平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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平成27年2月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成27年2月24日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第73号まで及び議案第75号から議案第92号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第73号まで及び議案第75号から議案第92号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 濱口太史
 2番 鈴木太雄
 3番 尾﨑太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 中本浩精
 10番 上田良治
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 岸本 健
 18番 森 礼子
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 立谷誠一
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
 36番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       市川靖之
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     石原康弘
 会計管理者      岩橋良晃
 教育委員会委員長   山本 哲
 教育長        西下博通
 公安委員会委員長   片山博臣
 警察本部長      下田隆文
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員  下川俊樹
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     西原龍也
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  午前10時0分開議
○議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第73号まで及び議案第75号から議案第92号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 27番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、おはようございます。
 きのうは、向井嘉久藏先生の最後の一般質問をお聞かせ願って非常に勉強になりました。何事も一生懸命取り組むという、そういう姿勢を私も初心に返ってやりたいと思います。
 向井議員さんとは趣味が共通で、ゴルフに一緒に行くんです。それで、向井さんは、ティーショットで私より40ヤードから50ヤード飛ばすんですね。そして、打った途端、駆け足で次のボールへ行きます。なぜやめなあかんのなというぐらい元気なんです。しかし、ゴルフというのは難しいもんで、よくしたもんで、上がって何ぼのもので、上がったら大体一緒の成績であるわけであります。
 そういうことで、一生懸命やらせていただきたいと思います。
 きょうは、私は、2項目を質問に上げさせていただいております。
 そして、当初予定しておった人権政策については、この本会議が終了後、委員会で発言させていただいて当局をただしたいということでありますので、できましたら、私は、この委員会に知事並びに副知事にも、時間があれば御出席願いたい。前例にないことなんですけれども、できればお願いしたい、そういうことをまず要請させていただきたいなと思います。
 それでは、通告に従って、まず1番目に、山を守るということについての県政の姿勢について質問をさせていただきます。
 山を守る、その山の多面的機能を守るということは、既に国民的課題になってきており、我が和歌山県でも森林デーということで、県民運動を盛り上げようということで、このことが決まって既にもう2回目の延長がなされております。そういう県民運動、しかし、それは今ではもう国民運動として全国的に広がっておるわけであります。
 そういうことの中で、平成25年3月に中辺路町において、自民党が中心になって森林・林業促進県民大会を開催させていただきました。そのときには知事にも出席していただいて、森林の大切さ、そういったことについて県民とともに語り合ったわけであります。
 そういう中で、翌年、自民党が中心になってじみんの森というものをつくらせていただきました。田辺市中辺路町に、旧中辺路のところに2ヘクタールのじみんの森というのをつくったわけなんですけども、これは、企業の森からヒントをいただいて、荒廃した山を何とかみんなの手で守っていこうと、そういう運動であるわけであります。これは、自民党にかかわらず、公明さんも、また民主党・浦口さん、一緒にまたやりたいなと思います。共産党の松坂さんも耐久高校の同窓生で、一緒にこの県民運動をやってみたいなと、そんなに思っております。
 そういう中で、そのじみんの森、あるいはまた森林大会で二階会長が言った、県民は思い切って森林、林業の取り組みをやろうということで挨拶をして、この思い、この精神を国土強靱化の中でも生かしていきたいという挨拶があったわけであります。そういうことの中で、一昨年11月ですか、国土強靱化法案、防災・減災に資する国土強靱化法というのができたわけであります。
 そういう中で、その国土強靱化法の中に、最終に附帯決議、21項目あるわけなんです。その21項目の中に森林の保全、それからまた公共事業──公共事業と載ってはおりませんけど、木材利用ですね──それから、木材の利用工法について研究・検討せよと、優先せよという、その項目があるわけなんですけども、これは、二階会長が特に森林、あるいはまた林業のことについて国土強靱化の中で反映された、森を守っていく、山を守っていくという精神を反映した、そういう二階法案ならではの項目ではなかろうかと、私はそういうふうに思うわけであります。
 そういう中で、この国土強靱化というような多面的な機能の保全ですね、そういった視点と、それから昨年、いわゆる地方創生、地方を元気にしなきゃいけない、地方を守っていかなきゃいけないというその思いの中から、閣議決定の中で、森林の、林業の保全、あるいはまた木材の利用というのは実に明確に示されております。
 このことについて、知事は、総合的に和歌山県の林業、森林、山を守る、そういう思いをどういうふうな取り組みで、どういうふうな覚悟でやっていくのかということをもう一度お答え願いたいなと、そういうふうに思います。
 それから、第2点目でありますけども、引き続いて公共事業による木材利用についてということでありますけれども、これについても、私は、9月議会ですか、そのときに質問させていただいたわけなんですけども、やっぱり木材を使うということになれば、県が目標を定めて、マニュアルを定めて、やっぱり計画的に使ってもらいたいということでお願いをして、去年の6月に木材の利用マニュアルというのができました。庁内で木材利用プロジェクトというのをつくって、そこで検討されてつくったわけなんですけども。
 しかし、そこで一番気になることは、この中で木材を利用して、そしてまた、他の工法──いわゆるコンクリートとかですね、そういうことを比較して1割高の範囲におさまれば優先して使うという項目があるわけなんですけども、この1割高というのは、私はそんなにこだわることではないと思うんですね。やっぱり林業を盛んにすることによって、そういう多面的機能があるわけなんですね。二酸化炭素吸収とか、ダム機能とか、防災とか、そんないろんな機能がある。そしてまた、山林を守っていくという、過疎化からの脱却のそういう意味もあります。それからまた、地方創生のいわゆる基本方針である田舎を元気にするというような、そういう観点からすれば、もうちょっと考えて、多少高くても使うという、そういう積極性がなければいけないなと、私はそんなに思うわけであります。
 その点について県土整備部長に、今後の取り組み方とか、そういうことについて御見解をお示ししていただきたいと、そのように思います。
 それからその次に、同じようなことですけども、第3番目の木材の利用推進についてということでありますけれども、それについて、皆さん方のお手元に写真を御用意させていただいてるわけなんですけども、この写真なんですね。これは、先日2月2日、農林水産議員連盟の冨安会長と、それから私と、それから県の幹部の当局の皆さん、橋本森林・林業局長、一緒に視察に行きました。
 なぜ視察に行ったかといいますと、この工事をやった主体は林野庁の近畿中国地方の和歌山森林管理署というところなんですけども、そこの牧野署長さん初め技術のスタッフの皆さんにも同行していただきました。そして、この工法を考えたクスベ産業の社長さん、楠部さんとも一緒に行かしていただいて、視察に行ってまいりました。
 これは、中辺路の熊野古道がこのちょうど中間地点を通ってるところなんですけども、本宮町にある現場なんです。12年の台風のときに深層崩壊した現場なんですけども、熊野古道が通っておるということで景観に配慮しなけりゃいけない、そして、こういうなだらかなところであるし、とにかくこの工事については木材を中心に使って、いわゆる紀州材を中心に使って、そして和歌山県の工法を使って、県産品の工法を使ってやってみたいという、そういう林野庁の思いを実現した工事であるということで視察に行かせてもらいました。
 牧野署長の説明によれば、やっぱりこういう時代でありますから、木をふんだんに使って、紀州材を使って、そして紀州材を使うことによって山を守っていくという精神を貫きたいと。これは、コンクリートに比べればそんなに弱いものではないと。もしコンクリートよりも早く寿命が来て悪くなれば、それはもう1回紀州材を使ってつくり直せばいいんじゃないかと、そういう本当に思い切った発言をされておりました。
 そういうことで見に行かしていただいたわけなんですけども、そういう中で、今回、質問をさしていただきたいのは、私は、そういう多少高くついてでもやっぱり紀州材を使って、そして和歌山県の県産品の工法を使ってこの工事をやるということにどういった意義があるかということなんですけども、それはやっぱり山を守っていく、山を守る人の人材を育てる、そしてまた林業を盛んにする、最終的には山林を守ると、最初に知事に見解をお願いした、そういう大きな崇高な精神があると思うわけであります。
 そういうことで、今、この木材を使うという工事になれば、多少、県はちゅうちょするところがあるわけなんです。例えば、具体的に申し上げますと、県がある工事をしようと思えばコンサルにお願いをするわけなんですけども、まあ発注するわけですね。どういった工法で、どういった材料でこの工事をするかということをコンサルに検討してもらうわけなんです。
 私は、そのときに県は、県条例に基づいて、中小企業振興条例に基づいて、こういう木を使って、こういう和歌山県の県産品を使った工法でやってくださいと、そういう具体的な指示をするのは当然であると思うわけでありますけれども、我々の調査によれば、コンサルはそういったことを余り聞いておらないと。今までどおりやってほしいというようなニュアンスで仕事を受けるということを聞いておるわけなんです。ところが、県にそういうことを言うと、「県は十分指示しております」という答えが返ってくるわけなんです。
