平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(谷口和樹議員の質疑及び一般質問)


平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(谷口和樹議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第154号、議案第186号から議案第192号までは、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第150号から議案第193号まで、並びに知事専決処分報告報第3号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 29番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、おはようございます。谷口和樹でございます。2日目一般質問、よろしくお願いいたします。
 まず、冒頭に、仁坂知事、3期目のスタート、心よりお祝いを申し上げます。それとともに、今後ますますの御活躍を御祈念申し上げます。当選から間もなく職場復帰ということですが、くれぐれも健康に御留意いただき、今後の県勢発展に御尽力をいただきたいところでございます。
 大塔地区の街頭演説の人集めを担当させていただいたんですけども、昼間、ちょっと急だったんで100名程度だったんですけども、顔が見れてよかったと集まった皆さん言われていました。特に紀伊半島大水害で被害が大きかった地区ですので、感謝してる人が多くて、本当に生で見れてよかったと皆さん申しておりました。また機会があれば来ていただけましたらありがたいと思っています。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 田辺・西牟婁県立高校クラス減を受けての今後のあり方について、1、クラス数と学校数ということで質問をさせていただきます。
 現在、田辺・西牟婁には、県立高校が4校、分校が1校ありますが、今年度の募集定員でここから3クラスが減少いたしました。
 資料1の田辺市の中学校生徒数推移を見ていただきますと、7年後には206人減で、年に30人ペースで生徒数が減少するのが確認できます。ここにあわせて西牟婁の生徒数減も加味されるわけですが、高校進学対象者は、この平成33年前後までに再度3クラス以上減ることが予想をされます。
 資料2は、田辺・西牟婁県立高校のクラス数と定員です。田辺高校8クラス、田辺工業5クラス、神島高校8クラス、熊野高校6クラス、龍神分校1クラス。仮に今回のように中高一貫の田辺高校、龍神分校の減がないとするならば、他の3校のクラス数が減り、田辺工業は4クラス、神島は7クラス、熊野高校は5クラスになります。
 このように、今後も生徒数減少が考えられますが、田辺・西牟婁の県立高校は、同じ学校数のままクラス減を続けるのか、それとも、統合しつつ1校当たりの生徒数、クラス数を維持するのか、教育長にお聞きをいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のように、田辺・西牟婁地方の中学校卒業生徒数の減少が見込まれますが、本県では、その他の地域におきましても生徒数の減少が見込まれることなどから、現在、今後の県立高等学校のあり方について検討を始めたところです。検討に当たっては、有識者を初め、地域や学校の関係者等から意見を聞きながら進めることといたしております。
 田辺・西牟婁地方につきましても、適宜、地域や学校の関係者等から十分に御意見を伺いながら、生徒や保護者の期待に応えられる高等学校づくりに努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 検討を始めたところということですので、ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、2つ目の質問に入らせていただきます。
 熊野高校においての今後のクラブ活動存続についてです。
 県立熊野高校では、平成20年の看護科移設以降、看護科の生徒は実習などで多忙なこともあり、団体競技のクラブで部員が確保できなかったり、結果を出すのに苦しんだりと、厳しい状況にありましたが、前年度1クラスふやしていただいた結果、活気が戻り、実績も、ラグビー部が国体に出場できたりと、好影響がありました。ただ、今年度1クラス減ることでもとに戻ることになります。
 そこで、看護科併設である熊野高校の今後のクラブの維持や存続についてどのように考えておられるか、教育長にお聞きをいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のとおり、熊野高等学校は、クラブ加入率も高く、ラグビー部を初め、体育クラブ、文化クラブともに活発に行われており、近年、急速に生徒一人一人が生き生きとした活気あふれた学校となっております。
