平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 それでは、議長の指示をいただきましたので、一般質問をさせていただきます。当局の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 今回、分割質問方式で5点についてお伺いをいたします。
 本質問に入る前に、教育委員会より第2期教育振興基本計画が策定され、過日、送付をいただきました。よく読ませていただきました。その取り組みに、この場をおかりいたしまして評価をさせていただきたいと思います。御苦労さまでした。
 ただ、今後とも、学校でいじめられて大切な命を落とす子供が1人も出ないよう、その責任ある立場で職務を遂行していただけますことを伏してお願いを申し上げる次第であります。
 きょうは、県庁のほうに来まして、この本議会が始まる前に新聞を読んでおりましたら、朝刊に、16歳の男の子が──高校生ですね──クラスメートとの関係がどうやらうまくいかなかったようで、線路に入って自殺を図ったという記事が載っておりました。全く、大変残念です。社会全体で子供たちの命を守っていかなければならないと、また守っていくべきであると、それが現代における我々の、年の上の者の責任であると、このように感じる次第でございます。
 それでは、本題に入らせていただきます。
 まず、平素の生活の中で、国民の皆様、県民の皆様から「ふるさと」という言葉をよく聞かされます。そして、我々自身も、生涯においてたくさん使う言葉の1つではないでしょうか。この「ふるさと」について考えてみました。
 ふるさととは何なのでしょうか。辞典で改めて調べてみますと、故郷あるいはふるさと、生まれ育った土地とだけ簡単に解説をされていました。しかし、この解説以上に我々国民にとって奥深く、解説でき得ない、心を占め揺さぶる不思議な力を思い、感じます。
 過去の時代においても、歌人、文人などと評される先達の方々も、ふるさとをテーマにした詩やエッセー、歌碑などのたくさんのものを残していただいています。このふるさととは、我々が送る人生の中で、いつまでも心の中に持ち続け、生きていく心の栄養のようなものではないかとも考えます。そして、我々の生き方そのものにも強い影響を与えることにもなっていると感じている次第です。
 人口排出県とも言われる和歌山県を出て全国各地で活躍している県人の方々との話し合いの中でも、意外にふるさとの歴史を御存じでないことに気づきます。しかし、強い関心を持っていただいています。子供たちが生活の中で、紀の国和歌山をリードしてくれた先達の足跡を知る機会や、和歌山県の歴史や文化などを知る機会が案外少なかったのではないかと考えます。
 ところで、例えば、「紀の国」の語源は何だったのでしょうか。漠然とした捉え方をしている方はいても、深く知っているかと問われれば、大方の県民は、むしろ知らないのではないかと思います。しかし、調べれば調べるほど深い歴史があることがわかります。
 では、「和歌山」という地名の表現は、いつから始まったのでしょうか。きちんと説明できる人は、そう多くはないのではないでしょうか。ほかにも、和歌山県の先達が大勢おられます。その先達と言われる方々の力をかりて、もっともっと文化や歴史、地理を学習する機会があれば、県民の心豊かな生活を送ることを支援することになり、観光和歌山を後押しすることにもなると思います。
 そこで、提案です。
 全国で、県民の日を定めている都道府県が幾つもあります。そのうち東京都や群馬県ほか4県が、学校などを休日にしています。和歌山県も、11月22日を「ふるさと誕生日」と定め、条例も制定されていますが、特にその取り組みが見えてきません。この日を老いも若きも、和歌山県の文化や歴史や地理を学ぶ日とすると定めることはできないのでしょうか。お伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県には、議員御指摘のとおり、全国に誇れる自然や歴史、文化、産業等、たくさんございます。県教育委員会では、平成11年度からふるさと教育に力を入れ、和歌山県のすばらしさをまとめた「わかやま発見」や「わかやま何でも帳」などの副読本を作成しました。また、小学生を対象に和歌山の民話を英語にした紙芝居、中学生を対象にした県内市町村の特色や郷土の偉人等について英語で学習する教材も作成しております。
 各学校では、県が作成した教材はもとより、市町村等が独自に地域の歴史や産業等をまとめた教材を活用するとともに、地域の人々から直接先人の偉業や歴史等を聞き取ったり、自然や文化に触れたりするなどの機会を積極的に取り入れております。さらに、県として「ふるさとわかやま学習大賞」ですぐれた実践を発表しております。
 今後とも、子供たちが和歌山に愛着を持ち、郷土に対する誇りと自信を持って成長していける教育の一層の推進を図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) ふるさと誕生日についての御質問でございました。
