平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○副議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第73号まで及び議案第75号から議案第92号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 おはようございます。
 通告に基づき、早速、一般質問に入らせていただきます。
 まず、第1点目の柱として、介護職員の待遇改善の問題をお尋ねしたいと思います。
 今、地元有田郡内を回っておりましても、ひとり暮らし、2人暮らしの高齢者世帯が本当に多くなったなあと痛感しております。和歌山県は、高齢者夫婦のみの世帯が全国2位、高齢単身世帯が全国3位ということがきのうも紹介されました。山間部でも町なかでも、どこへ行っても、「介護で難儀している」とか「介護が必要になったらと思うと不安」、こういう声をお聞きいたします。高齢化が全国よりも先行して進む和歌山県においては、介護ニーズが今後急激にふえていくと予想をされています。介護を必要とする高齢者とその御家族がふえる一方で、介護の職場で働く人材の不足が現場では一層深刻になると考えられます。
 団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題などがマスコミでも盛んに取り上げられるようになってまいりました。国としては、この先、100万人の介護職員が必要だという見通しも持ち、この人材確保が大きな政策課題となっております。
 そこで、まず最初に、和歌山県としては、現在策定中であるわかやま長寿プラン2015などにおいて、この先、どれほどの介護職員が必要になると認識しておられるでしょうか。福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○副議長(尾﨑太郎君) 松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 現在策定中のわかやま長寿プラン2015(仮称)におきまして、厚生労働省の作成したワークシートを活用し、介護人材の需要量と供給量を推計しております。
 本県の平成24年の介護職員数は約1万9100人ですが、2025年の介護職員の必要数は約2万5800人であり、これに対し供給数は約2万1600人で、約4200人が不足すると推計しております。
○副議長(尾﨑太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 2025年、あと10年するまでに4200人不足という数字が示されました。
 御紹介のあった長寿プランの数字は職員が順調にふえていった推計の数字ですから、答弁にあった10年後の必要数2万5800人から現在の1万9100人を引いたら、6700人必要という数字も出ます。この数字が、国全体で100万人必要というのに対応した数でもあるわけです。そして、今の人数が足りているかといえば、決して足りていないわけなんですね。
 いずれにしても、高齢化の進行と介護ニーズの増加に応えられるよう、この介護職員不足に対して、しっかりと社会の側、政治の側が備えなければなりません。
 そこで、次の、じゃ、介護人材をどう育成するのか、こういう質問に移らせていただきます。
 不足する介護人材問題を解決していくには、介護職員の養成、介護に対する専門性を持った人材を育てるという営みが第一義的に必要です。そして、介護の現場への定着、離職防止、やりがいを持って働き続けられるスキルアップが大切だというふうに考えます。しかし、現状は、介護職を目指す若い人が少なく、なおかつ、せっかく仕事についても長続きせずにやめてしまうケースが多いと聞きます。介護人材の育成は、これまで以上に充実・強化していかなければならない課題ではないでしょうか。
 先日、広川町にある介護福祉士を養成する専門学校でお話を聞いてまいりました。介護の専門職を育てていく御苦労や熱心なお取り組みを聞かせていただくと同時に、和歌山県として、介護を学ぶ学生のための修学資金制度が3年前からなくなってしまったということや、専門学校から県内事業所へ研修に出向いていた事業が来年からなくなるなどの話も伺いました。国からの財源などの都合もあるようですが、こういう取り組みは、充実が求められこそすれ、先細りさせていくような政策ではないはずです。国、県でもっと拡充すべきです。
 そのときに専門学校でお聞きした話が心に残っています。「今の介護の現場では、介護職員を人材として育てるものと捉えずに、単に人手として仕事や流れやスキルだけを教えて働かせるというところが多いのが残念です。そういうところは、職員が成長せずに長続きしない場合が多いんです。高齢者の人間としての尊厳とか虐待問題とか、倫理観や介護に向かう姿勢を育てる、そういう人材育成こそが大切ではないでしょうか」、こんなふうにおっしゃっていました。
