平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(全文)


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平成27年6月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成27年6月18日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第96号から議案第116号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第96号から議案第116号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     石原康弘
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      下田隆文
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課副主査     中尾祐一
 総務課長       西原龍也
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第96号から議案第116号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 18番岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○岩田弘彦君 皆さん、おはようございます。
 質問に先駆けまして、再び県会議場のほうに送っていただきまして、その責任の重さを感じているところであります。私といたしましては、もう信念といたしましては、守るべきものは守る、変えるべきものは変える、そしてもう1つは、ふるさとを愛する人づくり、心づくり、そして未来に誇れるふるさとづくり、この2本を信念にまた頑張ってまいりますので、どうか同僚・先輩議員の皆さん、そして仁坂知事初め県当局の皆さん、どうか御支持、また──いやいや、違うわ違うわ。(発言する者あり)ごめんなさい。失礼いたしました。(拍手)まあ、お手やわらかにひとつよろしくお願いいたします。
 議長のお許しをいただきましたので、きょうは国体間近ということで、国体のシャツで質問さしていただきます。
 それでは、質問に入らしていただきます。
 全質問、一問一答方式ということで、大項目は4つ。
 まず、大項目1番、教育環境の充実についてであります。久々でちょっと緊張しておりますので、どうかよろしくお願いします。
 ①小中一貫教育についてであります。
 これにつきましては、きょうの朝刊でもかなり取り上げていただいてたようでございますが、小中一貫教育の効果につきましては、文部科学省のほうで既に取り組みを進めている市町村において、ほぼ全てにおいて成果が認められているとしています。
 そして、具体例といたしましては、中学生の不登校出現率の減少、そして市町村または都道府県独自の学習到達度調査、全国学力・学習状況調査における平均正答率の上昇、そして児童生徒規範意識の上昇、そして異年齢集団での活動による自尊感情の高まり、そして教職員の児童生徒理解や指導方法の改善意欲の高まりなどが挙げられています。
 また、現在、文部科学省におきましては、平成28年4月1日の施行を目指しまして学校教育法の一部改正、小中一貫教育を行う新たな学校の種類の制度化を進めているとお聞きしております。
 本県の状況と、小中連携、小中一貫教育の推進についてどのようにお考えなのか、教育長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県内には、小中学校の9年間を通じた教育課程を編成し、系統的な教育を目指した小中一貫教育に取り組んでいる学校がございます。また、特色ある教育活動を展開してございます。
 それらの学校では、小学校から中学校への円滑な接続、いわゆる中1ギャップの解消や小中学校教員の相互交流による指導方法の工夫改善を狙いとして取り組んでいます。
 県教育委員会といたしましては、小中学校間の円滑な接続を実現していくことは重要であると捉えており、その1つの手法である小中一貫教育についても、国の動向を踏まえ、取り組みを進めている市町村教育委員会や学校を支援してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 ただいま教育長のほうから答弁いただいたんですが、ちょっと何点かだけ私の意見ということで聞いていただけたらと思うんですけども、中1ギャップの解消というのが割と大きなところかなあ。そして、なかなか県と市の関係の中で支援というのも難しい中で、支援してまいりますという答弁で、ありがたいんですけれども、中1ギャップで1個だけ私がちょっと心配してるのが、これって小学校から中学校へ行くハードルをちょっと下げようというところもあると思うんで、ただ、私といたしましては自分が40数年前、小学校から中学校へ行くときにどない思ったかというと、やっぱり中学校へ行くと、2つ、3つの小学校から中学校へ行くというパターンになりますんで、新しい友達ができるん違うかと。
 適切な表現かどうかわかりませんが、べっぴんさんおるん違うかなとか、やっぱりスポーツこんなんやろうやないかと、浮き浮き感というかな、そういうので行った記憶があるんです。
 本来であれば、小学校6年生までに少々環境が変わっても、先生が教科ごとに全員がかわっても、どないか自分の力で乗り越える力をつけていくということが本来は基本やったと思うんです。
 そこで言いますと、一番心配するのが、ハードルを低くすると、中1ギャップが今度は高1ギャップにならないのか、そこのところを私は大変心配しておりますので、取り組みいたしましても、しっかりとそこで乗り越える力をつけていく、この義務教育の範囲でつけていく、で、高校へ行ったらそういうこと起こらない、先送りにはならない、そういうふうな強い教育を進めていく上で、この小中一貫教育を捉えていただいて。
 そして、もう1つお願いあるのは、やっぱりこれをしようとすると、現場の意見もかなり聞いてきました。和歌山県を調べますと、私まだ県会議員でなかったんですが、平成17年──10年前ですね、モデル校的にこれも次の質問も取り組まれておりました。これは「県民の友」で調べさしていただいたんで、それもありますので、それも含めてやっぱり人事的にある程度方向を決めて、人事の範囲で支援する、そういうことも私は大切やと思いますので、その辺も含めまして、教育長、お考えいただいたらということで、御期待さしていただいて、次の質問に移さしていただきます。
 次、2番であります。
 小学校高学年の学級担任制を基盤とした教科担任制の拡大についてであります。
 これにつきましては、平成24年の6月議会においてもお伺いさしていただいたんですが、この小学校高学年に教科担任制を広げていくということは、小中一貫教育の一応特徴的なところということで、小中一貫になりますと、一体校にすると小学校2つと中学校1つを1個の学校にするという形になります。連携型でいきますと、その中学校区の小学校と連携していくという、そういう取り組み、この10年間そういうようやったんですので。ただ、和歌山県の状況を見ますと、なかなかそんなん1個にまとめてという状況のところではないと思いますので、一番いいところは、この教科担任制の幅を広げていくというのが、その効果が出るん違うかなと。さっき文部科学省で言われてた効果が出るんではないかなという観点で質問さしていただきました。
 その時点の答弁では、現在、確かに中学校への接続の問題、あるいは専門教科を生かした学力向上、あるいは生徒指導の充実という面で、一定のメリットがあるというふうな報告は受けてます、そして、本県でも教員の専門分野、得意分野を生かした授業で、本当に子供たちの学習意欲を高めることができる、そういうことで導入している事例が多くあります、一方で、担任が子供と触れ合う時間が少なくなるとか、そして規模が小さい学校であればそれが可能なのか、そういう課題もあるので、県としてはその成果について研究してまいりたいという答弁でした。
 その結果、今後、県の方向性としてはどのようにするのか。それから3~4年たってると──ちょっと私いなかったんですけども、3~4年たってると思いますので、その辺を教育長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県内の多くの小学校では、高学年において近隣の中学校と連携するなど、外国語活動や音楽科、家庭科などで専科教員を入れた学習が進められており、一部の小学校では教科担任制にも取り組んでございます。このような取り組みは、中学校への接続、教員の専門性を生かした学力向上、複数の教員がかかわることによる生徒指導の充実などの面で成果が期待できると考えてございます。
 一方、議員からも御指摘がございましたように、小規模校ではその特性から導入が難しく、小学校の発達段階から見て、担任教員が子供と触れ合う時間が短くなるという課題なども指摘されているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、国の動向を踏まえ、小学校における教科担任制の有効な活用方法について、研究はこれからも深めてまいりたいと思ってございます。また、推進している市町村教育委員会を支援してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 答弁ありがとうございます。
 やっぱり課題として出てるのが、担任の先生が子供と触れ合う時間が短くなるということなんですが、これでも私ちょっと思うことがありましてね。
 私たちが小学校へ行ってるときは、小学校6年間は学級担任制、で、中学校に行って突然教科担任制という形やったんですが、それでもどないか乗り越えられたのは、やっぱりいろいろ考えますと、私が生まれて、御近所の人が知ってくれて、だんだん社会広がっていったときに、おじいちゃん、おばあちゃんとも同居してましたんで、その人のつながりがあるわけですよ。大勢の人のつながりの中で支えられて、人間関係も広められた中で担任の先生が6年間来るというのは、そういう力が身についたんではないかなと、このように思ってます。
 ただ、今の子供さんの状況、私たち議員とか教育委員会から見ると、「担任がずっとかかわっとらなあかんのや、6年間」と思ってしまうかもわかりませんが、それは旧態依然が悪いとは言いませんが、そう思いますが、子供たちの状況見ますと、やっぱり核家族がどえらい進展してる。もうはっきりしてるのは、人口ふえてないのに世帯数がふえとるというのは、核家族が顕著に進んでるということやと思いますので、そして、お父さんもお母さんも仕事をされてる状況が多いということは、子供がひとりぼっちで家庭でもいる状況が多いと。
 そこへ持ってきて、おじいちゃん、おばあちゃんの人のつながり、お父さん、お母さんの人のつながりの幅がもう狭くなっていて、そこに架空の情報ですね。だから、スマホとかいろいろあるんで、情報は入ってくるんですけども、人とぶつかった情報じゃないんやと思うんです。僕たちは、もう人とぶつかりながら、ナイフ1つでも使い方は載ってますよ、スマホに。でも、実際使うたらけがする。こういうことにもなってるん違うかなと、私はそう思うんです。
 私も教育者ではないんで、議員として必死に考えると、ここはやっぱりゼロベースの見直しという観点に立たないと、今までやっぱり6年と3年、これが義務教育のシステムやった。その固定観念の中で考えてしまうと、ちょっとしんどいん違うかなと。
 だから、小学校の高学年ぐらいになると、子供たちも成長は早いと思うんです。で、おませになってきてる。そこで、人間関係の幅をどっと広げてあげるところがないんで、そうなってくると数多くの先生──先生というのは、どうしても子供のために動きますので、自分のために動いてくれてる先生方と多く触れ合いさしてあげる。
 そら相性のええ人も悪い人もいてるかわからへん。でも、それも含めて、なるべく早くにそういう経験をさしてあげるということがいいんではないかなということで、まず小学校で最初のときはお母さん方みたいな感じて、その1人の先生が一生懸命見てくれとる。それでも、チームティーチングして、ほかの先生も入ってやっぱりやっていかないとという時代になってるんで、もう完全に小学校高学年になると、中学校と小学校の間みたいな感じで教科担任制の幅を広げていく、そこをしてあげると、やっぱりいろんな先生と触れ合いながら、中学校へ行ったらもう完全に教科ごとに先生が違う、それでも対応ができていく。
 そういうふうな人間関係の幅を広げて、子供たちに自分たちの力を出しやすく、自分たちでもこれが正しい、これが悪いって判断できるような、そういう人間関係を広げるという意味では、あんまり教科担任制を6年間やるということに固守しなくても私はいいんではないかなと。これは議員の意見でございますので、教育長は教育のプロでございますので、その辺も考えていただいて、やっぱり小規模校に難しさがあるというのは、もう簡単な話やと思うんです。現場でも話聞いてきました。人がふえればできるんです。と私は思います。
 だから、人事的な配慮というかな、その辺もちょっと考えたってもらって、都道府県で県単でいろんな取り組み、人の面も取り組みしてるところもありますので、その辺も含めて、これは私、教育者でもないんで、その辺は教育長がしっかり判断していただいて、私の意見で、よくなかったらよくないと言うてもうたらええんで、その辺を御理解していただいて、どうか前向きに、余り旧態依然に固守しない感覚で取り組んでいただけたらと思いますので、これはお願いと要望でございますので、よろしくお願いします。
 そしたら、大項目の2番に移さしていただきます。
 楽しい学校生活のためにということで、もう簡単な考え方なんです。学校生活が楽しかったら子供たちは力出すと、そうやと思うんです。
 夏休みでも、うちの息子はそうやったんです。親がいっこも構わなかったさかいかもわかりませんが、早く学校行けないかなと、それがあったんです。友達いっぱいおるし、学校へ行きたいと。家でいてると両親が仕事してたもんで、私はもともと自営業でございますので、家でおっても相手してくれへんし、それやったらもう早う学校へ行きたいよというのが私の子供でしたんで、やっぱり学校へ早う行きたいよって、学校へ行ったら楽しいからって、そうなると、もうほっといても学力上がると思うんです。
 そういう環境をつくるためにということで、2つほど質問さしていただきます。
 1番です。不登校、いじめ等の未然防止対策について。
 これですが、もう本当に不登校、いじめの対策というのは一生懸命やっていただいてる、それは十分わかってるんですが、私が一番心配してるのは、事後管理的になっていないかなと。起こってから大騒ぎするという状態やなくて、「もう和歌山県の学校へ通ったら、不登校とかいじめなんか起こらないんや。だから和歌山県へおいで」と、こういうふうに言えるような和歌山県をつくるためには、もう未然に察知して防止する、それが一番重きやと思います。
 その取り組みについて、教育長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校やいじめの未然防止のためには、子供たち一人一人が安心して落ちついて過ごせる学校・学級づくりは不可欠でございます。そのためには、道徳教育の充実を図るとともに、さまざまな学習の場面でお互いを大切にする気持ちを育むことにより、よりよい集団を育成していくことが極めて重要でございます。
 さらに、県が作成いたしました「いじめ問題対応マニュアル」や「不登校を生まない集団づくり」を活用し、全ての教職員が児童生徒の変化やサインを捉え、迅速かつ適切に対応できるよう、今後とも指導を徹底してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 答弁ありがとうございます。
