平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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平成26年12月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成26年12月12日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第150号から議案第193号まで並びに報第3号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第150号から議案第193号まで並びに報第3号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
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出席議員(40人)
 1番 濱口太史
 2番 鈴木太雄
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 中本浩精
 10番 上田良治
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 岸本 健
 18番 森 礼子
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 立谷誠一
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
 36番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       市川靖之
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     石原康弘
 会計管理者      岩橋良晃
 教育委員会委員長   山本 哲
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      下田隆文
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾崎善亮
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     西原龍也
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  午前10時0分開議
○議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第150号から議案第193号まで、並びに知事専決処分報告報第3号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 仁坂知事、先般の選挙では見事に3選されました。心からお祝いを申し上げたいと思います。ぜひ県民の期待に応えて、大いに頑張ってくださることをお願いしておきます。
 最初に、大学設置による産業振興について質問します。
 今秋、ノーベル物理学賞は、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授ら3人の日本人が受賞の栄誉に輝きました。受賞理由は、中村教授が日亜化学勤務時代に今世紀中は不可能と言われた青色LEDを発明したことです。現在、安倍内閣では地方創生を提唱していますが、地方創生のお手本として私はこの中村教授の例を一番に挙げたいと思います。
 ノーベル賞受賞者の大方の人が大学の研究者であることから、地域発展には大学が不可欠と思っていますが、今回の中村教授の受賞で、さらに2つのことがわかりました。1つは、地方大学の出身でもノーベル賞はもらえるということ、もう1つは、ノーベル賞級の発明が1つあれば地方の中小企業でも大会社になれるということです。地方大学については改めて質問することとし、今回は発明が会社を劇的に成長させた実例について注目いたします。
 日亜化学は、徳島大学薬学部を卒業した小川信雄氏が、戦後、GEから蛍光体の日本での製造権を購入し創業した徳島県阿南市の会社で、中村教授が就任したころの従業員数はわずか110人、青色LEDを発明した1993年ごろでも200人足らずのどこにもある中小企業でした。それが発明以後は売り上げが倍々で伸びていき、現在は売り上げがおよそ3000億円、従業員数はグループ合わせて約8300人の大会社に成長しました。阿南市や徳島県の発展にも大いに寄与したと聞いております。
 同様に、和歌山にも大学をつくることができたら、研究者を集め、人材を養成することで産業や文化が興せるのではないでしょうか。
 最近、仁坂知事は、県立医科大学に薬学部をつくりたいと積極的に発言されておられます。新薬の開発は大資本でなければできないと言われる中、新薬の発明は25%が大学です。しかも、医学部や大学病院との連携は新薬開発に大変有効と言われています。知事の発言に大変頼もしく思うと同時に、早期の英断をお願いしておきます。
 しかし、私は、薬学部以外にも、誘致も含めて本県にもまだ設置の可能性があると考えています。
 例えば、世界の成長産業と言われる分野、すなわち医療系工学部の設置や宇宙・航空関連大学を白浜空港に誘致して宇宙航空機産業の振興を図ることや、海洋関連大学を誘致して海洋開発を行うこと、地場産業の発展に直結する化学、機械工学の増設を和歌山大学に要請すること、世界中で8億人が飢えている状況で食料を生産する農学などは大いに可能性があります。大学設置について県の取り組みを知事に伺います。
○議長(坂本 登君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大学は単に教育機関というだけでなくて、若者の進学機会の確保、専門的知識・能力を備えた人材の輩出、地域の学術・文化振興や産業振興という観点から地域活性化を図る上で極めて有意義なツールであると認識しております。
 本県では、これまで県立医科大学の定員増や保健看護学部の博士課程の設置、和歌山大学の観光学部の設置支援などを行ってきたところでありますが、学生の数が減って大学が──これは一般論でございます──全国で学生の数が減って大学が経営で大変な苦労をしている中、うまくいく可能性が高いのは専門職業人の育成校であると考えております。もちろん、民間でやっていただける可能性があれば何でも大いに歓迎でございますんで、誘致したいと思っております。
 そうしたことから、現在、県立医科大学の薬学部の設置の可能性について内部的な検討を前向きに進めているところでございまして、議員御提案の医療系工学や航空関連大学などについては、やっていただけるという主体があったらもちろん歓迎なんですけど、丸抱えというのであると、これは県財政への影響とか少子化の中での事業採算性等とか大変難しい課題もありますので、今後もチャンスをうかがってまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 以前にも申し上げましたが、一昨年、秋田県の国際教養大学というところに参りました。ここは授業を全て英語で行うということで大変有名でありますけども、和歌山と同じように地方で、しかも、公立で全国から優秀な先生、学生が集まって、しかも、できて10年ぐらいで偏差値もすごく高い大学になったと聞いておりますし、卒業生も立派なところに就職をされたと聞いております。私は、要はやり方だというふうに思っておりまして、ぜひ積極的な取り組みをお願いしておきます。
 次に、がん対策について3問質問します。
 私は、3年前、父を急速に進行する小細胞肺がんで亡くしました。その教訓から、第一は、がんにならない生活を送ることだと思いました。私は、たばこをやめて12年近くなりますが、もっと早くやめておけばよかったと思っています。
 県においては、議員提案でがん対策条例が制定され、条例に基づくがん撲滅計画が策定されています。肺がん初め、がん死亡率が異常に高い本県の汚名返上のためには、普通にやっていてはとても無理で、計画を画餅に終わらせないよう積極的な取り組みをお願いします。
 しかしながら、どうしてもがんになる人は出てきます。がんになった人をどう助けるか、これは県政の大きな課題です。
 10月初旬、県議会福祉環境委員会で兵庫県立粒子線医療センターを訪問しました。同センターは、兵庫県たつの市の播磨科学公園都市にあり、5.9ヘクタールの広々とした敷地に重粒子線、陽子線の2つの粒子線治療装置を備え、50床の入院施設を併設した建築面積1万6000平米、総工費270億円の先端医療施設です。
 粒子線のうち重粒子線は、がん細胞の増殖を抑えるため遺伝子を真っ二つに切断する威力があり、陽子線も遺伝子をかなり痛めつける力があるとされています。しかも、エックス線のように途中の正常細胞に悪影響がなく、治療も短時間で、体の負担が軽くて済みます。中身も外観も立派な施設に大変驚きました。
 「百聞は一見にしかず」と申しますが、訪問して初めてわかったことがありました。それは、同センターが世界に開かれた先端医療施設として世界中からがん患者を受け入れるとの方針を掲げていることです。しかも、兵庫県民だけではなく、全国民に対して治療費280万円余を貸与する制度も用意しています。以前は治療まで半年かかった待機時間も、最近では粒子線治療が全国的に普及した結果、約2週間に短縮され、病院などの紹介がなくても受け入れてくれます。
 何年か前に、友人の兵庫県議を通じて同センターへ知人を紹介していただいたことがあります。私は、それまで粒子線治療についてよく知りませんでしたが、裕福な兵庫県をうらやましく思うと同時に、本県でも何とか先進医療ができないものかと思いました。
 以来、京大原子炉実験所の小野公二先生からホウ素中性子捕捉療法の進捗状況を伺うなど、先進医療に注目し、どうすれば本県でもできるのかと考えております。そんな中、今回の訪問で、兵庫県立粒子線医療センターが治療費を貸与してでも世界中から患者を受け入れるとの説明を伺い、感激いたしました。
 幸い、同センターの初代所長で現在名誉院長の菱川良夫先生は和歌山市の御出身ということも伺い、ぜひ本県とも連携すべきであると強く感じました。本県や県立医科大学との連携について、県の考えはいかがでしょうか。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 兵庫県立粒子線医療センターでは、和歌山県立医科大学附属病院などの県内医療機関の主治医との連携により、県内から年間10人を超える患者が治療を受けております。
 県では、和歌山県がん先進医療支援事業において、がんの先進医療を受ける患者の支援を実施していることから兵庫県立粒子線医療センターとも情報交換を行っており、今後も連携を密にしていきたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大体、質問をすると「やってる」と必ず答えるんでありますけども、県会議員である私が初めて行って知ったぐらいですから、大方の県民の皆さんは知らないと思うんです。大いにPRをして、混雑してしまうと困りますけども、ぜひ命を助けてあげていただきたいというふうに要望しておきます。
 続いて、質問を行います。
 3番目には、先進医療支援制度の継続とがん保険について質問します。
 私は、あるとき、いとこからがん保険に加入をするよう勧められました。しかも、2口ぐらいがいいとのアドバイスでした。その理由として、がんになったら家族はそのうち体よりもお金のことが心配になってくるというのです。「地獄の沙汰も金次第」と言いますが、幾ら医学が進歩してもお金がないばかりに命が救われないとは、まことに悲しい思いがいたします。
 そういう意味で、先ごろ創設された先進医療支援制度はまことにすばらしい制度であり、基金終了後は、ぜひ県費を支出してでも継続するよう要望しておきます。
 また、県費にも限界があることから、みずからの命はみずから守るという観点で、がん保険の普及も並行して推進すべきと考えますが、御所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 国民健康保険等、公的な医療保険の対象となるがんの治療では高額療養費制度などが整備され、自己負担の軽減が図られておりますが、公的な保険が適用されない粒子線治療などを選択したときは医療費が高額になることがあります。そのようなリスクに備えるために、がん保険が民間の保険会社により提供されており、有効な手段の1つであると認識しております。
 県では、県民の皆様がより正しくがんを理解し、そのリスクに備えることができるよう啓発していきたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 済みません、1問飛んでしまったんですが、改めて2番目の質問をさせていただいてよろしいでしょうか。
○議長(坂本 登君) はい、どうぞ。
○中村裕一君 それでは、お許しをいただきましたので、2番目の質問を行います。
 先ほど連携について申し上げましたが、私は決して本県での先進医療を諦めたわけではありません。そこで、陽子線治療の本県への導入について質問します。
 最近では、粒子線のうち陽子線治療については30億円程度で買えるようになったと聞いておりますが、県内への導入についてはどのようにお考えでしょうか。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 陽子線治療につきましては、既に先進医療として認められ、全国で10施設が設置されており、3年以内に新たに4施設が設置される予定となっております。近隣府県については、兵庫県と福井県で稼働しておりますが、今後、大阪市や京都市、神戸市に建設が決まっており、計5施設になる予定です。
 県では、採算性や対象患者数などさまざまな角度から検討を加えたところ、現状では設置は困難と考えております。今後、運営コストや放射線治療における技術革新など、状況が変われば改めて検討してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 和歌山県は、残念ながらがんで亡くなる人の率がほかよりも高いわけでありまして、ほかと同じ程度であれば一向に改善しないわけでありまして、私はやっぱり特別に取り組んでいく必要があると思います。
 それで、先進医療のうち粒子線の治療の導入について、県のほうでもいろいろ御検討されたというふうに聞いておりますが、例えば、その計算の中には、患者は和歌山県内だけしか来ないというようになってるんではないかと思いますが、すばらしい医療であれば、当然隣の人口のいっぱい多い大阪府からも来てくれるでしょうし、また、先進医療を行うためには保険に入っている人が大勢いる、たくさんいる必要があるわけでありますけども、がん保険を勧めることで受診できる人も多くなるわけでありますし、今般創設された先進医療支援制度、こういうものを活用すれば、もっとたくさんの人が受けられるはずでありますから、大いに私は何とかこの汚名返上するというお考えで取り組むべきだというふうに指摘を申し上げておきます。
 続いて、質問をさせていただきます。
 次は、アジア高校生フォーラムについて質問します。
 10月15日、日高高校創立100周年の記念行事としてアジア高校生フォーラムが開催されました。姉妹校の中国・西安中学を初め、西はトルコから東の韓国までアジア各国16の国と地域から高校生ら48人が御坊市民文化会館に集合し、環境や防災、観光、文化などのテーマで意見発表を行いました。
 このフォーラムは全て英語で運営され、準備段階からJICAなどの支援を得て、生徒たちがメールで直接連絡を取り合うなど、積極的に運営にかかわりました。また、アジアからの生徒は在校生の家庭にホームステイし、高野山なども訪問しました。
 日高高校の卒業生でJICAの国際協力推進員の野村実里さんは、「終了後、生徒たちは、言葉や宗教、歴史を乗り越えてお互いに気をかけ、何年もの時をともにした同志のように感じた」と言っています。同じく卒業生の二階俊博先生は、経産大臣在任時に東南アジア版OECDとも言うべき東アジア・アセアン経済研究センターを設立するなど、アジアの発展を図りつつ我が国経済にも寄与する関係づくりに尽力されていますが、常々、本県でもアジアの発展を取り込んで県経済の成長を果たすべきだと提唱されています。
 私は、昨年6月、経産省主催のERIAシンポジウムで、本県でも取り組めるアジアとの関係づくりについて、観光交流に加えて高齢化や防災対策など、本県が大変な思いで取り組んでいる、ある意味では世界的先進分野において参加できること、また、海南市の和雑貨のように小資本でもアジアの地方に進出できる産業があることを説明しましたが、その主役となる将来世代が高校生ぐらいからアジアの人たちと交流し、相互理解を深めるとともに、英語で堂々と討論できる能力を磨くことは、まことに大切です。
 これまでも留学制度がありましたが、全員が留学できるわけではなく、今回のように全校生徒が参加できるシステムは大変有益です。フォーラムに対し知事や教育長から高い評価をいただいたと聞いておりますが、今後とも県内他校等でも継続的に実施できるよう支援制度を創設できないものでしょうか。教育長の御所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) ことし日高高等学校創立100周年記念事業で行われたアジア高校生フォーラムでは、日本を含めアジア17カ国の高校生が自然災害やリサイクルなどの環境問題や観光、文化をテーマに英語による意見交換等が行われ、大変大きな成果をおさめたと伺っております。これまでも、県内の各学校では、姉妹校交流や交換留学等、アジアの高校生との交流機会を設けてまいりましたが、グローバル社会が進展する中、海外の高校生との交流を進めていくことはますます重要になると考えています。
 議員御提案の県内の高校生とアジアの高校生との定期的な交流会の開催につきましては、今後、関係機関の御意見を伺いながら研究してまいります。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、児童館と適応指導教室について質問します。
 本年の学力テストの結果を受けて、学力向上のために学童保育で補習をできないかという意見が多数寄せられたと聞きます。そこで、私も、御坊市内の学童保育所、さらに児童センター、適応指導教室メイトの3児童施設を視察してきました。
