大変な仕事を担われ、その仕事がようやく花開く国体の直前に自殺をされた。国体のための超過労働が原因であったとしたら、どんなに大変なことだったのだろう。心からお悔やみ申し上げたいと思います。
 この警視の方は、200時間を超えて超過勤務をしたと新聞報道されています。普通、80時間で過労死ラインと言われる。警察職員だけでなく、県庁職員、教育職員についても心配ですが、ここで全ての問題を取り上げるわけにはいきません。とりあえず、警察本部長にお伺いいたします。
 6月、7月、200時間を超えて超過労働という報道ですが、その実態はどうだったのでしょうか。そのことをどうお考えになるでしょうか。警察本部長からお答えください。
○副議長(藤山将材君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 警察本部長直江利克君。
  〔直江利克君、登壇〕
○警察本部長(直江利克君) 我が県警察の職員がこのようなことになり、本部長といたしまして痛恨のきわみでございます。当該職員の御冥福をお祈りするとともに、御遺族に対し、謹んで哀悼の意を表するものであります。
 本県におきまして、本年7月には全国高等学校総合体育大会が既に開催され、本年9月と10月には第70回国民体育大会と第15回全国障害者スポーツ大会が開催されますが、全国的にも例のない3つの大会が近接した警備に、県警察は総力を挙げて取り組んでいるところであります。
 このような中、大会警備の中心となる部署では、当該職員を含め全職員が、誇りと使命感と責任感を持って、与えられた役割を果たすべく業務に邁進してきた結果、月に200時間を超える超過勤務となる職員がかなり出てまいりました。
 3つの大会の警備に万全を期するという崇高な使命のためとはいえ、部下職員が長時間勤務による疲労を慢性化させてしまったことを深く受けとめ、当該部署の職員1人当たりの業務量を少しでも緩和するため、警察官6人を増強したところであります。
 また、県警察職員の健康管理対策として、各級幹部に対し、部下職員には必要な休暇を確実に取得させるよう指示し、一定時間以上の超過勤務を行っている職員に対しては、医師による面談を早期に実施することとしております。
 県警察といたしましては、今後二度とこのようなことが起こらないように、全職員の健康管理対策を徹底していくとともに、残る2つの大会の警備に万全を期する所存でございます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 交通規制の仕事は、皇室への警護の関係もあり、大変だったのだろうと推察いたします。警察に限らず、関係職員の皆さん、くれぐれも健康に留意されながら国体を成功させていただきたいと思います。
 次へ行かせてもらいます。
 次の問題は、児童虐待についてであります。
 児童虐待について、胸の痛むようなニュースが後を絶ちません。親が人間として育ち切れていない問題など、深いところに根本的な問題があるように思います。とりあえずは、起こってしまった児童虐待については、早期に発見して適切に子供を保護することが求められます。
 子供を育てられない親は、自分がしていることの意味をよく理解できずに、「子供を返せ」と言ってくる場合もあるでしょう。和歌山県では、その問題に適切に対処できずに子供を返してしまい、子供を死に追いやったという事件もありました。私自身も、「子供を返してくれない」と訴える親について児童相談所にお伺いしたこともあり、判断の難しさを痛感したこともありました。
 しかし、親と子供を引き離すだけが全てではないでしょう。まずは緊急の措置として子供を保護すること、さらには、子供がどういう環境で今後育っていくかという問題があります。
 まず、和歌山県での児童虐待の実態はどうか。その対策について福祉保健部長にお伺いしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 本県における児童虐待について、児童相談所に寄せられる相談件数は、近年増加の一途をたどっており、平成26年度は932件で、この5年間で倍増し、過去最多の件数となっています。
 児童虐待防止対策としては、児童相談所の専門職員の増員による体制強化や警察等関係機関との連携推進、市町村への体制支援など、児童相談体制の充実を図るほか、虐待をしてしまった保護者に対する支援プログラムを重点的に実施し、虐待への早期対応、再発防止に努めているところです。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 大変な状況が起こっているようです。
 そこで、第2は、虐待を受けた児童が、その後どういう環境のもとで育つのかという問題です。虐待の原因を究明して、親と子が一緒に生活できるようになれば一番いいでしょう。しかし、それは大変な困難を伴うものではないかとも思います。実情はどうなのでしょうか。お伺いしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 虐待により児童の安全が確保されない状況にある場合は、児童相談所が一時保護を行い、まず安全を確保します。児童相談所では、児童の家族再統合を第一に、個々の児童ごとに援助方針を決定します。
 具体的には、家庭の状況調査や保護者面談、児童の行動観察や心理判定、保護者支援プログラム等を実施した上で、虐待について保護者の正しい理解が得られず、当面の家庭引き取りが困難である場合には、児童養護施設への入所または里親への委託を決定することになります。
 施設入所後における児童の心理状況や家庭の事情により施設入所が長期にわたる場合もありますが、児童の生活環境を最優先に対応を行っているところでございます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 家庭の再統合ができない場合に、適切な里親が見つかれば、それが家庭に近い環境を保障することになるというふうに思っています。里親を見つけるという取り組みは、実態はどうなってるんでしょうか。引き続きお答えください。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 里親に係る県の取り組みと実態については、平成26年度において、里親への委託を行った児童の割合を示す里親委託率は約14%となっています。
