平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第73号まで及び議案第75号から議案第92号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。
 質問に先立ちまして、今期で御勇退をされる先輩の皆様、大変お疲れさまでございました。選挙に当選し続けるということは本当に大変なことでございまして、長年の御労苦、そしてまた御活躍に敬意を表する次第でございます。どうぞこれからもお元気で御活躍いただきますよう、心から祈念をいたしております。
 今期最後の質問をさせていただくわけでございますが、同僚・先輩の皆さんのおかげで、この期は、実は毎回質問をさせていただくことができました。当局の皆さんには嫌なことだと思われたかもわかりませんが、大変勉強になりました。質問こそ議員の本分であるというふうに私は思いました。ぜひ、皆さん、次回選挙には見事当選されまして、その暁には、大いに登壇をして論戦をしていただきたいというふうに思います。
 それでは、通告に従いまして質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、地方創生について伺います。
 昨年5月、日本創成会議から公表された全国1800市区町村別2040年人口推計結果は衝撃的な内容で、各方面から驚きを持って受け取られました。改めて、過疎過密が進行し、地方消滅が現実のものとなりつつあることが証明されました。そして、アベノミクスが地方では実感できないという声を背景に、安倍政権において、地方創生は喫緊の課題となりました。
 昨年の内閣改造で石破茂地方創生担当大臣が就任し、年末には、人口減の克服と地方創生を目指す長期ビジョン並びに2015年から始まる5カ年総合戦略が決定されました。
 それを受けて、本県でも県版総合戦略を策定することになっていますが、地方創生についてどのように取り組むつもりでしょうか。知事の思いを伺います。
○議長(坂本 登君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国のまち・ひと・しごと創生総合戦略では、基本的な考え方として人口減少の克服が掲げられています。
 人口減少問題は、最近、増田レポートなどでこの問題が取り上げられておりますけれども、社会保障制度の維持が困難となり、産業の衰退につながるなど、大変深刻な問題であると以前から認識しているところであります。特に和歌山県は、全国の中でもその程度が激しいというところから、就任以来、最重要課題として、社会減、自然減の両面からの対策を実施してまいりました。
 社会減対策といたしましては、地域に雇用があるということが最も大事でありまして、雇用を創出するためには企業活動を盛んにすることが必要でございます。
 現在、国の地方創生の取り組みが本格化しておりますけれども、国の経済対策による景気回復の動きに加え、県内インフラの急速な整備など、県にとって将来に向けた投資をする絶好のチャンスが訪れております。民間の方々による将来のための投資が盛んになるように、従来からの技術開発支援などの取り組みに加え、創業から成長、安定に有効な融資や国の施策を総動員し、企業を支援する施策を実施してまいりたいと思っております。
 また、これまでトップセールスの実施や奨励金制度の充実などにより133社の企業を誘致いたしましたが、新年度では、企業用地の開発やICT企業の誘致など、引き続き企業誘致の対策も強化していく所存であります。
 さらに、観光振興や強い農林水産業づくりに努め、産業を盛んにし、雇用を創出していきたいと思っております。
 加えまして、地域の魅力を高めることにより、移住──よそから移っていただく方々──を促進いたしまして、地域の人口をふやす施策にも取り組んでまいりたいと思っております。
 一方、自然減対策でございますが、これは、従来から不妊治療のこうのとりプランや3人目のお子様の保育料をただにするような紀州3人っこ施策を実施してまいりました。また、さらに県版の婚活支援も始めました。新年度では、結婚や子育てのポジティブキャンペーンを展開するなど、結婚から妊娠、出産、子育てへと切れ目のない少子化対策を強化していく所存であります。
 人口減少、そして地方創生は、一過性の取り組みに終わらせることなく、取り組みを積み重ねていくことが肝要でありまして、腰を据えてしっかりと進めていく所存であります。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 本当に盛りだくさんのメニューでございます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 私は、国が示しております案の中で、2つのことについて注目をいたしました。そのことについてお聞きしたいと思います。
