平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第96号から議案第116号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 28番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきまして、本議会トップバッターとして機会を与えていただいた先輩・同僚の皆さんに、心から感謝を申し上げます。
 第9回ベスト・プラウド・ファーザー賞in関西というのがあるそうでありまして、これは何のためかといいますと、日本生活文化推進協議会が父の日の啓蒙活動として、関西の出身者であるとかゆかりの方を選んで、明るく楽しい家庭づくり──なかなか難しいですな──そんなことをしている父親や子供たちのよき理解者であると、そういう人を選出するそうであります。
 今回、仁坂知事が。おめでとうございます。(拍手)
 たしか、きょうの夕刻、大阪で表彰式があるそうでございますんで、忙しい中、駆けつけると思うんですが、慌てないで十分楽しんできていただきたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 まず最初に、地方創生についてお尋ねをいたします。
 我が国では、急激な人口減少と異次元の高齢化が大きな課題となっています。国立社会保障・人口問題研究所が平成25年3月に公表した日本の地域別将来推計人口によれば、2040年の我が国の人口は全ての都道府県で2010年の人口を下回り、国全体では約1億700万人程度、本県については72万人まで減少すると推計をされています。
 また、昨年の5月には、増田元総務大臣が座長を務める日本創成会議人口減少問題検討分科会が、2040年には全国の約半数に当たる896市町村で若年層の女性が5割以上減少し、人口減の加速によって、現在の教育、福祉など幅広い行政サービスの維持が困難になると言われ、消滅可能性都市となると発表をいたしました。
 その内容を見てみると、全国より早く少子高齢化が進んでいる本県においても、全30市町村のうち減少率が50%未満にとどまるのは和歌山市と日高町など7市町に限られ、7割を超える23市町村が消滅の可能性があるとの大変ショッキングな内容に、多くの住民に衝撃が走りました。
 人口の減少は、労働力不足、経済成長の鈍化といった経済面の影響だけでなく、医療、福祉、教育など、あらゆる面において弊害をもたらすことになります。
 国民の早急な対策を求める声が高まる中、安倍内閣は、人口急減、超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、政府一丸となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会を創生できるよう、昨年9月安倍総理を本部長とするまち・ひと・しごと創生本部を立ち上げました。
 本部設置に当たって、安倍総理は、「安倍内閣の今後の最大の課題は、豊かで明るく元気な地方をつくっていくこと。このままでは消滅する地域も出てくるという予測がされており、まさに喫緊の課題、待ったなしと言ってもよい」、そのように述べておられます。
 その後、11月には地方創生の理念等を定めたまち・ひと・しごと創生法が制定され、12月には長期ビジョン、並びに同法に基づくまち・ひと・しごと創生総合戦略が策定されたところであります。
 長期ビジョンでは、若い世代の希望が実現すると出生率は1.8程度に上昇し、人口減少に歯どめがかかると言われており、2060年に1億人程度の人口が確保され、2050年代に実質GDP成長率は1.5%から2%程度維持されるという中長期の展望を示しています。
 総合戦略では、基本目標として、地方における安定した雇用を創出する、地方への新しい人の流れをつくる、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえるなどが上げられております。
 また、本年2月に成立した平成26年度補正予算において、1700億円の地方創生先行型の交付金を創設し、地方創生に向け、全国各地で交付金を活用し、工夫を凝らした事業が実施をされています。