 だから、これ、どちらが悪いというよりも、やっぱりこの際、知事を先頭に、思い切った覚悟を持って、こういうふうにするんだという方針を貫いていただきたい。そういうことをお願いするので、県土整備部長に、今後のそういう取り扱いについて、県の指導徹底について、どういうふうな考えを持ってるのか、私はお聞きしたいと思います。
 最後に質問させていただくのは、農業の問題であります。農業の成長産業化の支援ということについてお尋ねさせていただきたいと思います。
 農業は、地方の非常に有望な、地方の唯一の産業であるわけなんですけども、地方創生の中でも、国が閣議決定した中でも農業のことについても触れております。地方を元気にするために、何とか農業において収入を向上させなければいけないということであろうと思うんですけども、とにかく地方創生というのは、地方が元気がないから、幾らアベノミクスで景気がよくなったって地方はそこまで行っておらない。これは明らかにみんなに共通する認識であろうと思うんです。そこで、地方を何とかしたいという思いの中で地方創生というのが叫ばれたと思うんですけども、総合戦略の中で地方に雇用をつくると。地方に雇用をつくる、雇用を創出するということの中で一番大事なことは、私は、農業の分野であろうと思うわけであります。
 その農業の分野というのは、やっぱり今──去年もそうだったと思うんですけども──和歌山の特産品である果実、ミカンも相当値段が低かったと。本当に悲惨な状況であったわけなんです。そういう中から、和歌山の農業の中では、代表的なものが果実であります。生産額の60%は果実であるわけなんです。ミカン、柿、梅、これは日本一の産地であるわけなんですけども、桃についても関西随一の産地で、やっぱり和歌山県の誇れる果実であると思うわけであります。
 その果実の産業を豊かにする、不安定な状態から安定した状況にするという、そういう取り組みがいわゆる農業の成長化であろうと、成長化の非常に大事な支援の1つであろうと私は思うわけであります。
 食料の確保とか、これは国の責任であるわけなんですけども、また食料自給率の責任、保障──食料安保ですね──そういうことを考えてみたときに、やっぱりたくさん生産して、販路を開拓して、それを買ってもらわなきゃいけない。そういう中で、とにかく今の現状の中で見た場合にやっぱり限界があるわけですね。おいしいミカンを幾らつくっても、大体やっぱり全国で100万トンまで、最近では大分少なくなって80万トンとかいう数字になってきておるわけなんですけども、とにかくはけないと。そういう中で、みんなが将来に夢を持って後継者が何とかやっていく状況をつくろうと思えば、やっぱり海外にミカンとか柿とか、そういったものを輸出する以外にないという農民の皆さんの決断、あるはまた、それを支援するみんなが共通して思う事柄であるわけなんです。
 そういう中で、いわゆる和歌山の果実を、農業の代表産品である果実をどんなにしたら輸出できるかということなんですけども、その取り組みが既に始まっております。和歌山県のミカンを香港へ輸出したり、それからシンガポールとか、いろんなアジア新興国へ輸出をしてるわけなんです。中国へ何とか輸出したいという思いが今あるわけなんです。
 最近、どこの観光地へ行っても中国の人がたくさん来ておりますね。我が和歌山県にも、どこに行っても中国の方がたくさん来ております。テレビなんかでは爆買いとか、そういっていろんなものを買っておりますね。おいしいミカンとか柿とかも食べておるわけなんです。その味を覚えたら、本国に帰って自分とこの中国産のミカンをなかなか食べられないということになるだろうと思います。
 中国は、ミカンでも大体1800万トンから1900万トン、2000万トン近くつくっておるわけなんです。これは、日本の大体20倍の量をつくっておるわけなんです。ある地域へは輸出もしておるわけなんです。しかし、こんなことを言っちゃ悪いですけども、やっぱり日本のミカンを食べてみたら、中国人の人にアンケートしてみても、やっぱり、1個のミカンですよ、1個のミカンを150円で買って食べてもいいという、そういうアンケート結果が中国本国の中で──本国の中ですよ──出ておるわけなんです。大体中国産のミカンの10倍の値段を出しても食べてみたい、そういうアンケートが出ておるわけなんです。
 そうすると、中国13億の人口がある中で、もし今の貿易体制、検疫、そういったものが解決できれば、中国へ輸出できれば、相当なミカンが消化できるんではないかと、そういうふうに思うわけであります。相当なミカンが出せるということになれば、これは最終的に、将来的に、食料の自給、食料安保の道につながるんではないかと、私はそのように考えております。
 そういったことから、このアジアの中、中国を中心とした新興国へ、どういった努力で、どういった方針で、今後、販路を切り開いていけるかどうかと、そういうことについて農林水産部長にお尋ねいたします。
 私の質問は以上で終わらしていただきますけども、最初に申し上げたように、向井先輩がやめられるということで、きのう質問されました。それと同時に、門議員さん、そして大沢議員さんが自民党から今回やめられるということで、またあしたかあさって質問をしていただいて、我々にいい話を、残す話をしていただきたいと、そういうことを期待さしていただいて質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 森林は、二酸化炭素を吸収して大気を浄化し、水を蓄え、山崩れを防止し、林産物を供給するなど、私たちの生活にとって欠かせない大切な役割を担っております。山を守ることは森林を適切に保全・活用していくことであり、大変重要なことであります。特に防災上の意義は大きいというふうに思います。
 また、人工林の多くは、公的な補助制度──これは過去からずっとございます公的な補助制度によって整備されたものでありますので、せっかくできたものですから、社会のために有効に活用しなければいけないというふうに思います。このため、間伐等の森林整備はもとより、適切な時期に出荷して、そして伐採跡地は植林などによって確実に森林に再生するいわゆる森林の適切な循環利用を進め、山から生産された木材は有効に活用することが必要であります。
 和歌山においての伝統的な無垢材としての利用に加えて、最近では集成材や合板の活用も努力したいと思っておりますし、それから非伝統的な利用法、議員御指摘のような工事材などにもそれを使っていく。それに、バイオ利用というんですけれども、そこから熱や電気をとるというようなことも、いろいろ模索をしながらチャレンジをしていきたいというふうに思います。
 森林の循環によりまして、山村地域に雇用が生まれます。そういたしますと、中山間地域の活性化も実現するわけでございます。国土強靱化基本法並びに同法案に対する附帯決議の趣旨を踏まえて、今後も引き続き、低コスト林業の推進、生産体制の強化、そして木材の需要拡大に取り組んでまいる所存であります。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 公共土木工事における木材の利用を推進するため、平成26年6月に公共土木工事における木材利用推進指針及び公共土木工事木材利用マニュアルを策定しました。この中で、原則、木材を利用するものとして、のり面を保護する伏工、視線誘導標、階段工などを、自然条件の合った箇所に使用するものとして、自然公園区域内における転落防止柵工、流路工などを、今後研究開発をするものとして、木製ガードレールなどを定めたところです。
 その際、経済性を評価する指標として、通常行われている工法と価格を比較し、木材の使用をした場合の工法の価格が1.1倍を超えないものについて、原則、木材を使用するものとしましたが、この値は、既に定められていた和歌山県物品調達における県産品登録制度等に関する要綱第8条の優先調達の基本方針と同じです。
 また、平成27年度より公共工事における新工法及び建設資材の開発・改良について広くアイデアを求め、共同研究や研究費の助成等の支援を行うとともに、木材のさらなる活用について、関係する産業界等とも協調しつつ検討していきたいと考えております。
 次に、公共土木工事に対する木材を初めとした県産品の活用については、工事の総合評価方式において県産品等の積極使用の提案について加点するとともに、工事完成後の工事成績評定においても県産品の使用を加点することとしております。
 また、工事の共通特記仕様書において、工事資材調達に際し、県産品の優先使用に努めなければならないと定めるなど、県産品の積極的な使用に努めております。
 さらに、設計業務に当たっては、土木設計業務等共通仕様書において、概略設計または予備設計における比較案の提案、あるいは概略設計における比較案を評価・検討する場合には木材を含む県産品を積極的に活用するための検討を行うものと定めております。
 今後とも、こうした木材を初めとした県産品の活用に関する制度等については、県及び市町村の発注者側の職員に対し講習会を行うとともに、受注者側の技術者に対しても、技術セミナー等を通じて周知徹底を図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 果実の輸出推進についてお答え申し上げます。
 農業は本県の地域社会を支えている基幹産業であり、議員御指摘のとおり、成長著しいアジアなどをターゲットにした海外市場開拓の取り組みは、農業振興を図る上で大変重要な施策であります。
 本県では、高品質でバラエティー豊かな果実を武器に、台湾やシンガポール、タイ、マレーシアなどにおいて、ミカン、柿、桃などの百貨店や高級量販店での販売促進に取り組んでまいりました。
 シンガポールでは、日本から輸出されるミカンのうち40%以上を和歌山県産ミカンが占めるなど、徐々に県産果実の知名度が向上しており、台湾向けの桃、タイ向けの柿なども輸出の取り組みが定着しつつあります。
 また、中国本土から年間4000万人が訪れ、アジアのショーウインドーと呼ばれる香港におきましては、昨年9月に、知事トップセールスでミカンを初めとする県産品の輸出促進に向けたPRを実施するなど、一昨年の香港貿易発展局とのMOU(覚書)締結を最大限に活用した取り組みを行ってまいりました。
 県内では、近年、JAを初めとする生産者においても、積極的な輸出拡大に向けた機運が高まってきております。今後は、これまでの取り組みに加え、新たな国々も視野に入れながら、県産果実の輸出振興を一層進めてまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って質問させていただきます。
 まず最初に、和歌山市産廃処分場の林地開発計画についてお尋ねをいたします。
 和歌山市山口地区(滝畑・上黒谷)において、和歌山市の株式会社フォーシーズン・ファクトリーが建設を予定している安定型廃棄物最終処分場についてお伺いします。
 当計画地は、滝畑地区の飲料水や農業用水の水源地上流である森林区域で大規模に開発を行おうとしていることから、森林法に基づく林地開発許可が必要と思われます。
