平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(全文)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成27年9月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成27年8月25日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第146号及び議案第147号(当局説明)
 第2 議案第119号から議案第147号まで
(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第146号及び議案第147号(当局説明)
 第2 議案第119号から議案第147号まで
(質疑)
 第3 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     野尻邦彦
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課副主査     中尾祐一
 総務課長       西原龍也
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第121号から議案第123号までは、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。また、知事から健全化判断比率及び資金不足比率報告書の提出が、監査委員から監査報告がありました。いずれもお手元に配付しておりますので、御了承を願います。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第1、議案第146号及び議案第147号を一括して議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました議案第146号及び第147号は、平成26年度の歳入歳出決算及び公営企業決算について認定を求めるものです。あわせて、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づく健全化判断比率等の報告書を提出しております。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようにお願い申し上げます。
○議長(前芝雅嗣君) 次に日程第2、議案第119号から議案第147号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 25番山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕(拍手)
○山本茂博君 皆さん、おはようございます。9月議会トップバッターを務めさしていただきます。
 台風15号、けさ早く九州のほうに上陸いたしました。そして、日本海のほうにもう行ってしまったということで、本当に和歌山県、被害がというよりも、ほんまに遠くへ行ってしまったんでよかったなというふうに思ってます。そしてまた、職員の皆さんも、やれやれやなというふうに思ってるんじゃないかなと思います。
 また、この9月議会、御存じのように、1カ月早く開催されるようになりました。それは、皆さん御存じのように国体ということであります。国体については、後から質問もさしていただきますが、県民総参加で、国体成功に向けて、職員ともども、我々も協力して頑張っていきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、一般質問に入りたいと思います。御清聴のほど、よろしくお願いいたします。
 紀の国わかやま国体開催まで1カ月と迫ってまいりました。もう1カ月です。国体にかける知事の意気込みについてお伺いをいたします。
 昭和46年の黒潮国体以来、実に44年ぶり、そして2度目の開催となっております紀の国わかやま国体開幕まで、本当にもう1カ月です。仁坂知事が就任されて、平成19年の1月議会で招致議決されて、実に8年以上の経過を経て、いよいよ開幕を迎えます。
 これまで、この議会において、この4年間で12名の議員さんが本会議で質問されております。その中には、今先ほども申しましたけれども、県民総参加、そして広報宣伝、男女総合優勝、宿泊計画、経済波及効果などを、そしてまた、おもてなしの心、施設整備、競技力向上などのさまざまな質問をされております。まさに質問されたその経過がこれから、関係者の皆さん大変だろうとは思いますけども、1カ月、悔いのない準備をされ、そして万全を期した中での国体成功だと、成功に向けていくことだろうと思います。
 私ども、地元であります岩出市でも、ハンドボール、そしてバドミントン、ボウリングの3競技が開催されますけれども、市の職員の皆さん初め競技関係者の皆さんが、本当に日々準備に奔走しておられます。みんなが何としてもこの国体を成功させるんだという意気込みが伝わってきております。もちろんのこと、この岩出市に限った話ではなく、県を初め他の市町村でも同じだと思います。
 また、我々県会議員も、尾崎要二会長のスポーツ議連において、毎議会ごとに国体の進捗状況について説明を受けて、国体成功に向けて全面的にバックアップしていこうという体制をとっております。
 国体は、国内最大かつ最高のスポーツの祭典であります。選手や監督を初め、県議会議員の1人として、和歌山に来てくれた全国の皆さんが、和歌山の国体はよかった、そしてまた和歌山に行きたいと言っていただけるようなすばらしい国体にしてほしいなあというふうに思います。
 また、先月28日、高校総体の開会式がビッグホエールで行われました。皇太子殿下が本県に行啓されたわけですけども、そして、広川町の稲むらの火の館、紀州漆器伝統産業会館、また紀北地方においては神願寺、宝来山神社、文覚井を視察されたと聞いております。沿道には、近畿各府県から機動隊、そして警察官の方が警備をされて、本当に物々しい様相でありました。私も、手を振りに、旗を振りに参加さしていただきました。
 そのときに住民の皆さんが、皇太子殿下のお迎えに、国旗を持ってお迎えをされたわけですけども、この岩出市において沿道16カ所を用意してたのですが、その中の1カ所当たり200の旗、200人を予定してたらしいんですけども、もう足らなんだというぐらい、そのぐらい沿道にたくさんの人がお見えでありました。
 今度、国体ということで、天皇・皇后両陛下が行幸啓されます。また、皇族の方々もお越しになるとお聞きしております。高校総体は、国体のリハーサル的要素があったんかなあと思いますが、残すところ1カ月に迫った中で、国体開催に向けた準備の状況はいかがでしょうか。そして、参加された全ての人にすばらしい国体だと思っていただくため、どのような国体を目指しておられるのか、開幕を控えた時点での知事のお考え、意気込みをお聞かせいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの山本茂博君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) これまで、私は、紀の国わかやま国体開催に向けて、競技施設の整備、トイレ大作戦を初めとするおもてなしの向上、選手の競技力の強化、近畿自動車道、京奈和自動車道などのアクセス面の整備を目標として取り組みを推進してまいりました。国体の開幕まであと1カ月になりまして、開催に向けた準備の総仕上げに取り組んでいるところでございます。
 まずは開催運営で、運営に従事する実施本部員の熟練度を高めるため、順次、研修を実施しているところであります。また、開閉会式の式典演技では、厳しい暑さの中、出演者の皆さんが練習を重ねてくれていまして、近く総合リハーサルを実施して全体の流れを確認して万全を期してまいりたいと考えております。
 さらに、県内主要駅や会場地周辺の清掃、花やのぼり等による装飾を行うとともに、「笑顔で声かけ」の輪を広げ、県民総参加でおもてなしに取り組んでまいりたいと思います。
 これらの取り組みにより、和歌山はよかった、また和歌山へ来たいなあと思っていただくとともに、和歌山県民に誇りと自信が持てるような国体を目指して、あと残された時間は少ないですけれども、頑張っていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 次にですが、男女総合優勝に向けた見通しについてであります。
 国体の男女総合優勝に向けた見通しについてお伺いいたします。
 国体といえば、県民の皆さんが気になるのは、男女総合優勝が果たせるのか、そして天皇杯を獲得するのかな、できるのかなということじゃないかなと思います。過去の国体の長い歴史を見ても、昭和39年の第19回新潟国体以来、毎年、開催県が天皇杯を獲得されておりますけども、その間、唯一、平成14年第57回大会の高知県だけが天皇杯を獲得されておりません。
 本県の場合、知事は、就任直後から男女総合優勝を目指すと公言されております。また、競技力の向上に積極的に取り組んでこられた結果、最近では、全国大会のみならず、国際大会でも優勝や上位入賞して、新聞などにも取り上げられることも多くなってきております。これなら天皇杯獲得も夢ではないかなと感じている県民も多いんではないかなと思います。
 もちろん、勝つか勝たないかは、まずやってみないとわからないんですけれども、十分発揮できるよう県民が一丸となってチーム和歌山の選手たちを応援し、支えていくことで郷土愛も高まることだろうと思います。また、その結果として、天皇杯獲得という最高の結果につながることになると思います。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 男女総合優勝に向けて、知事はどのような手応えを感じておられるのか、また、選手たちへのエールの気持ちも含めた答弁をお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀の国わかやま国体の男女総合優勝に向けては、これまで、県体育協会や各競技団体で構成する和歌山県競技力向上対策本部において、毎年度の目標設定や各競技の強化方法の計画を立てて取り組んでまいりました。その結果、本年度におきましては、レスリング競技、水泳競技、アーチェリー競技などにおいて全国大会での入賞や、さらには国際大会で入賞するなどの成果があらわれてきており、私は手応えを感じているところでございます。
 もう再来週から水泳などの競技で会期前の本番が始まりますし、他の競技も、これから本番までの1カ月間は特に大事な時期と考えております。青年種別、少年種別とも、遠征や強化練習、合宿、メンタル面の強化などに引き続き取り組み、選手が万全のコンディションでプレッシャーに打ち勝ち、持てる力を十分に発揮できるようにすることが男女総合優勝につながるものと考えております。
 さらに、県民の皆様には、ぜひ会場にお越しいただき、会場いっぱいの応援で本県選手団を後押ししていただきたいと思います。そうすることでチーム和歌山の選手の士気も高まり、男女総合優勝をより確実なものにできると考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 ありがとうございます。
 力強い思いが我々に伝わってきたんかなと思います。県民総参加で国体を盛り上げていただきたいと思います。
 きのう、ふるさと切手「第70回国民体育大会」が仁坂知事に日本郵便株式会社から贈呈されたというふうに聞いてます。また、記念切手が28日に発売されるということであります。また、各地域において炬火イベントが実施されております。また、県民みんなできれいな和歌山にしようということで、県内において、紀州路クリーン大作戦''15とタイアップして県内一斉クリーンアップデーを設けると言われております。岩出市において、8月22日、クリーンアップ運動ということで、総合体育館周辺で掃除もさせていただきました。それだけ県民総参加の醸成が整ってきたんかなというふうに思います。
 優勝を合い言葉に、これから国体大成功に向けて皆さんとともに頑張っていこうではありませんか。要望といたします。
 次に、マイナンバー制度についてお伺いいたします。資料も見ていただけたらと思います。
 マイナンバー制度は、平成25年5月に、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、そして関連法律の整備法、地方公共団体情報システム機構法、内閣法等の一部を改正する法律のいわゆるマイナンバー関連法案4案が成立いたしました。
 法律では、その目的を、全国民に対して一人一人異なる番号を付し、「行政事務を処理する者が、個人番号(中略)の有する特定の個人(中略)を識別する機能を活用し、並びに当該機能によって異なる分野の情報を照合してこれらが同一の者に係るものであるかどうかを確認する(中略)情報システムを運用して、効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにする」とあります。そして、「国民が、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手続その他の利便性の向上を得られるようにする」と規定されております。これだけ見ても、聞いていただいても、なかなか複雑でわかりにくい制度じゃないかなと思います。
 そこで、マイナンバー制度の全体像、概略、それについて、総務部長、お伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) マイナンバー制度は、住民票を持っている全ての住民に1人1つの12桁の番号を付すものでございます。これは、社会保障、税、災害対策の分野におきまして効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを効率的に確認するために活用されます。
 マイナンバー制度の期待される効果としましては、大きく3つ挙げられているところでございます。
 1つ目は、公平・公正な社会の実現でございます。所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に逃れることや給付を不正に受けることを防止することができるとともに、本当に困っている方々にきめ細やかな支援を行えるようにすることを目的としております。
 2つ目は、県民の利便性の向上でございます。行政手続におきまして、添付書類をつけることがございますけれども、こういった添付書類が削減されるなど手続が簡素化され、県民の負担が軽減されることが予定されております。
 3つ目でございますが、行政の効率化でございます。行政機関でさまざまな情報の照合、転記、入力に要している時間や労力がこれによって削減されるというふうに考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 ありがとうございました。
 今の話はここに書いてます、概略は。見ていただいたらと思います。
 次に、県民や事業者への周知、広報についてであります。
 県民や事業者への周知、広報について、ことし10月にマイナンバーが通知されて、来年1月からマイナンバーの利用が始まるということですけれども、マイナンバーを利用する県民や事業所において制度の仕組みが十分に周知されてるんでしょうか。現在発行されている住民基本台帳カードが個人番号カードにかわることや、事業所においては従業員のマイナンバーの収集、保管が必要とのことですが、現時点では、このようなことを含めて、マイナンバー制度についてきちんと理解している県民や事業所は非常に少ないんではないかなと思います。
 先日、私は、岩出市で開催されたマイナンバーの説明会に出席いたしました。200人余りの市民及び個人事業者の方が参加されておりました。この200人の中では、新聞の切り抜きを持って参加されてる方もおられました。そしてまた、個人事業主の方もおられました。それだけ興味のある方が来られたと、それが200人です。