 県として、修学資金制度の再開など、介護人材の養成と定着事業により一層力を入れるべきだと考えますが、今後どう取り組んでいかれるのか。この点について福祉保健部長より答弁を願います。
○副議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 介護人材の養成等でございますが、介護福祉士等修学資金貸与制度につきましては、必要な予算措置を行うよう厚生労働省に要望を行ったところです。また、高等学校の生徒や資格を持たずに介護職場に新規就労した方の資格取得の支援、就職相談会や介護体験事業などを実施するとともに、介護技術を初め、認知症や医療的ケアなど専門性を高めるための各種研修を実施するなど、国の制度も活用しながら介護事業者や関係団体等とも連携して介護人材の育成に積極的に取り組んでまいります。
○副議長(尾﨑太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 積極的に取り組んでいくという答弁にふさわしく、この新年度、また今後に向けて努力をお願いいたします。
 では、次に介護職員の労働実態について、現場で働く方々の現状はどうなっているのかという認識を質問させていただきます。
 昨年の秋に、医療・介護の現場で働く方々の労働組合が職員や事業所を対象にアンケート調査をされています。この結果を見せていただくと、介護職員の厳しい労働実態が浮き彫りになっております。
 調査を報道した「朝日新聞」の記事によりますと、全国の労働者の平均賃金29万7700円と比べて、県内の介護職員は10万円以上安い18万8194円だったこと、また、同じ介護職でも全国平均を大きく下回っていたことが報道されています。
 アンケートでは、今の仕事について「やりがいのある仕事だと思う」が6割に達していると同時に、その一方で、また6割が「仕事をやめたいと思うことがある」、こんなふうに答えています。やめたいという理由としては、トップは「賃金が安いから」で47%、その後、「体力が続かない」、「仕事が忙し過ぎる」と続きます。やりがいがある仕事なのに続けられない、こういう悩みがあるわけですね。また、十分なサービスが提供できていない原因は人員不足という回答が68%に上り、目の届かないところでの転倒・転落を6割の職員が経験しているという結果です。
 今度は、有田地方の介護施設職員の生の声を取材した「毎日新聞」は、次のような記事を載せています。
 「高齢者80人が入所する施設。未明に呼び出しのコールが鳴り響くと、夜勤の男性介護福祉士は駆け足で音の主に向かった。この仕事に就いて18年、夜勤(17時間勤務)では靴すら脱げない。1人で1フロア半分の20人を担当する。コールが2つ以上同時に鳴れば対応は不可能だ。『これでは守れるはずの人も守れない』」と話しておられます。
 今度は、3年前に派遣会社から転職した和歌山市の女性職員は、「正社員の仕事を探し、介護の仕事に就いた。ミスが命に関わる一方、給与は手取り17万円弱と、派遣時代から2万ほどしか上がっていない。ベテランの先輩の給与もほとんど変わらないことに驚いた。『この先に希望が見えない』と声を絞り出した」、こういうふうになってます。
 また、国が社会保障費削減のために入所者が自宅に戻る在宅復帰の支援を促していることについても、「入所者を回復させるためにはさらに人が必要になるのに、入所者を帰せば経営が成り立たない。矛盾だらけ」という訴えや、先ほど、冒頭の介護福祉士の話として、「仕事がきつくても入所者が回復してくれれば僕は我慢する。でも、在宅復帰支援が予算を減らすためだけの目的なら全て逆効果。この現場を国は知っているのか」、こういう問いかけを紹介してるんですね。
 また、介護施設事業者への懇談、聞き取り調査の中では、次のような意見が出されています。
 「特養における介護・看護職員の配置基準は、御利用者3名に対して職員1名となっております。現状、私たちの施設においては、定員60名に対して、介護・看護職員は、非常勤職員を合わせると40名を雇用しています。それでないと現場が回っていかないというのが実情です。当然、職員の給与は薄まっていかざるを得ません。経営努力ということを考えても、3対1の配置基準は、明らかに十分な介護・看護のできる環境ではないと考えています」と、配置基準の見直しと賃金を改善できる報酬単価の改定を訴えています。
 以上、御紹介させていただきましたように、現場では、仕事の割に給料が安いから職員募集をしても人が来ない、だから人員不足が慢性化する、そして過酷な労働実態を生む、こういう結果になっています。そもそも、人員配置基準が低いという問題もあり、仕事が続けられない勤続年数の短さ、根本的には、他業種と比べて年100万円安いと言われる賃金にあらわれてるように、待遇改善のための制度設計が追いついていないのが実態なんです。そんな中で、必死に頑張っていらっしゃる職員の皆さんの声が痛いほど胸に刺さります。
