平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。9月の一般質問を、議長のお許しをいただきましたので、させていただきます。
 今回は、女性に対する差別発言について少しお話を伺いたいと思っておりますが、女性に関する施策について、何点か、まずお伺いします。
 日本は、1979年の第34回国連総会において、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を採択し、1985年6月に批准をしています。この条約の第24条には「締約国は、自国においてこの条約の認める権利の完全な実現を達成するためのすべての必要な措置をとることを約束する。」という条文があり、批准国は、必要な措置がとられているかどうか、その進捗状況を報告する義務を果たさなければなりません。
 女性差別の撤廃条約を批准して30年が経過しようとしていますが、日本国内の現況はどうでしょうか。東京都議会において塩村議員が女性の妊娠、出産をめぐる都の支援体制について質問をしていたときのやじ発言は、今さら述べるまでもありませんが、その後、東京都議会議長宛てに処分要求書を提出するも受理されず、謝罪した鈴木議員以外の他の議員に関する調査が行われないということでありました。都議会でのやじ発言は、これに限ったことではなく、私たち女性が日常生活のさまざまな場面で遭遇することでもあります。たまたま議会で発言されたことで問題となりましたが、「自分が早く結婚したほうがええで」、「産めやんのか」といった発言は、制止されることもなく、議場では笑いさえ起きたということです。このような状況が日常的であるということが問題なのです。ましてや、都民の代表として発言を許されている政治の世界にいる者として、こういった発言が繰り返されることは本当に恥ずかしいことです。
 これまでも何度も述べさせていただきましたが、石原慎太郎元東京都知事の「女性が生殖能力を失っても生きているのは無駄」と述べたいわゆる「ババァ発言」や、柳澤伯夫元厚生労働大臣の「女性は子供を産む機械」発言など、日本の政治家による女性差別発言はこれまでも再三繰り返されており、それに伴う社会的制裁や罰則が科せられたことがないと記憶しております。
 日本の政治家による一連の女性差別発言は、先進諸国からは奇異な目で見られています。同じような発言を他の先進諸国の議会で行ったとすれば、その議員は議員を続けることはできないと思います。国連の女性差別撤廃委員会は日本政府に対し60項目にも及ぶ見解を述べており、その中の第21項には、日本では憲法に男女平等の原則が正式に定められているにもかかわらず、明確に国内法に盛り込まれていないと指摘しています。また、第23項に、女性の人権の保護及び促進を含む幅広い権限を有する独立した国内人権機構がいまだに設立されていないなど、法的整備も不十分であることを指摘しています。
 このように、女性差別が議会でも公然と行われる社会、当の発言者が何ら罰則も科せられない社会を変えていかなければなりません。
 そこで、後を絶たない政治家による女性差別発言とこの都議会での差別発言への対応について、知事の感想をお伺いします。また、女性の人権だけではなく、差別された人たちを救済するための人権機構がいまだに設立されていない問題についても、あわせて見解をお伺いします。
○議長(坂本 登君) ただいまの藤本眞利子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東京都議会における一連のやじを初めとする政治家による女性差別発言は、女性の権利を侵害し、未婚の女性や子供を産まない、あるいは産めない女性をやゆ、蔑視するもので、決して許されるものではありません。
 このような発言をするのは、言葉の使い方を間違うたとか、あるいは失言ということだけではないのではないかと私は思います。性別で差別してはいけないと心の中で思っていないから、思わず言葉が出てしまうのではないかなあというふうに私は思います。これではいかんのではないかと私は思っております。
 言葉の問題ではなくて、政治家は男女平等を基本に置いて活動をしていかなければならないという意識をちゃんと持っていないといけないというふうに思います。
 東京都議会は、今回の事態を受けて、「信頼回復及び再発防止に努める」との決議を採択いたしました。都議会に限らず、あらゆる議会においても、性別による差別意識を払拭するとともに、あらゆるハラスメントを断固として許さない姿勢を持って自浄作用を働かせてほしいと考えております。と同時に、県庁でも、そのように県政を運営していきたいと思っております。