 ふるさと誕生日条例は、明治4年11月22日に、当時の和歌山県、田辺県、新宮県の3県が合併して現在の和歌山県が誕生したことにちなみまして、平成元年に11月22日をふるさと誕生日と定めたものでございます。この条例では、第1条において、「県民が、郷土についての理解と関心を深め、ふるさとを愛する心をはぐくみ、自信と誇りをもって、より豊かな郷土を築きあげることを期する日」をふるさと誕生日としてございます。
 学校におけるふるさと教育の推進とあわせまして、広く県民の方々に、この和歌山県の文化、歴史、地理など、ふるさとについて学んでいただくための取り組みを今後積極的に進めてまいります。ふるさと誕生日を積極的にアピールしてまいるとともに、和歌山の自然や歴史、人をテーマにしたシンポジウムを県内で開催するなど、県民により浸透するよう、他部局の事業等との連携についても検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(坂本 登君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 答弁をいただきました。
 ふるさとの誕生した日ということで11月22日を制定していただいてるということですけれども、県民の一員としても、その取り組みの状況がなかなか見えてこない。特に何か大きなアクションをいただきたいと考えてるわけではありませんけれども、せっかく制定していただいたんだから、これを先ほどお聞きいただいたように、ふるさとを愛する。そのふるさとを愛しようと言えば、やっぱりふるさとのことを詳しく、少しずつ少しずつ知ってるということがすごくふるさとに対する思いにもなるというふうに感じるわけです。
 そういった意味で、ちょっといろいろ調べてみましたら、全国で21の都と県がこうした県民の日を定めてて、先ほどもお話ししましたが、そのうちの1都5県が、学校なんか休日にまでして、そのふるさとを深く知る日にしているようです。
 もっといろいろ調べましたら、美術館や博物館、それからいろんなふるさとの民俗資料館等を無料開放して、その日だけは無料開放にして、もっともっと県民の皆さん方に促すというか、そのことの行動を促す。このこと自体も、10年、20年、30年と年月の経過とともに、大きな、我々国民あるいは県民の財産になっていくと、私はそう思うわけです。
 今、この「より豊かな郷土を築きあげることを期する日」というふうに位置づけられて、条例の中にあるわけですけど、私は個人的には、その最後のほうにでもええから「学ぶ日」という日を、表現の違いだけのことですけど、入れていただけないかな。そしたら、ちょっとしたことですけど、違ってくるように思うんです。学ぶ日──「学ぶ」ってすばらしい言葉だと思うんです。「学ぶ日」をつけていただけたらと、ちょっとそんなふうに考えます。検討の幅があるようでしたらお願いができないかと、そのように考えます。
 では、2点目に入らせていただきます。
 自然の恵みを生かした自然エネルギーの県内における取り組みの現状と課題についてお伺いをいたします。
 まず、自然エネルギーと言われるものの中で、県内で対応できそうなものとしては、温熱発電──これは温泉発電と、こう言われたりもしますけども──太陽光発電、風力発電、水力発電、海洋発電等々が考えられ、現在、前向きに取り上げられてきていますが、現時点の官民の自然エネルギーに対する取り組みの進捗状況はどうなっているのでしょうか。
 県内においては、過去の時代に原子力発電所建設計画が浮上した折、反対運動が広がった経過もありますが、電気エネルギーとは、人の体に置きかえると血液のようなものだと捉えている方々もいます。私もそうだと思います。次の世代も快適で文化的な生活の中で生き抜いていくためには電気エネルギーはどうしても必要で、なくてはならないものであるという考え方は、国民ひとしく思うところだと考えます。
 昨今の日本人は、計画された事柄に反対の意思は声強く告げるが、代案を出すことまではしていないことが多いと感じています。これでは、無責任のそしりを免れない。なぜならば、今や電気エネルギーなしでは、仕事や生活の中で必要不可欠な存在となったパソコンさえ使えなくなってしまうからであります。そして、環境によいものでも、料金が高くなれば困ります。今の時代は、都会では不夜城とも言われるほど、24時間365日、明々と照明が照らされています。都会においても田舎にいても、一日中電気を必要とする電気漬けとも言われる生活になっているのです。
 もはや我々は、安定した良質の電気を受ける権利があります。これは社会的権利であると私は思います。したがって、エネルギーの問題は、単に見込みやうわさや非科学的な視点で論じるべきではないと考えます。その結果責任は、全国民、全県民がひとしく受けることになるからであります。当局の御見解をお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) まず、自然エネルギーに対する取り組み状況ですが、県では、エネルギー政策に取り組む窓口を一本化し、自然エネルギー導入促進に取り組んでまいりました。
 中でも、発電量の多い自然エネルギーの導入状況を挙げますと、まずメガソーラー等の太陽光発電については、県有地や市町村有地等を中心に適地を取りまとめ、事業者からの問い合わせに一元的に対応してまいりました。現在、県内において12カ所、約16メガワットの太陽光発電が稼働しており、それ以外に8カ所、約74メガワットの計画が進められております。