 県としては、温かい家庭環境のもと、実の親にかわり児童を養育する里親制度は、児童の健全育成の観点から非常に有用な制度であるとの認識から、将来的には委託率30%を目標に、里親登録制度の普及啓発や里親支援制度の充実など、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 家庭に引き取られることが困難な場合には、施設で家庭に準ずる環境のもとで大事に保護されなくてはなりません。施設に暮らす子供たちにはいろいろな事情があると思いますが、きょうは児童虐待にかかわってお伺いしていますので、児童虐待で家庭や里親に引き取られなかった子供たちの短期的、長期的な保護の状況について、もう少しお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 児童養護施設に入所した児童の状況については、施設の児童指導員や家庭支援専門相談員など専門職員の指導のもと、集団生活を通じた人間関係の中で必要な社会性を養うことのできる環境で生活しながら、学齢期の子供は小学校、中学校、高等学校へ通学しています。
 また、虐待を受けた児童に対しては、児童心理司によるカウンセリングなど、心理的ケアに十分配慮しつつ、児童が安心して生活できる環境を確保しています。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この児童虐待という問題は、世代間の連鎖があるというふうにも言われています。不幸なそういう状況で育った子供たちが温かい環境で育って、世代間の連鎖がないように、いい里親が見つかればいいんですが、今14%を30%に引き上げたいという、こういうお話もありました。そういうさまざまな皆さんの努力で、こうした子供たちが幸せに暮らせることを願っております。
 では、次へ参ります。
 医師不足あるいは偏在にかかわっての問題です。
 医師不足ということがよく言われます。不足ではなく偏在だとも言われます。私の地元の市民病院の建てかえは、市民の長年の念願でした。新しい海南医療センターが完成しました。ここに、産科を置いてほしいという強い要望があります。お医者さんさえ確保できれば、いつでも産科を開けるように施設は整備しているそうですが、お医者さんが確保できない、産科医の不足、特定の診療科のお医者さんの不足です。
 もう1つは、公立病院のお医者さんが開業していく。優秀な人気のあるお医者さんがやめていかれると大変だと言われます。開業医は多いのに、公立病院では医師不足になるという偏在です。また、地域的な偏在もあります。
 まず、福祉保健部長にお伺いいたします。和歌山県の医師不足、あるいは申し上げたような偏在の状況は、どうなっているのでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 厚生労働省の調査では、和歌山県の人口10万人当たりの医療施設に従事する医師数は269.2人となっており、全国平均の226.5人を上回っています。しかし、診療所で働く医師の割合が高く、公立病院を初めとする病院勤務医の不足が見受けられます。特に、産科医師については、全国的にもなり手が少なく、本県においても同様の状況です。また、和歌山保健医療圏に医師の約6割が集中しており、地域偏在も見られます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 それでは、その医師不足と偏在の原因と対策についてお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 病院勤務医の不足や偏在の主な原因は、臨床研修制度が導入され、若手医師の都市部民間病院志向が高まり、大学病院に医師が集まりにくくなったため、大学病院から病院への医師派遣機能が低下したことなどが考えられます。
 県では、地域の拠点病院の医師不足を解消する抜本的対策として、県立医科大学の40名の定員増、医師不足が特に深刻な産科などを目指す研修医を対象とした修学資金制度の創設、若手医師の定着を支援する地域医療支援センターの県立医科大学への設置といった医師確保対策に取り組んでまいりました。
 引き続き、安全・安心な医療提供体制の充実に向けて、医師不足と偏在の解消を図ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 お答えいただきましたように、和歌山県では、県立医科大学の定数増など積極的な施策をとっていただいていると思っています。また、同時に勤務医の労働条件改善という問題も大きな課題ではないかと思っています。さまざまな方面から、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、次に教育長にお伺いしたいのですが、紀南地方の小中学校養護教員から、学校の健康診断で耳鼻科の専門医の検診が長い間やられていないという悩みをお聞きしました。恐らく、地域的偏在の結果ではないかと思います。実態はいかがでしょうか。
 病院へのお医者さんの確保には一定の時間がかかるのですが、健康診断への専門医の参加が得られないという問題は、交通がここまで便利になっている今日、解決できないことはないと考えますが、教育長、いかがでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校における健康診断は、児童生徒等の健康の保持増進を図り、学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資するため、大変重要でございます。
 耳鼻科検診につきましては、高い専門性を有する医師が健康診断を行うことが望ましいと考えます。しかしながら、県内の専門医の現状から、議員御指摘のように紀南地域を中心に専門医による検診ができていないことは認識してございます。
 今後、県医師会を初め関係機関と協議を進めながら、専門医の検診の実現に向けて市町村教育委員会に働きかけてまいります。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この問題は、医師会などの協力も得なければなりませんが、ぜひとも改善をしていっていただきたいと思います。必要があれば、それに必要な予算などもつけることも検討していただきたいと思っています。
