平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


平成26年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(全文)


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平成26年9月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成26年9月16日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第132号から議案第148号まで並びに諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第132号から議案第148号まで並びに諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 濱口太史
 2番 鈴木太雄
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 中本浩精
 10番 上田良治
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 岸本 健
 18番 森 礼子
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 立谷誠一
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
 36番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       市川靖之
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     石原康弘
 会計管理者      岩橋良晃
 教育委員会委員長   山本 哲
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      下田隆文
 人事委員会委員長   守屋駿二
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾崎善亮
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     西原龍也
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  午前10時0分開議
○議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第132号から議案第148号まで、並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕(拍手)
○服部 一君 おはようございます。
 殊のほか暑かった夏も過ぎまして、爽やかな気候となりました。9月定例会の一般質問、トップバッターを引き受けさせていただきました。たくさんのメニューを用意しましたので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 本題に入ります前に、さきの11号台風で広島県のほうにおいて豪雨による大変な被害が出ました。そして、大勢の方々が亡くなられました。亡くなられました皆さん方に、皆さんとともに御冥福をお祈りしたいと思います。また、被災された皆さん方にお見舞いを申し上げたいと思います。当和歌山におきましても、住宅、耕地に被害がありました。お見舞いとともに、早い復旧をお祈りしたいと思います。
 今回、通告さしていただきましたけども、たくさんのメニューを用意しております。特に農業というのは、財産を全て外に放り出して、自然との闘いであります。昔から、あしたと来年がありゃこそということで、辛抱と忍耐の連続であります。農業立県和歌山としては、農業振興の対策に力を注がなければならないと、このように思います。
 さて、通告のかき・もも研究所の移転を考えてはどうかということについて、農林水産部長にお聞きしたいと思います。
 私も、及ばずながら農業現役であります。御存じのように、和歌山県には、農林水産、9つの試験場、研究所があります。いずれも機能を発揮していただいているわけでありますけども、その中で今回、かき・もも研究所の移転をそろそろ考えてはどうかということで、現状を話しして、農林水産部長の意見をお聞きしたいと思います。意見によって、また知事さんのお考えもお聞きしたいと、このように思います。
 私、平成19年9月の定例議会の一般質問でこれを取り上げまして、提案をさしていただきました。当時、知事さんは就任されて9カ月目、農林水産部長は下林さんでありました。提案さしていただいた結果、知事さんは、ほかの研究所に比べて少し狭隘であると、今後、県庁の皆さんとともにいろんな角度から取り組んでみたいと、私もぜひ訪問をしたいと、このようにお答えをされました。以後、常陸宮さんが来られたときに随行、御案内されて、その後も行かれたと思います。
 農林水産部長は、再々ここへ行かれてるようにお聞きしてるわけなんですけども、このかき・もも研究所は、昭和の28年に開設されて、以後、名称が変遷をされる中で平成の5年に本館が建てられて、14年にかき・もも研究所に改組されたと、こういう経過であります。この資料は、かき・もも研究所へ寄せてもらって、要覧の中の一部を抜粋しておりますので、これをごらんいただきながらお聞きいただきたいと思います。
 私は、なぜこれを提案するかといいますと、当時19年に質問をしたときに、地域の人や農家から「ちょうどこれええ時期やし、このままの試験場では狭いぞ」と、こういう意見がありまして、「それもそやな」ということで提案をさしていただいたわけなんですけども、まず1つは、この資料にありますように狭隘であるということなんです。ウナギの寝屋のように細長く、中央に道路が通ってるわけなんですけども、研究所としての、研究したり試験の比較をするにしては狭隘ではないかと、こういうことなんです。で、面積が1.5ヘクタールなんですけども、試験の圃場が少ないということで、離れたところに40アール、4反ほど借地があるわけなんです。
 こういった状況からしまして、研究所の機能というのは十分果たしてるかどうかということが気になるんです。研究所というのは、いろんなことを研究しながら比較をして、そしてそれを参考にして農家へ推進していくと、こういうことだと思うんです。和歌山県内はもちろんのこと、紀北筋から奈良県の吉野までの間を管轄してるわけなんです。
 この表のとおり、柿、桃を中心にして、生産量においても全国のベストテンから5番以内に入ってるという、1つの果樹産地なんです。今後、状況によっては、まだまだ生産量がふえるという状況の中に私はあると思うんです。
 そこで、この状況からしまして、ひとつ今の時点で研究所の移転を考えてはどうかと。
 この研究所の移転、試験場の移転というのは、なかなか1年や2年で完成できるもんではないと思います。今の状況からしますと、可能性があるんです。どこの場所と言うとまた弊害が出てきますので、場所は言いませんけれども、可能性が十分あるということの中で、ひとつこれをぜひ研究してはどうかと、このように思うわけなんです。
 温室にしろハウスにしろ、規模が小さ過ぎると、温室の中に桃の木5本や6本、柿3本や4本植えて、それを研究して比較できるかどうかということが気になるんです。しかも、新品質の創出なり、あるいは農家による枝変わりの発見によって品質更新をしてるというようなことを考えますと、農家との提携というんか、結びつきというのも必要ではないかと、このように思うんです。
 今、桃の新品種、黄肉、肉の黄色いのが出されたと、こういうことなんですけども、私も研究所へ行って所長ともいろいろ話をしました。所長は何でも移転してほしいという考え方は持ってないわけなんですけども、いろいろ話をしている中で、これはぜひ将来に向けて考えるべきだなあということを私もつくづく考えました。
 特に、職員の数も少ないんではないかと、このように思うんです。試験場、研究所の職員数、25年度は160人で、26年には157人になってると思うんです。果たして職員の中に、そうした新品種の創出なり発見をしていくという研究員というのが何人ぐらいいてるんかと、このように私、思うんです。
 そうしたいろんなことから考えて、ぜひこのかき・もも研究所を将来を見据えた中で、時間もかかるということでありますので、私も、もう人生、そない長いことありませんので、将来の農業振興のためにも、また後継者のためにも、ぜひ今考える必要があると思うんですけども、農林水産部長、いかがでございましょうか。
○議長(坂本 登君) ただいまの服部一君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 貴重な御提案、ありがとうございます。
 幾つかの質問があったかと思いますけれども、まず圃場の面積の件につきましては、私も何度か現場を訪れました。現在の圃場、実際に研究の用に供していない、つまり柿とか桃を植えているけれども、いざというときのために、今、当面の研究には使っていない柿や桃を栽培しているエリアもございます。
 もし新たな研究の必要が生じました場合には、市、町、あるいは近隣のJAさん、あるいは近隣の農家の方々の御協力をいただいて、借り上げその他の方法で対応してまいりたいと考えております。
 それから、農家との提携、連携の強化でございますけれども、これはまさに議員御指摘のとおりでございまして、平成24年度に大幅に機構改革を行いました。その中で、試験研究機関と、それから各振興局の普及の現場、ここの人的交流を強化する、また振興局につきましては、農業振興課の中に普及を専門に担当するグループを置きまして現場の声を吸い上げるように改めたところでございます。
 それから、職員の数につきましては、いろんな見方がございますけれども、平成16年、今から10年前に比べまして、平成26年現在の試験研究機関の員数──職員数ですね──事務系職員、それから現業技能員の方々も含めまして、15%ほど減員になっております。行財政改革の中で私も大変つらいんですけれども、こういう状況になっております。
 かき・もも研究所につきましては、柿、桃が和歌山県のこれからの農業を支えていく重要な基幹産物の1つであるという認識から、その中で1名の増員を行いまして、平成16年10名に対し、現在11名の人員となっております。
 あと、将来を見据えての移転を今から考えてはどうかという御質問でございますけれども、現在、農林水産部の試験研究機関、9つございます。厳しい予算状況の中で順次整備を進めてきております。中には、建築後、新築後48年を経過した研究施設、また47年を経過した研究施設もございまして、かき・もも研究所は、新しいほうから申し上げますと4番目の施設でございます。もちろん、新しいからいいというわけではございませんけれども、そうした状況では、今のところ、農林水産部長としましては移転構想を検討するのは時期尚早であるかと考えております。
 以上です。
○議長(坂本 登君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 残念でありますけども、時期尚早ということであります。
 まず、その時期尚早の中に、現在の状況で、先ほどから言うような将来に向けての効果ということを発揮できるかどうかということなんです。1つは、財政的な問題も農林水産部長は考えているようであります。財政がもし許すんであれば移転を考えてもいいという考え方を持ってるんです。
 農林水産部長、あんたは東京出張所長をされて、有田の振興局長をされて、下林さんの後、農林水産部長になられて、定年退職して、手腕を買われて、今、農林水産部長なんです。農林水産のエリアというのは大変広いということの中で、全体を考える中で今部長が言われるようなことが出てくるだろうと思うんです。
 しかし、先ほどからこのデータ、資料にもよる中で、将来、この紀北筋、柿、桃、特に落葉果樹については、将来性とともに、後継者の問題とかいろんな問題が、条件がそろえばふえる可能性があるわけなんです。今のような状態で、こんなウナギの寝屋みたいな形の中で、試験、研究するけども、お互いに比較できるという状況を備えないとだめなんです。仮に新品質を創出しても、それが適地適作に合うかどうか、生産性がどうか、市場性、収益性がどうかということも、いろんな検討の中で、研究所でありますので、加工に向けた方法なり、いろんなもんも検討していかないかんと、このように思うんです。
 再々訪れたということでありますけども、無理に私は移転せよというような、そんなことは言ってませんけども、当時の状況からして、当時はうまくいくだろうなあというその条件に当てはまってたんですけども、管理棟も建てて間ないということでありましたし、いろんなことの中で検討するということが続いてる中で、7年間もたってるんです。いっこも変わってない。そろそろ将来を見据えた形でやっぱり検討すべきだと、このように私、思うんです。
 紀北筋の落葉というのは、かなりのウエートを占めてくるんです、これから。ですから、ひとつぜひ大なたを振って一遍英断をしてほしいなと。これ、お願いなんです。今までの件について、答弁の要請してませんけども、知事さん、どうお考えですか。
○議長(坂本 登君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私も、別にここだけではないんですけれども、実は白状いたしますと全部行ったわけでもないんですけど、できるだけ現場を見なきゃいけないといって、かき・もも研究所には行かしてもらいました。
 ただ、そのときは、服部先生の問題意識をそのままぶつけたわけじゃないんですけども、余り手狭で困ってるというような話は必ずしも現場の人からなくて、それで地形的にはウナギの寝床みたいな細いところなんですが、結構斜面でありまして、まさに私の感想なんですけども、和歌山県の果樹生産のロケーションをよくあらわしてるところにつくってあるなあというふうに私は思いました。設備も新しかったし、そこで皆さん頑張っておられて、士気も高かったんで、そんなにこれはまずいと思うことは、そのときは正直言ってありませんでした。
 増谷部長から説明がありましたように、研究所の機能は充実させないといけないということで、ソフトでやってみようということを数年前からやっております。すなわち、研究者の人が「これをやりたいんだ」というだけじゃなくて、農業の方とか、あるいは我々行政が「こういうことをやってもらわないと困る」というようなことも出して、それで「こういうこともやりたいんだ」というのを出して、みんなで議論をして決めて、それで議会にお願いをして研究費は倍にしてもらって、それで一番いい研究をしそうなところにたくさん配分すると、そういうふうにしたわけでございます。
 正直申し上げまして、私は、この研究所を何で移転せないかんのかなあというのは、はっきり言ってまだわかっておりません。しかし、賢明なる服部議員が一生懸命そういうことを主張されてるということは、これはやっぱりちょっと勉強してみないかんなというふうには思いますので、改めてこれからさらに勉強してまいりたいと思います。
○議長(坂本 登君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 展望が薄いようですけども、特に、御存じのように研究所の下に100戸ほどの新しい団地ができてるんです。前々から柿の葉や桃の葉が飛んできたということで、当時、役場の職員が掃除に行ったり、現在もやっぱりそうだと思うんです。消毒しようとしますと、了解を求めに行かんと、薬がかかる、風の向きにもよるというような、大変苦慮してると思うんです。それと、圃場が離れたところにあるということもありますので、私としては、やっぱり理想的な研究所にしたらいいのになと、こういうことでありますので、さらに一遍検討してみてください。
 次に、道路の美化について県土整備部長にお聞きしたいと思います。
 これ、私、提案とともに国交省への提言をお願いするわけなんですけども。県の管理責任はないので。和歌山県の道路事情というのは比較的悪い中でありますけども、仁坂知事さん初め国会議員の先生方、関係者の皆さん方によりまして、阪和道の南延長4車線、京奈和自動車道の来年度阪和道へのドッキングということで、将来に向けて大変ありがたい状況になっております。
 そこで、通告の道路美化について、国道24号線、京奈和自動車の紀北東道路の美化管理について提案をさしていただきますので、県土整備部長のお考えをお聞きしたいと思います。
 和歌山県は、観光立県であります。いよいよ来年、国体を開催するわけなんです。特に、施設のほうについては全て整備されたと、こういうことの中で、あと、運営の問題の中で、おもてなしを盛んに皆さんが考えていただいているわけなんです。おもてなしは、人のおもてなしもありますけども、私は、観光や国体に訪れていただく人の環境というもんも大きくおもてなしに影響すると、このように思います。
 今、ボランティアなり学生の皆さん方が花いっぱい運動に着手していただいて、大変ありがたいことなんです。そういった中で、国道24号線、和歌山から和歌山市内への道路なんです。約20キロほどあるわけなんですけども、これ、4車線で両サイド、粉河から岩出まではトチカエデ、川辺から市内に向けてケヤキが、等間隔で並木として植えられてるわけなんです。道路としては大変きれいな通りやすい道路で、大変交通量も多いわけなんです。
 そこで、この管理状況なんです。特に、資料の上側にあるこの2枚なんです。トウカエデ、ケヤキの下に、市内へ入りますとツツジが主なんです。それ以外はイヌツゲ、それからオタフクナンテン、アベリア等々がそれぞれの区間に植えられてるわけなんです。どのぐらいの間隔で植木の手入れをしたりしてるのか知りませんけども、なかなか草まぶれになってるわけなんです。交通量も多いし、渋滞してきますと、あの管理状況を見てますと腹立ってくるわけなんです。最近になって川辺周辺が手入れをされてきました。あれを見ますと、何てきれいやなあと思うことで心も和むと、こういうような状況なんです。
