平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浅井修一郎議員の質疑及び一般質問)


平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(浅井修一郎議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 9月定例会一般質問最終日、最後の質問ということでありますけれども、本来ならば我が会派からベテランの先輩議員がトリを務めているようでありますけれども、今回は私ということで大変恐縮をしておりますけれども、光栄の至りであります。
 大トリの質問にふさわしい格調の高いものかどうかわかりませんけれども、一生懸命努めてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、通告に従い一般質問をさせていただきたいと思いますけれども、その前に1つ、最近気になっていることがありますので聞いていただきたいと思います。
 それは、ミカンレンジャーを初めとする紀ノ國戦隊紀州レンジャーのことであります。紀州レンジャーは、一体どこへ行ってしまったんでしょうか。きょう、私は、タチレンジャーを連れてまいりましたけれども、戦いに敗れてどこかへ行ってしまったのでしょうか。つい最近まで、職員の皆さん方も紀州レンジャーの刺しゅうが入ったポロシャツを着ていましたけれども、国体が近づくにつれ、きいちゃん一色ということであります。
 このきいちゃんも、最初はシロクマと間違われていたようでありますけれども、最近やっと紀州犬と認識していただけるようになりました。では、このきいちゃん、国体が終わったら一体どうなるのでしょうか。
 ちなみに、熊本県のPRキャラクターであります「くまモン」、これの経済波及効果、試算によりますと、2011年11月から2013年10月の2年間で1244億円というふうに言われています。本県でも、ただいま充電中の紀州レンジャーや国体後のきいちゃんなどをPRキャラクターとして活用することが本県振興の観点からも大切ではないでしょうか。
 それでは、本題に入らせていただきたいと思います。
 まず初めに、ミカンの振興についてお尋ねいたします。
 本県の温州ミカンは、平成16年から10年連続で生産量日本一を誇る、まさに和歌山県を代表する農産物の1つであり、有田みかんを初め、県内各地からおいしい和歌山ミカンを全国へ供給しています。
 本年6月までの2年間、ミカン生産16県の県議会議員で構成する全国みかん生産県議会議員対策協議会の会長県として、尾崎要二議員が顧問、岸本健議員が事務局長、そして私が会長として、政府や関係省庁に対して、ミカン農家の所得向上や経営安定のための生産振興対策を初め、選果場等の施設整備、消費拡大対策、学校給食へのミカンの利用促進に対して積極的かつ柔軟に対応するよう提案するとともに、国内農業に大きな影響を与えると思われるTPP協定については慎重な行動を求めてまいりました。
 また、昨年の9月には、知事も御出席をいただいた和歌山県新品種同志会の和歌山みかん飛躍への研究会に、尾崎議員、岸本議員ともに出席し、ミカン農家の皆様方から生の声をお聞かせいただき、国へ届ける活動も行ってきたところであります。
 こうした活動により、先ごろ発表された農林水産庁の来年度概算要求には、果樹対策事業の拡充や選果場整備等に活用できる強い農業づくり交付金の大幅な増額、収入保険制度検討調査費の倍増など、我々の提案内容が反映されております。
 そして、今月6日、7日には愛媛県で現地研修会が開催され、私ども3名が参加してまいりました。愛媛県では、宇和島市にある県立の果樹研究センターみかん研究所及び松山市のJAえひめ中央の農産物直売所「太陽市」を見学するとともに、全国の先輩・同僚議員や愛媛県関係者の皆さんと果樹振興について意見交換を行ってまいりました。
 みかん研究所では、かんきつの新品種開発のため毎年約1000個体の交雑を行っており、40年間で4万個体、その中から品種登録に至ったのはわずか8個体とのことでありました。1つの品種を生み出すのに約15年かかっているとのことであります。みかん研究所が育成した代表的な品種としては、紅まどんなや甘平などがあり、現在、愛媛県の中晩柑を代表する品種となっています。愛媛県では、温州ミカンだけでなく中晩柑類の振興にも力を入れており、ミカンの不適地園では中晩柑類への転換を進めるなど、かんきつ全体として生産振興と販売戦略を展開していることを目の当たりにし、本県においても中晩柑類の新品種育成にも力を入れる必要があるのではないかと感じたところであります。
 また、愛媛県では、知事直轄で愛のくにえひめ営業本部を設置し、農林水産物から工業製品に至るまでの県産品の販路拡大等に取り組まれており、非常に興味深く感じました。