 また、この女性差別発言以外にも、さまざまな人権侵害が依然として発生している現実がございます。これらの人権侵害を受けた被害者の救済については、国において早期に人権救済機関を設置し対応していくべきと考えておりまして、そのための法制度の整備を国に働きかけているところでございます。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。
 知事のおっしゃることは本当に私もそのとおりだというふうに思いまして、言葉というのは意識を反映させるものでありますので、大変私もそのとおりだというふうに共感をいたしました。
 21世紀が始まったときに、21世紀を人権の世紀にというふうなことが言われまして、もうはや14年が経過しようとしているんですが、昨今の状況というのは、人権の世紀というよりも、そういったすばらしい未来から何かどんどん遠ざかっていってるんじゃないかと、そういうふうな思いをしておりまして、今回は女性のことについて言わせていただいたんですが、知事もおっしゃったように、女性の差別だけではなくて、近年は、在日の韓国人の皆さんに対して、もう聞くにたえないようなヘイトスピーチによる人種差別街宣行動が頻繁に行われております。差別することを堂々とするというふうな状況であります。
 国連の人権委員会の勧告でも、この人種差別的な街宣行動に懸念を示し、差別をあおる街宣行動の禁止を勧告しています。この問題は、国連の人権規約委員会に勧告されるまでもなく、早急な対応が求められています。それに対して、今の日本の政府は、まだ有効な手だてを講じられていないというふうな状況です。
 人権侵害の定義云々と言っている間にも、差別によって多くの人々が心を傷つけられ、苦しんでいるわけです。私は、差別をするというふうな、人権侵害をするというふうな、そういった表現の自由というのはないというふうに思います。憲法でも、人権は本当に尊重されるべきものだというふうに規定をされております。
 先ほど、知事の答弁では、女性差別だけではなく、あらゆる差別を許さないためにも、人権侵害を救済する法的整備を国に働きかけていただけるということなので、強く要望して、次の質問に移りたいというふうに思います。
 次は、女性の働く環境についてお伺いします。
 雇用問題です。これまでも再三にわたり指摘させていただいておりますが、なかなか改善されない状況を踏まえ、改めてお聞きをします。
 少子高齢化が社会問題として取り上げられるようになって久しいんですが、少子化にはなかなか歯どめがかかっていません。少子化というのと高齢化とが同じように論じられているところもありますけれども、少子化はちょっと高齢化と少し意味合いが違うというふうに思います。少子化が問いかけるものとして、女性の雇用に大きな問題があるというふうに考えています。
 これも国連の人権委員会ですけれども、日本政府に対して、雇用の問題については、性別に基づく賃金格差が、フルタイムの労働者では賃金で32.2%と非常に大きく、パートタイム労働者では、その格差がさらに大きいという現状が根強く続いていると指摘しています。また、有期雇用及びパートタイム雇用の多数を女性労働者が占めていることと、並びに妊娠、出産を理由に女性が違法に解雇されていることを懸念する指摘をしています。
 和歌山県の働く女性の現状は、では一体どうなっているのかということですけれども、総務省就業構造基本調査によると、平成24年度の女性の潜在的有業率を見てみると、全ての年齢層で80から90%の高い率を示しております。女性の高い就業意欲を示しているわけですけれども、この有業率を見てみると、出産・育児年齢の30代から40代の有業率が60%台に落ち込み、相変わらずM字カーブとなっています。このことは、女性の雇用の抱える問題が出産・育児期に集約されているということをあらわしており、ひいては少子化問題にも大きく関係すると考えます。女性の就業継続や再就職を取り巻く状況は依然として厳しく、第1子出産を機に約6割の女性が離職しています。
 また、働く女性の妊娠、出産に関して、さまざまな法律で権利を保護されていることを知っているかという問いに、50.3%の女性が、産休、育休の権利は法律で守られているということを知らなかったというふうに答えています。これは、日本労働組合総連合会のアンケートであります。半分の女性がその権利を知らない。知らなければ、権利は守れません。
 女性の職業の中でも、教員は離職率が大変低くて出生率が高いといった統計があります。教員というのは、大変な仕事ではありますが、働き続けられる環境にあるということだと思われます。例を言うと、産前産後休暇、育児休業と、出産に関する制度も整っておりますし、女性が安心して出産し、育児休暇の後は職場復帰ができるということが、この出生率の高い大きな要因となっていると思われます。
