平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(濱口太史議員の質疑及び一般質問)


平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(濱口太史議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(尾﨑太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 今議会では、大きな3つの項目を質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず1つ目、森林資源「紀州材」の利用推進についてであります。
 小さな項目1つ目、低コスト林業への取り組みについてお伺いをいたします。
 県土の77%を占める山林を擁する和歌山県、貴重な資源である紀州材を活用しない手はないと考えます。戦後、植栽された人工林が森林資源として利用可能な状態に成長を遂げた、これからが大きなチャンスを迎えたと言っても過言ではないと思います。林業による紀州材の生産量と消費市場の需要がふえれば、それに伴って木材産業が活発化することにつながり、川上と位置づけられる林業から中間あるいは川下と位置づけられる木材産業へと、森林資源を活用する全体的な流れが期待できます。それには、林業の振興を図ることが重要であります。
 木材需要の低迷等による木材価格の下落や労働賃金等の経営コストの上昇により、林業は生産性を悪化させておりましたが、業界の自主的な努力に加え、国や県や市町村の支援策により、ようやく明るい兆しがあらわれ始めています。この流れを維持していくためには、低コスト林業をさらに推進していくことが必須と考えます。
 県では、これまでも作業道整備や高性能林業機械の導入、架線集材システムの改良などに支援をしています。今後、低コスト林業に対しどのように取り組んでいくか、農林水産部長にお尋ねします。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 戦後植林された杉やヒノキの人工林は成長し、県内の森林資源は本格的な利用期を迎えております。こうした人工林の多くは公的補助制度によって整備されており、公共財としての性格を有しています。
 本県の中山間地域を活性化するためには、これらの森林資源を有効に活用する必要があり、県では、これまで作業道の整備や高性能林業機械の導入を支援し、搬出間伐を推進するなど、低コスト林業を積極的に進めてまいりました。また、本県の急峻な地形において効率的に搬出できる架線系集材システムの改良や、森林所有者と連携し、コンテナ苗の活用を図るなど、低コスト造林にも取り組んでまいりました。このような取り組みに加え、森林組合の体制強化や森林組合と民間素材生産事業体との連携を推進し、低コスト林業をさらに進めてまいります。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 次の質問に移らせていただきます。
 午前中、吉井議員も紀州材、公共土木工事への利用促進を提言されておりましたが、私は販路拡大と住宅分野以外での利用推進についてお尋ねをしたいと思います。先輩議員ほど実のある話がないかもわかりませんが、皆様、お聞きください。
 貴重な森林資源である紀州材を広く活用するための取り組みについて、県外向け、県内向けの2つの観点から質問をさせていただきます。
 まずは、県外への販路拡大についてお聞きします。
 県の産品や製品の消費に関して、一般的には、いわゆる地産地消が理想であるとはよく言われることであります。人口減少が進む県内だけでは大きな消費を見込めないケースが多く、売り上げや消費量をふやすためには、県外への販路拡大あるいは販路開拓に力を尽くすことは必然的なことと考えます。紀州材にとっても、同様のことが当てはまると思うわけです。製材品や家具などの加工品、その形態は多種多様でよいと思います。
 そこで、県外、特に需要が多いと考えられる都市部へ紀州材を売り込み、出荷量をふやすためにどのような取り組みが行われているのでしょうか。
 2点目は、紀州材の内需拡大の観点からお尋ねします。
 今後の需要が期待できる公共建築物にターゲットを絞って国が率先して木材利用に取り組むとともに、地方公共団体や民間事業者にも国の方針に即して主体的な取り組みを促すこと、さらには、住宅など一般建築物への波及効果を含め木材全体の需要を拡大することを狙いとした公共建築等木材利用促進法が平成22年10月に施行されました。
