平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従って質問に入らせていただきます。
 1項目めは、原子力発電所の再稼働問題について、知事にお尋ねいたします。
 福島原発事故から5年目を迎えています。事故収束のめども立たず、約11万人を超える方が県内外で避難生活を余儀なくされています。福島の原発事故は、原発が抱える危険性と事故被害の深刻さを明らかにしました。避難生活が長期化する中での経済的困窮、放射能への不安、国、東電の対応への怒りと、希望を持てない中での健康悪化などです。その上に、さらに、汚染水漏れの解決にめどが立っていないという状況です。
 ここで、たくさんの方々の思いを御紹介したいところですが、そうもまいりません。東日本大震災後、妊娠、出産を経験された福祉職場に働く若い女性の方の声をぜひ御紹介したいと思います。
 「私は、さまざまな不安や葛藤の中で過ごしています。原発事故当初、これから妊娠をして子供を産んでもよいのだろうかと随分思い悩みました。でも、放射線の学習会や講演会に参加し、医師や友人たちと話をする中で出産することを決意いたしました。その後、妊娠してからは、ガラスバッジの装着やホールボディーカウンター検診などを行い、無事出産しました。今のところ、子供は活発で、大きな病気もせずにすくすくと育っています。他県に避難し、家族が離れ離れになっている友人たちもいます。私たち夫婦は、話し合いの結果、福島に残って生きることを選択しました。どちらも苦渋の選択であり、どちらが正しいか、誰にもわかりません。今、私たち夫婦の一番の懸念は、我が子が大人になったとき、低線量被曝の影響がどのように出るのか、福島県出身だというだけで偏見に悩む日が来るのだろうかということです。我が子がこの問題としっかりと向き合えるためにも、私たち夫婦がどんな思いでこの福島で暮らすことを選択したのか、その理由を語り、伝えていこうと思っています。今も福島は風評被害に苦しみ続けているのに、収束宣言や風化されそうな現状が一方にあります」と、このように語っています。
 この方は、全ての原発を廃炉するまで頑張りたいと言われています。私も全く同じ気持ちです。原発の問題は、日本の国だけではなく、世界の問題です。
 昨年5月、福井地裁は、生存権を基礎とする人格権が奪われる可能性があるとして、関西電力の大飯原発3、4号機について運転を認めない判決を言い渡しました。また、ことし4月には、高浜原発3、4号機について再稼働差しとめの仮処分決定を行いました。
 そこで、知事にお伺いしておきたいと思います。
 1つは、福島原発事故5年目の現状と復興状況をどのように捉えていらっしゃるか。
 2つ目に、福井地裁再稼働差しとめの判断についての所感をお尋ねいたします。
 3つ目には、原発建設を許さなかった和歌山県をどのように感じておられるのか、以上、3点にわたって知事にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、福島県の復興状況についてですが、ピーク時の16万人より減っているものの、11万人を超える方々が依然として避難生活を余儀なくされております。放射線量についても、例えば福島市においては10分の1に低減しているものの、依然として震災前の平常時の値を超える地域が多い状況であります。
 これらの状況に鑑み、今後も引き続き、住宅や農地等の除染が着実に進められ、避難指示の解除により避難者の方々の帰還が進むよう、国全体で福島県の復興を支援していく必要があると考えております。
 とりわけ、差別とかあるいは風評被害とか、そういうものを起こさないように、他県の我々も大いに協力をせないかんというふうに思います。その中でも食料品、農水産物でとんでもない差別がある。これは輸入制限という形で、特定の国から──福島県を含むですが──日本の農産物がとめられてる。そんなばかなことはあるかということで、これは風評被害などというものではありませんで、明確な国際法違反でありますから、こういうものは国を挙げて闘わないといけないと思っております。
 その次に、福井地裁の再稼働差しとめの判断についての所感をお尋ねになりました。これでございますけれども、現代文明は、さまざまなリスクを抱えながらも、その利便性と比較しながら、もちろんリスクを減らす手だても講じながら、どの程度のリスクであれば許容できるか、やったほうがいいか、そういうことを勘案して社会システムの中に組み込んできた、こういう歴史だと思っております。
 原子力発電は、今回の福島事故でそのリスクについては嫌というほど思い知らされましたが、一方、他の便利な文明の利器も、飛行機や自動車のようなものですら、それによって多くの人が亡くなっているということから見て、リスクがあるのは自明であります。
 自動車事故で原発と比べ物にならないほどの人が亡くなっている──これは事実でありますが──からといって、一度生ずれば物すごく多くの人が避難を余儀なくされるような、そういうもんなんだから、これを2つ並べて議論するのは間違いであると言う人がいます。原発がそういうものであるからこそ、自動車とは比べ物にならないほど安全規制が厳しくて、現に今回の事故から考えて、今までのリスク評価を各段に厳しくした安全基準がつくられ、それをもとに大変厳しい規制が、およそ考えられる限りの専門家を集めて行われていると承知しています。