 この「いじめ問題対応マニュアル」とか「不登校を生まない集団づくり」とか、それも見さしていただいたんですが、なかなかええできやと思います。
 要は、これ県民みんなで取り組まなあかんことやと思いますので、当然教育関係の皆さんには徹底していただくというのはもちろんですけども、私たちもしっかりと起こさないように、そら和歌山の学校へ通ったらもうそんなん起これへんのやというふうに私たちもしたいんで、一生懸命伝えさせていただくということで、答弁ありがとうございました。
 続きまして、2番に行かしていただきます。
 2番につきましては、より健全な学級集団をつくるためにということで、これもいわば子供たちは、さっきも言わしてもうたけど、生まれたらまずお父さん、お母さん、そして家族の皆さん、そして御近所の皆さん、そして幼稚園へ行き、小学校へ行き、中学校へ行き、高校へ行き、そういうふうに成長していくんですけれども、要はだんだん社会を大きく経験していくときに、健全に経験さしてあげたいという思いがあります。
 小中学校の時期でいいますと、基本的にはやっぱり学級という1つの単位で1日の大半は過ごしてると思うんです。その学級というのをやっぱり健全な状態にする。それをすれば、さっきの話やないですけど、学力も上がるし、いろんな問題も起こらないし。
 だから、その学級という子供たちにとって1つの社会を健全にしようやないかということで、いろんな取り組みある中で、これも平成25年6月議会で取り上げさしていただいて、学級集団アセスメントというのを活用したらどうですかということで質問さしていただきました。
 そのときに、5つほどいい点があるということで、不登校になる可能性の高い児童の早期発見になるよというのと、いじめの発生と深刻化の要望になるよ、いじめ被害に遭っている児童の発見、これにもなるよ、そして学級崩壊の予防、これもなるよ、指導効果の評価、改善などにどえらい役に立つよということで、当時は鳥取県の教育委員会、岡山県の教育委員会がこれを採用して、もう1つの特徴は教職員の皆さんに負担が少ないと。データはコンピューター解析で出てくるんで、そのデータを見て、適切に生徒の状況どうなのか、うちの学級の状況はどうなのかということを、これは教職員の判断材料の1つというかな、アシストをするためにいいんじゃないかという提案をさしてもうて、そのときの答弁ですが、いろんな県内でも取り上げられていて、成果はええと聞いてるんで、県内実施に向けて検討してまいりたいという答弁でした。
 私、提案さしてもらった以上、それの責任ありますので、やっぱりPDCAで私たちも頑張らなあかんと思いますんで、提案さしていただいて、その後の取り組み、成果的なものはどうなのか、教育長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学級集団アセスメントは、児童生徒一人一人の学級生活における満足度や意欲を客観的に把握できる手法でございます。これにより学級集団の状態を把握することで、教職員が問題行動の予兆や人間関係の変化等を認識するとともに、共通認識を持つことで、いじめや不登校などの諸課題に対し、組織的に取り組む上で大変有効であると認識してございます。
 県教育委員会では、教職員を対象とした研修会や事例検討研究会などを通して有効性を周知するとともに、効果的な活用に向けた支援を行ってございます。平成25年度は、学級集団アセスメントを活用している学校は、小学校86校、中学校45校、高等学校で8校でございましたが、平成27年度では、小学校149校、中学校85校、高等学校13校に拡大しており、今後もより多くの学校で活用が図れるよう支援してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 答弁ありがとうございました。
 順調に活用が図られていて、成果も上がっているという報告やったように思いますので、私としましても安心しました。提案しときながら、あんまり役に立ってなかったら、私ここで謝って、済みませんでしたと言わんなんとこやと思ってたんですが、よかったです。
 1つあるのは、全県的に広めていただきたいという思いがありまして、なぜかというと、先生方も異動されますので、異動されたときに、このアシストする仕組みがやっぱりあって、それがずっと取り組まれていると、多分この仕組みというのは成熟していくと思うんです。
 そのデータを見ると、その先生の感性で一人一人の子供を見たときに、そのデータを合わせて、よりええ手だてが打てるとか、たたき台がありますので、学校全体で会議するときに、1人の先生の感性だけではなくて、皆さんの意見を持ちながら進めていけるという効果は僕はあると思いますので、どうか今後も広めていただけますようにお願いいたしまして、次の質問に移さしていただきます。
 大項目3番であります。関西の重要な道路ネットワークについてであります。
 1番、大阪橋本道路、国道371号バイパスについてでありますが、これはもう常に議場では質問さしていただいておるんですが、私はもうずっと言うてますが、昔から和歌山県には日本の重要な道があると。1つは熊野街道、そしてもう1つは高野街道──これは開創1200年ですので1200年前からあるんですが、理由がありまして、この2本は和歌山県に人、物、お金の流れを呼び込んできた、そういう道やと思います。
 理由がありまして、大阪へ行くための道やったら、これは大阪街道と言われるんですが、この2つは和歌山県の地名がきっちり入って、1200年前からそうでありますので、これは歴史的に見ても、皆さんの方向性から見ても、ベクトルは和歌山県に向いている道である、だから、この2つは大切だと私は思っております。
 国道371号バイパスは、歴史的に言いますと京都から大阪を南北に通りまして、そして今でいう外環状線、それと平行しているのが東高野街道、そして、大阪市を起点として高野山に向かっているのが中高野街道、そして、堺市を起点として高野山に向かっているのが西高野街道、その3つが河内長野市で合流いたしまして、そして和歌山県へ紀見峠を越えて、人、物、お金の流れを呼び込んでいた大切な高野街道のバイパスであります。
 現在も、和歌山県並びに関西全体から見たときでも、不可欠な地域高規格道路として整備されております。平成元年4月に都市計画をいたしまして、事業着手して以来、早いものでもう27年目を迎えております。ここ数年は、仁坂県政の積極的な取り組みのおかげで、もうとてもスピードアップいたしまして、現在、和歌山県側が開通しております。その恩恵に地元県民の皆さんは、感謝と、今やもう誇りを持っております。
 現在、地元の皆さんにお話をお聞きすると、よく出てくるのが「やっぱり道はありがたいな」、そして、もう一個あるのが「和歌山県がこんなに頑張っとんのに、大阪はもっと協力すべきと違うか」、もう1点は「新しいトンネルを掘り終わったら、大阪側はつながっとんかな」、もう1点は、これはかなり年配の方なんですが、「生きている間に全面開通するやろかな」とか、こういう意見が地元県民の意見でございます。
 和歌山県側は全面開通してますので、もうじき4車線になるということなんで、気にしてるのは、和歌山県側はできて大阪府側ができなかった場合、私は大阪のことをよく思わない県民がふえることを心配しております。
 以上の思いを御理解いただきまして、国道371号バイパスの進捗状況と全面開通のめどについて、県土整備部長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長石原康弘。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 国道371号、仮称・新紀見トンネルにつきましては、橋本市柱本から河内長野市天見までの府県境をまたぐ2.1キロメートルを和歌山県側から一連で施工することとし、平成25年度末に府県間の負担割合や役割を定めた基本協定を締結しました。
 平成26年度にはトンネル設計を完了し、今年度から本体工事に着手する予定であり、おおむね5年ぐらいの完成を目指して進めてまいりたいと考えております。
 一方、大阪府側の河内長野市石仏から新紀見トンネルを含む府県境までの6.1キロメートルにつきましては、平成4年度に石仏バイパスとして事業化され、平成15年3月に石仏から岩瀬間の1.8キロメートルが供用されております。続く岩瀬から天見までの1.9キロメートルにつきましては、これまでに4本のトンネルのうち既に2本が貫通、橋梁につきましては9橋のうち7橋が完成しており、今年度も引き続き平成20年代後半の供用を目指して、残る下天見地区のトンネル工事や橋梁工事等が進められております。
 さらに、これまで未着手であった天見から新紀見トンネルまでの約1キロメートルにつきましても、今年度より新たにトンネル工事に着手する予定であり、県としては、新紀見トンネルの完成におくれることのないよう、引き続き大阪府に対して事業推進を強く働きかけてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 新紀見トンネルの完成におくれることのないように頑張りますということでしたんで、相手さんのあることですので、ここまでの答弁いただけたらありがたいと思います。
 ただ、本当にトンネルを抜けるとそこは雪国だったというんじゃないですけど、トンネルを抜けるともうつながっていましたとなっていただかないと、私一番心配するのは、大阪──私もそうかわからへんかな、大阪府をよく思わない県民がふえるのは困るんです。もうはっきりしてるのは、先ほど27年、今までで27年を迎えてるというお話をさせてもうたんですが、現実のことを言わせていただきますと、23年間では──これ地名言うたらわかれへんと思うんですけど──市脇と峠の間しかできてないんです。それ23年かかっとんです。で、仁坂県政になって、そこからトンネルまでは3~4年でつながってるんです。そのぐらいの勢いで来てますので、ここはやっぱり大阪府民を悪く思う県民がふえないように、ひとつよろしくお願いします。
 次に、2番に行かしていただきます。
 これにつきましては、資料を配付させていただいておるのを見ていただきながら、質問を聞いていただけたらと思います。
 2番は、国道371号バイパスと近畿自動車道を自動車専用道路で直結する道路ネットワークについてであります。
 この道は、もともと大阪橋本道路の中の区間でございますので、そのバイパスから次、近畿自動車道へどうするんだという趣旨の質問であります。
 知事は、日ごろ、大阪平野というのは関東平野に比べて6分の1しかないと、だから、関西の高速道路ネットワークというのは重要やというふうにおっしゃられております。
 紀の川筋と奈良盆地、このあたりは大阪平野と一体感を持っているというか、もう山がなかったかのように、そんな道路ネットワークを築かないと、私は関東平野が──やっぱり平野が広いって強いと思いますので、関西はなかなか頑張りにくいと私も思っております。
 見ていただいたらわかるんですが、関西4環状とともに重要なのが放射状高速道路やと思います。両方つながってネットワークがいいということやと思いますので、資料を見ながら説明さしてもらいますと、赤が関西4環状道路であります。青い筋は全て自動車専用道路、そしてオレンジ色は国道371号バイパスを含みます大阪橋本道路であります。
 関西中央環状道路である近畿自動車道と関西大環状道路である京奈和自動車道をつなぐ放射状高速道路を、京奈和自動車道沿いに見ましたら、上からいきますと、京都のほうから見ましたら、京都府に向けては名神高速道路、そして第二京阪道路があります。奈良県に向けましては、奈良市へは第二阪奈道路、大和郡山市には西名阪自動車道、そして橿原市へは南阪奈道路があります。しかし、和歌山県の東部に向けては1本もありません。
 関西の高速道路ネットワークのためには、奈良県のように主な都市に放射状高速道路を一定の間隔で整備することが必要不可欠やと思います。
 和歌山県の東部に向けましては、先ほど説明さしていただいた、重要な放射状幹線道路に位置づけられております国道371号バイパスを含む大阪橋本道路の整備が進められているところであります。奈良県の事例で言いますと、近畿自動車道と京奈和自動車道を国道165号大和高田バイパスと南阪奈道路の直結でつないでおります。
 同じように、国道371号バイパスと、そして近畿自動車道を自動車専用道路で直結すべきやと思います。
 この道路は、和歌山県と大阪府だけの問題ではなくて、国と関西全体の私は問題ではないかな。首都機能を移転するとしても、大阪平野自体が狭いので、大阪に来たとしても、やっぱりこのネットワークしっかりしないと、なかなか僕は発展しにくいんかなと。
 よく知事もおっしゃってますけど、この状態では関西における発展のチャンスが和歌山県だけが低いん違うかな。また、企業誘致においても、知事のおかげで橋本市ではかなり企業誘致が進んでおります。今後も、また新しく挑戦していただけるということをお聞きしておりますが、本県が幾ら頑張っても、橋本市が幾ら頑張ったとしても、私はスタートラインに差あるん違うかなと。頑張り方やないんです。スタートラインに差があって、お隣の奈良県のほうが圧倒的に有利になってしまうん違うかな、それを心配しております。
 国道371号バイパスを経て、国道170号──通称は大阪外環状線でありますが──から近畿自動車道へ自動車専用道路で直結することについて、県土整備部長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 京奈和自動車道を含む関西大環状道路と大阪との連携強化を図る放射状道路である府県間道路を一体的に整備することは、関西都市圏を拡大させ、関西経済の活性化を図るとともに、本県にとっても、企業立地や観光振興、農林水産業の振興など、県民の将来のチャンスを保障するものとして不可欠であると考えております。
 そのため、県では、これら道路の整備促進を最重要課題の1つとして取り組んできたところであり、その結果、京奈和自動車道紀北西道路、第二阪和国道及び国道480号鍋谷峠道路については、平成28年度までに全線が完成し、中でも工事が進んでいる紀の川インターチェンジから仮称・岩出インターチェンジ間、大谷ランプから仮称・平井ランプ間については、国体に合わせて開通する見通しとなりました。
 県としましては、まずは現在実施中の京奈和自動車道や府県間道路の整備を推進するとともに、調査中または調査着手を要望している道路整備の具体化を働きかけてまいりたいと考えております。
 議員御指摘の近畿自動車道と国道170号、通称・大阪外環状線の間の自動車専用道路につきましては、沿道利用状況や環境への影響、既存道路ネットワークとの整合等の課題は多くありますが、この区間は、既に近畿ブロック知事会策定の広域インフラグランドデザインや関西広域連合の広域インフラマップに地域高規格道路の一部として位置づけられていることから、計画の推進、整備の具体化に向けて、国土交通省や大阪府等に働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 前向きの答弁、本当にありがとうございました。
 部長さんは国のほうにお近い方とお聞きしておりますので、どうかうちのリーダーの仁坂知事を支えていただきまして、応援いただきまして、どうかよろしくお願いします。
 次、大きな4番に移さしていただきます。
 世界遺産と日本遺産についてであります。
 1番は、高野山への参詣道の世界遺産追加登録についてであります。
 これにつきましても、平成23年12月議会におきましてお伺いしたときに、平成26年度内に国史跡指定を受け、そして、その後、世界遺産追加登録を目指しますという答弁でした。26年度内ということは、この27年が1つの大きな節目やと思うんです。その節目でありますので、進捗状況につきまして教育長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、平成22年度から世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に関連する未指定文化財について調査を行い、それをもとに県内の関係市町が平成27年1月に関連の参詣道や文化財の国史跡への追加指定について文部科学大臣に意見具申をいたしました。