 学童保育所は、小学1年生から3年生までの児童を対象に市内4カ所で実施されていますが、私は御坊小学校に設置されている御坊子どもクラブを視察しました。その日は、偶然ボランティアの人たちが紙芝居や絵本の読み聞かせを行っていました。子供たちは、床にきちっと並んで座り、とても楽しそうに聞いていました。読み聞かせが終わると、子供たちは、元気よく運動場に飛び出していく子もいれば、ランドセルをあけて宿題を始める子もいて、まるで自宅にいるような雰囲気でした。
 次に視察した児童センターは、児童福祉法による児童館とのことで、児童に健全な遊びを通して健康なパーソナリティーの発達を援助するところです。御坊市では昭和63年に開設され、多くの子供たちが巣立っていきました。中には、市会議員に就任した人もいます。現在、平日は20~30人、土曜は40~50人の小中学生が通っています。そして、ドッジボールなどの球技や遊具など体を使う遊び、トランプなどのカードゲーム、テレビゲームといった室内遊び、さらに手芸や工作、料理など幅広く、子供たちを飽きさせないメニューが組まれています。また、休日には、釣りやテニス、餅つきも用意されています。私が視察したのは平日の夕方ですが、多くの子供たちでにぎわい、体育館や活動室には元気な明るい声が響いていました。
 次に、児童センターに併設されている適応指導教室メイトを訪問しました。メイトは、御坊市教育委員会が設置、運営する不登校の子供たちの学校復帰に向けた指導、支援を行う教育支援センターです。現在、メイトには市内外から7名の子供が通っており、心の居場所として子供たちの心に寄り添いながら、学習への援助やリラックスタイム、集団活動、野外活動、カウンセリングを行っています。
 私は、学力テストに関連して今回は視察しましたが、3施設について、それぞれの設置根拠となる法律や目的は違えども、学校や家庭以外で子供たちが生き生きと生活できる場所として、とてもよく頑張っていることを知りました。そのうち、児童センターやメイトは御坊市単独予算で運営されており、財政運営は大変と聞きました。当然、職員も臨時職員が頑張ってくれており、何とか国や県も支援できないものでしょうか。
 現在、児童館は県内に108館あり、そのうち36館は休館だそうですが、残りはそれぞれの特色を生かして頑張っています。また、適応指導教室も、12市町、13施設があります。それぞれ運営は、市町単独で頑張っています。ぜひとも国や県の支援ができないものか、福祉保健部長並びに教育長の御所見を伺います。
 なお、今秋の全国学力テストの結果を受けて県教育委員会では改革に取り組んでいますが、学校だけではなく、九九が言えないなど学力が低い子供を発見したときに、児童センターでも学童保育でも行政でも積極的にかかわるべきだと考えます。そういったこともできるようにお願い申し上げます。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 児童館は、地域における子供たちの健全育成の場として大切な役割を果たしていただいていると認識しております。児童館の運営費につきましては、市町が地域の実情に応じた活動ができるよう地方交付税により措置されております。県におきましては、児童館の創設や改修等に伴う施設整備への支援、児童館で遊びを指導する児童厚生員の質の向上を図るための研修会開催費用への支援を行っているところです。
 児童館では、子供たちの遊びを通して自主性や社会性を高める育成指導、さらには想像力や好奇心を豊かにするさまざまな活動が実施されておりますが、その中において、学力等、子供が持つ課題にも配慮したきめ細やかな活動が行われるよう、児童厚生員の研修に対して助言するとともに、市町にも引き続き支援を行ってまいります。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県内の適応指導教室の設置状況につきましては、現在、12市町、13学級が開設されています。御坊市立児童センター「メイト」を含む適応指導教室では、不登校児童生徒の学校復帰を目指し、相談活動や学習支援、体験活動等の自立支援の取り組みが進められています。
 県教育委員会におきましては、不登校問題を喫緊の課題と捉えており、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる教育相談活動を充実させてきたところです。また、各市町においても、地域の実態に応じた適応指導教室を設置し、不登校問題の改善に努めていただいています。
 今後、県が主催するきのくに子どもの自立と共育推進会議や市町村事務担当者会議の中で、適応指導教室の活動内容や運営方法等についてきめ細かな情報交換に努めるなど、当該の市町と連携を密にしながら積極的に支援してまいります。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 既に支援をしてるという御答弁でありますが、私が今回この質問するに当たりましていろいろ御説明を伺いましたが、児童館の運営につきましては、交付税も出てるということでありますが、県のほうで今のところは職員研修に県社協を通じて10万円支出してるのみでありますので、金額が少ないからだめだとは言いませんが、大いに今後とも応援をしてあげてほしいというふうにお願いをしておきます。
 続いて行います。
 最後に、県行事での生花、生の花の使用について質問します。
 ことしは、本県が中国・山東省と友好を結んで30年であります。去る10月22日、山東博物館において両県省の30年の交流をつづった写真展があり、その開会式に参加してきました。その際のテープカットは生花を使用して大変美しく印象的だったので、ここで御紹介し、本県行事でも参考にしていただきたいと提案する次第であります。そのときの模様は、議場に資料配付させていただいておりますので、ごらんくださいませ。
 日本では余り見たことがないのですが、生花のスタンドを幾つか置いて、その間に渡したテープをカットするというもので、スタンドにははさみかけもついていました。
 日本では、テープカットのときはバラのリボンを持ってカットしますが、終了後はバラのリボンがだらりと垂れ下がり、みっともなく思います。改めて考えてみると、山東省で見たテープカットのほうが正式で、生花を使わないように簡略化したのが現在の日本式かもしれません。また、日本では、行事の際に主催者や来賓がリボンのバラを胸につけますが、本来はリボンはプレゼントなどにつけるもので、滑稽に見えるのは私1人でしょうか。
 仁坂知事も、JA紀州の青年部が始めた母の日の墓参りを応援され、スターチスの販売促進が進んでいると聞いています。また、議員提案で制定された中小企業振興条例では、県内生産のお酒で乾杯する乾杯条項をつけて、梅酒などの販売促進に効果を上げています。
 そこで、提案します。県主催で行うテープカットや行事では、リボンのバラを使うのではなく、農業県らしい生花を使うように率先すべきと考えますが、農林水産部長の御所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県では、国庫事業を活用し、あるいは県単独事業により、省エネ機器や農業用ハウスの導入等への支援を通じて収益性の高い花卉生産を推進してまいりました。また、花卉の需要拡大を図るため、JA紀州青年部が提案した母の日参り運動を積極的に応援するとともに、本年8月には、県農協連合会、市場、県の関係者で構成する和歌山県花卉振興協議会を組織し、県内小学校での花に関する出前授業や東京都内での消費者を対象とした花と触れ合うイベントを実施しているところです。
 議員御提案の県公式行事での生花のテープカットやコサージュ使用についてですが、我が国には我が国なりの地域に根づいた習慣、風習があります。また、生花を用いるとなると、行事の準備において取り扱いに細心の配慮が必要となるなどの課題もございますが、県の花卉農業振興を真摯に考えていただいていることはありがたく、御提案を生かせないか今後研究してまいりたいと存じます。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 とても農林水産部長とは思えないような発言がありました。母の日の墓参りだったら一生懸命やれるのに、何でこれだったらできないのか、もっと明確に理由を述べてください。
 習慣を変えていくべきだというふうに率先して県がやるべきじゃないですか。それが販売促進じゃないですか。まず、そういうことをやらないみたいなことを言って答えて、とても県民のために働いてるという姿勢はないじゃないですか。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 生花を使うとなりますと、例えば、経費の問題もございます。コサージュであれば、調べたところでは大体1個当たり2000円ないし3000円ぐらい要ります。それから、イベントのときに、例えばその生花、花が仮に傷んでおったり、あるいは落ちたりしますと大変失礼になります。そういうことから、先ほど申し上げましたように、事務方としましては、非常にその辺にも配慮が必要になります。
 ですが、お答え申し上げましたように、県の農業にとりまして花卉というのは非常に重要です。大体県の農業生産の5%ぐらいを占めております。そういうことですので、例えばどういう方法でやればうまくいくのか等を研究してまいりたいと、かように感じております。
 以上です。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 やれない理由を考えるよりも、ぜひやれるように、どうしたらできるかということをお考えいただいて実行をお願いしておきたいと思います。
 以上で、質問を終わります。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。
 質問に先立ちまして、一言申し上げたいと思います。
 今定例会一般質問冒頭に、各会派、また各議員から知事に対しましてお祝いの言葉が述べられております。私も、応援演説をさせていただいた県議の1人として、ともに喜び、心からお祝いを申し上げたいと思います。知事、3選、どうもおめでとうございました。これからは、健康には十分御留意をされまして、県勢発展のため、さらなる御活躍を期待するものであります。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので一般質問をさせていただきたいと思います。
 なお、今回24回目の一般質問、少し長いです。大変申しわけないんですが、しばらくの間おつき合いのほど、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 紀の国わかやま国体・わかやま大会を契機とした地域活性化についてお伺いをいたします。
 今月2日、衆議院議員総選挙が公示され、各政党が公約を掲げ、安倍政権の経済政策・アベノミクスを最大の争点に総選挙を繰り広げております。自由民主党は、政権公約として「景気回復、この道しかない」をスローガンに掲げた上で、安倍政権の経済政策・アベノミクスを推進するとともに、財政健全化目標を堅持して経済再生と財政再建を両立するとしております。
 その中で、安倍首相が重要視いたします地方創生につきましては、地方創生特区の早期の指定に加え、企業の地方移転を後押しするとともに、地方公共団体向けの自由度の高い交付金の創設や地域商品券発行を支援する交付金を設けるとしております。
 一方、本県におきましても、いよいよ来年、第70回目となる国民体育大会、紀の国わかやま国体が、「躍動と歓喜、そして絆」というものをスローガンに9月26日から11日間、また、第15回目となります全国障害者スポーツ大会、紀の国わかやま大会が10月24日から3日間にわたり開催をされます。
 国体は、広く国民の間にスポーツを普及し、スポーツ精神を高揚して国民の健康増進と体力向上を図り、あわせて地方スポーツの振興と地方文化の発展に寄与するとともに国民生活を明るく豊かにすることであり、わかやま大会は、障害のある選手が競技等を通じ、スポーツの楽しさを体験するとともに人々の障害に対する理解を深め、障害者の社会参加を促進することであります。
 ただ、他方では、国体等の開催により全国から多くの選手やその家族、指導者、競技役員などが来県されるわけであります。その機会をチャンスと捉え、一過性にすることなく、おもてなしの精神で和歌山県の観光、産業の活性化を図っていくべきではないでしょうか。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 和歌山を元気にするため、紀の国わかやま国体・わかやま大会を契機としてどのように観光や産業の活性化を図っていかれるのか、知事の御所見をお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、紀の国わかやま国体・わかやま大会は、全国から選手団、応援団、観客といった多くの方々が来県されることから、本県の魅力を発信する絶好の機会であります。しからば、観光、産業の活性化にぜひつなげていかなきゃいけない、そういうふうに思っております。
 国体開催に合わせて整備している道路等を活用して地域の利便性と価値を向上させ、発展の礎にしていくということはもちろんのことでございますが、県民総参加のおもてなしによって応援、観戦等で訪れた方々に好印象を持ってもらって和歌山のファンになってもらわなければならないと思います。
 そのため、本県では、タクシードライバーやJR駅職員、宿泊施設などの第一線で観光客に接する関係者の接遇能力の向上を図るための研修を随分やってまいりました。それから、公衆トイレの快適性向上とか美化促進を図るための和歌山おもてなしトイレ大作戦等のソフト・ハード両面でのおもてなしを現在推進してるところでございます。
 国体で訪問された方が、きれいな景色を見て、ああ、ここはまた来たいなあと思ってもらったり、あるいはお土産を買いに行かれるときにいいものを発見していただいたり、あるいはそういう競技場近くの町の方と仲よくなってもらって、なかなかいい思い出があったなというふうに思って帰っていただいた上で、さらにそうやっていい思い出を持っていただきますと、真田丸とかパンダとかエルトゥールル号とか、我々プロモーションをこれからがんがんやるんですが、そういうときにそれをまた見て、ああ、そうだったなあというふうに思ってもらえる可能性も高くなってまいると思います。
 また、それぞれの選手の地元でお買い物をされるときに、いい和歌山製品を提供しておきますと、これまた、ああ、あの和歌山であったなというような、そういう気持ちを持ってもらって購買も進むということになるんじゃないかというふうに思います。そういうふうにファンをふやすことが地域を元気にすることになるんで、県民の皆さんに働きかけて、全員で取り組んでいく必要があると思っております。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま知事から御答弁をいただきました。私も、紀の国わかやま国体・わかやま大会を契機として、来県される皆さん方に好印象を持っていただき、今、知事の御答弁にもありましたが、翌年の真田丸で再度和歌山に御来県をいただいたり、県産品を購入いただけるように、知事は和歌山のファンという言葉をお使いいただきましたが、全くそのとおりであるというふうに思います。そのような形になっていただいて、何度も和歌山においでをいただくということが非常に大切ではないかと思います。
 そんな中で、私から、この場で幾つかの提案をさせていただきたいと思います。
 まず、観光マップであります。この観光マップを作成してはいかがでしょうかという提案であります。
 私は、ことし、長崎国体アーチェリー競技を見に長崎に参りました。そのときに、こういう長崎県バリアフリー観光マップというマップが置かれてありました。撮ってください。(資料を示す)実はこの中には、飲食店等そんなものだけではなくて、例えば、バリアフリーのトイレがどこにあるかとか、そして、パーキングはどこにあるとか、ここは車椅子がオーケーだと、AEDはここにありますよというのが全て載ってるんですね。私は、向こうで行動するのに非常に便利だし、これはいいなあというふうに思いました。
 このようなことで、観光地や飲食店、駐車場、バリアフリートイレ、授乳室、おむつ交換台、スロープ設置、ベビーカー貸し出し、車椅子対応エレベーター、AEDなどを表示したこのような観光マップを作成すれば、宿泊客がホテルのフロント等で観光地や飲食店、お土産物店などを聞いたときに、素早く対応ができると思います。また、障害のある方が来県する際に必要な情報を入手しておけば、安心・安全につながるものと考えます。
 既に県内では和歌山市のラーメンマップや湯浅町マップなどがあり、その作成ノウハウやバリアフリートイレ等の情報を活用すれば、このようなすばらしい和歌山独自のマップができるのではないでしょうか。そのように思います。
 次に、国体・わかやま大会の開催期間中における駅前の活性化について御提案をさしていただきたいと思います。
 和歌山駅や市駅、田辺駅、那智勝浦駅などの駅前では、大体午後の9時過ぎぐらいになりますとお土産物店等に明かりがなく、閉まっており、来県者にとっては、和歌山県にまた家族や友人と観光に来ようという気になかなかならないんではないかなというふうに思います。
 そこで、例えば国体等の開催期間中だけでも、和歌山駅の改札横のきいちゃんショップがあるお土産物のエリアや近鉄百貨店の地下1階の食料品エリアなどを午後10時ぐらいまで延長して営業していただく、このようなことはできないでありましょうか。
 また、多くの飲食店が連携し、地域商品券のようなものを発行する、いわゆるバル事業というものを企画してはいかがでしょうか。
 これらの取り組みは県だけではできるものではなく、県や市町村、関係団体、商店街組合などが連携する必要があります。県がリーダーシップを発揮して実施することにより、そのノウハウが培われ、一過性に終わることなく地域の活性化につながるものと考えますが、商工観光労働部長の御所見をお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 紀の国わかやま国体・わかやま大会を契機とした観光や産業の取り組みにおける議員御提案の事項に関してでございますが、まず観光マップの作成につきましては、議員御指摘のとおり、観光地だけでなく飲食店や施設のバリアフリー情報などが網羅された冊子は、両大会での来県者にとって大変利便性が高いと理解しています。
 両大会開催のビッグチャンスを生かし、観光の促進や消費の拡大につなげるために、当該冊子の作成に向け、県が主導して市町村、商工会などの関係団体とともに作成してまいります。
 次に、商業施設等における営業時間の延長やバルの開催についてでございます。