 20キロ近いこの距離、この並木が仮に桜であったらなあということを感じるわけなんです。植栽は、いろいろと検討されたと思うんですけども、これ、桜があの並木やったら日本一の名所になると思うんです。
 そこで、トウカエデ。粉河から岩出までのあの並木を見ますと、歯抜けになったり、勢力が非常に悪いんです。ここへひとつ桜を植えるという計画を提案してはどうかと、このように1つは考えるわけなんです。
 もう1つは、分離帯。この写真の両サイドにありますけども、草まぶれなんです。オタフクナンテンなんかは、ヨモギやススキの中でちらっと見えるだけで、本当にみすぼらしい状況があるわけなんです。手入れした後を見ますと、ほとんど草で枯れてもうて歯抜けになってるわけなんです。いっそ植えかえてしまったほうがいいと、安くつくというような感じもするわけなんですけども、そこで、まず国体までに国交省へ、これ、距離が長いですけども、美しい和歌山やなあというような状況にしてほしいということをぜひ提言してほしいんです。
 それと、もう1つは、管理から見まして、いろんなもの、先ほど言うようなもんを植えてますけども、1つは、ここに取り出したこれなんです。(現物を示す)これ、ヤブランという草花なんです。きれいでしょう。この心は飾らぬ人、知事さんのような花言葉なんです。これは多年草でありまして、今が花が満開なんです。7月から11月まで、これ、咲きます。実でふえたり株でふえるわけなんです。もううちの柿畑は、この花でいっぱいなんです。
 ひとつこれを低木の下に植えたとしたら、普通の除草剤の200倍の希釈量では枯れないんです。草を刈りますと新しい根が出て花が余計引き立つと、こういう花なんです。これ、日本列島に分布してるということでありますし、ぜひこれをひとつ提案をして植えてみてはどうかと。なかなか一挙にかなりのなにがそろわんと思うので、花き研究所あたりで遊休地を借ってこれを少しふやしてみて、これを一緒に植えたら、きれいな紫一面のじゅうたんになると、このように思いますんで。ひとつこれも提案をしてみてください。
 もう1つは、京奈和高速道路なんですけども、紀北東道路は、工法的に見て切り土と盛り土が非常に多いんです。この資料の下なんですけども、横から写真撮ろうと思うたて、前が草でわからんのです。これ、土砂の防止に、こういった草なりいろんなもんを──植えてるのか生えてるのかわかりませんけども、俗に言うカズラなりそんなんが一面なんです。今はしんぶしてるけども、やがて農家の病害虫の越冬場所になってくる可能性が十分考えられるわけなんです。
 本線の中の切り土については、あんまり美しくしますと、雨の日の車のようにスピードが落ちるので邪魔になるということが考えられますが、この写真のように、右岸の大規模農道に並行して紀北東道路というのは走ってるわけなんです。ここにシバザクラなりラベンダーを仮に植えたとしたら、管理はおんなしなんです。願わくば、そこへ紀の川なり和歌山という字を浮き彫りにするような発想をしたならば、これまた24号線とともに観光の1つになると考えるんです。
 表現が悪いんですけども、人の財産、国の財産をうまく利活用することによって和歌山県の環境、観光に1つは寄与できるんじゃないかと、このように思いますが、県土整備部長、いかがなもんでしょうか。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 道路の中央分離帯や植樹帯においては、自動車と歩行者の分離、運転者の視線誘導、夜間走行時の対向車の光の防止や都市景観の向上などの観点から、必要に応じて植栽を行っているものであり、除草や剪定につきましては、このような効果が十分に発揮されるよう、それぞれの道路管理者において実施しております。
 御指摘の国道24号の粉河から和歌山市までの区間につきましては、国土交通省が年1回の頻度で除草を実施しております。
 県としましては、平成27年の国体を迎えるに当たり、道路管理者である国土交通省に対し、街路樹の強剪定をしないことや、中央分離帯や植樹帯の植栽の維持管理について協力をお願いしているところであり、国土交通省からは、国体に向けて美化が図れるように努力すると回答をいただいております。
 街路樹や植栽の選定につきましては、和歌山県では郷土種を基本として、その必要性、維持管理の容易さなどを勘案して決定することとしておりますが、議員御提案の件につきましては、県のこうした方針も踏まえ、国において検討していただくよう申し入れたいと考えております。
 次に、京奈和自動車道紀北東道路の大規模な切り土や盛り土ののり面においては、工事施工時に種子吹きつけを実施しており、その後の維持管理につきましては、現在、自動車の安全な通行が妨げられる箇所や民地への影響を与える箇所など、必要に応じて除草を行っております。
 のり面の緑化につきましては、のり面の風化や浸食を防止するために有効であると考えておりますが、維持管理コストの低減や植える木や草が当該地域の環境に適しているかどうか配慮する必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、議員御提案の件につきましては、周辺景観との調和も含めて、先ほどの街路樹や植栽の剪定と同様、国において検討していただくよう申し入れたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 部長、あんまり国を怒らさんように、うまく県のプラスになるようにひとつ頑張ってください。
 次に、国体推進監。いよいよ来年に国体も迫ってまいりました。先ほどから言うように、いろんな施設もできて、これから運営が1つの課題であります。
 私、これから国体あるいは観光面も考えて、気になることが2つあるんです。1つは、市内に向けての道路が非常に混雑、渋滞をすると。今でもそうでありますので、これ、国体になりますとますます渋滞をしてくるだろうなと、このような心配をするわけなんです。
 もう1つは、メーン会場になる体育館、あるいは開会式、閉会式、競技を行う紀三井寺、あきばさんプール、ここらの駐車場の問題をどう考えているかと、こういうことなんです。
 特に、いろいろと意見を聞くわけなんですけども、あきばさんプールなんかは非常にいいのができて、高等学校の近畿大会なりいろんなもんをやられておりますけども、送り迎えしたり行ったりするのに駐車場に一番困ってるらしいんです。周辺に置く場所がない。近所へ頼んで何回か置かしてもうたて、やっぱりちょっと礼に行かんなんというような状況があるらしいんです。本当に私もあきばさんプールの駐車場へ行きましたけども、ほんまにそんなに駐車できない状況にあるんです。
 今後、国体開会に向けて、この駐車場の問題をいかに取り組んでいくか、いかに選手なり役員あるいは観客の駐車可能な状況にしていくかと、これが気になりますので、ひとついかに取り組むか、推進監、お答え願います。
○議長(坂本 登君) 国体推進監若宮茂樹君。
  〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) 紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会の円滑な開催のためには、会場周辺の駐車場確保はもとより、効率的な輸送や交通量の抑制、安全確保等、総合的な輸送対策が重要であると認識しております。
 両大会の開閉会式会場となる紀三井寺公園につきましては、先催県に比べ、その敷地が非常に狭く、加えて前回の黒潮国体以降、宅地開発等により、とりわけ駐車場の確保が大きな課題となっておりました。
 このため、県では、早期から会場周辺における民有地等の確保を進めてきたところですが、関係者の御協力により、現段階では、おおむね必要な駐車スペースは確保できている状況です。
 また、参加者の輸送につきましては、全国から多くの方々が来県され、交通混雑が予想されることから、輸送効率の高いバス輸送を中心とした輸送体制を構築し、宿舎や学校等からの計画バスや、駅、周辺駐車場からのシャトルバスといった、選手団や式典出演者、観覧者等に応じた運行を行うこととしております。
 今後は、参加者の人数が確定次第、出発地等をもとに詳細な運行スケジュールを策定し、検証を重ね、来年の本番に臨むこととしております。
 次に、駐車場の不足が予想される競技会場の輸送については、それぞれの主催者が、過去の国体・大会での実績も勘案しつつ、必要に応じて会場周辺に駐車場を確保し、パーク・アンド・バスライド等により輸送を実施していくこととしておりますが、県といたしましては、県民の皆様に対し、両大会期間中の会場周辺におけるマイカー利用の自粛を呼びかけるなど、和歌山市とも連携・協力しながら、国体・大会の円滑な輸送の実現に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(坂本 登君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 いろいろと対策を考えられておるようですけども、本当にこれ、駐車場、大変だと思いますんで、スムーズにいくよう、ぜひ皆さんともに頑張っていただきたいと、このように思います。
 次に、教育問題について、大変残念なことの一端をお聞きしたいと思います。
 教育長にお聞きしようと思うたんですけども、一遍教育委員長に登壇願いたいと思いまして、教育委員長にお答えいただきたいと思います。
 過日行われました平成26年度の全国学力・学習状況調査の結果において、小学校国語Aの都道府県順位が47位。今までそういったことはなかったんですけども、大変残念なことであります。知事さんも、新聞のコメントに、残念というよりも怒ってる記事が載って、当然だと思うんです。これは残念やということで。
 何でこんな結果が出たんかと。これはいろいろ原因があると思いますけども、これは生徒自身の実力であるのかどうであるのか、先生が悪い、下手かどうかわかりませんけども、こういった低迷した原因は何であったんか、今どういうふうに反省して考えているんか、将来浮上するためにどういうような対応をしていくのか、委員長、お答え願います。
○議長(坂本 登君) 教育委員会委員長山本 哲君。
  〔山本 哲君、登壇〕
○教育委員会委員長(山本 哲君) ただいま議員から御指摘いただいた本県の全国学力・学習状況調査の結果が、まことに残念なことに、2年続けて全ての調査で全国平均を下回りました。しかも、その差が拡大したことにつきましては、大変厳しく受けとめており、その責任を痛感しております。
 子供たちが変化の激しい社会をたくましく生き抜くための学力を確実に身につけさせることは、極めて重要であります。そして、その重い責務を負っているのが、ほかならぬ学校であります。
 そうした中、今回のような厳しい結果となった背景には、教員の意識のあり方、子供の学習意欲を高める指導の不十分さ、子供の力を伸ばし切れていない授業、家庭における学習時間の少なさ等、さまざまな課題があると考えております。
 こうした課題を直ちに改善していくため、このたび、教育委員会内に学力向上対策本部を立ち上げました。それによって、調査結果のより詳細な分析と、これまで実施してきた学力向上対策の検証をしっかりと行っていきたいと考えております。
 それとともに、全国学力調査で好結果を出している他県に職員を派遣するなどして、効果的な方策を学ぶことにより、真に成果の出せる学力向上のための具体策を作成し、市町村教育委員会との協力のもと、各学校にその具体策の実践を指導してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 原因はいろいろあろうと思いますけども、今後の対策については、委員長おっしゃるとおりだと思います。
 1つは、小学校の中で生徒数が極端に減ってきてるという学校、運動会やいろんなもんを見に行きますと、ええ意味での競争心がないように思うんです。100メートル走ってても、1番の子は後ろ向いてにこにこしながら待ってて一緒にゴールすると、こういうような状況で、ほほ笑ましい状況でありますけども、できるだけいい意味で競争をするようなチャンス、場面というのは、やっぱりつくるべきだと、このように思いますんで、今後ひとつ教育委員会の絶大なる努力を期待いたしたいと思います。
 最後に、ひとつ警察本部長にお聞きしたいと思います。
 本部長就任の御挨拶で元気よい挨拶を聞かしていただきまして、これは頼りになるなあと思った次第であります。
 警察官の皆さんの大変な努力によりまして、たまには迷宮入りもありますけども、大きな事件もなく、安全に過ごさしていただいてることに感謝を申し上げたいと思います。
 まず、通告しましたように、私、防犯カメラと監視カメラの違いなり、その設置状況についてお聞きしようと思ったんですけども、正式には街頭防犯カメラと捜査用カメラと、こういうことらしいんです。これ、捜査の関係も出てくるだろうと思いますので、答えにくいことについては省いていただいて結構でございます。
 なぜ、私、質問をしたいかということの1つを述べてみますと、私の地域は60戸余りの草深い山手なんです。その私の地域へ入ってくるには、3つの県道から入ってくるようになってるんです。それ以外は来られやんのです。ちょうど三差路の1軒の家の先代の木に防犯カメラが設置されたわけなんです。その場所というのは、バス旅行したり、いろんな会のときに待ち合わせしたりする、人の一番集まるとこなんです。誰となしに「おい、カメラ設置し出したぞ。監視されてるぞ」と、こういう話が出たわけなんです。「何であんなとこ、あんなん設置したんやろうな」といって本人に聞いたら、「わい、頼まれたんやけ、したんやいしょ」と、「もう3カ月の間でええと言うてるけど、まだついてら」と、こういうことなんです。
 現在、犯罪というのも大変巧妙な手口で、しかも低年齢化してるということの中で、この防犯カメラなり監視カメラの効果というのは犯人逮捕に大きく寄与してると、このように思うんです。
 そういった状況からして、和歌山県で警察が設置してる状況、あるいは市町村、あるいは民間、スーパーなりコメリあたりのああいうとこでやってる、設置してるカメラもあろうと思うんですけども、こういった状況について、どんな状況でどういうふうな効果を発揮してるかということをひとつお聞きしたいと思うんです。
 この防犯カメラというのは、設置してますという表示をしてますし、監視カメラについては、特にあれ、不法投棄の関係だと思うんですけども、「不法投棄監視カメラ作動中 岩出警察署 紀の川市」と、こういうのぼりが立ってますけども、カメラはついてないんです。
 そういった状況の中で、防犯カメラと監視カメラっておんなしカメラなのになあという気がするんですけども、違いを聞きたかったんですけど、もし捜査上ぐあい悪かったら結構です。そういうようなことで、ひとつカメラの設置状況、設置の効果についてお尋ねします。
○議長(坂本 登君) 警察本部長下田隆文君。
  〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) 議員から御質問のございました警察が管理する街頭防犯カメラは、犯罪の未然防止や犯罪発生時に的確な対応を図ることを目的として、現在、和歌山市、岩出市、田辺市の3市7地域に76台を設置しております。
 街頭防犯カメラを設置した地域においては、犯罪抑止のための各種施策と相まって刑法犯認知件数が全体的に減少しているほか、設置地域周辺で発生した強盗事件や放火事件について、街頭防犯カメラに記録された映像から犯人を特定し検挙するなどの効果が上がっております。
 このような現状から、街頭防犯カメラを設置することは犯罪の未然防止や犯人の検挙等に大変有効でありますので、県警といたしましては、今後も街頭防犯カメラの設置拡充について検討するとともに、各市町村や民間の防犯カメラの設置拡充についても積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、捜査用カメラの具体的な運用状況につきましては、捜査の手法にかかわることでございますので答弁を差し控えさしていただきますが、各種捜査に有効に活用しているところでございます。
○議長(坂本 登君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 以上で、質問は終わりますけども、どうぞ、県民のために安全・安心を目指して一層の御活躍を期待いたしまして、一般質問を終わります。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、服部一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問さしていただきますが、その前に、恒例ではありますが、NPO関係者と立ち上げから私もかかわってきました「おどるんや第11回~紀州よさこい祭り~」について御報告いたします。
 ことしは、去る7月27日、8月2日、3日と3日間開催予定でしたが、2日目の8月2日が大雨のため初めて中止となり、最終日の8月3日も、かなりの雨の中、何とか行われました。県内300社から広告協賛金と60店舗の出店参加費で3100万円の予算、そして90チーム、4000人を数える踊りの参加者で、県外からも有名なチームが参加するまでの大イベントとなりました。
 それは、今回から実行委員長になった内田嘉高君を中心に、市民の市民による市民のための祭りを盛り上げ、和歌山を元気にしたいという多くのスタッフに支えられ、同時開催の紀州おどり「ぶんだら節」も中止になったということもありましたが、3日間で昨年の観客動員数28万人からことしは4万7000人と大きく減少はいたしましたけれども、最後まで大きなけがもなく、事故もなく、かかわった者全員が生き生きと取り組んでおりました。
 最終日、仁坂知事にも雨の中お越しをいただいたことに心より御礼を申し上げるとともに、このような市民パワーも確実に育ってきているということをぜひ皆さんにも御認識いただければと思い、御報告をさしていただきます。
 それでは、質問に移らしていただきます。
