平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(前芝雅嗣議員の質疑及び一般質問)


平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(前芝雅嗣議員の質疑及び一般質問)


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  午後1時1分再開
○議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 19番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 皆さん、こんにちは。また、小学生の皆さんも、こんにちは。ようこそお越しくださいました。いつもよりどえらく緊張しますね。
 それでは、緊張しながらも一生懸命頑張りますので、ぜひ静かに聞いてください。
 初めに、知事、このたびの御当選、おめでとうございます。4年間の知事のリーダーシップに期待しておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 初めに、もう皆様も御承知のとおり、串本のエルトゥールル号の映画の話ですけれど、知事からも今議会でお話もございましたが、順調に進みまして、皆様のおかげをもって再来年の正月に東映から放映されることになりました。知事を初め当局の皆様方、また県議会の皆様の御協力のたまものと、大変感謝しております。本当にありがとうございます。
 そのエルトゥールル号のことですが、撮影に向けて、町民有志による映画製作準備委員会が、炊き出しや海岸の清掃、またエキストラ出演、PR活動などの支援準備を進めております。今、県議会の中で山本茂博議員から、ぜひエキストラに私を出演さしてくれという御要望をいただいております。他の議員の皆様方も、エキストラなど御要望がありましたら、承りまして町のほうに私のほうから推薦をしたいと思いますので、どうか、そういう方があればお申し出ください。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 森づくり、いわゆる森林整備以下5項目について質問をさしていただきます。
 まず最初に、紀の国森づくり基金活用事業の推進についてお伺いをいたします。
 「空青し山青し海青し」と郷土の文豪・佐藤春夫が詠んだ紀州の山々は、古くから温暖多雨な気候に恵まれ、豊かな森林が育まれる中、森林を基盤として産業が育まれてきました。林業はもとより、農業や住民の生活そのものが森林に支えられて、今に残る山村や里山の風景が形づくられてきました。また、その中で、いかだ流しや紀州備長炭、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」など、文字どおり木の国の豊かな文化が育まれてきました。
 森林は、木材生産のほかにも、水源涵養や土砂流出防止、保健休養、野生鳥獣保護や二酸化炭素吸収源など、公益的機能を持っており、その恩恵は、森林所有者や林業関係者のみにとどまらず、広く県民全体に及んでおります。
 しかしながら、近年は、山村の過疎化、高齢化の進行に加え、長期にわたる木材価格の低迷や労働コストの増大などによって、採算上も、担い手の確保の上からも、林業は大変厳しい状況に置かれております。
 天然林は人手をかけなくても健全な状態を保っていく力が備わっておりますが、木材生産を目的にする人工林は、人手による管理が欠かせません。また、集落周辺の里山では生活用途への利用がなされなくなり放置され、竹林の増殖など、森林環境の悪化を招いてきております。
 本県では、これまで、国の補助事業や県単独事業などを積極的に活用して、植栽や下刈り、間伐といった森林整備に係るさまざまな施策を行ってまいりましたが、林業経営をめぐるこのような厳しい状況の中、もはや林業経営者のみの努力では森林の公益的機能を守ることが困難になってきております。
 このような状況の中、平成17年12月の定例議会において、従来の森林・林業施策に加え、森林環境を守るための新たな施策として、水源の涵養や県土の保全等の公益的機能を有する森林を守り育て、次の世代に引き継いでいくことを目的とした全国初の議員提案による紀の国森づくり税条例並びに紀の国森づくり基金条例を制定したところであります。
 本条例に基づき、その理念を具体化するため、平成19年度より、森林環境の保全や森林と共生する文化の創造を目的に、森づくり基金を活用した紀の国森づくり基金活用事業が実施されております。