 両大会の開催期間中は県外から多くの方の来県が期待されることから、県内商店にとっても大きな商機となります。このチャンスを生かすため、各商店ではお客様が来店しやすくなるような工夫が必要であることから、県では、これまでも担当者が県内各地の商店街を頻繁に訪問し、観光客に楽しんでもらえる事業計画や両大会の開催に合わせたおもてなしの取り組みについて提案してきたところです。
 その結果、一部の商店街では、期間中の営業時間の延長や定休日の振りかえを検討するなど、お客様を温かくお迎えする機運が高まってきているところです。今後は、県外から来られるお客様をもてなす取り組みとして、JR和歌山駅前の大型商業施設等への営業時間の延長や和歌山市などで開かれているバルについても、両大会に合わせた開催となるよう関係者等に働きかけてまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁ありがとうございました。地域創生はアベノミクスの一丁目一番地であり、安倍首相も企業の地方移転を後押しするとともに、地方公共団体向けの自由度の高い交付金の創設や地域商品券発行を支援する交付金を設けるとしており、地方が知恵を絞り、汗をかいて地方活性化に取り組むことが重要であります。
 この両大会を契機として、参加する選手やその家族、指導者、競技役員が和歌山のファンになってもらえるようなおもてなしができるよう、取り組みを進めていただきますよう要望をさせていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 県内市町村における自治体クラウドの推進についてであります。
 日本創成会議・人口減少問題検討分科会が5月に発表いたしました2040年人口推計結果では、2010年からの30年間で若年女性が50%以上減少する市町村を消滅可能性自治体と位置づけ、将来的に消滅する可能性を指摘しております。全国で1800市区町村の半分近い896自治体が消滅のおそれがあるとされ、これまで漠然と危機が語られていたものが具体的な市町村名が出たことから、大変な反響を呼びました。県内では、30市町村のうち7割を超える23が消滅のおそれがあるとされたところであります。
 折しも地方自治法が改正され、人口減少社会の到来を踏まえ、市町村合併ではなく、市町村間の柔軟な連携や都道府県による補完など、新たな広域連携制度が創設されています。それにより市町村間が基本的な方針及び役割分担を定める協約を締結すれば、市町村間で連携して事務を処理することができます。こうした中で、今後、人口減少と高齢者人口比率の増加が進むことから、地方における行政サービスの提供の仕方について、市町村合併や一部事務組合の設立ではなく、連携協約という形態により事務の効率化、高度化に取り組む必要があると思います。
 そこで、県内市町村における自治体クラウドの推進についてお尋ねをいたします。
 クラウドとは、みずから情報システムを保有するのではなく、ネットワークを介して情報システムを利用し、災害対応力を強化したり業務の効率化を実現する仕組みのことでありますが、自治体クラウドはこの仕組みを自治体で適用するものであります。
 なぜ、今自治体クラウドが必要とされているかといいますと、まず、災害時のデータ保持対策として大変有効なことであります。皆様方も御存じのように、平成23年3月11日に発生をいたしました東日本大震災におきまして、沿岸部の自治体の庁舎が壊滅、損壊したことにより、自治体が保有していた住民データ等の貴重な情報が消滅するなどの被害が発生いたしました。
 本県におきましても、南海トラフの巨大地震等による災害が起きたときに、全てのデータが消失する市町村が出てくるかもしれません。しかし、クラウド化することによって、地盤がかたく、津波の心配もない安全な場所にデータを置き管理することができるからであります。
 また、各市町村では、個々にシステムの導入から運用まで一体で行っているため、システム開発や構築業務の負担とともに、運用に係る多額の経費や職員の確保等が大きな課題となっております。他方、予定されている社会保障と税番号制度の導入は、県内市町村が一斉に対応すべきものであることから、市町村の情報システムをクラウド化し、共同利用を一斉に推進できる絶好の機会であります。
 災害時の事業継続性の確保や自治体間の連携、業務システムの共同利用による効率化などを推進する観点から、自治体クラウドを県全体として推進するチャンスと考えますが、県内市町村における自治体クラウドの推進に係る具体的な取り組みについて企画部長にお尋ねをいたします。
○議長(坂本 登君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 自治体クラウド推進についての県の取り組みについてお答えさせていただきます。
 自治体クラウドは、災害時におけるデータ保全や市町村職員の業務負担の軽減、また、情報システムの共同利用によりコスト削減が3割程度見込まれるなど、その効果が期待されております。また、予定されている社会保障と税番号制度についても、システム改修等を独自に行う必要がないため、円滑な導入が可能とされております。
 こうしたことから、これまでも、県が中心となり30市町村が参加する和歌山県電子自治体推進協議会において、クラウドシステムの導入や共同利用についての勉強会を行うなど、自治体クラウドの実現に向け市町村に働きかけを行ってまいりました。
 来年1月以降、本協議会の主導のもと、有田市、御坊市、美浜町、由良町、印南町、上富田町の6市町による住民記録や税、福祉業務等を処理する基幹系クラウドシステムが、県内では初めて共同利用により運用を開始する運びとなってございます。
 このほか、県内の4市町において、クラウド化、共同化の協定を締結し、来年度の共同利用による運用開始に向けて取り組んでおるところでございます。今後とも、県内市町村の基幹系システムのさらなるクラウド化、共同利用を推進してまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 企画部長、答弁ありがとうございます。今回のように県がリーダーシップを発揮することにより、このクラウドシステムの導入や共同利用についての勉強会等を行うなど、自治体クラウドの実現に向け、県が市町村に働きかけを行った結果、大きな成果が生まれてきている、そのように解釈をしております。
 一方で、高度経済成長期以降に集中整備した水道、また下水道、道路、橋梁、トンネルなど、インフラの老朽化による維持管理、更新費の増大というものが見込まれます。こうしたことも踏まえ、人口減少と地域偏在が進めば、現在の行政サービスの維持が非常に難しくなるのではないかと考えます。
 行政サービスを維持していくためには行政の効率化が求められることから、県と市町村間、また、市町村間の連携が重要になってくると考えます。今後とも、県がリーダーシップを発揮され、新たな広域連携を推進していくことをこの場で要望さしていただきたいと思います。お願いいたします。
 次に、がん対策の推進について質問させていただきます。
 去る11月8日の「読売新聞」には、国立病院機構京都医療センターで抗がん剤治療などに携わる安井医師が、京都府綾部市の小学校において小学6年生100人を対象に、がんについての正しい知識を持ってもらうため、特別授業を行ったことが掲載されておりました。
 その中で、児童に「がんってどんなイメージ」と問いかけますと、「苦しい」、「死んでしまう病気」などなど次々に発言があり、安井医師が画像を示し、がん細胞が体のさまざまな部位にできることや、日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人ががんで亡くなっている実態を伝え、遺伝によるがんの割合は少ないことのほか、たばこを吸わない、野菜や果物をバランスよく食べるといった予防策や、それでも完全に防ぐことはできない、早い段階で見つけられれば治る可能性が高まると説明すると、児童らはうなずいていたと掲載されておりました。
 また、本県の平成25年度における死因別では、1位ががんで27%、2位が心疾患で18%、3位が肺炎で10%となっております。このことから、がんは県民全てにおいて身近な問題であり、予防や早期発見、早期治療等のがん対策が重要であると再認識したところであります。
 また、私が座長を務めさせていただき、各会派の委員の皆さん方に大変お世話になりました、その検討会において長い期間議論を重ね、議員提案をさせていただいた和歌山県がん対策推進条例、施行されてから今月28日で2年となります。
 そこで、今回は、がん対策のうち、予防、早期発見、また医療及び緩和ケアの3点についてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、がんの予防、早期発見についてであります。
 がんになる要因として、喫煙、過剰飲酒、運動不足、肥満、野菜・果物不足、食塩の過剰摂取、がんに関するウイルスへの感染等が挙げられております。禁煙や受動喫煙の防止、節度のある飲酒、バランスのよい食事、活発な身体活動、適正な体重管理、肝炎ウイルス検査、治療等に努めることががんの予防として重要であります。
 先ほど中村議員もおっしゃっておりましたが、私も遅まきながら禁煙に入りまして約1年と6カ月であります。正直、中村議員と同じような気持ちで、もっと早くから禁煙しておけばよかったなと今思っております。
 また、がんは、早期に発見し、有効な治療を受けることにより治癒する確率が高くなり、予後も良好となります。早期発見、早期治療を行うためには、県民一人一人が積極的に定期的ながん検診を受けることが何よりも大切であります。
 そこで、県として、がんの予防、早期発見についてどのように取り組まれているのか、また今後どのように推進していくのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) がんの予防につきましては、食生活や運動などの生活習慣を改善することが重要です。県では、紀の国わかやま1万人健康リレーウオークを全市町村で開催するとともに、今年度、健康推進員制度を創設し、県民の健康意識の向上や生活習慣の改善など、草の根的に県民総参加の健康づくりを目指しております。
 また、胃がん予防対策としてピロリ菌検査を開始するとともに、リレー・フォー・ライフ・ジャパン2014和歌山において、がん患者の方々とともに歩き、啓発を実施するイベントに参加したところです。
 次に、がんの早期発見でございますが、がん検診の受診率向上を目指し、今年度は、全市町村で、がん検診の個別勧奨として対象者全員に受診を呼びかける文書を送付しております。さらに、検診の精度を高めるため、デジタル撮影が可能な検診車への更新を進めるとともに、肺がん対策として議員から御提案のありました低線量肺がんCT検査を開始しております。
 今後は、健康推進員のさらなる育成や活動の充実、各種の啓発を通じてがんの予防や早期発見の取り組みを進めてまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁いただきました。部長、リレー・フォー・ライフの折には大変お世話になりました。ありがとうございました。
 それでは次に、がん医療についてお尋ねをいたしたいと思います。
 先般、連れ合い、いわゆる奥様をがんで亡くした方が経済的な理由でがんの高度治療を受けられない人たちに支援してほしいと県に多額の寄附をされたことを新聞で知り、私は、非常に感銘を受けるとともに、がん医療に取り組む重要性を再認識したところであります。
 また、去る11月29日の「産経新聞」には、「悪性リンパ腫に罹患していることが判明し、抗がん剤治療で治ったはずだったが、働き盛りの40歳男性が医師に告げられた言葉が『がんが全身に転移しています。余命は1年…』でありました。妻と3人の子供と暮らし、一番下の子はまだ5歳。『わが子の成長を見届けられないのか』と考えると、涙がこぼれた。しかし、先端の化学療法が効力を発揮し、医師も驚くほどの回復を遂げた。半年後には退院し、復職。それでも、以前と同じようには働けない。残業ができず収入は3割ほど減り、月約8万円の治療費や住宅ローンも重くのしかかった。悩んだ末、退職し、保険代理店を開業する道を選んだ。不安を抱えながら仕事に打ち込む日々。その中で深く感じている。『仕事は生きがいであり、人に必要とされている証しなんです』」と掲載されておりました。
 このように、がん治療と仕事を両立させることは非常に重要であり、がん治療の3大療法である手術療法、化学療法、放射線療法のうち、先ほど中村議員の質問にありました、体に負担の少ない放射線療法の中でも特に粒子線治療に取り組んでいくべきであると私も考えております。
 過去にも一般質問の場でこのことについては質問をさせていただきましたが、粒子線治療とは、電子より重い粒子である陽子、中性子、重粒子などを用いた放射線治療があり、体の深いところにあるがんをピンポイントに照射することから正常な細胞を傷つけにくいことや、仕事をしながら外来通院での治療が可能となるなど、生活の質を重視した体に優しい治療を提供するものであります。
 そのため、私は、以前から群馬大学重粒子線医学研究センターや九州国際重粒子線がん治療センター、いわゆるサガハイマットを視察するとともに、初期投資費用や運営経費、患者の負担額などの情報を収集し、県に対し、粒子線治療の導入を提案してきたところであります。
 また、がん医療に携わる人材育成については、がんに関する専門性を持った医師を初め専門看護師等を育成すること、これもまた大変重要なことであるとお聞きをしております。
 また、がん対策推進条例の第14条では、県は、がん患者が居住地域にかかわらず、等しくがんの状態に応じた適切かつ質の高い医療を受けることができるようにするため、粒子線治療のような高度で先進的ながん医療を実施する施設の整備や、がん医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師、その他看護師や技師などの医療従事者の育成及び確保などの施策を実施することを規定しております。
 そこで、がん治療と仕事の両立の観点から、施設の整備やそれに係る情報収集、また人材の育成など、がん医療の充実に資する取り組みについて、この1年でどのようなことを行ってきたのか、また今後どう取り組んでいかれるのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) がんの診療体制の整備につきましては、県がん診療連携拠点病院である県立医科大学附属病院に、本年3月、手術室や内視鏡治療室が増室され、より充実したがん医療を提供できる体制が強化されております。
 また、新宮市立医療センターでは、強度変調放射線治療対応のリニアックによる治療が開始されており、がんの状態に応じた質の高い医療を地域で受けることができる体制を整備しております。また、千葉県や群馬県などを訪問し、先進的な医療の情報収集に努めているところです。
 人材育成につきましては、今年度から県立医科大学大学院にがん看護専門看護師教育課程を開講するとともに、がん登録実務者研修会を開催しております。さらに、がんを体験した人やその家族に対するピアサポート研修や、各拠点病院等に設置している相談支援センターにおけるがん患者の就労に関する相談対応などの支援体制につきましても充実を図っております。
 県としましては、がん治療と仕事の両立の観点から、施設整備、人材育成、情報収集に引き続き取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次の質問に移ります。
 遺伝子治療や医療機器の開発に関しましては、日進月歩で技術が革新されております。特に粒子線治療の施設整備につきましては、建設中の施設を含め、陽子線治療施設は全国で14カ所であり、重粒子線治療施設も全国で8カ所と、全国的に粒子線治療施設の整備が進んできております。また、大阪府では陽子線と重粒子線の治療施設が、また京都府では陽子線治療施設がそれぞれ1カ所建設中であり、平成29年には治療を開始する予定となっております。
 そこで、私から1点提案をさせていただきたいと思います。
 去る平成25年2月議会において、過去、中村議員がホウ素中性子捕捉療法、いわゆるBNCTの研究支援について一般質問されておられます。中村議員は、今回、陽子線をという意見でありました。私は、少し違うわけでありますが、少し聞いていただきたいと思います。
 私は、BNCTの導入を検討してはいかがと問わせていただきたいと思います。BNCTとは、細胞選択的治療法と言われ、正常細胞には影響が少なく、がんを細胞単位で非侵襲的に死滅させることが可能な治療法であります。また、がん細胞に取り込まれやすいホウ素化合物をあらかじめがん患者に点滴などで投与し、がん細胞にホウ素化合物を集積させておきます。次に、このホウ素化合物に加速器から得られる中性子を照射いたします。これによりホウ素化合物と中性子が衝突し、核分裂によって生じる粒子線の一種、アルファ線によって内部からがん細胞を死滅させます。したがって、BNCTは、正常な細胞には影響が少なく、がん細胞のみを死滅させるがん治療法であります。
 これまでは、エネルギーが低く人体に影響のない中性子を得るには発生原子炉が必要でありましたが、加速器を用いた中性子源の開発が進められ、現実のものとなっております。また、民間のデータにより粒子線治療を比較いたしますと、治療施設コストでは、陽子線が約70億、重粒子線が約150億、BNCTが約30億円とBNCTが一番低く、施設規模も小さくて済みます。また、治療費でも、陽子線、重粒子線が約250万から300万、BNCTが約150万円とBNCTが一番低くなっております。このほかに、BNCTは、浸潤がんや再発がんにも効果があるとともに、1日で治療を終了するなど、陽子線や重粒子線よりメリットの多い治療方法であると聞いております。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 財政的なこともあるでしょうが、がんは県民全てにおいて身近な問題であり、死亡原因も1位であります。県として、BNCTの整備について今後積極的に御検討いただけないでしょうか。知事にお尋ねをいたします。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ホウ素中性子捕捉療法・BNCTについては、新たな放射線治療法として悪性脳腫瘍などの難治性のがんについて研究が進められております。さらに、御指摘のように、照射の回数が1回であることやがん細胞にだけ特異的に作用することから患者への負担も少なく、注目される治療法と聞いております。