 国史跡として追加指定された後は、三重県及び奈良県とともに、世界遺産追加登録のために、その範囲及び内容を検討の上、変更申請書を文化庁に提出することとなっております。
 その後、最も早いスケジュールであれば、諮問機関であるイコモスによる評価や勧告を経て、平成28年度の世界遺産委員会で決議されることとなります。
 県教育委員会といたしましては、世界遺産への追加登録が速やかに実現できるよう着実に進めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 順調に進んでおって、おおむね目標は28年度の世界遺産委員会ということで、おおむねの方向性を聞かしていただきまして、本当にありがとうございました。もう少しでございますので、どうか頑張っていただいて、追加登録になりますように。事情ありまして、私の選挙区は、これが登録されますと初めての世界遺産ということになりますので、そしてもう1つ大きいのは、伊都振興局管内に世界遺産の資産がなかったのは橋本市だけやったんで、これが世界遺産に追加登録されますと、伊都振興局管内は全て世界遺産があるということで、面的に攻めやすく、仕掛けやすく、活性化しやすくなると思いますので、どうかよろしくお願いします。
 次、2番についてであります。
 日本遺産の取り組みについてであります。
 文化庁は、ことしの4月ですが、全国各地の文化財を地域やテーマごとにまとめた18件を日本遺産として初めて認定しました。40都道府県から寄せられた83件の提案があって、24府県の18件を第1回日本遺産に選定しました。2020年の東京オリンピック開催までに、日本遺産を100件程度までふやす予定をしているそうであります。
 日本遺産は、厳しい保全体制と普遍的な価値が説明を求められる世界遺産とは異なり、観光資源の掘り起し、地域活性化などを狙いとするもので、これまでの文化財が個々の遺産ごとに点として指定されていたのに対し、日本遺産は、点在する遺産をストーリーとして関連づけて、面の遺産とすることで、地域の魅力をより強くブランド化して発信し、そして国内外、特に海外からの観光客を誘致促進する、いわゆる文化財版クールジャパン戦略の一環だそうであります。
 世界遺産の和歌山県でありますが、歴史、文化、自然となれば、これはもう和歌山県の右に出る者はいないと私は思っております。
 本県の取り組みについて、商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 日本遺産の取り組みについてですが、本県の国宝数は全国第6位、重要文化財数は第7位となっており、国指定に至らずとも価値の高い文化財も県内各地に所在し、まさに宝庫と言っても過言ではありません。
 加えて、これらの文化財は、歴史的出来事は言うに及ばず、いにしえより地域の民俗とも深い関連性を有し、今日まで大切に扱われ、連綿と受け継がれています。
 この意味においても、本県における文化財は、日本遺産が求めるストーリー性を潜在的に有しており、観光資源としても極めて重要なものとなっています。
 今回、本県からは、複数市町村にまたがる2件の提案を提出しましたが、残念ながら認定には至りませんでした。日本遺産に認定されることは、本県の観光振興にとっても有益であり、地域との協働により魅力あるストーリーを作成し、加えて県教育委員会や関係市町村とも緊密に連携し、今回認定された全国18件の提案内容をきっちりと分析した上で、1つでも多くの認定を受けられるよう、国への申請や働きかけを行ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 ことし残念やったということですけれども、初めてのことやったんでいろいろあったと思うんですが、ほんまは通してほしかったんですけども、今後100ほど目指してるということなんで、頑張ってとっていただけたらと思いますので、思いの入った答弁いただきまして、本当にありがとうございました。
 そして、一般質問の最後に一言ちょっと言わしていただけたらと思いますので。今回、仁坂知事に発言してもらう機会なかったんで。この間から、地元県民の皆さんから「仁坂知事と会うたら言うといてほしい」ということを。
 何かというと、テレビに出演されまして、「あのパンダはどこ行ったらあるんかな」とか、そして、うちは柿の産地やったはずなんですが、「やっぱり和歌山はそんなもん、ミカン負けてへんで」って、「あんた柿つくっとるやろ」って、そのぐらいの波及効果ありましてね。ぜひとも少なくともパンダ、抱えていたパンダどこにあるかぐらいは教えていただいて、サインまでせえとは言いませんので、また教えていただきたいということでお願いをいたしまして、一般質問を終わります。ありがとうございました。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 29番岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)
○岩井弘次君 おはようございます。公明党県議団の岩井弘次と申します。どうかよろしくお願いいたします。
 さきの統一地方選挙におきまして、多くの皆様方の御支援を賜り、歴史と伝統ある和歌山県議会に送り出していただきました。この席をおかりして、改めて心より御礼を申し上げます。
 4月12日のあの日、私は当選の報をいただいた折、当然、当選させていただいた喜びはございましたが、その喜びを大きく上回る背負った責任の重さと使命の重大さに身の引き締まる思いでいっぱいで、その緊張感でいっぱいでございました。あのときの思いを忘れずに、私の信条であります「徹して公僕」、「知恩報恩」を心のど真ん中に据えて、微力ではありますが、県民福祉の向上と県勢浮揚のため、尽力してまいる決意でございます。未熟な私ではございますが、先輩議員、また同僚議員の皆様、そして仁坂知事初め県当局の皆様、重ねてよろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 これまでにも議論されてきたことかと思いますが、御容赦いただきますようお願いいたします。
 まず、開催まであと100日と迫った第70回国民体育大会、紀の国わかやま国体・わかやま大会についてお伺いいたします。
 44年ぶりに本県で開催されますが、昭和46年の黒潮国体が開催されたとき、私は中学生でございました。何かわくわくしながら、市内を自転車で走り回ったような記憶がございます。
 今回の国体は、平成19年3月に和歌山での開催が内々定し、同年9月に準備委員会が設立され、そして平成24年7月に開催が正式に決定いたしました。担当の方々を初め、関係者の皆様におかれましては、長きにわたり大成功に向けた準備に取り組んでこられたことと思います。その御尽力と御労苦に、感謝と敬意の念でいっぱいでございます。
 国体は、言うまでもなく我が国最大・最高のスポーツの祭典です。県内外から競技者、スタッフ、応援、観戦など、多くの方々が来られます。県内の方々には改めて和歌山県のすばらしさを、そして他府県から来られる多くの方々には和歌山県のファンになっていただき、わかやま国体・わかやま大会はよかった、また行きたいと思っていただけるようなものにしなくてはなりません。そのためには、おもてなしの心を持ってお迎えすることが重要であると思います。
 そこで、まずお客様をお迎えするおもてなしについて、これまでどのように取り組まれてきたのか、状況をお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの岩井弘次君の質問に対する答弁を求めます。
 国体推進監若宮茂樹君。
  〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) さきの黒潮国体は、おもてなしが行き届いた大会として参加者から好評を博したと、日本体育協会の「国民体育大会五十年の歩み」に記録されており、今回はこれにまさるおもてなしで、来県される方々をお迎えしたいと考えております。
 具体的な取り組みとしては、これまでおもてなしの向上に取り組んできた観光部局との連携のもと、おもてなし宣言の普及や研修の充実を図り、県民の皆様におもてなしの重要性を広く呼びかけてきたほか、花いっぱいの和歌山でお迎えする花いっぱい運動や、きれいな和歌山でお迎えするクリーンアップ運動についても、多くの県民の御参加をいただきながら積極的に取り組んできたところです。
 また、両大会の運営に携わる運営ボランティアにつきましても、おもてなしを基本姿勢として心構えや接遇のノウハウを学んでいただくなど、さまざまな機会を通じておもてなしの向上に注力してきたところです。
○議長(前芝雅嗣君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 お答えいただきましてありがとうございます。
 おもてなし宣言の普及や、おもてなしについての研修など取り組んでおられるとのこと、花いっぱいやクリーンアップ運動の普及でも御努力いただいていることに感謝いたします。そして、全ての県民がふるさと和歌山に誇りを持ち、来県者に心からのおもてなしの心で声をかけ、行動できるように、より一層の啓発活動をお願いいたします。
 さて、本番では大勢のスタッフが県内各地で活動をされると思いますが、その多くがボランティアや事業者の方々で占めているかと思います。本番での進行において、ぎこちないものとならないようにと願います。
 本番までの研修などで醸成されていくでしょうが、本番での実践体制はどのようになっておりますか、お答えください。
○議長(前芝雅嗣君) 国体推進監。
  〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) 選手、監督を初め、大会役員や選手の家族など、来県される方々に和歌山へ来てよかったと感じていただけるよう、心のこもったおもてなしでお迎えしたいと考えております。
 このため、両大会に従事する職員はもとより、大会運営に携わるボランティアや事業者に対しましても、おもてなしの意識を徹底してまいります。
 加えて、県民の一人一人がおもてなしの心で来県者に接していただくことが何よりも重要と考えますので、市町村とともに「みんなで実践 笑顔で声かけ」を広く呼びかけ、一人でも多くの方に御理解いただき、取り組んでいただけるよう努めてまいります。
 いずれにいたしましても、県民総参加で夢と感動を共有できるすばらしい大会となるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 おもてなしは、相手の期待以上の接し方をすることだと言われます。おおよそ半世紀に一度めぐってくるこのチャンスを逃すことなく、ぜひスタッフの方々はもとより県民全員が当事者としての意識を持って、国体に参加するために来てくださったお客様方に心からのおもてなしをすることにより、この国体が大成功に終わることを願うものでございます。
 そして、これがゴールではなく、和歌山のすばらしさを全国に発信できるチャンス、スタートだと捉えるべきだと思います。
 私自身、この県庁に出入りをさせていただいて約1カ月半でございますけども、まずはこの県庁内での挨拶運動を徹底してはと感じるきょうこのごろでございます。本陣であるこの県庁内の雰囲気を、おもてなしの心でいっぱいにしてまいりませんか。私自身がしっかりおもてなしの心をより強く持っていこうと思っておりますし、反省もしております。頑張ってまいりますので、業務多忙でいろいろな難題に取り組まれている職員の方々も多いかと思いますが、ぜひよろしくお願い申し上げます。
 それでは、続いて人口減少対策についてお伺いします。
 6月8日策定されました和歌山県長期人口ビジョンによりますと、本県の人口は、1985年の約108万7000人をピークとし、以来減少に転じ、直近2015年4月時点での県推計人口は約96万6000人で、戦後間もないころの人口と同程度まで減少している、そして、国立社会保障・人口問題研究所──社人研ですが、それが2013年3月に発表した本県の将来人口推計は、2040年に70万人程度まで減少することが示されたとしています。
 これらのことから、これまでの人口推移をもとに、社人研が設定した傾向が将来にわたって一定程度継続すると仮定し、何の対策も講じなければ、2060年には50万人程度まで激減すると予想しています。
 人口減少が将来に与える影響として、超高齢社会も相まって、現役世代1人で1人の高齢者を支えなければならない状況となり、少子高齢化を伴った人口減少は、地域生活において、小売や飲食、医療などの撤退、担い手不足による自治会や消防団などの自主的活動が弱体化し、そのほか地域経済や福祉、教育、文化、また公共交通機関への影響など、地域社会の存続自体が危ぶまれるとしています。
 そして、これらの懸念は、全ての県民に隔たりなく降りかかり、そこで、将来にわたって和歌山県が進むべき方向を明確にし、県民誰もが同じ認識のもとに、人口減少社会へ立ち向かっていくことが必要であると書かれております。
 私は、これらのことが現実とならないように、また少しでも歯どめをかけなければとの思いを強くいたしました。将来の和歌山県を担う世代に申しわけない思いでバトンを渡すのではなく、あらゆる努力をしなくてはならないと危機感を覚えました。
 人口問題は、単純に考えますと自然増減、社会増減ともに増加すれば解消できることではありますが、しかし、それをなすには、さまざまな課題を克服しなければなりません。出生率の増加、晩婚化の問題、子育て環境の整備などがあり、転出より転入をふやすためには、住みやすさや雇用の確保もあります。
 今回は、人口問題におけるこうしたさまざまな課題の中で、特に重要と考える若年層の県内就職対策について取り上げたいと思います。
 長期人口ビジョンにおける社会増減の詳細での年齢別移動状況については、ここ4年はほぼ同じ傾向で、15歳から19歳、二十から24歳の若年層の転出が際立って多くなっています。
 本年4月9日付の「産経WEST」で、「和歌山の高校生、86%が県外の大学へ 27年連続『全国一』」という見出しの記事が掲載されました。その内容は、平成26年度に和歌山県内の高校を卒業して大学や短期大学へ進学した5021人のうち4333人が県外の大学や短期大学に進学しており、県外へ進学した学生の割合が86.3%ということで、昭和62年度から27年連続で全国一となったことが県のまとめでわかったということでありました。そして、ほとんどの学生が大阪や兵庫、京都などの近隣府県の大学に進学し、和歌山の大学に進んだのは688人にとどまったと。平成26年度に県外大学へ進学した高校生の割合が高いのは、和歌山に次いで奈良県で、鳥取、島根の両県が続いたということも取り上げられておりました。
 大学の数が少ないですし、また希望する学部や学科がなければ仕方がないことは理解できます。しかしながら、大学卒業後に県内に戻ってくる若者は3割程度で、地域の活力低下や人口減少にもつながっているという現状を何とかしなくてはならないと思います。
 政府は、人口減少対策の5カ年計画「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で、平成32年までに地元大学進学率を33%から36%に、新卒者の地元就職率を72%から80%に引き上げる目標を掲げています。
 6月8日に策定された和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略において、進捗管理目標において、大学生等のUターン就職率において平成26年度推計39%を平成31年度50%に引き上げる目標を掲げられておられますが、大学生のUターン就職についてどのような取り組みをされているのか、お答えください。お願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 大学等に進学した学生が、和歌山県に関心を持ち続け、Uターン就職につながるよう、高校卒業時に将来の就職情報などの提供を希望する生徒に住所等の登録を促しており、現在2万人以上の登録があります。登録している学生には、県内企業の採用情報を掲載した冊子「UIわかやま就職ガイド」や企業面談会の案内など、その学年にふさわしいUターン就職に関する情報を送付しております。
