平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


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  午後1時0分再開
○副議長(尾崎太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、4つの項目について質問をいたします。
 まず最初に、子供の医療費無料化の拡充について、知事にお尋ねいたします。
 昨年の6月、子どもの貧困対策の推進に関する法律が制定され、ことしの1月に施行されました。この法律の目的は、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子供が健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子供の貧困対策を総合的に推進するというものです。
 貧困層の子供が非貧困層の子供より入院やぜんそくで通院する割合が高くなっていることが、国立社会保障・人口問題研究所の分析で明らかになりました。分析した研究者は、「日本においても、親の所得によって子供の健康に格差が生まれていることが確認された」と述べ、貧困層のほうが入院の発生率が高い背景について、貧困層は通院が困難な環境にあると指摘し、「例えば母子家庭では、母親が仕事を休むと減収になるので、売薬を与えて済まさざるを得ない状況が生まれていること。子供をケアする経済的、時間的余裕がなく、子供の病気が悪化する要因となっていると考えられる」と述べられています。
 こうした状況から、子供の健全育成のためには貧困対策が極めて重要になっていますが、同時に、経済的に大変な家庭でも子供が必要な医療を受けられるよう、せめてその部分を援助することが求められているのではないでしょうか。
 現在、県下30市町村のうち1町を除く全ての市町村で、県制度を超えて助成が拡充されています。市長会、町村会からも、来年度の県予算編成等に関する要望書には、乳幼児等医療費助成制度の対象年齢を小学校卒業まで拡充するよう要望されています。
 都道府県段階では、福島県が高校卒業まで、中学校卒業までは、群馬、東京、静岡、鳥取、小学校卒業までは、兵庫、京都、三重、徳島、栃木、秋田の6府県、小学校3年までは、茨城、千葉、福井の3県と広がってきました。県においても、ぜひ乳幼児からさらに対象を広げ、子育ての支援を強めていただきたいと思いますが、知事の御答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 少子化が進行する中、子育て家庭への総合的な支援は、重要な課題であると認識しております。
 乳幼児医療費助成につきましては、乳幼児の健康保持増進及び子育て世代の経済的負担の軽減を図るため、乳幼児医療費を支給する市町村に対して補助を実施しております。就学前の乳幼児を対象としているのは、病気にかかりやすく、病気にかかった場合に重症化しやすいために、早期に医療機関で受診してもらえるよう、自己負担分を無料にしたものでございます。
 近年、市町村が対象年齢を拡充していることは認識しておりまして、また、そうしていない市町村もあり、やり方もばらばらであります。その面で手当てが手厚くない、そういう市町村は、別のやり方で支援を手厚くしておるということで、まさに地方分権、地方主権のあらわれであると思います。
 議員御発言の助成対象の拡充については、ベースになる部分、先ほど言いましたように、どんなときでももう必ずすぐに医療手当てをしてもらいたいと県が思ってる部分は県が下支えをし、上乗せの部分については、それぞれの必要性でそれぞれの趣旨を考えて、それぞれの地域の実情に応じ、施策の特色を出すために実施しているものでございます。県として、市町村において差があるものを全部そろえなきゃいけない、そういうものではないのではないかというふうに考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、御答弁いただきました。
 各市町村では、総合的に施策を進めて、人口減少に対応したり、子育て世代への支援を図ってるということで言われましたが、再度お尋ねします。この市長会や町村会、そこでやはりこういった県への要望が上がってきているというのをどのようにお受けとめでしょうか。再度、御質問させていただきます。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) もとより、県も、子育て支援施策を充実していきたいという思いはございます。市町村から、もういろいろばらばらだから、いろいろ選挙民なんかに、自分とこはよそに比べると手厚くないと言うんで、もう県で全部やってくれというようなことを結構言われているということはよく認識しております。議員御指摘のように、市長会とか町村会でもそういう議論があることはわかっております。
