平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(大沢広太郎議員の質疑及び一般質問)


平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(大沢広太郎議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 100年に一度、200年に一度とも言われていた紀伊半島大水害、平成23年9月に発生をいたしました。大水害といっても、多くの皆さん方には余り実感が湧かないかと思います。
 この水害時、旧熊野川町に住む私の知り合いは、大雨が降る中で自分の自宅の真下を流れる熊野川の水がだんだんとたまり出し、川底から堤防となっている国道までが高さが30メーター近くあることから、心配はないやろうと思っていたそうであります。しかしながら、水は見る見るうちに国道にもあふれ出し、自宅のほうに押し寄せ、さらに自宅の2階にまで押し寄せてきたそうであります。どこへも逃げるすべがなく、そして2人は大きな棒を手に2階の天井の板を、そして屋根裏を突き破って、奥さんと2人で2階の屋根の上に駆け上がったそうであります。まさに、九死に一生を得たとのことであります。また、夜明けとともに、何人かの人が熊野川に流されていくのを目の当たりにしたということであります。
 また、地元田辺市では、伏菟野地区や熊野地区、そして本宮町などにおいても、大規模な深層崩壊による地すべりや土石流が発生をいたしました。さらに、那智川流域や国道168号、また、多くの土石流が発生をし、これらの地すべりや土石流により多くの住宅が押し流されたほか、紀南地方の幹線道路であります311号や168号が寸断されるなど、甚大な土砂災害が発生をいたしました。
 この大災害により、那智勝浦町や新宮市、それに私の地元田辺市など、県内を初め、奈良県内などで被害が相次ぎ、県内だけでも61人の方々が亡くなったり行方不明になるなど、甚大な被害をもたらしました。
 この大災害を受けて、我が自由民主党県議団では、翌年の改選後に、砂防事業推進議員連盟を発足させました。そこで、私は、議連の会長に就任をさせていただき、事務局長の濱口太史議員らとともに地域の安全と活性化に向けて取り組んでいるところでございます。
 また、一昨年の12月には、仁坂知事に対して、国立砂防防災研究所の誘致や砂防対策の充実強化などを要望する請願書を提出したり、我々の推進議員連盟と国会議員の先生方、また県当局とが一体となって努力した結果、昨年4月には、大規模土砂災害対策技術センターが設置をされたわけでございます。このほか、昨年の7月には、二階総務会長らが中心となっていただいて、那智勝浦町で大規模土砂災害の対策研究機構設立のシンポジウムが開かれ、約2000人の方が参加をしていただきました。シンポジウムには、京大や三重大など多くの大学の教授や砂防研究者、それに国交省の幹部の皆さん方が、災害防止への研究成果や今後の取り組みなどについて質疑が交わされたわけでございます。
 このような防災・減災に向けての取り組みが続く中、県は、国や大学などと連携をして、さきに述べた技術センターが主体となった県土砂災害啓発センターを那智勝浦町に設置する運びとなりました。本格的な防災センターは、来年4月のオープンを目指して建設が進められているとのことであります。県当局の説明では、深層崩壊の起こりやすい地形や災害発生時の地下の水の含有量が多く含まれる、そんな大規模土砂災害のメカニズムなどの研究が行われるということであります。
 これに加えて、県民の皆さんにも参加をしていただき、土砂災害防止の警戒、避難などについて啓発活動を広めてもらおうと、被災者による体験の語り部や、また、地区のお年寄りらによって先人による知恵をいただき、危険箇所の指摘や避難誘導路の整備について教わるなど、啓発センターと地域住民が一体となった活動を展開していってはどうかと思うわけでございます。