 まずは、急激な人口減少問題であります。
 この問題は、他の議員もこの壇上で提起されてきましたが、私自身、平成15年4月に初当選し、初登壇した12月議会、今から約11年前に取り上げた大変重要な問題であります。
 ここに、そのときの一般質問と答弁を載せた私の県政報告があります。これ、11年前に出したものなんですが、この表題は「人口激減!どうする和歌山」であります。このとき使った資料は、直近の平成12年、つまり2000年の国勢調査のもので、同年、和歌山県の人口は107万人でした。それをベースにした国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の出した将来人口推計によると、10年後の平成22年、2010年には103万1000人でしたが、実際に10年たった同年の人口は100万2000人と、推計より2万9000人減少しておりました。
 また、平成22年の国勢調査をベースにした人口推計によると、20年後、つまり平成42年には82万人となっていますが、平成12年の国勢調査をベースにした平成42年の人口推計は、87万8000人からさらに5万8000人減少と、大変なことになってまいります。それに、平成22年から30年後に当たる平成52年には、71万9000人という驚くべき急激な人口減少が起ころうとしております。
 和歌山県の人口は、平成22年、100万2000人から、社人研の人口推計によると、平成52年、71万9000人ですから、28.2%の減少。ちなみに、県下の市──都市部です──市部では25.8%、町村部では36.5%、つまり市部では4分の1強、町村部では3分の1強、人口が減少することになります。中でも、紀美野町、高野町、古座川町、すさみ町は、人口が半分以下になるという数値が出ております。
 そこで、お手元の資料をごらんいただきたいのですが、これは「中央公論」の平成25年12月号に「壊死する地方都市」、「2040年、地方消滅。『極点社会』が到来する」。また、同誌平成26年6月号に「ストップ人口急減社会」、「消滅可能性都市896全リストの衝撃」というタイトルで、全国1799の市町村のうち896の市町村が消滅する可能性があるという非常にショッキングなデータが民間団体の日本創成会議から発表され、そこから和歌山県の市町村について引用したもので、人口減少率は私がつけ加えたものであります。
 ここで1つだけ、大変恐縮でございますが、訂正がございます。10番目のかつらぎ町、平成22年の総人口が1823人になってますが、これは私どもの間違いで1万8223だと思います。門先生、大変失礼いたしました。
 このデータの特徴は、子供を産む二十から39歳までの若年女性に注目し出されたもので、その割合が平成22年に比べて30年後の平成52年に50%以上減少している市町村に注目し、和歌山県では30市町村中、高野町、紀美野町、すさみ町を初め23市町村がそれに該当いたします。さらに、50%以下の減少でも人口1万人以下の町村は消滅する可能性があるということで、和歌山県でも広川町、日高町の2町がさらに加えられております。
 去る8月19日に東京で開催された、この提言をされた日本創成会議座長で、元岩手県知事、第1次安倍内閣と福田内閣で総務大臣を務められました増田寛也氏の「自治体消滅~人口減少社会の今、何をすべきか~」という講演を聞いてまいりました。
 ちなみに、岩手県知事当時の増田氏とは、私が北川正恭早稲田大学大学院教授が提唱したローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の初代共同代表を務めたとき、増田氏も同首長連盟の共同代表を務められていた関係で何度か御一緒させていただき、直接いろいろとお話を伺ったことがございました。大変客観的なデータをベースに冷静に話をされると同時に、当時から思い切った改革マインドをお持ちの方だなあという印象を持っておりました。
 これをお読みになった方もたくさんいらっしゃると思うんですが、日本創成会議によると、子供を出産する95%以上を占める二十から35歳までの女性が、平成22年に比べて平成52年が50%以上減少する市町村は、先ほども申し述べたとおり、和歌山県下30市町村で23市町村に上り、その割合の多さでは全国7位。詳しく申し上げますと、特に減少率が激しいのは、この資料のとおり、1位高野町83.0%、2位紀美野町78.8%、3位すさみ町78.5%というようになっております。
 また、これとは別に、平成22年の国勢調査をベースにした国立社会保障・人口問題研究所の人口推計では、人口減少率が最も高いのは紀美野町で、やはり平成22年と平成52年を比較して51.3%、2位は高野町で50.6%、3位は古座川町で50.3%、4位はすさみ町で50.1%となっております。
 和歌山県全体では28.2%の減少率で、平成52年には、これも先ほど申しましたとおり71万9000人になるということですが、この日本創成会議の試算によると、和歌山県全体で69万人になり、さらに減少するということであります。このとき、人口1万人未満の町村は、県下で現在の11町村から18町村になると言われております。
 これは、国立社会保障・人口問題研究所が出した将来人口推計に加え、大都市への人口移動の傾向を加味した上での推計値ですが、和歌山県でも若者の東京や大阪等への人口流出が激しく、今後も早急に手を打たなければまだまだ続くものだと考えられております。
 そこで、まず仁坂知事にお伺いいたしますが、この日本創成会議の発表を受けて、ことし7月の全国知事会議でも議題に上がったということですが、どのようにお感じになっていらっしゃるのでしょうか。
 実は、この問題を知事に以前から申し上げ、知事の御意見は、今やっている政策を推し進めることが人口減少対策であるということでありました。そして、今やっている政策の基本というのは、この平成20年4月に発表された和歌山県長期総合計画というのでありますが、この長計は10年計画、つまり平成29年3月に達成する目標をもって進められていることは、皆さん御存じのとおりであります。
 それでは、この142ページ、第3章なんですが、ここの1節「計画推進により達成する将来」のページに、「①10年後の和歌山県人口の見通し」の1に、以下のことがはっきりと書かれています。それは、これまでの人口推移に基づく将来人口推計の中に、直近の2005年、平成17年は103万6000人で、長計の最終年の「2017(平成29)年の本県の人口は、92.8人程度になると見通されます」と書いております。
 そして、2番目に、「政策効果を加味した将来人口推計」で、「本計画に掲げる取組による効果が最大限に発揮された場合においては、その将来人口は次のように考えられます」ということで、2017年、平成29年には人口97万5000人。減少するとはいえ、これぐらいになるという数字を上げられておるんですが、実は本年4月の段階で97万4000人と、既に目標とする数字を1000人切り、年間1万人近くが減少するという現実を踏まえてみれば、あと3年間で増加することはまず不可能であり、残念ながらこのままでは人口推計と余り変わらない人口減少になるのではないでしょうか。
 その辺を踏まえた上で、人口が減少するのは全て悪いというのではありませんが、急激な人口減少は、いろんな面から避けるべきであると私は考えております。それだけに、きちっとした目標を定め直した人口減少対策を考えるべきではないでしょうか。
 既に他府県では、21道府県ほど、この急激な人口減少問題に対しての対策会議等を立ち上げたと聞いておりますが、和歌山県では、人口減少対策本部を立ち上げる気はやはりないのでしょうか。仁坂知事、御答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 人口減少問題は、産業の衰退やコミュニティーの崩壊による伝統文化の喪失につながるなど、大変深刻な問題であると認識しております。最近、この問題が議員お取り上げになったレポートで急に話題になっておりますけれども、もともと和歌山県にとっての最大の問題でありまして、県の長期総合計画において、人口減少を最大に食いとめるためにどうしたらよいか、もともと徹底的に議論をしてきたところでございます。
 議員御指摘のように、長期総合計画における平成29年の人口について、何ら対策を講じなかった場合は92万8000人になると推計をいたしておりますが、一方、いろいろ議論の結果、でき上がってきた積極的な企業誘致による雇用の場の創出、都市からの人口流入を図る移住交流、結婚から妊娠、出産、子育てと切れ目のない少子化対策など、いろいろと盛り込まれた施策がちゃんと行われて、その効果がうまく発揮されてきた場合は97万5000人ぐらいにとどめることができるかなあ、あるいはとどめなきゃいかんというような目標を掲げているところでございます。
 この実現のためにずっと悪戦苦闘してきたわけでございます。しかし、自然体の推計は上回りそうだという気はしますけれども、この目標のほうは下回りそうな感じでございます。したがって、引き続き、社会減、自然減の両面から人口減少対策を講じる必要があると考えておりまして、毎年、新政策の検討の際など、全庁挙げて知恵を絞っているところでございます。
 人口減少対策本部の立ち上げについては、このようにずっと県全体がいわば人口減少対策本部で必死で取り組んできたところですから、改めて、大変、大変と、いわば格好をつけて取り組むという性質のものではないと私は思っております。
○議長(坂本 登君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、御答弁ありがとうございました。
 今申しましたとおり、もう既に長計の目標とする数字が完全に下回ってるということでありますし、まだまだこれから減っていくという現実を見ていきたいと思いますが、私は、対策本部を設置することが目的ではなしに、やはり今も申しましたように、急激な人口減少だけは避けるべきだということで今回申しましたが、知事は御答弁のとおりでありますから、今後は、また客観的な人口の減少ということについて、推移ということについてしっかりと見ていきたいと、そのように思っております。
 それでは、次に移らしていただきます。
 私は、急激な人口減少という現実を広く県民の皆さんに情報提供し、危機感を持っていただくことは、大変意義があることだと考えております。しかし、むやみに危機感をあおるだけでは、県民の皆さんが将来に対して不安だけを持つことになりかねません。当たり前のことですが、それではどうしたらいいのか、対策を早急に練って県民の皆さんに提示していかなければならないと思います。
 そこで、この日本創成会議では、その対応策として、若者に魅力ある地域拠点都市を中核とした新たな集積構造の構築を目指すべきであると提言しております。その条件としては、政令指定都市及び中核都市で──人口20万人以上ですが──昼夜間人口比率1以上の都市を中心に、高次の都市機能の集積を図るべきであると言っております。つまり、特に若い人材を大都市に流出させないで和歌山県内に残す人材のダム機能づくりを集中的に行うべきだということであります。
 これは増田氏を座長とする日本創成会議の提案ですが、既に昨年5月に、総理の諮問機関である第30次地方制度調査会の答申で地方中枢拠点都市圏構想が出され、その推進要綱をこの8月25日に制定されております。
 また、その前に、全国で中核都市を中心に61市を選択し、6月27日に、その中で新たな広域連携モデル構築事業として、岩手県盛岡市や兵庫県姫路市など9つの市を中心に、近隣市町村を含めた地域が指定をされております。和歌山市も中核都市でありますから、最初の61の中に入っておりますが、指定された9つの地域の中には入っておりません。
 もちろん、これはその中心となる都市が周りの市町村の同意を得て手を挙げなければいけないのですが、ここで少し危惧するのは、和歌山市自体に、この急激な人口減少問題についての認識が少々欠けているのではないかということであります。それだけに、県が率先してこの問題を本当に危機として捉え、和歌山市だけではなく、その市町村や県民の皆さんに強く働きかけていく姿勢が必要ではないかと私は思います。
 そこで、地方中枢拠点都市圏構想のモデル事業に次回ぜひ指定されるように強く働きかけてはいかがでしょうか。総務部長、御答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 地方中枢拠点都市圏構想とは、人口減少・少子高齢化社会にあっても地域を活性化し地域経済を持続可能なものとし、住民の方々が安心して快適な暮らしを営んでいけるよう集約とネットワーク化の考え方に基づきまして、地方圏における中心都市が近隣の市町村と連携して人口減少に対する拠点を形成することを目指すものでございます。
 議員御指摘のとおり、平成26年度につきましては、対象となる全国61団体のうち、先行的モデル団体として盛岡市、姫路市など9団体が総務省の委託を受けて取り組みを実施する予定となっております。
 本県におきましては、和歌山市が地方中枢拠点都市の要件を満たすところでございます。したがいまして、和歌山市及び近隣市町村に対する制度の情報提供や市町間での意見交換の場の設定など、地方中枢拠点都市圏構想の検討につきまして積極的に支援してまいります。
 また、県としましては、県全体の人口減少の克服に資するよう、この地方中枢拠点都市圏構想の検討も含め、さまざまな施策を行ってまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 総務部長、御答弁ありがとうございました。
 地方中枢拠点都市圏構想の検討につき積極的に支援してまいりますとの力強いお言葉をいただきまして、大変うれしく思っております。
 実は、先ほども言いましたように、人口減少問題は、私が県会議員になってからずっと追っかけていて、事あるごとに公の場でも発言してきたのですが、大変難しい問題で、なかなか具体的な対応策というのは今まで見えておりませんでした。しかし、国も本腰を入れてこの問題に取り組もうとしているようですので、ぜひ総務部長、出身官庁である総務省に積極的に働きかけていただくことを強く要望いたしておきます。
 以上でございます。
 それでは、次に移らしていただきます。
 次に、和歌山市のまちづくりについて質問をさしていただきます。
 1問目では、推計とはいえ、将来人口を表示し、急激な人口減少社会の現実を示させていただきました。また、日本創成会議が、この人口推計を踏まえた上で地方の1つの生き残り策として地域拠点都市という考え方を出し、さらに、総理の諮問機関である第30次地方制度調査会の答申を受け、総務省も既に地方中枢拠点都市圏構想のモデル事業の指定までしております。
 そのような中で、県内唯一の中核都市の和歌山市の将来像を考えたときに、私は、まず駅中心のコンパクトシティーづくりを進めることが、今後、人口流出をとめるダム機能を持った都市づくりに大変重要ではないかと考えております。ここで言う駅とは、JR和歌山駅であります。
 これは、昨年の9月議会で提案した夢の阪和35分通勤快速に続く私の提案第2号でありますが──もちろん、この阪和35分構想はJRや沿線の駅などの相手があってなかなか難しいことは承知の上でしたが、ここで私が言いたかったのは大阪という職場を住居に近づける職住近接であり、それから、これから提案するのは、医療・福祉施設と住居を近づける医住近接、並びに市場、スーパーなどと住居を近づける商住近接によって、人口減少と、今回詳しくは言っておりませんが、超高齢化がより進む中で生活者にとって便利なまちづくりであると同時に、まちを再活性化し、にぎわいを取り戻すものであると私は考えております。
 実は、今から8~9年前になりますが、青森市にコンパクトシティーの視察調査に行ったときから、このようなことを私自身ずっと考えておりました。そして、たまたまなのですが、この7月の15日に和歌山商工会議所で8月10日投票の和歌山市長選の討論会があると聞いたので出席したところ、和歌山市まちづくり戦略研究会という会の研究報告会が先にありました。別にそのことを聞きに行ったわけではないのですが、配付された資料を読み、報告の内容を聞いていると、私が以前から考えていたことと同じ人口減少社会を前提としたまちづくりの戦略についていろいろと発表されており、勉強になりました。
 そもそも、私自身、この和歌山市まちづくり戦略研究会という会を全く知らなかったのですが、資料を読みますと、平成8年、和歌山商工会議所、和歌山大学、和歌山社会経済研究所の3者でつくられた研究会で、17年にわたり和歌山市のまちづくりについて研究し発表されてきたということでありました。
 ここに、そのとき配付された資料がございます。「持続可能なまちづくりを目指して~わかやま!LOHAS2040~」ということでありますが、ちなみにロハスとは、LOHASというのはライフスタイルズ・オブ・ヘルス・アンド・サステーナビリティーの頭文字をとったもので、健康で持続可能性があり、また、これを重視する生活様式ということで、私が考えていた、生活者を起点とし、健康で長生きでき、ずっと暮らせるまちづくりのコンセプトにぴったりでありました。
 ここで、その全てを披露するわけにいきませんので、重要な部分だけを抜粋して御紹介させていただきますと、「第一章 和歌山市まちづくり戦略の必要性と方向性」の中に、地域活力復元(産業・コミュニティ・切り札)、またコンパクトシティ(都市機能効率化・拡散防止)、そして「方向性の提示」では2つ示されており、「歴史・文化の鼓動と地域の力が こころの豊かさと未来への希望と誇りを生むまち」と、「生活者視点に立った多様な主体による『多核連携型コンパクトシティ』の形成」とうたわれております。
 また、第2章の「地域経営システム(エリアマネジメント)の導入」の1の(1)では、「人口減少に合わせた都市づくり」の中に、「これまでの都市づくりは、人口増大を想定して拡張型の都市づくりを進めてきた。これからの都市づくりは、人口の減少に合わせて縮小型の都市づくりをめざす必要がある」と書かれており、私は全くそのとおりだと思うのですが、しかし、和歌山市では、つい最近、郊外型の大型ショッピングモールができ、また、以前からその近辺で広大な山を切り開き、宅地開発が現在も行われているということは周知の事実であり、なぜこのようなすばらしい提案があるにもかかわらずそれが生かされていないのか、不思議でなりません。