 そのときに私が申し上げておりますのは、やっぱり先ほど申し上げましたように、県は一律、そういうことは絶対必要だというところはちゃんとやるけれども、それぞれの市町村民とのコンセンサスでそれぞれがやってるところ、これは、一部は高いが一部は低いというのがあるんですね。そういうところを全部高いところに合わせ、かつ県がそれを肩がわりしてくださいというのはやっぱりどうでしょうかねというようなことを、私はいつも申し上げてるわけです。
 県民の立場、あるいは当該市町村の立場からすれば、市町村民の立場からすれば、市町村の負担が県の負担になるということなもんですから市町村にとってはいいことかもしれませんけれども、県民、市町村民からすれば、それは選択の問題ではないかというふうに思うわけでございます。
○副議長(尾崎太郎君) 議場の品位を保つため、携帯電話の電源はお切りいただきますようお願いを申し上げます。
 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、知事のほうから御答弁いただいたことで、私は市町村や町村会からというのは、選挙民というようなことで──ここのまちはやってるけど、こっちのまちはなかなかそういってないと、そういうことで言われてるんではないかというようなことを言われたことに対しては、私は、やっぱり住民の皆さんの切実な意見だと思うんです。それを町村や市長会を通して上げられてるということでは、本当に真剣に県としても受けとめていただきたいなあというふうに思うんです。
 以前、この議会で、23年の12月に他の議員が子供の医療費の拡充を求めたときがあったんですが、そのとき、県として必要性等を検討していくということで、答弁の中であったんですよ。それで、そのときは財政状況が非常に難しいと。拡充していくのは難しいとか、今後も財政状況を考慮しつつ引き続き検討していくということで、議員への措置状況という、そこに載せられてるんですけど、その後、本当に検討をしていただけたのか、そういったところをぜひお聞きしたいんです。
 せんだって、国民要求実現和歌山県大運動実行委員会ということで、いろんな要求を掲げて県当局と交渉するという機会をつくってくださってて、その中で私も同席させてもらったときに、やはり子供の医療費は少なくとも義務教育終了まで無料にしてほしいという話があったんです。それに対して、やはり財政が大変厳しいんでということで言われていました。
 私は、知事にお伺いしたいんですけど、財政が厳しいからということなのか、それとも──それに対しては国に対して毎年、医療費負担の軽減について要望を行っていると言われてるんです。だから、財政が厳しいのか、財政ももちろんあるけれども、県の施策として子育て支援をしていく中で総合的に考えていく部分として、やはり今、市町村の要望を聞いてもっと上乗せしていくということになかなかならないというようなことを言われてるのか、そこの点、もうちょっと詳しく、よろしくお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) もちろん、財政は厳しいんです。厳しいんですけれども、もちろん財政は、収入がゼロではありませんので、何らかの支出を県議会の皆さんと相談をしてやっていくということになるわけです。その中で、子育て支援というのは大変重要な政策目標だということは変わりはないと思います。だけど、その中で何をやるか。その子育て支援ということに分類されたらもう何でもとにかく全部やっちゃうんだというわけにはいかんと思うんですね。
 したがって、県としては、県全体を見たときに、例えば市町村が消極的でも、やってもらわないといけないというふうにもう考えてることについては積極的に乗り出し、それで残りの部分は、その市町村のそれぞれの政策のバランス、そういうものに任せてもいいんじゃないかと、そんなふうに思っているわけです。
 無尽蔵に予算があるならば、それはもちろんやればいいというふうに思いますが、そうでない限りにおいては、今のような配慮をして、それで何が必要か、県としてはこれだけはやらなきゃいけない、あとはお任せして、市町村の肩がわりみたいなことをやる必要はないんじゃないか、あるいはあるか、そういうことを常に検討をしているということでございます。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 県との交渉の中でお母さんが子供に熱が少しぐらいあってももう我慢させてるというようなことを言われたり、3人っこ施策で3人目の保育料無料とか、そういったところは、子育て支援の中で皆さんにとっても大変いいことだなあと思うんですけど、やっぱり3人目とかいうことになると、非常にいろいろと経費が要ったり、そういったお医者さんにかかりたいときでも我慢させてしまうというようなことが言われてます。そういう子供の命にかかわることをやはり未然に防いでいくということで、こういう施策をもっとやっていくべきではないかなあというふうに思うんです。
