平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(全文)


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平成27年2月
和歌山県議会定例会会議録
第7号
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議事日程 第7号
 平成27年2月26日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第73号まで及び議案第75号から議案第92号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第73号まで及び議案第75号から議案第92号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 議案第93号(当局説明)
 第5 参考人招致の件
 第6 休会決定の件
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出席議員(40人)
 1番 濱口太史
 2番 鈴木太雄
 3番 尾﨑太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 中本浩精
 10番 上田良治
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 岸本 健
 18番 森 礼子
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 立谷誠一
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
 36番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       市川靖之
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     石原康弘
 会計管理者      岩橋良晃
 教育委員会委員長   山本 哲
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      下田隆文
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     西原龍也
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  午前10時0分開議
○議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第73号まで及び議案第75号から議案第92号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。
 質問に先立ちまして、今期で御勇退をされる先輩の皆様、大変お疲れさまでございました。選挙に当選し続けるということは本当に大変なことでございまして、長年の御労苦、そしてまた御活躍に敬意を表する次第でございます。どうぞこれからもお元気で御活躍いただきますよう、心から祈念をいたしております。
 今期最後の質問をさせていただくわけでございますが、同僚・先輩の皆さんのおかげで、この期は、実は毎回質問をさせていただくことができました。当局の皆さんには嫌なことだと思われたかもわかりませんが、大変勉強になりました。質問こそ議員の本分であるというふうに私は思いました。ぜひ、皆さん、次回選挙には見事当選されまして、その暁には、大いに登壇をして論戦をしていただきたいというふうに思います。
 それでは、通告に従いまして質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、地方創生について伺います。
 昨年5月、日本創成会議から公表された全国1800市区町村別2040年人口推計結果は衝撃的な内容で、各方面から驚きを持って受け取られました。改めて、過疎過密が進行し、地方消滅が現実のものとなりつつあることが証明されました。そして、アベノミクスが地方では実感できないという声を背景に、安倍政権において、地方創生は喫緊の課題となりました。
 昨年の内閣改造で石破茂地方創生担当大臣が就任し、年末には、人口減の克服と地方創生を目指す長期ビジョン並びに2015年から始まる5カ年総合戦略が決定されました。
 それを受けて、本県でも県版総合戦略を策定することになっていますが、地方創生についてどのように取り組むつもりでしょうか。知事の思いを伺います。
○議長(坂本 登君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国のまち・ひと・しごと創生総合戦略では、基本的な考え方として人口減少の克服が掲げられています。
 人口減少問題は、最近、増田レポートなどでこの問題が取り上げられておりますけれども、社会保障制度の維持が困難となり、産業の衰退につながるなど、大変深刻な問題であると以前から認識しているところであります。特に和歌山県は、全国の中でもその程度が激しいというところから、就任以来、最重要課題として、社会減、自然減の両面からの対策を実施してまいりました。
 社会減対策といたしましては、地域に雇用があるということが最も大事でありまして、雇用を創出するためには企業活動を盛んにすることが必要でございます。
 現在、国の地方創生の取り組みが本格化しておりますけれども、国の経済対策による景気回復の動きに加え、県内インフラの急速な整備など、県にとって将来に向けた投資をする絶好のチャンスが訪れております。民間の方々による将来のための投資が盛んになるように、従来からの技術開発支援などの取り組みに加え、創業から成長、安定に有効な融資や国の施策を総動員し、企業を支援する施策を実施してまいりたいと思っております。
 また、これまでトップセールスの実施や奨励金制度の充実などにより133社の企業を誘致いたしましたが、新年度では、企業用地の開発やICT企業の誘致など、引き続き企業誘致の対策も強化していく所存であります。
 さらに、観光振興や強い農林水産業づくりに努め、産業を盛んにし、雇用を創出していきたいと思っております。
 加えまして、地域の魅力を高めることにより、移住──よそから移っていただく方々──を促進いたしまして、地域の人口をふやす施策にも取り組んでまいりたいと思っております。
 一方、自然減対策でございますが、これは、従来から不妊治療のこうのとりプランや3人目のお子様の保育料をただにするような紀州3人っこ施策を実施してまいりました。また、さらに県版の婚活支援も始めました。新年度では、結婚や子育てのポジティブキャンペーンを展開するなど、結婚から妊娠、出産、子育てへと切れ目のない少子化対策を強化していく所存であります。
 人口減少、そして地方創生は、一過性の取り組みに終わらせることなく、取り組みを積み重ねていくことが肝要でありまして、腰を据えてしっかりと進めていく所存であります。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 本当に盛りだくさんのメニューでございます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 私は、国が示しております案の中で、2つのことについて注目をいたしました。そのことについてお聞きしたいと思います。
 まずは、政府関係機関の地方移転であります。
 国の地方創生総合戦略の中には政府関係機関の地方移転という項目がありますが、本県の取り組みはいかがでしょうか。知事に伺います。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 人口の東京への過度な集中を是正し、地方への新しい人の流れをつくる観点から、議員御指摘のとおり、国の総合戦略において、政府関係機関の地方移転を進めることが盛り込まれております。
 また、今月10日の石破地方創生担当大臣の記者会見では、今年度末までに国が移転候補リストを提示し、道府県の誘致提案の募集を行い、来年度中に移転すべき機関を審査の上、決定、平成28年度以降に移転の具体化を図るとの方向性が示されたところであります。
 誘致に当たっては、新たな施設整備に伴う地方負担の発生など、なかなか難しい問題も想定されますけれども、地方への移転が実現すると、県の政策との相乗効果や地方経済への波及効果など、地域の活性化につながるものと考えております。
 県では、これまでも、この話が出てくる前も、皆様方の御尽力によりまして、国の大規模土砂災害対策技術センターの誘致が達成されました。そのほかも、国の機関の誘致に積極的に取り組んでいるところであります。
 今回の国の募集を待つまでもなく、実は本県にとって有効な政府機関の誘致に向けて頑張っとるんですけれども、さらにこれを大きなチャンスと捉まえて、前向きに対応していきたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございました。
 和歌山県の産業を発展させていくことを考えた場合に、例えば、これから世界的な成長戦略と言われております宇宙航空産業、その代表的な会社で三菱重工というような会社がありますが、そこの経営者の立場になって考えたときに、和歌山へ工場をつくりたいと思わせるような何か条件、そんなものはあるのかなといろいろ考えてみましたら、突き詰めていったら、やっぱり人かなと。
 防災研究所が今度できますが、早速、北海道大学だとか全国の大学から研究者が集まるということになってるというふうに伺っておりまして、そういう研究者が集まる、それから、大学をつくって研究者を集め、また人を養成すると、こういうことが大変和歌山県の産業発展に役に立つというふうに私は思います。
 国出先機関というのがたくさんあるわけでございまして、和歌山県は海に面してるので、半島性があっておくれてきたということもありますが、実は海に面してるということはすごく有効なことでありまして、海洋研究開発機構でありますとか農業関係の研究機関がたくさんありますので、ぜひ知事に頑張っていただきたいと思いますし、我々もバックアップをさせていただきたいと思っております。
 続きまして、その大きな役割を果たしてくれる大学についてでありますが、去る2月23日付の「毎日新聞」は、大都市に集中する大学生を地方の私学に分散するよう、私学助成金の運用を変更すると報じています。その背景として、政府の地方創生戦略に、地方の学生が自分の住む県の大学へ進学する割合、いわゆる地元大学進学率を、2020年までに、2013年の33%から36%に引き上げる目標を掲げていることを指摘しています。
 大学についても、知事は、さきの議会で有効性を述べるとともに、薬学部設立に向けて熱心に取り組んでいただいております。そもそも、平成26年度でも地元大学進学率が10.8%と長年最下位に甘んじている原因は大学が少ないことにあり、地元大学進学率を引き上げるためには、本県では、まず大学そのものを設立することから始めなければなりません。
 しかし、今回の戦略は、越えられないハードルが設定されたと諦めるのではなく、むしろチャンスがめぐってきたと考えるべきではないでしょうか。国が地方創生のために大学の存在や地元大学進学率の引き上げが必要と言うなら、おくればせながらではありますが、本県では大学設立の支援を求めるべきだと考えます。
 既設の大学がないことは一見損なように見えますが、実は既設大学を新時代に合うよう改編することはなかなか困難で、新設するほうが容易であると思います。しかも、文科省は、公立大学や私学は一定水準を満たせば幾らでも許可をすると言っています。さらに、設置基準も大幅に緩和されました。
 かつて、大学を設立するのに各種の規制があり、新設はおろか、学部や学科の増設も困難でした。しかし、一たび設立されたら、逆に規制に守られ、経営は安定しました。その結果、およそ700もの大学が駅前大学というほど林立し、大教室での授業は当たり前で、医学部や薬学部さえも国家試験予備校のようだと言われ、およそ高等教育とは言いがたい内容になりました。
 今日、少子化が進み、設置規制が緩和され、大学は質を問われることになり、生き残りをかけた大競争時代に突入したのではないでしょうか。本県は、大学など高等教育機関の立地で100年のおくれをとりましたが、これから迎える大競争時代に対して、秋田県立国際教養大学を手本に積極的に打って出るべきであると考えます。
