平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


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  午後1時0分再開
○副議長(尾崎太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 私たち日本共産党県議団は、8月末に、南海トラフ地震対策や木質バイオマスの利用などの問題で高知県に調査に行ってまいりました。その成果も踏まえて、今回、質問をさせていただきます。
 1つ目、カジノ合法化についてです。
 和歌山県が平成27年度へ向けての政府要望として提出している地方型IR、つまりカジノを中心とした複合観光ですが、少ない投資金額で大きな経済効果を生み出す地方型IRは地域振興の起爆剤として有効として、白浜のような地方の観光地でもカジノ施設を設置できるよう求める内容になっております。
 国会でも、カジノの国内での開設を合法化する法案が秋の臨時国会で審議されようとしております。言うまでもなく、日本は刑法で賭博を禁じています。そのカジノが安倍内閣の成長戦略の目玉になっているのは驚きであります。
 既に日本は、国民が1年間に5兆6000億円も賭博で負けるギャンブル大国になっています。カジノ世界一のマカオの市場規模2兆6800億円を上回る規模です。日本では、ギャンブル依存症患者が成人男性の9.6%、女性の1.6%に当たる560万人に上るという調査結果が厚生労働省から発表されております。同様の手法で行われた諸外国の調査結果で、ほとんどの国が1%前後なのに対して、日本の数字は異常な高さです。
 日本がお手本にしようとしているシンガポールでも、大変な問題になっています。2010年に2つの巨大なカジノが開業いたしましたが、自分でギャンブルをやめられず、カジノ入場禁止リストへの登録を自己申告する人が急増し、20万人を超え、自己破産もふえていると言います。
 また、韓国は、カジノが17カ所あり、ほとんどが外国人専用ですが、1カ所だけ、江原ランドというところでは韓国人も利用できるようになっています。かつての炭鉱のまちが寂れた山の中にできたカジノで、ホテル、スキー場、ゴルフ場なども併設をしている複合型観光施設です。この1カ所だけで韓国のカジノ売り上げの半分以上を占めているのが、申し上げました江原ランドというカジノであります。
 ここの様子が先週開催されました日本弁護士連合会主催のシンポジウムでも報告をされ、その内容に驚きました。複合型カジノとは位置づけられているものの、ホテルでは、弁護士の調査団一行以外、ほかの客はほとんど見かけなかった。ところが、カジノでは韓国人向けの席3500はほぼ満杯という状態で、複合型とは名ばかりになっています。
 また、周辺では質屋がずらりと大きな看板をかけて並んでおり、車専門の質屋もあります。これは、大半の客がソウルからカジノまで車でやってきて、負けたら車を質屋に入れ、一発逆転にかけるそうです。最高時には4000人ものカジノホームレスを生んだと言われるのがこの質屋街です。
 このような問題だけではなく、そもそもカジノによる経済成長ということ自体に疑問符がつき始めています。カジノ先進国のアメリカでも、ラスベガスとともにカジノによる繁栄の象徴であったアトランティックシティーでは、ニューヨークにできた大型カジノのあおりを受けて、ことしになって次々破綻をしております。
 安倍政権もアジアの富裕層を日本のカジノに取り込もうともくろんでいますが、来年、韓国チェジュ島には大型カジノがオープンの予定で、競争が激しくなります。外国人観光客からごっそりもうけようというシンガポールやマカオのカジノのようにはいかなくなっています。
 以上のようなことを考えれば、カジノをつくりさえすれば成長できるというのは、私は大きな誤りだと思います。そんな状況も踏まえ、日本弁護士連合会からは、5月にカジノの推進法案に反対の意見書が発表され、その後、各地の弁護士会も反対の声を上げ始めています。
 そこで、まず知事に伺います。
 なぜ、これまで刑法で賭博が禁じられてきたのでしょうか。なぜ、今回、県がカジノを解禁することを求めているのでしょうか。また、解禁されたときの弊害をどのように考えておられるでしょうか。知事の御答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 刑法上、賭博等が禁止されているのは、「賭博行為が、勤労その他の正当な原因によらず単なる偶然の事情によって財物を獲得しようとするものであり、国民の射幸心を助長して勤労の美風を害するとともに、副次的には犯罪を誘発し、さらには国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあるため」──これは最高裁の判例でございますけれども、大体それで説明をされてるわけでございます。したがって、法律でこういう場合はこういうふうにコントロールしてよかろうということで幾つかの法律がありますが、それ以外は禁止ということになるわけです。
