平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(菅原博之議員の質疑及び一般質問)


平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(菅原博之議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕(拍手)
○菅原博之君 議長のお許しをいただきまして、登壇さしていただきます。
 このたびの和歌山県議会選挙におきまして、維新の党より立候補し、当選させていただきました菅原博之でございます。この場においでになる全ての皆様と中継でごらんの皆様に対して敬意を表しますとともに、県勢発展のためにともに力を合わせて和歌山県を守り立ててまいりたいと存じますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
 さて、今回の和歌山県議会選挙は、統一地方選挙の前半戦という位置づけで、同時に10の都道府県知事選挙も行われました。
 私は、知事選挙の当選者のいわゆる当選の弁で印象に残ったことがございます。
 神奈川県知事選挙で2期目の当選をされた黒岩祐治知事がおっしゃったことでございますが、「これまでどうやってこの神奈川県に人とお金を呼び込むか、本当に一生懸命考えてやってきた。そのことを県民の皆さんにお認めいただいたことで当選できた」という趣旨のお話でした。私は、この言葉を聞き、少子高齢化の流れを考えた際に、これは大変な府県間の競争に既に入っていると実感したものでございます。
 今回、国が呼びかける地方創生は、自治体間の大競争につながり、自治体の創意工夫を求め、未来を自治体みずから切り開くよう国が求めるものであります。しかしながら、人口面では、地方創生の成果はすぐに出てこないのも事実であり、今回発表された県の長期人口プランにある2060年に70万人との目標も、県職員の皆さんを初め、県民の皆さんの創意工夫なしで簡単に達成できるものではなく、国としても、国民感情を考えますと、その間の労働力を外国人の移民に頼るというわけにもまいりません。
 本県としては、人口流出をとめる観点と、県外からの移住者を過疎対策としてのみならず、都市部にも呼び込む観点が必要です。自治体間の大競争を前にして、今ほど県職員の皆さんの創意工夫、アイデアの実行が求められている時代は、かつてなかったのではないでしょうか。その意味で、今回の和歌山県長期人口ビジョンは、本県のあらゆる課題を解決するための根幹をなすものと考えております。
 そこで、これに基づく和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略の中から産業振興に焦点を当て、本日の質問を進めたいと存じます。
 まず、現状の企業誘致についてですが、府県間道路も整備が進みつつあり、引き続き取り組むという前提に立てば、和歌山県は企業にとって大きな魅力を持つ地域となる可能性が高く、また、今回の長期人口ビジョンにも示されている若年人口の薄さを緩和する観点と、地元企業の経営を圧迫することなく、直ちにブロードバンド回線を使用し、日本中、世界中を相手に商売ができる可能性といった観点から、本県は特にIT企業の誘致を促進する必要があろうと考えます。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 現状の企業誘致の状況はどうなっているか、また、誘致された企業の業種割合、特にIT企業の占める割合も含めてお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの菅原博之君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 和歌山県の企業誘致につきましては、知事就任以来、製造業を中心に138件の立地実績を上げておりますが、情報サービス業については、そのうち10件にとどまっております。
○議長(前芝雅嗣君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 引き続き、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 IT企業の誘致について、現状と今後はどのように進めていかれるのか、加えて、現在検討中の案件も含めて企業に与える特典についてお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 情報サービス業の誘致については、顧客との近接性を重要視する事業者も多く、苦戦を強いられてきたところです。しかし、国の地方創生に重点を置いた施策の方向性や、情報サービス業において新たな労働形態を模索する動きが活発になってきたことなどから、サテライトオフィスでの地方展開の潮流ができつつあります。