 本県産ミカンの販売単価は、昨年が1キログラム当たり213円、一昨年が204円と2年連続でキロ単価が200円を超えておりますが、昨年の全国10地域市場での平均価格は全国第6位に甘んじております。さらに、現在、正念場を迎えているTPP協定に万が一参加することになれば、ミカン農家にも大きな影響を与えるものと大変心配をしております。
 また、生産現場では、有田地域のミカン園のうち45%以上が40年以上の老木園であり、若返りが必要な状況であること、ミカン園の約2割が25度以上の急峻園地、半数以上が15度以上の傾斜地であり、生産者の高齢化とも相まって園内道の整備や傾斜緩和などの園地整備が急がれること、加えて、鳥獣による深刻な被害が続いていることなどが課題であります。
 そこで、農林水産部長にお伺いします。
 本県ミカンの生産・販売対策並びに中晩柑を含めたかんきつ全般の品種開発について現在どのような取り組みが行われているのか、お尋ねします。
○議長(坂本 登君) ただいまの浅井修一郎君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ミカンの振興について、まず生産対策では、農業緊急戦略アクションプログラムに基づき、県オリジナル品種の生産拡大を初め、高品質生産のためのマルチ導入や光センサー選果機の整備に加え、働きやすい園地づくり、鳥獣被害防止対策などを積極的に推進しております。
 また、販売対策では、県産ミカンのブランド力を高めるため、JAと連携した東京でのPRイベントや4大都市圏での販促フェアを開催するとともに、高級フルーツ店への提案のほか、台湾、シンガポールの高級百貨店等での和歌山フェアを開催しているところでございます。
 さらに、ミカン加工品については、国内大型見本市や高級百貨店に出店する県内事業者の商談や販売促進活動を支援するとともに、先週発表したバニラヨーグルト有田みかんのように、大手食品メーカーとの新商品開発にも取り組んでおります。
 品種開発については、温州ミカンでは、ゆら早生を親に持つ極わせ品種「YN26」、浮き皮の少ないなかて品種の「きゅうき」に続き、わせ品種の「田口早生」や、なかて品種の「向山温州」を親にした個体について、1次選抜を終了したところです。また、中晩柑では、現在、ポンカンや清見等を親にして交配したものの中から、有望な数個の個体を選抜しております。さらに、ジャバラにダイダイを交配し、機能性にすぐれたかんきつ新品種の登録に向け、取り組んでいるところでございます。
○議長(坂本 登君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 先ほど御紹介しましたように、愛媛県では、新品種の開発に多くの労力を注ぐ一方で、知事直轄で営業本部を設置し、販路拡大等に取り組んでおられますけれども、国内のライバル産地や外国産果樹に負けないよう、本県ではミカンの振興に今後どのように取り組まれるのか、知事の抱負も含めた御所見をお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 温州ミカンは、有田地域の重要な農産物であり、梅、柿、桃などとともに、これまで本県農業を支えてきました。今後も、果樹王国和歌山の基幹品目であるということは変わりがございません。
 県内では品質のよいミカンが生産されてきましたけれども、議員御指摘のとおり、価格が低迷するなど販売面が弱かったことから、知事就任後、まずやったことは、農水産物の販売促進と、それから加工食品の拡充ということを考えまして、販売促進、輸出展開なども視野に入れて、力を入れて取り組んできたところでございます。
 特に、ちょっとキャッチフレーズも必要だというんで、これは「おいしい!健康わかやま」というのを健康にひっかけてPRすることにいたしまして、田中3きょうだいなどの応援も得て、今頑張ってるところでございます。
 また、試験研究機関のテーマ公募をすることを始めました。これは、議員御指摘のように、味や品質をよくしていくことが大事なんでございますけれども、どうも他県の──これはちょっと正確に比べたわけじゃないんですが──他県の頑張っている公設試に比べると、和歌山の公設試は少し成果が少ないんじゃないか。ミカンに関しては、梅もそうなんですが、どうも民間の方が開発されたとか頑張られたとか、そういうようなのも結構多いなあというように思いまして、これはちょっと刺激を与えて喝を入れないかんというふうに思ったわけでございます。
 そこで、生産者の意見とか、あるいは我々県庁の中で政策を担当してる者からするところの必要な研究項目ですね、こういうものを出してもらって、それでもちろん公設試の研究員の発意も大事にして、両方でそれを合わせて議論をして、専門家の意見も入れてやっていこうじゃないかと。ついては、やっぱり試験研究費も少ないので、特に重要なテーマについては多く出そうということで、県議会にお願いをして、全体として倍額をしてるということでございます。そんなことで、現在、増谷部長が御説明申し上げましたような個々の案件が努力されてるということではないかと思います。