 また、近畿を中心に本県出身の学生が在籍する大学等約80校を訪問し、県内企業の採用情報の提供や、学内で実施されているセミナーでUIターン就職のためのアドバイスを行うなど、学生に県内就職を働きかけています。
 さらに、直接就職に結びつく企業面談会を大阪や東京での開催も含めて年間15回程度実施するなど、大学生等のUターン就職に向けた取り組みを進めています。
○議長(前芝雅嗣君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 人を育てるのは、手づくりではないかと考えます。和歌山で生まれ育った大切な宝です。あらゆる手だてを講じておられるようですが、でき得る限りの手とり足とりのかかわりをして、1人でも多くの人材がふるさと和歌山に帰ってきてもらえるような御努力をお願いいたします。
 本年2月の予算特別委員会で、我が会派の多田団長のほうから質疑がございました件で、若者定住策につきまして、毎年相当な数の若者が県外に流出したままではないかと思われ、地方創生の中で新規事業として検討されております奨学金を活用した大学生等の地方定着の促進についての問いに、仁坂知事は、「まことにそのとおりだと思っており、積極的にやっていきたいというふうに思います」と御答弁されておられます。
 そこで伺います。奨学金を活用した大学生等のUターン促進についてどのように取り組まれようとしておられるのか、お答えください。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 大学等を卒業後、和歌山県で就職した場合に、奨学金の返還金を助成する制度につきましては、Uターン就職を促進する、より効果的なものとするため、現在、対象者や補助要件等をどうするか、議論を重ねているところです。
 また、この事業の課題の1つである財源の確保につきましては、さきの政府提案・要望の中で、関係大臣に対し、この制度を安定的、継続的に実施するために、より充実した財政支援を行うよう提案したところです。
 この制度によって、和歌山の産業を支える人材が1人でも多くUターンするよう、しっかりと制度設計を行ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 大学生のUターン就職に向けた取り組みの内容はわかりました。ぜひ早期に実現していただけるよう、よろしくお願い申し上げます。
 続いて、高校生の県内就職の状況について伺います。
 文部科学省の調査では、この春、県内の高校を卒業した生徒のうち就職した者が2000人、そのうち県内に就職した者が1510人と、その割合は75.5%となっています。若年層の県内就職対策という点で、大学生のUターン就職と同様に高校生の県内就職も課題と考えますが、高校生の県内就職を促進するための具体的な取り組みについてお答えください。お願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 高校生の県内就職支援につきましては、産業を支える人づくりプロジェクトとして、工業高校において、企業の協力を得て技能の育成や企業活動について学習する取り組みを進めております。今年度から、この取り組みを普通科も含めて全ての高校に拡大しています。
 また、高等学校に就職指導員を配置し、就活指導や求人開拓などの就職支援を行うとともに、働くことの意味や将来の進路を考えるキャリア教育も充実させています。
 さらに、今年度新しい取り組みとして、就職希望の高校3年生全員を対象にした企業説明会「応募前サマー企業ガイダンス2015」をあす6月19日に和歌山ビッグホエール、和歌山ビッグウエーブで開催します。9月の採用選考に向けて、企業の説明をよく聞いて、企業研究を十分行うよう促してまいります。
 また、就職を考える際の重要な判断材料の1つとして、県内で就職することの魅力を生徒や保護者に伝えるために、物価等の生活費や通勤時間、スポーツ施設等、余暇を楽しむ環境などのさまざまな視点から、和歌山での暮らしやすさを客観的なデータで説明したチラシを配布いたします。こうした取り組みにより、高校生の県内就職を一層促進してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略において、平成23年3月に高校を卒業し、就職した者のうち、3年以内に離職した割合が44.5%となっておりまして、それを平成31年度に半減させるという目標を掲げておられます。半数近くが3年以内に仕事をやめるというのは大きな問題ではないかと思われますが、その原因の分析と、それを踏まえて就職後の定着支援にどのように取り組まれようとしているのか、お答えください。お願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 若者の離職の主な原因は、思っていた仕事と違った、会社になじめなかった、人間関係がうまくいかなかったなどとなっています。
 まず、ミスマッチを解消するためには、就職に当たって企業研究を十分行って企業や仕事を知るとともに、就職後の暮らしをしっかり考えることが大事であることから、企業説明会や学校での就職指導などを一層充実してまいります。
 また、就職した後のフォローも重要であり、企業側でも新規採用職員の定着を支援するメンター制度を充実していただくよう、企業向けのメンター養成研修を実施するとともに、教職員が企業訪問などを行い、就職した生徒の悩みや相談に応える体制を一層強化してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 就職後3年以内に3割、また4割と離職する。いろいろと事情もあるかと思いますけども、県内定住を考える上でも本当に考えさせられる数字ではございます。しっかりとしたフォローをお願いいたします。
 仕事のミスマッチを解消し、働き手に対する支えも重要でございますけども、加えて、それを受け入れる魅力ある就職先の育成も大事かと考えます。出ていった若者をUターンさせ得る受け皿となる企業支援も非常に大事であります。このことについてどのようにお考えか、再度、商工観光労働部長、お答えください。お願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県内で就職を希望する人を全て受け入れるべく安定した雇用を継続的に創出するためには、企業誘致も含め、県内産業を戦略的に育成、振興していくことが重要であります。
 そのため、全国あるいは世界から需要を獲得できる産業を重点分野として、研究開発、商品開発、販路開拓、人材育成などの発展の各段階で、国や県の施策、金融機関のツール・ネットワークなどを総動員し、企業のチャレンジを支援してまいります。
 そして、これらの県外からお金を稼ぐ企業と県内関連産業との受発注や取引を促進させるとともに、県内の投資活動を活発化させることにより県内経済循環を活発化させ、県経済全体として雇用を創出・維持する産業構造を目指し、魅力ある受け皿づくりを推し進めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 種々お答えいただきまして、ありがとうございました。
 私も、約40年前になりますけども、和歌山で生まれ育ったんですけども、和歌山の高校を卒業して、とにかく東京のほうにということで、あの当時、不純な動機だったんですが、親から離れてとにかく自由にという、都会というところにも夢を持っておりましたが、でも、卒業して生活するのはやっぱり和歌山やという思いが強く、向こうでは和歌山県の就職情報は一切ございませんで、当然、今のようにインターネットもございませんでしたので、自分で時折、ないお金を絞って和歌山へ帰ってきて、商工会議所へ走っていって「就職、何かないですか」とか、いろんなところを回った記憶がございます。
 40年前がそういう状態で、一旦そのころの苦労を本当にきのうのように思い出すんですけども、未来の宝であります若者が安心して本当に定住できる魅力ある和歌山県にしていこうと、そういう決意と期待を込めまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、岩井弘次君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時14分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従って質問に入らせていただきます。
 1項目めは、原子力発電所の再稼働問題について、知事にお尋ねいたします。
 福島原発事故から5年目を迎えています。事故収束のめども立たず、約11万人を超える方が県内外で避難生活を余儀なくされています。福島の原発事故は、原発が抱える危険性と事故被害の深刻さを明らかにしました。避難生活が長期化する中での経済的困窮、放射能への不安、国、東電の対応への怒りと、希望を持てない中での健康悪化などです。その上に、さらに、汚染水漏れの解決にめどが立っていないという状況です。
 ここで、たくさんの方々の思いを御紹介したいところですが、そうもまいりません。東日本大震災後、妊娠、出産を経験された福祉職場に働く若い女性の方の声をぜひ御紹介したいと思います。
 「私は、さまざまな不安や葛藤の中で過ごしています。原発事故当初、これから妊娠をして子供を産んでもよいのだろうかと随分思い悩みました。でも、放射線の学習会や講演会に参加し、医師や友人たちと話をする中で出産することを決意いたしました。その後、妊娠してからは、ガラスバッジの装着やホールボディーカウンター検診などを行い、無事出産しました。今のところ、子供は活発で、大きな病気もせずにすくすくと育っています。他県に避難し、家族が離れ離れになっている友人たちもいます。私たち夫婦は、話し合いの結果、福島に残って生きることを選択しました。どちらも苦渋の選択であり、どちらが正しいか、誰にもわかりません。今、私たち夫婦の一番の懸念は、我が子が大人になったとき、低線量被曝の影響がどのように出るのか、福島県出身だというだけで偏見に悩む日が来るのだろうかということです。我が子がこの問題としっかりと向き合えるためにも、私たち夫婦がどんな思いでこの福島で暮らすことを選択したのか、その理由を語り、伝えていこうと思っています。今も福島は風評被害に苦しみ続けているのに、収束宣言や風化されそうな現状が一方にあります」と、このように語っています。
 この方は、全ての原発を廃炉するまで頑張りたいと言われています。私も全く同じ気持ちです。原発の問題は、日本の国だけではなく、世界の問題です。
 昨年5月、福井地裁は、生存権を基礎とする人格権が奪われる可能性があるとして、関西電力の大飯原発3、4号機について運転を認めない判決を言い渡しました。また、ことし4月には、高浜原発3、4号機について再稼働差しとめの仮処分決定を行いました。
 そこで、知事にお伺いしておきたいと思います。
 1つは、福島原発事故5年目の現状と復興状況をどのように捉えていらっしゃるか。
 2つ目に、福井地裁再稼働差しとめの判断についての所感をお尋ねいたします。
 3つ目には、原発建設を許さなかった和歌山県をどのように感じておられるのか、以上、3点にわたって知事にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、福島県の復興状況についてですが、ピーク時の16万人より減っているものの、11万人を超える方々が依然として避難生活を余儀なくされております。放射線量についても、例えば福島市においては10分の1に低減しているものの、依然として震災前の平常時の値を超える地域が多い状況であります。
 これらの状況に鑑み、今後も引き続き、住宅や農地等の除染が着実に進められ、避難指示の解除により避難者の方々の帰還が進むよう、国全体で福島県の復興を支援していく必要があると考えております。
 とりわけ、差別とかあるいは風評被害とか、そういうものを起こさないように、他県の我々も大いに協力をせないかんというふうに思います。その中でも食料品、農水産物でとんでもない差別がある。これは輸入制限という形で、特定の国から──福島県を含むですが──日本の農産物がとめられてる。そんなばかなことはあるかということで、これは風評被害などというものではありませんで、明確な国際法違反でありますから、こういうものは国を挙げて闘わないといけないと思っております。
 その次に、福井地裁の再稼働差しとめの判断についての所感をお尋ねになりました。これでございますけれども、現代文明は、さまざまなリスクを抱えながらも、その利便性と比較しながら、もちろんリスクを減らす手だても講じながら、どの程度のリスクであれば許容できるか、やったほうがいいか、そういうことを勘案して社会システムの中に組み込んできた、こういう歴史だと思っております。
 原子力発電は、今回の福島事故でそのリスクについては嫌というほど思い知らされましたが、一方、他の便利な文明の利器も、飛行機や自動車のようなものですら、それによって多くの人が亡くなっているということから見て、リスクがあるのは自明であります。
 自動車事故で原発と比べ物にならないほどの人が亡くなっている──これは事実でありますが──からといって、一度生ずれば物すごく多くの人が避難を余儀なくされるような、そういうもんなんだから、これを2つ並べて議論するのは間違いであると言う人がいます。原発がそういうものであるからこそ、自動車とは比べ物にならないほど安全規制が厳しくて、現に今回の事故から考えて、今までのリスク評価を各段に厳しくした安全基準がつくられ、それをもとに大変厳しい規制が、およそ考えられる限りの専門家を集めて行われていると承知しています。
 そういう規制をしても、まだリスクはゼロでないから、原発を動かすことは人格権に反するという議論は、私は論理的ではないと思います。もし、人格権なるものによって全て原発はとめないといけないというのであれば、自動車事故をとても恐れる人が人格権を盾に全ての自動車の運転をとめよと言われたらどうするのだろうかなあと私は思います。私は、要はリスク評価の問題なのだから、専門家が英知を集めて対処してもらいたい、それしかないんじゃないかというふうに思います。
 また、和歌山県のような原発のないところの知事が関係もないのに発言をするなという議論をする人がおりますが、私は、和歌山県知事であればこそ、和歌山県民のために発言をしております。
 和歌山県では、老朽化した発電所を急遽改良して、県内需要のおよそ3倍もの電力を他府県、大阪府とか滋賀県に送り続けています。専門家の安全リスク評価を客観的にやればおよそ原発よりもこちらのほうが高いと思いますけれども、関西のため、日本のため、地元の人々を初め県民が理解をしてくれているわけであります。それをいつまで続けたらいいのか。
 また、県内には電力を多く使わざるを得ない中小企業者や農業者や漁業者がいっぱいいます。関西電力の財務は、投資してしまった原発の償却負担もあり、また追加投資や燃料購入もあって大変な赤字で、これをもとに電力料金が何度も上がり、さらに上がる見通しにもなっています。これをきっかけに電力を結構使う中小企業者が破綻して関係家族に悲劇が起こるかもしれないということを心配する知事が、何で「関係もないのに」なのでありましょうか。
 そうは言っても、危ないものを動かすわけにはいきません。安全審査も防災対策も万全を期してもらうことはもちろんであります。しかし、ここは関係機関、専門家の真摯な努力に期待せざるを得ないのではないか、あるいは国民の監視によらざるを得ないのではないかということではないかと思っております。