 紀の国森づくり基金活用事業につきましては、森林の重要性の普及啓発などを柱とする「森とあそぶ・まなぶ」、放置され荒廃した森林の整備を柱とする「森をつくる・まもる」、木材の利用などを柱とする「森をいかす」を基本に広く公募を行うなど、さまざまな事業を実施してきていると聞いております。
 当初計画では平成19年度から23年度までの5カ年の実施予定でありましたが、いまだ森林環境整備の道半ばということで、平成28年度まで、さらに5カ年延長されたところであります。
 平成19年度から5カ年、1期対策として他府県に先駆けての紀の国森づくり基金活用事業を実施してきたわけですが、その間、どのような取り組みがなされ、どのような成果があったのでしょうか。また、水源涵養や県土保全に加え、災害防止などの森林の持つ公益的な価値を十分発揮するためには間伐等の森林整備が最も重要であり、平成24年度から始まっております第2期対策を積極的に活用しながら、災害に強い森づくり、健全な森づくりをさらに進めていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。農林水産部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 紀の国森づくり基金活用事業については、平成19年度から平成23年度までの第1期において、基本理念である「県民が知ること」、「県民が理解すること」、「県民が参画すること」に基づき、公募による森林整備や普及啓発を進めてまいりました。その結果、1期5年間で基金活用事業に延べ約5万9000人と多数の御参加をいただきましたが、森林整備については、個々の実施面積が小さく、437ヘクタールにとどまりました。
 第2期に向けて県民アンケートを行ったところ、紀の国森づくり税の使途として、間伐等の森林の整備に使用してほしいとの回答が最も多かったことから、県議会の御理解をいただいて、県では、平成24年度から紀の国森づくり基金を活用して採算の合わない森林を対象に間伐を実施し、広葉樹が混在した環境林に誘導することで災害に強い森づくりを積極的に進めてまいりました。また、近年多く発生している異常気象等による土砂災害を軽減するため、基金を活用して渓流沿いの倒木を除去する流木対策を今年度から新たに始めたところでございます。
 今後も引き続き、こうした事業を積極的に推進し、災害に強い健全な森づくりに取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁、ありがとうございました。
 最初の1期の5年間ですけれど、大変いろんな事業もやっていただいて、それなりの成果はあったと思うんですけれど、やはり間伐等の森林整備がおくれていたというのは否めないなあと。これに関しては、議会も、私たちも、検証をきちっとしなかったという反省もございますが、あとの答弁を聞きますと、それからの、これまでの24年からの第2期目のほうではしっかりとやっていただいてるなあという感じがいたしました。
 最初の1期目のときの基金というのは相当残ってたようでもありますが、基金は残すためにつくってるもんではございませんので、ぜひしっかりとその基金も使って、立派な、災害に強い、これからも今までどおり推進していただきたいなあと、そのように要望しておきます。
 続きまして、企業の森の現状と今後の進め方についてお伺いをいたします。
 県では、森林保全を目的に、企業のCSR活動と連携・サポートを行いながら、あわせて山村地域の活性化を推進するため、企業の森の取り組みが進められております。
 企業の森につきましては、広葉樹等の植栽、育成を通じて公益的機能の高い健全な森づくりが期待できるものであり、補助金等公的な資金に依存しない森林整備活動として、私も大いに期待をしているところであります。
 この事業は平成14年度に全国に先駆けて始まったと聞いておりますが、現在までの参画企業数や実施面積について、その実績はどのぐらいあるのでしょうか。
 また、企業の森活動として企業の皆さんが地域を訪れ、植栽や下刈りなどの森林保全に係るボランティア活動を行っていただいておりますが、こうした活動を単なる森林保全だけに終わらせるのではなく、好機として捉え、紀州材のよさや地域の魅力をPRしたり、ほかの体験メニューとの組み合わせにより滞在時間を延ばす工夫をするなど、観光との連携について、また、複数の企業の森を組み合わせて地域全体で面的に魅力アップを図る取り組みなどについても検討してみてはいかがでしょうか。農林水産部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 企業の森の現状と今後の進め方についてお答え申し上げます。