 冒頭で、私は、100年に一度、200年に一度しか発生しないと思われるということを述べましたけれども、現在は地球温暖化の影響による異常気象が発生をしております。この異常気象、水害だけではなく一年中起きており、昨年の徳島の雪害を初め、今月の10日から16日にかけて、北日本では大雪に見舞われました。このような異常気象の影響による災害が頻繁に発生をすることが予想されますと、紀伊半島大水害は10年に一度、20年に一度発生しても不思議ではありません。
 このような観点から、県当局におかれましては、大災害への対策として、この災害啓発センターがどのように情報発信などに取り組み、地域住民の安心・安全を確保するかなど、知事の答弁をお願いいたしたいと思います。
 続きまして、最終項目の質問に入ります。
 ここでは、将来を見据えた本県の観光振興策の1つについて取り上げます。
 ふえ続ける外国人観光客に、安心かつ安全に旅行もしくは観光を楽しんでもらおうと、本県ではさまざまな取り組みが行われています。
 外国人観光客は、台湾、香港、中国を初めとするアジア圏が多いほか、近年はアメリカやヨーロッパ圏の人々も多く来県をされています。一昨年の平成25年1年間では、宿泊客だけでも約21万2000人に上り、10年前の約3.5倍に達しています。また、昨年1年間、白浜に前年より32%余り多い7万7000人余りの外国人の宿泊客が訪れ、2年連続して数字を更新しております。
 県では、急増する外国人観光客にスポットを当て、新年度から大型観光キャンペーンを展開すると聞いております。これは、政府が新年度に実施する地方創生交付金を活用したり、また、県内を訪れる外国人にお土産として梅干しなどの特産品をプレゼントしたり、そしてまた、旅行会社と協力をしてキャンペーン期間中に使える格安旅行券の販売などに取り組むというものあります。
 このほか、県では、外国人観光客に対応しようと、熊野古道を初めとする主な観光施設に、外国人にわかりやすい英語表記での観光案内板を設置すると聞いております。例えば、田辺市の川湯温泉は、これまで「カワユ・スパ」だったのに対して「カワユ・オンセン」に、白浜の円月島は「エンゲツトウ」だったのに対して「エンゲツトウ・アイランド」に、和歌山城がこれまでの「ワカヤマジョウ」が「ワカヤマキャッスル」に見直しされました。見直しは60カ所ぐらいあるとのことであります。
 さらに、外国人が混乱するケースに着眼をしてみますと、災害時に対する外国人の救済対策は余りとられておりません。もし南海トラフ級の災害が発生をした場合、日本語の通じない外国人はどのように避難をしたらいいのでしょうか。
 熊野古道の玄関口である紀伊田辺駅には外国人向けの観光案内板は少しあるものの、災害時での避難路や避難場所を知らせる案内板やパンフレット、リーフレット、それに県や市町村のホームページなどにもほとんどありません。
 そこで、英語、中国語、韓国語といった3カ国語の防災情報を知らせる案内板やリーフレットなどを作成して、安心かつ安全、それに快適な紀州路の観光を楽しんでいただいてはいかがなものでしょうか。商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、和歌山県土砂災害啓発センターあるいは技術センターの件でございますが、平成23年の紀伊半島大水害によって、死者・行方不明者を含め、地域社会に大きな被害を和歌山県は受けました。
 そこで、県選出国会議員、それから自由民主党県議団砂防事業推進議員連盟の大沢会長を初め県議会議員の皆様方の御協力を得て、平成26年4月に国土交通省・大規模土砂災害対策技術センターを誘致することに成功いたしました。
 また、このセンターを核として、国土交通省、和歌山県、那智勝浦町のほかに、地元和歌山大学や三重大学、京都大学、北海道大学を加えて、大規模土砂災害対策研究機構が設立され、土砂災害に関する研究を開始したところであります。平成26年度には、参加する4大学を含め、延べ160人の研究者が現地調査に入り、着実に研究が進められているところでございます。
 さらに、県としては、この技術センターと研究機構を誘致するとともに、紀伊半島大水害などの過去の災害の経験や教訓、調査研究により得られた成果や技術的知見を発信するため、また技術センター等がその中に入ってくれる和歌山県土砂災害啓発センターの建設に着手し、平成28年4月にはオープンをする予定になっております。