 また、根来断層の直近で地すべりや崩壊が多数見られる脆弱な場所であることから、2011年に計画が浮上してから今日まで、地元自治会が中心となって、デモ行進や市に対して約14万5000筆もの署名を提出するなどの反対運動が実施されております。地元自治会のほかにも、大阪府阪南市の住民も建設反対の要望活動や署名を和歌山市に提出しています。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 和歌山市に対し事業者が提出した生活環境影響調査実施計画書などについて、和歌山市からの意見照会がいつ付でありましたか。また、県としていつ付で出した回答ですか。内容は主にどういうものですか。とりわけ危険性に触れた分はあるのでしょうか。土砂災害や水質汚染などについて、どのように述べられていますか。ここに資料として和歌山市公文書開示を求めた資料1をつけさせていただきましたが、農林水産部長、お答えください。
○議長(坂本 登君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 和歌山市から、平成26年4月16日付で、事業者が市に提出した廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく生活環境影響調査実施計画書等について意見照会があり、森林地域内での開発計画面積が1ヘクタールを超えることから、森林法に基づく林地開発許可が必要である旨、平成26年5月26日付で回答を行っております。
 林地開発については、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全を内容とする許可基準が定められており、計画地周辺及び下流域への影響を防止する具体的な対策を明確にするとともに、土木工事、洪水調整池等の防災工事、残置森林の配置等の計画に当たっては林地開発行為の許可基準に従うこと等をお答え申し上げたところです。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 続いて、お聞きいたします。
 事業者は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく産業廃棄物処理施設の設置許可の権限を有する和歌山市に対して、昨年、生活環境影響調査実施計画書及び生活環境影響調査実施計画書に伴う事業計画書などを提出しました。このことから、市は、実施計画書等に対する県等の関係機関や市の委嘱した専門技術委員の意見を取りまとめ、事業者に意見を通知していると聞いています。現在では、事業者が、和歌山市から通知のあった意見に対し、対応策を検討している状況であると推測されます。このような中で関係住民の声が十分に反映されるのか、心配しているところです。
 資料2は、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に示されている添付書類でありますが、農林水産部長にお聞きしておきたいと思います。本計画に対する林地開発など事前協議において、地元同意についてはどのように尊重し対応するのか、要綱を初めとして、対応方針についてお答えください。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 林地開発許可の申請に際しては、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づき、関係者の同意書等を添付することを求めております。
 なお、現時点におきまして、事業者から県の事務取扱要領による事前協議、森林法に基づく林地開発許可申請はなされておりません。
 今後、事前協議の申し出や林地開発許可が申請された場合には、森林法並びに県の事務取扱要領に照らして適正に審査してまいります。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度、農林水産部長に御確認をさせていただきます。
 今の答弁の中で、許可申請には地元同意が必要だという要領になっているということでよろしいのでしょうか。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県の事務取扱要領におきまして、林地開発許可の申請に際しては、関係者の同意書等の添付を求めているところでございます。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に要望をさせていただきますが、森林の役割は、環境の保全や水資源の涵養、生物多様性の保全、レクリエーションの場の提供など、私たちの暮らしに不可欠なものです。
 私は、2011年6月議会において、知事に、産廃処分場計画について、住民同意をどう考えるかについて質問させていただきました。知事は、「最終処分場の確保に当たっては、県民の生活環境の保全を図り、住民の意見を聞きながら廃棄物処理法にのっとり対応してまいります」と答えていただいています。
 私は、林地開発許可申請に対しても、他県より進んだ取り組みをされているように思います。この資料にありますように、「利害関係者又は団体名、自治会、土地改良区、水利組合、漁業協同組合等ごとに記入すること」ということで書いていますので、当然、許可申請には地元同意が必要だと考えています。
 もう一度、農林水産部長にお尋ねいたしますが、その点でよろしいんでしょうか。(「要望と言うた」と呼ぶ者あり)ごめんなさい、質問です。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 同意書が必要であるかどうかというお尋ねでございますけれども、県の事務取扱要領におきまして「申請の要件」という表現を用いてはおりませんが、林地開発許可の申請に際しては関係者の同意書等の添付を求めておりますので、必要ということになります。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 2つ目に、地方税回収のあり方についての質問をさせていただきます。
 地方税回収機構の活動実績等についてお尋ねいたします。
 市町村からの和歌山地方税回収機構への移管件数、移管額、徴収状況、滞納処分等の件数、未回収分の各市町村への返還、また県・市町村からの和歌山地方税回収機構への派遣職員の人件費はどのようになっているのか、総務部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 和歌山地方税回収機構が公表しております資料によりますと、平成25年度における市町村から機構への移管件数は843件、移管額につきましては約11億円とのことでございます。
 徴収状況につきましては、直近に処理が完結した平成24年度引き受け分の徴収額は約7億円、徴収率は約49%で、未徴収の案件につきましては、最終的に各市町村へ返還されているとのことでございます。
 また、滞納処分等の状況につきましては、全ての事案につきまして財産調査を行い、そのうち約8割の滞納者につきまして差し押さえを実施しているとのことでございます。
 なお、県、市町村から機構への派遣職員の人件費につきましては、平成25年度決算によりますと、職員14名分で約1億円とのことでございます。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 各市町村から和歌山地方税回収機構へ移管される件数についてはどのように決まっているのか、総務部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 和歌山地方税回収機構は、県内全市町村で構成される一部事務組合でございます。機構への案件の移管については、当然、各市町村おのおのの判断で決定されるというふうに聞いております。
 ただし、機構の人員が限られておりますことから、その処理能力を踏まえまして移管件数のおおよその目安が示されていると聞いております。その目安につきましては、各市町村の滞納額等、客観的な指標を基準にしつつ、各市町村に協議した上で決定されるというふうに聞いております。また、最終的な移管件数につきましては、この目安を参考にしつつ、各市町村が滞納状況等を勘案して自主的に判断しているというふうに聞いております。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 県は、市町村から和歌山地方税回収機構に移管される滞納事案について、どのように認識されていますか。
○議長(坂本 登君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 市町村から和歌山地方税回収機構への移管につきましては、滞納税額が高額な事案等、市町村にとって整理困難な事案などから市町村が滞納者の状況などを踏まえて選定しており、その引き継ぎに際しましては、市町村と機構で十分に協議の上、適切に移管されているものと認識しております。また、移管に際しましては、市町村において、移管対象者に対しまして事前に移管予告も行われているということでございます。
 なお、移管につきましては各市町村の判断により行われるものでございますけれども、一般的には、滞納を適正に解消するための市町村と滞納者間での取り決めが誠実に守られている場合は移管はなされないものというふうに認識しております。
 県といたしましては、今後とも、市町村と滞納者の間で十分な意思疎通が図られるよう、引き続き市町村に助言してまいります。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度、総務部長にお尋ねしたいんですが、答弁で、各市町村の滞納額等の割合を基準に市町村の意向を反映しながら移管予定件数を決定して市町村に提示するということでしたが、これは移管予定件数というのを年の初めに決めておいて、それに向かって実際に移管していくということでしょうか。
 地方税回収機構への移管事案の選定基準として、市町村にとって整理困難な事案、高度な処理能力を要する事案、同一滞納者で複数市町村にまたがる事案、滞納処分停止の判定が困難な事案ということが挙げられていますが、市町村は、こうした事案が起こった場合、その1つ1つを検討して移管するのだと思います。多い年や多い市町村もあれば、少ない年や少ない市町村もあると思います。しかし、あらかじめ予定件数が提示されれば、その件数に合わせて移管していかなければならない、滞納額が多いところは多く移管していかなければならない、そういう割り当てが行われているということになるのではないでしょうか。この点、もう一度お答えください。
○議長(坂本 登君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 移管予定件数を年の初めに決めておき、それに向かって実際に移管していくのかというような質問でございました。
 実務としましては、各市町村が督促や催告などを行ったにもかかわらず納税相談等に至らず、その結果、高額な滞納となっているなど、地方税回収機構への移管対象となるべき案件につきまして、各市町村が日ごろから把握しておるところでございます。