 カジノ解禁に当たっては、やっぱり一番心配されるのは、ギャンブル依存症の方がふえないかということは議員が御指摘になったとおりですが、そのほかに、青少年に悪い影響を与えないか、あるいは犯罪組織の資金源にならないかなどの問題が懸念されると思います。これらの問題は、上手に隔離する、それとともにきちんと管理をするということで克服できるんではないかと考えております。
 御指摘の地方型IRのカジノ、これは、ヨーロッパの各都市で、結構静かな環境のもとで営業してるのを私はたくさん知っております。カジノを含むIRには経済波及効果や雇用創出効果が期待でき、地域活性化につながる有効な手段の1つと考えてるところでありまして、国における法制化の動向を見きわめつつ、引き続き、県民の方々の理解など誘致に向けての諸条件の状況を踏まえながら取り組んでまいりたいと思います。
 ただ、現在のところ、国会に提出されてる法律は、一から大規模に全部つくってしまうということをどうも予定してるんじゃないかなあというふうに条文上読めるようなものでございまして、これではちょっと和歌山もなかなか難しかろうというふうに思います。先ほどのような全体像の中で、少しこの可能性も広げてもらいたいというのが第1の前提になります。
○副議長(尾崎太郎君) 傍聴の皆様に申し上げたいと思います。
 議場の品位を保つため、携帯電話はお切りいただきますようお願いいたします。
 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 知事から御答弁をいただきました。
 ヨーロッパ型の静かなカジノも見てきたというお話ですが、そのヨーロッパにいわゆるラスベガス型の大きなカジノが進出をしようとして、ヨーロッパでは、それはもうあかんということで断られたということも聞いております。
 私は、御答弁をいただきましたが、カジノというのはやはりばくちで、カジノが発展しようと思ったら、お客さんが負けなければカジノ自体が成り立っていかないという前提があると思うんです。負けるからカジノが発展するんであって、お客が勝つほうがふえれば業としては意味がないと思うんですね。
 私、地元の白浜を考えるなら、今、ホテルや旅館に泊まっていただいたお客さんで、地元の人が言いやるのは、外へ出ていろんなお土産物とか買い物とかしていただけない、そんな状況をよく言われます。もしカジノができて、観光に来たお客さんのほとんどがカジノで負けやったら、今まで以上にほんまにお土産を買うてくれるんかな、外で食べてくれるんかなということを、私、心配しております。カジノは栄えても周辺は滅びるという例は、実際、海外ではそういう例も出ております。
 そのようなことを考えるなら、私は、地方型も含めてカジノの合法化には反対だということを表明して、次の質問に移りたいと思います。
 2つ目、消費税増税の和歌山県経済への影響について伺います。
 内閣府が9月に発表した4から6月期の国内総生産改定値では、前期比でマイナス7.1%(年率)となり、東日本大震災のときのマイナス6.9%を上回る落ち込みとなりました。国内総生産は国内の経済活動の大きさを金額で示したもので、それが減るということは、それだけ経済活動が縮小しているということです。特に、GDPの6割を占める家計消費は、実質19%(年率)も減少しました。これは過去20年間で最悪で、戦後最悪を記録した第1次石油ショック(1974年)に匹敵するものです。この家計消費の落ち込みがGDP全体を大きく押し下げた原因と言われております。安倍政権は想定内と繰り返していますが、増税前の駆け込み需要を差し引いても10%以上のマイナスであり、単なる反動減でないことは明らかです。
 なぜ、これほど家計消費が落ち込んだのか。賃金がふえないのに円安で物価が上がり、実質賃金は減少しました。そこに消費税増税による物価上昇が追い打ちをかけ、実質賃金は、4月以降で3%を超える大幅減少、12カ月連続で下落を続けています。消費税増税の影響がこれほど激しくあらわれるということは、国民生活が相当疲弊していることを示していると思います。
 そこで、和歌山県の各種経済指標では消費税増税の影響がどのようにあらわれているでしょうか。商工観光労働部長に御答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 経済指標については、消費税増税の影響だけでなく、天候や為替相場の動きなど、さまざまな要因により変動するものでありますが、直近の指標の主なものを見ますと、まず生産、雇用、消費など、あらゆる経済活動の中でも、より景気の動きを敏感に反映する幾つかの指標を総合的に判断する景気動向指数では、5月に4カ月ぶりに前月を上回り、100.0となっております。