 女性は誰もが安心して出産し、子育てをしながら仕事ができる環境を望んでいます。しかし、現実は、そういったことからはほど遠く、妊娠すればやめざるを得ない状況になり、就業を継続できたとしても、育児中は女性に大きな負担がかかっているという現状であります。少子化、少子化と騒いで危機感を持っているのであれば、この部分にしっかりと厚い支援をすべきだと思います。
 具体的には、第1に、女性が子育てをしながら働き続けられる職場環境をふやすことが重要だと考えます。厚生労働省では、子育て支援企業に「くるみんマーク」というのを認定する取り組みを行っておりまして、和歌山県においても現在14社が認定されています。「くるみんマーク」は、子育て支援に積極的に取り組む企業に対して認定するものでありますが、全ての企業になかなか浸透していないというのが現状です。
 「くるみんマーク」も1つの取り組みではありますが、子育て支援は全ての事業者がしっかりと取り組む必要があると思います。そのために、子育て支援に積極的に取り組む企業に対して、税制上の優遇措置を導入する、あるいは優良支援事業者を顕彰する、支援補助金を創設するなど、子育て支援企業がさらに発展するような動機づけが必要だと思います。県として、女性が安心して働き続けることを応援する企業をふやすためにどのような対策を講じてきたのか、また今後、子育て支援企業をふやすためにどのような対策を講じていくのか、商工観光労働部長にお聞きします。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県では、女性が働きやすい職場環境づくりを進めるため、企業の経営者や人事労務担当者に対し、ワーク・ライフ・バランスやパワーハラスメントについて研修する労働セミナーなどの機会を通して、育児休業制度や子育て支援の助成等、仕事と子育てを両立する支援策の周知、啓発に努めているところです。
 また、今年度から、企業に労務管理の専門家である社会保険労務士を派遣して、育児休業制度や短時間勤務制度などの就業規則の整備や雇用の継続、復職に係る相談に助言、指導を行うなど、女性の定着につながる支援を行っております。
 さらに、企業で活躍する女性や職場環境づくりに積極的な経営者を招いて、働く女性や、これから働こうとする女性を応援するシンポジウムを10月8日に開催するとともに、育児に関するお役立ち情報等を発信する専用のホームページの制作も進めております。
 こうした取り組みの充実に加えて、先進的な企業の取り組みをホームページや商工観光労働部が配信しているメールマガジン「商工通信」で広くPRするなど、仕事と子育ての両立に積極的な企業を応援してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。
 女性が就業意欲があるのに、第1子を出産する際に6割がやめていっているという状況を何とか改善する。その受け皿になる企業の意識改革とか、それから支援が非常に重要ですので、今お答えいただいたようなことも有効な取り組みではあるとは思います。
 中小企業の──和歌山県というのは中小零細企業が大多数を占めておりまして、M字カーブですね、この出産期に就労人口が減るという、この改善をするために、もっと大きな動機づけとかアクションが求められていると私は思うんですね。
 御答弁いただいた内容では、今の状況を改善するために少し取り組みとしては弱いかなというふうな感想も持ちまして、来年度に向けた新政策、検討されていると思いますので、子育て支援を進めるためにも、企業への働きかけを強めていただくように要望したいというふうに思います。
 続けますが、第2は、女性が働き続けられるような周辺の環境整備が必要というふうに考えるわけです。第1子を出産する際に、何遍も言うようですけど、6割の女性がやめていくという理由には、子育ての負担が大きく女性にかかっているという現実があるわけです。
 子育て期にある男性の家事・育児時間、そういうのを調べた調査、あるんですね。この調査を見てみると、米国では2時間51分、英国では2時間46分、フランスでは2時間30分という中で、日本では1時間7分というふうなことで、最下位であります。また、育児時間というふうに限れば39分ということで、まあ子育てにはほとんどかかわっていないという日本の男性の姿が浮かび上がっております。
 育児の負担を女性だけのものとせず、男性もともに子育てに参加する、いわゆる育パパの取り組みは、これからの子育てにとって大変重要な取り組みだというふうに思います。