 現在、61社の企業や団体が参画して約220ヘクタールの森林保全活動に取り組んでおり、森林保全はもとより、森林作業員の働く場の確保や地元の方々との交流、宿泊施設の利用等、山村地域の活性化に大いに寄与していただいております。
 企業の森の勧誘を行う際には、10万人の参詣道「環境保全」活動等について紹介し、森林の保全に加えて熊野古道の保全活動等にも参加をお願いするなど、世界遺産熊野古道を初めとする地域の観光資源のPRも積極的に行ってまいりました。
 また、本年度から新たに、企業の皆様に紀州材に親しんでいただこうと、社員みずからが紀州材を使って自社オフィス用のベンチを作製する取り組みを始めたところでありますが、紀州材のPRや観光との連携について、もっとほかにも工夫ができないか考えるとともに、複数の企業の森による面的な魅力アップについても考えてまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁、ありがとうございました。
 大変多くの企業、団体が企業の森に参加していただいてるということで、大変うれしく思うところですが、この220ヘクタールの森がもし1カ所に集まってあったとすれば、これは私たちのまちには、もう物すごい和歌山県の観光資源になると思うんですよね。そういうのをたくさんつくっていただければ、このCSRの社会貢献や観光貢献などをしながら、企業も喜んでいただけ、森林も整備され、そしてまた観光地にもなり、企業の森のリピーターほか大勢の方が訪れてくれるようなものになろうかと思いますので、答弁を聞きますと、そのような面で一生懸命やっていただいてるようですので、ぜひこの勢いで続けて頑張っていただきますよう要望しておきます。
 続きまして、和歌山県歯と口腔の健康づくり計画の推進についてお伺いをいたします。
 平成23年12月の定例議会において、議員提案により、近畿では初めての歯科口腔条例である和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例が制定をされました。この条例の制定に向けては、私も歯科保健推進に係る条例案検討会の委員として取り組んだところであり、この条例は、県民の皆さんと県議会、県当局がともに手を携え、歯と口腔の健康づくりをしっかりと推進していくためのものであります。
 歯と口腔の健康は、食べる喜び、話す楽しみなど、生きるための基本的な機能として誰もが生涯にわたって維持することを望んでいる身近な健康課題であります。
 一方、歯と口腔の健康は体全体の健康と深くつながっていることが明らかになっており、糖尿病、心臓病、肺炎など、さまざまな疾患との関連性が指摘されており、健康長寿を実現していく上でも、生涯を通じて歯と口腔の健康を守ることが大切であります。
 乳幼児においては、かむ力の基礎を築き、唇や舌の動きが複雑になり、食べ物をそしゃくする以外に味覚の発達や話す機能を獲得するなど、生涯にわたる歯と口腔の活動基盤が形成される時期であります。子供が心身ともに健全に成長できるよう、正しい食生活や歯磨きなどの習慣をつけて乳歯の虫歯予防を行う必要があります。
 また、成人期においては、仕事や家事による多忙から自身の口腔ケアがおろそかになりがちであり、進行した歯周病や歯の喪失がふえる時期であります。食生活に支障が生じ、身体能力の低下につながることから、働き盛りの時代を充実した生活が送れるように歯周病の予防対策が必要になります。
 さらに、高齢期においては、そしゃく機能の低下により、野菜摂取量の減少等、摂取できる食品群が徐々に制限されていくことから低栄養を招き、また誤嚥性肺炎の誘発を招くなど、生命の維持にも大きな影響を与えてまいります。また、歯の健康は認知症にも関係があると言われていることから、生涯現役で充実した生活を送るためには、高齢者が口から食べられることを重点とした取り組みが必要であります。
 本年3月には、県条例の理念を反映した和歌山県歯と口腔の健康づくり計画が策定をされました。県民の生涯にわたる健康で質の高い生活を確保するためには、この計画の推進が確実に行われることが必要であると考えております。
 そこで、乳幼児から高齢期まで人生の各ライフステージにおける歯と口腔の健康対策について、この計画でどのように取り組み、推進していくのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 本年3月に策定した和歌山県歯と口腔の健康づくり計画は、議員提案による和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例に基づき、県民の皆さんに質の高い生活を送ってもらうための生涯を通じた歯と口腔の健康づくりを推進する計画です。