 次に風力発電については、全国で平成25年3月末時点で1916基、約2633メガワットの設備が設置されております。本県では、平成17年から売電事業用として風力発電が稼働しており、平成25年3月末時点で58基、約75メガワットの設備が設置されており、それ以外に56基、142メガワットの計画が進められております。
 このように、本県の特性を生かした自然エネルギーの促進を進めてきた結果、平成25年度の自然エネルギー発電電力量実績では、近畿全体の約5割を占めるに至っております。今後は、次世代エネルギー資源として有望な表層型メタンハイドレートの賦存調査や大きなポテンシャルを占めた海流発電の開発など海洋エネルギーの創出や、温泉熱を活用した発電など、新しい取り組みも進めてまいります。
 次に、エネルギー問題に対する見解についてですが、エネルギーは生活や経済活動を支える基盤であり、安定的かつ社会の負担の少ないエネルギーを供給する取り組みは重要であります。国においては、昨今のエネルギーをめぐる国内外の情勢変化に対応する新しいエネルギー基本計画が策定され、安定的な資源確保や省エネルギーの強化など、エネルギー需給に関する取り組みが進められております。特に自然エネルギーについては、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できる重要エネルギーであることから、規制緩和や低コスト化、高効率化のための技術開発、送配電網の整備など、導入推進に係る国の積極的な姿勢が示されました。
 そのような情勢の中、県においても、本県の特性である豊富な日照時間や森林資源、また海に広く面した地勢などを最大限活用し、自然エネルギーの導入拡大を積極的に進めてまいります。
○議長(坂本 登君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 御答弁をいただきました。
 その中で、低周波の話のことで、先ほどあと56基の風力発電の計画が進んでるということですが、この低周波の問題がいろいろ全国的にも問題提起されて、そのことがすごく全体の活動を鈍いものにしてる。このことに対して、もうそろそろ、20年近くなると思うんです。この風力発電が提起されて世界中で発電がスタートしていった、その日から考えれば、20年前後の日にちが経過したというふうに考えてます。このことに対して、なかなかきちんとした見解が県当局あるいは国から出ていないことに、少し私は問題がないかと思います。
 そう言いながらでも、例えば昨年のマスコミ報道でも、風力発電を10年で3倍にする──下のコメントのところなんか読んでましたら、うまくいけば、それの3倍と言いましたが、まだ6倍にする可能性も残されてる。こんなふうにして強い期待がかかってると思うんです。自然エネルギーとしては効率のええ、単価の一番安い発電の──現時点では海洋発電というのがもっと効率のええもんになるんかどうかもわかりませんので──風力発電というのはすごく効率のええ発電であると、そう言われていながら、なかなか低周波の問題等についての明快な判断が国等からきちんとしたものが出ていないことに問題があり、なかなかこのことで現場ではしんどい思いをしてると、こんなふうに感じています。
 こうしたことも、もうそろそろ国に対してきちんとした判断を出していただく、そのことに対して、そういうことについて、もっともっと県当局も力添えをいただきたい。これは、誰か個人のことで言う話ではなくて、やっぱり我々の将来に向かっての電気エネルギーの確保、クリーンなエネルギーをどう確保していくかという重大な問題でもあるというふうに考えますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 提言をさせていただきまして、3点目に入らしていただきます。
 3点目です。人口減少社会に向けて対応していかなければならない施策、人口減少社会に向けた問題提起はもう何度目かになりますが、今回は県民の現状を伝えるとともに、一緒に考えていただきたいと思います。
 過日、白浜町内で、もう数十年続いている全町民参加の海や川の一斉清掃の日がありました。ところで、今私の住んでいる集落は、40年ほど前では40数軒ほど人家があり、100数十人が生活していましたが、自然減等で現在、29軒48名ほどとなってしまいました。それでも、自発的に参加した皆さんで朝6時から数時間、家の周りの草を草刈り機や鎌で刈ったり、くわやスコップを使って側溝の泥を取り除いたり、投棄物を片づけたりいたしました。しかし、参加できたメンバーは、ほとんどが60歳以上の方々10名ほどでした。私は機械を使って草刈りを担当しましたが、くたくたになり、その日1日、もうほかの仕事はできんような状況でした。あと10年もすれば、作業に出る者は恐らくいなくなりそうです。実は、こうした状態は、西牟婁郡内の至るところで見られます。