 続けて行きます。
 次に、風力発電などの低周波被害にかかわる問題です。
 私は、風力発電低周波被害について何度も取り上げてまいりました。それは、自然エネルギーの利用としての風力発電には期待をしながら、余りにも集落に近いところで、しかもますます大規模な風力発電、1基2000キロワット、3000キロワットというものが建てられ、健康被害の訴えがあっても個人差があるために、少数の訴えが無視され、地域や家庭から排除されるのは問題だというものでした。
 県当局の答弁は、国の環境基準ができていないので規制できないというものですが、同時に、毎年の和歌山県の政府要望には、環境基準の早期策定をということが1項目として上げられるようになりました。まず、どういう意味で県として国に環境基準の早期策定を求めるのか、環境生活部長からお示しいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 国に環境基準の早期策定を求めてございますが、その理由ということでございます。
 全国的に風力発電施設が増加する中で、周辺の住民から健康被害の訴えが起こるなど、全国的な課題となってございます。風力発電施設からの低周波音に関しましては、評価するための基準が現在存在しないため、環境に配慮した風力発電事業を推進していく上で非常に不都合な状況になってございます。
 風力発電施設からの低周波音の影響について、客観的かつ適切な評価及び対応ができるよう、国に対して低周波音に係る環境基準の早期設定を求めているところでございます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 環境基準について国に求めていることについて、御説明いただきました。
 和歌山県は、風力発電低周波被害では、ある意味で先進県として注目されています。県民から被害の訴えがあり、環境基準を国に要望している和歌山県だから、手ぶらで要望するのではなく、低周波測定と健康被害調査のデータを集積して、国に対してそれを示しながら要望することが必要ではないかと考えるものです。
 低周波測定の実績としては、和歌山県では大変すぐれた実績を持っています。それは、海南市下津町大窪での測定です。今から5年前、私が被害の訴えを聞いて、県の環境生活部の担当課にお願いして測定してもらっている。県の担当課では快く応じてくれ、海南保健所、海南市、そして風力発電を運営するユーラスエナジーとも連携して測定が始まりました。
 第1回の測定には、私も立ち会いました。被害を訴える方の家の前、あるいは家の中に県が測定器を置き、会社は風車の根元に測定器を置いて、トランシーバーで連絡をとりながら10基もの風車を動かしたりとめたりしながら──これをオン・アンド・オフと言うそうですが──測定をするものです。あれから毎年9回の調査が行われた。被害者の救済にはなりませんが、測定だけは誠実にやってくれたということで、地元では感謝しています。
 ところが、もう1つの問題の地域は、由良町畑地区などです。こちらで被害を訴える方の症状については、2013年2月の県議会で詳しくお話をいたしました。私が畑地区に入って驚いたのは、集会に集まってきた方に、アトランダムに「あなたは風車で何か異常を感じますか」と聞いて回ると、口々に症状を訴えることでした。こんなことは、大窪では見られません。
 昨年、東京大学の大学院生が、論文をお書きになるために健康異常について聞き取り調査に入り、私の場当たり的な聞き取りよりももっと客観的な資料が出されています。
 国に環境基準を求めるのは結構ですが、県として責任を持てる測定データと健康データをつくることが、国に環境基準をつくらせる上でも、また住民と県の信頼関係をつくる上でも大切だと考えますが、やっていただけませんか。これは環境生活部長、それから福祉保健部長、それぞれお答えいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 環境生活部長。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 由良町畑地区の低周波音を県が測定するべきとのことでございますが、事業者、地元区、由良町が締結いたしました協定に基づきまして、既に計量法の登録を受けた一般社団法人日本気象協会が、平成23年に低周波の被害を訴えている方の御自宅を含め11カ所で測定してございます。現時点で、県が改めて測定することは考えておりません。
 今後も、引き続き由良町、地元区の意向を踏まえ、県として必要な対応について検討してまいります。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 健康被害調査の実施については、事業者、区、市町が締結した協定に基づき、3者が連携し実施すべきであり、当該調査を実施する場合は県も協力いたします。
 なお、現在、県立保健所のクリニックにおいて、健康不安、体調不良に対し健康相談を実施するとともに、地元区及び市町と連携し、個別訪問をするなど対応しております。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ただいまの御答弁ですが、由良町ではこれだけ被害が出ているのに、県は手をこまねいているように見える。そして、行政と住民の信頼関係ができていない。低周波の測定はやられたのですが、測定した会社が、人体への被害はないとコメントをして住民に配りました。その結果、風力発電業者を擁護する測定でないかという不信を生んでいます。下津町大窪では県が主導して9回も測定しているのですから、由良町の測定に県が乗り出してもおかしくないと私は思います。
 健康調査についても、大学院生による調査が行われ、問題提起がされているわけですから、保健所としても放っておけないのではないかと思いますが、県が待っているだけで、行政が待っているだけで、腰を上げようとしないのは大変残念でございます。これは、これからも引き続き要望していきたいと思います。
 もう1つ、次の問題に入ります。
 風力発電でその後問題になったのは、日高町、白浜町椿の風力発電でしたが、住民の皆さんが由良町畑地区の様子を伝え聞く中で、計画が中止になりました。今、印南町での風力発電建設は、環境アセスメントは終わって建設が始まろうとしています。ここで私が心配しますのは、集落から1.3キロメートルしか離れていないところで、2000キロワットもの風車13基が建設されるという問題です。地滑りはないのかという心配の声も上がっています。
