平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


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  午後1時0分再開
○議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。
 最終日3人目、登壇させていただきますことを感謝申し上げます。
 さて、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 今回は、大きく3項目ということになりますので、まず1点目、中国・大連市への視察報告と中国への農産物販売ルートの拡大について、この点を1問目として質問をさしていただきます。
 去る10月15日から18日にかけまして、大連市で開催された2014大連日本商品展覧会の視察と出展に行ってまいりました。視察メンバーは、団長に井本泰造かつらぎ町長、以下、橋本市からは経済部長、九度山町の総括担当、JAの関係者の皆さん、県議会からは井出益弘議員、鈴木太雄議員、岸本健議員、そして私の4名、総勢17名が視察団を結成し、今回訪問したものであります。
 今回の展覧会への出展に関しましては、大連市からの要請があり、和歌山県の果実──今回の場合は柿だったわけですが──何としても中国市場にPRしたい、そういう願いもありまして訪問団を結成し、私たち県議会議員4人も加わり、今回の展覧会で成果を持ち帰りたい、このように考えて出かけたものであります。
 御存じのように、中国は検疫が厳しいため、輸出できるのは条件を満たした上での青森県のリンゴや鳥取県の梨、こういったものに限定されております。そのため、現在、和歌山県産の柿やミカン、梅、桃、そういったものは輸出できないままでおります。まず、大連市を訪問した際、ジェトロ大連事務所の荒畑所長から東北三省の概要の説明をいただき、その後、和歌山県産の果実の輸出に関しての懇談、意見交換をさしていただきました。
 まず最初に、大連市が和歌山の果実を輸出するのに際してどれほどの魅力的な市場であるかということの現状を紹介さしていただきます。
 大連市の人口は669万人、日本人は6039人、進出している日系企業は1851社もあり、比較的なじみの深い市となっております。和歌山県から進出している企業や飲食店もあり、進出や販売の売り込みに力を入れる、そういう市に値するのかなあというふうに思っております。また、日本語を使える人材も数多くおりまして、日本語能力試験N1の受験者は上海に次いで中国で2番目の多さとなっております。また、中国の中では大連市は親日的で、日本食が好まれ、ビジネスがやりやすい、そういう環境にあるようです。
 ただ、最近は、為替レートが円安になっていることから、日本企業の経済活動、これは厳しくなっているという話もございました。日本企業が日本へ輸出をする、この場合の決済は円建てで、売り上げの20%から30%が減少していること、それ以外にも、日本企業が経営上の課題として、現地の従業員の賃金が上昇していること、現地の人材の能力と仕事に関する意欲が低いこと、新規顧客の開拓が難しいこと、そして現地通貨の対円為替レートの変動が激しいことなどが、ここ最近の経営環境の課題として述べられております。和歌山から市場開拓をする際に気をつけておきたいことだなというふうに思っております。
 また、可処分所得でございますが、現在、上海よりも4年程度おくれている、こういう感覚がございます。大連市内を回ると大型のマンション、それから大型のショッピングセンター、外資系の飲食店などがふえており、現地の方は、4年後の経済環境は現在の上海と同様の水準になっている、こういうことを話してくれましたが、その可能性を秘めている市場だというふうに感じました。
 日本に滞在していて10年前に大連に戻った中国人の方と話をしたときのことですが、日本から大連市へ戻ったときの所得1400元、この程度だったんですが、現在は5000元、実に10年間で3倍も賃金が上昇している、こういう話をしていただきまして、これまでの経済成長、それから今後の成長、こういうものを感じられる都市でありました。
 また、日本企業ではユニクロを好んで着ている、こういう姿が見えましたが、現地ではZARA、これもブランドのイメージが高くて若い人たちが好んでいることや、マクドナルドやスターバックスも好まれておりまして、若い人たちの感覚は日本人とよく似た傾向にある、このように思いました。ですから、若い人を中心に味覚や品質も変化しているようなので、和歌山県産の果実が受け入れられる、こういう環境があるように感じました。
 実際、日本の果実に関しましては、品質が高く味もよいので食してみたいと思ってくれてる人もいるわけですが、日本からの輸出が制限されていることから、市場で購入することはできません。そのため、大連市の市場や志向の調査と分析を行うことによって、今後、和歌山県の柿を中国への輸出につなげられないだろうかなというふうに考えているところであります。