 いわゆるニュータウン、ベッドタウンともいいますが、分譲されたときは若い夫婦が住みますが、やがて子供たちの世代が働き出すと家を出る割合が他の地域より多いようで、まち全体の高齢化が他の地域より進みぐあいが速いということは、東京の多摩ニュータウンや大阪の千里ニュータウンを見るまでもなく、橋本市の城山台や三石台の高齢化が県平均値より進んでいるということでも明らかであります。
 この理由については、次の世代がより安い土地で利便性の高いところに住むということもあるでしょうが、まちそのものに歴史や文化、それに商店など生活に根差したものがないと、なかなか住みつかないということもよく耳にいたします。
 そこで、和歌山市のまちづくりを考えた場合、やはりもとの町なか、旧市街地ということになるのですが、現実には町なかの空洞化も進み、そこにどのようにして人に戻ってきてもらうのか、また、どこから手をつけるのかということをいろいろと考えた末、私は、やはりJR和歌山駅周辺という考えに至りました。
 先日、私ども改新クラブの視察で、石川県金沢市、富山県高岡市、さらに富山市に視察調査に行ってまいりました。3市とも、来年3月14日に北陸新幹線が開通するということで大変なにぎわいを見せていましたが、中でも金沢では、駅構内にある金沢ターミナル開発株式会社へ伺い、平成19年から3年間、JR西日本和歌山支社長を務められた辻子社長にお会いし、大変示唆に富むお話を聞かせていただきました。その言葉をおかりすると、「行政は立場上、あちらもこちらも皆にひとしく手を入れようとするが、これからの時代、地域を発展させるためには1本の塔を立てなければいけない」ということでありました。
 それを和歌山市に当てはめると、やはり利便性の高いJR和歌山駅周辺ではないかと私は思います。幸い和歌山市の市長には、先般、県土整備部長であった尾花氏が当選されましたので、その市長と協力しながら進めていくべきだと私は考えております。
 また、駅周辺の再生に当たっては鉄道事業者など民間事業者とも連携しながら進めていくべきだと私は考えますが、県土整備部長の御答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) JR和歌山駅は、大阪方面、奈良方面から県南につながる県内外からの人流、物流の中心であり、南海和歌山市駅や和歌山城周辺とあわせて、和歌山県経済の中心としてまちづくりの重要な拠点であると認識しており、尾花市長の9月8日の所信表明においても、これらが町なか再生の重要な拠点であると述べられております。
 JR和歌山駅周辺のまちづくりにつきましては、平成23年度に、和歌山市やJR西日本和歌山支社など、周辺企業を含む6団体で構成されたJR和歌山駅前活性化協議会が設置されており、今年度からは県も都市再生の実現に向けて積極的にかかわっていくために、県土整備部、企画部、商工観光労働部も正式メンバーとして参画したところです。
 県としましては、都市を再生していくためには、都市の外縁部拡大を抑え、町なかの再開発などによって再活性化を図っていく必要があると考えておりますが、今後とも市とともに協議会などの場も活用して、鉄道事業者を初めとする民間事業者への働きかけを行い、駅周辺の活性化や県都和歌山市の都市再生に取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 県土整備部長、御答弁ありがとうございました。
 このJR和歌山駅を中心としたまちづくりについては、今、部長からもお話がありましたけれども、JR和歌山駅前活性化協議会が、私は大変大きなポイントであると思います。
 先般、金沢から帰ってきまして、早速JR西日本和歌山支社を訪ねまして──その前にもお会いしてたんですが──川井社長や田中企画課長にお会いして、今後、和歌山におけるJR和歌山駅の重要性と周辺開発の必要性を、初対面にもかかわらず、私がいきなり熱く語り出したもんですから、相手の方は何かハトが豆鉄砲を食ったような顔をされてましたが、しかし、その趣旨は十分伝わったと私は確信をいたしておりますし、ぜひ部長、この和歌山市と一緒にJR和歌山駅前活性化協議会に強く働きかけていただいて、早急に1歩も2歩も進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に移らしていただきます。
 次は、題名からお話しさせていただきますが、南海本線のJR和歌山駅への引き込みについてであります。
 昨年12月議会において、同僚の片桐議員の貴志川線の、JR紀勢本線を活用し、和歌山市駅へ乗り入れたらどうかという提案に対し、企画部長は、「各社の電車がふくそうすることによる安全確保の問題、自動列車停止装置など保安設備の相違、それからJRと南海、和歌山電鐵では車両の幅が異なるため、ホームの改良が必要になるなど相当の経費を要し、各社とも採算が見込めないなど、相互乗り入れ実現には克服すべき課題が多くある」とのことで、実現するのは大変難しいという答弁でした。
 そのことは十分承知の上で、最初の質問の全国より早く進む急激な人口減少、それに超高齢化、さらに、その対策として地方中枢拠点都市圏構想などという観点も含めますと、本当に和歌山県、和歌山市の再生を望むのであれば、まずJR和歌山駅を中心にするコンパクトシティーを進め、そのためにこの際、片桐議員の提案だけではなく、私は、南海本線をJR和歌山駅に引き込むこともあわせて考えて、同駅に鉄道を集中させるぐらいの大胆な発想が必要であると思いますが、企画部長、御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(坂本 登君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 南海本線のJR和歌山駅への引き込みについてでございますが、コンパクトシティーの実現のためには、拠点間、居住エリアを結ぶ鉄道やバスなどの公共交通ネットワークの構築が必要であると考えておりますので、まちづくりと一体となって取り組むことが重要であります。昨年12月に施行された交通政策基本法においても、交通に関する施策については、まちづくりの施策と連携を図りつつ、総合的かつ計画的に実施するものとされているところでございます。
 南海本線がJR和歌山駅まで、また貴志川線が南海和歌山市駅まで、加太線がJR和歌山駅まで乗り入れるなど、鉄道の相互乗り入れは、利便性の向上やまち全体の活性化等に効果があり、コンパクトなまちづくりに資するものでありますので、県として鉄道事業者に強く働きかけたところ、県と鉄道事業者の間で相互乗り入れ実現に向けた課題を検討する勉強会を立ち上げることになり、今、その準備を行っているところでございます。
 議員のお話にもございましたけれども、自動列車停止装置など保安設備の相違や車両幅の違いによるホームの改良など、相当の費用が見込まれることから、経費面で克服すべき課題は多いのですけれども、実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(坂本 登君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 企画部長、御答弁ありがとうございました。
 鉄道の乗り入れについて、「実現に向けて積極的に取り組んでまいります」という御答弁、私にとりまして予想以上に前向きで、大変うれしく思っております。しかし、繰り返しますけど、実際にこれくらいのことは実行していかないと、和歌山再生の機会を私は失ってしまうと本当に思っております。
 ちょっと知事には、くどいようですけれども、先ほども申しましたとおり、長計の目標とする人口、これぐらいで残しとくという人口をもう既に下回っているんですね。しかも、この人口推計を立てたときのあのデータというのは、いわゆる低位のデータで、比較的ハードルが低いデータなんですよ、あれは。それを下回ってくるということは、私は今後ともこの人口減少というのがかなり進んでくると思っておりますので、ぜひとも今言う南海本線のJR和歌山駅への引き込みということについて前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 これは、もし南海本線がJR和歌山駅に乗り入れたら、今度、JRと南海本線が、和歌山から大阪へ行くのに、いい意味で私は競争が起こると思うんです。そして、昨年の9月に私がした、とっぴな質問かもしれません、提案かもしれませんけれども、夢の阪和35分通勤快速というのが、そうなってくると決して夢ではなくなってくるというふうに思っております。
 改めて申し上げるまでもなく、企画部長の御答弁は、人口激減・超高齢先進和歌山県にとって夢と希望の光を当てていただく力強いものであると私は思っておりますので、ぜひ実現に向けて頑張っていただきたいと要望しておきます。この件につきましては、私が議員でいる限り、またしつこく質問させていただきますので、どうぞ覚悟してください。
 以上でございます。ありがとうございました。
 3番目に、健康長寿日本一わかやまの実現についてであります。
 おかげさまでこのテーマについて、何度もこの壇上や委員会で質問し、そのたびに知事初め福祉保健部長、教育長には、大変誠意ある御答弁をいただくことができました。また、私なんかよりも数十倍の発信力がある仁坂知事におかれましては、健康推進員など健康長寿日本一わかやまに取り組む真摯な姿勢をテレビなどマスコミを通じて強く訴えてくださっているので、県民の皆さんにもこのことの重要性が、少しずつですが、浸透してきたのではないかと大変心強く思っております。
 くどいようですが、人口激減・超高齢先進県の我が和歌山県の将来を考えたときには、これは私も含めて年をとっていくのはいたし方ないことですが、できるだけ医療や福祉の世話にならずに元気で一生を全うできるような健康な人づくりが本当に大事であると日々確信をいたしております。それだけに、健康長寿日本一わかやまの実現は、決してかけ声倒れにならずに、ぜひとも達成すべき大きな目標であります。
 知事初め県幹部並びに県議会の先輩・同僚の皆さんの御協力を得て今後もこの問題に取り組んでいきたいと存じますので、どうぞ御協力のほどよろしくお願いを申し上げ、質問さしていただきます。
 さて、次に、昨年9月議会で、健康長寿日本一わかやまを実現するために、3つの明確な御答弁をいただきました。それは、県庁内に健康推進課を中心に医務課、長寿社会課、スポーツ課など10課1室で健康長寿日本一わかやま推進会議をつくり、その推進会議がヘッドクオーターとして庁内全体をまとめて、そして県全体をリードしていこうということであります。
 また、県民の皆さんにお願いをし、本年度から年間500名、5年間で2500名の健康推進員を養成し、さらに年間200名のラジオ体操の指導者を養成すると同時に、県内15カ所で約1000名の県民の皆さんにラジオ体操を学んでもらおうということでありました。
 余談ですが、先ほども申し上げましたとおり、県民の健康に対する意識が高まりつつあり、私も参加をいたしましたが、ラジオ体操の指導員養成講習会や健康ラジオ体操教室が、予定より参加者数が多く、また回数も多く行われているということを聞いております。
 ラジオ体操の進捗状況につきましては私が所属する文教委員会でまた詳しくお聞きするといたしますが、ここでは健康長寿日本一わかやま推進会議と健康推進員の進捗状況について、福祉保健部長、御答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 健康長寿日本一わかやま推進会議につきましては、8月に第2回会議を開催し、構成各課室における健康づくり関係事業について取りまとめ、情報共有を行ったところです。
 今後は、事業の体系整理や共通課題の分析を行った上で、人材育成やイベントの共同開催など、相互に連携することにより一層高い効果が得られる取り組みの推進を図ってまいりたいと考えております。
 また、今年度から開始した健康推進員制度につきましては、現在のところ、23の市町で約300名の健康推進員の設置を予定しております。引き続き目標の500名の達成に努め、健康推進員によるがん検診等の受診啓発や健康づくり関係行事への参加の呼びかけ等、県民の健康づくりの草の根運動を進めてまいります。
○議長(坂本 登君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 福祉保健部長、御答弁、本当にありがとうございました。
 一昨年の9月議会から、この健康長寿日本一わかやまの実現について、質問並びにいろいろと提案をさせていただく中で、部長や直接の担当の健康推進課長には、大変御苦労をおかけして申しわけないなという気持ちと同時に、一生懸命取り組んでいってくださる姿勢に心から敬意を表するものでございます。本当にありがとうございます。
 しかしながら、この健康長寿日本一わかやま推進会議が、ことしの2月とこの8月、2回開いていただいたということですが、どうも私が議会で質問をする前にしか推進会議を開かないような雰囲気でありまして、決してアリバイづくりとは言いませんけれども、この推進会議は、庁内の会議であると同時に、ぜひ御認識いただきたいのは、県全体、県民全体を引っ張っていくという、そして必ず健康について、日本一長寿で健康な和歌山県をつくるということですから、そのことをぜひ強いミッションを持っていただいてさらに取り組んでいただきたいと要望しておきます。
 次に、健康推進員について、現在500名の目標のところ300名まで設置したということで、これも本当にいろいろ御苦労されてるなということはお察しいたします。しかし、いろいろ聞きますと、肝心の人口の一番多いこの和歌山市については余り進んでいないようでありまして、ここに私、1人でありますけれども、健康推進員の候補者がおりますんで、私はもう心の準備ができておりますんで、いつでもお声がけいただいたらイの一番に飛んでいきますんで、ぜひ和歌山市についても早急によろしくお願いいたします。
 それと、これもくどいようなんですが、教育長、ラジオ体操の指導者200人、ことしつくっていただくということで頑張っていただいてます。また、健康推進員500名つくっていただくということで頑張っていただいてるんですが、これは決してつくって終わりじゃないんですよ。つくったところから始まるわけでありまして、その方たちが本当に地域で活動していただかなければ絵に描いた餅で終わってしまいますので、老婆心ながらあえて申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、最後に、本年3月に発表された第3次和歌山県健康増進計画について質問さしていただきます。
 この原案が昨年12月に出されたとき──これはそのときの原案ですね。(資料を示す)──この原案をじっくりと読ましていただきましたが、どうもしっくりこないんですね。目標設定についても第2次とさほどかわりばえがしないし、いわゆる目標値を掲げて、それに対する到達点を書いたところがありますけれど、丸、三角、バツとあるんですが、結構バツも多いんですね。これは、もうしょうがないわという感じで書かれているということと、しかしながら、今度、本チャンといいますか本物の、ことしの3月に完成した計画書、これ、冒頭見たところ、これにはなかったのですが、この冒頭には仁坂知事の言葉で「本計画は、健康増進法に基づく健康増進計画であるとともに、県政の指針となる和歌山県長期総合計画が目指す健康長寿日本一わかやまの実現に向けた計画です」とはっきりと書かれているのを見たとき、まさにこれは日本一を目指すための計画なのだと初めて確信をいたしました。
 それならば、この15ページに書かれているんですが、ちょっと長いんで簡単に言いますけれども、健康寿命の延伸という項を改めて見ますと、健康寿命、男性で70.41歳、これ平成22年で、実は私が前に提示した平均寿命、健康寿命とちょっと算出の違い、健康寿命とは違いまして、私は健康寿命については平均寿命から介護認定期間を引いたものをざっくりと書かしていただいたんですけれども、単に平均寿命から、平均寿命が増加した分を上回る健康寿命の増加ということしか書いてないですね、これには。これをさらっと読みますと、ああそんなもんかなと思いますけれど、余りにもこれが消極的で、先ほど言いましたように、知事が日本一を目指すための書なんですよ。これ、バイブルなんですね。それについて考えてみると、とてもこれでは日本一を目指せないんですよ。
 平成24年9月議会で、このときは平成17年の国勢調査の資料をもとに平均寿命と健康寿命、今も言いました一覧表を提示しました。(資料を示す)御記憶あると思うんですが、こういうものを提示さしていただきました。
 一例として、和歌山県の男性の平均寿命が78.04歳で全国で41位、健康寿命が75.06歳で、さらに下がって42位で、全国1位の長野県の平均寿命79.68歳、健康寿命77.02歳を超えるには、平均寿命が──このときちゃんと提示しておりますけれども、どちらも、平均寿命も健康寿命も2歳から3歳、現在より上回らなければならない──男性の平均寿命で80歳、健康寿命で78歳ということを、目標年齢まで私は提示をしております。それで、これで日本一が達成されるということもこの場で言わせていただきましたけれども、日本一というのは、逆に言うと、それほど厳しいもんなんですよというのを私は言いたかったんです。しかし、この計画では、日本一を目指すには余りにも気概というものを感じることができないんですね。