 また、司法の裁判、判断に司法以外の人が口を出すべきではないという人が、驚くべきことにいらっしゃいます。間違った司法判断を糾弾すると称して運動をしている人々のことはどうするのでありましょうか。ましてや、本件は、福井地裁と鹿児島地裁の判断は完全に正反対であります。
 我々は、全て正義と、そして、私の場合は県民の利益を守るという観点から、信じるところに従って発言する自由と義務を有していると考えております。
 最後に、原発建設を許さなかった和歌山県についてでございますが、本県においては、過去に幾つかの原発建設の計画がありましたが、それぞれにおいて地元の同意が得られず、事実上断念されていると思います。これをもとに正義が勝ったかのように言う人がおりますけれども、原発のリスクは避けられた反面、地域は衰退してしまったような面もあると私は思います。恐らく、推進した人々は、その衰退、あるいは将来生じるであろう衰退を食いとめようとして努力をされたのではないかと思います。このような人々を悪と決めつけることは、私には到底できません。
 他の原発立地地域においては、関連産業における雇用の創出など、さまざまな経済的波及が見られ、地域の活性化につながっている例もたくさんあります。また、インフラ投資も重点配分されますし、電源立地交付金も地域の活性化のために結構使えるところがあります。
 私は、あるとき、建設がおくれている和歌山の高速道路の要望に政府関係者に行ったところ、福島県の大物政治家が「君、福島はもう全部できて、やることがないんだよ。君のところの案件を応援してやるぞ」と言われたことがあります。残念ながら、そのときは余り効果がなかったのでございますが、そのように、いろいろな判断材料があると思うのであります。
 しかし、和歌山は、津波の災害リスクが大変高いところであります。したがって、さまざまな地域活性化のチャンスを逃したという面はあるけれども、総合評価として、原発をつくらなかったのは、私は適切であったと思うし、それから、今後もそうであるだろうと思っています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 原発再稼働問題について、知事から御答弁をいただきました。
 和歌山県においては、総合評価として、原発をつくらせなかったことは適切だったんではないかというようにおっしゃったと思います。
 知事も、先ほどもおっしゃっていましたが、大変な避難生活をされている、そういった状況のことについてもおっしゃっていただいたんですけども、今の福島原発の現状で、4年以上たった今も原発事故が示すものは大変な状況であるということについては、御認識をされていると思うんです。
 一たび原発事故が起これば、その被害は、空間的にも時間的にも社会的にも限定なしに広がり続け、人類はそれを防止する手段を持っていないということではないでしょうか。これは、ほかのさまざまな事故とは全く違う異質の危険が、今も、そしてこれからも続いていくことだと私は思っています。
 だからこそ、福井地裁判決は、原子炉施設周辺の住民の生命、身体に重大な危害を及ぼすなどの深刻な災害が万が一にも起こらないようにするために、原発設備の安全性に十分な審査を行わせなければならないと言っているのではないでしょうか。
 そして、原発の耐震設計で設定する基準値震動を問題視して、これまで基準値震動を超えたケースがこの10年間に5回もあることなどを挙げて、新規制基準は緩やか過ぎ、また、これに適合しても安全性は確保されておらず、新規制基準は合理性を欠いているとしているのではないでしょうか。これを知事は、専門家が決めたものだから、それに異議を唱えるのは問題ある判決だとおっしゃられているように聞こえました。安全性が確保されていないという裁判所の判断こそ、納得できるものではないでしょうか。
 一般的に言って、あらゆる文明の利器にもリスクを伴うことは、私もそういうふうに思います。しかし、原発について安全神話が振りまかれた中で、推進していた人々が「あり得ない」と断言していた事故が起こって、多くの人々が苦しんでいるんです。
 原発とどう向き合うかということが人類に突きつけられた中で示された1つの判断が、福井地裁の判決だと考えます。それについて知事が違った意見を持つのは御自由ですが、知事記者会見という席上で、誰か自動車の差しどめ請求をしたら本当にされてしまうのではないかなどと、判決をやゆするような論評をしているのはいかがなものかと思います。
 福島で苦しんでいる人たちが、私たちの苦しみをわかってくれていないのではないかと、傷ついた人もいるのではないかと思い、そういう思いを私も持ったことを述べて、次の質問に行かせていただきます。
 2項目めは、南海和歌山市駅周辺での活性化について、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 5月18日、南海電鉄と和歌山市長が記者会見を開き、市駅活性化構想が発表されました。市駅がなくなるのではないかという不安の声を耳にする中で、地元住民にとっては大変喜ばしいことだと思います。
 私は、2013年度2月の定例議会予算特別委員会において、和歌山市の中心市街地の活性化について質問をいたしました。中心市街地の空洞化と今後のまちづくりの方向性についてお尋ねしたところ、知事からは、中心部の土地需要を高める必要があること、外縁部の開発をセーブすること、具体的な再開発プランなども考えて提案したいと言われました。
 また、市駅周辺のまちづくりについては、県土木整備部長から、市駅周辺再開発に向けて、南海電鉄を中心に県や市などの関係機関とも連携しながら、特に住宅や集客施設整備などによるにぎわい空間の創出、バスターミナルやタクシーベイなどの駅前広場の再整備による交通結節点の強化といったさまざまな検討が進められているということでした。
 この間、活性化構想について、県も含めてどのような協議を行い、進めてきたのか、発表された内容も含め、現状と県のかかわりについて県土整備部長にお尋ねをいたします。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 去る5月18日に和歌山市と南海電鉄から発表された南海和歌山市駅活性化構想につきましては、昨年6月より和歌山市、南海電鉄、県の3者による南海和歌山市駅周辺活性化調整会議において、都市のにぎわいの観点から、図書館、市民会館といった周辺公共施設の集約、再編、また、交通結節点機能の強化の観点から、バス乗降場の集約など、駅前広場の再整備などを県から提案し、検討を進めてきました。
 また、本構想の内容は、駅舎を含む現在の南海和歌山ビルの建てかえとあわせ、更新時期を迎えている市民図書館を市駅に移転させ、文化・交流拠点を創出することによるにぎわい空間の整備、観光案内所、自転車駐輪場の再整備による利便性の向上等を市街地再開発事業として実施するとともに、駅前広場においてバスロータリーを整備するなどによる交通結節点機能の強化を図るものであり、南海電鉄は、第1期工事として、オフィス棟や駅施設について、既に平成27年5月より工事に着手しております。
 県としては、都市の再生に当たっては、都市の外縁部への拡大をとめて、既存市街地などの拠点の再開発を行っていく大方針のもと、県都の再開発の第1号がいよいよ動き出し、周辺地域の活性化への起爆剤となることに大いに期待しており、今後とも事業の推進が図られるよう和歌山市や南海電鉄とともに取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、まちづくりを進める上では、住民参加のまちづくりがとても大切です。各地で、まちづくりの計画の検討、作成に、住民や各種団体などがそれぞれできる範囲で参加し、行政と協働してまちづくりを進める取り組みが広がっています。
 そこで、まちづくりを進める上での住民の意見のくみ上げなど、住民参加をどのように考えておられるのか、県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) まちづくりの計画を具体化するためには、これまでも和歌山市や関係事業者と検討を進めておりますが、加えて、住民の方々がまとまり、そして計画の推進役としての役割を担っていただくことが大変重要だと考えております。
 そのため、これまでも町なかの拠点地区の活性化に当たって、和歌山県と和歌山市は、ともに鉄道事業者、周辺の民間事業者などと幅広く意見交換を進めてきており、とりわけ、この南海和歌山市駅周辺地区の活性化については、駅周辺地区の自治会などの集まりに和歌山市の職員が参加するなど、積極的に取り組んできたところです。
 今後も、関係する方々の御意見を伺いながら、住民の方々が計画の推進役としてかかわっていけるようなまちづくりに取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 この項目では、最後に要望をさせていただきます。
 今後、にぎわいのあるまちづくりをつくっていくということで、いろんな計画が進められようとしていますし、事業化も進んでいくと思うんですが、そういったことと同時に、やはり市駅が、駅舎が改善されていくというようなことと同時に、その周辺のまちづくりをどういうふうにしていくかということでは、先ほど部長がおっしゃったように、住民がしっかりと参加していくという意識も大事だと思うんです。
 そういった意識を高めていくという中では、やはり皆さんが考えられている意見や、まちづくりに対するいろんな思いや、そういったことを十分吸い上げていくという、そういうことが大事だと思います。
 にぎわいと同時に、やはりまちづくりには、今後、防災と安全、安心のまちづくりということが、まちづくりをつくっていく上で横軸として非常に大事なことだと思うので、誰もが安心して住める、そういったことをしていくためには、やはり情報公開をしっかりとしていただくということで、そういった住民の意見が情報公開とともに反映できるような仕組みづくりをぜひ要望して、この項目を終わらせていただきます。
 3つ目、大項目の3なんですが、改定介護保険制度について福祉保健部長にお尋ねいたします。
 高齢化社会において、誰もが安心して住み続けられるまちづくりの大きな柱の1つが介護問題ではないでしょうか。高齢者も現役世代も安心できる公的介護制度が必要です。
 ところが、安倍政権のもとでどんどんと介護制度が悪くなっているように思います。今年度の介護保険料改定により、大幅な保険料値上げが行われています。また、8月から介護保険の利用料に初めて2割負担が導入されます。負担増の対象となるのは、所得160万円以上、年金収入280万円以上の方々です。
 厚労省が設定する2割負担の所得基準は、医療保険の現役並み所得のライン、単身では年収383万円、2人世帯では年収520万円よりはるかに低く、しかも、世帯ではなく個人の所得で決まるため、高所得と言えない人まで負担増となります。必要なサービス抑制が起こりかねないという懸念があります。
 さらに、施設入所やショートステイを受けている方の食費、居住費の負担軽減が縮小されます。年金の削減、消費税、電気代上昇など、暮らしが厳しくなる中で、介護保険料などの重い負担は生活そのものを破壊へと導くものではないでしょうか。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 65歳以上の方が負担する第6期、今年度、2015年度から2017年度の介護保険料の全国平均と和歌山県の平均保険料額は幾らになりますか。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 第6期計画期間における介護保険料の全国平均額は5514円、和歌山県の平均額は6243円となっています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 保険料額をお答えいただきました。
 これは、沖縄県が一番高くて6267円、次いで和歌山県が6243円で、2番目に高いということですね。
○副議長(藤山将材君) 答弁、求めますか。
○奥村規子君 いいです、ごめんなさい。ということです。「ね」と言うたんですけど。
 そこで、和歌山県の平均介護保険料が全国平均額と比べて本当に高いのはなぜか、その点で福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 和歌山県の平均介護保険料が高い理由としては、県内の高齢者の状況について、80歳以上の方の割合が高く、世帯の状況についても単身世帯、夫婦のみの世帯が多いため、介護サービスのニーズが高くなっており、また、訪問介護などの在宅サービスが充実していることから、高齢者全体に占める介護サービスを利用する人数の割合が高いことが、その要因として考えられます。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 6月15日に年金が支給されました。今、皆さんの手元に、それで介護保険料が通知されていると思うんですが、年金がふえていないのに保険料の負担が上がっている、そういった負担能力を超えているのではないかと思うんですが、その点でいかがですか。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 高齢者の介護保険料の負担に関しては、低所得の方については軽減を行うなど、応能負担の仕組みとなっているところです。
 介護保険に係る給付が増加する中で、現役世代も納税を通してその一部を負担し、さらに40歳以上の方については第2号被保険者として介護保険料も御負担いただいていることを考えると、高齢者の方についても一定の御負担をお願いせざるを得ないと考えています。高齢者の方の介護保険料の負担感に対する御意見などについては、今後もできる限り情報収集を行っていきたいと考えています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ぜひ、高齢者の生活実態や、こういった非常に高い介護保険料を払わなければいけないという状況の中で、やはりなかなか、認定されていても、サービスを、利用料や保険料を払うという負担の重い中で十分利用できないとか、そういった状況も非常にあるかと思うんですけど、そういったことも、今後できるだけ情報収集をしていきたいと答えてくださったので、そんな点で、やはり高齢者の生活実態とか、そういったことも含めてしっかりと実態を把握していただきたいと思います。
 保険料が非常に高くて負担という中で、今期の保険料改定に際して県や市町村で低減するためにどういう取り組みがされたか、介護給付費準備基金の繰り入れなどはどうだったのか、その点についてお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護保険料に係る負担軽減に関しては、今般、消費税を財源として低所得者の方を対象に負担軽減が行われたところです。
 また、介護給付費準備基金についてですが、介護保険制度においては、3年間の計画期間において、介護保険料などによる収入と給付との財政均衡を保つことが求められています。通常、給付費については後年度になるほどふえるため、計画期間前半は収入の一部を介護給付費準備基金にプールして、計画期間後半にこれを使い切ることになりますが、実際の給付費の伸びが低かったことなどにより計画期間後に当該基金に一定額が残る場合があり、このため、県においては、適切な介護保険財政の運営の観点から、次期計画期間における当該基金の残額の活用を指導しております。
 この結果、県内では、平成27年度から平成29年度までの第6期の介護保険料の改定に当たって、15市町村がこの基金を取り崩したところです。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 要望させていただきます。
 基金は、その期の保険料を集め過ぎたことによるものです。だから、当然、保険料の低減のために活用して、高齢者に返すべきだと思います。もっと活用するべきだと思いますので、ぜひ御検討をよろしくお願い申し上げます。
 次、3の低所得者の補足給付の縮小、打ち切りについてお尋ねいたします。
