平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。
 質問に先立ちまして、一言申し上げたいと思います。
 今定例会一般質問冒頭に、各会派、また各議員から知事に対しましてお祝いの言葉が述べられております。私も、応援演説をさせていただいた県議の1人として、ともに喜び、心からお祝いを申し上げたいと思います。知事、3選、どうもおめでとうございました。これからは、健康には十分御留意をされまして、県勢発展のため、さらなる御活躍を期待するものであります。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので一般質問をさせていただきたいと思います。
 なお、今回24回目の一般質問、少し長いです。大変申しわけないんですが、しばらくの間おつき合いのほど、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 紀の国わかやま国体・わかやま大会を契機とした地域活性化についてお伺いをいたします。
 今月2日、衆議院議員総選挙が公示され、各政党が公約を掲げ、安倍政権の経済政策・アベノミクスを最大の争点に総選挙を繰り広げております。自由民主党は、政権公約として「景気回復、この道しかない」をスローガンに掲げた上で、安倍政権の経済政策・アベノミクスを推進するとともに、財政健全化目標を堅持して経済再生と財政再建を両立するとしております。
 その中で、安倍首相が重要視いたします地方創生につきましては、地方創生特区の早期の指定に加え、企業の地方移転を後押しするとともに、地方公共団体向けの自由度の高い交付金の創設や地域商品券発行を支援する交付金を設けるとしております。
 一方、本県におきましても、いよいよ来年、第70回目となる国民体育大会、紀の国わかやま国体が、「躍動と歓喜、そして絆」というものをスローガンに9月26日から11日間、また、第15回目となります全国障害者スポーツ大会、紀の国わかやま大会が10月24日から3日間にわたり開催をされます。
 国体は、広く国民の間にスポーツを普及し、スポーツ精神を高揚して国民の健康増進と体力向上を図り、あわせて地方スポーツの振興と地方文化の発展に寄与するとともに国民生活を明るく豊かにすることであり、わかやま大会は、障害のある選手が競技等を通じ、スポーツの楽しさを体験するとともに人々の障害に対する理解を深め、障害者の社会参加を促進することであります。
 ただ、他方では、国体等の開催により全国から多くの選手やその家族、指導者、競技役員などが来県されるわけであります。その機会をチャンスと捉え、一過性にすることなく、おもてなしの精神で和歌山県の観光、産業の活性化を図っていくべきではないでしょうか。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 和歌山を元気にするため、紀の国わかやま国体・わかやま大会を契機としてどのように観光や産業の活性化を図っていかれるのか、知事の御所見をお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、紀の国わかやま国体・わかやま大会は、全国から選手団、応援団、観客といった多くの方々が来県されることから、本県の魅力を発信する絶好の機会であります。しからば、観光、産業の活性化にぜひつなげていかなきゃいけない、そういうふうに思っております。
 国体開催に合わせて整備している道路等を活用して地域の利便性と価値を向上させ、発展の礎にしていくということはもちろんのことでございますが、県民総参加のおもてなしによって応援、観戦等で訪れた方々に好印象を持ってもらって和歌山のファンになってもらわなければならないと思います。
 そのため、本県では、タクシードライバーやJR駅職員、宿泊施設などの第一線で観光客に接する関係者の接遇能力の向上を図るための研修を随分やってまいりました。それから、公衆トイレの快適性向上とか美化促進を図るための和歌山おもてなしトイレ大作戦等のソフト・ハード両面でのおもてなしを現在推進してるところでございます。
 国体で訪問された方が、きれいな景色を見て、ああ、ここはまた来たいなあと思ってもらったり、あるいはお土産を買いに行かれるときにいいものを発見していただいたり、あるいはそういう競技場近くの町の方と仲よくなってもらって、なかなかいい思い出があったなというふうに思って帰っていただいた上で、さらにそうやっていい思い出を持っていただきますと、真田丸とかパンダとかエルトゥールル号とか、我々プロモーションをこれからがんがんやるんですが、そういうときにそれをまた見て、ああ、そうだったなあというふうに思ってもらえる可能性も高くなってまいると思います。
 また、それぞれの選手の地元でお買い物をされるときに、いい和歌山製品を提供しておきますと、これまた、ああ、あの和歌山であったなというような、そういう気持ちを持ってもらって購買も進むということになるんじゃないかというふうに思います。そういうふうにファンをふやすことが地域を元気にすることになるんで、県民の皆さんに働きかけて、全員で取り組んでいく必要があると思っております。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま知事から御答弁をいただきました。私も、紀の国わかやま国体・わかやま大会を契機として、来県される皆さん方に好印象を持っていただき、今、知事の御答弁にもありましたが、翌年の真田丸で再度和歌山に御来県をいただいたり、県産品を購入いただけるように、知事は和歌山のファンという言葉をお使いいただきましたが、全くそのとおりであるというふうに思います。そのような形になっていただいて、何度も和歌山においでをいただくということが非常に大切ではないかと思います。