 こういった動きを踏まえ、県では、人口減少の克服と持続可能な地域づくりを目指し、4月に、仁坂知事を本部長とし、副知事や各部長、各振興局長などで構成する和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略本部を立ち上げ、精力的に取り組まれた結果、2カ月余りで県長期人口ビジョンと県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定、公表いたしました。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 報道によりますと、都道府県で総合戦略を策定したのは、高知県に続いて2番目とのことであります。他県に先駆けて迅速に策定された知事の熱意を感じます。ここで、改めて地方創生に対する知事の思い、考えをお聞かせください。
 次に、県長期人口ビジョンについてお尋ねをいたします。
 このビジョンにおいては、和歌山県が目指す人口形態とはどのようなものなのか、知事の所見をお伺いいたします。
 3点目、県総合戦略についてお尋ねをしたいと思います。
 総合戦略は、2060年、県の人口が70万人程度を達成するためには、今も進む県人口の減少を抑制する必要があります。どのような対策をお考えか、知事の所見をお伺いして、第1問を終わります。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 急激な人口減少は、議員御指摘のとおり、個人消費の縮小に伴う地域経済の悪化、需要増が見込まれる医療・福祉分野の人材不足、社会保障費の負担増、自治会や消防団など地域の自主的な活動の弱体化、地域の伝統行事や祭りなどの担い手減少による地域文化の衰退など、あらゆる分野に影響を及ぼすことから、大変深刻な問題と認識しております。
 本県においては、少子高齢化が全国よりも一段と進み、若年層を中心とした人口流出が問題となっております。
 昨今の日本創成会議のレポート以来、この問題が大変脚光を浴びておりますが、当県では、もともとこの人口減少対策は本県にとって最大の課題であると認識して、私も知事就任以来、長期総合計画をつくり、産業振興や移住・定住促進、少子化対策など、さまざまな政策に鋭意取り組んできました。そういえば、ずっと地方創生を追求してきたと言ってよいと思います。
 こうした取り組みによりまして、人口の社会減が5000人台から大分減りまして、また、平成19年に1.34であった合計特殊出生率が平成25年には1.52になりました。また、平成26年には1.55と近畿で唯一上昇するなど、人口減少をある程度食いとめることができたところであります。一定の成果はあったかなあと思うんですが、まだまだでございます。もっと上を目指さないといけない。
 そういう意味で、法律でも総合戦略をつくらないといけないことになっておりますし、また、この際、目に見えるものをみんなで議論して、きちっとまとめておくということは大事なことではないかというふうに考えまして、これまで県が進めてきた施策も含め、徹底的な議論をいたしまして、「しごと」を創る、「ひと」を増やす、「まち」を創るを基本姿勢として総合戦略を策定しました。
 総合戦略では、「安定した雇用を創出する」、「和歌山県への新しい『人の流れ』を創造する」、「少子化をくい止める」「安全・安心な暮らしを実現する」、「時代に合った地域をつくる」の5つの基本目標を掲げ、それを達成するための具体的な目標と、それから実現するための行動指標を覚悟を持って明示しているところでございます。
 今後は、断固たる決意を持って、一過性の取り組みに終わらせることなく、腰を据えて着実に推進していくことが重要であると思います。
 なお、市町村でも総合戦略を策定しないといけないということでございますが、それを策定する際に、県の総合戦略を参考にしたいという意見が強うございました。そこで、これも1つの動機になって早期に策定をしたということでございます。市町村においても、これを参考に地域の実情を加味した総合戦略が早期に策定されることを期待しております。
 次に、人口ビジョンの問題でございます。
 これは、2060年をイメージせよというのが基準になっておりますので、そのようにさしてもらいました。
 長期人口ビジョンにおいては、国立社会保障・人口問題研究所の推計、議員御指摘がありましたようなものをそのまま2060年に伸ばしますと、2060年には約50万人にまで人口が激減するという厳しい状況が見込まれるわけでございます。それでは、あそこのペーパーに書いてありますように、いろいろと困ることが出来いたします。
