平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(岸本 健議員の質疑及び一般質問)


平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(岸本 健議員の質疑及び一般質問)


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人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第132号から議案第148号まで、並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 17番岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問を行います。
 近年、尖閣諸島や竹島を初め、日本の領土、領空、領海、これら領域をめぐる問題が頻繁に起きております。そんな中、文部科学省は、本年1月28日、中学校と高等学校の教員向けの学習指導要領解説書を改訂し、尖閣諸島と竹島を我が国の固有の領土と明記しました。中学校社会の地理的分野、歴史的分野、公民的分野において、また高等学校地理歴史・公民と、それぞれについて、尖閣諸島と竹島、また北方領土は我が国の固有の領土であり、それぞれの経緯や問題、課題について、分野別、段階を考慮しながら、子供たちが領土について理解を深めることができる内容となっています。
 例えば、尖閣諸島については、「我が国が有効に支配しており、解決すべき領有権の問題は存在しない」と記述され、竹島については、「韓国によって不法に占拠されているため、累次にわたり抗議を行っている」と追加しています。解説書は教科書作成の指針ともなるため、平成28年度から使用される中学校社会科と29年度から使用される高等学校の地理歴史・公民の教科書には、領土に関する充実した記述が盛り込まれるようになっています。子供たちが自国の領土について正しい知識を持つことは重要であります。しかしながら、これは当たり前のことでもあります。改訂後の領土教育について、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 領土問題に係る御質問にお答えをいたします。
 グローバルに活躍できる人材を育成することが求められている中、将来を担う子供たちが自国の領土を正しく理解し、国際社会に生きる日本人としての自覚と誇りを持つよう、領土に関する教育を充実させることは大切なことだと考えております。子供たちが自国の領土について正しい知識を身につけ、世界的な視野に立ち、領土問題について考えていく教育は、大変重要であると受けとめております。
○議長(坂本 登君) 岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 教育長が先ほど言われたとおり、グローバル化が急速に進む中、国際社会で活躍できる日本人、人材を育てていくということは非常に重要であります。例えば英語教育について、高い語学力、英語力を身につけるということで、小学校の英語の授業を5年生から3年生に前倒しするとか、小学校3・4年生で週1~2時間程度やるとか、5・6年では週3回、中学校では授業を英語でやろうじゃないかとか、高校では発表とか討論をするというふうな形に、語学力についてもそういうふうなことを取り組もうとされていると。大変これも重要でありますけども、それ以前に、我々日本人が自分の住む国の領土を正しく理解できるということは非常に重要であると思います。
 領土に関する教育、これについては歴史的なことが必ず関連してきますので、こういうことは今さら私が言うことではないかもしれませんが、現場で授業に当たられる先生方には十分に正しい歴史認識を持っていただいて取り組んでいただきたい。そして、魅力ある授業を展開していただきたいと。教育委員会においても研修等を行って、特に御指導をいただきたいと思います。
 次に、実際の教育現場で使用されている地図。地図全体の縮尺を大きくするために、沖縄県、それから尖閣諸島や小笠原諸島などの離島が切り張りされて分割された地図がよく使われてると。正しい形が非常にわかりづらくなっています。離島の位置が正確でないものではなく、正しい日本地図を教室で見られる環境をつくること、正しい領土、領海や、海の名前や島の名前を理解することが重要であると。
 手づくりでございますが、(地図を示す)例えばこれはまだちょっといいほうの地図なんですけども、大体この辺に離島を切り張りして、位置感がわかりづらいと。で、この辺へ沖縄なんかを表示してると。こういう地図ではなくて、このように全体を、距離感がわかる、こういう地図を掲示すべきである。
 多分、子供たちが日本地図を見るときに、こういうのを見てることが多い。こういうふうな地図を見ると、恐らく日本って小さいねと、小さい国やなって思うかわかりませんけども、例えば学校でこういう話ができるならば、「いや、違うんだよ。日本はこう見たら小さいけども、排他的経済水域と領海、領土を合わせたら世界で9番目に大きいんだよ。また、経済水域と領海だけなら世界で6番目の海洋国家なんだよ」、こんな話もできて、いろいろ使えると思うんですね。天気予報で使われているような位置関係を省略した地図ではなくて、こういうのを使わないと正確な理解ができないと。日本の東西南北の最端を明記して、日本の領域全体が表記された地図を活用するべきであります。これが、領土教育の第一歩ではないかと思います。