 このような今後の説明会に加えて、さまざまな方法で県民や事業者への周知を徹底していかなければならないと思います。まず、そこで、マイナンバー制度の周知、広報について、総務部長にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) マイナンバー制度の周知についてでございますが、国、県、市町村におきまして、県民や事業者に対しまして、説明会の開催、冊子・リーフレットの配布や広報紙・ホームページへの掲載など、さまざまな広報を行っているところでございます。
 県民の方々に対しましては、制度の概要、スケジュールを初め、例えば、来年1月からは、現在発行されている住民基本台帳カードにかわりまして、新たに、氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバー、顔写真などが表示された個人番号カードの発行が開始されることなどにつきましても、わかりやすく説明を行っておるところでございます。
 また、対象者を事業者に限定した説明会も開催しており、その中で、事業者が行うべき手続、個人情報の安全管理措置や法人番号などにつきまして、詳細な説明を行っておるところでございます。
 県としましては、広く県民や事業者に広報、周知できるよう、引き続き県内各地で説明会を開催するなど、国、市町村とも連携しながら、よりきめ細やかな対応を行ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 ありがとうございました。
 僕は、きめ細やかな対応ということで総務部長もおっしゃられましたけども、本当に対応してほしいんです。
 というのは、私も先ほどから話をさしていただいておりますが、岩出市で説明会があったときに、マイナンバーカードと──そしてマイナンバーが要するに通知されるわけですね。そして、マイナンバーと個人番号カード、そして住基ネットカードと、このカードはどこが違うんかと、それの説明が、県と、そしてから市と、そして国税局の話があった中で、どうもちょっとわかりにくいんです。マイナンバーというんと個人番号カードは一緒なのに、そのやつを違うような感じで言っておられたんで、非常にわかりにくかった。
 それはなぜかと言ったら、これは多分、御存じのように、1970年代に国民総背番号制ということで番号というのが国民の間につけられるという、そういう国が国民を管理するということ、これがあるということで、多分、反対になった経過がある。その結果、マイナンバーと個人番号は違うんだと。要するに、個人番号をマイナンバーに変えたという経過だと思います。だから、非常にわかりにくくなってんのが現実かなと思いました。
 そして、今皆さんのお手元にあるように、この本の18ページの内容、皆さん理解したらいいんです。これ、皆さん、僕のところは200人来られてましたけれども、私のところの市民が皆理解できるだろうか。例えばお年寄り、独居老人でお一人で住んではる方、その方のところに通知カードが来たときに果たしてどういう対応をするんだろうかと、そういうことを心配しました。そのときに、民生さんに頼ると、個人情報の保護という観点からできないですね。そのときに、老人の方はどこに相談するんでしょうか。
 しかし、このカードは、皆さん、国民全員に振り与えられるわけです。そういう重要なカードを本当に紛失したらどうするんでしょうか。そのときには、警察へ紛失届を届けなければならない。そういったことが全然わからないのがこのマイナンバーの特性になってるのかなあ。非常にわかりにくくなってんのが現状だと思います。
 そしてまた、子供さんのいる家庭があったとしたら、小学生も含めてのそういうカードの取り扱いを、家族で家族会議して、どうするんやということを決めなければならないんか。そんなことも考える、そういう制度であるということであります。
 また、先ほど周知徹底の話をさしていただきましたけども、もう本当に制度自体がわからない。要するに、日本商工会議所が中小企業3386人を対象に行った結果、制度自体がわからないという人が7%、何をすべきかわからない人が41%ということで、本当に理解が行き届いてないのが現状だと思います。
 また、この説明会も6市町しか行ってません。市町村職員向け含めて、御坊、田辺、岩出、新宮、かつらぎ、古座川町、これだけです。あとの市町村はどうされてるんでしょうか。あと8回予定あるということですけれども、これからどうするんでしょうか。そういうふうな思いがあります。
 そしてまた、個人番号カード、これについて、僕は、個人番号カードはもう絶対必要になってくると、そのように思うんです。というのは、これからさまざまなサービス、例えば年金、医療、介護、子育て、そして図書館利用、印鑑証明、コンビニでの住民票をとることなど、やっぱりこれから個人カードは便利になってくると思います。そのために、県としても、図書館カード、要するに県立図書館のやっぱり利用ということもこれから入ってくると思うんです。今まで市町村任せになってるけども、それをやっぱり県としても、独自のそういう政策というのが必要になってくるんかなと、このマイナンバーカードというのは。それだけ重要なカードです。それだけに、ぜひ皆さんに周知徹底のほど、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。それは要望とさしていただきます。
 次に、セキュリティー対策についてであります。
 個人情報の保護等についてのセキュリティー対策は、県、市町村や事業所、県民、従業員のマイナンバーを収集、保管するなどの取り扱いをすることになりますが、大切なマイナンバーの個人情報が漏えいしないか、大変懸念されるところであります。先ほど、答弁の中でも個人情報の安全管理措置という言葉がありましたが、セキュリティー対策には万全を期さなければならないと考えます。
 そこで、具体的に、事業者等は、個人情報保護のため、どういった対策、対応をとらなければならないのか、県の取り組み状況も含めて総務部長にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 個人情報の保護、セキュリティー対策についてでございますが、マイナンバーを取り扱う国、県など行政機関や事業者は、マイナンバーを含む個人情報の漏えい、紛失を防ぐために適切な安全管理措置をとることが求められております。
 具体的には、組織的、人的、物理的、そして技術的な面での4つの措置でございます。
 まず、マイナンバーを取り扱う担当者や取り扱い責任者を明確にすることや、従業員に対するマイナンバー制度の周知、研修の実施、のぞき見をされない座席配置の工夫、より厳重な書類の保管やパソコンへのウイルス対策ソフトの導入などとなっておるところでございます。
 県としましては、今後とも、事業者、市町村等に対しまして、個人情報の保護を図るため安全管理対策を徹底するよう必要な助言を行ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 ありがとうございました。
 セキュリティーについては、もう日本年金機構の話もありましたし、国、県ということで、これからサイバーセキュリティ戦略本部等、内閣でも体制を整えるということでございますんで、ぜひセキュリティーのほう、よろしくお願いいたしたいと思います。
 また、会社組織で、もう大会社とかというたら、そういうコンプライアンス、法律遵守ということでされるんですけども、個人事業主、私とこもコンビニやってますけども、そういったところで私が個人情報の管理というのは、個人事業主というのは非常に難しいかなというふうにも思います。そうした中でのセキュリティー、やっぱりそういう対策についての方策をぜひ皆さんに教えていただきたいなというふうに思います。要望といたします。
 次に、京奈和自動車道についてであります。
 京奈和自動車道については、これまで、国に対して早期供用を強く要望してきました。また、8月5日には、和歌山県京奈和自動車道建設促進協議会の通常総会の開催などに参加させていただき、建設促進に向けて精力的に取り組んでまいりました。そして、記者発表があり、9月12日に岩出根来インターまでが開通するということであります。今思うと、やっと開通かいという思いであります。その2週間後には、紀の国わかやま国体の開会式が控えてます。
 昨年3月30日、紀北東道路の開通式典の時点においては、国体まで京奈和自動車道と阪和自動車道を接続し全線開通を目指すということで、国、県、市の間で確認されていたとお聞きしております。岩出市としては、地元の期待も大きく、何とか間に合ってほしかった、そんな気持ちでいっぱいです。
 用地買収、工事等のおくれで阪和自動車までの接続がおくれたことはしようがないと理解いたしますが、1つ気になることがあります。それは、来年度に予定されている阪和自動車道和歌山ジャンクションまでの開通の間は岩出根来インターが端末になるので、特に県外からの多くのお客さんが来県される国体開催中を初め、岩出市内のアクセス道路が渋滞に悩まされないかということで心配です。
 そこで、渋滞対策について十分なのかどうか、知事にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 京奈和自動車道は、関西大環状道路の一部を形成し、関西都市圏の拡大に寄与するところであります。これまでの整備進捗により、国道24号を初めとした周辺道路の混雑解消や沿線の企業立地の増加等の効果があらわれているところであります。
 今回開通する紀の川インターチェンジから岩出根来インターチェンジ間は、国体会場への円滑なアクセス向上に大きく寄与すると考えるところでございますが、一方、岩出根来インターチェンジが端末となることで、交通の集中による周辺道路への影響が懸念されるということは、議員御指摘のとおりでございますので、これまで国や関係機関とともに対策を打ってまいりました。
 具体的には、県道泉佐野岩出線のほかに、新設される市道根来安上線を利用する複数のアクセス道路を確保するとともに、国道24号備前交差点や県道粉河加太線の主要な交差点において改良工事を実施してまいりました。
 これらの対策によりまして、渋滞緩和に一定の効果を発揮するものと考えておりますけれども、開通後の交通状況を見て、必要があれば追加の対策も検討してまいりたいと考えております。
 県としては、残る和歌山ジャンクションまでの区間の開通が最も重要であると考えておりまして、平成28年度に完成というふうに国交省が言明しておりますけれども、できるだけ早く開通してもらえるように、引き続き国に働きかけてまいりたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕
○山本茂博君 ありがとうございました。
 渋滞対策について、国、県協力のもと工事が進められてるということで、本当に感謝申し上げたいというふうに思ってます。
 要望ですけれども、京奈和自動車道と、そしてこの根来インターを結ぶ縦の線といったら、府県間道路の泉佐野岩出線です。この岩出根来インター、これが無料区間、亀山までの間──天理と郡山の間だけはお金は要るんですけども──多分、岩出を起点として、ずうっと亀山までただの区間がいけると思うんです。それだけ、この岩出のインターが、やっぱり渋滞を含めて車が本当に多くなるんではないかなというふうに思います。
 この前に県道泉佐野岩出線の期成同盟会がございまして、ちょうどそのときに府の岸和田所長さんが、平成22年度は交通量は1万9000台で24年は2万600台だったということで、8%の伸びがあったと。しかし、まだ8%の伸びだったら、今、トンネルは暫定4車線になってるんですけれども、それを4車線化にというのはちょっと難しいなということだったんです。
 そういったことを含めて考えたら、これから、多分、起点となればもっと交通量がふえるだろうと。ふえるときには、ぜひ知事に、大阪府側に要望をして4車線の開通ということでお願いしたいなというふうに思います。
 それと、もう1点、南伸についてであります。
 ちょうど岩出橋、平成29年に4車線の開通がなされるということで、本当にもうありがたく思っておるんですけれども、さて、そこに岩出橋ができて、ちょうど行き当たりが船戸の3差路になると。その時点ではそこの部分はどうなるんだろうと、渋滞にならないのかという心配が1点あります。
 いろいろと南伸に向けての事情というのがあると思うんです。それは、私も事情もわかります。しかし、私ども、この岩出に住んでても、もう多分大阪を向いての話で、府県間道路をつけてくれ、関空に向いてのアクセス道路やからつけてくれという話だと私どもも思うんですけども、反対に和歌山県のことを考えると、南伸のほうでいくという方向もやっぱり目を向ける必要があるんではないかと私は思いました。そういう面で、ぜひ南伸に向けての──まだ計画決定なされてないように聞いてます。ぜひ南伸計画、ひとつよろしくお願いしたいなあ、渋滞対策のためにということを要望さしていただき、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、山本茂博君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 24番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 皆さん、おはようございます。
 「なかなか頑張る中拓哉」と訴えながら──大分定着してきましたけども、この3期目の当選を、9371票というかたじけない得票で三たび県議会に、この議場に送っていただきました。仁坂知事を初め県職員の皆さんにも、格段の御支援を賜りましたことやと思います。とうとい1票を投じてくださった方々はもちろんのこと、県下各地から御支援をいただきましたし、全国からの声援もお受けいたしました。全ての方の御期待にお応えしていく、そういう決意で頑張ってまいります。
 また、議員としての役割は多岐にわたりますが、基本の第一は、やはりこういう議場で質問の権限を行使することかと存じます。投票に行かなかった方、あるいは私自身に1票を投じていない方も含めて、県民の幸せのため、政策を掲げ、施策を講じることで主権者である県民の目の前の障害を取り除き、不幸の原因を1つでも解消していくことが議員の本分と心得ております。
 県議として9年目に入り、ここ本会議への登壇も26回目を数えることになりました。知事初めひな壇の答弁者の皆様には、県民にお答えする、そういう見地で、簡明かつ端的な答弁をお願い申し上げます。
 それでは、質問に入ります。
 まず、平和安全法制について伺います。
 「備えあれば憂いなし」、こう申します。また、私、海南出身ですけども、こちらで議員もなさった山本有造さんの、海南市長のお父さんの山本勝之助さんの言葉が海南では有名なんですけど、「手回しせねば雨が降る」。こういうことを子供のときから教わってまいりました。そのように、「備えあれば憂いなし」、こういう格言がありますけども、今回のこの平和安全法制についてお尋ねします。
 6月議会の答弁で、知事は、紛争の抑止力として日米安全保障条約の効用を認め、国の安全保障は、仁坂さん自身も含め、国民一人一人がみずからの問題として真剣に考えるべきとお答えになり、また安全保障関係の法案に係る国会の運営については、国の所管ゆえ、和歌山県の知事としての意見を述べるべきではなしと、こういうこともお答えしております。
 ところが、このたびの平和安全法制整備法案10本の中には、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律や、同じく国民の保護のための措置に関する法律の改正案も含まれておりまして、そこでいうところの緊急対処事態におきましては、みずから緊急対処保護措置を的確かつ迅速に実施しなければならないとなっておったり、特定公共施設等の円滑かつ効果的な利用の確保のため、必要な措置を適切に講ずるものとされております。つまり、県内の港湾や空港も、米軍や外国軍──オーストラリア軍とかそういったことやと思いますけども──そういった外国軍隊との利用調整があるやもしれないということでございます。
