平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成26年9月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
────────────────────
議事日程 第4号
 平成26年9月18日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第132号から議案第148号まで並びに諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第132号から議案第148号まで並びに諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
出席議員(40人)
 1番 濱口太史
 2番 鈴木太雄
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 中本浩精
 10番 上田良治
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 岸本 健
 18番 森 礼子
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 立谷誠一
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
 36番 欠員
 39番 欠員
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       市川靖之
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     石原康弘
 会計管理者      岩橋良晃
 教育委員会委員長   山本 哲
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      下田隆文
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾崎善亮
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     西原龍也
────────────────────


  午前10時0分開議
○議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第132号から議案第148号まで、並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 一般質問も第3日目となりました。第1番に私が一般質問させていただきたいと思います。
 通告に従いまして、順次、一般質問を行います。
 最初は、夢のある県政について伺います。
 本年2月定例会の一般質問で、自民党を代表して吉井和視議員が出馬要請の演説を行い、知事は、7年余の県政運営をみずから評価しつつ、本県の現状について、インフラ整備や経済基盤の強化、県民所得の向上、地域活性化など、道半ばにあり、高齢化や防災の対策をさらに強化し、国体もやりたいとして、粉骨砕身の努力をする決意を述べ、知事選挙への出馬を表明されました。それから早いもので半年が経過し、いよいよ選挙が近づいてきましたが、知事は、具体的にどのような県政を目指されるんでしょうか。
 私は、2月定例会で知事に、県政にも明るい夢が必要と申し上げました。今般、安倍内閣では、地方創生を打ち出し、来春の統一選挙へ向けて最重要政策に位置づけました。どうか、この機会に、知事の県政にかける熱い思いを聞かせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○議長(坂本 登君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 3期目の県政は夢のある県政をということでございますけれども、夢というのは、県民が希望を持ってあすに立ち向かうという元気を持てるような条件を県政が整えることだと思うし、それができていってるんだということを県民にわかってもらわなきゃいけない、そういうことではないかなというふうに思います。
 私は、知事就任以来、インフラを整え、産業政策を整備して、福祉を充実して、和歌山を元気にするために、いろんな分野で新たな取り組みを進めてまいりました。また、東日本大震災とか紀伊半島大水害というのが起こってしまいまして、これを受けまして、東南海地震などの災害に備えた防災対策を進めて、県民の命を守る決意を持って県政を担ってまいりました。
 これまで一生懸命取り組んできたんですけれども、県政の課題はまだまだ山積しておって、もうこれでよしというわけではないなあというふうに思っております。
 そこで、3期目の県政は、和歌山の今とあしたをもっともっと元気にするために、7つの政策に取り組んでいきたいと考えております。
 第1に、産業活動を盛んにして、観光を振興して、働く場をさらにふやすという新しい工夫もどんどんふやしていきたいと思います。
 第2に、地震、津波、風水害など、あらゆる災害から県民の命を守るための対策に取り組まないといけないと思います。
 第3に、県民の生活を支え、発展のチャンスをふやす高速道路、あるいは川筋ネットワーク道路などのインフラの充実を実現してまいります。
 第4に、まちのにぎわいを取り戻し、都市の再生を図るとともに、過疎地域における人々の暮らしを守っていきたいと思います。
 第5に、医療や高齢者・障害者福祉の充実、子育てへの支援、危険ドラッグなど反社会的行為の撲滅、治安の向上など、県民の安心・安全を守らないといけないと思います。
 第6に、子供たちが元気でいい人に育っていくよう、学力の向上、道徳教育の充実など、教育に力を入れていきたいと思います。
 第7に、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会を成功させなきゃいけませんが、とともに、女性も、男性も、お年寄りも、全ての県民の皆さんが、仕事も、スポーツや文化活動も、さまざまな市民活動も、楽しんで行えるような豊かで元気のある県を目指したいと思います。
 私は、県民の幸せを第一に考え、県民の皆様が、あしたがきょうよりはいいんじゃないかなというふうに思ってもらえるような、そういう和歌山を創造するために、これまで取り組んできたことをさらにグレードアップして頑張っていきたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 余り強い対抗馬が出てこない選挙と言われておりますが、大いに今おっしゃっていただいたようなことを県民に訴えて頑張っていただきたいというふうに思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 2番目は、学力テストについてであります。
 最初に申し上げておきたいことは、今回の結果を受けて教育委員会の担当者が、「これまでの方向は間違っていなかった」と、どこかの報道で答えていました。これは全くの認識違いで、こんな無責任なことを言ってるから、いつまでも成績が上がらないのではないかというふうに私は思います。ぜひ一から出直していただきたいと思います。
 そこで、まず今回の結果の分析についてどのように捉えているのか、教育長にお答え願います。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) この学力の件につきまして、私自身、教育長就任当時から、本県の学力の実態には大変な危機感を持ってさまざまな取り組みを進めてきたところでございます。
 こうした中、本年度の全国学力・学習状況調査が大変厳しい結果となったことにつきましては、教員の意識のあり方、子供の学習意欲を高める指導の不十分さ、子供の力を伸ばし切れていない授業、さらには家庭における学習時間の少なさ等、さまざまな課題があると考えており、現在、新たに設置した学力向上対策本部において、より詳細な分析を進めているところでございます。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、学力テストの要点は、できる子をさらにできるようにすることよりも、むしろできない子をいかにできるようにするかにあると考え、これまで、九九のできない高校生や補習について一般質問を行ってきました。
 その都度、教育長からは、「やります。見直します」と力強い答弁をいただいてきましたが、教育効果はすぐにあらわれないものの、今回の結果には何か裏切られた感じがしました。学力テストについては、これまで私以外にも多くの議員が質問したので、みんな同感ではないでしょうか。
 これまでの議会答弁は実行されなかったのか、それとも実行されたが効果がなかったのか、どのように考えていますか。また、その理由について、あわせてお答え願います。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) これまで議会においてお答えしましたとおり、学力向上対策として、全ての小学校教員や中学校国語科、数学科教員を対象とする研修を行いました。さらに、補充学習の充実を含めて、本当に子供たちにわかる授業、伸ばせる授業を実践するよう求めてきたところでございます。さらに、県独自の学習到達度調査なども進めてまいりました。
 しかしながら、今回の結果を見る限り、これまでの学力向上に向けた対策が十分効果を上げていなかったと言えると思います。その理由としましては、学力調査の意義や学習指導の工夫、改善の必要性が学校現場に十分徹底できていなかったと改めて考えております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今回の結果を受けて、教育委員会では対策本部を設置しました。これは教育委員会の取り組む決意の表明であり、評価したいと思いますが、その目的について伺います。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) このたび設置しました学力向上対策本部につきましては、県教育委員会の総力を結集し、学校への指導、教職員の人事、地域における学校支援等、学力にかかわる全ての取り組みを検証し、より効果的な対策を講じることによって各学校で成果が実感できる学力向上の取り組みを推進することを目指しております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 対策本部まで設置して教育委員会が不退転の決意で取り組むということであれば、私は、最高責任者の教育長がぜひ本部長に就任すべきだというふうに思います。なぜ就任されないのですか。私には逃げてるように見えるんですが、真意をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘の点につきましては、既に県民の何人かから私に直接声が届いておりまして、今回の学力の厳しい結果については、当然、私にしかるべき責任があるというふうに厳しく受けとめております。
 これまで、私自身は常に組織で仕事をするという信念で職務に当たってきており、今回の件につきましても、着眼大局、着手小局、すなわち、私自身が物事を大局的に捉え、着手は担当者に責任を持って任せるということで、真に成果が上がることになるという考えのもとで対応させていただきました。
 御承知のとおり、県教育委員会というのは、所管する分掌は学校教育だけでなく、スポーツ、生涯学習、文化遺産、美術館や博物館等、極めて多岐にわたっており、これまでも、それぞれの分野で担当課長を中心にして、それぞれの担当局長に責任感と使命感を持って職務に遂行するよう強く指示してきました。
 こうした観点から、今回も、学力に特化した対策本部長に直接の担当である学校教育局長を就任させたところであり、御理解願いたいと思います。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に行きにくい雰囲気でありますが、次の質問に移りたいと思います。
 私が議長でした平成19年の今ごろ、福井県に企業誘致の視察に行こうと花田議員をお誘いしました。ちょうど今ごろでありましたので、学校テストの結果が発表されて、福井県が全国2位でしたから、これもあわせて調査しようという御提案をいただきました。
 訪問に先立ち、我が県の状況を教育委員会に問い合わせたところ、まだこれから分析するということでした。福井県教育委員会からは立て板に水のような説明があり、本県との大きな違いを認識しました。福井県のすばらしい取り組みについては、後に花田議員が一般質問で取り上げ、私も、教育委員会に福井県を参考にするように要請しました。平成24年には、藤山議員が文教委員長に就任されたとき、わざわざ福井県を調査していただきました。
 初日の服部議員の質問に対し、先進県も勉強されると答弁されていますが、この先進県の参考も含めて、具体的にどのようなことを検討されるのでしょうか。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学力向上対策につきましては、議員の御指摘のとおり、教育委員会としても、先進県に学びながら、これまで教員研修や当該学年の学習内容の定着を図る本県独自の学習到達度調査、一人一人の学力を保障するための補充学習の充実に取り組んできております。
 また、本年度、新たに、すぐれた実践力を持つ退職教員をアドバイザーとして40校に派遣し、授業改善への直接指導や教材開発への助言等も行っているところでございます。
 こうした学力向上の取り組みが目指すところを、学校長はもちろんのこと、個々の教員がきちんと理解をして取り組んでいるかどうかについて、そして各クラスごとの状況が本当に理解できているのかどうか、つかめているのかどうか、いわゆる各クラスの状況をしっかりと把握することが必要だと考えております。