 そこで、長期人口ビジョンでは、社会を何とか持続していくためには、2010年と同水準の高齢者1人を現役世代2人で支える人口形態がぜひとも必要であるとの考え方に基づきまして、2060年の人口を──これはべき論でございますが──おおむね70万人確保することを目標といたしました。
 本県においては、かつて5000人近くあった社会減が、これまでの取り組みの効果もあって、直近では少し減って3000人ぐらいになっております。
 全国あるいは世界で活躍を希望する若者、これが出てくると思うんです。そういう人が世界に活躍の場を求めて転出するというのは、ある程度あるだろうというふうに思いまして、それをとめる必要もないんですが、一方、本県にもすばらしい企業やさまざまな仕事があること、それから、和歌山の魅力と和歌山での暮らしの有利さを知らない、そういう若者がそのまま転出してしまう、そういうことをやっぱり減らさないといけないと思うんです。
 そういう意味で、転出をちょっと減らして、かつ転入をふやすということで、これによって社会減をかなり減らすことが可能と考えております。また同時に、長期的に人口を維持できるように、今以上に子育て環境をよくすることにより本県で生まれ育つ子供もふやしていくということを願っております。
 これら2つの政策が功を奏せば、2060年に70万人程度の人口を維持することは可能であるというふうに思っておりまして、その後は、これが可能となれば、だんだんと安定的に推移していくということになるわけでございます。
 長期人口ビジョンで掲げた目標は、そういう意味で非現実的なものではない。ただの願望ではありません。戦略的に諸政策を実行することで達成できるものだと考えておりますが、よほど覚悟を持って皆が努力をせんといけません。県政も頑張りますが、県民の皆様の頑張りも期待したいわけでございまして、県全体が一丸となって人口減少対策に取り組んでいこうではないかと考えております。
 次に、対策でございます。
 まず、社会減対策としては、県内で就職を希望する人を全て受け入れることを目指し、製造業や観光業、農林水産業など、本県が強みとする産業の競争力を高めるとともに、積極的な企業誘致活動や地域資源を最大限に活用した産業創出により仕事をつくっていきたいと思っております。
 さらに、第2に本県が誇る豊富な観光資源や安全・安心・快適な生活環境など、「暮らしやすさ抜群 和歌山県」の魅力をさらに磨くとともに、優良な県内企業の存在を合わせて、本県出身の大学生とか県内の高校生を初め広くアピールすることで、和歌山の魅力や有利さを知らずに県外に出ざるを得ないと思って出てしまう、そういう人は食いとめないといけないと思っておりまして、また、和歌山に関心のない人も、関心を高めて来てくださいということでやっていこうと思っております。
 前者の点については、この総合戦略の一番後ろに、和歌山の有利さ、あるいは魅力、暮らしやすさ、そういうものをアピールするような資料もつくりまして、わかりやすくしていきたいと思っております。
 また、若者世代向け移住奨励金や空き家バンクなど、手厚い移住促進策をとりまして、あらゆる世代の移住者を本県に積極的に呼び込みたいと思います。
 もちろん、高齢者も大歓迎でございますけれども、一方、現在の制度のもとでは、介護サービスなどの自治体負担が、余り多くなると過度になってまいりますので、そうならないような制度の構築をやっぱり国に求めて、シニア世代の移住促進をもっと容易に、うまくいくように条件整備を図っていきたいと思っております。
 次に、これはもう1つの大きな柱で、自然減対策でございます。
 本県で生まれ育つ子供をふやすために、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで切れ目のない少子化対策に取り組み、子供を産み育てやすい環境整備をさらに推進してまいりたいと思います。
 加えて、これらの人口減少対策を行う上での前提として、全ての人にとって和歌山は安全・安心だというふうに思ってもらわないといけません。そういう快適な地域を本当に実感してもらえるような努力をしていく必要があると思います。このため、自然災害による犠牲者ゼロを目指して、ハード・ソフト両面の対策による災害に強い地域づくりを推進していきたいと思います。
 また、県民一人一人が健康で生き生きと暮らせるように、十分な医療・福祉サービスを提供できる体制を構築するとともに、良好なさまざまな生活環境を死守してまいりたいと思います。