 そういう意味からも、県民の皆さんみずから考えましょうという答弁だけでなしに、まさに知事である仁坂知事みずからの問題としてこのことは降りかかってくるわけでございますので、仁坂知事の見解をもう一度お述べいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在、安全保障関係の法案について国会で審議されているところでございますけれども、憲法学者や国民や、あるいはマスコミの間でさまざまな議論があることは承知しております。大事なことは、日本人の幸せのために平和と安全を守るということでありますので、現実の国際情勢とか社会の発展、変化などの状況から一番正しいことは何かということが最も重要であると思います。
 したがって、未来永劫にある時点での見解が絶対的に正しいということではないと思いますし、時代とともに、例えば裁判所の判例も変わってくることもあります。政治家や学者の見解も変わってくることもあると思います。もちろん、条文そのものの重要性は軽視してはならないので、解釈で何でもできるというわけではございません。そうしたことを踏まえた最終的な判断は、最高裁判所がすることになるわけでございます。
 政府が現実の国民生活と暮らしを守る施策を進める上で、最近の社会情勢とか、あるいは国際情勢とかを踏まえて、現在提案をしている法案が正しいというふうに思って出しておられるわけですから、さまざまな議論があったとしても、その最善の策と判断する根拠などを、政府の考え方をしっかり説明して理解を得られるように努力すべきであると考えております。
 また、議員御指摘のとおり、この法律が成立いたしましたら、武力攻撃事態等において、国は法律に従い権限を行使し、県内の公共施設の利用調整など、一定の協力を我々としても求められるということが想定されております。
 県といたしましては、住民の生命、身体及び財産の武力攻撃からの保護ということを常に念頭に置かなければいけないということでございますけれども、その上で協力していくことになると考えております。
 安全保障の問題は極めて大事な事柄でありまして、どうすれば平和を守り続けることができるかを国民一人一人がみずからの問題として、あんまりムードに流されないようにして真剣に考えなければならないと考えております。平和が大事だと唱えるだけでは平和は達成できないわけでございますので、私自身も、国民の1人として考え続けていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 御答弁、ありがとうございます。当然、県として、そういったことは法律に基づいて協力していくという御答弁でございました。
 それは、もうごもっともやと思うんですけども、例えば沖縄の今の普天間から辺野古に変わる問題等につきましても、国は進めてても知事さんは知事さんなりの考えがあり、選挙で勝って住民に訴えた、こういうことであれば、県知事としての権限を今フルに活用なさって国と対立してると、こういうことがありますよね。それで、沖縄県民の幸せにつながるということで頑張っていらっしゃるんやと思いますけども、そういうことで、1つの法律といいましょうか、事態と申しましょうか、やはり知事の考えが、例えば、この安保法制が違憲であり、けしからんのだというふうな知事であれば、それこそ存立危機事態におきまして緊急対処事態になって、県民の命を守らなあかんから和歌山港を貸す、白浜空港を貸す、こういったときに、利用調整に差しさわりが出てくるんじゃないかな、そういった思いもあったもんですからお聞きしました。
 また、解釈を変えるばっかりじゃなしに、最終的には最高裁判所のということでした。全くそうやと思います。ところが、砂川事件を見てもわかりますように、最終的には統治行為論ということで最高裁判所も避けました。ただ、自衛権はあるよということは、当然、あの裁判では解釈してますけども、米軍が日本に駐留するとか、そういったことは裁判所の範疇じゃないと、統治行為だと、最終的には選挙で選ばれた政治家が決めろよと、こういうことにもなったわけですから、何もかもが裁判所が決めてくれるわけではありませんし、また仁坂知事も、この前の福井地裁の原子力の仮処分のことについては、裁判官を批判といいましょうか、非難してましたよね。裁判官といえども、別に誰の指も指されたらあかんというもんじゃありませんから、当然、仁坂知事の見解はおっしゃってもいいんですけども、そういうときも最高裁が最終的に決めるというんであれば、やっぱりそういうことも言うた上で言うてほしいなあ、かように思うもんでございます。
 最後におっしゃってくれました、平和、平和と言うてるだけではだめだと。そうやと思います。今回の安保法制も、去年の5月の安保法制懇の答申が出たときは膨大な量で、いろんな安倍さんの考えに基づいたことを書いたんやと思います。しかし、その後、7月1日の閣議決定に至るまでの間にはいろんな討議がなされ、政府としては最終的に、安保法制懇でいろいろ、集団的自衛権のことも、国際法上行使すべしというようなことはあったけども、日本国憲法9条に立脚すればそうもいかないな、やはり日本国、我が国の安全だ、我が国の安全に必要がある、それこそ我が国が武力攻撃を受けた事態、それに相当するところぐらいかなあということで、あの閣議決定になり、今回の法制になったと勉強しております。そうだと思います。
 また、この前の国会の意見聴取におきましても、あの安保法制懇を書いたメンバーである細谷雄一国際政治学者も、あのときああ書いて答申したけども、今回の法案を見れば、憲法9条を改正しないということであれば、これがぎりぎりで非常に抑制された形になってると、書いたほうの人もそんな評価でございましたですし、今の現状を見たときに、徐々に「ああ、やはり憲法9条の、交戦権を否定し、戦力不保持をし、こういう精神に基づいて、やはり我が国が攻撃された事態のときだけやな」、こういう理解が徐々に進んでいってるんやと思います。
 そんな中で、きのう、「県民の友」を配られたんで読んでました。仁坂さんが、自分の恩師というか、尊敬する東大の先生のお話の中で、反体制──要するにレジームですね。そういう仕組みとしての反体制──ではなしに、反大勢、要するにマジョリティーに対する意見だと、こういうことを御紹介なさって、非常に興味深い記事でございました。全くそうやと思います。
 和歌山県の知事として、そういう大勢におもねることなく、時には少数であっても頑張るということやと思いますけども、ここで1個苦言を呈しますと、安保反対や、道州制や、コンクリートから人や、出先機関移転や、政権交代、地球環境、反原発、規制緩和、特定秘密保護法も、要するに大勢になったと言うんですね、仁坂さんは。大勢の意見やったということになってくると、たちまち、皆、日和ってといいましょうか、そういう大勢のほうにつくということで、その中で正論を述べていかなあかん、黙ってしもうたらあかんということを言うてんのですけど、その中で、表現的に集団的自衛権もその中に入ってるんですね。今回の法律は決して集団的自衛権を認めたわけじゃありませんけども、限定的であれということで、集団的自衛権を行使するようなことはするなと。いわゆる反集団的自衛権に対しての大勢であって、最初に仁坂さんが紹介してますように、「安保反対」と書いてますね。「安保反対」というふうな形で「反集団的自衛権」も大勢になったというふうに書くのが正確な記述じゃないかなということを、苦言を呈しておきたいと思います。
 それで、議論は尽きないんで、ほかの方もやりますから譲るとしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次には、県勢の振興について何点かお尋ねしたいと思います。
 去る6月3日、駐日トルコ共和国特命全権大使アフメット・ビュレント・メリチさんと田嶋勝正串本町長からの御案内を受け、トルコ軍艦エルトゥールル号125周年追悼式典に参加いたしました。あいにくの雨で、串本町樫野崎の遭難慰霊碑前から串本町文化センターに会場を移しての式典でした。
 日本・トルコ協会総裁の彬子女王殿下御臨席のもと、厳かな式典でした。地元の小学生による追悼歌も、あの格調高い歌詞で見事でございました。雑賀先生のいとこさんかおじさんか何かの歌詞とのことでございました。
 串本ロイヤルホテルでのエルトゥールル号の銅像除幕式では雨も上がり、皆さんも記念撮影に興じるなど、非常に和やかな雰囲気でございました。
 夜には祝賀レセプションが開催され、私も、パキスタン大使、アゼルバイジャン大使、ボスニア・ヘルツェゴビナ大使といったお客さんたちと懇談の機会を持つことができ、貴重な体験を持つことができました。何より、あの軍楽隊の聞き覚えのある演奏が圧巻でしたし、日本に在住のトルコの方たちも大変大喜びで、スマートフォンで何とそれを友人に中継している、そういう姿がほほ笑ましく思いました。
 その折、本年12月5日公開の映画「海難1890」の紹介があり、さわりの映像を拝見しました。前芝議長が本議場で取り上げてくれたことで、私たちもこのことを知ったわけでございますけども、この映画の完成を心待ちにしておりましたところのこのたびの封切りでございます。6月議会でも、新島先輩、雑賀先輩も取り上げ、教育長にただしておられます。県下5カ所の映画館で7週間以上上映される予定とのことです。安倍首相も、当時の首相で今は大統領のエルドアン氏との会談で、1985年、あのテヘラン在住邦人救出のお礼も述べながら、映画制作の協力を約し合った、こういうことでした。
 今、厚生労働副大臣で、外務官僚当時、イスタンブール大学の大学院でトルコ語の勉強もした経験をお持ちの我が党の山本香苗参議院議員にも、この前、お会いしましたんで、映画の応援をお願いしました。彼女から、「私も、その制作の実行委員ですから、もちろん応援してますよ」とのことでした。
 ここで、こういったせっかくできた立派な映画ですんで、大ヒットに向けて本県も大々的に取り組むべし、かように思います。ちょっと心配なのが、同時期に「スター・ウォーズ」が封切られるということなんで、そっちに負けないように頑張っていきたいので、知事の権限をフル活動してあげてやってもらいたいな、かように思います。
 さっきの冒頭の安保法制、もし意見がありましたら、どうぞおっしゃってください。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 答弁を促されましたので。
 先ほどの点につきましては、ずらずらっと並べましたのは、厳密に書いていません。それで、例えば特定秘密保護法も、「反特定秘密保護法」と書いておりません。だから、そういう意味で、キャッチフレーズとしてマスコミの言葉で登場した言葉をずらずらずらと並べて、それで、世の中でちょっとブームになってるので、それに逆らうと悪いやつだと言われるのはかなわんなあというのが、全体のムードにすぐなりますよねというふうなことを申し上げましたんで、かなりアバウトに言葉を並べたということでございますので、御指摘も正しいんですけども、そういうもんだと御理解ください。
 それから、エルトゥールル号の映画でございますけれども、構想から6年の歳月を経て、日本トルコ友好125周年ということしの節目の年に完成いたします。東映が配給をしてくださることになりまして、12月5日から日本では全国の映画館で公開されることになりますが、大いに喜びたいと思います。
 私は、映画をつくりたいという田嶋町長からのお話にすぐ賛同いたしまして、構想実現に向け、経済界への支援要請を行ってまいりました。その間、リーマンショックなど企業の財務状況が悪くなって、長く、実は悪戦苦闘をしたんでございますが、最終的には、安倍首相と当時のエルドアン・トルコ首相の首脳会談において、映画公開に向けて協力することで一致したということがアナウンスされました。これが追い風になりまして、私たちの趣旨に賛同して、多くの企業、人々が御協力いただけることになったわけです。和歌山県でも、和歌山県を中心とする有志の方々がNPOをつくって、草の根で寄附を集めてくださったことも大きかったと思います。こういうようなことによって、日本・トルコ合作映画として公開されることになりました。
 この映画では、日本とトルコの友好の礎となるエルトゥールル号遭難事件と、その95年後に起こったテヘラン邦人救出劇を通して、両国の友情と強いきずなが描かれております。和歌山県民が持つ人を思いやる心、ロケ地となった串本の海に代表されるすばらしい自然など、和歌山県の魅力を国内外に発信する、本県にとって大いに価値のあるものだと考えております。
 県では、この価値ある映画を1人でも多くの方々に見ていただけるよう、県広報紙を活用した広報など、通常の話はもとより、経済団体や企業を初め県人会、その他いろんなえにしの方々に対して働きかけを行っていくとともに、特に県内の多くの子供たちにも鑑賞してもらえるようにいろいろ工夫して取り組んでいきたいと思っております。
 また、公開に先立ち実施されると思いますプレミアム試写会等の機会も積極的に活用いたしまして、本県のPRを図ってまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。
 私も、小学生のころ、学校の先生に連れられて映画館へ行って、文部省推薦の映画やと思いますけども、見せてもらったのが、やっぱりそういう子供心に残っておりますから、大いに影響──いいことやと思いますんで、ぜひお願いしたいと思います。
 それでは次に、移住・定住大作戦についてお尋ねします。
 統一選挙の後半戦の和歌山市議選の最中に、5月の「県民の友」をごらんになった方から相談を受けました。「和歌山がみんなの故郷に」とのタイトルで、あの「県民の友」が7ページを割いての移住・定住対策の紹介です。
 その方は、田舎から和歌山に出てきて、小僧のころから苦労を重ねて、独立して事業も成功し、今、改めてふるさとに思いをはせたとき、放置したままの実家であるとか畑や田んぼ、そういったことが心配、ふびんでならない、こういうことでした。そんな折のあの「県民の友」の記事でした。空き家でも畑でも、使ってくれるなら提供したいということでございましたんで、そのくだんの方のお話が来て調べたんですけども、残念ながらその方の場合は紀の川市の鞆渕ということで、過疎対象地域に紀の川市は入っておりませんもんですから、県の「県民の友」で紹介してくださった施策の対象外、こういうことだったもんですから、残念ながらという御返事をお返ししました。
 そうしたところ、先日、私の携帯電話に、創価大学で私と同期だった茨城の県会議員から、月刊誌の「潮」を見たと。「潮」の9月号ですね。ここに、和歌山県の移住の取り組みがすばらしいとの紹介だった、ぜひ勉強したい、こういうことでした。私も早速読みましたところ、仁坂知事や西山課長も取材を受けて丁寧に紹介されてることを読んだわけですけども、読む限りは大作戦は大成功のようなんですけども、進捗状況を企画部長のほうからお示しいただけたらなと。お願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 今年度、県では、移住・定住大作戦と銘打って、「くらし」、「しごと」、「住まい」の3つの視点で移住施策を展開しているところでございます。
 主なものとして、東京、大阪に専任の移住相談員を配置するほか、都市部での移住相談会やフェアを多数開催し、移住推進県わかやまを強力にPRしているところであります。
 また、移住者への支援施策としましては、現役世代の移住・定住を促進させるため、全国トップクラスの最大250万円の奨励金制度や県統一版空き家バンクの設置、現地体験会の開催など、総合的に施策を展開しているところでございます。
 今年度7月末時点の移住実績は46世帯83人で、前年同時期の約3倍となっておりまして、移住相談や現地案内件数も前年度を上回っている状況でございます。移住・定住大作戦の効果が徐々にあらわれているというふうに考えております。
 県としましては、引き続き、移住希望者への情報発信に努め、市町村と一緒になって移住者の受け入れを積極的に進めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。
 7月時点で46世帯83人ということですけども、事前にお聞きしましたら、今までで555世帯1000人から移住ということですね。非常にいいことだと。
 ただ、心配なのは、他府県も同じようなことをやり始めてますから、その競争になってくると思いますんで、なお和歌山の魅力を発信してもらいたい。
 この前、ある金融機関の方とお話しする機会がありましたら、8月と1月に預金がごそっと出ていくんだそうです。それはどういうことかというと、和歌山でお亡くなりになった方が、8月のお盆とか正月に親戚が集まって相続の協議が調って、おじいちゃん、おばあちゃんの定期の解約で引き出されると。それが県内でとどまってくれたらええんですけども、送金先が都会やと、こんなお話も聞きました。