 そんな中で、私から、この場で幾つかの提案をさせていただきたいと思います。
 まず、観光マップであります。この観光マップを作成してはいかがでしょうかという提案であります。
 私は、ことし、長崎国体アーチェリー競技を見に長崎に参りました。そのときに、こういう長崎県バリアフリー観光マップというマップが置かれてありました。撮ってください。(資料を示す)実はこの中には、飲食店等そんなものだけではなくて、例えば、バリアフリーのトイレがどこにあるかとか、そして、パーキングはどこにあるとか、ここは車椅子がオーケーだと、AEDはここにありますよというのが全て載ってるんですね。私は、向こうで行動するのに非常に便利だし、これはいいなあというふうに思いました。
 このようなことで、観光地や飲食店、駐車場、バリアフリートイレ、授乳室、おむつ交換台、スロープ設置、ベビーカー貸し出し、車椅子対応エレベーター、AEDなどを表示したこのような観光マップを作成すれば、宿泊客がホテルのフロント等で観光地や飲食店、お土産物店などを聞いたときに、素早く対応ができると思います。また、障害のある方が来県する際に必要な情報を入手しておけば、安心・安全につながるものと考えます。
 既に県内では和歌山市のラーメンマップや湯浅町マップなどがあり、その作成ノウハウやバリアフリートイレ等の情報を活用すれば、このようなすばらしい和歌山独自のマップができるのではないでしょうか。そのように思います。
 次に、国体・わかやま大会の開催期間中における駅前の活性化について御提案をさしていただきたいと思います。
 和歌山駅や市駅、田辺駅、那智勝浦駅などの駅前では、大体午後の9時過ぎぐらいになりますとお土産物店等に明かりがなく、閉まっており、来県者にとっては、和歌山県にまた家族や友人と観光に来ようという気になかなかならないんではないかなというふうに思います。
 そこで、例えば国体等の開催期間中だけでも、和歌山駅の改札横のきいちゃんショップがあるお土産物のエリアや近鉄百貨店の地下1階の食料品エリアなどを午後10時ぐらいまで延長して営業していただく、このようなことはできないでありましょうか。
 また、多くの飲食店が連携し、地域商品券のようなものを発行する、いわゆるバル事業というものを企画してはいかがでしょうか。
 これらの取り組みは県だけではできるものではなく、県や市町村、関係団体、商店街組合などが連携する必要があります。県がリーダーシップを発揮して実施することにより、そのノウハウが培われ、一過性に終わることなく地域の活性化につながるものと考えますが、商工観光労働部長の御所見をお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 紀の国わかやま国体・わかやま大会を契機とした観光や産業の取り組みにおける議員御提案の事項に関してでございますが、まず観光マップの作成につきましては、議員御指摘のとおり、観光地だけでなく飲食店や施設のバリアフリー情報などが網羅された冊子は、両大会での来県者にとって大変利便性が高いと理解しています。
 両大会開催のビッグチャンスを生かし、観光の促進や消費の拡大につなげるために、当該冊子の作成に向け、県が主導して市町村、商工会などの関係団体とともに作成してまいります。
 次に、商業施設等における営業時間の延長やバルの開催についてでございます。
 両大会の開催期間中は県外から多くの方の来県が期待されることから、県内商店にとっても大きな商機となります。このチャンスを生かすため、各商店ではお客様が来店しやすくなるような工夫が必要であることから、県では、これまでも担当者が県内各地の商店街を頻繁に訪問し、観光客に楽しんでもらえる事業計画や両大会の開催に合わせたおもてなしの取り組みについて提案してきたところです。
 その結果、一部の商店街では、期間中の営業時間の延長や定休日の振りかえを検討するなど、お客様を温かくお迎えする機運が高まってきているところです。今後は、県外から来られるお客様をもてなす取り組みとして、JR和歌山駅前の大型商業施設等への営業時間の延長や和歌山市などで開かれているバルについても、両大会に合わせた開催となるよう関係者等に働きかけてまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁ありがとうございました。地域創生はアベノミクスの一丁目一番地であり、安倍首相も企業の地方移転を後押しするとともに、地方公共団体向けの自由度の高い交付金の創設や地域商品券発行を支援する交付金を設けるとしており、地方が知恵を絞り、汗をかいて地方活性化に取り組むことが重要であります。
 この両大会を契機として、参加する選手やその家族、指導者、競技役員が和歌山のファンになってもらえるようなおもてなしができるよう、取り組みを進めていただきますよう要望をさせていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 県内市町村における自治体クラウドの推進についてであります。
 日本創成会議・人口減少問題検討分科会が5月に発表いたしました2040年人口推計結果では、2010年からの30年間で若年女性が50%以上減少する市町村を消滅可能性自治体と位置づけ、将来的に消滅する可能性を指摘しております。全国で1800市区町村の半分近い896自治体が消滅のおそれがあるとされ、これまで漠然と危機が語られていたものが具体的な市町村名が出たことから、大変な反響を呼びました。県内では、30市町村のうち7割を超える23が消滅のおそれがあるとされたところであります。