 施設が完成した暁には、土砂災害の歴史や地質に関する資料、また研究機構の研究成果をパネル展示や映像化することにより、県民はもとより観光客などの方々にも、いつ、どこで起こるかわからない土砂災害の恐ろしさやメカニズムなどを正確に知っていただき、まずは命を守るため、災害が発生する前に的確に避難できるよう啓発を進めていくこととしておりまして、これには災害に遭われた方々の経験や知識なども活用していきたいと考えております。
 このように、このセンターは和歌山県政史上輝かしい成果になるものと思いますけれども、そのように自覚しておりますが、自民党砂防事業推進議員連盟会長として御尽力いただいた大沢先生には心から感謝をしております。
 大沢先生は、議員を今期限りで引かれるとのことでございますけれども、本件に限らず、いつまでもお元気で県勢の発展に御協力いただきますようお願い申し上げます。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 外国人観光客の災害時の安全確保についてお答えします。
 災害時において、土地カンがなく、また情報へのアクセスが制限される外国人観光客につきましては、まずは、その命を守るために緊急避難場所への誘導が肝要であります。そのためには、宿泊施設や観光施設従業員への周知徹底、また、道で迷っていたら手を引っ張ってでも連れていくなど、地域の皆様の協力が必要となりますので、外国人観光客の避難誘導について、今後、市町村や観光協会等との協議を進めてまいりたいと考えております。
 また、外国人観光客に安心して安全に和歌山県の旅行を楽しんでもらうためには、外国人観光客が行動するあらゆる場面で案内表示の多言語化が求められています。これまでも順次進めてきているところですが、外国人観光客の円滑な避難のための誘導案内の多言語表示については、一部の設置に限られております。
 そのため、国の交付金を活用して、市町村の観光案内等の多言語対応を一気に進めていくに当たり、避難誘導の多言語表示を強く働きかけ、支援していくとともに、県作成の外国人観光客向けガイドブックなどを活用した緊急避難場所情報の発信や、外国人観光客向け災害情報提供アプリの周知、活用に向け取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。──大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 それでは、議長のお許しをいただきましたので、再登壇をさしていただきます。
 私は、市議会議員、県議会議員を通じて25年の議員生活を続けてまいりましたが、今期をもちまして辞することを決心いたしました。
 この間、地元はもちろんのこと、各方面の皆さん方には大変お世話になりました。ここに深く感謝を申し上げる次第でございます。
 また、先輩議員、同僚議員、そして仮谷知事を初め西口、木村、仁坂知事のもとで議員生活を過ごさせていただきましたこと、万感の思いがあるわけでございます。この間、また、議会事務局を初め多くの県当局の職員の皆さんにもお世話になりました。心から感謝をしております。
 このほか、多くの若手議員には新しい時代の潮流を教わったり、また逆には、政治家に常に求められる政治倫理、道徳の大切さを唱えたりしたのも懐かしい思い出となりつつあります。
 ここで、思い出に残る一般質問を2~3紹介をさせていただきたいと思います。
 初当選の年の平成7年9月議会では、水産業の現状と振興策についてを取り上げました。それ以来、私は、水産業の振興をベースに、何度も何度もこの議場で質問を続けてきました。
 そんなときに、先輩議員の尾崎要二さんから冷やかされました。「海に生きて30年、エナメルの靴を履いた漁師さん」、このようなことも言われたわけでありますけれども、私は、その当時、30年間水産に従事しておった関係で、得意分野は水産であったわけでございまして、ですから、そのように冷やかされたんだな、今、反省をしているところでございます。