 人口減少を抑制するために、本総合戦略に盛り込んだ施策に全部局が一丸となって取り組んでまいる所存であります。
○議長(前芝雅嗣君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 確かに、知事からいろいろ説明をいただきましたが、やはり若い世代が安心して結婚できる、そして、子供を産み、安心して育てていける、このベースを何とかしてもっともっとつくっていきたいなと私も思ってますし、これは大きな力になると思ってます。
 企業誘致もなかなか厳しい中で、私は人を誘致する方法を考えていけばいいのかなと思ったこともあります。また、いろいろ質問もさしていただきますんで、よろしくお願いをいたします。
 議長、きのうのお酒は抜けたんでしょうか。大丈夫ですか。
 次の質問に入らしていただきます。
 ことしは、日本とトルコ友好の125周年ということであります。今月初めに、串本町でも盛大な記念式典が開催をされました。この議場の中には、式典に参加された方も多くいらっしゃることでしょう。
 そんなときに、日本とトルコの合作映画「海難1890」が制作をされました。私は、何か、この題目といいますか、ちょっと物足りないなというのを感じていまして、何かサブタイトルでもつけてほしかったなあて、こんなことを言ったら失礼なんでしょうが、そんな思いがいたします。
 ことしの12月5日に、両国の友情を描いた映画が日本全国で公開される予定であります。串本町でも、長期にわたり、ロケが行われましたので、今から公開が待ち遠しい限りであります。
 このことは、トルコの軍艦エルトゥールル号が和歌山県串本町沖で遭難して125周年になるということであり、友情が125年もの長きにわたり語り継がれ、受け継がれていることを示しています。
 125年を契機として、日本各地で、またトルコ共和国で、さまざまな形でトルコと日本に関する行事が行われる予定と聞いています。
 このエルトゥールル号の遭難事件と乗務員を助けた住民の真心は、イラン・イラク戦争の際、1985年3月19日午後8時30分のタイムリミットが近づく中、テヘランから邦人救出につながったという真実の物語であります。
 立派な和歌山の先人に敬意を表するとともに、この出来事を自国の教科書に載せて語り継いできたトルコの政府やトルコの人々にも敬意を表する次第であります。
 さて、平成25年9月議会において、今、議長席に座っている前芝議員がエルトゥールル号の映画制作について触れており、その中で、エルトゥールル号遭難事件を契機とした交流の歴史は和歌山県として誇るべきであり、次世代に引き継ぐべき遺産であると話をされています。また、本県とトルコとの交流の歴史の教育現場への活用についても質問されております。
 当時の教育長は、中学校社会科の教科書やふるさと学習教材等を利用して学習していると答弁をしています。しかしながら、この事実を子供たちに語り継ぎ多くのトルコ人が知っている現実と、この事実を知らない人が多くいる日本の現実を考えたとき、私たちや和歌山県、また日本の政府として、これでよいのかと考えてしまうのは、私1人でしょうか。
 この海を越えた友情の物語を、国際交流の誇るべき遺産を、私たちはこのまま放っておくわけにはいかないと考えます。
 この映画の公開を契機に、いま一度、このエルトゥールル号の遭難事件の事実を和歌山の地から発信してこそ意味のあることであり、今までに受けた恩を忘れないためにも、和歌山の子供たちがエルトゥールル号のことが記載された教科書や道徳副読本などを活用した学習を進めていくよう取り組んでいただきたい。遠い異国の言葉も通じない人たちを助けること、長年にわたる交流、子供たちに日本の国に誇りを持てる、また異国のトルコという国を知るよい教材だと考えます。
 和歌山に生まれた者の1人として、また日本人として、知っておかねばならない事実だと考えます。私たち和歌山の偉大な先人たちに心をはせ、この真実を語り継いでいこうではありませんか。
 また、今回、この映画を県内の子供たちには学校行事の一環として全員に見せてあげたいと願っています。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 この美しい物語は、学校で語り継がれるべきだと考えますが、教育長の所見を伺います。また、和歌山県内の学校におけるエルトゥールル号に関する学習状況はいかがですか。今回の映画は学校行事等に位置づけし、県内の子供たちに鑑賞してほしいと考えますが、いかがですか。
