平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、一般質問に早速入らせていただきます。
 第1の柱として、安全保障関連法案への政治姿勢について、順次、知事にお尋ねをいたします。
 ことしは、戦後70年の節目の年に当たります。終戦記念日を迎えた夏、特にこの8月は、二度と戦争の惨禍を繰り返さない、そういう思いを戦争体験者、御遺族、または戦争体験を引き継ぐ若者たち、このさまざまな県民、国民の皆さんが声を上げていらっしゃいます。
 私は、戦後70年の節目の夏、多くの県民、国民の中に、もう二度とこのような悲しみ、苦しみを繰り返さない、その思いが深く大きく広がっていると感じています。
 ここにあるのは、和歌山県遺族連合会が出版をされた、県内の戦争遺児ら38人の経験談を編んだ「あゝ大東亜戦争 遺児たちの歩んだ道」です。知事も巻頭に御挨拶を載せていらっしゃいますが、この手記には、戦争遺児たちがどんなにつらい道を歩んだのか、そして、今までは話すことができなかったその思い、また筆舌に尽くしがたいその体験が、それぞれの方の生きた言葉で語られています。
 戦争は、何の罪もない子供たちが犠牲になります。戦争を知らない次の世代に戦争体験を引き継いでいくためにも、こうした戦争遺児としての体験は、現在を生きる若い世代や子供たちにとっても身近に考えることのできる、そういうものだというふうに思います。
 「二度と戦争を起こしてはならない、私たちのような遺族を出してはならないとの信念で」、こんなふうに書かれておりました。戦争遺児の視点から、お一人お一人の手記を丁寧に編さんされた大変貴重なお仕事だというふうに拝見いたしました。
 私は、次に終戦後の教師がつづった1つの詩を紹介したいと思います。教え子を再び戦場に送らない誓いの詩です。
  戦死せる教え児よ 竹本源治
  逝いて還らぬ教え児よ 私の手は血まみれだ 君を縊ったその綱の 端を私も持っていた しかも人の子の師の名において 嗚呼!「お互いにだまされていた」の言訳がなんでできよう 慙愧、悔恨、懺悔を重ねても それがなんの償いになろう(中略)今ぞ私は汚濁の手をすすぎ 涙をはらって君の墓標に誓う 「繰り返さぬぞ絶対に!」
 戦後を迎えた教師にとって、戦前、戦中に疑うことなく軍国主義の一端を担ってしまった反省に立ち、もう二度と戦争には加担しないと誓ったこと、このことが戦後のスタートであったというふうに思います。
 日本国憲法の平和主義は、国際間のもめごとを、戦争という手段で、人殺しという手段で解決することはやめようということです。たとえ世界から紛争はなくならなくても、それを戦争にはさせない。このために人類は、歴史に学び、知恵を出し合い、平和な未来を切り開く責務があるのだと私は思います。
 今議会は、終戦記念日を迎えた8月に開会されました。戦後70年の節目の年に当たり、仁坂知事としての所感をまずお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) さきの大戦の終結から70年の節目の年を迎え、多くの県民、国民の皆様が万感胸に迫る思いをされたことと思っております。あの苛烈な戦争では、本県からも多くの若者が戦地に赴き、あるいはたび重なる空襲による痛ましい戦災により、幾多のとうとい命が失われました。
 そして、戦後、私たちのふるさとは、県民が一丸となって努力を重ね、困難を乗り越えて、荒れ果てた郷土の復興と目覚ましい発展の道を歩んでまいりました。
 私たちは、ともすると今日の平和で豊かな暮らしを当然のことのように享受しておりますけれども、現在のこの平和と繁栄は、戦争により心ならずも命を落とされた多くの方々のとうとい犠牲の上にあることを決して忘れてはならないと、改めて思っております。
 我が国では、戦後生まれの人が8割を超えました。太平洋戦争開戦の日や、広島、長崎への原爆投下の日を正確に答えられる人も年々減少していると言われております。70年という年月の長さを感じざるを得ないが、二度と戦争の惨禍を繰り返さぬように、その悲惨さ、平和のとうとさを後世に語り継ぎ、恒久平和の実現に努めることが、現代を生きる私たちの責務であると思います。戦没者の慰霊に真摯に取り組み、県主催の慰霊式を復活させたのも、そのあらわれであります。
 私は、戦後70年の節目の年に当たり、先人が懸命に築いてこられた郷土和歌山を県民の誰もが将来に夢と希望の持てるすばらしいふるさとにしていかなければならないと、決意を新たにしているところでございます。
○副議長(藤山将材君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