 こうした介護の現場の悲鳴とも言える声なき声を県はどう受けとめているのでしょうか。福祉保健部長に県としての認識を御答弁願います。
○副議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 介護職員の処遇につきましては、これまでの処遇改善加算制度などにより、給与等の引き上げを初めとした処遇改善が着実に進んでいるものの、介護職員の平均賃金は全産業のそれと比較しても低く、また勤続年数も短い傾向にあることから、今後も積極的な処遇改善や定着に向けた取り組みが必要と認識しております。
○副議長(尾﨑太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 答弁では、積極的な処遇改善が必要だと受けとめているという認識が示されました。
 これまで3項目のやりとりを踏まえて、次の国に加えて県独自の待遇改善策を提案する質問に進ませていただきます。
 今回の介護職員の待遇改善についての質問を通じて、人材は今後10年で4000人とも7000人ともいう介護職員が必要であること、そのためにはこれまで以上に介護職員の養成に力を入れ、定着やスキルアップにも取り組まなければならないこと、ところが、介護職場の実態は賃金が安いために人が集まらない、人員不足で仕事がきつい、それでまた人が集まらないという悪循環になっていてこの実態をどう受けとめるのかという議論をさせていただきました。
 県としても、こうした人材確保、養成と定着、待遇改善に力を入れたいということですが、じゃ、その待遇改善をどう前に向いて進ませるのかという課題をお尋ねしたいと思います。
 今回の介護保険制度改定では、国が介護職員1人当たり1万2000円の月給アップとなるように制度を改善するということなのですが、介護報酬が全体として引き下げられる中で実効性ある待遇改善になるのかと不安の声が出ております。
 報道によりますと、東京都が新年度から都独自に介護職員の待遇改善予算を組むということです。制度設計においては介護保険と重ならないように苦労しているとのことですが、私は画期的な取り組みだというふうに考えます。
 全国よりも高齢化の早く進む和歌山県としては、積極的に待遇改善に取り組んで人材育成を加速させなければなりません。国の待遇改善策は実効性あるものになるのか、また、県としてもこれに加えて独自の待遇改善策に踏み出すべきではないかという点について、福祉保健部長の答弁を求めます。
○副議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 今般の処遇改善加算制度の拡充により、さらに給与アップが見込まれますので、対象となる全ての事業所に周知するとともに、積極的に活用されるよう働きかけてまいります。
 また、介護職員の待遇改善につきましては、県独自の対策は困難であり、国において地域における経営実態等を踏まえた適切な介護報酬等の設定がなされるべきであると考えております。
 県におきましては、良質なサービスを提供できる介護職員の養成やスキルアップを支援することにより、処遇改善や定着につなげてまいりたいと考えております。
○副議長(尾﨑太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 国の待遇改善は徹底するが県独自は困難という、これまでのまだ延長線上のお答えだったというふうに思います。東京都は財政力があるからとか、都市部は地域加算があるからということで終わらせていてはいけないと思うんですね。地方の県でも、都市部より介護職員の給料が高くなっている県がたくさんあります。和歌山県も、お隣の大阪府と月3万円ほどの差があるというこの実態を放置できない、何とか知恵を絞ろうという姿勢に立つべきだと、これは知事も含め、強く要望さしていただき、今後もこの課題に県民の皆さんと御一緒に取り組んでいきたいというふうに思います。
 続きまして、2番目の柱として、ヒートポンプ給湯機による低周波健康被害の問題について質問をさせていただきます。
 ヒートポンプ給湯機とは、空気中の熱をヒートポンプという技術で集めてお湯を沸かす電気給湯機で、「エコキュート」などという愛称で販売されている省エネ型の給湯機です。低周波の健康被害は、これまで県議会では風力発電に伴う問題が何度も取り上げられてまいりましたが、今回、このエコキュートの低周波問題を提起させていただきたいというふうに思います。
 消費者庁から、昨年の12月19日付で、ヒートポンプ給湯機から生じる運転音、振動によって不眠等の健康障害が発生した事案の調査報告書と、それから、法の規定に基づく安全調査委員会の意見というのが──こういうふうに膨大な資料ですが(資料を示す)──発表されました。