 そういう意味で、お亡くなりになるのは、そらもうやむを得んことですけども、そういったキャッシュがよそへ行くというのは和歌山にとっても残念なことやと思いますんで、むしろ和歌山のほうに集まるような形もあろうかと思いますんで、頑張っていただきたい。
 非常にいいことなんで大賛成なんですが、先ほど御紹介した方のように、過疎対象以外の市町村の場合は対象にならんというんですけど、和歌山でも滝畑みたいなところがありますし、岩出でも境谷みたいなところがありますし、決して町なかやからということで、市やということで外れるわけではないと思うんですけども、全県下を対象にした、こういった仁坂さん得意の大作戦を展開するおつもりはございませんか。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 移住推進につきましては、6月に策定しました和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、30市町村の全県体制で取り組むことを目標に掲げたところでございます。
 移住・定住大作戦を推進する中で、移住者の受け入れや移住後の暮らしの支援においては、地域の事情に精通した市町村のワンストップパーソン及び地域住民による受入協議会の協力や支援が不可欠であると考えております。そのため、受け入れ体制を整えていない市町に働きかけ、30市町村一体となって全県体制で移住推進に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、移住・定住大作戦の支援制度は、現在、17の移住推進市町村において適用しております。今後、新たに受け入れ体制を整える市町については、過疎地域の要件である人口減少率または財政力指数の基準をもとに支援制度の適用を検討してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。
 私、高瀬さんに期待したんは、そういうこともあるけども、県の職員が、市が乗ってこんとか市が準備せんとかじゃなしに、県の職員がじかに、一緒にその方を訪ねて、その方の世話をして、ずっとついていったら来てくれるん違うかな、そんなに思うたんで、県を挙げてやったらどうよということを申し上げたんで、ぜひ新年度においてでも結構ですけども、手厚くしていただければな、かように思います。
 次の問題に移ります。
 このほど、公明党の文部科学部会長の浮島智子代議士と懇談する機会がありまして、浮島さんから、日本遺産に関する資料とともに、「和歌山県もチャンスですよ。応援するから頑張ってね」というお話をいただきました。27年度申請として、県のこの日本遺産に関しては、「超人 空海が遺した伝説と文化」、あるいは御坊市と日高町の「日本最古のシンデレラストーリー」の2件が残念ながら落選したということでした。
 2020年オリンピック・パラリンピックに向けて、国は、文化芸術立国の実現、文化力プロジェクトといった推進も、文化庁を挙げて力を入れていくということでございます。今年度、和歌山は落ちたんですけども、採用された18件の日本遺産のリストを見せてもらっても、和歌山県が持つポテンシャルのほうが数段まさってると思えてなりません。それで勉強しましたら、地域型とシリアル型があり、従来のそういう保存重視の文化財行政ではなく、活用重視なのが日本遺産ということでした。
 審査委員でもある稲葉信子筑波大学大学院世界遺産専攻教授の解説によると、世界遺産や国宝ではできない遊び心が許されて、地域に残る本物の文化財をつなぎ、訪れる人が「さすがだね」と楽しめるような、文化財のいわば漫画日本史版、認定された後に地域活性化や観光の国際的なベストモデルに成長していってほしいなあ、スポーツで例えれば強化選手、そのような日本遺産の仕組みということが「公明新聞」に掲載されておりました。
 私が思いつくだけでも、南方熊楠が取り組んだエコロジーや濱口梧陵が取り組んだあの防災堤防築営、おしょうゆ、耐久舎、あるいは華岡青洲さんが取り組んだ乳がん手術、医塾春林軒などなど、本当にたくさん和歌山県はあると思います。2020年までに100件程度認定と書いておりましたけども、6月には岩田議員もただしておられましたが、私からは、知事が得意の、これもそうですけど、大作戦で何としても認定をかち取るべし、かように思いますんで、取り組み状況をお示しください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県には、徳川吉宗、濱口梧陵、南方熊楠など、さまざまな分野で大きな功績を残した誇るべき先人がおられます。また、地域の歴史を色濃く伝える文化も豊富で、これらにかかわる国や県指定文化財が多数存在しております。本年6月には、南方熊楠の研究フィールドであった田辺市を中心とする島や海岸、社寺など13地点が「南方曼陀羅の風景地」として国名勝指定の答申がなされたところです。
 このように、本県では、史跡や建造物、動植物、文化的景観、伝統的な民俗芸能などを文化財として積極的に指定してきており、確実に将来に引き継いでいけるように取り組んでおります。
 県教育委員会といたしましては、こうした豊富な文化財を活用し、特色ある日本遺産として認定されるよう関係機関と連携し、支援してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) さきの6月議会で岩田議員の一般質問に対する答弁でも申し上げましたが、日本遺産については、前回申請を行ったものの、認定には至りませんでした。
 次回申請においてはぜひとも認定してもらうという強い決意のもと、現在、文化庁あるいは認定された自治体から資料を入手するなど、さまざまな情報収集と分析を行っており、文化財を中心に関係スポットを線や面でつなぐストーリーが審査員の興味を喚起することはもちろんのこと、ストーリーが現在にどうつながり、生かされているかということなど、認定されるために必要な要素もかなり見えてまいりました。
 今後は、これらの結果を踏まえ、県教育委員会を初めとする関係部局・機関と連携し、必要に応じ専門家の意見を聞くなど万全を尽くし、本県の豊富な文化財や地域資源を生かした魅力あるストーリーを構築し、認定に向けた作業を進めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ぜひ頑張ってください。吉報をお待ちします。
 次に、学校基本調査を受けて、不登校生徒の比率が全国最悪という結果だという御報告を受けました。生徒数が減少する中で、教員の比率は全国的にも中程度を維持してるんですね。先生も少ないんやったら、そういう理由はわからんでもないんですけど、教員の数は全国的には中程度を維持しているのですから、先生の負担が他の都道府県に比べて大きいわけでもないのに不登校の生徒が増加しております。
 学力テストの結果の悪さもショックでした。ことしはちょっと改善されるもんやろうと思いますけども、あの最悪だった結果もショックでしたけども、それ以上に、学校に行けないというのが本当に心痛いです。ショックです。
 勉強は苦手でも友達と遊べる、学校というのは楽しいもんやった──これは私の経験からも言えます。県下で260人の小学生が、あるいは917人の中学生が、病気でもないのに学校へ行けないという現実は直ちに改善すべきやと思います。直ちに手を差し伸べて、学校へ行こうよと誘っていくべきじゃないですか。
 県の長計の中にも「未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」、その中では、「学校教育活動全体を通じて不登校やいじめ等の課題を生まない学校づくりに取り組む」とありますし、知事さんの選挙公約には、「子供たちが、元気でいい人に育っていくよう、学力の向上、道徳教育の充実など教育に力を入れてまいります」とあります。
 不登校生がふえる現状として、知事さんはどう考えますか。どのように対策を講じますか。今回、教育基本法等が変わって、教育委員会に対しても、協議して、知事さんの権限が発揮できるようですけど、具体的な指示はなさいましたか。お答えください。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回の調査結果は、大変憂慮すべき状況であると認識しております。本来、学校は、子供たち一人一人が安心して集団生活を送れることが基本でありまして、そのために、学校や教職員は力を合わせて取り組んでいかなければなりません。
 不登校問題の解決には、未然防止、早期発見・早期対応が何よりも重要であります。もちろん、深刻な事態になったとしても放置しないで、これをみんなで助けていくということも大事でございます。しかしながら、不登校の要因や背景はさまざまな要素が複雑に絡み合っておりまして、児童一人一人への必要な支援は、多分異なるものだというふうに思います。
 こういったことから、今のところでございますが、不登校にはこれが決め手だという対策を考えついてるわけではありません。今から検討して、28年度新政策の最重要課題として取り上げていきたいと考えておりまして、これについては、新政策の議論の中でも、これを最も重視して考えようということを教育委員会、その他関係部局に指示をしているところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。
 メールでも、知事さん、自分のところへ言うてこいと、こうやっておっしゃってくれましたよね。子供にそういうことを──現場に通じることは大事なことやと思います。
 また、今いろいろ、さまざまな事情があるとかなんとかと、聞けばそうなるんでしょうけど、誘いに行ったってくださいよ。そんな滑った、転んだと言うてやんと。学校に来ん子に、行こうよ、何よと、こうやって、そういう手を打ってくださって解決していってほしいな。いや、状況があります、いろんな理由があります、そういう弁解をする前に動いてもらいたいな、かように思います。
 教育委員会は、こういう不登校生をなくすためにお考えあるんやと思いますんで、お示しください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校問題への対応につきましては、まずは未然防止、早期発見・早期対応のため、児童生徒の状況把握と、欠席傾向を示し始めた児童生徒に対し早期の支援を行うとともに、不登校状態となった児童生徒に対しては、一人一人に応じた学校復帰への支援が重要であると考えております。
 この認識のもと、本年度、スクールカウンセラーの配置校を前年度より16校ふやし、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、合わせて248校に、また、スクールソーシャルワーカーを前年度より5市町ふやし、22市町3県立学校に配置拡充しております。
 また、全ての教職員が不登校の未然防止に向けた集団づくりの充実を図るためのリーフレット「不登校を生まない集団づくり」を新たに作成し、本年4月に県内全ての学校に配付しました。
 5月には、「いじめ問題及び不登校への対応について」の通知を出し、私が、直接、市町村の教育長に通知の趣旨の徹底をお願いいたしました。
 さらに、県内全ての公立小中学校の生徒指導担当教員を対象とした研修会を開催し、このリーフレットや通知の趣旨について徹底を図りました。
 8月には、県内全ての公立小中学校に対して不登校児童生徒に関する実態把握を行うとともに、夏季休業が終了して学校が始まる時期に児童生徒が登校しやすい状況をつくるよう指導を徹底いたしました。
 今後、児童生徒の欠席状況の把握に努め、課題のある学校に対して市町村教育委員会と一体となって支援を行うとともに、関係機関と連携したより実効性のある施策を検討するなど、不登校問題の解消に全力で取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 こうやって聞けば、そういう立派な答弁をしてくれるんですよ。で、こういうパンフレットだっていただくんですよ。こんなん配ったとか、呼んで会議したとか、そんなことをしてて──ほんでスクールカウンセラーもふやしたと言うんですか。そしたら、何でふえるんですか。配置せなんだらもっとふえたと言うんですか。そういうことじゃないんですよ。行ったってくださいよ、学校へ来ん子のところへ。そういう手だてをすぐしたらええん違うんと思うんですよ。
 それで、ここから、私、素人ですから、ちょっと乱暴なんかわかりませんけども、学校の教員の方だって、勤務評定と言ったら語弊があるのかな、仕事ぶりを評価されるわけですね。当然、人事の考課も受けるわけです。当然、学力テストなんかでも、伸びた教室の先生なんかはやっぱり頑張ったんやと思います。そういう形の中で、不登校の生徒を生んだか生まないか、あるいは不登校やった生徒をちゃんと学校へ来るように指導というんですか、そういうフォローができたかどうか、そういったことも人事評価の中に入れたら、多少ぴりっとして真剣になってくれるん違いますか。そこらのところ、一遍お答えください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校児童生徒への対応に係る教職員の人事評価制度の活用につきまして、お答え申し上げます。
 人事評価制度は、教職員の能力開発、資質向上と学校組織の活性化を図ることを目的としたものでございます。また、学習指導や生徒指導等における教職員一人一人の取り組みを評価の対象としており、その中には不登校児童生徒への対応も含まれるものと考えてございます。
 この人事評価を活用することにより、教職員がみずからの資質能力を高め、学校長が中心となり、学校全体が一致団結して課題の解決に取り組むことで県民の皆様の期待に応える学校づくりを進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 県民の期待に応える学校づくりをつくってほしいんですけど、不登校の子が学校へ来るように、ぜひお願いします。
 次に、環境行政、平成27年版「環境白書」についてお伺いします。
 これですね。(冊子を示す)議会の初日に配ってくれたやつです。持ってませんか。まあ持ってないやろうと思うて資料を提供してるんやと思います。
 それで、ここで本9月議会の招集日にいただいたやつです。「環境白書」が配られました。和歌山県環境基本条例第8条に、「知事は、毎年、環境の状況及び県の環境の保全に関する施策についての報告を議会に提出しなければならない。」と規定され、毎年の9月議会に提出されます。
 平成24年9月までは、細かい数字の非常に分厚いもんでございました。(冊子を示す)こういうもんでございました。366ページ、カラー版、地球環境保護のため再生紙と大豆インクを使用。その後、資料や解説が削られて、100ページから150ページの分に非常に簡素化されました。それでも、表紙とか知事さんの写真はカラーなんです。この表紙の中で、常に表のところは、南紀熊野ジオパークフォトコンテストの入賞作品です。裏は、愛鳥週間や「ストップ地球温暖化」ポスターコンクールに入賞した小学生、中学生、高校生の作品です。
 こうやってそれなりに体裁を施してくれてますけど、それが今回、白黒でして、去年の8月28日、ジオパークに認定され、非常に晴れがましい、これから世界ジオパークを目指すぞ、こういう巻頭特集が組まれておりまして、去年、おととしの慣例からすると、カラー刷りで組まれる晴れがましいもんのはずでした。
 ところが、お手元に配付のとおり、背表紙が黒いこういう製本テープの白黒版ですし、自然環境保全地域や南紀熊野ジオパークといった地図は不鮮明な上──16ページ、29ページ、71ページです。水質調査のグラフは、マークが潰れてしまってグラフの役割も果たせません。76ページ、77ページ、100ページです。ジオパークのシンボルマークやレジ袋削減を訴えるポスターも、文字がにじんで判読不能です。普通の常識であれば、落丁・乱丁があればお取りかえという未完成の作品ですよね。