 2012年、2年前ですけども、「読売新聞」の記事であります。「領土に関心を。県立高全教室に日本地図を張る県」ということで、熊本県の記事があります。熊本県教育委員会は、日本の領土を正しく認識してもらうため、年度内に県立高校の全教室に日本地図を掲示する方針を決めた。県立の中学校、特別支援学校でも掲示を検討しているほか、各市町村教育委員会には小中学校でも同様の取り組みをできないかと呼びかけている。熊本県教育委員会高校教育課などによると、全日制59校、定時制10校の教室約950室が掲示対象で、現在、どのような地図がふさわしいか検討中と。高校では全員が地理を学ぶわけではなく、生徒全員が領土について理解を深められるようにしたいとしている。
 2年がたちまして、現在、熊本県では、高等学校59校に1016部、中学校3校18部、特別支援学校15校144部の各ホームルーム教室、また、2市1町で掲示が実施されています。ほかにも、岐阜県では、世界地図や日本地図を全県立高等学校等に平成25年5月20日までに配付されています。
 また、島根県、平成26年の6月に学習指導要領解説の一部改訂を踏まえ、まずは県内の県立高校37校、特別支援学校12校の教室に日本の領海全体が表記された地図を掲示されてると。我が国の領土の位置関係を正しく理解させると、領土教育に活用しているようであります。
 また、東京都では、小笠原諸島や南西諸島の区域も省略もしない日本地図を全都立高校に配付して、北方領土や尖閣諸島、竹島も1枚に入れた地図を新たにつくり、東京都独自の科目などで使う予定になっております。
 また、海外なんですけども、中国では、国土が東西に長いために、これまで横長の地図を使用されていたと。離島などは、やはり地図の右下に表示していたようでありますが、最近、縦長の地図が作成されたと聞いております。中国政府が主張している領域は、東西に5200キロ、南北に5500キロ余りとされ、南北に長い国としています。最南部は、フィリピンやベトナムとの係争地である南沙諸島となっています。これも、地理上の位置関係が直感的にわかるように、そして、海洋領土意識を培うための地図であると言われています。
 やはり和歌山県においても、我が国の正しい形をしっかりと教えなくてはなりません。我が国の領土に関する理解を深めるためには、日本の位置や隣国との距離を把握しやすい日本領域全体を表現している地図、どういうふうに領土、領海がなっているのかということを理解しやすい地図を活用することが最もよいのではないでしょうか。和歌山県において、日本の東西南北の最端を明記し、日本の領域全体が表記された地図、これを県立学校全学級数配付し、教室への掲示や教科書指導への活用をしなければならないと考えます。教育長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学校における正しい日本地図の活用についてお答えをします。
 急速に進む国際化社会の中において、子供たちの国際感覚を養うとともに、我が国のことを深く知ることは大変重要であるというふうに考えております。領土を含め自国のことを正しく知る機会をつくるためにも、領土が正しく表記された日本地図を全ての教室に掲示できるよう、県立学校に配付します。また、市町村教育委員会に対しても、領土に関する教育の大切さを理解していただき、所管する小中学校及び高等学校においても県立学校と同様の取り組みを進めていただけるよう働きかけてまいります。
○議長(坂本 登君) 岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 しっかりと掲示をしていただく、これが領土教育の第一歩であると思います。近いうちには、県立学校、全日制、定時制、支援学校、県立中学校の全てのホームルーム教室に正しい日本地図を掲示していただける、これは大変よいことであると思います。各市町村教育委員会にも働きかけていただけるということですが、小学校、中学校が主であるかと思いますが、子供は、物事というか、地図のようなものを見るときに、直感的にイメージとか画像のような形で認識する、こんな能力が高いというふうに思います。早くから我が国の領土の正しい形を理解してもらう、これには非常に有効だと思います。そのためにも、小学校、中学校においても早急に取り組むようにお願いをいたします。
 先日、小学校、中学校、高等学校1校ずつ、それぞれお伺いして、それぞれの学校のほぼ全てのホームルーム教室の掲示板を見せていただいてきました。最近の教室の掲示板というのは前方と後方にあるんですけども、前方には余り掲示はしないと。子供の気が散らないようにということで、工夫をされているということでありました。
 後ろのほうには、小学校やったら小学校、中学校やったら中学校と、それぞれの特色がある、子供の作品なりクラス目標なりを、また高校では進路情報と、またこれ、ちょっとレベルの高いような掲示物が張られていて、それぞれに応じたものが張られていたと感心したんですけども、残念だったのが、地図を掲示していたのが小学校の3年生か4年生のクラス1クラスだけで、かなりの教室を見せていただいたんだけども、1つだけだったということが非常に残念だなあというふうに感じました。これからはそんなことがないと思います。
 私、子供が小学生と中学生いてますので、いつか授業参観に行けたなら、子供を見る前に、掲示板にちゃんと正しい日本地図を張ってくれてるかなと、それを確認してみたいなというふうに思います。配付しただけで学校現場でできなかったということは絶対ないようにお願いをしたいと思います。
 次の質問に入ります。
 平成26年3月30日に、京奈和自動車道紀北かつらぎインターチェンジから紀の川インターチェンジまで12.9キロの区間が完成しました。紀北東道路がこれにより開通いたしました。地域間の移動時間が短縮され、並行する国道24号の交通混雑の緩和がされたようにも感じています。周辺地域の発展には欠かすことのできない道路となっています。また、関西国際空港は、世界に向けた物流・交流の拠点として、着実にその機能が発揮されています。