 学力向上対策本部においては、この点を含めてあらゆる面から検証を深め、既存事業の充実と取り組みの浸透を図るとともに、新規事業の必要性についても検討してまいります。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 設置されました対策本部で練り上げた対策をいかに実現するのかというふうにお尋ねしたいと思います。
 今まで、学校もしくはその先生方に指導していくときに、なかなか言うことを聞いてくれない。例えば国歌の話というふうなことを考えると、法律までわざわざつくってやらないと言うことを聞いてくれないという、そんなことを考えますと、今回のすばらしい案ができても大変難しい。いかにしてやるかということをお聞きしたいと思いますが、私は、校長先生の職務権限の強化、そして、前々から思っておりますけども、教育指導主事は、若い人が行くんじゃなくて、やっぱり校長をしたようなベテランの人から任命してやっていただくというようなことが必要ではないかと思いますけども、どんな方法があるとお考えでしょうか。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学力向上対策本部におきましては、県内外の学力向上でまず成果を上げている学校のしっかりとした情報収集に努めるとともに、市町村教育委員会と連携を密にして、課題のある学校などに指導主事等を派遣して、教員の指導方法や、あるいは加配教員及びアドバイザーとして派遣している退職教員の活用等によって、より効果が上がる取り組みについて、直接指導・助言をしてまいります。
 また、学校だけでなく、家庭や地域にも積極的に働きかけ、土曜学習の取り組みだとか、あるいは家庭での学習習慣の確立等も図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私の政務活動事務所の隣には、学習塾があります。塾の先生は、夜遅くまで一生懸命頑張っておられます。理由は、頑張らなければ来年は子供たちが来てくれなくなり、先生は生活ができなくなるからです。しかし、公立学校の先生はどうでしょうか。もし眠たい授業をやっても、成績が上がらなくても、来年も子供たちが来てくれて、失業することはありません。
 結果の公表については、文科省や学校の現場から強い抵抗があり、さまざまな理由が挙げられています。私は、子供たちに多少の競争が必要ではないかというふうに思います。まして、教員が子供たちの教育のことで競争するのであれば、大いに結構なことだと思います。教育長の所見はいかがですか。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本調査の結果の公表につきましては、地域や学校の状況によっては個人の特定につながるなど、いろいろな問題が発生するおそれがあるため、県としましては、市町村別、学校別の結果を一律に公表することはいたしません。
 ただ、県では、学力向上に向けて何が問題であるのか、市町村別や学校別のデータを徹底的に分析をし、その結果をもとに効果的な取り組みがそれぞれの学校、教室で行われていくよう、指導してまいります。また、市町村や学校が調査結果等に関する情報を積極的に説明し、家庭や地域の学校への理解と関心を高めることは、各学校において切磋琢磨を促すことにつながり、学力向上につながっていくものと考えております。
 今後、市町村教育委員会はもとより、全ての学校が児童生徒の学力の現状や改善策を広報紙や保護者会等で創意工夫を凝らして主体的に説明するよう、指導を徹底してまいります。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 県議会でも議決をいたしまして推進をしておりますフッ化物洗口──子供たちに、小学生にフッ素でうがいをしてもらって虫歯をなくしていこうという、そういう運動でございますが、例えば西牟婁地方では、もうほとんどのところでできていて、虫歯が近くないようになるというふうに聞いております。しかし、私の地元であります御坊市でも、できてるところもあれば、できてないところもある。
 私は思ったんです。学校の先生というのは、子供たちの健康とか幸せが一番の願いであるというふうに思っておりましたが、中にはそうでないという人もやっぱりおられるようでありまして、私は、そんな人みんなに考え方を変えてもらって、子供たちの幸せが一番であるように頑張ってもらうように、教育長、ぜひ指導していただきたいと思います。
 それでは、次に移ります。
 本年6月、地方教育行政法が改正され、選挙で信任された首長の権限強化と教育行政の責任明確化が図られました。
 知事は、今回の結果については残念と思ったことや、公表については慎重にすべきとのコメントを出されています。改正法の実施は来年からですが、今後の対策について、予算対応も含めて、知事はどのようにお考えでしょうか。御所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まさに、議員御指摘のように、今回の全国学力・学習状況調査の結果については、これまで、私たちと申しますが、私とか教育委員会は、学力向上対策に力を入れてきただけに、残念に思っております。
 公表については、私は、慎重にと言って特に抑制的に考える必要はないと思っております。ただ、逆に、一律に公表すべしだと言うのもちょっと言い過ぎだと。なぜならば、いろんな事情があるので。成績を上げるために、競争させるためにだけそれをやるのはどうかなというふうに思っております。公表すべきだと思ったところは、どんどんされたらいいというふうに思ってるわけです。
 本県では、私と教育委員会が協議をしながら教育施策をずうっと進めてきました、別に、教育委員会の制度があるから知事の意見が通らないと思ったことはありません。したがって、責任は全部私にあるわけでございます。
 全ての小・中学校で、例えば補充学習をしましょう。議員、先ほど言われましたように、授業についていけなくなった子を放置するというのは一番かわいそうであるし、それから全体の成績も、それによって足を引っ張られてるというところもあると思いましたので、ついていけなくなった程度というのはみんな違うわけですけれども、その子供たちに応じて、先生が求めに応じて教えてあげるというのを和歌山県の標準モデルにしようということで、これは教育委員会と力を合わせて周知徹底を図ってるところでございます。
 それから、これも実は私が言い出したんですけれども、教え方にやっぱり若干問題があると思うので教え方をよくしなきゃいけない、ついては全ての学校の先生は全員研修をやり直せということで、3年間かけて、中学校の国語の先生には全部研修を受けてもらいました。そこでちょっと成績がよくなったんでありまして、これはいいことだと思って、数学とか、それから小学校の算数、国語、こういう先生も、今、順次研修を受けていただいております。ただ、その後、また下がってしまったんで、これはまずかったというふうに思ってるわけでございます。
 最近では、さらにこれにカリスマ先生というような先生に、定年を迎えられた後ももう1回登用をさせていただいて、指導していただくというようなことも今やっているところでございます。
 そのように工夫はしてるんで、この工夫は間違ってなかったんじゃないかなと思うというのが正直なところなんですが、ただ、いつも思っておりましたのは、県の普通の行政と違って、現場までちゃんとこの考え方が理解されて、それで実行されてるかなあというところが物すごくいつも心配なんですね。ですから、ありとあらゆるところで県民の方とお話をするときは、「そういうとこが心配なんで、どうですか」とか「もし何かおかしいということがあったら私に言うてきてください」というようなことを言うてたんですけど、特にそういうおかしいというところが、今まで、例えば投書等々であったわけではありません。
 しかし、今回の学力調査の結果を見ますと、やっぱりちょっと周知徹底が図られてないんじゃないか、少し取り組みが甘いんじゃないかというふうに思いますので、これはもう徹底的に、公表するかどうかは別にして、学校の担任とか、あるいは学校ごととか、少なくともそういう状況をきちんと把握できるようにしとかないといけないんじゃないかなと。その把握によって、また次の工夫も出てくるので、現場は現場にお任せして、何かよくわかりませんが、上のほうから通達だけ出してると、こういうことじゃやっぱりまずいなあというふうに思いまして、今、教育長にそのようなことをお願いして、教育長のほうもそのとおりだということで一生懸命やってくださるというふうになってるわけでございます。
 そういう状況が見つかってまいりましたら、私も加わって、さらに工夫をして、欠けてるとこを補って、あるいは議員御指摘のように他県の動向なんかも参考にしながら本当の成績、本当の実力を上げるように努力していきたいと、そんなふうに思っております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目の質問を行います。
 防災対策について質問します。
 御坊商工会議所の津波防災研究会が、9月4、5の両日、高知県庁や国内最大の津波高34.4メートルが予想される黒潮町などを視察してきました。一行の報告によると、県庁では危機管理部長から南海トラフ巨大地震対策について説明を受け、現在、高知県では、最大クラスの津波高に対応した避難場所の整備を進めていること、平成27年度末には沿岸部に津波避難タワー115基、避難路・避難場所1445カ所の整備を終えること、その事業促進については市町村の財政負担をゼロにしたこと、さらに「タワー建設設計のための手引き」を策定したことなどを聞いてきました。参加者からは、南海トラフ地震に対して同じ運命の本県も見習うべきとの意見がありました。
 そこで、伺います。
 全ての防災対策のうちで最優先すべきは、避難対策です。本県では、津波逃げ切るプランが近く公表されると聞きますが、高知県のように短期間に避難対策は完了できるのでしょうか。危機管理監に伺います。
○議長(坂本 登君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 南海トラフ巨大地震の津波について本県と高知県を比較すると、本県のほうが条件がはるかに厳しい市・町が多く、講ずべき対策の前提条件が異なっております。
 このような厳しい条件のもと、本県では、現在、津波から「逃げ切る!」支援対策プログラムを策定中であり、津波の到達時間までに安全な避難先への避難をすることが困難な地域を洗い出し、それぞれの地域に合った対策を実施することにより避難困難地域をできるだけ早期に解消してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 できるだけ早期というのは、どれぐらいのことですか。高知県は、2年ほどでやると言うんですけども。
○議長(坂本 登君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 津波対策についての防波堤の整備につきましては県土整備部が担当していただいてるわけなんですけれども、これにつきましては、ステップを踏んで、L1に対応する施策を、約10年をめどに堤防整備を行っていくというふうに考えているところです。
 また、避難困難地域の解消につきましては、もうすぐ公表いたしますが、それぞれの避難困難地域の施策については、避難タワーあるいは避難ビルの整備について、市・町がそれぞれ対応してくれるわけなんですけれども、それについては、それぞれの市・町の財政状況、あるいは地域の状況がございますので、それはいつまでということはちょっとはっきり申し上げにくいところがありますが、できるだけ協力して推進していきたいというふうに思っております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ぜひ県も主導的に、早くできるようにお願いしたいと思います。
 次の質問に行きます。
 次に、標準化について伺います。
 高知県では、津波避難タワーの規格を標準化することで自治体によって取り組みに温度差が生じないように──うちのまちはこういうのがいい、隣町は別のことを考えてる、そうすると差ができてしまうと、こういうことでありまして、そういうことに配慮して事業促進を図ったというふうに言われています。
 現在、国では防災対策の広い範囲で標準化を進めていますけども、本県はどうなっているのでしょうか。
 ことしの夏に津波ハザードマップが御坊市と美浜町で作成され、住民に配布されました。しかし、御坊市と美浜町では様式が随分違うというふうに市民から聞いております。両市町は、市街地が連続し、学校や勤務地がふくそうしてる上に、煙樹ケ浜や日高川、西川といった津波浸水箇所も共通です。
 本来なら、ハザードマップに限らず、防災対策全般について連携すべきであると考えますが、それができないのは、標準化という概念が普及してないからではないでしょうか。標準化についての今後の取り組みについて伺います。
○議長(坂本 登君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 災害対策の標準化につきましては、現在、内閣府におきましてワーキンググループを設置し、検討されると聞いております。現在、まだその内容もはっきり決まっておりません。その内容が決まり次第、対応を検討してまいりたいと思っております。
 県では、沿岸市・町が津波ハザードマップを作成するに当たり、緊急避難先の安全レベルの表示や3連動地震と南海トラフ巨大地震の両方の浸水域を必ず記載するよう指示をしております。なお、色やデザイン等については、市・町の独自性に委ねております。
 また、県では、避難所運営マニュアル作成モデル、避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成モデル基準など、国のモデルにもなっているような県独自の防災対策に取り組んでおりますが、これらの対策は、県内のどの市・町・村においても容易に運用できるように工夫し策定したものであり、まさに標準化したとも言える対策を着実に推進しております。