 それを受け、本県でも木材利用方針を策定し、高さの低い公共建築物については原則木造化、県民の目に触れる機会が多い部分には内装の木質化を推進しています。同様に、県内全市町村においても木材利用方針を策定しており、県では、環境や人に優しい木材のよさを広くPRするという趣旨に基づき、市町村等が整備する施設の木造化、内装木質化に対して補助金制度を設けています。
 一方、一般の住宅建築に紀州材を利用してもらうことを考えますと、構造材に一定以上の紀州材を使用する住宅を対象とした助成制度などで一般向けにも紀州材の利用推進策が講じられていますが、人口減少により住宅着工戸数の減少が予想される中では、先述の取り組みに加え、民間の店舗などの商業施設や社屋、事務所など、住宅以外の建築物への紀州材利用を推進していくことが重要になってくると考えます。
 そのような住宅分野以外での紀州材利用の取り組みを具体的なものとするためには、木材や木造建築に関して豊富な知識や経験を持ち、紀州材利用を提案、推奨してくれる人材、いわば紀州材の応援団、コーディネーター的な役割を果たしていただく人材を設計や建築に携わる人たちの中にふやしていく必要があると考えます。
 紀州材利用を提案してくれる人材をふやす取り組みにより、紀州材の汎用機会が広まると期待できると考えます。その点についてはいかがでしょうか。農林水産部長の御所見をお尋ねします。
○副議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 議員御指摘のように、紀州材の利用を進めていく上で県外での販路拡大が非常に重要であり、都市部における紀州材製品記念市や住宅・建材展示会への県内企業の出品、出展を支援するなど、新たな販路の開拓に取り組んできたところです。
 しかし、今後、人口の減少に伴い住宅着工戸数の減少が予想される中で、福祉施設や商業施設などでの紀州材利用を積極的に推進していく必要があり、こうした分野で木造化や木質化を提案できる紀州材ファンの建築関係者をふやしていくことが重要であると考えております。
 そのため、まず新年度において、県内の建築士を対象に、木材を使用した耐火性能や構造等に関する法令上の制約、紀州材の特性や流通の仕組みなどについての講習会の開催等に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 「木の国」と呼ばれる我が和歌山県でありますので、人的ネットワークを駆使したきめの細かい紀州材の利用推進の取り組みを、農林水産部だけではなく、県土整備部との連携も図りながら展開されますことを要望して、次の質問に移らせていただきます。
 大きな2つ目、和歌山デスティネーションキャンペーンについてであります。
 1つ目、キャンペーンの成果についてお尋ねをいたします。
 県及び県内市町村、観光関係団体とJRグループ6社が連携した大型観光キャンペーンとして、昨年の9月14日から12月13日まで、和歌山デスティネーションキャンペーンが大々的に実施されました。以後、省略した名称の「わかやまDC」を使わせていただきます。
 今回のわかやまDCでは、実に盛りだくさんなイベントや企画が実施されました。また、観光資源の開発、情報の発信、リピーターを獲得するための心のこもったおもてなしを強く意識した取り組みなどが展開されました。その間、10月に立て続けに襲来した台風18号、19号の影響を受け、いずれの数字も大幅増とはならなかったものの、誘客人数の増大に効果を上げたとの報告がなされたところです。
 改めて、わかやまDCを振り返り、概要とその成果などについて、知事の総評をお聞かせください。
○副議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山デスティネーションキャンペーンについては、一昨年の伊勢神宮式年遷宮から続く観光振興ゴールデンイヤーの中核となる施策と位置づけ、JRグループや地域とタイアップし、県を挙げて取り組んでまいりました。
 このキャンペーンにおいては、「和み」をテーマに、聖地や道、食といった本県自慢の観光資源を最大限に活用し、地域や人が中心となってお客様を受け入れる企画やイベントを展覧会的に実施することを誘客の柱といたしました。
 議員が観光協会の副会長につかれている新宮市においても、多数のウオークイベントや新宮鉄道・客車里帰りプロジェクトの実施、また、トワイライトエクスプレス、ハローキティ和歌山号の歓迎などで、大変多くのお客様の来訪と満足につながったと思っております。
 一方で、こうした観光資源や企画などを和歌山ブランドとして全国に向けて大いに情報発信もいたしました。JRグループの広告媒体の活用に加え、さまざまなメディアを活用した独自の広報を積極的に展開いたしました。