 県としましては、今後、それぞれの指標の達成に向けて、市町村や歯科医師会等と連携し、乳幼児期、学齢期のフッ化物洗口などの虫歯予防、成人期の歯周疾患検診などの歯周病予防、高齢期の口腔機能向上教室実施による口腔機能の維持など、ライフステージごとの特性を踏まえた取り組みを推進してまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 次に、医科歯科連携の取り組みについてお伺いをいたします。
 近年、歯と口腔の健康が体全身の健康づくりに密接に関連しており、適切な口腔ケアが生活習慣の改善や健康回復にとって大きな役割を果たしているということが明らかになってきております。
 例えば糖尿病と歯周病の関係では、糖尿病の合併症の1つに歯周病があり、糖尿病患者に高率で発症することがわかっております。がん治療とも密接な関係があり、がん治療に当たっては、あらかじめ歯科治療や口腔ケアを行うことによりがんの手術後の感染症が減少したり、また、化学療法や放射線治療を行う場合には口内炎が起きやすく、痛みなどの発生により治療に影響があると聞いております。
 このように、患者の健康回復という共通の目的を達成するため、医科と歯科が連携して治療に当たることは大変有益であります。今後、歯科口腔に係る健康対策を着実に前進させるためには医科歯科連携の取り組みが非常に重要になってくると考えますが、どうでしょうか。福祉保健部長に御所見をお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 議員御指摘のとおり、歯と口腔の健康は糖尿病やがんなどの生活習慣病と密接に関係しております。特に、がん患者を治療するに当たって医師と歯科医師を初めとする多職種の医療従事者が協力して行うチーム医療の推進が重要であり、県計画においても医科と歯科の連携体制の構築を主要施策の1つとして掲げているところです。
 県では、平成22年から、がん治療を行うに当たって、がん診療連携拠点病院等が中心となり圏域内の歯科診療所との連携を図っているところですが、今後は、今年度制定された地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に基づく基金を活用して、糖尿病や脳血管疾患、心疾患などにおいても、その予防につながる医科歯科連携体制の推進を図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 続きまして、口腔保健支援センターの役割についてお伺いをいたします。
 県条例、県計画に定められたフッ化物洗口や口腔機能の維持向上などの各種施策を効果的に実施していくために、県民に身近なところで歯科検診や歯科保健指導などを行う市町村の役割が大切であります。しかしながら、現在、県内各市町村において、歯科医師、歯科衛生士等の歯科専門職が配置されているのは和歌山市だけで、歯科衛生士が2名配置されているだけであります。
 一方、本年10月には、歯科保健体制の強化を図るため、県計画に基づき、和歌山県口腔保健支援センターが県庁の健康推進課内に設置されたと聞いております。
 県内全体の歯科保健を地域格差なく推進していくためには、当口腔保健支援センターが中心となり、市町村に対して、歯科保健を進める上で必要となる事業や知識等について普及啓発するなど支援してくことが必要であると考えますが、どうでしょうか。今後の口腔保健支援センターの役割について、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 口腔保健支援センターは、県内の歯科保健体制の強化を図るための専門的拠点と位置づけ、歯科保健情報の一元化や歯科保健関係者への助言、相談を行っております。
 特に、歯科保健における地域間格差をなくしていくためには口腔保健支援センターの役割は重要であり、市町村、学校関係者に対する研修の実施や要介護者等に対する訪問歯科検診など、地域課題に即した取り組みを行い、歯科口腔保健施策の推進を図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 和歌山県の歯と口腔の健康づくり計画、本年の3月に策定されたばかりですので、成果とかいろんなものはこれからだと思いますが、大変期待をしておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 ただ、1つ、この計画書を読ましてもらいますと、目的の中で、フッ化物の洗口及びフッ化物歯面塗布の普及とか、そういうものの中で、フッ化物洗口実施施設──学校とか幼稚園、保育所──がない市町村の減少とか、定期的にフッ化物歯面塗布を実施する市町村の増加とか、こういう市町村に対してのあれの中で、目標というのが、増加とか減少とかという、数字じゃなしにそのぐらいのレベルで書いてたら、10年間でこれから8年ある中で、これじゃちょっと何か寂しくて、意気込みが伝わってこないなあと。市町村とか、そういうところの──個人ではないので、歯が悪い人をゼロ人にするとかというんじゃないんですから、せめて市町村ぐらいは100%全部やっていただけるというような、そのぐらいの意気込みでやっていただきたいなあと思いますので、それだけ要望をしておきます。