 今、いろいろとお話を聞く中で、特に問題が、もう歯医者さんになかなか──学校の中で健診がありますよね。健診があっても、その受診率が本当にどうなのかということになれば、半数以上になってるところというのも、──ちょっとばらばらだと思うんですけど、30%ぐらいとか、そんな状況もあったりして、なかなかそうならない。私の知り合いのある方が、子供さんが歯がもうぼろぼろになってると、そういった状況なんかも言われてるんです。それが、そういう子供の医療費が、負担があるからとかいうことで一概に言えるのかどうかも含めてですが、やはり受診するのに一定の費用がかかると、そういうようなことが大変負担になってるという声も聞いてます。
 また、私も御高齢の方とお会いする機会が多いんですけど、息子さんの事情で子供さん3人を育ててるという高齢の女性の方がいらっしゃったんですけど、もう年金と少しお仕事をして足してやってる中で、子供にはぼろぼろになってももう靴が買えないと。上着とか衣類とかは何とか都合をつけてということができるんですが、子供の体の成長に沿って靴がなかなか買えなくてということで、涙を流されて訴えてる方がいらっしゃるんですけど、そういった状況というのは、今、先ほど貧困の問題も言うたように、大変暮らしへの負担が多くなってる中で、やはり県として、命にかかわることを検討していこうというようなことを少しでも考えていただきたいなと思うんです。
 この間、答えていただいた、県として必要性等を検討していくとか言われた中で、本当に県民にとって、皆さんに要求を出させていただいても、それが検討されてどんなふうになってるのかというあたりもなかなかわからないんですが、その点で検討していただけたのか、そうでないのか、そこら辺もいかがでしょうか。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) そこに出ておりました者が、検討した、検討すると言ったことについては、私の発言でございますと、当件と同じでございますので、それはもう検討しなきゃいけないということでございます。
 和歌山県はどういう検討をしてるか。毎年毎年、新政策というプロセスがありまして、そこで、ことしはやっぱりどういう重点にしていこうじゃないか、この部分は欠けてるんではないか、この部分もお金があったらやりたいけどどうだろうか、そういうような政策の重みづけみたいなこと、あるいは新しい着想についての議論、そういうことをやってるわけでございます。したがって、常に、ほとんど毎日検討してると言ってもよろしいかと思います。
 また、奥村議員が、例えばきょうこういうような御質問になるというときも、どういうような経緯で我々は答えたらいいのかというようなこともまた検討して、それで私はここで答弁をしている次第でございます。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 とにかく、皆さん、子育てする中で医療費の負担があるということにぜひ心を寄せていただいて、引き続き検討をしていただきたいなと思うんです。
 最後、要望させていただきますが、知事から、やっぱり今の暮らしや子育てしている経済的負担が大変だということに共感していただけるのかどうか、そういった中でなぜそういう願いが出てるのかということをやっぱりしっかり聞いていただきたいなと思うんです。
 県の長期総合計画では、人口減少や急激な少子高齢化社会の進展に伴い、活力の低下が懸念される、これはもうほかの方も言われてるように、そういった状況の中で、子供を持ちたい人が安心して子供を育てることができる社会を実現することが重要だと思うんです。そういった中で、計画の中では、子育て環境ナンバーワンという和歌山を実現しますとしていますので、ナンバーワンと言うなら、和歌山の子供の医療費無料制度において県としてしっかり力を入れていく姿勢をぜひ示していただきたいなということを要望して、この質問は終わらせていただきます。
 引き続いて、2番目に子ども・子育て支援新制度について。2つ目は、子育て・保育の新制度について、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 来年4月から、子ども・子育て支援新制度──以下、「新制度」と申し上げます──が本格的に実施されます。新制度は、これまでの保育所、幼稚園の制度を大きく改変する改革であるにもかかわらず、保護者の皆さん初め県民の皆さんから、よくわからないと不安の声が聞かれます。中には、保育制度が変えられようとしていることを御存じない方もいらっしゃいます。
