平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 4番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 議長の御了解をいただきましたので、一般質問に入らせていただきます。
 今、国会では、安保法制に関する審議が続いており、与野党の攻防が続いています。その論点のポイントは、日本国憲法に違反しているのか、いないのか、いわゆる違憲となるのか、ならないのかが争点となっています。安倍総理がその政治生命をかけてまで問題提起しなければならなかった、その世界政治や軍事事情の詳細な情報のない私たちには、その判断が難しく、テレビや新聞などの報道に悶々とするばかりです。
 一方、与党・自民党が推薦の憲法学者なる方々がそろって違憲と発言したことが、翌日の新聞に大きく報じられていました。国家が果たさなければならない国の使命とは、国民の生命と財産を守り抜くことだと考えます。戦後70年が経過し、国の政策の大きな転換期を迎え、日本国が大きな緊張の中、一般質問に入らせていただきます。
 まず、1点目は、LCCいわゆる格安航空会社の南紀白浜空港への定期便のフライト誘致についてでございます。
 新南紀白浜空港が平成8年に開港して、はや19年が経過いたしました。この間、「あがらの空港」として、その利便性のよさから多くの県民より支援をいただいてまいりました。また、紀南地方に生活する者にとって、世界一の都市・東京と1時間ほどでつながっていることの有益性は、お金の多寡に置きかえられるものではありません。
 唯一残念なことは、1日3便と便数の少ないことと、設定されているその航空料金です。白浜─東京間は片道3万2000円ほどで、往復なら6万4000円余りと、かなりな高額となります。利用された県民の皆さんの口から出る言葉は、「高過ぎる」、「何とかならんのか」、「もっと安かったらな」といった言葉であります。
 しかし、紀南に生活する住民の1人として航空会社の立場になって考えてみれば、採算が合っていないのだろうなあと思い込み、そして、飛んでもらえることがありがたく、高いなあと思いながらも理解と支援をしてまいりました。そして、JAL航空に就航を続けてもらうことが一番重要であると考え、私たち政治に携わる者は、過去、長い年月にわたり、国交省やJALに対して陳情等の活動を重ねてきたのであります。
 一方、数年前より、格安航空会社いわゆるLCCなるものが世界中の脚光を浴びています。当初は、私を含め、懐疑的だったのではないでしょうか。しかし、LCCのその後の躍進は目をみはるものがあり、国内においても、わずか3年ほどの期間で飛躍的な発展と地域経済に与える影響が大変大きいことが、国交省の発表している資料等から読み取ることができます。
 ちなみに、国交省の資料によりますと、LCCは世界各地で急成長しており、東南アジアでは3%から52%に増加、北米や西欧でもシェアが30%以上、日本を含む北東アジアでも10%まで伸びてきてございます。しかし、日本では、国際線、国内線合わせてLCCのシェアは3%となっていました。とはいっても、私を含め大方の国民は、安かろう悪かろうではないか、極端に安いその運賃に不思議を通り越して何か手抜きのからくりがあるのではないかと思い込み、一度事故が発生すれば、1つしかない命、取り返しがつかないと考え、その利用にちゅうちょしてきたところでございます。
 しかし、私たちの平凡で素朴なそうした考えや思いを断たなければならないほどの衝撃を受けることになりました。それは、県議選を控えた去る1月20日、白浜町内の旅館で行われた関西国際空港株式会社・安藤社長の講演でした。さほど広くないホテルのロビーに町民100名余り集められたその会場で、LCCの躍進ぶりの説明を受けたのです。
 安藤社長は大変忙しい方で、1時間ほどの時間設定が終了後、すぐ大阪へ帰っていくという慌ただしい講演でしたが、その内容を聞いて、LCCに対する見方と考え方を根本から変更しなければならないと思ったほど、その内容は強烈でした。目からうろことは、こうしたことを言うのかと思ったほどでございます。
 安藤社長の発言内容は、航空業界にLCC革命が進んでいる、今後、国は観光立国戦略を強化していくだろう、すなわち、それは地方空港の活性化であり、力のある地方の地元産品は息を吹き返す力さえ持つことになる、日本国内では2年前にスタートしたばかりのLCCであるが、発着数は既に9万2000回に上っており、630万人が利用された、さらに、若い層が乗っている──この後なんですが──貧乏な人が乗っているのとは違う、こういうふうに断言をいたしました。そして、関西に近い白浜空港があることはすばらしい等々でございました。