 地元大学進学率については、石破大臣の地元鳥取県も低いようです。同県や隣の奈良県、島根県、佐賀県などと連携して、この機会に、地方に大学を設立するために支援を求めるべきと考えます。知事はいかに取り組むんでしょうか。御答弁をお願いします。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、国の総合戦略において、地方の若い世代が大学等の入学時や卒業時に東京圏に流出するという課題解決に向けて、2020年に地元大学への進学率を現在の33%から36%に引き上げるという指標を設定いたしました。このような指標が設定された限りは、国が大学の設置についても支援をすべきであり、議員御提案のとおり、他県と連携して国に支援を求めてまいる所存であります。
 大学は、若者の集積場所であります。文化の振興や地域の交流・活性化という効果があるわけでありますし、若者がいっぱいいるということは、それだけで何となく楽しいというところもございます。常々、大学がたくさんあるといいなあと思っておりまして、ぜひともそのようにしたいというふうに思ってるわけです。
 本県では、少子化問題などを勘案して、専門職業人の育成校であればチャンスがあると考えております。なぜならば、実は大学があればいいなあと、今、私は思っておるわけですけど、一方では、その大学のほとんどが経営が危ないと言って、学生数の減少に対してどうしようかと思って悩んでいるというような事態がありますので、何でもいいというわけではなかなかないだろうと思います。
 そこで、既に県立医科大学の定員増とか保健看護学部の設置、これはかなり前でございますが、大学院は最近できまして、それなども行ってまいりました。看護大学の誘致も、実は水面下では大いにやっております。これは、看護学部がありますので、県立というわけにはいかないんで、私立のそういう意向のある法人があればいいなあということでやっとるわけでございます。それから、県立医科大学の薬学部、これは我がほうの仕事になりますので、和歌山市なんかともよく相談をしながら進めているところであります。
 そのほかも、まだ見えておりませんけれども、今申し上げましたような意味で、民間の方々が、これは和歌山でもいいんじゃないかというふうな意向にありそうであったら、進んでそこへ行って、それで大いに誘致をしてまいりたいと思っておりますけども、今のところ、その看護大学以外にはなかなか見えていないというのが現状です。
 ずっとこの野心といいますか、意向といいますか、意欲といいますか、それだけは持ち続けて、大学についてはふやしていくように努力していきたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 力強い御答弁をいただきました。どうかよろしくお願いを申したいと思います。
 次に、私の地元には和歌山高専があります。高専も大学になったらいいなあと思うんですが、これはなかなか難しいようであります。
 しかし、1月の25日付の「読売新聞」によりますと、来年度から高等専門学校でロボット開発、情報セキュリティー、航空機整備などの教育プログラムを新設することが決まりました。文科省では、ハイテク分野で活躍できる人材を育成するために、既設の複数の学科を横断する形で、今後の需要拡大が見込まれる分野のカリキュラム新設関連経費として、来年度予算案に1億4000万円を計上しました。そして、来年度中には、国立高専機構や高専、自治体などと協議してモデル校を指定するそうです。
 和歌山高専は、高専ロボコン大会の常勝校で、ロボット工学を目指す学生の目標になっています。また、毎年12月には、御坊市で、知事も主催者の1人となり、ロボットフェスティバルが開催されています。ぜひとも、和歌山高専がロボット開発のモデル校に指定されるよう期待しますが、県として何か支援できないものでしょうか。知事の御所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 高等専門学校教育の高度化推進に係るモデル校につきましては、文部科学省に照会いたしましたところ、来年度、社会的ニーズを踏まえた新分野・領域教育を推進するため、新聞報道によるロボット、情報セキュリティー、航空機整備の3分野に加えて、海洋人材を加えた4分野で指定されるとのことであります。
 現在、大学とか、このような高等教育機関なんですけれども、若干優劣をつけていくといいますか、ぬるま湯ではいかんというか、どうもそういう政策が進行中のようであります。大学に関しても、優秀な大学にはたくさん研究費をつけるけれども、そうでない大学にはその分だけ少なくしかつけないぞというような、そういう政策があって、ちょっと慌ててる大学が幾つかあるようであります。
 和歌山工業高等専門学校は、高専の中では大変立派な教育をしてると私は思います。私も、大分前になりますけれども、この学校の生徒さんなんかとも話をさしてもらいましたが、本当にすばらしい若者で、それで、これはいいことか悪いことかわかりませんけれども、学業優秀な人は今度は有名大学に途中から行くということもあり得るようでございまして、また、高専卒業の人たちも、いろいろなところで──県庁も含めてでございますが──働いていらっしゃいますけれども、大変立派な社会人として活躍してる人が多うございます。そういう意味で、私は、むしろ勝ち組になり得るような、そういう立派な高専だというふうに思っております。
 これは学術的知識と実践的技術を習得する県内唯一のエンジニア育成校でありますが、特に平成19年から毎年、全国規模のイベントであるきのくにロボットフェスティバルを、これは主催者の一員として頑張ってやってくれています。それから、その親元であるところの全国高専ロボコンでも、常に上位入賞という好成績をおさめているわけでございます。
 さらに、本県では、その高専に行く人材ということなんですけれども、物づくりの伝統を持っている、そういう風土であると私は思っておりまして、そういう若者が高専に行って、どんどんといい人材に育ってるということだと思います。
 まさに指定を受けるのにふさわしいと考えておりまして、高専も指定を受けたいとの意向があるようですから、国や、国立高等専門学校機構という全体の機構があるんですが、そういうところにも県からも働きかけるなど、できる限りの支援を行ってまいりたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうかよろしくお願いします。
 次に、農業振興について伺います。
 その1番目といたしましては、消滅集落の復活ということであります。
 昨年末、ブラジル・ドラードスの日系農業組合から専務理事が農林水産省の招きで来日し、本県にも、県中南米協会のお世話で2日間滞在しました。そのとき、専務理事から、同組合では、約2万ヘクタールの畑にトウモロコシや大豆を栽培し、飼料として穀物メジャーなどを通じて世界中に輸出していますが、先祖の地である日本には直接売り込みたいというお話がありました。
 残念ながら、本県には飼料の需要が少なく、食用なら可能性があると思い、遺伝子組み換えでない大豆はないのかと尋ねたところ、周辺全てが遺伝子組み換えのため、遺伝子組み換えしか栽培できないとの答えでした。昨年4月にブラジルを訪問し、飛行機や高速バスの窓から農地が地平線まで続く景色を見て大変驚きましたが、あんなに農地が広いのに遺伝子組み換えしかないということを聞いて二度驚きました。
 その話を聞きながら気づいたことがあります。我が国でも、無農薬有機栽培は、周辺環境を考えると、農業が盛んな地域ほど困難で、むしろ耕作放棄地ばかりの中山間地域のほうが適しているのではないかと。欧米では、オーガニックの野菜やワインは高級食材として流通しており、レストランでは、わざわざメニューにオーガニックと記載されています。
 政府では農業を輸出産業に育てるべく力を入れており、昨年は農林水産物、食品の輸出が6000億円を突破しましたが、今後ともこの勢いで輸出を拡大し続けるためには、おいしいことはもちろん、無農薬有機栽培のような特別栽培こそが、我が国の農産物輸出の基本戦略になるのではないでしょうか。若者が去り、高齢化が進んだ限界集落や誰もいなくなった消滅集落、実はそこが他の農法に影響されない大変有効な農地であったのです。
 平成22年の総務省のアンケート調査によると、県内過疎地域の948集落のうち、いずれ消滅の可能性がある集落が約80カ所あると言われております。このような集落での無農薬有機栽培について、過疎対策としても大変有効と考えますが、本県の認識と今後の取り組みについて、農林水産部長に伺います。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 中山間地域における耕作放棄地の有効活用ということですが、農地が耕作放棄されるには、地形的な条件や担い手の不足など、それなりの理由がございます。御質問の消滅の可能性がある集落の農地ということになれば、傾斜が急峻であったり日照が不足するなど、条件的に農業には余り適さないのではないかと推測されます。しかし、そこは隣接園地から農薬が飛散するリスクのない農地であると考えれば、新たな可能性も見えてまいります。
 無農薬有機栽培は、消費者の安全・安心に対する関心が高まっている今、これからの農業の1つのあり方として評価されています。実践には技術面や生産コスト面等でさまざまな課題がありますが、逆転の発想で取り組めば解決できる部分もあると言えます。
 つきましては、議員御提案のメリットとデメリットを分析し、実現の可能性について研究してまいりたいと存じます。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、米づくりについて伺います。
 去る1月30日、地域農業を考える日高の会へ出席しました。開会前の懇談中に主催者の長岡会長から、和歌山県もおいしい米の品種改良に取り組めないかというお話がありました。
 現在、長岡さんは、イクヒカリという品種を栽培していますが、余りおいしくなく、山形県のつや姫という米をもらったので食べてみたら、余りにもおいしいので思わすおかわりをしたというのです。それでは、つや姫をつくればいいのではと言うと、最近のおいしい米は、都道府県が開発しており、県外へは原則的には出さないそうです。
 長岡さんの説明では、県が推奨するイクヒカリは、1等米でも買い取り価格が1俵1万円を少し上回る程度で、昨年は不作で1等米が少なかったため、ことしは1000円から1500円ぐらい値下がりする可能性がある、もしそうなれば、米づくりはさらに困難になる、やはりおいしい米をつくることこそが、何よりも稲作振興だということでした。
 その場にいた振興局の職員に本県の現状を聞いたところ、水稲については、農業試験場に担当者は2人いるが、新品種の改良などはとても無理とのことでした。
 本県は、気候や自然に恵まれ、紀の川平野や日高平野では早くから稲作が行われてきました。私たちの先祖は、稲作を行うため、沖積平野の湿地帯に圃場を造成し、水路をめぐらすことで治水を行い、2000年もの年月をかけてようやく平地に定住できるようになりました。ところが、ここ数十年の都市化と稲作経営の崩壊が相まって、沖積平野のまちは、どこも内水で水浸しです。そもそも湿地帯ですから、治水対策では限界があります。
 私は、亡くなった父を見ていて思いました。農家には米づくりの遺伝子が組み込まれており、全く採算を度外視しても米をつくり続けるものだと。しかし、申しわけないのですが、その遺伝子は私には継承されなかったようで、米づくりは終了しました。若い世代が米づくりをやらなければ、治水はさらに混乱することでしょう。
 本県においても、農業振興、国土保全、観光振興の観点から、もう一度、稲作振興に取り組めないでしょうか。稲作についての効果と米の新品種開発状況、あわせて本県の取り組みについて伺います。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 水田は、日本文化の精髄である米を生産する場としての役割だけでなく、洪水の防止機能を初め、水源の涵養や生物多様性の保全等、さまざまな機能を保持していると認識しています。
 稲作は本県でも盛んですが、県内の担い手農家は、果樹、野菜、花卉で経営を維持しており、米づくりは副次的な収入にとどまっていることから、県では、米の新品種の開発は行っておりません。これまで国等で育成された品種について奨励品種決定調査を実施し、キヌヒカリ、きぬむすめなど、和歌山の気象条件に合った品種を選定してきたところです。
 今後も、国の直接支払交付金や収入減少影響緩和対策などを活用して稲作農家を支援するとともに、本県に適した品質の高い品種の普及に努めてまいる所存でございます。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 植物で製薬というテーマで質問いたします。
 だんだん春めいてまいりました。ようやくインフルエンザの猛威も終息しつつあるようです。皆さんも御承知のように、インフルエンザワクチンの製造は、不活性化したインフルエンザ菌を鶏に接種して有精卵を産ませる方法で増殖します。パンデミックに備えて、ワクチンを試験管で早く大量に製造できる技術も開発されたと聞きます。技術の進歩に驚くばかりですが、中には、植物を使って薬剤を増殖するという方法も開発されたそうです。