 近年、加速器を使った病院設置型の新たなBNCTの機器が開発され、現在、東京都と福島県において治療施設が建設中であると聞いております。まだ治験の段階なんですけども、両施設で本格的な治験が開始される予定でありますので、医学的には十分な治療実績等が、あるいは治験実績と言ってもいいかもしれませんが、積み重ねられると期待しておりまして、引き続き治験の状況等を研究してまいりたいと思っております。
 こういう新しい技術については、よく注目して、タイミングを失することなく、見込みがあったら導入を速やかに検討したいと思っております。
 中村議員から先ほど御指摘がありましたが、実は重粒子線、陽子線については、南條学長の初期のころと、それから板倉学長の最後のあたりで2回、大検討をいたしました。1回目は残念ながら推進主体がなかなか乗ってくれなかったということがありまして、後者のほうは、残念ながらその推進主体が実はよそへ行ってしまって、それでちょっと採算が合いにくくなってしまっていた。ちょっとタイミングがうまくいかなくて、非常に私としては残念に思っておるんでございます。
 今回こういうような、ほかにもあるかもしれませんが、タイミングを失することなく頑張ってやっていきたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事、御答弁本当にありがとうございます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 粒子線治療は、大阪府や兵庫県へ行けば受けられるじゃないかと言われる声があるかもしれませんが、県民は県内で最先端の粒子線治療を受けることを期待していると私は思います。諸条件が整ってくればBNCT等の整備をぜひとも考えていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、緩和ケアについてであります。
 がん──その言葉は、ある日、不意に言い渡されます。耳にした瞬間、多くの人は死を初めて実感し、自分の命を改めて認識するようになるのであります。一般に、日ごろ冷静な人も2週間は別人になり、その期間を魔の2週間と呼ばれるそうであります。
 魔の2週間には、1、慌てない、2、悲観し過ぎない、3、情報を集め過ぎない、4、病院を変え過ぎない、5、怪しい話には惑わされないことが大切であると言われており、家族や医師、看護師などのケアが重要であると言われていますが、しかし、実際果たして自分がその宣告を受けた日、冷静に対処できるものなのでありましょうか。
 また、以前視察した静岡県立静岡がんセンターでは、患者に対するわかりやすい説明やセカンドオピニオンへの対応等、患者参加型医療の推進に努めておられ、完治が見込めない患者に対しましては、まず社会復帰を目指し、さらに状態が悪化した終末期の患者さんにつきましては緩和ケア病棟の利用や在宅医療を支援し、充実した緩和医療を提供する体制を整備しておられます。
 がん対策推進条例の第16条では、県は、がん告知の段階から行う緩和ケアの充実を図るため、緩和ケア病棟等の整備や専門的な知識及び技能を有する医療従事者の育成などの施策を実施することと規定をしております。がん患者やその家族が直面する痛みなどの身体的問題や、また心理的、社会的問題に対し、的確な対応を行うことが何よりも重要であります。緩和ケアの充実にこの1年でどのようなことを行ってこられたのか、また今後どう取り組んでいかれるのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 緩和ケアにつきましては、がん患者やその家族が可能な限り質の高い療養生活を送れるようにするため、がんと診断されたときから、患者の状況に応じ、身体的な苦痛だけでなく精神、心理的な苦痛の軽減を図る全人的な緩和ケアの提供体制を整備することが重要と認識しております。
 県といたしましては、がん診療連携拠点病院を中心に緩和ケアチームの充実を図るとともに、医療従事者の緩和ケアの基本的な習得を目的に研修会を平成20年度から開催し、平成25年度は271名に修了証書を交付しております。
 また、がん診療連携拠点病院の臨床研修医等についても、緩和ケア研修の受講が求められているため、医師を対象とした緩和ケア研修会を開催いたします。
 今後は、薬物療法など患者の状態に応じてその疼痛を和らげる人材の育成を図り、緩和ケアの充実に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁いただきました。
 私の支援者や親類、友人、知人など私の周りでは、がんになったという方が本当に多いです。がんの治療方法や医療機器は日進月歩で技術が革新されておりますが、しかし、がんを宣告された御本人であったり、またその御家族の方は、本当に心の痛みに直面し、わらにもすがる思いになります。自分の命がかかっている、仕事を続けられるかどうかわからない、そういうことから、最悪な場合にはみずから命を絶ったり家族がばらばらになったりしてしまう、そういう悲しい事例もあるんです。
 どうか、この議場におられる多くの皆さん、御自身の問題としてお考えをいただきたいと思います。もし自分ががんとわかった時点で初めて自分の死を実感し、自分の命を改めて認識するようになるのです。しつこく言って申しわけないんですけれども、できる限り県のほうでも、がん対策に関しましては、これからも我が身の問題と考えていただき、どうか前向きに進めていただきたい、そのようにお願いを申し上げたいと思います。どうかよろしくお願いします。
 がん対策については、これで終わります。
 次に、社会福祉法人における法人税非課税扱い堅持についてお尋ねをいたします。
 先般、政府税制調査会は、政府が骨太の方針の中で長期戦略として法人実効税率の引き下げによる法人税減税を明記したことを受け、代替財源の確保のため、社会福祉分野のうち企業等の多様な主体の参入が認められている分野について、経営形態間での公平性の確保の観点から、当該事業を実施する社会福祉法人への課税を検討しております。
 社会福祉法人は、社会福祉法によって、社会福祉事業を行う公益法人として、行政にかわって社会福祉事業を行うことを目的として設立されてきたものであります。そもそも、低所得者や障害者、高齢者に対する社会福祉事業は、本来であれば国の責務として行うべきものであり、純粋な市場原理だけで需要と供給がとれるものではありません。
 例えば、民間では参入しないような採算が見込めない山間部等でのサービス提供や特別な配慮が必要な人への支援であっても積極的に基盤整備を推進するなど、社会福祉法人は公益性の高い法人としての役割を担ってきました。
 今回の政府税制調査会の議論では、単純に民間企業等との公平性の確保の観点からのみ社会福祉法人への課税案が示されておりますが、社会福祉法人は、事業により得た利益を福祉事業以外に使用してはならないとされ、法人の解散時には残余財産は最終的に国庫へ帰属するなど運営上のさまざまな規制があり、そのかわりとして法人税が非課税扱いとなっております。
 社会福祉法人に対する法人税課税は、社会福祉制度の根幹にかかわる極めて重要な問題であり、これまで地域社会の福祉を担ってきた社会福祉法人に対する安易な財源確保の視点での法人税課税はすべきではないと考えます。
 そこで、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 社会福祉法人は、極めて高い公益性を持った法人であります。また、本県では財政基盤の弱い社会福祉法人が多いことから、社会福祉法人への課税により、県内の低所得者や障害者、高齢者への福祉サービスが後退することがあってはならないと考えますが、県の見解はいかがでしょうか。福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 議員御指摘のとおり、社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人であり、地域住民に密着した福祉サービスを提供しており、実施する事業は公益性が高いため、確実、効果的かつ適正に実施することが求められています。また、社会福祉法人は、民間事業者が参入しにくい過疎地域においても福祉サービスの主要な提供者として事業を実施しており、こうした面からも社会福祉事業を安定的かつ継続的に実施していくことが重要であると考えております。
 このような役割を持っている社会福祉法人の課税の見直しにつきましては、国の福祉制度の根幹にかかわるものであり、現在行われている高齢者や障害者等への福祉サービスが決して後退することがないよう、国において慎重に議論がなされるべきと考えており、今後とも県民の方々が安心して福祉サービスを利用できるよう注視してまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 社会福祉法人における法人税非課税扱い堅持につきましては、今議会におきまして、和歌山県議会議長から衆議院議長等への意見書として提案をさせていただいております。各議員におかれましても、御賛同いただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 残り14分となりました。ちょっと走りながら行かしていただきます。
 最後、介護職員の人材確保、そして処遇改善についてお尋ねをしたいと思います。
 高齢化社会が進む現在、介護保険導入時期と比較して、介護サービスを提供する人材の確保というものは大変困難になりつつあります。事業者が困っているという声もたくさん聞いたり、この高齢化の進行を背景に介護サービスに対するニーズが増加するとともに、質的にも大変多様化、高度化してきているというのが現状ではないかと思います。
 そうした中、認知症の方やひとり暮らしの高齢者の増加など、社会生活における介護の重要性はますます高まってきております。熱意と専門性を持って介護と向き合う、そういう介護従事者なしにはこれからの高齢社会は到底支えられない、私はそのように考えます。
 そんな中、少し前になりますが、平成23年度において、学校法人立命館が調査研究の実施主体となり、私も委員として参画、介護職安定化・人材確保のための情報提供・普及啓発及びモデルインターンシッププログラム構築事業というのを行いました。その結果をこういう報告書にまとめました。(資料を示す)この報告書には、実は一番最後にDVDもつけてあるんです。本当に中身はいいDVDだと思います。ぜひこのこともちょっと頭に置いといていただきたいんですが、こういうものを取りまとめ、作成をいたしました。
 そんな中、この報告書やDVDをつくるに際し、実は正しく介護という仕事を理解していただくために、県下の私学や公立高校、全高校に、教育長、大変御尽力をいただいて、アンケート調査をさせていただきました。おかげで、本当に高い回収率で、素直な学生さんたちの声を聞くことができました。その中には、私たちが多分こういう答えが出るだろうなあというふうに思っておりましたように、介護なんていう仕事はなあという率直な意見なんかもありました。
 しかし、やっぱり今私が前段申し上げましたように、これからのこの国の、また私たちのふるさと和歌山において、この介護という問題は本当に大切な問題の大きな1つだと思うんです。そして、その介護職につく方の離職率が本当に高い、これはどうしてなのかということを以前この一般質問の場をおかりして発表さしていただきました。賃金の問題でありました。
 当初のころは、ほかの仕事の方々とそう大差はありません。しかし、40代ぐらいになっても、そう賃金が上がらないためになかなか結婚ができなかったり、いろんなそういう問題があったそうであります。大体平均して年収310万円ぐらい、そのようにお聞きをいたしました。
 そんなことの中で、やっぱり和歌山県の、自前と言ったら言葉は悪いですけども、最近では、介護や医療の場には確かに外国からすばらしい方々もおいでいただいておるわけでありますが、しかし、やはり雇用という観点からも、和歌山で育って、そして、介護職が私は好きなんだという、そういうすばらしい人材もおられるわけでありますから、そういう方々の処遇を改善していただいて、そして、介護というものは和歌山県は心配がないですよという状況にしていただきたい。そういう思いで今回も質問に立たしていただきました。
 教育長、高校でこのDVDは見ていただいたんでしょうか。そして、どんな感想があったかなということで非常に興味があります。御答弁をいただけましたら大変ありがたいです。お願いいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県教育委員会では、学校法人立命館が作成した啓発用DVDを平成23年度に、御指摘がありましたように私立学校も含めた1万人を超える県内の高校2年生に配付し、介護福祉分野に関する正しい知識や理解の促進に努めてまいりました。また、近年極めて重視されている介護福祉分野への理解を深めていくために、県高等学校進路指導部長会議等で先ほどのDVDを上映するとともに、県社会福祉協議会と連携して介護福祉に関する講演を実施するなど、さまざまな取り組みを積極的に進めております。
 今後とも、これまでの取り組みに加え、県立高等学校に配置している就職指導員や外部の介護福祉士等の協力を得るとともに、関係機関と連携を図り、教職員はもとより高校生への介護福祉分野に関する正しい知識や理解の促進に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 教育長、ありがとうございます。ぜひこれからもよろしくお願い申し上げます。
 最後なんです。介護職員の処遇改善のことなんです。
 今、お金の話もいたしました。やっぱりそういうことが多くて、介護労働者が短期間で仕事を離れてまいります。事業者や施設が介護職員を募集してもなかなか集まらない。これらの事態は、仕事に見合わない賃金を初めとした待遇がやっぱり悪いよねというところから起こっておるそうでございます。
 そんな中、介護職員の処遇改善の取り組みとして平成21年から実施をされました介護職員処遇改善交付金制度、これは平成24年度の介護報酬改定でその中に組み込まれ、処遇改善加算として継続されることとなりました。しかし、この制度は経過的なものとされ、次回の改定以降は不透明な状況にあるため、国の責任による安定した処遇改善策が不可欠となっております。
 国の平成24年賃金構造基本統計調査におきましても、10人以上の規模の福祉職場に従事する施設介護職員の平均年収は、先ほども私が申し上げましたが、約310万円とされており、他業種と比べて低水準であることから、離職者も後を絶たない慢性的な人手不足となっておるようでございます。このため、本年9月の和歌山県議会におきまして、介護従事者の人材確保に関する意見書を採択し、和歌山県議会議長名で衆議院議長等に対し提出をさせていただいたところであります。
 そこで、最後、福祉保健部長にお伺いいたします。
 現在、国において介護報酬の改定が審議されておりますが、県として今までどのように取り組んでこられたのか、また今後どのように取り組んでいかれるのか、部長の答弁をお伺いしたいと思います。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 高齢化の進展に伴い介護サービスに対する需要が増加し、質の多様化、高度化が求められる中、その根幹である介護人材の確保対策は喫緊の課題となっております。
 介護職員の処遇改善については、平成24年度から介護報酬に介護職員処遇改善加算が創設されており、平成23年度まで実施していた介護職員処遇改善交付金と同程度の1万5000円の賃金引き上げにつながっていることから、全ての事業所において活用されるよう積極的に働きかけているところです。
 また、現在、国において来年4月の介護報酬改定に向けた議論が行われており、その基本的な視点の1つとして介護人材確保対策の推進が示されているところです。
 県としましては、介護職員の処遇改善がさらに進むよう、介護職員処遇改善加算の継続を初め、介護人材確保に向けた総合的な対策の推進について、全国知事会などを通じて提言及び意見の申し入れを行ってきたところであり、今後も引き続き県議会や関係団体とも連携をとりながら、あらゆる機会を通じて国に対し働きかけてまいります。
○議長(坂本 登君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 部長、御答弁ありがとうございました。
 今後も、高齢者の施設や事業所などで働く職員が安心して働き続け、その専門性をより発揮することができるようにするため、国の責任と負担によって抜本的かつ安定的な処遇改善策を実施していただきますよう、県から国に対し強く働きかけるよう要望して、私の一般質問を終わりたいと思います。
 長時間、どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時31分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。
 最終日3人目、登壇させていただきますことを感謝申し上げます。
 さて、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 今回は、大きく3項目ということになりますので、まず1点目、中国・大連市への視察報告と中国への農産物販売ルートの拡大について、この点を1問目として質問をさしていただきます。
 去る10月15日から18日にかけまして、大連市で開催された2014大連日本商品展覧会の視察と出展に行ってまいりました。視察メンバーは、団長に井本泰造かつらぎ町長、以下、橋本市からは経済部長、九度山町の総括担当、JAの関係者の皆さん、県議会からは井出益弘議員、鈴木太雄議員、岸本健議員、そして私の4名、総勢17名が視察団を結成し、今回訪問したものであります。
 今回の展覧会への出展に関しましては、大連市からの要請があり、和歌山県の果実──今回の場合は柿だったわけですが──何としても中国市場にPRしたい、そういう願いもありまして訪問団を結成し、私たち県議会議員4人も加わり、今回の展覧会で成果を持ち帰りたい、このように考えて出かけたものであります。
 御存じのように、中国は検疫が厳しいため、輸出できるのは条件を満たした上での青森県のリンゴや鳥取県の梨、こういったものに限定されております。そのため、現在、和歌山県産の柿やミカン、梅、桃、そういったものは輸出できないままでおります。まず、大連市を訪問した際、ジェトロ大連事務所の荒畑所長から東北三省の概要の説明をいただき、その後、和歌山県産の果実の輸出に関しての懇談、意見交換をさしていただきました。
 まず最初に、大連市が和歌山の果実を輸出するのに際してどれほどの魅力的な市場であるかということの現状を紹介さしていただきます。