 消費者庁のこの報告文書を見ると、これまで身近に感じていなかった方も多かったであろう低周波被害の問題が、こうした発生源によって、全国、そして県内どこでも起こり得ることであり、これに対する注意喚起と十分な対応、対策が必要だと考えて質問をさせていただくものです。
 そもそも、なぜ消費者安全調査委員会がこのようなエコキュートの低周波問題で調査をしたかというと、環境省が公表している低周波音に係る苦情件数が、平成20年以降は高い水準で推移しているということからなんですね。エコキュートの運転音、振動により不眠等の健康症状は原因を低周波によるものと訴えるケースが多く、隣近所との関係に影響を及ぼしています。低周波音は人に聞こえにくい領域の音であることや音の聞こえ方に個人差があることから音源の特定が難しいこと、また設置者の理解を得ることが難しいのが特徴だというふうにこの資料では紹介しています。
 事故等原因調査報告書は、主に取り上げた1つのケースだけではなく、実は合計19件もの事案を綿密に調査しています。それぞれ現場まで出向いて聞き取り調査をし、そしてデータも実際に実測調査をしております。そして、それだけでなくて、隣の家にこのエコキュートがある家庭100件に対してもアンケート調査をするなど、これまで消費者安全調査委員会で取り組みをやってきたものを大きく超えた規模で検証されてるのが特徴です。
 その結果、事案に対して、ヒートポンプ給湯機の運転音が健康症状の発生に関与していると考えられる、こんなふうに結論づけ、リスク低減のための対策、それから健康症状発生時の対応、この2つの中身で消費者安全法第33条の規定に基づく意見というのを公式に発表したわけです。
 私は、先日、このヒートポンプ給湯機エコキュートによる低周波健康被害の問題で由良町に出向き、健康被害を訴えられている御本人から直接話を伺ってまいりました。この方の自宅に隣接する介護施設が、増設に伴い業務用のエコキュートを新たに設置したときから、この方の健康被害が始まりました。激しい頭痛に悩まされる生活をもう2年余りも続けておられます。
 この方の健康被害の相談に基づき、地元自治体と保健所、県環境管理課が対応し、メーカーによって低周波の測定が実際に行われています。これがその実際のデータです。(データを示す)
 驚くことに、施設の前でも、そしてまた健康被害に悩む方の御自宅でも、環境省が示した参照値を大きく超えてるんですね。この参照値という音のレベルは、低周波の法規制の基準がない中で90%の人が許容できるという水準の暫定的な数値でありますが、この数値以下でも10%の人が許容できない、低周波を感じる個人差があるので、この数値以下であっても低周波被害が否定できないので詳しく調査するよう環境省もガイドラインで求めている、そういう数値です。この数値を大きく超える低周波が実際に測定されたというこの事実から県などが施設に対して対応を指導し、運転時間を変えるなどの対策を試みてきたものの、低周波の発生はおさまっていません。
 深夜電力を使うのが基本のエコキュートですが、夜寝られないので昼間に運転するように対策されましたが、今度は昼間が家にいられない。朝御飯を食べたら外出して親戚宅や図書館などへ避難し、お昼御飯を食べに帰ってもすぐに気分が悪くなるので、食べ終わったらまた自宅から避難する。夕方にエコキュートの運転が停止するころに帰宅するという生活を続けておられます。まさに心の休まることのないつらい生活を続けながら健康被害に悩んでおられるわけです。
 こうした深刻な事例を踏まえて、以下2つの項目で質問をさせていただきます。
 まず第1点目、健康被害相談への対応状況についてお伺いします。
 ヒートポンプ給湯機による低周波健康被害の県内発生状況はどうか。また、由良町における隣接する介護施設からの低周波健康被害への対応状況についてお答え願います。
 次に、消費者庁の意見に基づくメーカー、設計施工業者、県民への対応についてお尋ねいたします。
 消費者庁の意見では、1点目に「リスク低減のための対策」をまず求めています。今後、家庭用ヒートポンプ給湯機の普及に伴い、影響の拡大が心配されます。県としても、メーカー、設計業者や施工業者や販売店に対して周知徹底を図るとともに、県民にもこの中身を適切に広報していくべきではないでしょうか。
 また、この消費者庁意見は、その事前防止という1点目の観点に加えて、2点目に「健康症状発生時の対応について」と、個別事案についても明確にしてるんですね。製造事業者に対しては、個々の事案に対して健康症状軽減に向けた具体的な対策を検討し、提案し、履行に向けて丁寧に努めるよう求めています。
 一般的な予防策だけでなく、個々の事案への対応という点でも、県として、メーカーや設計施工業者に対してこのような対応を求めるべきだと考えますが、いかがですか。