 まずは、政府関係機関の地方移転であります。
 国の地方創生総合戦略の中には政府関係機関の地方移転という項目がありますが、本県の取り組みはいかがでしょうか。知事に伺います。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 人口の東京への過度な集中を是正し、地方への新しい人の流れをつくる観点から、議員御指摘のとおり、国の総合戦略において、政府関係機関の地方移転を進めることが盛り込まれております。
 また、今月10日の石破地方創生担当大臣の記者会見では、今年度末までに国が移転候補リストを提示し、道府県の誘致提案の募集を行い、来年度中に移転すべき機関を審査の上、決定、平成28年度以降に移転の具体化を図るとの方向性が示されたところであります。
 誘致に当たっては、新たな施設整備に伴う地方負担の発生など、なかなか難しい問題も想定されますけれども、地方への移転が実現すると、県の政策との相乗効果や地方経済への波及効果など、地域の活性化につながるものと考えております。
 県では、これまでも、この話が出てくる前も、皆様方の御尽力によりまして、国の大規模土砂災害対策技術センターの誘致が達成されました。そのほかも、国の機関の誘致に積極的に取り組んでいるところであります。
 今回の国の募集を待つまでもなく、実は本県にとって有効な政府機関の誘致に向けて頑張っとるんですけれども、さらにこれを大きなチャンスと捉まえて、前向きに対応していきたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございました。
 和歌山県の産業を発展させていくことを考えた場合に、例えば、これから世界的な成長戦略と言われております宇宙航空産業、その代表的な会社で三菱重工というような会社がありますが、そこの経営者の立場になって考えたときに、和歌山へ工場をつくりたいと思わせるような何か条件、そんなものはあるのかなといろいろ考えてみましたら、突き詰めていったら、やっぱり人かなと。
 防災研究所が今度できますが、早速、北海道大学だとか全国の大学から研究者が集まるということになってるというふうに伺っておりまして、そういう研究者が集まる、それから、大学をつくって研究者を集め、また人を養成すると、こういうことが大変和歌山県の産業発展に役に立つというふうに私は思います。
 国出先機関というのがたくさんあるわけでございまして、和歌山県は海に面してるので、半島性があっておくれてきたということもありますが、実は海に面してるということはすごく有効なことでありまして、海洋研究開発機構でありますとか農業関係の研究機関がたくさんありますので、ぜひ知事に頑張っていただきたいと思いますし、我々もバックアップをさせていただきたいと思っております。
 続きまして、その大きな役割を果たしてくれる大学についてでありますが、去る2月23日付の「毎日新聞」は、大都市に集中する大学生を地方の私学に分散するよう、私学助成金の運用を変更すると報じています。その背景として、政府の地方創生戦略に、地方の学生が自分の住む県の大学へ進学する割合、いわゆる地元大学進学率を、2020年までに、2013年の33%から36%に引き上げる目標を掲げていることを指摘しています。
 大学についても、知事は、さきの議会で有効性を述べるとともに、薬学部設立に向けて熱心に取り組んでいただいております。そもそも、平成26年度でも地元大学進学率が10.8%と長年最下位に甘んじている原因は大学が少ないことにあり、地元大学進学率を引き上げるためには、本県では、まず大学そのものを設立することから始めなければなりません。
 しかし、今回の戦略は、越えられないハードルが設定されたと諦めるのではなく、むしろチャンスがめぐってきたと考えるべきではないでしょうか。国が地方創生のために大学の存在や地元大学進学率の引き上げが必要と言うなら、おくればせながらではありますが、本県では大学設立の支援を求めるべきだと考えます。
 既設の大学がないことは一見損なように見えますが、実は既設大学を新時代に合うよう改編することはなかなか困難で、新設するほうが容易であると思います。しかも、文科省は、公立大学や私学は一定水準を満たせば幾らでも許可をすると言っています。さらに、設置基準も大幅に緩和されました。
 かつて、大学を設立するのに各種の規制があり、新設はおろか、学部や学科の増設も困難でした。しかし、一たび設立されたら、逆に規制に守られ、経営は安定しました。その結果、およそ700もの大学が駅前大学というほど林立し、大教室での授業は当たり前で、医学部や薬学部さえも国家試験予備校のようだと言われ、およそ高等教育とは言いがたい内容になりました。