 そういう規制をしても、まだリスクはゼロでないから、原発を動かすことは人格権に反するという議論は、私は論理的ではないと思います。もし、人格権なるものによって全て原発はとめないといけないというのであれば、自動車事故をとても恐れる人が人格権を盾に全ての自動車の運転をとめよと言われたらどうするのだろうかなあと私は思います。私は、要はリスク評価の問題なのだから、専門家が英知を集めて対処してもらいたい、それしかないんじゃないかというふうに思います。
 また、和歌山県のような原発のないところの知事が関係もないのに発言をするなという議論をする人がおりますが、私は、和歌山県知事であればこそ、和歌山県民のために発言をしております。
 和歌山県では、老朽化した発電所を急遽改良して、県内需要のおよそ3倍もの電力を他府県、大阪府とか滋賀県に送り続けています。専門家の安全リスク評価を客観的にやればおよそ原発よりもこちらのほうが高いと思いますけれども、関西のため、日本のため、地元の人々を初め県民が理解をしてくれているわけであります。それをいつまで続けたらいいのか。
 また、県内には電力を多く使わざるを得ない中小企業者や農業者や漁業者がいっぱいいます。関西電力の財務は、投資してしまった原発の償却負担もあり、また追加投資や燃料購入もあって大変な赤字で、これをもとに電力料金が何度も上がり、さらに上がる見通しにもなっています。これをきっかけに電力を結構使う中小企業者が破綻して関係家族に悲劇が起こるかもしれないということを心配する知事が、何で「関係もないのに」なのでありましょうか。
 そうは言っても、危ないものを動かすわけにはいきません。安全審査も防災対策も万全を期してもらうことはもちろんであります。しかし、ここは関係機関、専門家の真摯な努力に期待せざるを得ないのではないか、あるいは国民の監視によらざるを得ないのではないかということではないかと思っております。
 また、司法の裁判、判断に司法以外の人が口を出すべきではないという人が、驚くべきことにいらっしゃいます。間違った司法判断を糾弾すると称して運動をしている人々のことはどうするのでありましょうか。ましてや、本件は、福井地裁と鹿児島地裁の判断は完全に正反対であります。
 我々は、全て正義と、そして、私の場合は県民の利益を守るという観点から、信じるところに従って発言する自由と義務を有していると考えております。
 最後に、原発建設を許さなかった和歌山県についてでございますが、本県においては、過去に幾つかの原発建設の計画がありましたが、それぞれにおいて地元の同意が得られず、事実上断念されていると思います。これをもとに正義が勝ったかのように言う人がおりますけれども、原発のリスクは避けられた反面、地域は衰退してしまったような面もあると私は思います。恐らく、推進した人々は、その衰退、あるいは将来生じるであろう衰退を食いとめようとして努力をされたのではないかと思います。このような人々を悪と決めつけることは、私には到底できません。
 他の原発立地地域においては、関連産業における雇用の創出など、さまざまな経済的波及が見られ、地域の活性化につながっている例もたくさんあります。また、インフラ投資も重点配分されますし、電源立地交付金も地域の活性化のために結構使えるところがあります。
 私は、あるとき、建設がおくれている和歌山の高速道路の要望に政府関係者に行ったところ、福島県の大物政治家が「君、福島はもう全部できて、やることがないんだよ。君のところの案件を応援してやるぞ」と言われたことがあります。残念ながら、そのときは余り効果がなかったのでございますが、そのように、いろいろな判断材料があると思うのであります。
 しかし、和歌山は、津波の災害リスクが大変高いところであります。したがって、さまざまな地域活性化のチャンスを逃したという面はあるけれども、総合評価として、原発をつくらなかったのは、私は適切であったと思うし、それから、今後もそうであるだろうと思っています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 原発再稼働問題について、知事から御答弁をいただきました。
 和歌山県においては、総合評価として、原発をつくらせなかったことは適切だったんではないかというようにおっしゃったと思います。
 知事も、先ほどもおっしゃっていましたが、大変な避難生活をされている、そういった状況のことについてもおっしゃっていただいたんですけども、今の福島原発の現状で、4年以上たった今も原発事故が示すものは大変な状況であるということについては、御認識をされていると思うんです。
 一たび原発事故が起これば、その被害は、空間的にも時間的にも社会的にも限定なしに広がり続け、人類はそれを防止する手段を持っていないということではないでしょうか。これは、ほかのさまざまな事故とは全く違う異質の危険が、今も、そしてこれからも続いていくことだと私は思っています。
 だからこそ、福井地裁判決は、原子炉施設周辺の住民の生命、身体に重大な危害を及ぼすなどの深刻な災害が万が一にも起こらないようにするために、原発設備の安全性に十分な審査を行わせなければならないと言っているのではないでしょうか。