 そこで、これはひとつ提案なんですが、できれば日本一を目指す明確な数値目標を改めて設定し、マニフェスト的手法を取り入れて、1年1年その年の実績の数値を出して、外部の人を入れた検証委員会を設置し、きちっと検証すべきであると私は思います。そうすることによって、この第3次和歌山県健康増進計画は、単に厚生労働省から言われてつくった計画のための計画ではなしに、和歌山県の皆さんが日本一健康で長生きしてもらうためにつくった生きた計画によみがえると私は思うのですが、福祉保健部長の御決意をお聞かせいただきたいと存じます。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 議員御指摘のとおり、第3次和歌山県健康増進計画の進捗等の検証は必要であると考えており、健康づくりの有識者で構成される和歌山県地域・職域連携推進協議会を毎年度開催し、実施事業に対する評価を行うとともに次年度の取り組みについて協議し、その概要を公表してまいります。
 今後、計画の中間年度である平成29年度には、中間評価と計画の見直しを実施することとしております。
○議長(坂本 登君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 ありがとうございました。
 毎年検証を有識者で行い、評価と取り組みについて協議し、その概要をきちんと公表していくということですので。
 本当を言いますと、この第3次健康増進計画にかかわった方でない第三者が厳しい目でチェックすることが私は大事であると思いますけれども、毎年きちっとやっていくということですので、今までになかった評価、検証ですから、それはそれとしてよしといたしましょう。
 しかし、福祉保健部長、目標設定については、あえてもう細かいことは申しませんが、本年の2月議会の答弁で、健康長寿日本一わかやまの実現は、本来なら長計の最終年である平成29年でしたが、それは難しいということですので、この健康増進計画の最終年である平成34年に達成すると言われたことをぜひお忘れなく、よろしくお願いいたしたいと思いますが、この日本一という目標に向かって、庁内、県民の皆さんをリードしていただくという立場でいらっしゃいますので、ぜひとも強くそのことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと存じます。御清聴、ありがとうございました。
○議長(坂本 登君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時47分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(尾崎太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 私たち日本共産党県議団は、8月末に、南海トラフ地震対策や木質バイオマスの利用などの問題で高知県に調査に行ってまいりました。その成果も踏まえて、今回、質問をさせていただきます。
 1つ目、カジノ合法化についてです。
 和歌山県が平成27年度へ向けての政府要望として提出している地方型IR、つまりカジノを中心とした複合観光ですが、少ない投資金額で大きな経済効果を生み出す地方型IRは地域振興の起爆剤として有効として、白浜のような地方の観光地でもカジノ施設を設置できるよう求める内容になっております。
 国会でも、カジノの国内での開設を合法化する法案が秋の臨時国会で審議されようとしております。言うまでもなく、日本は刑法で賭博を禁じています。そのカジノが安倍内閣の成長戦略の目玉になっているのは驚きであります。
 既に日本は、国民が1年間に5兆6000億円も賭博で負けるギャンブル大国になっています。カジノ世界一のマカオの市場規模2兆6800億円を上回る規模です。日本では、ギャンブル依存症患者が成人男性の9.6%、女性の1.6%に当たる560万人に上るという調査結果が厚生労働省から発表されております。同様の手法で行われた諸外国の調査結果で、ほとんどの国が1%前後なのに対して、日本の数字は異常な高さです。
 日本がお手本にしようとしているシンガポールでも、大変な問題になっています。2010年に2つの巨大なカジノが開業いたしましたが、自分でギャンブルをやめられず、カジノ入場禁止リストへの登録を自己申告する人が急増し、20万人を超え、自己破産もふえていると言います。
 また、韓国は、カジノが17カ所あり、ほとんどが外国人専用ですが、1カ所だけ、江原ランドというところでは韓国人も利用できるようになっています。かつての炭鉱のまちが寂れた山の中にできたカジノで、ホテル、スキー場、ゴルフ場なども併設をしている複合型観光施設です。この1カ所だけで韓国のカジノ売り上げの半分以上を占めているのが、申し上げました江原ランドというカジノであります。
 ここの様子が先週開催されました日本弁護士連合会主催のシンポジウムでも報告をされ、その内容に驚きました。複合型カジノとは位置づけられているものの、ホテルでは、弁護士の調査団一行以外、ほかの客はほとんど見かけなかった。ところが、カジノでは韓国人向けの席3500はほぼ満杯という状態で、複合型とは名ばかりになっています。
 また、周辺では質屋がずらりと大きな看板をかけて並んでおり、車専門の質屋もあります。これは、大半の客がソウルからカジノまで車でやってきて、負けたら車を質屋に入れ、一発逆転にかけるそうです。最高時には4000人ものカジノホームレスを生んだと言われるのがこの質屋街です。
 このような問題だけではなく、そもそもカジノによる経済成長ということ自体に疑問符がつき始めています。カジノ先進国のアメリカでも、ラスベガスとともにカジノによる繁栄の象徴であったアトランティックシティーでは、ニューヨークにできた大型カジノのあおりを受けて、ことしになって次々破綻をしております。
 安倍政権もアジアの富裕層を日本のカジノに取り込もうともくろんでいますが、来年、韓国チェジュ島には大型カジノがオープンの予定で、競争が激しくなります。外国人観光客からごっそりもうけようというシンガポールやマカオのカジノのようにはいかなくなっています。
 以上のようなことを考えれば、カジノをつくりさえすれば成長できるというのは、私は大きな誤りだと思います。そんな状況も踏まえ、日本弁護士連合会からは、5月にカジノの推進法案に反対の意見書が発表され、その後、各地の弁護士会も反対の声を上げ始めています。
 そこで、まず知事に伺います。
 なぜ、これまで刑法で賭博が禁じられてきたのでしょうか。なぜ、今回、県がカジノを解禁することを求めているのでしょうか。また、解禁されたときの弊害をどのように考えておられるでしょうか。知事の御答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 刑法上、賭博等が禁止されているのは、「賭博行為が、勤労その他の正当な原因によらず単なる偶然の事情によって財物を獲得しようとするものであり、国民の射幸心を助長して勤労の美風を害するとともに、副次的には犯罪を誘発し、さらには国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあるため」──これは最高裁の判例でございますけれども、大体それで説明をされてるわけでございます。したがって、法律でこういう場合はこういうふうにコントロールしてよかろうということで幾つかの法律がありますが、それ以外は禁止ということになるわけです。
 カジノ解禁に当たっては、やっぱり一番心配されるのは、ギャンブル依存症の方がふえないかということは議員が御指摘になったとおりですが、そのほかに、青少年に悪い影響を与えないか、あるいは犯罪組織の資金源にならないかなどの問題が懸念されると思います。これらの問題は、上手に隔離する、それとともにきちんと管理をするということで克服できるんではないかと考えております。
 御指摘の地方型IRのカジノ、これは、ヨーロッパの各都市で、結構静かな環境のもとで営業してるのを私はたくさん知っております。カジノを含むIRには経済波及効果や雇用創出効果が期待でき、地域活性化につながる有効な手段の1つと考えてるところでありまして、国における法制化の動向を見きわめつつ、引き続き、県民の方々の理解など誘致に向けての諸条件の状況を踏まえながら取り組んでまいりたいと思います。
 ただ、現在のところ、国会に提出されてる法律は、一から大規模に全部つくってしまうということをどうも予定してるんじゃないかなあというふうに条文上読めるようなものでございまして、これではちょっと和歌山もなかなか難しかろうというふうに思います。先ほどのような全体像の中で、少しこの可能性も広げてもらいたいというのが第1の前提になります。
○副議長(尾崎太郎君) 傍聴の皆様に申し上げたいと思います。
 議場の品位を保つため、携帯電話はお切りいただきますようお願いいたします。
 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 知事から御答弁をいただきました。
 ヨーロッパ型の静かなカジノも見てきたというお話ですが、そのヨーロッパにいわゆるラスベガス型の大きなカジノが進出をしようとして、ヨーロッパでは、それはもうあかんということで断られたということも聞いております。
 私は、御答弁をいただきましたが、カジノというのはやはりばくちで、カジノが発展しようと思ったら、お客さんが負けなければカジノ自体が成り立っていかないという前提があると思うんです。負けるからカジノが発展するんであって、お客が勝つほうがふえれば業としては意味がないと思うんですね。
 私、地元の白浜を考えるなら、今、ホテルや旅館に泊まっていただいたお客さんで、地元の人が言いやるのは、外へ出ていろんなお土産物とか買い物とかしていただけない、そんな状況をよく言われます。もしカジノができて、観光に来たお客さんのほとんどがカジノで負けやったら、今まで以上にほんまにお土産を買うてくれるんかな、外で食べてくれるんかなということを、私、心配しております。カジノは栄えても周辺は滅びるという例は、実際、海外ではそういう例も出ております。
 そのようなことを考えるなら、私は、地方型も含めてカジノの合法化には反対だということを表明して、次の質問に移りたいと思います。
 2つ目、消費税増税の和歌山県経済への影響について伺います。
 内閣府が9月に発表した4から6月期の国内総生産改定値では、前期比でマイナス7.1%(年率)となり、東日本大震災のときのマイナス6.9%を上回る落ち込みとなりました。国内総生産は国内の経済活動の大きさを金額で示したもので、それが減るということは、それだけ経済活動が縮小しているということです。特に、GDPの6割を占める家計消費は、実質19%(年率)も減少しました。これは過去20年間で最悪で、戦後最悪を記録した第1次石油ショック(1974年)に匹敵するものです。この家計消費の落ち込みがGDP全体を大きく押し下げた原因と言われております。安倍政権は想定内と繰り返していますが、増税前の駆け込み需要を差し引いても10%以上のマイナスであり、単なる反動減でないことは明らかです。
 なぜ、これほど家計消費が落ち込んだのか。賃金がふえないのに円安で物価が上がり、実質賃金は減少しました。そこに消費税増税による物価上昇が追い打ちをかけ、実質賃金は、4月以降で3%を超える大幅減少、12カ月連続で下落を続けています。消費税増税の影響がこれほど激しくあらわれるということは、国民生活が相当疲弊していることを示していると思います。
 そこで、和歌山県の各種経済指標では消費税増税の影響がどのようにあらわれているでしょうか。商工観光労働部長に御答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 経済指標については、消費税増税の影響だけでなく、天候や為替相場の動きなど、さまざまな要因により変動するものでありますが、直近の指標の主なものを見ますと、まず生産、雇用、消費など、あらゆる経済活動の中でも、より景気の動きを敏感に反映する幾つかの指標を総合的に判断する景気動向指数では、5月に4カ月ぶりに前月を上回り、100.0となっております。
 次に、生産動向について、6月の鉱工業生産指数の速報値では104.6となり、2カ月ぶりに前月を下回りましたが、機械、化学分野が好調なため、全国数値と比べても高い状態を維持しています。
 また、6月の公共工事請負契約額は255億円であり、2カ月連続で前年を下回ったものの、24年度以降は、災害復旧や国体関連事業のため、高い水準が続いております。
 さらに、消費動向について、大型小売店販売額では、3月に消費税増税前の駆け込み需要により前年と比べ10.7%増の110億円と増加しましたが、4月以降はその反動で3カ月連続で前年を下回っております。
 一方、7月の新車登録台数は1863台と平年並みとなり、4カ月ぶりに前年を上回りました。同様に、7月の新設住宅着工戸数は、マンション着工もあり、577戸という高い数値となり、4カ月ぶりに前年を上回っております。
 最後に、雇用動向について、有効求人倍率では、4月に21年6カ月ぶりに1.0倍を超え、その後も1倍を超える状況が続いております。
 また、物価上昇率を考慮した実質賃金指数を見ますと、賃金が上がっているものの物価上昇に追いついていないことにより、4月以降、前年同月比でマイナスに転じており、6月はマイナス3.7%となっているところであります。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 いろいろと御答弁をいただきましたが、雇用の部分、特に実質賃金指数でマイナスになっているということや売り上げの反動減などというのは、これは全国的な状況と私は共通をしているのではないかというふうに思います。
 そこで、知事にお伺いしますが、私は、このような状況の中で来年10月の消費税再増税などあり得ない状況ではないかと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 消費税の再増税を行う場合は、景気に悪影響を及ぼさないかが心配でございます。増税が今度はなされなかった場合はじゃあ万々歳かというと、我が国の財政運営に対する信頼が失われて、国債の信認が低下して、ひいては金融市場及び経済に影響を与えるということが、これまた心配なわけであります。
 また、増税分は、社会保障と税の一体改革のもと、福祉、医療、少子化対策等の社会保障制度を担う財源として充てられることになっているので、増税をしなかったとき、これら福祉や社会保障の維持可能性がどうなるんかということも心配をする必要があります。
 1つのことだけを言って騒いでるというのは、責任のある政治ではありません。したがって、消費税の再増税という大問題は、これら全てのことを考慮して12月に首相が最終判断をするということになっておって、政府において適切に判断されることを期待したいと、今はそう思います。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたが、消費税増税後も、福祉や医療、社会保障制度の本当に相次ぐ負担増が、これらもずっと予定をされております。ですから、私は、そういうことも考えるなら、やはり消費税増税をここできちんと1回ストップして考え直すということを求めていきたいというふうに思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 県防災訓練への米軍オスプレイ参加について伺います。
 この間、米軍オスプレイは、その訓練範囲を日本全国に広げております。東京の横田基地では、7、8月と訓練で飛来、9月には日米友好祭が開かれ、オスプレイ2機が一般向けにも公開されました。地元の福生市長は、これまでオスプレイの展示について米軍に行わないよう求めており、市議会でも遺憾の意を表明したところであります。神奈川県の厚木基地では、8月18日から25日の長期にわたり駐留をして、自衛隊の演習場への拠点になりました。
 このように、オスプレイは、7月以降、東日本を中心に訓練や展示を行っています。横田や厚木など東日本の各基地と岩国を結ぶ線上にはオレンジルートがあり、高知県では、東日本からの帰り道と思われるオスプレイが安芸市や高知市上空を通過していることが目撃をされ、新聞報道も既にされています。和歌山県も、今後、上空通過の可能性は十分あります。
 また、佐賀空港を沖縄の米軍オスプレイの訓練拠点として活用する動きが、突然、政府によって発表されました。また、陸上自衛隊のほうも、今後5年間かけて17機導入する予定のオスプレイを配備する方針です。佐賀空港を建設する当時に地元の漁協と交わした「県は、空港を自衛隊と共用するような考えを持っていない」との約束をほごにしてまで推進しようとしています。佐賀空港が候補地に浮上した背景には、空港利用者数低迷による財政難があるとも言われています。
 防衛相が佐賀県に要請した計画では、オスプレイ17機に加えて50機の自衛隊ヘリも移駐することになっています。もしこのとおりになれば、佐賀空港は、民間機が年間約5000回の利用に対し、軍用機が年間約1万2000回と、軍用機主体の空港になってしまいます。
 そのような状況の中、10月の和歌山県防災訓練を迎えようとしています。
 私は、6月の議会で、防災訓練という名目で米軍が自衛隊の一部として活動するという形態をとるなら、日米安保条約や日米地位協定での取り決めの枠外で全国どこでも訓練ができることになると指摘をしました。和歌山県全体がオスプレイの恒常的な訓練場になりはしないかと心配です。それに加えて、佐賀空港のように、恒常的な自衛隊基地にしようとする可能性さえ心配が出てまいりました。
 そこで、伺います。
 南紀白浜空港が、将来、自衛隊との共用空港になることはないでしょうか。自衛隊もオスプレイを購入すると言っていますが、それが配備されることはありませんか。仮にそうした要請が政府からあったとき、知事はどのように対処されるでしょうか。御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 白浜空港を自衛隊との共用空港として利用するという話も、オスプレイを配備するという話も、どこからも出てきておりませんし、全く聞いたこともありません。誰がそんなことを言っておるのかというのを私は聞きたい。
