平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 16番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 一般質問も私が最後となりました。もうしばらくおつき合いをお願いいたします。
 まず最初に、県債1兆円超えの感想と対策について伺います。
 平成25年度の当初予算から、県債が大台の1兆円を超えています。私たちの要望の多くは、予算をとれ、金を使えというものですが、実は1兆円という途方もない大きな金額を聞くと、果たして返せるのかと心配してしまいます。県債1兆円超えについて、知事はどのような感想を持っておられますか。また、その対策についてお考えを伺います。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県債残高は御指摘のとおり、平成27年度当初予算のとおりに県債を発行した場合、年度末残高が1兆円を超える見込みとなっておりますが、このうち、臨時財政対策債など、将来、国からの交付税で措置される分が約6000億円を占めております。臨時財政対策債は、本来ならば地方にくれるべき財源を、国にお金がありませんので、地方で借金をしておけ、後で返してあげるというものであります。こういうものを除くと、いわば県独自の責任で返さなければいけない、そういうことになりますが、それは約4000億円でございまして、これはほぼ横ばいに推移しております。
 先ほどの6000億円の類いのもの、これは国が破綻しなければ我々が何も心配することはないということなんでございますが、国の財政が破綻したら急にこちらの財政も大変なことになるわけでございます。したがいまして、国の財政が破綻しないよう国の財政の健全化が図られることは、本県にとっても重要でございます。
 残りの4000億円のところなんですが、これは横ばいで推移するように努力をしてきたんですけれども、現行の新行財政改革推進プランに基づき、将来の公債費負担に十分配慮しながら、これまで県債を発行してきた結果だと思います。
 今後とも、こういう部分については、同プランに基づき財政運営を行うことにより、県財政の健全性を確保してまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 現在の財政制度では、税収がふえても、逆に交付税が減額されてしまうので、余り税収増が恩恵がないというふうに言われております。しかし、県税収入が増加することは、県財政の健全化に資するとともに、知事の予算編成の幅を広げるものであります。知事は、県立医科大学薬学部の事業化に際し、県費負担について熟考されておられますが、県税収入の増加はそういった判断を容易にするものであると思います。
 かつて神戸市は自治体の優等生と言われましたが、阪神大震災以降は財政が逼迫しております。本県も、来るべき南海地震に対して県財政が持続できるよう体力をつけておかねばなりません。
 今般、県では、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定しました。目標を指し示すことは知事の仕事ですが、私は総合戦略を読んで、目標と具体的な施策、進捗管理目標、行動指針には少し距離があると感じました。「創生」という言葉は新たに生み出すという意味であり、これまでにない期待を感じさせるものであります。この際は、「創生」にふさわしいダイナミックな政策が必要ではないかと思いました。
 例えば、メタンハイドレートの埋蔵量は、我が国の消費量の100年から200年分というふうに言われております。まさに、紀伊半島沿岸がアラブの湾岸になるチャンスです。新宮や勝浦は、ドバイになる可能性があるのです。可能性というより、ぜひそうしなくてはならないと思います。今からそうなるためには何をすべきか、知事の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) メタンハイドレートの開発につきましては、その前提として、海底地下構造の把握、採掘、貯蔵、輸送などの各工程において多岐にわたる高度な技術が必要でありまして、これは全体は国において取り組むべきものと考えております。
 進め方を具体的に申し上げますと、その存在の有無や賦存量を確認すべく、基礎調査として掘削調査なども必要でございます。そして、賦存可能性がわかりますと、次の段階として詳細な調査が必要になります。同時に、関心を有する企業を集めたコンソーシアムを組織するなど、資源回収の技術開発が必要となります。このようなことを踏まえて事前に賦存可能性を調査することが、本県において採掘等が行われることに有利に働くと考えております。
 そこで、平成24年度から漁業調査船を活用した経済的な方法で賦存状況調査を実施し、それによってメタンハイドレートが存在する可能性が強く示唆されるプルームが複数観測されたところでございます。