 そして、原発の耐震設計で設定する基準値震動を問題視して、これまで基準値震動を超えたケースがこの10年間に5回もあることなどを挙げて、新規制基準は緩やか過ぎ、また、これに適合しても安全性は確保されておらず、新規制基準は合理性を欠いているとしているのではないでしょうか。これを知事は、専門家が決めたものだから、それに異議を唱えるのは問題ある判決だとおっしゃられているように聞こえました。安全性が確保されていないという裁判所の判断こそ、納得できるものではないでしょうか。
 一般的に言って、あらゆる文明の利器にもリスクを伴うことは、私もそういうふうに思います。しかし、原発について安全神話が振りまかれた中で、推進していた人々が「あり得ない」と断言していた事故が起こって、多くの人々が苦しんでいるんです。
 原発とどう向き合うかということが人類に突きつけられた中で示された1つの判断が、福井地裁の判決だと考えます。それについて知事が違った意見を持つのは御自由ですが、知事記者会見という席上で、誰か自動車の差しどめ請求をしたら本当にされてしまうのではないかなどと、判決をやゆするような論評をしているのはいかがなものかと思います。
 福島で苦しんでいる人たちが、私たちの苦しみをわかってくれていないのではないかと、傷ついた人もいるのではないかと思い、そういう思いを私も持ったことを述べて、次の質問に行かせていただきます。
 2項目めは、南海和歌山市駅周辺での活性化について、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 5月18日、南海電鉄と和歌山市長が記者会見を開き、市駅活性化構想が発表されました。市駅がなくなるのではないかという不安の声を耳にする中で、地元住民にとっては大変喜ばしいことだと思います。
 私は、2013年度2月の定例議会予算特別委員会において、和歌山市の中心市街地の活性化について質問をいたしました。中心市街地の空洞化と今後のまちづくりの方向性についてお尋ねしたところ、知事からは、中心部の土地需要を高める必要があること、外縁部の開発をセーブすること、具体的な再開発プランなども考えて提案したいと言われました。
 また、市駅周辺のまちづくりについては、県土木整備部長から、市駅周辺再開発に向けて、南海電鉄を中心に県や市などの関係機関とも連携しながら、特に住宅や集客施設整備などによるにぎわい空間の創出、バスターミナルやタクシーベイなどの駅前広場の再整備による交通結節点の強化といったさまざまな検討が進められているということでした。
 この間、活性化構想について、県も含めてどのような協議を行い、進めてきたのか、発表された内容も含め、現状と県のかかわりについて県土整備部長にお尋ねをいたします。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 去る5月18日に和歌山市と南海電鉄から発表された南海和歌山市駅活性化構想につきましては、昨年6月より和歌山市、南海電鉄、県の3者による南海和歌山市駅周辺活性化調整会議において、都市のにぎわいの観点から、図書館、市民会館といった周辺公共施設の集約、再編、また、交通結節点機能の強化の観点から、バス乗降場の集約など、駅前広場の再整備などを県から提案し、検討を進めてきました。
 また、本構想の内容は、駅舎を含む現在の南海和歌山ビルの建てかえとあわせ、更新時期を迎えている市民図書館を市駅に移転させ、文化・交流拠点を創出することによるにぎわい空間の整備、観光案内所、自転車駐輪場の再整備による利便性の向上等を市街地再開発事業として実施するとともに、駅前広場においてバスロータリーを整備するなどによる交通結節点機能の強化を図るものであり、南海電鉄は、第1期工事として、オフィス棟や駅施設について、既に平成27年5月より工事に着手しております。
 県としては、都市の再生に当たっては、都市の外縁部への拡大をとめて、既存市街地などの拠点の再開発を行っていく大方針のもと、県都の再開発の第1号がいよいよ動き出し、周辺地域の活性化への起爆剤となることに大いに期待しており、今後とも事業の推進が図られるよう和歌山市や南海電鉄とともに取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、まちづくりを進める上では、住民参加のまちづくりがとても大切です。各地で、まちづくりの計画の検討、作成に、住民や各種団体などがそれぞれできる範囲で参加し、行政と協働してまちづくりを進める取り組みが広がっています。
 そこで、まちづくりを進める上での住民の意見のくみ上げなど、住民参加をどのように考えておられるのか、県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) まちづくりの計画を具体化するためには、これまでも和歌山市や関係事業者と検討を進めておりますが、加えて、住民の方々がまとまり、そして計画の推進役としての役割を担っていただくことが大変重要だと考えております。