 先ごろ、大分県における男性の子育て参画「躍進日本一」の取り組みを調査してまいりました。大分県は、平成18年の総務省社会生活基本調査、6歳未満の子供を持つ男性の家事・育児関連時間という調査があるんですが、この調査において大分県が36分ということで、全国最下位でした。
 大分県では、このことを受けて、こらいかんと「子育て満足度日本一を目指す大分県」の実現に向けて、いろんな具体的な取り組みですね、各種子育て支援策を実施して、特に男性の子育て参画推進の取り組みを進めてきました。
 パパの子育てステップアップ事業として、おおいたパパクラブ(パパ講座)の開催であったり、パパの子育て応援セミナー、男性の子育て参画日本一フォーラムの開催、パパの子育て応援月間の設定、父親向け子育て応援サイトの創設、男性の子育て支援事業費補助金の創設など、意識啓発はもちろんでありますが、企業へもしっかりと働きかけを行ってきたとのことでした。
 そのかいあって、平成23年度の調査では36分から86分と50分も時間が伸びまして、伸び率で日本一に輝いています。このように、行政が本気を出せばそれに見合う数字があらわれるということがわかったんです。
 和歌山県は、この平成23年度調査において、育児時間が44分で、全国最下位となっております。平成18年度調査では59分ですので、15分の減少、大変残念な結果であります。県としては、この23年度の調査を受け、どのような対策を講じられてきたのか、今後どのような対策を考えているのか、福祉保健部長にお聞きします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 県では、これまで子育て家庭の負担軽減策として、地域における相談の場である地域子育て支援センターや育児疲れの解消の際にも利用が可能である一時預かり事業等の拡充により、子育て家庭を支援する体制の整備を行ってきたところです。
 核家族化や地域の子育て力の脆弱化により、子育て家庭の負担や不安が高まる現状においては、議員御指摘のとおり、男性が家事、育児に積極的に参加していくための意識啓発や働きかけは一層必要となるものと認識しております。
 県におきましては、男性が子育てに参画し、責任をともに担うよう、関係部局が連携して、その促進に取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 答弁いただきました。
 大分県がこりゃいかんと思って取り組んだのと、ちょっと違いがあるなあというふうに思うんですが。男性が家事、育児に積極的に参加していくための意識啓発とか働きかけは一層必要となるものと認識しているという御答弁をいただきました。認識してるけれども、そのために、具体的な取り組みについてはこれからだというふうな、そういった答弁でありますね。
 県としては、これ23年度調査なので、もうことしは26年度です。家事、育児時間が最下位という結果ですので、そのことを重く受けとめていただいて、本気で取り組んでいただくように要望をしたいというふうに思います。
 続けます。それを受けまして県においても男性の育児休暇というふうなこと、あると思うので、そのこともちょっとお聞きしたいんですが、男性の育児休業の取得もなかなか進まないわけです。国のほうでは、育児休業を取得した父親に対して6割の給与保障を行っています。6割では生活できないなあという若い世帯の姿もあるわけです。
 育児休業の取得がなかなか進まないため、国ではさらに、パパ、ママで半年ずつ育児休業を取得すれば、1年間割り増し給付が受けられるといった動機づけをするための制度が開始されています。このような制度の周知とともに、まず県が率先して男性の育児休業を取得するような取り組みが求められています。
 そこで、男性の育児休業取得を促進するための県における取り組みについて、総務部長にお聞きします。
○議長(坂本 登君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 県庁における男性職員の育児休業取得率向上のための取り組みについてでございますが、本県では、「仕事と子育ての両立支援ハンドブック」というものを作成いたしまして、育児休業や育児休業期間中の給付制度等の周知を行っております。
 実際に男性職員に子供が生まれました場合につきましては、育児参加のためのプログラムを作成させまして、所属長が本人と面談を行いまして、このプログラムを実践しやすい職場環境づくりを行っているところでございます。
 また、育児休業取得者に対しましては、代替職員を配置しまして、育児休業を取得しやすい環境づくりに努めているところでございます。