 大連市の人口は669万人、日本人は6039人、進出している日系企業は1851社もあり、比較的なじみの深い市となっております。和歌山県から進出している企業や飲食店もあり、進出や販売の売り込みに力を入れる、そういう市に値するのかなあというふうに思っております。また、日本語を使える人材も数多くおりまして、日本語能力試験N1の受験者は上海に次いで中国で2番目の多さとなっております。また、中国の中では大連市は親日的で、日本食が好まれ、ビジネスがやりやすい、そういう環境にあるようです。
 ただ、最近は、為替レートが円安になっていることから、日本企業の経済活動、これは厳しくなっているという話もございました。日本企業が日本へ輸出をする、この場合の決済は円建てで、売り上げの20%から30%が減少していること、それ以外にも、日本企業が経営上の課題として、現地の従業員の賃金が上昇していること、現地の人材の能力と仕事に関する意欲が低いこと、新規顧客の開拓が難しいこと、そして現地通貨の対円為替レートの変動が激しいことなどが、ここ最近の経営環境の課題として述べられております。和歌山から市場開拓をする際に気をつけておきたいことだなというふうに思っております。
 また、可処分所得でございますが、現在、上海よりも4年程度おくれている、こういう感覚がございます。大連市内を回ると大型のマンション、それから大型のショッピングセンター、外資系の飲食店などがふえており、現地の方は、4年後の経済環境は現在の上海と同様の水準になっている、こういうことを話してくれましたが、その可能性を秘めている市場だというふうに感じました。
 日本に滞在していて10年前に大連に戻った中国人の方と話をしたときのことですが、日本から大連市へ戻ったときの所得1400元、この程度だったんですが、現在は5000元、実に10年間で3倍も賃金が上昇している、こういう話をしていただきまして、これまでの経済成長、それから今後の成長、こういうものを感じられる都市でありました。
 また、日本企業ではユニクロを好んで着ている、こういう姿が見えましたが、現地ではZARA、これもブランドのイメージが高くて若い人たちが好んでいることや、マクドナルドやスターバックスも好まれておりまして、若い人たちの感覚は日本人とよく似た傾向にある、このように思いました。ですから、若い人を中心に味覚や品質も変化しているようなので、和歌山県産の果実が受け入れられる、こういう環境があるように感じました。
 実際、日本の果実に関しましては、品質が高く味もよいので食してみたいと思ってくれてる人もいるわけですが、日本からの輸出が制限されていることから、市場で購入することはできません。そのため、大連市の市場や志向の調査と分析を行うことによって、今後、和歌山県の柿を中国への輸出につなげられないだろうかなというふうに考えているところであります。
 今回は、事前に特定検疫審査手続と検査の申請を行っていたことから、和歌山県産の柿を展覧会に出展することができました。これは大きな成果につながるものだというふうに思っております。今回、主催は中国国際貿易促進委員会、大連市人民政府主催の2014大連日本商品展覧会でしたが、ここに和歌山県から富有柿、紀の川柿、平核柿、あんぽ柿、これらの展示会でPRを行うことができまして、現地から好評を得てきたというふうに思ってございます。
 来場者の評判は、おおむね次のとおりでした。橋本市の平核柿に関しては、種がなくて甘くて食べやすい、おいしい、こういう評価。かつらぎ町の紀の川柿は、中が黒いので見た目は余り見なれていないということだったんですが、とても甘くておいしい、こういう評価。九度山町の富有柿、これは、どうしてこんなに甘い柿ができるのですか、こういう評価をいただいております。中国の柿は、小ぶりでやわらかい柿しかないので、富有柿のように甘くてかたい柿はありません。和歌山県産のこれらの柿はとても評判になり、ブースに訪れた人から「どうして中国国内で購入することができないのですか」、「中国国内で販売してくれたら購入する意思はあります」などの意見をいただき、今後の輸入──中国からすれば輸入ですが──解禁になることへの期待の言葉を聞くことができました。
 過去に和歌山県産の柿を食べたことのある人も含めて、柿の評価をあわせて来場者に聞きました。和歌山県産の柿は甘くておいしい、歯応えがとてもよい、中国の柿と食感が違っていてとてもおいしいものです、こういう意見もあわせていただいております。和歌山県産の柿の展示に関しては、私たちのブース、列は絶えることがなく、当初予想していた以上の手応えを感じ取ることができました。この品質の高い和歌山ブランドの柿を近い将来、中国市場で販売し、評価を得られることを期待しております。
 会場内では、関係者の方からですが、「以前は和歌山県産の果実のPRは熱心だったけれど、最近はPRの機会が少なかったように思っていたので、今回の参加をとても歓迎しています」、こういう意見も聞かしていただいたように、継続した関係こそ信頼であり、将来の輸出開始につながるものだと感じた次第です。
 帰国後、11月、中国・遼寧省経済貿易訪日代表団が和歌山県を訪ねてくれました。遼寧省対外貿易経済合作庁、王庁長以下5名の方々、この訪問団は、私たちが訪問団を結成して展覧会に出展したこと、そして、日中首脳会談を受けて中国政府から地方政府に対して日中経済交流についてブロックが緩和されたことによって今回来県していただいたというふうに聞いてございます。そのとき王庁長からは、「和歌山県産の柿はとてもすばらしい。遼寧省としては中国国内の検疫の緩和について努力をいたします」、こういう話をいただきました。
 このように、事態は進展への兆しを感じられるようなこともなってきましたが、中国に向けての、中国の果実輸出に向けた協議開始に関して政府への働きかけを今まで以上に行ってほしいと期待しているところですが、農林水産部長からその取り組みについてお聞かせをいただきたいと思います。
○議長(坂本 登君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 議員の視察報告にもありましたように、中国では経済発展により富裕層が増加しており、輸出相手国として魅力的な市場であると認識しています。
 中国への果実輸出に向けた協議につきましては、平成16年度に日本政府から輸出解禁申請に必要な資料を提出しておりますが、現在も中国政府から具体的な検疫条件等の回答が得られていない状況にあります。そのため、県では、これまでも柿、桃、ミカンについて、植物検疫条件の早期合意に向けた中国政府との協議の開始について日本政府に粘り強く要望してきたところであり、今後も引き続き強力に働きかけを行ってまいります。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 日本政府から中国に対して輸出解禁要請、これを平成16年に柿の場合はしておりますが、9年以上回答がないということでございます。和歌山県からも、今、部長が答弁していただきましたように、植物検疫条件を早期に引き出して合意すること、これは継続して要望を続けてもらってるわけですが、いまだ進展がないということであります。今回の展覧会とかで成果を持ち帰りまして報告書も上げさせてもらっておりますが、ぜひこういったことも含めて、継続して強く要請をいただきたいと思います。
 来週16日から19日にかけて、今回は山東省ですね、和歌山県交流協議団、この7名の方々が和歌山県に来てくれる、こういうことを聞いてございます。今回の目的は、果実ではないんですが、和歌山市内でPET検査を受ける、それと和歌山城や和歌山マリーナシティ、こういったところを視察していただきまして、いわゆる医療観光、観光医療、そういったことの目的で来県してくれるというふうに聞いてございます。これも同省との今までの交流の成果であると思っておりますし、PET検査に関しては、今回の展覧会において私たち訪問団が和歌山県産の柿とともに強くPRをしてきたものですから、本県への来県を来週強く歓迎をしたいと思っておりますし、このような関係を今後築いていくことがこういった解禁につながっていくのかなというふうに思ってございます。
 そこで、中国へは検疫の関係から果実の輸出は今の状況では難しい、このように認識しておりますが、国内需要が伸び悩む中、海外への販路拡大は重要なテーマであり、取り組みだというふうに考えております。政府間協議を開始しないことには、当面、果実を中国に輸出することは困難だということですが、それであれば、中国市場だけではなく、より広い視点でほかの手段を考えることはできませんでしょうか。和歌山県として、中国市場を含め、農産物の輸出促進に向けた販路拡大の取り組みについて、農林水産部長からお聞かせください。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 少子高齢化など国内市場が縮小していく中で本県農業が目指すべき方向の1つは、将来を見据えた海外への積極的な販路開拓であります。9月議会で申し上げましたように、ミカン、柿、桃など、本県特産品の果実類は中国本土に輸出できません。しかし、アジアのショーウインドーと言われる香港へは輸出が可能であり、昨年の香港貿易発展局との覚書、MOU締結以降、国際見本市への出展や現地有力バイヤーの招聘など、中国市場も視野に入れて香港への取り組みを強化しているところです。
 また、県では、アジアのみならず、より広い観点でビジネスマッチングを進めております。本年8月には、ジェトロと連携してバイヤーを招聘し、県内から20社を超える事業者がEU、ブラジル、タイといった海外のバイヤーと商談を行いました。
 今後も、台湾、東南アジアなどでの果物の販売促進活動とともに、グローバルな商談機会を県内事業者の皆様に積極的に提供することで、おいしく、安全・安心な県産品の海外販路開拓を一層進めてまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今回の訪問団に関しましては、井出議員を最高顧問として展覧会に出展し、広く交流を深めていたところでございます。遼寧省からは来年以降もぜひ広げていただきたいという要請もいただいておりますんで、可能な限り協力していきたいと思いますんで、よろしくお願いしたいと申し上げます。
 続きまして、紀の国わかやま国体総合優勝に向けた取り組みに関して質問をさしていただきます。
 長崎国体を終えました。選手の皆様方は郷土の誇りをかけて頑張ってくれた結果、総合成績は15位と健闘してくれました。この頑張りを誇りに思っております。ただ、目標としていた14位には届きませんでしたが、その課題も見えたはずです。これまでも競技力向上のための施策を行っているところでありますが、順調に順位を上げ、紀の国わかやま国体では総合優勝を果たしてくれるものと信じておりますが、そのためにすべきこともあろうかというふうに思います。
 長崎国体で好成績を上げた種目はセーリングやなぎなた、自転車競技などでありますが、紀の国わかやま国体でも、これらの競技にはリード役として期待をしているところです。
 今回優勝したこれらの競技、それから選手の皆さんは、地元開催での国体ということで相当のプレッシャーを感じながら、この1年間の活動、強化を進めることと思いますので、県としてこれらの選手の皆さんを十分に支援していただきたいというふうに思います。
 そこで、国体推進監に質問をさしていただきます。
 長崎国体では総合15位、こういう結果でしたが、これをどう評価しているのでしょうか。また、今後の競技力向上のためにできる取り組み、これをどう考えているのでしょうか。例えば、今回の長崎国体で好成績を上げたセーリング、なぎなた、自転車競技に関してはどのような取り組みをしていたか。こういうことも優勝への課題として分析できるのではないかというふうに思いますし、引き続いての強化を期待したいところですが、これらの好成績を上げた競技の成果を含め、特筆すべきことがありましたらお聞かせいただけたらと思います。
○議長(坂本 登君) 国体推進監若宮茂樹君。
  〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) 長崎国体においては、目標順位の14位には届かなかったものの、昨年の東京国体18位から15位に順位を3つ上げることができました。特に、医科学サポートが功を奏したセーリング競技、トップコーチの指導が成果を上げたなぎなた競技、数多くの強化合宿や遠征を行った自転車競技が競技別の総合優勝をするなど、十分に実力を発揮し、本県選手団を牽引してくれました。
 一方、国体の独特な雰囲気の中で、実力、実績があるにもかかわらず、本来の力を発揮できず、得点を獲得できなかった競技もあり、総合得点の伸び悩みにつながってしまいました。紀の国わかやま国体男女総合優勝に向けては、長崎国体で好成績をおさめた競技をさらに支援し、確実に得点を獲得するとともに、競技別の総合優勝やチーム及び個人種目の入賞が数多くできるよう、全競技の競技力の底上げを図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今答弁いただきましたように、好成績を上げた競技の中には、医科学サポート、これが功を奏したというふうな競技もあるということをお聞かせいただきました。これは、公立大学法人和歌山県立医科大学みらい医療推進センターげんき開発研究所、ここを活用しているというふうに選手団からも聞いております。例えば、医学的なデータに基づくトレーニングメニューの研究、開発を行ってくれるので、選手にとっては課題の克服と技術向上、こういったものに資していると、こういうふうに聞いてございます。この施設を十分に活用して技術の向上を図っている選手もありますから、この施設を有効に利用することも大切なことだというふうに思います。国体に向けて競技力の向上を図るためにも、このセンターの活用を図っていただきたいと思うわけですが、2問目でございます。
 セーリングチームは、このみらい医療推進センターを活用してトレーニング、あるいは国内、国外の遠征のときなどにアドバイスをいただいてるというふうに聞いてございます。ほかの競技でも活用を図ることで競技力の向上につながることだというふうに思いますが、紀の国わかやま国体総合優勝に向けてさらに連携、活用を図るべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。国体推進監にお答え願います。
○議長(坂本 登君) 国体推進監。
  〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) 医科学面からの選手サポートは、競技力の向上の側面的支援として非常に有効であると認識しており、男女総合優勝に向けた取り組みの柱の1つとして、トレーナー派遣や医科学チェック、ドーピング防止など、関係団体と連携して積極的に進めているところです。
 議員御指摘のみらい医療推進センターげんき開発研究所は、トレーニング指導や映像、メンタルサポート、メディカルチェック等、医科学サポートも非常に充実しており、既に競技選手が活用しているところですが、紀の国わかやま国体男女総合優勝に向けては、さらに多くの競技団体が活用するよう取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今答弁いただきましたこの研究所は、障害者スポーツにもかなり力を入れてまして、あわせて紀の国わかやま大会、こちらの選手も活用していただくことで効果があるのかなというふうに思います。
 国体に関しましては、先ほどの午前中の先輩議員でも質問がありましたように、県民の皆さんから、国体は来年ですから、ぜひ県議会で活発な議論をしてほしいという意見も届いております。しっかりと応援していきたいと思いますんで、あわせてよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、第3問目、空き家対策について質問をさしていただきます。
 今さら言うまでもなく、我が国の人口はピークを過ぎており減少に向かう、これは確かな未来として予測されているところです。経済は成長期から成熟期に入っていることから、社会構造をこの経済規模等に合わせて転換させる必要があるのかなというふうに思います。人口が減少しているにもかかわらず住宅着工数は伸びていて、それに関連するように空き家はふえている、こういう状況になっております。管理されないで放置される空き家がふえることになりますから、建物の老朽化、破損による危険性の拡大、雑草や樹木が茂ることへの迷惑な環境、まちや周辺の景観に支障が生じる、あるいはこういったことで地域全体の治安悪化につながる、こんな問題が発生しておりますし、今後ふえていくんではないかなと危惧しているところであります。
 空き家は、全国的に見ると、平成25年の住宅・土地統計調査のデータによりますと、空き家は約820万戸、空き家率にすると約13%となっております。実に8軒に1軒程度が空き家だということになります。同じく、このデータによりますと、和歌山県の空き家率は約18.1%ですから、約5軒に1軒が空き家だということになります。
 価値総合研究所が実施したアンケートがあります。空き家所有者、空き家利用意向者アンケート、こういったものですが、これによりますと、空き家のうち売却や賃貸などを検討している人は24%、71%の人は特段の活用は何も考えていない、こういうことになっております。空き家を所有しているだけで管理もしていない人、これが12.8%いる。こういった放置された空き家が地域の問題になっております。また、一戸建ての住宅が空き家になっている、この比率ですが、82.4%もあり、空き家の所在地は市街地や市街地周辺が59.8%、こういったデータが出ております。
 空き家が管理できない理由について、これは国交省近畿地方整備局が調査したデータ、住環境整備方策調査業務報告書2012年3月、これによりますと、所有者が遠方居住により定期的な管理ができていないことが52.6%、これが一番多い理由になっております。次いで居住者の死亡や相続人の不在によるものが50.7%、3番目は、居住者が補修や解体費用を負担できないなどの経済的理由、これが34%、次いで、ほかの地域へ住みかえしたこと、子供宅や高齢者施設への住みかえをしていることが31.2%になっております。つまり、空き家の近くに所有者や相続人がいないことが問題になりますから、勧告や命令をしても遠方にいるとなかなか届かないため空き家対応ができていないことや経済的な理由、こういったものが支障になってこようかというふうに思います。