 次に、生産動向について、6月の鉱工業生産指数の速報値では104.6となり、2カ月ぶりに前月を下回りましたが、機械、化学分野が好調なため、全国数値と比べても高い状態を維持しています。
 また、6月の公共工事請負契約額は255億円であり、2カ月連続で前年を下回ったものの、24年度以降は、災害復旧や国体関連事業のため、高い水準が続いております。
 さらに、消費動向について、大型小売店販売額では、3月に消費税増税前の駆け込み需要により前年と比べ10.7%増の110億円と増加しましたが、4月以降はその反動で3カ月連続で前年を下回っております。
 一方、7月の新車登録台数は1863台と平年並みとなり、4カ月ぶりに前年を上回りました。同様に、7月の新設住宅着工戸数は、マンション着工もあり、577戸という高い数値となり、4カ月ぶりに前年を上回っております。
 最後に、雇用動向について、有効求人倍率では、4月に21年6カ月ぶりに1.0倍を超え、その後も1倍を超える状況が続いております。
 また、物価上昇率を考慮した実質賃金指数を見ますと、賃金が上がっているものの物価上昇に追いついていないことにより、4月以降、前年同月比でマイナスに転じており、6月はマイナス3.7%となっているところであります。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 いろいろと御答弁をいただきましたが、雇用の部分、特に実質賃金指数でマイナスになっているということや売り上げの反動減などというのは、これは全国的な状況と私は共通をしているのではないかというふうに思います。
 そこで、知事にお伺いしますが、私は、このような状況の中で来年10月の消費税再増税などあり得ない状況ではないかと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 消費税の再増税を行う場合は、景気に悪影響を及ぼさないかが心配でございます。増税が今度はなされなかった場合はじゃあ万々歳かというと、我が国の財政運営に対する信頼が失われて、国債の信認が低下して、ひいては金融市場及び経済に影響を与えるということが、これまた心配なわけであります。
 また、増税分は、社会保障と税の一体改革のもと、福祉、医療、少子化対策等の社会保障制度を担う財源として充てられることになっているので、増税をしなかったとき、これら福祉や社会保障の維持可能性がどうなるんかということも心配をする必要があります。
 1つのことだけを言って騒いでるというのは、責任のある政治ではありません。したがって、消費税の再増税という大問題は、これら全てのことを考慮して12月に首相が最終判断をするということになっておって、政府において適切に判断されることを期待したいと、今はそう思います。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、消費税増税後も、福祉や医療、社会保障制度の本当に相次ぐ負担増が、これらもずっと予定をされております。ですから、私は、そういうことも考えるなら、やはり消費税増税をここできちんと1回ストップして考え直すということを求めていきたいというふうに思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 県防災訓練への米軍オスプレイ参加について伺います。
 この間、米軍オスプレイは、その訓練範囲を日本全国に広げております。東京の横田基地では、7、8月と訓練で飛来、9月には日米友好祭が開かれ、オスプレイ2機が一般向けにも公開されました。地元の福生市長は、これまでオスプレイの展示について米軍に行わないよう求めており、市議会でも遺憾の意を表明したところであります。神奈川県の厚木基地では、8月18日から25日の長期にわたり駐留をして、自衛隊の演習場への拠点になりました。
 このように、オスプレイは、7月以降、東日本を中心に訓練や展示を行っています。横田や厚木など東日本の各基地と岩国を結ぶ線上にはオレンジルートがあり、高知県では、東日本からの帰り道と思われるオスプレイが安芸市や高知市上空を通過していることが目撃をされ、新聞報道も既にされています。和歌山県も、今後、上空通過の可能性は十分あります。
 また、佐賀空港を沖縄の米軍オスプレイの訓練拠点として活用する動きが、突然、政府によって発表されました。また、陸上自衛隊のほうも、今後5年間かけて17機導入する予定のオスプレイを配備する方針です。佐賀空港を建設する当時に地元の漁協と交わした「県は、空港を自衛隊と共用するような考えを持っていない」との約束をほごにしてまで推進しようとしています。佐賀空港が候補地に浮上した背景には、空港利用者数低迷による財政難があるとも言われています。