 私は、この平和な戦後が70年間積み重ねられてきた、70年間続いた、この意義は本当に大きいと思うんですね。
 ところが、今このままでは戦後80年を迎えられるのか、こんな声が上がり始めています。戦後何十年という節目を重ねることがこれで最後になりはしないか、この先、日本が戦争に巻き込まれる、加わっていくことになりはしないか、これが今、鋭く問われている。それが安全保障関連法案、いわゆる戦争法案の問題だと私は思います。
 安倍政権は、集団的自衛権行使容認を閣議決定しました。日本が戦争に巻き込まれる、他国の戦争に日本が加わっていくのではないか、その危険性を今多くの国民が肌で感じているのではないでしょうか。
 この間の国会審議を通じて、戦争法案の問題点が次々に明らかになってまいりました。集団的自衛権の行使は憲法違反だという違憲性の問題、そして、法的安定性は関係ないという、そういう暴言、また、後方支援は兵たん、ロジスティクスであり、自衛隊員が戦闘に巻き込まれる危険性が高まること、自衛隊が非人道的兵器の運搬をすることも否定されていないこと、防衛省内部資料(統合幕僚監部文書)が暴露され、国会にも出されていない重要な問題がどんどん先走りされていること、このような数々の大問題が国会審議で明らかになってまいりました。
 この統合幕僚監部文書問題に対しては、憲法学者らが声明を発表し、「合憲性に深刻な疑いのある法案について、成立を予定して検討課題を示すことは重大な問題である」と指摘した上で、「議会制民主主義のプロセスよりも、防衛実務の事情を優先した対応と言わざるを得ず、『軍部独走』という批判を免れない」と、こういうふうに批判をしておられます。
 内部文書を見てわかったことは、安倍首相が閣議決定のときに説明していた米戦艦に乗ったお母さんと子供たちを守るというようなことは1つも出てこないということであり、自衛隊と米軍が肩を並べて世界で戦う国にしたいということではなかったでしょうか。
 法案に批判的な世論と運動は急速に拡大しつつあり、私は、この憲法違反の戦争法案はきっぱりと白紙撤回、廃案にすべきだと考えるものです。
 今、県民、国民の世論は大きく揺れ動いています。国のあり方を国民みずからが主体的に議論するのが国民主権であり、戦前の中央集権の反省に立つ地方政治の使命から見ても、今般の安全保障関連法案は、県民の生命、財産とかかわる非常に重要な問題です。この間の国会審議や県民・国民世論の状況を踏まえ、和歌山県知事としての安全保障関連法案への政治姿勢をお伺いいたします。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 我が国は、戦後70年間の長きにわたり、平和と繁栄を享受してまいりました。これは、軍国主義に陥ってしまったという反省に立って、平和を心から希求する国民の不断の取り組みがあったからこそだというふうに思っております。もちろん、平和主義をうたった現憲法が果たしてきた役割も大きいし、一方、日米安全保障条約を初めとする外交的立ち位置も、紛争の防止に大いに効果を発揮してきたと私は思っております。
 一方で、憲法の施行から今日までの間、我が国を取り巻く安全保障環境は大きく変わりました。政府が「もはやどの国も一国のみでは自国の安全を守れない」と言っているように、時代とともに世界のパワーバランスが変化し、現在、アジア太平洋地域においても国家間の新たな問題が、あるいは緊張が生じていることは、報道されてるとおりであります。
 我が国の平和と安全を維持し国民の命を守ることは、政府の最も重要な責務であります。国の安全が保障されなければ、県民の命を、あるいは暮らしを守ることもできませんので、私たちも大いに関心のあるところだというふうに思います。
 政府は、安全保障に係る現在の体制が十分でないという問題認識に基づき、新たな法整備を図ろうとしておりますけれども、多くの国民の間には、御承知のようにさまざまな議論があると思っております。そのような議論を傾聴することはもちろん大事でございますけれども、ただ平和を唱え、みずからが平和主義的であれば事足りる、あるいは相手もそうしてくれるに相違ないと考えて防衛や安全保障や自衛権のあり方などということを議論したり、あるいは耳を傾ける、そういうことを嫌悪するということでは平和は守れないと私は思います。
 今回の議論においても、政府は説明が不十分だということがよくアンケート調査なんかで出てくるんでございますけれども、しかし、その同じ人が、どの部分についてどう聞きたいんだというようなことを果たして考えて言っとるのかというような点については、疑問なしともいたしませんし、あるいは説明を聞こうともしない人もいるかもしれないなあというふうに思います。