 終了後、質疑になりましたので、私は一番重要な安全についての質問をさせていただきました。それは、「メンテナンス、機体の整備は十分されているのか」でありましたが、安藤社長は「全ての面で何の問題もありません。一般の航空会社と同じレベルの整備をしています」とのことでありました。だったら、なぜそんなに安く飛べるのか。そのからくりは、全ての分野において不要なサービス──例えば機内食などですが──をカットしていることに尽きるのだと言います。
 機体管理に何の問題もなく安全に就航できるのであれば、必然的に利用者は増加するはずであります。その結果は、国土交通政策研究所の発表資料によりますと、LCC利用者は、付随的なサービスがないことを認識した上で、運賃が安く、利用したい時間帯に就航していることをLCC選択の理由としているとあります。さらに、国土交通政策研究所発表の「LCCの参入効果分析に関する調査研究」には、欧州ではLCCの成長が航空需要全体の成長を牽引しており、我が国でも2012年3月から国内線に参入後、継続的に成長とされていて、その経済波及効果も大変大きいと表現されてございます。
 今回の一般質問の原稿づくりをしているさなかにも、「読売新聞」が「海外LCC地方へ続々」といった大きなタイトルで大きく報道されていました。白浜町内でも有志により協議が重ねられてきました。海外からの定期便の就航となると解決しなければならない課題も多いかと考えますが、和歌山県の発展のため前向きな英断をいただきたいが、知事のお考えをお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 南紀白浜空港への海外航空会社の就航は、国際観光の推進などによる紀南地域の活性化とあわせて空港の利用促進につながりますので、国際チャーター便を一生懸命誘致しているところでございます。そういうときは、これは限ったわけではないんですが、LCCがどうしても多くなってくるということになると思います。
 同空港は国内線専用空港として運用しておりまして、国際チャーター便が入ってまいりますと検疫とか入管設備などを仮設いたしまして、定期便発着の間に利用するなどして受け入れております。そういうときは、本省とか、あるいは現地事務所のトップにも必要に応じてお願いをして、来てくださいというようなことを言うておりますが、比較的協力をきちんとやっていただいているというふうに思います。
 海外航空会社の就航についてはこういう問題もあるんですけれども、まずは営業活動をして、たくさん飛んでくるようになったら、おのずと今のような問題も解決してくるので、とりあえず、まずは営業活動を一生懸命やらないかんということでございます。観光、広報の一環としてLCCもターゲットに含めて頑張っていきたいと思いますし、また、できれば定期便も就航させてもらえればいいなあというつもりで頑張っていきたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ただいま知事から、そういった発言をいただきました。
 私も、このLCCの誘致というか、就航を願うて、ちょっといろいろと調べてみましたけれども、本当にたくさんのハードルがあるということがよくわかってまいりました。ただ、やはり時代の趨勢ということもありますし、時代の流れというのは肌感覚で速やかな対応に取り組んでいける、やっぱりこれも力だと思うんです、能力だと思うんです。そんなことも含めて、これからも次の世代のためにも、地域の発展のために、ぜひ深い御検討をいただきたいと思います。
 また、地元でも実行委員会等をつくりまして、知事当局あるいは知事の、皆さん方がそうした方向で頑張っていただけるということになれば、実行委員会等をつくって機運をつくり、絶大な支援体制をつくっていきたいと、そのように考えているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 引き続きまして、観光産業の現状と課題についてというテーマでお願いをいたします。
 観光産業の現状と課題についての質問に入らせていただきます。