 折しも地方自治法が改正され、人口減少社会の到来を踏まえ、市町村合併ではなく、市町村間の柔軟な連携や都道府県による補完など、新たな広域連携制度が創設されています。それにより市町村間が基本的な方針及び役割分担を定める協約を締結すれば、市町村間で連携して事務を処理することができます。こうした中で、今後、人口減少と高齢者人口比率の増加が進むことから、地方における行政サービスの提供の仕方について、市町村合併や一部事務組合の設立ではなく、連携協約という形態により事務の効率化、高度化に取り組む必要があると思います。
 そこで、県内市町村における自治体クラウドの推進についてお尋ねをいたします。
 クラウドとは、みずから情報システムを保有するのではなく、ネットワークを介して情報システムを利用し、災害対応力を強化したり業務の効率化を実現する仕組みのことでありますが、自治体クラウドはこの仕組みを自治体で適用するものであります。
 なぜ、今自治体クラウドが必要とされているかといいますと、まず、災害時のデータ保持対策として大変有効なことであります。皆様方も御存じのように、平成23年3月11日に発生をいたしました東日本大震災におきまして、沿岸部の自治体の庁舎が壊滅、損壊したことにより、自治体が保有していた住民データ等の貴重な情報が消滅するなどの被害が発生いたしました。
 本県におきましても、南海トラフの巨大地震等による災害が起きたときに、全てのデータが消失する市町村が出てくるかもしれません。しかし、クラウド化することによって、地盤がかたく、津波の心配もない安全な場所にデータを置き管理することができるからであります。
 また、各市町村では、個々にシステムの導入から運用まで一体で行っているため、システム開発や構築業務の負担とともに、運用に係る多額の経費や職員の確保等が大きな課題となっております。他方、予定されている社会保障と税番号制度の導入は、県内市町村が一斉に対応すべきものであることから、市町村の情報システムをクラウド化し、共同利用を一斉に推進できる絶好の機会であります。
 災害時の事業継続性の確保や自治体間の連携、業務システムの共同利用による効率化などを推進する観点から、自治体クラウドを県全体として推進するチャンスと考えますが、県内市町村における自治体クラウドの推進に係る具体的な取り組みについて企画部長にお尋ねをいたします。
○議長(坂本 登君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 自治体クラウド推進についての県の取り組みについてお答えさせていただきます。
 自治体クラウドは、災害時におけるデータ保全や市町村職員の業務負担の軽減、また、情報システムの共同利用によりコスト削減が3割程度見込まれるなど、その効果が期待されております。また、予定されている社会保障と税番号制度についても、システム改修等を独自に行う必要がないため、円滑な導入が可能とされております。
 こうしたことから、これまでも、県が中心となり30市町村が参加する和歌山県電子自治体推進協議会において、クラウドシステムの導入や共同利用についての勉強会を行うなど、自治体クラウドの実現に向け市町村に働きかけを行ってまいりました。
 来年1月以降、本協議会の主導のもと、有田市、御坊市、美浜町、由良町、印南町、上富田町の6市町による住民記録や税、福祉業務等を処理する基幹系クラウドシステムが、県内では初めて共同利用により運用を開始する運びとなってございます。
 このほか、県内の4市町において、クラウド化、共同化の協定を締結し、来年度の共同利用による運用開始に向けて取り組んでおるところでございます。今後とも、県内市町村の基幹系システムのさらなるクラウド化、共同利用を推進してまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 企画部長、答弁ありがとうございます。今回のように県がリーダーシップを発揮することにより、このクラウドシステムの導入や共同利用についての勉強会等を行うなど、自治体クラウドの実現に向け、県が市町村に働きかけを行った結果、大きな成果が生まれてきている、そのように解釈をしております。
 一方で、高度経済成長期以降に集中整備した水道、また下水道、道路、橋梁、トンネルなど、インフラの老朽化による維持管理、更新費の増大というものが見込まれます。こうしたことも踏まえ、人口減少と地域偏在が進めば、現在の行政サービスの維持が非常に難しくなるのではないかと考えます。
 行政サービスを維持していくためには行政の効率化が求められることから、県と市町村間、また、市町村間の連携が重要になってくると考えます。今後とも、県がリーダーシップを発揮され、新たな広域連携を推進していくことをこの場で要望さしていただきたいと思います。お願いいたします。
 次に、がん対策の推進について質問させていただきます。
 去る11月8日の「読売新聞」には、国立病院機構京都医療センターで抗がん剤治療などに携わる安井医師が、京都府綾部市の小学校において小学6年生100人を対象に、がんについての正しい知識を持ってもらうため、特別授業を行ったことが掲載されておりました。
 その中で、児童に「がんってどんなイメージ」と問いかけますと、「苦しい」、「死んでしまう病気」などなど次々に発言があり、安井医師が画像を示し、がん細胞が体のさまざまな部位にできることや、日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人ががんで亡くなっている実態を伝え、遺伝によるがんの割合は少ないことのほか、たばこを吸わない、野菜や果物をバランスよく食べるといった予防策や、それでも完全に防ぐことはできない、早い段階で見つけられれば治る可能性が高まると説明すると、児童らはうなずいていたと掲載されておりました。