 今申し上げましたのは表層型のメタンハイドレートでございますが、地層型のものについては、これは海底地質調査なども結構進んでおりますので、これもまた、紀伊半島だけではございませんが、特に南海トラフの周辺に随分たくさんあるというふうに見込まれております。
 今後、この観測結果を最大限生かしまして、和歌山で採掘や開発が行われるというチャンスをつかむために、ここにあるんだから、それ、やれというようなことを働きかけてまいりたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 和歌山はかつて、半島にあるということで、半島だからおくれてるという、そういうことを言ってきましたけども、よく考えてみたら、海という広大な無限の可能性のあるところに面してるわけでありまして、大いに海洋開発に取り組むべきだというふうに思っております。
 今、知事からお答えをいただきましたが、私はそれ以外にも、県税で鉱区税というのがあるというふうに聞いております。海底もしくは地中から出てきたものについて、課税のできる仕組みでありますけども、私はこれ、出てきたものに課税できるのかと思ったら、その面積というんでしょうか、埋蔵されてるところの面積に応じて課税ができる、しかも軽減税率で、あんまり思ったよりも大きな税収にはならないんじゃないかというふうに感じました。今のところ県で課税できるというのはそれしかありませんので、海底から新しく出てきたようなメタンハイドレートのようなものには別途違う課税ができるような、そんな研究も今からやっとく必要があるんじゃないかなというふうに思っておりまして、そういうこともよろしくお願いいたしたいと思います。
 続けて質問をさしていただきます。
 ことし4月、知事とともに私たち議員も、メキシコ、シアトル、バンクーバーの県人会の周年記念式典に参加してまいりました。
 シアトルでは、エド・マレー市長に面会するチャンスをいただきました。私は、市長にシアトル発展の原動力は何かとお尋ねしたところ、一言で言うのは難しいが、何でも受け入れる多様性にあるとのお話でした。
 シアトルで活躍する公認会計士・佐藤淳氏は「地方都市の活性化についてシアトルから学ぶ」というレポートで、シアトルの発展は、ボーイングやコストコなど世界的企業の貢献と並んで、マイクロソフトを中心としたソフトウエア企業の集積、その大企業から独立した新規企業がさらに集積することで、現在も急速に経済成長を遂げていると分析しています。そして、日本の地方でも世界を狙う野心を持つことや、人的支援、ベンチャーキャピタルの強化により地域活性化が可能だと言っています。同時に、ワシントン大学やシアトル大学、ゲーム開発者養成学校などの人材養成機関の貢献も挙げています。
 本県も、シアトルやシリコンバレーのように発展するアメリカの地方を参考にすべきであります。
 話は変わりますが、仁坂知事が就任直後に講演された資料をネットで見つけました。知事は、かつて本県より人口や経済規模が小さかった岩手県や熊本県の産業構造を分析し、この数十年で追い抜かれた原因が自動車産業や家電産業の集積にあったと指摘されています。ぜひとも、自動車や家電のような──これからは多分また違う分野であろうかと思いますが、県経済を牽引するような成長企業、成長産業が和歌山県にも欲しいものであります。
 平成26年12月定例会では、青色LEDの発明により、社員数がわずか200人の中小企業が20年ほどの短期間に8500人の大企業に成長したことを報告いたしました。このような発明、発見が常時起きるような環境を本県でも創出できないものでしょうか。知事の所見と取り組みについて伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、本県産業の活性化のためには、技術開発や創業によるイノベーションが不可欠であると、このため、さまざまな支援策を総動員して、県内企業が常にイノベーションを起こしていける環境整備に努めるべきだと思っております。
 これまでも、本県では、革新的な発想力だけではなくて、現場での地道な改善やひたむきな努力の積み重ねにより新技術を生み出した創業者が数多く生まれてきました。このような立派な起業マインドを持つ人材が県内に数多く育ち、企業が絶え間なく研究開発に邁進することがイノベーションの基礎になってくるものと考えております。
 その環境整備の一環として、県内企業の新技術の創造を促進するために、さまざまな政策的な制度を準備しております。その中核的なところに、先駆的な技術開発とか、もっと小さいもので言うとわかやま元気ファンドとか、いろいろな制度を整備するほか、産学連携の取り組みを支援するために、本年度は特に地方創生先行型の交付金を活用いたしまして、工業技術センターに最先端の機器を集中整備するなどの取り組みを既に行っております。