 そこで質問です。第1に、この地域の地質、地形は、地滑りなどの心配はないのでしょうか。農林水産部長からお答えください。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 地滑りを起こしている区域及びこれに隣接する地域のうち、地滑りを助長もしくは誘発するおそれの極めて大きい地域などは、地滑り等防止法により地滑り防止区域として指定されるところでございますが、当該開発区域は地滑り防止地域に指定されておりません。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 現在、建設予定地はそういう地域でないということなんですが、現状では心配なくても、山の木を切って大きな風車を建てる。大丈夫だろうか、こういうことが、住民の皆さんの中には心配の声があることを申し上げておきたいと思います。
 次に、風力発電会社は、「健康被害があれば風車をとめます」と住民の皆さんに説明しているようです。そうであるならば、風力発電近くで健康被害が生じた場合、風力発電会社は誠実に対応すべきだと考えますが、県はどう考えますか。商工観光労働部長、いかがでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 一般的に、風力発電による低周波と健康被害との因果関係が明らかになっていない段階では、発電事業者が所要の措置をとることは困難だと思いますが、それぞれの発電事業者がみずからの責任により、地元住民の声を十分に聞きながら事業を行っていく必要があると考えています。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今、御答弁の中で因果関係という言葉が出ました。この発電事業者が住民の声を聞いて誠実な対応をすべきだが、因果関係が明らかになっていない段階では対応することは困難ではないか、こういう考えのようです。これでは、風力発電会社が何を約束していても、因果関係という壁にぶつかってどうにもならない、住民の皆さんの心配は解消できないと思います。
 さらに、大窪地区の低周波測定結果を見て考えることですが、風車をとめたときでも一定の低周波が測定されるわけです。とまっている風車にも風が当たって低周波が出るのではないかと考える方もいる。風車ができる前に測定しておけばよかったが、今から風車を取り除いて測定することはできない。
 そこで、風車がつくられようとしている印南で、風車ができていない時点で測定をやってほしいという住民の方の要望があります。環境生活部長、いかがでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 環境生活部長。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 印南町で計画されております風力発電施設に関する環境アセスメントでございますが、この中において、風車ができる前の低周波音の測定が実施されております。その結果につきましては、環境影響評価書に記載され、現在、印南町、みなべ町両役場に備えつけられております。また、事業者のホームページにおいても公開されているところでございます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今では、環境アセス書にも事前の低周波測定が盛り込まれるようになっていると、こういう御答弁でございます。5年前に私が低周波ではないかと取り上げて、地域の皆さんと一緒に取り組んできたことが環境アセスのあり方も変えてきた、このことはよかったと思っています。
 ただ、環境アセス報告書というものは大変分厚いものでして、役場で公開されているといっても、簡単に目を通せるものではない。会社のホームページにアップされているんですが、印刷やダウンロードできないような特殊な仕組みになっている。住民の立場に立った環境アセス報告書公開にしなければならないということも、この際申し上げておきたいと思います。
 このまま建設が進んだ場合、低周波がどんなあらわれ方をするのか、地域住民の皆さんと一緒に検証していきたいと思いますが、県としても一緒にやっていただけるでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 環境生活部長。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) この事業に係る環境アセスメントにおきましては、事業者が施設の供用開始後、騒音、低周波音に関する調査を実施して環境影響の程度を検証し、その結果を公表するとともに、県、地元自治体に報告することとなってございます。
 県といたしましては、この報告書が提出されれば、この報告をもとに、環境影響評価書に記載された環境保全措置が適正に実施されているかなど、チェックしてまいりたいと考えております。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 検証していただけるということです。ただ、それでも検証結果の対応が、この因果関係の壁に阻まれるのではないかという問題が残るわけです。
 私は、一定以上の低周波を出している風車の近くでは環境被害がある、そこから離れれば症状が消えるという単純明瞭な事実を因果関係として認めるような環境基準がつくれるように、低周波測定と健康調査データを積み上げていく必要があるということを、改めて申し上げておきたいと思います。
 さて、次の問題に入りますが、次に、ことしの2月県議会で、松坂県議が由良町の介護施設に設置されたヒートポンプの低周波被害について取り上げました。国の参照値を超しているとして行政指導をいただいたわけですが、当該の介護施設が、これまで指導のテーブルに着いていたものの、費用のかかる対策はできないという姿勢に転じたのに対して、県は行政指導をやめたと聞きます。施設の姿勢が後退しているというのに、県が指導を強め、改善を求めるどころか、指導をやめてしまうというのは逆ではないかと思いますが、いかがでしょうか。環境生活部長からお答えください。