 以上、3点をお伺いいたします。
 また、別の視点からも質問をいたします。
 現在、トルコは、日本人にとって人気の観光地であります。絶対的な親日国家であり、カッパドキアなど世界遺産も数多くあります。ケバブに代表されるトルコ料理は世界三大料理の1つに数えられていますし、イスタンブールの漁港では、サバサンドという、焼きサバをパンに挟んだファストフードも売られています。私も食べました。
 和歌山にも世界遺産があり、日本料理はユネスコ無形文化遺産に登録されました。この映画を見てエルトゥールル号のことを知り、日本へ、和歌山へ行ってみたいと思うトルコの人もいるでしょうし、日本人もトルコへたくさん行くでしょう。そうなれば、民間同士の国際交流が始まります。そこには経済交流が生まれてきます。トルコの人が和歌山の製品を使い、和歌山の物産を食べる、和歌山では年に1度トルコ物産展が開催される、そんなことが実現していくかもしれません。
 この機会を捉え、トルコからの誘客もしないといけません。直接でも間接でもいいので、トルコの人が日本に来たら必ず和歌山へ立ち寄っていただく行程など、旅行業者と企画する必要があります。
 トルコの方が訪れたときには県民を挙げて歓迎する仕組みを考えたいと思いますし、年に1度、串本町と姉妹都市のトルコのまちメルシンで和歌山県の物産展を開催する、また、トルコ航空の機内食に和歌山の食材を使ってもらう、白浜空港とトルコとのチャーター機を飛ばす、映画のロケ地には観光用の立て看板を配置し観光地づくりを進める、いろいろ考えているとアイデアは出てくるものだと思います。
 上映をしてくれる東映の御協力をいただきながら、映画館では和歌山の物産を売らせてもらう、上映前のスクリーンでは和歌山県のコマーシャルが映し出される、これはトルコの映画館でもできることだと思います。
 このように何点も提案をいたしましたが、簡単なことではなく、問題点も多いと理解はしています。一番は、宗教のことが出てくるのかなあ、そのようにも思います。
 ぜひとも、映画の制作、上映を契機として、今後、県ではトルコとの関係をどのように深めていき、どのように取り組んでいくのか、知事の意見を聞きたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) エルトゥールル号遭難事件は、その後のイラン・イラク戦争時のトルコ航空機によるテヘラン邦人救出につながる、まさに日本とトルコの友好の原点でございます。本年は、エルトゥールル号遭難事件から125年、またテヘラン邦人救出から30周年という節目の年に当たります。
 この事件は、日本にとっても、和歌山にとっても大変名誉なことでございます。映画をつくって顕彰したいという田嶋町長のお話に、私は、かなり前から一も二もなく賛同しました。そこで資金集めに尽力をしようということで努力を始めましたが、ちょっとうまくいくかなあという時期がありました。そしたら、リーマンショックが起こりまして、企業の財務がむちゃくちゃになって、なかなか難しかったわけでございます。そこへ、安倍首相と当時のエルドアン・トルコ首相の首脳会談がありまして、映画公開に向けて協力するということで一致をされたわけでございます。
 そこで、もう一度ギアを入れまして、経済界への支援にかなり走り回りました。これがかなり成功いたしましたし、草の根でも応援をしようという動きも出てまいりました。その中で、ついに配給元に東映が名乗りを上げてくれたということでございます。これによりまして、日本・トルコ合作映画として、この記念すべき年に公開が実現するということになったところでございます。
 この映画は、日本・トルコ友好の原点であるエルトゥールル号遭難事件を世界に広く知らしめるだけではなくて、和歌山県の魅力を世界に発信する好機であるということは、議員御指摘のとおりであると思います。県では、トルコ国内での公開に合わせ、現地で本県の魅力を伝えるプロモーションを開催し、和歌山とトルコの関係をしっかりアピールしてまいりたいと思っております。