 現在の保育は、戦後の1947年に制定された学校教育法により、幼稚園は学校の一種とされ、3歳以上の幼児を保育するものとされました。同年、児童福祉法が制定され、保育所は児童福祉施設の一種とされ、乳児、幼児を保育するものとされました。児童福祉法は、保育に欠ける子供には市町村が保育の実施義務を負うことを定めました。
 共働き家庭やひとり親家庭がふえる中、保育に対する要求が拡大していますが、国は、保育所不足対策として、公的保育の拡充を進めるのではなく、民間活力の利用や規制緩和でそれに対応しようとしています。
 そこで、新制度とはどういったものなのか、何が変わるのか、財源の確保はどうなるのか、僻地保育所はどのようになるのか、保育料はどのようになるのか、保育士の働く環境の改善への取り組みはいかがですか、県の役割と市町村への支援はどういったものか、以上6点についてお尋ねをいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 子ども・子育て支援新制度につきましては、幼児期の学校教育や保育、地域の子育て支援の量の拡充や質の向上を進めていく制度であり、待機児童の解消や認定こども園制度の改善が図られるほか、子供が減少傾向にある地域でも、小規模な保育等を支援することができるようになります。
 新制度の実施には、消費税が10%に引き上げられた場合には毎年7000億円程度が充てられますが、量・質の向上には1兆円程度必要とされており、国において予算編成過程で確保に努めることとされております。
 県内の僻地保育所の状況ですが、21カ所あり、新制度では、小規模保育事業や地方裁量型認定こども園への移行が選択肢として考えられます。現在、市町村において、地域の実情を踏まえた施設形態の検討が行われているところです。
 次に、新制度における保育料につきましては、世帯の所得の状況等を勘案して定められますが、現行の保育料の水準をもとに国が定める基準を上限として実施主体である市町村が定めることとなっており、現在、各市町村において検討されているところです。
 また、保育士の働く環境の整備については、処遇の面では、現在実施されている職員の勤務年数に応じた給与加算へのさらなる上乗せが図られることとなっております。
 県としましては、新制度の実施主体である市町村が新制度の給付や事業を円滑に運営できるよう、情報提供や必要な助言、広域的な調整等を行ってまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 御答弁をいただきました。子ども・子育て支援新制度が、幼児期教育や保育などの量の拡充や質の向上を進めていく制度だという説明がありました。
 しかし、新制度の最大の特徴は、児童福祉法24条1項でこれまでどおり市町村の責任で保育するという施設・事業と、24条2項に位置づく保育所外の認定こども園、小規模保育など、基本的には利用者と事業者が直接契約し、保育料も事業者が徴収する、この2つが併存するという問題です。
 この直接契約では市町村は施設などをあっせんするとしていますが、あくまであっせんです。施設に対してあっせんしても、保護者の希望どおり入所できるのかどうか、また、障害があるなど特別に対応が必要な子供が入所を希望しても、直接契約でそれが保障されるのかどうか、希望がかなわなかった場合に市町村はどうするのかなど、市町村の保育の責任が後退するもとで、こうした問題が危惧されます。
 また、子供が減少傾向にある地域でも小規模な保育などを支援することができるようになるという説明もありました。これは、新制度で新たに導入される地域型保育の各事業類型のことですが、これは、定員規模が小さいことを理由に、保育所などに比べて保育者の資格要件の緩和などが国基準に盛り込まれ、その結果、施設、事業によって保育に格差が持ち込まれることになってしまいました。小規模保育のC型については、国基準で研修を修了すれば無資格者でも可などとしています。
 どんな施設、事業でも子供の保育を等しく保障するために、本来、全ての事業で保育者は保育士資格とするべきではないでしょうか。僻地保育所は、新制度でこの小規模保育事業や地方裁量型認定こども園への移行が考えられているということですが、現在は全て保育士が保育をしているという状況が後退する心配はないでしょうか。
 そこで、再質問いたします。
 まず、新制度そのものについての問題です。
 市町村に認定を申請することになりますが、この認定については申請からどの程度の期間で行われることになるのでしょうか。緊急に保育が必要になった場合は、どう対応されるのでしょうか。
 また、市町村が利用調整、あっせんすることになっていますが、希望に応えた保育所などへの入所が保障されるのでしょうか。保育所を希望したけれど、認定こども園のあっせんになるということはないのでしょうか。