 今後も、市・町・村の防災対策の方向性をしっかりと示してまいりたいというふうに思います。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今、危機管理監から、ハザードマップの色の使い方がそれぞれ違うのは市町村の特徴だというふうに言われましたが、私の質問の趣旨が余りわかってないのか、それを特徴と言うのは、標準化のことを知らないからそういうふうにおっしゃるんじゃないかというふうに思います。県下、どのまちでも、やっぱり同じような基準が要るんじゃないかと思います。
 この質問をするに当たり、いろいろお話を聞かしていただきました。色だけじゃなくて、表示の基準を例えば1メーター刻みにしてるところもあれば、10メーターのところもあるというふうに聞いております。これは、特色というんじゃなくて、標準化という概念が県自身にもまだ十分ない。国でもこれからやろうということですから、そんなに多く求められないかもわかりませんが、ぜひとも考えていただきたい。対策だけじゃなくて、用語だとか、いろんなところでやるべきだというふうに言われておりますので、私は、認識を改めていただきたいというふうに要望しときます。
 次に行きます。
 高知県では、先ほど申し上げましたように、27年度末には、沿岸部に津波避難タワー115基、避難路・避難場所1445カ所の整備を終えるんです。それを可能にしたのは、緊急防災・減災事業債を活用した県独自の新たな交付金制度を創設し、市町村の実質的な財政負担をゼロにしたからであります。
 本県でも、避難対策の事業促進のために市町村の負担を軽減すべきと考えますけども、危機管理監の御所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 防災対策は、基本的には市町村の責務であり、市町村が主体的に取り組むべきものであると考えます。高知県のように、本県が市町村事業に補助し、実質的に市町村負担をゼロにするということは適当でないと考えております。
 しかしながら、本県は、地震発生から津波到達までの時間が極めて短く、津波避難困難地域が多く存在しております。そのため、県として、津波から県民の命を守るため、堤防の整備による津波避難困難地域の解消に取り組んでいるほか、市町村が行う避難路・避難場所の整備等に対し、わかやま防災力パワーアップ補助金による財政支援を行うなど、多岐にわたる対策を講じ、市町村の負担軽減に取り組んでおります。
 また、災害時緊急機動支援隊や災害廃棄物処理支援要員、住家被害認定支援に関する県職員の派遣等は、ソフト面で市町村の負担を軽減するものです。
 このほか、市町村事業を推進する際にも、必要に応じ、市町村としっかり協議し、議論を重ね、適切なアドバイスを行うなど、マンパワーによる支援を行っております。
 このように、本県は、財政的な支援のみならず、さまざまな形での支援を実施することにより市町村負担の軽減を図っております。
 また、本県の防災対策は、中央防災会議や全国知事会、また各マスコミからも高い評価を得ており、他府県等が本県の取り組みを参考にするということは多々ありますが、その逆はないと考えております。それは、平成23年の紀伊半島大水害の後、県民の安全・安心を守るため、さまざまな、そして先進的で実効性のある対策を着実に推進してきたとの自負があるからです。今後とも、その努力を続けていくんだという気概を持って職務に当たってまいります。
 以上です。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 限られた予算の中で対応していくためには、私も、高知県のようなまねを直ちにすべきだとは思わない。いろいろ国費のもらえないところに配分していくというようなことも、私は、1つの見識だと思います。
 しかし、一番最初に申し上げました避難対策、これが早くできるというふうに──やるというふうにおっしゃいましたが、そうならないときにはぜひ責任をとってもらいたいと思いますが、どうぞ、そんなことにならないようにお願いをしておきたいと思います。
 次に行きます。
 県議会の防災・国土強靱化対策特別委員会は、今月3、4、5の3日間、県外調査を行い、名古屋大学防災センター、スズキ自動車、浜松市、静岡県庁、海洋研究開発機構を視察してきました。どこを拝見しても見習うべきところは多く、実に実りの多い視察となりました。
 特に印象的だったのは、一民間企業の300億円もの寄附により建設される津波防潮堤で、浜松市の海岸17.5キロメートルに高さ13メートルもの津波防潮堤をわずか2カ年で建設するという話でした。しかも、原材料は、その海岸にある砂と近くから運ぶ土にセメントをまぜて固めるCSGというダムの建設工法を採用し、緑化も含めて、1メートル当たり約200万円でおさめる大変効率的な工法でした。
 さらに、それに続く磐田市の海岸には、建設発生土を活用した防潮堤を建設する計画で、既に準備工事が行われていました。
 また、海浜公園に建設された命山と言われる標高15メートルの津波避難マウンドも見せていただきました。改めて、津波対策が猛烈な勢いで進められていることに感心しました。同時に、盛り土工法の有効性を再認識した次第であります。
 現在、和歌山県内では、かなりの建設残土が発生しながら、多くは残土処分場に埋められていると聞きます。私の近所にも迷惑な残土処分場があり、現在、日高港のしゅんせつ土をわざわざ山中に運んできます。そのまま海岸線に置けば経費も安く上がり、県民の生命や財産を守る津波防潮堤になるのではと、いつももったいなく思っています。ぜひ静岡県をお手本にしようではありませんか。
 そこで、質問します。
 現在、県内でどれだけ建設残土が発生し、そのうちどれだけが有効活用されているのか。また、津波や高潮の危険に対して盛り土工法が大変有効だと言われ、静岡の命山や防潮堤には全国から視察が相次ぐと聞きました。ぜひ本県でも、建設発生土を活用した命山や防潮堤をみずから積極的に取り組むとともに、市町村にも奨励すべきと思いますが、県土整備部長の所見を伺います。
 なお、続けて、静岡県庁では、住宅の耐震化について取り組みが困難な高齢者に対し、補助金の割り増しを行っていることを聞きました。高齢化が静岡県以上に進む本県においても、見習えないでしょうか。住宅の耐震化は、避難対策や地震、津波の発生時に40%の確率で発生する火災対策としても有効で、しかも、現在、県で研究中のリバースモーゲージにも役立つもので、この際、要望しておきます。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 建設発生土につきましては、平成25年度において、県及び市町村工事で約65万立方メートルであり、そのうち他の工事へ有効利用された土量は約19万立方メートル、全体の約3割となっております。
 建設発生土を他の工事に有効活用した事例としましては、すさみ町において、高速道路工事から発生した土をインターチェンジ周辺の埋め立てに活用したり、印南町において、サービスエリア周辺の防災広場の整備に活用する計画があります。また、新宮市においては森の防潮堤づくりの計画や、御坊市野口地区においては日高川の掘削土砂を活用した堤防の整備などもあります。
 県としましては、資源の有効活用などの観点から、議員から御提案のありました防潮堤や命山などの整備に対しまして、必要があれば建設発生土を積極的に活用してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 和歌山県内、まだどこもありませんので、1つできたら、わざわざ静岡まで見に行かなくても済みますから、ぜひ積極的にお願いしたいと思います。
 次に移ります。
 最後に、日高平野の主要河川、西川の浸水対策について伺います。
 日高川右岸の平野にある河川のうち、御坊市、日高川町境界を流れる土生川を除く全ての河川は、西川に流れ込みます。
 今から30年ほど前、私が代議士の秘書をしていたころ、道成寺山門前の浸水対策として、2級河川堂閉川のしゅんせつを地元から要望を受け、御坊土木事務所にお願いしたことがあります。そのとき、後に県庁の課長も歴任された小川さんという課長がおっしゃったことがとても印象的で、今もよく覚えています。小川さんは、堂閉川を改修しても、下流の斎川を改修しなければ流れないと言うのです。そして、斎川を改修しても、さらに下流の西川を改修しなければ流れない、そして西川は、改修しても落差がないので流れない、むしろ満潮時は逆流して塩害が起きると言われました。
 その後、私が県会議員に当選し、農林水産委員長を務めておりましたころに、国営パイロットの話が持ち上がりました。農地のかさ上げに加えて、河川改修やため池、遊水地の設置など、総合的な治水対策も兼ねた、農家の負担が要らないすばらしい計画でしたが、残念ながら地元合意には至りませんでした。
 結局、その後30年経過しましたが、下川改修以外、大きな前進はなく、むしろ突発豪雨や農地の減少により浸水はひどくなる一方です。
 去る8月9日、台風11号の襲来により、西川流域は各所であふれ、国道42号でさえも御坊市湯川町富安地内で冠水し、片側通行に制限されました。当日は、日中の出来事でもあり、私も、西川流域をつぶさに見て回ることができました。そして、かつて小川課長が説明してくれたことを再認識した次第であります。
 そこで、県では、常襲的な浸水地域をどのように把握されているのでしょうか。また、その原因についても伺います。
 続けて。
 さて、最上流の道成寺山門前の浸水対策については、平成23年2月定例会で私の一般質問に対し知事は、真剣かつ早期に考えていくと御答弁いただきました。西川流域の浸水対策には、同様の改修工事がほかでも必要と考えます。現在、県では、日高川の河川整備計画を策定中と聞いておりますが、ぜひ西川も加えていただいて抜本的な対策をとるよう要請しますが、御所見を伺います。
 なお、知事にも現地を視察していただきました下川の改修でありますけども、ほぼもう完成近くでありまして、今回のこの11号台風でも全く影響がありませんでした。やっぱり工事はすばらしいなというふうに思いますし、近所の人は、みんな喜んでくれておりました。改めて、この場をおかりしてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 しかし、下流はまだ続きますので、引き続きよろしくお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。よろしくお願いします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 日高川河口付近で合流します西川の流域では、本年8月の台風11号において、主に堂閉川、東裏川、森後川沿川で浸水し、床下浸水2戸を初め、道路や田畑等の冠水被害が発生しました。そのほかにも、西川流域では、過去には、西川本川の御倉橋から志賀川合流点までの左岸、斎川、下川などで浸水被害が発生しています。
 これらの浸水被害は、西川本川の御倉橋から志賀川合流点までの左岸側は堤防がない無堤区間となっていること、堂閉川、下川については河道が狭い区間が残されていること、東裏川、森後川、斎川については洪水時に西川の水位が高くなると支川からの水が西川に流れ込みにくくなることが主な原因と考えております。
 次に、日高川水系河川整備計画につきましては、これまで、本年5月に開催しました日高川を考える会において、日高川水系の現状と課題について関係住民の御意見を伺ったところです。
 今後、具体的な整備内容等について、再度、日高川を考える会において関係住民の御意見を伺うとともに、和歌山県河川整備審議会河川整備計画部会を開催し、素案を公表した上で学識経験者の御意見を伺うこととしております。その後、パブリックコメントにより住民の皆様に広く御意見を伺うとともに、関係市・町の御意見を伺うなどのプロセスを経て日高川水系河川整備計画を策定する予定です。
 御指摘の西川流域の抜本的な浸水対策につきましても、この日高川水系河川整備計画の中で総合的に検討してまいります。
○議長(坂本 登君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。(拍手)
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行わさしていただきます。どうかよろしくお願いします。
 最初の質問でございます。海洋発電の今後の見通しについてから始めさしていただきます。
 和歌山県の海洋資源を活用した海洋再生可能エネルギーには大きな可能性があり、その取り組みには期待をしている1人であります。
 本年7月15日、内閣官房──これ、正式名称は内閣官房総合海洋政策本部ですが──こちらから、海洋再生可能エネルギー実証フィールドの選定結果の発表がありました。残念なことに、今回、和歌山県が応募した海流発電は選ばれませんでした。参考までに、今回、実証フィールドとして選定されたのは新潟県、佐賀県、長崎県、沖縄県、この4つの県となっておりまして、報道された新聞朝刊を見た皆さんからは、和歌山県、どうだったんだというふうな不安といいましょうか、そういう声が聞かれたことを覚えております。
 この応募に至るまで、和歌山県では、海洋再生可能エネルギー検討委員会、これを組織いたしまして、海洋エネルギーのポテンシャルについて検討を行ってまいりました。その結論として、本年2月、潮岬沖を流れる黒潮を活用した海流発電が将来有望、こういう意見を得まして、また地元の積極的な取り組みもあり、内閣官房に潮岬沖を海流発電の実証海域として申請したわけですが、さきに言いましたように選から漏れたと、こういうことになっております。