 防衛相が佐賀県に要請した計画では、オスプレイ17機に加えて50機の自衛隊ヘリも移駐することになっています。もしこのとおりになれば、佐賀空港は、民間機が年間約5000回の利用に対し、軍用機が年間約1万2000回と、軍用機主体の空港になってしまいます。
 そのような状況の中、10月の和歌山県防災訓練を迎えようとしています。
 私は、6月の議会で、防災訓練という名目で米軍が自衛隊の一部として活動するという形態をとるなら、日米安保条約や日米地位協定での取り決めの枠外で全国どこでも訓練ができることになると指摘をしました。和歌山県全体がオスプレイの恒常的な訓練場になりはしないかと心配です。それに加えて、佐賀空港のように、恒常的な自衛隊基地にしようとする可能性さえ心配が出てまいりました。
 そこで、伺います。
 南紀白浜空港が、将来、自衛隊との共用空港になることはないでしょうか。自衛隊もオスプレイを購入すると言っていますが、それが配備されることはありませんか。仮にそうした要請が政府からあったとき、知事はどのように対処されるでしょうか。御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 白浜空港を自衛隊との共用空港として利用するという話も、オスプレイを配備するという話も、どこからも出てきておりませんし、全く聞いたこともありません。誰がそんなことを言っておるのかというのを私は聞きたい。
 それからまた、地政学的な合理性からいって政府からそのような要請があるとは私は考えられませんが、そういうことを言うんならば、どんな根拠でそんな話になるんだろうか、どんな合理性があって言ってきそうなのかということについて、まず説明を全ての人はすべきじゃないか、そんなふうに思います。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 誰が言ってるのかという御質問というか、答弁でしたが、それは、私がこの議員の立場で責任を持ってはっきり申し上げていることであります。政府の考えからしてそのようなことはないだろうということでおっしゃいましたけれども、私は、佐賀の例なんかを見ると、こういう心配がされるのも当然だというふうに考えています。
 観光地を背景にしてる白浜には、私は、オスプレイや自衛隊基地はふさわしくないと考えております。その立場で、ぜひ知事にも考えていただきたいというふうに思います。
 2つ目です。
 私は6月議会でも発言をいたしましたが、米軍の災害派遣については、自衛隊の計画の中でも、必ずしも予定どおりの派遣がされるものではないことがはっきり記入をされています。私は、米軍を最初から県の防災体制に組み込むようなやり方は、実際の災害時の対応力をどう整備するかという課題を見えにくくするのではないかと思っております。
 また、根本的には、軍隊は持たないと規定した日本国憲法の規定と矛盾するのではないかというふうに思いますが、この点についても知事のお考えをお聞かせください。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大規模災害が発生した場合、自衛隊に対して我々は支援要請を行います。東日本大震災でも米軍が支援活動を行っており、本県でも、自衛隊が米軍にお願いをして、それで米軍と協力して支援活動を行うことは、当然あり得ると思います。
 在日米軍の災害支援活動は、1人でも多くの命を救うというような人道上の活動であって、政府が例えば米国以外の国に支援要請を行って、その国の軍隊が救援に来てくれたときも、私は喜んで支援を受け入れます。私の使命は県民の命を1人でも多く助けることでありまして、助けてくれる者が誰かなどとは言っておられません。
 先ほど配備計画とかおっしゃいましたけれども、そういうよそからの援助を全部断って自前だけで動員する、そういう能力が、被災者の数や、あるいは被害を受けて困ってる人を上回ったら一体どうするんでございますか、というようなことを私は思っております。
 それで、こういうことが何ゆえ憲法の規定と矛盾するのか、まずじっくり聞かしてもらいたい、そんなふうに思います。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 1人でも多くの命を救うための人道支援だというふうに米軍が言ってるし、政府も言ってるわけなんですが、これまで、やはりこの米軍の基地自身があることによって起きてきた事故や事件で、一体、本当に何人の日本人の命、沖縄県の人の命が奪われたり傷つけられてきたでしょうか。沖縄県民はそれを身をもって知っているから、県民挙げての反対運動になっているというふうに私は思います。