 去る1月27日、太陽光とLEDを使ったハイブリッド型農業用ハウスを視察してきました。御坊市の大洋化学が開発した光が拡散する農業用LEDを使用する密閉型のハウスで、コスト削減や成長促進に効果があると聞きました。
 現在、日照時間が長い本県では太陽光発電があちこちで行われていますが、この日照時間や農業技術、LED技術などをミックスした植物による製薬工場は本県の特性に合致した成長産業になるのではと考えますが、本県の取り組みについて伺います。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 本県では、和歌山県産業技術基本計画において医療分野を戦略的産業と位置づけ、先駆的産業技術研究開発支援事業などにより集中的に支援しているところです。例えば、インフルエンザウイルス捕捉物質の合成方法の開発など、県内企業の具体的な取り組みをサポートすることで医療産業の振興を図っています。
 また、国の日本再興戦略においても医療分野を成長産業と位置づけており、今後は、バイオ医薬品などの創薬が大幅に伸長すると期待されることは十分認識しています。
 議員御指摘の植物を使った創薬は、産業技術総合研究所が北海道において取り組んでおり、こうした先進事例をまずは調査分析してまいります。その上で、事業としての将来性、事業に参画し得る具体的な県内企業や人材の有無、臨床試験に要する多大なコストや開発時間などを見きわめてまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 新分野というのは、大体、世の中のいいという評価が決まってからではもう全く遅いわけでございまして、まだ海のもんとも山のもんともわからないうちに参加をすることが、リスクはありますけども、成功の秘訣ではないかというふうに思っております。
 和歌山県の工業技術センター、すばらしい研究もされておりますけども、地元にタイアップできる企業がないから県外企業とやってると。これは、和歌山県だけじゃなくて、よくありますが、ぜひ県内企業なり、また人材を誘致するように政策的に誘導してもらって、新しい産業に取り組んでいただきたいというふうに思います。要望しておきます。
 3番目に、企業誘致に関して3点質問を行います。
 先般、県が御坊市塩屋工業団地に誘致した企業を視察し、工場の建設状況についてお話を伺ってきました。27歳で独立し、83歳の現在も現役の会長さんから、事業にかける熱い思いと同時に要望も伺ってきました。
 要望の趣旨は、現在、30億円かけて工場を建設中で、進捗状況に応じて、今後、50名程度の社員を雇用したいと思っている。しかし、ことしは10名の採用予定に対し、大卒は3名採用できたが、地元も含め、高校からは1人の採用もできなかった。せっかく思い切った投資をしているのだから、やる気のある若者を採用できるよう応援してほしいということでありました。早速、地元の紀央館高校に問い合わせたところ、今春卒業見込みの就職希望者は、大阪を中心にほとんどが採用決定されたとのことでした。
 同社には、その後、1名採用されたそうですが、今後は、県などが主催する就職説明会に小まめに出展するとともに、インターンシップ制度なども大いに活用していただくようお願いしておきました。
 アベノミクス効果の一刻も早い和歌山到着を期待するものですが、今回のてんまつを通じて、既に都会では雇用環境が大きく好転していることを肌で感じました。同時に、今後の景気回復をにらんで、県においても各種政策を講じておく必要があると思いました。特に、造成に時間がかかる工業団地については適切な判断が必要ですが、知事の御所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、企業からの問い合わせがふえる等、景気回復の兆候も感じております。この機会を逃がすことのないような戦略的な誘致政策を講ずることが必要であると考えております。
 その受け皿として、震災以降、内陸型の工業用地のニーズが高まっております。紀北地域においては、現在計画中の大規模工業団地について、早期の着工を目指して準備を進めております。また、他の地域においても、企業ニーズを見きわめながら優良な用地を確保していきたいと考えております。
 しかしながら、用地造成は、立地環境や採算性を十分に見きわめながら実施しなければなりません。また、その後の企業誘致を成功させるためにも、地元の自治体と県が、お互い熱い、強い熱意を持って進めていかなければなりません。強い熱意と、それから採算ですね、これをちゃんと合わしていかないと、また不良資産をつくってしまったら問題になりますので、企業の意向、それからそのときの採算性、それから地元の意向、そういうものを踏まえながら企業用地の確保に努めていきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 御坊に2つの工業団地があります。塩屋の地区は、金門製作所というのはもう随分前から立地しておりましたが、その後、仁坂知事が就任されてからばたばたっと決まって、残り1カ所を除いて完売いたしました。もう1カ所の熊野地区については、いつ企業誘致の話があってもいいようにぜひ準備をしていただきたいというふうに思います。
 平成25年12月定例会で、造成価格軽減のために設計見直しについて質問いたしましたが、その後の対応について伺います。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 御坊工業団地熊野地区は、計画してから相当期間が経過し、現造成計画の概算設計も平成7年に作成したものであることから、まず現在の単価で改めて積算を行いました。その結果、当時と比較して土砂工事に係る単価が高くなり、当初15億円であった造成費用が18億円となり、事業の採算をとることが困難になりました。
 そのため、全体工事費を抑えるように工法や造成形状の見直しを行い、のり面の保護工の施工方法や山の形状にできるだけ合わせた段々型の造成などを検討しましたが、それにより売却可能面積が減少することになり、やはり事業の採算をとることが困難な状況です。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 造成費用がますます高くなったということはわかりました。
 そのまま置いとけばますます金利がかさむわけでありますので、ぜひもっといい方法を考えていただくか、採算が合うような方法を考えるか、それとも、採算は考えなくても経済効果があるものについて早く判断をしていくか、いずれにしても、来たい、利用したいという人があらわれない限り進みませんので、まずそういう人を連れてくる、誘致をするということを努力していただきたいと思いますし、地元の我々も、及ばずながら頑張っていきたいというふうに思います。
 次に、3番目に、浄化槽の補助対象拡大について伺います。
 質問を行う前に、一言申し上げます。
 今回の新政策に単独浄化槽撤去費用補助が盛り込まれました。大変すばらしい制度の創設であります。この制度が多くの県民に利用され、単独浄化槽から合併浄化槽へ切りかえが促進されることを期待します。この際、知事の英断と担当部局の御努力に敬意を表しておきたいと思います。
 そこで、質問でありますが、お金の要る話ですけども、補助対象のさらなる拡大についてであります。
 かねてより、合併浄化槽に関する苦情として、油物を使用する飲食店などは、合併浄化槽が大きくなるため設置費用がかさみ、出店できないという話を耳にします。
 県では、平成元年から合併浄化槽設置補助要綱を制定し、国や市町村とともに補助をしていますが、補助対象は個人住宅と店舗併用住宅に限定をしており、単独の店舗や事業所は対象外です。しかし、観光振興のためには飲食店の立地は欠かせないことから、田辺市では、住宅以外に飲食店に限定して補助しているそうです。本県も、観光立県を目指すのであれば、飲食店や観光施設にも補助対象を拡大すべきではないでしょうか。
 また、県においては企業誘致に際し奨励金を交付していますが、その中には従業員用の合併浄化槽設置も含まれています。この制度を活用すれば、真水の県費が節約できるのではないでしょうか。
 そもそも国は、この制度をあらゆる合併浄化槽に補助できるように設計しています。また、県や市町村の補助に対して最大8割の特別交付税算入があることなどを考慮すると、県においては、企業誘致や観光振興のために補助制度を大いに活用すべきであると考えますが、県土整備部長の御所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 本県の汚水処理人口普及率は、平成25年度末で57.4%と、全国平均から見て大きくおくれているため、地域の実情に合わせ、下水道等集合処理と浄化槽を組み合わせ、効率的、効果的な汚水処理施設の整備を進めているところです。
 浄化槽については、汚水処理人口をふやすという目的で、個々の家庭からの排水処理を最重点として、50人槽以下の合併処理浄化槽を設置する住宅及び店舗併用住宅を対象に、規模ごとの基準額に応じて、国、県、市町村がそれぞれ3分の1ずつ補助を行い、普及率の向上を図ってきたところです。
 また、平成27年度から、合併処理浄化槽への転換をさらに促進するため、単独処理浄化槽の撤去費用を新たに補助対象に加え、所要の予算を計上しており、これにより、さらなる普及率の向上を図ってまいりたいと考えております。
 議員御指摘の飲食店や企業に対する浄化槽の補助対象の拡大につきましては、住宅に対する普及率の進捗状況や県の財政状況を見ながら、今後、検討してまいりたいと考えております。
  〔「再質問はありません」と呼ぶ者あり〕(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。一般質問最終日、本日、登壇させていただきましてありがとうございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問させていただきます。
 まず最初に、障害者の雇用施策についてお伺いしたいというふうに思います。
 まず、昨年度から、障害者の就業と自立を支援するため、総合評価落札方式等の評価項目に障害者雇用の取り組み等を新たに追加し、企業における障害者雇用と障害者就労施設等からの物品や役務の調達を促進する目的で、評価項目が追加されました。
 施行されて1年余りが経過しますが、雇用効果や物品、役務の調達の効果はどうなっているのか、福祉保健部長にお伺いします。
 障害者が福祉のお世話になって暮らす社会ではなく、自立をし、税金を納めるタックスペイヤーになることは、社会全体から考えてとても有意義なことだと考えています。
 県では、県庁北別館や、新たに本館1階にお弁当やカレーなどの食べ物を販売する店舗を展開するなど、障害者の皆さんに就労の場を提供していただいています。公共が率先して障害者の皆さんに就労の場を提供していくという方向を示されていることは、高く評価に値することです。
 現在、障害者雇用については、さまざまな施策が用意されていますが、その中でも、就労継続支援A型事業所の取り組みを御紹介したいというふうに思います。
 和歌山市内にあるNPO紀ノ国就労支援センターは、スーパーサンワと業務提携を行い、現在、50名の障害者が就労しています。スーパーサンワは、和歌山市内に2カ所の店舗を持ち、100名の従業員を抱える中小企業です。紀ノ国就労センターは、就労継続支援A型ではスーパーと連携で進めている初めてのケースだというので、何度か視察をさせていただきました。
 行って驚いたのは、障害者か健常者かの見分けがつかないぐらい、両者がスーパーの中で生き生きと働いている様子を拝見したことでした。障害を持つ50名は、紀ノ国就労支援センターの就労訓練所であるクロスオーバーの訓練生として従業員の皆さんに指導していただきながら、週5日6時間の就労をしています。
 訓練生は、知的や精神、発達などの障害を持っているのですが、精肉や鮮魚など、専門性が必要な現場でも活躍しています。従業員が指導員として訓練生に付き添い、指導しているとはいえ、主要な部門を任されているほどの技能を身につけている訓練生もあり、その上達ぶりは目を見張るものがあります。朝礼なども従業員と訓練生が一緒に行っていますが、エプロンの色で見分けないとわからないぐらい元気に働いている姿が印象的でありました。
 知的障害や精神障害があると健常者と一緒に働けないのではという今までの概念を大きく覆し、新しい就労の形を見せていただきました。そこには、自立を目指し働く障害者の姿がありました。ことしも、訓練生として5名の採用が見込まれているそうであります。
 このように、就労継続支援A型事業の福祉サービスは、最も就労が困難とされる知的障害のある皆さんの雇用に大きな役割を果たしています。