 その上で、創業を促すべく、さきに策定した地方創生の総合戦略に創業支援を位置づけるとともに、その具体策について和歌山県産業技術戦略会議で議論しているところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次の質問に移ります。
 去る6月5日、来年夏に日本で開催されるサミットの会場に、三重県伊勢志摩の決定が報道されました。これまでサミットの開催地は都会が多かったため特に意識したことはありませんでしたが、今回は、まことに失礼ながら、三重県と聞いて、それなら和歌山でもできるのではないかと思いました。
 6月7日に開催された新宮─大泊間のくい打ち式では、三重県の代議士が大変誇らしそうに、和歌山にも協力をしてほしいとおっしゃっていました。それを聞いて、高速道路だけではなく、サミットにおいても負けておれないなというふうに思いました。
 幸い、本県には伊勢志摩に劣らない白浜や那智勝浦、高野山といった立派な候補地があります。何とか和歌山県でも開催できないものでしょうか。サミットを目指すことが県内のおもてなしのレベルアップにつながると思いますが、知事の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まことにそのとおりでありまして、三重県はいいなあというふうに思うところもございます。サミットは、世界でも注目度の高い国際会議でございまして、開催が実現すると、各国首脳を初め大勢の方々が訪れるとともに、その間、観光などがシャットアウトされるんですけども、世界中のメディアに連日報道されますので、知名度が上がります。それは、将来の観光振興や地域経済への波及など、地域の活性化に大きな効果が期待できると思います。
 しかしながら、開催するには――今回も決定に当たって一番重視されたところがセキュリティーなんです。それが特に大事なので、そういう施設がいわば隔離されていないといかんということになりまして、和歌山のように観光施設も民家も一体となっているようなところは結構難しいと思います。隔離されてるところも、想像するに「あそこなら」というようなところもないことはないんですけれども、今度はサミット会場に首脳会議場を初めとした一定規模以上の会議場が20室以上必要であり、かつ、首脳やプレス用、スタッフ用、それぞれの宿舎として約6500室程度の部屋数の確保が要求される。さらに、1万3000平米以上の国際メディアセンターの必置など、どうも物すごくハードルが高いのが現状でございまして、現時点では、本県の開催は、これ自体としては不可能であると思います。
 今後、より一層、観光振興に和歌山県は力を入れていかないといけない。観光立県和歌山としての魅力をさらに高め、民間投資によって施設も充実させて、サミットはそれでもハードルが物すごく高いと思いますが、似たようなのはたくさんあるわけでございますから、そういう機会に大いにチャレンジをしたいと思います。
 また、サミットによって一時的に伊勢の人気が高まったときでも、2013年の伊勢遷宮のときに一生懸命我々が運動したように、そのお客様をこっちに連れてこようというプロモーションも、また同時に考えていかなきゃいけないと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ぜひですね。私は、そんなに難しくないんじゃないかというふうに思っております。目指すことが、私は和歌山県の観光だけではなくて、全ての面においてレベルアップができる。それこそ、言ってできないと格好悪いというのはあるかもわかりませんが、知事のような立場の人が指し示す方向性というのはそんなところかなというふうに私は思いまして、どうぞ、やろうというふうに早くなってくれることを期待しております。
 続けて、質問をいたします。
 教育長にお尋ねいたします。
 宮下教育長は、改正法による新制度で初めての教育長に選任されました。新教育長は、県教育行政の責任者としていかに取り組まれるのか、所見を伺います。
 特に、学力テストは小学国語で全国最下位になるなど危機的状況にありますが、学力向上についてもあわせてお答え願います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 現在、本県教育の喫緊の課題として、いじめ、不登校、学力等の問題がございます。また、道徳教育、体力の向上、ふるさと教育、国際人の育成、就職支援等、さまざまな取り組みを推し進めていく必要がございます。そのような中で、子供たちが安全・安心な学校生活を送り、確かな学力と健やかな体、思いやりの心や感謝の心を育むこと、いわゆる知・徳・体を基盤とした、これからの時代をたくましく生き抜く人間としての総合力を育成することが私の目指すところでございます。