 和歌山県が選定されなかった理由について、内閣官房のコメントとしては、「利用者の部分でまだはっきりとしていない点があるということ。ただ、利用者が活用するという流れが確定すれば、これは選定していく方向で考えたい」というコメントをいただいておりますし、続けて、「今回選定されなかった海域も、調整メカニズムをつくることについては相当努力をされていた」という評価をしていただき、「海洋調査をきちんと行ってもらっています」、こういうコメントもあります。ただ、要件として、実証フィールドとして非常に重要なポイントなんですが、「利用が見込まれるのかという点において言うと、まだまだ不確定な要素が多い。だから、これをきちんとメカニズムとして確立してもらえれば、利用者をしっかり見つけてもらえれば、これはぜひ前向きに選定する方向で考えたい」、こういうふうに評価はしてもらっているところであります。そのため、今後の取り組みに大いに期待をしているところでありますが、ただ、和歌山県の海流発電はこのとき選定されるのではないかと大いに期待をしていただけに、今回の7月の結果については、ややがっかりという感があります。
 今回の内閣官房の公募については、実証フィールドの整備によって開発コストの低減を図ること、民間事業者が参入する意欲を盛り上げること、産業の競争力を強化することなど、関連産業の集積による地域経済の活性化を図る、こういったことなどが目的とされております。
 エネルギー問題へのこれまでの和歌山県の取り組み、地域活性化の観点から、選定されなかったとしても、和歌山県としては推進する方針に変わりはないでしょうが、選定されるほうが、民意の力を得て今後の推進力がついたはずなのになあと、こういうふうに思っております。地元の関係者の方々やこれまでの経緯からすると、早急に利用者を見つけて内閣官房から実証フィールドに選定されるように、今後の取り組みを強化してほしいと思います。
 そこで、1つ目の質問であります。
 知事は、この件に関しまして、本年2月議会の一般質問の答弁で、黒潮を初めとする海洋再生可能エネルギーの活用には積極的に取り組みたいと考えていると、こういう答弁をいただいておりますように、海洋再生エネルギーを推進する立場をとっていると考えておりますが、今回の内閣官房の選定結果についてはどう考え、今後の海流発電の取り組みについての考え方もあわせてお答えいただきたいと思います。
○議長(坂本 登君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 7月に海洋再生可能エネルギー実証フィールドの選定結果が発表されまして、本県が申請しておりました潮岬沖の海流発電については、同海域で実験する事業者が確認された時点で実証フィールドに選定されることになったということは、議員御指摘のとおりであります。
 これはもう議員はよく御存じだと思いますけども、例えば海洋再生可能エネルギーといっても、もう千差万別、いろんなものがありまして、その中では、この海流発電というのは世紀の大技術革新でございます。そういう要素の少ない、逆に言うとちょっと小さ目の、そういうものは実現に近いわけですから、利用者という名前の、要するにプロジェクトをやる人ですね、こういうのはすぐ手を挙げるわけでございます。そういう点では、今回のやつは大規模な投資も要するし、なかなか利用者という、すなわちプラントメーカーですけど、そういうものもそう安易に手を挙げることはできないという、そういう事情があることは事実なんでございます。
 そこで、地元の受け入れ準備は十分整ってるけれども、発電機開発が実証実験段階にはないとか、それから利用者がまだ決まってないとか、そういうことで内閣官房の総合海洋政策本部が判断したものと思っております。もちろん、他地域に負けたわけではございませんで、同じく海流発電の実証フィールドに申請した他の海域も同様でございます。
 ただ、それも1つの判断かもしれないんですけど、全ての大きな技術開発は、始めてみないと、あるいは国が応援をして始めさせてみないと進まないというところはあると思うんです。したがって、そんなにきちっと実証段階で、あるいは実用段階のフォーメーションが決まってなくても、何らかの助成をして応援をするということは悪いことではないのではないかと私は思っておりまして、その方向からさらに推進をしていきたいと思うし、また、地元の自治体とも連携して、開発事業者が必要とするような流域の調査、こういうものもちゃんとやって、支援をして、それで早く心を決めてくださいよというようなことを働きかけて頑張っていきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事から今お答えいただきましたように、まさに利用者、事業者が不確定だというふうなことで、今回、見合わされたということなんですが、所管といろいろやりとりさしていただく中で、プラントメーカーも含めて関心のあるところは実はありまして、その辺、紀南地域の開発──発電もそうです、産業の集積でもそうですが──観光も含めて開発というふうな大きな観点で協力したいというふうなことで来ているところもあります。こういった情報も共有さしていただいてますんで、取り組みを推進するような方向で、ぜひ所管と意思疎通を図って進めていただけたらありがたいなというふうに思います。
 続きまして、商工観光労働部長にお尋ねしたいと思います。
 この問題に関しましては、同じく本年2月議会で、利用者となり得る海流発電に興味を持つ企業や事業者を積極的に誘致していきたいことを考えていると、こういうふうな答弁をいただいておりますが、公募に申請した時点では利用者がはっきりしなかったというふうに思いますが、現在、どのような状況であり、見込みはどうでしょうか。お答えいただきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 海域の利用につきましては、複数の重工系メーカーが同海域での実証実験を検討していることから、先ほど知事の答弁にもありましたが、今後、これらメーカーが必要とする流況調査や漁業調査への協力を行い、実証実験に向けてメーカーを支援してまいりたいと考えてございます。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ぜひ情報共有を図っていただきまして進めていただけたらと思います。
 そこで、県の姿勢についてなんですが、海洋再生可能エネルギーの検討委員会、こういうものが2月まで開催されておるわけですが、その後、公募以降も開かれたというふうなうわさは余り聞いておりません。再度、内閣官房の選定に向かう取り組みの中で、こういった県の組織体、委員会というのは役割はあると思いますが、今後、県の姿勢、委員会の扱いについてはどうなるのでしょうか。この点についても、商工観光労働部長にお願いしたいと思います。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 昨年度、実証フィールド申請のために、大学教授、漁業関係者らによる検討委員会を開催し、ことし2月に申請を行った時点で検討委員会は役割を終えております。今後は、実際に実証実験を受け入れる体制づくりが必要であることから、地元関係者による実証フィールド運営協議会を立ち上げる準備を進めているところです。
 また、地域住民への事業周知を主目的に、10月の18日に和歌山県海洋再生可能エネルギーシンポジウムを開催することとしておりますが、同日、検討委員を務めていただいた方々にもお集まりいただき、今後の取り組みについて御意見をいただくこととしております。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今後の取り組みについては期待をしておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 続けて、2項目め、障害者優先調達推進法に基づく物品の調達について質問をさしていただきます。
 この法律は、障害者就労施設、在宅就業障害者及び在宅就業支援団体の受注の機会を確保するために必要な事項等を定めることにより、障害者就労施設等が供給する物品等に対する需要の増進等を図り、もって障害者就労施設で就労する障害者、在宅就業障害者等の自立の促進を促す、こういったことが法律の目的に書かれております。
 和歌山県のホームページを見てみますと、この取り組みに関することが掲載されております。平成25年度の調達実績、これは物品と役務両方なんですが、約1760万円、平成26年度はこの実績を上回ることを目標として、現在、取り組みが行われております。
 ところで、障害者優先調達推進法に基づく市町村の調達方針策定状況について確認してみますと、法律ができて平成25年度末時点、和歌山県内30市町村のうち、当時、年度末で策定していたのは、わずか2市町村、率にして6.7%。この数字は、平成25年度末において、またしてもこの分野で全国で最下位ということになっております。
 こういった状況を受けて、先般、比較的この分野で進んでいると言われる富山県を視察してまいりました。富山県の場合、県内市町村のうちあと1つ、9月、今月中に策定をすれば100%の市町村がこの計画を策定すると、こういうふうな状況であるというふうに聞きました。さらに富山県は、過去3年間の調達実績額の平均値を10%以上上回る調達目標を策定し、取り組みを行っていることを伝えていただきました。
 ただ、障害福祉課以外の部門での意識はそうそう高くないので、全庁的に調達を促す取り組みを行っているところだと、こういうふうな意見がありまして、例えば県庁内のインターネット掲示板で全職員さんが見れるように周知していること、厚生部長の部屋の前に対象となる商品を展示していること、こういった取り組みがなされておりました。
 また、富山県の担当者から、「さらに進んでいるところはどこかありますか」というふうなことで、「長野県が進んでいますよ」というふうな話を聞きましたので、長野県の障がい者支援課、こちらのほうで確認をさしていただいたところ、毎月1回ですが、「障がい者優先調達NEWS」なるものを発刊しておりまして、県の取り組みであるとか障害者施設の紹介、こういった物品があるよと、こういうふうなことの紹介をされております。各自治体、それから関係団体、企業、県民の方々にも、長野県の場合は、リストを活用し、障害者就労施設等への発注を促すなど、県を超えて活動を広げようと、こういう取り組みがなされているというふうに教えていただきました。
 そこで、和歌山県の取り組みについて質問をしたいと思います。
 和歌山県内の市町村の調達方針策定状況は、現状、どのようになっておりますか。平成26年度の策定目標は、やはり100%にすべきだろうというふうに思いますが、市町村に対する指導、策定の依頼、どのようになされているのでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 障害者優先調達推進法が昨年4月から施行され、県や市町村では、毎年度、障害者就労施設等から物品等の調達の推進を図るための方針を作成して公表することとなりました。しかしながら、平成26年3月時点で調達方針を作成した市町村は2市でした。
 こうした状況を踏まえ、県では、本年5月の全県市町村長会議において、各市町村長に調達方針の作成の早期取り組みを依頼したほか、担当者会議など、機会あるたびに働きかけた結果、8月末時点で26市町村で調達方針が作成されております。
 県といたしましては、未策定の4町に引き続き働きかけを行ってまいります。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今お答えいただきましたように、昨年度末が非常に悪かったんで、かなり追い込み、キャッチアップを図っていただいて、策定している市町村が多くなっております。当時、年度末の実績を見たとき、関係する民間の事業者の皆さんが、全国からの数字を示されて和歌山県として恥ずかしい思いをしたと、こういう意見も聞いてございますんで、ぜひ残りの4つの地方自治体を含めて、年度内に策定を完了するようにお願いしたいと思います。
 ところで、和歌山県では、障害者雇用に配慮した入札制度、これをとってくれているところであります。この目的は、障害のある人の就業と自立を支援するため、総合評価落札方式等の評価項目に障害者雇用などの取り組みを新たに追加して、企業における障害者雇用、それから障害者就労施設などから物品や役務の調達を促進する、こういったことを目的にされたもので、これは評価できる取り組みかなというふうに思っております。
 このような先進的な取り組みをしているように、福祉保健部としては高い意識は持ってくれてると、持っていただいて物品、役務の調達をしてくれてると思いますが、これをさらに全庁、県立施設の指定管理者、県の出資法人、こういったところにも調達促進をするように依頼すべきだというふうに思いますが、その取り組みについてはどうなっておりますでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 県では、全庁に対し、調達方針に基づき、積極的に障害者就労施設等の物品等の調達に取り組むよう依頼したほか、部長会議等の機会にも、改めて全庁に周知するなど、取り組んでおります。
 また、今年度から総合評価落札方式等において、障害者就労施設等からの物品等の購入が年間一定額以上である企業を評価する項目を新たに追加しており、指定管理者に応募する企業等における調達の促進も図っているところです。
 今後、さらに県立施設の指定管理者や県の出資法人などに対しても、障害者就労施設等から調達するよう協力を依頼してまいります。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 そもそも、この法律の趣旨は、こういった障害者就労施設の平均賃金を上げることを支援するものだというふうに認識をしております。就労継続支援B型採用者の平均賃金、これは全国的にも1万5000円以内──これ、月収でございますが──のところに集中していることが問題だということは、もう関係者ならずとも認識しているところでありまして、この平均賃金を上げるためにも優先調達を促進してほしいというふうに思います。
 この賃金向上支援について考えられることがありましたら、福祉保健部長からお答えいただきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 障害者就労支援施設の工賃向上についてですが、県では、これまでも工賃水準の向上に取り組んでおり、平成18年度の平均月額工賃1万2045円から年々向上し、平成25年度は1万5741円となっております。