 クラブ活動は、集団活動を通して自主性や協調性を育むとともに、学校にも大きな活力を与えてくれる大変意義のある教育活動の1つでありますが、そのあり方については、学校の特色や目指す生徒像を踏まえながら学校長が判断するものでございます。
 県教育委員会としましては、地域の期待や生徒の願いに応えるとともに、学校・学科の特性や生徒の実情などを十分勘案し、クラブ活動を含めた教育活動全般について、より一層の充実が図られるよう指導してまいります。
○議長(坂本 登君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 クラブ活動は学校長判断でございますが、募集定員は校長で決められませんので、今後とも、また考えてよろしくお願いしたいところでございます。
 3番目の質問に入らせていただきます。
 南部高校龍神分校への通学確保について御質問させていただきます。
 昭和25年創立の県立南部高校龍神分校ですが、周辺では生徒数確保で苦労する中、現在の生徒数は、3年生16名、2年生29名、1年生41名と、連携型中高一貫教育、ネイチャースタディなど、その静かで豊かな学習環境が認められるとともに、近年、野球部の活躍などで入学希望者がふえています。生徒たちは、龍神村内の数々のボランティア活動や地域活動に積極的に参画しますので、地域にとってもすばらしい活力になっており、野球部は、昨夏の高校野球初ベスト8進出で多くの人々を熱狂させました。
 このように、地域にも大変明るい話題を振りまいている南部高校龍神分校ですが、当然、山間部の学校ですので、通学手段が少なく、田辺駅6時56分のバスで1時間半ほどかかることもあり、現在は全生徒86名のうち地元21名を除く44名が、寮、下宿で生活しています。
 寮、下宿の最大定員は48名、毎年多数の入学希望の問い合わせ者は、寮の空き状況であぶれたら通えないなどといった理由で諦めている、そういう現状であると聞いています。学校も地域も特色を出し、生徒も頑張っている中、いわゆる不本意な形で入学者減を招いています。
 来年度分の空き予定は、本来の定数ならば7部屋、学習室や倉庫を臨時で使うと4人ほどいけるらしいのですが、それでも学習室や倉庫を使って11人分で、昨年の入寮者25人、一昨年16人を見ても部屋数が足りません。例年以上の空き不足が懸念され、結果、入学希望者を圧迫しそうな状況であります。
 このような中、現在、国道311号沿いからは18名の生徒が来ており、来年度も今の1~2年生13名がおります。入学志望の数も一定してきておりますので、もし国道311号からの資料3のルートで通学バスを実現できれば、富田川沿いから通学が可能になり、寮の空き状況で希望を断念する、この状況を改善できます。
 受験生が寮のあきを気にせず受験できれば、学校にとっても生徒数の維持につながります。同時に、龍神分校の生徒増は、前述で述べましたが、龍神村のさまざまな行事や活動を手伝ったりと、さまざまな地域貢献もしていますので、村を支える力が増します。
 龍神行政局から日高川下流に向けては、かわら号というバスが走ってくれていますが、資料3のルート、中辺路・栗栖川駅から龍神分校の約15分の区間には、公共交通、田辺市の住民バス、スクールバスも区間設定がありません。この区間に、例えばかわら号のように共同運行で通学時間に合わせてバスを運行させることはできないかと考えます。
 南部高校龍神分校への国道311号からの通学の確保について、教育長にお聞きをいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 南部高等学校龍神分校を含む県内の4つの分校につきましては、これまでも中山間地域における住民の学習機会を保障する上で大きな役割を果たしてきました。
 近年、特に南部高等学校龍神分校においては、特色ある教育活動を進めてきた結果、他地域から入学を希望する生徒がふえ、さまざまな方法で通学する生徒がいることは承知いたしております。ただ、県教育委員会としましては、今後の県立高等学校のあり方について検討を始めていることや、他校の状況などを総合的に勘案して、現時点においてスクールバスの導入は困難な状況であると考えております。
 なお、議員御指摘の他の方法による通学方法の確保につきましては、今後、関係機関とも連携をしながら研究してまいります。
○議長(坂本 登君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、県立高校に通う生徒のことですので、教育委員会主導で考えていっていただきたいと思っております。
 それでは、次の質問に入ります。
 林業科の設置についてです。
 紀の国和歌山において、林業の振興は言うまでもありませんが、将来的にも、和歌山県の森林資源は、これから資産価値を伴ってピークを迎えます。林業振興は、同時に、荒廃森林を解消し、大規模土砂災害対策にもつながり、ひいては河川を通じて漁業振興にもつながります。県全体でも、将来永続的にこの森林という資源をどう生かすかという点で、必ず優秀な人材が必要であり続けます。