 昨年、すさみ町で、高速道路を建設するための工事用の道路をつくっている地区の区長から相談がありました。「今まで先祖の時代から、春になれば道路とそののり面などの草刈りを地区総出でしてきたが、この地区で一番若い私ももう65歳です。あと数年はできても、もうようせん。特に、斜面の草刈りは危ない。そこで、せっかく高速道路をつくるためのこの道、つくって残してくれても、管理ができなくなる日が来るので、斜面は草が生えないようにしておいてほしい」とのことでした。
 もう1例出させていただきましたら、次に、ことしの春ですが、上富田町で幅7メートルほどでしょうか、深さも3メートル前後の川が町の中心を流れていますが、そこに住んでる町内会長から悲痛な内容のお手紙をいただきました。要約すれば、私ももう年です、ここの川の管理、もうようしませんので何とかしてほしいといった内容です。
 時間と場所を打ち合わせ、早速、行ってみましたところ、なるほど川にはびっしり2メートル以上もあるアシという草なんでしょうか、ヨシとかアシとかと言われてるようなものですが、草が生えています。地区の区長は、「1キロほどにわたって茂っています。7年ほど前に一度県に刈ってもらい、その後も管理してきたが、もう年寄りばかりで無理です。このままで大雨が降ると洪水になりそうで怖い」とのことでありました。ちなみに、区長のお年は80代半ばぐらいと、こんなふうなお年に感じられます。
 この種の話は大変多くて、そして今後もふえてくることが予想されています。財源が少ないことは理解するとして、しかし、放置もできません。こうしたことについてどのような対策をお考えか、お伺いいたします。
 関連して、急傾斜対策についても同じようなことが起こっています。急傾斜対策に関する事業を県では和歌山県小規模崖崩れ対策事業と言うそうですが、5軒以上の住宅がまとまっていることを1つの要件としていますが、生活の難しい山間部は過疎がとまらない上に人口の自然減が続いています。したがって、5軒の住宅があることという要件が整わないために対応してもらえないという事象が出てくることが十分考えられます。
 そもそも、住宅に隣接している斜面の崩壊や落石を防ぎ、生命と生活の安定を守るために、住民は支援のお願いをしようとするんです。山間部や過疎地では、1軒1軒、一人一人の生命や財産が大切で、また住居や敷地などの財産を壊されると、必然的にもうそこで恐らく生活することはできません。1軒でも1人でも住んでもらえることが低コストで有効な治山治水対策になっていると考えています。
 人がいなくなれば、田や畑や山や川は壊れ、荒れ果てていきます。人口密集地内の住宅でも、人が住まなくなって3年もすれば、その住宅は荒れ果てて朽ちていきます。皆さん御存じのとおりです。時代のニーズに合わせて、1軒であっても必要なら対応できる制度に改変すべきであると考えますが、当局のお考えをお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) まず、最初の河川管理についてでございますが、河川内の除草につきましては、洪水時の流下能力やその沿川の土地利用状況等を踏まえて、洪水の流下を阻害する大きな樹木の伐採や人家連檐部の住環境を保全する必要のある区間等、緊急性の高いところから、順次、河川修繕費を用いて実施しているところです。
 また、現在では、河川愛護団体230団体、スマイルリバー事業参加団体15団体などに草刈り等の御協力をいただいておりますが、河川環境の保全には大きな助けとなっているところです。しかしながら、議員の御指摘のように、地域の高齢化が進む現状において、人手不足や刈り取った草の処理などの課題があることは認識しております。
 県としましては、除草に必要な河川予算の確保を図るとともに、例えば、元気な高齢者が担い手となったり、地域で支え合う活動を支援する県の事業であるわかやまシニアのちから活用推進事業を活用するなど、多くの方々に少しずつでも作業に参加していただけるように検討してまいりたいと考えております。
 続きまして、急傾斜地対策でございます。
 県内では、人家1戸以上ある急傾斜地の崩壊危険箇所は9493カ所あり、このうち平成26年3月末現在で1492カ所が整備済み、残りの8001カ所が未整備であり、整備率でいうと約16%という状況です。
 県としましては、現在、人家5戸以上の危険箇所について、重点的に擁壁を設置するなどの対策を実施しているところです。これは、人家10戸以上を基本とする国土交通省の交付金事業より小規模なところまで対象としております。さらに、議員御指摘の人家1戸以上の箇所につきましても、緊急性のある場合には事業採択が可能としております。
 県としましては、いまだ未事業箇所が8000カ所以上あることから、現行制度により重点的な対策を実施してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 御答弁をいただきました。
 まず、1つ提案をさせていただきたいと思います。また当局の中で御審議をいただければありがたいかなと思います。
 県の小さな河川、数あると思いますし、距離もあると思いますし、これを全部1年の間に毎年せえよと、こうなってきたら、それこそ現在のこういう財政的に厳しい時代の中でできっこないと、それはよくよくわかってる話のことでもあります。