 具体的には、さきに申し上げた優先調達の推進を図るとともに、障害者就労支援施設等の人材育成のため、経営面や商品開発などの専門家の派遣や、食品表示や衛生面など、商品を製造、販売するに当たって必要な知識を学ぶ研修などを実施しております。
 また、販路拡大、受注促進のため、各福祉圏域単位で共同受注窓口の設置に加え、障害者就労施設等が製作するすぐれた商品を掲載した特選カタログを作成し、カタログ掲載商品を県の優良職員表彰の副賞としました。
 さらに、わかやま産品商談会でも紹介したほか、障害者就労に理解のある企業が集まる場で配付するなどの取り組みを行っております。
 これに加え、障害者就労施設等が提供できる物品や役務のリストをホームページで提供しており、今後、こうした情報をより活用しやすくするとともに、障害者就労施設等の商品に関心を持っていただけそうな機会として、国体関連のイベントを初めとした各種イベントへの出展など、一層の取り組みを進めてまいります。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、福祉保健部長からお答えいただきましたように、この特選カタログを見せていただいたら、各作業所の商品みたいなのをきっちりとリストアップして見やすいような形になってましたんで、さらにここに──参加してる施設がちょっと少ないという点もありますんで、ぜひふやしていただいて、企業も含めて、見やすいカタログになってると思いますんで、ぜひ周知していただけるようにお願いをしたいと思います。
 続きまして、3項目めに移らしていただきたいと思います。これは、インドとの経済交流についての質問であります。
 インドとの経済交流につきましては、平成25年10月の6日から12日にかけまして、知事を初めとする一行は、インド・マハラシュトラ州を訪問し、和歌山県と相互協力の協定を結んでおります。このインド・マハラシュトラ州と和歌山県の相互協力に関する覚書締結、これがこのときの最大の成果だったというふうに思います。
 このことについては新聞等でも掲載されて、当時、何名かの企業家の方から、非常に興味を持って質問等をいただきました。意外とインド、遠い国だと思っていたんですが、事業者の方にとって、経済がこれから発展する、あるいは投資先、そういったことから関心があるのだなあというふうに思った次第であります。
 これまで、このマハラシュトラ州との相互協力に関する提携、これを行いたいという県が幾つかあったようですが、なかなかうまくいかなかったと。和歌山県が真っ先にやり遂げたということは、非常に大きな成果として評価を得られているものでありますし、今後、和歌山県の産品、工業製品、農産物、こういったものをどうインドに売り込むか、また世界に向けた生産基地としてのインドとどうつき合っていくのか、インド人の富裕層にどうして和歌山県に来てもらうことができるのだろうか、こういった目指すべき成果を大いに期待するところであります。
 このインドとの交流については、数年前から文化国際課が検討していた、こういったことを思い出しました。当時から、インドというのは、将来、この市場は有望だよというふうなことを、資料をいただいたり、経済統計をいただきながら説明を聞いたことがありますが、早くから積極的にインドとかかわろうとする文化国際課の姿勢、これが今回の成果につながったものだというふうに思ってます。
 それから、もう1つ、今回、インドとの覚書締結について、いわゆる井戸を掘ってくれた人物というのが、藤本知子さんとスニル・チャコさん、このお2人だというふうに思います。2人は今でもインドと日本、インドと和歌山県をつなぐ、そういった役割を果たしてくれていると認識しておりますが、私も、このお2人と8月から9月にかけて数度お会いさしていただきまして、インドとの経済交流、今後、どういうふうな形で進めていったらいいのかというふうなことを話し合いをさしていただきました。
 また、その中で、今回のマハラシュトラ州との相互協力締結のときの話、エピソードなんかも聞かしてもらいました。盛り上がったのは、インド憲法の父と言われているマハラシュトラ州の英雄であるアンベッカー博士の銅像を高野山に建てる、このことについてです。仁坂知事がインドへ行ったときにこの件に理解を示してくれたことから、一気に締結の話が盛り上がったというふうに聞いておりますし、マハラシュトラ州も、この件には期待が非常に大きいということも聞いておりますので、ぜひこの約束の実現を果たしていただきたいなと思います。
 また、時を同じくして、商工中金和歌山支店、こちらでは、海外市場開拓に挑戦しようとする特定分野にすぐれた中小企業を資金面から支援するグローバルニッチトップ支援貸付制度、こういったものの融資を県内企業に決めております。この県内企業への融資によって、同社の現地法人は、工場の建設、設備投資に増資を行うことができ、海外販売の強化が図れると、こういうことになります。しかも、この貸付制度は10年後に一括で返済すると、こういうことになっておりますので、海外事業が軌道に乗ってから返済できる点で、非常に事業者にとって利点があるものであります。
 この県内の企業、1社ですが、平成26年4月にこの融資制度を利用して3億円の融資を受けているように、和歌山県とマハラシュトラ州との相互協力締結の結果がこのインドでの事業を後押ししたように思います。このような経済交流が相互協定の目指すべきものの1つであり、県内のほかの企業も同じように後に続いてほしい、こういうふうに思っているところであります。
 そして、今月、9月の1日ですが、インドのモディ首相が日本を訪問し、安倍首相と会談、共同声明をしています。その声明では、今後5年間、日本のインドへの直接投資と進出企業を倍増させる、こういったことを目標にしているようです。インドへの進出企業は、現在約1000社ですが、5年後には2000社、こういった数字を目指すことになります。それほどインドは今世紀において成長が見込める市場であり、今回の日本企業進出に関して、税制、行政規制、金融規制などを改善することや、投資誘因のある日本工業団地などの開発を検討すると、こういうふうなことも述べられております。
 さきに、中村委員長を筆頭に特別委員会で静岡県を視察したわけなんですが、これは国土強靱化、防災対策で行ったんですけども、その中の1つにスズキ株式会社がありました。ここで話を聞かしていただきましたところ、スズキ株式会社は、以前からインドに工場を進出させているようですが、今回新たに工場建設するということで、鈴木会長兼社長が我々を迎えてくれる予定だったんですが、モディ首相と会うために東京へ行って、そのままインドへ行ってしまったと、こういうふうなことで、インドに関しては先進的な取り組みをしてるのかなと、そういうふうに思った次第であります。
 ただ、スズキ株式会社のように自社でインドに関する情報を把握できる人脈を持っている、こういう企業であれば、進出のリスクというのはそれなりに抑えられているんでありましょうが、和歌山県の場合は、自社でインドにかかわる状況を把握できる、そういった企業は少ないと思います。ぜひ和歌山県としてインド情勢に関する情報を把握し、県内企業に伝えてくれることを期待しております。
 日本とインドとの関係が新時代に入る1年前にインド・マハラシュトラ州と和歌山県の相互協力に関する覚書を締結し、経済交流を進めようとしたことは、まさに先見の明があったのかなと今の段階になって思います。
 インドとの関係について、幾つか質問をさしていただきます。
 インド共和国マハラシュトラ州と和歌山県の相互協力に関する覚書に基づく現状と今後の取り組みについてお答えいただきたいと思います。まず、この点について知事の答弁をお願いします。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) インド・マハラシュトラ州と締結した覚書に基づく具体的な取り組みといたしましては、ことしの6月に同州の政府関係者が来県いたしまして、和歌山県世界遺産センターとアジャンタ・ビジネスセンターとの交流に係る協定を調印いたしました。この協定をもとに、今後、ビジターセンター同士が両県・州の魅力を情報発信するという事業や、あるいはアジャンタ・ビジネスセンターに対して運営に関するノウハウを提供するなどの取り組みを行っていくことになっております。
 また、来年の高野山開創1200年に向けまして、御指摘のアンベッカーさんの銅像を高野山の奥の院にという話が着々と進んでおります。
 また、本県の東京事務所にマハラシュトラ州の事務所を兼ねていただくというふうな感じになっておりまして、観光パンフレットなどをそろえて、事務所前のディスプレーを、ただいま現在ですけれども、マハラシュトラ州一色にしております。もちろん、これは変わっていくんですけれども。それで、事務所職員を担当に指名をいたしまして、マハラシュトラ州の情報発信をするようにということにしております。
 一方、将来、インドとの交流のかけ橋となる人材を和歌山側で育成しておこうというふうに考えまして、本年8月に和歌山県の若手の職員をマハラシュトラ州に派遣をしたところでございます。同州は大変喜んでくれまして、好意によって観光開発公社の事務所内で和歌山県オーランガバード事務所というのを名乗らしてもらっておるわけでございます。インドに窓口ができたということで、新しい交流の展開も期待したい。まだまだ行ったばっかりの職員ですから、どちらかというと将来のための布石として、じっくり育てていきたいと考えております。
 今後とも、観光、食品加工など、経済分野での互恵的、実質的な交流に取り組んでまいりたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、答弁でお答えいただきましたように、先方が望んでいることは、覚書の締結もさることながら、実質的な交流という、この分野にあろうかと思いますんで、その観点で質問をまたさしていただきますが、インド側は、県との関係を持ちながら、民間事業者との経済交流、こういったものを求めてると思います。和歌山県内の企業のインドへの進出の支援、海外進出に対しての融資制度の活用など、どう展開していこうと考えているのでしょうか。この点は、商工観光労働部長からお答えをいただきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) インドとの経済交流につきましては、昨年10月に知事がインド・ムンバイを訪問し開催した和歌山プロモーションにおいて、インド工業連盟関係者やインド企業の参加を得てビジネスセミナーを開催するとともに、県内企業3社とインド工業連盟西部本部や現地企業を訪問し、情報収集や意見交換等を行いました。
 一方、本年6月には、在大阪・神戸インド総領事館やジェトロ等と共催し、インドビジネスセミナー及び交流会を和歌山市内で、機械や化学などの県内企業90名の参加のもと開催したところ、インド側からビジネスパートナー探しの協力申し出を受けた企業やインドビジネスへの関心を持った企業などが出てきております。また、これらの企業以外にも、インド進出に意欲的な企業も出てまいりました。
 県としましては、今後も、インドでのビジネス環境やさまざまな支援策など、入手した情報を的確、迅速にメールマガジン等により県内企業の皆様にお伝えするとともに、インドでの展示会出展への支援やセミナーの開催などを通じて県内企業とインドとの経済交流を進めてまいります。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 この項目の最後でありますが、マハラシュトラ州の英雄と言われておりますアンベッカー博士、この銅像を来年の高野山開創1200年に向けて高野山に建てるということについて、この見通し、どのようになってますでしょうか。企画部長にお尋ねします。
○議長(坂本 登君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) アンベッカー博士の銅像建立の現状についてでございますが、昨年10月にマハラシュトラ州と覚書を締結した際、同州から、インド憲法の起草者で仏教の偉大な指導者であるアンベッカー博士の銅像を、来年、開創1200年を迎え、日本の仏教の聖地で世界各地から多くの方々が訪れる高野山に設置し、同氏の功績を日本を初め世界各国に情報発信したい旨の申し出がありました。
 その後、本年6月にマハラシュトラ州文化大臣を団長とする訪問団が来県し、高野山を訪問され、打ち合わせを行うとともに、アンベッカー博士の銅像の設置場所を確認したところでございます。
 県としましては、来年の設置の実現に向けて、現在、積極的に協力しているところでありまして、平成27年には高野山奥の院に設置される見込みとなっております。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、一般質問第4項目め、和歌山市中心市街地再生の進め方について質問を行います。
 和歌山市中心市街地を中心とした再生ということに関しましては、県も、和歌山市も、そのあり方について検討がなされていると思います。県におきましては、この再生のあり方について、本年度は予算化を図り和歌山市と協調した姿勢をとっている、このことで、この下期以降、成果が出ることを期待しているところであります。
 ところで、中心市街地を歩いてみますと、空洞化が依然として進展しているような状況にあろうかと思います。時折、こういった中心市街地の商店街を歩いて事業者あるいは商店主の皆さんと話をすることがありますが、その中で言われる意見は、あの事務所は移転して今はあいているだとか、あの店舗は売りに出しているけれども買い手がない、あるいは、私のところに買ってくれというふうな持ち込みがあるが買ってもなかなか利用計画がないというふうな、こういった空洞化を進めるような、何かそういった話ばかりがよく聞かれるところであります。