 とりわけ、学力につきましてはその土台となるものであり、これまでの全国学力・学習状況調査で明らかとなった厳しい結果を克服していくことが本県教育の最重要課題であると認識してございます。
 今年度、新たに義務教育課学力向上対策班を設置し、昨年度策定した県学力向上対策中期計画に基づき、市町村教育委員会や各学校と一体となって、課題解決に向けた実効性のある改善策に組織的、継続的に取り組んでいるところでございます。
 県教育委員会といたしましては、子供たちが何事にも粘り強く取り組み、成果を実感し、自信と誇りが持てるよう、学力の向上を初め、教育のさらなる充実に取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 お答えをいただきました。
 私は、学力の向上をするためには、できる子をさらにできるようにという方法もありますが、公教育というのは、できない子をできるようにするというのが一番大切ではないかというふうに思っております。
 小学校の基礎ができないというのは、学校だけではなくて、家庭にも課題があるというふうに聞いております。しかし、家庭に課題があって、そこを求めてもやっぱり限界があるわけでありまして、そこは大変ですけども、学校が担わなければならないんではないかというふうに私は思っておりまして、できない子をできるようにするという、その部分についてはどんなにお考えですか。よろしくお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 議員御指摘のとおり、私の課題もやはりそこにあると思っています。できない子といいますか、よりわかるようにしていくということが、やはり最低限の基礎的なことでございますので、補充学習という発想はやはりそこにあるかなと思っています。子供たち一人一人の力をしっかりつけていくように小学校段階から取り組みまして、これから一生懸命取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 それは、今までにも、前の教育長のときにもお答えいただいたことがあるんですよ、補習をやると。私、自分の母校へ行ったら、実は補習やってませんでした。御坊市内では違う学校でやっているということでございましたので、そこへ行って聞きましたら、補習ではなくて全員でプリントをやってるということでした。だから、ここで答弁していただいても、現場で皆さんに行動していただくということは、なかなか簡単ではないというふうに思っておりまして、就任されたばかりでございますので、ぜひ効果を上げていただくよう期待を申し上げておきます。
 続きまして、ふるさと教育について伺います。
 医師不足を解消するためには、県民の子弟が県立医科大学へ入学することが一番の近道だと考えています。せっかく入学定員がふえても、残念ながら学力の面からか、県内の入学数は余りふえていません。私は、これまでも、理科好きな子供には県内の医師不足を理解してもらって医師を目指すよう教育することの必要性を訴えてきました。
 また、県経済の発展には、公務員を目指す人ばかりが帰ってくるのではなく、新しい技術やビジネスプランを持って和歌山で創業しようという意欲のある子供たちを育てる必要があると思います。そのためには大学も必要だと考えますが、今回は、ふるさとで錦を織る子供を育てる教育、すなわち和歌山に生まれ育った子供たちがふるさとを愛し、ふるさとの発展や県民の幸福のために頑張りたいと思える教育はできないものか、教育長の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 少子高齢化社会が進み、人口減少が避けられない本県においては、ふるさと和歌山に愛着を持って、将来、和歌山で生きることを選択する若者をより多く育てていく必要がございます。
 現在、各学校では、地域の魅力を知り、地域に貢献しようとする心を養うことを目的として、ふるさと教育やキャリア教育、職業教育に力を入れてございます。
 小学校では、自然体験学習や地域の職場見学等の活動を通し、地域への愛着を高めています。また、中学校では、地域での職場体験等を通して地域の価値を再発見し、地域への誇りを持たせる取り組みを行ってございます。高等学校では、地域に根差しながらグローバルに活躍する人から学ぶ取り組みや、生徒が将来、地域で起業することをイメージし、ビジネスプランを具体的に立てるような取り組みを行ってございます。
 今後、このような取り組みをさらに充実し、県内はもとより、どこにいても、ふるさと和歌山を愛し、ふるさとの発展に尽くす人材の育成を進めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、いよいよ国体が近づいてまいりました。ぜひとも、男女総合優勝を期待するものであります。