 去る6月5日、東京のホテルで、元ゴールドマンサックス金融部長のデービッド・アトキンソン氏の講演がございました。県会議員の皆さん方もたくさん出席をされておられたと思います。お聞きになられた方もおられると思いますが、その内容を一部紹介させていただき、今展開している観光和歌山を具体的に実践していく上での参考になればと考えた次第でございます。
 まず、デービッド・アトキンソン氏の講演内容は、外国人客を想定した観光地には4つの条件がそろっている必要があるとのことでありました。その条件とは、気候、自然、食、文化であり、そして気候とは、夏は暑く、冬は雪が降るほど寒いといった幅があることが必要であるとのことでした。さらに、日本にはビーチはあるがリゾートはないといった手厳しい問題提起もいただきました。そして、4条件そろっている国は世界で20カ国ぐらいしかない。ちなみに、4条件そろっているフランスに訪れる1年間の観光客数は8000万人以上であり、さらにイギリスの場合は、4条件の中の気候が十分ではないとのことであるが、現在、3500万人が1年間に訪れています。押しなべて4条件そろっているところは5000万人ぐらい来ているという氏の主張であります。この条件に照らし合わせば、日本でも5000万から6000万人の観光客が来てくれているはずである。ここまでのことを発言されておられました。
 したがって、2030年までに8200万人ぐらいは来ていても不思議ではない。また、日本では観光客1人当たり15万円から20万円ぐらいの消費であるが、アメリカでは、中国人は1人当たり60万円ほどの買い物などの消費をしているとのことでもありました。
 次に、外国人の観光客は何をコンテンツやキーワードにするのか。安全はキーワードではなく、旅行が楽しいか、楽しくないかがキーワードであるとのことでありました。さらに、地方の文化財がキーワードとなるが、国の予算は、神社仏閣や古い町並みなど、文化財に補修代を年間75億円ぐらいしか出していない、これは国が文化財を観光資源として重く考えていないからであり、メンテナンスもなければ改修もしてないといったことでありました。
 まず、ここまでのことにつきまして、ただいまの私の発言を聞いていただいて、商工観光労働部長からの御所見をお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) ただいま議員からデービッド・アトキンソン氏の講演内容をお聞きしまして、変化に富んだ気候、四季折々の豊かな自然、グルメ、多様な文化など、外国人旅行者の皆様を引きつける4条件の魅力が本県にはあふれていると確信しております。
 昨年は外国人宿泊者数が初めて30万人を突破し、本県の外国人旅行者誘致にとって記念すべき年となりました。本県としましても、例えば台湾や香港の皆様には、和歌山城、桜などの四季の自然、白浜や勝浦などの温泉、フルーツ狩り体験、マグロに代表されるグルメなどを魅力として発信し、日本の歴史や精神文化に強い関心を持つ欧米豪の皆様には、世界遺産高野山・熊野の魅力を発信してまいりました。
 今後も、さまざまな国、地域の皆様の嗜好に合わせて、本県の多様な魅力を明確なキーワードとしてお伝えしていきたいと考えております。
 県といたしましても、外国人旅行者の消費による経済効果に着目し、お得に買い物を楽しみ、より多くの県産品を購入していただけるよう消費税免税店の拡充に努め、本年4月1日には100店舗まで増加してきたところです。今後も、さらに消費税免税店の拡充に取り組んでいくとともに、免税店への観光客誘致にも取り組んでいくこととしております。
 加えて、多言語案内表示の整備やWi─Fi環境の整備、高野・熊野世界遺産エリアでの本県独自の観光ガイド認定制度の活用などを通じて、外国人旅行者の皆様が安心して県内を周遊していただける環境の整備にも引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 答弁をいただきました。ありがとうございます。
 その答弁いただいた中で、1つ感じたことを聞いていただきたいと思います。