 今回は、事前に特定検疫審査手続と検査の申請を行っていたことから、和歌山県産の柿を展覧会に出展することができました。これは大きな成果につながるものだというふうに思っております。今回、主催は中国国際貿易促進委員会、大連市人民政府主催の2014大連日本商品展覧会でしたが、ここに和歌山県から富有柿、紀の川柿、平核柿、あんぽ柿、これらの展示会でPRを行うことができまして、現地から好評を得てきたというふうに思ってございます。
 来場者の評判は、おおむね次のとおりでした。橋本市の平核柿に関しては、種がなくて甘くて食べやすい、おいしい、こういう評価。かつらぎ町の紀の川柿は、中が黒いので見た目は余り見なれていないということだったんですが、とても甘くておいしい、こういう評価。九度山町の富有柿、これは、どうしてこんなに甘い柿ができるのですか、こういう評価をいただいております。中国の柿は、小ぶりでやわらかい柿しかないので、富有柿のように甘くてかたい柿はありません。和歌山県産のこれらの柿はとても評判になり、ブースに訪れた人から「どうして中国国内で購入することができないのですか」、「中国国内で販売してくれたら購入する意思はあります」などの意見をいただき、今後の輸入──中国からすれば輸入ですが──解禁になることへの期待の言葉を聞くことができました。
 過去に和歌山県産の柿を食べたことのある人も含めて、柿の評価をあわせて来場者に聞きました。和歌山県産の柿は甘くておいしい、歯応えがとてもよい、中国の柿と食感が違っていてとてもおいしいものです、こういう意見もあわせていただいております。和歌山県産の柿の展示に関しては、私たちのブース、列は絶えることがなく、当初予想していた以上の手応えを感じ取ることができました。この品質の高い和歌山ブランドの柿を近い将来、中国市場で販売し、評価を得られることを期待しております。
 会場内では、関係者の方からですが、「以前は和歌山県産の果実のPRは熱心だったけれど、最近はPRの機会が少なかったように思っていたので、今回の参加をとても歓迎しています」、こういう意見も聞かしていただいたように、継続した関係こそ信頼であり、将来の輸出開始につながるものだと感じた次第です。
 帰国後、11月、中国・遼寧省経済貿易訪日代表団が和歌山県を訪ねてくれました。遼寧省対外貿易経済合作庁、王庁長以下5名の方々、この訪問団は、私たちが訪問団を結成して展覧会に出展したこと、そして、日中首脳会談を受けて中国政府から地方政府に対して日中経済交流についてブロックが緩和されたことによって今回来県していただいたというふうに聞いてございます。そのとき王庁長からは、「和歌山県産の柿はとてもすばらしい。遼寧省としては中国国内の検疫の緩和について努力をいたします」、こういう話をいただきました。
 このように、事態は進展への兆しを感じられるようなこともなってきましたが、中国に向けての、中国の果実輸出に向けた協議開始に関して政府への働きかけを今まで以上に行ってほしいと期待しているところですが、農林水産部長からその取り組みについてお聞かせをいただきたいと思います。
○議長(坂本 登君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 議員の視察報告にもありましたように、中国では経済発展により富裕層が増加しており、輸出相手国として魅力的な市場であると認識しています。
 中国への果実輸出に向けた協議につきましては、平成16年度に日本政府から輸出解禁申請に必要な資料を提出しておりますが、現在も中国政府から具体的な検疫条件等の回答が得られていない状況にあります。そのため、県では、これまでも柿、桃、ミカンについて、植物検疫条件の早期合意に向けた中国政府との協議の開始について日本政府に粘り強く要望してきたところであり、今後も引き続き強力に働きかけを行ってまいります。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 日本政府から中国に対して輸出解禁要請、これを平成16年に柿の場合はしておりますが、9年以上回答がないということでございます。和歌山県からも、今、部長が答弁していただきましたように、植物検疫条件を早期に引き出して合意すること、これは継続して要望を続けてもらってるわけですが、いまだ進展がないということであります。今回の展覧会とかで成果を持ち帰りまして報告書も上げさせてもらっておりますが、ぜひこういったことも含めて、継続して強く要請をいただきたいと思います。