 日米安保条約や防衛協力のガイドラインにも定められたものではない米軍の災害派遣ですね。私は、それを県の防災訓練で率先して活用することは憲法の規定と矛盾するのではないかというふうに申し上げたいし、そう思っております。私は、沖縄の県民──政治的にもこれから大きな選挙もありますが──その沖縄の人たちの犠牲の上に成り立つような日本の安全であってはならないし、和歌山の防災であってはならないということを申し上げたいと思います。
 次に進みます。
 危機管理監に、防災訓練について具体的に伺います。
 これまで政府は、オスプレイの事故率は海兵隊の平均より低い、安全だと言ってきましたが、これは2012年時点の数字です。その後も、クラスAの重大事故は起きています。県が防災訓練で活用するというのなら、現時点でのオスプレイの事故率を把握されているでしょうか。また、把握していないなら、公表するよう防衛省や米軍に求めるべきではないでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) オスプレイの事故率につきましては、平成24年9月に防衛省が公表しております。また、航空安全や事故調査の専門家から成る防衛省の分析評価チームの検証においても、安全な航空機として確認されたものであります。防衛省に確認をいたしましたところ、米軍に再度事故率の算出を求めるということはないとのことです。
 なお、県民の中にはオスプレイの安全性に不安を持っている方もいるため、今後も丁寧に説明をしてまいりたいというふうに考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 済みません、管理監、防衛省は米軍に事故率を求めるスタンスはないという御答弁でよろしいですか。(危機管理監、自席でうなずく)はい。私は、それは防衛省が求めないなら、県からも求めていただきたいというふうに思います。
 次の質問です。
 今回は県の防災訓練参加ということですから、オスプレイがどのような飛行経路をとるのか、飛行ルートそのものであるフライトプランと呼ばれるものを県でも把握する必要があるのではないかと思います。
 昨年10月に自衛隊と米軍は、滋賀県の饗庭野演習場でオスプレイを使った共同訓練をやりましたが、当初、日本海を飛んでくると言ってたのが、人口密集地の大阪や京都の上空を飛んできました。その上、滋賀県知事が琵琶湖上空は飛ばないでほしいという要請をしていたことも守ってもらえませんでした。小学校の上を飛んだことも、地元住民は目撃をしております。
 また、沖縄では、オスプレイ配備に当たっての約束がことごとく破られているというのは、地元では常識になっています。通常、米軍の施設及び区域内においてのみ垂直離着陸モードで飛行し、転換モードで飛行する時間をできる限り限定するという約束は守られていません。午後10時以降は制限されるはずの夜間訓練もやり放題になって、付近の住民から夜寝られないと苦情が出ています。その騒音レベルも80デシベルを超えているという報道がされております。「琉球新報」の9月10日付、手元にございますけれども、連夜、80デシベル超の訓練ということで、ずっと訓練が続いてる様子です。
 このように、米軍は約束を守ってくれていません。今回の県防災訓練で南紀白浜空港を使うなら、この白良浜側の海上から着陸しようとすると、どうしても住宅地上空や旅館、ホテルの上、病院などを飛ぶことになり、大変心配です。
 オスプレイが訓練で飛来する予定だった高知県では、オスプレイが県の要請どおり安全事項を守っているかどうか、県の職員をオスプレイに同乗させて確認をとる手はずをとることになっておりました。
 そこで、和歌山県の対応について伺います。
 訓練に当たって、オスプレイの飛行ルートの設定も含めて、住民への安全配慮はどのように米軍に要請されているでしょうか。危機管理監の答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 先月28日、29日ですが、米軍、それから防衛省・自衛隊、県の3者で、安全確認等のために白浜、串本の現地確認を行ったところです。その際に、私どものほうから米軍の担当者に対し、県内での飛行ルートは洋上を利用し、住宅地等の上空は避けることなどを要請しました。その際、米軍からは「応じます」という回答を直接いただいております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 しっかり安全確認のほどをお願いしたいというふうに思います。
 それでは、次の項目です。
 殿山ダムの水利権更新に当たって伺います。
 去る8月、地元住民の意向を踏まえて、白浜町から関西電力に対して要望書が提出されました。その内容を踏まえての質問ですので、よろしくお願いしたいと思います。
 ダムの耐震検査について伺います。特に、心配される南海トラフの巨大地震との関係です。