 続きまして、道路交通対策についてお伺いをいたします。
 まず、本年の10月25日付の紀伊民報「水鉄砲」欄の記事を紹介さしていただきます。
  行楽シーズンになると自動車が多くなる。先日も約束の時間に間に合わそうと国道を走っていると、ゆっくりと走るおばさまたちの車に追い付いた。
  追い越そうと思ったが、追い越し禁止区間が長く続くので追い越せない。のろのろと後を走っていると、後続の車に気付いたのだろう、急に路側帯に車を止めて道を譲ってくれた。マナーをわきまえた運転手だと感謝しながら追い越した。
  道路は仕事で車を走らせる人はもちろん、ドライブを楽しむ人や観光客が利用する。病人を見舞う人や買い物客、会議に出掛ける人もいる。さまざまな目的で利用される公共の施設だから、運転手は「安全と円滑な運転をする」義務を負う。しかし、国道42号にしても311号にしても、紀南の道には道を譲れる待避所が非常に少ない。
  帰り道、今度は高齢者マークを付けた軽自動車の後ろを走った。この車ものろのろ運転である。制限速度が50キロの道路を30キロ程度で走り、トンネル内では急ブレーキを何度もかける。後続の車は増え、車の列は長くなるばかり。しびれをきらした後続車が数台、追い越し禁止区間にもかかわらずこの車を追い抜いていった。
  高速道路と違って、一般道には最低速度の制限はない。だが、道路の混雑を考えれば、自分のペースでゆっくり走りたい運転手への対策も必要だ。待避所をもっと整備し、渋滞緩和への協力義務を課すことを考えてはどうだろう。
 こういう記事でございました。
 私も全く同感でございまして、この記事を見て我が意を得たりと思いました。私も、地元串本と和歌山市の間を車で行き来する、そのときにいつも感じていたことだったからであります。
 ややもすると女性差別や高齢者差別につながるようで、また一面的に決めつけるわけではございませんが、記事にもありますように、女性や高齢者のドライバーの中には運転技術が未熟で精神的にも余り余裕がなく、交通マナーについても必ずしもよいとは言えない方が一部見受けられるように思うのですが、いかがでしょうか。
 来年、2015年には、紀の国わかやま国体・わかやま大会が本県で開催されます。こうした国体開催を控えた今だからこそ、近々他府県からの来県者を迎えるであろう今であるからこそ、県としてドライバーの交通のマナーの改善に取り組むべきではないでしょうか。
 確かに、国体を控え、県内の道路整備も進み、道路環境も改善してきてはおりますが、記事にもありますように、その整備はまだまだ立ちおくれたところがあります。しかしながら、このようにいまだ不便な状況であるからこそ全てのドライバーが快適でスムーズにストレスなく道路利用ができるよう、お互い譲り合いの精神を持って周囲に配慮した運転に心がけるよう、機会を捉えて啓発・指導すべきだと思いますが、いかがでしょう。そうすることによって、交通事故の軽減にもつながるのではないでしょうか。県警本部長の御所見をお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 警察本部長下田隆文君。
  〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) 道路交通法におきましては、低速で走行する車両が後続車両に追いつかれた場合は、その速度を上げず、できる限り車道の左に寄って後続車に道を譲るよう規定されていますが、御承知のように、紀南地方の国道42号等の路線につきましてはカーブや坂道も多く、多くの区間で追い越しのためはみ出し禁止規制がされているところであり、道路幅員から追いつかれた車両が車道の左端に寄ったとしても、後続車が中央線をはみ出さずに安全に追い越すことは極めて困難であります。
 したがいまして、後続車が違法状態とならないよう道を譲るためには路肩に停車していただく必要がありますが、カーブや見通しの悪い箇所の多い道路で停車をすることは事故を誘発する危険性もございますので、譲りゾーンや待避所などにおきまして後続車両に道を譲っていただくことがより安全であると考えております。