 私は、同じ形や手順を繰り返す、正確さを要求する、そういった仕事は、知的障害や精神障害のある皆さんの特性を生かせる仕事だと考えています。スーパーでの仕事もそうでありますが、清掃の仕事なども適しているのではと思い、ビルメンテナンス協会の方に、ビルメン事業者で就労継続支援A型事業をしてはどうかという話をしました。同協会は、アビリンピックにもとても協力的で、障害者雇用にも大変理解があります。
 その方がおっしゃるのは、「いや、我々も障害者の皆さんに訓練の場を提供し、就労につながるよう尽力したいけれども、営業に回る中で、受注先の事業所から障害者を雇用していると断られることが多い、事業所によっては最初から障害者はお断りと言われることもあるというので、なかなか難しい」というようなことでありました。
 これは一例でありますが、ビル管理を任す企業の方々に障害者に対する理解がまだまだ浸透していないというのが現状であります。それは、障害のある皆さんの働く姿が見えていないということも大きな要因の1つだと考えます。
 そこで、今回、一般就労につながるよう、清掃業務に限ってお伺いします。
 昨年の議会では、大阪府の進めている行政の福祉化という取り組みを御紹介しました。大阪府庁では、障害者の皆さんが大勢、清掃業務をされています。府庁を訪れる、または働いている皆さんは、日常的に就労に励んでいる障害者の姿を見ることができます。啓発は口で幾ら言ってもなかなか進みませんが、一緒に働く、身近なところにいるということが、障害者に対する理解を深めると思います。
 先ほど申し上げましたが、清掃業務など民間での理解や受け入れが進まない状況の中、障害者の皆さんが清掃技能を高め、一般就労への道が開かれるよう、公共の場をもっと開放する必要があると考えます。
 県では、有田振興局を初め4つの振興局で地元の作業所に清掃業務を提供しています。障害者が振興局などで働くことで障害者に対する理解が深まり、意義のあることだと考えます。
 ただ、働いている障害者の工賃の状況を見て、少し問題があるのではないかと考えています。
 県が作業所に業務委託をするときは、積算基準に基づいた価格で作業所に委託しており、金額は入札の場合と同じ基準だということです。清掃業務は、手順をきちんと示し、訓練をすれば、障害があっても十分できる作業でありますし、健常者と同じ働きができると確信しています。しかし、その工賃は、1カ月平均9345円から4万8685円と、最低賃金にもほど遠いものです。
 そこで、一定の清掃業務を作業所に委託する際にも、委託先に丸投げというのではなく、障害者の自立につながるようにする必要があると考えますが、見解をお聞きします。
 また、清掃業務も、安かろう悪かろうでは困るわけです。ないとは思いますが、例えばトイレと廊下を同じモップで拭くとか、床を拭いた雑巾で手すりや壁を拭かれるといったようなことがあるとしたら困ったものです。清掃業務の手順や技能をきちんと訓練する必要があります。業務の品質を確保する県としてはどのような対策をされているのか。以上、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(坂本 登君) ただいまの藤本眞利子さんの質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 今年度から実施している障害者雇用等に配慮した入札制度等の直近の状況については、対象となっている建設工事に係る委託業務、役務調達、指定管理者制度における延べ応札者及び申請者数の合計181者のうち、延べ46者が障害者雇用への取り組み等で加点されています。本制度については、企業の障害者雇用等への取り組みが適切に評価できていると考えております。
 今後とも、本制度について、関係部局ともよく連携を図り、障害のある方の就労の促進に努めてまいります。
 次に、障害者就労の機会提供についてですが、県では、振興局の清掃業務を障害福祉サービス事業所に委託し、障害のある方の就労の場の確保を図るとともに、能力向上のための訓練が実施されています。引き続き、より多くの場で清掃業務が実施されるよう、関係部局に働きかけてまいります。
 また、事業所に対しては、就労の場の確保とともに、作業技能の向上により工賃水準が上がるよう働きかけております。このため、本年度、西牟婁振興局を会場に、障害福祉サービス事業所職員を対象とした清掃業務技術習得研修を実施したところです。
 今後とも、障害のある方の就労が促進され、工賃向上につながるよう、研修会の開催など、事業所等の円滑な事業の実施を支援してまいります。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 総合評価落札方式による障害者雇用の状況をお聞きしたわけです。
 スタートしたこの制度は、質・量ともにさらに充実させるためにも、点検と評価をしていただくことが必要だと考えます。担当課だけではなく、関係部局とも連携し、取り組んでいただけるよう要望します。
 また、現在は、作業所での就労から一般就労への道は、なかなかハードルが高い状況であります。清掃業務を通じて障害者の皆さんの一般就労の道が開かれるよう、清掃業務技術取得研修の成果が、指導者だけではなく、障害者の皆さんに届くように取り組んでいただきたいというふうに要望します。
 さらに、その清掃業務というのも、やっぱり2年ぐらいしっかり訓練しないと技能が身につかないというふうに言われておりますので、県としても、一般就労へつながる施策を進めていただけるように要望いたします。
 次に、続けて、新教育委員会制度というふうに、教育委員会のほうの質問に移らせていただきます。
 新教育委員会制度についてお伺いします。
 教育委員会制度の見直しを主な目的とする地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律が改正され、ことし4月1日から施行されることになっています。
 今回の改正は、教育の政治的中立性、継続性・安定性を確保しつつ、地方教育行政における責任体制の明確化、地方公共団体の長と教育委員会との連携等を行うものとされています。
 また、教育の政治的中立性を担保するために、引き続き執行機関として合議制による教育委員会制度は残すこととされ、教育に係る首長と教育委員会の権限関係も変更がないというふうにされています。教育長は、教育委員会の意思決定に基づき事務をつかさどる立場にあることは変わりなく、教育委員会の意思決定に反する事務執行を行うことはできないという点でも、改正法は旧法と変わりないという確認もされています。
 このように、今回の改正は、教育の中立性を損なうものではなく、首長と教育長の連携こそが重要なポイントであると私は認識しているところであります。
 そこで、何点か質問をさせていただきます。
 まず、知事と新教育長との関係について、どのようになるのか、お伺いします。
 次に、全ての地方公共団体に総合教育会議を設置することが明記されました。この会議では知事が教育委員を招集することとされていますが、この会議は、どのような考えのもと進めていくのか、お伺いします。
 最後に、教育に関する大綱を知事が策定することとなっています。大綱は、総合教育会議において知事と教育委員会が協議調整を尽くし、知事が策定することとなっていますが、現在ある教育振興計画との整合性はどのようにするのか。また、この大綱に明記された内容が市町村への関与を含んでいるのか。以上、教育長にお伺いします。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 今回の教育委員会制度の改正におきましては、教育長は、従来の教育委員長と教育長の両方の職責を担い、教育委員会を代表することになります。また、教育委員会は、御指摘のとおり、引き続き執行機関であり、職務権限は従来どおりであることから、政治的中立性、継続性・安定性が確保できるものと考えております。
 本県では、現行制度でも、知事と教育長が相互に信頼し、必要に応じて協議を深め、緊密な連携協力のもと、適正、円滑に教育施策を進めております。新制度に移行しても、和歌山県のあすを担う子供たちのために一層連携を密にし、意思疎通を図ることで、本県教育の充実に努めることが重要であると考えております。
 次に、総合教育会議では、大綱の策定や教育、学術、文化の振興を図るため重点的に講ずべき施策等について、知事と教育委員会がこれまで以上に連携を深め、対等な立場で真摯な協議を行うことで、より一層民意を反映した教育行政を進めることが肝要であると考えております。
 知事が策定する大綱につきましては、本県の教育施策の根本的な方針を定めた和歌山県教育振興基本計画との整合性を保てるよう、総合教育会議において協議・調整を図っていくべきものと考えております。
 また、市町村が定める大綱については、法律上は都道府県の大綱との関係は規定されておりませんけれども、市町村においては、県の大綱も視野に入れながら、それぞれの市町村の大綱を定めていくものと考えております。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 教育委員会制度が変わり、教育長、教育委員会、知事と今まで以上に連携をとりながら教育を進めていくという方向が示されたと思います。
 子供の教育というのは、就学年齢に限らずに、生まれてから18歳までの乳幼児から青年期までのその年齢に応じた支援が必要です。そういった意味では、知事部局の長である知事と教育委員会の責任者である教育長が連携を密にして子供たちの教育に当たることの意義は大変大きいというふうに思います。
 ただ、くれぐれも──政治家ですので、知事は──政治的圧力による教育の中立性が損なわれることのないよう、再度確認しておきたいと思います。
 引き続きまして、発達障害教育における通級についてお伺いしたいというふうに思います。
 和歌山県では、小中学校の通常の学級に在籍している比較的軽度の障害のある児童生徒に対して、障害による学習上または生活上の困難を克服するために、その障害に応じて特別な教育課程による指導を行う通級指導教室を設置しています。和歌山県には、言語の通級教室が9カ所、LD等通級指導教室が33教室設置されています。県が行っているLD等通級指導教室は、主にLDやADHDといった特性を持つ子供たちを指導するものでありますが、その教室数はまだまだ十分とは言えません。
 LDは、全般的に知的発達のおくれはないが、聞くとか話す、読む、書く、計算する、または推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示すと言われておりますし、ADHDは、年齢や発達にふつり合いな注意力、または衝動性、多動性が認められ、社会的な活動や学業の機能に支障を来すと言われています。しかし、このような特性を持つ子供は、30人のクラスであれば2人程度は在籍しているといった、そんなことも言われているわけです。
 和歌山市──私、和歌山市の選出ですので、和歌山市には、6小学校と2中学校にこの教室が設置されております。その1つである和歌浦小学校にお伺いしまして、その様子を拝見してきました。
 和歌浦小学校は、近辺の7つの小学校を対象に通級指導を行っており、約30人弱の児童が通級しています。もう明るくて温かい雰囲気の中、通級学級の先生は、一人一人の児童と丁寧に向き合いながら指導されていました。
 その一人一人の児童の適性が違うわけでして、適性を見きわめ、その児童に合ったプログラムをつくり、そして指導するというふうなことになるわけですね。保護者とは、もうかなり緊密に連携をしなくてはいけませんし、その子の在籍している元の学校の先生との連携も欠かすことができないわけです。時間がもう幾らあっても足りないというふうに話されていました。
 しかも、通級には保護者の付き添いが必要なため、通級指導が必要だなとされる児童であっても、全ての対象児童がその指導を受けられるといったことにはなっていないのが現状です。中学校でも、同じように4つの中学校から通級しているといった状況でありました。
 LDとかADHDの児童生徒は、適切な指導を行うことで、対人関係のトラブルを軽減したり、児童生徒の特性を伸ばすことができるようになるというふうに言われています。しかし、余りにも通級教室の数が少なくて、対象の児童生徒を全てカバーすることができないという状況です。
 できれば全ての小中学校に設置していただきたいという思いですが、せめて通いやすい2校に1学級程度、教室を開設していただければなあというふうに、私はその必要があるというふうに考えます。
 通級指導教室の現状と今後の取り組みについて、教育長にお伺いします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 通級指導教室につきましては、学習障害等の発達障害や言語障害のある児童生徒を対象に、国の加配を活用して開設しており、現在、小学校39教室、中学校3教室の計42教室となっております。