 まず、30万人を突破しということで、記念すべき年となりましたというあたりのくだりのところですが、ちょっと苦言を言わしていただきましたら、1300万人を超えた外国の観光客が日本においでになりました。この御答弁では、宿泊者数ということですので、30万人を、例えば、国内旅行ではありませんので1泊2日で来るということはないと思います。3泊4日か4泊5日と、こうだとしたら、1人がおいでになるとき日本で3日ないし4日泊まって帰っていかれると、一般的なコースがこうだとしましたら、宿泊者数が30万というたら、例えばこれを3で割ったり4で割ったりしたら10万人もないと、こんな数字になってしまえへんかなと思うわけです。そしたら、1300万人という数字のところに3倍や4倍掛けたら5000万人からの人がおったということになって、その中の30万人というたら、私はちょっと、頑張っていただいていることは了としているわけですけれども、もっと頑張ってほしいなと思います。
 やはり比率から言うたら、先ほどの比率が正しかったとしたら、日本国内で5000万人前後の宿泊があった中で30万の宿泊だったと、こういうふうにやっぱり、分析をするとそんなことになってしまわないかと思った次第でございます。
 それから、もう1点です。
 免税店のことなんですが、今、どうやら県内に100店舗までふえたということなんですが、ちょっと心配したことは、そしたら、多分恐らくバスであったりとか何か、宿泊されたら、その場所で免税店の紹介というのは外国人の皆さん方にされるんだろうなと思うわけです。そしたら、100店舗でしたら、100店舗のとこには行ってくれるけれども、そうでない店舗のとこがダメージを受けるんでないかと。
 やっぱり免税店の制度をとるとしたら、観光客の皆さん方が活用のしやすい、あるいはそうした志のある、気持ちの持たれる県内の業者の方、全部入ってほしいなと。でなければ、免税店のところに外国のお客さんの消費が行くけれども、免税店を申請せずにとれなかったところには、その効果というか、そのおこぼれが入ってこない。こんなことにならないように、そのあたりも十分、県当局の皆さん方の御努力で、県内のそういうビジネスをされている方々にも公平にそうしたことの情報を伝えていただいて、もっともっと積極的な免税店としての取り組みを促していただく、公平に、外国からおいでになるお客さんのメリットが、効果が県内隅々の皆さん方に浸透できるように、そうした視点でも一度御検討いただけないかと思う次第でございます。
 それでは、引き続き質問させていただきます。
 さて、私は紀南で生まれ育ちまして、今日においても生活を続けています。観光業の盛衰は、生をうけてから今日まで、この目で見てまいりました。
 和歌山県一の観光地である白浜温泉の現状は、はっきり申し上げて、昭和30年代、40年代と比べ、昨今は元気や勢いが感じられません。ちなみに、40年代には50数軒はあったと思われる旅館やホテルも今日では20数軒となり、各種企業の寮や保養所も、バブル崩壊前には140軒ほどありましたが、現在は20軒から30軒といったところでしょうか。その中で、ことしも夏のシーズンが終われば、私の知っている範囲でも保養所2軒がその営業を終了する予定でございます。
 観光白浜では、地元で住んでいる町民はもとより、県当局の力強い支援もいただいて今日の日を迎えていますが、観光産業で働く人々の収入は押しなべて低く、近年、福祉産業で働く人々の収入が低いことがたびたび社会問題としてマスコミ等で問題提起されていますが、その福祉産業従事者、いわゆる福祉産業の従業員の皆さん方より低いんです。300万人以上の観光客が訪れてくれているにもかかわらずです。繰り返し言いますが、1年間に来泉されるお客様は3万人でもなければ30万人でもありません。300万人以上のお客さんが押し寄せている町なのにです。
 ちなみに、民間調査機関がネット上で公表している全国の市町村別1人当たり町民所得で見れば、観光立町を標榜している我が町白浜町は230万円台で、県内の市町村別ランキングでは最下位の30番目で、全国1741の市町村別のランキングでいえば1518位です。
 さらに、県内の有力な観光地である那智勝浦町の県内の市町村別ランキングは30番中の28番で、全国ランキングでは1472位です。なお、県内の1番は和歌山市の317万円で、全国ランキングは252位となっています。そして、白浜町の所得230万円を日本一の東京都港区の1266万円と比べれば、約5.5分の1ぐらいで、7位の──この港区が突出しておりますので──7位の中央区の593万円と比べてみても2.5分の1であります。