 また、低周波音の測定値が環境省が示した参照値以下であっても、慎重な判断を要する場合があることを一層明確に周知せよとここでは書いてるわけですから、県として、今後、低周波健康被害相談への対応において、このことをしっかりと踏まえるべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
 以上2項目の質問、あわせて環境生活部長より御答弁願います。
○副議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) ヒートポンプ給湯機による低周波の健康被害についての御質問について、御答弁さしていただきます。
 まず、健康被害相談の対応状況でございますが、県内で発生しておりますヒートポンプ給湯機の低周波による健康被害の相談を県として把握しておりますのは、本日御指摘のありました由良町におけます件1件でございます。これは、あくまでも相談として把握してる分でございます。
 健康被害を訴えている方と設置施設の話し合いが行われている中で、議員からお話がありましたように、施設側はヒートポンプ給湯機の運転時間帯を深夜から昼間に変更をいたしました。その上で、現在、昼間の運転出力を60%──これがこの機種の最低限の運転状況、可能出力と聞いてございますが──そういう形に低減するなどの対策を現在のところはとっているということを伺ってございます。
 また、現時点で、施設側は、施工業者でありますとか製造メーカーと協議をしながらさらなる対策を進めていきたいということで、その対応について検討しているところだというふうに承知をしているところでございます。
 もう1点の、今回、消費者庁から意見が出たことについての対応でございますけれども、こちらのほうでは、ヒートポンプの給湯機から生じます運転音、それから振動によりまして不眠等の健康症状が発生したという申し出が多数寄せられているというところから、今回、消費者安全調査委員会のほうで検討が進められて、昨年の12月にこの委員長から経済産業大臣並びに消費者庁長官に対しまして、健康症状発生のリスク低減に向けた取り組みを行っていくようにと、そういう意見書が出されたものでございます。
 これを受けまして、経済産業省のほうでは、平成26年の12月に一般社団法人日本冷凍空調工業会に対しまして、ヒートポンプ給湯機の運転音等の改善への取り組みを講ずるよう要請をしております。それを受けまして、同工業会におきましては取り組みを進めているところでございますが、経済産業省におきましても、今後とも、この工業会の取り組みがどのように進められていくか適切にフォローアップを進めてまいるということになっているというふうに私どもとしては承知をしてございます。
 また、低周波によります健康被害の対応でございますが、現在、法的な明確な規制というか、議員御指摘のありました参照値だけでございまして、法的規制がない状況ではございますが、消費者安全調査委員会の低周波事故等調査報告書、それから環境省から既に出されております「低周波音問題対応の手引書」、こういうふうなものを活用するよう、県内の市町村、それから関係の機関に県としては周知をしてございまして、これまで県として取り組んでまいりました他の環境問題におけるさまざまな対応と同様に、この低周波によります健康被害の対応についても今後とも真摯に対応してまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(尾﨑太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 県としてのこの低周波健康被害に対する取り組みの状況と、今後も真摯に対応していくという姿勢が示されました。まさにその言葉どおりの努力を期待するものです。
 由良町のケースでは、一定の工夫や試行錯誤が進められてきました。これは、県がしっかりと設置者を行政指導してこられたからだと評価をしております。しかし、この先、対策を進めようとすれば、対策の効果や費用の問題などで壁に当たることも予想されます。要望させていただくのは、施設と健康被害を訴えてる方との協議だけにせず、消費者庁の意見に沿った形でメーカーや設計施工業者にもしっかりと対応を迫っていただきたいということです。
 また、家庭用のエコキュートの健康被害の大部分は、省エネになるからよかれと思って設置した給湯機が原因で本当に大変な被害につながるわけで、仲のよかった隣同士の関係が壊されてしまうんですね。設置した家にとっては、家の裏のあいたスペースに置いたつもりが、お隣さんにとっては寝室の真横だったということがあるわけです。この問題の解決には、メーカー、そして設置業者の協力や責任がしっかりと果たされるべきなんですね。メーカーや設計施工業者、業界団体への指導は、決して国任せにすることなく、県としてきっちりと取り組まれるよう要望をしておきます。