 5年あるいは10年というスパンがいいかどうかですけれども、例えば5年ぐらいに割ると、その5分の1ずつの予算でいくと、こう思うわけです。口幅ったくて悪いですけど、やっぱり政治を治めていくというか、国を治めていくというのは治水治山だと思うんです。このことが、県民が怖がってるようでは元も子もないんじゃないかと。怖がってると私は言うたんです。怖がってるようなことをしてるようではぐあい悪い。しかし、県民の皆さん方の大方は、財源的なこともよく理解してくれる、そういう気持ちを持って言葉を出そうとしてくれてることを感じます。
 毎年ということじゃなくても、これ私、思いますのは、もう何十年もしてないんと違うって思うところがたくさんあるからです。せめて5年、あるいは7~8年の間のサイクルでぐるぐると回っていける──ぴかぴかにというようなことまで申し上げませんけれども、やっぱり河川にきちんと管理が届き出したら、一番重要な、安心して生活ができるんやということの提供ができると思うんです。
 ちょっと。私は西牟婁郡選出ですので、西牟婁のほうを数多く見てきましても、そんなに毎年毎年したら10億も20億も要るように思わんのです。何とかやりくりして、せめてあと5000万か1億か、郡ごとに予算をつけてあげていただくことができれば、出先の担当課の職員も知恵を絞りながら順次解消させていただく、こういうことが可能ではないかな、そんなふうに思います。
 巨額なお金が要るような話になってしまうことについては、私も考えながら発言させてもらいますけれども、あともう少しつけてあげてくれればかなり違うな、そういうふうに感じることも多々ありましたので、一度御検討いただけないかと思います。
 それから、この急傾斜というか、崩壊のそういうことを心配して、裏の山を直してほしいよと、石が落ちてこんようにしてほしいなと、そんな話のことなんですけど、今、部長から初めて8000カ所以上も未整備なところがあるというようなお話を聞くと、なかなか本当にいろいろ難しいこと多いなあというふうに思うわけですけども。
 例えば、それからあわせて、1軒でもできんことないというような趣旨の内容のお話でもありましたので、この当局のほうのいただいた資料に──でも、なかなか1軒だとしてもらえない。ハードルをすごく高う置いてるわけです。5軒のところは非常に危険だけども、1軒のところはそうでもないと。そういうことでもなくて、ケース・バイ・ケース、場所場所によってかなり違う。
 例えば、1軒がお願いをしようとすればこういう文章になっています。「斜面崩壊の前兆が確認されるなど危険が切迫している場合で」、それがまず1点目ですよね。その上に「緊急時の避難行動に支障がある災害時要援護者がおられる場合」、こんなときにはやってもええと、採択してもええよと、こうなってるわけですけど、この基準に合わしていこうとしたら、なかなか1軒では難しいな。
 皆元気でおられても、お年寄りの方も要援護者の方も、災害を受けて命を落とす場合は一緒です。1つしかない命です。元気であっても、あの大きな自然災害の前には、我々人間というのは本当に対応できない。余りにも人間の非力というのを感じるような場合が多いです。
 そういった意味で、この基準ですけど、要綱になってるんだろうと思うんですが、こうしたことも一度精査をいただいて、もっと訴えてきた場所、あるいは訴えてきてる県民の皆さん方に前向きにやっぱり話を聞いてもらえる、そういう要綱に変えていただければかなりまた違ってくるかな、そう思いますので、一度御検討いただけないかと思います。
 そしたら、次に移らせていただきます。
 4点目です。広域の力で観光産業の育成を図るという視点からの提言を申し上げたいと思います。
 白浜に生まれ育った私は、観光産業の勃興期からバブル時代、そして滞在型観光、体験型観光のずっと言われる時代の流れを見てまいりました。そして、感じることは、観光産業ほどデリケートで経営管理や運営の難しい産業はないということであります。それは、換言すれば、移り気な人の心をキャッチしなければならない仕事だからです。
 最近、「おもてなし」という言葉を前面に出した取り組みを全国各地で展開されていますが、白浜温泉では、かなり前からおもてなし作戦を進め、接遇マナーのさらなる向上に取り組んできたところです。
 さて、近代、白浜温泉の発展の軌跡は、昭和4年6月1日朝9時23分、小雨の降る中、昭和天皇が瀬戸鉛山村──現在の白浜町です──綱不知地区の桟橋へ上陸されたそのときからだと私は考えています。当時は、瀬戸鉛山村へ入る道がなかったため、その前後の時代はむしろ湯治場として有名でしたが、大方の湯治客は田辺方面から小舟で湯崎湾へ入り、上陸をしていたのです。したがって、昭和天皇も戦艦長門で田辺湾に入り、水雷艇で桟橋地区から上陸し、小雨の降る中、歩いて京都大学臨海研究所へ向かわれたのです。そのとき、瀬戸鉛山村の人口は2178名、旅館は白浜館1軒だけでした。
 当時の日本国民は、現人神である天皇陛下の行幸された瀬戸鉛山村の所在を知ろうと地図を書店から買い求め、和歌山県瀬戸鉛山村を探したようです。その日の天皇陛下の行幸により、瀬戸鉛山村は一挙に全国民に知られるところとなりました。その天皇陛下の瀬戸鉛山村行幸のおかげもあり、その4年後の昭和8年12月、国鉄白浜口駅ができ、陸路で大量のお客様が白浜へ押し寄せてくれる段取りができ上がったのです。
