平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(濱口太史議員の質疑及び一般質問)


平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(濱口太史議員の質疑及び一般質問)


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  午後1時0分再開
○議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず1つ目、南紀熊野ジオパーク、日本ジオパーク認定を受けてであります。今後の県の推進体制についてお伺いをいたします。
 ジオパークにつきましては、一般質問など、これまで機会あるごとに取り上げてきましたが、去る平成26年8月28日、日本ジオパーク委員会において南紀熊野地域が晴れて日本ジオパークに認定され、いよいよ正式に活動をスタートさせることとなりました。日本ジオパーク委員会から発表された南紀熊野ジオパークの認定理由について、「プレートの沈み込みに伴って生じた地層群を貫くマグマの活動や巨大地震と津波がつくり出した独特の景観、そしてそこから生まれた熊野信仰等、数多くのすぐれた地域の自然・文化遺産が体感できる。ジオパークの活用に熱意を持った地域住民や50名以上のジオガイドの解説を聞くと、自然、大地の成り立ち、災害、そして世界遺産にもなっている地域文化と人々との強いかかわりに気づくことができる」と述べられています。
 この日の夕方、私も関係者らと一緒に串本町橋杭岩の前に集まり、合否の結果を待っていますと、日本ジオパーク委員会から東川推進協議会事務局長の携帯電話に認定されましたとの知らせが届きました。田嶋串本町長の発声で声高らかに万歳三唱。その模様はマスメディアを通じて報道され、多くの県民を初め全国に知れ渡ったところです。
 当初から、南紀熊野の地質は、でき方の異なる3つの地質体が1つの地域を形成していることなど、学術的にも価値が高いとの専らの評判でした。また、7月に実施された現地審査においても調査に訪れた3名の現地調査員の反応も上々で、認定は濃厚との雰囲気ではありました。しかし、今年度は、申請のあった6地域のうち認定されたのは富山県の立山黒部、熊本県の天草と和歌山県の南紀熊野の3地域だけであり、あとの3地域については認定を見送られました。かなり厳しい審査の末の認定であったようですが、認定理由にもありましたように、熱意を持った地域住民やジオガイドの活躍が認定に向けて大きな役割を果たしていただいたおかげで認定をかち取ることができたのだと思います。これで、世界認定6地域を含め、36地域が加盟する日本ジオパークネットワークへの仲間入りも果たしたことになります。
 微力ながら私も、支援できることは何でも協力しようと考えていまして、現地審査にも同行させてもらい、3名の現地調査員に対し、民間団体を含む地域の取り組み、地域の事情、また世界遺産である熊野信仰との相乗効果などを訴えました。また、私だけではなく、県議会においても、積極的に各地域のジオパークを議員団で訪れたり、委員会などの県外視察や会合などで各地を訪れる機会にも、近辺にジオパークがあれば立ち寄り、現地の視察、事務局やガイドから内容を聴取するなど、ジオパークの見識を深めるための研究活動の様子や、この取り組みを地域再発見、地域おこしの軸にしたいという思いを先輩・同僚議員に地域を問わず共有していただき、推進の後押し役として協力を得ている状況などを話しました。
 直近の話では、7月に北海道の洞爺湖有珠山ジオパークを8名の有志議員団で調査を行ってまいりました。ここは、たび重なる有珠山の噴火により甚大な被害を受けた地域を活性化することを目的にジオパークに取り組み、日本で初めて世界ジオパーク認定された地域です。その日も、国内外を問わず、防災を学ぶ場所として多くの人がジオサイトや施設を訪れていました。
 我々を案内してくれたのは、現地調査員として南紀熊野を訪れた火山マイスターと称するガイドの方で、新宮市と那智勝浦町へ来られたときにいろいろと参考になる話を聞く中で洞爺湖有珠山ジオパークを視察先に決めたという経緯がありました。ちなみに、この方は、認定の決定権を持つ委員ではなく、申請地の特徴を委員に対してプレゼンテーションしてくれるという、我々にとっては味方となる方であり、和歌山県ではジオパーク推進に対し県議会も熱心に取り組んでいるという姿勢を理解していただくことができました。委員会において、より一層自信を持って南紀熊野をアピールしてもらえた今回の視察活動は、その原動力にもなったと思います。改めて、先輩・同僚議員の御協力、また知事を初め職員の皆様の御尽力に敬意を表し、感謝を申し上げます。