 なお、後続車両にあっては、適正な車間距離の保持、高齢運転者の保護、最高速度の遵守等が求められることは言うまでもありません。
 警察といたしましては、来年の紀の国わかやま国体等の開催に向けまして和歌山県の交通マナーの向上を図っているところでありますが、道路を安全に安心して利用していただくためには、交通ルールの遵守はもとより、譲り合い、そして思いやりの心が大事でありますので、講習等の機会を通じて、そのことを県民の皆様に訴えてまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 続きまして、国道42号における待避所の設置についてお伺いをいたします。
 低速走行車の譲りゾーンへの待避や交通の流れに配慮した運転など、ドライバーの交通マナー改善のためには、待避所の設置等、道路環境の整備が必要になってくると考えております。特に、基本的には一部高速道路以外、並行した道路がなく、片道1車線が延々と続く国道42号の白浜から串本までの間については、その整備が必要であると考えております。
 そこで、国道42号南部における低速走行車の待避スペース、いわゆる待避所の設置状況についてはどうなっているのでしょうか。また、その状況が不十分であるのなら、国に対してその設置等を働きかけられないのでしょうか。県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 田辺から以南の紀南地域につきましては、これまで、大規模災害等に備えた命の道として、また将来のチャンスを保障するチャンスの道として、高速道路の整備を最優先課題として取り組んでまいりました。
 その結果、近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間については平成27年国体開催に合わせて供用される見込みであり、また新宮紀宝道路やすさみ串本道路が新規事業化されるなど、高速道路の整備が鋭意進められているところです。
 県としては、まず紀伊半島一周高速道路の実現が最優先課題と認識しており、引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。
 一方、国道42号の現道対策につきましては、これまでも地元協議会から、交通安全事業等の必要な対策を推進してほしい旨、国に対して要望されており、現在、串本町から白浜町までの間においては46カ所の待避スペースが確保されております。
 県としましては、先ほども述べましたように、紀伊半島一周高速道路の実現を最優先として国に対して要望していくとともに、交通安全事業等による現道対策につきましては、地元の方々の要望等も踏まえながら必要に応じて要望してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁をいただきました。
 今、県土整備部長からもお話ありましたけど、串本町から白浜町に46カ所の待避スペースが確保されていると言いますけど、本当の意味での待避所じゃなしに、あいてるところというのは確かに、僕もこちらにいつも車で通ってますのでよく承知しておりまして、しかし、特に海岸側というのは、非常に少なくなってきております。
 そしてまた、今、本部長のほうからも答弁いただきましたが、カーブや見通しの悪い箇所の多いところで停車することは事故を誘発する危険性もあり、譲りゾーンや待避所があったほうが、そういうところで後続車に道を譲るほうがより安全であると、そういう警察のほうの考えでもありますので、今あるスペースを、本当の待避所じゃないですけれど、そういう人たちも入りやすいように、もう小さな改良で多分入りやすくなろうかと思うんです。待避所になってるところも、なかなか曲がろうと思うても曲がりづらいところが、実際にあの国道を走るとありますので、その辺のところを少し改良して、国のほうにも要望していただければうれしいなあと思います。
 これは、私、何のデータもなしに車を運転して思ってることなんですけど、マナーはそんなに皆悪くないと思うんですけど、ただ、それはマナーが悪いんじゃなしに、運転技術、バックミラーで多分見てないんだと思うんですよ。多分、バックミラーを見て後ろに何台も並んでおれば、まず和歌山県の人は寄ってくれたりなんかしてくれるんじゃないかなあと。まあデータもないので確かなことじゃないんですけど、そういう指導もしていただければなあと思いますので、それだけは要望しておきます。
 続きまして、高速道路紀南延長に伴う地域振興についてお伺いをいたします。
 全国の地方にとって共通する悩みである都市部との格差、中でも交通基盤や基幹施設の整備などによるインフラ格差の解消、特に地域の交通基盤である高速道路の整備は、長年の悲願であります。