 このほか、インバウンド観光客誘致では、トルコからさらに多くの観光客の皆さんをお迎えできるように、メディアやウエブサイトを活用しつつ、あらゆる機会を捉えて本県の魅力を情報発信するとともに、研修会の実施等により、ムスリム観光客の受け入れ体制の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、経済交流では、平成23年度から実施しておりますトルコでの現地企業との商談会、県産品展示会、現地企業訪問及び市場調査などのビジネスミッションをことしも継続するなど、県産品の販路開拓を目指してまいりたいと考えております。
 和歌山とトルコの友好関係については、本県の国際交流の柱として頑張ってまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) エルトゥールル号の遭難事故の際に串本町の方々が人命救助に当たった行為を学習することは、人としての生き方を学ぶ上で大変意義深いことであり、日本とトルコの友好関係をさらに発展させるものと考えてございます。また、道徳教育、ふるさと教育といった視点からも、この125年前の出来事は本県の誇りであり、後世まで語り継いでいかなければならないと考えてございます。
 県教育委員会では、平成26年1月に県独自に作成した道徳読み物資料集「希望へのかけはし」に、エルトゥールル号の遭難事故等を題材にした教材を掲載し、県内全ての中学校で学習しております。また、国が全国の全ての中学校へ配布している道徳教育用教材や小中学校の社会科の教科書等にも掲載されており、また県内でも活用されてございます。
 議員御提案のエルトゥールル号の遭難事故を題材にした日本・トルコ合作映画「海難1890」につきましても、今後、県内の学校において広報を進めるとともに、鑑賞等についても検討してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 できましたら、検討するだけでなく、実施をしていただければと思います。
 私も一度だけなんですが、トルコへ寄せていただいたことがあります。そのときに、夕刻、あるイベントをやっておりまして、そのとき団長で行ったんが、後ろのほうで私語を物すごくしゃべっている尾崎要二議員でありました。そのときの主催者から、「どうぞ、一言御挨拶を」と言ってくれたんですね。そのときに、尾崎議員が、壇上でマイクに向かってトルコ語で「メルハバ」って言うたんです。そしたら、その会場がどおっと沸きましてね、ああ、これほど日本人、和歌山というものに関心を持ってくれてるんだな、すごいんだなというのを物すごく実感した次第であります。また機会があれば行きたいな、そのように思っていますんで、ぜひともトルコとの友好をどんどんどんどん深めていただきたいな、また教育のほうでも利用していただきたいなと思っています。
 次に、和歌山トライアンズについて質問をいたします。
 このトライアンズに関しましては、前にも質問をさせていただきました。現在の新聞報道によると、全国47クラブから新しいリーグに対して入会申請が行われました。そのほとんどが入会を認められたのでありますが、4チームだけ入会が保留になっております。保留になったというのは、条件つきであったり、またもう一度この条件を満たしなさいよと言われたりということで、その4つの中の1つが和歌山トライアンズでありました。ああ、残念な結果になったなあという思いをいたしておりました。
 和歌山トライアンズの初年度は、西日本地区の優勝をかち取り、惜しくも日本一決定戦では敗れてしまったのですが、県民に感動と元気を与えていただいた、そのように思っています。
 それから、チーム内のごたごたがありまして、試合においても結果が残せなかった。いろんな意味で苦戦をしてまいりました。
 折しも、日本バスケットボール協会について、国際連盟よりリーグについての勧告を受け、新しい出発をしようという大切な新リーグに加盟できないとなると、チームそのものの存続が危ぶまれてしまいます。地元に根づこうとしているプロバスケットボールのチームが消滅してしまうかもしれません。
 野球のほうでは、独立リーグに所属していた紀州レンジャーズが休部をしている現在、残るはサッカーのアルテリーヴォだけになってしまいました。青少年の希望のためにも、地域のためにも、和歌山県のためにも頑張ってほしいと願っています。
 そこで、お尋ねをいたします。
 入会が保留になったのはなぜなのか、その結果を踏まえて何とかして新リーグに加盟ができるのか、できない場合は今後この和歌山トライアンズはどうなっていくのか、以上3点、担当部長から答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 和歌山トライアンズの今後についての御質問についてお答えをいたします。