 さて、いよいよジオパークとしての活動がスタートしたわけですが、認定を果たしたこれからが大変だと考えます。立ち上げから認定までの時期は、環境生活部自然環境室が推進協議会の事務局を担当し、申請作業を初め、講演会、ツアー、ガイド養成など、さまざまな認定を目指すための企画を実施してきました。しかし、ジオパークの取り組みに含まれた要素は幅広く、他の部局にも関連性があり、ジオツアー、イベント、セミナーなどにとどまらず、観光はもちろん防災やふるさと教育、商品開発などへの汎用が期待できます。それを考えますと、商工観光労働部、県土整備部、危機管理局、教育委員会などにも加わっていただくなど、推進を強化するための体制づくりが必要かと考えます。
 そこで、今議会の冒頭で、知事はジオパークの取り組みについて県を挙げてさらに取り組みを強化しますと力強く述べられましたが、今後のさらなる推進に向けても県としてどのような推進体制で臨むのか、知事のお考えをお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ジオパークというのは、地質、地形上の価値はもちろんでございますけれども、地元の人々がそれにどうかかわるかというのがジオパークになるかならないかということに関して大変重要な側面であるというふうに理解されております。
 この南紀熊野ジオパークについて、現地審査のプレゼンテーションにおいて、私はそういうことを念頭に置いて──この構想に火をつけたのは私かもしれないが──地域の人々の中に燃え上がる素地ができ上がっていたということが今日の地域主体のジオパークにつながったというふうに説明を申し上げました。この認識は、今も変わってございません。あくまでも、ジオパークの主役は地域の人々だと思っております。濱口議員を初め皆様方のいろんな努力に、心から敬意を申し上げたいと思います。
 今後とも、地域の人々が自主的、自立的な活動を展開していく上で必要なことを私が先頭に立って県全体で支援していきたいと思っております。
 県は、南紀熊野ジオパークを世界に誇るものにしていくために、地元自治体や環境省等関係機関を含め、地域の人々と一体となって世界ジオパークを目指して頑張っていきたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 次に、私が一番懸念している点でありますが、ジオパークの取り組みが県民や各関係機関に果たしてどれだけ周知されているのか、受け入れられているのかということに関して質問を行いたいと思います。
 例えば県の組織内で言いますと、推進協議会事務局は直接かかわっているので当然認識は深いのですが、他の部局の職員さんがどれだけジオパークの取り組みに関心を持って前向きに理解していただいてるのか、あるいは、ジオガイドの人たちや地質の専門家、また地域の一部の団体など積極的にジオパークにかかわっている人と多くの一般県民やかかわりの比較的まだ浅い関係機関等のジオパークに対する認識には、まだまだばらつきや温度差があるのではないかと感じます。
 それは、推進協議会に参加している自治体においても同じことが言えます。地質的に価値の高い一枚岩や虫喰岩などを擁する古座川町などは、もともと地質を地元の観光資源として捉えており、その一環として地質学的に見た日本の貴重な自然資源を選定するという日本の地質百選にも選ばれております。また、地域振興や防災対策、郷土愛を育むために学生を対象とした地域学習のテーマとして取り組むなど、他地域に比べ、より具体的な活動を行っているところもありますが、全体を見渡せば、そのような自治体はまだ一部であるとの印象が否めません。
 ジオパークの取り組みにおいて、活動の拠点になる施設や地質的な価値をわかりやすく示した看板の設置、ジオガイドの養成、ジオサイトの選定やツアーの実施といった基本的な事業は比較的理解されやすい部分でありますが、ジオパークの取り組み自体が型にはまったものではなく、各自治体や民間のオリジナルな取り組みを求められているがゆえに、果たしてどのような取り組み方が有意義で効果的なのかという答えにたどり着きにくく、ジオパークそのものが地域住民に浸透しにくい要因とも考えられます。このことにつきましては、既に世界ジオパークとして認定されている先進地であっても、いまだに課題となっていると関係者は口をそろえます。
 また、ジオパークの定義についての説明には、どこも苦慮しているようです。大地とその恵みに親しみ、楽しみ、学ぶことを目的とし、地域の発展のために活用していく取り組みということになるわけですが、このような言葉でも、なじみのない人にはなかなか伝わりにくいのです。また、ジオパークって何がどう認定されたのか、正確なところはよくわからないとの感想もたびたび耳にします。