 30市町村の代表者から成る機構の理事会におきましては、各市町村の滞納額等を勘案した移管件数の案が示されますけれども、最終的には、各市町村が日ごろの税務執行の中でみずから把握している移管対象となるべき件数をもとに、30市町村合意の上でおおよその目安を決定しているというふうに聞いております。その上で、実際に移管されるかどうかは、再度、それぞれの市町村の判断により決定されるものというふうに聞いております。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 これは要望させていただきますが、事前に機構が移管件数を提示するというのは非常に問題ではないかなと思うんです。地方税回収機構への移管というのは、それまで市町村では、滞納者の状況を踏まえながら相談に乗って、滞納を何とか解決していこうという対応が行われますが、地方税回収機構は、徹底して財産調査し、有無を言わさず滞納処分を行うところですから、そこにどれだけ移管するかを割り当てるというようなことは地方自治体がやることではないと思います。これはやめるべきだと思います。ぜひ地方税回収のあり方について検討することを御要望いたします。
 最後に、鳥取・児童手当の差し押さえ違法判決の活用についてお聞きいたします。
 2013年11月27日、広島高等裁判所松江支部において児童手当の入金口座差し押さえの違法性が争われた滞納処分取消等請求控訴事件の判決を、県は和歌山地方税回収機構及び市町村に対してどのように生かしていくのか、その対応について総務部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 一般に、差し押さえ等禁止債権に係る金員が金融機関の口座に振り込まれることによって発生する預金債権につきましては、原則として差し押さえ等禁止債権としての属性を承継するものではないとの最高裁判決が出されておるところでございます。
 一方で、平成25年11月27日の広島高等裁判所松江支部における滞納処分取消等請求控訴事件の判決におきましては、行政処分庁は預金口座に振り込まれた児童手当相当額を不当利得として返還することとされたところでございますが、この判決は、特定の事情下においてなされた処分の違法性が争われたものというふうに理解しております。
 滞納整理につきましては、あくまでもそれぞれの団体の責任において行われるものでございますが、県といたしましては、この判決の趣旨を踏まえまして、法令に基づき適切に対応するよう、和歌山地方税回収機構や市町村に対して通知するとともに、県内市町村税務担当課長が出席する会議やその他税務研修の機会などを通じまして、情報共有、注意喚起を行ってきたところであり、今後とも引き続き、地方税の徴収事務が適正に執行されるよう支援、助言してまいります。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、総務部長の答弁で、この判決の趣旨を踏まえて、法令に基づき適切に対応するよう通知している、注意喚起を行っているということですが、これはどういうことでしょうか。
 児童手当、給料や年金の生活費部分など、差し押さえ禁止債権が振り込まれた預金口座で、その中身がほとんど丸々差し押さえ禁止債権だと明らかな場合、どういう対応をするのか、県としてはどのようにお考えでしょうか。再度、総務部長、お答えください。
○議長(坂本 登君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 今回の広島高裁の判決も踏まえた上で、地方税法などの法令に従って各団体において適切に滞納整理を行うよう助言したものでございます。
 また、一般的に、滞納整理におきましては、個別の滞納者の生活状況等を踏まえ、税収入の確保及び税負担の公平の確保を図る観点から適切に対応するべきものと考えております。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最高裁判決で、預金債権は原則として差し押さえ等禁止債権としての属性を承継するものではないと出ていると言われましたが、これは違うのではないでしょうか。最高裁判決(平成10年2月10日)は、差し押さえ等禁止債権としての属性については触れてないのではないですか。原審、高裁判決は正当というものです。
 その高裁判決は、預金債権は原則として差し押さえなどの禁止債権としての属性を承継しないとしましたが、同時に、生活に充当する年金のように差し押さえできない給付は、預金口座に振り込まれた場合においても、受給者の生活保持の見地から、差し押さえ禁止措置の趣旨は十分に尊重されてしかるべきであると述べています。
 鳥取県の児童手当事件の広島高裁判決は、児童手当が預金になった後も児童手当としての属性を失っていなかった、児童手当相当額の部分は、実質的に児童手当を受ける権利自体を差し押さえたのと変わりがないから児童手当法の趣旨に反するもので違法と明言しています。これは、普通に考えても当然のことではないでしょうか。
 差し押さえ禁止債権といえども、預金口座に振り込まれたら自由に差し押さえできるという結論をひとり歩きさせてしまったら、もう差し押さえ禁止債権は存在しないも同然になってしまいます。児童手当も年金も、多くは銀行振り込みで受け取っているのですから、それが預金口座に振り込まれた瞬間から差し押さえられるのでは、差し押さえ禁止債権だと法律で決めた意味が全くなくなります。
 この高裁判決を受けて、鳥取県では、滞納処分の取り扱いマニュアルを改定して、預金口座で月4回以上入出金を繰り返すものは生活口座として認定する、差し押さえ禁止債権の入金の有無について十分確認する、預金履歴から差し押さえ禁止財産の入金が確認できた場合には差し押さえ禁止額相当額を除いて差し押さえを執行する、差し押さえ後、滞納者の申し立てで預金原資が差し押さえ禁止財産だと特定されれば解除または取り消すことなどとしました。預金であっても、差し押さえ禁止債権を原資とするものは差し押さえないということです。
 和歌山県としてもこうした明確な立場を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 私が最近相談を受けたケースですが、郵便貯金通帳を見れば、昨年秋から年金が振り込まれて、ほぼ同額を引き出すことが繰り返されている、そういった通帳で、実際に生活費に当たる年金16万円の方が全額差し押さえになっていたケースで相談を受けました。この貯金は明らかに全額を差し押さえられない年金である中で、貯金だからといって差し押さえできないというふうに思いますが、いかがでしょうか。もう一度、御答弁、お願いいたします。
○議長(坂本 登君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 最高裁判決では、差し押さえ等禁止債権としての属性について文言としては明示していないのは御指摘のとおりでございますけれども、判決理由の中で、所論の点に関する原審の判断は正当として是認することができ、その過程に所論の違法はないというふうにしております。このような判決は、一般的には原審の考え方を是認しておるものと解されておりまして、御指摘いただきました広島高裁の判決におきましても、最高裁の判旨として採用されておるところでございます。
 個別の事案につきましてのお尋ねがございましたが、税務情報につきましては、高度な守秘義務が課されております。市町村税の個別の事案について承知する立場にはございませんけれども、最高裁判決や広島高裁判決を踏まえまして、差し押さえ等禁止債権として取り扱うべきもの、こういったものにつきましては差し押さえを控えるべきものだというふうに考えております。
 こうした判決も踏まえた上で、税収入の確保及び税負担の公平の確保を図る観点から、法令に基づき適切に対応するよう、情報共有、助言を行ってきたところでございますけれども、今後とも引き続き、機構及び市町村に対しまして、認識を共有しながら、地方税の徴収事務が適正に執行されるよう支援、助言してまいります。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ぜひ県としても、市町村と一緒になって、生活実態も十分把握して対応をしていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 次、3項目め、お尋ねいたします。
 介護保険法が改定され、ことし4月からの介護保険事業が大きく変えられようとしています。1、要支援の方のヘルパーとデイサービスを介護保険給付から外し、市町村事業へ移行する、2、特別養護老人ホームへの入所は、原則、要介護3以上に限る、3、一定所得以上の方は利用料を2割に引き上げる、4、低所得でも預貯金などがあれば、介護施設の居住費、食費補助を縮小、打ち切るといった問題です。
 厚生労働省は、介護サービス提供事業者に支払う公費である介護報酬の4月からの改定額を決定しました。特別養護老人ホームやデイサービスなどへの報酬を大幅に引き下げるなど、安心できる介護の充実に逆行するものであると思います。介護現場からは、利用者にも、従事者にも、事業者にも大きな損失をもたらすと厳しい批判の声が上がっています。
 そこで、お尋ねいたします。
 介護報酬引き下げの影響について、どのようにお考えでしょうか。特別養護老人ホームや介護事業所では、事業が続けられない、労働者の待遇が一層厳しくなるなどの声が出ています。特に特別養護老人ホームは、報酬の大幅引き下げと人手不足により新設計画が白紙になるなど、基盤整備も進まない問題が出てくると考えられますが、これらの点についてどのようにお考えでしょうか。福祉保健部長、お尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 平成27年度介護報酬改定において、全体としてはマイナス2.27%の引き下げとなっていますが、一方で、認知症高齢者や介護の必要性が高い中重度者への対策強化等に向けた加算や、介護職員1人当たり月額1万2000円程度のアップとなる処遇改善加算の拡充がなされています。これらは、利用者のためにより質の高いサービスを確保するとともに、事業者のために介護職員の確保を目的とするものです。
 県としては、事業者に対し、この改定の趣旨の理解を図り、事業所における体制等の検討を促すため、関係団体への説明等を丁寧に行うとともに、関係者からの意見を聞き、実態を見きわめながら、必要に応じ、実情を国に伝えていきたいと考えております。
 また、国の制度を活用しながら介護人材の確保に取り組むとともに、特別養護老人ホームなどの施設整備を行う事業者に対し、資金計画や人員確保などの運営面への助言を行ってまいります。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、要支援1、2の方のヘルパーとデイサービスを市町村事業に移行する問題についてお尋ねいたします。
 2015年4月から17年4月までに移行することとなっています。厚生労働省調査では、15年度移行114自治体、16年度移行277自治体、17年度移行1069自治体となっており、県内自治体では、2015年1月に実施された市町村に対する開始予定時期の調査では、15年度開始がゼロ、16年度開始が2、17年度開始が28と聞いています。
 また、新事業における現行相当サービス、緩和した基準のサービス、住民主体のサービスの見込み量については、各市町村とも現在準備中であり、具体的な見込み数はまだ出ていないということで、市町村の第6次介護保険事業支援計画には、具体的な利用数量の見込みというよりは、今回の介護保険制度の改正理念や市町村としての今後の取り組みの方向性について述べられているように思います。