 さらに、特に斜面などを使って苦労してミカンをつくっておられる、そういう農家の皆さんを支援するということは大事なことでございまして、生産面の支援、すなわち例えば選果場の充実や、あるいは選果機とか糖度計とか、あるいは斜面の作業路とか、そういうものに対する投資もこれを怠ってはいけませんから、これも支援を一生懸命やっていきたいと思いますし、それから鳥獣害対策も力を入れてるところでございます。
 今後とも、私自身が先頭に立って、産地や地元市町村等と一緒になって他県に負けないように頑張って、生産対策はもとより、国内外での有利な販路開拓に取り組み、和歌山の顔となるような新品種の開発も加速し、名実ともに日本一の産地づくりに向けて取り組んでまいる所存でございます。
○議長(坂本 登君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 次に、有田川の河川整備についてお尋ねします。
 最近の記録的な集中豪雨は、台風によるもののみならず、全国各地の広範囲で発生しています。8月の集中豪雨では広島において大規模な土砂災害が発生し、甚大な被害をもたらし、多くのとうとい生命が奪われました。亡くなられました方々の御冥福を心よりお祈りを申し上げます。
 本県では、さきの台風11号で県内の広範囲で24時間雨量が200ミリを超える大雨となり、河川の水位の状況に有田川など7河川で避難判断水位を、熊野川など8河川で氾濫危険水位を超過いたしました。また、有田川では、ふるさとの川総合公園が冠水し、支川においては西谷川では一部決壊、お仙谷川では氾濫、高山川周辺では床上浸水1戸、床下13戸の浸水被害がありました。支川につきましては建設委員会で対応策を尋ねたいと思いますので、一般質問では有田川本川に絞って質問をさせていただきます。
 有田川ふるさとの川総合公園では、設置以来5回の冠水を受けており、近年では平成23年、25年、26年と連続して発生しています。冠水被害もさることながら、沿川住民の皆さん方は水位の上昇による決壊の不安を抱いております。水位上昇の要因の1つとして近年の堆積土砂の増加が挙げられ、しゅんせつ等による河積の確保が喫緊の課題であると思います。
 その対策として、県では、民間業者の砂利採取を6河川で、5年間の期限つきでありますけれども、27年ぶりに全面再開いたしました。その試算によると、有田川では80万立米の砂利を採取可能とし、砂利業者にも一定の利益が出るとして、鳴り物入りで募集を開始しましたが、現時点での一般砂利採取の応募状況について県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 一般砂利採取につきましては、治水安全度の向上にもつながることを期待し、堆積土砂を効果的に撤去することを目的として、平成25年4月1日に、有田川を初めとする6河川において、27年ぶりに再開するとともに区域の拡大を行ったところです。
 応募状況につきましては、5河川で7者の応募があり、5年間の採取予定量は約67万立方メートルとなっております。そのうち有田川では1者から応募があり、5年間で約3000立方メートルの採取予定となっております。
○議長(坂本 登君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 ただいまの答弁によりますと、5年間ではありませんけれども──とりあえず80万立米の砂利採取可能のうち、わずか3000立米の応募しかないということでありますが、これでは有田川の治水対策としてはその効果が見込めないのではないでしょうか。
 現在、有田川河口右岸で高潮対策の防波堤工事が行われており、その現場では埋め戻し土としての大量の土砂が必要ということであります。有田川を眺めてみたときに、保田橋付近には大量の堆積土砂が見受けられる状況であります。有田川のしゅんせつ土砂を流用すれば、工事費の削減とともに、早急に河床整正が図られるのではないか。それには、港湾整備課と河川課が連携を密にして取り組むことが必要であると考えます。
 そこで、有田川防波堤工事への有田川しゅんせつ土砂の流用について県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 有田川河口右岸防波堤等の工事につきましては、平成23年度より高潮・波浪対策としての護岸及び導流堤の改良と不法係留船対策としての防波堤及び係留施設の整備を、平成29年度完成を目途に進めております。
 議員から御指摘のあった有田川しゅんせつ土砂の防波堤等工事への流用につきましては、コスト縮減の効果が期待できることから、平成25年度から上中島工区で発生した掘削土砂において実施しているところです。
 今後、保田橋付近も含め、その他の掘削土砂についても港湾事業と河川事業の連携を図り、防波堤工事等への流用を積極的に進めてまいります。
