平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(中本浩精議員の質疑及び一般質問)


平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(中本浩精議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○中本浩精君 皆さん、おはようございます。中本浩精です。よろしくお願い申し上げます。(発言する者あり)ありがとうございます。
 仁坂知事、御当選、まことにおめでとうございます。「あたたかい改革」で和歌山県政をぐいぐい引っ張っていただきますように、よろしくお願い申し上げます。
 さて、皆さん、ことしももう少しとなりました。12月に入り、寒さが厳しさを増しております。皆様方におかれましては、お体を十分御自愛いただきまして、最後まで頑張っていただきたいと思います。私も精いっぱい頑張らさしていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問に入らせていただきます。
 1項目め、ICTを活用した地域医療体制についてお尋ねいたします。
 現在、日本は、世界の中で豊かで平和な国となっています。しかし、グローバル競争が激しさを増し、一段と地域間格差や経済格差が拡大するなど、我が国には、政治経済に多くの課題が山積しています。将来に向け、大きな時代の転換期を迎えていると私は思います。
 また、少子高齢化や医療の高度化が進む中で、世界に誇ってきた国民皆保険制度にも、財政面での厳しさが増しております。中でも、超高齢社会を目前に控え、連日のように社会保障のあり方についての記事が新聞をにぎわせておりますが、特に最近、2025年問題がクローズアップされております。
 2025年とはどういう時代かと申しますと、皆様も御承知のとおり、高度経済成長を支えた団塊の世代が75歳以上となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となる時代です。高齢化社会が進むと、ますます医療と介護を必要とする人がふえますが、今のままの医療体制で果たして県民の命を守っていけるのか。2025年を見据えて、限られた医療・介護資源を有効に活用し、必要なサービスを確保していくため、さまざまな取り組みを早急に実施することが不可欠だと私は思います。
 そのための有効な手段の1つとして、さまざまな医療分野におけるICTの活用があります。ICT化により、事務処理向上や労働時間短縮などの効果が期待され、医療費の削減にも寄与すると考えられます。
 そこで、本県の地域医療におけるICTの活用状況について、福祉保健部長にお尋ねいたします。よろしくお願いいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 本県の地域医療におけるICTの活用状況としましては、県地域医療支援センターや県内医療機関に遠隔医療設備を整備し、遠隔外来や遠隔画像診断の実施など、地域の病院、診療所への支援を行うことにより、地域医療の充実を図っております。
 また、和歌山県立医科大学附属病院が中心となり、主に紀南地域の病院が参加して、きのくに医療連携システム青洲リンクを平成25年度より運用しております。その内容は、災害に備え、参加医療機関を受診された患者の診療情報の保全を行うとともに、平時においては、患者の投薬、検査などの診療情報を受診する医療機関で共有し、円滑な医療連携を図るシステムとなっております。
 県では、参加医療機関の拡大や医療画像連携の追加など、システムの機能強化を支援しているところです。
○議長(坂本 登君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ありがとうございました。
 続きまして、小項目2つ目の今後のICTの活用についてお尋ねいたします。
 私のほうから、ICTを活用した取り組みの1つとして、既に10年以上も前から行っている事例を御紹介させていただきます。
 私の住んでいる伊都地方の医師会が行っているゆめ病院です。
 高齢者は、複数の病気にかかっていることが多く、幾つかの病院で治療しています。複数の病院に通っていると、同じ検査を別の病院で受けたり、同じ薬をもらったりして、患者にとって時間とお金が大きな負担となります。
 そこで、地域の医師の方々が病院の間で患者の情報をネットワークで共有し、協力して治療すれば、より効果的に患者の健康を守ることができます。また、患者の健康記録にも利用できます。そういうことを目的として、10年以上も前の平成14年からゆめ病院の取り組みが始まりました。