 毎年、国に対して増設のための加配教員を要望しておりますが、国の定数改善は厳しい状況にあり、今年度は1教室増にとどまっている現状です。このため、通級指導教室で学習することを希望する児童生徒で、通学する学校に設置されていない場合は、保護者に他校の教室までの送迎をお願いしている現状にあります。
 県といたしましては、通級指導教室の重要性は十分認識しているところであり、今後とも、新設のための教員定数の確保に努めるとともに、担当する教員が個々の児童生徒の課題に応じた指導ができるよう、専門性の向上に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 発達障害教育ということで、通級指導教室の設置は国からの加配という措置で運営されているわけですよね。加配教員の割り当ても年々減少しているという状況ですので、通級指導教室をふやすことは難しいという状況だというふうに思います。
 しかし、発達障害等の児童生徒への支援というのは、これからもふえることはあっても、ちょっと減ることはないという状況だというふうに思われますので、教育委員会としては、強く強く国へ要求していただくようにお願いいたします。
 引き続いて、学校図書館の活用についてに移りたいというふうに思います。
 これは、昨年の9月の議会でも取り上げさせていただいて、和歌山県は、司書の配置についても全国に比べ大変少ない状況にあり、解決しなければならない課題として受けとめているというふうに答弁がありました。全ての市町村の教育委員会にも強く働きかけてまいりますという答弁でありました。
 私は、その後、有田市の箕島小学校が文科省の研究指定を受けて学校司書の資質向上についての研究を行っているとお聞きしましたので、視察をさせていただきました。思ったとおり、やっぱり司書が配置されている学校図書館で、生徒たちの生き生きした活動を拝見することができました。
 その研究事業を見た後、山形県の鶴岡市教育委員会で、学校図書館でアドバイザーをされている五十嵐絹子さんという方の講演をお聞きしました。
 五十嵐氏によれば、学力というのは、子供たちのふだんの学習だけではなくて、日常の生活の過ごし方が密接に関係しているのではないかと推論して、読書と学力テストにおける読解力との相関関係を調べてみたとのことでした。
 調査内容は、1つは、日ごろからよく本を借りている、貸出数が多い、2番は、前はあんまり読んでいなかったけど、近年よく借りて読んでいるというもの、3番目に、本が余り好きでない、借りていないという3つの観点でマーカー分けをして、読解力の結果と照らし合わせたというものでした。
 その結果、読書冊数の多い子供ほど、やっぱり学力が高い、それから、前まで読まなかった子が読むようになった場合、読まなかった前よりは点数を上げている、で、本を読む習慣のない子は学力的にもちょっと低いということが結果としてわかってきて、やっぱり読書量と学力というのはイコールだなあという結論であったというお話でした。
 五十嵐氏は、その上で、数値であらわされる学力とともに、生きる力を育むためにも、生涯学び続ける人に育ってほしいというふうに結ばれて講演が終わったんですが、学校図書館は、読書センターでもありますし、学習センターでもありますし、また情報センターとしての働きもあります。しかし、その働きを最大限に引き出すためには、学校司書の存在がやっぱり必要不可欠だというふうに思います。
 そこで、その後の取り組みについて教育長にお伺いします。
 また、教育委員会制度がもう変わります。知事と教育委員会との連携が強くなっていくと思われます。学校司書の設置について、市町村任せにしていたのでは、なかなか前へ進まないんです。
 そこで、知事にお伺いします。知事の英断をもって、図書館司書の設置に向け、働きかけていただきたいと強く要望しますが、御見解をお伺いします。
○議長(坂本 登君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 質問に答える順番が逆になっておりましたので、後から登場しようと思っておりました。失礼しました。
 市町村任せにしてはいけないということでございまして、まさにそのとおりでございますが、市町村任せととられかねないようなこともちょっと申し上げます。
 学校司書の配置に要する経費、これは、教員と違いまして、国の地方財政措置が市町村に講じられているわけです。だから、市町村が主体的に配置を行うのが建前でございます。しかし、全県の子供たちの教育にも責任を持たなきゃいけない私としては、やっぱり読書は物すごく大事なことだと思っております。
 本県の喫緊の課題となっている学力向上を図る上でも、御指摘のように大きな効果が期待されると思いますし、また、学力が上がった下がったというだけじゃなくて、生涯にわたって心身ともに豊かでたくましく生きていく上で大変大事なことだというふうに思います。そのためにも学校図書館の機能を充実させる必要があると認識しておりまして、かつて、例えば家庭で余ってる本は提供していただけませんかというような運動をしてみたり、いろいろやってまいりました。
 全ての学校に専門的な知識や技能を持った学校司書が配置されるということは望ましいことでございますので、そのように働きかけていきたいと思っております。しかしながら、もし直ちに配置することは困難であるとするならば、次善の策として、地域や保護者の力をかりて学校図書館をサポートしていただくなどの方策も市町村にお勧めして、ともに研究してまいりたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 読書活動は、子供の感性や表現力を高め、想像力を豊かにし、これからの時代を生き抜くために必要となる知識や教養を身につけていく上で欠くことのできないものと捉えております。このようなことから、学校図書館は、生涯にわたる学びの基盤形成につながる重要な役割を担っていると考えております。
 しかしながら、多くの小中学校の図書館では、ジャンルが偏ったり、百科事典や図鑑が古いままだったりするなど、蔵書整備が十分行き届いてない状況も見られます。
 図書の充実に当たっては、各市町村が国の地方財政措置を活用し購入するとともに、県では、リサイクル図書の活用を推進しております。加えて、専門職である学校司書の配置を進めることにより、各学校では、読書好きの子供をふやし、学習活動を支援できるよう、学校図書館の環境づくりを進めてまいります。
 県教育委員会としましても、子供たちが積極的に読書に親しみ、生き生きと学習できるような学校図書館を目指して、学校司書が積極的にかかわる授業づくりについての本県の研究成果や県外の先進事例の普及に努めているところです。
 さらに、読書活動は、子供たちの知的好奇心を喚起し、探求的な学習を実現させるなど、学力向上にも大きく寄与するとの観点から、このたび策定した県学力向上対策中期計画において、学校図書館の重要性を明確に位置づけています。
 今後とも、市町村と連携しながら、子供たちが主体的に学び、豊かに成長できるよう、学校図書館の効果的な活用に向けて取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 市町村への学校司書の配置については、国から財政措置がされていると、前にも言ったんですが、それでもなかなか配置が進まないわけです。
 島根県では、松江市が先行して学校司書を配置したのを受けて、その状況を視察した知事が、その英断で全ての小中学校に学校司書を配置されたというふうな、そんなことも聞いておりまして、一度、和歌山県の子供たちのためにぜひとも配置を進めていただけるように、もう強く要望していきたいというふうに思います。
 最後の質問に入ります。
 性暴力救援センターわかやまmineについてであります。
 わかやまmineは、平成25年7月16日、和歌山医科大学附属病院内に設立された県が所管している性暴力救援センターであります。年末年始と休日以外は9時から17時で電話、来所、医療相談を受け付けており、緊急医療に限って22時まで電話で受け付けをされています。常時1人の相談員が待機され、業務を行っています。来所される方には、2名で対応されていると聞いています。
 このわかやまmineは性暴力に遭った女性を救済するために設立されたのですが、この設立については、和歌山弁護士会犯罪被害者支援委員会からの提言があり、その提言に知事が即座に応じられ、実現に至ったと聞いています。知事の迅速な対応とともに、人権問題への取り組み姿勢に敬意をあらわします。
 さて、性暴力というと、誰か知らない人にいきなり強姦されるなど、暴力を加えられる姿を想像される方も多いと思いますが、驚くことに、実はほとんどは顔見知りや同居人など、身近な人たちによる性暴力が圧倒的であります。児童への性虐待も含まれ、児童相談所との連携も欠かせない状況だと聞いています。
 また、性暴力を受けた方々のために、医療機関や警察、心理士会、弁護士会等々と連携をしながらコーディネートを行い、支援をしていると聞いております。今まで誰にも相談できず、心と体に大きな傷を抱え生きていかなければならなかった方にとって、今後、わかやまmineが大きな支えになることを願っています。
 さて、電話や来所による医療相談及びコーディネートを2人の相談員で対応するのは限界があるのではと危惧していますが、現状と課題をお聞きします。
 また、和歌山市に設立されていますが、郡市への体制はどうなっているのでしょう。今後の取り組みも含め、環境生活部長にお伺いします。
○議長(坂本 登君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 性暴力救援センター和歌山の現状についてお答えをいたします。
 同センターは、開設年度でございます平成25年の7月16日から平成26年3月までの9カ月間の相談件数は97件、月平均11件でございました。本年度に入りまして、昨年の4月から12月までの9カ月での相談件数は207件、月平均23件、倍増している状況でございます。
 開設時から平成26年12月末までの相談内容でございますが、性的虐待が32%、強姦が25%、強制わいせつが18%、DVが9%でございます。また、相談対象の約半数が未成年者からの相談でございます。また、加害者の大部分は、議員お話がありましたように近親者や顔見知りということでございます。
 このような多様な相談が寄せられてございますが、この対応をするためには、医療面、心理面、法律面の支援を行うほか、福祉関係機関と連携をして、家族も含めた継続的な支援を行うことが必要だと考えてございます。
 さらに、現在、医大内にセンターを設置してございますけれども、この医大病院に来所困難な遠隔地の被害者が出てくることも想定をされます。こうした面に合わせた支援体制を整えることが必要と認識をしているところでございます。
 そこで、今後でございますけども、より効率的かつ円滑な被害者支援を行うために、平成27年度からは、同センターの運営を、福祉職などの専門の職員が配置されておりまして、児童やDV被害者等の相談業務を日常的に行っております子ども・女性・障害者相談センターに移管してまいります。
 あわせて、橋本市、御坊市、田辺市、それから新宮市に協力の医療機関を確保してまいります。その上で、現地にあります保健所の女性職員が、こういった相談があるときに同行支援を行うという、そういう体制を整備してまいりたいと、そのように考えてございます。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 状況的にも大変な状況があるというふうに思いますので、お取り組みをお願いします。
 和歌山県が、子供や女性、それに高齢者、障害者など、マイノリティーとか社会的な弱者に本当に温かい人権行政を進めていただきますように要望いたしまして、今回の質問を終わりたいと思います。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時28分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 100年に一度、200年に一度とも言われていた紀伊半島大水害、平成23年9月に発生をいたしました。大水害といっても、多くの皆さん方には余り実感が湧かないかと思います。
 この水害時、旧熊野川町に住む私の知り合いは、大雨が降る中で自分の自宅の真下を流れる熊野川の水がだんだんとたまり出し、川底から堤防となっている国道までが高さが30メーター近くあることから、心配はないやろうと思っていたそうであります。しかしながら、水は見る見るうちに国道にもあふれ出し、自宅のほうに押し寄せ、さらに自宅の2階にまで押し寄せてきたそうであります。どこへも逃げるすべがなく、そして2人は大きな棒を手に2階の天井の板を、そして屋根裏を突き破って、奥さんと2人で2階の屋根の上に駆け上がったそうであります。まさに、九死に一生を得たとのことであります。また、夜明けとともに、何人かの人が熊野川に流されていくのを目の当たりにしたということであります。