 それからまた、地政学的な合理性からいって政府からそのような要請があるとは私は考えられませんが、そういうことを言うんならば、どんな根拠でそんな話になるんだろうか、どんな合理性があって言ってきそうなのかということについて、まず説明を全ての人はすべきじゃないか、そんなふうに思います。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 誰が言ってるのかという御質問というか、答弁でしたが、それは、私がこの議員の立場で責任を持ってはっきり申し上げていることであります。政府の考えからしてそのようなことはないだろうということでおっしゃいましたけれども、私は、佐賀の例なんかを見ると、こういう心配がされるのも当然だというふうに考えています。
 観光地を背景にしてる白浜には、私は、オスプレイや自衛隊基地はふさわしくないと考えております。その立場で、ぜひ知事にも考えていただきたいというふうに思います。
 2つ目です。
 私は6月議会でも発言をいたしましたが、米軍の災害派遣については、自衛隊の計画の中でも、必ずしも予定どおりの派遣がされるものではないことがはっきり記入をされています。私は、米軍を最初から県の防災体制に組み込むようなやり方は、実際の災害時の対応力をどう整備するかという課題を見えにくくするのではないかと思っております。
 また、根本的には、軍隊は持たないと規定した日本国憲法の規定と矛盾するのではないかというふうに思いますが、この点についても知事のお考えをお聞かせください。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大規模災害が発生した場合、自衛隊に対して我々は支援要請を行います。東日本大震災でも米軍が支援活動を行っており、本県でも、自衛隊が米軍にお願いをして、それで米軍と協力して支援活動を行うことは、当然あり得ると思います。
 在日米軍の災害支援活動は、1人でも多くの命を救うというような人道上の活動であって、政府が例えば米国以外の国に支援要請を行って、その国の軍隊が救援に来てくれたときも、私は喜んで支援を受け入れます。私の使命は県民の命を1人でも多く助けることでありまして、助けてくれる者が誰かなどとは言っておられません。
 先ほど配備計画とかおっしゃいましたけれども、そういうよそからの援助を全部断って自前だけで動員する、そういう能力が、被災者の数や、あるいは被害を受けて困ってる人を上回ったら一体どうするんでございますか、というようなことを私は思っております。
 それで、こういうことが何ゆえ憲法の規定と矛盾するのか、まずじっくり聞かしてもらいたい、そんなふうに思います。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 1人でも多くの命を救うための人道支援だというふうに米軍が言ってるし、政府も言ってるわけなんですが、これまで、やはりこの米軍の基地自身があることによって起きてきた事故や事件で、一体、本当に何人の日本人の命、沖縄県の人の命が奪われたり傷つけられてきたでしょうか。沖縄県民はそれを身をもって知っているから、県民挙げての反対運動になっているというふうに私は思います。
 日米安保条約や防衛協力のガイドラインにも定められたものではない米軍の災害派遣ですね。私は、それを県の防災訓練で率先して活用することは憲法の規定と矛盾するのではないかというふうに申し上げたいし、そう思っております。私は、沖縄の県民──政治的にもこれから大きな選挙もありますが──その沖縄の人たちの犠牲の上に成り立つような日本の安全であってはならないし、和歌山の防災であってはならないということを申し上げたいと思います。
 次に進みます。
 危機管理監に、防災訓練について具体的に伺います。
 これまで政府は、オスプレイの事故率は海兵隊の平均より低い、安全だと言ってきましたが、これは2012年時点の数字です。その後も、クラスAの重大事故は起きています。県が防災訓練で活用するというのなら、現時点でのオスプレイの事故率を把握されているでしょうか。また、把握していないなら、公表するよう防衛省や米軍に求めるべきではないでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) オスプレイの事故率につきましては、平成24年9月に防衛省が公表しております。また、航空安全や事故調査の専門家から成る防衛省の分析評価チームの検証においても、安全な航空機として確認されたものであります。防衛省に確認をいたしましたところ、米軍に再度事故率の算出を求めるということはないとのことです。
 なお、県民の中にはオスプレイの安全性に不安を持っている方もいるため、今後も丁寧に説明をしてまいりたいというふうに考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 済みません、管理監、防衛省は米軍に事故率を求めるスタンスはないという御答弁でよろしいですか。(危機管理監、自席でうなずく)はい。私は、それは防衛省が求めないなら、県からも求めていただきたいというふうに思います。
 次の質問です。
 今回は県の防災訓練参加ということですから、オスプレイがどのような飛行経路をとるのか、飛行ルートそのものであるフライトプランと呼ばれるものを県でも把握する必要があるのではないかと思います。
 昨年10月に自衛隊と米軍は、滋賀県の饗庭野演習場でオスプレイを使った共同訓練をやりましたが、当初、日本海を飛んでくると言ってたのが、人口密集地の大阪や京都の上空を飛んできました。その上、滋賀県知事が琵琶湖上空は飛ばないでほしいという要請をしていたことも守ってもらえませんでした。小学校の上を飛んだことも、地元住民は目撃をしております。
 また、沖縄では、オスプレイ配備に当たっての約束がことごとく破られているというのは、地元では常識になっています。通常、米軍の施設及び区域内においてのみ垂直離着陸モードで飛行し、転換モードで飛行する時間をできる限り限定するという約束は守られていません。午後10時以降は制限されるはずの夜間訓練もやり放題になって、付近の住民から夜寝られないと苦情が出ています。その騒音レベルも80デシベルを超えているという報道がされております。「琉球新報」の9月10日付、手元にございますけれども、連夜、80デシベル超の訓練ということで、ずっと訓練が続いてる様子です。
 このように、米軍は約束を守ってくれていません。今回の県防災訓練で南紀白浜空港を使うなら、この白良浜側の海上から着陸しようとすると、どうしても住宅地上空や旅館、ホテルの上、病院などを飛ぶことになり、大変心配です。
 オスプレイが訓練で飛来する予定だった高知県では、オスプレイが県の要請どおり安全事項を守っているかどうか、県の職員をオスプレイに同乗させて確認をとる手はずをとることになっておりました。
 そこで、和歌山県の対応について伺います。
 訓練に当たって、オスプレイの飛行ルートの設定も含めて、住民への安全配慮はどのように米軍に要請されているでしょうか。危機管理監の答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 先月28日、29日ですが、米軍、それから防衛省・自衛隊、県の3者で、安全確認等のために白浜、串本の現地確認を行ったところです。その際に、私どものほうから米軍の担当者に対し、県内での飛行ルートは洋上を利用し、住宅地等の上空は避けることなどを要請しました。その際、米軍からは「応じます」という回答を直接いただいております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 しっかり安全確認のほどをお願いしたいというふうに思います。
 それでは、次の項目です。
 殿山ダムの水利権更新に当たって伺います。
 去る8月、地元住民の意向を踏まえて、白浜町から関西電力に対して要望書が提出されました。その内容を踏まえての質問ですので、よろしくお願いしたいと思います。
 ダムの耐震検査について伺います。特に、心配される南海トラフの巨大地震との関係です。
 白浜町からは、ダム本体と堤体両端の岩盤の強度、耐震などを和歌山県や第三者機関と協力をして客観的に検証してほしいという要望が出されています。この内容については既に平成23年の9月議会で私が取り上げておりましたが、このとき知事に答弁をいただきましたが、河田先生らによるとダムは安全だと言われているのでこれを支持するという内容でした。
 私は、先生の見解を否定するつもりはありませんが、先日視察に行った高知県では、まず県営ダムのうち重要な2カ所について、国交省がつくったマニュアルがありまして、大規模地震に対するダムの耐震性能照査指針(案)・同解説というマニュアルですが、これに基づいて耐震検査を行い、安全性を検証されておりました。この手法は、実は重力ダムと言われる重たいダムだけではなくて、アーチ式のダムにも適用が可能だということで、私は、ぜひ関西電力と県が協力をして殿山ダムの耐震検査をすることを求めたいと思いますが、県土整備部長の御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 殿山ダムにつきましては、本年4月に知事から、南海トラフ巨大地震を含めて耐震性能照査の結果を提出させること、提出された資料に対して県でも検証することなどの指示を受け、関西電力に対しても検討を要請してきました。
 このうち、ダムの耐震性につきましては、これまでも和歌山県地震・防災対策総点検専門家会議において、コンクリートダムは地震に対して十分安全性を有しているとの発言があったところです。
 そして、今回、関西電力からは、大規模地震に対するダム耐震性能照査指針(案)に基づいて、東南海・南海地震及び南海トラフ巨大地震を対象とした耐震性能照査を行い、その結果、耐震性を有しているとの報告を受けました。
 現在、県では、関西電力に対して耐震性能照査に用いたデータや照査方法の詳細について問い合わせを行い、その内容を鋭意検証しているところです。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 関西電力から耐震検査の報告書が上がっていると、もう県のほうに報告書自体が上がってるということで理解してよろしいでしょうか。うなずいていただいたらいいですが。(県土整備部長、自席でうなずく)はい、わかりました。ぜひ県のほうでも検証を進めていただきたいというふうに思います。
 2つ目に行きます。
 ダム決壊時の浸水想定です。
 ダムが地震などによって決壊したときのシミュレーションをやってほしいという要望もあわせて提出をされています。
 既に農林水産部が所管するため池では、決壊したときのシミュレーションが実施をされ、どのくらいの時間でどこまで浸水するかがハザードマップでわかるようになっております。コンクリート式のダムは安全性は高いとは思いますが、南海トラフ地震も起こり得る最悪のケースを想定して対策を行っています。そうならば、ダムについても、最悪の場合を想定して対応するべきではないかと思います。
 実際、1999年、台湾にありますダムでは、台湾の地震で、石岡ダムというんですが、現地名は何と呼ぶかわかりませんが、その重力式コンクリートダムの一部が決壊をしております。こういう事例もありますし、古くは、1963年のイタリア北部のバイヨントダムの地すべりによるダム津波の例では、ダム本体は壊れなかったものの、ダム湖に大量の土砂が滑り落ちてきたためにダム本体の上を100メートルの高さで水が乗り越えたと言われ、下流で約2600人の犠牲者が出ています。
 こうしたことも考えるなら、殿山ダムでもダム決壊時の浸水想定は必要ではないかと思います。県土整備部長の御答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 殿山ダムについては、南海トラフ巨大地震に対しても耐震性を有しているとの報告が、先ほど述べましたように関西電力からあったところであり、現在、県としてもその内容を鋭意照査しているところです。また、東北地方太平洋沖地震や兵庫県南部地震など、大規模な地震においても、ダムが決壊するなど安全性を脅かすような報告はなされておりません。
 このような状況を踏まえ、ダムが決壊することは想定されておりませんので、現在、決壊した場合の被害想定を行うことは考えておりません。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 この問題も随分長いこと議論もしてきたわけですが、ぜひ地元住民の要望も酌んでいただきたいというふうに思います。
 ダムの問題でいろいろ御答弁をいただきましたが、ダムによる水力発電は、自然エネルギーといっても、環境への負担と下流への危険性を考えるなら、私は、将来撤去することを展望に入れて今のうちから対応を考えていくべきだと考えています。
 また、地域住民からは、一度この問題でぜひ知事と直接お会いしてお話もしたいという要望も伺っております。そういう話があったときには、ぜひ知事にもお時間をとっていただけるよう私からも要望して、次の質問に移らせていただきます。
 済みません。県道の問題を飛ばしかけました。──県道日置川大塔線の改修について伺います。
 これはお手元にお配りしてる資料にも簡単な地図をつけさせてもらっておりますが、地図の赤いマーカーで塗った部分が今改修をしていただいてる区間で、青い部分がしょっちゅう浸水をする区間であります。
 この日置川大塔線は、日置川の河口部分と上流を結ぶ唯一の県道で、沿線の住民にとっては、生活道路であるとともに、いざというときの避難路として、まさに命の道でもあります。しかし、現実には、河川の増水によって必ず浸水するという区間があり、集落が孤立する事態もたびたび起こっております。
 田野井地区から下流部分の狭隘区間や線形の悪い部分の改修についてはかなり見通しが立ってまいりましたが、中流から上流の浸水が多発する区間では、道路そのものをかさ上げする必要があると考えます。このことも踏まえた県道日置川大塔線の改修についてどのように考えておられるのか、県土整備部長の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 県道日置川大塔線につきましては、現在、白浜町日置から大古に至る区間において平成23年度から歩道設置に着手しており、用地取得及び工事を進めております。
 また、平成24年度から白浜町矢田地内及び口ケ谷地内におきまして現道拡幅に着手しており、現在、矢田地内では設計が完了し、物件調査を行っております。口ケ谷地内では、用地取得が完了し、一部工事に着手しております。そのほかの区間につきましては、交通の支障となるところ、冠水するところなどあることは承知しておりますが、用地の協力が得られるのであれば、現在事業中の箇所の進捗を見ながら対応を検討してまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ぜひ改修のほうをよろしくお願いしたいとともに、この道も、やはり地域の幹線道路ですので、将来的にはぐっと丈夫な道につけかえていただくということも、また御検討いただければというふうに考えております。
 では、最後の質問です。
 木材利用の推進について伺います。これも、資料を2枚ほどつけさせてもらっております。
 高知県における木質バイオマス利用の取り組みについて紹介をさせていただきます。
 高知県の担当者のお話でまず印象に残ったのは、林業本来の役割である木材生産の明確な目標を持っているということです。原木生産量は、平成22年度で40万立方メートルを10年後の平成33年には81万にふやす計画です。目標だけではなしに、昨年から既に大型の製材工場が稼働して、この3年間で10万立方メートルの原木供給をふやすという、既に立派な実績もつくっております。
 また、地域でのエネルギー循環と資金の循環ということを強調されていました。これは、燃料代として重油など化石燃料を購入すればそれはそのまま県外への資金流出になってしまうわけですが、木質バイオマスを利用すれば地域内で資金が循環するという発想です。この結果、これまでの取り組みだけでも、年間、重油換算で4500キロリットルを削減し、金額にして4億5000万円の燃料代の域外流出を抑えたと推定をされておりました。そのことは、資料の下のほうにも書いてあります。
 平成21年からは、森林整備加速化基金などを利用して木質バイオマスボイラーの利用を促進し、現在208台のバイオマスボイラーが導入をされています。そのほとんどが木質ペレットを利用するもので、園芸施設では既に169台の導入実績があります。
 担当の方によりますと、最初の試験的な導入時にはほぼ100%の補助を出していたこともあるようですが、今は2分の1の補助でも化石燃料のほうが高いので普及が進んでおり、工場など製造業のボイラーでも、今導入するのはバイオマスボイラーがほとんどではないかと言っておられました。高知県産の原料が他府県のバイオマス発電などへ買われることも多くて、既に材料不足が起きていて、次元の違う悩みもあるようです。
 さらに、高知では来年には2カ所のバイオマス発電が稼働予定で、ここで18万トンの木質バイオマスが利用される予定です。このように、総合的に熱心に取り組まれています。
 そこで、和歌山県内の状況についてはどうか、伺います。
 県全体の木質バイオマス利用の施設数、そこでの利用量は、この間、どうなってきているでしょうか。また、木質バイオマス利用の実証実験として木質パウダーをつくってボイラーに活用する取り組みもされておりますが、これまでの状況と今後の課題について答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 木質バイオマス利用施設につきましては、平成25年度末時点で温泉の加温や製材の乾燥など、29施設あり、毎年ふえている状況であります。使用量も、施設の増加に伴いまして増加しており、年間約1万4000トンが利用されております。
 木質パウダーにつきましては、県内2カ所で製造しており、製造量は増加傾向にありますが、うち1施設については、原料である未利用材やおが粉の入手が困難になってきていることから樹皮との混合の試験製造を行っており、今後、製造コストの増加を懸念されております。
 また、利用状況としましては、温浴施設4施設12基のボイラーで使用されており、使用量も増加傾向でありますが、利便性を高めるために、さらなる設備の改善を検討されております。