 こうした結果、本県の認知度が大きく上がったことは、インターネット系の大手旅行会社・楽天トラベルの商品取り扱いの伸び率で本県が全国2位となったことにもあらわれております。
 和歌山デスティネーションキャンペーンの数値的な成果といたしましては、期間中の来訪者が対前年同時期に比較して70万4000人増加の990万3000人で、直接消費額は同じく27億1000万円増加の455億4000万円であったと推計しておりまして、繁忙期の週末に連続で接近いたしました台風がありましたけれども、これで随分損をしたんですが、この影響も大きかった中で、地域を中心に関係者の皆さんがよく頑張ってくれた結果と評価しております。
 和歌山デスティネーションキャンペーンにおける取り組みを一過性のものとせずに、高野山開創1200年、来年のNHK大河ドラマ「真田丸」などの機会を生かし、ことし秋から予定している和みわかやまプレミアムキャンペーンに引き継いで、大いに観光振興をしていきたいと考えております。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 次の質問に入ります。
 評価の高い事業の継続的な取り組みについてであります。
 県観光局によりますと、わかやまDCで実施された多くのイベントや企画の中で、特に評価が高く効果が大きいと考えられるものはさらに磨きをかけ継続して実施し、持続可能な観光地づくりを推進していくとの言葉がありました。
 特に、キャンペーンで成果を上げた紀南地域への誘客の取り組みとして、一昨年の伊勢神宮式年遷宮の際にも全国から伊勢へ参拝に訪れた人たちを本県まで誘客していただいた取り組みと同様に、開創1200年という節目の年を迎える高野山を訪れる参拝客にも熊野三山への参拝を働きかけ、紀南地域へも足を延ばしていただくための取り組みにも期待したいと思います。
 そういった意味では、昨年、日本ジオパークに認定された南紀熊野ジオパークなどのいろいろな話題を前面に押し出し、積極的な攻める観光で紀南地域への誘客をお願いいたします。
 さて、今回の観光キャンペーンでは、JRとの連携に重点が置かれました。観光列車ハローキティ和歌山号やトワイライトエクスプレス車両を利用した臨時列車や、京阪神、九州、広島、岡山等を発地とした和歌山行きの割引切符など、多くの商品が好評を得ました。今回のキャンペーンによって、列車での旅が改めて注目を浴びたことと思います。これを契機にJRの利用促進に向けたさらなる取り組みを展開すべきだと考えますので、引き続き、JR西日本への働きかけも念願いたします。
 いろいろと申し上げましたが、本県の主要産業である観光業活性化策は待ったなしの状況と言えます。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねいたしますが、今回のわかやまDCによる本県への観光客誘客について、検証された結果についてお聞かせください。
 また、高野山開創1200年を初め、ビッグイベントがめじろ押しではありますが、目標とする持続可能な観光地づくり実現のためには、矢継ぎ早に企画や事業を展開する必要があると考えます。
 わかやまDC終了後、間もないところですが、現時点での今後の取り組みについてお聞かせください。
○副議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) わかやまDCにおいて評価の高い事業の継続的な取り組みについてでございますが、まず、その前提となる取り組みの検証結果について申し上げます。
 わかやまDCにおいては、持続可能な観光地づくりを目指して、県及び県観光連盟が地域等と連携し、多数の企画の開発やブラッシュアップを行い、そして、心のこもったおもてなしを誘客の柱として実施したところです。
 中でも、世界遺産環境保全ウォーク、メディアとタイアップしたウオークなどのウオークイベントや、熊野三山や高野山における秘宝等の特別公開、あるいは紀三井寺、橋杭岩、那智の滝などのライトアップ、また、ホールガーメントニット製品のおあつらえなどの地域産業とのコラボレーション企画、また、地域食材をふんだんに使用した和み駅弁や宿泊施設における特別メニュー、さらには、来訪者へのおもてなし企画として、主要観光地の観光協会等で手荷物を預かり宿泊施設まで届ける手ぶら観光などに多くの来訪や利用があり、また、お客様や旅行会社などから高い評価を受けています。
 このほか、県内周遊を促進する仕組みとして、ゲーム感覚を組み込んで周遊を促進するスタンプラリーや本県各地の御当地キャラクターピンバッジ収集なども好評を得た企画です。
 しかしながら、想定したほどお客様が集まらなかった企画等もあり、原因や改善策について、今後、分析を深めていきたいと考えております。