 今、移転した後の事務所用地のほとんどが買い手がなく、あいている、あるいは、あったとしても駐車場以外に利用方法がないようで、中心市街地が今では収益を上げられる魅力的な土地ではなくなっている、そういった現状に危機感を感じているところであります。中心市街地に駐車場は必要なんですが、駐車場だけがふえても活性化にはつながらないので、現状は、再生すべき方法がなかなか民間レベルでは見つからないのかなと、こういうふうな状況にあります。
 そこで、期待するのは県の役割でありますが、その中でも、地域に関しては、JR和歌山駅の周辺、こちらの再開発に期待をしているところであります。人口減少、高齢社会において、鉄道は利便性の高い公共交通であり、駅は、単なる移動するための玄関口というものではなく、交流あるいは居住においても利便性が高く人々が集まりやすい、こういう場所になっております。
 先日、和歌山市と同じ城下町である金沢市を訪問し、その中で、JR金沢駅周辺の再開発の状況をいろいろ教えてもらってきたところであります。同じ城下町、人口規模は少し金沢のほうが多いわけですが、活気も、人の流れも違うことに驚きました。JR金沢駅の構内には、ファッションと飲食が楽しめる金沢百番街があり、これまで以上に駅周辺は活気づいているところであります。この金沢百番街というのは、JR西日本の100%出資の関係会社、こちらがにぎわい創出をするための店舗づくりをしているところであります。
 この金沢駅構内は、ファッションゾーン、それから食物販ゾーンで構成されておりまして、エキマチ新都市、こういうコンセプトで、金沢市だけではなく、今や、福井県、富山県、こういったところからも人を引っ張る、そういった力を持たした駅の状況となっております。
 また、このJR金沢駅の東口には、イオンが手がけるファッション街・金沢フォーラス、こういったものがありまして、これはJRとイオンが手を結んだ商業施設で、駅前再開発につなげ、若い人を中心に、これまた他府県からも人を呼び込んでいると、こういう施設を設置しております。
 こういった商業施設、金沢百番街、金沢フォーラス、こういったものがあることで、JR金沢駅だけで、この周辺だけで一日中楽しめるゾーンを形成しておりまして、鉄道の駅というのは、通勤・通学で通り過ぎるといった機能だけではなくて、ショッピングや食事、人が交流できるスペースとしての機能を持たしている、そういうことをJRとともに進めてきた石川県、金沢市、こういったまちづくりのあり方というのは非常に参考になりました。
 ところで、JR和歌山駅にこの金沢駅と同じような機能を求めるというのは、都市の性格も違いますし、少し無理なところがあろうかと思います。北陸において金沢市というのは、もちろん経済の中心、文化の中心になってるわけですが、和歌山市の場合、大阪市までの移動時間、移動距離、そういったものは比較的近いことから、仮にショッピングゾーンを形成できたとしても、天王寺のハルカスあるいは大阪駅周辺の大型商業施設に勝てるようなものを配置しなければ、JR和歌山駅周辺にお客さんが来てにぎわう、そういう状況は難しいのかなあというふうに思います。つまり、よほどの商業施設を持ってこなければ、JR和歌山駅周辺はショッピングゾーンだけで勝負できる、そういったことはかなり困難ではないのかなというふうに思います。
 そこで、まちの特徴に合わせた機能を持たせること、つまり、ショッピングもさることなんですが、医療、福祉、託児所、こういったものを集めることで、それを必要とするお客さんを和歌山駅周辺に呼び込むことができるのではないかなというふうに思います。
 今の時代、人口がどことも減少している状況にあって、和歌山市内だけで集客してもにぎわうことはありません。にぎわいを取り戻すためには、周辺の市・町からもこのあたりに来てもらえる、あるいは住んでもらえる、そういったゾーン形成が必要だろうというふうに思います。
 そういう意味からすると、高いレベルを持った医療機関、利便性の高いレジデンスマンション、和歌山市内に通勤する女性のための託児所、こういったものを駅周辺に設置するということは有効だと思います。また、金沢市の名産が何でもそろえられるJR金沢駅のように、和歌山県の産品を数多く取り扱うお店が駅周辺にあると、地域振興、にぎわい、こういった両面からも効果があるのかなというふうに思います。居住スペースと医療施設、それから社会福祉施設などができると、小規模かもわかりませんが、それに見合った商業施設の進出も考えられますから、今よりはにぎわいは創出できると、そういう期待があります。
 JR和歌山駅周辺は和歌山市の中心地としての役割を果たしてほしい、こういうふうに思いますから、ぜひにぎわいを取り戻すために、このような事業者が進出できるような支援を県が果たしてほしいなと思っております。
 そこで、知事に質問をさしていただきます。
 和歌山市再生のための中心地再開発は、県にとっても重要な課題だと思います。JR和歌山駅周辺の活性化、それから南海和歌山市駅周辺の活性化に当たっては町なか居住を推進していくことが必要であり、そのためにも医療施設や社会福祉施設などの都市機能施設の立地も必要と考えておりますが、その考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 中心市街地の衰退、それを何とか立て直すためにということで、日本中、いろいろ知恵を絞ってるわけですが、商業施設等々の誘致だけでは不十分だと思います。
 人口が爆発的にふえるということではない状態で都市が外縁的に拡散してしまいますと、土地に対する需要・供給の関係で、不動産価格は当然下がります。そうすると、実は市民の資産が減ってしまうわけであります。
 また、拡散された広いところに、下水道とか、市道とか、そういうものを──これは都市施設と言いますけども──都市施設をつくらなきゃいけないと。これは市の義務なんですが。それをやっとると維持費と整備費がえらいかかって、市の財政がむちゃくちゃになるというように当然なるわけであります。
 さらに、外縁部で車で生活をしていた方がうんと年をとって、それで車に乗れなくなったら急に生活が苦しくなる、そういうような懸念も、将来発生すると思います。
 ですから、都市の問題というのは、適切な都市計画で外縁部の発展をリーズナブルなところで抑えるということと、それから、中を再開発していくということが、多分、処方箋だと思います。このようなことは、まちの設計に係ることですから、実は権限的にもほとんど市役所の仕事であります。ただ、何十年にもわたって県も手をこまねいてきたというか、放置してきた責任は免れないというふうに思っております。
 したがって、ここでやっぱり和歌山市に働きかけて、それで、この和歌山市の再生をしていかないかんと。ついては、先ほど言いましたような処方箋なので、特に最近は、大分努力を私なりにしてきたつもりでございますけれども、なかなかうまくいってきませんでした。
 もう一度申し上げますと、和歌山市の再生のためには、都市の外縁部への拡大をこの辺でとめて、それで荒れた中心部の再開発を行って町なか居住を進めていくことが大事であるというふうに思っております。それには、やっぱり公共交通機関の存在というようなこともありますし、いろいろ行政機関とか、そういうこととの関係で、やっぱりある程度ターゲッティングしていく必要があると思います。そういう意味では、和歌山駅とか和歌山市駅、あるいはお城周辺、市役所周辺、あるいは県庁周辺と、そういうところが大事なところかなあと、とりあえず手をつけやすいところかなあというふうに思っております。
 こういうことについては、実は市役所に提案をしていこうということで、尾花市長が県土整備部長だったころに事務的にはいろいろ準備をしてきたところです。そういうことを担当してきた人ですから、尾花市長も十分御理解いただいてると思っております。
 その際に、町なか居住を推進するためには、その居住の直接の例えば住宅だけじゃなくて、おっしゃるように、医療施設とか、福祉施設とか、子育て支援施設とか、教育文化施設とかいった居住者が便利だと思うようなもの、あるいは居住者がそことの関与のもとで生活ができるようなもの、そういうものをだんだんと集約していくということが必要ではないかというふうに思います。
 そういうことも含めて、これからもいろいろ検討をさらに進め、かつ市役所とよく相談をして、県として必要なアドバイスをしたり応援をしたりしていきたい、そう思っております。
○議長(坂本 登君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事からお答えいただきましたので、最後に意見だけを述べさしていただいて一般質問を終わりたいと思いますが、この問題については、県土整備部長からも、ことしの2月議会だったんですが、都市再生の実現に向けて、みずからさまざまな構想を検討、提案し、和歌山市に強く働きかけると、それから関係事業者等の連携を密にしていきたいと、こういうふうに答えてもらっております。和歌山市についても、ようやくこういった受け入れ態勢というか、推進体制が着々とできているような状況でございますから、まさにこの下期以降、しっかりと県市協調しながら、まちづくりの構想、こういったものを検討していってほしいなあというふうに思いますので、より民間の事業者がこの周辺に投資して収益を上げられるというふうな、そういった土地の魅力というのもつけ加えながら市と連携をしていってほしいというふうに思います。
 和歌山市では、町なか再生の本気度を示すように、町なか再生を推進するために、部長級の都市専門監、こういったものを配置するといった方針も示されております。和歌山県としても待ち望んだ和歌山市の姿勢だと思いますので、これを機に県市連携をより密にしまして、和歌山市の都市再生に向けて一丸となって取り組んでもらうことを要望いたしまして、一般質問とさしていただきます。ありがとうございます。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時43分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(尾崎太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に基づき、一般質問に入らせていただきます。
 まず、土砂災害対策と洪水対策についての質問です。
 先月の広島県における大規模な土砂災害には、全国が大きな衝撃を受けました。被災者、御家族、関係者の皆様に、心から哀悼の意とお見舞いを申し上げるものです。
 和歌山県は、3年前の紀伊半島大水害でも大きな洪水と土砂災害を経験し、災害からの復旧、復興とともに防災対策に力を入れてまいりました。今回の土砂災害を教訓に、地方からもさらなる対応を求める要望が上げられ、政府も動き始めている様子です。
 また、一方の洪水対策の分野では、私の地元の有田川で、現在、河川整備計画を策定中です。これに呼応して、私どもは、住民目線で有田川を見詰め直そうと現地調査や学習会を重ね、そして有田川の流れそのものに加えて過去の災害の歴史、地質や地形、洪水対策への地元要望などを学び、交流してまいりました。その中で、河川の洪水対策と土砂災害対策は切っても切れない関係にあると痛感してきたところです。こうした問題意識のもと、以下、順次質問をさせていただきます。
 まず第1点目に、土砂災害警戒区域指定の状況と見通しについて伺います。
 先月の広島での土砂災害報道でも、土砂災害警戒区域の指定がなかなか進んでこなかったこと、こういうことが注目されています。また、調査や指定ができ上がるのにいつまでかかるのだろうかという声も出されています。
 本県においては、この土砂災害警戒区域指定に向けての基礎調査や地域指定の状況はいかがでしょうか。また、今後の進捗見通しはどうなのか。有田郡内での状況とあわせて、県土整備部長よりまず御答弁を願います。
○副議長(尾崎太郎君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山県における土砂災害危険箇所は1万8487カ所であり、平成26年8月末時点で6363カ所の調査が完了いたしました。このうち、土砂災害警戒区域として5636カ所が指定されており、全体の約30.5%となっております。また、特別警戒区域は3054カ所を指定しています。
 有田郡内の状況は、土砂災害危険箇所が1636カ所で、631カ所の調査が完了しています。このうち、土砂災害警戒区域が475カ所指定されており、全体の約29.0%となっております。また、特別警戒区域として430カ所が指定されております。
 土砂災害警戒区域の指定に関する予算は、平成26年度は5億9535万円であり、平成25年度より約76%増加させ、約1200カ所の調査を実施する予定です。そのうち、有田郡内では約170カ所の調査を実施する予定としています。
 今後も、土砂災害危険箇所に対する調査を推進するとともに、警戒区域等の早期指定に努めてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長の答弁では、県内約1万8500カ所という危険箇所のうち、調査や警戒区域指定が約3割強のところまで来ている等の具体的な数字も示されました。
 いつまでに完了というお答えはありませんでしたが、ことしは予算が前年度比で約8割増ということですから、今後一層スピードアップを図りながら住民の避難計画や情報提供につながるよう、しっかりと対策を進めていただきたいと要望しておきます。
 それでは次に、こうした土砂災害を防止する取り組み、砂防事業の予算についてお伺いをいたします。
 災害防止対策予算の充実は、県民にとって今日的で切実な願いとなっています。私は、今回の質問に当たり、この間の県予算における砂防事業費を当初予算ベースで調べてみました。配付資料の1がそのグラフとなっております。
 左側が、比較的規模の大きい国の補助事業が中心の予算額、そして右側が、この国基準の規模に満たない比較的小規模な工事が中心の県単独事業の予算額のグラフです。国の補助事業のグラフを見ても、県の単独事業のグラフを見ても、この砂防事業の予算というのは、国の三位一体改革で地方交付税が削られて予算ががくんと落ちたそのときから、災害復旧などの変動要因を除きますと抑えられたままとなっていることが見られるというふうに思います。