 来週16日から19日にかけて、今回は山東省ですね、和歌山県交流協議団、この7名の方々が和歌山県に来てくれる、こういうことを聞いてございます。今回の目的は、果実ではないんですが、和歌山市内でPET検査を受ける、それと和歌山城や和歌山マリーナシティ、こういったところを視察していただきまして、いわゆる医療観光、観光医療、そういったことの目的で来県してくれるというふうに聞いてございます。これも同省との今までの交流の成果であると思っておりますし、PET検査に関しては、今回の展覧会において私たち訪問団が和歌山県産の柿とともに強くPRをしてきたものですから、本県への来県を来週強く歓迎をしたいと思っておりますし、このような関係を今後築いていくことがこういった解禁につながっていくのかなというふうに思ってございます。
 そこで、中国へは検疫の関係から果実の輸出は今の状況では難しい、このように認識しておりますが、国内需要が伸び悩む中、海外への販路拡大は重要なテーマであり、取り組みだというふうに考えております。政府間協議を開始しないことには、当面、果実を中国に輸出することは困難だということですが、それであれば、中国市場だけではなく、より広い視点でほかの手段を考えることはできませんでしょうか。和歌山県として、中国市場を含め、農産物の輸出促進に向けた販路拡大の取り組みについて、農林水産部長からお聞かせください。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 少子高齢化など国内市場が縮小していく中で本県農業が目指すべき方向の1つは、将来を見据えた海外への積極的な販路開拓であります。9月議会で申し上げましたように、ミカン、柿、桃など、本県特産品の果実類は中国本土に輸出できません。しかし、アジアのショーウインドーと言われる香港へは輸出が可能であり、昨年の香港貿易発展局との覚書、MOU締結以降、国際見本市への出展や現地有力バイヤーの招聘など、中国市場も視野に入れて香港への取り組みを強化しているところです。
 また、県では、アジアのみならず、より広い観点でビジネスマッチングを進めております。本年8月には、ジェトロと連携してバイヤーを招聘し、県内から20社を超える事業者がEU、ブラジル、タイといった海外のバイヤーと商談を行いました。
 今後も、台湾、東南アジアなどでの果物の販売促進活動とともに、グローバルな商談機会を県内事業者の皆様に積極的に提供することで、おいしく、安全・安心な県産品の海外販路開拓を一層進めてまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今回の訪問団に関しましては、井出議員を最高顧問として展覧会に出展し、広く交流を深めていたところでございます。遼寧省からは来年以降もぜひ広げていただきたいという要請もいただいておりますんで、可能な限り協力していきたいと思いますんで、よろしくお願いしたいと申し上げます。
 続きまして、紀の国わかやま国体総合優勝に向けた取り組みに関して質問をさしていただきます。
 長崎国体を終えました。選手の皆様方は郷土の誇りをかけて頑張ってくれた結果、総合成績は15位と健闘してくれました。この頑張りを誇りに思っております。ただ、目標としていた14位には届きませんでしたが、その課題も見えたはずです。これまでも競技力向上のための施策を行っているところでありますが、順調に順位を上げ、紀の国わかやま国体では総合優勝を果たしてくれるものと信じておりますが、そのためにすべきこともあろうかというふうに思います。
 長崎国体で好成績を上げた種目はセーリングやなぎなた、自転車競技などでありますが、紀の国わかやま国体でも、これらの競技にはリード役として期待をしているところです。
 今回優勝したこれらの競技、それから選手の皆さんは、地元開催での国体ということで相当のプレッシャーを感じながら、この1年間の活動、強化を進めることと思いますので、県としてこれらの選手の皆さんを十分に支援していただきたいというふうに思います。
 そこで、国体推進監に質問をさしていただきます。
 長崎国体では総合15位、こういう結果でしたが、これをどう評価しているのでしょうか。また、今後の競技力向上のためにできる取り組み、これをどう考えているのでしょうか。例えば、今回の長崎国体で好成績を上げたセーリング、なぎなた、自転車競技に関してはどのような取り組みをしていたか。こういうことも優勝への課題として分析できるのではないかというふうに思いますし、引き続いての強化を期待したいところですが、これらの好成績を上げた競技の成果を含め、特筆すべきことがありましたらお聞かせいただけたらと思います。
○議長(坂本 登君) 国体推進監若宮茂樹君。
  〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) 長崎国体においては、目標順位の14位には届かなかったものの、昨年の東京国体18位から15位に順位を3つ上げることができました。特に、医科学サポートが功を奏したセーリング競技、トップコーチの指導が成果を上げたなぎなた競技、数多くの強化合宿や遠征を行った自転車競技が競技別の総合優勝をするなど、十分に実力を発揮し、本県選手団を牽引してくれました。