 今日、少子化が進み、設置規制が緩和され、大学は質を問われることになり、生き残りをかけた大競争時代に突入したのではないでしょうか。本県は、大学など高等教育機関の立地で100年のおくれをとりましたが、これから迎える大競争時代に対して、秋田県立国際教養大学を手本に積極的に打って出るべきであると考えます。
 地元大学進学率については、石破大臣の地元鳥取県も低いようです。同県や隣の奈良県、島根県、佐賀県などと連携して、この機会に、地方に大学を設立するために支援を求めるべきと考えます。知事はいかに取り組むんでしょうか。御答弁をお願いします。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、国の総合戦略において、地方の若い世代が大学等の入学時や卒業時に東京圏に流出するという課題解決に向けて、2020年に地元大学への進学率を現在の33%から36%に引き上げるという指標を設定いたしました。このような指標が設定された限りは、国が大学の設置についても支援をすべきであり、議員御提案のとおり、他県と連携して国に支援を求めてまいる所存であります。
 大学は、若者の集積場所であります。文化の振興や地域の交流・活性化という効果があるわけでありますし、若者がいっぱいいるということは、それだけで何となく楽しいというところもございます。常々、大学がたくさんあるといいなあと思っておりまして、ぜひともそのようにしたいというふうに思ってるわけです。
 本県では、少子化問題などを勘案して、専門職業人の育成校であればチャンスがあると考えております。なぜならば、実は大学があればいいなあと、今、私は思っておるわけですけど、一方では、その大学のほとんどが経営が危ないと言って、学生数の減少に対してどうしようかと思って悩んでいるというような事態がありますので、何でもいいというわけではなかなかないだろうと思います。
 そこで、既に県立医科大学の定員増とか保健看護学部の設置、これはかなり前でございますが、大学院は最近できまして、それなども行ってまいりました。看護大学の誘致も、実は水面下では大いにやっております。これは、看護学部がありますので、県立というわけにはいかないんで、私立のそういう意向のある法人があればいいなあということでやっとるわけでございます。それから、県立医科大学の薬学部、これは我がほうの仕事になりますので、和歌山市なんかともよく相談をしながら進めているところであります。
 そのほかも、まだ見えておりませんけれども、今申し上げましたような意味で、民間の方々が、これは和歌山でもいいんじゃないかというふうな意向にありそうであったら、進んでそこへ行って、それで大いに誘致をしてまいりたいと思っておりますけども、今のところ、その看護大学以外にはなかなか見えていないというのが現状です。
 ずっとこの野心といいますか、意向といいますか、意欲といいますか、それだけは持ち続けて、大学についてはふやしていくように努力していきたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 力強い御答弁をいただきました。どうかよろしくお願いを申したいと思います。
 次に、私の地元には和歌山高専があります。高専も大学になったらいいなあと思うんですが、これはなかなか難しいようであります。
 しかし、1月の25日付の「読売新聞」によりますと、来年度から高等専門学校でロボット開発、情報セキュリティー、航空機整備などの教育プログラムを新設することが決まりました。文科省では、ハイテク分野で活躍できる人材を育成するために、既設の複数の学科を横断する形で、今後の需要拡大が見込まれる分野のカリキュラム新設関連経費として、来年度予算案に1億4000万円を計上しました。そして、来年度中には、国立高専機構や高専、自治体などと協議してモデル校を指定するそうです。
 和歌山高専は、高専ロボコン大会の常勝校で、ロボット工学を目指す学生の目標になっています。また、毎年12月には、御坊市で、知事も主催者の1人となり、ロボットフェスティバルが開催されています。ぜひとも、和歌山高専がロボット開発のモデル校に指定されるよう期待しますが、県として何か支援できないものでしょうか。知事の御所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 高等専門学校教育の高度化推進に係るモデル校につきましては、文部科学省に照会いたしましたところ、来年度、社会的ニーズを踏まえた新分野・領域教育を推進するため、新聞報道によるロボット、情報セキュリティー、航空機整備の3分野に加えて、海洋人材を加えた4分野で指定されるとのことであります。