 また、本県の平成25年度における死因別では、1位ががんで27%、2位が心疾患で18%、3位が肺炎で10%となっております。このことから、がんは県民全てにおいて身近な問題であり、予防や早期発見、早期治療等のがん対策が重要であると再認識したところであります。
 また、私が座長を務めさせていただき、各会派の委員の皆さん方に大変お世話になりました、その検討会において長い期間議論を重ね、議員提案をさせていただいた和歌山県がん対策推進条例、施行されてから今月28日で2年となります。
 そこで、今回は、がん対策のうち、予防、早期発見、また医療及び緩和ケアの3点についてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、がんの予防、早期発見についてであります。
 がんになる要因として、喫煙、過剰飲酒、運動不足、肥満、野菜・果物不足、食塩の過剰摂取、がんに関するウイルスへの感染等が挙げられております。禁煙や受動喫煙の防止、節度のある飲酒、バランスのよい食事、活発な身体活動、適正な体重管理、肝炎ウイルス検査、治療等に努めることががんの予防として重要であります。
 先ほど中村議員もおっしゃっておりましたが、私も遅まきながら禁煙に入りまして約1年と6カ月であります。正直、中村議員と同じような気持ちで、もっと早くから禁煙しておけばよかったなと今思っております。
 また、がんは、早期に発見し、有効な治療を受けることにより治癒する確率が高くなり、予後も良好となります。早期発見、早期治療を行うためには、県民一人一人が積極的に定期的ながん検診を受けることが何よりも大切であります。
 そこで、県として、がんの予防、早期発見についてどのように取り組まれているのか、また今後どのように推進していくのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) がんの予防につきましては、食生活や運動などの生活習慣を改善することが重要です。県では、紀の国わかやま1万人健康リレーウオークを全市町村で開催するとともに、今年度、健康推進員制度を創設し、県民の健康意識の向上や生活習慣の改善など、草の根的に県民総参加の健康づくりを目指しております。
 また、胃がん予防対策としてピロリ菌検査を開始するとともに、リレー・フォー・ライフ・ジャパン2014和歌山において、がん患者の方々とともに歩き、啓発を実施するイベントに参加したところです。
 次に、がんの早期発見でございますが、がん検診の受診率向上を目指し、今年度は、全市町村で、がん検診の個別勧奨として対象者全員に受診を呼びかける文書を送付しております。さらに、検診の精度を高めるため、デジタル撮影が可能な検診車への更新を進めるとともに、肺がん対策として議員から御提案のありました低線量肺がんCT検査を開始しております。
 今後は、健康推進員のさらなる育成や活動の充実、各種の啓発を通じてがんの予防や早期発見の取り組みを進めてまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁いただきました。部長、リレー・フォー・ライフの折には大変お世話になりました。ありがとうございました。
 それでは次に、がん医療についてお尋ねをいたしたいと思います。
 先般、連れ合い、いわゆる奥様をがんで亡くした方が経済的な理由でがんの高度治療を受けられない人たちに支援してほしいと県に多額の寄附をされたことを新聞で知り、私は、非常に感銘を受けるとともに、がん医療に取り組む重要性を再認識したところであります。
 また、去る11月29日の「産経新聞」には、「悪性リンパ腫に罹患していることが判明し、抗がん剤治療で治ったはずだったが、働き盛りの40歳男性が医師に告げられた言葉が『がんが全身に転移しています。余命は1年…』でありました。妻と3人の子供と暮らし、一番下の子はまだ5歳。『わが子の成長を見届けられないのか』と考えると、涙がこぼれた。しかし、先端の化学療法が効力を発揮し、医師も驚くほどの回復を遂げた。半年後には退院し、復職。それでも、以前と同じようには働けない。残業ができず収入は3割ほど減り、月約8万円の治療費や住宅ローンも重くのしかかった。悩んだ末、退職し、保険代理店を開業する道を選んだ。不安を抱えながら仕事に打ち込む日々。その中で深く感じている。『仕事は生きがいであり、人に必要とされている証しなんです』」と掲載されておりました。
 このように、がん治療と仕事を両立させることは非常に重要であり、がん治療の3大療法である手術療法、化学療法、放射線療法のうち、先ほど中村議員の質問にありました、体に負担の少ない放射線療法の中でも特に粒子線治療に取り組んでいくべきであると私も考えております。
 過去にも一般質問の場でこのことについては質問をさせていただきましたが、粒子線治療とは、電子より重い粒子である陽子、中性子、重粒子などを用いた放射線治療があり、体の深いところにあるがんをピンポイントに照射することから正常な細胞を傷つけにくいことや、仕事をしながら外来通院での治療が可能となるなど、生活の質を重視した体に優しい治療を提供するものであります。
 そのため、私は、以前から群馬大学重粒子線医学研究センターや九州国際重粒子線がん治療センター、いわゆるサガハイマットを視察するとともに、初期投資費用や運営経費、患者の負担額などの情報を収集し、県に対し、粒子線治療の導入を提案してきたところであります。
