平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(濱口太史議員の質疑及び一般質問)


平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(濱口太史議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 皆さん、こんにちは。
 2期目の最初の議会で質問の機会をいただきまして、本当に心から感謝を申し上げます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、国際交流の推進についてであります。
 メキシコ、アメリカ、カナダ訪問についての報告をさせていただきます。
 中村議員、山田議員、花田議員、藤山副議長、そして私の5名の議員は、仁坂知事とともに、本年4月21日から27日までの日程で、メキシコ合衆国、アメリカ合衆国及びカナダを訪問してまいりました。4つの在外県人会を駆け足で訪問するという非常にタイトな日程ではありましたが、それぞれの県人会において県人会の皆様を激励するとともに、先人の功績と遺徳を顕彰し、交流を図るなど、大変有意義な訪問でありました。
 4月22日、メキシコシティーの日墨会館で開催された在メキシコ和歌山県人会創立30周年記念式典には、和歌山県出身者及びその子弟を初め、駐メキシコ日本国大使、現地日系団体幹部、そして現地政府関係者ら約120名が出席いたしました。その式典で、中村議員が出席議員を代表し、祝辞を述べたほか、本県出身である80歳以上の長寿者2名に議会より祝い品を贈呈するなど、本県出身者へ激励を行いました。
 また、テラモト県人会元会長から、メキシコにおける移民の歴史や和歌山県人の歩みについてのプレゼンテーションが行われ、改めて和歌山とメキシコの深い関係に感銘を受けたものであります。
 式典後に行われた祝賀会では、本県出身者らとの交流を楽しみました。特に、4世、5世の子供たちによるわかぱんダンスの披露では、会場から大きな拍手が起こり、大変ほほ笑ましい光景であり、和歌山のパンダをしっかりとアピールしていただいたように感じました。
 次に、翌4月23日、アメリカのシアトル市、シアトルセンターで開催されたシアトル紀州クラブ創立110周年記念式典には、県人会員等約50人から歓迎を受ける中、山田議員が代表し、祝辞を述べたほか、長寿者9名や和歌山県との交流に貢献した功労者5名へ議会より祝い品を贈呈するなど、本県出身者に激励を行いました。
 その式典会場には、和歌山の観光写真パネルが飾られるとともに、県内企業によるオレンジジュース、梅酒、梅干し、しょうゆなどの県産品を振る舞うブースが設置されており、本県出身者は、和歌山の雰囲気を堪能し、故郷を懐かしんでおられました。また、式典後の懇談では、本県出身者と交流することにより、県人会と本県とのつながりの深さを改めて実感した次第であります。
 また、翌24日、現地日系社会最大の祭りでありますシアトルサクラ祭り・日本文化祭開会式に参列するとともに、その会場を見学いたしました。日系人が作成した切り絵、生け花、書道などの作品を拝見する中、シアトルの日系人が日本文化をしっかりと引き継ぎながら日米文化の相互理解に寄与していることに感銘を受けたものであります。
 次に、翌4月25日、カナダのリッチモンド市内で開催されたB.C.州和歌山県人会創立50周年記念式典に、和歌山県出身者及びその子弟、在バンクーバー日本国総領事初め、現地日系団体幹部、現地政府関係者ら約150名が出席されました。その式典中、中村議員が議員を代表して祝辞を述べたほか、本県出身者の長寿者等146名や功労者27名に議会より祝い品を贈呈いたしました。
 また、式典には、リッチモンド市長や市会議員を初め、多くの団体関係者が出席しており、B.C.州和歌山県人会の社会貢献が着実に実を結び、評価されているあかしであると、同じ和歌山県人として大変うれしく、誇りに思う式典でありました。
 これらの県人会記念式典のほか、メキシコへの途次、アメリカのロサンゼルス市に立ち寄り、南加和歌山県人会主催の歓迎夕食会に参加いたしました。県議団のロサンゼルス訪問は、2011年に開催されました南加和歌山県人会創立100周年記念式典以来の訪問であり、旧交を温めることができました。また、県人会は紀の国わかやま国体に合わせた里帰りを計画されており、9月、和歌山での再会の約束を交わしました。