 一方、国体の独特な雰囲気の中で、実力、実績があるにもかかわらず、本来の力を発揮できず、得点を獲得できなかった競技もあり、総合得点の伸び悩みにつながってしまいました。紀の国わかやま国体男女総合優勝に向けては、長崎国体で好成績をおさめた競技をさらに支援し、確実に得点を獲得するとともに、競技別の総合優勝やチーム及び個人種目の入賞が数多くできるよう、全競技の競技力の底上げを図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今答弁いただきましたように、好成績を上げた競技の中には、医科学サポート、これが功を奏したというふうな競技もあるということをお聞かせいただきました。これは、公立大学法人和歌山県立医科大学みらい医療推進センターげんき開発研究所、ここを活用しているというふうに選手団からも聞いております。例えば、医学的なデータに基づくトレーニングメニューの研究、開発を行ってくれるので、選手にとっては課題の克服と技術向上、こういったものに資していると、こういうふうに聞いてございます。この施設を十分に活用して技術の向上を図っている選手もありますから、この施設を有効に利用することも大切なことだというふうに思います。国体に向けて競技力の向上を図るためにも、このセンターの活用を図っていただきたいと思うわけですが、2問目でございます。
 セーリングチームは、このみらい医療推進センターを活用してトレーニング、あるいは国内、国外の遠征のときなどにアドバイスをいただいてるというふうに聞いてございます。ほかの競技でも活用を図ることで競技力の向上につながることだというふうに思いますが、紀の国わかやま国体総合優勝に向けてさらに連携、活用を図るべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。国体推進監にお答え願います。
○議長(坂本 登君) 国体推進監。
  〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) 医科学面からの選手サポートは、競技力の向上の側面的支援として非常に有効であると認識しており、男女総合優勝に向けた取り組みの柱の1つとして、トレーナー派遣や医科学チェック、ドーピング防止など、関係団体と連携して積極的に進めているところです。
 議員御指摘のみらい医療推進センターげんき開発研究所は、トレーニング指導や映像、メンタルサポート、メディカルチェック等、医科学サポートも非常に充実しており、既に競技選手が活用しているところですが、紀の国わかやま国体男女総合優勝に向けては、さらに多くの競技団体が活用するよう取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今答弁いただきましたこの研究所は、障害者スポーツにもかなり力を入れてまして、あわせて紀の国わかやま大会、こちらの選手も活用していただくことで効果があるのかなというふうに思います。
 国体に関しましては、先ほどの午前中の先輩議員でも質問がありましたように、県民の皆さんから、国体は来年ですから、ぜひ県議会で活発な議論をしてほしいという意見も届いております。しっかりと応援していきたいと思いますんで、あわせてよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、第3問目、空き家対策について質問をさしていただきます。
 今さら言うまでもなく、我が国の人口はピークを過ぎており減少に向かう、これは確かな未来として予測されているところです。経済は成長期から成熟期に入っていることから、社会構造をこの経済規模等に合わせて転換させる必要があるのかなというふうに思います。人口が減少しているにもかかわらず住宅着工数は伸びていて、それに関連するように空き家はふえている、こういう状況になっております。管理されないで放置される空き家がふえることになりますから、建物の老朽化、破損による危険性の拡大、雑草や樹木が茂ることへの迷惑な環境、まちや周辺の景観に支障が生じる、あるいはこういったことで地域全体の治安悪化につながる、こんな問題が発生しておりますし、今後ふえていくんではないかなと危惧しているところであります。
 空き家は、全国的に見ると、平成25年の住宅・土地統計調査のデータによりますと、空き家は約820万戸、空き家率にすると約13%となっております。実に8軒に1軒程度が空き家だということになります。同じく、このデータによりますと、和歌山県の空き家率は約18.1%ですから、約5軒に1軒が空き家だということになります。