 この取り組みは、お手元に資料を配付させていただいておりますが、来年度から用いられる小学校5年生の社会の教科書にも取り上げられ、また、初代ゆめ病院院長の小西紀彦先生は、今年度、日本医師会最高優功賞を受賞されました。
 さらに、この取り組みは、単に患者の負担を軽減するのみではなく、医療の重複を避けるという観点から、今後、2025年に向けて1.5倍にも増加すると言われる医療費の削減にも大きな効果があるのではないでしょうか。また、医師同士や病院間だけのネットワークにとどまらず、介護者や他職種との連携を図ることにより、今後必要とされる在宅医療の現場で情報共有のツールとして大いに役立つのではないでしょうか。
 このようなゆめ病院の取り組みを、行政主導のもと全県的に展開してはどうでしょうか。今後の医療介護分野におけるICTの活用の考え方について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) ゆめ病院の医療ネットワークは、議員御指摘のとおり、10年以上も前から伊都医師会の方々で始められており、今日の重複投薬や検査の課題を先取りしたもので、県内各地域において、ゆめ病院の事例なども参考にしながら、地域の実情に応じた医療連携や在宅医療のあり方が検討されているところです。
 県の医療介護分野におけるICTの活用については、今後、ゆめ病院を初め、それぞれの地域における在宅医療のデータと青洲リンクのデータとの情報連携を進めることで、より多くの情報保全を行い、災害時においては、保存されたデータを利用した診療の継続、平時には、病院、診療所の連携に加え、これら医療機関と在宅医療や在宅介護の現場との情報共有を推進していけるよう検討してまいります。
○議長(坂本 登君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ありがとうございます。検討という御答弁をいただきました。本当にありがとうございます。
 私は、元気な和歌山実現に向けて、今後の医療提供体制は、情報の共有が必要不可欠だと思います。2025年の超高齢社会を見据え、最近の医療分野における政策は、入院医療から在宅医療への転換、病診連携から地域包括ケアシステムへ、医師・看護師・薬剤師の連携体制の強化、訪問看護制度、医療・介護の連携の推進等、地域医療ビジョン策定に向け大きく動き出そうとしています。
 時代の転換期にある今こそ、医療の提供は、社会的共通資本の理念に基づき、近江商人の三方よしという言葉がありますが、患者、医療提供者、保険者に喜んでいただけるような政策を全国に先駆けて和歌山県から発信していただけるよう要望いたしまして、1項目めの質問を終わらしていただきます。
 続きまして、2項目めの防災教育についてお尋ねいたします。
 県では、大型台風や集中豪雨による風水害、また、南海トラフを震源とする地震及びそれに伴う津波などの災害に備え、さまざまな対策に取り組んでおり、今後も一層の防災・減災対策を推進していただきたいと思います。
 施設の耐震化、避難タワー、堤防、護岸等の整備など、ハードの充実は不可欠ですが、ハードだけで防災・減災対策が完結するわけではありません。ハード、ソフトの両面で対応して初めて効果的な防災・減災対策が成立するものと考えます。
 そのソフトの根幹をなすのが防災教育です。防災教育により防災意識を高め、災害時のみならず、常日ごろからの備えをすることが必要です。常日ごろの備えということは、一時期学んで終わりではなく、継続的に行わなければなりません。
 通常、大人の庇護にある子供たちも、学校、家庭以外で被災することもあります。小さなお子さんであっても、災害時に自分がどうすべきかを知っておかなければなりません。みずからが主体的に行動できることが重要だと考えます。また、子供たちが防災教育で学んだことを家庭で話すことにより、家庭の防災意識の向上も期待されるのではないでしょうか。
 そこで、教育現場における防災教育の現状について、教育長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) これまで、東日本大震災や紀伊半島大水害の甚大な被害を教訓にして、地震や津波などの災害からお互いに助け合い、自分の命は自分で守ることができる子供たちを育てるため、防災学習や避難訓練等の防災教育に積極的に取り組んでいます。
 小中学校においては、昨年度に改訂した「和歌山県防災教育指導の手引き」を全ての学校に配布し、手引きを活用した防災学習の徹底を図っています。