 しかし、なぜこうした大きな所得の開きになるのでしょうか。以前も問題提起していますが、対策を考える必要を強く感じているところでございます。いずれにしましても、次の世代が夢や希望を持って働き、県土を支えてもらうためには解決していかなければならない視点だと考えますが、御所見をお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 観光産業は、宿泊、飲食、土産品、食材、メンテナンスサービス、バス・タクシーなど裾野が広く、雇用の場として地域を担う重要な産業でありながら、総務省発表の「平成26年度市町村税課税状況等の調」によりますと、1人当たりの課税対象所得額は、白浜町が県内30位、那智勝浦町が同28位となっており、観光産業が主たる産業である自治体における所得額は相対的に低いという認識は持っております。また、観光産業を次世代が夢のある職場とするためには、所得の問題が大きいという認識も持っております。
 雇用者における所得額は、事業者の経営状況や職種、雇用者のスキルや経験など、さまざまな要因によって決定されますが、いずれにせよ、観光産業自体が元気でないことには所得額のアップを望むことはできません。
 県といたしましては、地元自治体や関係団体と密接な連携のもと、観光入り込み客数をふやし、地域での周遊、滞在を図り、より多くの消費を促すことが雇用者の所得増加につながるとの考えから、今後とも消費者のニーズに即した的確な施策を展開し、観光産業のさらなる活性化を図ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 御答弁をいただきました。ありがとうございます。
 先ほど所得の話をしましたが、ちなみに最下位は熊本県のある村なんですが、平均所得が193万円で、そこで書いてる表現は、この193万円の生活水準はワーキングプアレベルであると書かれているわけです。193万円の最下位というか、その順番でいえば一番下の村は、そのことに対して生活水準はワーキングプアレベルであると書いているわけです。そして、先ほどの話ですが、白浜町はそれから40万ほど高いわけですけど、でも、どっこいどっこいに近いなと、ちょっとそんなふうにも感じてしまいました。
 これはもう、私も含め、やっぱり県民皆さんが真剣に考えて、よく県の標語になっています、「住んでよい県、訪れて楽しい和歌山県」と、そういうふうに施策をとっていくとすれば、こうした視点も、そうした中で所得の向上に向けてやっぱり県民一丸となって考えていかなきゃならん、取り組んでいかなきゃならん、そんなふうに考える次第でございます。
 それでは、もう1点質問させていただきたいと思います。
 そういった視点でも、今改めて観光ということに対してもう少し掘り下げて考えてみたいと思いますので、観光の定義を教えていただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 観光の法的な定義について確認すると、観光基本法の制定に際し法案作成の事務作業をした衆議院法制局では、観光の法的定義を試みたものの困難であると断念し、観光概念は世間で使われているのと同じ意味であるとしたと伝えられております。そこで、社会通念上の観光、すなわち「広辞苑」によりますと、他の土地を視察すること、また風光などを見物することとして使用されていると捉えております。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございました。
 数年前に、観光とはそもそも何なんやろうとちょっと考えるようなことがありまして、私も調べてみた経過があります。どうやら「観光」とは明治に入り使われ始めた言葉のようでして、今ちょっと調べてる資料が少しありますが、これを少し読ましていただきます。
 この資料は、「ツーリズムと観光の定義」ということで、佐竹真一さんという方が書かれているんですけれども、この中に、「日本の観光研究の現状を顧みると、基本的な用語である『観光』の定義には、定量的研究を可能ならしめる形態での定説が存在せず、研究者の間に混乱が見られ、相互の知見の円滑な共有を阻害している。さらにこの状況は、多くの関連分野が存在し共同研究の必要性が高いにもかかわらず、多様な研究者との共同研究を進める上での阻害要因ともなっている」、こんなふうな紹介の文章があります。
 事ほどさように、観光とは奥深く難解で厄介な代物なんではないか、そんなふうに考える次第です。この観光というものに対して、我々、県を挙げて取り組んでいるわけではございますけれども、本当に難解なものに立ち向かってる、それが現状ではないかなと思います。そういった意味で、当局の皆さんを初め県民の皆さん方のこのことに対する御努力というのは私は評価をしていきたいと、こう考えていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 最後の質問です。