 同データでは、空き家発生に伴う問題、これも取り上げておりまして、空き家敷地内での雑草が繁殖すること、樹木の越境の問題、これが42.8%、現在問題は発生していないが事故が発生する懸念、これが36.3%となっています。ここでいう事故が発生する懸念というのは、空き家の倒壊事故、放火による延焼、不審者侵入や不法滞在、ごみの放置による異臭や害虫の発生、空き家周辺の良好な住環境が保たれないこと、こういったことが問題だということであります。つまり、空き家が増加するという問題は、都市環境の悪化や犯罪の温床になるなど、インフラ整備、ごみ収集、行政サービスの効率を悪化させるなど、こういった側面があろうかというふうに思います。
 全国的に問題になっている空き家ですが、和歌山県の場合は全国でも空き家率が高い県となりますから、取り組みが必要だと思います。そのため、和歌山県では、空き家問題にいち早く対応するため、通称・景観支障防止条例、これを制定し対応してくれていることは周知のところであります。建物が廃墟となり景観に支障が生じる場合、周辺住民の方から要請に基づいて除去するなどの措置を可能にした条例──知事は、要請に基づいた対応の必要があると判断した場合は、手続を経て空き家の除去等、勧告や命令を行うことができる、こういう条例になっております。
 一方、和歌山市では、和歌山市空き家等の適正管理に関する条例が制定されております。これは、和歌山市内において適正に管理されていない空き家を発見した人からの情報を受け、所有者に指導や勧告、命令を行うことができる、こういう条例であります。この条例においては、空き家の所有者は当該住宅等について管理を適正に行い、当該住宅が危険な状態の空き家等にならないようにしなければならないと、所有者の責任を規定しております。
 また、空き家の除去に関する補助制度として、国庫補助の対象となる不良住宅、これに該当する空き家の除去費用の3分の2、ただし上限は60万円ですが、これが受けられることになっております。和歌山県条例の場合、周辺住民の総数の3分の1以上の共同申請が必要であるのに対し、和歌山市条例は1人からの要請に対してでも対応できる、このような姿になっております。より空き家に対応するために住民の方々の手続が容易になっているので、和歌山県としては和歌山市のこの条例に関して市と連携することで成果があらわれるのではないかと思います。
 一方、国では、空家等対策の推進に関する特別措置法、この1条で、適切な管理が行われていない空き家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命、身体、財産の保護、生活環境の保全、空き家等の活用のための対応が必要としているように、いよいよ本格的に空き家対策を推進しようとしております。この特別措置法では、市町村による空き家等の対策、この計画の策定と協議会の設置、空き家の所有者への調査、データベースの整備などを行うことを示唆しております。県は、市町村に対し、技術的な助言、市町村相互間の連絡調整、こういったものに必要な援助をするようにここでは示されております。
 空き家問題がクローズアップされてから和歌山市内で現地を幾つか訪問をしたところ、「道路に面していない狭い土地なので買い手がつかず売買もできないと思いますし、駐車場にするには狭いと思います」、こういう意見、あるいは「月に1回はこの家に戻り、清掃や風通しをしていますが、仕事があるので──この方は東京で仕事をしているんですが──最近は忙しくて、毎月和歌山市に戻ってくることができなくなりました。処分をしたいのですが、中古物件は売買が難しいと感じています」、こういう意見を聞くことができました。空き家に注目して市内を歩いてみると、意外と、中心市街地もそうですが、住宅地も多く見られ、その多くはどこにいるのかわからないと、こういうふうな声も聞かれております。
 そこで、知事にお伺いをさしていただきます。
 空き家に関しては、和歌山市も条例をつくって強力に取り組もうとしておりますから、県としても連携して対応をしていただきたいと思います。これまで、和歌山市との連携や空き家への勧告、命令、こういった状況はどうなってますでしょうか。また、次年度に向けた和歌山市の空き家対策の補助戸数の拡大や支援方策などに関して、和歌山市との連携強化はどのようなお考えでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県の空き家率は全国的に見ても非常に高く、その対策としては、都市計画の観点からいえば、都市の外縁的拡大をこの辺でとめて、中心部などの再活性化を図っていく中で空き家の活用、再生、更新といった総合的な取り組みが必要であると思います。
 廃墟となった空き家対策としては、県は平成24年1月に景観支障防止条例を、市は平成25年4月に和歌山市空家等の適正管理に関する条例を施行したところであります。県と市の条例では、例えば空き家対策の対象は、県は景観上の支障があるもの、市は危険な状態にあるものと異なっている部分もあるものの、住民の方から相談があった場合には必要に応じて県市がそれぞれ現地を確認するなど、条例の適切な運用がなされるよう情報共有を図りながら対応してきたところであります。
 しかしながら、現時点では、和歌山市内において250件程度の相談はいただいたんでございますが、勧告、命令した案件はまだございません。引き続き、県市連携して廃墟となった空き家の除去対策に取り組んでまいりたいと思います。
 また、景観支障防止条例を県でつくったときに、これは県でやるので、市としては補助を出してでも目に余る空き家は除去したらいいんじゃないかというようなことを事務当局を経由して提案をさせていただいたことがあるんですが、現在では、国土交通省所管の空き家再生等推進事業を活用して、和歌山市が不良空き家の除去に対する補助事業を実施しております。こうした空き家除去の補助戸数の拡大については市が判断すべきことと考えますけれども、県としては、必要な国費の確保など、可能な限り市に対しては協力してまいりたいと思います。
 さらに、今般公布されました空家等対策の推進に関する特別措置法を踏まえて、県としてもさらなる空き家対策を検討していくとともに、今後、法に基づき国から示される指針等を踏まえて、和歌山市を初め各市町村と連携を深めていきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今お答えいただきましたように、和歌山市内においては相談が250件程度ということになります。僕も幾つかちょっとかかわらしていただくんですが、ほんまに対応する難しさというのは感じているところであります。
 そうした中で、和歌山市に関して、市民の方から市役所に空き家があるんで何とか対応してほしいという問い合わせをして、職員さんが現地に来てくれると。そしたら、いわゆる空き家が危険なので見に来てほしいという依頼をしたら、本当に見に来るだけということで、見に来て帰ってそのままというふうなことが、実は何人かの方から聞かされております。これはしっかりと県も、その辺、サポートしてもらえないだろうかという意見も出ておりますんで、市民の皆さんに不安を感じさせないように、不安を緩和するように早期の対応を望みたいと思います。
 そこで、空き家のうち売却も賃貸もできない、つまり収益性の低い土地に建設されている家屋が空き家になっていると思います。そのため、これらの収益性が見込めない空き家に、相続人など空き家の取り壊しを求めても実際は難しいんではないかというふうに思います。また、商業地内の空き家と住宅地内の空き家では、対応、対策が違ってくると思います。商業地であれば、近隣の事業者が買い取ること、買い支えることや、リノベーションによって再利用が可能な場所もありますが、住宅地の場合は再生や活用は難しいというふうに思います。裏通りの住宅や駐車スペースの確保できない狭隘な土地であれば、取り壊しても買い手がつかないので対応が難しいのではないかというふうに思います。
 このように、地域別あるいは住宅の形態に応じた対策も必要だと思いますので、検討することはありませんでしょうか。県土整備部長からお答えください。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 先ほど知事が説明しましたとおり、町なかの再活性化を図るためには、総合的な観点から空き家の活用、再生、更新を検討することが不可欠であり、町なかが空洞化、廃墟化するプロセスを断ち切るという方針のもと、劣化してない空き家はどんどん使う、劣化した空き家は再生してよりよく使う、再利用が見込めない空き家については更新して新しく使うなど、地域の特性や住宅の形態に応じた対応が肝要であると考えております。
 また、今般、空家等対策の推進に関する特別措置法が国会で成立しました。この法律によると、空き家対策を総合的かつ計画的に実施するために、市町村は空き家等対策計画を定めることができるとされております。県としましては、市町村の策定するこの計画が商業地や住宅地といった地域の特性や住宅の老朽化の程度に応じたものになるよう、また行政と民間が連携して空き家対策に総合的に取り組むことのできるよう、市町村に対し、情報提供や技術的な助言を行ってまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 この空き家対策に関しては、和歌山県や和歌山市では、条例化して危険な空き家への対応、環境への対応をしているところでありますが、さらに強力にこの空き家対策、空き家を減少させるためには、固定資産税をさわる必要、この必要性があると思って何人かと議論していたことがあります。現在、空き家を放置しておくと、壊れかけている家屋であっても壊さないでいると、その土地は宅地扱いということになりまして、更地にするよりも固定資産税が軽減されている、このような状況になっております。ですから、高い解体費用を出して、その結果、さらに固定資産税も高くなってしまう、これをよしと思う人は少ないと思います。この固定資産税の制度も、空き家が増加している原因の1つかと思います。
 このほど、部長から答弁いただきましたように、空家等対策の推進に関する特別措置法、これが成立し、危険な空き家を放置している場合、固定資産税の優遇措置から除外することを検討し始めました。現行制度では、住宅が立つ土地の固定資産税は、敷地が200平米以下の場合は6分の1に減額されています。多くの場合は、空き家になってもこの減額は変わりません。しかし、解体して更地にしてしまうと税率がもとに戻るため、所有者が老朽住宅を放置する原因になっています。そこで、特定空き家への優遇税制を打ち切ることで空き家の取り壊しや土地の転売などを促進させ、危険な空き家を減少させよう、こういう考え方であります。
 和歌山県では景観に支障がある空き家対策を、和歌山市では危険な空き家対策を条例を定めて対応しているところでありますが、税制の問題は触れることができないため、今回、国の具体的な動きに注目したいというふうに思います。今後のスケジュールは、平成27年2月末までに基本指針を、5月までにガイドラインを策定する予定になっているようですが、県としてこの動きに即座に対応してほしいと思います。
 そこで、空き家対策としての固定資産税の優遇措置の除外は空き家対策として有効だと思いますが、特定の空き家に対する優遇措置の廃止についてはどう考えますか。この点については、総務部長からお答えください。
○議長(坂本 登君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 空き家の除却が進まない要因は幾つか考えられますが、その1つとして固定資産税の住宅用地特例が指摘されていることは議員御指摘のとおりでございます。そこで、本年6月に行いました政府提案におきまして、空き家の撤去の阻害要因とならないように、一定の空き家について固定資産税の住宅用地特例を適用除外とする制度を創設すること、こういった提言をしてまいりました。
 先般成立しました空家等対策の推進に関する特別措置法の15条第2項では、対策の適切かつ円滑な実施に資するため必要な税制上の措置を講ずるというふうに規定されているところでございます。今後、国においてこの取り扱いの議論がなされる見込みであります。県といたしましては、本県の提案が実現されますように引き続き働きかけてまいりたいというふうに考えております。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁をいただきました。
 各市内、各地で、いろいろ皆さん方を訪問すると、最近いろんな課題を話をした中で、必ず質問が出るのがこの空き家ということになりまして、これが地域にとって深刻な問題であるということを実は気づいたところで、今回取り上げさしてもらったところであります。
 税制と法律、この2つを変えることによってこういった問題が解決に向かうと思いますし、県では条例をつくって定めて対応してくれているところであります。ぜひ、税制の改正とともに、条例をうまく活用していただきまして、また、和歌山市との連携をとっていただきまして空き家対策をより推進していただくことをお願い申し上げまして、一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 16番尾崎要二君。
  〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 総選挙の真っ最中、慌ただしい中での12月定例会一般質問も私が最終ということで、あとしばしおつき合いをいただければと思います。
 まず、第3選目ということで、見事当選を果たされました知事にお祝いを申し上げたいと思います。そして、今回の知事選挙、大変高い得票率で当選をされたということは、多くの県民が、この4年間、課題の多い和歌山県のために全力で仁坂さんに頑張ってもらいたいという思いを示した数字ではなかろうかなと思っております。それゆえに、大きな期待が知事の背中に乗り、そして同等の責任もずっしりと知事の肩に乗ったということでありますので、多くの課題に関して期待に応えられるように思い切った施策をぜひおとりをいただきたいと思っています。
 それでは、私は今回、要望1点、そして質問5点についてさしていただきたいと思います。
 まず、要望でありますけれども、きょうの一般質問、午前中の中村議員、山下議員の質問の中にもございましたが、がんの先進医療の支援事業というか制度、これについてであります。この事業は、個人の寄附が原資となって、そして発足した事業でありますけれども、少し経緯をお話しさせていただければと思います。
 私の地元でございます下津町に住まいする芝本十三さん、通称「じゅうやん」と御近所では呼ばれておりますけれども、この方から、ことしの春でありますけれども、旧知の間柄でありますので私の家に電話がございました。そして、そのときの電話では、「折り入ってお願いしたいことがある。頼みたいことがあるんや」と。「ただし、体調がすぐれないので、車も運転できないような状態なんで、悪いけど、家まで足運んでもらえるやろか」というような話でございましたので、すぐに芝本さんのお宅へ私は行かせていただきました。既に体調不良で入院されてたということもお聞きをしておりましたので、おうちへ行ってすぐに「調子はどうなんや」ということを尋ねましたら、随分やつれられて、家の中で歩くのも精いっぱいというような状況でございました。
 そして、そのときに「折り入っての話はどういう話か」とお聞きをしたところ、「仁坂知事にぜひ会わしてほしいんや。その労をとってくれるか」というような話でございました。体調もすぐれんような状態で知事に会いたいと。「会いたいということに関しては、すぐそのお願いはさしていただけるけれども、いかなるようなことでか」ということを尋ねましたところ、「御承知のように、家内も数年前にがんで亡くなった。そしてまた、今自分もがんに冒されて、もうこういうような状況まで来たという状態の中で、何とかわしも最後に、せめて世のため人のためにお役に立てられるようなことはないかということで、仁坂知事に寄附をさしていただいて、県で自分の思いに合ったようなことをしていただけたら」と。「それは、そうすると県だけということか」と聞くと、「仁坂知事へ」と再度言われるものですから、「知事と今までも会って話をされたことがあるのか」と聞いたところ、「いや、一度もない」と。「でも、テレビやいろんなところで見さしていただいて、この人なら託せると思ったんで、ぜひしてもらいたい」ということでありました。
 本人の病状も病状ですし、それと、家は土建業ということですけれども、小さな土建業で、日々ほとんど長靴と作業着姿という姿以外は私もほとんど記憶がない。そして、現場で土にまみれ汗をかいてということで、みずからその現場でいつも汗を流してたようなタイプの方でございます。「もう申し出はよくわかった。ただし調子も悪い。そうなってくると、物入れ等も売って、じゅうやん、その話、それで大丈夫なんか」と、金額も大変大きな金額を言われましたので再度尋ねたら、「先生、心配してくれんでも構へんよ。体はこんな状態やけど、頭はぼけてないさけ大丈夫や」というようなことで、既にその日にもう弁護士にも午前中お会いして、後のいろんなことも全て終えているということでありましたので、早速、県のほうは知事のほうへ御連絡をさせていただいたところ、いつでもお会いさせていただくということでありました。
 そのときに、必ず私には同行するようにと。というのは、「わしも土建屋やってきて、偉い人と話しするのなれてない。体調も悪い。自分の思いが伝わらないようでは困るんで、もししゃべれないんだったら、尾崎さん、あんたしゃべるの仕事やから一緒に行ってくれ」という話でございました。内容は、大きな寄附金とともに、ぜひがん治療で、それもがんはがんでも、お金のある人は先進的な医療を受けられるけれども、やはり経済的に厳しいおうちの場合は、同じ病気なのにそんな治療が受けられないという現状を見るにつけ、聞くにつけ、少しでもそういう困っておられる皆さんのお役に立つような形で使ってほしいんだということでありましたので、知事室のほうへ足を運ばせていただいて、その旨を知事にも十分お話をさせていただいたと。知事も、「できるだけ御期待に応えられるように、そして早期に対応していきたい」ということを約束してくれました。
 本人、そのときに記念写真も撮っていただいて、後、知事室から出てきて、「はあ、やれやれ。これで思い残すことはないよ」というようなことを私にも言われてたので、「まだまだ達者してもうて、これが事業となって、どうなっていくかを見届けてもらわな」というようなことを話したわけでありますけれども、記念写真を持っていって、また再度、「大事にせなあかんで」という話もさせていただいたんですが、知事にお会いしてからちょうど1カ月後ぐらいに亡くなられたわけであります。