 現在、大学とか、このような高等教育機関なんですけれども、若干優劣をつけていくといいますか、ぬるま湯ではいかんというか、どうもそういう政策が進行中のようであります。大学に関しても、優秀な大学にはたくさん研究費をつけるけれども、そうでない大学にはその分だけ少なくしかつけないぞというような、そういう政策があって、ちょっと慌ててる大学が幾つかあるようであります。
 和歌山工業高等専門学校は、高専の中では大変立派な教育をしてると私は思います。私も、大分前になりますけれども、この学校の生徒さんなんかとも話をさしてもらいましたが、本当にすばらしい若者で、それで、これはいいことか悪いことかわかりませんけれども、学業優秀な人は今度は有名大学に途中から行くということもあり得るようでございまして、また、高専卒業の人たちも、いろいろなところで──県庁も含めてでございますが──働いていらっしゃいますけれども、大変立派な社会人として活躍してる人が多うございます。そういう意味で、私は、むしろ勝ち組になり得るような、そういう立派な高専だというふうに思っております。
 これは学術的知識と実践的技術を習得する県内唯一のエンジニア育成校でありますが、特に平成19年から毎年、全国規模のイベントであるきのくにロボットフェスティバルを、これは主催者の一員として頑張ってやってくれています。それから、その親元であるところの全国高専ロボコンでも、常に上位入賞という好成績をおさめているわけでございます。
 さらに、本県では、その高専に行く人材ということなんですけれども、物づくりの伝統を持っている、そういう風土であると私は思っておりまして、そういう若者が高専に行って、どんどんといい人材に育ってるということだと思います。
 まさに指定を受けるのにふさわしいと考えておりまして、高専も指定を受けたいとの意向があるようですから、国や、国立高等専門学校機構という全体の機構があるんですが、そういうところにも県からも働きかけるなど、できる限りの支援を行ってまいりたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうかよろしくお願いします。
 次に、農業振興について伺います。
 その1番目といたしましては、消滅集落の復活ということであります。
 昨年末、ブラジル・ドラードスの日系農業組合から専務理事が農林水産省の招きで来日し、本県にも、県中南米協会のお世話で2日間滞在しました。そのとき、専務理事から、同組合では、約2万ヘクタールの畑にトウモロコシや大豆を栽培し、飼料として穀物メジャーなどを通じて世界中に輸出していますが、先祖の地である日本には直接売り込みたいというお話がありました。
 残念ながら、本県には飼料の需要が少なく、食用なら可能性があると思い、遺伝子組み換えでない大豆はないのかと尋ねたところ、周辺全てが遺伝子組み換えのため、遺伝子組み換えしか栽培できないとの答えでした。昨年4月にブラジルを訪問し、飛行機や高速バスの窓から農地が地平線まで続く景色を見て大変驚きましたが、あんなに農地が広いのに遺伝子組み換えしかないということを聞いて二度驚きました。
 その話を聞きながら気づいたことがあります。我が国でも、無農薬有機栽培は、周辺環境を考えると、農業が盛んな地域ほど困難で、むしろ耕作放棄地ばかりの中山間地域のほうが適しているのではないかと。欧米では、オーガニックの野菜やワインは高級食材として流通しており、レストランでは、わざわざメニューにオーガニックと記載されています。
 政府では農業を輸出産業に育てるべく力を入れており、昨年は農林水産物、食品の輸出が6000億円を突破しましたが、今後ともこの勢いで輸出を拡大し続けるためには、おいしいことはもちろん、無農薬有機栽培のような特別栽培こそが、我が国の農産物輸出の基本戦略になるのではないでしょうか。若者が去り、高齢化が進んだ限界集落や誰もいなくなった消滅集落、実はそこが他の農法に影響されない大変有効な農地であったのです。
 平成22年の総務省のアンケート調査によると、県内過疎地域の948集落のうち、いずれ消滅の可能性がある集落が約80カ所あると言われております。このような集落での無農薬有機栽培について、過疎対策としても大変有効と考えますが、本県の認識と今後の取り組みについて、農林水産部長に伺います。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 中山間地域における耕作放棄地の有効活用ということですが、農地が耕作放棄されるには、地形的な条件や担い手の不足など、それなりの理由がございます。御質問の消滅の可能性がある集落の農地ということになれば、傾斜が急峻であったり日照が不足するなど、条件的に農業には余り適さないのではないかと推測されます。しかし、そこは隣接園地から農薬が飛散するリスクのない農地であると考えれば、新たな可能性も見えてまいります。