 このことについて、どんなふうに県としてお考えになりますか。限られた予算内でということでしょうが、県民、市町村からの要望に十分応えられているのでしょうか。この点、県土整備部長より御答弁を願います。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 砂防関係事業予算については、国や県の厳しい財政事情もあり、平成12年度の約90億円をピークに、平成26年度は約43億円と、約52%の減となっております。
 土砂災害防止対策に関しましては、砂防ダムの整備などのハード対策と土砂災害警戒情報の提供など住民の避難行動につなげるソフト対策を総合的に実施していく必要があると考えております。
 今後も、引き続き、県民や市町村からの要望を踏まえて必要な予算を確保し、ハード・ソフト両面から土砂災害防止対策を進めてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長から御答弁いただきましたように、和歌山県の砂防事業予算は、国補助事業分でもピーク時の約半分、県単独事業分に至っては5分の1のレベルであり、なおかつ低値安定という状況だと言えると思います。地域でお聞きする要望から見れば、これで十分ということではないと思います。山間部や中山間地の多い我が県にとっては、地域や集落を持続させるのに不可欠な身近な災害対策として、しっかりと事業化を図っていただくよう要望をしておきます。
 続きまして、3点目、今度は河川の洪水対策との関係で、この質問に移らせていただきます。
 まず、このたびの有田川の現地調査等を通じまして、河川の洪水対策は森林整備や土砂対策と切っても切れない関係にあるとの思いを強くした幾つかの点について、御紹介をしたいと思います。
 資料2をごらんください。有田川に支流が合流する有田川町糸野地区の地図となっております。有田川の本流は、図の右下からこの左上へと下流方面に向かって流れています。これに対して、図の右の側から支流、これは国道424号線の走る五西月の谷から早月谷川が合流しています。本川に合流する手前で、図の上の方向から支流、これは県道海南金屋線の走る六川の谷から流れ込む玉川が合流しています。有田川本流に目を移していただきますと、合流地点の下流側右岸には大きな砂州が三角形に発達をして、河道を狭くしてせり上げています。河川整備計画素案では、ここを引き堤にして河床掘削をして川幅を広げる計画が検討をされています。
 私たちがこの現地を調査して注目したのは、この早月谷川が真っすぐに有田川に合流せずに一度北側へと逆に大きく曲がって、玉川と合流した後に有田川へと流れる奇妙な形をしているということなんですね。この曲がり方は、単なる蛇行というんではなくて、早月谷川や付近の山腹から、一旦川をせきとめるぐらいの大量の土砂が流入をし、それによって大きく流れを変えた過去の災害の痕跡とも考えられます。
 この早月谷川は、有田川の支流としては最大の流域面積を持つ川であるとともに、流域に多くの地すべり地帯を抱えている支流です。ここにはミカブ破砕帯という九州から関東まで続く大きな破砕帯が3キロメートル幅でずうっと東西に通っています。有田川の洪水対策を考えるとき、本川の流れだけにとどまらず、この支流からの土砂流入に大きな注意を払う必要があると感じました。
 次は、上流部です。資料3は、昭和28年水害における有田川上流部、旧花園村や旧清水町安諦地区での山腹崩壊の状況を記録した図です。山という山、谷という谷で大小さまざまな山腹崩壊が起こったことがよくわかると思います。梅雨の終わりの豪雨による雨水とともに土砂と流木が沢や谷を塞ぎ、土石流となって勢いよく出てくる。下流部では、土砂が河床を上昇させ、流木や流出家屋の木材で橋がせきとめられて水位を上げて堤防が決壊する。こうしたせきとめと一気に始まる流出を繰り返して、いわば雪だるま式に洪水が威力を増していったというふうに思います。豪雨による降水量も大きかったわけですが、地形的要因がその威力を大幅に増幅をさせた大洪水であったというふうに思うわけです。
 また、後ほど詳しく述べますが、二川ダムのダム湖右岸は、ミカブ破砕帯が再び有田川へと接近する地点です。ここで大きな地すべりを起こしてダム湖に突入すれば、大変な災害をもたらす危険があります。
 このように、有田川流域の地形や地質、そして有田川の災害の歴史から見ても、洪水対策を考える上では、川という細い線上の視野で水のことだけ考えるんじゃなくて、土砂流入、土砂災害という土砂のことも視野に入れて、洪水対策の事業計画や住民への情報提供、啓発を進めるべきだと考えます。
 現在、有田川河川整備計画が策定中でありますが、堤防の中の水をあふれないようにコントロールするだけにとどまることなく、土砂の流入に対する対策をしっかりと位置づけて、目的意識的に取り組みを進めるべきではないでしょうか。県土整備部長の御答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 有田川水系河川整備計画につきましては、これまで平成25年7月と11月に有田川を考える会を開催し、関係住民の御意見を伺うとともに、平成26年3月には和歌山県河川整備審議会河川整備計画部会を開催し、素案を公表した上で学識経験者の御意見を伺ったところです。
 本素案の中で、河川の整備の実施に関する事項として、土砂堆積等によって川の流れが阻害されないか点検した結果、治水上問題があると判断した場合には、河床掘削等による流下阻害対策を行い、洪水や高潮時に河川の疎通機能を十分に発揮できるよう河道断面の維持に努める、流域の森林が適正に保全されるよう関係自治体、住民を初めとする多様な主体が行う森林保全に向けた取り組み等と連携を図るなど、位置づけられているところです。
 今後、パブリックコメントを行い、住民の皆様に広く御意見を伺うとともに、関係市・町から御意見を伺うなどの必要なプロセスを経て有田川水系河川整備計画を早期に策定し、計画的な河川整備に努めたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 土砂対策についても位置づけているという答弁でした。
 具体的な改良事業などは下流の築堤区間となりますけれども、土砂対策は上流まで全流域を対象に位置づけられているわけですから、これを機にさらに対策に力を入れるよう要望をしておきます。
 次に4つ目の項目ですが、特に二川ダムサイトの地すべり地帯への対応について、もう少し突っ込んで質問をさせていただきます。
 先ほど、ダムサイト右岸の山腹はミカブ破砕帯が通る大きな地すべり地帯となっているというふうに申し上げました。
 資料4をごらんください。パネルも用意しましたが、資料4は県の土砂災害マップで、二川ダム湖の周辺をパソコンで表示をさせたものです。(パネルを示す)
 図の左下に、ちょっと見えにくいですが、ダム本体があります。そして、この右のほうに、上に向かってこの上流が伸びているわけです。ごらんのように、ダム湖右岸、この斜面は、茶色い縁取りの地すべり防止区域が大きく広がり、そしてこの中には土石流や急傾斜、地すべりの警戒区域、特別警戒区域が各所に点在をしています。もう真っ赤っか、真っ茶っ茶の状態であることがおわかりになるというふうに思います。
 ここで御注意いただきたいのは、こうした危険区域や警戒区域の指定箇所は、そこに民家があって避難計画とか対策事業の必要があるから指定されているわけで、ダムサイトの国道沿いなど人家のないところは、たとえ危険なところであっても指定外ということになっているところもあるわけです。過去に地すべりを起こした土塊、土砂の大きな山のような塊が、足元をダム湖に突っ込んでいることが想像されます。記録的な豪雨や地震により、この地すべりの土塊がダム湖に滑り落ちることとなれば、まさにイタリアのバイオントダムのように、ダム津波によって下流に大きな災害をもたらすことになると思います。
 二川ダムサイトのこの地すべり斜面のように、ダム湖や、そして緊急輸送路、こういったものに重大な被害や影響を与えかねない箇所については、人家のあるなしにかかわらず、今後しっかりと再点検、監視を行っていくべきではないでしょうか。県土整備部長の答弁を求めます。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 二川ダムを初め県管理ダムにおいては、貯水池周辺の崩壊、測量ぐい並びに用地境界ぐい、その他の標示の移動等については、毎週1回、巡視を行い、異常を認めたときには速やかに処置することとしております。
 また、緊急輸送道路を含む県管理道路においては、路面、路肩、のり面及び構造物の状況等を月1回以上の頻度で点検し、異常を発見した場合は速やかに必要な措置を講ずることとしております。
 今後も、ダムや緊急輸送道路を初め、県民生活に必要不可欠な社会資本については、必要な点検やパトロールを実施してまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。「点検はすることになっております」と言いますが、これまでの延長線上の遠くの車の中から目視による点検をしましたと、こういったことではだめだと思うんですね。また、「異常を発見したら速やかに対策をする」と、こんなふうにおっしゃいましたけども、何か起こってからでないと動けないと、これではだめだというふうに私は申し上げています。
 県土整備部長に再質問をさせていただきます。
 この斜面全体として、従来の延長線上でなくて、目的意識を持った分析、監視をする、そういう視点が必要だというふうに感じないかということです。
 いざ災害が起こってしまえば、それに対する措置は、砂防のセクションも道路のセクションも森林のセクションも、それぞれ調整しながら事業を動かせる、そういうルールができてます。大変有能です。しかし、災害が起こる前に目をつけて、そして対策が必要かどうか考えるというのは、実はこの県という組織は縦割りというか、それぞれが専門的過ぎて、どうにも不得手なんですね。
 先ほども触れましたが、ほぼこの斜面全体が気をつけるべき地域ですけども、あそこが危ない、ここが危ないというところはピンポイントでしか実際歩いての調査をされてないわけですから、この大きな山のような土の塊を見るというところにはまだ目がいってないわけですね。
 豪雨災害や南海トラフ地震、こうした大規模災害への備えもあるでしょう。今後注目すべき地形的ポイント、ダムの現場や市町村住民がどこに気をつけるべきかをやっぱり探ってほしいと思うんですね。
 この土砂災害マップの状況を見て、これまで以上のことを検討する必要性を感じませんか。再度答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 議員から御指摘もありましたように、笹子トンネルの崩落事故以降、我が国の社会資本の老朽化問題は非常に喫緊の課題になっております。これまでは、今御指摘のありましたように、物事、事件とか事故が起きてから対策をするという事後保全の考え方でしたが、これからは予防保全という考え方を取り入れて社会資本の管理をしていかなければならないと、このように考えております。
 しかしながら、橋梁とかトンネルのように、人工物はこういった予防保全の考え方が大分でき上がってきましたが、のり面とか今おっしゃったような山塊とかという自然物に対しては、なかなかこれまでの知見も蓄積もまだまだ不十分なところもあり、国でもこれから長寿命化に関する施策を講じていくと、こういった状況になっていると考えております。
 和歌山県におきましても、こうした動向も踏まえ、また、こういった危険箇所も多くありますので、県土整備部技術職員も一緒に研究をして対策が講じれるよう努めてまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 今後、やっぱり研究していく課題だという御答弁だったと思います。私は、積極的に受けとめました。
 私が今回提案をさせていただいたような問題点、こういう問題点を行政と地域の住民が一緒になって問題意識を持って当たると、日ごろの防災意識やそういうものを高めていくということになれば、本当にすばらしい成果が発揮できるというふうに思うんですね。
 住民の皆さんに、気づいた小さな異常でも知らせてもらうというようなことを、地域と連携を密にしてすれば、住民からの通報というのは本当に頼りだと思います。これは、高性能な地元密着型のアンテナであり、センサーだというふうに思うんですね。私は、研究者も入ってもらってぜひ調査をするよう検討を要望したいというふうに思います。
 そしてまた、きょうは二川ダムサイトを取り上げましたけれども、県内の県営ダム、発電事業者のダム、それぞれに課題があると思います。ぜひこの機会に、県としての対応を検討されるよう要望をさせていただきます。
 それでは、これまでの議論を踏まえまして、5つ目の質問に移るわけです。
 去る7月に那智勝浦町で開催をされた「大規模土砂災害対策研究機構」設立シンポジウムでは、土砂災害のメカニズムや防災対策研究の一端が紹介をされ、私も興味深く聞かせてもらいました。
 航空機からのレーザー測定によって山の地形データをとれば、樹木に左右されずにより正確な地形をはかることができ、地すべり地形の発見や崩壊危険箇所のモニタリングに活用できるというようなことも報告されていました。先ほどから議論になった地すべり地帯の判読とか指定とかいうのは、現在、県がやっているのは航空写真判定しかやっていないわけで、地形データで見れば抜けていたところも見えてくるはずです。
 今後、さらに新しい視点や知見、データなども生かして、土砂災害の危険箇所についても、新たな危険箇所の発見、指定をすることや、適切な住民避難、災害防止のために要注意、要監視箇所というのを分析し、対策を検討していくことが求められると私は感じています。
 国と共同設置したこの研究機構とも連携と共同を深め、集中豪雨など今日的な気象条件や、最新のデータや知見を踏まえた監視、情報提供、防災対策などを和歌山県として先駆的に進めていくべきではないでしょうか。知事の御答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大規模土砂災害対策研究機構は、紀伊半島大水害を教訓といたしまして、大規模な土砂災害をいかに避けるのかといった大きな課題を解決するために、国土交通省が中心となって設立したものでございます。