 このほか、メキシコの戦没者慰霊碑への参拝やアメリカのワシントン州日本文化センターの訪問、カナダのブリティッシュコロンビア州スティーブストン周辺の視察等、移民関連の施設を訪れ、先人の御労苦に思いをはせたところであります。
 また、アメリカのシアトル市にあるビーコンヒル消防署を訪問いたしました。この消防署前には濱口梧陵の「稲むらの火」のストーリーを刻んだモニュメントが設置され、津波防災の大切さを伝えています。ウィンドル消防署長等と懇談する中、濱口梧陵は当議会初代議長であり、ゆかりの深い人物であることを紹介するとともに、お互いに津波防災の大切さを再確認したところです。
 今回の各地訪問において、いずれの県人会の方々も、今、日本や我が県が抱えている少子高齢化や過疎化などの課題について、テレビやネットを通して見聞きするたびに我が事のように心を痛められており、ふるさと和歌山の発展を遠い海外の地において強く願っていただいていることを肌で感じました。和歌山は、我々だけのふるさとではありません。彼らのふるさとでもあります。改めて、本県の発展のために鋭意努力する決意をした次第であります。
 また、県人会運営における課題で、今回訪問した各国県人会に限らず、昨年訪問したブラジルの県人会の役員の方からもお聞きした課題でありますが、最初の移住者らは生粋の和歌山県人でありましたが、その後の2世、3世の人たち、もっとその後になりますと、現地の人や他府県の日本人との婚姻により和歌山県とのゆかりは徐々に薄らいでいくことから、県人会への参加者は減少傾向にあります。したがいまして、活動自体において高齢化が深刻な問題となっているとのことであり、この打開策としては、若い世代と本県とのつながりを深めることに工夫をすることではないかと考えます。
 既に県では、海外に移住した県人会の子弟を県内の一般家庭に受け入れ、日本や和歌山県の文化、習慣を理解してもらうとともに、みずからのルーツを再認識してもらうために、交流の機会を支援する取り組みも行われています。昨年、私もブラジルとメキシコから訪れた2人の男の子の県議会表敬訪問に同席させていただきましたが、引き続き、文化的、経済的な交流も含め、より積極的な取り組みを要望いたします。
 最後に、各公式行事の実施に当たり、在メキシコ和歌山県人会のワキダ・ギジェルモ会長、シアトル紀州クラブの佐々木タヅエ会長、B.C.州和歌山県人会の水田治司会長、そして南加和歌山県人会の有地敏廣会長を初め、多くの関係者の皆様に大変お世話になりました。この場をおかりして改めて感謝申し上げ、メキシコ、アメリカ、カナダ訪問についての報告とさせていただきます。
 続きまして、次の質問に入らせていただきます。
 中国から本県への誘客についてであります。
 去る5月21日からの日程において、自民党・二階俊博総務会長の発案と強力なリーダーシップにより実現に至った日中観光文化交流団は、総勢3216名もの大型訪中団となり、広州、北京、大連を訪れ、さまざまな交流行事や事業を展開いたしました。吉井議員、中村議員、花田議員と私も北京から合流し、レセプションや表敬訪問、視察などの行程に参加してまいりました。
 中でも一番感動を覚えたのは、日本でも大々的に報道されましたが、5月23日夕刻、北京市内にある人民大会堂にて催された大交流会でした。
 開会前には両国を紹介する映像などが映し出され、和やかな雰囲気の中、二階名誉団長とともに習近平国家主席が登場すると、場内の空気は緊張感とどよめきで一変しました。
 まず、習近平主席の演説が、「友あり遠方より来る、また楽しからずや」という中国の大思想家・孔子の言葉から始まりました。両国の歴史上の人物の功績や残した言葉を振り返りながら、また、両国が争った後、政治的決断によって日中国交正常化が実現され、新たな時代が開かれたことなど、これまでの日中間の文化的友好と歴史的つながりを話されました。
 また、日中友好の基盤は民間にあり、両国関係の発展が順調でないときほど両国各界の人々が積極的に行動する必要がある、また、「前の人が木を育て、後の人が木陰で涼む」という言葉を紹介、両国の若者同士が友好の信念を固め、積極的に行動し、絶えず友情の種をまき、日中友好を大樹に育て、木々が生い茂る森林にし、両国人民の友好を子々孫々続けることを心から期待していると結びました。