 要支援の方は、サービスの選択が保障されるのか、現行相当サービスを引き続き受けたいという希望が認められるのかをお尋ねいたします。福祉保健部長、よろしくお願いします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 介護保険法改正により、市町村は、遅くとも平成29年4月から新しい介護予防・日常生活支援総合事業を実施することになります。この新事業は、訪問介護、通所介護に関し、介護保険による全国一律の基準によるサービス給付ではなく、市町村が地域の実情に応じて、介護事業者に加え、NPOや住民ボランティアなど、さまざまな主体による多様な支援を行うものです。
 今回の改正に伴い、新事業への円滑な移行を図るため、既に要支援認定を受け、サービスを利用している方で、その利用の継続が必要な場合には、新事業開始以降も既存サービス相当のサービスを継続して利用することが可能です。
 いずれにいたしましても、市町村は、要支援の方の希望するサービス、身体状況、生活状況等を適切に把握した上で、その方に必要なサービスの提供に努める必要があると考えております。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度、質問いたします。
 要支援の方のヘルパーとデイサービスを予防給付から外して市町村事業である多様なサービスに移行することについては、ほとんどの自治体が最終年まで移行できないとしていると思うんです。中央社会保障推進協議会が全国の自治体にアンケートを行いましたが、73%の自治体が多様なサービスの確保については見通しが立たないと答えています。
 答弁では、既に予防給付のサービスを受けている人は必要に応じて既存相当サービスを利用できるということでしたが、保険料を払い、要支援と認定されているのですから、希望するサービス、現行相当のサービスを保障すべきではないでしょうか。また、新たに要支援と認定された人にも、希望するサービスを保障すべきだと思います。
 その方に必要なサービスの提供に努める必要があるとお答えがありましたが、要支援の認定を受け、指定事業者による専門的サービスを希望する人には、これが保障されるのかどうか、もう一度、お答えをよろしくお願いします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 先ほども答弁させていただきましたが、既に要支援認定を受け、サービスを利用している方は、新事業移行後も、必要に応じ、既存サービス相当のサービス利用が可能です。また、新たに認定を受けた方は、認知機能の低下や退院直後で支援が必要であるなど、専門的なサービスが必要な場合は、現行相当のサービスを利用することが可能です。
 県としては、適切にサービス提供がなされるよう、市町村に対し助言及び支援に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、介護保険料の値上げについてお尋ねいたします。
 現在、全国平均保険料は5550円程度ですが、今度の改定で和歌山県の平均はどの程度になるのでしょうか。
 第5期の保険料を決める際には、負担能力を超える保険料となることから、国は、県の介護保険財政安定化基金を取り崩して保険料低減に充てるよう措置しましたが、今回についてはどうなっているのでしょうか。県の今期までの介護保険財政安定化基金残高はどの程度あり、どう活用しようとしているのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) ことし1月に県内市町村が試算した第6期介護保険料基準額の平均額は、約6300円と見込まれています。なお、この額は介護報酬改定の影響等を勘案する前のものであり、最終的には各市町村において介護保険条例の改正により確定するものであるため、多少の変動が見込まれるところです。
 次に、介護保険財政安定化基金は、第5期の保険料を決める際には介護保険法で平成24年度に限り一部を取り崩すことができるとの法改正がされたものですが、今回は法律上そのような規定がないため、取り崩すことはできないところです。
 また、今期予定している貸し付け等を実行した後の介護保険財政安定化基金の期末残高は約10億7000万円になる見込みで、市町村の介護保険財政に第1号保険料の収納率低下や給付費増による不足が生じた場合に市町村へ資金の貸し付け等を実施してまいります。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、改正介護保険制度の受けとめと今後の県の高齢者施策について、知事にお考えをお尋ねいたしたいと思います。
 介護報酬は、3年に1度改定されて、今回は報酬全体で2.27%引き下げになっています。2回連続の実質マイナス改定です。今回は、介護労働者の処遇改善の特別な加算を含んでいるため、その上乗せ分を除けば4.48%の過去最大規模の引き下げです。消費税やアベノミクスによる物価高などで介護事業の経費がふえる中、マイナス改定を実行すること自体、深刻な矛盾や困難を引き起こすものです。
 厚労省が決めたサービスごとの介護報酬は、特養ホーム、デイサービスなどの施設への報酬を大幅にカットする方針を打ち出しています。施設の運営と経営を直撃するものになっていると思います。特養への基本報酬は、個室でマイナス6%弱と、平均下げ幅よりさらに削り込まれています。相部屋はもっと大幅カットです。全国では特養の3割が赤字という実態が調査結果で判明しているのに、今回のマイナス改定によって、特に特別養護老人ホームがさらに苦境に追い込まれると考えられます。
 現在、特養の入所待機者数は、2014年3月末で2588人あり、そのうち要介護1、2の方は1063人もあります。和歌山県の高齢化率は27.3%で全国7位、高齢者夫婦や単身世帯が全世帯の4分の1を占めています。高齢夫婦のみの世帯全国2位、高齢単身世帯全国3位の県です。安心して高齢者が住めるまちづくりを進めていくためにも、今回の特別養護老人ホームだけではなくて、デイサービスや基盤整備の問題も含め、また、高くなる介護保険料、そういったことも含めて、今度の制度改正をどのように受けとめて、今後、県の高齢者施策としてどのように進めていかれようとお考えでしょうか。知事にお尋ねいたしたいと思います。
○議長(坂本 登君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 介護保険制度については、介護を必要とする高齢者の増加が見込まれる中、国の責任において、制度を将来にわたり持続可能なものにすべきだというのが基本だと思います。
 今回の介護報酬の改定は、サービスの充実と給付の重点化、効率化を行い、負担の増大を抑制しつつ持続可能な制度を実現するという基本的な考え方のもとで、国において十分議論されたものと考えます。しかし、今後、給付の重点化、効率化を進める中で、改定によって本当に支障が出るということがあれば、国の責任において手だてを講じていかなけりゃならないというふうに思います。
 また、県の高齢者施策の進め方については、和歌山の老後に安心を届ける政策において、見守り、健康、安心、産業化の4つの分野でそれぞれの状況やニーズに応じた施策を積極的に展開してきたところでありまして、今後も充実を図っていきたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 介護保険制度は、確かに国の制度で、実際、和歌山県にとって非常にふぐあいな、不都合な、大変な課題があるというふうなことの実態をよく見ていただいて、そういった点で、国に対しても介護報酬の引き下げなどについて撤回するよう、ぜひ求めていっていただきたいと思うんです。そういう点とあわせて、やはり和歌山県で独自の施策を進めていくということでは、高齢者の尊厳の保持、自立した日常生活に必要な給付を保障するはずの介護保険が、今、要介護・要支援高齢者に負担と犠牲を強いることによって持続可能な制度にということになっているのではないでしょうか。
 今回の介護保険法の改定で、公費投入による低所得者の保険料軽減が初めて法制化はされました。しかし、公費投入でしか矛盾が解決しないところまで来たことのあらわれだと思います。制度的限界を示すものではないでしょうか。和歌山県では、今度、平均して800円保険料がまた上がるということでは、もう負担し切れないというようなことになってくると思います。
 そういった中で、国は財政危機を強調しますが、日本全体で8兆円を超える介護保険給付費のうち国が負担しているのが25%、2兆円程度です。政府一般会計予算は90兆円以上のうち2%にすぎません。防衛費の半分以下です。アベノミクスによる財政出動の額にも及びません。今後、超高齢社会に向けて、高齢者介護施策や地域包括ケアシステムをつくり上げる上で、国に対して国庫負担割合の引き上げをさらに強く求めていただきたいと思います。
 また、市町村の一般会計からの繰り入れ実現のための県の支援を求めることを要望して、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時23分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(尾﨑太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 今議会では、大きな3つの項目を質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず1つ目、森林資源「紀州材」の利用推進についてであります。
 小さな項目1つ目、低コスト林業への取り組みについてお伺いをいたします。
 県土の77%を占める山林を擁する和歌山県、貴重な資源である紀州材を活用しない手はないと考えます。戦後、植栽された人工林が森林資源として利用可能な状態に成長を遂げた、これからが大きなチャンスを迎えたと言っても過言ではないと思います。林業による紀州材の生産量と消費市場の需要がふえれば、それに伴って木材産業が活発化することにつながり、川上と位置づけられる林業から中間あるいは川下と位置づけられる木材産業へと、森林資源を活用する全体的な流れが期待できます。それには、林業の振興を図ることが重要であります。
 木材需要の低迷等による木材価格の下落や労働賃金等の経営コストの上昇により、林業は生産性を悪化させておりましたが、業界の自主的な努力に加え、国や県や市町村の支援策により、ようやく明るい兆しがあらわれ始めています。この流れを維持していくためには、低コスト林業をさらに推進していくことが必須と考えます。
 県では、これまでも作業道整備や高性能林業機械の導入、架線集材システムの改良などに支援をしています。今後、低コスト林業に対しどのように取り組んでいくか、農林水産部長にお尋ねします。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 戦後植林された杉やヒノキの人工林は成長し、県内の森林資源は本格的な利用期を迎えております。こうした人工林の多くは公的補助制度によって整備されており、公共財としての性格を有しています。
 本県の中山間地域を活性化するためには、これらの森林資源を有効に活用する必要があり、県では、これまで作業道の整備や高性能林業機械の導入を支援し、搬出間伐を推進するなど、低コスト林業を積極的に進めてまいりました。また、本県の急峻な地形において効率的に搬出できる架線系集材システムの改良や、森林所有者と連携し、コンテナ苗の活用を図るなど、低コスト造林にも取り組んでまいりました。このような取り組みに加え、森林組合の体制強化や森林組合と民間素材生産事業体との連携を推進し、低コスト林業をさらに進めてまいります。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 次の質問に移らせていただきます。