 こうした中、京奈和自動車道と関西国際空港へのアクセスが喫緊の課題となっています。京奈和自動車道と関西国際空港方面を最短で接続し、京奈和自動車道紀の川インターチェンジから関西空港自動車道上之郷インターチェンジ方面へ直結する自動車専用道路が実現すれば、関西都市圏の拡大はもちろん、観光、物流、大規模災害等の緊急時の広域輸送ルートとして、また命の道となることを確信しています。
 先月行われました関西広域連合議会の8月定例会において、大阪府議会選出の新田谷議員が3重の環状道路について提案をされました。特に外環状について、新名神高速道路や京奈和自動車道から紀淡海峡ルートにつなげる、さらに京滋エリアと関空を直結させるために、京奈和自動車道紀の川インターチェンジと関西空港自動車道上之郷インターチェンジ間で連絡道路を建設する、これらの構想が実現すれば、首都圏に負けない、四国を含んだ関空を中心とした強い経済圏を目指した交通インフラが確立すると言われております。和歌山県のみならず、大阪府の議員も京奈和関空連絡道路の重要性を発言されています。
 ちなみに、知事は、副連合長として、京奈和関空連絡道路について「関西都市圏の活性化を図る上でも大変有意義である」と、連絡道路の重要性について答弁をされています。
 また、和歌山県において、平成25年6月に行った平成26年度政府提案で、初めて京奈和関空連絡道路の国による調査の推進を提案・要望されています。ことしも6月に、平成27年度国の施策及び予算に関する和歌山県の提案・要望に、府県間部における直轄道路調査及び整備の推進が挙げられています。関西都市圏の拡大には京奈和自動車道と放射状道路の一体性が必要であり、さらなる観光振興には関西圏と世界遺産・霊峰高野山を最短で結ぶ広域観光ルートの形成が必要とされています。また、企業誘致や農産物の競争力強化には、大阪、関西都市圏への時間短縮が必要であると記されています。具体的な措置としては、仮称・京奈和関空連絡道路の国による調査の推進とされています。ようやくといいますか、ここ2年で和歌山県も少しずつ前進しているというか、エンジンがかかってきたのかなあというふうにも感じています。
 昨年の4月、紀の川市で行われました行政報告会での知事との意見交換会でも、市民の方からこの連絡道路について質問が出てきました。市民の期待というか、要望のあらわれであったと思います。9月12日──先週ですね──紀の川市役所で行われました京奈和関空連絡道路促進協議会の総会が行われました。山田議員、服部議員も、3人出席いたしました。仮称・京奈和関空連絡道路建設促進期成同盟会設立に向けた準備活動を実施していくことが決定いたしました。地域の要望、また期成同盟会へと新たな動きも踏まえ、今後に向けて国の直轄事業として事業を採択させるために、一日も早い事業実現のため特段の御配慮と御支援を賜りますようにお願いをいたします。
 ぜひともこの仮称・京奈和関空連絡道路建設を推進していただきたく、知事の御所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 京奈和関空連絡道路は、京奈和自動車道と一体となって関西国際空港と紀北地域や奈良県西部との連携を強化し、関西都市圏の活性化のため、また現政権が進める国土の強靱化を図る上でも大変有意義な構想であると考えます。これまで、議員を初め関係国会議員や、あるいは地元紀の川市長を初め、紀の川市の働きかけ、さらに県からも要望した結果、国土交通省において、関西国際空港・京奈和自動車道関連道路網調査の一環といたしまして、京奈和関空連絡道路の必要性等についての調査検討が進められております。今年度は、京奈和自動車道開通に伴う周辺道路の交通流動の変化について調査をする予定であるとお聞きしております。
 県といたしましては、京奈和自動車道や近畿自動車道紀勢線に続くプロジェクトとして本道路を具体化できるよう、今後、周辺の市町村により設立が予定されております京奈和関空連絡道路建設促進期成同盟会の皆様方とも協力しながら、大阪府や奈良県とも連携し、広く必要性を訴え、国や関係機関にその実現を働きかけていきたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 よろしくお願いをいたします。
 私は、京奈和関空連絡道路は決して無駄な公共事業ではないと思います。これから、東京オリンピックや首都外環状高速道路等、首都圏に国の公共事業の大半を使われてしまうんではないかなあと、そんなことを思うと、京奈和関空連絡道路など比較的実現性が高いと思う、こういうものから着実に進めていただきたいなあ、そういう思いがあります。
 昨日の中村議員の一般質問で、夢のある県政について、知事は、県民が希望を持ってあすに立ち向かうという元気を持てるような条件を整えることだと言われました。それを聞いていまして、知事が京奈和関空連絡道路について、今もそうですけども、さらにお力添えをいただければ、地域の人はもちろん、県民が希望を持ってさらに元気が持てるのではないかな、また、国に対しても非常に大きなアピールになるのではないかな、そんなことを思いました。ぜひ、3期目の具体的な公約の中には京奈和関空連絡道路の建設を挙げていただいて、我々も一緒に一生懸命頑張っていきたい、そんな思いであります。
 京奈和関空連絡道路は、真に必要とする道路であります。命の道であり、未来をつなぐ道であり、チャンスの道であります。特段の御配慮と御支援を賜りますようにお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、岸本健君の質問が終了いたしました。

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