 白浜町からは、ダム本体と堤体両端の岩盤の強度、耐震などを和歌山県や第三者機関と協力をして客観的に検証してほしいという要望が出されています。この内容については既に平成23年の9月議会で私が取り上げておりましたが、このとき知事に答弁をいただきましたが、河田先生らによるとダムは安全だと言われているのでこれを支持するという内容でした。
 私は、先生の見解を否定するつもりはありませんが、先日視察に行った高知県では、まず県営ダムのうち重要な2カ所について、国交省がつくったマニュアルがありまして、大規模地震に対するダムの耐震性能照査指針(案)・同解説というマニュアルですが、これに基づいて耐震検査を行い、安全性を検証されておりました。この手法は、実は重力ダムと言われる重たいダムだけではなくて、アーチ式のダムにも適用が可能だということで、私は、ぜひ関西電力と県が協力をして殿山ダムの耐震検査をすることを求めたいと思いますが、県土整備部長の御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 殿山ダムにつきましては、本年4月に知事から、南海トラフ巨大地震を含めて耐震性能照査の結果を提出させること、提出された資料に対して県でも検証することなどの指示を受け、関西電力に対しても検討を要請してきました。
 このうち、ダムの耐震性につきましては、これまでも和歌山県地震・防災対策総点検専門家会議において、コンクリートダムは地震に対して十分安全性を有しているとの発言があったところです。
 そして、今回、関西電力からは、大規模地震に対するダム耐震性能照査指針(案)に基づいて、東南海・南海地震及び南海トラフ巨大地震を対象とした耐震性能照査を行い、その結果、耐震性を有しているとの報告を受けました。
 現在、県では、関西電力に対して耐震性能照査に用いたデータや照査方法の詳細について問い合わせを行い、その内容を鋭意検証しているところです。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 関西電力から耐震検査の報告書が上がっていると、もう県のほうに報告書自体が上がってるということで理解してよろしいでしょうか。うなずいていただいたらいいですが。(県土整備部長、自席でうなずく)はい、わかりました。ぜひ県のほうでも検証を進めていただきたいというふうに思います。
 2つ目に行きます。
 ダム決壊時の浸水想定です。
 ダムが地震などによって決壊したときのシミュレーションをやってほしいという要望もあわせて提出をされています。
 既に農林水産部が所管するため池では、決壊したときのシミュレーションが実施をされ、どのくらいの時間でどこまで浸水するかがハザードマップでわかるようになっております。コンクリート式のダムは安全性は高いとは思いますが、南海トラフ地震も起こり得る最悪のケースを想定して対策を行っています。そうならば、ダムについても、最悪の場合を想定して対応するべきではないかと思います。
 実際、1999年、台湾にありますダムでは、台湾の地震で、石岡ダムというんですが、現地名は何と呼ぶかわかりませんが、その重力式コンクリートダムの一部が決壊をしております。こういう事例もありますし、古くは、1963年のイタリア北部のバイヨントダムの地すべりによるダム津波の例では、ダム本体は壊れなかったものの、ダム湖に大量の土砂が滑り落ちてきたためにダム本体の上を100メートルの高さで水が乗り越えたと言われ、下流で約2600人の犠牲者が出ています。
 こうしたことも考えるなら、殿山ダムでもダム決壊時の浸水想定は必要ではないかと思います。県土整備部長の御答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 殿山ダムについては、南海トラフ巨大地震に対しても耐震性を有しているとの報告が、先ほど述べましたように関西電力からあったところであり、現在、県としてもその内容を鋭意照査しているところです。また、東北地方太平洋沖地震や兵庫県南部地震など、大規模な地震においても、ダムが決壊するなど安全性を脅かすような報告はなされておりません。
 このような状況を踏まえ、ダムが決壊することは想定されておりませんので、現在、決壊した場合の被害想定を行うことは考えておりません。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 この問題も随分長いこと議論もしてきたわけですが、ぜひ地元住民の要望も酌んでいただきたいというふうに思います。
 ダムの問題でいろいろ御答弁をいただきましたが、ダムによる水力発電は、自然エネルギーといっても、環境への負担と下流への危険性を考えるなら、私は、将来撤去することを展望に入れて今のうちから対応を考えていくべきだと考えています。
 また、地域住民からは、一度この問題でぜひ知事と直接お会いしてお話もしたいという要望も伺っております。そういう話があったときには、ぜひ知事にもお時間をとっていただけるよう私からも要望して、次の質問に移らせていただきます。