 また、保育料は、現在、市町村が国基準より低く抑えており、全国的には国基準の73.6%です。この保育料が新制度で上がらないのかどうか、この点をお答えください。
 もう1つは、今議会に提案されている議案第133号、認定こども園の認定の要件に関する条例の一部を改正する条例案に関係することです。
 これは、これまでの幼保連携型認定こども園を新しい単一の施設とするこども園の認定基準を定めるものです。認定こども園には、3歳以上の教育時間4時間の子供──1号認定とされるものです──と、3歳以上で8時間ないし11時間の保育を必要とする子供──2号認定です──を一緒に教育、保育することになります。もちろん、3歳未満の8時間ないし11時間の保育を必要とする子供──3号認定──も保育をします。この4時間、8時間、11時間という子供たちを集団保育することは大変負担が大きく、この場合、国基準で学級定数が35人となっており、県条例もそのままとなっていますが、こうした子供たちを一緒に保育する学級が35人というのは多過ぎるのではないでしょうか。
 また、国基準では、1号認定の子供の食事提供は園の判断、2号認定の子供の食事は外部搬入を容認するとなっていますが、全ての子供に自園調理方式による給食を提供すべきではないでしょうか。この点について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 子ども・子育て支援新制度についての御質問で、認定についての期間等でございますが、支給認定に係る結果通知につきましては、子ども・子育て支援法で、申請日から30日以内に行うこと、また30日を超える場合には、処理見込み期間及びその理由を通知することとされております。なお、緊急に保育が必要になった場合には、支給認定を待たずに保育所等を利用できる扱いとなっております。
 希望する園への入所につきましては、保育所等を利用するに当たっては、市町村が申請者の希望や保育の必要性、施設の利用状況等に基づき調整し、施設に対して利用の要請を行い、施設としては受け入れすることが前提となっております。
 また、保育料につきましては、市町村が現行制度の保育料の水準をもとに現在検討されているところですが、最終的には、市町村の予算編成の過程を経て決定されることとなります。
 次に、認定こども園に係る条例案についてでございますが、1学級が35人以下の基準につきましては、国の基準を準用しております。
 一方、職員の配置につきましては、3歳の子供に対しておおむね20人につき1人、4歳から5歳の子供に対してはおおむね30人につき1人の職員が従事することとなっており、これは現行の認定こども園より高い基準であり、適切な人数と考えております。
 なお、在園時間の違う中での教育、保育については、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の中で配慮すべき事項として示されており、県としましては、要領に基づき、1日の生活リズムを整え、保育内容を工夫していけるよう、従事職員に対する研修等を行っていきたいと考えております。
 また、自園調理による給食の提供についてですが、幼保連携型認定こども園には、基本的に調理室を備えなければならないとしております。満3歳以上の園児に対する食事については、衛生面、栄養面等、業務上必要な体制及びアレルギー等への配慮がされていることなど、一定の条件を満たせば園外で調理し搬入することができるとしたものであり、問題はないと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁をいただきました。
 新制度が始まって、いろいろな施設、事業が複雑になるし、保育料もなかなかまだ決まっていないというようなことで、もう来年から実施されるという中では、本当に保護者の皆さんや県民の皆さんにとって混乱をしているのではないかなあと思います。
 そういうもとで、やはりいい保育を願うものなんですが、児童福祉法24条1項に基づく保育所──公立も私立も含めてですが、市町村の保育実施責任のもとでの保育所をもっと太く貫くことこそが私は大事ではないかと思います。さまざまな施設、事業の中でも保育の格差を持ち込まず、子供の権利を保障することこそ、この点から制度への対応を考えることが大事ではないでしょうか。
 また、条例案については国基準でよいという答弁でしたが、しかし、これは県条例で決められるわけで、幾つかの政令市などでは基準を上乗せした条例、例えば3歳児の1学級を20人以下とか25人以下とかと定めるところ、また食事の外部搬入は認めず自園調理とするというところがあります。こうした条例にすべきだと考えます。この条例については、また委員会の中でも議論をしていきたいと思いますので、この質問については要望にさせていただきます。