 強調すべき点は、地質についての専門的、学術的な学習を行うだけのマニアックな取り組みではないということ、また、場所だけが認定されたわけでなく、地域の人々の活動が加わってこそ認められる取り組みであるということです。
 ジオパークの認定を演劇に例えて考えてみますと、大抵の人はホールやステージ部分がすばらしいから認定されたと理解しているのではないでしょうか。ホールやステージそのものがなければジオパークになれないのは確かですが、審査を受ける対象は、ステージやセットの部分だけではなく、そのステージの上で表現されるストーリーのおもしろさや役者の演技力、照明や音響の演出効果によっていかに見る人を楽しませているか、感動を与えているかというところを評価されるものだと思います。
 あるいは、野球やサッカーなどのスポーツ競技で例えてみますと、歴史あるすばらしいスタジアムが地域に存在するというだけでは認定は受けられず、レベルの高いチームや選手が熱戦を繰り広げ、観客を魅了しているか、また、一般レベルのプレーヤーが参加できる大会も多数開催され、多くの人がその競技を楽しめる状況にあるかどうかなのです。
 したがって、ステージやスタジアムが存在するということはあくまで条件であって、評価を受ける対象は、地域の価値を活用し、多くの人に体感してもらうことにより活性化につなげようとする人々の努力や取り組みそのものであり、先ほども申し上げましたように、ガイドの積極的な活動や、推進協議会や関係者によって綿密な計画が立てられ、それを遂行するための努力がなければ、発展どころか南紀熊野ジオパークの誕生さえなかったと言っても過言ではありません。
 ちなみに、ジオパークにおいては、伝道師とも言えるジオガイド、そのモチベーションやレベルの向上を図りながら活躍を維持するために、いわゆるプロ化を図るシステムを一日も早く確立させる必要があると考えます。ジオパークとして軌道に乗るまでの段階におけるガイドの活動は、ボランティア的な要素が強いと見受けられました。しかし、正式にスタートした今では、ガイドや講師としての仕事をした場合、それに見合った報酬や経費を受けられるよう、それと同時にガイドの活躍の機会をふやしてあげることも大事なことだと考えます。ジオガイドの待遇が適正かつ張り合いが感じられるものでないと疲れと負担だけが蓄積され、モチベーションが下がり、やがてジオガイドをふやすどころか失う結果となってしまっては、ジオパークは維持ができなくなります。
 以上のことを踏まえ、ジオパークを各自治体や関係機関、ひいては県民に広く周知するためには今後どのように強化していこうとお考えでしょうか。また、ジオガイドの育成やシステムづくりについて環境生活部長にお尋ねをいたします。
○議長(坂本 登君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 先月、8月28日に日本ジオパークに認定をされました。とは申しましても、まだ県内でも、県民や各関係機関にジオパーク並びにジオパークの活動を広く知っていただくこと、このことが今後の大きな課題であると今認識を新たにしているところでございます。
 まずは、ジオパークとは何かということを多くの人に知ってもらうために、自治会、企業や学校などに対する出前講座や講演会、それからセミナーを行っていくことを計画してございます。その上で、ジオパークに関心を持っていただけた方々には、次は実際にジオパークを体験してもらうことが必要ではないかと考えてございます。ジオツアーでありますとか、計画をしております、実施中のフォトコンテストなど、いろいろな各種のイベントに参加してもらうことで、その関心をさらに一層深めていただきたい、そのように考えてございます。
 さらに、こうした関心を持っていただいた、ジオパークに関心を持っていただいた方に、さらに組織としてのジオ活動に参加をしていただきたいなというふうにも考えてございます。今年度の募集は締め切って、既に講座を開始してございますが、この養成講座を受けてジオガイドとして活躍をしていただいたり、また地域の人々が主役であるジオパーク活動を運営する側に参画していただきたいなと、そのように考えているところでございます。
 次に、ジオパークの主役とも言うべきジオガイドのことでございますが、議員御指摘のとおり、ジオパーク活動を進めてまいります上で、このジオガイドの役割は極めて重要であると認識してございます。来訪者に対する南紀熊野の魅力のアピールのみならず、ジオパーク活動のすばらしさを広めるなど、この活動の中心として欠かせない存在でございます。