 また、県としても、太陽光発電補助にこのエコキュートをプラスすれば補助がふえる制度を持っています。5倍ほどの倍率の人気だそうで、この3年間で合計300件ほどの設置補助を出しているということですから、普及はどんどん進んできてますし、今後も進むでしょう。補助をする県としても、補助要綱などにこうした低周波問題への注意喚起をし、設置位置を確認するようなことも必要だと思いますので、対応を要望しておきます。
 このエコキュートや風力発電など、低周波健康被害を訴えられているのは、まだまだ氷山の一角であるというのが現状です。原因がわからず、悩みを持っていらっしゃる県民が数多くいらっしゃる可能性があります。健康相談はもちろんのこと、適切な形でこうした低周波で悩んでいる問題があることを県民に広報することも含め、県としてしっかりした対応を重ねて要望しておきたいと思います。
 次に、第3番目の柱である特別支援教育の条件整備について、今度は教育長にお尋ねをいたします。
 特別な支援を必要とする子供たちが通う特別支援学級においては、児童数の多い学級がふえてきて、子供たち一人一人の発達に合わせた対応に苦慮しているという話をお聞きし、その一例を調査するために湯浅町の学校現場へ出かけました。
 この小学校の特別支援学級の1つには、1年生が2名、2年生が2名、3年生が1名、4年生が1名、合計6名が現在でも在籍をしています。実は、これに加えて来年度は新入生2名が予定されていて、合計8名の学級になる予定だというんですね。これだけの人数の学級でどうやって授業をされてるんだろうと、こんなふうに思いながら校長先生に授業を御案内いただきました。
 ここでは、まず教室を半分に区切って、1年生の1人とお隣の特別支援学級の1年生が2人で国語の授業を受けていました。この2人は、非常勤の先生が担当をされてます。そして、あと半分の教室では、これをそのまた半分に先生手づくりのパーティションで区切って、2年生の子供と4年生の子供、これは別々に算数の授業を受けています。学習内容も教具も別々の授業を1人の教師がこっち行ったり来たりしながら行う2元同時進行の授業なんですね。これは授業も大変だけども、授業の準備、教材研究や教具の用意が大変だなあというふうに感じました。
 その日は4時間目の授業を見せていただいたんですけれど、教室の中には6名中4名が勉強していて、あとの3名──1人、よそから来てますから──は交流学級へ体育などの授業に出かけていました。校内をずうっと御案内いただき、交流学級で一緒に学習に取り組む特別支援学級の子供たちの姿も見せていただきました。そこには、やはり特別支援学級の先生が横について授業に参加をしています。そうやってこそ学習、発達が保障されるんですね。このように、交流学級との時間割を調整して、なるべく子供の数を分散させながら担任の先生と非常勤の先生でやりくりをしながら授業をされています。
 このクラスには、御紹介したように非常勤の先生が入っていますが、その非常勤の先生も、県費では1日3時間限りなんですね。私が授業参観をさせていただいた4時間目は、実は湯浅町のお金で配置しているという継ぎはぎ状態なんです。そして午後は、予算がないので非常勤の先生はいません。担任の先生1人で授業をすることになります。
 特別支援学級で子供たちが一生懸命学習に取り組んでる姿に感動し、本当にこの特別支援教育というのは教育の原点だなと改めて思うと同時に、特別支援で2人以上の学級というのは、人数と学年が多くなればなるほど本当に大変だということを目の当たりにしました。
 今回の視察を通じて、一人一人の発達課題に即した個別対応が求められる特別支援教育において、現状では条件整備が不足しているということを痛感しました。
 そこで、以下2点をお尋ねします。
 1点目に、この間、和歌山県内の児童数は全体として減少傾向であるんですが、特別支援学級の学級数や児童生徒数は増加傾向であると聞きますけども、現状はどうなのか。特別支援学級の設置数、児童数の推移をお示しください。
 2点目に、特別支援学級における多人数学級への条件整備充実についてです。
 丁寧な個別指導が大切な子供たちなのに、2名以上が在籍する多人数学級では、人数や学年がふえるほど手厚い教員配置が本来必要です。この多人数学級に対しての条件整備にどう努めてきたのでしょうか。また、現在の人的配置では不十分だと考えますが、今後の充実にどう取り組んでいくのかを御答弁願います。
○副議長(尾﨑太郎君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 平成26年度の特別支援学級につきましては、小中学校合わせて483学級、1415名が在籍しており、5年前の平成21年度に比べますと、82学級、368名増加しています。また、1学級当たり2名以上在籍している学級が占める割合は76.2%で、5年前と比較しますと8.4ポイント上昇しております。
 特別支援学級を編制する場合の基準は8名以下となっており、9名以上の場合、クラスを分割し、複数の担任が指導することになっております。