○副議長(藤山将材君) 環境生活部長。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) お答えいたします。
 県、地元自治体、また健康被害を訴えている方及び介護施設の話し合いの中で、施設側は、ヒートポンプ給湯器の運転時間帯を深夜から昼間に変更するとともに、昼間の運転出力を60%に低減するなどの対策を講じてまいりました。しかしながら、健康被害を訴えている方の症状が解消されないため、介護施設に対して引き続き行政指導を行ってまいりました。介護施設側も、施工業者や製造メーカーと協議しながらさらなる対策を検討しましたが、残念ながら新たな改善には至りませんでした。
 行政指導では、これ以上の改善を図ることは困難であると判断をしたものでございます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 きょうも被害を訴える方がこの議場に傍聴に来ていただいてますが、先ほどお話を聞いても症状は全く変わっていないということです。国の参照値をオーバーして行政指導しても、言うことを聞かなければどうしようもないというのでは、被害者は救われません。何のための行政指導かわからないんではないでしょうか。
 風力発電被害でも、環境基準が示されても同じことになりかねません。この低周波被害というものは、被害を訴えられる方から言うと地獄だと言われます。個人差が大きく、周りから理解されないことが、苦痛をさらに大きくします。風力発電であれば夜間とめるとか、転居された方への補償を考えるとか、被害を訴える方に寄り添った企業や行政の対応をぜひとも進めていきたい。きょうの答弁ではなかなかそれが期待できるような答弁になっていませんが、これからも、被害を訴える皆さんと一緒に要求をしていきたいと思っています。
 以上で、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)
○中西峰雄君 初めて県議会の一般質問の場に立たしていただきまして、その責任の大きさと重さに、改めまして身の引き締まる思いでございます。もとより微力ではございますけれども、県勢の発展、県民の負託に応えるべく誠心誠意努めてまいりますので、どうか皆様の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、一般質問をさしていただきます。
 まず最初に、教育行政についてお尋ねをいたしたいと思います。
 最初の質問は、小中学校の適正規模、適正配置についてであります。
 少子化とともに学校の小規模化が進行し、適正規模、適正配置が我が国の教育政策課題となってから、もう久しい時間が過ぎておりますけれども、まず、少子化の現状を確認しておきたいと思います。
 もう皆さん御存じのとおり、平成24年に発表されました国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によりますと、年少人口(0歳から14歳まで)は、平成22年、2010年の1684万人に対して、30年後の平成52年、西暦2040年には1073万人と3分の2まで減少し、50年後の平成72年、西暦2060年には、おおよそ半分になることが予想されてございます。
 また、本県の現状を見てみますと、平成24年の小学校児童数は5万人を切り、4万9325人、ピーク時の昭和58年が13万9708人でございましたから、実にピーク時の35%まで減少をいたしてございます。同じように、中学生につきましても約37%にまで減少しております。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計からは、今後もさらに大きく減少することが予想されます。
 本県は、全国的に見ましても小規模校の割合が比較的高い県であると言えます。平成18年時点で12学級に満たない学校の割合は、小学校では約7割、全国順位10位であり、中学校では約75%、全国順位6位となってございます。
 そうした中、本県では、平成17年に設置されました教育委員会の諮問機関であります義務教育ニュービジョン研究会議が、その協議の中で、「とりわけ、過疎化が進む地域を多く持つ本県では、児童生徒数の急激な減少に伴い、小規模校の増加が懸念される」といたしまして、少子化に対応した学習環境づくりに関して小委員会を設け、集中的な協議を行っていただいております。
 そして、その報告の中で、「和歌山の未来をひらく義務教育」という報告の中でございますけれども、基調といたしましては、少子化による小規模校・過小校について、地域の諸般の事情からやむを得ない場合はあるといたしましても、でき得る限りその解消に取り組むことを求めていることと読み取ることができると思います。
 これまでの対策が十分であるかどうかも含めまして、将来に向けた具体的な取り組みについてお尋ねいたしたいと思います。
 また、もとより適正規模化につきましては設置者であります市町村が決めることではございますけれども、県は好ましい教育環境を積極的に構築していく立場にあります。学校の適正規模化、統廃合は、極めて政治的にセンシティブであり、ハードルの高い事柄であります。市町村が適正規模、適正配置を進めていくことを県として積極的に支援をしていただきたいと考えてございます。
 県の考えを示しますけれども、あとは市町村で考えてくださいというだけではなく、県教育行政の執行者として、好ましい学校規模・学校配置を実現するために県は具体的に何をどうするのかということをお尋ねいたしたく存じます。
 義務教育ニュービジョン研究会議報告の中でも、例えば統廃合後の通学について特段の配慮を求め、教育委員会のスクールバス等の運行についての支援策を求めております。また、特段の加配の配慮も求めてございます。具体的に、統合後、教員配置やスクールバス購入への県費補助や運行経費の県費補助をお願いしたいと思ってございますけれども、御答弁のほどお願いを申し上げます。
 以上、前向きな御答弁を期待申し上げ、既設壇上からの質問を終わらせていただきます。
○副議長(藤山将材君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県では、少子化の進行により急激に小中学校の小規模化が進んでいることから、平成18年度に教育長の諮問機関、義務教育ニュービジョン研究会議からの提言をもとに、学校の活力を維持・発展させる観点から、小学校では12から18学級、中学校では9から18学級を適正規模の基準とする指針を取りまとめました。平成19年度からは、適正規模化を進める市町村や統合する学校に対し、補助金や教員の加配等の支援措置を6市11町に行ってまいりました。