 済みません。県道の問題を飛ばしかけました。──県道日置川大塔線の改修について伺います。
 これはお手元にお配りしてる資料にも簡単な地図をつけさせてもらっておりますが、地図の赤いマーカーで塗った部分が今改修をしていただいてる区間で、青い部分がしょっちゅう浸水をする区間であります。
 この日置川大塔線は、日置川の河口部分と上流を結ぶ唯一の県道で、沿線の住民にとっては、生活道路であるとともに、いざというときの避難路として、まさに命の道でもあります。しかし、現実には、河川の増水によって必ず浸水するという区間があり、集落が孤立する事態もたびたび起こっております。
 田野井地区から下流部分の狭隘区間や線形の悪い部分の改修についてはかなり見通しが立ってまいりましたが、中流から上流の浸水が多発する区間では、道路そのものをかさ上げする必要があると考えます。このことも踏まえた県道日置川大塔線の改修についてどのように考えておられるのか、県土整備部長の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 県道日置川大塔線につきましては、現在、白浜町日置から大古に至る区間において平成23年度から歩道設置に着手しており、用地取得及び工事を進めております。
 また、平成24年度から白浜町矢田地内及び口ケ谷地内におきまして現道拡幅に着手しており、現在、矢田地内では設計が完了し、物件調査を行っております。口ケ谷地内では、用地取得が完了し、一部工事に着手しております。そのほかの区間につきましては、交通の支障となるところ、冠水するところなどあることは承知しておりますが、用地の協力が得られるのであれば、現在事業中の箇所の進捗を見ながら対応を検討してまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ぜひ改修のほうをよろしくお願いしたいとともに、この道も、やはり地域の幹線道路ですので、将来的にはぐっと丈夫な道につけかえていただくということも、また御検討いただければというふうに考えております。
 では、最後の質問です。
 木材利用の推進について伺います。これも、資料を2枚ほどつけさせてもらっております。
 高知県における木質バイオマス利用の取り組みについて紹介をさせていただきます。
 高知県の担当者のお話でまず印象に残ったのは、林業本来の役割である木材生産の明確な目標を持っているということです。原木生産量は、平成22年度で40万立方メートルを10年後の平成33年には81万にふやす計画です。目標だけではなしに、昨年から既に大型の製材工場が稼働して、この3年間で10万立方メートルの原木供給をふやすという、既に立派な実績もつくっております。
 また、地域でのエネルギー循環と資金の循環ということを強調されていました。これは、燃料代として重油など化石燃料を購入すればそれはそのまま県外への資金流出になってしまうわけですが、木質バイオマスを利用すれば地域内で資金が循環するという発想です。この結果、これまでの取り組みだけでも、年間、重油換算で4500キロリットルを削減し、金額にして4億5000万円の燃料代の域外流出を抑えたと推定をされておりました。そのことは、資料の下のほうにも書いてあります。
 平成21年からは、森林整備加速化基金などを利用して木質バイオマスボイラーの利用を促進し、現在208台のバイオマスボイラーが導入をされています。そのほとんどが木質ペレットを利用するもので、園芸施設では既に169台の導入実績があります。
 担当の方によりますと、最初の試験的な導入時にはほぼ100%の補助を出していたこともあるようですが、今は2分の1の補助でも化石燃料のほうが高いので普及が進んでおり、工場など製造業のボイラーでも、今導入するのはバイオマスボイラーがほとんどではないかと言っておられました。高知県産の原料が他府県のバイオマス発電などへ買われることも多くて、既に材料不足が起きていて、次元の違う悩みもあるようです。
 さらに、高知では来年には2カ所のバイオマス発電が稼働予定で、ここで18万トンの木質バイオマスが利用される予定です。このように、総合的に熱心に取り組まれています。
 そこで、和歌山県内の状況についてはどうか、伺います。
 県全体の木質バイオマス利用の施設数、そこでの利用量は、この間、どうなってきているでしょうか。また、木質バイオマス利用の実証実験として木質パウダーをつくってボイラーに活用する取り組みもされておりますが、これまでの状況と今後の課題について答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 木質バイオマス利用施設につきましては、平成25年度末時点で温泉の加温や製材の乾燥など、29施設あり、毎年ふえている状況であります。使用量も、施設の増加に伴いまして増加しており、年間約1万4000トンが利用されております。