 判読不能なところを教えていただきたいのと、議会に提出すれば済むとするこの態度は議会を軽んじているもんと思いますが、いかがですか。環境生活部長、お願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) お答えいたします。
 平成27年版「環境白書」につきましては、例年どおり、今9月定例会への提出に向け、鋭意編集作業を進めてまいりましたが、結果的に、議員御指摘のとおり、表紙がカラーでないこと、また、背表紙がなく製本テープのみであることなどについて、例年作成するものと相違点が生じたものでございます。
 内容的にはたがわないものと考えてございましたが、議員御指摘の箇所を初め、印字が薄かったり図表が小さいなど、判読しづらいところが確かにございますので、現在印刷を進めております頒布用の「環境白書」ができ上がり次第、お届けさせていただきたいと存じます。
 また、次年度以降の作成に当たりましては、議会へ提出する重要な報告であるとの認識のもと、より一層、読まれる方の立場に立った編集、印刷に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ぜひお願いします。新しいの来たときに、どっちが議会に出したんよというようなことになりますんで、そういう議論もしたいですけど、時間もないんでやめます。
 ただ、1点言うときます。例えば、71ページのダイオキシンの測量地点ですけども、御坊市のところにあるのが環境衛生研究センター──字が読めないですけど、去年、おととしのを見たら読めるんです。環境衛生研究センターはここにはないんですね。和歌山市の砂山にあるんですね。ここにあるのは、御坊監視支所というところだそうです。これは、数年前まではちゃんと御坊監視支所と書いてました。知らん間に抜けてまして、間違った形になってますんで、そういったことを訂正していただければと思います。
 次に、県民の命と暮らしを守る安心・安全和歌山の難病患者支援についてお尋ねします。
 毎日のように配られる県からの資料提供を見ておりますと、難病・子ども保健相談支援センターからの資料に目がとまります。実に多くの難病があり、患者御本人や御家族を初め、医療関係者やボランティアの方々の取り組みに頭が下がります。
 公明党も、地方議員と国会議員のネットワークを生かして先進的な取り組みを推進してきたところ、難病医療法の難病対策の新制度が始まり、この7月からは医療費助成対象の指定難病が306疾病に拡大されました。一方、改正児童福祉法により、医療費助成の対象となる子供の難病も、514疾病から704疾病へと拡大されて、自己負担が3割から2割へと削減されました。
 指定難病に指定されるには、原因不明、治療法未確立、診断基準は確立、患者数極少などの条件があり、指定難病に入らないまでも、研究が望まれる病気もまだまだたくさんあります。
 今回の指定難病の拡大や新制度では、医療費の支給認定の事務や患者さんの生活環境の整備、就労支援も県が担うこととなります。難病対策地域協議会の設置も、努力義務として書かれております。本県の現状と支援拡大の取り組みをお示しください。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 難病患者支援についてお答えします。
 県においては、本年1月の難病の患者に対する医療等に関する法律施行に伴い、医療費助成対象疾患の拡大や、難病指定医、難病指定医療機関の指定など、新制度への移行に対応しているところです。
 難病対策地域協議会につきましては、保健所を中心に、医療・介護・福祉従事者等が連携して地域の実情に応じた在宅療養支援体制の整備を進めるものであり、難病患者を支える新たな仕組みとして、各地域において設置できるよう努めているところです。
 次に、難病患者の就労支援につきましては、難病・子ども保健相談支援センターにおいて難病患者の就労に関する機関連絡会議を設置し、ハローワーク和歌山に配置されている難病患者就職サポーターなど関係機関と連携して難病患者の就労に関する相談に対応しております。
 また、国において、難病患者を新たに雇用した雇用主に対する発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金などの難病患者雇用支援策が実施されており、県としても、関係機関に対し、制度の周知に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 御答弁、ありがとうございます。
 それで、事務も大変で、職員も少ないです。大変やと思いますけども、そういう事務が滞りないようにしてもらいたいのと、就労支援まで今回せなあかんということですから、お仕事を世話することもぜひやってください。
 今言うてくれた助成金なんかも、雇うたほうは1年間に120万、国からお金が出るということですから、そういったこともお願いしたいのと、県の職員さんとか、そういったところも別枠で採用できるんじゃないかなと思うんですね。というのは、お病気が、通院せんなん、治療せんなんというだけで、仕事をする能力については、全然、健常者といいましょうか、そういうことは心配ないわけですから、長いこと休んで治療して会社をやめたというような方について、戻る先がないんであれば県庁で働きませんかと、こういう仕組みもぜひつくっていただきたい。これは要望しときます。
 それで、次は救急支援アプリについてお尋ねします。
 このほど、全国知事会「先進政策バンク」の審査で、本県の危機管理・消防課がNTTドコモなどと共同開発した、応急手当てのできる人が現場に駆けつけて、救急隊が来るまでの間、応急措置をするためのそういったスマートフォンアプリ「MySOS」が優秀政策に選定されたとのことです。慶賀にたえません。県民の1人として拍手をお送りしたいと思います。
 6月の文教委員会でも、救命講習を受けてる学校の先生も多いんですから率先して登録してはと提案しましたが、医療従事者はもちろんのこと、消防隊員、私らもそうですけど、消防分団員、そんな方にも登録を勧めて、何より県庁の職員さんが真っ先にこのアプリを取り込んで登録していくということはいかがでしょうか。お答えください。
○議長(前芝雅嗣君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 議員から御紹介いただきましたとおり、この取り組みは、今年度、全国知事会におきまして、先進政策バンクの優秀政策に選定されました。このことにより、和歌山県の政策は、全国で唯一、8年連続で優秀政策に選定されたこととなります。
 この救急支援アプリMySOSは、119番通報から救急車が到着するまでに要する約8分の間に、救護を必要とする方の周囲にいる人が早期の応急手当てをすることにより救命率を向上させることを目的として、本県がNTTドコモとの共同により企画したアプリケーションです。
 早期の応急手当てを行う人に期待するのは、心肺蘇生だけでなく、倒れている人を励ましたり、AEDを持ってきたり、担架搬送を手伝うことなども含みます。
 本アプリは本年4月から稼働しており、昨日8月24日現在で、全国で5307人の方が登録されております。登録者のうち、「救援することが可能である」として登録されている方が1190人、うち和歌山県内の方は466人となっております。
 MySOSの登録者がふえることにより、県民のみならず、紀の国わかやま国体・大会を初め、観光など、本県を訪れる方にとっても安全・安心な和歌山となるよう、県庁各部局の職員に救援者として登録するよう積極的に呼びかけているところであり、消防機関や医療機関等に対しても、職員の登録を働きかけているところです。引き続き、普及、登録者の拡大に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 いつもここで当局に何かきついことを言うたりして嫌われてるんですけど、これはほんまに褒める話で、うれしいなと思うんです。
 ところが、通告を出して人数ぐらいどうよと聞いた途端に、県庁の職員から、「中さん、こんなん登録せえって県庁の中で言うてきたで」と。僕のきょうの質問を受けて、「わかりました。県庁の職員さんにします」と言うて通知を出してくれてふえるんならいいんですけど、質問する通告を出して、人数を言わんなんもんやからというて出してるという、そのこそくなところにちょっと憤りを覚えます。これは嫌みで言うとくだけです。ええことが進むんやからええんですよ。お願いします。
 最後に、議案第120号ですね。議案書の9ページです。議案書9ページを開いていただけますか。こんなに言うても、前の方も議案を持ってないし、皆、予算審議せえと言うてんのに開けないでしょう。答弁だけ持ってたらええんかわかりませんけども、やっぱり何が出るかわかりませんので議案書ぐらい持ってきてくださいよ。
 最後に、先ほど山本議員も聞きましたけど、第120号の和歌山県個人情報保護条例の一部を改正する条例に関連してお伺いします。
 今回の改正は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆる番号法ですね、この中で、特定個人情報の利用制限を設け、今までやったら、県の情報公開というか、個人情報は本人だけしか渡せへんよ、準禁治産者、禁治産者──今は成年後見人というんですか──そういう方の代理しか渡せへんよということですけども、このマイナンバーにつきましては、本人がこの人に任したらええよという任意代理人にも特定個人情報を開示できるようになるそうです。そういう内容やと思います。
 そこで、いわゆるマイナンバー制度の導入が近づくにつれ、県民からは不安や心配の声が上がっています。年金機構のあの情報漏えいやサイバーテロの現状、あるいは病歴、納税情報、資産情報、こういった秘匿性が破れるんじゃないか。あるいは、今心配されます還付金詐欺やカード発行に伴う特殊詐欺──電話が来て、「あなたのマイナンバーがちょっと漏れたんで、ちゃんと訂正せんなんので教えてよ」というようなことで、また詐欺に使われるようなことがあります。
 そういったことの心配も含めて、先ほどの山本議員と重なるところがありますんで、もう何点かまとめて答えてください。周知、広報はどのように進めますか。そういうマイナンバーに関して不正な勧誘があったとき、ないようにできますか。また、マイナンバーをすることによって県民のメリットは何ですか。あるいは、ここが厄介なんですけど、マイナンバーの通知を受けて、それでまた顔写真を張ってもらうために市役所にカードをもらいに行かんなんですね。和歌山市だけでも40万人近くの人が一遍に来るわけですから、市役所に大行列ができて大混乱、朝から並んでも晩まで終わらんというようなことになりませんか。あるいはまた、情報の管理は万全ですか。一元管理にされると、芋づる式にどんどんどんどん上がってくるんじゃありませんか。そういった点をお答えください。
○議長(前芝雅嗣君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) まず、マイナンバー制度についての周知、広報についてでございますが、これにつきましては、説明会の開催、出張!県政おはなし講座の実施のほか、「県民の友」、ホームページへの掲載などにより周知を行っております。
 御指摘いただきましたようなマイナンバー制度に関連しての不正な勧誘行為に対しましては、説明会などを通じまして、電話でマイナンバーを聞かれることはないので絶対に教えないように、そういった注意喚起をしており、県民に正しい情報を伝えることで不正行為等の防止につなげてまいりたいと考えております。
 次に、マイナンバー制度導入に伴う県民のメリットでございますが、利便性の向上が挙げられておるところでございますが、年金や福祉関係の申請や届け出の際に添付書類が削減されるなど手続が簡素化され、県民の負担の軽減が図られます。例えば、児童手当の現況届の際に所得証明書の添付が不要になります。
 次に、個人番号カードの発行についてでございます。
 10月にマイナンバーの通知がなされた後に、個人番号カードの申請書類が世帯ごとに送付されることになっております。来年1月からは、個人番号カード発行が市町村の窓口で始まることとなっております。
 県としましては、この発行手続が円滑に行えるように、必要に応じて人員配置の見直しや開庁日、開庁時間の拡大などを検討するよう市町村に対して助言しておるところでございます。
 次に、マイナンバーに関連しましてのセキュリティー対策でございますが、2つございます。
 まず、制度面での主なものとしましては、法律、条例に規定されているものを除きましてマイナンバーの収集や保管が禁止され、違反した場合は罰則が適用されます。
 システム面での主なものとしましては、個人情報は、今回、1カ所に集約されて一元管理されるということではなくて、それぞれ、国税に関する情報は税務署、児童手当に関する情報は市役所といったふうに、これまでどおり個人情報は分散して管理されます。したがって、個人情報が芋づる式に出せない仕組みというふうになっておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(前芝雅嗣君) 中拓哉さんに申し上げます。
 一問一答の届けであるので、総括してやってくださいというのは、これからはもうやめていただきますように、厳重に注意をしておきます。
 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩をいたします。
  午前11時41分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、一般質問に早速入らせていただきます。
 第1の柱として、安全保障関連法案への政治姿勢について、順次、知事にお尋ねをいたします。
 ことしは、戦後70年の節目の年に当たります。終戦記念日を迎えた夏、特にこの8月は、二度と戦争の惨禍を繰り返さない、そういう思いを戦争体験者、御遺族、または戦争体験を引き継ぐ若者たち、このさまざまな県民、国民の皆さんが声を上げていらっしゃいます。
 私は、戦後70年の節目の夏、多くの県民、国民の中に、もう二度とこのような悲しみ、苦しみを繰り返さない、その思いが深く大きく広がっていると感じています。
 ここにあるのは、和歌山県遺族連合会が出版をされた、県内の戦争遺児ら38人の経験談を編んだ「あゝ大東亜戦争 遺児たちの歩んだ道」です。知事も巻頭に御挨拶を載せていらっしゃいますが、この手記には、戦争遺児たちがどんなにつらい道を歩んだのか、そして、今までは話すことができなかったその思い、また筆舌に尽くしがたいその体験が、それぞれの方の生きた言葉で語られています。
 戦争は、何の罪もない子供たちが犠牲になります。戦争を知らない次の世代に戦争体験を引き継いでいくためにも、こうした戦争遺児としての体験は、現在を生きる若い世代や子供たちにとっても身近に考えることのできる、そういうものだというふうに思います。
 「二度と戦争を起こしてはならない、私たちのような遺族を出してはならないとの信念で」、こんなふうに書かれておりました。戦争遺児の視点から、お一人お一人の手記を丁寧に編さんされた大変貴重なお仕事だというふうに拝見いたしました。
 私は、次に終戦後の教師がつづった1つの詩を紹介したいと思います。教え子を再び戦場に送らない誓いの詩です。
  戦死せる教え児よ 竹本源治
  逝いて還らぬ教え児よ 私の手は血まみれだ 君を縊ったその綱の 端を私も持っていた しかも人の子の師の名において 嗚呼!「お互いにだまされていた」の言訳がなんでできよう 慙愧、悔恨、懺悔を重ねても それがなんの償いになろう(中略)今ぞ私は汚濁の手をすすぎ 涙をはらって君の墓標に誓う 「繰り返さぬぞ絶対に!」
 戦後を迎えた教師にとって、戦前、戦中に疑うことなく軍国主義の一端を担ってしまった反省に立ち、もう二度と戦争には加担しないと誓ったこと、このことが戦後のスタートであったというふうに思います。
 日本国憲法の平和主義は、国際間のもめごとを、戦争という手段で、人殺しという手段で解決することはやめようということです。たとえ世界から紛争はなくならなくても、それを戦争にはさせない。このために人類は、歴史に学び、知恵を出し合い、平和な未来を切り開く責務があるのだと私は思います。