 それを受け、二階名誉団長からは、日中関係を支えているのは時々の政治情勢に左右されない民間レベルの深い人的関係だと、これまでにも日中間の観光交流や地方交流、さらに青少年交流、防災分野での技術協力等、全力で取り組んできたこと、また、今回の3000人を超える訪中団の意義は、参加者の一人一人がみずからの意思で参加したところにあり、民間大使として日本側の熱い思いの象徴であると述べられました。
 そして、習近平主席と同様、日中友好を継続するためには青少年交流の推進が重要であると述べられるとともに、東日本大震災で被災した500人の子供たちを中国の海南島に招待していただいたことへの感謝と、お返しに500人の中国の子供たちを日本へ招待したい旨の提案がなされました。
 今回、一連の訪中事業は閉塞感が漂う日中関係を打開する大きなきっかけになると、大いに期待と確信を抱くところであります。継続的な友好関係を築くことは、お互いの国にとって大変メリットのあることであります。特に、大連市を訪れたときに感じた日本や日本人に対しての友好的な雰囲気は、決して取り繕った態度ではなく、心からの歓迎だったと感じております。
 また、大連市の名誉市民でもある二階代議士に対しては、皆、「お帰りなさい」と満面の笑みを添えてこの言葉をかけていたのが、何げないシーンではありましたが、印象に残っています。誠意を持って接すれば、国や文化が違っても同じ人間として親しくなれることの証明だと感じました。
 以上、訪中団に参加した貴重な体験を踏まえ、中国に向けた誘客の取り組みについてお尋ねをいたします。
 日本からの訪中人数は、2007年の397万人のピーク時から徐々に減り続け、2014年には272万人と、ピーク時に比べると実に125万人減少という状況です。
 その一方で、観光や買い物を目的とした中国からの訪日人数は増加傾向にあり、2000年の35万人から順調にふえ続け、北京オリンピックが開催された2008年には100万人を突破しました。2011年、東日本大震災の年に37万人減少したものの、その後は大震災前を上回る勢いで、2012年には143万人、2013年には131万人となり、2014年には一気に241万人とはね上がりました。円安の影響、ビザの緩和や航空機直行便の増便により、身近な観光地と感じる状況づくりが功を奏していると思われます。
 さて、本県における数字で見ますと、宿泊者数は、2013年の6600人から、2014年には一気に3万7000人と、香港や台湾に比べるとまだ半数程度ではありますが、対前年比3.8倍という驚異的な増加を記録しています。ゴールデンルートを観光するツアーの初日、または最終日に和歌山市内のホテルに宿泊するツアーが増加したことが要因と思われますが、その結果、和歌山市内だけで2万人を超え、前年の4.9倍とのことです。今後、積極的な交流の推進が図られるとすれば、ますます増加が見込める訪日中国人ですが、やはり訪問先としては、東京、京都、大阪などといったゴールデンルートが上位を占めます。
 そこで、和歌山県は、自然や文化が満載であること、新鮮でおいしく、なおかつ安心・安全な食べ物が多いこと、環境的にもクリーンな場所であること、さらには、日中友好のシンボルであるパンダもたくさんいる、徐福がさまざまな文化や技術を伝えた地域であるなど、中国とのゆかりが深い場所であるということをアピールし、ゴールデンルートに匹敵する観光地として、訪問の目的が和歌山市内での宿泊だけというのではなく、さらに県下全域に波及することが望まれます。
 今後、さらに本県へ誘客するためにどのような取り組みを行っていますか。また、快適に、かつ安心して県内を旅行していただくためにどのような受け入れ対策を考えていますか。そして、本県とは山東省や上海などとのかかわりが多いと聞きますが、親日的な大連市も誘客ターゲットとして加え、戦略を講じることは、大いに本県にもメリットが期待できるのではないかと考えますが、今後、検討されてはいかがでしょうか。それぞれ、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 平成26年の中国からの県内宿泊者数につきましては3万7373人で、前年の3.8倍と大幅に増加したところです。また、中国から日本全国への旅行客数を見ますと、本年1月から4月までの累計で対前年同期比99%増の133万人に達するなど、引き続き大幅に伸びている状況となっています。