 無農薬有機栽培は、消費者の安全・安心に対する関心が高まっている今、これからの農業の1つのあり方として評価されています。実践には技術面や生産コスト面等でさまざまな課題がありますが、逆転の発想で取り組めば解決できる部分もあると言えます。
 つきましては、議員御提案のメリットとデメリットを分析し、実現の可能性について研究してまいりたいと存じます。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、米づくりについて伺います。
 去る1月30日、地域農業を考える日高の会へ出席しました。開会前の懇談中に主催者の長岡会長から、和歌山県もおいしい米の品種改良に取り組めないかというお話がありました。
 現在、長岡さんは、イクヒカリという品種を栽培していますが、余りおいしくなく、山形県のつや姫という米をもらったので食べてみたら、余りにもおいしいので思わすおかわりをしたというのです。それでは、つや姫をつくればいいのではと言うと、最近のおいしい米は、都道府県が開発しており、県外へは原則的には出さないそうです。
 長岡さんの説明では、県が推奨するイクヒカリは、1等米でも買い取り価格が1俵1万円を少し上回る程度で、昨年は不作で1等米が少なかったため、ことしは1000円から1500円ぐらい値下がりする可能性がある、もしそうなれば、米づくりはさらに困難になる、やはりおいしい米をつくることこそが、何よりも稲作振興だということでした。
 その場にいた振興局の職員に本県の現状を聞いたところ、水稲については、農業試験場に担当者は2人いるが、新品種の改良などはとても無理とのことでした。
 本県は、気候や自然に恵まれ、紀の川平野や日高平野では早くから稲作が行われてきました。私たちの先祖は、稲作を行うため、沖積平野の湿地帯に圃場を造成し、水路をめぐらすことで治水を行い、2000年もの年月をかけてようやく平地に定住できるようになりました。ところが、ここ数十年の都市化と稲作経営の崩壊が相まって、沖積平野のまちは、どこも内水で水浸しです。そもそも湿地帯ですから、治水対策では限界があります。
 私は、亡くなった父を見ていて思いました。農家には米づくりの遺伝子が組み込まれており、全く採算を度外視しても米をつくり続けるものだと。しかし、申しわけないのですが、その遺伝子は私には継承されなかったようで、米づくりは終了しました。若い世代が米づくりをやらなければ、治水はさらに混乱することでしょう。
 本県においても、農業振興、国土保全、観光振興の観点から、もう一度、稲作振興に取り組めないでしょうか。稲作についての効果と米の新品種開発状況、あわせて本県の取り組みについて伺います。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 水田は、日本文化の精髄である米を生産する場としての役割だけでなく、洪水の防止機能を初め、水源の涵養や生物多様性の保全等、さまざまな機能を保持していると認識しています。
 稲作は本県でも盛んですが、県内の担い手農家は、果樹、野菜、花卉で経営を維持しており、米づくりは副次的な収入にとどまっていることから、県では、米の新品種の開発は行っておりません。これまで国等で育成された品種について奨励品種決定調査を実施し、キヌヒカリ、きぬむすめなど、和歌山の気象条件に合った品種を選定してきたところです。
 今後も、国の直接支払交付金や収入減少影響緩和対策などを活用して稲作農家を支援するとともに、本県に適した品質の高い品種の普及に努めてまいる所存でございます。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 植物で製薬というテーマで質問いたします。
 だんだん春めいてまいりました。ようやくインフルエンザの猛威も終息しつつあるようです。皆さんも御承知のように、インフルエンザワクチンの製造は、不活性化したインフルエンザ菌を鶏に接種して有精卵を産ませる方法で増殖します。パンデミックに備えて、ワクチンを試験管で早く大量に製造できる技術も開発されたと聞きます。技術の進歩に驚くばかりですが、中には、植物を使って薬剤を増殖するという方法も開発されたそうです。
 去る1月27日、太陽光とLEDを使ったハイブリッド型農業用ハウスを視察してきました。御坊市の大洋化学が開発した光が拡散する農業用LEDを使用する密閉型のハウスで、コスト削減や成長促進に効果があると聞きました。