 平成16年までは、県立熊野高校に森林科学科、もとの林業科がありましたが、現在は総合学科に編入され、特に林業技術職を輩出する専門科ではありません。県の林業技術職を含めてですが、将来的な林業人材育成のための林業科の再設置を──もし先ほどの通学確保ができればの話ですが──紀州材の中でも市場の評価の高い龍神材を輩出する龍神分校に設置できれば、地域活性化、そして県内外から人の集まる特色のある学校になると思います。
 場所はさておきまして、林業科の設置について教育長にお聞きをいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 林業に関する学科として、県内では、熊野高等学校に森林科学科を設置していましたが、産業構造の変化やニーズの低下により定員割れが続き、平成16年度より総合学科に改編しました。現在、総合学科の系列の1つであるグリーンマスターにおいて農業関連の学習を行うなど、創意工夫を凝らした教育を推進しております。
 県内の児童生徒数がさらに減少していく中、現時点では林業科などの新たな学科を設置することは困難であると考えますが、生徒の多様な希望や興味・関心、適性等を十分に考慮しながら、地元産業を支える人材の育成に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 将来的な林業技術職の人材枯渇、もう既に確保が難しくなっているのではないでしょうか。また今後、研究といいますか、検討をする機会を設けていただけたらなと思っています。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 和歌山県の少子化対策についてでございます。
 日本の少子化政策は年齢という観念が薄く、少子化対策としては、社会的にも経済的にも一番効果的なのは、20代前半の出産家庭であると考えます。
 資料4は、よく皆さんも御存じの15歳以上49歳以下の女性の出産数を示す合計特殊出生率の表で、1947年、第1次ベビーブームでは4.54人ですが、現在は1.43人になっており、減少とともに、現在の年齢別人口のアンバランスも見てとれます。
 資料5、これは高齢出産のデータでございます。このデータを見てみると、20歳から35歳の出産が1947年と現在ではほぼ同じ70%前後になっていますが、内容には大きな違いがあり、20歳から24歳までの出産が激減し、その分、30歳から35歳の出産がふえているのが見てとれます。
 特に顕著なのが1980年、ここから急激な出産高齢化のシフトというのが始まっています。年間8000人ずつ減る県人口と少子多高齢のアンバランスな人口構造の早期回復を目指すには、漠然とした年齢層に対して育てる子供の数を1世帯当たりふやす、そういう考え方より、対象年齢を20代前半の出産家庭に絞って、例えば市町村と折半してでも、毎月2万円ずつ、おむつや粉ミルクほか子育て経費、家庭的保育の費用などを領収書と交換で地域振興券で渡すなどして優遇するほうが、少しでも早期の家族形成を促し、少子化の回復になると考えています。
 ちなみに、県のデータによると、2012年の出生数は7423人、仮に資料の数値、20歳から24歳の比率9.9%を当てはめますと、対象人数は734人、小学校に入るまでの6年間で掛ける6、そして年間24万の半分としますと、県の支出は、予想しますと約5億円となります。仮に市町村を私の住んでいる田辺市に当てはめますと、対象は約400人になります。仮にですが、支出を計算しますと約4800万ということになります。
 社会的にも経済的にも一番苦しいときに手が届き、若くして2子、3子につながった場合、人口バランスの安定につながると考えます。万が一、2子につながらなくとも、PTAや地区運営など、コミュニティー運営に参加する年齢が若くなり、40代で子育てが一段落することで、男女とも、会社での生産能力や、当然、独立や起業という経済効果というのも生まれてくると考えます。
 結婚、出産は自由でございます。当然、人によってはよいことばかりではありません。しかしながら、高齢出産のリスクが近づく年代にまで第3子出産優遇を用意することに比べると、20歳前半の出産家庭への支援というのは、より現実的ではないかと思っております。
 今後の和歌山県の少子化対策について、以上のことを踏まえまして、知事にお聞きをいたします。
○議長(坂本 登君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 少子化対策として子育て世帯の経済的負担の軽減を図る対策としては、国が現在やっております児童手当があるんですけれども、無条件の現金給付ですから、子育て経費以外にもどうも使用されてしまうんじゃないか、そういう意味で、子育てのインセンティブが少ないんじゃないかと、そういう疑念はあると思います。