 一方で、幾らよい企画でも、お客様に知ってもらわないことには来訪の動機づけにはつながりません。わかやまDCにおいては、さまざまなメディアを活用し、マーケットやターゲット層に向けて効果的な情報発信ができたことで企画内容と相まって大きな成果を得たと考えており、今後とも効果的な情報発信に重きを置いて取り組んでまいります。
 次に、今後の予定でございますが、来年度は高野山開創1200年、大河ドラマ「真田丸」放送等のビッグイベントを契機とした誘客事業に取り組んでまいります。さらには、秋には国の交付金を活用した和みわかやまプレミアムキャンペーンの実施も予定しております。
 こうした事業の実施に際し、わかやまDCで誘客効果が大きいと判断した取り組みについてさらに充実を図りながら継続することで、持続可能な観光地づくりを推進していきたいと考えております。
 なお、議員の御提言にございました、わかやまDCでJR西日本が独自に取り組み、多くの利用があったハローキティ和歌山号や、寝台車両やサロンカーを連結した列車などの観光列車や、周遊に便利でお得な企画切符につきましては、誘客効果は大きいと考えますので、引き続き実施してもらうようJR西日本に働きかけてまいります。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ターゲットを絞った観光戦略というのは本当に効果があると思われますので、また今後の御奮闘をよろしくお願い申し上げます。
 最後、3つ目、わかやまDCに関連して、JR、特に紀勢本線についてお尋ねをいたします。
 近畿自動車道紀勢線の紀南地域への延伸や一般道路の改良もあり、紀勢本線の利用客は年々減少しているようです。JR西日本和歌山支社によると、10年前に比べ、管内の利用客は1割減、白浜より南は3割減少しており、特に紀勢本線沿線住民の利用が著しく減少している状況にあるとのことです。
 その打開策を打ち出すため、沿線の24市町村で構成された紀勢本線活性化協議会が平成6年12月に発足されています。昨年7月30日に開かれた総会では、次の3項目の申し合わせがなされたそうです。
 1つ目は、会員市町村主催のイベントなどでは公共交通機関を積極的に利用して来場するよう呼びかけること、2つ目は、広報紙などを通じて住民に鉄道の利用をPRすること、そして3つ目は、職員の出張は可能な限りJRを活用することとのことです。
 私の地元にある金融機関は、まさにその取り組みを実践しており、地域の大事な交通機関は地元住民が支えるものという方針のもと、車での出張を控え、JRの活用を優先しているとのことです。その金融機関に勤めている方が、「地域住民への利用促進を図るため、行政も率先して利用するべきだ」と話されたことが大変印象に残っています。
 私自身も、登庁するため新宮市と和歌山市を行き来する際に可能な範囲でJRを利用しているのですが、定例会中など連泊ともなると着がえなどの荷物も多いため、また移動時間帯が夜遅くになることが多いため、大半が車での移動を選択しています。みずからも、今まで以上に意識して積極的にJRを利用することを心がけたいと思います。
 ちなみに、JRを使うメリットは何があるかと考えてみますと、安全性が高い、運転する必要がない、寝ていても目的地に着く、和歌山が誇る海岸線や名所などの景色がじっくり楽しめる、お酒をたしなむ人は飲酒も可能、読書や書類に目を通したり作成もできる、人との触れ合いがあるなど、たくさんのメリットが考えられます。
 また、観光客のみならず、車の免許を持っていない地域の学生や一般の方などにとっては大事な移動手段です。また、鉄道の維持、発展に努めることは、バスやタクシー、最近ではレンタカーなどの2次交通の利用にもつながり、業界の発展が地域に経済効果をもたらすものと考えます。
 さらには、徒歩やレンタサイクルでゆっくりと町なか観光を行ってもらうことにより、じっくり飲食や買い物をしてもらえる機会もふえ、地方の観光業が目指す滞在時間をふやすことへのきっかけにもなります。
 さて、次に車両に目を向けますと、現在、紀勢本線を走る特急くろしおは3種類、急カーブでも車両を傾けて速度を落とさずに走れる振り子式の381系と283系、振り子式ではない最新の287系であります。
 御承知のように、振り子式車両は高速化を実現するため導入されたわけですが、その走行中の左右の振りによる乗り物酔いや疲労感を感じる人が多く、やや快適さに欠けるとの悪評もあり、それが敬遠される理由の1つとさえ言われているのも事実です。そんな声をよく耳にしておりましたので、JR和歌山支社長さんや関係者とお会いするたびに、振り子式ではない車両のほうが乗客は喜んでくれるのではないでしょうかと話をしてきたところです。