 木質パウダーにつきましては、県内2カ所で製造しており、製造量は増加傾向にありますが、うち1施設については、原料である未利用材やおが粉の入手が困難になってきていることから樹皮との混合の試験製造を行っており、今後、製造コストの増加を懸念されております。
 また、利用状況としましては、温浴施設4施設12基のボイラーで使用されており、使用量も増加傾向でありますが、利便性を高めるために、さらなる設備の改善を検討されております。
 新たな利用方法としまして、平成24年度から25年度にかけて農業ハウスでの実証実験を行い、事業性を検討しましたが、技術面、コスト面で課題があり、実用化に至ってない状況であります。
 今後とも、木質バイオマスにつきましては、パウダー、薪、チップなどの多様な形での熱利用を進めるとともに、木質バイオマス発電も視野に入れ、取り組みを進めてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 木質パウダーを製造して、それを専用のボイラーで燃やすというのは、これはなかなか本当に特殊な技術で、普及に苦労されているのもわかります。今、部長が言われたように、まきやチップなど多様な形態で県内の中小業者が開発に参加しやすい、どっちかというとローテクの部分になると思うんですが、そうした分野で普及を図ることが大きく利用を伸ばして関連産業をも元気づけることに私はつながるというふうに思います。
 例えば、今普及が進んできているまきを直接燃やすまきボイラーというのもありますけれども、これなんかは災害時にも暖房にも使えるし、お湯も沸かせるなど、普及のメリットは大きいものがあります。こうした分野への活用も含めて検討していただけるよう要望をして、次の質問に移りたいというふうに思います。
 次は、新しい集成材CLTについてです。
 CLTとは、あんまり聞かれたことがない言葉ですが、クロス・ラミネーティッド・ティンバーの略称だそうで、ひき板の繊維方向が層ごとに直交するように──これまでの集成材だったらこうやって同じ方向へ重ねていたのを、直角に直交するように重ねて接着をしてつくったパネルのことで、集成材の1つであります。1990年代からヨーロッパで開発をされ、実用化がされてきた新しい木質の構造材料として、今注目をされております。
 その特徴は、大きな厚みのあるパネルで、分厚い材料全体で構造を支えるため、柱などなしで強く安定した性能を発揮すると言われています。既にヨーロッパなどではビルの8階建てというような建物もこれでできておりますし、短期間で建設をできるというメリットもあります。地震や火災にも強く、またパネル工法のため、現場での施工が容易でスピーディーです。
 日本政府も木材の需要を大きく伸ばすものとして期待しており、現在、国交省でCLT建築物の建築基準を作成中で、平成28年度にはできると聞いております。
 和歌山県でも、出足早く取り組んで、実用化の際に県産材をしっかり活用できるようにしておかなくてはならないと思います。今後の推進についての考えを農林水産部長にお伺いします。
○副議長(尾崎太郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 議員御指摘のように、CLTは、厚みのある大判の木質パネルの特徴を生かし、中・大規模の建築物に使用できる構造材として、海外では欧米を中心に急速に普及が進んでいます。
 国内では平成26年1月に直交集成板の日本農林規格が施行されたところですが、CLTを一般的な構造材として普及するためには建築基準の整備等が必要となることから、国土交通省と林野庁が連携して、強度データの収集と設計方法の実証実験に取り組んでいるところです。
 このように、CLTには大きな可能性があり、紀州材の新たな需要先として大いに期待できるものと考えております。
 本県では、現在、県内林業振興のために紀州材の増産と生産コストの縮減に取り組んでいるところですが、今後、CLTに関する国や業界の動向を注視しつつ、さらにこうした取り組みを積極的に進め、県内の木材産業関係者などと連携して、CLTを含めた紀州材の活用について研究してまいりたいと考えます。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ぜひよろしくお願いして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(尾崎太郎君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。

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