 新たな利用方法としまして、平成24年度から25年度にかけて農業ハウスでの実証実験を行い、事業性を検討しましたが、技術面、コスト面で課題があり、実用化に至ってない状況であります。
 今後とも、木質バイオマスにつきましては、パウダー、薪、チップなどの多様な形での熱利用を進めるとともに、木質バイオマス発電も視野に入れ、取り組みを進めてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 木質パウダーを製造して、それを専用のボイラーで燃やすというのは、これはなかなか本当に特殊な技術で、普及に苦労されているのもわかります。今、部長が言われたように、まきやチップなど多様な形態で県内の中小業者が開発に参加しやすい、どっちかというとローテクの部分になると思うんですが、そうした分野で普及を図ることが大きく利用を伸ばして関連産業をも元気づけることに私はつながるというふうに思います。
 例えば、今普及が進んできているまきを直接燃やすまきボイラーというのもありますけれども、これなんかは災害時にも暖房にも使えるし、お湯も沸かせるなど、普及のメリットは大きいものがあります。こうした分野への活用も含めて検討していただけるよう要望をして、次の質問に移りたいというふうに思います。
 次は、新しい集成材CLTについてです。
 CLTとは、あんまり聞かれたことがない言葉ですが、クロス・ラミネーティッド・ティンバーの略称だそうで、ひき板の繊維方向が層ごとに直交するように──これまでの集成材だったらこうやって同じ方向へ重ねていたのを、直角に直交するように重ねて接着をしてつくったパネルのことで、集成材の1つであります。1990年代からヨーロッパで開発をされ、実用化がされてきた新しい木質の構造材料として、今注目をされております。
 その特徴は、大きな厚みのあるパネルで、分厚い材料全体で構造を支えるため、柱などなしで強く安定した性能を発揮すると言われています。既にヨーロッパなどではビルの8階建てというような建物もこれでできておりますし、短期間で建設をできるというメリットもあります。地震や火災にも強く、またパネル工法のため、現場での施工が容易でスピーディーです。
 日本政府も木材の需要を大きく伸ばすものとして期待しており、現在、国交省でCLT建築物の建築基準を作成中で、平成28年度にはできると聞いております。
 和歌山県でも、出足早く取り組んで、実用化の際に県産材をしっかり活用できるようにしておかなくてはならないと思います。今後の推進についての考えを農林水産部長にお伺いします。
○副議長(尾崎太郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 議員御指摘のように、CLTは、厚みのある大判の木質パネルの特徴を生かし、中・大規模の建築物に使用できる構造材として、海外では欧米を中心に急速に普及が進んでいます。
 国内では平成26年1月に直交集成板の日本農林規格が施行されたところですが、CLTを一般的な構造材として普及するためには建築基準の整備等が必要となることから、国土交通省と林野庁が連携して、強度データの収集と設計方法の実証実験に取り組んでいるところです。
 このように、CLTには大きな可能性があり、紀州材の新たな需要先として大いに期待できるものと考えております。
 本県では、現在、県内林業振興のために紀州材の増産と生産コストの縮減に取り組んでいるところですが、今後、CLTに関する国や業界の動向を注視しつつ、さらにこうした取り組みを積極的に進め、県内の木材産業関係者などと連携して、CLTを含めた紀州材の活用について研究してまいりたいと考えます。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ぜひよろしくお願いして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(尾崎太郎君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕(拍手)
○鈴木太雄君 皆さん、改めまして、こんにちは。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らしていただきたいと思います。
 それでは、大項目の1点目として中国訪問について、まず小項目の1、県産品海外販路拡大及び中国北方2省の調査に係る報告から申し上げます。
 去る8月23日から26日までの4日間の日程で、井出益弘議員を初め、片桐章浩議員、岸本健議員、そして私の計4名が、議員派遣により、中国の遼寧省大連市を皮切りに、黒竜江省ハルビン市、そして遼寧省瀋陽市を訪問してまいりました。
 現在における日中関係は、皆さん御承知のように、端的に申し上げれば、隣国にもかかわらず、冷え込んだ政治や両国の国民感情に距離感が見られるのが実情であります。しかし、その一方で、経済交流や文化及び人的な交流はこれから先もさらに発展が期待できる状況であり、非常に不思議な関係でもあります。これからの我々両国にとっては、むしろそのような政治的に苦しい状況下にあるときだからこそ、さまざまな交流を通じて互いに協力をし、友好関係を深めていくことが、隣国に暮らす者同士、欠いてはならない重要な部分ではないでしょうか。
 今回の訪中においては、そういった意味も込めて、大連市で年に1度開催される日本商品展覧会の幹部や政府観光局関係者、そして各種関係幹部の方々に、本県の農林水産品と高野・熊野の世界遺産を含めた観光地としての魅力をPRするとともに、現地事業者の方々とも友好関係を構築すべく、各都市において意見交換及び調査活動を行ってまいりました。
 また、今後の本県における取り組みへの参考とするため、広大な国土面積を有する中国で行われている林業の実態や農産物の生産状況、それから、新たな海外製品を発掘し、輸入することを通じて自国のマーケット拡大へと結びつける取り組みや観光産業についても調査をしてまいりましたので、その概要をここに御報告申し上げます。
 まず、中国の経済や産業、その他状況について、現地の各自治体で受けた説明の内容を中心に、少し概要を加え、述べたいと思います。
 中国経済は、改革開放の始まった1978年以来、30数年間にわたって高度成長しており、2008年のリーマンショックで世界の多くの先進諸国が深刻な不況に落ち込んだ時期でさえ、その影響からいち早く回復し、世界経済の牽引役となりました。2010年には名目GDPが5兆9000億ドルと、我が国を抜き、アメリカに次いで世界第2位となったわけであります。
 現在、中国の人口は約13億6000万人で我が国の10倍以上であり、石炭、鉄、銅、石油、レアメタルなどの豊かな地下資源に恵まれております。しかしながら、総体的に見れば国民1人当たりの資源量は世界平均を下回り、資源が不足するため、その多くを輸入に頼るほか、新たな資源開発にも力を注いでるとのことであります。
 また、急速な経済成長に支えられて、近年、中国から海外への観光客数も着実に伸びており、誘客に向けた取り組み次第では、日本、特に和歌山を訪れる人々の伸びも期待できる状況にあります。
 このような中、私たちは、まず中国の遼寧省大連市内にある会場で、大連市旅游局局長を含む代表者の方々との意見交換を行いました。また、その夜には、和歌山県に本社があり、北京、上海にも営業拠点を持つ食品事業者の方とともに、大連日本商品展覧会幹部とのレセプションへ参加をいたしました。その場では、互いにプレゼンテーションを行い、さまざまな角度から和歌山県の産品や観光地としての魅力をアピールするとともに、今後はさらに本県と大連市との協力関係や友好関係を深く築いていこうと、かたい握手を交わしました。
 このほかにも、さきに申し上げた日本商品展覧会がこの10月中旬に行われる運びとなっており、その際には、ぜひ中国市場に関心がある日本企業、とりわけ和歌山県のより多くの企業の参加をジェトロを通じてお願いしてほしい旨の協力要請がありました。
 この日本商品展覧会とは、中国最大級の日本の商品を集めた商談会で、大きな宣伝効果も期待できる場であるとのことであります。ただ、ここ3年間は政治の冷え込み等で本県の企業は辞退をされていたとのことですが、ことしはできる限りの地元企業の参加を期待いたしますし、私自身も参加を促してまいりたいと思っているところでもあります。
 また、今回訪れた人口約600万人の大連市は、遼寧省の南部に位置し、経済的重要性から省クラスの自主権を持つ副省級市にも指定されており、国内でも有数の港を活用した貿易、工業、観光都市で、観光客を含め、非常に多くの人でにぎわっているまちでもあります。
 さらに、大連賓館や旧大連市役所など、日本統治下で建てられた建物が今なお活用されているばかりか、それらは国家級の文化遺産にも登録され、当時を色濃く残した観光スポットとなっております。そのほか、司馬遼太郎の「坂の上の雲」で書き記された激戦の地でもある203高地など、数え上げれば切りがありません。
 近年においては、改革開放政策の一環として設けられた大連経済技術開発区には日本企業が軒を連ねており、多くの日本人が働いております。そして何より、約4年前の尖閣諸島問題に端を発した中国各地での暴動の際においても、そういった行動は一切行われなかった親日的な都市であり、日本人にとりましては非常になじみやすく、魅力のある観光地だと肌で感じた次第であります。
 次に、訪問先の都合から、遼寧省にある瀋陽を通り過ぎて、一路、黒竜江省ハルビン市に向かったわけでありますが、その際には、いろんな報道とかもありましたので、事故とかもあった関係上、少しどきどきしながら、初めて中国の新幹線に4時間弱、乗車をいたしました。静かで揺れも少なくて、時速も300キロメートル前後と日本の新幹線とほぼ変わらず、思いのほか安心して過ごすことができました。
 ハルビンは、人口約1000万人を超えた黒竜江省の省都で、政治経済の中心であります。まちにはアジア最大の石畳の目抜き通りがあり、中国各都市の通りのお手本となったと言われており、我々もその通りを訪れましたが、夜にはライトアップをされ、観光客を含め、非常に多くの人でにぎわっておりました。このほか、冬季に開催される国際的な氷の祭典は、余りにも有名であります。
 そして、ハルビン市関係幹部の方々との意見交換におきましては、ハルビン市の現況や日本の各都市との交流経過等、そして和歌山の概要や魅力について、双方、熱心に意見を交わしました。
 幹部職員の方々は、高野・熊野世界遺産に魅力を感じるとのことで、「近いうちに必ず和歌山県を訪問いたします」と流暢な日本語で発言を締めくくられ、終始和やかな雰囲気のうちに会を終えることができました。観光立県を標榜する本県として、世界的な観光資源でもある高野・熊野世界遺産の魅力について、少しでも理解を深めていただけたのではないかと感じた次第であります。
 また、翌日には、同省森林工業総局に表敬訪問を兼ねて、同省森林工業総局副局長を初め関係幹部職員と意見交換を行いました。この場では、その大半を森林資源や木材関係について、より踏み込んだ内容の意見や思いを話し合いいたしました。
 人口約3800万人を抱えた黒竜江省における森林産業の現状は、牛乳生産量や石油工業と並び中国一の規模を誇り、これまで国内有数の木材供給地として栄えてきましたが、近年においては、木材生産・加工に必要な原材料確保のための森林伐採が本格的に禁止となり、これからも計画的にその禁止区域が広げられるとのことでありました。そのため生じた約40万人とも言われる森林工業企業の余剰労働者の再就職については、産業構造拡大や野菜など食品生産・加工業への移行対策を図っているものの、抜本的な休職対策に至っていないとのことであります。
 そういった状況の中でも、中国国内全体では、人口増加や所得の向上等による木材需要が着実に伸びており、森林工業総局の年間試算では、木材総生産量の約180万立方メートル中80万を同省で賄っているだけで、残りは隣の省及びロシア、アメリカからの輸入に頼っているというのが実情であります。つまり、黒竜江省の最も大きな課題は、森林関係者の休職対策に加えて、今後、森林の伐採禁止区域の拡大に当たり、加工場は現在あるものの、原材料である原木をどう確保するのかということになります。
 一方、森林資源が豊富な和歌山県においては、近年、林業従事者は減少の一途をたどり、木材についても需要が伸び悩んでいる状況である旨を伝えると、副局長から、「価格と品質が合えば、別荘用として必ず買う用意がある」、そして「和歌山にぜひ視察員を派遣したい」との発言がありました。また、「林業従事者が足りない状況であれば、研修生としてでも派遣をさせたい」との申し出に対し、林業への研修生については現在国で議論されているところで、今は難しいと伝えるにとどまりました。そして、「今後、和歌山県と文化や技術の交流等、双方のよいところを紹介しながら、さまざまな協力を考えたい」という言葉を最後に意見交換会を終了いたしました。木材価格等、クリアしなければならないさまざまな課題はあるものの、本県の高品質な木材が黒竜江省、つまり中国に受け入れられるチャンスはこれから十分にあると感じた次第であります。
 日程の最後に、遼寧省の省都で人口800万人以上を抱えた瀋陽市を訪問し、遼寧省及び旅游局幹部職員の方々と意見交換を行いました。
 その中でも、特に高野・熊野世界遺産や県内温泉地に代表される観光について、また、マグロを初めとする水産物や、ミカンや柿、桃など果樹の供給に関すること、さらには中国の方々が日本へ旅行する際の日取りやコース等、意見を交わしてまいりました。中国の方々を本県に呼び込む上で旅行会社が決めるコースがいかに重要か、改めて実感するとともに、これからの可能性についても見出すことができたように思います。
 このほか、世界遺産や観光施設など、時間の都合上、調査することはかないませんでしたが、友好関係は築けたものと感じております。
 いずれにいたしましても、中国経済はまだまだ好調で、海外への旅行者数も着実に伸びており、このような状況の中で中国の方々に本県の魅力を知ってもらうための活動や各省の状況把握を行えたことは、非常に有意義なことでありました。こういった各都市における意見交換会を契機として、1人でも多くの中国の方々に本県を訪れていただくことと、本県で生産されている農産品や加工食品、また木材等の販路拡大に資することを大いに期待するとともに、実現化を図れればと思います。
 そして、今回、特に我が和歌山県は、多くの景勝地を含む豊かな自然環境、それに食を含めて、地域ごとの特色ある多様な文化に恵まれていると改めて実感をいたしましたし、私たちが世界に誇るべき世界遺産は、今まさに登録10周年の節目を迎えております。多くの中国国民が自国の町並みや観光施設を含めた観光地を大きな誇りに思っているのと同様に、我々県民も、心からふるさとを愛し、より郷土に自信を持つことが必要であると認識した次第であります。
 最後に、中国訪問に当たり多大なる御協力を賜った関係各位に深く感謝の意を表し、その概要の御報告とさせていただきます。
 引き続いて、一般質問に入らせていただきます。
 小項目の2として、和歌山県と中国の今後の交流について質問をいたします。
 ただいま御報告の中で申し上げたとおり、我々は、遼寧省3会場、黒竜江省2会場で行った政府関係機関や政府観光関係者、その他民間企業の方々との意見交換会並びにレセプションにおいて、本県の数ある魅力をアピールしてまいりました。和歌山の魅力を売り込むためにはさまざまな手法がありますが、以前、オーストラリア訪問後の報告でも申し上げたとおり、やはり県知事みずからが宣伝マンになって売り込む姿は、売り込み先に好印象と熱意を感じさせるものがあります。
 今後の中国山東省はもちろん、遼寧省大連市や瀋陽市、黒竜江省ハルビン市とのさまざまな交流や、そういった地域に対する知事のトップセールスを含めた思いや今後の取り組みについて、また、本県の木材や検疫の問題で現在輸出が不可能とされている果樹等の輸出について、知事の御見解をお聞きいたします。
 加えて、中国に対するこれまでの県産品の販路拡大に向けた取り組みと、どのような商品がどれぐらい輸出されているのか、また、これまで行ってきた中国の方々への誘客に向けた取り組みと、日本、特に本県への観光客数はどうなっているのか、商工観光労働部長並びに農林水産部長にお聞きいたします。
○副議長(尾崎太郎君) ただいまの鈴木太雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) トップセールスについては、知事就任以来、みずからが現地に出向くことで、相手国のトップクラスの要人や関係業界、あるいはマスコミや専門誌などにインパクトを持って本県の魅力を直接伝える機会として取り組んでまいりました。
 しかし、世の中の動向というか、よそのことなどを見ておりますと、1回だけトップセールスとかトップだけセールスとか、そういうようになってるところがあるなあというふうに思います。大切なことは、トップセールスを一過性に終わらせないように県全体でアプローチを継続することだと思います。そのために、トップセールスで開拓いたしました関係をうまく活用しながら県職員が走り回っておりますが、それだけではなくて、民間事業者の方々も一緒になって県産品の販路拡大、観光客の誘致などを目的に各国を訪問し、包括的かつ継続的な取り組みを今やってるところでございます。
 このように力を入れてまいりたいと思っておりますが、中国の販路拡大でございます。これについても、もちろん同じように力を入れていきたいと考えております。ただ、和歌山の重要な輸出品である果実については、国際法上不合理な検疫で輸出が邪魔されているというところが、中国を筆頭に、ほかにもあります。特に中国が一番すごいかなあという感じがあるんです。そこで、日本国政府に対して、これは交渉事で決まってきますので、中国との植物検疫条件の早期合意を引き続き要望していくということも必要かと思っております。
 木材については、コンテナによる試験輸出の中で明らかになった原木の確保を初め、価格、輸送方法などの課題はあるが、実現に向けて研究を進めていきたいと思っております。