 午前中、吉井議員も紀州材、公共土木工事への利用促進を提言されておりましたが、私は販路拡大と住宅分野以外での利用推進についてお尋ねをしたいと思います。先輩議員ほど実のある話がないかもわかりませんが、皆様、お聞きください。
 貴重な森林資源である紀州材を広く活用するための取り組みについて、県外向け、県内向けの2つの観点から質問をさせていただきます。
 まずは、県外への販路拡大についてお聞きします。
 県の産品や製品の消費に関して、一般的には、いわゆる地産地消が理想であるとはよく言われることであります。人口減少が進む県内だけでは大きな消費を見込めないケースが多く、売り上げや消費量をふやすためには、県外への販路拡大あるいは販路開拓に力を尽くすことは必然的なことと考えます。紀州材にとっても、同様のことが当てはまると思うわけです。製材品や家具などの加工品、その形態は多種多様でよいと思います。
 そこで、県外、特に需要が多いと考えられる都市部へ紀州材を売り込み、出荷量をふやすためにどのような取り組みが行われているのでしょうか。
 2点目は、紀州材の内需拡大の観点からお尋ねします。
 今後の需要が期待できる公共建築物にターゲットを絞って国が率先して木材利用に取り組むとともに、地方公共団体や民間事業者にも国の方針に即して主体的な取り組みを促すこと、さらには、住宅など一般建築物への波及効果を含め木材全体の需要を拡大することを狙いとした公共建築等木材利用促進法が平成22年10月に施行されました。
 それを受け、本県でも木材利用方針を策定し、高さの低い公共建築物については原則木造化、県民の目に触れる機会が多い部分には内装の木質化を推進しています。同様に、県内全市町村においても木材利用方針を策定しており、県では、環境や人に優しい木材のよさを広くPRするという趣旨に基づき、市町村等が整備する施設の木造化、内装木質化に対して補助金制度を設けています。
 一方、一般の住宅建築に紀州材を利用してもらうことを考えますと、構造材に一定以上の紀州材を使用する住宅を対象とした助成制度などで一般向けにも紀州材の利用推進策が講じられていますが、人口減少により住宅着工戸数の減少が予想される中では、先述の取り組みに加え、民間の店舗などの商業施設や社屋、事務所など、住宅以外の建築物への紀州材利用を推進していくことが重要になってくると考えます。
 そのような住宅分野以外での紀州材利用の取り組みを具体的なものとするためには、木材や木造建築に関して豊富な知識や経験を持ち、紀州材利用を提案、推奨してくれる人材、いわば紀州材の応援団、コーディネーター的な役割を果たしていただく人材を設計や建築に携わる人たちの中にふやしていく必要があると考えます。
 紀州材利用を提案してくれる人材をふやす取り組みにより、紀州材の汎用機会が広まると期待できると考えます。その点についてはいかがでしょうか。農林水産部長の御所見をお尋ねします。
○副議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 議員御指摘のように、紀州材の利用を進めていく上で県外での販路拡大が非常に重要であり、都市部における紀州材製品記念市や住宅・建材展示会への県内企業の出品、出展を支援するなど、新たな販路の開拓に取り組んできたところです。
 しかし、今後、人口の減少に伴い住宅着工戸数の減少が予想される中で、福祉施設や商業施設などでの紀州材利用を積極的に推進していく必要があり、こうした分野で木造化や木質化を提案できる紀州材ファンの建築関係者をふやしていくことが重要であると考えております。
 そのため、まず新年度において、県内の建築士を対象に、木材を使用した耐火性能や構造等に関する法令上の制約、紀州材の特性や流通の仕組みなどについての講習会の開催等に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 「木の国」と呼ばれる我が和歌山県でありますので、人的ネットワークを駆使したきめの細かい紀州材の利用推進の取り組みを、農林水産部だけではなく、県土整備部との連携も図りながら展開されますことを要望して、次の質問に移らせていただきます。
 大きな2つ目、和歌山デスティネーションキャンペーンについてであります。
 1つ目、キャンペーンの成果についてお尋ねをいたします。
 県及び県内市町村、観光関係団体とJRグループ6社が連携した大型観光キャンペーンとして、昨年の9月14日から12月13日まで、和歌山デスティネーションキャンペーンが大々的に実施されました。以後、省略した名称の「わかやまDC」を使わせていただきます。
 今回のわかやまDCでは、実に盛りだくさんなイベントや企画が実施されました。また、観光資源の開発、情報の発信、リピーターを獲得するための心のこもったおもてなしを強く意識した取り組みなどが展開されました。その間、10月に立て続けに襲来した台風18号、19号の影響を受け、いずれの数字も大幅増とはならなかったものの、誘客人数の増大に効果を上げたとの報告がなされたところです。
 改めて、わかやまDCを振り返り、概要とその成果などについて、知事の総評をお聞かせください。
○副議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山デスティネーションキャンペーンについては、一昨年の伊勢神宮式年遷宮から続く観光振興ゴールデンイヤーの中核となる施策と位置づけ、JRグループや地域とタイアップし、県を挙げて取り組んでまいりました。
 このキャンペーンにおいては、「和み」をテーマに、聖地や道、食といった本県自慢の観光資源を最大限に活用し、地域や人が中心となってお客様を受け入れる企画やイベントを展覧会的に実施することを誘客の柱といたしました。
 議員が観光協会の副会長につかれている新宮市においても、多数のウオークイベントや新宮鉄道・客車里帰りプロジェクトの実施、また、トワイライトエクスプレス、ハローキティ和歌山号の歓迎などで、大変多くのお客様の来訪と満足につながったと思っております。
 一方で、こうした観光資源や企画などを和歌山ブランドとして全国に向けて大いに情報発信もいたしました。JRグループの広告媒体の活用に加え、さまざまなメディアを活用した独自の広報を積極的に展開いたしました。
 こうした結果、本県の認知度が大きく上がったことは、インターネット系の大手旅行会社・楽天トラベルの商品取り扱いの伸び率で本県が全国2位となったことにもあらわれております。
 和歌山デスティネーションキャンペーンの数値的な成果といたしましては、期間中の来訪者が対前年同時期に比較して70万4000人増加の990万3000人で、直接消費額は同じく27億1000万円増加の455億4000万円であったと推計しておりまして、繁忙期の週末に連続で接近いたしました台風がありましたけれども、これで随分損をしたんですが、この影響も大きかった中で、地域を中心に関係者の皆さんがよく頑張ってくれた結果と評価しております。
 和歌山デスティネーションキャンペーンにおける取り組みを一過性のものとせずに、高野山開創1200年、来年のNHK大河ドラマ「真田丸」などの機会を生かし、ことし秋から予定している和みわかやまプレミアムキャンペーンに引き継いで、大いに観光振興をしていきたいと考えております。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 次の質問に入ります。
 評価の高い事業の継続的な取り組みについてであります。
 県観光局によりますと、わかやまDCで実施された多くのイベントや企画の中で、特に評価が高く効果が大きいと考えられるものはさらに磨きをかけ継続して実施し、持続可能な観光地づくりを推進していくとの言葉がありました。
 特に、キャンペーンで成果を上げた紀南地域への誘客の取り組みとして、一昨年の伊勢神宮式年遷宮の際にも全国から伊勢へ参拝に訪れた人たちを本県まで誘客していただいた取り組みと同様に、開創1200年という節目の年を迎える高野山を訪れる参拝客にも熊野三山への参拝を働きかけ、紀南地域へも足を延ばしていただくための取り組みにも期待したいと思います。
 そういった意味では、昨年、日本ジオパークに認定された南紀熊野ジオパークなどのいろいろな話題を前面に押し出し、積極的な攻める観光で紀南地域への誘客をお願いいたします。
 さて、今回の観光キャンペーンでは、JRとの連携に重点が置かれました。観光列車ハローキティ和歌山号やトワイライトエクスプレス車両を利用した臨時列車や、京阪神、九州、広島、岡山等を発地とした和歌山行きの割引切符など、多くの商品が好評を得ました。今回のキャンペーンによって、列車での旅が改めて注目を浴びたことと思います。これを契機にJRの利用促進に向けたさらなる取り組みを展開すべきだと考えますので、引き続き、JR西日本への働きかけも念願いたします。
 いろいろと申し上げましたが、本県の主要産業である観光業活性化策は待ったなしの状況と言えます。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねいたしますが、今回のわかやまDCによる本県への観光客誘客について、検証された結果についてお聞かせください。
 また、高野山開創1200年を初め、ビッグイベントがめじろ押しではありますが、目標とする持続可能な観光地づくり実現のためには、矢継ぎ早に企画や事業を展開する必要があると考えます。
 わかやまDC終了後、間もないところですが、現時点での今後の取り組みについてお聞かせください。
○副議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) わかやまDCにおいて評価の高い事業の継続的な取り組みについてでございますが、まず、その前提となる取り組みの検証結果について申し上げます。
 わかやまDCにおいては、持続可能な観光地づくりを目指して、県及び県観光連盟が地域等と連携し、多数の企画の開発やブラッシュアップを行い、そして、心のこもったおもてなしを誘客の柱として実施したところです。
 中でも、世界遺産環境保全ウォーク、メディアとタイアップしたウオークなどのウオークイベントや、熊野三山や高野山における秘宝等の特別公開、あるいは紀三井寺、橋杭岩、那智の滝などのライトアップ、また、ホールガーメントニット製品のおあつらえなどの地域産業とのコラボレーション企画、また、地域食材をふんだんに使用した和み駅弁や宿泊施設における特別メニュー、さらには、来訪者へのおもてなし企画として、主要観光地の観光協会等で手荷物を預かり宿泊施設まで届ける手ぶら観光などに多くの来訪や利用があり、また、お客様や旅行会社などから高い評価を受けています。
 このほか、県内周遊を促進する仕組みとして、ゲーム感覚を組み込んで周遊を促進するスタンプラリーや本県各地の御当地キャラクターピンバッジ収集なども好評を得た企画です。
 しかしながら、想定したほどお客様が集まらなかった企画等もあり、原因や改善策について、今後、分析を深めていきたいと考えております。
 一方で、幾らよい企画でも、お客様に知ってもらわないことには来訪の動機づけにはつながりません。わかやまDCにおいては、さまざまなメディアを活用し、マーケットやターゲット層に向けて効果的な情報発信ができたことで企画内容と相まって大きな成果を得たと考えており、今後とも効果的な情報発信に重きを置いて取り組んでまいります。