 県教育委員会としましては、本県指針と本年1月に国から出された「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引き」を踏まえ、各市町村において、それぞれの地域の実情に応じて、教育的な視点から少子化に対応した活力ある学校づくりを進めていくことが重要であると考えてございます。
 今後、より魅力ある学校づくりの実現のため、適正規模化を進めていく市町村に対しては、市町村教育委員会と協議しながら助言や支援を行ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁ありがとうございました。幾つか前向きな御答弁いただけたのかなというふうに思ってございます。
 ただ、残念ながら、御答弁いただきました支援措置につきまして、統合後の加配及びスクールバスの購入費補助等も今はなくなっているようでございまして、この支援策が前進しているというよりは、むしろ後退してるんではないかというような印象を持ってございます。
 再度御指摘申し上げたいと思うんですけれども、支援策につきましては、義務教育ニュービジョン研究会議報告では、「県教育委員会は市町村教育委員会の協力のもと、一定期間は、環境の激変緩和、効率化還元などという観点から、児童生徒に対するきめ細かな指導が行き届くよう、統合後の配置について特段の配慮を実施すべきである」とございますし、「市町村の学校統廃合後の方針に対して、教育委員会は、統合前から統合後にわたり一連の支援策を講じることが求められる。今後増加するであろう統廃合に備えて、総合的に対応する部署を設置するとともに、学校統廃合に関する支援等を具体的に記載した指針を示すべきである」、これが諮問機関の報告であります。
 繰り返して申し上げたいと思います。報告は、配置についての特段の配慮及び支援等を具体的に記載した指針を求めているわけであります。
 また、教育委員会策定の指針「公立小・中学校の適正規模化について」の中では、「小・中学校の統廃合に伴う適正規模化に際して、教職員の配置、児童生徒の通学、学校施設・設備の充実等について、必要な支援措置をとれるよう検討を進める」とございます。
 以上、報告の配置についての特段の配慮、支援等を具体的に記載した指針及び指針の必要な支援措置をとれるよう検討を進めると、この3つの言葉をさらに充実していただきますことをお願い申し上げ、私の1つ目の質問を終わらせていただきたいと思います。
 それでは、教育行政についての2番に移らしていただきます。
 温暖化の影響でございましょうか。夏の暑さが大変厳しい年が続いてございます。子供たちの教育環境として、エアコンの設置が要るんじゃないかなというふうに考えてございます。実は、私も10年ほど前には、小中学生にエアコンなんか要るかというふうに思っとった口なんですけれども、この夏の暑さを実感するにつれまして、やっぱり要るなあというふうに思うようになりました。
 特に、最近は夏休み期間中でございましても、補習授業をしたり、それから地域や保護者の方々が学校に来てサマースクールをしていただいたりというような学校もかなりふえてきておりますので、この暑さの中、それをしていただくというのはまことに申しわけないし、子供たちにも気の毒だなあというふうに感じているところでございます。
 そこで、お尋ねをいたします。県としては、この小学校へのエアコンの設置の必要性を、まず、どう考えておられるのかということをお尋ねいたします。
 そして、できれば、市町村が決めることであるのかもしれませんけれども、県費補助を何とかお願いできないのかなあというふうに思いますので、御答弁のほどお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教室等の温度につきましては、児童生徒等に生理的、心理的に負担をかけない最も学習に望ましい条件として、冬期で18度から20度、夏期で25度から28度程度であると国において定められており、県教育委員会といたしましても、この条件を各小中学校において維持することが望ましいとは考えてございます。
 また、エアコン設置に対する県費補助につきましては、困難な状況にございますけれども、国の補助制度を活用して負担の軽減を図れるよう、今後も市町村を支援してまいります。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁ありがとうございます。
 県教育委員会としましても、エアコンの設置は必要であると御認識いただいてるということで、大変よかったなあというふうに思います。
 ただ、エアコンに対する県費の補助でございますけども、財政事情が大変厳しくて、いろんなしなければならないことがたくさんある中で、その予算の確保は難しいという事情もわからないではないんですけども、やはり次代を担う子供たちに、よりすぐれた教育環境を提供していただきたいという思いで、諸般の行政ニーズの中でも優先順位を上げていただいて予算づけをしていただきますことを要望して、この2番の質問を終わらしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、教育についての3番目の質問に入らしていただきます。
 教員採用の選考方法についてでございます。
 教育は人材産業であるというふうに私は思ってございまして、そのことを思えば、優秀な人材を確保するということは、極めて重要なことであろうと考えております。しかるに、現実を見ますと、残念ながら、言いにくいんですけれども、すぐれた先生方ばかりではなくて、全てがA級の先生というわけにはなかなかいかなくて、いろんな先生がいるように思われます。
 そんな中で、これまでの選考方法では、なかなかその人物を見抜くことが難しかったんではないかなというふうに思ってございます。どこの場でも一緒かなとは思うんですけれども、人が人を選ぶということほど難しいことはないというのは重々承知した上で、短時間のテスト、面接、作文、論文でその人物を見抜くということは、至難のわざではなかろうかなというふうに思っているところでございます。