 日本年金機構のサイバー攻撃から学ぶべきこととして、質問をいたします。
 6月上旬、突然発覚した日本年金機構へのサイバー攻撃により、コンピューターから抜き取られた情報を悪用した事犯が発生しています。今、国会でも大きな議論が展開されているところですが、その議論の中で浮かび上がってきたことは、年金機構の緊張感のないその仕事ぶりです。
 厚生労働省が1年に1度実施している訓練も、その管理下にある年金機構では実施していなかったことが判明していますが、県当局としては、この一連の報道を手にしてどのように捉まえ、感じられたのか、そして、県行政として守らなければならない情報とはどんなものがあるのか、また県内の市町村への指導はどのようにされたのか、知事部局さらに教育委員会部局ではどのような対策を講じられているのか、さらに県警本部ではどのような対策を講じられておられるのか、お伺いをいたします。総務部長、企画部長、教育長、県警本部長から順次御答弁をいただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 私から、質問がありましたもののうち、県行政として守るべき情報についてお答えいたします。
 公務員には守秘義務が課されておりまして、この守秘義務の対象となるものが、基本的に行政の守るべき情報であるというふうに考えております。
 守秘義務の対象となるものは、一般的に了知されていない事項であって、実質的に保護に値するものとされ、具体的には、今回の日本年金機構のような個人情報のほか、法人の正当な利益を害するおそれがある情報、公共の安全を守る上で保護が必要な情報、適正な意思決定手続を確保するために保護が必要な情報、事務事業の適正な遂行のために保護が必要な情報、こういったものが該当するというふうに考えております。
 これらの情報が記載されたものを含めまして、公文書につきましては、公文書管理規程により紛失、滅失、毀損や漏えいがないよう適正に管理することとしており、また、保存年限が経過したものにつきましては、溶解処分等により確実に廃棄することとしております。
 さらに、今回の日本年金機構のような電磁的記録の漏えいの防止につきましては、後ほど企画部長から詳しく答弁いたしますが、別途情報セキュリティー対策を講じております。
 また、個人情報の保護や公文書の適正管理につきましては、毎年、各機関の公文書管理責任者などを対象に研修を実施するなど、職員の教育、啓発を行っており、引き続き、個人情報等の保護に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 日本年金機構に関する一連の報道を受け、対岸の火事と捉えることなく、この次は本県に対する攻撃が行われるかもしれないという大変強い危機感を抱きました。このため、県の情報セキュリティー統括責任者である企画部政策統括参事に指示し、各所属に対し、改めて注意喚起を行ったところでございます。
 次に、県で守らなければならない情報についてでありますが、県では、平成15年度に全国に先駆けて、和歌山県情報セキュリティ対策基準規程を定め、この中で、知事部局で使用するネットワーク及び情報システムで取り扱う全ての電磁的記録について、情報を取り扱える者の範囲、改ざんによる影響が出る範囲、業務停止による影響が出る範囲の各区分に応じて、職員が取り扱う情報のセキュリティーレベルを分類し、各レベルに応じた管理方法を定め、情報セキュリティーの確保に努めております。
 次に、県内の市町村への指導についてでございますが、平成14年度に組織された県内市町村で構成する和歌山県自治体セキュリティ対策協議会を利用し、県が主導して全市町村が情報セキュリティーポリシーを策定済みとなっております。また、ふだんから県が情報セキュリティーに関する指導を行うとともに、外部講師を招聘し、市町村の情報システム担当者を集めて情報セキュリティーに関する啓発の場を設ける等、指導を実施しております。
 最後に、サーバー攻撃に対する県の対応状況につきましてお答えいたします。
 サーバー攻撃による情報漏えいを防ぐためには、ウイルス対策システムなどのハード面と、個々の職員への教育や事案が発生した場合の情報共有体制の整備などのソフト面の両面から対策を講じる必要があります。