 次に、今後の予定でございますが、来年度は高野山開創1200年、大河ドラマ「真田丸」放送等のビッグイベントを契機とした誘客事業に取り組んでまいります。さらには、秋には国の交付金を活用した和みわかやまプレミアムキャンペーンの実施も予定しております。
 こうした事業の実施に際し、わかやまDCで誘客効果が大きいと判断した取り組みについてさらに充実を図りながら継続することで、持続可能な観光地づくりを推進していきたいと考えております。
 なお、議員の御提言にございました、わかやまDCでJR西日本が独自に取り組み、多くの利用があったハローキティ和歌山号や、寝台車両やサロンカーを連結した列車などの観光列車や、周遊に便利でお得な企画切符につきましては、誘客効果は大きいと考えますので、引き続き実施してもらうようJR西日本に働きかけてまいります。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ターゲットを絞った観光戦略というのは本当に効果があると思われますので、また今後の御奮闘をよろしくお願い申し上げます。
 最後、3つ目、わかやまDCに関連して、JR、特に紀勢本線についてお尋ねをいたします。
 近畿自動車道紀勢線の紀南地域への延伸や一般道路の改良もあり、紀勢本線の利用客は年々減少しているようです。JR西日本和歌山支社によると、10年前に比べ、管内の利用客は1割減、白浜より南は3割減少しており、特に紀勢本線沿線住民の利用が著しく減少している状況にあるとのことです。
 その打開策を打ち出すため、沿線の24市町村で構成された紀勢本線活性化協議会が平成6年12月に発足されています。昨年7月30日に開かれた総会では、次の3項目の申し合わせがなされたそうです。
 1つ目は、会員市町村主催のイベントなどでは公共交通機関を積極的に利用して来場するよう呼びかけること、2つ目は、広報紙などを通じて住民に鉄道の利用をPRすること、そして3つ目は、職員の出張は可能な限りJRを活用することとのことです。
 私の地元にある金融機関は、まさにその取り組みを実践しており、地域の大事な交通機関は地元住民が支えるものという方針のもと、車での出張を控え、JRの活用を優先しているとのことです。その金融機関に勤めている方が、「地域住民への利用促進を図るため、行政も率先して利用するべきだ」と話されたことが大変印象に残っています。
 私自身も、登庁するため新宮市と和歌山市を行き来する際に可能な範囲でJRを利用しているのですが、定例会中など連泊ともなると着がえなどの荷物も多いため、また移動時間帯が夜遅くになることが多いため、大半が車での移動を選択しています。みずからも、今まで以上に意識して積極的にJRを利用することを心がけたいと思います。
 ちなみに、JRを使うメリットは何があるかと考えてみますと、安全性が高い、運転する必要がない、寝ていても目的地に着く、和歌山が誇る海岸線や名所などの景色がじっくり楽しめる、お酒をたしなむ人は飲酒も可能、読書や書類に目を通したり作成もできる、人との触れ合いがあるなど、たくさんのメリットが考えられます。
 また、観光客のみならず、車の免許を持っていない地域の学生や一般の方などにとっては大事な移動手段です。また、鉄道の維持、発展に努めることは、バスやタクシー、最近ではレンタカーなどの2次交通の利用にもつながり、業界の発展が地域に経済効果をもたらすものと考えます。
 さらには、徒歩やレンタサイクルでゆっくりと町なか観光を行ってもらうことにより、じっくり飲食や買い物をしてもらえる機会もふえ、地方の観光業が目指す滞在時間をふやすことへのきっかけにもなります。
 さて、次に車両に目を向けますと、現在、紀勢本線を走る特急くろしおは3種類、急カーブでも車両を傾けて速度を落とさずに走れる振り子式の381系と283系、振り子式ではない最新の287系であります。
 御承知のように、振り子式車両は高速化を実現するため導入されたわけですが、その走行中の左右の振りによる乗り物酔いや疲労感を感じる人が多く、やや快適さに欠けるとの悪評もあり、それが敬遠される理由の1つとさえ言われているのも事実です。そんな声をよく耳にしておりましたので、JR和歌山支社長さんや関係者とお会いするたびに、振り子式ではない車両のほうが乗客は喜んでくれるのではないでしょうかと話をしてきたところです。
 そうした中、朗報と言うとこれまで高速化のために尽力してこられた関係各位や振り子式車両にお叱りを受けるかもしれませんが、昨年12月、27年春のダイヤ改正発表の際に、特急くろしおパノラマ車381系の老朽化に伴う取りかえを予定していると発表がありました。そして、12月31日付の「毎日新聞」には、「元祖くろしお引退へ」の見出しで詳細についての報道がなされました。その記事によりますと、来年秋ごろに入れかえが予定されている381系の後継には、北陸線などを走る特急しらさぎで使用されている683系が候補に挙がっているとのこと。この683系は、振り子式ではないため、和歌山─新宮間の所要時間は今よりも10分程度長くなってはしまいますが、快適さは増すのではないでしょうか。利用客の増加が期待されるところです。
 わかやまDCでのJRへの注目、新車両の導入などを機会と捉え、特に利用客が減少の一途をたどっている紀勢本線の白浜─新宮間の利用促進を図る対策を官民一体となって講じていきたいと思いますが、車両のほかにも、利用してもらう駅の快適さや利便性の向上も重要だと考えます。その環境整備の支援や働きかけなど、JRに対する県の取り組みについて、企画部長にお尋ねをいたします。
○副議長(尾﨑太郎君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 議員御質問のJR紀勢本線の利用促進に向けた環境整備についてでございますが、紀勢本線は、地域住民の方々の通勤、通学などの生活路線としてだけでなく、観光振興、地域振興の面でも極めて重要な路線であり、利便性、快適性を高めることは非常に大切なことであると考えております。
 このため、県では、JR西日本及び関係市町村と連携し、これまでも利便性、快適性を向上するための環境整備に取り組んでまいりました。どこでも、誰でも、自由に、使いやすくといったユニバーサルデザインの考え方に基づき、誰もが安全で安心して利用いただけるよう鉄道駅のバリアフリー化を推進しており、今年度は新たに紀伊勝浦駅及び御坊駅でバリアフリー化整備を実施しております。紀伊勝浦駅につきましては、このたび整備が完了しまして、来る3月1日に記念式典が行われます。
 また、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会を初め、観光等で県内を訪れる方々を気持ちよくお迎えするため、平成25年度から平成26年度までの2カ年で、公共施設や市町村の観光地、民間施設のトイレを集中的に整備、美化する和歌山おもてなしトイレ大作戦を展開してまいりました。鉄道駅のトイレにつきましてもこの大作戦で整備を進めてきたところであり、紀勢本線では和歌山駅を初めとした全ての特急停車駅で整備が行われ、その他の駅についても市町村とともに積極的に整備を進めてきたところです。
 JR西日本においても紀勢本線のより快適な利用を目指した取り組みを行っておりまして、平成25年春のダイヤ改正では、白浜駅から新大阪、京都までを行き来する特急くろしおが全て新型車両に更新され、さらに、議員のお話にもありましたように、平成27年春のダイヤ改正以降に、新宮駅から新大阪、京都までを行き来している老朽化したパノラマ車両が新しいタイプの車両に更新される予定であります。このことにより、ゆったりとした座席で足元スペースが広くなるとともに、全てのトイレが洋式化されるなど、快適性が格段に向上することになります。
 県といたしましては、紀勢本線活性化のため、また地域の発展のため、今後ともJR西日本及び関係市町村と一体となって利用促進に向けた環境整備に取り組み、紀勢本線を利用される方の利便性、快適性がより一層向上するよう努めてまいります。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 今、お話をお伺いしまして少し考えたんですけど、今、例えば高速道路の中にありますサービスエリア、それとか道の駅、そういったところが、かなりいろんな方、観光客とかでにぎわっている姿をよく目にするんでありますけども、本来の駅でありますから、本当に電車を利用するだけでそこに立ち寄るわけではなくて、本当にその地域の玄関口といいますか、憩いの場として、もう少し駅が快適な空間になればと思います。それが1つの活性化につながることと信じて、これからの働きかけに御期待を申し上げます。
 それでは、最後の大きな項目に移らせていただきます。熊野川の清流を取り戻す対策についてであります。
 まず1つ目、国や電源開発を含めた濁水対策と効果についてであります。
 熊野川の熊野川町日足、ちょうど道の駅の上流、下流部分において、12号台風災害以降、堆積した土砂の撤去が長い間の懸案事項となっておりましたが、このたび、緊急的に河道掘削を行っていただく災害対策等緊急事業推進費の配分を御決定いただきました。また、対岸の三重県にも、足並みをそろえて掘削を行っていただくことを御決定いただきました。知事を初め県当局の皆様、先輩・同僚議員の皆様の御尽力に、地元新宮市民を代表する1人として心より厚く御礼と感謝を申し上げます。
 さて、本題に移ります。
 熊野川は、川の参詣道として登録され、壮大なたたずまいを見せています。貴重な地形について、また、満ちあふれる文化や歴史を語り部の説明によって楽しむ川舟下りの利用者は、平成23年の台風災害以来、激減していましたが、関係者の尽力や世界遺産10周年なども手伝って、本年度の利用客数が災害以前並みに戻り、約3000名を超えるとの発表がなされました。
 地域にとって大変明るい話題ではありますが、残念なのは、清流でない熊野川での川舟下りにがっかりされる観光客も多いということです。
 熊野川の濁水が長期化していることは皆さんもよく御存じのことと思いますが、地元新宮市では、この濁水についての関心が高くなっています。その際、必ず話題になるのが発電ダムの存在であります。
 熊野川上流に位置する電源開発十津川発電所でつくられる電気の大部分は、下流域にある新宮変電所に送られ、地域に供給されているそうです。原子力発電の稼働が停止している国内電力事情の中、クリーンな再生可能エネルギーを利用した水力発電は、本来、重宝されてもよさそうなものですが、清流を誇っていた熊野川におけるダムの存在は、地域住民の一部には余りよいイメージを持たれていない節もうかがえます。
 これまでにも長年にわたり、台風や豪雨による出水が起因する濁水が発生するたびに、それに対するダム運用が取り沙汰されています。市や市議会を初め、流域住民より、電源開発に対し、企業利益が優先され、人命や環境への配慮が欠けているのではないかと強い抗議や要望が行われています。しかしながら、効果的な解決策にまで至っていないと、積年の不信感が拭われていないままです。
 昨年9月、電源開発十津川第一発電所の取水元である風屋ダム、その貯水池内の表面取水設備のゴムシート部品が破損していたという事態が発生しました。しかし、台風16号の接近により出水が予想されたため、濁水の早期排出を必要とする可能性があったなどを理由に発電を継続しました。その結果、放水口付近の濁度がさらに上昇することとなり、その報告を聞き及んだ新宮市議会はすぐさま早急な対応を求める抗議文を提出、それを受けて電源開発は新宮市議会に対し、事の経過と損傷状況及び今後の復旧予定の説明を行いました。