 そんな中で、現行の選考方法以外にも、例えば採用に対して適性をよりよく判断する方法を考慮していただきたいと思うんですけれども、例えば今、民間企業の間でも出てきておりますけれども、インターンシップというのもその1つかもしれません。
 とにかく今がベストじゃなくて、よりよいベターな選考方法を常に模索していただきたいというふうに思いますけれども、御答弁のほどお願いを申し上げます。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教員には、使命感や責任感、教科や教職に関する専門的知識、実践的指導力等が求められます。本県の採用検査では、筆答検査において教科や教職に関する専門性と一般教養に関する検査を行っております。
 また、高い倫理観や総合的人間力を有する人材を確保するために、面接検査を第1次検査及び第2次検査の2回にわたり実施しており、受験者の資格や特技、ボランティア活動、各種大会の実績等に基づく自己アピールを評価対象とし、さまざまな角度から判断することとしております。
 さらに、校種によっては、一定の講師経験のある人や専門教科について高い専門性を有する人に対しては、その能力を評価し、筆答検査の一部を免除するなど、豊かな経験やすぐれた資質、能力を有する多様な人材を確保するために、毎年検査方法の改善を図っているところでございます。
 議員御指摘のインターンシップについてでございますが、現在、中央教育審議会において、教員を目指す大学生が学校現場の日常業務を体験する学校インターンシップの導入が議論されるなど、全国的にすぐれた資質、能力を備えた新規採用教員の確保が課題となってございます。
 県教育委員会といたしましても、国の議論の行方を注視するとともに、今後も資質、能力にすぐれ、倫理観や使命感の高い優秀な人材を確保するために、選考方法の改善に努めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、大きな項目の2番、生活排水処理、下水道整備について質問をさせていただきます。
 まず最初に、汚水処理人口比率の現況と取り組みについてでございますけれども、本県は残念ながら下水道整備率全国ワースト2であることは余りにも有名でございますが、現況をお尋ねするとともに、生活排水処理人口比率を上げるために県としてどういう取り組みをされているのか、お尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 本県の汚水処理人口普及率は、平成25年度末で全国平均の88.9%に対し、57.4%と低位な状況となっています。このため、県としては、和歌山県長期総合計画に基づき、平成29年度末の汚水処理人口普及率を70%とすることを目指し、地域の実情に応じて下水道等の集合処理や合併処理浄化槽による個別処理を計画的、効率的に整備、普及していくこととしています。
 具体の取り組みとして、県では、流域下水道事業として伊都処理区と那賀処理区の整備を進めています。また、市町では公共下水道事業や集落排水事業を進めており、計画箇所116カ所のうち、平成26年度末までに80カ所が完了し、今年度は18カ所で事業を実施しています。
 このほか、県では、合併処理浄化槽について市町村を通じ補助を行うとともに、今年度からは単独処理浄化槽の撤去費用を新たに補助対象とするなど、その整備促進を図っているところでございます。さらに、行政が主体となって整備が進められる市町村設置型浄化槽の導入についても、市町村に対し、積極的に働きかけています。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 ありがとうございます。
 それでは、2番の下水道事業計画の課題についてということをお尋ねいたします。
 下水道整備には、もう御存じのように、多額の時間と費用がかかります。おおむね5年から7年の整備をめどとしております事業計画区域、いわゆる認可区域の面整備が思うに任せないというのが実情でございます。面整備がおくれますと計画流量の低下となりまして、下水道経営に大きな影響を与えております。最終的には、利用者負担の増加、下水道料金の値上げを考えざるを得ない事態が強く懸念されております。
 特に、紀の川流域下水では、当初の過大な計画が──結果としてですけども、結果として過大な計画が市町の財政を大きく圧迫しており、その結果責任につきましては、一義的には市町が担うべきものではございますけれども、一緒に計画を進めてきていただきました県のほうにも特段の配慮をお願いしたいと思ってございますけれども、御答弁のほどお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 市町が行う公共下水道計画につきましては、将来の人口予測、経済性等を勘案して計画することになっています。紀の川流域下水道の計画につきましても、それぞれの市町の計画を踏まえ、適切な規模で計画しており、その後の人口減少等の社会情勢の変化により、計画処理人口や計画処理水量等の見直しも随時行ってきています。
 また、県では、面整備を促進するために県独自に、管渠の整備を行った市町に対し、その実績に応じ費用の一部を負担する和歌山県下水道事業促進交付金制度を設け、市町の財政負担軽減を図っているところです。
 今後も、引き続き市町と十分連携し、下水道事業の適切な促進に努めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 この流域下水につきましては、大変しんどい状況が現実にございます。その中で、今若干の助成策を講じていただいてるということをお聞きいたしましたけれども、実際に計画流量が低下いたしますと、計画自体が狂ってくるわけですね。その計画が狂ってきたら、要するに単位流量当たりの処理単価が上がるという結果になってまいります。ですから、それは最終的には利用者負担、住民負担という形にはね返って、市町のほうでは大変しんどい思いをしているところでありますので、なかなか御無理を申し上げても難しいということはよく存じ上げておるんでございますけれども、特段の配慮をさらにお願いを申し上げさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 そして、次、3番に行かしていただきます。