 しかしながら、男性職員の育児休業取得者は、これまで6名にとどまっておるところでございます。一方で、国では平成32年までに男性公務員の育児休業取得率を13%までに高めるという目標を立てていることから、今後とも、子育て世代の男性職員、それを取り巻く職場におきましての啓発を進めてまいりたいというふうに考えております。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 子供を育てるということは、もう大変大切な経験というか、それが仕事に生かされるというふうにも思いますので、ぜひ育児休業を進めていただきたいというふうに思います。
 女性施策で最後なんですけれども、男女共同参画基本計画の取り組み状況について最後にお聞きしたいんですが、県では、平成11年に制定された男女共同参画社会基本法を踏まえ、平成14年3月に男女共同参画基本計画を策定して、男女共同参画を推進するための基本理念というのを明らかにしています。
 また、県では、平成22年度に実施した男女共同参画に関する県民意識調査から、男女の平等感について、社会全体でいまだに男性優位と感じている割合が高く、固定的性別役割分担意識についても、いまだ根強く残っているということがわかったとしています。
 知事も、一人一人が個性と能力を発揮できるふるさとの実現を目指していくということで、「今後も、性別にかかわらず、男女が安心してあらゆる分野で生き生きと活躍できる環境整備を県民の皆さんと協働して一層進めるとともに、県民の皆さん、事業者の皆さんも、それぞれの立場で個性と能力を十分に発揮していただきたいと思います」というコメントを出されております。
 基本計画が策定され、12年が経過しようとしていますが、状況が改善されている部分もあれば、まだまだ取り組んでいかなければならない部分も多々あるというふうに認識しています。
 県では、それぞれの施策についてそれぞれの数値目標を設定し、取り組みの進捗状況を発表しています。この中では、先ほどから申し上げている働く場での男女共同参画の推進や仕事と家庭の両立についての項目も含まれているところでありますが、関係各課の取り組みの中で、目標に達していない項目については、どのような働きかけを行い、具体的にどのような取り組みを取り組まれているのか、これも環境生活部長にお伺いします。
○議長(坂本 登君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 男女共同参画基本計画に関する取り組みの状況についてお答えをいたします。
 男女共同参画基本計画に基づく事業につきましては、毎年度、関係部局に報告を求め、事業の進捗状況を把握しているところでございます。
 議員御指摘の働く場での男女共同参画の推進や仕事と家庭の両立につきましては、関係部局と連絡会議を定期的に開催し、情報の共有を図るとともに、進捗状況の思わしくない項目につきましては、関係部局に一層の取り組みを働きかけているところでございます。
 また、家庭と仕事の両立を図るためには家庭における男女共同参画が極めて重要であるため、引き続き意識啓発に取り組んでまいっていく所存でございます。
 さらに、職場における女性の活躍を促進するには、家庭との両立支援に加え、女性の登用や職域の拡大に向けた取り組みが必要であると考えてございます。今議会におきましても、女性の活躍促進事業の補正予算案の御審議をお願いしているところでございます。本事業は、庁内関係部局、経済団体、労働局と連携をいたしまして、女性登用に向け企業トップの意識改革を図るとともに、女性管理職養成等の支援を行うものでございます。
 今後とも、関係部局及び関係団体と協働いたしまして、本計画の推進に鋭意取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 男女共同参画基本計画に基づいて施策を進めていると私も認識しておりまして、でも、重要なことは、それぞれの施策について関係各課がどんだけ予算づけを行って、それがどのような結果になっているのかということを把握していくということだというふうに思うんですね。結果が伴わなければ取り組んでいるというふうには余り言えないわけでありまして、働く場での男女共同参画の推進とか仕事と家庭の両立についても、1つの課室で進められる問題ではなくて、それこそ、あらゆる場において男女平等を推進するための行動を起こさなければならないというふうに思います。
 常に、政策が予算化されて施策として有効に展開されていくか、具体的な事業として取り組まれているかという振り返りを常にしていただいて、男女平等を一日でも早く実現できるような取り組みをお願いしたいというふうに思います。
 次の質問に移ります。学力テストの結果を受けてということです。これも同僚議員からも質問がありましたけれども、私の視点で質問をさせていただきます。