 また、がん医療に携わる人材育成については、がんに関する専門性を持った医師を初め専門看護師等を育成すること、これもまた大変重要なことであるとお聞きをしております。
 また、がん対策推進条例の第14条では、県は、がん患者が居住地域にかかわらず、等しくがんの状態に応じた適切かつ質の高い医療を受けることができるようにするため、粒子線治療のような高度で先進的ながん医療を実施する施設の整備や、がん医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師、その他看護師や技師などの医療従事者の育成及び確保などの施策を実施することを規定しております。
 そこで、がん治療と仕事の両立の観点から、施設の整備やそれに係る情報収集、また人材の育成など、がん医療の充実に資する取り組みについて、この1年でどのようなことを行ってきたのか、また今後どう取り組んでいかれるのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) がんの診療体制の整備につきましては、県がん診療連携拠点病院である県立医科大学附属病院に、本年3月、手術室や内視鏡治療室が増室され、より充実したがん医療を提供できる体制が強化されております。
 また、新宮市立医療センターでは、強度変調放射線治療対応のリニアックによる治療が開始されており、がんの状態に応じた質の高い医療を地域で受けることができる体制を整備しております。また、千葉県や群馬県などを訪問し、先進的な医療の情報収集に努めているところです。
 人材育成につきましては、今年度から県立医科大学大学院にがん看護専門看護師教育課程を開講するとともに、がん登録実務者研修会を開催しております。さらに、がんを体験した人やその家族に対するピアサポート研修や、各拠点病院等に設置している相談支援センターにおけるがん患者の就労に関する相談対応などの支援体制につきましても充実を図っております。
 県としましては、がん治療と仕事の両立の観点から、施設整備、人材育成、情報収集に引き続き取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次の質問に移ります。
 遺伝子治療や医療機器の開発に関しましては、日進月歩で技術が革新されております。特に粒子線治療の施設整備につきましては、建設中の施設を含め、陽子線治療施設は全国で14カ所であり、重粒子線治療施設も全国で8カ所と、全国的に粒子線治療施設の整備が進んできております。また、大阪府では陽子線と重粒子線の治療施設が、また京都府では陽子線治療施設がそれぞれ1カ所建設中であり、平成29年には治療を開始する予定となっております。
 そこで、私から1点提案をさせていただきたいと思います。
 去る平成25年2月議会において、過去、中村議員がホウ素中性子捕捉療法、いわゆるBNCTの研究支援について一般質問されておられます。中村議員は、今回、陽子線をという意見でありました。私は、少し違うわけでありますが、少し聞いていただきたいと思います。
 私は、BNCTの導入を検討してはいかがと問わせていただきたいと思います。BNCTとは、細胞選択的治療法と言われ、正常細胞には影響が少なく、がんを細胞単位で非侵襲的に死滅させることが可能な治療法であります。また、がん細胞に取り込まれやすいホウ素化合物をあらかじめがん患者に点滴などで投与し、がん細胞にホウ素化合物を集積させておきます。次に、このホウ素化合物に加速器から得られる中性子を照射いたします。これによりホウ素化合物と中性子が衝突し、核分裂によって生じる粒子線の一種、アルファ線によって内部からがん細胞を死滅させます。したがって、BNCTは、正常な細胞には影響が少なく、がん細胞のみを死滅させるがん治療法であります。
 これまでは、エネルギーが低く人体に影響のない中性子を得るには発生原子炉が必要でありましたが、加速器を用いた中性子源の開発が進められ、現実のものとなっております。また、民間のデータにより粒子線治療を比較いたしますと、治療施設コストでは、陽子線が約70億、重粒子線が約150億、BNCTが約30億円とBNCTが一番低く、施設規模も小さくて済みます。また、治療費でも、陽子線、重粒子線が約250万から300万、BNCTが約150万円とBNCTが一番低くなっております。このほかに、BNCTは、浸潤がんや再発がんにも効果があるとともに、1日で治療を終了するなど、陽子線や重粒子線よりメリットの多い治療方法であると聞いております。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 財政的なこともあるでしょうが、がんは県民全てにおいて身近な問題であり、死亡原因も1位であります。県として、BNCTの整備について今後積極的に御検討いただけないでしょうか。知事にお尋ねをいたします。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ホウ素中性子捕捉療法・BNCTについては、新たな放射線治療法として悪性脳腫瘍などの難治性のがんについて研究が進められております。さらに、御指摘のように、照射の回数が1回であることやがん細胞にだけ特異的に作用することから患者への負担も少なく、注目される治療法と聞いております。