 事業認可区域の課題につきましてでございますが、同じようにやはり面整備がおくれていきますと、住民にとっての不都合、不利益というものが生じてまいります。事業計画区域で合併浄化槽を設置しようといたしましても、補助を受けることができず、いつ来るかわからない下水道を辛坊強く待ち続けるか、それとも補助なしで浄化槽を設置するかという選択を迫られることになります。
 そんな中で、この事業計画区域について今後どう考えられるのかということ、そしてまた、そういう場合に現実にもう町単で補助を出している町もある中、県費補助もお考えいただけたらなあというふうに思うわけですけども、いかがでございましょうか。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 下水道の事業計画区域については、おおむね5年から7年間で下水道整備が行われる区域を市町が定め、あらかじめ住民の方にお知らせし、下水道へ接続する準備をしていただくことになります。この区域が定められますと、国の制度上、新たに設置する合併処理浄化槽に対する補助ができなくなります。
 議員御指摘のように、面整備がおくれることにより住民の方の不利益を生じることは望ましいことではありません。このため、県では、市町の事業見通しに応じた区域設定を働きかけるとともに、整備がおくれるような場合は、おくれを取り戻すための事業進捗や区域の見直しを図るなど、市町における適切な対応を引き続き働きかけてまいります。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 現実に事業の進捗を進めるというのは、もう既に述べましたように、財政上大変難しい状況にあるということは、部長も御認識いただいてるところかと思います。
 そしてまた、計画区域の見直し、つまり縮小につきましても、やはり一旦その区域を定めて、そして時間が5年、7年でその整備が消化できないから、できないところは切って離していくというのは、現場の自治体としては大変難しいところでございます。そういうところで、県としても、できるだけ市町を応援するような気持ちで取り組んでいただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、4番の公共下水道と合併浄化槽についてお尋ねいたします。
 合併浄化槽の高性能化、高機能化が随分と進んでおりまして、公共下水道と同等の処理能力がある今、これまではやはり下水道を中心に汚水処理を考えてきたと思うんですけども、その見直しを図っていくべきではないのかなという視点からの質問でございます。
 まず第1に、下水道は1軒当たりのコストが──維持管理、更新費用も含めたライフサイクルコストでございますけども、合併浄化槽と比べまして大変高いものにつきます。特に、本県のように山間部や住宅が散在する地形が多い場合は、なおさら割高なものになってまいります。
 また、下水道は、第2に公共下水道整備地域と非整備地域の住民負担に格差が生じてしまいます。非整備地域の住民は合併浄化槽を設置するしかないわけですけども、これも合併浄化槽については100%の補助ではございませんので、この浄化槽設置の負担プラス自分が使えない公共下水道整備の費用も、税という形か何という形かで負担していかなければなりません。行政の公平性という観点からいたしますと、余り好ましい話ではないのではないかなというふうに考えております。
 従来、公共下水道は公共のインフラであり、合併浄化槽は個人のものであるから、個人負担に格差が生じてもやむを得ないというのが一般的な考え方であろうと思います。でも、生活環境や水質の保全・改善という目的的には同一のものであることを考えますと、できる限り負担の公平を図っていくべきではないかというふうに考えております。
 また、下水道整備には長期を要すること等も勘案して、本県の汚水処理人口比率を上げていくためには、もっと合併浄化槽に軸足を置いた政策への転換と、先ほど申し上げました、浄化槽は個人のものであるから、下水道整備区域の住民と非整備区域の住民に負担格差が生じるのもやむを得ないという考え方の転換をしていくべきではないかというふうに考えてございますけども、県のお考えをお尋ねいたします。よろしくお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 県では、人口密度の高い地域に適し、安定した処理水質が確保できる一方で、整備には時間を要する下水道等の集合の処理と、家屋が散在する地域に適し、管渠整備が不要で短期間で整備できる合併処理浄化槽の双方の特徴を勘案し、効率的・効果的な生活排水対策を進めているところでございます。
 昨今の人口減少等の社会情勢の変化によりまして、合併処理浄化槽のほうがより効率的・効果的に整備できると思われる地域が以前より多くなってきていると認識しており、市町に対し、集合処理区域を点検し、必要に応じ見直しを図るよう要請しているところでございます。
 合併処理浄化槽整備の負担軽減につきましては、先ほども申し上げましたように、今年度から単独処理浄化槽の撤去費用を新たに補助対象に加えたところでございます。また、行政が主体となって整備を進めることができ、個人負担をより軽減できる市町村設置型浄化槽についても、従来から市町村に対し、その導入を要請しているところでございます。
 県としましては、今後も引き続き、こうした取り組みを通じて市町村と連携し、効率的、効果的な汚水処理施設の整備に努めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 はい、ありがとうございます。
 それと、さっきからまずお礼を言うのを忘れてました。単独槽から合併浄化槽に変えるときの補助金を創設していただきまして、本当にありがとうございます。これは、私ども地方議会のほうでも、考えていただきたいというふうに要望させていただいてきた事項でございますので、ありがたく感じてございます。
 今後とも、どうかこの汚水処理人口比率が向上いたしますように御尽力いただけますことをお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時23分散会

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