 そうした中、朗報と言うとこれまで高速化のために尽力してこられた関係各位や振り子式車両にお叱りを受けるかもしれませんが、昨年12月、27年春のダイヤ改正発表の際に、特急くろしおパノラマ車381系の老朽化に伴う取りかえを予定していると発表がありました。そして、12月31日付の「毎日新聞」には、「元祖くろしお引退へ」の見出しで詳細についての報道がなされました。その記事によりますと、来年秋ごろに入れかえが予定されている381系の後継には、北陸線などを走る特急しらさぎで使用されている683系が候補に挙がっているとのこと。この683系は、振り子式ではないため、和歌山─新宮間の所要時間は今よりも10分程度長くなってはしまいますが、快適さは増すのではないでしょうか。利用客の増加が期待されるところです。
 わかやまDCでのJRへの注目、新車両の導入などを機会と捉え、特に利用客が減少の一途をたどっている紀勢本線の白浜─新宮間の利用促進を図る対策を官民一体となって講じていきたいと思いますが、車両のほかにも、利用してもらう駅の快適さや利便性の向上も重要だと考えます。その環境整備の支援や働きかけなど、JRに対する県の取り組みについて、企画部長にお尋ねをいたします。
○副議長(尾﨑太郎君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 議員御質問のJR紀勢本線の利用促進に向けた環境整備についてでございますが、紀勢本線は、地域住民の方々の通勤、通学などの生活路線としてだけでなく、観光振興、地域振興の面でも極めて重要な路線であり、利便性、快適性を高めることは非常に大切なことであると考えております。
 このため、県では、JR西日本及び関係市町村と連携し、これまでも利便性、快適性を向上するための環境整備に取り組んでまいりました。どこでも、誰でも、自由に、使いやすくといったユニバーサルデザインの考え方に基づき、誰もが安全で安心して利用いただけるよう鉄道駅のバリアフリー化を推進しており、今年度は新たに紀伊勝浦駅及び御坊駅でバリアフリー化整備を実施しております。紀伊勝浦駅につきましては、このたび整備が完了しまして、来る3月1日に記念式典が行われます。
 また、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会を初め、観光等で県内を訪れる方々を気持ちよくお迎えするため、平成25年度から平成26年度までの2カ年で、公共施設や市町村の観光地、民間施設のトイレを集中的に整備、美化する和歌山おもてなしトイレ大作戦を展開してまいりました。鉄道駅のトイレにつきましてもこの大作戦で整備を進めてきたところであり、紀勢本線では和歌山駅を初めとした全ての特急停車駅で整備が行われ、その他の駅についても市町村とともに積極的に整備を進めてきたところです。
 JR西日本においても紀勢本線のより快適な利用を目指した取り組みを行っておりまして、平成25年春のダイヤ改正では、白浜駅から新大阪、京都までを行き来する特急くろしおが全て新型車両に更新され、さらに、議員のお話にもありましたように、平成27年春のダイヤ改正以降に、新宮駅から新大阪、京都までを行き来している老朽化したパノラマ車両が新しいタイプの車両に更新される予定であります。このことにより、ゆったりとした座席で足元スペースが広くなるとともに、全てのトイレが洋式化されるなど、快適性が格段に向上することになります。
 県といたしましては、紀勢本線活性化のため、また地域の発展のため、今後ともJR西日本及び関係市町村と一体となって利用促進に向けた環境整備に取り組み、紀勢本線を利用される方の利便性、快適性がより一層向上するよう努めてまいります。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 今、お話をお伺いしまして少し考えたんですけど、今、例えば高速道路の中にありますサービスエリア、それとか道の駅、そういったところが、かなりいろんな方、観光客とかでにぎわっている姿をよく目にするんでありますけども、本来の駅でありますから、本当に電車を利用するだけでそこに立ち寄るわけではなくて、本当にその地域の玄関口といいますか、憩いの場として、もう少し駅が快適な空間になればと思います。それが1つの活性化につながることと信じて、これからの働きかけに御期待を申し上げます。
 それでは、最後の大きな項目に移らせていただきます。熊野川の清流を取り戻す対策についてであります。
 まず1つ目、国や電源開発を含めた濁水対策と効果についてであります。