 価値総合研究所が実施したアンケートがあります。空き家所有者、空き家利用意向者アンケート、こういったものですが、これによりますと、空き家のうち売却や賃貸などを検討している人は24%、71%の人は特段の活用は何も考えていない、こういうことになっております。空き家を所有しているだけで管理もしていない人、これが12.8%いる。こういった放置された空き家が地域の問題になっております。また、一戸建ての住宅が空き家になっている、この比率ですが、82.4%もあり、空き家の所在地は市街地や市街地周辺が59.8%、こういったデータが出ております。
 空き家が管理できない理由について、これは国交省近畿地方整備局が調査したデータ、住環境整備方策調査業務報告書2012年3月、これによりますと、所有者が遠方居住により定期的な管理ができていないことが52.6%、これが一番多い理由になっております。次いで居住者の死亡や相続人の不在によるものが50.7%、3番目は、居住者が補修や解体費用を負担できないなどの経済的理由、これが34%、次いで、ほかの地域へ住みかえしたこと、子供宅や高齢者施設への住みかえをしていることが31.2%になっております。つまり、空き家の近くに所有者や相続人がいないことが問題になりますから、勧告や命令をしても遠方にいるとなかなか届かないため空き家対応ができていないことや経済的な理由、こういったものが支障になってこようかというふうに思います。
 同データでは、空き家発生に伴う問題、これも取り上げておりまして、空き家敷地内での雑草が繁殖すること、樹木の越境の問題、これが42.8%、現在問題は発生していないが事故が発生する懸念、これが36.3%となっています。ここでいう事故が発生する懸念というのは、空き家の倒壊事故、放火による延焼、不審者侵入や不法滞在、ごみの放置による異臭や害虫の発生、空き家周辺の良好な住環境が保たれないこと、こういったことが問題だということであります。つまり、空き家が増加するという問題は、都市環境の悪化や犯罪の温床になるなど、インフラ整備、ごみ収集、行政サービスの効率を悪化させるなど、こういった側面があろうかというふうに思います。
 全国的に問題になっている空き家ですが、和歌山県の場合は全国でも空き家率が高い県となりますから、取り組みが必要だと思います。そのため、和歌山県では、空き家問題にいち早く対応するため、通称・景観支障防止条例、これを制定し対応してくれていることは周知のところであります。建物が廃墟となり景観に支障が生じる場合、周辺住民の方から要請に基づいて除去するなどの措置を可能にした条例──知事は、要請に基づいた対応の必要があると判断した場合は、手続を経て空き家の除去等、勧告や命令を行うことができる、こういう条例になっております。
 一方、和歌山市では、和歌山市空き家等の適正管理に関する条例が制定されております。これは、和歌山市内において適正に管理されていない空き家を発見した人からの情報を受け、所有者に指導や勧告、命令を行うことができる、こういう条例であります。この条例においては、空き家の所有者は当該住宅等について管理を適正に行い、当該住宅が危険な状態の空き家等にならないようにしなければならないと、所有者の責任を規定しております。
 また、空き家の除去に関する補助制度として、国庫補助の対象となる不良住宅、これに該当する空き家の除去費用の3分の2、ただし上限は60万円ですが、これが受けられることになっております。和歌山県条例の場合、周辺住民の総数の3分の1以上の共同申請が必要であるのに対し、和歌山市条例は1人からの要請に対してでも対応できる、このような姿になっております。より空き家に対応するために住民の方々の手続が容易になっているので、和歌山県としては和歌山市のこの条例に関して市と連携することで成果があらわれるのではないかと思います。
 一方、国では、空家等対策の推進に関する特別措置法、この1条で、適切な管理が行われていない空き家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命、身体、財産の保護、生活環境の保全、空き家等の活用のための対応が必要としているように、いよいよ本格的に空き家対策を推進しようとしております。この特別措置法では、市町村による空き家等の対策、この計画の策定と協議会の設置、空き家の所有者への調査、データベースの整備などを行うことを示唆しております。県は、市町村に対し、技術的な助言、市町村相互間の連絡調整、こういったものに必要な援助をするようにここでは示されております。
 空き家問題がクローズアップされてから和歌山市内で現地を幾つか訪問をしたところ、「道路に面していない狭い土地なので買い手がつかず売買もできないと思いますし、駐車場にするには狭いと思います」、こういう意見、あるいは「月に1回はこの家に戻り、清掃や風通しをしていますが、仕事があるので──この方は東京で仕事をしているんですが──最近は忙しくて、毎月和歌山市に戻ってくることができなくなりました。処分をしたいのですが、中古物件は売買が難しいと感じています」、こういう意見を聞くことができました。空き家に注目して市内を歩いてみると、意外と、中心市街地もそうですが、住宅地も多く見られ、その多くはどこにいるのかわからないと、こういうふうな声も聞かれております。