 このジオガイドの育成につきましては、県はこれまで推進協議会を通じてやってまいりましたけれども、さらに、より高いレベルのガイドを目指すためのスキルアップ講座を開催するとともに、ジオツアーのガイドや講演会の講師などといたしまして実際に活躍をしていただけるような場もこちらの側でも設定をしてこの活動を支援してまいりたいなと、そのように考えてございます。
 また、今後ジオガイドが存続をしていくために必要でありますガイド料金の設定でありますとか運用マニュアルなど、ガイドのシステムの詳細につきましては、現在、有料ガイドを目指す58名のジオガイドの皆さんにより設立されました南紀熊野ジオパークガイドの会において、そのガイドラインなり要綱なり、今後どのように進めていくかを検討していただいているところでございますので、皆さん方の結論を見て我々としても必要な助言をしてまいりたいなと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(坂本 登君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 どうぞ、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後、3番目に、世界認定を目指すことについてで、1つ要望をさせていただきたいと思います。
 知事のコメントとして、世界ジオパークへの早期認定を目指すといった部分がクローズアップされ、マスコミ等によく取り上げられております。もちろん、目標を高く設定し、レベルアップを図り、世界からも注目が集まるように発展させようとすることには大いに賛成をいたします。それに、世界認定への目標を掲げることにより活動の充実を関係者に促す効果も見込めることにも一定の理解をしております。しかし、国内認定を果たしたばかりで、これから日本ジオパークとして取り組みを充実させ、地域住民の深い理解と協力をいただかなければならない現状において、その後の目標であるはずの「世界」という言葉がひとり歩きしている感が強く、認定を受けることだけが目標であるといった印象を与えているのではないかと少し心配になっております。
 ジオパークと対照的な取り組みとして、世界遺産登録が挙げられます。価値の高い文化あるいは自然遺産の保護を主な目的とする世界遺産では、登録後、顕著な普遍的価値を失うほどの大きな変化があった場合を除けば登録を抹消されることはまずないと聞きますが、ジオパークの場合は4年ごとに日本ジオパーク委員会の再認定審査を受けなければならず、認定後、取り組みが消極的になっていたり指摘箇所の改善が思わしくないと判定された場合は認定を取り消されることもあるという、非常に厳しいルールのもとに成り立っています。
 したがって、認定されたからといって手放しで安心できるものではなく、地域の価値を広めるジオガイドや協力者を1人でも多くふやし、ジオを活用しようという地域全体の盛り上がりがなければ、再認定だけでなく、期待される活性化も実現されません。
 まずは、日本ジオパークとして努力を重ね、万全な体制や仕組みを構築し、地域住民による実力と県民の認識が備わってきたころに、南紀熊野もいよいよ世界へという機運が県内や国内で高まり、1年に2地域だけとされる日本ジオパーク委員会からの推薦を受け、ようやく世界認定達成が見えてくるのではないでしょうか。
 したがいまして、南紀熊野ジオパークには、世界認定を目指すための取り組みと、内容を充実させ、地域住民に浸透させるための取り組み、その2本の柱が必要です。ジオパークは認定されてからの取り組みが大事であり、1人でも多くの参画が南紀熊野ジオパークの行方を左右すると思います。レベルアップや地域の活性化につなげようという認識を深めてもらうための活動強化を、知事を初め各市町村長、推進協議会に参加している行政や関係機関に携わる全ての皆さんに要望いたします。また、県議会や各市町村議会の皆さん、マスコミの皆さん、そして県民の皆さんに、ジオパークは地域を必ず元気にする取り組みであると確信している1人として、深い御理解と御協力を重ねて心からお願い申し上げます。
 次の質問に入りたいと思います。2つ目、アンテナショップわかやま紀州館についてであります。
 まず1つ目、観光情報発信機能についてお伺いをいたします。
 全国各都道府県のアンテナショップがひしめき合う東京有楽町にある和歌山県のアンテナショップわかやま紀州館が開設され、本年2月で10周年を迎えました。県産品の販売だけでなく、和歌山県の観光情報の発信という2つの機能を兼ね備えたわかやま紀州館、関東にも多く存在すると言われる和歌山ファンのよりどころ、そして和歌山県のショールームとして、年々知名度も上がり、県産品の販売額も上昇しているとお聞きしました。