 近年、加速器を使った病院設置型の新たなBNCTの機器が開発され、現在、東京都と福島県において治療施設が建設中であると聞いております。まだ治験の段階なんですけども、両施設で本格的な治験が開始される予定でありますので、医学的には十分な治療実績等が、あるいは治験実績と言ってもいいかもしれませんが、積み重ねられると期待しておりまして、引き続き治験の状況等を研究してまいりたいと思っております。
 こういう新しい技術については、よく注目して、タイミングを失することなく、見込みがあったら導入を速やかに検討したいと思っております。
 中村議員から先ほど御指摘がありましたが、実は重粒子線、陽子線については、南條学長の初期のころと、それから板倉学長の最後のあたりで2回、大検討をいたしました。1回目は残念ながら推進主体がなかなか乗ってくれなかったということがありまして、後者のほうは、残念ながらその推進主体が実はよそへ行ってしまって、それでちょっと採算が合いにくくなってしまっていた。ちょっとタイミングがうまくいかなくて、非常に私としては残念に思っておるんでございます。
 今回こういうような、ほかにもあるかもしれませんが、タイミングを失することなく頑張ってやっていきたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事、御答弁本当にありがとうございます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 粒子線治療は、大阪府や兵庫県へ行けば受けられるじゃないかと言われる声があるかもしれませんが、県民は県内で最先端の粒子線治療を受けることを期待していると私は思います。諸条件が整ってくればBNCT等の整備をぜひとも考えていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、緩和ケアについてであります。
 がん──その言葉は、ある日、不意に言い渡されます。耳にした瞬間、多くの人は死を初めて実感し、自分の命を改めて認識するようになるのであります。一般に、日ごろ冷静な人も2週間は別人になり、その期間を魔の2週間と呼ばれるそうであります。
 魔の2週間には、1、慌てない、2、悲観し過ぎない、3、情報を集め過ぎない、4、病院を変え過ぎない、5、怪しい話には惑わされないことが大切であると言われており、家族や医師、看護師などのケアが重要であると言われていますが、しかし、実際果たして自分がその宣告を受けた日、冷静に対処できるものなのでありましょうか。
 また、以前視察した静岡県立静岡がんセンターでは、患者に対するわかりやすい説明やセカンドオピニオンへの対応等、患者参加型医療の推進に努めておられ、完治が見込めない患者に対しましては、まず社会復帰を目指し、さらに状態が悪化した終末期の患者さんにつきましては緩和ケア病棟の利用や在宅医療を支援し、充実した緩和医療を提供する体制を整備しておられます。
 がん対策推進条例の第16条では、県は、がん告知の段階から行う緩和ケアの充実を図るため、緩和ケア病棟等の整備や専門的な知識及び技能を有する医療従事者の育成などの施策を実施することと規定をしております。がん患者やその家族が直面する痛みなどの身体的問題や、また心理的、社会的問題に対し、的確な対応を行うことが何よりも重要であります。緩和ケアの充実にこの1年でどのようなことを行ってこられたのか、また今後どう取り組んでいかれるのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 緩和ケアにつきましては、がん患者やその家族が可能な限り質の高い療養生活を送れるようにするため、がんと診断されたときから、患者の状況に応じ、身体的な苦痛だけでなく精神、心理的な苦痛の軽減を図る全人的な緩和ケアの提供体制を整備することが重要と認識しております。
 県といたしましては、がん診療連携拠点病院を中心に緩和ケアチームの充実を図るとともに、医療従事者の緩和ケアの基本的な習得を目的に研修会を平成20年度から開催し、平成25年度は271名に修了証書を交付しております。
 また、がん診療連携拠点病院の臨床研修医等についても、緩和ケア研修の受講が求められているため、医師を対象とした緩和ケア研修会を開催いたします。
 今後は、薬物療法など患者の状態に応じてその疼痛を和らげる人材の育成を図り、緩和ケアの充実に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁いただきました。
 私の支援者や親類、友人、知人など私の周りでは、がんになったという方が本当に多いです。がんの治療方法や医療機器は日進月歩で技術が革新されておりますが、しかし、がんを宣告された御本人であったり、またその御家族の方は、本当に心の痛みに直面し、わらにもすがる思いになります。自分の命がかかっている、仕事を続けられるかどうかわからない、そういうことから、最悪な場合にはみずから命を絶ったり家族がばらばらになったりしてしまう、そういう悲しい事例もあるんです。
 どうか、この議場におられる多くの皆さん、御自身の問題としてお考えをいただきたいと思います。もし自分ががんとわかった時点で初めて自分の死を実感し、自分の命を改めて認識するようになるのです。しつこく言って申しわけないんですけれども、できる限り県のほうでも、がん対策に関しましては、これからも我が身の問題と考えていただき、どうか前向きに進めていただきたい、そのようにお願いを申し上げたいと思います。どうかよろしくお願いします。
 がん対策については、これで終わります。
 次に、社会福祉法人における法人税非課税扱い堅持についてお尋ねをいたします。