 現在、日照時間が長い本県では太陽光発電があちこちで行われていますが、この日照時間や農業技術、LED技術などをミックスした植物による製薬工場は本県の特性に合致した成長産業になるのではと考えますが、本県の取り組みについて伺います。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 本県では、和歌山県産業技術基本計画において医療分野を戦略的産業と位置づけ、先駆的産業技術研究開発支援事業などにより集中的に支援しているところです。例えば、インフルエンザウイルス捕捉物質の合成方法の開発など、県内企業の具体的な取り組みをサポートすることで医療産業の振興を図っています。
 また、国の日本再興戦略においても医療分野を成長産業と位置づけており、今後は、バイオ医薬品などの創薬が大幅に伸長すると期待されることは十分認識しています。
 議員御指摘の植物を使った創薬は、産業技術総合研究所が北海道において取り組んでおり、こうした先進事例をまずは調査分析してまいります。その上で、事業としての将来性、事業に参画し得る具体的な県内企業や人材の有無、臨床試験に要する多大なコストや開発時間などを見きわめてまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 新分野というのは、大体、世の中のいいという評価が決まってからではもう全く遅いわけでございまして、まだ海のもんとも山のもんともわからないうちに参加をすることが、リスクはありますけども、成功の秘訣ではないかというふうに思っております。
 和歌山県の工業技術センター、すばらしい研究もされておりますけども、地元にタイアップできる企業がないから県外企業とやってると。これは、和歌山県だけじゃなくて、よくありますが、ぜひ県内企業なり、また人材を誘致するように政策的に誘導してもらって、新しい産業に取り組んでいただきたいというふうに思います。要望しておきます。
 3番目に、企業誘致に関して3点質問を行います。
 先般、県が御坊市塩屋工業団地に誘致した企業を視察し、工場の建設状況についてお話を伺ってきました。27歳で独立し、83歳の現在も現役の会長さんから、事業にかける熱い思いと同時に要望も伺ってきました。
 要望の趣旨は、現在、30億円かけて工場を建設中で、進捗状況に応じて、今後、50名程度の社員を雇用したいと思っている。しかし、ことしは10名の採用予定に対し、大卒は3名採用できたが、地元も含め、高校からは1人の採用もできなかった。せっかく思い切った投資をしているのだから、やる気のある若者を採用できるよう応援してほしいということでありました。早速、地元の紀央館高校に問い合わせたところ、今春卒業見込みの就職希望者は、大阪を中心にほとんどが採用決定されたとのことでした。
 同社には、その後、1名採用されたそうですが、今後は、県などが主催する就職説明会に小まめに出展するとともに、インターンシップ制度なども大いに活用していただくようお願いしておきました。
 アベノミクス効果の一刻も早い和歌山到着を期待するものですが、今回のてんまつを通じて、既に都会では雇用環境が大きく好転していることを肌で感じました。同時に、今後の景気回復をにらんで、県においても各種政策を講じておく必要があると思いました。特に、造成に時間がかかる工業団地については適切な判断が必要ですが、知事の御所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、企業からの問い合わせがふえる等、景気回復の兆候も感じております。この機会を逃がすことのないような戦略的な誘致政策を講ずることが必要であると考えております。
 その受け皿として、震災以降、内陸型の工業用地のニーズが高まっております。紀北地域においては、現在計画中の大規模工業団地について、早期の着工を目指して準備を進めております。また、他の地域においても、企業ニーズを見きわめながら優良な用地を確保していきたいと考えております。
 しかしながら、用地造成は、立地環境や採算性を十分に見きわめながら実施しなければなりません。また、その後の企業誘致を成功させるためにも、地元の自治体と県が、お互い熱い、強い熱意を持って進めていかなければなりません。強い熱意と、それから採算ですね、これをちゃんと合わしていかないと、また不良資産をつくってしまったら問題になりますので、企業の意向、それからそのときの採算性、それから地元の意向、そういうものを踏まえながら企業用地の確保に努めていきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 御坊に2つの工業団地があります。塩屋の地区は、金門製作所というのはもう随分前から立地しておりましたが、その後、仁坂知事が就任されてからばたばたっと決まって、残り1カ所を除いて完売いたしました。もう1カ所の熊野地区については、いつ企業誘致の話があってもいいようにぜひ準備をしていただきたいというふうに思います。