 まずは、県の観光情報などの発信に関する機能について、果たすべき役割とその役割を遂行するためにどのような活動を行っているか、そしてどのようなPR効果を上げているのか、概略を商工観光労働部長にお尋ねします。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) わかやま紀州館は、首都圏において、本県に対する認知度の向上、新たなお客様の開拓、そして具体的な誘客を促進する役割を担っております。
 わかやま紀州館の具体的な活動でございますが、メディアや旅行会社が集中する首都圏において、本県観光素材の露出拡大や商品造成を促進するため、積極的に旬の観光素材やトピックスを提案するとともに、担当者を招請した現地ツアーを定期的に実施しております。
 また、文化的意識の高い首都圏居住者に対して具体的な旅行動機づけを行うため、大学の公開講座やカルチャーセンターなどにおいて、熊野や高野山等の歴史、文化に関する講座を多数開催し、あわせて現地研修ツアー等を募集、催行しております。
 これらの活動に加えて、消費者に対する和歌山ブランドの意識づけや旅行動機を喚起するため、本県を代表する観光素材を露出したアドトレインやアドトラックを都心で走らせ、また街頭や旅行会社の店頭でサンプリングやアンケートを行うなどの「そろそろ和歌山に行ってみようキャンペーン」や「いよいよ和歌山に行ってみようキャンペーン」を5年間継続して実施しております。
 こうした活動の効果としては、平成22年と24年に実施したアンケートでは、「今後、和歌山にぜひ行ってみたい」が11ポイント、また、白浜のパンダの認知度も44ポイント上昇しており、平成25年観光客動態調査では、関東発の宿泊客数について前年比11%増となっていることにあらわれています。
 今後も、首都圏消費者のニーズに敏感に対応しながら、認知度向上と誘客促進に取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 では、2つ目の県産品の販売に関する機能についてお聞きをいたします。
 優良な県産品を販売するだけでなく、商品開発の参考とするためのモニタリングの役割もあり、県内事業者の商品展開力の向上にも寄与しているとのことですが、出店からこれまでの売上高の推移など金額的な部分について、また和歌山の県産品の売れ筋傾向や今後の戦略について、概略を農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県産品の販売機能に関して、わかやま紀州館は、首都圏におけるショーウインドーとして、県産品のPR及びマーケティングがその主な役割です。具体的には、首都圏消費者のニーズを県内企業に伝えるとともに、県産品の商品評価を県内企業にフィードバックすることで、商品の開発やブラッシュアップ、販路開拓に役立てていただいております。
 売上高については、初めて年間を通じて営業した平成16年度は3400万円でしたが、生鮮農産物や少量パック商品をふやしたり、テレビ番組での商品紹介など販売方法や集客対策に工夫を凝らし、5年後には6000万円、10年目となる昨年度には9000万円を超え、過去最高となっております。売れ筋傾向としては、梅関連商品が一番多く、次いで生鮮農産物、お菓子類、果実飲料の順となっております。
 近年、自治体等のアンテナショップが銀座、有楽町周辺に集中立地しており、消費者の地域産品への関心が高くなる中で、県内企業の紀州館への関心も高まり、毎月平均8社から新たな出品の申請がございます。
 今後も、県内企業にわかやま紀州館の存在を一層周知することで新規商品をふやすとともに、情報発信の中心である東京に立地するという特性を生かし、メディアやソーシャルネットワーク等を活用して新規顧客やリピーターの獲得に努め、県内企業の販路開拓を支援してまいります。
 また、本年8月に県内の経済団体が東京駅前と関西空港で開設したわかやま紀州館の姉妹店につきましては、民と官が手を携えて県産品を広く全国にPRするという意味で、意義深い取り組みであると受けとめています。今後、有楽町のわかやま紀州館で得た販売戦略やメディアを活用した集客対策等のノウハウを姉妹店にも積極的に提供するとともに、販売情報等を共有し、県産品の販路拡大とPRに努めてまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいま農林水産部長にも御答弁をいただいた中で、最後のほうで触れていただいておりましたが、東京駅前店、そして関西国際空港店の姉妹店についての要望をひとつここでさしていただきたいと思います。