 先ごろ、全国学力テストの結果が公表されました。和歌山県は、残念ながら小中学校とも芳しくない結果となりました。私自身、学力を点数だけで考えるつもりはないんですが、これも1つの指標でありまして、今まで取り組んできたことの反省と今後の目標になると考えます。
 私は、以前より、全体の子供の学力をつけさせるためには、よくできた一部の子供を引き上げるような施策ではなくて、底辺の学力的に問題のある子供たちの支援こそ必要だというふうに訴えてきました。親の収入が子供の学力に影響があるということはもう過去からの統計でも証明されておりますし、子供の家庭環境は学力に大きな影響を与えます。そして、どのような中でも、子供たちが将来に希望を見出せる環境整備をする必要があります。学力的に課題を抱えた児童生徒への支援充実が求められていると思います。
 教育委員会は、今回の結果を受けて学力向上対策本部というのを設置され、過去2年間の全国学力テストの結果を分析するほか、これまでの授業などの改善状況や補習学習などの対策について効果的な方法を検討するというふうにしていますが、学力テストに限った狭義の対策をしてもあんまり意味がないと私は考えます。
 秋田県では、以前より実施している少人数学級の実施や、子供のやる気に働きかけるような取り組みを行っているというよい事例もありますので、教育長に、見解と今後の取り組みについてお伺いしたいというふうに思います。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博道君。
  〔西下博道君、登壇〕
○教育長(西下博道君) 今回の全国学力・学習状況調査の結果が2年続けて全国平均を大きく下回り、その差が拡大したことにつきましては、大変厳しく受けとめておりまして、その責任を痛感しております。県教育委員会の総力を挙げ、和歌山の子供たちにこれからの社会をたくましく生き抜くための学力を確実に身につけさせるという強い決意で取り組んでまいります。
 学力については、私も議員と同じような考え方を持ってございます。こうした学力を向上させるためには、まず学校において、子供によくわかる授業、それから、子供の力をしっかりと伸ばす授業、それから、学ぶ喜びを実感させ、意欲を高める授業、子供一人一人の実態に合わせた補充学習の一層の充実に取り組むことが極めて大事だというふうに考えております。また、それと同時に、子供の生活習慣だとか学習習慣の実態を踏まえた取り組みも必要であるというふうに捉えております。
 県教育委員会としましては、今回のこの厳しい結果を踏まえて、早速、指導主事を高い学力を維持している先進県に派遣をして、目標の提示と学んだ内容の確認を必ず行う授業の徹底、あるいは家庭学習の手引や土曜学習などを活用した学習習慣の確立、あるいは保護者や地域と連携をした学校づくりなど、学力向上に効果的な取り組みの実態を把握してまいりました。
 同時に、学校教育局長を本部長とした全庁的な組織である学力向上対策本部を立ち上げて、学力を十分に伸ばせていない本県の原因の究明と子供の学習習慣の改善について協議を始めております。今後、集中的にスピード感を持って検討を行い、11月中をめどに具体的な対策を示すこととしております。こうした対策のもとに、各学校がそれぞれの課題と改善策を保護者や地域に説明し、ともに協力して取り組むことができるよう、市町村教育委員会と力を合わせながら、学力向上のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 今回のこの学力診断テストの結果を受けて、関係者というんですか、それぞれが、その学力の問題について危機感を持って真剣にこれは取り組まなあかんぞという共通認識を持たれたということは、これは私は大きな意味があるというふうに思うんですね。
 それを具体的にどんなふうに子供たちに返していくかというふうなところなんですが、教育委員会の今の体制で進めるということは、それで学力が伸びていないということもありますので、外部講師であったりとか、TTをふやしてきめ細かく授業をしたりとか、少人数の学級を配備、導入していくとか、やっぱり抜本的な、和歌山県として独自な対策を講じていかなくちゃいけないんじゃないか。ここで、議場でもこういうふうに議論をさせていただけたことは、もう全庁が聞いておりますので、教育長のその意気込みというのは伝わっておると思います。
 人はやっぱり人で育てられるわけですので、その優秀な人材の確保ということも必要です。いろんなあらゆることを考えていただいて、取り組んでいただきたいというふうに思います。