 特に、半島地域であり、南北に長い和歌山にとって高速道路の整備は長らく特別な思いを持つものでありましたが、国体の開催などを契機としてようやくその整備も進み、半島全線開通もあと数年と、その完成も見えてきました。
 紀伊半島が鉄道でつながって約50年になりますが、長い間、基幹道路は国道42号線1本のみで、南北をつなぐ唯一のアクセス交通手段でありました。県民、特に紀南では、従来からの悲願でありました高速道路の延伸がもたらすであろうインフラ格差やハンデの解消、経済的な波及効果に対して大きく期待が高まっているところでございます。
 高速道路の整備効果として、1つは、地方でとれた農産物や新鮮な魚などを大都市圏に素早く輸送できることであります。紀伊半島南部の東牟婁郡や新宮市を中心とした沿岸水産物に限らず、農産物についても期待が持てるもので、大都市消費地への輸送時間の短縮により販売競争力が高まることは言うまでもなく、加工やサービスの付加などの商品としての価値をさらに高めることにより新たな地場産業の再開発につながる可能性も見えてまいりました。
 次に期待されるのが観光客の増加であり、移動時間の短縮による観光客の集客効果やリピーター定着が見込まれるところで、世界遺産などの資源に加え、地域の文化や歴史、施設などを生かした新たな観光資源の立ち上げに官民共同で取り組むことにより、少子高齢化や過疎化に歯どめをかけ、新たな雇用創出を図るための起爆剤になると期待が高まっております。
 現に、平成26年3月30日に三重県の伊勢自動車道が全面開通し、また熊野尾鷲道路が尾鷲南から熊野大泊まで開通していることから、以前に比べてより遠方からアクセスが可能になってきており、その結果、紀南地方では、開通後の夏から滋賀県や岐阜、名古屋、三河、また遠くは長野ナンバーの車が多く見られるなど、観光客の増加に確実につながってきております。
 さらに、災害時の交通手段の確保という観点から、また県民の不便で不安な生活を解消する観点からも、県民の命の道としてのメリットは大変大きなものであります。
 一方、高速道路の延伸に伴う人の往来の変化により地域の生活環境や商圏などが大きく変化するという点も見逃せない課題であります。
 例えば、高速道路が整備される前には、地元で買い物を済ませるなどの日常行為を行い、地域内消費により地元経済に還元されていたものが、整備後には、都市部にある百貨店や話題の店などに簡単にアクセスが可能になることから、品ぞろえにも限りがある地元の小さな商店街でわざわざ消費しなくなる。実際に、千葉県の木更津市では、アクアラインの開通によりまちの活性化が期待されましたが、現実は逆で、中心市街地は著しく衰退し、人口減少、商業停滞といった現象が起こっております。
 また、観光客についても、魅力的な観光地や交通の拠点となる目的地以外は通過するといった現象、こうしたいわゆるストロー現象などが起こる可能性についても考えなければならないと考えております。
 三重県においても、伊勢自動車道の延伸に伴い、並行する42号線沿いの変化は予想を超える影響が出ていると、その深刻さが聞こえてきております。我が県においても、高速道路の紀南延長とともに中紀における経済が大きく変化したことは、残念ながら認めざるを得ないところではないかと思います。
 今後、こうしたメリット・デメリットを検討した上で、高速道路の持つ魅力を最大限に生かしながら地域の活性化をいかにして図っていくのか、企画部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 高速道路の紀南延伸に伴う地域振興についてでございますが、高速道路の紀南延伸は、農産物や鮮魚の販売力の強化、地場産業の活性化、観光客の増加などに大きく貢献するのみならず、災害時における命の道として、そのメリットは大変大きなものがございます。
 一方、高速道路の整備により地域の生活環境や商圏の変化が起こり、デメリットが生じるとの御意見もあるようですが、高速道路を利用する多くの方々に沿線地域に立ち寄っていただけるよう、6次産業化を推進したり、郷土料理や古民家を活用する、あるいはその土地の風土や祭りをうまく情報発信するなど、地域の魅力を高める方策に積極的に取り組んでいくことが重要であると考えております。
 かねてから、本県では、1市町村1産業を目指したわがまち元気プロジェクトや、過疎地域の再生・活性化を図るわかやま版「過疎集落支援総合対策」等に取り組んでまいりました。
 今後、高速道路の紀南延伸により商圏の拡大や入り込み客数の増加といったメリットが見込まれることから、市町村や地域の活動団体と一緒になって、より付加価値の高い農林水産物の提供や観光資源の発掘などに取り組み、地域の活性化を図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。