 そのため、これまでも町なかの拠点地区の活性化に当たって、和歌山県と和歌山市は、ともに鉄道事業者、周辺の民間事業者などと幅広く意見交換を進めてきており、とりわけ、この南海和歌山市駅周辺地区の活性化については、駅周辺地区の自治会などの集まりに和歌山市の職員が参加するなど、積極的に取り組んできたところです。
 今後も、関係する方々の御意見を伺いながら、住民の方々が計画の推進役としてかかわっていけるようなまちづくりに取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 この項目では、最後に要望をさせていただきます。
 今後、にぎわいのあるまちづくりをつくっていくということで、いろんな計画が進められようとしていますし、事業化も進んでいくと思うんですが、そういったことと同時に、やはり市駅が、駅舎が改善されていくというようなことと同時に、その周辺のまちづくりをどういうふうにしていくかということでは、先ほど部長がおっしゃったように、住民がしっかりと参加していくという意識も大事だと思うんです。
 そういった意識を高めていくという中では、やはり皆さんが考えられている意見や、まちづくりに対するいろんな思いや、そういったことを十分吸い上げていくという、そういうことが大事だと思います。
 にぎわいと同時に、やはりまちづくりには、今後、防災と安全、安心のまちづくりということが、まちづくりをつくっていく上で横軸として非常に大事なことだと思うので、誰もが安心して住める、そういったことをしていくためには、やはり情報公開をしっかりとしていただくということで、そういった住民の意見が情報公開とともに反映できるような仕組みづくりをぜひ要望して、この項目を終わらせていただきます。
 3つ目、大項目の3なんですが、改定介護保険制度について福祉保健部長にお尋ねいたします。
 高齢化社会において、誰もが安心して住み続けられるまちづくりの大きな柱の1つが介護問題ではないでしょうか。高齢者も現役世代も安心できる公的介護制度が必要です。
 ところが、安倍政権のもとでどんどんと介護制度が悪くなっているように思います。今年度の介護保険料改定により、大幅な保険料値上げが行われています。また、8月から介護保険の利用料に初めて2割負担が導入されます。負担増の対象となるのは、所得160万円以上、年金収入280万円以上の方々です。
 厚労省が設定する2割負担の所得基準は、医療保険の現役並み所得のライン、単身では年収383万円、2人世帯では年収520万円よりはるかに低く、しかも、世帯ではなく個人の所得で決まるため、高所得と言えない人まで負担増となります。必要なサービス抑制が起こりかねないという懸念があります。
 さらに、施設入所やショートステイを受けている方の食費、居住費の負担軽減が縮小されます。年金の削減、消費税、電気代上昇など、暮らしが厳しくなる中で、介護保険料などの重い負担は生活そのものを破壊へと導くものではないでしょうか。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 65歳以上の方が負担する第6期、今年度、2015年度から2017年度の介護保険料の全国平均と和歌山県の平均保険料額は幾らになりますか。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 第6期計画期間における介護保険料の全国平均額は5514円、和歌山県の平均額は6243円となっています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 保険料額をお答えいただきました。
 これは、沖縄県が一番高くて6267円、次いで和歌山県が6243円で、2番目に高いということですね。
○副議長(藤山将材君) 答弁、求めますか。
○奥村規子君 いいです、ごめんなさい。ということです。「ね」と言うたんですけど。
 そこで、和歌山県の平均介護保険料が全国平均額と比べて本当に高いのはなぜか、その点で福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 和歌山県の平均介護保険料が高い理由としては、県内の高齢者の状況について、80歳以上の方の割合が高く、世帯の状況についても単身世帯、夫婦のみの世帯が多いため、介護サービスのニーズが高くなっており、また、訪問介護などの在宅サービスが充実していることから、高齢者全体に占める介護サービスを利用する人数の割合が高いことが、その要因として考えられます。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 6月15日に年金が支給されました。今、皆さんの手元に、それで介護保険料が通知されていると思うんですが、年金がふえていないのに保険料の負担が上がっている、そういった負担能力を超えているのではないかと思うんですが、その点でいかがですか。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 高齢者の介護保険料の負担に関しては、低所得の方については軽減を行うなど、応能負担の仕組みとなっているところです。