 また、高等学校においては、自分の命を守ることはもちろんのこと、地域防災の担い手として活躍できるよう、全ての県立学校で高校生防災スクールを実施しています。
 さらに、避難カードを全ての小・中・高等学校等に配布し、各家庭で緊急避難先や避難所などを話し合うことにより、家族全員に逃げ切る意識をしっかりと持たせるとともに、家庭での防災意識の向上にも努めています。
○議長(坂本 登君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 続いて、小項目2、学校教育における防災教育の今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 南海トラフを震源とする地震による津波の大きな被害が懸念される沿岸部地域の防災意識は、特に高いのではないでしょうか。東日本大震災で発生した大津波による未曽有の被害が危機感を高めたこともあるでしょう。沿岸部に比べると、それ以外の地域では、幾分、防災意識が低いのではないでしょうか。
 自然災害は、地震、津波だけではありませんし、いつ、どこで起こるかわかりません。何十年、何百年大丈夫だったから今後も安全とは決して言えません。先ほども申し上げたように、防災教育を一時期だけで終えたのでは、防災意識が徐々に薄れてしまいます。どの地域においても、常に高い防災意識を保つための実践的、継続的な取り組みが必要です。防災教育は、防災意識の向上には不可欠であり、文字どおり命の教育です。今後も、より一層の推進をしていただきたいと思います。
 そこで、防災教育の今後の取り組みについて、教育長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 和歌山県は、海や山、川など、豊かな自然に恵まれています。しかしながら、時折、その自然から思いも寄らぬ災害に見舞われることもあります。このような自然の持つ二面性を理解し、ふるさとの自然のすばらしさを大切にするとともに、一たび災害が発生したそのときには、どこの地域に住んでいてもまず逃げること、自分の命は自分で守るという意識を持ち行動することができる子供たちを育てることが重要であると考えています。
 今後は、これまでの防災教育を確実に定着させるよう取り組むとともに、内陸部の学校においても、地域住民や関係機関と連携したより実践的な避難訓練を行うなど、1人の犠牲者も出さない防災教育をより徹底して進めてまいります。
○議長(坂本 登君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 和歌山県では、先進的に防災・減災対策に取り組んでいると認識しておりましたが、今回の答弁でも、工夫を凝らした手法を取り入れられ、防災教育に取り組んでいることをお聞きし、心強く感じました。ありがとうございます。
 ソフト対策である防災教育は、効果がわかりにくい、繰り返しが必要、理解度などが異なるため受け手に応じた対応が必要など、ハード対策と異なる御苦労があると思いますが、県民の命を守るためには必要不可欠です。今後も、創意工夫し、きめ細やかかつ実践的な取り組みを継続的に実施していただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 以上で、2項目めの質問を終わらせていただきます。
 続いて、3項目めのふるさと教育についてお尋ねいたします。
 防災教育が命の教育であれば、ふるさと教育は心の教育と言ってもいいと私は思います。グローバル化や情報化の進展で、これからの子供たちは、国際感覚やICTに対応できる力をつけていくことも必要ではありますが、いつの時代も最も大切なことは人間性であり、この人間性を高めるには、一人一人に心の支えとなるふるさとが必要と考えます。
 私たちのふるさと和歌山県は、温暖な気候と美しい自然に恵まれ、豊かな歴史を持ち、数々の偉人を輩出した誇れるふるさとです。ふるさとを愛し、ふるさとに誇りを持つ子供たちがあすの和歌山の担い手となります。
 そこで、学校教育において、ふるさと教育の狙いをどう考えているのか、教育長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) ふるさと教育は、ふるさと和歌山に愛着と誇りや自信を持ち、心豊かな人間性を育むものです。子供たち一人一人が生涯にわたって生き生きと生きていく上でのよりどころになるものであり、大きな意義があると捉えております。