 私は、今回の国体の準備のために設けられたゴールデンキッズは大変すばらしい制度だと評価いたしております。イチローも、野球をやっていなければ、ただのおじさんになっていたかもしれません。特に、小学生という可能性のあるときにいろいろチャレンジしてみて特性や興味を引き出すというやり方は、ほかの普通の子供たちに対しても、また学力や社会性についても応用できるシステムだと思います。
 健康で豊かな人生を送るためには生涯を通じてスポーツを継続する必要があり、そのためには、複数のスポーツを習得するほうが継続しやすい、そして、そのスポーツとの出会いは小中学校の義務教育ではないかと考えています。
 愛知県にあるゴールデンキッズという民間経営の子供スポーツクラブでは、幼少期に運動する必要性について、俗に運動神経と言う体性神経は脳からの指令を体に伝える神経のことで、この神経系統の発達は12歳でほぼ100%に達するので、5歳から12歳までのゴールデンエージに指導者のもとでさまざまな運動を正しく定期的に継続して行うことが大切だと言っています。
 小中学校の義務教育で、ゴールデンキッズのように幾つかのスポーツにチャレンジして、生涯を通じて楽しめるスポーツを見つけることはできないものでしょうか。御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 子供たちが生涯にわたって運動に親しむためには、運動への関心、意欲を高めることに基本的な技能を身につけることが大切でございます。
 現在、小学校、中学校の体育科の授業では、体づくり、器械体操、陸上、水泳、球技、ダンスの6つの運動分野をバランスよく指導することとなってございます。子供たちは、例えば球技については、バスケットボールやサッカーを初め、ハンドボールやソフトバレーボール等、さまざまなスポーツと出会い、その特性や魅力に触れる楽しさを経験します。
 また、体育科の授業を充実するためには教員の指導力も重要となることから、学級担任が体育科の授業を担当するケースが多い小学校教員を対象に、実技研修会や授業研究会を積極的に開催し、指導方法等について研修する機会を設けてございます。加えて、本年度から国の事業を活用して、一部小学校の体育科授業に専門家を派遣し、児童の運動能力を伸ばす支援を行うこととしてございます。
 今後とも、子供たちが生涯を通じて楽しめるスポーツと出会い、豊かなスポーツライフを実現できるよう、学校体育の充実に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 質問を続けていきます。
 仁坂知事は、日ごろから南海地震に対して、1人の犠牲も出さないよう防災対策に取り組むと言われています。県民から信託を受けた県の防災責任者として決意を示すとともに、各種防災対策において県や市町村、県民が取り組む目標を示したことは大変意義があります。
 さて、大規模災害では、被災後72時間以内に救出すれば助かる命があると言われています。これを黄金の72時間といって、倒壊した建物等の下敷きになった人の救出に当たっては、経過時間72時間を境に生存率が激減することから、72時間以内に救出すべきとされています。
 平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、神戸市消防局によりますと、震災当日に救出された604人のうち生存者は486人で生存率80.5%、2日目は、救出された450人のうち生存者は129人で生存率28.5%、3日目は、救助された408人のうち生存者は89人で生存率21.8%でした。しかし、震災から4日、すなわち72時間でありますが、これを経過すると、生存率は一挙に5.9%に、5日目には5.8%に生存率が激減しました。
 平成26年3月の県議会防災・国土強靱化対策特別委員会で関西大学の河田惠昭先生に御講演をいただいた際に、私は72時間対策の必要について質問いたしました。
 先生がおっしゃるには、東日本大震災では負傷した人のほとんどは津波の犠牲になったので、72時間対策は必要ないとのお答えでした。講演内容が大変すばらしかったことと、防災の大家の河田先生がおっしゃることには間違いないと納得をしておりました。しかし、昨年9月の同特別委員会で、田辺の海上保安部長から、東日本大震災直後に海上保安庁が300数十名を救出した活躍ぶりを伺いました。そして、やはり72時間対策の必要性を改めて痛感した次第であります。
 現在、私たちは南海地震イコール津波被害と思い込んでいますが、過去の教訓では、建物倒壊、火災などにも備えなければなりません。東京都や横浜市など多くの自治体では、地域防災計画に72時間の概念を、考え方を盛り込んでいます。
 本県でも、1人の県民の犠牲も出さないためには72時間対策が必要と考えますが、県の取り組みについて危機管理監に伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 議員御指摘のとおり、72時間を過ぎると生存率が著しく低下することから、72時間以内の人命救助は非常に重要と考えております。