 ましてや、戦争法案とか、あるいは徴兵制になるぞなどというレッテル張りをすることに終始していてはどうかと思うことがございますので、例えば法案が成立することを前提に行政当局が実務とか運用とかを考えておくことすら否定するような話は、私には非常識のように思います。
 もちろん、中身については議論されるべきことでございますので、国民的にいろいろ議論するということは、これまた正しいことではないかと思いますが、法案を前提にして用意をしておくことはけしからんというのは、私も長く役人をやっておりましたし、今、県庁の役人を率いておりますが、もっとも変な議論だなあというふうに思う次第でございます。
 いずれにしても、国を守るということは大事なことですから、平和を願うというのは全員の、日本国民はほとんど、あるいは100%と言ってもいいかもしれませんが、我々の願いでございます。その願いをどうやったら実現できるのかということについては、真摯にみんなで議論したらいいんじゃないかというふうに考えております。
○副議長(藤山将材君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事から御答弁をいただきました。
 知事は、安倍政権の法整備の方針に理解を示されると同時に、その世論については、どうにも世論を見下したり、レッテル張りをしてるというふうに聞こえる節もありまして、私はそれはちょっと気になりました。
 そして、我が国を取り巻く安全保障環境が大きく変わった、こういうふうに政府の立場を理解するというお話だったんですが、そのことと安全保障関連法案の組み立てがさっぱり国会で説明がつかない、右往左往してる、同じ言葉をオウム返ししてるというのが、今の安倍政権の国会審議の状況だと私は思います。その安倍総理の言葉を、フレーズをもって法案への理解を示すことは、私は厳しく批判をせざるを得ません。
 今、多くの若者、女性、そして高齢者や中年も、多くの名もない市民が、政治的立場や、知事がおっしゃったような安全保障の考え方の違い、これを超えて戦争法案の行方、アメリカと肩を並べて戦争する国になる危険性を危惧しているというふうに私は思っています。
 そして、安倍政権が数を頼りに強引な国会運営を進め、国民の合意や国会審議を軽視したそのやり方に批判の世論が一層高まっているというふうに思っています。
 この8月末の1週間は、全国でも、そしてまた和歌山でも、歴史的な戦争法案反対の行動が計画をされ、戦後日本政治に記される大きな山場になるというふうに私は思っています。国会前でも地方でも、無名の若者や学生が、自分の言葉で、普通の言葉で平和主義、立憲主義、民主主義が語られている。私はそこに日本の未来を確信するものです。
 そして、戦争体験者が、その若者たちにまたエールも送っています。新聞の投書欄に掲載された「学生デモ 特攻の無念重ね涙」と題した86歳の元特攻隊員の投稿の一部を紹介したいと思います。
  安保法案が衆院を通過し、耐えられない思いでいる。だが、学生さんたちが反対のデモを始めたと知った時、特攻隊を目指す元予科練だった私は、うれしくて涙を流した。
  オーイ、特攻で死んでいった先輩、同輩たち。「今こそ俺たちは生き返ったぞ」とむせび泣きしながら叫んだ。(中略)
  天皇を神とする軍国で、貧しい思考力しかないままに、死ねと命じられて爆弾もろとも敵艦に突っ込んでいった特攻隊員たち。人生には心からの笑いがあり、友情と恋があふれ咲いていることすら知らず(中略)。
  若かった我々が、生まれ変わってデモ隊となって立ち並んでいるように感じた。学生さんたちに心から感謝する。今のあなた方のようにこそ、我々は生きていたかったのだ。
 この投稿に込められた思いや、戦前の地方行政に携わり、戦争遂行に加担してしまった反省の思い、これ、しっかりと胸に刻んでいただきたい、そういうふうに知事に要望するとともに、私ども日本共産党県議団は、和歌山県内、全国津々浦々に広がる戦争法案反対の世論とともに、議会内外で一層奮闘する決意を改めて表明するものです。
 続いて、2つ目の柱に移らせていただきます。
 河川、水路の一体的整備についての質問です。
 本日も台風15号が接近中であり、その影響が心配をされています。ことし7月の台風11号のときには、有田管内において、広川町内で500ミリを記録するような豪雨となり、広川、江上川で河川が氾濫をし、また水路があふれ、町なかでも長時間にわたって浸水被害が出ました。広川、江上川ともに、堤防が決壊したところでは、大量の土砂やごろごろした岩石が田畑に流れ込み、大きな被害が出ました。JRきのくに線では、のり面崩壊により電車が通行不可能となり、特急がとまり、普通列車もバス振りかえ運行を余儀なくされました。