 中国から本県への誘客につきましては、富裕層の多い北京市、上海市、広東省及び本県と関係の深い山東省、遼寧省をターゲットに、温泉、世界遺産、自然景観及び食をテーマとして、旅行会社及びメディアに対しプロモーションを実施するとともに、メディアを招請し、本県の魅力のPRに取り組んできたところです。
 昨年度は、旅行会社に対するプロモーションやファムツアー、メディア取材支援を実施し、本年5月には、日中観光文化交流団派遣に合わせて開催された中国旅行会社との商談会及びビジットジャパンFITトラベルフェアに和歌山ブースを出展し、それぞれ中国旅行会社及び中国人旅行者に対して和歌山のプロモーションを行い、旅行商品の造成及び来県を働きかけたところです。
 今後も、これまでのプロモーションで築いた旅行会社やメディアとの関係を生かし、さらなる誘客に取り組むとともに、本県と関係の深い山東省青島市、遼寧省大連市については、現地旅行会社を活用すること等により本県の観光情報を積極的に発信してまいります。
 また、受け入れ態勢につきましては、多言語案内表示の整備、Wi─Fi環境の整備、また観光地の公衆トイレ整備などを通じて快適かつ安心して旅行していただける環境づくりに取り組んできたところであり、今後もさらにこの取り組みを進めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 それでは、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 政府は、人口急減、超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、各地域がそれぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会を創生できるよう、地方創生を国の最重要課題と位置づけております。本県においても、なお一層、知事を先頭に各市町村が連携して取り組んでいくものと思いますが、私は、地方が活性化するために必要不可欠なものは、やはり道路だと思います。
 そこで、2つ目の項目として、県道高田相賀線の佐野・蜂伏地区への延長について質問させていただきます。これについては、平成24年6月定例会一般質問の際にも要望を行いましたが、新宮市の最重要な要望事項でありますので、再度取り上げさせていただきます。
 本題に入る前に、簡単にそれぞれの地域について御説明いたします。
 まず、佐野・蜂伏地区につきましては、那智勝浦町と隣接した場所で、田園風景が広がる一方、海を望めば新宮港があり、山側は新興住宅地となっています。
 新宮市の郊外に位置するこの地域には、現在、さまざまな集客施設が集積しております。主な施設等を挙げますと、蜂伏地区には、もともと市街地にあった新宮市民病院が平成13年に新宮市立医療センターとして建てかえ移転したのを初め、県立なぎ看護学校や高齢者、障害者などの福祉施設、健康増進・スポーツ施設のほか、整形外科、薬局などが建ち並んでおり、新しい住宅や県営住宅などに多くの住民が暮らしている地域であります。
 佐野地区においては、我が母校である元県立新宮商業高等学校──現在の新翔高等学校──や運転免許センターがあります。スポーツ施設では、本年9月開催の紀の国わかやま国体において高校軟式野球の競技会場となるくろしおスタジアムが平成15年に完成、女子サッカーの競技会場となるやたがらすサッカー場があります。また、巴川製紙所工場跡地に大型ショッピングセンターが平成17年にオープンし、地元のみならず近隣市町村からも、昼夜を問わず多くの利用客が訪れています。そして、平成20年に開通した那智勝浦新宮道路の新宮南インターチェンジは、それぞれの施設へのアクセスの起点となっております。
 一方の高田・相賀地区につきましては、168号から生コン工場横を高田川に沿って進んだところに集落があり、小中学校、障害者施設を初め、乳白色の天然温泉が売りの高田グリーンランドやテニスコート、若もの広場、さらには、高田川を活用した自然プールなどがあり、市民や周辺の人たちが山の自然に触れ合える場所として親しまれております。