 破損した表面取水設備のゴムシートは特注品で、本復旧までには約6カ月を要するため、入手可能なゴムシートと鋼材を加工した仮パネルを製作し、欠損したゴムシート部を閉塞する仮復旧を行うとのことでした。
 説明聴取の後、設備故障の報告の遅さや濁度軽減がなされていない状況で発電を続けた電源開発側の企業モラルが不誠実であると、疑念や怒りをあらわにした市長や市議会議員からの厳しい指摘が相次ぎました。
 観光や漁業に悪影響を及ぼすだけでなく、新宮市では熊野川からの取水で水道事業を行っており、川の水を浄化するための薬品費や汚泥処理費の増加は市民にとってもデリケートな問題となっています。
 さて、国からは国土交通省、農林水産省など、三重、奈良、和歌山3県、各流域市町村に関西電力、電源開発らで構成されている熊野川の総合的な治水対策協議会が平成24年7月に初めて開催され、6回目の会議が昨年末に開かれたとのことです。そして、熊野川の濁水対策について技術的検討を行う熊野川濁水対策技術検討会が大学教授など学識者を加え新設され、発生源の検討や長期化の要因の分析、ダムにおける対策の検討について話し合われています。
 その結果を踏まえ、国や県は、崩壊地対策として治山・砂防事業等を実施し、河道への土砂流出の防止に努め、また、河道内の堆積土砂撤去などを早急に進めていくという考えを示しています。
 また、電源開発は、長期化する濁水への施設改良として平成27年3月までに風屋貯水池内に2カ所の濁水フェンスを設置するとし、既に着工しているところです。また、取水設備の改造を行う計画とあわせて、濁度によって発電運用を制限するなどの改善を行うべきであると結論が出されました。今後の課題としては、施設改良と運用変更について具体的な内容と実施する時期、また、その施設改良が完了するまでの間の運用についてであります。
 そこで、治水対策協議会並びに技術検討会において話し合われた濁水対策の詳細と、この対策で得られる効果について、本県はどのように把握されているのか、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○副議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 熊野川の濁水軽減対策については、昨年6月に設立された有識者等から成る熊野川濁水対策技術検討会において、発生源や濁水長期化の要因分析及びダムにおける対策に関する技術的検討が行われ、関係機関で実施する対策が取りまとめられました。
 このうち、流域対策については、平成33年度末までに国土交通省や和歌山県等が、崩壊地対策、河道への土砂流出防止対策、河道内堆積土砂の撤去を行うこととしています。
 また、電源開発株式会社が実施するダムの貯水池対策については、平成30年の出水期までに風屋ダムで、洪水時には濁水を下層に流入させて早期に排出し、洪水後には表層の清水層から取水できるよう、浮き沈みする濁水防止フェンスの設置と取水施設の改造を行うこととしており、二津野ダムでも同様に濁水防止フェンスを設置することとしております。
 さらに、発電運用についても、洪水後の早期濁水排出と清水貯留の期間の延長を行うこととしています。
 また、これら全ての対策が完了した場合には、平成23年の紀伊半島大水害以前の状態まで濁度の軽減が図れるものと期待されます。
 さらに、昨日開催された関係行政機関及び発電事業者から構成される熊野川の総合的な治水対策協議会において、電源開発株式会社から、施設改良が完了するまでの暫定的な運用として、十津川第二発電所からの放流水の濁度が高いときには発電をより一層抑制するとの追加の提案がなされたところです。
 一方、地元の新宮市や紀宝町からは納得のできるわかりやすい説明を求める御意見等をいただいており、当協議会で引き続き検討してまいります。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 この熊野川の発電ダムにつきましては、県議会において私も質問をさせていただきましたが、これまでにも地元選出先輩議員らがたびたび取り上げてきた深刻なテーマの1つです。
 先日、私は、十津川第一、第二発電所、風屋ダムと二津野ダムを訪れ、また、十津川上流の山腹崩壊現場の復旧工事の様子や川の濁水の状態などを視察してまいりました。12号大水害から3年以上が経過した今でも当時の傷跡は多く残っており、懸命の復旧工事が行われてはいますが、箇所の多さから、まだまだもとの姿に戻るまでにはほど遠いという印象を受けました。私が視察した日は、十津川の上流へ行けども行けども清水は見られず、熊野川全体が濁水だらけになっているといった印象でした。濁水に含まれる土砂の粒子もかなり細かく、沈殿しにくいことも長期化の要因だとも言われています。
 さて、今回の質問は濁水の問題に焦点を当てて取り上げておりますが、先ほどの熊野川濁水対策技術検討会で話し合われた発生源の検討や長期化の要因の分析、崩壊した山腹への対応、ダムにおける対策など、知事はこれらの濁水対策をどのように認識されておられますか。
 あわせて、それらの対策が早期に実施され、一日も早く清流が取り戻せるよう、今後どのように国や電源開発に対し要望を行い、また、奈良県、三重県との協力体制をどのように強化されていくお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 熊野川につきましては、平成23年の紀伊半島大水害において上流部に大規模なのり面崩壊が発生したことで濁りが長期間継続するようになっております。この濁水の長期化は、我々の誇りであります熊野川に対して大打撃でございますから、県としては大変重要な問題と認識して、これまでも河川管理者である国に対して、地元が納得できるような濁水解消対策を早期に取りまとめるよう要望してまいりました。
 と申しますのも、ダムの所有者はJ─POWERでありますので、新宮市の方々はこれを強くしておりまして、あるいは逆に言うと意識し過ぎで、その結果、J─POWERに強く要求は出すんですけれども、J─POWERのほうは営利企業ということでございますので、なかなかかみ合わない。発電はやめろとか、あるいは買えとか、そういうような話があって、かなり実現困難なようなものがたくさんございました。
 国は、その間、若干引いてるところがありまして、それでもっときちんと県管理河川のように自分の問題として出ていかないとだめですよといっていろいろ知恵をつけたり、そんなことを国に対してやってきたわけでございます。
 しかし、最近になってようやく国が直接かつ強力に乗り出してくれまして、J─POWERと交渉し指導してくれることになりまして事態が急速に進みました。
 今般、国から示された崩壊地対策等の流域対策、発電取水設備改造等の貯水池対策、発電運用の変更といった対策を実施することにより、平成23年の紀伊半島大水害以前の状況まで濁度の改善が可能となるというふうに聞いております。
 このためにはフェンスの設置とかハードウエアの改良を行うことが主として必要になってくるわけですが、それが完成する前でも、運用でできるだけそれに近づけるようにということを、これは我々のサジェスチョンもありまして、国が大分頑張ってくれまして現在の状況になってるということでございます。
 せっかくこういういい対策を立ててくれたんであるから、国に対しては、それを地元市町村の方々がなるほどとわかるように、何度も十分に説明を行ってもらうことを引き続き求めたいと思っております。
 一方、より根本的には、これは紀伊半島大水害の復旧が、和歌山県では一部を除きましてほぼ終わってるのに対して、奈良県側ではなかなか、大規模な崩落があったもんですからまだまだなんでございます。したがって、新しい雨が降ると濁水が新しく発生して、これが川に流れ込むということが起こっておるわけでございますので、一日も早くこの発生源を絶つように精力的に工事を進めてもらいたい。これは、主として直轄すなわち国が請け負ってやっておりますけれども、国や奈良県にもそのように働きかけをして、また完全な形の熊野川を取り戻したい、そんなふうに思っております。
○副議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 知事の御答弁をいただきまして、地元の流域の住民の皆さんは大変心強く感じていることと思います。また今後ともいろいろお力添えいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後、発電ダムの水利権更新について要望をさせていただきます。
 風屋ダム敷地内に慰霊碑があります。その後ろ側には、建設当時に事故で犠牲になられた多くの方々の名前が刻まれておりました。その方たちのとうとい命をかけて建設されたダムが自然環境維持にも活用できる建造物となるよう、それぞれの立場における取り組みや発言を正しく理解し合うとともに各自の責任を果たす、そしてその力を結集することが熊野の象徴であり、今や世界の宝とも言うべき熊野川の清流を取り戻すことにつながると考えてやみません。
 さて、平成27年3月31日には、風屋、二津野などのダムに係る水利権更新の時期を迎えます。電源開発から国に対して水利使用に関する承認の申請があった場合、国は、その申請に対する処分をしようとするときは、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聞かなければならないと河川法で定められています。つまり、電源開発が国に申請した場合、国から知事に意見を求められることになります。
 先ほど触れました表面取水設備の故障にまつわる説明会の中で、やりとりが終盤に差しかかったころ水利権更新に話が及んだので、オブザーバーである私も発言の機会を与えていただき、次のように述べさせていただきました。
 「濁度軽減設備が故障している状態で行われた発電について、市民の代表である我々政治家が強く抗議するのは当然のことである。例えば、食品メーカーで異物混入などが明らかになれば、商品を回収し、原因が究明される、また改善されるまでは生産を行いません。また、工業製品メーカーでも、事故や部品のふぐあいが生じたとき、ほかの製品に関しても無償で部品交換を行うなど、責任を持ってリスクを負う対応をしている。理由がどうであれ、川で利益を上げる企業としてのモラルを疑わざるを得ない。電源開発が濁水の原因をつくったとは思わないが、長期化の要因の1つになっているのは事実であり、ダム建設前から濁水対策への協力を公言されている以上、このような不誠実な対応で事を済ますのであれば、知事に更新に同意しないよう直訴します」と訴えました。
 その後、市や市議会の申し入れに応じ、設備修理が行われるまでの発電停止、施設改良や運用変更への取り組みが開始されたことに一定の理解は持っております。
 しかしながら、熊野川の清流を取り戻すための取り組みに関して、更新がなされた後においても腰の入った対策を継続的に実施してもらえるという確約を得ていただくなど、水利権更新に際し国へ意見具申されるに当たっては熊野川流域市町村の意向を十分反映していただきますよう強く要望いたしまして、私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(尾﨑太郎君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時53分散会

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