 今議会は、終戦記念日を迎えた8月に開会されました。戦後70年の節目の年に当たり、仁坂知事としての所感をまずお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) さきの大戦の終結から70年の節目の年を迎え、多くの県民、国民の皆様が万感胸に迫る思いをされたことと思っております。あの苛烈な戦争では、本県からも多くの若者が戦地に赴き、あるいはたび重なる空襲による痛ましい戦災により、幾多のとうとい命が失われました。
 そして、戦後、私たちのふるさとは、県民が一丸となって努力を重ね、困難を乗り越えて、荒れ果てた郷土の復興と目覚ましい発展の道を歩んでまいりました。
 私たちは、ともすると今日の平和で豊かな暮らしを当然のことのように享受しておりますけれども、現在のこの平和と繁栄は、戦争により心ならずも命を落とされた多くの方々のとうとい犠牲の上にあることを決して忘れてはならないと、改めて思っております。
 我が国では、戦後生まれの人が8割を超えました。太平洋戦争開戦の日や、広島、長崎への原爆投下の日を正確に答えられる人も年々減少していると言われております。70年という年月の長さを感じざるを得ないが、二度と戦争の惨禍を繰り返さぬように、その悲惨さ、平和のとうとさを後世に語り継ぎ、恒久平和の実現に努めることが、現代を生きる私たちの責務であると思います。戦没者の慰霊に真摯に取り組み、県主催の慰霊式を復活させたのも、そのあらわれであります。
 私は、戦後70年の節目の年に当たり、先人が懸命に築いてこられた郷土和歌山を県民の誰もが将来に夢と希望の持てるすばらしいふるさとにしていかなければならないと、決意を新たにしているところでございます。
○副議長(藤山将材君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
 私は、この平和な戦後が70年間積み重ねられてきた、70年間続いた、この意義は本当に大きいと思うんですね。
 ところが、今このままでは戦後80年を迎えられるのか、こんな声が上がり始めています。戦後何十年という節目を重ねることがこれで最後になりはしないか、この先、日本が戦争に巻き込まれる、加わっていくことになりはしないか、これが今、鋭く問われている。それが安全保障関連法案、いわゆる戦争法案の問題だと私は思います。
 安倍政権は、集団的自衛権行使容認を閣議決定しました。日本が戦争に巻き込まれる、他国の戦争に日本が加わっていくのではないか、その危険性を今多くの国民が肌で感じているのではないでしょうか。
 この間の国会審議を通じて、戦争法案の問題点が次々に明らかになってまいりました。集団的自衛権の行使は憲法違反だという違憲性の問題、そして、法的安定性は関係ないという、そういう暴言、また、後方支援は兵たん、ロジスティクスであり、自衛隊員が戦闘に巻き込まれる危険性が高まること、自衛隊が非人道的兵器の運搬をすることも否定されていないこと、防衛省内部資料(統合幕僚監部文書)が暴露され、国会にも出されていない重要な問題がどんどん先走りされていること、このような数々の大問題が国会審議で明らかになってまいりました。
 この統合幕僚監部文書問題に対しては、憲法学者らが声明を発表し、「合憲性に深刻な疑いのある法案について、成立を予定して検討課題を示すことは重大な問題である」と指摘した上で、「議会制民主主義のプロセスよりも、防衛実務の事情を優先した対応と言わざるを得ず、『軍部独走』という批判を免れない」と、こういうふうに批判をしておられます。
 内部文書を見てわかったことは、安倍首相が閣議決定のときに説明していた米戦艦に乗ったお母さんと子供たちを守るというようなことは1つも出てこないということであり、自衛隊と米軍が肩を並べて世界で戦う国にしたいということではなかったでしょうか。
 法案に批判的な世論と運動は急速に拡大しつつあり、私は、この憲法違反の戦争法案はきっぱりと白紙撤回、廃案にすべきだと考えるものです。
 今、県民、国民の世論は大きく揺れ動いています。国のあり方を国民みずからが主体的に議論するのが国民主権であり、戦前の中央集権の反省に立つ地方政治の使命から見ても、今般の安全保障関連法案は、県民の生命、財産とかかわる非常に重要な問題です。この間の国会審議や県民・国民世論の状況を踏まえ、和歌山県知事としての安全保障関連法案への政治姿勢をお伺いいたします。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 我が国は、戦後70年間の長きにわたり、平和と繁栄を享受してまいりました。これは、軍国主義に陥ってしまったという反省に立って、平和を心から希求する国民の不断の取り組みがあったからこそだというふうに思っております。もちろん、平和主義をうたった現憲法が果たしてきた役割も大きいし、一方、日米安全保障条約を初めとする外交的立ち位置も、紛争の防止に大いに効果を発揮してきたと私は思っております。
 一方で、憲法の施行から今日までの間、我が国を取り巻く安全保障環境は大きく変わりました。政府が「もはやどの国も一国のみでは自国の安全を守れない」と言っているように、時代とともに世界のパワーバランスが変化し、現在、アジア太平洋地域においても国家間の新たな問題が、あるいは緊張が生じていることは、報道されてるとおりであります。
 我が国の平和と安全を維持し国民の命を守ることは、政府の最も重要な責務であります。国の安全が保障されなければ、県民の命を、あるいは暮らしを守ることもできませんので、私たちも大いに関心のあるところだというふうに思います。
 政府は、安全保障に係る現在の体制が十分でないという問題認識に基づき、新たな法整備を図ろうとしておりますけれども、多くの国民の間には、御承知のようにさまざまな議論があると思っております。そのような議論を傾聴することはもちろん大事でございますけれども、ただ平和を唱え、みずからが平和主義的であれば事足りる、あるいは相手もそうしてくれるに相違ないと考えて防衛や安全保障や自衛権のあり方などということを議論したり、あるいは耳を傾ける、そういうことを嫌悪するということでは平和は守れないと私は思います。
 今回の議論においても、政府は説明が不十分だということがよくアンケート調査なんかで出てくるんでございますけれども、しかし、その同じ人が、どの部分についてどう聞きたいんだというようなことを果たして考えて言っとるのかというような点については、疑問なしともいたしませんし、あるいは説明を聞こうともしない人もいるかもしれないなあというふうに思います。
 ましてや、戦争法案とか、あるいは徴兵制になるぞなどというレッテル張りをすることに終始していてはどうかと思うことがございますので、例えば法案が成立することを前提に行政当局が実務とか運用とかを考えておくことすら否定するような話は、私には非常識のように思います。
 もちろん、中身については議論されるべきことでございますので、国民的にいろいろ議論するということは、これまた正しいことではないかと思いますが、法案を前提にして用意をしておくことはけしからんというのは、私も長く役人をやっておりましたし、今、県庁の役人を率いておりますが、もっとも変な議論だなあというふうに思う次第でございます。
 いずれにしても、国を守るということは大事なことですから、平和を願うというのは全員の、日本国民はほとんど、あるいは100%と言ってもいいかもしれませんが、我々の願いでございます。その願いをどうやったら実現できるのかということについては、真摯にみんなで議論したらいいんじゃないかというふうに考えております。
○副議長(藤山将材君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事から御答弁をいただきました。
 知事は、安倍政権の法整備の方針に理解を示されると同時に、その世論については、どうにも世論を見下したり、レッテル張りをしてるというふうに聞こえる節もありまして、私はそれはちょっと気になりました。
 そして、我が国を取り巻く安全保障環境が大きく変わった、こういうふうに政府の立場を理解するというお話だったんですが、そのことと安全保障関連法案の組み立てがさっぱり国会で説明がつかない、右往左往してる、同じ言葉をオウム返ししてるというのが、今の安倍政権の国会審議の状況だと私は思います。その安倍総理の言葉を、フレーズをもって法案への理解を示すことは、私は厳しく批判をせざるを得ません。
 今、多くの若者、女性、そして高齢者や中年も、多くの名もない市民が、政治的立場や、知事がおっしゃったような安全保障の考え方の違い、これを超えて戦争法案の行方、アメリカと肩を並べて戦争する国になる危険性を危惧しているというふうに私は思っています。
 そして、安倍政権が数を頼りに強引な国会運営を進め、国民の合意や国会審議を軽視したそのやり方に批判の世論が一層高まっているというふうに思っています。
 この8月末の1週間は、全国でも、そしてまた和歌山でも、歴史的な戦争法案反対の行動が計画をされ、戦後日本政治に記される大きな山場になるというふうに私は思っています。国会前でも地方でも、無名の若者や学生が、自分の言葉で、普通の言葉で平和主義、立憲主義、民主主義が語られている。私はそこに日本の未来を確信するものです。
 そして、戦争体験者が、その若者たちにまたエールも送っています。新聞の投書欄に掲載された「学生デモ 特攻の無念重ね涙」と題した86歳の元特攻隊員の投稿の一部を紹介したいと思います。
  安保法案が衆院を通過し、耐えられない思いでいる。だが、学生さんたちが反対のデモを始めたと知った時、特攻隊を目指す元予科練だった私は、うれしくて涙を流した。
  オーイ、特攻で死んでいった先輩、同輩たち。「今こそ俺たちは生き返ったぞ」とむせび泣きしながら叫んだ。(中略)
  天皇を神とする軍国で、貧しい思考力しかないままに、死ねと命じられて爆弾もろとも敵艦に突っ込んでいった特攻隊員たち。人生には心からの笑いがあり、友情と恋があふれ咲いていることすら知らず(中略)。
  若かった我々が、生まれ変わってデモ隊となって立ち並んでいるように感じた。学生さんたちに心から感謝する。今のあなた方のようにこそ、我々は生きていたかったのだ。
 この投稿に込められた思いや、戦前の地方行政に携わり、戦争遂行に加担してしまった反省の思い、これ、しっかりと胸に刻んでいただきたい、そういうふうに知事に要望するとともに、私ども日本共産党県議団は、和歌山県内、全国津々浦々に広がる戦争法案反対の世論とともに、議会内外で一層奮闘する決意を改めて表明するものです。
 続いて、2つ目の柱に移らせていただきます。
 河川、水路の一体的整備についての質問です。
 本日も台風15号が接近中であり、その影響が心配をされています。ことし7月の台風11号のときには、有田管内において、広川町内で500ミリを記録するような豪雨となり、広川、江上川で河川が氾濫をし、また水路があふれ、町なかでも長時間にわたって浸水被害が出ました。広川、江上川ともに、堤防が決壊したところでは、大量の土砂やごろごろした岩石が田畑に流れ込み、大きな被害が出ました。JRきのくに線では、のり面崩壊により電車が通行不可能となり、特急がとまり、普通列車もバス振りかえ運行を余儀なくされました。
 広川町では、昨年秋の台風11号でも同様の大きな浸水被害が出ており、これまでは10年に1回程度だったこういった被害が、このごろはこうして毎年のように家屋や田畑を襲っているという状況です。この地域では、前門の虎、後門のオオカミ、こんなふうに例えられているように、海から襲いくる津波と、それから背後の山から押し寄せる広川、江上川の洪水に悩まされてきた歴史を持ちます。
 議場に配付している資料をごらんください。平野部における、広川と江上川の流域を地図に示したものです。私は、この地図をつくるための調査をするまでは、広川と江上川の間には、どっちの川に流れているのかよくわからない、そういう水路が複雑に絡み合っているなあ、そういう地形だなというふうに思っておりました。
 ところが、ごらんのように、広川はこの奥にずうっと広い流域面積を持ってるんですが、河口部に行くと広川の流域面積というのはううんと狭くなって、もう川本体だけになっているんですね。平野部の農地や市街地の排水は、広川へは行っていないんですね。
 また、南側、お隣の江上川は、流域面積約4平方キロメートルの小さな川でありますが、広川との間にある上中野のほうまで、かなり無理した形でこの集水域が伸びていることがわかりました。
 そして、この広川と江上川との間には、そのどちらの流域にも属さないエリアがあること──この中央部分のところですね。空白のところ──雨水が川へと流れずに農業用の水路や小さな水路を伝わって網の目のように広がり、最後は海に流れるというエリアがあるということを私は再認識をしました。
 注目していただきたいのは、広川と江上川のどちらの流域にも含まれないその空白エリアが、結構奥に向かって広くて、海岸部でなく上流部に向けて南金屋のほうまで伸びてるんですね。これは、平野部の田んぼに水を引くために、先人たちが苦労して水路を延ばし、上流の横の谷水まで水田に水を取り入れるために水路を延ばした苦労の跡だというふうに思うんですね。
 ところが、田んぼに水を引くための細く緩い勾配の農業用水ですから、大雨のときの水を排水する機能は持ち合わせていません。ですから、水路をあふれた洪水が平野部の田んぼや畑を海のように覆い尽くし、そしてその洪水がそのまんま海のほうに向かって流れて、そのまま町なかへ流れ込んで、道路の上も家屋もプールのような浸水をする。そして、最後には海に向かって流れていくということになっているんですね。
 この地域の浸水対策のために、これらの水路を拡幅したり流れを変えたりすることは、用地の確保であったり利害関係の調整に困難を抱えることが多くて、これまでなかなか進んでこなかったようです。加えて、この平野部を海岸線に並行して横切るJRの線路があって、これが堤防のようになってて、この下をくぐらせて水路が通るんですが、通水断面を拡大するには多くの費用がかかるためになかなか進んでいない。これはどこにもあることだと思います。
 今後、広川町内の町なかの浸水対策のためには、水路や用水路の整備に加えて、道路の側溝を整備することによって必要な排水路の機能を強化したり、また、新たに道路の中に排水路を埋設して整備をするというような、河川とともに道路やまた下水、水路整備、こういったものを連携させて対策を進めるべきではないでしょうか。
 県が策定する河川整備計画は、県管理である河川の本川があふれないようにするというのが中心課題となるわけですが、本川やこの狭い流域のことだけ考えていたらだめだと思うんですね。
 今般、県が広川の河川整備計画を策定するに当たっては、広川本川など県管理部分の線的な整備にとどまらずに、面的に流域の降雨、出水のメカニズムを分析し、市町村管理の水路や、また水利組合などが管理している用水とあわせ、市町村とともに一体的な整備を進める契機とすべきだと考えますが、いかがでしょうか。県土整備部長の答弁を求めます。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 現在、県では、平成29年度末までを目標に、広川も含めた主要河川の河川整備計画を策定することとしています。
 この河川整備計画の策定に当たっては、各地域の実情を踏まえた浸水対策を検討する必要があることから、河川や流域の特性、過去の浸水被害の状況等を踏まえた上で、地域の意見も聞きながら具体の整備内容を検討することとしています。
 特に、広川のように、地域に降った雨が排水能力を超え、河川に流れ込む前に水路等があふれる、いわゆる内水氾濫が頻発する河川においては、市町村を中心とした水路管理者における排水対策が重要であり、これらと一体となった総合的な浸水対策を検討する必要があると考えています。
 広川の河川整備計画については、今後検討が本格化することとなりますが、まずは町の行う排水対策を検討いただくとともに、県としては河川改修と一体となった効果的、効率的な浸水対策が実施できるよう調整を行ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からは、市町村とよく協議しながら整備の計画や一体的な検討、調整をしていくという答弁だったというふうに思います。