 低所得者が施設を利用する場合に食費、居住費の負担を軽減する補足給付の縮小、打ち切りが8月から実施されます。月5万円の基礎年金以外に収入のない人が、毎月10万円以上の自己負担を迫られるなどの事態が起こってきます。
 補足給付の対象から外すのは、世帯分離をしている配偶者が住民税課税である場合、単身で1000万円以上、2人世帯で2000万円以上の預貯金がある場合です。障害年金や遺族年金などの非課税年金を今後は収入、所得と扱うとしています。この点についてどのように受けとめられていますか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 現在、施設入所の際にかかる低所得者の食費及び居住費については補足給付を実施していますが、利用者が預貯金を保有しているなどにもかかわらず保険料を財源とした給付が行われることは不公平であることから、本年8月に、補足給付を行う際に資産を勘案すること等の見直しを行うこととされています。
 県としては、この改正についてはやむを得ないものと考えていますが、その一方で、これまでの補足給付の受給者に対する影響及び運用状況について、市町村等を通じてできる限り情報収集を行っていきたいと考えています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、利用者の資産確認についてお尋ねします。
 これまで、先ほど申し上げたように、所得のみであった要件に、預貯金、配属者の所得を追加することになっています。こういったことでは、さまざまな問題が生じかねないのではないでしょうか。県は市町村に対してどのように対応されているのか、この点についてもお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 補足給付に係る資産確認に関して、昨年6月の法改正以後、厚生労働省から事務取扱の方法やQアンドAなどが順次示され、これを受け、県では、昨年8月及び11月に県内の市町村向けの説明会等を通じて情報提供を行うとともに、利用者への周知を含めて適切に対応するようお願いするなど、本年8月の施行に向けて各市町村で必要な準備が進められるよう取り組んできたところです。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 その資産確認では、通帳のコピーを提出してもらうことや金融機関を調査する同意書を提出しなければならないということになったということですが、こういった状況の中で本人に確認できない場合、どのように対応をしようというようなことでお考えでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 認知症などで御本人の意思確認ができない場合には、御家族や成年後見人などの代理人に御確認することになります。また、現に施設等に入所されている場合は、個別に対応していくことになると考えています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ここで、施設では個別に対応というところが、本当に施設のほうからもさまざまな、困惑しているようなことも新聞に載っていました。そういったことも含めて、十分に県が実態を把握などして対応していっていただきたいと思います。
 特に、預貯金等申告に偽りがあった場合は、今回のやり方では、給付額の全部の返還に加えて、給付額の100分の200に相当する額以下の金額を徴収するということになっています。介護保険制度では、ほかに例を見ない重い制裁というべきことが定められているのではないでしょうか。厚労省が提示した申請書の欄外には、そうした制裁措置が明記されています。市町村窓口で利用者に対し過度な威圧にならないように、十分な対応をしていただけるように、また、利用者が不安、負担とならないように、ぜひ慎重な対応をよろしくお願い申し上げます。
 最後に、保険料抑制のための一般財源による負担軽減についてです。
 高齢者の3人に2人が住民税非課税と思われます。65歳以上の介護保険料の負担が生活圧迫の大きな要因となっています。高齢者本人や家族の貧困が深刻化する中、保険料が年金天引きの対象とならない、年金が月1万5000円未満の方の保険料滞納が今ふえていると聞いています。国に実効性のある保険料の減免制度を求めていくべきではないでしょうか。そして、県としても、もっと一般財源による負担軽減を行うべきではないでしょうか。この点で、福祉保健部長、お答えよろしくお願いします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護保険料の滞納額の増加の要因としては、団塊の世代の方々が65歳となり、第1号被保険者に切りかわる際に、手続的に一定期間、普通徴収の対象となることによって普通徴収の額が増加したこともあるため、この要因については一概には言えません。
 県としては、これまでも国に対し介護保険料の軽減策の実施などを要望してきたところであり、今般の介護保険法改正によって、本年4月より、221億円の公費を投入して低所得者に係る負担軽減がされております。また、平成29年4月に予定されている消費税の引き上げの際にも、約1400億円の公費を投入して、さらなる低所得者に係る負担軽減が行われることとなっています。
 また、県及び市町村が一般財源による負担軽減に取り組むべきとの御意見に関しては、介護保険はみんなで支えるという制度趣旨を踏まえて、その財源として、国、県、市町村の公費負担割合、被保険者の保険料の負担割合が定められていることなどから、県は考えておりませんし、市町村においてもこの制度趣旨を理解していただきたいと考えています。
○副議長(藤山将材君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今回の介護保険法の改定で、公費投入による低所得者の保険料軽減が初めて法制化されました。これは、介護保険会計だけでは成り立たないということだと思うんです。公費投入でしか矛盾が解決しないところまで来たことのあらわれではないでしょうか。制度的限界を示していると思います。
 しかし、当初は1700億円投入とされていたのが、消費税増税の先送りを理由に221億円にとどまりました。その結果、第1号被保険者の介護保険料額について、第1段階の保険料率が0.5から0.45に軽減されただけです。だから、和歌山市で見れば基準額が上がっているため、第1段階の年間保険料が3万4870円から3万5640円になり、軽減でなく値上げになっています。
 社会保障充実のためといった8%の消費税増税分が、社会保障にはごくわずかしか使われていないということです。消費税10%との引きかえでなく、もっと一般会計から入れるべきではないでしょうか。県や市町村からの繰り入れを拡大すべきだと思います。また、市町村の繰り入れについては、市町村の判断で行われるべきだということを主張しておきたいと思います。
 私は、介護保険財政の制約は、第1号保険料が高齢者の負担能力を超えた額になってしまっていることにあると思います。その解決方法は、公費部分を拡大し、保険料に依存する仕組みを改革していく以外にないのではないでしょうか。
 県からも国に要望されていますが、国庫負担割合をさらにふやすこと。国は財政危機を強調しますが、日本全体で8兆円を超える介護保険給付費のうち、国負担の25%は2兆円程度です。政府の一般会計予算90兆円以上のうち2%にすぎません。防衛費の半分以下です。アベノミクスによる財政出動の額にも及びません。
 これからの超高齢社会に向けて、高齢者介護施策や地域包括ケアシステムをつくり上げていく上で、国庫負担割合の引き上げの働きかけを一層強めていただきたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。
 一般質問2日目、本日4人目の登壇となりますので、よろしくお願いします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。よろしくお願いします。
 最初は、南紀熊野体験博で根づいた地域振興をどう生かしていくかの質問であります。
 和歌山県の元企画部長であり、南紀熊野体験博実行委員会事務局長であった垣平高男さんが、このたび「熊野 癒しから蘇りへ 南紀熊野体験博・回想」、こういった本なんですけども、これを出版されました。(本を示す)この本を読ませていただきましたけども、非常に懐かしくて、そして、和歌山県熊野地域が光っていたあのころを思い出しました。
 少し、この博覧会に触れたいと思います。(「今も光ってるよ」と呼ぶ者あり)1999年──もちろん、今も光っておりますが、当時にその光る材料というのを提供してくれたというふうに思います。
 1999年、開催されました南紀熊野体験博の時代、スペイン・サンティアゴの道と姉妹道提携を締結、その後、博覧会の成功とあわせて、後に熊野古道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録、こういうふうに時代は動いていきました。21世紀の新しい価値の創造を目指した南紀熊野体験博だったわけです。
 和歌山県で開催されたこのジャパンエキスポ認定の南紀熊野体験博は、和歌山県南部の16市町村、21万ヘクタールを全て会場といたしましたオープンエリア方式と呼ばれる博覧会で、開催時期は1999年、平成でいいますと平成11年4月29日から9月19日までの144日間、開催されたことになります。
 熊野古道を中心とした地域でオープンエリア型の博覧会という、それまでになかったスタイル、この博覧会が南紀熊野体験博でございまして、人と自然が共生を目指す、そういう中で癒やしを感じ、心が満たされ、そして、あすを生きるためによみがえることができる、そんなメッセージを和歌山県から全国に発信させることができたと思っております。その結果、その年の流行語大賞に博覧会のテーマであった「癒やし」という言葉が選ばれたことは、覚えておられる方もいらっしゃるというふうに思います。
 垣平さんは、この著書の中で、南紀熊野体験博は熊野の誇りと自信を取り戻す地方からの挑戦であった、そして、ともに博覧会に挑戦し、頑張り通した仲間への感謝のメッセージだと記されております。
 当時、私も、この南紀熊野体験博実行委員会の一員としてこの博覧会にかかわらせてもらったことで、和歌山県は熊野古道と自然信仰という高い精神レベルを有している、世界に誇れる県である、このことを認識できたというふうに思っております。
 早いもので、この博覧会開催から15年、熊野古道が世界遺産に登録されてから10年の歳月が経過しております。博覧会に携わった人も、現役で残ってる方は非常に少なくなってきましたから、私たちが発見したこの地域振興の仕組みを次の時代あるいは世代に引き継ぐためにも、南紀熊野体験博が築いた地域振興のあり方を議論したいところだというふうに思います。
 初めて南紀熊野体験博実行委員会に呼ばれたとき、熊野古道というものの存在は余り知りませんでしたし、会場のないオープンエリア型の博覧会とはどのような仕組み、仕上げになるのかということも、ほとんどわからないままの参加でございました。
 観光客に来てもらうためには、これまで地域にない新しいものを提供しなければならない、こういう発想ではなくて、今ここにあるものに価値があり、それを発見してもらうために来てもらう、そういう大胆な発想の転換をした博覧会でありました。
 私たちは、今ここにあるものは見なれているから、誰も関心がないだろう、そんなものを見るために観光客は来てくれないだろう、そういうふうに思う傾向があります。熊野古道という地域に既に存在しているもの、あるいは祭や行事、そういったものは、地元の人にとっては存在していることが当たり前であり、それが観光資源になり得るとは思っていませんでしたが、他府県から人が来てもらえるような地域資源になり得るものだというふうに、この博覧会を機に発想が転換できたのではないだろうかなというふうに思います。
 博覧会を通じて地域再発見をしよう、こういう機運が起き、自分たちのふるさとをもう一度見詰め直し、よく知り、愛着を持ち、自信と誇りに変わっていきました、このように著者が評価しているように、後に継続的な地域振興につながる種をまけたのではないかなというふうにも思っております。
 また、観光とは、表面的なものを見るだけではなく、背景に潜む歴史や文化など、精神が癒やされ、満たされることによる満足感、これを提供できるということが大切です。その1つとして、市町村イベントや体験型観光があり、既に地域にあり、受け継がれているものに参加または体験してもらうことで、和歌山県がいにしえより受け継いできて、現在、私たちも持っている精神性を感じてもらうことを目指した博覧会でもありました。
 そのため、地域に根づいている文化や伝統を生かして地域みずからがイベントを企画運営することで、地域主導による博覧会に仕上げたことが、この博覧会の特徴でした。
 そして、地域が主体となったことで、博覧会を一過性で終わらせることなく、地域に定着させ、継続させること、そして、地域振興の起爆剤として開催する、こういう思いが込められていました。
 今では体験型観光というものは全国の市町村で企画されておりますが、この体験型観光のもとになっているのが、南紀熊野体験博の地域イベントだったわけであります。
 後の評価として、自分たちで考え実行し、地域力を高めていった博覧会を和歌山方式、こういうふうな形で名づけられることになりました。再び垣平さんの言葉を引用すると、私たちは、この博覧会を通じて芽生えた地域おこしの芽を大切に守り育てていきます、これが新しい博覧会に挑戦した和歌山県のポスト博覧会の基本認識、こういうことになります。
 ただ、この博覧会に携わった職員さんも少しずつ職場を去り、同じく、市町村の担当者も地域づくりの第一線から退く時期に差しかかっています。このままでいると、数年もすれば、この博覧会で得た地域振興の自信、ふるさとに対する誇りなどが継承されずに失われてしまうのではないか、こういうことが危惧される時代になってまいりました。
 当時の博覧会実行委員会のリーダー的存在だった職員の皆さん方は50歳代でした。今では県庁の職場にはいませんし、当時30歳代から40歳代の若手、中堅、こういった職員さんも、今では50歳代に突入しているところになります。残念ながら、個人の経験あるいは人脈といったものは、そのまま職場に残すことは難しいことであり、地域振興の形は残せているとしても、精神性を残し継承することは難しいものがあります。
 そこで、1つ目の質問をさしていただきたいというふうに思います。
 地方の時代だと言われて久しいところになっておりますが、いまだに東京一極集中の流れがあるため、地方都市が消滅の危機だと、むしろ問題提起されるような時代になっております。市町村が消滅するということは、地方の荒廃、こういうものにつながっていく問題だろうというふうに思います。和歌山県はこの流れにどのように対応すべきか、今考えているところですが、しっかり対応していっていただきたいというふうに思います。
 南紀熊野体験博がつくり上げた地域振興のモデルは、和歌山県として全国に誇れる自信と誇りになったと思っております。ここでいう地域振興とは、地方が育み、守ってきた歴史と文化、そして伝統を、ここで暮らす私たちが価値あるものだと認識し、地域を守っていくこと、これを目指すことに対して行政が支援していく仕組み、このようなものだと考えております。この実績に基づいたノウハウの継承、当時の関係者が持った自信と誇りをこれからの地域振興にどうつなげていくのか、そして継承していくのか、まず、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 南紀熊野体験博は、豊かな自然、歴史、文化の再発掘による新しい魅力の創出と国内外への情報発信、地域づくりへの機運の醸成などを開催意義に掲げ、これまでの常識を打ち破るオープンエリア方式を採用した挑戦の博覧会であったと認識しております。