 現在、その2つの地域をつなぐのは、本宮方面からの国道168号1本が通じているだけで、国道42号と交差する橋本交差点を経由して那智勝浦方面に向かうことになります。
 ちなみに、本宮方面から来て市街地へ差しかかる際、橋本交差点は渋滞が慢性化しており、42号へ入り込むまでに3~4回信号を待たなければならないときもあります。
 さて、話は平成8年にさかのぼります。佐野地区と高田地区を結ぶ林道を、新宮市が事業主体となって、森林整備の基盤、また緊急時の迂回路として、総事業費30億4000万円、県も20%を負担する中で工事が着工されました。ところが、平成10年に最初の切り取り面に大きな崩壊があり、130メートル進んだところで工事は中断されました。調査結果を踏まえ一旦事業は継続されたものの、その後の再三にわたるのり面崩壊の発生により、平成15年度に工事を一時休止し、全体計画について、起点の見直しや線形並びに幅員などの再検討が行われましたが、頓挫した事業は平成17年に中止され、その後10年が経過したものであります。
 過去の議事録をひもときますと、この事業に関して地元議員が何度も取り上げており、経緯なども明らかにされてきたはずですが、地域住民の中には、いまだに工事の再開を信じて心待ちしている人もたくさんおられます。私に対しましても、4年前の初当選以来、この道路建設を強く推進してほしいという要望は後を絶たず、多くの市民の思いを受けとめ、地域発展を図るため、私も熱望する道路であります。
 なお、本日も、実現に向けた運動に御尽力いただいている方々も新宮から駆けつけていただいた次第です。
 では、この佐野・蜂伏地域と高田、熊野川町の2つの地域が結ばれるとすれば、どのようなメリットが地域にもたらされるかを考察してみます。
 まずは、高田地区並びに熊野川町の住民にとってのメリットを挙げてみます。
 大規模災害時における緊急物資搬送や救援ルートの確保ができます。4年前の紀伊半島大水害の際には熊野川が氾濫し、168号では至るところで山腹崩壊が発生、高田地区や熊野川町と市街地とのアクセスは寸断されました。そのため、行き来するためには三重県側からのルートをとらざるを得ず、物資搬送やボランティアの人たちも、現地に入るまでに、ふだんは20分前後の距離に1時間も2時間も費やすなど、大変効率が悪かったという状況が続きました。しかし、この道路があれば、そのような状況を招くことはありません。
 それに加え、最短ルートとして中核医療機関である新宮市立医療センターへの緊急搬送時間の短縮が図られ、高田地区並びに熊野川町の住民にとっては、より安心な環境をつくる命の道ということになります。もちろん、通院やお見舞い等も容易になるでしょう。
 次に、地域全体の現状改善の観点から考えてみますと、先ほど申し上げた橋本交差点の渋滞について、本宮方面から市街地へ向かう車両は168号を直進、佐野・蜂伏方面へ向かう車は新しい道へと目的地に応じての分散化が図られるため、橋本交差点の渋滞はかなり解消されるものと思われます。時間短縮はもとより、スムーズな移動が可能となれば、ドライバーのいらいらや他府県から訪ねていただいた人たちにも嫌な印象を与えずに済むものと思われます。
 それから、新宮市も、交流人口の増加を図るために、スポーツにおける大会の開催地や合宿地にという誘致を多分に漏れず行っております。佐野地区にある野球場やサッカー場を使用する選手や関係者の宿舎としては、高田地区にある温泉つき宿泊施設・高田グリーンランドを利用していただくことが多いのですが、そのアクセスについて、遠回りしているイメージで時間がかかり、不便であるとの悪い評判を一掃することが期待できます。
 最後に、地域全体の将来に向けたことで言いますと、これから着々と延伸される近畿自動車道紀勢線への直結が可能となれば、高田地区、熊野川町あるいは本宮地区の住民が勝浦・串本方面との行き来がより早くなることはもちろん、熊野三山を初めとする世界遺産を訪れる観光客にとっての利便性も大いに高まります。
 以上、さまざまな観点から考えられる地域にとってのメリットの一部を申し上げました。