 議員御指摘のように、1学級当たりの児童生徒数が多くなったり学年が複数にまたがったりすると、発達段階や課題に応じた指導が困難な場合があります。こうしたことから、県では、市町村教育委員会との協議も踏まえ、1学級当たり児童生徒が6名以上在籍している場合、または5名以上在籍し、かつ3学年にまたがっている場合は、非常勤講師を配置する支援措置を講じているところです。
 今後も、特別支援学級で学ぶ児童生徒一人一人が達成感を持ちながら学習し、生きる力を身につけていけるよう、特別支援教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(尾﨑太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 教育長からは、条件整備を進めてきた経過と今後の姿勢もお聞かせいただきました。
 特別支援教室の中でも困難なところに手厚い支援を求めるとともに、特別な支援が当たり前のようにできなければならないというのが、今、これからの日本の教育に求められているわけですから、定数改善や人的配置の一層の拡充を要望しておきたいというふうに思います。
 それでは、4つ目の、最後のミカン価格対策についての質問に移らせていただきます。
 2014年産ミカンの価格は、消費不況や天候不順の影響などを受けて低迷しました。年末年始は少し回復したとの話もお聞きしますが、その恩恵はほんの一部にとどまり、県内農家全体としては大変厳しい状態だったというふうに考えます。
 年末以降の推移も含めて、2014年産ミカンの販売状況をどう把握しているのか、お示しください。
 次に、ミカン厳選出荷促進事業についてです。
 和歌山県は、ミカン生産量日本一をこの間誇ってきております。和歌山は、豊かで好条件な自然環境と歴史、ブランド力を持った産地である一方で、価格形成の点では、他府県と比べてもリードされた状況が固定化されていて、ミカン生産県主要6県のミカン価格をランクづけすると、1位静岡、2位愛媛、3位長崎で、続いて4位和歌山と、この間、常に4位が和歌山県の指定席だというふうに聞きました。和歌山県産ミカンの価格の他府県との比較はいかがでしょうか。
 こうした中で、県は、新年度でミカン厳選出荷促進事業をスタートさせようとしています。価格形成に向けた新たな努力として評価するものです。この事業によってどのような取り組みが強められ、どう効果を発揮していくと考えているのでしょうか。
 以上2点、農林水産部長より答弁を願います。
○副議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ミカンの価格対策2点について、一括してお答え申し上げます。
 まず、2014年産ミカンの販売状況ですが、8月の多雨による品質低下などにより、12月中旬までの販売単価は低迷いたしました。12月下旬以降は市場入荷量が減少して、現在まで前年を上回る価格で取引されておりますが、昨日2月24日までの系統扱いの市場単価は、対前年比85%の1キログラム当たり181円と厳しい状況でございます。
 本県のミカンは、生産量では日本一ですが、残念ながら単価は愛媛県や静岡県に比べて安く、平成21年以降、全国の主要な10地域市場の平均価格を下回っているのが実情です。
 こうしたことから、光センサー選果機を利用して厳選したミカンを市場に出荷し、品質基準を満たさない果実を加工用に仕向けるためのミカン厳選出荷促進事業の予算を今議会にお願いしているところです。また、ミカンの消費拡大を図るため、市町村や県内の企業にも協力を呼びかけ、会議や職場でミカンを食べる運動として「和歌山なんだから、みかんをもっと食べようキャンペーン」を昨年12月から実施しているところです。
 今後、厳選出荷の取り組みによって県産ミカンの市場評価を高めるとともに、JAや市町村等と連携しながら販売の促進に努め、名実ともに日本一のミカン産地を目指す所存でございます。
○副議長(尾﨑太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 ミカンの価格形成に向けた取り組みを、きょうは議論させていただきました。答弁を聞いて改めて思ったのは、価格の順位もありますけれども、和歌山県産ミカンの単価が市場の平均価格を下回ってるというのに大きな問題意識を私は持ったところです。今回の厳選出荷の取り組みや品質向上、販売促進、ブランド力アップ、ぜひさまざまな場面で農家、生産者団体とも力を合わせて和歌山県産ミカンの価格形成が進むよう、積極的な県の取り組みを要望して、本日の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(尾﨑太郎君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了しました。

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