○議長(坂本 登君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 次に、有田川左岸安諦橋付近の不法係留船対策と河川敷整備についてでありますが、当初の計画では、安諦橋付近ではプレジャーボート等が無秩序に停泊していることから洪水や津波等による2次災害のおそれがあり、防災、減災の観点からも、不法係留船対策としてマリーナ建設を計画し、あわせて子供たちの遊び場、市民が憩う場としての河川敷の整備を行うというものでありました。
 ところが、調査の結果、予定地の一部に珍しい貴重な干潟底生動物が生息しており、また環境省の日本の重要湿地500に選定されていることからマリーナ計画を断念。改めて、安諦橋下流左岸約700メートル区間において、干潟の保全を考慮しながら、市立病院に来られた方々が車椅子でも利用できるスロープや遊歩道のほか、災害緊急時に利用できる芝生広場や駐車場等を整備するということに変更し、着手から5年目でおおむね完了するも、残る工事区域には沈船、廃船、不法係留船が集中している状況であり、工事を速やかに完了するためにはこれらに対する対応を早急に講じなければならないと思いますが、今後の当該場所の不法係留船対策と河川敷整備の予定について県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 有田川左岸安諦橋付近の不法係留船対策としましては、平成24年度より初島漁港に80隻収容可能な係留施設の整備を実施しているところであり、今年度中には完成する見込みです。係留施設が完成した暁には、当該地区の不法係留船の誘導を進めてまいります。
 また、当該地区の河川敷整備につきましては、平成22年度に着手し、平成25年度までに河川堤防の張り芝や遊歩道の整備はおおむね完了したところであり、今年度はスロープの整備を実施しているところです。残されている芝生広場等については、不法係留船対策の完了後、速やかに着手し、整備してまいります。
○議長(坂本 登君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 どうか、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、観光振興についてでありますけれども、真の観光立県を目指す観点から、我々議員提案による和歌山県観光立県推進条例が制定されてから4年が経過いたしました。その間、実施行動計画を立て、それぞれの年度のアクションプログラムを策定、和歌山を売り出す、和歌山へ招く、和歌山でもてなす、この3本柱で県を挙げて頑張っていただいているところでありますが、いよいよこれからが本番であると思います。
 本年は、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産登録されてから10周年を迎え、来年は紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会、高野山開創1200年、さらに再来年のNHK大河ドラマ「真田丸」と続き、まさに今、和歌山を売り出す絶好のチャンスであります。
 この10周年記念事業として、本県、奈良、三重の3県で連携し、東京、名古屋、大阪において記念フォーラム等の事業を実施し、関係する県内各市町村においてさまざまなイベントが実施されております。また、本県独自事業として、県、県内市町村、観光関係団体及びJRグループが一丸となって進める和歌山デスティネーションキャンペーンが9月14日からスタートいたしました。期間中は、和歌山を存分に楽しむため、県内各地でさまざまな特別企画やイベントが実施され、和歌山ファンをふやし、将来にわたり持続可能な観光地を目指すと聞いています。
 このキャンペーンにおいて、特別企画として1万人のウォーク&トレッキングが実施されておりますが、この核となる熊野古道は、世界遺産に登録された中辺路を中心に大々的なPRがなされ、毎年多数の観光客が訪れ、にぎわっていますが、かつて熊野参詣のメーンルートであった紀伊路には、ルート沿いに多くの文化財がありながら、全く脚光を浴びていないという現状がございます。
 私の地元である有田市には、万葉集7巻、「足代過ぎて 絲鹿の山の 桜花 散らずあらなむ 還り来るまで」──これは有田市を過ぎるときに糸我峠で、余りにもその桜が美しいことから、私が旅から帰るまで、安全で帰ってこれるようにその桜が散らないでほしいという、そういった歌だそうでありますけれども。また、藤原定家の「熊野御幸記」にも非常に厳しい、険しいと記されている糸我峠を初め、貴重な古道や歴史文化資源が残されています。これらの多くは、国の文化財にも指定されていません。国史跡指定の取り組みがあると聞いておりますが、現在の状況はどうなっているのか、教育長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のように、有田市は古来より豊かな歴史、文化を育んだ地域であり、糸我峠を初めとする貴重な文化財が残されております。