 また、地元田辺市では、伏菟野地区や熊野地区、そして本宮町などにおいても、大規模な深層崩壊による地すべりや土石流が発生をいたしました。さらに、那智川流域や国道168号、また、多くの土石流が発生をし、これらの地すべりや土石流により多くの住宅が押し流されたほか、紀南地方の幹線道路であります311号や168号が寸断されるなど、甚大な土砂災害が発生をいたしました。
 この大災害により、那智勝浦町や新宮市、それに私の地元田辺市など、県内を初め、奈良県内などで被害が相次ぎ、県内だけでも61人の方々が亡くなったり行方不明になるなど、甚大な被害をもたらしました。
 この大災害を受けて、我が自由民主党県議団では、翌年の改選後に、砂防事業推進議員連盟を発足させました。そこで、私は、議連の会長に就任をさせていただき、事務局長の濱口太史議員らとともに地域の安全と活性化に向けて取り組んでいるところでございます。
 また、一昨年の12月には、仁坂知事に対して、国立砂防防災研究所の誘致や砂防対策の充実強化などを要望する請願書を提出したり、我々の推進議員連盟と国会議員の先生方、また県当局とが一体となって努力した結果、昨年4月には、大規模土砂災害対策技術センターが設置をされたわけでございます。このほか、昨年の7月には、二階総務会長らが中心となっていただいて、那智勝浦町で大規模土砂災害の対策研究機構設立のシンポジウムが開かれ、約2000人の方が参加をしていただきました。シンポジウムには、京大や三重大など多くの大学の教授や砂防研究者、それに国交省の幹部の皆さん方が、災害防止への研究成果や今後の取り組みなどについて質疑が交わされたわけでございます。
 このような防災・減災に向けての取り組みが続く中、県は、国や大学などと連携をして、さきに述べた技術センターが主体となった県土砂災害啓発センターを那智勝浦町に設置する運びとなりました。本格的な防災センターは、来年4月のオープンを目指して建設が進められているとのことであります。県当局の説明では、深層崩壊の起こりやすい地形や災害発生時の地下の水の含有量が多く含まれる、そんな大規模土砂災害のメカニズムなどの研究が行われるということであります。
 これに加えて、県民の皆さんにも参加をしていただき、土砂災害防止の警戒、避難などについて啓発活動を広めてもらおうと、被災者による体験の語り部や、また、地区のお年寄りらによって先人による知恵をいただき、危険箇所の指摘や避難誘導路の整備について教わるなど、啓発センターと地域住民が一体となった活動を展開していってはどうかと思うわけでございます。
 冒頭で、私は、100年に一度、200年に一度しか発生しないと思われるということを述べましたけれども、現在は地球温暖化の影響による異常気象が発生をしております。この異常気象、水害だけではなく一年中起きており、昨年の徳島の雪害を初め、今月の10日から16日にかけて、北日本では大雪に見舞われました。このような異常気象の影響による災害が頻繁に発生をすることが予想されますと、紀伊半島大水害は10年に一度、20年に一度発生しても不思議ではありません。
 このような観点から、県当局におかれましては、大災害への対策として、この災害啓発センターがどのように情報発信などに取り組み、地域住民の安心・安全を確保するかなど、知事の答弁をお願いいたしたいと思います。
 続きまして、最終項目の質問に入ります。
 ここでは、将来を見据えた本県の観光振興策の1つについて取り上げます。
 ふえ続ける外国人観光客に、安心かつ安全に旅行もしくは観光を楽しんでもらおうと、本県ではさまざまな取り組みが行われています。
 外国人観光客は、台湾、香港、中国を初めとするアジア圏が多いほか、近年はアメリカやヨーロッパ圏の人々も多く来県をされています。一昨年の平成25年1年間では、宿泊客だけでも約21万2000人に上り、10年前の約3.5倍に達しています。また、昨年1年間、白浜に前年より32%余り多い7万7000人余りの外国人の宿泊客が訪れ、2年連続して数字を更新しております。
 県では、急増する外国人観光客にスポットを当て、新年度から大型観光キャンペーンを展開すると聞いております。これは、政府が新年度に実施する地方創生交付金を活用したり、また、県内を訪れる外国人にお土産として梅干しなどの特産品をプレゼントしたり、そしてまた、旅行会社と協力をしてキャンペーン期間中に使える格安旅行券の販売などに取り組むというものあります。
 このほか、県では、外国人観光客に対応しようと、熊野古道を初めとする主な観光施設に、外国人にわかりやすい英語表記での観光案内板を設置すると聞いております。例えば、田辺市の川湯温泉は、これまで「カワユ・スパ」だったのに対して「カワユ・オンセン」に、白浜の円月島は「エンゲツトウ」だったのに対して「エンゲツトウ・アイランド」に、和歌山城がこれまでの「ワカヤマジョウ」が「ワカヤマキャッスル」に見直しされました。見直しは60カ所ぐらいあるとのことであります。
 さらに、外国人が混乱するケースに着眼をしてみますと、災害時に対する外国人の救済対策は余りとられておりません。もし南海トラフ級の災害が発生をした場合、日本語の通じない外国人はどのように避難をしたらいいのでしょうか。
 熊野古道の玄関口である紀伊田辺駅には外国人向けの観光案内板は少しあるものの、災害時での避難路や避難場所を知らせる案内板やパンフレット、リーフレット、それに県や市町村のホームページなどにもほとんどありません。
 そこで、英語、中国語、韓国語といった3カ国語の防災情報を知らせる案内板やリーフレットなどを作成して、安心かつ安全、それに快適な紀州路の観光を楽しんでいただいてはいかがなものでしょうか。商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、和歌山県土砂災害啓発センターあるいは技術センターの件でございますが、平成23年の紀伊半島大水害によって、死者・行方不明者を含め、地域社会に大きな被害を和歌山県は受けました。
 そこで、県選出国会議員、それから自由民主党県議団砂防事業推進議員連盟の大沢会長を初め県議会議員の皆様方の御協力を得て、平成26年4月に国土交通省・大規模土砂災害対策技術センターを誘致することに成功いたしました。
 また、このセンターを核として、国土交通省、和歌山県、那智勝浦町のほかに、地元和歌山大学や三重大学、京都大学、北海道大学を加えて、大規模土砂災害対策研究機構が設立され、土砂災害に関する研究を開始したところであります。平成26年度には、参加する4大学を含め、延べ160人の研究者が現地調査に入り、着実に研究が進められているところでございます。
 さらに、県としては、この技術センターと研究機構を誘致するとともに、紀伊半島大水害などの過去の災害の経験や教訓、調査研究により得られた成果や技術的知見を発信するため、また技術センター等がその中に入ってくれる和歌山県土砂災害啓発センターの建設に着手し、平成28年4月にはオープンをする予定になっております。
 施設が完成した暁には、土砂災害の歴史や地質に関する資料、また研究機構の研究成果をパネル展示や映像化することにより、県民はもとより観光客などの方々にも、いつ、どこで起こるかわからない土砂災害の恐ろしさやメカニズムなどを正確に知っていただき、まずは命を守るため、災害が発生する前に的確に避難できるよう啓発を進めていくこととしておりまして、これには災害に遭われた方々の経験や知識なども活用していきたいと考えております。
 このように、このセンターは和歌山県政史上輝かしい成果になるものと思いますけれども、そのように自覚しておりますが、自民党砂防事業推進議員連盟会長として御尽力いただいた大沢先生には心から感謝をしております。
 大沢先生は、議員を今期限りで引かれるとのことでございますけれども、本件に限らず、いつまでもお元気で県勢の発展に御協力いただきますようお願い申し上げます。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 外国人観光客の災害時の安全確保についてお答えします。
 災害時において、土地カンがなく、また情報へのアクセスが制限される外国人観光客につきましては、まずは、その命を守るために緊急避難場所への誘導が肝要であります。そのためには、宿泊施設や観光施設従業員への周知徹底、また、道で迷っていたら手を引っ張ってでも連れていくなど、地域の皆様の協力が必要となりますので、外国人観光客の避難誘導について、今後、市町村や観光協会等との協議を進めてまいりたいと考えております。
 また、外国人観光客に安心して安全に和歌山県の旅行を楽しんでもらうためには、外国人観光客が行動するあらゆる場面で案内表示の多言語化が求められています。これまでも順次進めてきているところですが、外国人観光客の円滑な避難のための誘導案内の多言語表示については、一部の設置に限られております。
 そのため、国の交付金を活用して、市町村の観光案内等の多言語対応を一気に進めていくに当たり、避難誘導の多言語表示を強く働きかけ、支援していくとともに、県作成の外国人観光客向けガイドブックなどを活用した緊急避難場所情報の発信や、外国人観光客向け災害情報提供アプリの周知、活用に向け取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。──大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 それでは、議長のお許しをいただきましたので、再登壇をさしていただきます。
 私は、市議会議員、県議会議員を通じて25年の議員生活を続けてまいりましたが、今期をもちまして辞することを決心いたしました。
 この間、地元はもちろんのこと、各方面の皆さん方には大変お世話になりました。ここに深く感謝を申し上げる次第でございます。
 また、先輩議員、同僚議員、そして仮谷知事を初め西口、木村、仁坂知事のもとで議員生活を過ごさせていただきましたこと、万感の思いがあるわけでございます。この間、また、議会事務局を初め多くの県当局の職員の皆さんにもお世話になりました。心から感謝をしております。
 このほか、多くの若手議員には新しい時代の潮流を教わったり、また逆には、政治家に常に求められる政治倫理、道徳の大切さを唱えたりしたのも懐かしい思い出となりつつあります。
 ここで、思い出に残る一般質問を2~3紹介をさせていただきたいと思います。
 初当選の年の平成7年9月議会では、水産業の現状と振興策についてを取り上げました。それ以来、私は、水産業の振興をベースに、何度も何度もこの議場で質問を続けてきました。
 そんなときに、先輩議員の尾崎要二さんから冷やかされました。「海に生きて30年、エナメルの靴を履いた漁師さん」、このようなことも言われたわけでありますけれども、私は、その当時、30年間水産に従事しておった関係で、得意分野は水産であったわけでございまして、ですから、そのように冷やかされたんだな、今、反省をしているところでございます。
 その間に、私は、水産のことになりますけれども、その当時、田辺市に増殖試験場、そして、串本に水産試験場などがあったわけでありまして、統合して立派な建物を和歌山県に1つつくるということで、田辺市と、そして串本町が綱引きをしておった当時でありました。私はもちろん、田辺にはすばらしい水産業のまき網軍団もあるし、田辺市に誘致をしたい、こんなことでありましたけれども、西牟婁郡の人たちは串本にということで、綱引きをしたわけでありますが、私は、ぜひとも田辺市にという気持ちはあったわけでありますが、串本に一歩お譲りをしたわけでございます。
 次に、高速道路の紀南延伸についてのことを聞いてください。
 私が、当選をさしていただいた平成7年、高速道路は広川インターまでしかできておりませんでした。田辺を出て、御坊市を通り、そして由良のバイパスを通って広川インターに乗ったものでした。約3時間ぐらいかかって県庁に着いたのであります。ところが、御存じのとおり、今はもう田辺市まで高速道路ができたわけでありまして、1時間ちょっとで来るような時代になった上に、この7月、8月にはすさみ町までできるということで、串本の前芝君や、また那智勝の谷君などは、もう3分の1に近づくんではないかなあ、そのように思う次第でございます。
 私は、町田元会長、そして中村現会長のもとで高速議連の幹事長を20年近く務めさしていただき、紀南延伸のためにと、当時の近畿地建や建設省、そして国土交通省などにも何度も何度もみんなで陳情に行ったのがきのうのように思われてなりません。そこには、二階総務会長のバックアップや、知事を初め県当局の皆さんの努力のたまものがあるわけでありました。紀伊半島一周の道路も、近い将来、完成するのは必至であります。