 今日では白浜温泉に年間320万人以上の来泉客がありますが、全国の市町村が地域振興として観光産業の振興と観光客の誘致に取り組んでおり、農業でいうところの産地間競争の状態となっています。
 いずれにしましても、観光産業で生き抜くためには、いつも問題意識と目的意識を持ち、新しい切り口と発想を取り入れていかなければなりません。
 ここで、1つ提言をいたします。
 これからは広域観光でなければ生き抜けないと言われて久しい年月が経過いたしました。しかし、観光地間で点を線でつなぎ広域観光を展開していくことは、現実的には大変難しいことだったのです。それは、広域観光の青写真やストーリーが見えなかったからではないかと考えてみました。しかし、観光地間を縁を求めて文化でつなぎ、点を線にして広域観光をお客様に提案することができれば、また1つ時間をかけざるを得ない滞在型観光としての新しいメニューが提案できると考えます。
 例えば2例ほど挙げさせていただきたいと思います。
 今から約1400年前に有間皇子という方がおられました。白浜温泉では、温泉の魅力を世に知らしめてくれた方として石碑をつくり、毎年6月1日、献湯祭の中で神事を厳粛にとり行っていますが、その有間皇子は、謀反の罪を着せられ、天皇が滞在していた牟婁の温湯──牟婁の湯とも言いますけども──に護送され、その帰途、海南市の藤白坂で惨殺されたと古文書に記されていますが、その墓地が御坊にもあると伺っています。これらの点を線に結び、お客様に提案できる新しい観光ルートをつくれないかと考えてみました。
 幾つもあるわけですけど、2例目として、今から200年余り前の1807年、日置川町久木村で誕生し、元服とともに上京して、苦学の後、医者となり、当時の日本国民を苦しめていた天然痘のワクチンの開発に取り組み、日本人として初めて牛痘種痘法の開発に成功し、その後を生きるたくさんの日本国民の命を助けた小山肆成という先達があり、京都の宗仙寺にお墓がございます。足跡を文化と位置づけると、京都、和歌山、田辺、白浜町日置を点と線で結んだ広域の観光資源ができ上がります。
 今日までの自然の美しさや観光資源の魅力に文化力を加えることにより、底浅い観光地を奥深く興味の尽きない観光地にしていくことができるのではないかと考えますが、御見解を承りたいと思います。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 議員御提言の新しい観光ルートの作成について、観光資源を文化という共通点で結び、広域観光を推進していくという考えについては、全く同感であります。
 県では、個々の観光素材を共通のテーマでつないで、広域周遊と滞在時間の延長やリピーター化を促進する展開を行っております。例えば熊野三山や高野山を紹介する際には、世界遺産として認められた「いにしえから連綿と続いてきた祈りの文化」が背景にあり、それぞれの参詣道である熊野古道や高野山町石道でつながっている観光資源を絡めて広域的な展開を図っています。この展開の1つとして、熊野古道や高野山町石道の主要なスポットに設置されたスタンプを押印するとルートごとに踏破証明書を発行していますが、平成18年度の事業開始からの累計では600名を超える実績があり、広域にわたって何度も本県を訪れていただいている成果につながっています。
 また、平成24年の古事記編さん1300年に際し、県内の古事記や日本書紀に関係する県内のスポットを抽出し、神武東征や議員御提言にありました有間皇子などの話に基づいて「わかやま記紀の旅」として若年層にもわかりやすく取りまとめ、背景となっている物語とあわせて周遊モデルコースや見どころなどを情報発信しています。紹介している幾つかの神社からは、若い女性の来訪者がふえたといったような話も聞き及んでおります。
 以上は一例であり、県内には文化に深いかかわりがある観光資源が多くあることから、観光客の多様化するニーズに対応していくためにも、今後ともさまざまな視点で共通する文化やテーマを見出し、引き続き、これらをつないだ広域観光を推進してまいります。
○議長(坂本 登君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 答弁をいただきました。ぜひ、どうぞよろしくお願いいたします。
 先達という表現に値する方々をちょっと調べてみたんですが、本当にたくさんあって、こんだけ我々の先祖が郷土を愛して、こんだけたくさんのことを残してくれてる、これをまた再び現代を生きる我々が勉強し学ぶことによって先達の皆さん方の気持ちに添うことにもなると、そんなふうにも思いますし、例えば、新宮でしたら佐藤春夫さんのことなんかも本当に有名ですし、安珍・清姫のことだったりとか、ちょっと昔でしたら平維盛、それから陸奥宗光とか、本当にたくさんの方々が我々のために残してくれたんと違うか、そんなに思えるほどございます。
 ぜひ、これ一つ一つを観光客の皆さん方に提案をいただいて、そのこと自体が私は現代を生きる和歌山県人の心豊かな生活を送っていく栄養剤のようなものになるんではないかと、それがやっぱり大きな力になるんでないかと、そんなふうに考える次第です。どうぞよろしくお願いします。