 議員御提案の領収書と交換で地域振興券により子育て世帯を優遇する政策というのは、子育てに要する経費に必ず使用されるということになりますので、傾聴に値するものと考えております。
 しかしながら、出産は個人の意思にかかわることでございますし、自由な選択が最優先されるべきであると考えます。ある一定の年代のみに子供を産むことを誘導する政策は、どうもちょっと倫理的に問題があるんじゃないか、そんなふうに思う次第です。
 また、子育て世帯への経済的支援については、今申し上げました児童手当の重複支給という問題が出てまいります。試算によりますと、御提案分だけでもかなりのお金が要ります。児童手当をこれにかえてしまうというのは、国の制度でありますので、現状ではですけれども、難しいわけです。
 したがって、県としては、議員御提案の事業については、現状の制度を前提にする場合、どうも実施が難しいなあというふうに思っている次第です。
○議長(坂本 登君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。領収書と交換で地域振興券、傾聴に値すると言っていただきましてありがとうございます。
 それと、出産、結婚はもう当然、個人の自由です。本当にええことばっかりやないと思いますし、そこを選ぶのは個人の自由なんですけど、高齢出産をされる方に第3子の制度が用意されてることも同じことではないかなと──その倫理的なことを考えると──僕は思っています。
 知事のことですので、今後とも人口減少や少子化の回復にさまざまな政策を打っていただけると思いますので、そこら辺は御期待を申し上げて、次の質問に入らせていただきます。
 3番目、殿山ダム水利権と遡上阻害の解消について御質問させていただきます。
 資料6でございます。
 資料6は、日本で初めてのドーム型アーチ式ダムでありまして、今年度、2回目の水利権更新がされました殿山ダムでございます。長年、地域から要望しております天然遡上のための魚道設置がいまだになかなか実現しないまま、現在に至っております。
 建設当時の地域のお話を聞きますと、当時、ダム建設に揺れに揺れていました三川地区に小野知事御自身が来られまして、本当に紛糾してる中で、県が責任を持つので建設をさせてください、このように言われて建設に至ったと。そういうことは、当時の住民の方のお話でもそうですし、大塔村史にも載っているところでございます。だからといって、むちゃな責任を押しつけるわけではございませんけれども、魚道といえば、遡上過程で最低でも高さの10倍の魚道の長さが要るということで、今までの話し合いの経過の中では御説明をいただいたことがあると聞いています。
 今は、資料7にありますような縦型壁面魚道という方法もできています。三川地区の方々と実物を見に行ってきましたけども、全国でまだ1基しかなく、岐阜県揖斐川町の砂防に設置がされています。
 この魚道の上部の流入速度と下部の流出速度が同じということで、実験データでは、アユ、アマゴの遡上率が、この魚道の場合は約90%であったと聞いています。理論上は、流入速度と流出速度が同じなもので、まだまだ高さも上げれるということでございます。従来のコンクリートの魚道に比べ、コスト、設置時間とも大幅に削減できるということでした。
 参考までに新しい高効率の魚道も御紹介いたしましたが、魚道設置による天然遡上への取り組みについて設置者に促していただけないか、知事にお聞きをいたします。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 殿山ダムにつきましては、昭和30年に関西電力と日置川漁業協同組合との間で漁業補償等に係る交渉が行われまして、金銭による補償で解決が図られております。その際に、関西電力は、日置川漁業協同組合の漁業権を尊重するものとし、漁業権に基づく漁猟の不能、あるいは捕獲の減少、その他の漁業権の損失に対して金銭による補償を行う一方、発電所堰堤に魚道等の施設を設置しないことでよいとされたと聞いております。
 また、議員御提案の縦型壁面魚道を殿山ダムのようなドーム型アーチ式ダムに設置するとなると、ダム堤体から空中につり下げる構造になってしまうわけですが、殿山ダムは、ダム下流に常に一定量の放流が行われておりませんので、魚道に関する水量を改めて確保する必要があるというような技術的な問題もあります。
 したがいまして、殿山ダムへの魚道の設置を関電に迫るということは極めて困難であるというふうに思います。
○議長(坂本 登君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 堰堤からつり下げるのは、当然、危ないと思います。今の魚道というのは複合型でされますので、幾つか方法も考えられるのかなと。つり下げは、当然、想定はしておりませんが。