 ただし、県のほうでも、その故人の思いを十分に酌んで、そして9月定例会にがんの先進医療の支援の制度を早速おつくりいただいたと、そして議案として出していただいたということで、そういう素早い、その故人の思いに応えていただいたことに対して、心からこの場をかりて知事並びに担当部局に御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 特に大事なことは、今、家族が家族で支えられないような、そういう少子化というか過疎化になってきた。地域が地域でも支え合いができないというような社会にもなりつつある中で、県民が県民を支え合いするというようなことに、私はこの事業の大きな意味があるのではなかろうかなと。ただし、その事業が制定されて、今2名の方がもうそれを利用されてるようでありますけれども、これが続いていけるように、そういう寄附に関するPRから始まって、今後、存続に関してもぜひひとつ勉強していただきたい、お願いをさしていただきたいというようなことで、これは要望でありますけれども、よろしくお願いをしておきたいと思います。
 それから、早速質問でありますけれども、地方創生について今回お伺いをさせていただきたいと。
 今、総選挙の真っ最中、先ほども県庁正門で自民党の候補者が参りまして演説会があったわけですけれども、そのときに御来賓でお見えになっていただいたのが、もとの官房長官、河村さんであります。河村さんは、この地方創生のいろんな大きな、重要な役にもおつきをいただいてるようですけれども、マイクを持って、私の耳に残っておりますのは、地方創生、口で簡単に言うほどそんな簡単なもんじゃないんだというような言い方をされておりました。私も、それは常に感じているところであります。特に、今回、石破茂さんが地方の創生の担当大臣として任命をされた、まち・ひと・しごと創生に係る有識者の懇談会が、8月の27日ですか、発足をしております。また、まち・ひと・しごと創生本部も設置をされたというような形の中で、今回の選挙を迎える前の本会議でその法案も成立をしております。
 ただ、1つ考えなければならないのは、国の財政が急に豊かになって、そして地方のためにどんどんと事業をしましょうかというような今の財政状況ではないと。よく耳にするのが、地方の自主性、また創意工夫というようなことが随分その前に強調されておりました。ということは、一生懸命頑張って考えて、そしていい案を出したところはどんどん応援しましょう、それでないところはそう簡単にはいきませんよというような捉まえ方もできるわけであります。限られた財源をいかに有効に使うかということになってまいりますと、いよいよ地方の力量が試されると。多少、交付税で、自由度が高まるような交付税がふえるというようなこともあるかもしれませんけれども、やはり一番大事なこと、一番の正念場は、その法律の9条で都道府県の総合戦略、10条で市町村の総合戦略ということがうたわれております。ということは、国から見て、都道府県と市町村ががっちりとスクラム組んで、そして地域の皆さんや事業所ともがっちりスクラム組んで、そして地域の特性を生かしてこんなことをやっていきたいんだということを示していかなければ、また、その熱がなければならないというように感じる次第であります。
 それゆえに、この地方創生、和歌山県下においても、日本創成会議が人口の減少について触れておりますけれども、私どもの和歌山県も、平成7年に108万あった人口が19年連続減少して、ことしの秋には97万と、11万減少してきたと。知事も、就任をされた2年目、今から6年前でありますけれども、和歌山県の人口は、油断して、頑張らないとどんどん減っていきますよという長期計画をお示しになられた。その示したような流れになってきたなということですけれども、ぜひ今回のこの事業をもってこの流れにさおを差したいと、「どんどん減っていくぞ、和歌山県」と言われる声に対して歯どめをかけたいと、そういうチャンスでもある事業ではなかろうかなと思っております。
 そのためには、我々議会も一生懸命汗をかいて、その先頭を行くぐらいの気概で和歌山県発展のために尽くさなければならないと思うようなわけでありますけれども、これらの地方創生について知事にお伺いをしたいと思います。
 本県では、地方創生、そして人口減少についてどういう姿勢で挑むのか、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 次、2点目でありますけれども、中小企業振興条例の効果と課題についてであります。
 昨年の、ちょうど1年前の12月定例会でありますけれども、この条例が制定をされました。条例制定までに県下の経済団体の皆さん何団体もお運びをいただいて、そしていろんな貴重な御意見も賜った。県民の皆さんからもどんどん意見出してくださいということで、その発言も求めて、そしてそれらを盛り込んだ上で、条例としてよく陥りがちな「着々」、「ますます」と、よく読んでみたら、これって具体的に何をするんじゃないなというような条例であってはならんということで、例えば、和歌山県の式典やパーティー、そういうところでは地酒で乾杯をしていきましょうと、そういう動きを議論しておりましたら、もう早速それに呼応して、海南市では、そういうときには地元の清酒で乾杯していきましょう、できるだけそういうように心がけましょうというような乾杯条例が発足をしたと。そして、県の条例の後、田辺市においては、梅酒で乾杯、それから、梅の利用促進に係る条例も制定をされたと承っております。いい流れだなと思うのと同時に、やはり県民が県内のそういう品物というか、それを大事に使っていくような風潮が生まれなければ、地元でも愛されないのに、外へ行ってどんどん売れるかというと、そんなわけにはいかないと。
 きょうは、午前中、中村議員が何かテープカットするときに生花をと言うたら、部長はちょっと枯れたりするので難しいんでという話だったけど、和歌山県で一生懸命使わないものが、よそへ行ってどんどん売れるかと、そんなわけにはいかないと思いますので、まず和歌山県下の特産品、そういうものに対する愛着と同時に、できるだけ地元を大事にしていきましょうよと、地産地消を進めていきませんかというような条例であります。
 この条例に関して1年が経過したわけでありますので、これまでの県産品の徹底した利活用を初めとする中小企業振興に対する県の取り組みについて、知事の御所見を伺いたいと思います。
 次に、質問の3番目でありますけれども、県単砂防事業についてであります。
 どうしても、県土整備部の中でも、この砂防という話をすると、余り今まで取り上げられなかったというか、道という形になると日が当たるんですけれども、どうしてもこの砂防事業というのが後回しになってきたというような、私も27年ほど県会議員さしていただきまして、まだまだ短いわけでありますけれども、これを随分感じさしていただきました。
 と申しますのも、もう随分前になりますけれども、長野県で田中という知事が誕生されました。そして、その知事のキャッチフレーズは、砂防事業ほど無駄な事業はない、自然を破壊していると、税金の無駄遣いだということを一生懸命主張されました。そして、それに対して、テレビを初めマスコミもやんややんやと持ち上げて、見識のない評論家が出てきて、「ああ、そうや、そうや」というようなことをどんどんマスコミで流すものですから当選をされたわけであります。
 そして、それ以来、まず砂防事業するにおいても、ダムもダムですけれども、その下に流路工という水を流すものでありますけれども、これなんかもほとんど公共事業でも使えなくなってしまったという形で片隅へ追いやられました。そして、長野県では自然を大事にされたんでしょうけれども、ことしになって集中豪雨で何名かの方がひどい土砂災害で亡くなっておられます。マスコミは何て言うかというと、なぜ砂防事業をもっときちっとしなかったのか、この責任は大きいぞと。事によってぱたん、ぱたん、ぱたんと、こんな無責任な論評をまあよく出してくれたもんだなという思いをそのときにいたしました。
 3年前の紀南の大水害のときもそうであります。この砂防ダムの威力というのを私もまざまざと見せられたのは、那智川沿い、ねぼけ堂という、多分これはレストランか土産物売り場の駐車場から対岸を見ますと、対岸に川の川筋、支流ですけれども、1カ所は土石流で下まで大変な状態で、車ぐらいの大きさの石までごろごろ転がってきて、下のほうのおうちは跡形もなくなくなっておりました。
 その同じような条件で、上流側にある沢というか支流も崩れてたわけでありますけれども、その大部分の石を砂防ダムが食いとめて、ぴたんととめて、下にあった家は大きな被害が出なかったという、こういうことがあるわけでありますので、いろんなこの事業に関して、見識のない者が、そういう厳しい条件に住まいすることのない者が、まちの便利なマンションで住んでるような者の評論家が出てきて、やれ地方でどうだこうだというような、もう失敬な言い回しはしてもらいたくないなというような思いすらあるわけでありますけれども、今回のこの質問に関しては、崖崩れ、昔で言う急傾斜対策事業、今、崖崩れの対策事業ですけれども、これの大きなものに関しては、交付金すなわち公共でしていただけると。小さいものに関しては県の単費で対応していこうということで、これらについても大変な効果を上げていただいております。
 ただ、砂防に関しては、大きな砂防、公共の事業はあるんですけれども、県単砂防というのが、以前、指定砂防ということで、私の地元下津においてもよくこの事業をしていただいたんですけれども、今それがなくなってしまっているという状況がありますので、何とか小さなそういう谷に関しても命を守るということでぜひ対応していただけないかなあということに関して、今回、県単砂防、特に紀南の大水害、長野でも土砂災害があった。そして、広島でも土砂災害があった。そして、そのときにも言われたことですけれども、土砂災害の警戒区域の指定がまだ和歌山県下でも随分空白というか、されてないところもありますんで、これらも頑張って指定をしてもらって、大雨が降る、すごい台風がやってくる、スーパー台風というんでしょうか、これなんか毎年来ても不思議でないような状況になってきた地球温暖化、こんなこともありますので、ぜひお願いを申し上げたいということでの県単砂防について、その考え方に関して、知事の考え方をお聞きをさせていただきたいと思います。
 それから、4番目でありますけれども、浮上式堤防であります。今議会でも、この堤防に関しての質問がございました。
 実は、世界で初めてという鳴り物入りで御説明をいただいて、地元も喜びました。ところが、よく皆さんに、東北のあの震災があってからそういう事業ができてきたんやと言うていただくんですけれども、実は、この事業はもうその前から、海南市に住まいする南海地震で随分被害を受けた人たちから、やはり津波に対して心配なんで、ぜひその対応を考えてもらいたいと、そして県も一生懸命汗をかいてくれて、そして国のほうでも考えてお示しをいただいたのが浮上式と。わかりやすく言うと、地面の中へ筒入れて、筒からぷるっと出てきて、ふだんは畳んどくと。なぜそんなことをせないかんのかというと、そこは航路だということでありますので、タンカー等がそこを通航せねばならんということですので、平時はそれなりの水深と幅を確保しなければならないと。災害が起こったら下からぽこぽこぽこと出てくるというもんだということでお示しをいただきました。
 その対策協議会というのもありまして、私も何度も質問させてもらいました。議場におられます藤山議員もいつも一緒に出席をして、互いにいろいろ聞いたんですけど、もしその筒、さびついて抜けなんだらどうするんなと。カキやあんなものがくっついて上がらんということはないんかと。停電になったら空気送れやんので浮いてこんやないか、それ大丈夫かと。もう1個、大きな地震が来たときにはどうなると。そうすると、そのときの説明は、単なる、出た堤防の上を津波が超えると。ですから、減災にはなるけど、完全にはとめられないけど、大きな地震にも対応できるという説明は、私はこの耳で聞いております。
 ところが、いつの間にやらむじゃむじゃむじゃと。去年の秋ごろから空気がおかしくなって、私の耳にも、「どうやら調子悪いみたいや」と。そして、年明けてから聞いたら、もうほぼとまった状態で、「せんみたいや」と。雑賀議員が前の議会でお尋ねになられました。「どうな」と言うたら、「あかんというように聞いてます」と言うて答弁があった。まあ、これでええんかなと。そうしますと、私は国の技術やそういうのに対しても大きな不信を持たざるを得ないということであります。
 例えばで比較するのはおかしいかもしれませんけれども、皆さんも御承知のように、奈良に大滝ダムという立派なダムができました。昭和37年から調査を始めて、昭和47年から工事にかかると。事業費は230億、10年で完成しますと。ですから、昭和57年にはでき上がってなかったらあかんのですけれども、ちょっと調子が悪くなったんで変更、変更、変更、変更、変更、変更か、今6回言うたと思いますけど、6回変更しました。もうその中で一番ひどいなと思ったのは5回目。もうダムも完成して水を入れました。そしたら、予想もしないところで地すべり起こって、その上にある家、これをもう避難させなければやむを得ないんで、安全なところに避難をするためにプラス事業量をふやしますと、和歌山県もようけ持ってくださいということでありました。まあ本当に腹が立って仕方なかったんですけれども、やむを得んかということで安全な場所へ避難をいただいたんです。そして、少したったら、実は、安全な場所へ避難していただいたところで地すべりが始まりましたので、またよろしくお願いしますというのが6回目の話でございました。
 結局、230億がどれぐらいかかったんかといったら、ちょっと多い目にかかって、どれぐらいよと言うと3600億かかったと。10年でできるのが42年かかったと。これが国の技術かと私自体は大変憤慨をして、当時、建設省──国土交通省になってたかな──河川局長のところへも文句を言いに行ったことがあります。そして、申し上げたのは、事業費が膨らむのは結構だけれども、和歌山県の負担金もどんどんふえていくと、もうまるでアリ地獄へはめられたようなもんだと、大概にしてもらいたいということもはっきり申し上げました。もちろん、内気な性格でありますから少し遠回しに言おうと思ったんですけれども、今言った言葉のとおりの話をさせていただきました。
 局長いわく、「そうしてお怒りだということはもう既に私のところへも報告が来ておりますけれども、何とか御協力を」というような話でありましたが、やっと完成して、そして、和歌山県の当初230億の──それは総事業費です。和歌山県の持った分担金は458億。当初の事業量よりも、倍を超える負担金も持たされたと。ですから、やっぱり事業というのは、こうですよと言うてお示しをいただいたら着々と誠実にしていただかなければ、「様子が違ったんで、様子が違ったんで」と、ころころ変わるようでは信頼が得られないと。
 例えば、今回の福島の原発のところで、地下水が海へ流れると、海の汚染をとめるためにはどうしてもこの地下水をとめざるを得ない。そのときも出てきました。「地面を凍らせて壁をつくって、それで水をとめられるんです」と言うてくれたんで、大丈夫かなと思って聞いてたら、もう案の定、つい先般、「あれはどうもうまいこといかんので違う方法を考えていきたいと思います」ということでありました。
 今回のこの浮上式の堤防、そんなことはまさかないであろうとは思うんですけれども、やっぱり目の前にいつ大きな地震が起こるかわからない。そして、大きな津波が来るかわからない。海南市、地元の市では、安全・安心のまちづくりと、もうこの看板自体が折れて曲がってしまいそうなほどの状況でありますので、やはりぜひ早急にその対応を考えてもらいたいというのが地域住民の思いであります。
 それゆえに、この事業の整備方針変更を検討していると聞いているが、同じ轍を踏まぬよう心して取り組んでいく必要があると。国に対する働きかけを初め、県としてどのようにしていくのか、知事の考えを承りたい。
 その次は、道路整備についてであります。
 道路整備の中で、国道42号線の有田─海南間の取り組みについてであります。
 平成4年、この時期に、有田市と下津町で、これだけ道路が渋滞しては何ともならんということで、何とかその方策を改善していきましょうということで、お互いに協議会をつくりました。当時の市長は中本さんという市長で、当時の県会議員は上野山さん。それから市長さんも県会議員さんも指折ったら何人も変わるぐらいの年数がかかっております。そして、平成7年だったと思うんですけれども、私が建設委員会委員長を拝命させていただいて、そして同僚の議員さんも、一度そんなにひどいなら現場へ見に行こうやないかということで、朝7時前に有田市役所へ集合いただいて、ようこんな時間に集合かけたもんやと怒られながら、その時間帯に走りました。
 ただ、ちょっと失敗したのは、余りにも出発する時間が早過ぎたんで思ったほど混まないで走ってしまったというのはあったんですけれども、大渋滞が起こりますとどうしてもみんな横道というか、側道へ逃げるわけであります。そうすると、小学校の生徒が学校へ通うのも危なくて危なくて。細い道1カ所で何台ぐらい走るかという勘定したら1時間で500台の車が通ったというようなところもある。子供なんかとてもじゃないけど怖て道渡れないというようなことで、これ何としてもこの42号線の改良に取り組まなければということで、平成7年から有田市、下津町、そして海南市、それから有田郡の町村会の皆さんも、これは大変だ、何とかしようというようなことで応援をいただいて、そして和歌山県の国に対する重点要望の箇所へも載せていただきました。
 最初に載せていただいた知事の名前は仮谷志良、そして西口勇、木村知事で、今現知事と、これだけの年数をたどってきてるわけなんですけれども、その時点で随分路線がありました。和歌山バイパスだとか、もう既にでき上がってます。そして、西口知事の当時、言うていただいたのは、国道26号線、通称第二阪和、これと並行して海南─有田間の国道はやっていきましょうよということを言うてくれました。もう既に第二阪和は来年の国体に向けて開通を目指してやりましょうということなんですけれども、唯一、私どもの海南─有田間の国道42号線は、まだ本体のつち音が立っておりません。
 仁坂知事になっていただいて、平成19年に冷水拡幅ということで、藤白のインターから冷水というところまでの間を、そしてそこから先、海南─有田間は平成20年に予算をおつけいただいて事業が始まりました。ちょっとつらいのは、頑張っていただいて、毎年、ことしも4億、去年も4億、その前はたしか2億でまた補正が2億の4億だったか。そうすると、総事業費が大体350億かかるということですんで、大体これも100年かかるなと。大滝ダムで42年ということですけど、とてもこれでは待ち切れないと思うようなわけでありまして、できるだけ急いで頑張っていきたいというのが地元の思いであります。