 では、5点目に入らしていただきたいと思います。
 ことしのカツオ漁の不振について、当局の対応をお伺いいたします。
 カツオは年間を通してとれているようですが、その中でも3月から5月の時期は初ガツオとも言われ、他の時期を圧倒して水揚げの多い時期であります。
 近年、10数年の田辺、すさみ、串本港での水揚げ高は、ちょっと調べさせていただきましたが、2000年ごろが一番ピークで、何と2000トン弱あった。大漁だった年であるというふうに思います。それが、ことしは、この3つの漁港で何と72トンであったとお伺いしています。72トンでしたら、ピーク時の28分の1という惨状でした。不漁というよりは、漁港へ水揚げのない日も多く、3港での水揚げの合計が72トンでは、ほとんどなかったに等しいものでした。
 漁師の方々の話では、和歌山県近海に魚種は数あるんだけれども、この近海の漁業はカツオ漁で生活をしていて、他の魚では、量、単価などいろいろな面から考えても生活のための柱の収入源にはならないと言います。もし来年以降もこのような状況が続けば廃業せざるを得ない漁師が多く出てくるだろうとのことでありました。私も、そう感じます。
 近年の漁師を取り巻く環境は、漁獲量減に加えて、価格安や若い方々の魚離れなど、二重、三重に難しい課題が降りかかってきています。そこへ、ことしの大不漁です。漁師町は、息苦しく、重苦しい空気で覆われていました。原因究明と今後の対応を急がなければなりません。当局は、この事態に今後どのような対策をとろうと考えておられるのか、お伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 谷議員の御質問にお答え申し上げましたように、カツオ不漁の原因としては、日本近海の海水温が例年になく低目で推移していること、太平洋熱帯域でのまき網によるカツオの漁獲量が急増していることが考えられます。今期のカツオ不漁は極めて深刻と受けとめており、真摯にさまざまな対策に取り組んでまいります。
 まず、漁業所得に関しては、漁業共済は掛け捨てになるのですが、さらに発動された場合には漁業者により有利な仕組みである積立ぷらすという一定以上の減収を補填する制度がありますが、加入率が低い地域に対しては、これまで以上に制度の周知と加入促進に取り組んでまいります。
 また、カツオ漁以外の漁業所得の増加を図るため、安定した漁獲量が見込めるイセエビの漁場づくりとして事業効果の大きい投石事業を支援するとともに、海藻や貝類の無給餌養殖など経費のかからない養殖事業を推進いたします。
 次に、操業コストの縮減策として、これまでの中層型浮き魚礁よりも魚礁の位置を把握しやすく集魚効果の高い表層型浮き魚礁の設置を進めてまいります。これにより、カツオ漁での魚群探索の労力を軽減するとともに、漁船の燃料消費を抑え、効率的な操業によって経費の節減を図ります。
 漁業用燃料の価格高騰に対しては、先日、国に要望を行ったところですが、一定基準額を超えた部分に対して国が4分の3を負担する漁業経営セーフティーネット構築事業の特別対策が平成26年度末で終了することから、この継続を強く働きかけてまいります。
 また、資源の確保策として、同じく国に要望を行ったカツオ資源状況の把握と熱帯海域における大型まき網漁への国際的な規制についても、関係各国への働きかけを強く求めてまいります。
 今回のカツオ不漁は全国的な現象であり、直ちに効果のあらわれる特効薬は見当たりませんが、漁業者の置かれた状況を踏まえ、改めて現場の声をお聞きするとともに、他県とも情報を交換し、打開策を研究してまいる所存でございます。
○議長(坂本 登君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 答弁をいただきました。
 その中でも、水温の話のことなんですが、カツオがとれないとなったときに、よく水温が低いという表現がありまして、実はこれ、今回この演壇に立たしていただくに当たりまして、漁業関係者の方々3人から、ちょっと私のほうにおいでいただきまして、このことを訴えられたことを踏まえて、こうさしてもらってるんですが、その3人が、全然別の日にお互いが別で来てくれたわけですけど、水温の話をちょっと、僕も素人なので「カツオって水温1度、2度でこんなに敏感なの」と聞くと、3人が3人とも言うた言葉は、「水温は関係ないんや」──漁師、現場で働いてる方々ですよ。現場で皆3人とも肩書きのある方で、理事といった肩書きだったりとか、その地域の代表ですよね。「水温は関係ないんや。そもそも黒潮って30キロほどの幅があって、カツオというのはその黒潮の蛇行の両側にあるんや。みんな水温水温って言うけれど、私らは水温は関係ないと思ってあるねん」、そんなふうに言うわけです。
 それが科学的なんかどうか、僕はわからないんです。やっぱり漁師の人も直感力からという、長い、50年、100年と漁をしている中での直感力という重たさはありますけれども、ひょっとしたら科学的に見るとやっぱり水温というのは影響があるんかもわかりません。ただ、現場の漁師の皆さん方が関係ないんやと、肩書きのある、長いこと漁に携わってる方々がそれを言う。このことに対して、そうだとしたら、そういう考え方の捉え方が2通りも3通りもあるとしたら、やっぱりこれ、もっと研究しとく必要があるんではないかと思いました。