 あわせて、当時、こういう協定が結ばれまして、今、環境やエネルギー、ほんで河川の遡上に対する認識、価値観が60年たって変わってきています。その当時の協定について考えていくことも可能でもあると思いますし、大事じゃないかと思いますので、今回、協定書を確認できたことというのが、すごく私はありがたかったなと思っています。
 これはこのぐらいにさせてもらいまして、次の質問に移りたいと思います。
 もう1つ、建設当時は、紀南の産業発展への電力不足という事情がありました。今は、もうここでなければならないということはないと思います。次の更新は20年後になっていますが、ふるさとの美しい川を取り戻す、こういうことに向けて、撤去も含めた検討会の設置を始めていくべきではないかと考えます。
 当時を知る住民の数、これは大変減ってきています。今回、20年の更新ですが、次の更新までいきますと、地域の住民の数というのがどのぐらいになっているのかと本当に不安に思います。殿山ダムの今後のあり方について、知事にお聞きをいたします。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ダムで大事なことは、何といっても安全でございますので、今回の水利権の更新につきましては、私からこのダムの安全性について、過去やったからではなくて、改めて徹底的に確認をすることを指示いたしました。その結果、関西電力からも、もう一度詳細に調査、それから計算、そういうものを出させまして、私どもも、それを徹底的にまたダブルチェックをいたしました。
 その結果、このダムは、南海トラフ巨大地震を含めた地震に対する耐震性を有している、それから、過去最大の洪水に対する安全性も有しているということを確認した上で、先般、平成46年7月末まで20年間の水利権更新を許可したところでございます。
 また、これは利水ダムなんでございますけれども、実は県と関西電力との間で協定を結びまして、それから、洪水が予想される場合に可能な限り水位を下げて治水のために活用するような仕組みとなっております。現に、この協定に基づく発動も何件かなされております。また、そこまで至らなくても、最近の大雨のときに、下流が現にこのダムの滞水効果によって随分助かっているというような結果も出ております。
 したがいまして、有用なものとして大事にしていったらいいんじゃないかというふうに考えております。
○議長(坂本 登君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 今後、区長会等との意見交換会というんですか、そういうこともあるのかと聞いておりますけれども、ぜひそういう交換の機会はいただけたらなと思っております。当時の建設の状況を知る方々というのが、もうかなり高齢になってきています。皆さんの思いのあるうちに気持ちを受けとめていただけたらなと思っています。その意見交換会の開催、できましたらお願いしたい、このように要望させていただきます。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 和歌山県林業振興のための山林地籍調査促進について質問させていただきます。
 木材価格の低下、林地価格の低下により、山林経営意欲の低下、山林の荒廃森林化が進んでいます。荒廃森林化を解消するには、意欲ある国内の林業経営者に所有者になってもらい、山林を健常な状態に戻してもらう。林地取引市場を活発にしていくことが和歌山県の林業活性化に続くと考えます。そのためには、やはり売買がしやすいように土地の境目をはっきりし、所有者をはっきりする地籍調査を進めていただかなければなりません。
 資料8を見ていただきますと、木材のメッカ田辺市以南の森林というのは、まだほぼ真っ白なままでございます。これでは、手放せない山主が放置したままになります。海岸部を災害に備えて進めるのと同時に、和歌山県の林業も窮地にありまして、山村の過疎化、水害なども考えて、荒廃森林の解消も含めて喫緊の課題でございます。
 和歌山県林業振興のための今後の山林地籍調査促進について、企画部長にお聞きをいたします。
○議長(坂本 登君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 林業振興のための山林地籍調査の促進についてでございますが、地籍調査は、国土の実態を正確に把握するために行われるもので、土地の流動化の促進による経済活性化などの効果があり、議員御指摘のとおり、林地の境界の明確化による所有権の保全により、林地取引市場の活性化に役立つ事業であると考えております。
 事業実施主体は市町村で、本県における事業の進捗状況につきましては、平成25年度末で全国平均の約51%に満たない34.8%ですが、平成15年度以降、全国最大の事業量を確保し、最近では国全体の関連予算の1割以上を占めております。
 ただ、地籍調査は、道路などの公共事業の円滑な推進や津波浸水などの災害からの早期復旧・復興につながることから、これらを優先的に取り組んでいるところでございます。