 今後も、中国を含む海外諸国の情報収集を行うとともに、県の強みを磨き、みずからが先頭になって、和歌山県にとって大きな経済交流が期待できる地域に対し、この辺をよく研究して、戦略的に民間事業者とともに取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) まず、工業製品などの県産品につきましては、わかやま産品販路開拓アクションプログラム2014に基づき、販路開拓を全国や海外へと進めております。
 中国での取り組みとしましては、ことし10年目を迎える山東省ビジネスミッションを9月末に5社の参加のもと実施するとともに、昨年MOUを締結した香港では、4月に開催された香港ハウスウェア・フェアに集団出展で6社が、個別出展で1社が参加しました。これらの取り組みなどを通じ、中国市場への販路開拓を行っております。
 輸出・供給の実績ですが、平成25年の財務省貿易統計によりますと、県内の港湾での輸出実績としては、化学製品で約340億円、機械類で約90億円を初め、多くの実績があるほか、現地に進出し、機械製造業や日用品製造業など生産・販売を行う企業も多くございます。
 次に、中国からの誘客については、富裕層の多い北京市、上海市、広東省及び本県と関係の深い山東省、遼寧省をターゲットに、温泉、世界遺産、自然景観及び食をテーマとして旅行会社及びメディアに対してプロモーションを実施するとともに、中国語のパンフレット、ガイドブック及びホームページを作成することで近年増加している個人旅行客への対応を充実させてまいりました。
 具体的には、昨年度の6月と9月には広東省を訪問し、現地旅行会社に対してセールスコールなどのプロモーションを実施してまいりました。また、北京市、上海市及び広東省等の現地旅行会社、雑誌社、テレビ会社等のメディアを招請し、本県の魅力をPRいたしました。
 このように、ターゲットとする地域や訴求する観光素材を明確にしたプロモーションを展開してきた結果、平成25年の本県における中国からの宿泊者数は9714人を記録し、対前年比45.9%増加となってございます。
○副議長(尾崎太郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 農林水産物の輸出状況についてお答え申し上げます。
 農林水産省の統計によると、2013年には、日本から中国本土へ508億円の農林水産物が輸出されています。県別の集計ではなく、本県の数値は把握できておりませんが、県内企業からは、中国本土へは日本酒、ジュース、調味料などの輸出実績があるとお聞きしております。
 また、木材については、財務省貿易統計によると、昨年、本県からは丸太187立方メートルが中国本土へ輸出された実績がございます。
○副議長(尾崎太郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 ただいまお答えをいただきましたが、それでは、これからの県産品の販路拡大について、そして中国からの誘客者数を伸ばすためにどのようなお考えを持たれているのか、商工観光労働部長並びに農林水産部長に、再度、御見解をお聞きいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) まず、工業製品の販路拡大への今後の取り組みですが、県としましては、今後も市場拡大が続く中国において、香港を基点として、そこで開催される展示会への集団出展や個別出展支援、商談会の開催などを通じ、県内企業の中国本土への販路拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、中国からの誘客数を伸ばすためには、今後、さらに日本政府観光局、近隣府県、県内観光事業者と協力し、メディアの招請や現地旅行会社へのセールスコールを行います。また、団体旅行客に加え、今後、個人旅行客、いわゆるFITの取り込みを期待できる大都市においては、現地の個人旅行取扱旅行会社に加え、メディアに対してもPR活動を行ってまいります。
 さらに、日系企業が多く進出し、親日的な都市である大連市などの都市においては、訪日旅行への関心が高いことから、現地旅行会社への団体旅行のパッケージを中心とした旅行商品の造成の働きかけを行い、中国の各地域の実情に応じたPR活動や招請旅行を展開してまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 植物検疫の問題により、ミカン、柿、桃などの本県特産品の果実類が中国本土に輸出できないことに関しては、知事からお答え申し上げましたように、日中間の植物検疫条件の早期合意に向け、引き続き農林水産省に対して強力に働きかけを行ってまいります。
 果実以外の食品につきましては、ジェトロなどを通して中国市場に関する情報を収集し、県内企業に提供してきたところですが、輸出の増加には至っていないのが実情です。そのため、県では、昨年7月、MOUを締結した香港貿易発展局とのつながりを核として、まずは香港の市場開拓に力を注いでいるところです。香港には、中国本土から年間4000万人もの人が訪れ、多数の流通関係者も活動しています。香港を足がかりとして、そこで開催される見本市での商談活動やPR活動に加え、百貨店でのフェア開催や本県へのバイヤー招聘などを通じて、香港及び中国本土への人的ネットワークの構築などに努めてまいりたいと考えております。
 次に、紀州材の中国本土への輸出についてですが、昨年、和歌山下津港から8月と12月にコンテナによる試験輸出が行われました。そうした中で、原木の大量発注への対応、希望取引価格との開き、中国本土への輸出に必要となる薫蒸処理能力の不足などの課題が明らかになりました。
 今後、これらの課題を研究し、継続的な輸出につなげていけるよう、取り組みを進めてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 御答弁いただき、ありがとうございました。
 続いて、大項目の2点目に移ります。
 県下における道徳教育の状況について。
 まず、小項目1として、教育現場における「私たちの道徳」の活用状況についてから質問をいたします。
 本年度から、全国の小中学生向けの道徳教育用教材として「私たちの道徳」という本が配布をされておりますが、去る7月11日に行われた下村文科大臣の記者会見で、「この『私たちの道徳』は、学校だけでなく、家庭や地域においても広く活用いただくことを狙いとしており、これまで2度にわたり教育委員会等に対し通知を発出し、その効果的な活用を呼びかけているところでありますが、これまでのところ、学校によっては、本教材を学校に据え置いて、家庭に持ち帰らないようにしているところがあるなど、十分な活用がまだなされていないという状況がある」との発言がありました。
 この記者会見に先立ち、7月8日付でも、「特に夏休みなどの長期休暇には、本教材を児童生徒一人一人が持ち帰り、家庭や地域でも活用できるように計らうこと」という文科省からの事務連絡が出されておりました。
 また、先ほどの記者会見後である7月下旬には、小中学校における道徳教材の活用状況について実態調査が行われたようであります。
 その後、私のほうでも少しその活用状況について確認をいたしましたところ、「私たちの道徳」を知らないという保護者の方が非常に多くて、このような状況を勘案すると、教育現場においても本当に十分な活用がされているのかと、正直、疑問に感じた次第であります。
 教育委員会で把握されている教育現場における「私たちの道徳」の活用状況を、実態調査の結果も含めてお聞きしたいと思います。
 続いて、小項目2の道徳教育の充実についてでありますが、中学生用の「私たちの道徳」には、204ページに濱口梧陵初代県議会議長のコラムが、また220ページから225ページにわたってエルトゥールル号の物語が、大変感動的に紹介をされております。本県といたしましても、全国に配布をされている教科書に我々の先人たちの話が掲載されていることは、県民全体の誇りであると同時に、後世にも延々と語り継ぎ、県民の範としていかなければと思います。
 このエルトゥールル号の話を学校での授業やホームルームなどで聞いたことがありますかと、先ほどと同じように、今度は生徒たちに質問いたしましたところ、ほぼ全ての生徒から「聞いたことがない」という回答でありました。実際は聞いていても忘れてしまったということはあるかもしれませんが、このことは、学校現場における偉人・先人の教育がいかに薄いかということをあらわしているように思います。例えば、先生が学校で預かっておくのではなくて、時折、国語の宿題も兼ねて「親御さんと一緒にエルトゥールル号の物語を読みましょう」とするだけでも、随分状況は変わるのではないでしょうか。
 また、本県においても、ふるさとの偉人・先人を題材とした独自の道徳教材集を作成し配布しているとお聞きしておりますが、今後、このような教材をどう活用し、道徳教育の充実を図っていくのか、1点目とあわせて教育長の御見解をお聞きいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育現場における「私たちの道徳」の活用状況等についてでございますが、文部科学省が作成した「私たちの道徳」は、県内全ての小中学校の児童生徒に配布されており、8月に実施しました活用状況等調査によりますと、小学校においては99.2%、中学校においては98.4%の学校が、道徳の時間を初め、特別活動、総合的な学習の時間、各教科等、さまざまな教育活動で使用していると回答しています。ただし、家庭に持ち帰るよう全ての学級に指導している学校というのは、小学校で78.3%、中学校では68.3%という状況です。
 調査の段階では今年度中の予定も含んでおりますので、現時点ではまだ使用していない学校もあります。議員から御指摘があった、実態として多くの保護者の方々が教材について御存じなかったという事実は、大変重く受けとめております。使用予定のない学校に対しましては、道徳教育の重要性を踏まえて積極的に活用するよう指導し、100%の実施になるよう取り組んでまいります。
 また、「私たちの道徳」は、学校の教育活動はもちろん、家庭や地域等でも活用されることを目的として作成されたものであり、今年度は5月と7月の2回にわたり、家庭に持ち帰って活用するよう、既に通知を出して指導しているところでございます。しかしながら、家庭に持ち帰るよう指導できていない学校があることから、今後、指導を一層強化してまいります。
 次に、道徳教育の充実についてでございますが、ふるさとが生んだ偉大な先人から学ぶことは、ふるさと和歌山に対する愛着を深め、人間としてよりよく生きようとする心を育むことだと考えております。
 県教育委員会では、和歌山にゆかりのあるすばらしい先人の生き方のみならず、近年、社会問題となっているいじめやインターネット等を題材に、相手を大切にし、温かく思いやりの心を持って人に接する態度等を子供たちにしっかりと身につけさせることを目的として、本県独自の道徳教材集、小学生用「心のとびら」、中学生用「希望へのかけはし」を作成しました。
 こうした「私たちの道徳」ともあわせて、学校だけでなく、家庭においても創意工夫を凝らして積極的に活用することで、和歌山県の子供たちに規範意識や豊かな心、ふるさと和歌山に対する愛着や自信と誇りを育み、心優しく、たくましく生き抜く力を身につけさせるよう、市町村教育委員会と協力して道徳教育の一層の充実を図ってまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 御答弁いただきました。
 実際、地域や学校で道徳教育についての状況は異なるように私も把握をしておりますが、先ほど答弁にもありましたように、本県が生んだ偉大な先人のことぐらいは、ぜひ生徒たちに学ばしてやっていただきたいと思います。また、その道徳教育を学習意欲の向上にもぜひ結びつけていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。
 続いて、大項目の3点目に移ります。
 観光施設としての田辺扇ヶ浜海水浴場とその周辺の治安対策について質問をいたします。
 田辺扇ヶ浜海水浴場とは、市の玄関口である紀伊田辺駅に近く、年間を通じ、市民の憩いの場であるカッパーク、いわゆる噴水や遊具、そして全国的にもまれであるXスポーツ施設等が隣接された観光拠点であり、田辺市唯一の海水浴場で、にぎわいの創出による中心市街地活性化への一助としても期待をされているところであります。
 昔の美しい海岸の姿を取り戻すべく、平成7年から始まった田辺扇ヶ浜海水浴場とその周辺施設整備は、扇ヶ浜総合整備事業として進められ、平成17年に開設をし、現在は第2期施設整備が実施されています。当初から、第2期施設整備の実施条件であった10万人の誘客を目指して、田辺観光協会を初め各種団体による海の家の運営や、夏休み期間中の毎週末にさまざまなイベントがとり行われてまいりました。
 その結果もあり、平成16年には約1万人だった利用者数も、オープン初年の17年では約4万3000人と4倍以上となり、それ以降も年々増加し続け、イルカふれあい事業であるビーチサイドドルフィンがスタートした平成21年には約11万4000人が訪れ、念願の10万人を突破いたしました。
 ここ数年においては、天候不良などの影響を受け、その利用者数は非常に厳しかったものの、これまでの観光協会を初め各民間団体の利用者の増加に向けた取り組みは、10年目を迎えた現在、しっかりと定着を見せるとともに、海水浴場としても一定の認知を得たのではないかと考えているところであります。
 そういった中、ことし、新たな誘客に向けた事業として、海開き前に遠泳競技大会が扇ヶ浜において開かれ、全国各地から多数の競技者や見学客が訪れました。大会自体は成功いたしましたが、その一方で、競技の準備中に車上狙いが発生をし、また競技を行った日にも置き引き犯罪が起こりました。海水浴シーズン直前の民間団体が扇ヶ浜海水浴場のPRを兼ねて取り組まれた大会だけに、残念であります。その後の海水浴シーズン中にも、恐喝や傷害、海の家が盗難に遭うなど、犯罪が例年以上に増加をいたしました。いみじくも、海水浴場に隣接した大浜交番が自動車で約5分離れた国道にある明洋交差点脇に移設した後のことでもあります。
 これら扇ヶ浜海水浴場で起こった犯罪は、運悪くしてネットで流され、多くの方が知るところとなりましたし、また、実際に私も、「扇ヶ浜は治安が悪く、行きたくない」という言葉を幾度も耳にいたしました。本当にマイナスイメージが観光施設に及ぼす影響というのは非常に大きいなと実感した次第であります。
 このような状況を受けて、田辺市、田辺警察署や海上保安部、青少年補導センター等の関係機関により、田辺扇ヶ浜海水浴場防犯対策にかかる意見交換会が初めて開催をされ、その結果として、田辺市の管理職を中心に週末の見回りや、田辺警察署においては大浜交番に一定時間人員を配置するなど、各関係機関の御努力により防犯対策が実施をされてまいりました。また、今後、より踏み込んだ取り組みとして、市では防犯カメラの設置等も検討されているとのことであります。
 このように、各関係機関が互いに協力し、防犯対策を講じるのは、この扇ヶ浜が地域住民にとって昔ながらの憩いの場であると同時に、さきにも申し上げた中心市街地の観光拠点として期待を寄せているからにほかなりません。
 先ほど申し上げた大浜交番が交番・駐在所再編成計画によって明洋交差点脇に移築したことは、さまざまな理由から深く理解はするものの、やはり観光施設でもある扇ヶ浜海水浴場とその周辺の犯罪抑止力が薄らいでしまったことは事実でもあります。
 そこで、今後の田辺扇ヶ浜海水浴場とその周辺の治安対策について、せめて夏場の観光シーズンや多くの人でにぎわう期間を中心に、隣接する旧大浜交番への警官の配置や配置時間等の見直しを含めた効果的な対策を行っていただきたいと思いますが、警察本部長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 警察本部長下田隆文君。
  〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) 議員御質問の夏季における田辺市扇ヶ浜海水浴場周辺に対する治安対策につきましては、本年、田辺警察署において、パトカー勤務員による大浜警察官連絡所への積極的な立ち寄りを行うとともに、同連絡所を拠点とした警戒・警ら活動を強化したほか、大浜警察官連絡所へ交番相談員を配置した安全・安心活動の推進、自主防犯団体と合同による夜間パトロールの実施、田辺市の協力を得て、扇ヶ浜に付随する駐車場対策として、深夜帯の使用制限による若者の蝟集予防などの活動を実施しているとの報告を受けております。
 今後の扇ヶ浜海水浴場周辺の治安対策につきましては、夏季の観光客等でにぎわう期間を中心として、田辺警察署によるパトロールの強化、大浜警察官連絡所への警察官の立ち寄り及び交番相談員の配置を実施するとともに、田辺市等関係機関・団体の御協力をいただきながら効果的な諸対策を推進し、住民や観光客の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 御答弁をいただきまして、多くは申し上げませんが、私は、この扇ヶ浜海水浴場とその周辺施設が観光施設として立派に育つか育たないかで田辺市の中心市街地の状況は大きく変わるものと深く考えております。住民はもとより、観光客が安全で安心をして余暇を過ごすことができるようにしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、要望としたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 以上で、私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございます。(拍手)
○副議長(尾崎太郎君) 以上で、鈴木太雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時42分散会

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