 ただいまの答弁の中にも、有楽町の本店、これが10年間の中で売り上げも3倍に伸び、それといろいろな情報発信の効果ということで答弁をいただいたわけですけども、そのことを踏まえて、この話を聞いていただきたいと思います。
 全国商工会連合会が公募した営業支援拠点、いわゆるアンテナショップによる地域産品等の販路開拓支援事業の補助金をもとに、県商工会連合会が東京駅前に、また県中小企業団体中央会が関西国際空港に、ともに「わかやま紀州館」の名称で、8月、ほぼ同時に姉妹店をオープンさせました。
 東京駅前の店舗は、JR東京駅八重洲口より徒歩2分、京都市アンテナショップ京都館に隣接する八重洲ビルの1階、間口はそれほど広くはないものの、奥行きのある46坪ほどのスペースに、梅干しを初めミカン、ジャバラ、柿や桃、まりひめイチゴなどの生鮮品と、それを使用したスイーツやサイダーなどの飲料品、近大マグロやシラス、干物など水産加工品、イノブタなど畜産加工品、それにしょうゆ、金山寺みそ、サンショウなどの調味料品、和歌山ラーメンなど、各コーナーに分類された多くの和歌山県産食料品を展示、販売しています。今後は、地酒なども販売する予定とのことです。
 また、そのほかにも、紀州備長炭、紀州漆器、高野紙ランタンキャンドルなど工芸品、熊野材から抽出されたアロマオイルやTシャツなど、多岐にわたる特産品も豊富に取りそろえています。関連企業177社の約1300品を展示し販売するとのこと。本店と同じように観光、特産品の情報発信のスペースも設けられており、年中無休で午前11時から午後8時まで営業しています。
 また、関西国際空港の店舗は、エアロプラザ2階に開設され、国内外から関西を訪れる旅行客等をターゲットに、首都圏のわかやま紀州館と連携しながら県産品情報を発信することを目的に、県内から食品と工芸品等の関連企業89社が参加し、約375品を展示、販売しております。こちらも年中無休で、午前6時30分から午後10時まで営業しています。
 さて、私は、平成26年8月1日に開催されたオープニングセレモニーに経済警察委員長として招かれ、東京駅前店を訪れました。会場いっぱいの県内からの関係者やマスコミ各社が集まる中、商工会連合会長の挨拶に続き、来賓である二階代議士が祝辞の中で次のような内容を述べられました。「国の補助金を活用して、商工会連合会の皆さんの尽力でアンテナショップが開設され、和歌山の魅力を東京の人たちにPRできるスペースができたことは、大変喜ばしいことである。私も、機会あるごとにPRに努めたいと考えている」と、ここまではお祝いムードでありましたが、この後の厳しい口調に会場の雰囲気は一変しました。「しかし、来年3月末までの期間限定、わずか8カ月のオープンと聞いた。果たして、そのような短い期間で効果が上がるのであろうか。それに、都会の真ん中で新しくお店ができて、存在を覚えてもらえたころにもう閉店してしまうというのはいかがなものか。もっと県や県議会を挙げて、和歌山県のPRのために頑張ろうとしているこのショップの取り組みを多くの県出身者や関係者にも広く知らしめ、限られた期間だが売り上げ向上に協力するなど、全面的に応援してあげるべきである」と、いきなり冒頭で叱咤激励を受けました。
 その言葉を受け、私も言われるとおりだと感じ、その後の自分の祝辞の中で、「県はもとより先輩・同僚議員にも、店舗への動員を図るための広報活動や、また、上京の折には来店してもらうなどの支援を呼びかけます」と誓いました。この場をおかりして、皆様の御協力をお願い申し上げます。また、関西空港店にも同様の引き立てをお願いしたいとお願い申し上げます。つきましては、このことに関して要望をさせていただきます。
 首都圏や特別な場所での出店には、かなりの費用がかかり、補助金がなければ運営は不可能です。来年度以降の国の補助金制度の有無、団体の意向にもよりますが、せっかく開設した2軒のアンテナショップ、何とか継続した事業となることを願ってやみません。しかし、それ以前に、売り上げや効果があらわれないと継続自体を断念することも考えられます。県が直接運営しているわけではないので資金の補助支援などは難しい話と認識した上で、両店舗に対し、本店で培ったノウハウを踏まえたアドバイスなど、さらなる支援をお願いいたします。
 以上、要望とさせていただきます。
 最後に、選挙における投票率の向上について質問をさせていただきます。
 1つ目、インターネットを活用した選挙運動についてであります。
 さきの参議院議員選挙より、インターネットを使ったいわゆるネット選挙運動が解禁になりました。いながらにして情報を閲覧してもらえることや、電子メールの活用、告示後も自身のホームページを更新できるなど、選挙運動のツールとして活用できることになったことは、候補者側にとりましても大変ありがたいルール改正と言えます。どの候補者を選べばよいかわかりにくい、どのような公約を掲げ主張をしているかなどをよく知らないとの意見をよく耳にします。