 漁師の人がどう言おうが、水温というのはやっぱりかなり影響がありますということであれば、それをきちんと、そうした上で中長期的な漁業の振興というのを考えなければならないし、ひょっとして水温というのはそう関係もなくて、ただ、やっぱり不漁というのは、よく最近言われていますように、フィリピン沖であったりとか、インドネシア、あるいはベトナム、中国も含めたああいう工船と言われるまき網漁業で一網打尽にとってしまう。そもそも、資源が総体的になくなってきてる、大量にやり過ぎてる、こういうことが原因だとしたら、水温というよりは、そこの部分についてやっぱり国際的な取り組みを、そういう作業に入っていただかなければならんのではないかと思ってみたりします。
 以前、カツオのことを少し勉強さしてもうたことがありまして、そのときにはこんな話を聞きました。もう知らんもんなんで、一つ一つが感激して聞くわけですけど、世界中でやっぱりとれる魚の量で一番多いのがカツオやと。特に環太平洋、日本も含めてずっとチリまで環太平洋で約1500万トン、カツオがとれている。何千年という有史以来、漁業というのはカツオを核にした生活でなりわいをしてきた。あと、タイがあったりとかいろいろするわけですけど、それはカツオの漁獲高あるいは単価、生活を支える力に比べれば、やっぱりどうしても弱いと、そんな話をお聞きしました。
 だとしたら、これ、本当に我々の国だけの地域の話ではなくて、カツオって回遊魚ですので、やっぱり総合的に考えても、国際的な取り組みの中で、資源がウナギのようになくなってから慌てふためいてするというのは、やっぱりちょっと、ウナギで我々は経験をしたわけですから、もっと早く国際的なそういう協議もスタートをしてほしいと思います。
 それと、もう1点です。その漁師の方がお見えになって、いろいろ雑談をさしてもろたときの中に、「じゃ、どうしたらいいの。どないしたら今の状況を打開できて、皆さん方の生活が何とか来年まで引っ張っていける」と。言いますのは、我々日本人というのは、やっぱり牛や豚をたくさん戦前、戦中に飼ってて、それでアメリカのようにたんぱく源を牛やそういう四つ足動物に求めたというよりは、近海にある魚を食させていただくことによって、健康で、こうして世界でも1番、2番と言われるような健康的な生活を営むことができる原因になったことの1つに、この海の幸がたくさんあったということがあると思うんです。そこのとこが決定的にアメリカやそういう地域との食生活が違ってたと思うんです。
 その魚をとっていただく漁師の戸数というか、それがここ10年、20年を見ても激減してきている。これ、しまいに漁師の人がこの海へ行かない、漁師という方々が極端になくなってきたときに、我々のこの食生活を守ってもらえる、健康を守ってもらえる魚が食卓に上ってこない、こんなことになると、すごく国家的にも大きな損失であると思います。
 そういう側面からも、やっぱり漁師の人には、きちんとこれからもまだまだ、3年や5年の間という話じゃなくて、子々孫々となりわいとして存在をしていってほしい、そういうふうに思うときに、じゃ、どうしたらいいの、どうしたらこの今の状態──もう来年もこうだったら悲観的なんですよ。これ、単に水温の問題だけで捉えてなくて、資源自体がなくなっているん違うかという捉え方をしてる方が多くて、お見えになった方もそんな視点でした。だとしたら、来年もことしぐらいの漁獲になる可能性がある、もうやっていかれへん、もう海へ出ていくことできやんと、こうなるというふうに今思います。
 その方々のお話では、「海へ実は行きたいんや。毎日、家でぶらぶら、船の周りでぶらぶらしてるというのはつらい。奥さんの顔見てもつらい。ただ、でも当てもなしに、やみくもに30キロ向こうの、黒潮の向こうに行ったら燃料すごく使いますよね。それで、また空っぽだってん。今度、帰ってきて、また家の人の顔見るのもつらい。またきょうも空っぽと、そんなふうになるので、行きたいんやけども出ていかれへんねん」と。そんなこともおっしゃってました。
 いろいろ聞くところ、話を、じゃ、どうしてほしいかという答えを言うてくれやんので、例えば「燃料代半分になったらあんたら出ていけるん」と私のほうから尋ね返してみたんです。そしたら、「そうやな、そのぐらいの燃料になったら。燃料が高過ぎて、危険を冒して本当に行かれへんのや。一遍行ったら5万、10万ってやっぱり燃料代も要る。それが、月に10回も20回も要ると50万、80万みたいなお金になってきて、それみんな借金になっていく」、そんな状況でした。
 お話をお聞きいただいて、そうしたことを踏まえて、より適切な、今の窮状を打開すべく、いい取り組みを漁師の皆さん方とも御相談をいただいて出していただけないかと、そんなふうなことのお願いを申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時44分休憩
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