 それから、学力向上委員会の委員さんに外部の有識者というか、いろんな有識者がたくさんいらっしゃいますので、そういった方にも御意見をいただくというのも有効な方法かというふうに思いますので、要望をしておきたいというふうに思います。
 次に行きます。学校図書館の活用についてというふうなことです。
 文部科学省では、平成24年度より新学校図書館図書整備5か年計画というのを発表し、5年間で学校図書館図書標準の達成を目指すとして、毎年200億円の財政規模で、5カ年で約1000億円の財政措置を行っています。この予算は、各都道府県に地方交付税として措置をされています。ざっと考えると、和歌山県はおよそ100分の1程度というふうに措置されていることになります。
 図書標準を達成するための、これは100分の1ですから2億円、それから、新聞配備のために1500万円、それから、学校図書館に関する業務を行う学校司書の費用として1億5000万円と試算しますと、およそ3億6500万円余りが措置されていると見積もることができます。県内では、幼稚園から小中高、特別支援学校を含めて、およそ5000学級ということですので、1学級4万円程度の図書購入費用と見積もることができます。
 私の地元の宮前小学校は28学級でありますので、1学級につき4万円で28学級ということですので、112万円の予算ということになります。これを学年で割りますと──大体、学年に配備されるんですね、図書費用は──1学年大体19万円程度の予算となるんです。絵本なんかは割と高額ですので、19万の予算で購入してもそれほどの冊数にはならないんですけど、現在の学校図書費と比べれば、もう何倍もの予算であります。子供たちにとって新しい図書というのは大変魅力的で、学習意欲を大いに刺激するものです。
 さて、このように交付税で措置されているこの学校図書館への予算は、適正に運用されているのでしょうか。
 また、学校司書の予算として、和歌山県には1億5000万円が予算措置されています。和歌山県は、小学校、中学校を合わせて約400校ですので、高校は司書さんがおるところが多いんですが、1校につき37万5000円ぐらい、文科省は2校に1人の程度と試算されているようでありますので、非常勤であったとしても75万の予算で学校司書を置くことができるという計算になります。75万の予算があれば、午前中だけでも非常勤で職員を配置することができると考えます。
 先日、宮前小学校を含め、幾つかの学校にお邪魔をしまして、図書館を拝見してきました。授業中でしたので、鍵がかけられており、中に入ると、ぷっとカビ臭いにおいがしました。整理はされていましたが、大方の図書は古く、傷んでいるものも目につきました。もちろん学校司書もおりませんし、ふだんは鍵がかかっているという状況でした。昼休憩には図書委員が図書の貸し出しをしているということでしたが、それも各学校に任されているという状況です。
 子供たちの知的好奇心を刺激し、学習への意欲を育む学校図書館の改革が、学力を高めるための豊かな土壌となります。学校司書がいて、いつも開放されている図書館がある学校は、本を読みなさい、勉強しなさいと押しつけなくても、子供たちが集まってきます。いつも開かれた図書館、新刊本や推薦図書が並び、子供たちが自由に本を選び、わからないことを調べ、楽しみながら知的好奇心を満たす場所が求められています。
 そこで、教育長にお伺いします。
 文科省からは、学校図書館図書標準が示されていますが、学校図書館の状況はどうなっていますか。また、学校司書の配置についても、現状と今後の計画についてお伺いします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博道君、登壇〕
○教育長(西下博道君) 学校図書館は、子供の想像力や豊かな心を育むとともに、調べ学習などの自発的な学習活動を行う重要な場であると考えております。また、全国学力・学習状況調査の結果から読書と学力には相関関係があることも明らかになっており、学校図書館を利用した読書活動に力を入れている学校もございます。
 しかし、一部の小中学校の図書館では、利用時間が限られていたり、子供が気軽に本の世界に入れるような工夫がなされていなかったり、あるいは百科事典や図鑑が古いままだったりするなど、その役割が十分果たせてない現状がございます。
 直近に行われた平成24年度の調査では、国が定めた蔵書基準を達している小学校の割合は63.5%と全国平均を6.7%上回り、中学校では41.6%と全国平均を5.9%下回る結果となっております。
 また、学校司書の配置につきましては、平成24年度は全ての市町村で未配置でしたけれども、現在は5市町と増加傾向にあります。しかしながら、この点につきましては、全国に比べ大変少ない状況にあり、解決をしなければならない課題だと受けとめております。