 これらのことから、全国的にも突出した奨励制度や新政策として今年度から始めるICT和歌山事業を前面に押し出すとともに、県はもとより関係自治体と連携し、より企業ニーズに応えられる制度に改めながら、これまで以上に積極的な誘致活動を展開してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 引き続き、よろしくお願いいたします。
 ここで、御存じの方も多いと思いますが、徳島県の神山町の最近の事例を御紹介したいと思います。
 インターネット検索で「IT」という言葉と、1文字置いて「徳島」という言葉を入力すると、最初の1ページに次のようなタイトルが出てまいります。「移住希望者を逆指名 IT企業が殺到する『創造的過疎地』」という刺激的なタイトルのレポートが出てまいります。
 そのレポートには、次のように書かれております。「インターネットを使ったビデオ会議で取引先との商談や社内会議をこなし、都心のオフィスにいるのと同じように仕事ができる『サテライトオフィス』。そんな新しい働き方を求めて、今徳島県の中山間地域に多くの企業が注目している」云々や、「徳島県で地デジ移行に対応するため、全県にCATV網を整備。普及率は全国1位の88.9%──全国平均は51.8%でございます──で、これを利用するとブロードバンド環境は東京の約10倍の速度で使用が可能になった」とレポートにはあります。
 これだけが成功の要因と受け取るわけにはまいりませんが、和歌山県内の山間部、過疎地にも超高速ブロードバンドが行き渡っている事実の周知は当然されているでありましょうが、改めて企画部長にお尋ねいたします。
 現在の社会インフラとして欠かすことができない県内の超高速ブロードバンド整備状況や、県が保有するきのくにe─ねっとの利用状況はどういうふうになっているのか、お尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) ブロードバンドの整備状況等についてお答えいたします。
 光ファイバー等の超高速ブロードバンドの整備状況は、全ての都道府県で世帯カバー率が99%以上になっております。本県におきましても、平成26年3月末の世帯カバー率は99.6%であります。
 次に、きのくにe─ねっとの民間利用状況でございますが、現時点における民間利用者は5社となっており、その全てがIT企業となっております。
○議長(前芝雅嗣君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 きのくにe─ねっと上で自社の業務を運営したい企業に向け、e─ねっとを無料で開放できないかどうか、御検討いただきたいと思います。御要望させていただきます。
 また、続いて御要望ですが、ブロードバンド回線を使用し、主として県外を対象にしたビジネスを行うIT企業の誘致を特に強力に推し進めていただくようお願いいたします。
 さて、IT技術は全ての産業において有益で、社会的にも飛躍的な可能性を秘めていることから、本県のイノベーションに欠かせない産業であります。しかし、技術発展に日進月歩の革新性があり、今の技術が1年後には陳腐化するということもございます。そういった予見の難しい分野でもあります。
 しかしながら、何も取り組まなければ何も得られず、他の府県の取り組みで成功したものを見てから始めたのでは県内で民間の新たな起業を生み出すこともできない、新規の政策課題としてリスクの大きな分野でもあります。
 その判断を担当者に任せるとなると慎重に対応せざるを得ず、他府県の事例を見ながらおくれてスタートし、他県の後塵を拝することがないか、心配もいたします。
 県職員が有識者の情報を取り入れて、みずから研さんに励み、専門家の議論も踏まえ、すぐれたアイデアをどんどん提案されることが重要でございます。多少は失敗があっても有望な案件を次々にスタートさせていただくことが必要と、この場で触れさせていただくつもりでおりましたが、昨夜、過去の議事録を読み返しておりますと、2月定例会において、山田正彦議員の炯眼による御質問に対し、知事みずから「職員が不誠実にやっていたら、これは別だけれども、誠実にやってうまくいかなかったら、それで責任をとらせるということは全くありません。そういう配慮は世間一般みんなそうで、議員諸氏にも県民の皆さんにもお願いしたい。職員に『勇気を持ってやろうじゃないか』というふうに言っている」との趣旨の非常に熱意のこもった御答弁をされているのを見つけました。知事の人を育てるお考えに感服し、改めて山田正彦議員と知事に対して敬意を表したいと思います。
 その上で、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 IT産業の振興には、高度に専門的な産業であることから、振興に向け、知事を含めた県庁幹部に対してIT産業振興の有効性やこれからの可能性をしっかりと示すことができる、全国的な専門家で構成されたシンクタンク機能を有する有識者の意見を聞く場が必要と考えておりますが、いかがでございましょうか。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県の産業振興を進めるに当たっては、我々職員みずからが経済情勢の変動や技術革新の動きなどをしっかりつかみ、県内企業の現場での現状、ニーズを把握しながら、みずから活性化に向けた施策を考えることがあるべき姿です。