 もちろん、選挙カー、演説会、マスメディアを通じての広報など、情報を得る手段はあるわけですが、特に若年層に啓発や周知を促すことを考えるとき、やはりパソコンやスマートフォンなどを使用したインターネットを活用することは効果的と考えます。若年層に限ったことではありませんが、情報を取得する手段として利用頻度の高いことは事実であります。
 そこで、有権者にとっても情報取得の有効な手段であるインターネット選挙運動を推進するために、候補者を対象にした説明会を開催し、正しいルールや禁止行為についての認識を深め、それぞれの候補者が有権者にアピールし合うことによって選挙全体に関心を高める効果を期待しますが、選挙管理委員会としては制度を周知するためにどのような取り組みを行っていますか、選挙管理委員会委員長の答弁を求めます。
○議長(坂本 登君) 選挙管理委員会委員長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(上山義彦君) 昨年5月、公職選挙法が改正され、7月に執行された参議院議員通常選挙以降の国政選挙及び地方選挙から、インターネットを利用した選挙運動ができるようになりました。
 内容としましては、有権者は、ホームページ、ブログ、ツイッターやフェイスブックなどのウエブサイトを利用した選挙運動が可能となり、また候補者、政党等は、ウエブサイト等に加え、電子メールを利用した選挙運動が可能となったところです。
 選挙管理委員会といたしましては、法改正後、チラシ、ポスターの配布等により広く有権者に周知を行うとともに、「ネット選挙はやわかりガイド」という冊子を作成し、選挙前に開催する立候補予定者説明会で制度の説明を行っているところです。
 今後、知事選挙、また来年春には統一地方選挙等が予定されていることから、引き続き、立候補予定者の方々に機会を捉えてこれらの制度の周知、説明を行ってまいります。
○議長(坂本 登君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 次に、投票率向上のための県の取り組みについてお伺いをいたします。
 さきの和歌山市長選挙では、台風の影響があったとはいえ、30.84%という非常に低い投票率が話題になりました。また、統計を見ますと、高年層よりも若年層になるにつれて投票に行かない傾向が顕著にあらわれています。このままでは将来ますます投票率は下降をたどり、選挙における公正性が保たれず、民意を政治に反映させる力が失われていくことにもなりかねません。若者の政治離れ、政治不信による無関心傾向が招いた結果と言えるのかもしれません。
 そうであれば、有権者に政治を身近に感じてもらい、民意を反映したものにすることは政治に携わる者の責任であり、それを実現することが大きな解決方法であると、我々も肝に銘じて日ごろの活動を行うことは当然のことですが、県の選挙管理委員会では、この状況をどのように捉え、投票率を向上させるためにどのような取り組みを行っていますか。さきのインターネット選挙運動解禁も含め、インターネットを活用した啓発の状況についてもお聞かせください。同じく委員長に答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) 選挙管理委員会委員長。
  〔上山義彦君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(上山義彦君) 選挙は国民が政治に参画する最も重要かつ基本的な機会であり、投票率、とりわけ若年層の投票率が低下していることについては、議員御指摘のとおり、大きな課題であると認識しております。
 そのため、選挙管理委員会といたしましては若年層に向けた啓発に力を入れており、選挙時においては、コンビニのレジ画面広告、ヤフーのバナー広告や選挙管理委員会ホームページでの情報発信に取り組んでいるところです。
 また、若年層への対策は長期的視野に立った取り組みが重要であると考えておりまして、平成23年度から、県教育委員会を初め市町村の関係機関と連携を図りながら、将来の有権者である小学生を対象に、実際の選挙で用いられる投票箱や記載台等を利用した模擬投票などを体験してもらう「出張!県政おはなし講座」を実施しているところです。
 今後とも、こうした取り組みを一層充実させ、投票率の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。

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