 次、3つ目は、地域包括ケアシステムの構築における高齢者向け住宅の確保についてお尋ねをいたします。
 地域包括ケアは、住まいを基本に、医療、介護、予防、生活支援サービスが切れ目なく提供される体制と定義をされています。住みなれた地域で最後まで暮らし続けたいという願いを実現するために、2025年まで中学校区を単位に整備する課題とされています。
 この地域包括ケア構想には、二面性があると考えています。自助や互助の考え方を基本に、脱施設・在宅偏重型のシステムとして設計されているのではないでしょうか。今、高齢化の進展、貧困、社会的孤立の広がりのもとで、地域の自助・互助の機能そのものが弱体化して、住みなれた地域で暮らし続けることそのものが困難になっています。医療、介護、社会保障の充実があってこそ、安心して住み続けることができるのではないでしょうか。
 そこで、先に県土整備部長にお尋ねをいたします。
 地域包括ケアシステムの中で、住まいの1つとしてサービスつき高齢者向け住宅が位置づけられていますが、それはどういったものでしょうか。入居すれば、月々、費用はどれくらい必要でしょうか。また、サービスつき高齢者向け住宅に入居できない所得の少ない方への対策について、どのように考えられているでしょうか。県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) サービスつき高齢者向け住宅は、床の段差解消や手すり設置など、バリアフリー構造を備え、安否確認や生活相談のサービスを提供する高齢者向けの民間賃貸住宅等で、一定の基準を満たすものが登録されており、県内には83施設、2100戸あります。
 費用については、民間事業者によって運営されるため各事業者によりさまざまですが、県内の登録施設では、家賃、共益費と必須のサービス費を含めて約3万円から12万円となっております。
 サービスつき高齢者向け住宅に入居できない所得の少ない方々については、公営住宅としてバリアフリー化されたものや高齢者に特化したシルバーハウジングがあり、低廉な家賃で入居が可能です。また、自宅をバリアフリー化するための住宅金融支援機構の融資制度もあり、入居される方々の事情に応じて選択できるようになっております。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、高齢者施策から見て、サービスつき高齢者向け住宅に入りたくても入れない場合、どのような支援があるでしょうか。介護保険制度改正で、要介護1・2の方の中で今後入所できなくなる人への対応をどのようにお考えでしょうか。福祉保健部長にお尋ねします。
○副議長(尾崎太郎君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 高齢者施設には、低所得の方が入所できる施設として、特別養護老人ホームのほかに、社会福祉法人等が運営する軽費老人ホームや、経済的理由及び環境上の理由により自宅での生活が困難な方が市町村を通じて入所できる措置施設の養護老人ホームがあります。
 議員御指摘の特別養護老人ホームの入所要件から外れる要介護1または2の方は、現在、入所者全体のうち1割未満であり、やむを得ない事情があれば特例的に入所が認められることから、影響はほとんどないものと考えております。
 また、今後、介護が必要なひとり暮らしや認知症の高齢者の増加が見込まれることから、県としましては、高齢者が引き続き安心して暮らせるよう、経済条件や個々の希望等に沿った高齢者施設等の計画的な整備を進めてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望をさせていただきます。
 高齢者施設を計画的に進めていくということで福祉保健部長が答えていただいたんですが、住まいというのは施設だけでなくて在宅も含めて、この地域包括ケアシステムの中で住まいをどうしていくかと考えた場合、先ほど県土整備部長が答えてくださった中で、シルバーハウジングとか公営住宅を高齢者の皆さんも利用できたりするように、今後、そういった面も含めて、やっぱり住まいを、安心して低い所得の場合でも入居できると、そういったことをぜひ施策の中で広げていただきたいと思います。
 ほかにも、地域包括ケアシステムは、住まいのことだけじゃなくて、やはりこれを市町村が中心にやっていくという中では、非常に心配するのが、いろんなサービス提供ができたりできなかったり、いろいろその市町村によって状況があると思うんです。例えば、訪問介護事業所というのはなかなか人手不足で大変だったり、経営の問題もあります。また、ずうっと議会でも問題になっておりました介護職員の待遇の問題も、再々問題になってきたところですが、そんな深刻な人手不足が横たわっている中で、このケアシステムが本当に機能していくのか、そういったところが非常に心配なところです。