 このため、学校においてふるさと教育の推進を図り、児童生徒が郷土のすばらしい自然やすぐれた先人、世界に誇れる文化、地域を支える産業等と触れ合う機会を充実させているところです。そこで得た感動体験を通して、すばらしい郷土の歴史や文化等をしっかりと受け継いでいける児童生徒を育てていきたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 続きまして、小項目2のふるさと教育の推進状況と今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 一人一人が生まれ育ったふるさとは、人間形成に大きな影響があり、学校教育でも地域のことを学ぶふるさと教育を推進することは、非常に大切であると考えます。
 私の生まれ育った橋本市の場合、特産品であれば紀州へら竿やパイル製品、柿、ブドウなどがあります。郷土料理なら柿の葉ずし、偉人なら岡潔、「前畑、頑張れ」の前畑秀子。ちなみに、ことし、前畑さんの生誕100年に合わせて「ガンバレ!のまち橋本市」のキャッチフレーズを掲げています。
 私のまちが一番と、それぞれの市町村で誇れるものがあるでしょう。子供たちにとって、ふるさとの誇りが自分への自信と誇りにもつながると思います。多くの子供たちがふるさとの魅力に気づき、愛着を持てるように、ふるさと教育をより一層充実させていただきたいと思います。
 このような思いを込めまして、学校教育におけるふるさと教育の推進状況と今後の取り組みについて、教育長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県教育委員会では、児童生徒が郷土について学ぶために、「わかやま発見」や「わかやま何でも帳」、さらに、郷土の民話を英語版にした紙芝居や英語版ふるさと教材「Wakapedia」を作成し、各校において活用しています。
 また、平成21年度より、ふるさとわかやま学習大賞を創設し、すぐれた取り組みを表彰するとともに、広く県民に知っていただくために、作品のホームページ掲載や図書館、駅などへの展示に努めているところです。
 今後とも、市町村教育委員会と連携しながら、全国に誇れる和歌山県内のさまざまな自然や歴史、文化等について学ぶふるさと教育の一層の推進に努めてまいります。
 なお、「わかやま何でも帳」は、書店でも一般販売しておりますので、県としては、これを広く積極的に広報し、ぜひ多くの県民の方々にお読みいただき、ふるさと和歌山のすばらしさを知っていただくとともに、和歌山に生まれ育ったことに誇りを持っていただくことを願っているところでございます。
○議長(坂本 登君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 どうも御答弁、ありがとうございます。
 日本人は、先進国の中で最も自分の国の歴史を知らない民族と言われています。本当の意味での国際人を目指さなければならないと思います。
 先日、学習指導要領改訂について諮問があり、その中には、現在、高校で選択科目となっている日本史の必修化の検討も盛り込まれています。自分の生まれ育った国の歴史を知らない若者が、自分の国に、そして自分に自信と誇りを持てるでしょうか。必修化は、私は非常によいことだと思います。
 英語を話せて、仮に外国の方と話す機会があっても、日本のこと、その歴史、文化と伝統を十分に語れない、こんな悲しいことはないと思います。日本を知る、日本を愛することは、ふるさとを知り、ふるさとを愛することだと思います。その点から考えても、ふるさと教育は、教育の根幹と言ってよいかもしれません。子供たちが日本という国を学び、ふるさとを学び、誇りと自信を持って育っていくことを私は期待しております。
 防災教育、ふるさと教育、そして今回質問とはしませんでしたが、命と心、双方にかかわる道徳教育、これらの命と心の教育は、子供たちの将来にとって欠かせない重要なものです。
 昨年11月に学校教育法施行規則が改正され、土曜日等、従来の休業日であっても、設置者の判断により授業が可能となりました。文部科学省では、この土曜授業のほか、学校が主体となった教育課程以外の学習の機会、いわゆる土曜の課外授業などにより、教育環境の充実に取り組むということです。今後、新たな教育の機会がふえると思われます。ぜひ命の教育、心の教育をこれまで以上に推進していただきますようお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時14分休憩
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