 広川町では、昨年秋の台風11号でも同様の大きな浸水被害が出ており、これまでは10年に1回程度だったこういった被害が、このごろはこうして毎年のように家屋や田畑を襲っているという状況です。この地域では、前門の虎、後門のオオカミ、こんなふうに例えられているように、海から襲いくる津波と、それから背後の山から押し寄せる広川、江上川の洪水に悩まされてきた歴史を持ちます。
 議場に配付している資料をごらんください。平野部における、広川と江上川の流域を地図に示したものです。私は、この地図をつくるための調査をするまでは、広川と江上川の間には、どっちの川に流れているのかよくわからない、そういう水路が複雑に絡み合っているなあ、そういう地形だなというふうに思っておりました。
 ところが、ごらんのように、広川はこの奥にずうっと広い流域面積を持ってるんですが、河口部に行くと広川の流域面積というのはううんと狭くなって、もう川本体だけになっているんですね。平野部の農地や市街地の排水は、広川へは行っていないんですね。
 また、南側、お隣の江上川は、流域面積約4平方キロメートルの小さな川でありますが、広川との間にある上中野のほうまで、かなり無理した形でこの集水域が伸びていることがわかりました。
 そして、この広川と江上川との間には、そのどちらの流域にも属さないエリアがあること──この中央部分のところですね。空白のところ──雨水が川へと流れずに農業用の水路や小さな水路を伝わって網の目のように広がり、最後は海に流れるというエリアがあるということを私は再認識をしました。
 注目していただきたいのは、広川と江上川のどちらの流域にも含まれないその空白エリアが、結構奥に向かって広くて、海岸部でなく上流部に向けて南金屋のほうまで伸びてるんですね。これは、平野部の田んぼに水を引くために、先人たちが苦労して水路を延ばし、上流の横の谷水まで水田に水を取り入れるために水路を延ばした苦労の跡だというふうに思うんですね。
 ところが、田んぼに水を引くための細く緩い勾配の農業用水ですから、大雨のときの水を排水する機能は持ち合わせていません。ですから、水路をあふれた洪水が平野部の田んぼや畑を海のように覆い尽くし、そしてその洪水がそのまんま海のほうに向かって流れて、そのまま町なかへ流れ込んで、道路の上も家屋もプールのような浸水をする。そして、最後には海に向かって流れていくということになっているんですね。
 この地域の浸水対策のために、これらの水路を拡幅したり流れを変えたりすることは、用地の確保であったり利害関係の調整に困難を抱えることが多くて、これまでなかなか進んでこなかったようです。加えて、この平野部を海岸線に並行して横切るJRの線路があって、これが堤防のようになってて、この下をくぐらせて水路が通るんですが、通水断面を拡大するには多くの費用がかかるためになかなか進んでいない。これはどこにもあることだと思います。
 今後、広川町内の町なかの浸水対策のためには、水路や用水路の整備に加えて、道路の側溝を整備することによって必要な排水路の機能を強化したり、また、新たに道路の中に排水路を埋設して整備をするというような、河川とともに道路やまた下水、水路整備、こういったものを連携させて対策を進めるべきではないでしょうか。
 県が策定する河川整備計画は、県管理である河川の本川があふれないようにするというのが中心課題となるわけですが、本川やこの狭い流域のことだけ考えていたらだめだと思うんですね。
 今般、県が広川の河川整備計画を策定するに当たっては、広川本川など県管理部分の線的な整備にとどまらずに、面的に流域の降雨、出水のメカニズムを分析し、市町村管理の水路や、また水利組合などが管理している用水とあわせ、市町村とともに一体的な整備を進める契機とすべきだと考えますが、いかがでしょうか。県土整備部長の答弁を求めます。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 現在、県では、平成29年度末までを目標に、広川も含めた主要河川の河川整備計画を策定することとしています。
 この河川整備計画の策定に当たっては、各地域の実情を踏まえた浸水対策を検討する必要があることから、河川や流域の特性、過去の浸水被害の状況等を踏まえた上で、地域の意見も聞きながら具体の整備内容を検討することとしています。
 特に、広川のように、地域に降った雨が排水能力を超え、河川に流れ込む前に水路等があふれる、いわゆる内水氾濫が頻発する河川においては、市町村を中心とした水路管理者における排水対策が重要であり、これらと一体となった総合的な浸水対策を検討する必要があると考えています。