 先般、政府税制調査会は、政府が骨太の方針の中で長期戦略として法人実効税率の引き下げによる法人税減税を明記したことを受け、代替財源の確保のため、社会福祉分野のうち企業等の多様な主体の参入が認められている分野について、経営形態間での公平性の確保の観点から、当該事業を実施する社会福祉法人への課税を検討しております。
 社会福祉法人は、社会福祉法によって、社会福祉事業を行う公益法人として、行政にかわって社会福祉事業を行うことを目的として設立されてきたものであります。そもそも、低所得者や障害者、高齢者に対する社会福祉事業は、本来であれば国の責務として行うべきものであり、純粋な市場原理だけで需要と供給がとれるものではありません。
 例えば、民間では参入しないような採算が見込めない山間部等でのサービス提供や特別な配慮が必要な人への支援であっても積極的に基盤整備を推進するなど、社会福祉法人は公益性の高い法人としての役割を担ってきました。
 今回の政府税制調査会の議論では、単純に民間企業等との公平性の確保の観点からのみ社会福祉法人への課税案が示されておりますが、社会福祉法人は、事業により得た利益を福祉事業以外に使用してはならないとされ、法人の解散時には残余財産は最終的に国庫へ帰属するなど運営上のさまざまな規制があり、そのかわりとして法人税が非課税扱いとなっております。
 社会福祉法人に対する法人税課税は、社会福祉制度の根幹にかかわる極めて重要な問題であり、これまで地域社会の福祉を担ってきた社会福祉法人に対する安易な財源確保の視点での法人税課税はすべきではないと考えます。
 そこで、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 社会福祉法人は、極めて高い公益性を持った法人であります。また、本県では財政基盤の弱い社会福祉法人が多いことから、社会福祉法人への課税により、県内の低所得者や障害者、高齢者への福祉サービスが後退することがあってはならないと考えますが、県の見解はいかがでしょうか。福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 議員御指摘のとおり、社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人であり、地域住民に密着した福祉サービスを提供しており、実施する事業は公益性が高いため、確実、効果的かつ適正に実施することが求められています。また、社会福祉法人は、民間事業者が参入しにくい過疎地域においても福祉サービスの主要な提供者として事業を実施しており、こうした面からも社会福祉事業を安定的かつ継続的に実施していくことが重要であると考えております。
 このような役割を持っている社会福祉法人の課税の見直しにつきましては、国の福祉制度の根幹にかかわるものであり、現在行われている高齢者や障害者等への福祉サービスが決して後退することがないよう、国において慎重に議論がなされるべきと考えており、今後とも県民の方々が安心して福祉サービスを利用できるよう注視してまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 社会福祉法人における法人税非課税扱い堅持につきましては、今議会におきまして、和歌山県議会議長から衆議院議長等への意見書として提案をさせていただいております。各議員におかれましても、御賛同いただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 残り14分となりました。ちょっと走りながら行かしていただきます。
 最後、介護職員の人材確保、そして処遇改善についてお尋ねをしたいと思います。
 高齢化社会が進む現在、介護保険導入時期と比較して、介護サービスを提供する人材の確保というものは大変困難になりつつあります。事業者が困っているという声もたくさん聞いたり、この高齢化の進行を背景に介護サービスに対するニーズが増加するとともに、質的にも大変多様化、高度化してきているというのが現状ではないかと思います。
 そうした中、認知症の方やひとり暮らしの高齢者の増加など、社会生活における介護の重要性はますます高まってきております。熱意と専門性を持って介護と向き合う、そういう介護従事者なしにはこれからの高齢社会は到底支えられない、私はそのように考えます。
 そんな中、少し前になりますが、平成23年度において、学校法人立命館が調査研究の実施主体となり、私も委員として参画、介護職安定化・人材確保のための情報提供・普及啓発及びモデルインターンシッププログラム構築事業というのを行いました。その結果をこういう報告書にまとめました。(資料を示す)この報告書には、実は一番最後にDVDもつけてあるんです。本当に中身はいいDVDだと思います。ぜひこのこともちょっと頭に置いといていただきたいんですが、こういうものを取りまとめ、作成をいたしました。
 そんな中、この報告書やDVDをつくるに際し、実は正しく介護という仕事を理解していただくために、県下の私学や公立高校、全高校に、教育長、大変御尽力をいただいて、アンケート調査をさせていただきました。おかげで、本当に高い回収率で、素直な学生さんたちの声を聞くことができました。その中には、私たちが多分こういう答えが出るだろうなあというふうに思っておりましたように、介護なんていう仕事はなあという率直な意見なんかもありました。
 しかし、やっぱり今私が前段申し上げましたように、これからのこの国の、また私たちのふるさと和歌山において、この介護という問題は本当に大切な問題の大きな1つだと思うんです。そして、その介護職につく方の離職率が本当に高い、これはどうしてなのかということを以前この一般質問の場をおかりして発表さしていただきました。賃金の問題でありました。