 一般道路について少し触れさしていただきたいと思いますが、田辺市で一番渋滞をしてる箇所が、田鶴の交差点でありました。42号線と、そして白浜温泉へ通じる旧白浜有料道路との交わるこの交差点でありました。
 ここでは、朝夕の通勤時間帯、または土曜、日曜などには、1時間前後もかかる大渋滞でありました。地元の新庄地区の皆さんから、「生活道路が確保できない」、また「病人やそういう救急なことができたら走行にも大変影響する」、このような苦情が、そして要望が頻繁に寄せられたわけであります。私は、何度も何度も現場を見さしていただきました。この分だと1車線は拡幅できるだろう、強力に県のほうに拡幅の整備を訴えたところ、昨年、交差点前後が拡幅をされ、渋滞がかなり緩和をされて、今、スムーズに走っておるわけでございます。
 また、和歌山の友人や同僚議員からは、「広やん、田辺の旧市内は、道が複雑で一方通行も多く、どう通ったらいいんか難しい」などとよく耳にしていました。そこで、私は、田辺の駅周辺の道路整備を県などに強く訴え、最近になって大きく利便性が向上してきた次第であります。
 また、バス路線が発達をしていない紀南地方での住民は、燃費がよく税金が安い軽自動車を生活の糧としておるわけでございました。この現状を踏まえて、国で検討されていた軽自動車税の値上げについてみんなで強く反対を唱え、当初の案よりも軽自動車税が引き下げられ、現状に至ってるわけでございます。
 私は、これからも地元田辺市を初め紀南地方、そして和歌山県の発展のためにも、郷土を愛することに力を注いでいく次第でございます。
 幸い、引退後は、田辺市が本年10周年という記念の年に当たるわけでございまして、10周年記念のこの式典、50年ぶりに開催をされる大相撲を田辺市に呼んでくるわけでございまして、名前も「大相撲紀州梅の郷場所」ということをつけさしていただいて、私が実行委員長として、田辺、白浜の観光や経済の発展、振興などに寄与していきたいと考えております。
 また、今後は、四半世紀にわたる政治家生活を振り返りながら、そして検証をして、本県の発展のために、微力でありますが、力を注いでいく次第であります。
 皆さん、20年の間、大変お世話になり、ありがとうございました。終わりに、和歌山県の発展と、そして皆様方の御健勝、御多幸を御祈念申し上げ、私の最後の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 7番門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、今議会本会議での一般質問の最終発言者として、また、議員在職40年の最終となります一般質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、今期をもって退任する私にこのような機会を与えていただきまして、坂本議長初め同僚の皆様方に心からお礼申し上げます。
 また、仁坂知事におかれましては、昨年の11月の知事選挙におきまして、多くの県民の信託を受け、見事3選を果たされました。改めて心からお祝い申し上げます。
 「またまた仕事だ」の言葉とともに既に3期目の県政運営に着手されております仁坂知事は、官製談合事件による前知事の辞職を受けて、平成19年12月に知事に初当選されました。県民の信頼を一刻も早く取り戻すために、就任されて一番最初に取り組まれたのは入札制度のシステム化であります。全ての公共調達で指名競争入札を廃止し、一般競争入札を実施するなど、官製談合が起こる余地のない公共調達制度改革を行いました。
 一度失った県民の信頼を取り戻すことは、容易なことではありません。しかしながら、知事は、入札制度改革はもちろんでありますが、長年続く厳しい財政状況の中、1期目、2期目を通じ、財政再建、行政改革にも熱心に取り組まれ、医療・福祉の充実、防災対策など、県民の安全・安心を守る施策を次々と打ち出すとともに、百数十社にも及ぶ企業誘致にも成功するなど、着実に成果を上げてこられました。
 また、平成23年9月に発生しました、多くのとうとい犠牲を出しました紀伊半島大水害に対しましては、知事は確固たるリーダーシップを発揮されまして、信じがたいほどの早さで復旧を果たすことができました。
 さらには、いよいよ本年の9月に開催されます紀の国わかやま国体・わかやま大会に向けましても、開会式の会場となります紀三井寺公園陸上競技場の改修、秋葉山県民水泳場やビッグウエーブの建設などの会場となる施設の整備はもとより、近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間も国体開催までの開通が決定されるなど、44年ぶり2回目の国体開催に向け、着々と準備を進めておられます。
 このように、挙げれば切りがないほど、これまでの2期8年間で多くのすばらしい実績を残してこられました仁坂知事に対しまして、改めて敬意を表す次第でございます。
 しかしながら、和歌山県には、まだまだたくさんの課題が山積しております。県内各地で開催される行政報告会や、今回の選挙期間中に県内をくまなく回られました際に、県民の切実な声をじかに聞かれたことと思います。
 昨年の12月議会において、知事は、観光振興や地震・津波等の防災対策、高速道路や川筋ネットワーク道路等のインフラ整備など、7つの政策に懸命に取り組み、あたたかい県政を推進していくと所信を述べられました。県民の切なる声に応えるべく掲げられた政策を述べる知事のその力強い言葉に大いに感銘を受けるとともに、我々県議会といたしましても、使い古された言葉でございますが、県当局と県議会は車の両輪として一体となって県勢発展のために力を尽くしてまいりますことを改めて決意した次第でございます。
 これからの4年間、さらなる県勢浮揚のために大いに御活躍されますよう御期待申し上げまして、1つ目の質問に入りたいと思います。
 去る2月20日以来、5日間にわたりまして、各議員の方々から発言されました。それぞれの方からは、県政について熱心に取り組まれ、県勢向上のために貴重な提案をなされ、本当に感銘を受けた次第でございます。私も、4月29日の任期をもちまして県議会を退任するものでございますが、40年間の任期を振り返り、仁坂知事さんの考え方について、通告に従いまして一般質問を行います。
 まず、紀の国わかやま国体終了後の県政の進め方であります。
 先ほど述べさせていただきました知事の2期8年の実績の中にもございましたが、9月の紀の国わかやま国体・わかやま大会開催に向け、紀三井寺公園陸上競技場等の整備、近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間の高速道路などの開通、また宿泊施設の充実などのインフラ整備だけではなく、各市町村では、プレ競技大会や花いっぱい運動など、多くの関連イベントが開催されております。
 9月の本番において、天皇皇后両陛下をお迎えする華々しい開会式や、一流アスリートの各都道府県代表としての誇りをかけた熱戦に一喜一憂し、大いに盛り上がることであることは想像にかたくありません。
 前回の黒潮国体は昭和46年に開催されましたが、当時、私は35歳でありました。まだ県議会にお世話になる前でありまして、自民党県連事務所のほうに勤務しながら政治の勉強について励んでおりました。当時、県連の事務所は県庁近くの水産会館内にありました。黒潮国体開催と同じ昭和46年に、卜半町にあります現在の自民党会館が建設され、オープンいたしました。
 県連事務所職員として、県連会館の建設について東奔西走していた時期と、和歌山県初の国体開催に向けて県を挙げて取り組み、大いに盛り上がっていた時期とが重なり、大変思い出深い懐かしい時代でありました。
 その黒潮国体開催の際にできたのが、メーン会場となった紀三井寺公園や市民スポーツ広場などであり、その紀三井寺公園と和歌山駅を結ぶ県道135号和歌山海南線、通称・国体道路であります。この国体道路の開通を初めとするインフラの整備と県民挙げての盛り上がりが黒潮国体の成功に大きく寄与したことはもちろん、国体開催後の和歌山県の発展につきましても大いに果たしたことだと思います。
 その後も、世界リゾート博・和歌山マリーナシティの開発やアクセス道路の整備による観光客の誘致、また、主に紀南地方で開催されました南紀熊野体験博においては、国道311号の全線改修と、博覧会の会場にもなりました熊野古道や熊野三山などの知名度が非常にアップされました。また、国道311号の全線改修により田辺─本宮間の往来が格段に便利になったことなど、県内外のみならず、外国からも多くの観光客や参詣者でにぎわいました。昨年10周年を迎えました「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録の大きな原動力となったことは間違いなく、この点を考えましても大変意義のある事業であったのではないかと思います。
 このように、県政にとって大きな事業は、成功させることはもちろんでありますが、その事業が終わった後がむしろ大事であると思います。
 紀の国わかやま国体の開催基本方針においては、「単に一過性ではなく、活力に満ちたふるさとづくりや心豊かでたくましい人づくりなどの地域おこしを推進する」とうたっています。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 まだまだ十分でないものの、京奈和自動車道の県内全線開通や近畿自動車道紀勢線の延伸などのハード、そして、全国からの来訪者をもてなす心、いわゆるソフトの両面が充実し、国体開催に向けて盛り上がりを見せている今こそ、国体が終了した後も、この勢いを持続させるための県政運営について考えておく必要があると考えますが、このことにつきまして知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、紀淡海峡ルートの早期実現についてお尋ねいたします
 平成25年9月定例会でも、この件について私が質問をさせていただきました。
 紀淡海峡ルートは、大地震等の大災害発生時、基幹交通が被災した場合に備えた代替道路としてだけではなく、京奈和自動車道、近畿自動車道と連結されれば、淡路島、四国に高速道路をつなぐことができ、東西の新たな人・物の流れを生み出すことができると思います、単なる交通手段としてだけでなく、風光明媚な紀淡海峡をまたぐ紀淡海峡大橋は、観光資源としてより一層の交流人口の増大につながると考えます、国土強靱化の機運が高まっている今こそ紀淡海峡ルートの早期実現に向けて強力に取り組むべきであると、私は質問いたしました。
 それに対しまして知事は、紀淡海峡ルートの国土軸としてのリダンダンシーの確保や大災害発生時の基幹道路の代替機能、観光資源としての位置づけなどについて十分認識しており、これまで、わかやま国体や紀伊半島一周高速道路や4車線化等の大きなプロジェクトもあるために少し抑えてきたが、これらのプロジェクトにめどがついてきたので、関係府県の知事も説得しながら頑張っていきたいと答弁をいただきました。
 それから1年半ほど経過いたしました。国体の準備も順調に進み、近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間の国体開催までの開通も確実となり、また、京奈和自動車の県内全線開通も間近となった今、現在の紀淡海峡ルートの構想の進捗状況と今後の取り組みについて、知事の御所見をお伺いいたします。
 私は今期をもって議員を退任いたしますが、私が安心して退任できますように、知事におかれては、夢のある前向きの御答弁をもって私を送り出していただきますならば、本当にありがたいことでございます。
 これで、第1回目の質問とさせていただきます。
○議長(坂本 登君) ただいまの門三佐博君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、紀の国わかやま国体終了後の県政の進め方でございます。
 議員御指摘のように、紀の国わかやま国体は大変なビッグイベントでございますけども、その終了後も国体の勢いを持続させるようにしないといけないということで、次のように取り組んでまいりたいと思っております。
 まず、チャンスの道として、道路等の急速な整備や国の経済対策による景気の回復の動きは、産業振興において将来に向けた投資を盛んにする絶好の機会になってるわけでございます。そこで、企業活動を盛んにし、雇用の創出を図るため、従来からの技術開発支援や販路開拓、創業から成長、安定に有効な融資や国の施策なども総動員し、企業の投資活動が促進されるように支援をしてまいりたいと思います。