 本機構には、本年4月に設置されました国土交通省の大規模土砂災害対策技術センター、これを核といたしまして、県、那智勝浦町のほかに、地元和歌山大学、三重大学、京都大学、北海道大学などの研究機関が参画をしております。
 県も、これを支援せにゃいかんということで、土砂災害啓発センターというのを建物を伴ってつくりまして、それで啓発をやるとともに、この中にこの技術センターと研究機構に入っていただくというふうにアレンジをしたところでございます。
 県としては、我が国では先駆けとなる国、県、町、研究機関が一体となった研究、技術開発、啓発活動を率先して取り組むことにより、和歌山県の防災対策が一層推進され、また、全国各地で頻発する土砂災害対策にも必ずや役立つものと期待しております。
 また同時に、職員もかなりの数、ここに投入することにしておりまして、直接的な研究成果を上げるということだけではなくて、将来、防災対策などに携わるときに、たくさんの知見を身につけて帰ってきてもらうというようなことも考えておる次第でございます。
○副議長(尾崎太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事からは、国とも、市町村などとも連携しながら対策を進めていく旨の御答弁をいただきました。
 和歌山県は、中山間地、急峻な地形の多い県です。それがまた豊かな自然環境と人間がうまく折り合いをつけて暮らしてきた、そういう歴史を持つ県であるということが言えると思います。
 県民の身近で切実な要望である土砂災害対策や洪水対策に一層力を入れて取り組まれるよう要望して、次の質問へと移らせていただきます。
 2つ目は、学力テストについてです。
 全国学力テストの結果発表を受け、県教育委員会としてどのような受けとめをし、今後どのような対応をしていくのかということが今議会において多くの議員から質問がされ、教育委員会の答弁がありました。私からも、学力テストについて教育長にお伺いをしたいと思います。
 学力ということで言えば、どの子にも確かな学力をつけたい、他人の痛みのわかる優しい心、そして体も心もたくましく育ってほしい、こういう願いは全ての親の願いであり、教育に携わる関係者の願いでもあります。
 本来の学力対策は、一人一人の子供の実態からスタートをし、わかる喜びを重ねながら、確かで、そして豊かな学力をつけていくものです。学校教育では、わかる授業を何よりも大切にし、助け合い、励まし合って伸びていく仲間づくりも重要となります。そして、教育行政の条件整備としては、対症療法的な指導ではなく、厚みのある学力対策への支援が求められているというふうに思うのです。
 今回の発表でその順位や正答率が注目されている学力テストですが、これは、そもそも学力をつけるための課題を探る状況調査という性格を持ったものです。ところが、このテスト結果に右往左往し、学力テストの点数アップと順位アップという結果を追うことが目標となったり、小手先の取り組みに熱を上げるようなことになれば、本来の学力をつけるという取り組みから考えても、目的と手段がひっくり返って本末転倒だというふうに思います。
 教育行政が果たすべき条件整備という点では、昨日の本会議でも図書館司書の配置の問題が取り上げられました。小さいころから本に本当になれ親しむというのは、大切な力を育てる大事なことだというふうに思っております。
 教育長からは、きのうは、現在5市町で配置が始まったと、大変控え目な御答弁がございましたが、学校図書館担当職員の配置状況を調査した文科省の昨年の資料では、公立小学校への配置全国平均が47.9%であるのに対し、和歌山県は全国ただ1つのゼロ%、そして、中学校の全国平均が47.6%であるのに対し、これも全国ただ1つのゼロ%だったわけですね。今回、5市町合わせて45校での配置が始まったと伺いましたが、計算してみると、和歌山県の配置率としては、小学校で13%、中学校で約10%というレベルですから、全国平均の約5割という水準から見れば、まだまだ大きく立ちおくれてるという状況です。市町村と協力して配置を進めたいと、こういう御答弁でしたが、ぜひこうした面でこそ教育行政としての役割をしっかりと発揮していただきたいと、強く要望をするものであります。
 また一方で、このいわゆる学テ先進県や順位急上昇県などにおけるテスト対策のゆがみというものも指摘、報道されています。これに私は心を痛めています。
 学力テストが行われる4月末に向けて、さまざまなテスト対策が行われているという報告がありました。テストに向けて学校行事のスリム化が方針として出され、3学期にやっていた音楽会を年内に済ませるとか、4月に予定していた家庭訪問を夏休みに後回しにする、こういうこともあったようです。
 春休みには課題、宿題をたくさん出して、新学期に入った途端に過去問などのプリント漬け、直前になれば朝の読書時間とか、果ては授業時間内にも過去問を徹底してやらせたところもあるように聞いています。こうした類似問題を反復的に解く過去問対策で身についた学力というのは、本当の学力とは言えません。
 こうした学テ優先のテスト対策に熱を上げることになれば、そのゆがみやひずみは、結局、子供たちに降りかかってくることになると私は考えます。
 教育長は、答弁の中で、学力テストで好結果を出している他県の効果的な方策を学んで具体策の実践を指導していくと議会で表明をされていますが、小手先のテスト対策にならないよう十分に留意するとともに、子供がおろそかになるようなことは厳に慎むべきだと私は考えます。
 全国学力テストの結果発表を受けての対応、並びに過度な反応による学テ対策偏重は慎むべきではないかという点について、2点合わせて教育長より御答弁願います。
○副議長(尾崎太郎君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 全国学力テストの結果発表を受けての対応等につきまして、お答えをします。
 今回の全国学力・学習状況調査の結果というのを大変厳しく受けとめておりまして、直ちに教育委員会内に学力向上対策本部を立ち上げ、結果分析とこれまでの学力向上対策の検証に取り組み、より効果的な方策について検討を開始したところでございます。
 対策本部では、県内外の学力向上で成果を上げている学校の情報収集を行うとともに、課題のある学校などに指導主事等を派遣し、学校の現状に対し、適切な指導、助言をしてまいりたいと考えております。また、家庭や地域にも働きかけ、土曜学習の取り組みや家庭での学習習慣の確立を図ってまいります。
 全国学力・学習状況調査は、これからの社会をたくましく生き抜く上で必要な学力をはかるもので、基礎的な知識を問うだけでなく、子供たちが実生活において課題を解決する力が身についているかどうかを把握するものでございます。
 子供たちにしっかりとした学力を身につけさせ、子供たちが心豊かに自信を持って生きていく力を育むためにも、県内全ての学校で課題を把握し、指導方法の改善に努め、学力向上対策を講じることは必要なことと考えております。今後とも、県民から信頼を得られるような成果が出せる教育の実現に向けて、市町村教育委員会とこれまで以上に協力して、学力向上に向け積極的に取り組んでまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 教育長から御答弁をいただきました。私が懸念しているようなことには、直接的にはお触れになりませんでしたけれども、教育委員会の考え方をお示しいただいたというふうに思います。
 私は、子供たちと学校、そして家庭が膝を交え、本当の学力って何だろう、こんなふうに話し合えること、そして学習に課題を持つ子供に対してじっくりと教師が向き合える、そんな学校づくりを目指して和歌山県の教育が進んでいくことを願ってやみません。
 日本の教育が学テ依存体質の学力観から卒業していくべきだとの提起もされてます。今後とも、この学力テスト問題は、しっかりとチェックしながら追いかけていきたいというふうに思います。
 次の最後の質問の柱に移らせていただきます。
 コスモパーク加太用地の活用と県民負担についてであります。
 今議会には、コスモパーク加太用地を県消防学校用地として売買する関係議案が提案されています。
 私たちは、これまでもコスモパーク加太の債務返済スキームについては、関西空港土取り事業の失敗のツケを先送りをして最後は県民に回すものだと批判をしてまいりました。
 関西空港建設のための土取り事業では、438億円もの赤字を出して返済不能となりました。これを30年かけて返済するスキームを立て、借地料を毎年払い、オリックスの債権譲渡などを経て、ことし2月議会では、借入金残高は352億円、そのうち根抵当権は95億円、県の債務保証は231億円と報告をされています。
 コスモパーク加太用地の売買としては、特定調停後11年たって初めてのケースとなるわけで、この売買により債務返済スキームがどう進むのかを企画部長にお尋ねします。
 今回の売買価格は、返済スキーム策定時の土地評価と比べていかがですか。また、今回の売買によって借入金返済がどう進み、県の債務保証など後の県民負担の軽減にどう反映されるのか。御答弁を願います。
○副議長(尾崎太郎君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 消防学校予定地につきましては、平成15年の調停に代わる決定当時は平米単価1万2900円でございましたが、今回の売却に当たりまして土地の造成を行いました。この結果、今議会上程の売買価格は平米単価1万3000円となっております。
 土地代金の総額は約5億9400万円で、用地造成費等必要経費を差し引いた約4億5800万円のうち、収益弁済として約2億7500万円、根抵当分として約1億8300万円を返済することとなっております。
 この結果、当初の返済スキームよりも早期に返済できることとなり、今後、県民負担の軽減につながるとともに土地開発公社が支払うべき利息も軽減されますので、公社の経営改善にも寄与するものと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
 売買価格は平米単価1万3000円で、返済スキームを策定した価格と大差ないように聞こえましたが、お答えになったように、土地の造成費用を入れて1万3000円と。この造成前の鑑定価格は1万2900円ですから、2割ほど割り引いて考える必要があります。
 いずれにせよ、この11年の間に土地の値打ちは残念ながらさらに下がってきているということは明らかだと思います。また、今回の売買したお金が、収益弁済分と、それから銀行の根抵当分に返済が充てられるということですが、県民の将来負担である債務保証の額までは変わらないということだと思います。
 仮に、今回のこの売買単価で残りの土地が1つ残らず全部売れたと仮定をしても、約100億円の銀行根抵当分程度にしかならず、県の債務負担分は県民へのツケとして払わなくてはならなくなる計算です。大変厳しい状況には変わりないということだと思います。
 こうした状況を受けて、最後に知事に質問をさせていただきます。
 コスモパーク加太用地の今後の方向性についてです。
 コスモパーク加太用地の活用については、現在、どのような引き合いがあり、今後、どのような方向性で利活用を進めていくお考えでしょうか。また、将来の県民負担を軽減するための方法については、返済スキームの見直し等も含め検討する考えはおありかどうか。知事の御答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) コスモパーク加太については、企業誘致用地、公共施設用地、防災対策用地としての利活用に向け取り組んでおります。
 現在、企業誘致用地として加太菜園、メガソーラー発電所が稼働中でございまして、引き合いがあればどんどん行きたいと思います。それから、公共施設用地としては、今後、県消防学校の建設を予定しており、そのための用地取得議案を今議会に上程しているところでございます。また、防災対策用地といたしましては、既にヘリポートを整備しておりまして、県の広域防災拠点、これの第1番目、第1広域防災拠点として、緊急時のヘリの発着とともに災害時の活用のための各種防災訓練等に利活用しているわけでございます。
 コスモパーク加太をどういうふうに扱うかという点については、新行財政改革推進プランに対応を示しております。というよりも、県民に隠すところなく対応を公開しているというところでございます。したがいまして、これに沿って調停に代わる決定の返済スキームについては今後も確実に実行していきながら、大規模用地が確保できること、自然災害に強いこと、京奈和自動車道や第二阪和国道など今後のアクセス面の向上などをアピールいたしまして、より一層企業への働きかけをして早期売却に努力していく所存でございます。
○副議長(尾崎太郎君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事から御答弁いただきました。
 現在の返済スキームについては、確実に実行しながら土地の早期売却を進めていくという旨の御答弁だったと思います。
 私たちは、この返済スキーム自体が、銀行がほとんど損をかぶることなく押しつけられたものだと批判をしてまいりました。知事は、この決定と返済スキームについて、当時はほかに解はなかったと述べられておりますけれども、約10年経過してこの状況という中、県民の将来負担軽減のため、この返済スキームを見直していくという姿勢を示されなかったことは大変残念であります。
 失敗のツケである将来負担を軽減するために今後とも議会でしっかりとチェックしてまいりたいということを申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(尾崎太郎君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時46分散会

このページの先頭へ