 その間に、私は、水産のことになりますけれども、その当時、田辺市に増殖試験場、そして、串本に水産試験場などがあったわけでありまして、統合して立派な建物を和歌山県に1つつくるということで、田辺市と、そして串本町が綱引きをしておった当時でありました。私はもちろん、田辺にはすばらしい水産業のまき網軍団もあるし、田辺市に誘致をしたい、こんなことでありましたけれども、西牟婁郡の人たちは串本にということで、綱引きをしたわけでありますが、私は、ぜひとも田辺市にという気持ちはあったわけでありますが、串本に一歩お譲りをしたわけでございます。
 次に、高速道路の紀南延伸についてのことを聞いてください。
 私が、当選をさしていただいた平成7年、高速道路は広川インターまでしかできておりませんでした。田辺を出て、御坊市を通り、そして由良のバイパスを通って広川インターに乗ったものでした。約3時間ぐらいかかって県庁に着いたのであります。ところが、御存じのとおり、今はもう田辺市まで高速道路ができたわけでありまして、1時間ちょっとで来るような時代になった上に、この7月、8月にはすさみ町までできるということで、串本の前芝君や、また那智勝の谷君などは、もう3分の1に近づくんではないかなあ、そのように思う次第でございます。
 私は、町田元会長、そして中村現会長のもとで高速議連の幹事長を20年近く務めさしていただき、紀南延伸のためにと、当時の近畿地建や建設省、そして国土交通省などにも何度も何度もみんなで陳情に行ったのがきのうのように思われてなりません。そこには、二階総務会長のバックアップや、知事を初め県当局の皆さんの努力のたまものがあるわけでありました。紀伊半島一周の道路も、近い将来、完成するのは必至であります。
 一般道路について少し触れさしていただきたいと思いますが、田辺市で一番渋滞をしてる箇所が、田鶴の交差点でありました。42号線と、そして白浜温泉へ通じる旧白浜有料道路との交わるこの交差点でありました。
 ここでは、朝夕の通勤時間帯、または土曜、日曜などには、1時間前後もかかる大渋滞でありました。地元の新庄地区の皆さんから、「生活道路が確保できない」、また「病人やそういう救急なことができたら走行にも大変影響する」、このような苦情が、そして要望が頻繁に寄せられたわけであります。私は、何度も何度も現場を見さしていただきました。この分だと1車線は拡幅できるだろう、強力に県のほうに拡幅の整備を訴えたところ、昨年、交差点前後が拡幅をされ、渋滞がかなり緩和をされて、今、スムーズに走っておるわけでございます。
 また、和歌山の友人や同僚議員からは、「広やん、田辺の旧市内は、道が複雑で一方通行も多く、どう通ったらいいんか難しい」などとよく耳にしていました。そこで、私は、田辺の駅周辺の道路整備を県などに強く訴え、最近になって大きく利便性が向上してきた次第であります。
 また、バス路線が発達をしていない紀南地方での住民は、燃費がよく税金が安い軽自動車を生活の糧としておるわけでございました。この現状を踏まえて、国で検討されていた軽自動車税の値上げについてみんなで強く反対を唱え、当初の案よりも軽自動車税が引き下げられ、現状に至ってるわけでございます。
 私は、これからも地元田辺市を初め紀南地方、そして和歌山県の発展のためにも、郷土を愛することに力を注いでいく次第でございます。
 幸い、引退後は、田辺市が本年10周年という記念の年に当たるわけでございまして、10周年記念のこの式典、50年ぶりに開催をされる大相撲を田辺市に呼んでくるわけでございまして、名前も「大相撲紀州梅の郷場所」ということをつけさしていただいて、私が実行委員長として、田辺、白浜の観光や経済の発展、振興などに寄与していきたいと考えております。
 また、今後は、四半世紀にわたる政治家生活を振り返りながら、そして検証をして、本県の発展のために、微力でありますが、力を注いでいく次第であります。
 皆さん、20年の間、大変お世話になり、ありがとうございました。終わりに、和歌山県の発展と、そして皆様方の御健勝、御多幸を御祈念申し上げ、私の最後の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、大沢広太郎君の質問が終了いたしました。

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