 熊野川の熊野川町日足、ちょうど道の駅の上流、下流部分において、12号台風災害以降、堆積した土砂の撤去が長い間の懸案事項となっておりましたが、このたび、緊急的に河道掘削を行っていただく災害対策等緊急事業推進費の配分を御決定いただきました。また、対岸の三重県にも、足並みをそろえて掘削を行っていただくことを御決定いただきました。知事を初め県当局の皆様、先輩・同僚議員の皆様の御尽力に、地元新宮市民を代表する1人として心より厚く御礼と感謝を申し上げます。
 さて、本題に移ります。
 熊野川は、川の参詣道として登録され、壮大なたたずまいを見せています。貴重な地形について、また、満ちあふれる文化や歴史を語り部の説明によって楽しむ川舟下りの利用者は、平成23年の台風災害以来、激減していましたが、関係者の尽力や世界遺産10周年なども手伝って、本年度の利用客数が災害以前並みに戻り、約3000名を超えるとの発表がなされました。
 地域にとって大変明るい話題ではありますが、残念なのは、清流でない熊野川での川舟下りにがっかりされる観光客も多いということです。
 熊野川の濁水が長期化していることは皆さんもよく御存じのことと思いますが、地元新宮市では、この濁水についての関心が高くなっています。その際、必ず話題になるのが発電ダムの存在であります。
 熊野川上流に位置する電源開発十津川発電所でつくられる電気の大部分は、下流域にある新宮変電所に送られ、地域に供給されているそうです。原子力発電の稼働が停止している国内電力事情の中、クリーンな再生可能エネルギーを利用した水力発電は、本来、重宝されてもよさそうなものですが、清流を誇っていた熊野川におけるダムの存在は、地域住民の一部には余りよいイメージを持たれていない節もうかがえます。
 これまでにも長年にわたり、台風や豪雨による出水が起因する濁水が発生するたびに、それに対するダム運用が取り沙汰されています。市や市議会を初め、流域住民より、電源開発に対し、企業利益が優先され、人命や環境への配慮が欠けているのではないかと強い抗議や要望が行われています。しかしながら、効果的な解決策にまで至っていないと、積年の不信感が拭われていないままです。
 昨年9月、電源開発十津川第一発電所の取水元である風屋ダム、その貯水池内の表面取水設備のゴムシート部品が破損していたという事態が発生しました。しかし、台風16号の接近により出水が予想されたため、濁水の早期排出を必要とする可能性があったなどを理由に発電を継続しました。その結果、放水口付近の濁度がさらに上昇することとなり、その報告を聞き及んだ新宮市議会はすぐさま早急な対応を求める抗議文を提出、それを受けて電源開発は新宮市議会に対し、事の経過と損傷状況及び今後の復旧予定の説明を行いました。
 破損した表面取水設備のゴムシートは特注品で、本復旧までには約6カ月を要するため、入手可能なゴムシートと鋼材を加工した仮パネルを製作し、欠損したゴムシート部を閉塞する仮復旧を行うとのことでした。
 説明聴取の後、設備故障の報告の遅さや濁度軽減がなされていない状況で発電を続けた電源開発側の企業モラルが不誠実であると、疑念や怒りをあらわにした市長や市議会議員からの厳しい指摘が相次ぎました。
 観光や漁業に悪影響を及ぼすだけでなく、新宮市では熊野川からの取水で水道事業を行っており、川の水を浄化するための薬品費や汚泥処理費の増加は市民にとってもデリケートな問題となっています。
 さて、国からは国土交通省、農林水産省など、三重、奈良、和歌山3県、各流域市町村に関西電力、電源開発らで構成されている熊野川の総合的な治水対策協議会が平成24年7月に初めて開催され、6回目の会議が昨年末に開かれたとのことです。そして、熊野川の濁水対策について技術的検討を行う熊野川濁水対策技術検討会が大学教授など学識者を加え新設され、発生源の検討や長期化の要因の分析、ダムにおける対策の検討について話し合われています。
 その結果を踏まえ、国や県は、崩壊地対策として治山・砂防事業等を実施し、河道への土砂流出の防止に努め、また、河道内の堆積土砂撤去などを早急に進めていくという考えを示しています。
 また、電源開発は、長期化する濁水への施設改良として平成27年3月までに風屋貯水池内に2カ所の濁水フェンスを設置するとし、既に着工しているところです。また、取水設備の改造を行う計画とあわせて、濁度によって発電運用を制限するなどの改善を行うべきであると結論が出されました。今後の課題としては、施設改良と運用変更について具体的な内容と実施する時期、また、その施設改良が完了するまでの間の運用についてであります。