 広川の河川整備計画については、今後検討が本格化することとなりますが、まずは町の行う排水対策を検討いただくとともに、県としては河川改修と一体となった効果的、効率的な浸水対策が実施できるよう調整を行ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からは、市町村とよく協議しながら整備の計画や一体的な検討、調整をしていくという答弁だったというふうに思います。
 その地域の特性は、歴史的な経過や地理的条件が重なり合っているものです。その上に立って、宅地化や集中豪雨などの今日的な変化に対応しなければなりません。既存事業のメニューの限界とか、縦割りの押しつけ合いで終わることなく、住民の声をよく聞いて要望にしっかりと応えられるよう、広川町を初めこうした課題を持つ市町村とともに県が知恵を絞り、しっかりと対策が実施されるよう、重ねて要望をしておきたいと思います。
 続けて、3つ目の柱である地方創生についての質問に移らせていただきます。
 和歌山県の地方版総合戦略、和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略が和歌山県長期人口ビジョンとともに示され、5年間の目標を定めて取り組みが始まっています。県議会としても、半島振興・地方創生対策特別委員会で議論をスタートさせたところです。
 今回の一般質問では、総合戦略の中心的な課題の1つである子育て支援、この分野で県が総合戦略で掲げた目標と方針を今後どう具体化していこうとしているのかを質問したいと思います。
 県の総合戦略において、基本目標の3つ目に少子化を食いとめる、これを位置づけ、出会い・結婚の支援と妊娠・出産・子育ての支援という2つの柱を立てています。
 今、若者の間では、低賃金で不安定な雇用条件や長時間過密労働が蔓延する中、どうしても結婚年齢が遅くなる傾向があります。また、若い世代の経済的貧困が指摘されている中、子育てに係る経済的負担は非常に重くなってきていると言わざるを得ません。
 子育て支援という分野では、若い世代への経済的負担軽減や労働環境改善などが特に重要であると考えますが、県として、総合戦略に示されたこれらの課題と目標を今後どう具体化し、現行の施策の充実をどう図っていこうとしているのか、福祉保健部長並びに商工観光労働部長より答弁を願います。
 次に、国の方針では、人口減少に対応するためとして拠点都市への集中が進められようとしています。しかし、この間の合併市町村の総括から見ても周辺部の疲弊は深刻であり、選択と集中による周辺部の荒廃が人口流出を一層加速させるとともに、災害に弱い国土をつくるのではという問題提起がされています。和歌山県の総合戦略の中では、連携中枢都市圏など市町村間の地域連携がうたわれていますが、これらの具体化については県としてどう進めていく考えなのか。これは総務部長より答弁を願います。
 この問題の最後に、県内市町村の総合戦略策定に向けた支援と連携についてお尋ねをいたします。
 和歌山の誇る地域資源を活用し、新たなエネルギーを生み出すためには、広域自治体である県とともに基礎自治体の役割が決定的に重要であると考えます。県内市町村でも地方版総合戦略の策定作業が進行中ですが、この計画がコンサル任せの金太郎あめのようなものではなく、しっかりとした議論を重ね、知恵を出した内容豊かな計画に練り上げることが求められています。市町村に対し県は、先行型の交付金獲得のために10月までの計画策定を呼びかけました。決して急がせているわけではないと、そんなふうに言われながらも、市町村は、長期総合計画や地域政策のさまざまな計画策定と重なり、その整合性の調整や時間的制約などに苦労しているのが実情だと思います。
 県内市町村の総合戦略策定に向けた進行状況はいかがでしょうか。県内市町村が地域性を生かした実効性ある計画を策定できるように県としても支援と連携をと、6月の特別委員会でも求めてまいりましたが、現在の状況、そして今後の方向性について、総務部長より答弁をお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 和歌山県版総合戦略における子育て支援策については、子育て家庭の経済的負担の軽減を図るとともに、働きながら子育てができるよう、多様な保育ニーズに対応した保育環境の整備を目指しているところです。
 経済的負担の軽減としては、紀州3人っこ施策による多子世帯の保育料無料化や就学前の乳幼児医療費助成を引き続き実施してまいります。
 また、仕事と子育ての両立支援としましては、直接的な事業実施主体である市町村と連携し、保育所の待機児童解消や放課後児童クラブ、ファミリーサポートセンター、一時預かり、病児保育などの多様な保育を充実してまいります。