 まず、ハード対策としましては、ウイルス対策システムやファイアウオールを導入する等の対策を講じておりますが、情報セキュリティー保護の観点から、詳細は差し控えさせていただきます。
 次に、ソフト対策としては、職員が守るべき情報セキュリティーポリシーを定めるとともに、全所属に情報セキュリティー実務担当者を配置し、毎年度、情報セキュリティーに関する研修を行い、職員への教育を徹底しております。また、問題が発生した場合には迅速に情報共有を行えるよう、庁内の連絡体制を整備しております。
 今後とも、情報セキュリティーの維持、向上に取り組んでまいります。
 以上です。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、平成16年に和歌山県教育委員会情報セキュリティ対策基準規程を定め、知事部局と同様の情報管理方法により情報セキュリティーの確保に努めてございます。
 大量の個人情報が流出してしまった今回の事案については、あってはならないことであり、教育委員会といたしましても、各職員が常にセキュリティー意識を持って日常の業務に当たるよう指示いたしました。
 県立学校における個人情報につきましては、インターネットからの不正アクセスの対策を講じてございます。また、データ管理を含めたパソコンの適切な利用につきましては、運用マニュアルを作成しており、校長や教頭、事務長等、管理職が出席する会議で注意喚起するとともに、教職員への周知を図ってございます。
 なお、市町村立学校における個人情報の管理の徹底につきましても、市町村教育委員会を通じて指導、助言を行っております。
 今後とも、情報セキュリティーの維持、向上に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 警察本部長下田隆文君。
  〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) 県警察では、犯罪捜査、運転免許等に関する大量の個人情報や機密情報を取り扱っており、特に厳格な情報の管理が求められていることから、それらを取り扱う業務で使用する端末は、インターネット等の外部のネットワークとは接続されておりません。
 その上で、県警察といたしましては、情報セキュリティーを確保するため、警察情報セキュリティーポリシーを定め、職員が担当業務以外の情報にアクセスできないよう厳格なアクセス権の徹底、利用状況を分析できる証跡の取得、個人所有の外部記録媒体の利用を技術的に禁止など、情報の組織的管理を徹底しているところでございます。
 さらに、全所属に情報セキュリティー指導員を配置して所属内における各種情報セキュリティーの教養を行うなど、職員の規範意識の徹底を図っております。
 また、日本年金機構の個人情報流出事案の報道を受け、各所属に向け注意喚起を行ったところであります。
 引き続き、県警察といたしましては、情報セキュリティー対策の徹底を図ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 まず、ちょっと感じたことをお聞きいただきたいと思います。
 総務関係であれば、毎年、職員採用時にたくさんの、普通の一般企業でしたら履歴書を提出して、普通、その履歴書的なものは一切返却されないというか、そんな状態をつくっています。それというのは、後、それ預かった、そういう採用しなかった、できなかった応募者の履歴書あるいは履歴書的なものがなぜ返却されんのかなということが純粋に不思議でかなわんのです。
 そうした個人情報は、不必要な――採用された職員の情報は保管されるというのは合理的だと思いますが、そうでない不採用になった応募者の情報というのはやっぱり返してあげたらどうやろかと。不必要に管理することによって、膨大な場所であったりとか管理の時間であったりとか、不必要な仕事がふえるんではないかと思うわけです。そして、また返されたほうは、応募してだめだった人は、例えばそれが県当局だとしたら県当局のそちらに全く、私はどこどこの学校を出て何歳です、どこどこのほうに勤めていましたみたいなことから経歴書を渡してるわけですよね。そのことが気になって仕方ない、そんな人も多いと感じています。
 そういった意味からも、不必要なそういう情報というのは、これから本人のもとに返すことによってより厳格な情報管理、セキュリティー管理がシンプルなそういう形の中で進めることができるんではないかと思うわけです。
 いずれにしましても、そういう情報を当局側が持ち続けることの意義というのがちょっとわからんです。そのことが感想の1つです。