 災害対策基本法の規定に基づき作成している県地域防災計画では、災害発生時における応急対策として、警察、自衛隊、海上保安庁などの各関係機関ごとに発災直後に取り組むべき業務を災害応急対策計画として記載しており、県民の生命、財産を守るため、各部門が1分でも1秒でも早く災害対応に着手するという考え方が基本となっております。
 大規模災害発生時には、被災地の状況に応じた活動を集中的、継続的に行う必要があるため、発災直後には県内の人員を最大限動員するとともに、全国からの広域応援部隊を迅速かつ適切に被災地に展開するなど、72時間の重要性を考慮した救助活動に取り組む所存でございます。
 また、本年3月、中央防災会議が、南海トラフ特措法に規定する推進基本計画を受け、南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画を策定し、その中で人命救助のために重要な72時間を考慮した各機関における応援活動のタイムラインイメージが具体的に示されたところです。これら応援を適切に受け入れるため、和歌山県の受援計画の見直しを行ってまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 人の救出活動や災害関連物資の運搬などを行うためには、被災直後の最初にやらなければならないことは、道路から瓦れきを除去することです。これを道路啓開といいますが、どのような計画になっているのでしょうか。また、被災地近くには、道路啓開に必要な重機や、それを操作するオペレーターが必要になります。すなわち、それらが所属する建設会社を被災予想地域に温存していかなければ、いざというときには間に合いません。そういった政策は県にあるのでしょうか。あわせて県土整備部長に伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山県における災害時の道路啓開計画につきましては、高速道路、直轄国道と緊密な連携のもと、緊急輸送道路を中心に優先的に啓開するものとし、災害協定を締結している和歌山県建設業協会会員の地域の建設業者の担当区間を示したものとして策定中であり、現在は、一部担当会社が重複する区間について国土交通省と調整を行っているところです。今後、早急に道路啓開計画を策定してまいります。
 また、道路啓開に当たっては、建築物その他工作物等の崩壊、倒壊及び損壊に伴う道路交通確保のための障害物の除去作業等を円滑に行う必要があることから、重機や資機材の所有、オペレーターの雇用等を行っている建設業者に対し、入札参加資格審査において加点評価を行い、より金額の大きい工事への参加を促進しております。
 災害時に当たっては、地域の建設業は最も頼りになる存在であることから、県内建設業の受注機会の確保を初め、建設業の振興、発展に引き続き取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に行きます。
 かつて、浄化槽といえばトイレの汚水のみを浄化する単独浄化槽のことでしたが、時代が進むにつれて、風呂場や台所から排出される生活雑排水が河川や海の水質汚濁の原因となる割合がふえました。そこで、トイレの汚水に加えて生活雑排水も浄化する合併浄化槽が設置されるようになりました。その後、浄化槽法の改正により、平成13年4月1日からは単独浄化槽の製造、販売が禁止され、設置することが不可能になりました。
 しかし、法の不遡及の原則により、平成25年度末時点で全国にはまだ単独浄化槽が437万基残っており、これらを合併浄化槽に変更することは大きな課題になっています。本県においても、今年度から、合併浄化槽に切りかえる場合に単独浄化槽の廃棄処理費の一部を助成する制度が創設されました。ところが、最近の情報では、全国的に都道府県や市町村などが所有する浄化槽に、まだ単独浄化槽が多数残留しているそうであります。果たして、本県や県内市町村の状況はどうなっているのでしょうか。
 また、合併浄化槽行政を所掌する県や市町村は、まず県民に範を示すべきであると考えますが、取り組みについて、あわせて伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山県では、汚水処理人口普及率が全国でも低位にあることから、下水道の整備とあわせて単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換を推進しております。合併処理浄化槽への転換に当たっては、これまでも市町村への補助を行うとともに、今年度から、転換に際しての単独処理浄化槽の撤去費用についても補助対象としたところです。