 当初のころは、ほかの仕事の方々とそう大差はありません。しかし、40代ぐらいになっても、そう賃金が上がらないためになかなか結婚ができなかったり、いろんなそういう問題があったそうであります。大体平均して年収310万円ぐらい、そのようにお聞きをいたしました。
 そんなことの中で、やっぱり和歌山県の、自前と言ったら言葉は悪いですけども、最近では、介護や医療の場には確かに外国からすばらしい方々もおいでいただいておるわけでありますが、しかし、やはり雇用という観点からも、和歌山で育って、そして、介護職が私は好きなんだという、そういうすばらしい人材もおられるわけでありますから、そういう方々の処遇を改善していただいて、そして、介護というものは和歌山県は心配がないですよという状況にしていただきたい。そういう思いで今回も質問に立たしていただきました。
 教育長、高校でこのDVDは見ていただいたんでしょうか。そして、どんな感想があったかなということで非常に興味があります。御答弁をいただけましたら大変ありがたいです。お願いいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県教育委員会では、学校法人立命館が作成した啓発用DVDを平成23年度に、御指摘がありましたように私立学校も含めた1万人を超える県内の高校2年生に配付し、介護福祉分野に関する正しい知識や理解の促進に努めてまいりました。また、近年極めて重視されている介護福祉分野への理解を深めていくために、県高等学校進路指導部長会議等で先ほどのDVDを上映するとともに、県社会福祉協議会と連携して介護福祉に関する講演を実施するなど、さまざまな取り組みを積極的に進めております。
 今後とも、これまでの取り組みに加え、県立高等学校に配置している就職指導員や外部の介護福祉士等の協力を得るとともに、関係機関と連携を図り、教職員はもとより高校生への介護福祉分野に関する正しい知識や理解の促進に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 教育長、ありがとうございます。ぜひこれからもよろしくお願い申し上げます。
 最後なんです。介護職員の処遇改善のことなんです。
 今、お金の話もいたしました。やっぱりそういうことが多くて、介護労働者が短期間で仕事を離れてまいります。事業者や施設が介護職員を募集してもなかなか集まらない。これらの事態は、仕事に見合わない賃金を初めとした待遇がやっぱり悪いよねというところから起こっておるそうでございます。
 そんな中、介護職員の処遇改善の取り組みとして平成21年から実施をされました介護職員処遇改善交付金制度、これは平成24年度の介護報酬改定でその中に組み込まれ、処遇改善加算として継続されることとなりました。しかし、この制度は経過的なものとされ、次回の改定以降は不透明な状況にあるため、国の責任による安定した処遇改善策が不可欠となっております。
 国の平成24年賃金構造基本統計調査におきましても、10人以上の規模の福祉職場に従事する施設介護職員の平均年収は、先ほども私が申し上げましたが、約310万円とされており、他業種と比べて低水準であることから、離職者も後を絶たない慢性的な人手不足となっておるようでございます。このため、本年9月の和歌山県議会におきまして、介護従事者の人材確保に関する意見書を採択し、和歌山県議会議長名で衆議院議長等に対し提出をさせていただいたところであります。
 そこで、最後、福祉保健部長にお伺いいたします。
 現在、国において介護報酬の改定が審議されておりますが、県として今までどのように取り組んでこられたのか、また今後どのように取り組んでいかれるのか、部長の答弁をお伺いしたいと思います。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 高齢化の進展に伴い介護サービスに対する需要が増加し、質の多様化、高度化が求められる中、その根幹である介護人材の確保対策は喫緊の課題となっております。
 介護職員の処遇改善については、平成24年度から介護報酬に介護職員処遇改善加算が創設されており、平成23年度まで実施していた介護職員処遇改善交付金と同程度の1万5000円の賃金引き上げにつながっていることから、全ての事業所において活用されるよう積極的に働きかけているところです。
 また、現在、国において来年4月の介護報酬改定に向けた議論が行われており、その基本的な視点の1つとして介護人材確保対策の推進が示されているところです。
 県としましては、介護職員の処遇改善がさらに進むよう、介護職員処遇改善加算の継続を初め、介護人材確保に向けた総合的な対策の推進について、全国知事会などを通じて提言及び意見の申し入れを行ってきたところであり、今後も引き続き県議会や関係団体とも連携をとりながら、あらゆる機会を通じて国に対し働きかけてまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 部長、御答弁ありがとうございました。
 今後も、高齢者の施設や事業所などで働く職員が安心して働き続け、その専門性をより発揮することができるようにするため、国の責任と負担によって抜本的かつ安定的な処遇改善策を実施していただきますよう、県から国に対し強く働きかけるよう要望して、私の一般質問を終わりたいと思います。
 長時間、どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時31分休憩
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