 以上のことを踏まえまして、それぞれの地域の実情に応じた優先順位により事業が円滑に進むよう、市町村と協議を行い、地籍調査の早期完成を目指してまいります。
○議長(坂本 登君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 続きまして、5つ目の質問に入ります。
 紀伊半島大水害、田辺市熊野地区及び中辺路町滝尻地区災害復旧工事進捗状況についてお聞きをいたします。
 100年に1度と言われ、未曽有の被害をもたらした紀伊半島大水害から3年がたちました。改めて、失った同胞に御慰霊を申し上げますとともに、今後、水害で1つの命も落とさないように決意を新たにするところでございます。
 本日は、今なお復旧に時間を要している2カ所についてお聞きします。
 山腹崩壊により土石流が約20メートルの高さまで勢いを増し、3名のとうとい命と集落家屋をのみ込んだ土石流、そして、その後できた日本史上5番目と言われる規模の土砂ダムでありましたが、3年がたちまして、なお周辺は工事による道路封鎖がされています。当初の予定からいくと、来春には復旧工事も終わり、封鎖も解除されると聞いておりましたが、通りがかりに山の上から見ますと、どう考えても間に合わないと感じます。実際のところどうなのか、今後の復旧工事の見通しを県土整備部長にお聞きします。
 あわせて、国道311号中辺路町滝尻地内の山腹崩壊現場は、この時期、観光バスや車の往来もピークを迎えていますが、ふだんは、夜間や雨天の通行、ロングの車とのすれ違いにも苦労しながら工事の完了を待っています。地元にとっては、ここの工事は復興の目安でもありますので、一日も早い完成をお願いしつつ、今後の完成の見通しを県土整備部長にお聞きをいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 平成23年の紀伊半島大水害により、田辺市熊野地区では、幅約450メートル、長さ650メートルの深層崩壊が発生し、410万立方メートルに上る崩壊土砂が河道を閉塞、約110万立方メートルの天然ダムが形成されました。
 この災害に対し、まず国土交通省は、緊急対策として、天然ダムの崩壊を防止するため、湛水池の排水や埋め戻しなどを実施、次に安全を確保するための本格的な対策工事として、砂防堰堤の設置や河道閉塞部への排水路の整備などに着手しました。
 現在は、排水路の整備は完成し、砂防堰堤工事が進められております。砂防堰堤工事は、本年8月の台風11号による豪雨の影響を受けましたが、平成28年度末の工事完成を予定しております。
 また、田辺市中辺路町滝尻地区の門谷でも、約12万立方メートルの大量の土砂が流出し、国道311号を寸断、富田川を埋塞する等、大きな被害が発生しました。
 この災害に対し、まず、寸断された国道311号の通行を一日でも早く確保するため、崩壊土砂上に緊急的に道路を通すこととし、約1カ月後の平成23年10月に通行可能としました。また、仮橋2橋の設置等を行い、平成24年10月には、雨量等の規制を受けずに通行を可能としたところです。
 本格復旧としては、バイパス計画を策定し、現在、下部工6基を完成、残る橋梁2橋の上部工及び取りつけ工事を施工しており、今年度末の供用を予定しております。
 また、富田川を埋塞させた約9万立方メートルの土砂撤去につきましては、平成26年3月に完了するとともに、門谷の土砂流出対策として平成26年11月に砂防堰堤が完成し、現在、渓流保全工等の整備を実施しているところです。さらに、上流部の斜面対策を含めた全体計画を策定しているところであり、崩壊地の安定を図るため、一日も早く対策を完成させるべく、引き続き工事を進めてまいります。
○議長(坂本 登君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、最後の質問です。
 県道市鹿野鮎川線赤木工区の開通見通しについて。
 平成17年から始まった県道市鹿野鮎川線赤木工区ですが、今後の開通の見通しについて、県土整備部長にお聞きをいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 県道市鹿野鮎川線は、田辺市合川から国道311号に通じる地域住民の生活上必要な道路であり、平成11年に延長約1300メートルの新深谷トンネルが完成し、その前後の区間も、これまで順次、整備を進めてきております。
 御質問の赤木工区は、田辺市鮎川の国道311号から深谷の集落までの間で延長約500メートルの未改良区間があり、平成17年度から橋梁整備や道路改良等の事業を行っております。
 今後、残る橋梁1橋の上部工や現道との交差点部の工事を進め、来年度中の完成を目指してまいります。
○議長(坂本 登君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。

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