 和歌山トライアンズは、昨年12月に存続危機が発覚をいたしまして、その後、県のバスケットボール協会がその運営を引き継ぐ形で活動を継続してまいったところでございます。県といたしましても、広く県民の皆さんに募金や試合観戦等によってチームへの支援を呼びかけるという活動を行ってまいりましたし、県職員も、試合当日のボランティアであるとか資金を集めるための寄附など、人的・金銭的支援を含めて支援をしてまいりました。
 しかし、残念ながら、ことし秋から始まりますNBLの新しいリーグ戦には、必要な資金が不足をしていると、そういう理由で参加、入会が認められなかったということになってございます。
 というのが現状でございまして、今後のことに関しまして、議員から御質問いただきました来年秋から始まります新しいリーグへの入会が保留となっている理由でございますが、入会を審査しておりますのは、一般社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ、略称JPBLという組織でございます。そこから情報として聞き取ったところでございますが、トライアンズにつきましては、ことしの秋のシーズンにチームが参加しないということがありますので、既に選手全員を自由契約としてございます。そういう形で実質的にチームが今存在しない状況にあると、そういうことから、来年の秋から始まる新しいリーグへの参加について、現在は継続審議となっていると、そういうふうに聞いているところでございます。
 それでは、新しいリーグに入会できていくのか、もしできなかったら今後どうなるかという御質問をいただいたところでございますが、このJPBLから聞き取っているところによりますと、今考えておりますリーグの構成は、当初3部という形、3部リーグ──1部、2部、3部という形を考えていたところでありますけれども、実業団リーグを再編するような形で4部リーグを創設する方向も今検討中だというふうな情報を得てございまして、今後、どのチームをどの部、どのレベルの部に振り分けるかというその審査基準についてもまだ今明らかにできないというようなことでございます。
 したがいまして、現時点で入会できるかどうか、また入会できるとして何部になっていくのかという、そういうふうな具体的な内容につきましては全くの白紙の状態だと、そういう情報を得ているところでございます。
 ただ、今、和歌山トライアンズの運営主体である法人のほうは、このトライアンズのチーム存続に向けた取り組みとして、選手を今は自由契約にして選手はおりませんけれども、選手を発掘していくための入団テストを7月に実施をしていく、また、ファンの獲得を積極的に取り組む予定をしているというような形でございますので、このような活動が評価をされ、入会が認められていきますように我々としては期待をしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(前芝雅嗣君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 大変厳しい状況だということがよくわかります。
 しかし、入団テストを行うとかいうこともあるらしくて、今後ファン獲得にも力を入れていくというようなことも聞かされておるんで、ちょっと流動的な部分もあるのかなあと思いますし、アマチュアのままやっていくのかというようなことがあるんかもわかりません。また、大きく変わることがあれば公表をしていただきたい、そのように思います。
 最後の質問に入ります。
 元住友金属の西防の埋立地であります。この質問も、実は2回目になります。前の質問の折には、知事も、少しなんですが、期待しているような答弁もありましたが、民間企業のこととはいえ、公的意味合いの強い企業ですから、知っていることをまた全部教えていただけたらいいなあと思っています。
 平成24年2月議会において、県議会として「LNG火力発電所の建設促進にかかる決議」をいたしました。その折、私が議長を務めさせていただいていたので、その決議書を持って、平成24年4月20日、同じく建設促進の決議をした和歌山市議会の議長とともに大阪の関西電力本社を訪ね、当時の火力事業本部副事業本部長執行役員樋口幸茂氏と和歌山火力建設所所長寺田則仁氏と会い、決議書を渡し、申し入れを行いました。