 そこで、知事にお伺いをさしていただきます。
 空き家に関しては、和歌山市も条例をつくって強力に取り組もうとしておりますから、県としても連携して対応をしていただきたいと思います。これまで、和歌山市との連携や空き家への勧告、命令、こういった状況はどうなってますでしょうか。また、次年度に向けた和歌山市の空き家対策の補助戸数の拡大や支援方策などに関して、和歌山市との連携強化はどのようなお考えでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県の空き家率は全国的に見ても非常に高く、その対策としては、都市計画の観点からいえば、都市の外縁的拡大をこの辺でとめて、中心部などの再活性化を図っていく中で空き家の活用、再生、更新といった総合的な取り組みが必要であると思います。
 廃墟となった空き家対策としては、県は平成24年1月に景観支障防止条例を、市は平成25年4月に和歌山市空家等の適正管理に関する条例を施行したところであります。県と市の条例では、例えば空き家対策の対象は、県は景観上の支障があるもの、市は危険な状態にあるものと異なっている部分もあるものの、住民の方から相談があった場合には必要に応じて県市がそれぞれ現地を確認するなど、条例の適切な運用がなされるよう情報共有を図りながら対応してきたところであります。
 しかしながら、現時点では、和歌山市内において250件程度の相談はいただいたんでございますが、勧告、命令した案件はまだございません。引き続き、県市連携して廃墟となった空き家の除去対策に取り組んでまいりたいと思います。
 また、景観支障防止条例を県でつくったときに、これは県でやるので、市としては補助を出してでも目に余る空き家は除去したらいいんじゃないかというようなことを事務当局を経由して提案をさせていただいたことがあるんですが、現在では、国土交通省所管の空き家再生等推進事業を活用して、和歌山市が不良空き家の除去に対する補助事業を実施しております。こうした空き家除去の補助戸数の拡大については市が判断すべきことと考えますけれども、県としては、必要な国費の確保など、可能な限り市に対しては協力してまいりたいと思います。
 さらに、今般公布されました空家等対策の推進に関する特別措置法を踏まえて、県としてもさらなる空き家対策を検討していくとともに、今後、法に基づき国から示される指針等を踏まえて、和歌山市を初め各市町村と連携を深めていきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今お答えいただきましたように、和歌山市内においては相談が250件程度ということになります。僕も幾つかちょっとかかわらしていただくんですが、ほんまに対応する難しさというのは感じているところであります。
 そうした中で、和歌山市に関して、市民の方から市役所に空き家があるんで何とか対応してほしいという問い合わせをして、職員さんが現地に来てくれると。そしたら、いわゆる空き家が危険なので見に来てほしいという依頼をしたら、本当に見に来るだけということで、見に来て帰ってそのままというふうなことが、実は何人かの方から聞かされております。これはしっかりと県も、その辺、サポートしてもらえないだろうかという意見も出ておりますんで、市民の皆さんに不安を感じさせないように、不安を緩和するように早期の対応を望みたいと思います。
 そこで、空き家のうち売却も賃貸もできない、つまり収益性の低い土地に建設されている家屋が空き家になっていると思います。そのため、これらの収益性が見込めない空き家に、相続人など空き家の取り壊しを求めても実際は難しいんではないかというふうに思います。また、商業地内の空き家と住宅地内の空き家では、対応、対策が違ってくると思います。商業地であれば、近隣の事業者が買い取ること、買い支えることや、リノベーションによって再利用が可能な場所もありますが、住宅地の場合は再生や活用は難しいというふうに思います。裏通りの住宅や駐車スペースの確保できない狭隘な土地であれば、取り壊しても買い手がつかないので対応が難しいのではないかというふうに思います。
 このように、地域別あるいは住宅の形態に応じた対策も必要だと思いますので、検討することはありませんでしょうか。県土整備部長からお答えください。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 先ほど知事が説明しましたとおり、町なかの再活性化を図るためには、総合的な観点から空き家の活用、再生、更新を検討することが不可欠であり、町なかが空洞化、廃墟化するプロセスを断ち切るという方針のもと、劣化してない空き家はどんどん使う、劣化した空き家は再生してよりよく使う、再利用が見込めない空き家については更新して新しく使うなど、地域の特性や住宅の形態に応じた対応が肝要であると考えております。