 介護保険に係る給付が増加する中で、現役世代も納税を通してその一部を負担し、さらに40歳以上の方については第2号被保険者として介護保険料も御負担いただいていることを考えると、高齢者の方についても一定の御負担をお願いせざるを得ないと考えています。高齢者の方の介護保険料の負担感に対する御意見などについては、今後もできる限り情報収集を行っていきたいと考えています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ぜひ、高齢者の生活実態や、こういった非常に高い介護保険料を払わなければいけないという状況の中で、やはりなかなか、認定されていても、サービスを、利用料や保険料を払うという負担の重い中で十分利用できないとか、そういった状況も非常にあるかと思うんですけど、そういったことも、今後できるだけ情報収集をしていきたいと答えてくださったので、そんな点で、やはり高齢者の生活実態とか、そういったことも含めてしっかりと実態を把握していただきたいと思います。
 保険料が非常に高くて負担という中で、今期の保険料改定に際して県や市町村で低減するためにどういう取り組みがされたか、介護給付費準備基金の繰り入れなどはどうだったのか、その点についてお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護保険料に係る負担軽減に関しては、今般、消費税を財源として低所得者の方を対象に負担軽減が行われたところです。
 また、介護給付費準備基金についてですが、介護保険制度においては、3年間の計画期間において、介護保険料などによる収入と給付との財政均衡を保つことが求められています。通常、給付費については後年度になるほどふえるため、計画期間前半は収入の一部を介護給付費準備基金にプールして、計画期間後半にこれを使い切ることになりますが、実際の給付費の伸びが低かったことなどにより計画期間後に当該基金に一定額が残る場合があり、このため、県においては、適切な介護保険財政の運営の観点から、次期計画期間における当該基金の残額の活用を指導しております。
 この結果、県内では、平成27年度から平成29年度までの第6期の介護保険料の改定に当たって、15市町村がこの基金を取り崩したところです。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 要望させていただきます。
 基金は、その期の保険料を集め過ぎたことによるものです。だから、当然、保険料の低減のために活用して、高齢者に返すべきだと思います。もっと活用するべきだと思いますので、ぜひ御検討をよろしくお願い申し上げます。
 次、3の低所得者の補足給付の縮小、打ち切りについてお尋ねいたします。
 低所得者が施設を利用する場合に食費、居住費の負担を軽減する補足給付の縮小、打ち切りが8月から実施されます。月5万円の基礎年金以外に収入のない人が、毎月10万円以上の自己負担を迫られるなどの事態が起こってきます。
 補足給付の対象から外すのは、世帯分離をしている配偶者が住民税課税である場合、単身で1000万円以上、2人世帯で2000万円以上の預貯金がある場合です。障害年金や遺族年金などの非課税年金を今後は収入、所得と扱うとしています。この点についてどのように受けとめられていますか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 現在、施設入所の際にかかる低所得者の食費及び居住費については補足給付を実施していますが、利用者が預貯金を保有しているなどにもかかわらず保険料を財源とした給付が行われることは不公平であることから、本年8月に、補足給付を行う際に資産を勘案すること等の見直しを行うこととされています。
 県としては、この改正についてはやむを得ないものと考えていますが、その一方で、これまでの補足給付の受給者に対する影響及び運用状況について、市町村等を通じてできる限り情報収集を行っていきたいと考えています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、利用者の資産確認についてお尋ねします。
 これまで、先ほど申し上げたように、所得のみであった要件に、預貯金、配属者の所得を追加することになっています。こういったことでは、さまざまな問題が生じかねないのではないでしょうか。県は市町村に対してどのように対応されているのか、この点についてもお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 補足給付に係る資産確認に関して、昨年6月の法改正以後、厚生労働省から事務取扱の方法やQアンドAなどが順次示され、これを受け、県では、昨年8月及び11月に県内の市町村向けの説明会等を通じて情報提供を行うとともに、利用者への周知を含めて適切に対応するようお願いするなど、本年8月の施行に向けて各市町村で必要な準備が進められるよう取り組んできたところです。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 その資産確認では、通帳のコピーを提出してもらうことや金融機関を調査する同意書を提出しなければならないということになったということですが、こういった状況の中で本人に確認できない場合、どのように対応をしようというようなことでお考えでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 認知症などで御本人の意思確認ができない場合には、御家族や成年後見人などの代理人に御確認することになります。また、現に施設等に入所されている場合は、個別に対応していくことになると考えています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ここで、施設では個別に対応というところが、本当に施設のほうからもさまざまな、困惑しているようなことも新聞に載っていました。そういったことも含めて、十分に県が実態を把握などして対応していっていただきたいと思います。