 それから3年の歳月が流れました。いまだ動きはありません。経済活動に影響を及ぼす電気料金は、何度か値上がりをしています。
 そんな折、首都圏において関西電力に動きがあるような情報もあります。たしか、発電所を建設するために西防埋立地を購入したはずであります。その計画がウェイティングになったまま別のところで何かを計画しているとは、どうなっているのかと思ってしまいます。
 この計画は、平成8年12月に関西電力より申し入れがあったはずであります。その計画に、県議会も和歌山市議会も建設促進の決定をしています。その後、平成9年の電源開発調整審議会において承認されましたが、運転開始時期が毎年繰り延べされているのが現状であります。
 この問題について、知事は、今後どのように考えて、どのように行動していくのか、またどのように進めていこうかと思っているのか、また、今、我々以上に詳しい情報をどの程度持っているのか、知事としての意見を聞かせてください。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、原発に大きく依存せず、電力の安定供給と環境への配慮の両立が求められている電力供給の中では、大型のLNG火力の速やかな建設が欠かせないと考えております。そうした中で、環境アセスメントも終え、用地も確保されている和歌山がLNG火力発電の設置の最適地であると思っております。
 電力供給計画においては、御指摘のように平成37年度以降の運転開始としている関西電力でございますが、毎年1年ずつ順送りになっとるわけでございますんで、早く着工するように、私からもいつも積極的に働きかけているところであります。
 これは、私の考えでございます。関西電力も、電力供給者として電力事業を維持していくということを考えますと、原発に今後多くは期待できないと、これは誰が見てもそう思う中で、将来の電力源として、このLNG発電の実現を望むはずだと、土地も手当てしてるしというふうに思うわけであります。
 ただし、これまた観測ですけれども、巨額の投資が必要になってきます。その資金手当てをしないといけません。ところが、原発が現にとまっていてなかなか動かせない中で、大赤字になってるわけでございますんで、今の財務状況だと資金調達できないんじゃないかというふうに懸念をしてるわけでございます。そういう意味で、早くいろんな問題が解決されて、それで和歌山に発電所ができるようになったらいいのにというふうに思っている次第でございます。
 一方、関西電力の子会社が、御指摘のように首都圏で火力発電所の建設を検討しているのではないかという報道があったもんでございますので、なかなか投資の情報というのは表に出てこないもので、我々も本当ははっきり言うとわかりませんが、少なくとも議論して悪いというわけではありませんので、その真偽とか資金手当てをどう考えてるんだというようなことについてわかりませんけれども、関西広域連合の会合がありまして、八木社長がお見えになったもんですから、投資が可能ならば、供給地であるところの関西で、特に和歌山でやったらどうですかというようなことを申し入れた次第でございます。
○議長(前芝雅嗣君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 確かに、ほかでお金を使うんであれば、そのための土地を準備してるんですから、当然、その地域の方々にも御理解をいただいてきました。市議会のほうも努力をして、促進の決議もしてます。県議会もさせていただきました。
 そんな中ですんで、それをほかで投資をするというのはいかがなものかと思いますし、ましてや、住友金属が公害のために、沖出しをするために埋め立てをした土地であります。それが数値も下がった、沖出しをしなくても大丈夫という中で、用地を変更する、利用目的を変更するという中で、関西電力との交渉がまとまったという流れのある土地であります。地域の方々は、いろんな意味でどうなるんだろうということを随分心配をなさっています。
 ぜひとも早い時期に着工できるよう我々も頑張りたい、また、和歌山のためにも頑張らなければならない問題であると考えています。どうかよろしくお願いを申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。

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