 私たちの地域も、もう高速道路は待ちに待ってやっとできてくれると、皆、大変喜んでるんですけど、やはりいざできるとなれば、また違った意味で心配もし始めて、でも、その心配よりは多分メリットのほうが大きいと皆さんはわかっておろうかと思うんですけども、やっぱりそういう方もたくさんおりますので、ぜひきめ細かい政策をよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、防災等における報道機関の取り上げ方についてお伺いをいたします。
 東日本大震災発生の後、東海・東南海・南海3連動地震や南海トラフ巨大地震による津波被害が大きく取り上げられ、海岸線が県土線の半分を占める和歌山県においても、県民の生命、財産を守るため、官民を挙げて災害対策に取り組み、県や市町村、関係機関が連携して積極的に災害訓練を重ねてきた結果、地震や津波などの自然災害に対する県民の理解と意識が目に見えて向上してきているところは、大変喜ばしい限りあります。
 ただ、ここで絶対に口にできない深刻な問題が現実にはあります。例えば、和歌山県に限らず、太平洋側に海岸線を持つ自治体での津波避難訓練、特に国、県、市町村などが参加する大規模な災害訓練などについてテレビで報道がなされているとき、特にNHKで放送される中で、津波にのみ込まれていく町並みの光景がテレビが持つ3D映像で何度も何度もリアルに流され、また東日本大震災の津波の映像が同時に流されるなど、被害想定のみを強調するような放映がなされることが、地元観光、特に夏場の海水浴客や釣り客、家族旅行客、あるいはツアー客など、和歌山を訪れる観光客の心理に微妙な影響を及ぼしているというのは偽らざる実態であります。
 例えば、こうした声も聞こえてくるのです。あるツアーコンダクターの方ですけど、「テレビが放映する3Dの映像で津波にのみ込まれていく観光地の町並みを見て、旅先でたとえ津波を避けられたとしても、帰る道を閉ざされ孤立した姿を想像すれば、あなたは何の不安もなくその地に旅行できるでしょうか」。某釣り具メーカーの社員ですけど、「防災・減災対策などの災害報道のたびにリアルに放送されるテレビ映像を見たとき、その地で釣り大会などイベントを開催することは、かなり勇気と覚悟が必要である」。こうした声なき声を聞くと、ふと疑問を感じるのです。
 確かに、防災意識を風化させないということは大変重要であり、また、防災・減災の取り組みについても待ったなしの状況で、率先して対策を講じていかなければならないことは重々承知をしております。しかしながら、災害報道において、テレビなどの報道機関が常に津波被害を連想させ、いたずらに恐怖心をあおるような報道を繰り返すことはいかがなものでしょうか。沿岸地域に及ぼす影響はどうなのでしょうか。疑問と不安を感じるところでございます。
 このような報道機関の取り上げ方について、県としてどのように考え、どのような対応をとっているのか、危機管理監にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 防災・減災対策を県民の皆様に御理解いただく上で、報道機関の役割は非常に重要であると考えております。しかしながら、議員御指摘のように、いたずらに恐怖心をあおるだけの報道が行われたときは、これまでも報道機関に対し、抗議や申し入れを行ってまいりました。
 最近も、本県の地震・津波対策等を詳しく説明してあったにもかかわらず、被害想定のみを報道し、肝心の対策を伝えていただけず県民が誤解するような内容の報道があったため、適切な報道が行われるよう申し入れを行ったところです。
 災害の際には、県民一人一人がみずから命を守る行動をとっていただくことが重要です。いたずらに恐怖心をあおるだけの報道により住民が避難を諦めないためにも、また、本県の命を守るためのさまざまな取り組みを県民の皆様に正しく知っていただくためにも、引き続き、本県の防災・減災対策が正しく報道されるよう努力していくとともに、本県を訪れる観光客等も含め、全ての住民が安全に避難でき、1人の犠牲者も出さないよう対策を推進してまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 観光地の人、本当に皆、その点ちょっと心配してますので、強く報道機関のほうにもそういうことは抗議をしてください。
 以上で、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。

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