 特に、預貯金等申告に偽りがあった場合は、今回のやり方では、給付額の全部の返還に加えて、給付額の100分の200に相当する額以下の金額を徴収するということになっています。介護保険制度では、ほかに例を見ない重い制裁というべきことが定められているのではないでしょうか。厚労省が提示した申請書の欄外には、そうした制裁措置が明記されています。市町村窓口で利用者に対し過度な威圧にならないように、十分な対応をしていただけるように、また、利用者が不安、負担とならないように、ぜひ慎重な対応をよろしくお願い申し上げます。
 最後に、保険料抑制のための一般財源による負担軽減についてです。
 高齢者の3人に2人が住民税非課税と思われます。65歳以上の介護保険料の負担が生活圧迫の大きな要因となっています。高齢者本人や家族の貧困が深刻化する中、保険料が年金天引きの対象とならない、年金が月1万5000円未満の方の保険料滞納が今ふえていると聞いています。国に実効性のある保険料の減免制度を求めていくべきではないでしょうか。そして、県としても、もっと一般財源による負担軽減を行うべきではないでしょうか。この点で、福祉保健部長、お答えよろしくお願いします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護保険料の滞納額の増加の要因としては、団塊の世代の方々が65歳となり、第1号被保険者に切りかわる際に、手続的に一定期間、普通徴収の対象となることによって普通徴収の額が増加したこともあるため、この要因については一概には言えません。
 県としては、これまでも国に対し介護保険料の軽減策の実施などを要望してきたところであり、今般の介護保険法改正によって、本年4月より、221億円の公費を投入して低所得者に係る負担軽減がされております。また、平成29年4月に予定されている消費税の引き上げの際にも、約1400億円の公費を投入して、さらなる低所得者に係る負担軽減が行われることとなっています。
 また、県及び市町村が一般財源による負担軽減に取り組むべきとの御意見に関しては、介護保険はみんなで支えるという制度趣旨を踏まえて、その財源として、国、県、市町村の公費負担割合、被保険者の保険料の負担割合が定められていることなどから、県は考えておりませんし、市町村においてもこの制度趣旨を理解していただきたいと考えています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今回の介護保険法の改定で、公費投入による低所得者の保険料軽減が初めて法制化されました。これは、介護保険会計だけでは成り立たないということだと思うんです。公費投入でしか矛盾が解決しないところまで来たことのあらわれではないでしょうか。制度的限界を示していると思います。
 しかし、当初は1700億円投入とされていたのが、消費税増税の先送りを理由に221億円にとどまりました。その結果、第1号被保険者の介護保険料額について、第1段階の保険料率が0.5から0.45に軽減されただけです。だから、和歌山市で見れば基準額が上がっているため、第1段階の年間保険料が3万4870円から3万5640円になり、軽減でなく値上げになっています。
 社会保障充実のためといった8%の消費税増税分が、社会保障にはごくわずかしか使われていないということです。消費税10%との引きかえでなく、もっと一般会計から入れるべきではないでしょうか。県や市町村からの繰り入れを拡大すべきだと思います。また、市町村の繰り入れについては、市町村の判断で行われるべきだということを主張しておきたいと思います。
 私は、介護保険財政の制約は、第1号保険料が高齢者の負担能力を超えた額になってしまっていることにあると思います。その解決方法は、公費部分を拡大し、保険料に依存する仕組みを改革していく以外にないのではないでしょうか。
 県からも国に要望されていますが、国庫負担割合をさらにふやすこと。国は財政危機を強調しますが、日本全体で8兆円を超える介護保険給付費のうち、国負担の25%は2兆円程度です。政府の一般会計予算90兆円以上のうち2%にすぎません。防衛費の半分以下です。アベノミクスによる財政出動の額にも及びません。
 これからの超高齢社会に向けて、高齢者介護施策や地域包括ケアシステムをつくり上げていく上で、国庫負担割合の引き上げの働きかけを一層強めていただきたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。

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