 これらの中で熊野古道に関連する文化財につきましては、国史跡指定を推進するため、平成22年度から学識経験者の指導、助言をいただきながら、古道及び関連文化財の学術調査を進めてまいりました。現在は、調査結果をもとに文化庁と協議を進めており、今年度中に準備が整ったものから国史跡指定に係る意見具申が行えるよう手続を進めてまいります。
○議長(坂本 登君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 ただいまの教育長の答弁にありましたように、糸我峠等の国史跡指定に向けてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 改めて、かつて熊野参詣のメーンルートであった紀伊路について見ますと、特に海南市の藤白神社から有田市へ至る蕪坂峠、少し下って弘法大師が爪で阿弥陀さんと地蔵さんを描いたと伝えられている市指定文化財の爪書地蔵、さらに山口王子を過ぎ、有田川の渡し場、糸我町へ入って、天平時代の右大臣、藤原豊成の娘、中将姫伝説で有名な得生寺、この会式が県の無形民俗文化財に指定されています。
 そして、すぐ隣に、京都の伏見稲荷神社より約60年も古いと言われている糸我稲荷神社があります。天皇を退いて上皇になられた方々は、熊野三山へ参詣、参拝される途中、まず糸我稲荷神社に奉幣され、続いて糸我王子に詣でられたそうであります。
 それから、険しいと言われた雲雀山、その山頂に、先ほど教育長にお尋ねした糸我峠があります。この糸我峠では、後白河法皇が熊野御幸の道中、この峠で歌会を開いたと記されており、また、この峠茶屋では名産のミカンを貯蔵しておいて、夏になってから峠を行き来する人たちに売る。その味はすばらしく、中国の仙人が口にする金掌玉露にもまさるということで、よその地方から来た人は特に驚き、心を奪われたとも「紀伊国名所図会」に記されております。
 このような熊野古道紀伊路も熊野三山への立派な参詣道であり、私の地元有田市域にも、ただいま御紹介した多くの名所・史跡があります。今後、国史跡指定を契機とし、多くの観光客を誘致できるよう、地元有田市、市観光協会や地元団体等が協力して、例えば糸我峠茶屋を再現するなどの取り組みが必要であると考えます。県としても指定を契機とした観光振興に取り組んでいただきたいと思いますが、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 熊野古道紀伊路は、JRきのくに線に沿った部分が多く、京阪神からのアクセスがよいため、いわゆるレール・アンド・ウオークとして気軽に古道を楽しんでいただけます。また、海岸線に面した箇所が多く、海と山の双方の景観を楽しむことができます。さらに、かつて京都から熊野へのメーンルートであったことから、歴史的に貴重な寺社、史跡等の文化財が数多く残っており、訪ねる観光客のさまざまなニーズに応えることのできる道です。
 県では、この魅力あふれる紀伊路を重要な観光資源と捉え、観光客の誘引とリピーター化を促進するため、平成25年度に、地域における伝説や名所などを紹介した紀伊路スタンプの整備を行いました。
 また、9月14日にスタートした和歌山デスティネーションキャンペーンにおいて、1万人のウォーク&トレッキングに位置づけたイベントを紀伊路でも実施することとなっており、多くの観光客に訪れていただけるものと考えております。
 御質問の国史跡指定を契機とした観光振興ですが、指定の折には、有田地域においても、議員から御紹介のありましたとおり、いにしえの興味深い物語が数多く残る糸我峠を初めとした名所・史跡の付加価値がますます高まるものと考えます。
 県では、これらの魅力を県内外の方々にさらに知ってもらうため、熊野古道のブランド力を生かし、地元とも連携しながら、文化財や周辺の観光スポット、グルメ、地域の文化に触れる体験プログラムなどをパッケージ化して提案し、各種メディアを通じ積極的に情報発信を行うとともに、JR等が実施するウオークイベントとタイアップするなど、具体的な誘客につながる対策も行ってまいります。
○議長(坂本 登君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 次に、要望でありますけれども、県無形民俗文化財第7号に指定されている有田川のウ飼いであります。
 このウ飼いは、ウ匠がみずから川に入り、ウを操るといった全国唯一の徒歩漁法として約700年の歴史があります。これを復活し、昨年まで観光ウ飼いとして実演をしてきましたけれども、後継者不足から継承の火が消えようと今しております。この問題につきましても、続けていけるよう、地元関係者の意見を聞きながら、後継者不足の解消に向けて御努力をいただきますよう要望いたしたいと思います。
 次に、防災・減災対策についてお尋ねします。
 近年、台風の来襲に関係なく全国各地で集中豪雨があり、水害や土砂災害が数多く発生しています。また、近い将来発生すると言われている南海トラフ大地震、それに伴う津波等に対する防災・減災対策が喫緊の課題であります。ハード面での整備もさることながら、何といってもかけがえのない生命を守ることが大切であります。