 また、今後示されてくる地方創生の交付金の活用を視野に入れながら、若い世代も安心して子育てを行うことができるよう、さらなる子育て支援策の充実に努めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 子育て支援のためには、育児休業の取得や長時間労働の抑制等、男女ともに仕事と子育てを両立することができる働きやすい職場環境が重要であると考えております。また、女性の労働力への期待が高まる中で、女性が働き続けられる職場環境づくりを進めることは、人材確保や定着率の向上など、安定雇用や企業の成長にもつながると考えております。
 こうした取り組みを進めるためには、経営者の理解や意識改革が大きなポイントであることから、さまざまな機会を捉えて経営者に向けた講座を行ったり、労働局と連携して企業を訪問するなど、企業のトップに対して直接働きかけを行っております。また、ホームページで職場環境づくりに積極的な企業の実践例を紹介するとともに、社会保険労務士を企業に派遣して、働きやすい職場環境づくりのためのアドバイスを行っているところです。
 今後も、計画期間内に1500社の事業所へ訪問等を行い、仕事と子育てを両立することができる職場環境づくりを促進してまいります。
○副議長(藤山将材君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 連携中枢都市圏などの広域連携制度につきましては、コンパクト化だけでなく、ネットワーク化をうまくあわせて進めていくことが重要であるというふうに考えております。
 コンパクト化につきましては、公共施設や行政サービスを一定の拠点となるエリアに集約することで、高齢化や人口減少が進む中での都市機能の維持や効率性を高めつつ、よりよいサービスを提供することを可能にするものでございます。一方で、ネットワーク化につきましては、圏域内の拠点となるエリアや周辺の居住地を公共交通や情報通信網などのネットワークでつなげることで、集約された都市機能を圏域全体で活用できるようにするものであります。
 これらのコンパクト化とネットワーク化をあわせて行うことにより、単独では今後維持することが困難となることが想定される生活関連機能サービスなどを圏域全体で維持・向上させるなど、地域と地域が共存共栄できるように取り組んでいくものでございます。
 現在、関係市町村と協議を進めているところでございまして、例えば和歌山市と近隣市町におきましては、広域連携に関する検討会を立ち上げまして、どのような事業で連携が可能か、またそれによりどのような効果があるのかなどにつきまして議論を重ねているところでございます。
 県としましては、総合戦略にございますとおり、行政間の効率的、効果的な連携につながるよう、引き続き、これらの取り組みに対し積極的な支援を行うとともに、活力ある和歌山の創造に向け努力してまいりたいと考えております。
 次に、県内市町村の総合戦略策定の状況でございます。
 7月に行ったアンケート結果によりますと、16団体において10月末までに、その他の団体においても年度内に総合戦略を策定する予定というふうになっております。
 次に、県は市町村の総合戦略策定の支援となるよう和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略を早期に策定したといった、これも市町村支援の一環だというふうに考えております。
 また、市町村の総合戦略が実効性のあるものとなるよう十分な意見交換や協議を行う場を設けるために、和歌山県まち・ひと・しごと創生連絡会議を開催するとともに、市町村に対する情報提供や相談受け付けなどを行うワンストップ窓口を設置しているところでございます。引き続き、市町村の求めに応じたきめ細やかな支援を実施してまいります。
○副議長(藤山将材君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 各担当部長から答弁いただきました。
 具体化ということについては、まだこれからだということだと思います。この総合戦略の中で、なぜこの目標を設定し、どうやってそれを具体化させていくのか、今後とも議論を重ねていきたいと思います。
 今後、国の新型交付金もしっかりと活用しながら、今後の県のさまざまな分野の施策において必要な拡充や新たな支援策をしっかりと講じられるように重ねて要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。

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