 それから、教育委員会の関係の御答弁の中で思うことですけど、今、完全な管理ができてるというような答弁いただいたんで、それはそれで安心したわけですけれども、この話は、僕は強いて質問させてもらいました。やっぱり県民の大方は、こうした事態を踏まえて、最近はコンピューターから不正アクセスされて情報が出てると、このことに対する不安定な気持ちがすごく県民の中にも蔓延してる、そんなふうにも考えたからです。
 そういった意味で、学校の話ですけど、学校にも、やっぱり子供たちが一番気にしてるんではないかなと思うことの1つに、学校の成績表です。これ、神さんでもせんようなことを我々レッテルつけるわけです。できる子、できない子、この子は何点で、ようできるなとか、そんなふうな情報というかデータというのを保管するわけですよね。こんなことの情報が仮に漏れていくようなことがあるとしたら、もう子供たちが受ける精神的ダメージというのははかり知れないと考えますので、今、完全な管理をしていただいてるということをお聞きして安心はしたわけですけれども、より厳格な管理を引き続きしていただけるようにお願いを申し上げます。
 それから、県警のほうですが、県警のほうでも私は知らなかったことがたくさんありまして、なるほど、そのぐらいのそうした管理体制であって初めて安心しておれるかと思いました。私も保護司活動というのは長くしたことございまして、その保護司活動の基本的な考え方は、罪を償うたら、もうそれは二度と罪を求めることはなく、一般人と同じ生活を許されるということにあるわけですけど、ただ、過去を持った方々は、例えば仮の話ですが、情報が漏れていくようなことになるとすると、すごく大きなダメージを受ける可能性がある。そういった意味で大変心配なところだと思うわけです。
 これにつきましても厳格な管理ができているということで、それはそれですごくありがたいと思うわけですけど、これからもその管理体制、どうしても人がすることですので、これからも厳格な管理に徹していただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
 議長、最後の質問、再質問させていただきます。よろしいでしょうか。
○議長(前芝雅嗣君) 通告してますか。
○立谷誠一君 はい、しております。
○議長(前芝雅嗣君) しておりますか。再質問入ってますか。はい、どうぞ。
○立谷誠一君 答弁いただいた中で、ウイルス対策システムが、ファイアウオール等を導入しているという御答弁ありました。
 これ、一体何のことなんかわからないんで、ちょっとこのことについて説明いただけたらと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) まず、ウイルス対策システムですけども、コンピューターに勝手に入り込んで悪事を働くプログラムをコンピューターウイルスと言いまして、このウイルスを駆除する役割を果たすのがウイルス対策システムということで、これはソフトウエアであります。また、ファイアウオールというのは、ネットワーク上における情報のやりとりをコントロールするシステムのことであります。
○議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。頭悪いんで、何だか余計わからなくなったりと。ありがとうございます。また勉強させていただきます。
 最後にですが、これで一般質問を終わらせていただきたいんですが、今回のセキュリティーに関連するこのウイルスの事件、もうこれ、不思議な事件だなと思うんです。何か言いましたら、コンピューターウイルスなるものを侵入させて、盗んでおきながら、責められてるのは盗まれたほうなんですよ。盗んだ人の攻撃的な、マスコミの論調的なこともあんまり聞かずに、盗まれたほうが徹底的に追及されてる。そんな時代なんかなあと思いながら、そうしたことを踏まえて、より個人情報というか、情報の管理にやっぱり我々自身は心していかなきゃならない。そういう意味で教訓だったんかなと。まあ感想です。そんなことを思いました。
 御清聴いただきましたことを感謝と御礼申し上げまして、終わらせていただきます。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。

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