 平成25年12月定例会で、造成価格軽減のために設計見直しについて質問いたしましたが、その後の対応について伺います。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 御坊工業団地熊野地区は、計画してから相当期間が経過し、現造成計画の概算設計も平成7年に作成したものであることから、まず現在の単価で改めて積算を行いました。その結果、当時と比較して土砂工事に係る単価が高くなり、当初15億円であった造成費用が18億円となり、事業の採算をとることが困難になりました。
 そのため、全体工事費を抑えるように工法や造成形状の見直しを行い、のり面の保護工の施工方法や山の形状にできるだけ合わせた段々型の造成などを検討しましたが、それにより売却可能面積が減少することになり、やはり事業の採算をとることが困難な状況です。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 造成費用がますます高くなったということはわかりました。
 そのまま置いとけばますます金利がかさむわけでありますので、ぜひもっといい方法を考えていただくか、採算が合うような方法を考えるか、それとも、採算は考えなくても経済効果があるものについて早く判断をしていくか、いずれにしても、来たい、利用したいという人があらわれない限り進みませんので、まずそういう人を連れてくる、誘致をするということを努力していただきたいと思いますし、地元の我々も、及ばずながら頑張っていきたいというふうに思います。
 次に、3番目に、浄化槽の補助対象拡大について伺います。
 質問を行う前に、一言申し上げます。
 今回の新政策に単独浄化槽撤去費用補助が盛り込まれました。大変すばらしい制度の創設であります。この制度が多くの県民に利用され、単独浄化槽から合併浄化槽へ切りかえが促進されることを期待します。この際、知事の英断と担当部局の御努力に敬意を表しておきたいと思います。
 そこで、質問でありますが、お金の要る話ですけども、補助対象のさらなる拡大についてであります。
 かねてより、合併浄化槽に関する苦情として、油物を使用する飲食店などは、合併浄化槽が大きくなるため設置費用がかさみ、出店できないという話を耳にします。
 県では、平成元年から合併浄化槽設置補助要綱を制定し、国や市町村とともに補助をしていますが、補助対象は個人住宅と店舗併用住宅に限定をしており、単独の店舗や事業所は対象外です。しかし、観光振興のためには飲食店の立地は欠かせないことから、田辺市では、住宅以外に飲食店に限定して補助しているそうです。本県も、観光立県を目指すのであれば、飲食店や観光施設にも補助対象を拡大すべきではないでしょうか。
 また、県においては企業誘致に際し奨励金を交付していますが、その中には従業員用の合併浄化槽設置も含まれています。この制度を活用すれば、真水の県費が節約できるのではないでしょうか。
 そもそも国は、この制度をあらゆる合併浄化槽に補助できるように設計しています。また、県や市町村の補助に対して最大8割の特別交付税算入があることなどを考慮すると、県においては、企業誘致や観光振興のために補助制度を大いに活用すべきであると考えますが、県土整備部長の御所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 本県の汚水処理人口普及率は、平成25年度末で57.4%と、全国平均から見て大きくおくれているため、地域の実情に合わせ、下水道等集合処理と浄化槽を組み合わせ、効率的、効果的な汚水処理施設の整備を進めているところです。
 浄化槽については、汚水処理人口をふやすという目的で、個々の家庭からの排水処理を最重点として、50人槽以下の合併処理浄化槽を設置する住宅及び店舗併用住宅を対象に、規模ごとの基準額に応じて、国、県、市町村がそれぞれ3分の1ずつ補助を行い、普及率の向上を図ってきたところです。
 また、平成27年度から、合併処理浄化槽への転換をさらに促進するため、単独処理浄化槽の撤去費用を新たに補助対象に加え、所要の予算を計上しており、これにより、さらなる普及率の向上を図ってまいりたいと考えております。
 議員御指摘の飲食店や企業に対する浄化槽の補助対象の拡大につきましては、住宅に対する普及率の進捗状況や県の財政状況を見ながら、今後、検討してまいりたいと考えております。
  〔「再質問はありません」と呼ぶ者あり〕(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。

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