 皆さんも県会議員ですから、各地元の首長と、そういう協議会等へ行ったら穏やかに、ふだんは仲が悪くてでもにこにこしながらでもされてるというのが現状だと思うんですけれども、一度、有田─海南間の協議会へお越しをいただきたいと。有田市、海南市、市長もお見えですけれども、その議論の中で一体何をしてるんだと、本気でやる気あるんかというような議論までやらざるを得ないと。だから、我々も頑張ると、地元も一生懸命死に物狂いで頑張らなきゃと。
 こちらの県土整備部長だった茅野さんが、今国土交通省へ戻って国道・防災課長ということで、その担当課長です。こちらへ行ったときは「先生、頑張りましょう」と言うてくれたのに、4億しかつかんのかと言うて、実は直接、ことしの正月明けてから4回、私も茅野さんとこへ訪ねさしていただいて、ちょっともう嫌がられるぐらいなんですけれども、でも、「頑張っていきましょう。やりましょうよ」と。
 そして、大事なことは、国もそうです、県もそうです、そして地元の市もそうです、みんながスクラム組んで本気でこの道路やろうかという形にならなければこの道路も簡単に進まないということですけれども、地元もそれぐらいの覚悟は、きょうは浅井議員、藤山議員もおりますけれど、もう用地でもめてるぐらいだったら我々頭下げてでも行こかという気概を持った県会議員、雑賀議員もそうです。公共事業に関してはいろいろあるでしょうけれども、このことに関しては一生懸命やっていくというメンバーに入っておりますので、やりましょうや。それぐらいの思いでありますので、ぜひこの42号線、よろしくお願いを申し上げたいと思いますので、この整備状況と今後の取り組みについて知事の考えを聞かせていただきたいと思います。
 最後の質問ですけれども、国道370号。こう言うと大体皆さんどこかわからんと思うんですけれども、海南市から高野山のほう向いて行く、もとの県道海南高野線という、今370といって、我々にとってみたら大切な道路でございます。
 古い話になりますけれども、そこのマリーナシティで世界リゾート博が行われた。その前に、当時の知事に「いつになったらバスが通れるような道になるんでしょうか」とお尋ねしたところ、「何とか世界リゾート博には間に合うように」ということを言っていただいたんですけれども、あれから20年ぐらいは優にたってると思うんですけれども。ただし、最近、よく県は頑張ってくれてます。一生懸命その進捗についてしていただいてるんで、この頑張りに関しては、あんまり人様に褒めたりお礼を言うと──褒めることは少ないんですけど、本当にようやってくれてるなと。一生懸命、川筋ネットワークという知事のかけ声のもとで一気に進んできたということでありますけれども、その進んできた中でも気になりますのは、阪井バイパスというところです。
 人間で言うところの喉元というか、海南市と紀美野町を結ぶ大事なところで、藤山議員の自宅から大体下2キロぐらいの地点になるわけですけれども、そこのところの事業を今していただいてるんですけれども、目立った形で進んでこない。見えない。用地等で御苦労いただいてることが事業としてつながってないんだとは思うんですけれども、この阪井バイパスについてが1点。
 それと、どうしても海南市というのは、皆さん、国道42号線を何度か走られたと思うんですけれども、90度に曲がるような道路が多い。国道42号線、まず海南市へお入りいただいたら、郵便局のところで90度に曲がらないとどっかへ行ってしまう。そしてその次、コーナンというお店があるんですけれども、そこも90度に曲がらないと前の擁壁なり海へ飛んでしまうと。それから、海南医療センター、立派な市民病院ができました。そこの前まで走っていただいて、90度に曲がっていただかないと42号線を走れないように、3カ所で90度に曲がってる。それも、きちっと90度ですね。それ以上の角度はないと思います。
 そして、この370号のバイパスにつきましては、阪井バイパスを真っすぐ上っていって木津というところまで行きますと、そのまま行くと川の中へはまってしまうと。そうすると、もう1本道路をつけていただいて、紀美野町ではもう既に、厚生病院というようなところですけれども、これまた藤山議員のちょっと南側ですけれども、その道路とこの道路が行くと、こんなになるんです。やっぱりそこで県も考えてくれました。これでは通れないから、間に木津バイパスというてバイパスはしましょうということで、これも今その進捗に励んではいただいてるんですけれども、そのままバイパス上っていって川の中へ飛び込んでしまうような状態で、まさかほっとくようなことはないとは思うんですけれども、これについても、ひとつどのようなお考えをお持ちなのかをお示しいただきたいと思います。
 それから、今どんどんどんどん改良も進んで、国吉というところ、かじか荘というような、そういう宿泊施設があるんですけど、それから毛原下という区間ですけれども、ここが随分狭隘であるということで、これからどんな法線で──法線というのは、この曲がり方で工事したら一番ええんかなというようなことについて、今、県でも御検討いただいてると。1つ望みは、できるだけ曲げやんようにしてほしいと。
 ですから、案外この道路も、随分口を酸っぱくして言うてきたんですけれども、本来、図面描けというと、私は得意です。真っすぐな差し持ってきて、すっと引っ張ったら、びしっとした真っすぐな道できるんですけど、何しろ、文字書くというと大体こう書くもんだということをお教えいただくんですけれども、きゅるきゅるきゅるきゅる曲がるような道を書くのも大好きなんですけど、ここに関してもひとつ立派な走りやすいルートをぜひお考えをいただきたいという、この3点。さっきから礼言うて褒めた後、こんなこと言うたらあかんのですけど、ぜひひとつ。その辺に関しては県土整備部長にお尋ねを申し上げたいと思います。
 以上で、第1回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(坂本 登君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 地方の元気、あるいは景気浮揚につきましては、さきの議員の御質問に答えたとおり、1つには、価格転嫁と賃金上昇を政府も一丸となって産業界に働きかけてもらわないかんというのがあると思います。これは、強力な政権ができたら、それこそ強力にやってもらいたいというふうに思っております。
 そのもうちょっと構造的な問題としては、地方創生の問題がございまして、先般、まち・ひと・しごと創生法が成立いたしまして、地方創生の取り組みが本格化しようとしているところでございます。法律では、地方創生に関する施策の基本方向などを示す総合戦略、これを国が策定することに加えまして、都道府県や市町村において地方版総合戦略の策定が努力義務となるなど、まさに国と地方自治体、地域が一丸となって地方創生に取り組むこととされております。今後、総合戦略に基づいて地方を支援する施策が打ち出されていくことを大いに期待してるところでありますけれども、県においても、単に期待するだけはいけませんので、これは、本県地域の活性化に向けて政府に対して地方の実情や立場をしっかりと伝えていくとともに、今まで元気な和歌山の実現のため取り組んできた政策をさらに加速させていくという必要があると考えております。
 とりわけ、最重要課題である人口減少問題について、自然減対策としては、従来から不妊治療のこうのとりプランや紀州3人っこ施策など、結婚から妊娠、出産、子育てと切れ目のない少子化対策に取り組んでいるところでありますし、また社会減についても、企業誘致による新たな雇用の創出や産業の強化、議員御承知の過疎集落の支援や移住交流の推進などに取り組んでいるところでありますが、人口減少をちょっとだけ少なくしたかというぐらいの感じでありまして、まあ半分ぐらいでしょうか、押しとどめるというところまでには至っておりません。さらに、自然減、社会減の両面から、これらの施策の充実強化を図っていきたいと考えております。
 そのため、毎年、新政策で根っこから検討をやっとるんですが、最近、他県に比べて、昔は断然和歌山県が強力な施策を持っていた分野で、他県のほうがややもするとなかなか元気が出てまいりまして、それで、他県の政策のほうがすぐれてるんじゃないかというようなものも出てきております。大いに反省をして磨きをかけていきたいと思っておりますし、それをまた国が支援をしていただければより強力に行えると思います。
 一方、市町村、特に小規模自治体にとって地域活性化の取り組みを単独で実施することは困難な面も考えられることから、法の成立に先立ち、和歌山県まち・ひと・しごと創生連絡会議を立ち上げるなど、法律や制度について県と市町村で情報共有を図っているところであります。今後とも、市町村の取り組みが円滑に進むように、県としても積極的に支援していきたいと思います。
 次に、中小企業振興条例の効果と課題についてでございますが、昨年の12月議会において、県議会の議員提案によりまして、和歌山県中小企業振興条例が提案、可決されました。本条例は、本県の豊富な農林水産業を初めとした地域資源を活用した中小企業の振興や紀州の地酒等の県産品の利活用など、和歌山らしさを盛り込んだ特徴ある条例であると思います。
 本条例の制定を受けて、県産品の物品優先調達登録制度の設置や、県が主催する仕事における県産品のお茶・水の使用の徹底、市町村や関係団体への県産品活用推進など、さまざまな取り組みを実施してまいりました。また、実際に工事発注をする職員に対して、県産品建設資材についての勉強会を各振興局単位で実施し、県産品の促進を図っているところでございます。
 最近、ちょっとミカンの市況があんまりよくございません。県産品の活用という点で、もう少してこ入れをしないといけないんじゃないかというふうに思っておりまして、具体策を早急に詰めて県議会の先生方に御相談したいと思っております。
 先ほどからの御議論もありましたようにいろいろと難しい問題もあるんですけれども、どんどん挑戦していきたいと考えております。
 中小企業が県内企業の大多数を占める本県において、中小企業の活性化がなければ本県経済の活性化はございません。中小企業の振興は大変重要でありまして、今後も県産品利活用に向けてさまざまな取り組みを通じて進めていきたいと考えております。
 次に、砂防のあり方でございます。
 近年、地球規模の気候変動等により局地的に激しい豪雨が発生し、平成23年の紀伊半島大水害や、また本年の広島での土砂災害において多くの方々が亡くなるなど、甚大な被害が発生しておりまして、県民の生命を守るためには土砂災害対策は非常に重要であると認識しております。
 これまで、県としては、全国に先駆けて平成24年10月に避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成のモデル基準を策定し、昨年9月から最長51時間先までの降水予測を行う和歌山県気象予測システムの運用を開始するなどのソフト対策を行うとともに、砂防事業による砂防堰堤や崖崩れ対策事業による擁壁の整備など、ハード対策を行っているところであります。
 このうち、崖崩れ対策事業につきましては、国の補助金をもらってやるちょっと規模の大きな事業と、それからより小規模で県単独事業で行うものがありますが、かつて、ちょっと信じられないことに、1人の県職員と市民オンブズマンから後者はやめろと要求されたことがありましたが、もちろん続けておりまして、本年8月からは、崖崩れが発生するなど現に危ない箇所については人家1戸からも工事ができるように県単独事業の制度拡充をいたしました。
 一方、砂防事業につきましては、現在、大規模な箇所について国庫補助事業による対策を行っているところでございますが、議員御指摘の小規模な箇所の対策については、土石流は、ふだん水がなくても、あるいは水がちょっとでも、いざ発生すれば大規模な災害を引き起こすことから、小規模な県単独事業程度の事業では効果が少ないんじゃないかという議論がありまして、やめておりました。それは、大宗ではそうではないかと、那智勝浦町の状況なんか見ると思うんですが、しかし、いろんなケースがあると思われます。ケースによっては、そういう小規模な対策で十分対応できるんじゃないかというケースもあると思われますので、そういう個々のケースに備えて制度だけはつくっておいてもいいのではないかというふうに考えます。そこで、準備をしていきたいと考えております。
 県としては、今後の土砂災害対策について、まず土砂災害警戒区域等の指定のスピードアップを図るとともに、県民の命を守るための観点から、それぞれの地域の実情に応じて、ハード・ソフト両面により、効果的かつ迅速的に取り組んでいきたいと思います。
 次に、浮上式防波堤の問題でございます。
 国が開催いたしました技術検討委員会において、御指摘のように、南海トラフの巨大地震のときのような最大クラスの津波を起こす地震に対して地中部の鋼管が曲がることが懸念されて、そうすると防波堤が浮上しなくなる可能性があると。それに対して、周辺地盤の改良、鋼管の剛性強化等の追加対策を講じる必要があるとの指摘がございました。そうすると莫大な経費になるわけでございます。このような指摘を踏まえて、現在、国土交通省において、引き続き当該防波堤の整備方針の変更について検討を行っていると聞いております。
 一方、県では、ことしの10月に、津波から県民の命を救い死者をゼロとするため、津波避難困難地域の解消のための対策として、「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を策定し、海岸堤防等の整備の対策を公表したところでございますが、和歌山下津港海南地区については、避難困難地域ではありませんが、津波浸水想定区域内に市役所あるいは消防署等の地域の中枢機能が集積しておりまして、企業も数多く立地していることから、かかる津波対策については非常に重要な事業だと考えておりまして、早期に整備方針を策定していただけるよう、国に対して強く働きかけていきたいと考えております。
 次に、国道42号冷水拡幅及び有田海南道路でございます。
 これは、両市の生活圏の連携強化による地域の活性化、渋滞解消や交通事故の減少、また津波浸水時の代替路としても整備が必要な道路であり、平成18年の知事就任後すぐに、実は私は国に対して強く働きかけた幾つかのプロジェクトの1つなんです。うまくいきまして、平成19年度に冷水拡幅が、平成20年度に有田海南道路が新規事業化されたところで、それだけに個人的にも思い入れが強うございます。その割には、そのとき認められた事業のうち最も進捗が遅いという思いを持っておりまして、大変残念でございます。
 現在、状況を申し上げますと、冷水拡幅については、用地取得率は5割になっておりまして、工事に支障となる放置艇も全て撤去され、国道から冷水地区に通ずる市道のつけかえ工事を行っております。
 次に、有田海南道路については、海南市冷水地区において用地取得に着手いたしました。その他の地区では、地元関係者との設計協議や用地測量、建物調査を実施しておりますが、若干、特に有田方面で、いろいろと地元の方との合意ができていないところがあります。さらに、有田市野地区については約7割の用地取得率となっております。
 支障の要因の1つは、住民の理解が得られないというところもあるんですが、しかし、予算のつきが悪いというところも非常に大きな要因でございます。したがいまして、県といたしましては、冷水拡幅の工事の全面展開と有田海南道路の早期着工を地元市とともに国に強く働きかけていきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 国道370号阪井バイパスにつきましては、海南市重根地内から木津地内の2.6キロメートルにおいて平成17年度から事業に着手し、現在、用地取得と龍部池における橋梁の工事用仮橋の設置を進めております。今後、土地収用法の手続もあわせて用地の早期取得に努めるとともに、取得した箇所から順次工事を実施し、平成29年度の完成を目指してまいります。
 また、阪井バイパスに接続する国道424号木津バイパスにつきましても、残る用地について土地収用法を活用しながら早期取得に努めるとともに、道路改良工事を実施しているところであり、平成28年度の完成を目指してまいります。
 阪井バイパスと木津バイパスの交差点形状につきましては、海南市から高野山方面への安全な交通の確保と効果を早期に発現させるため、木津バイパスへ一旦取りつけることを最優先としたいと考えております。議員御指摘のように、当該区間はクランク状に通行しなければならないことから、両バイパスの完成後には、より安全で円滑な交通が確保されるよう、ポスト川筋のプロジェクトにおける最優先課題として検討してまいります。
 次に、紀美野町田地内から毛原下地内までの3.5キロメートルにつきましては、今年度、美里4工区として事業化したところであり、現在、バイパス案も含めて検討しているルートを早期に確定し、工事に着手できるように取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 尾崎要二君。
  〔尾崎要二君、登壇〕
○尾崎要二君 ただいま答弁をいただきました。1点だけ再質問したいと思います。
 防波堤の件でありますけれども、国における検討に関する発表時期について、知事の考えを再度お尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私としては、今年度内には、それも年明けの早いうちに策定していただきたい。そうでなきゃ困ると考えておりまして、国に対して強く働きかけていきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 以上で、尾崎要二君の質問が終了いたしました。(拍手)
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第150号から議案第193号まで、並びに知事専決処分報告報第3号は所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。12月15日及び16日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 御異議なしと認めます。よって、12月15日及び16日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、12月17日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時46分散会

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