 博覧会というものはこういうものだ、こういうふうにするものだと人はすぐに考えがちでございまして、そこで思考停止をするわけでございます。そういう例をたくさん見聞している中で、それを熊野の特性からあの形が最適と考え出して、多くの人々を説得したのはとても偉いことだというふうに思います。県庁職員はこうでないといかんというふうに思う次第でございます。
 この博覧会において熊野古道などの地域資源の再発掘と情報発信を行ったことにより、平成16年の「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録に至ったことは、国内のみならず世界から高い評価が得られたあかしであり、県民の財産として後世につなげていかなければならないと思います。
 この博覧会を契機として、県全域で地域づくりへの機運が醸成され、自然、歴史、文化にいざなう語り部や、ほんまもん体験、修学旅行誘致などによる新しい旅の形の創出など、博覧会で培ったノウハウが今に継承されております。
 これからの地域振興については、博覧会の成果として積み重ねてきた取り組みに磨きをかけるとともに、地域をよみがえらせるわがまち元気プロジェクトの推進や過疎地域の活性化など、今般まとめた和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略により積極的に取り組んでまいる所存であります。
○副議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事からお答えをいただきまして、今思い出したんですけど、博覧会を終えて実行委員会が解散ということで去るときに、垣平さんが送別会をしてくれたことを思い出しました。このとき、博覧会に携われて、やり遂げたという達成感、それで、これでやれやれという、終わったというふうな寂寥感というんでしょうかね、そういうものを感じたことを思い出しております。
 そして、現在、そしてこれからも、地域振興にかかわる職員さんにも、仕事を通じてそういった達成感などの思いを感じられる、そういう経験をぜひ積んでいただきたいというふうに思います。
 その意味からも、このとき存在がクローズアップされました熊野古道ですが、世界遺産に登録されてから10年が経過しております。時代は、癒やしからよみがえりへと連なり、熊野古道の持つ力が必要とされている時代にさらに入っているのかというふうに思います。
 南紀熊野博のエース的存在であった熊野古道を生かした取り組みについて聞かせていただきたいというふうに思います。
 この世界遺産登録から10年が経過して、情報発信力あるいは集客力が落ちるといったことのないよう、これからも熊野古道が和歌山県地域おこしのエースとして魅力を持ち続けるための取り組みについてもお聞かせをいただきたいというふうに思います。商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) まず、熊野古道を生かした取り組みについてですが、熊野古道は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のフラッグシップともいうべき資産であり、県では、その価値と魅力を、各種メディアを通じ、国内外に積極的に発信してまいりました。
 具体的には、熊野古道の魅力を、癒やし、よみがえり、パワースポットなどのわかりやすいキーワードで提案することで、若い女性を中心に多くの支持を得ました。そして、このような情報発信により、熊野古道を訪れる観光客数は国内外ともに飛躍的に伸び、紀伊半島大水害による一時的落ち込みはあったものの、なお増加を続けています。
 昨年、世界遺産登録10周年を契機として実施した和歌山デスティネーションキャンペーンにおいては、「道」を大きなテーマの1つとし、広く発信をした結果、対前年比約108%の観光客が本県を訪れました。中でも、中核地域である田辺市本宮では、語り部の案内数が過去最高であったと伺っています。
 保全についても積極的に取り組んでいます。県では、熊野古道をみずからの手で保全するという、国内でもここでしかできない体験、道普請を企業のCSR活動や学校の授業などで取り組んでいただいており、現在、参加者は2万人を超える状況となっています。
 また、熊野古道を大切にする心を幼少期から養い、将来を担う人材を育成すべく、地元の学校を中心に世界遺産学習を行っており、自主的活動として子供たちによる語り部の取り組みなども行われています。
 このように、保全と活用の双方についてバランスのとれた取り組みを進めることで、熊野古道の魅力はますます高まっています。
 次に、今後とも魅力を持ち続けるための取り組みについてですが、先ほど述べたように、熊野古道の魅力を広く発信し、後世に良好な状態で継承する取り組みは、さまざまな面で成果があらわれており、引き続き積極的に推進してまいります。
 加えて、コアな熊野古道ファンであるリピーターにも満足していただけるよう、熊野古道の新たな魅力についても開発し、発信していきたいと考えております。
○副議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁をいただきまして、知事もこの本を読まれたというふうに聞いておりますし、いい本だというふうに評価していただいたという声も聞いているところです。各地の書店にも並んでおりますし、こういったところからも和歌山の魅力、そういったものが発信できているのかなあというふうに思いますんで、引き続きまして熊野古道を中心とした施策に取り組みをいただきたいと思います。
 2問目に入ります。
 大川小学校のヒマワリを活用した防災意識向上の取り組みについての質問であります。
 大川小学校のヒマワリに関しては、次のようなエピソードがあります。
 東日本大震災の津波で児童74人が死亡・行方不明となったのが、宮城県石巻市立の大川小学校だったわけです。3.11のとき、津波から逃れるため小学校が児童らを誘導しようとした高台で、子供を亡くした母親たちが子供たちをしのぶと、そういう思いを込めまして400本のヒマワリを植えました。以降、毎年、大きな花を咲かせているということです。
 後に絵本にもこの物語はなるわけですが、当時、小学校6年生の長女を、それから3年生の長男を亡くした福田みゆきさんという方が、毎日のようにこの大川小学校の校庭にやってきて、水やりに通っております。そして、ヒマワリの成長を見守っていた。こういうふうなエピソードがございます。
 その後、母親数人がこの震災の福田さんの取り組みに感銘を受けまして、平成23年の春にヒマワリを植えていったのが広がっている、今に続いている、そういうのが取り組みの始まりであります。いまだに行方不明でどこにいるかわからない子供たちの捜索に通う親たちも加わって、ヒマワリを植えた高台は、次第に子供たちを亡くした親たちが集い、互いに励まし、心のうちを語らう、そういう場になっているわけであります。
 このことについては、絵本の「ひまわりのおか」というところで母親8人の子供たちへの思いがつづられている、こういうふうに語り継がれているところであります。
 この宮城県石巻市立大川小学校のヒマワリと和歌山県との関係については、次のような経過がございます。
 大川小学校のヒマワリの種を、東北復興の支援のお手伝いをしていた私たち、現地に入った私たちは、平成24年にこれをいただきました。その後、和歌山県内の3カ所で2年間育ててきたわけです。
 学校は、海南市立中野上小学校、白浜町立市鹿野小学校、それから和歌山市、それから紀美野町にあります慶風高等学校、これらの3校の校庭で生徒たちと一緒にヒマワリを育ててきました。平成27年のことしを植えると、和歌山県内で命をつないだ3代目のヒマワリということになります。
 このヒマワリの種は、東日本大震災で失われた子供たちのかけがえのない命が宿っていると思い、これまで大切に育ててきました。和歌山県は、東北の大震災、そして命がとうといことを決して忘れない県であることを証明するために、大川小学校からいただいたヒマワリを大切に育ててきたわけであります。
 そして、ことし迎える紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会では、東北から和歌山県に多くの選手団、応援団の皆さんが来てくれることになります。和歌山県は東北とのきずなを今も大切にしていることを、このヒマワリを咲かせてお迎えすることで示したい、そして、全国から集まる選手団、国体関係者、観光に訪れる皆さん、応援の皆さんも、東北から発信された命のメッセージがこの和歌山県で宿っている、そういったことを命のメッセージとして伝えたいなというふうに考えております。
 そして、この大川小学校ときずなをつないだヒマワリをこれからも大切に育てることで、和歌山県は命をとうとび、そしていつまでも大切に守ろうという県であることを全国に示していきたいというふうに思ってます。
 参考までに、この大川小学校のヒマワリの種ですが、全国から欲しいという声がありますけども、単にそういった欲しいと、行動を起こさないで欲しいといったところには分けていないということで、みずからが東北の復興とかにかかわった人だけが大切な命の種というのをいただいている、こういうものであることを知っておいていただきたいというふうに思います。
 そこで、まず、大きな前段の質問ですが、このときの東日本大震災の教訓から、和歌山県では、どんなときでも死者をゼロにする、こういうことを目指した防災対策を推進しているところであります。
 津波による被害者ゼロを目指すための対策について、まず、危機管理監からお答えをいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 危機管理監和歌哲也君。
  〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 南海トラフ地震により甚大な津波被害が想定されている本県では、命だけは絶対に助けようという考え方で津波対策を行ってきたところであります。
 東日本大震災の直後から、防災・減災対策の総点検を実施し、住民の方にできるだけ安全な場所に逃げていただくための避難先の安全レベルの設定や避難路の整備等の促進に取り組んでまいりました。
 また、一刻でも早い避難行動の開始を促すため、国立研究開発法人海洋研究開発機構が紀伊半島の沖合に設置している地震・津波観測装置の情報を活用した津波予測システムを県において構築し、沿岸市町に津波予測情報の提供を開始するなど、情報伝達の強化も図っております。
 昨年10月に策定した「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」では、津波が到達するまでに安全な場所に避難できない地域を津波避難困難地域として抽出し、東海・東南海・南海3連動の地震に対しては、避難路、避難施設の整備による避難先の確保や堤防の整備を優先的に行い、おおむね10年間で津波避難困難地域の解消を図るとともに、南海トラフ巨大地震の対策については、市町の協議会で具体的に検討、早期実行を進めることとしております。
 今後とも、津波による犠牲者をゼロとするための地震・津波対策に積極的に取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 次は、教育長にちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 海南市立中野上小学校、白浜町立市鹿野小学校では、この大川小学校から受け取ったヒマワリを植える作業を行うことで、子供たちが命の大切さ、これを学んでいるところであります。
 南海トラフの地震、3連動地震など想定される津波から命を守るために、命の大切さを考える教育の一環として、この取り組みを和歌山県下の小学校に広げることは考えられないものでしょうか。植樹実績のある小学校からの意見や成果とあわせてお答えをいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 海南市立中野上小学校や白浜町立市鹿野小学校では、大川小学校からいただいたヒマワリの種を植え育てる取り組みが、命をつなぐ大切さを学ぶ絶好の機会となってございます。
 児童からは、自分たちの取り組みが東日本大震災で被害に遭われた方々の心の励みになっていると感じており、今後も続けていきたいとの声が出るなど、教育効果も生まれてございます。
 和歌山市や海南市、白浜町では、この取り組みの趣旨に賛同して、新たに取り組みを始める小学校が徐々にふえてきてございます。今後、南海トラフ地震等の自然災害から命を守り、自分の命はもちろんのこと、人の命をとうとび大切にする心を育てる防災教育を充実させていくためにも、この取り組みを県内の学校に広く紹介し、防災学習に生かしてまいります。
○副議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、ことし開催される紀の国わかやま国体、それから紀の国わかやま大会の開会式会場に、このヒマワリを植えて全国の選手団、応援団をお迎えしてはいかがでしょうかという提案をさせていただきたいと思います。
 ことしの国体には、「東日本大震災復興支援」というタイトルがつけられていると思いますが、和歌山県は東北の震災を忘れていない、こういうことを行動で示し、全ての命を大切にしている県であることを全国に伝える、それを大川小学校から受け取ったヒマワリを咲かせることによって皆さんをお迎えしたいというふうに思います。この取り組みに関して、国体推進監のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 国体推進監若宮茂樹君。
  〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) 秋に開催される紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会は、「とどけよう スポーツの力を東北へ!」を合い言葉に、「東日本大震災復興支援」の冠称を付すことが既に決定されております。
 このことを受けて、両大会では、紀三井寺公園内のきいちゃん広場への東日本大震災復興支援ブースの設置や本県に避難されている被災者の開・閉会式への招待など、被災地の振興や被災者を元気にする取り組みを盛り込むこととしております。
 議員御提案の開会式会場にヒマワリを飾って来県者をお迎えすることにつきましても、東日本大震災復興支援の取り組みの一環として、関係部局とも連携しながら実施してまいります。
○副議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会の会場で、この大川小学校から受け取ったヒマワリを咲かせて選手の皆さん、それから応援される皆さんをお迎えする、この取り組みはきっと、和歌山県がスポーツ振興とともに命を大切に考えて行動している、そういう和歌山県であることを全国に訴えることができるというふうに思います。
 そこで、和歌山県での国体を契機として、例えば、次年度以降開催される国体や障害者大会の会場に、このヒマワリの種をリレーしていって咲かせてもらうというのはいかがかなというふうに思います。和歌山県が実施している国体でのこの取り組みは、大川小学校の関係者、そして宮城県の関係者には既に情報として知ってもらっているところであります。
 そこで、和歌山県にお願いしたいところは、宮城県とともにこの大川小学校のヒマワリの種を国体開催県に引き継ぎ、それぞれの開催地で花を咲かせる命のリレー、こういったものができないものかというところを提唱していただけないかということでございます。
 平成28年の開催県は岩手県なので、復興支援ということは少し適切ではないので、当事者県ですから調整が必要だと思いますが、それ以降の開催県に関して、こういった取り組みというのも和歌山県から提唱していくということも、この紀の国わかやま大会から発信していく使命の1つかなというふうに個人的には思っているところでございますんで、ぜひ、このことは要望をしておきたいというふうに思いますので、御検討ください。
 それでは、次の質問に入りたいと思います。