 また、今般、空家等対策の推進に関する特別措置法が国会で成立しました。この法律によると、空き家対策を総合的かつ計画的に実施するために、市町村は空き家等対策計画を定めることができるとされております。県としましては、市町村の策定するこの計画が商業地や住宅地といった地域の特性や住宅の老朽化の程度に応じたものになるよう、また行政と民間が連携して空き家対策に総合的に取り組むことのできるよう、市町村に対し、情報提供や技術的な助言を行ってまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 この空き家対策に関しては、和歌山県や和歌山市では、条例化して危険な空き家への対応、環境への対応をしているところでありますが、さらに強力にこの空き家対策、空き家を減少させるためには、固定資産税をさわる必要、この必要性があると思って何人かと議論していたことがあります。現在、空き家を放置しておくと、壊れかけている家屋であっても壊さないでいると、その土地は宅地扱いということになりまして、更地にするよりも固定資産税が軽減されている、このような状況になっております。ですから、高い解体費用を出して、その結果、さらに固定資産税も高くなってしまう、これをよしと思う人は少ないと思います。この固定資産税の制度も、空き家が増加している原因の1つかと思います。
 このほど、部長から答弁いただきましたように、空家等対策の推進に関する特別措置法、これが成立し、危険な空き家を放置している場合、固定資産税の優遇措置から除外することを検討し始めました。現行制度では、住宅が立つ土地の固定資産税は、敷地が200平米以下の場合は6分の1に減額されています。多くの場合は、空き家になってもこの減額は変わりません。しかし、解体して更地にしてしまうと税率がもとに戻るため、所有者が老朽住宅を放置する原因になっています。そこで、特定空き家への優遇税制を打ち切ることで空き家の取り壊しや土地の転売などを促進させ、危険な空き家を減少させよう、こういう考え方であります。
 和歌山県では景観に支障がある空き家対策を、和歌山市では危険な空き家対策を条例を定めて対応しているところでありますが、税制の問題は触れることができないため、今回、国の具体的な動きに注目したいというふうに思います。今後のスケジュールは、平成27年2月末までに基本指針を、5月までにガイドラインを策定する予定になっているようですが、県としてこの動きに即座に対応してほしいと思います。
 そこで、空き家対策としての固定資産税の優遇措置の除外は空き家対策として有効だと思いますが、特定の空き家に対する優遇措置の廃止についてはどう考えますか。この点については、総務部長からお答えください。
○議長(坂本 登君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 空き家の除却が進まない要因は幾つか考えられますが、その1つとして固定資産税の住宅用地特例が指摘されていることは議員御指摘のとおりでございます。そこで、本年6月に行いました政府提案におきまして、空き家の撤去の阻害要因とならないように、一定の空き家について固定資産税の住宅用地特例を適用除外とする制度を創設すること、こういった提言をしてまいりました。
 先般成立しました空家等対策の推進に関する特別措置法の15条第2項では、対策の適切かつ円滑な実施に資するため必要な税制上の措置を講ずるというふうに規定されているところでございます。今後、国においてこの取り扱いの議論がなされる見込みであります。県といたしましては、本県の提案が実現されますように引き続き働きかけてまいりたいというふうに考えております。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁をいただきました。
 各市内、各地で、いろいろ皆さん方を訪問すると、最近いろんな課題を話をした中で、必ず質問が出るのがこの空き家ということになりまして、これが地域にとって深刻な問題であるということを実は気づいたところで、今回取り上げさしてもらったところであります。
 税制と法律、この2つを変えることによってこういった問題が解決に向かうと思いますし、県では条例をつくって定めて対応してくれているところであります。ぜひ、税制の改正とともに、条例をうまく活用していただきまして、また、和歌山市との連携をとっていただきまして空き家対策をより推進していただくことをお願い申し上げまして、一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

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