 そこで、治水対策協議会並びに技術検討会において話し合われた濁水対策の詳細と、この対策で得られる効果について、本県はどのように把握されているのか、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○副議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 熊野川の濁水軽減対策については、昨年6月に設立された有識者等から成る熊野川濁水対策技術検討会において、発生源や濁水長期化の要因分析及びダムにおける対策に関する技術的検討が行われ、関係機関で実施する対策が取りまとめられました。
 このうち、流域対策については、平成33年度末までに国土交通省や和歌山県等が、崩壊地対策、河道への土砂流出防止対策、河道内堆積土砂の撤去を行うこととしています。
 また、電源開発株式会社が実施するダムの貯水池対策については、平成30年の出水期までに風屋ダムで、洪水時には濁水を下層に流入させて早期に排出し、洪水後には表層の清水層から取水できるよう、浮き沈みする濁水防止フェンスの設置と取水施設の改造を行うこととしており、二津野ダムでも同様に濁水防止フェンスを設置することとしております。
 さらに、発電運用についても、洪水後の早期濁水排出と清水貯留の期間の延長を行うこととしています。
 また、これら全ての対策が完了した場合には、平成23年の紀伊半島大水害以前の状態まで濁度の軽減が図れるものと期待されます。
 さらに、昨日開催された関係行政機関及び発電事業者から構成される熊野川の総合的な治水対策協議会において、電源開発株式会社から、施設改良が完了するまでの暫定的な運用として、十津川第二発電所からの放流水の濁度が高いときには発電をより一層抑制するとの追加の提案がなされたところです。
 一方、地元の新宮市や紀宝町からは納得のできるわかりやすい説明を求める御意見等をいただいており、当協議会で引き続き検討してまいります。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 この熊野川の発電ダムにつきましては、県議会において私も質問をさせていただきましたが、これまでにも地元選出先輩議員らがたびたび取り上げてきた深刻なテーマの1つです。
 先日、私は、十津川第一、第二発電所、風屋ダムと二津野ダムを訪れ、また、十津川上流の山腹崩壊現場の復旧工事の様子や川の濁水の状態などを視察してまいりました。12号大水害から3年以上が経過した今でも当時の傷跡は多く残っており、懸命の復旧工事が行われてはいますが、箇所の多さから、まだまだもとの姿に戻るまでにはほど遠いという印象を受けました。私が視察した日は、十津川の上流へ行けども行けども清水は見られず、熊野川全体が濁水だらけになっているといった印象でした。濁水に含まれる土砂の粒子もかなり細かく、沈殿しにくいことも長期化の要因だとも言われています。
 さて、今回の質問は濁水の問題に焦点を当てて取り上げておりますが、先ほどの熊野川濁水対策技術検討会で話し合われた発生源の検討や長期化の要因の分析、崩壊した山腹への対応、ダムにおける対策など、知事はこれらの濁水対策をどのように認識されておられますか。
 あわせて、それらの対策が早期に実施され、一日も早く清流が取り戻せるよう、今後どのように国や電源開発に対し要望を行い、また、奈良県、三重県との協力体制をどのように強化されていくお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 熊野川につきましては、平成23年の紀伊半島大水害において上流部に大規模なのり面崩壊が発生したことで濁りが長期間継続するようになっております。この濁水の長期化は、我々の誇りであります熊野川に対して大打撃でございますから、県としては大変重要な問題と認識して、これまでも河川管理者である国に対して、地元が納得できるような濁水解消対策を早期に取りまとめるよう要望してまいりました。
 と申しますのも、ダムの所有者はJ─POWERでありますので、新宮市の方々はこれを強くしておりまして、あるいは逆に言うと意識し過ぎで、その結果、J─POWERに強く要求は出すんですけれども、J─POWERのほうは営利企業ということでございますので、なかなかかみ合わない。発電はやめろとか、あるいは買えとか、そういうような話があって、かなり実現困難なようなものがたくさんございました。
 国は、その間、若干引いてるところがありまして、それでもっときちんと県管理河川のように自分の問題として出ていかないとだめですよといっていろいろ知恵をつけたり、そんなことを国に対してやってきたわけでございます。
 しかし、最近になってようやく国が直接かつ強力に乗り出してくれまして、J─POWERと交渉し指導してくれることになりまして事態が急速に進みました。