 県教育委員会といたしましては、本年度、文部科学省の研究指定を受け、学校司書の活用と資質向上について研究を行っているところです。今後は、その研究成果を県内に普及するとともに、地方財政措置が講じられていることも踏まえ、学力向上に大きく寄与する観点からも、全ての小中学校に学校司書が行き渡るよう市町村教育委員会に強く働きかけてまいります。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 教育長、図書館に学校司書が配置されているのは5学級ですか。(「5市町」と呼ぶ者あり)5市町。そうですか。(「ふえてきつつある」「きちっと整理せえよ、発言」と呼ぶ者あり)済みません。それにしても少ない実態であります。
 学校図書館は、子供たちの知的好奇心を刺激する本当に貴重な場所でありますので、ちょっともう少し頑張っていただきたいなというのと、学力というのは、昔は詰め込み教育の弊害とよく言われたこともあるんですが、子供たちがみずから学習しようという意欲に支えられてこそ、学力、生きた力になるというふうに思いますので、そのためにも学校図書館の充実が求められているというふうに思います。
 和歌山県の子供たちの学力を学習状況調査だけではなくて、その学力を保障するためにも、具体的な計画を持って学校図書館を充実していただくように、これは強く要望したいというふうに思います。
 最後に、定数内講師についての要望を述べさせていただきます。教員採用に関する要望でございます。
 団塊の世代が退職となり、急激な教員の減少を補うために教員を大幅に採用し、結果、学校現場は、今、大変若返っています。一時、教員の平均年齢が50歳以上と言われた時代が懐かしく思えるほどであります。
 地元の小中学校にお邪魔しても、少数の50代の教員と多数の20歳代の教員ということで、中堅ベテラン教員が少ないという現象が起こっています。年齢によるバランスの悪さも問題でありますが、正式採用されている教員以外に臨時で定数内講師が各学校に配置されており、その割合が見過ごすことのできない状況になってきています。
 小中学校においては、過去5年間を見てみると、教員定数は、平成21年度は4915人、22年度は4876人、23年度は4840人、24年度は4800人、25年度は4731人と、児童生徒の減少に伴い減少をしています。にもかかわらず、定数内講師の人数は逆に増加しているんです。平成21年度は311人、22年度が329人、23年度は334人、24年度は343人、25年度は391人であります。割合でいっても、6.3%から毎年上昇し、26年度では8.3%にもなっています。
 この定数内講師とは、産休や育休、病休、介護休暇などの代替の教員ではなく、最初から教員定数としてカウントされている教員であります。当然、担任も持ちますし、中学校ではクラブも持ちます。正式採用の教員と何ら変わらない勤務を求められています。違いはその待遇だけであります。
 数年前、この問題を議会で指摘したことがありました。そのときの答弁では、退職する教員に加え、早期に退職する教員が増加しているため、採用人数では計算できない部分を定数内講師で補わざるを得ないという状況であるという答弁でありました。そのときは、ちょうど団塊の世代が大幅に退職期を迎えていることもあり、いたし方ないかなあという部分もあり、理解をしたわけです。
 定数内講師の先生方の中には10年近くこの講師をされている方もおられまして、私の知っているその方々では、土日も出勤し、クラブ活動で一生懸命生徒の面倒を見ています。しかし、そういった努力がなかなか採用の条件に加味されず、定数内講師の先生方は、何年勤務されていても頭打ちの給与ですし、将来に不安を感じながら働いているといった状況です。
 定数内講師の問題については、本年に限ると、採用数を大幅にふやしているにもかかわらず、相変わらず早期退職者の増加に追いつかなかったという実情をお聞きしました。教育委員会は、今後、こういうことでは──数がやはり少し多過ぎると思いますので、正式採用をしっかり進めていっていただきたいと強く要望します。
 また、定数内講師の先生方の待遇を改善していただきたい。頭打ちというふうなことではなくて、もう少し給与を上げていけるようなことも要望したいというふうに思います。
 さらに、教員の資質では、児童生徒の学力にも大きな影響を及ぼしますので、教員採用に当たっても教師経験等が生かされるよう要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時30分休憩
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