 先日の広島市での土砂災害では、もう少し早く避難誘導が行われていればあれほど多くの犠牲者を出さずに済んだのではないかと思うとともに、悔やまれるところであります。
 とりわけ、巨大地震における津波発生については、非常に短い時間での到達が予想されており、迅速かつ円滑に避難することが求められています。そのためにも避難路の確保が重要であり、その避難路を閉塞させる危険性がある建築物や樹木等への対策が必要であると思います。
 そこで、まず1点目に、津波からの円滑な避難に係る避難路沿いの建築物等の制限に関する条例、いわゆる津波避難路条例が昨年度から施行されていますが、その後の条例の活用状況について県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 津波避難路条例は、地震により倒壊した建築物等が津波からの避難路の通行を妨げることを防止するため、避難路のうち特に重要なものを特定避難路として県が指定し、特定避難路沿いの建築物等に耐震性能を義務づけ、違反したものには是正を勧告、命令できることを定めたもので、平成24年7月に制定し、翌年4月に施行いたしました。
 特定避難路の指定につきましては、昨年度から関係市町と協議を重ねているところですが、本条例による避難路は市町村地域防災計画への位置づけが必要となっており、現在、市町において当該計画の見直しの作業を行っているところです。
 県としましては、今年度から来年度において、関係する全ての市町で特定避難路が指定できるように、引き続き働きかけてまいります。
○議長(坂本 登君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 次に、避難ビルとしての県営住宅の活用についてでありますが、津波から命を守るためには逃げていただくことが重要であり、先ほどの避難路の確保と避難場所の設定はセットであります。
 県内各市町では、高台などに避難場所を整備し、ハザードマップに位置を示すなどして住民に周知を行っていると思いますが、沿岸の多くの市町では津波が極めて短時間で到達することになるため、高齢者や障害のある方など避難速度の遅い方は避難場所まで逃げ切る時間がないおそれがあります。そういった方々や逃げおくれた方々の対策として、公共建物などを避難ビルとして整備し、高台へたどり着くまでの間、緊急避難先として活用することは非常に有効であると考えます。
 そこで、今回は、県内に多数存在する県営住宅に絞り、避難ビルとしての活用について、再度、県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 津波から命を守るため、現在、県では、「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を策定中であり、この中で津波避難困難地域の解消や避難の多重化の確保のため、既存の県営住宅に屋外階段や手すりを設置し、避難ビルとして活用することを考えております。
 現在、避難ビルとして活用する団地としては、避難困難地域内や浸水地域内にある団地の中から、市町の要望を踏まえ、優先して整備する6団地を選定し、今年度はそのうちの1団地について整備していく予定です。残り5団地につきましても、早期に整備してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 次に、スポーツの振興についてであります。
 まず、国体に向けての指導力ある教員の有効活用についてでありますが、紀の国わかやま国体・わかやま大会の開催まで、あと1年となりました。先般行われた長崎国体の近畿ブロック大会では、本県選手団の本大会出場が23競技54種目となり、昨年より6競技13種目多くなりました。長崎国体の本大会も9月7日から会期前競技が始まり、目標である14位以上を目指して大いに頑張っていただきたいと思います。
 心配していました少年の部においても、13競技20種目が予選を通過し、昨年度より3競技5種目多くなっているとのことでありますが、さきに行われた全国高等学校総合体育大会においても8位以内入賞者数が個人、団体合わせて44と、今年度の目標である35を大きく上回りました。
 来年の和歌山国体開催まで残り少ない期間になりましたが、教員の中には、すぐれた指導力を持った人材が数多くおられます。こうした教員をさらに有効活用することで少年の部はさらなる競技力向上が図られると思いますが、この点について教育長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のとおり、教員の中には、競技経験が豊かで、すぐれた指導力を持つ人材がたくさんおります。各学校において、教員は、生徒一人一人に寄り添い、日々の変化や成長を見ながら、生徒の個性や能力を最大限に発揮させる指導が求められています。