 農業面でも、ネットワークのチャンス拡大は有効であります。この機を捉えて、果樹の生産・流通対策の拡充や野菜、花卉などの施設園芸の振興とともに農地の集積や新規参入を進めていくなど、農業の強化にも努めてまいりたいと思います。
 さらに有効なのは観光であると思います。時間距離が短くなるということは、和歌山にとりまして数十年ぶりのチャンスであるというふうに思います。この機会をつかまえて、観光振興について、おもてなしの向上によって、国体で訪れられた方々に和歌山に対する好印象を持ってもらってリピーターをふやしていく、そういうことを初め、おもてなしの県和歌山を発信していきたいと思っております。
 さらに、国体以降もチャンスは続きます。エルトゥールル号の映画公開や来年の大河ドラマ「真田丸」の放映に合わせて、メディアを活用した誘客活動を進めていきたいと思います。
 また、スポーツの面では、国体でせっかく施設ができました。そこで、スポーツ合宿や国内外のナショナルチームのキャンプ誘致等がかなり有利にできるようになりました。また、高速道路網も整備されてまいりますので、そういう点でも有利でございます。そこで、こういうことをいろいろやりまして、スポーツを核としたまちづくりにも取り組んでまいりたいと考えております。
 また、県民が1つにまとまり、県外の人が和歌山に興味を持ち、参加してくれるような、国体が終わっても国体にかわるようなイベントや大会を少しずつの間隔でつくっていくということも大事なことでございます。
 このため、平成29年度に全日本マスターズ陸上選手権大会、平成31年度にはねんりんピック、平成33年度には関西ワールドマスターズゲームズ2021の一部、これが開催される予定にしております。
 さらに、文化を通じて地域の活性化を図る国民文化祭の開催も、折を選んで開催に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
 一方、国体までの完成を目標に、高速道路や府県間道路、都市計画道路などの整備を促進してまいりまして、道路ネットワークがかなり充実いたしましたが、まだ十分ではないのは皆さんよく御存じのとおりでございます。紀伊半島一周高速道路の実現など、国体までに完成しなかったインフラ整備を進め、道路ネットワークのさらなる強化に取り組まないといけないと思います。
 同時に、人々の安全・安心をもっと高めることも大事でございます。津波による犠牲者ゼロを目指して「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」に着手いたしましたが、堤防強化などの対策を着実に実施し、また内陸面の対策も行って、命をなくす方がゼロになるようにしないといけません。
 また、国全体で曲がり角に来ております福祉、特に医療と介護の持続的な、かつ十分な提供体制をつくり上げることも大事な使命でございます。このため、在宅医療提供体制の構築などにより、安心できる地域包括ケアシステムの実現を目指していかないといけないと思います。
 こうした取り組みを全面的に進めることで、紀の国わかやま国体で盛り上がった勢いを一過性のものとすることなく、その成功を次なる県勢の発展につなげていきたいと考えております。
 次に、紀淡海峡ルートの実現についてでございます。
 これが実現されますと、第1に、第2国土軸として国全体のリダンダンシーの確保がされる、第2に、西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現が同時にできるということになる、第3に、関西国際空港の機能強化につながる関空と大阪都心を結ぶ超高速鉄道の早期整備が図られることになる、第4に、関西大環状道路の実現に資するという、実はそういう一石四鳥の意義があるんでございます。
 そこで、和歌山県のみならず、関西の発展、西日本の発展、ひいては日本の将来の発展のかなめとなるプロジェクトと私は考えております。
 これらのプロジェクトをそれぞれが個々に取り組むのではなくて、1つのプロジェクトとして統合して取り組むほうがより実現に近づけることができるものと考えまして、詳細はそれぞれ省略いたしますが、関係する9府県の知事に私が直接、それぞれの理由をもって働きかけを行いまして、平成25年9月に、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会を設立いたしました。その後、東京、大阪、昨年6月には徳島のシンポジウムにおきまして、国、経済団体を初めとした多くの参加者に対し、このプロジェクトに対する理解と支援が得られるよう、積極的に機運醸成の取り組みを進めているところでございます。
 また、関西広域連合においても、この紀淡連絡道路を関西広域連合の共通のインフラマップに盛り込んでおりまして、関西全体で共通認識を持って、その実現に向け取り組んでいるところでございます。
 議員御指摘のように、このプロジェクトは、国土軸というものの持つ重要性からかねてより私も注目しておりましたけれども、公共事業への逆風とか、あるいは時の政権がそういうことにあんまり熱心でなく、和歌山自身は早急に達成しなければならないプロジェクトがいっぱいある中で、余りに間口を広げ過ぎるとちょっと不利かなというふうに思いまして、しばらく我慢をしておりました。その後、政権も変わり、そういう懸念も少なくなりました。また、新しく衆議院議員に選ばれた門博文衆議院議員も、独自にこれを提唱されるようになりました。そういうこともありまして、前述のように動き始めたわけでございます。
 将来の和歌山県の発展にとって、この紀淡海峡ルートの実現というプロジェクトは、今から国を初めとした日本全体に向けて広く情報発信し、提唱し続けることが非常に大事であると考えております。国において国土強靱化の機運が高まるこの時期がまさにチャンスの機会と考えておりまして、これからも関係府県知事と一緒になって、引き続きその実現に取り組んでまいる所存でございます。
 門議員は、今期で引退されますが、長年、青少年の健全育成に御尽力されてこられました。門議員がかかわってこられました地元かつらぎ町のリレー式による青少年健全育成のシステムは、県内市町村にモデルとして今勧めさしていただいてるところでございます。
 門議員におかれましては、健康に留意され、今後とも引き続き県政全般について御指導くださいますようにお願い申し上げます。
○議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕
○門 三佐博君 ただいま、知事から御丁重な御答弁、本当にありがとうございました。また、激励もいただきまして、ありがとうございました。
 私の政治活動の原点は、高校時代、苦労した通学の体験にあります。自宅のありました現在の伊都郡かつらぎ町志賀の山里から笠田高等学校まで、現在のように道路は整備されておらず、自転車で山道を通うには片道2時間もかかることから、自宅からの通学を断念いたしまして、やむなく学校の近くに下宿いたしました。土曜日には実家に帰り、米や野菜を母に用意してもらい、それを日曜日に下宿に持っていく、こんな日々でありました。道路が整備されていたら実家から通うこともできる、この山里に立派な道をつけ里人の暮らしを便利にしたい、その思いが私を政治の世界に駆り立てました。
 県土全般にわたって均衡のある発展を図るためには、交通体系の果たす役割は欠くことのできない課題であります。地域の発展がおくれているのは、交通輸送体系の不備が大きな原因であります。
 私は、議員在職40年のうち、同僚の御理解を得まして、過半の22年間、建設委員会に所属し、道路、鉄道、空港、港湾などの整備が県勢浮揚の大きな起爆剤になると当議会においても幾度となく主張してまいりました。
 幸い、40年前と比べますと、県内の生活道路や大阪との府県間道路も格別の整備が図られました。また、JR和歌山線の電化や紀の川右岸・左岸の広域農道、和歌山バイパスも実現し、京奈和自動車道も近い将来、県内全線が開通する見込みとなりました。
 私の主張しておりました阪和間の直結の道路、国道480号線の鍋谷トンネルに、かつらぎ町平から大阪府和泉市の父鬼というところでございますが、3.7キロのトンネルを掘っていただきたいと要望しておりましたが、既に着工いただきまして、本来でありましたら平成27年度中に完成の予定でございましたが、大阪府の用地買収の予定がおくれましたので少しおくれまして、28年度中に完成するという報告を受けております。現在、和歌山側から2.3キロメーターも掘削されております。あと、大阪府側から来年度の早々に着工されるようになったという報告をいただきました。早く貫通していただきたいものでございます。
 さて、冒頭でも申し上げましたが、私は今期をもって県議会議員を退任いたします。昭和50年4月、伊都郡選挙区において、定数3名のところ7名が立候補する中、幸いにも当選させていただき、念願の県政に参加させていただくことになりました。
 県議会で同期でありました、現自由民主党総務会長の二階俊博先生のリーダーシップによりまして、新人が10名で清新自民党県議団という会派をつくりまして、県議会の改革や県勢進展のために全力で取り組んできましたことも、きのうのことのように思い出されます。
 また、その年の6月定例議会におきまして、初質問に立ちました。そのときには、議席から演壇までは勢いよく上がっていきましたけども、この演壇に立ちまして議員席や傍聴席を見ましたところ、さすがに足が震えまして、声が上ずったことを覚えております。
 以来、今日まで10期40年にわたって、県議会議員として、道路の問題を初め農業、教育、福祉、医療などさまざまな問題について懸命に取り組んできたつもりでございます。幸い、健康にも恵まれまして、40年間、県議会で頑張ってこれましたのも、選挙区の数多い後援会員の皆様方や歴代県知事を初め県行政機関の各委員さん、また県職員の方々や先輩・同僚議員の御支援の上、そして家内や家族の支えのおかげであり、大勢の方々に心から感謝申し上げます。
 私は今議会をもって議場から去る身でございますが、私が抱いておりますふるさと和歌山県にかける熱い思いが永遠に議場に引き継がれますことを切に祈念するものでございます。
 知事初め職員の皆様、また同僚議員におかれましては、今後とも県勢発展のために一層の御尽力をお願い申し上げます。私は、今後は一県民として、これまで培ってきました経験を生かし、ふるさと和歌山県の発展のために頑張ってまいるつもりでございますので、皆様方、変わらぬ御指導のほどお願い申し上げます。
 これで、最後の一般質問を終わらせていただきます。40年間、大変ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、門三佐博君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第1号から議案第16号までは予算特別委員会に、また、議案第76号は行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第33号から議案第73号まで、議案第75号及び議案第77号から議案第92号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 お諮りいたします。議案第93号を本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 議案第93号を議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました議案第93号は、教育長西下博通君が本年3月31日をもって任期満了となりますので、その後任として宮下和己君を任命いたしたく、同意をお願いするものでございます。
 何とぞ、御賛同賜りますようにお願い申し上げます。
○議長(坂本 登君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 この際、申し上げます。
 参考人招致の件を本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 参考人招致の件を議題といたします。
 お諮りいたします。議案第93号の審査のため、3月5日、宮下和己君を参考人として出席を求め、所信を聴取いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 お諮りいたします。2月27日及び3月2日から4日までは、常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 御異議なしと認めます。よって、2月27日及び3月2日から4日までは休会とすることに決定いたしました。
 次会は、3月5日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時7分散会

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