 今般、国から示された崩壊地対策等の流域対策、発電取水設備改造等の貯水池対策、発電運用の変更といった対策を実施することにより、平成23年の紀伊半島大水害以前の状況まで濁度の改善が可能となるというふうに聞いております。
 このためにはフェンスの設置とかハードウエアの改良を行うことが主として必要になってくるわけですが、それが完成する前でも、運用でできるだけそれに近づけるようにということを、これは我々のサジェスチョンもありまして、国が大分頑張ってくれまして現在の状況になってるということでございます。
 せっかくこういういい対策を立ててくれたんであるから、国に対しては、それを地元市町村の方々がなるほどとわかるように、何度も十分に説明を行ってもらうことを引き続き求めたいと思っております。
 一方、より根本的には、これは紀伊半島大水害の復旧が、和歌山県では一部を除きましてほぼ終わってるのに対して、奈良県側ではなかなか、大規模な崩落があったもんですからまだまだなんでございます。したがって、新しい雨が降ると濁水が新しく発生して、これが川に流れ込むということが起こっておるわけでございますので、一日も早くこの発生源を絶つように精力的に工事を進めてもらいたい。これは、主として直轄すなわち国が請け負ってやっておりますけれども、国や奈良県にもそのように働きかけをして、また完全な形の熊野川を取り戻したい、そんなふうに思っております。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 知事の御答弁をいただきまして、地元の流域の住民の皆さんは大変心強く感じていることと思います。また今後ともいろいろお力添えいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後、発電ダムの水利権更新について要望をさせていただきます。
 風屋ダム敷地内に慰霊碑があります。その後ろ側には、建設当時に事故で犠牲になられた多くの方々の名前が刻まれておりました。その方たちのとうとい命をかけて建設されたダムが自然環境維持にも活用できる建造物となるよう、それぞれの立場における取り組みや発言を正しく理解し合うとともに各自の責任を果たす、そしてその力を結集することが熊野の象徴であり、今や世界の宝とも言うべき熊野川の清流を取り戻すことにつながると考えてやみません。
 さて、平成27年3月31日には、風屋、二津野などのダムに係る水利権更新の時期を迎えます。電源開発から国に対して水利使用に関する承認の申請があった場合、国は、その申請に対する処分をしようとするときは、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聞かなければならないと河川法で定められています。つまり、電源開発が国に申請した場合、国から知事に意見を求められることになります。
 先ほど触れました表面取水設備の故障にまつわる説明会の中で、やりとりが終盤に差しかかったころ水利権更新に話が及んだので、オブザーバーである私も発言の機会を与えていただき、次のように述べさせていただきました。
 「濁度軽減設備が故障している状態で行われた発電について、市民の代表である我々政治家が強く抗議するのは当然のことである。例えば、食品メーカーで異物混入などが明らかになれば、商品を回収し、原因が究明される、また改善されるまでは生産を行いません。また、工業製品メーカーでも、事故や部品のふぐあいが生じたとき、ほかの製品に関しても無償で部品交換を行うなど、責任を持ってリスクを負う対応をしている。理由がどうであれ、川で利益を上げる企業としてのモラルを疑わざるを得ない。電源開発が濁水の原因をつくったとは思わないが、長期化の要因の1つになっているのは事実であり、ダム建設前から濁水対策への協力を公言されている以上、このような不誠実な対応で事を済ますのであれば、知事に更新に同意しないよう直訴します」と訴えました。
 その後、市や市議会の申し入れに応じ、設備修理が行われるまでの発電停止、施設改良や運用変更への取り組みが開始されたことに一定の理解は持っております。
 しかしながら、熊野川の清流を取り戻すための取り組みに関して、更新がなされた後においても腰の入った対策を継続的に実施してもらえるという確約を得ていただくなど、水利権更新に際し国へ意見具申されるに当たっては熊野川流域市町村の意向を十分反映していただきますよう強く要望いたしまして、私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(尾﨑太郎君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時53分散会

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