 ペットとの共生を目指す和歌山県についての質問であります。
 先般、一般社団法人ペットフード協会・越村義雄名誉会長と話をする機会がありました。
 人口減少、少子高齢化、こういった時代においては、小動物との関係は生活面においても、健康寿命を伸ばす、こういう面に関しても重要になっているよと話していただきました。
 平均寿命と健康寿命の差を縮めることは我が国の大きな課題ですが、経済産業省では、この報告書の中にペットの飼育が人間のセルフメディケーションに有効であると、このように記載がされたそうです。それを検証しようと、平成26年にインテージ社がペットとの共生による健康寿命の延伸について調査したデータを示してくれました。
 その調査結果から、ペットとの共生で健康寿命が伸びているのは、男性の場合は0.44歳、女性では2.79歳、これだけ延伸しているよと、こういう報告がされております。この結果を受けて、ペットフード協会では、人とペットの健康づくりマーケット部会、これを立ち上げて、引き続いてペットと健康との関係、これの研究を行っているそうです。
 日本の男性の平均寿命は80歳、女性86歳、健康寿命は男性が71歳、女性が74歳となっているように、大きな差があります。この差を縮めることができれば、介護に頼らないで自分のことは自分でできる、豊かな高齢時代を過ごすことになります。
 また、我が国の医療費は約40兆円と言われており、毎年1兆円ずつ増加している、このように言われております。高齢社会が医療費を押し上げていることから、この視点からも健康寿命を伸ばす取り組みが重要だというふうに話されておりました。
 そして、ペットと暮らす効用は、次のようなものがあるよという調査結果を報告していただきました。
 まず、子供の場合です。
 心が豊かに育っていること、命の大切さをより理解するようになっていること、家族とのコミュニケーションが豊かになっていること、他人を思いやれるようになっていること、こういったものが報告されております。
 高齢者の場合です。
 情緒が安定するようになったこと、運動量がふえたこと、寂しがることが少なくなったこと、ストレスを抱えないようになったこと、規則正しい生活をするようになったこと、こういったことが報告されております。
 また、自分自身に関しては、生活に潤いや安らぎを実感できるようになった、孤独感を感じなくなった、健康的になった、張りのある生活が送れるようになった、ストレスを抱えなくなった、こういったことがあるよというふうにペットを飼っている人たちが答えているようです。
 このように、子供も高齢者も、ペットを飼育している人にとっても、ペットと暮らすことによる効用があると答えているように、これからの社会では、ペットと共生できる住環境、あるいは旅行などの環境を整えることも大切だよというふうな話であったわけであります。
 越村さんは、さらに、ペットと暮らすことによって生活の質を高めることができると考えて提言をしてくれました。
 ペット産業は、医療費の削減効果があるので健康産業でもあるのではないかという考えのもと、ペットと暮らすことで他人にも優しくできる人がふえる、そして人に優しい社会を築くことができる、そういった幸せ創造産業、こういったものであるというふうにも説明をしてくれたわけであります。人とペットが共生できる社会を築くことが誰にとっても幸せな社会を実現させることになると、こういったことを信じて活動をされているようです。
 地方創生の取り組みの1つとして、ペットと共生できる生活環境を創造することに関心を示す県も幾つか出てきているようであります。既に、越村さんのところには、地方創生の取り組みの1つとして、このペットとの共生社会の検討依頼、こういったものが来ているところでありますが、越村さんからは、紀伊半島大水害のとき、全ての被災犬の命を救ったことから、命を大切にしている県として和歌山県の名前を挙げてくれました。ペットと共生を提言できる県は和歌山県ではないだろうかと、こういうふうなことからして、地方創生の取り組みとして、まず名乗りを上げるべきは和歌山県がすべきではないだろうか、こういうふうな話もいただいております。
 人とペットが共生できる環境を整えることで、和歌山県が命を大切にする県であり、健康寿命を延伸させる取り組みを本気にしている、そういう県であることを全国に発信できるというふうに思います。
 紀伊半島大水害のときに保護した被災犬を和歌山県が預かり、殺処分を見合わせてくれたおかげで、命を大切に守ろうと活動した方々が、全ての被災犬の里親を見つけてくれました。被災犬は、その後も幸せに新しい飼い主と暮らしているというふうに聞いております。この取り組みのおかげで、命を大切にする和歌山県という好イメージを全国に発信することができております。
 この命を大切にしている和歌山県が持つ御縁から、ペットとの共生に関しての話を聞かさせてもらった越村義雄さんですが、先ほど言いましたように、複数の県からペットと共生することによる地方創生の取り組みのグランドデザイン、これについての検討依頼が来ているところであります。
 例えば、公共交通機関にペットを連れて乗車できること、ペットと観光に来た場合、ホテルに一緒に宿泊できる環境を整えること、ペットと共生できるまちづくり、こういったものも検討している県もあるようです。一気にそこまではいかないというふうに思いますが、紀伊半島大水害の大変な状況下においてでさえ動物の命を守るための行動をとった和歌山県こそ、このペットと共生できる社会にふさわしい地域だというふうに思っております。
 高齢社会への対応、ペットと幸せに暮らせる環境の整った地域を築くことについて和歌山県が着手し、全国に発信してほしい、このように思っているところであります。
 そこで、環境生活部長に質問をしたいと思います。
 紀伊半島大水害のときの活動によって、命を大切にする和歌山県、これを全国に発信することができているというふうに思います。そんな和歌山県だからこそ、ペットと共生できる社会の実現について、そして動物殺処分ゼロを目指した取り組みについて推進すべきだというふうに思います。
 動物愛護法によって命を大切にする取り組みが各県でなされていることから、動物殺処分ゼロの県もあらわれているようですから、和歌山県もそれを目指してほしいというふうに思います。和歌山県動物の愛護及び管理に関する条例の改正、動物愛護推進協議会のあり方の見直し、動物の避妊や去勢費用の補助制度のあり方なども含めて、環境生活部長の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) ペットと共生できる社会づくりに向けた取り組みについての御質問について答弁申し上げます。
 県では、人と動物が共生する潤いのある社会の実現を目指しまして、県動物愛護管理推進計画に基づき、動物との触れ合いを通じ、命の大切さや思いやりの心を育み、愛護の精神を育てていくことを目的として、小学生対象の「わうくらす」事業などの施策に取り組んでいるところでございます。
 しかしながら、飼い主責任の十分な自覚や周囲に迷惑をかけない節度ある取り扱いが求められている一方で、不適切な飼養や野良猫への無秩序な餌やりなどによりまして、生活環境の悪化等の問題が発生しているということもございます。それによって、地域コミュニティー形成への支障が危惧される事態も起こってございます。
 県としましては、動物好きの人も、あるいはそうでない人も、相互に理解し合える地域コミュニティーを形成していけるよう、飼い主責任の明確化や地域住民にも適正な管理のための役割を担っていただくなど、新たなルールを設けて犬や猫の引き取り数の減少や迷惑問題の解消を図るとともに、やむなく引き取った犬や猫については、さきの紀伊半島大水害の被災犬の新たな飼い主探しで培い、評価もしていただきました関係団体等との協働による譲渡事業を展開してまいりたいと考えております。
 こうした人と動物が共生する社会の仕組みの基礎を築き、今後、市町村、ボランティア、関係団体、地域住民との連携、協働を進めていくことにより、県長期総合計画に掲げます「動物の命を大切にする心豊かな人づくりと人と動物が共生する潤いのある社会づくり」を一層推進しまして、犬猫の殺処分ゼロを目指してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁をいただきまして。この質問をするということになって、また、実はペットに関する癒やしの効果というメールをいただきまして、先ほどなんですけども、これ、少し紹介したいと思います。
 実は、人が幸せを感じるときというのは、オキシトシンというホルモンが脳から分泌されているというふうに聞かしていただきました。これは、別名幸福ホルモンと言われるそうなんですが、これは、母親が赤ちゃんと接するとき、それから人と人が愛情を持ったコミュニケーションを図るときにこういったホルモンが分泌されるらしいんですが、この幸福ホルモンが実は動物と触れ合うというところでも分泌されるという報告がなされたよと情報をいただきました。
 それは、人間と犬が互いに目を見詰め合うことで、双方ともオキシトシンの分泌が促進されると、こういったことが、ことし4月、研究論文として発表されてますよということであります。まだ詳しく僕も調べていないわけですが、今までは、小動物と人間との間にこういった幸せな関係というのはなかなか裏づけがなかったわけなんですが、少しこういったことも、動物との触れ合いによって心と体が癒やされると、こういうことも医療や福祉の現場では本格的に注目され始めてるということでありますんで、ぜひ、この点についても部長のほうも調査していただきまして、ペットと共生できる和歌山県を目指してほしいなというふうに思います。
 それでは、最後の項目であります。
 エネルギー関連施設の充実についての質問をさせていただきたいというふうに思います。
 和歌山県下には、海南発電所、御坊発電所という2つの大きな火力発電所がありまして、現在の和歌山県のみならず、関西経済を支えているというふうに思います。2つの発電所を合わせますと総出力は390万キロワットに及びまして、和歌山県で消費される電力量を大きく上回っていることから、我が県は電力移出県と、こういうふうな立場をとっております。和歌山県が移出している電力が現在の関西経済を支えていると言ってもよいと思うほどです。
 その見返りとして、電源立地地域対策交付金、電力移出県交付金相当分を受けておりますが、過去のエネルギー基本計画のときに策定したものであることから、現代社会を支えている火力発電所の重要性、これが余り考慮されていないところが問題だというふうに思っております。
 そこで、現在のエネルギー基本計画にのっとって考えますと、火力発電所の果たす役割の重要性が理解できます。そこで、電源立地地域対策交付金、電力移出県交付金相当分の算出に関して、平成28年度に向けた施策と予算に関して、和歌山県としては、今回、政府への要望を行ってくれているところであります。
 具体的な要望として、想定電力量の割合を引き上げること、火力にかかわる交付金算定係数を引き上げること、この2点でございます。電力を移出している県の知事として政府要望をするところは、火力発電所が社会に果たしている役割の重要性を訴えてくれるものであり、関西における和歌山県の存在価値を高めてくれているものだというふうに考えております。ぜひとも、和歌山県の要望どおり、算出方法の改正に向かってほしいというふうに期待をしているところであります。
 そこで、知事にお尋ねをしたいというふうに思います。
 この要望をするに至った背景について、以前、知事が海南発電所の現場を視察していただいたときの感想も交えてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
 また、関西経済を今後、失速させることのないようにも、関西広域連合内においても、電力輸出圏の知事として、エネルギー関連施設の充実について発信してほしいと期待していますので、国のエネルギー施策に関する意見についてもあわせてお聞かせいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 政府要望の背景についてでございますけれども、東日本大震災以降停止した原子力発電所の電力を補うため、県内の火力発電所が中心になりまして、県内消費量の約3倍の電力を発電して、多くの電力を関西電力管内の他府県に供給するなど、重要な役割を果たしているわけであります。
 私も、長期計画停止していた海南発電所2号機を再稼働させる際に発電所を視察させていただきましたけれども、夏の電力ピークに間に合わせるため、大変な労力と費用をかけて再稼働に取り組んでおられました。電力の安定供給に、これは多大な貢献をしてきたと認識しております。
 このように、エネルギー供給の最後のとりでとなる火力発電所は、新しいエネルギー基本計画においてもピーク電源や調整電源として一定の役割が期待されております。
 電源地域には電源立地地域対策交付金というのが交付されることになっとるんですけれども、実は民主党政権時代に、特に反CO2の視点、それから、それがゆえに原子力発電所推進政策のときに、このような予備調整電源の意義を否定するような改定が行われました。石油火力の予備電源は、交付金の算定基準から除外されてしまったわけであります。そのときも、大変な反対運動というか、おかしいじゃないかという話を経済産業省に激しくやったんですが、残念ながらうまくいきませんでした。ところが、福島の原発の事故の後、実際に原子力発電所が全部動かなくて日本のエネルギー不足が起こったときに、日本を破綻から救ったのはそういう火力発電所であったわけであります。
 というわけで、現行の電源立地地域対策交付金制度は、温室効果ガスの排出低減に資する原子力やLNGを推進する方針のもとで設計されたものでありまして、火力発電所の予備電力としての意義や地元が負っている負担については十分に反映されていない状況でございますので、改めてその旨、間違いを正して反省して直せと、こういうふうに言っておるわけであります。
 次に、国のエネルギー政策に関する意見でございますけれども、エネルギー基本計画では、徹底した省エネ、再生可能エネルギーの導入、原発依存度の可能な限りの低減などの基本的な方向性を定めておりますが、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合をバランスよく達成しながら、エネルギー施策を進めていく必要があると考えております。
 また、現在進められている電力システム改革については、ユニバーサルサービスが確保され、それによって県民生活や事業者の生産活動等に悪影響を及ぼすことのないように制度設計がなされる必要があると考えております。
 大口で力のある需要者は、自由市場のもとで電力事業者と交渉して、それで一番いい電源からとるということができますが、和歌山のようなちょっと地方部、あるいは別の言葉で言うと田舎のほうは、なかなかそこの住民の方々がそういう交渉をするなんていうのはとてもできませんし、その結果として、今まで電力供給を同じ料金で担っていた電力事業者が、いいところをぱこっととられてしまうと、今度はそっちが値上がりしてしまうんじゃないかというような感じがあるわけであります。
 したがって、そういうことのないように、和歌山県知事としては、そっちの方向から引き続き制度の改革の動向を注視してまいりたいと考えております。
○副議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 和歌山県民の生活を守る、そして関西経済を支えてる和歌山県だということを、知事がこのエネルギー問題に関して、本来、国策であるべきものを和歌山から発信していただいてること、本当に頼もしく思っておりますので、これからの言動に期待をさせていただきまして、一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時46分散会

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