 その地域の特性は、歴史的な経過や地理的条件が重なり合っているものです。その上に立って、宅地化や集中豪雨などの今日的な変化に対応しなければなりません。既存事業のメニューの限界とか、縦割りの押しつけ合いで終わることなく、住民の声をよく聞いて要望にしっかりと応えられるよう、広川町を初めこうした課題を持つ市町村とともに県が知恵を絞り、しっかりと対策が実施されるよう、重ねて要望をしておきたいと思います。
 続けて、3つ目の柱である地方創生についての質問に移らせていただきます。
 和歌山県の地方版総合戦略、和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略が和歌山県長期人口ビジョンとともに示され、5年間の目標を定めて取り組みが始まっています。県議会としても、半島振興・地方創生対策特別委員会で議論をスタートさせたところです。
 今回の一般質問では、総合戦略の中心的な課題の1つである子育て支援、この分野で県が総合戦略で掲げた目標と方針を今後どう具体化していこうとしているのかを質問したいと思います。
 県の総合戦略において、基本目標の3つ目に少子化を食いとめる、これを位置づけ、出会い・結婚の支援と妊娠・出産・子育ての支援という2つの柱を立てています。
 今、若者の間では、低賃金で不安定な雇用条件や長時間過密労働が蔓延する中、どうしても結婚年齢が遅くなる傾向があります。また、若い世代の経済的貧困が指摘されている中、子育てに係る経済的負担は非常に重くなってきていると言わざるを得ません。
 子育て支援という分野では、若い世代への経済的負担軽減や労働環境改善などが特に重要であると考えますが、県として、総合戦略に示されたこれらの課題と目標を今後どう具体化し、現行の施策の充実をどう図っていこうとしているのか、福祉保健部長並びに商工観光労働部長より答弁を願います。
 次に、国の方針では、人口減少に対応するためとして拠点都市への集中が進められようとしています。しかし、この間の合併市町村の総括から見ても周辺部の疲弊は深刻であり、選択と集中による周辺部の荒廃が人口流出を一層加速させるとともに、災害に弱い国土をつくるのではという問題提起がされています。和歌山県の総合戦略の中では、連携中枢都市圏など市町村間の地域連携がうたわれていますが、これらの具体化については県としてどう進めていく考えなのか。これは総務部長より答弁を願います。
 この問題の最後に、県内市町村の総合戦略策定に向けた支援と連携についてお尋ねをいたします。
 和歌山の誇る地域資源を活用し、新たなエネルギーを生み出すためには、広域自治体である県とともに基礎自治体の役割が決定的に重要であると考えます。県内市町村でも地方版総合戦略の策定作業が進行中ですが、この計画がコンサル任せの金太郎あめのようなものではなく、しっかりとした議論を重ね、知恵を出した内容豊かな計画に練り上げることが求められています。市町村に対し県は、先行型の交付金獲得のために10月までの計画策定を呼びかけました。決して急がせているわけではないと、そんなふうに言われながらも、市町村は、長期総合計画や地域政策のさまざまな計画策定と重なり、その整合性の調整や時間的制約などに苦労しているのが実情だと思います。
 県内市町村の総合戦略策定に向けた進行状況はいかがでしょうか。県内市町村が地域性を生かした実効性ある計画を策定できるように県としても支援と連携をと、6月の特別委員会でも求めてまいりましたが、現在の状況、そして今後の方向性について、総務部長より答弁をお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 和歌山県版総合戦略における子育て支援策については、子育て家庭の経済的負担の軽減を図るとともに、働きながら子育てができるよう、多様な保育ニーズに対応した保育環境の整備を目指しているところです。
 経済的負担の軽減としては、紀州3人っこ施策による多子世帯の保育料無料化や就学前の乳幼児医療費助成を引き続き実施してまいります。
 また、仕事と子育ての両立支援としましては、直接的な事業実施主体である市町村と連携し、保育所の待機児童解消や放課後児童クラブ、ファミリーサポートセンター、一時預かり、病児保育などの多様な保育を充実してまいります。
 また、今後示されてくる地方創生の交付金の活用を視野に入れながら、若い世代も安心して子育てを行うことができるよう、さらなる子育て支援策の充実に努めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 子育て支援のためには、育児休業の取得や長時間労働の抑制等、男女ともに仕事と子育てを両立することができる働きやすい職場環境が重要であると考えております。また、女性の労働力への期待が高まる中で、女性が働き続けられる職場環境づくりを進めることは、人材確保や定着率の向上など、安定雇用や企業の成長にもつながると考えております。
 こうした取り組みを進めるためには、経営者の理解や意識改革が大きなポイントであることから、さまざまな機会を捉えて経営者に向けた講座を行ったり、労働局と連携して企業を訪問するなど、企業のトップに対して直接働きかけを行っております。また、ホームページで職場環境づくりに積極的な企業の実践例を紹介するとともに、社会保険労務士を企業に派遣して、働きやすい職場環境づくりのためのアドバイスを行っているところです。
 今後も、計画期間内に1500社の事業所へ訪問等を行い、仕事と子育てを両立することができる職場環境づくりを促進してまいります。
○副議長(藤山将材君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 連携中枢都市圏などの広域連携制度につきましては、コンパクト化だけでなく、ネットワーク化をうまくあわせて進めていくことが重要であるというふうに考えております。
 コンパクト化につきましては、公共施設や行政サービスを一定の拠点となるエリアに集約することで、高齢化や人口減少が進む中での都市機能の維持や効率性を高めつつ、よりよいサービスを提供することを可能にするものでございます。一方で、ネットワーク化につきましては、圏域内の拠点となるエリアや周辺の居住地を公共交通や情報通信網などのネットワークでつなげることで、集約された都市機能を圏域全体で活用できるようにするものであります。
 これらのコンパクト化とネットワーク化をあわせて行うことにより、単独では今後維持することが困難となることが想定される生活関連機能サービスなどを圏域全体で維持・向上させるなど、地域と地域が共存共栄できるように取り組んでいくものでございます。
 現在、関係市町村と協議を進めているところでございまして、例えば和歌山市と近隣市町におきましては、広域連携に関する検討会を立ち上げまして、どのような事業で連携が可能か、またそれによりどのような効果があるのかなどにつきまして議論を重ねているところでございます。
 県としましては、総合戦略にございますとおり、行政間の効率的、効果的な連携につながるよう、引き続き、これらの取り組みに対し積極的な支援を行うとともに、活力ある和歌山の創造に向け努力してまいりたいと考えております。
 次に、県内市町村の総合戦略策定の状況でございます。
 7月に行ったアンケート結果によりますと、16団体において10月末までに、その他の団体においても年度内に総合戦略を策定する予定というふうになっております。
 次に、県は市町村の総合戦略策定の支援となるよう和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略を早期に策定したといった、これも市町村支援の一環だというふうに考えております。
 また、市町村の総合戦略が実効性のあるものとなるよう十分な意見交換や協議を行う場を設けるために、和歌山県まち・ひと・しごと創生連絡会議を開催するとともに、市町村に対する情報提供や相談受け付けなどを行うワンストップ窓口を設置しているところでございます。引き続き、市町村の求めに応じたきめ細やかな支援を実施してまいります。
○副議長(藤山将材君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 各担当部長から答弁いただきました。
 具体化ということについては、まだこれからだということだと思います。この総合戦略の中で、なぜこの目標を設定し、どうやってそれを具体化させていくのか、今後とも議論を重ねていきたいと思います。
 今後、国の新型交付金もしっかりと活用しながら、今後の県のさまざまな分野の施策において必要な拡充や新たな支援策をしっかりと講じられるように重ねて要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 3番森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 こんにちは、森礼子です。どうぞよろしくお願いします。
 本日は、6月4日に日本創成会議が提言した高齢者の地方移住にかかわる質問に加え、これと密接に関連する高齢者や障害者など社会的弱者が暮らしやすい和歌山について質問させていただきます。
 初めに、高齢者の地方移住、日本創成会議の提言についてから質問させていただきます。
 民間有識者で構成する日本創成会議は、1都3県の東京圏の高齢者が急増し、2025年には介護施設が13万床不足するとの推計をまとめ、高齢者に地方移住を促すべきだと提言しました。
 そして、地方移住の候補地として、医療、介護ともに受け入れ余力のある全国41地域が例示され、県都和歌山市も含まれました。
 この提言の名称が東京圏高齢化危機回避戦略であることからも、その趣旨は、東京圏の高齢化問題への対処は日本全体の将来像を左右するため、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県で連携して高齢化問題に対応するとともに、東京圏の高齢者の地方移住環境を整備すべきものであるというものです。この提言の反響はとても大きく、全国の地方公共団体の首長から賛否さまざまな意見が表明されています。中には、現代版うば捨て山との批判さえあります。
 しかし、提言の示した我が国の2025年の医療・介護の状況は、批判したり傍観したりしていても解決する問題ではありません。
 今後10年間、高齢化は急速に進展します。特に、75歳以上の後期高齢者の増加が著しいのです。日本全体では、後期高齢者は2015年の1646万人から団塊世代が後期高齢者に達する2025年には2179万人へと533万人増加し、このうち東京圏では397万人が572万人へと175万人増加し、全国の増加数の3分の1を占めると見込まれています。この後期高齢者の増加に伴う医療・介護需要に、東京圏では受け皿の増強が追いつかず、東京圏全体で介護施設の不足が深刻化すると予想されています。
 さらに、東京圏において医療・介護体制を増強しようとすれば、極めて重い財政負担を伴うとともに、人材の確保のため地方から看護師や介護職員を集めることで地方の人材流出がさらに高まり、地方消滅が加速すると指摘されています。
 こういった将来分析を真剣に受けとめ、国と地方公共団体が一体となって、よりよい対策を希求しなければならないのではないでしょうか。
 私は、東京の高齢者を和歌山に押しつけようとするのはおかしいと批判するのではなくて、むしろ反対に、移住するなら和歌山がいいと多くの高齢者が和歌山への移住を希望するように、医療・介護サービスの充実を含め、和歌山の住みやすさをさらに向上させていくべきだと考えています。
 それに、和歌山県の発展のためには、雇用の確保がとても大事です。若い世代の働く場を確保できれば都会へ出なくても和歌山に残れますし、これまで生産性がないとの理由から医療や介護は産業として認められてきませんでしたが、決してお荷物ではなくて、新たな雇用の場として和歌山を支えてくれると考えます。
 本県と姉妹提携を結ぶ米国フロリダ州は、温暖な気候から、全米から退職者が移住することで有名であります。世界一のテーマパーク・ディズニーワールドでは、大勢の高齢者が働いています。まだまだ元気な高齢の方は、私の周りにもたくさんいらっしゃいます。同じように、元気で新しいことに挑戦する意欲を持った高齢者が移住してくれること、これまで培った経験や知恵を生かして、仕事はもちろん、地域社会にさまざまな貢献をしてくれます。このような高齢者のパワーを活用しながら介護予防に力を入れて、できるだけ自立生活を長く送ってくれることにより和歌山の住みやすさはさらに向上すると思います。
 私は、この際、日本創成会議の提言を前向きに受けとめ、和歌山県の将来を見据えた対応策を講ずるべきであると考えております。
 今後、高齢者の地方移住に関する国への政策提言を受けて、国は、高齢者の地方移住を促進するための政策や、高齢者の地方移住を阻害する要因を取り除くための対策を講じてくるものと考えられます。
 例えば、現在の介護保険や国民健康保険制度では、移住による高齢者の人口増により、受け入れ自治体の財政負担がふえるという課題があります。こういった受け入れ自治体の財政負担の軽減策を国が検討していかなければならないと思います。現行の介護保険制度には、自宅のある市町村から別の市町村の特別養護老人ホームなどの施設に入所する場合、住民票を移しても入所前の市町村が引き続き保険者として医療や介護の費用を一部負担するという住所地特例制度がありますが、この特例は、移住する時点で介護が必要な高齢者にしか適用されません。したがって、元気なうちに移住しても、移住前の自治体が移住先自治体の医療・介護費用を負担するような住所地特例制度の見直しなど、新しい仕組みが必要です。
 また、移住先自治体における医療・介護人材の確保、育成についても、国の支援が必要であると考えます。
 きのうの「毎日新聞」には、地方への移住促進として、国は要介護者が多い自治体に財政調整交付金を増額する検討に入ったことが報道されていました。
 新しい住所地特例制度など、高齢者の地方移住に関する支援策について、国にどのような政策を求めるものか、日本創成会議の提言に対する感想も交えて、知事の御答弁をお願いします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの森礼子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 日本創成会議の提言に対する感想ですが、和歌山県では、新たに施設を増設する余地もあり、東京圏のお年寄りを受け入れることは可能であり、若い人も含めてたくさんの方が和歌山県に来てくださることは大歓迎であります。
 もっとも、実はこの辺の事情をあらかじめ詳細に県で調査をしておりましたところ、お年寄りは、都会でもなかなかよそへ行きたがらないという傾向があるということがよくわかっております。だから、必要な施設の手当て等をして、そこで住んでいたお年寄りの面倒を見ていく努力を都会の当局は手放してはいかんというふうに思いますし、それを、お年寄りは地方に面倒見てもらったらいいわいというふうに、こう考えてる当局があったら、かなり問題だというふうに思います。
 しかしながら、大部分の人はもとにとどまりたいと思っておるかもしれないが、来てくださるということは、いずれにしても大歓迎ということでございますが、一方、お年寄りに来ていただきますと、その方々の税金が既に労働人口であったときに東京圏の自治体に納められている反面、今後、和歌山県で福祉のお世話になるお年寄りのための費用のための財源が地方に移ってこないと地方の財政が苦しくなるという問題があります。
 したがって、国に、あるいは日本創成会議のような提言をするような人に対して期待したいことは、どこどこに施設やサービスの余力があるとかないとかを調べることではなくて、どうしたら人々が老後になって仮に移住したときに、その費用をちゃんと賄って全体がうまくバランスされるかという、そういう制度を考えることではないかと私は思います。どうも東京圏を中心にした視点で物事を考える人ばっかりで、マスコミもそんなことばかりもてはやされるのは困ったもんじゃというふうに感想を持っております。
 お年寄りの世話に対する費用を調整する制度、議員御指摘のようなものでございますが、現在、政府に対して、和歌山県としてはそういう制度を創設してくださいというようなことを要望しているところであります。今後、この提案が実現するか、政府の動きも注視しながら、引き続き必要があれば意見を述べてまいりたいと考えております。