 こうした中、日進月歩の革新が起こる産業技術については、県内企業の経営者や大学等の研修者など、県内外のトップレベルの有識者を委員とし、知事を議長とする和歌山県産業技術戦略会議において、和歌山県の産業振興全般について、技術と産業の最先端の知識を得て広範な議論をこれまでも行ってきております。
 新たな成長分野として期待されるITについては、既に戦略会議において、県産業技術基本計画への位置づけ等についての御意見をいただき、議論を行っているところです。
 今後も、こうした場で外部の有識者の御意見をお聞きしながら、ITも含めた本県の産業活性化に取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。引き続き、どうかよろしくお願い申し上げます。
 次に、本県は、総延長800キロというサイクリングロードの完成間近ということもあり、自然環境は和歌山県の大きな魅力となっております。海にかかった橋の上を自転車で走るよりも、途中で渓流釣りやキャンピングも楽しめる有利さがこのサイクリングロードにはあると思います。また、本県は、景観のよさとともに、何よりも食べ物がおいしいという利点もございます。
 防災の取り組み、交通アクセスの改善も進み、その上、過疎地を抱える県としては、高レベルなビジネス状況を整えて、企業誘致や県外からの移住・定住を促進する政策対応をされるものと期待いたしております。
 1つ心配は、国立がん研究センターのがん対策情報センターの集計では、本県のがん死亡率が、75歳以下男女合計データのある直近10年間の順位で、全都道府県中ワースト3、5、2、3、9、9、4、2、4、11位と、こういう過去の実績となっている点でございます。
 自分や家族がもしものときは、やはり東京や大都市で医療を受けたいという思いを持てば、とても移住・定住には及びません。そして、これは何より今和歌山県で生活する県民にとって大きな問題でございます。
 福祉保健部長にお尋ねいたします。
 本県のがんの医療体制の構築について、県はどのように取り組んでいるのか、また、粒子線治療などのがん先進医療の導入についてはどう考えておられるのか、お尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) がんの医療体制につきましては、質の高いがん医療の提供体制を確立することを目的に、和歌山県立医科大学附属病院が県のがん医療の中心となる県がん診療連携拠点病院に、各地域の中核となる8カ所の病院が地域がん診療連携拠点病院、がん診療連携推進病院にそれぞれ指定されており、各病院においては、手術療法、放射線療法、化学療法などを効果的に組み合わせた集学的治療と緩和ケアが実施されているところです。
 また、がん医療に携わる専門的な医療従事者の育成、チーム医療体制の充実や強度変調放射線治療を初めとする高度な放射線治療の導入など、県民誰もがどの地域に住んでいても、がんとなっても安心して暮らせる医療体制の構築に取り組んでいます。
 次に、先進医療の導入についてですが、県としては、これまでもがんの新しい技術について情報を収集し、導入について検討してきたところです。
 粒子線治療については、既に全国で13施設が設置され、近隣府県では、現在、兵庫県、福井県で稼働しており、今後、大阪市や京都市、神戸市に建設が予定されています。
 県では、採算性や対象患者数の確保など、さまざまな検討を加えたところ、現状では設置は困難と考えておりますが、今後、運営コストや放射線治療における技術革新など、状況が変われば改めて検討してまいりたいと考えております。
 また、最近、新たにホウ素中性子捕捉療法が注目されており、今後、東京と福島の両施設で本格的な治験が開始されることとなっておりますので、その成果について検討してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 要望でございますが、県内でもがんに対する先進医療が受けられる体制が一日も早く整い、決して近畿地方で和歌山県だけが先進医療体制から取り残されることがないように県から国へ補助金の要望もお願いしていただくことを希望し、私の質問とさせていただきます。
 これにて終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、菅原博之君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時18分休憩

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