 高田地区と佐野・蜂伏地区が直接つながることにより、大規模自然災害の発生時にすぐれた機能を発揮するだけでなく、双方向における生活環境は劇的に改善され、大いに利便性の向上と安心・安全な地域づくりが期待でき、過疎化が進む山村地域への定住促進にもつながると思われます。また、熊野川町や本宮町も含めた各地域間の連帯感も高まるでしょう。
 つきましては、国道42号並びに168号を補完するバイパスとして、地元住民が長い間熱望してきたこの県道高田相賀線の佐野・蜂伏地区への延長を実現させるため、早期の着手を強く要望するところであります。ぜひ、知事の前向きな御答弁をお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県の道路整備としては、命の道、そしてチャンスの道として紀伊半島一周高速道路の早期実現を目指すとともに、これを補完するX軸とか川筋とかいうネットワーク道路の整備を重点的に行ってきたところであります。
 新宮市域においても、これまでX軸ネットワーク道路として、国道168号越路道路とか日足道路とかを整備いたしまして、移動時間の短縮が図れるとともに大雨時にも安全な通行が確保されるなど、大きな効果が発現されております。
 また、本年9月の国体までに那智勝浦道路の延伸部が完成する見込みであるとともに、今月7日には新宮紀宝道路の着手式が行われるなど、さらなる道路ネットワークの充実が期待されております。
 さらに、まだまだ脆弱な168号線の一層の強化、強靱化ということが宿題になっておりまして、私も述べておりますが、前向きに考えておりますけれども、濱口議員のただいまの議論をお聞きしておりますと、これはちょっと優先度が低かったかなあと、考え直したほうがよかったかなあというふうに思っております。御指摘の橋本交差点についても、もう事業化が始まっておりますけれども、これも別の解があったのかなあというふうに思っておるところでございます。
 一般に、新たな道路整備を行うに当たってはこれまでのまちづくりや地域全体の計画への影響を考慮すべきでありまして、全体のネットワークの中での位置づけや他の地域との連携、交通の流れが変化することによる影響も考えないといけません。道をつくればいいというものではないと思います。和歌山は、かつてはそういう視点が少々欠けていたんではないかというふうに思うところもございまして、そういたしますと、道路投資をしても経済発展になかなか結びつかないということになります。
 もっとも、そういうネットワーク上の枠組みのほかにも検討すべき課題は多くあるわけでございます。例えば、災害時の交通の確保とか、あるいは生活の利便性の向上など、さまざまな問題が同時にあるということは申し上げておきたいと思います。
 そういう観点から、議員御提案の県道高田相賀線については来年度から調査に入りたい、そういうふうに思っております。その際、こうした地域全体の計画を設計する中で調査を進めていくべきだと考えております。
○副議長(藤山将材君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいま知事の答弁をいただいて、まあ調査にはかかっていただけるというお返事はいただきましたんで、それに対しては心から感謝を申し上げたいと思いますが、やっぱり新宮に住んでおりますと、道の数が1本しかないというのがどうしても地域住民の不安につながっているわけでありますし、今、知事がおっしゃったようなこともいろんな課題の中で考えていくべきことだとは思いますけども、この新宮の中で、例えば移動に物すごく時間がかかり、また体力を使い、そういったたくさんの浪費をしている地域におります者としては、もう少し前向きにこの道のことを理解していただきたいと思います。
 そしてまた、1回林道をつけようとしたときに、地盤のこともありまして途中で頓挫したという経緯がありましたけども、1回相対的な調査をしっかりとしていただいて、その課題を乗り越えていく、そして住民の要望であります高田と佐野地区をつなぐ道、これを何とか実現に持っていきたい。これは、私のライフワークとしてこれから進めていきますんで、その気持ちを酌み取っていただいて、今後の取り組みに力を入れていただきたいと思います。
 以上、質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。

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