 そういう中で、24時間の定期巡回サービスなんかが本当にやっていけるのかとか、そういう問題で、国の予算削減ありきの在宅化ということでなくて、住まいの確保のため、そういったサービスが十分提供できるためにも、市町村と一緒になってぜひ進めていって取り組んでいただきたいということで、最後に、絵に描いた餅にならんように、やっぱり終わることのないようにしていただきたいなということを要望して、この質問は終わらせていただきます。
 最後に、4点目です。生活困窮者の自立支援についてお尋ねします。
 2013年12月に生活困窮者自立支援法が成立しました。保護に至る手前の困窮者に就労支援を行い、生活保護からの脱却を促す仕組みです。厚労省は、「生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し、自立相談支援事業の実施、住居確保給付金の支給その他の支援を行うための所要の措置を講ずる」としています。
 生活保護からの追い出し、水際作戦にならないか、不安の大きいところです。県としてどのようにお考えでしょうか。福祉保健部長、御答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 生活困窮者自立支援法につきましては、生活困窮者に対し、生活保護に至る前の段階で自立支援策を強化し、自立相談支援や就労支援等を実施することで困窮状態からの早期脱却を図るものであり、平成27年4月1日から施行されることになっています。
 こうしたことから、県では、来年4月からの円滑な制度の施行に向けたモデル事業を実施するなど、体制整備を進めております。具体的には、各振興局に相談員を配置し、町村にお住まいの経済的にお困りの方への相談対応を行うとともに、就労支援が必要な方には、就労支援員がハローワークに同行するなど求職活動を支援しております。
 県としましては、町村や社会福祉協議会、民生委員等関係機関との連携を強化することで、生活困窮者の自立に向けた支援が確実かつ適正に実施されるよう取り組みたいと考えております。また、各市に対しては、制度の円滑な実施に向け、担当者会議等、さまざまな機会を通じて助言、指導を行っているところです。
 なお、生活が窮迫している方が相談窓口に来られた場合は、速やかに生活保護につなぐよう、また、その際は生活保護の申請権を確保するよう、保護の実施機関に指導を徹底しているところです。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 各振興局に相談員を設置するというようなことで、これを進めて取り組んでいかれるということですが、聞いたところ、その相談員が振興局で1名ずつで、また週4日で非正規の方というようなことになってるので、そういった点ではなかなか、本当にその方を中心に親身な相談をしていくということでは大変な仕事になっていくんじゃないかなあと思いますので、その点も今後、実際にする中でぜひとも考えていっていただきたいなというふうに思います。
 最後に、要望ですが、滋賀県の野洲市の資料で、こういう立場でやっていただけたら大変いいなあということで、御紹介を含めて要望させていただきます
 この生活困窮自立支援法の意義ということでは、生活保護に至っていない生活困窮者に対する第2のセーフティーネットを全国に拡充し、包括的な支援体制を創設するものと、野洲市の資料の中でありました。
 制度の目指す目標というのは、本人の内面から湧き起こる意欲や思いが主役となり、支援員がこれに寄り添って支援すること、本人の自己選択、自己決定を基本に、経済的自立のみならず、日常生活自立や社会生活の自立など、本人の状態に応じた自立を支援すること、生活困窮者の多くが自己肯定感、自尊感情を失っていることに留意し、尊厳の確保に特に配慮する、そして、生活困窮者の早期把握、見守りのための地域ネットワークを構築し、包括的な支援策を用意するとともに、働く場や参加する場を広げていく、生活困窮者が社会とのつながりを実感しなければ、主体的な参加に向かうことは難しい、支える、支えられるという一方的な関係ではなく、相互に支え合う地域を構築すると、その資料の中で書かれています。
 県としても、このような立場で取り組まれていると思いますが、ぜひ県民へのさらにわかりやすい周知徹底をよろしくお願いして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(尾崎太郎君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。

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