 議員御指摘の県または市町村が所有する公共施設の浄化槽につきましては、環境省調査によりますと、平成26年3月末時点で4639基あり、そのうち単独処理浄化槽は1644基、県所有施設分は187基となっています。
 施設の内訳としては、多いところで公営住宅などの住居等が56基、庁舎等が50基などとなっております。こうした施設において合併処理浄化槽への転換が進まなかった理由としては、改築や建てかえ時の転換をもくろんでいたり、下水道の整備に合わせて接続を検討していたりなどがありますが、今後の見通しについて再度検討した上で、早期の転換を進めてまいりたいと考えております。
 なお、市町村が所有する公共施設にある単独処理浄化槽につきましても、早期に合併処理浄化槽への転換等が図られるよう働きかけてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、日高川河川整備計画について伺います。
 去る6月11日、県が主催し、市町村や住民代表も参加する日高川を考える会が開催され、河川整備計画の素案となるたたき台が示されました。7.18水害、紀伊半島大水害の教訓を踏まえ、また日高平野の市街化の状況を考慮した日高川水系の課題について抜本計画が示されたものと、大いに評価するものであります。願わくは、一刻も早い事業化をお願い申し上げます。
 しかしながら、疑問点や要望もあります。日高川本流では、上流の改修に対し下流の改修案が示されていない点や、西川水系の東裏川、森後川については西川合流点の水門改修だけではなく、国道42号の冠水や富安地区の浸水対策についても検討が必要ではないかと考えます。また、地震・津波対策については、抽象的な記述のみで終わっているので、ぜひとも早期に具体的な整備内容を策定していただきたいと思いますが、以上3点について県土整備部長の所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 日高川水系河川整備計画については、平成27年度中の策定を目指して検討を進めているところであり、これまでに日高川を考える会を平成26年5月と今月11日の都合2回開催し、日高川水系の現状と課題、具体的な整備内容等について関係住民の御意見を伺ったところです。
 この整備計画の策定に当たっては既往最大洪水への対応を基本としますが、整備に多くの費用と期間を要することから、既往最大洪水の次に大きい平成15年の洪水に対して住宅地への浸水被害が発生しないよう、計画期間20年間の中で整備をすることとしています。
 そのため、今般、日高川を考える会に示した具体的な整備内容においては、流下能力が不足している区間のうち、住宅地に隣接している区間より優先的に整備を行うこととしましたが、議員御指摘の日高川下流部、御坊市市街地部は、既に流下能力が確保されているため、整備内容を検討する区間に含まれておりません。
 また、西川流域の浸水対策については、西川の河道掘削により水位を下げるとともに、東裏川、森後川からの排水能力を向上させることで浸水被害の軽減を図ることができるものと考えています。
 整備計画については、今回、日高川を考える会でいただいた御意見や、今ほどの議員からの御指摘等を十分に踏まえた上で、整備内容の修正を行い、学識経験者、関係住民、関係市町の御意見を伺うなどのプロセスを経て策定してまいります。
 なお、地震・津波対策については、現在、「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」に基づき、海岸、河川の堤防整備と既存の施設の強化を優先的、緊急的に実施しているところであり、下流部の水門設置等の対策の実施については、これら整備の進捗状況等を踏まえて検討してまいります。
  〔「再質問はありません」と呼ぶ者あり〕(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第108号は行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第96号から議案第107号まで及び議案第109号から議案第116号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。6月23日及び24日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 御異議なしと認めます。よって、6月23日及び24日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、6月25日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時36分散会

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