○副議長(藤山将材君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、和歌山への移住促進策について質問します。
 日本創成会議の提言における移住対象者の中心は元気で活動的なシニア層であると思いますが、地域が持続可能性を保つためには、特定の年代だけが固まるのではなくて、学生や育児世帯など多様な年代の人々が住むことが重要であると考えます。
 県では、これまでも積極的に和歌山への移住促進策を講じてきたと思いますが、今後、移住促進策の充実強化をどのように進めていくのか、企画部長の答弁をお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 現在、県内では、17の市町村が移住推進に積極的に取り組んでいます。これらの市町村には、地域住民や先輩移住者をメンバーとする受け入れ協議会がありまして、市町村役場では移住相談を一手に引き受けるワンストップパーソンを配置するなど、移住希望者を官民協働でサポートする和歌山モデルの受け入れ体制を整え、他府県に先駆けて移住推進に取り組んできたところでございます。
 今年度は、国の交付金を活用した移住・定住大作戦により、「くらし」、「しごと」、「住まい」の3つの視点から、さまざまな施策を展開しているところでございます。
 「くらし」の支援としましては、40歳未満の若年世代の暮らしをサポートする全国トップクラスの最大250万円の奨励金を初め、現地体験会を多数開催するなど、和歌山暮らしの魅力の発信を強化しているところでございます。また、「しごと」の支援としましては、移住者が起業するための移住者起業補助金のほか、大阪、東京でのフェアや相談会の開催により、転職や就職相談の機会を設けています。さらに、「住まい」においては、空き家の改修助成に加え、県統一版空き家バンクの設置により、支援の充実を図っているところです。
 このような施策を総合的に活用し、今後も都市部からの移住を促進させるため、市町村と一体となって和歌山暮らしを希望する多様な世代の人々を受け入れてまいります。
○副議長(藤山将材君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 ありがとうございます。
 次に、住みたい和歌山の実現について質問します。
 和歌山の移住促進策について質問しましたが、重要なポイントは、和歌山が移住したくなる地域であることです。そして、移住したくなる地域とは、今現在和歌山にお住まいの多くの県民が、和歌山はとても暮らしやすいと実感できる地域になることであります。
 このような視点から、高齢者や障害者など社会的弱者にとって和歌山が少しでも住みよい地域になっていくよう、幾つかの質問をいたします。
 初めに、障害者に優しい県営住宅について。
 私が肢体障害者の集いに参加させていただいたときのことです。その集いに参加されたある障害者の方から、「県営住宅の今の状況を御存じですか」と問いかけられ、その後発せられた言葉の中に、「障害者は田舎に引っ込んどけみたいな感じやな」という言葉に、私は余りにも驚き、返答できませんでした。その方が捉えられている県営住宅の現状は、和歌山市中心部には障害者対応の部屋がなく、あるのは中心から離れたところに少しあるだけで、交通の便利も悪い。また、移動支援事業所もなく、タクシーを利用すると費用が高くつく。つまり、自由に動けないところに追いやられていると感じられておるのです。そして、「なぜ中心部の便利なところに障害者の対応の部屋を設けてくれないのか」と相談を受けました。
 この相談を受けてから少し勉強すると、実は県営住宅はバリアフリー化が進み、またユニバーサルデザインに近づいていることを知りました。同時に、せっかくのこれらの取り組みについて、利用者への情報提供が十分でないこともわかりました。
 そこで、県営住宅のバリアフリー化の現状と、バリアフリー化を進める中で障害者対応についてどのような取り組みを行っているのか、県土整備部長にお伺いします。
 次に、買い物弱者対策について。
 また、高齢者にとって住みよい地域であるために大事なことは、移動手段が確保されていることではないでしょうか。最近、各地で「利用者の減少が原因で路線バスが廃止されて本当に不便になった」という話をよく聞きます。若くても、障害者や高齢者であっても、みずから移動手段を持たない交通弱者にとっては、たちまち買い物や通院など日々の暮らしに支障が生じる切実な問題です。
 政府は、ことしの6月に、高齢者を初めとする交通弱者が運転をしなくても暮らしやすい社会を目指し、LRT(次世代型路面電車)やコミュニティーバスなど、移動手段の確保が必要とする「平成27年版交通政策白書」を閣議決定しました。
 現在、住民の移動手段の確保については、それぞれの市町村でコミュニティーバスやデマンドタクシーの運行等の工夫がなされていますが、地域公共交通の充実は、観光客の利便性向上や地域間交流の活性化にもつながるという効果もあります。その意味では、もう少し広域的な視点で解決策を考える必要があり、県としても果たすべき役割があると思います。
 住民の日常生活を支えるため、ぜひ今後とも県・市町村、力を合わせて、バス事業者に新たなバス路線の検討を求めていただくなど、公共交通空白地域の解消に努めていただきたいとお願いしておきます。
 本日は、買い物に行かなくても来てくれる便利なサービスについて御紹介します。買い物弱者対策は、都市や地方を問わず、今最も求められている政策の1つです。
 県内外に37店舗を出店する地元スーパーのマツゲンさんが、新鮮な食材を移動販売車に積み込み、お買い物に不便な地域に出向くという生鮮移動スーパーという事業を展開しています。平成25年から経産省の支援を得て事業を開始し、現在、橋本市、高野町、かつらぎ町、有田川町、美浜町、日高町の1市5町の過疎地を毎週定期的に巡回し、精肉、鮮魚、青果など、マツゲン自慢の生鮮食品を中心に、手づくり総菜、各種加工食品、日用品など、500品目をそろえているそうです。
 行政ではなく、マツゲンさんのような民間企業の経営努力のおかげで成立する買い物弱者対策は、大変すばらしいと思います。
 買い物弱者は、過疎地域だけの問題ではありません。県都和歌山市においても、バス路線の廃止や商店街の衰退によって、買い物に不便を感じておられる方が多くいます。
 そこで、移動スーパーのような民間事業の営業活動の力をかりて、県内全域に買い物弱者ゼロ作戦を展開していただけないものでしょうか。課題はたくさんあると思いますが、補助金だけでなく、採算だけではなく、うまくバランスのとれた買い物弱者対策ができるのではないでしょうか。買い物弱者ゼロ作戦の展開について、商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 県では、県営住宅に入居される障害のある方のため、従来は主要な団地の1階部分に障害者向けの住戸を整備してきました。しかし、近年では建てかえ時にエレベーターを設置し、室内の段差解消や手すりの設置など、全住戸を対象にバリアフリー化を進めており、県営住宅の約25%がバリアフリー化されている状況です。特に、和歌山市内の県営住宅では、もともと建設年度が古かったことから建てかえ事業を先行してきたところであり、約39%がバリアフリー化されています。さらに、和歌山市の中心部に位置する県営住宅で見てみますと、7団地545戸のうち6団地463戸、戸数割合で約85%がバリアフリー化されている状況です。また、障害の状況に応じて追加の手すりや緊急通報装置など、さらなる支援具の設置が必要な方には、申請を行っていただくことにより対応が可能となっています。
 県としましては、引き続き安全で安心して暮らせるよう、県営住宅の建てかえにあわせてバリアフリー化を推進するとともに、こうしたバリアフリー化の状況を御理解いただけるよう情報提供の充実にも努めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 買い物弱者問題は、地域特性や個人の状況によって必要な対策が異なっていることから、県といたしましては、過疎地域においては過疎集落支援総合対策事業のメニューの1つとして支援し、要介護認定を受けた要援護者にはホームヘルパーによる買い物サービスの提供などに取り組んでおります。
 また、民間事業者では、店舗まで送迎する買い物バスやネットショッピングなど、さまざまな取り組みがなされていますが、移動スーパーにつきましては、買い物弱者対策に有効な取り組みと認識しております。
 県では、これまで、移動販売に必要な車両購入等への国庫補助事業を積極的に活用するよう民間事業者に発信してきたところであり、今年度においては、経済産業省の中心市街地再生事業である買い物環境整備促進事業の公募に当たり、希望する民間事業者に対し、申請方法の相談や採択に向けた助言を行った結果、複数の民間事業者が採択され、移動販売を実施することができました。
 県といたしましては、今後とも市町村や関係機関と協力しながら買い物弱者対策に取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、農業と福祉の連携について質問させていただきます。
 初めに、障害者の就農支援について。
 農林水産省のホームページで、「農」と福祉の連携プロジェクトという事業を見つけました。高齢者や障害者のための福祉農園について、拡大、定着が図られるよう、厚生労働省と連携して支援するという事業で、福祉農園の開設・整備や、福祉・農業関係者を対象とした研修会の開催、農業専門家の派遣等について補助が受けられるようです。
 福祉分野においては、農業、園芸活動を通じて得られる心身のリハビリテーション効果や、共同作業による社会参加促進効果を改めて評価されています。また、高齢者の健康づくりや障害者の就労訓練、雇用の場として農作業を取り入れたいと考える福祉施設がふえていることが背景にあるようです。
 農業は高齢者や障害者の心身の健康維持に大変役立つので、私は農業と福祉で手と手を取り合うのはすばらしいことであると考えています。
 障害者の自立支援へ向け、障害者の働く場の拡大や授産施設、就労支援事業所における工賃向上が不可欠ですが、現状では、就労支援事業所における受託作業が中心であり、さらに就労の場を開拓していく必要があると思います。
 農業においては、繁忙期の労働力確保や担い手不足、耕作放棄地対策などの問題があります。農作業の受け皿として障害者が就労することによって、これらの課題を同時に解決できるのではないでしょうか。しかしながら、現状においては、農業関係者と福祉関係者を結びつける機会が少ないのではないでしょうか。
 そこで、本県における両者のマッチングや障害者の就農支援の状況はどのようになっているのでしょうか。今後の取り組みを含め、農林水産部長の答弁をお願いします。
 次に、生活保護受給者の農業を通じた自立支援について質問します。
 先日、テレビで、小島希世子さんという、農業を起業した慶応大学出身の30代の女性社長の特集が目にとまりました。小島さんは20代で起業後、生活保護受給者などの就農支援プログラムというテーマで、横浜ビジネスグランプリのソーシャル部門で最優秀賞を受賞しました。
 小島さんによると、農業の人手不足は年々深刻化していて、特に地元の熊本県では大規模な農家も多く、人手不足が顕著だそうです。その一方で、関東では働きたいのに仕事がない方が多くおられる。この2つの課題を同時に解決できると考えたのが、生活保護受給者の就農プログラムだそうです。
 彼女は、「生活保護は、社会にとって必要なセーフティーネットだけれども、その一方で働く喜びを奪ってしまうケースがある悲しい現実です。農業体験を通じて、栽培技術の習得だけでなく、収穫や達成感の喜びを体験しながら自立のきっかけをつかんでもらいたい」と話しています。そして、「多くの受給者が自立し、今後さらに行政や新しい組織を巻き込んで支援メニューや事業の仕組みを発展させていきたい」と抱負を語っていました。
 私は、仕事とは、収入を得る手段だけではなく、仕事をすることによって人間としての自尊心が得られるもので、心身の健康、人間としての成長を与えてくれるものであると考えています。仕事を通じることによって人とのつながりを保つこともできます。特に農業は、土に触れ、汗を流し、畑や田んぼで共同作業を行います。農業は、人と人とを結びつける大きな力を持っていると思います。
 私は、小島さんの次の言葉にすごく共感いたしました。「土に触れ、自然のパワーを全身で浴びると、人は本当に変わるんです。大地は、目に見えない価値であふれています。食べ物の安全性を考える食育の場として、心の癒しの場として、家族や友達とのコミュニケーションの場として、コトモファームが役に立てればと願っています」。
 小島さんの体験農場「コトモファーム」は、神奈川県藤沢市にあるそうです。首都圏と和歌山県では生活保護受給者の状況が異なるかもしれませんが、生活保護受給者の就農プログラムはとても参考になる先進事例だと思いました。
 私がこのプランに魅力を感じたのは、現在農業は70代、80代の高齢者によって支えられています。例えば、50代、60代の生活保護受給者が普通に職を見つけるのが困難であっても、農業就労は和歌山県でも同様の取り組みができると考えました。
 生活保護受給者の農業を通じた自立支援について、福祉保健部長の答弁をお願いします。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 障害者の就農支援についてでございますが、農業の生産現場では、収穫期などの繁忙期の労働力不足を解消するための人員確保は重要な課題であり、県では、農業者の求人情報をホームページを通じ広く情報発信しておりますが、ミカンや梅など傾斜地での収穫作業が多く、現状ではマッチングが困難な状況にあります。
 このような中、県では、さまざまな団体からの就農に関する相談に対応してきたところであり、これまでNPOや社会福祉法人など7団体が水田や畑といった作業条件のよい農地を借り受け、障害者の方々による米や野菜等の生産を行っております。さらに、生産した麦をパンに加工して販売している福祉団体もございます。
 今後も、福祉関係機関との連携により、農地のあっせんの相談があった場合の助言や普及指導員による栽培技術指導など、障害者の就農が円滑に行えるよう支援してまいります。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 生活保護受給者の自立支援の取り組みですが、生活保護受給者の方々が介護施設でボランティア活動をすることにより就労意欲の向上を目指す自立支援プログラムを実施しており、向上が図られた方には就労支援員がハローワークへの同行訪問を行うなどの支援を行い、就労につないでおります。
 議員から御提案のありました農業を通じた取り組みは仕事をする喜びや自信を取り戻すことに大変効果があると考えますので、農業を活用し、訓練を行っている障害者の就労支援施設などにも対象を広げ、今後、農林水産部と連携しながら生活保護受給者の自立支援を図ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁、どうもありがとうございました。
 質問はこれで終わりですが、全国トップクラスの移住・定住大作戦の今後の成果はすごく楽しみでありますし、また、今回、県民の移動手段に関する質問ができなかったんですが、これから移住・定住大作戦を推進していく上でとか、また今困ってる県民への対応をどうするのとか、また改めて聞きたいと思っております。
 それと、県営住宅に関しては、情報提供が十分でないために利用できないと思い込んでいる障害者の方がいたということなので、情報提供の充実をお願いしたいことと同時に、それができていなかったことで寂しい感情を持っておられたことがとても残念に感じましたので、どうぞよろしくお願いします。
 これで、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、森礼子さんの質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時16分散会

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