 とりわけ、高等学校の運動部活動全体のレベルアップが紀の国わかやま国体の総合優勝に大きく寄与するとともに、国体後における本県競技力の維持・向上の土台となるものと考えております。
 今後も、教員が指導力を十分発揮し、さらに生徒の競技力が向上できるよう努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 最後に、箕島高校への学生寮設置についてであります。
 本県では、今、来年本県で開催される紀の国わかやま国体・わかやま大会を盛会裏に開催できるよう、また知事が言われる総合優勝を目指して総力を挙げて頑張っているところでありますが、国体は来年で終わりではありません。再来年は岩手県、3年後は愛媛県と続いてまいります。したがって、スポーツの振興、競技力の向上はずっと続けて取り組んでいく必要があります。
 本県ジュニアの育成という観点から、本県で、県立高校で和歌山北高にスポーツ科を設置、陸上競技、自転車競技、フェンシング等が活躍しています。当然、学生寮が設置されています。
 一方、箕島高校では、平成19年にスポーツコースを新設、平成22年には2クラスの80人に増員されています。相撲、柔道、空手道、剣道等、武道系を中心に、野球、ソフトボール、ホッケーと、多くの競技種目で活躍しています。
 県教育委員会もこの箕島高校を中紀のスポーツ拠点校と位置づけているが、スポーツコース設置後9年目を迎えるも、いまだに学生寮がありません。現在の高校入試制度では、試験に合格すれば県内どの学校へも入学できる全県一区制であり、特に箕島高校のように相撲、柔道、空手道部といった武道系のクラブのある学校は県内でも数が限られ、紀北から紀南まで広域での入学希望者があるものと思います。
 以上のような観点からも、箕島高校への一日も早い学生寮の設置が必要であると思いますが、教育長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 箕島高等学校は、普通科にスポーツコースを設ける中紀のスポーツ強化の拠点校であり、これまでも多くの国体選手を輩出するとともに、今年度のインターハイで相撲部、空手道部などが活躍するなど、すばらしい成果を上げてきています。
 今後、箕島高等学校に県内からスポーツを頑張りたいという入学生がふえることは、競技力を向上させる観点からも極めて重要だと考えております。
 議員から御提案いただいた寮の設置につきましては、箕島高等学校をスポーツ強化の拠点校として環境を整えていくためにも、御要望の趣旨を十分踏まえ、鋭意さまざまな対応策を検討してまいります。
 来年度につきましては、県内の遠方から入学する生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、学校の対応をしっかりと支援してまいります。
○議長(坂本 登君) 浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 いろいろな方法があると思いますけれども、いずれにしましても、そういった特色ある学校で、またスポーツ拠点校と位置づけてる以上、やはりそこの学校へ来てやりたい子供を受け入れるだけの用意をしてあげるのが、これはあれだろうと。教育委員会にいろいろ言いますと、じきに「予算がないから、予算がないから」ということで、教育委員会がいつから総務部財政課になったんかなと思うほど予算がないからと心配、それだけ知事がまたプレッシャーもかけてるのかなというふうな、そういう感じもするわけでありますけれども、やっぱり必要なことは必要であるというふうに教育長のほうも総務部財政課のほうへ強く訴えていただければ、我々も必要であれば後方から支援をしっかりとさせていただきますので、必要なことはぜひともやっていただきたいと、こういうように思います。知事もよろしくお願いいたします。
 以上で、私の一般質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、浅井修一郎君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第132号から議案第146号まで並びに諮問第1号を所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。9月22日及び24日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(坂本 登君) 御異議なしと認めます。よって、9月22日及び24日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月25日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時35分散会

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