平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 大きく3点、質問を行いたいと思います。どうぞ皆さん、御清聴をお願い申し上げます。
 私は、和歌山へ来てくださるお客さんを県産果樹でお迎えしたらどうかというふうに考えております。
 一昨年の夏、関西広域連合議会出席のため、鳥取市を訪問しました。鳥取駅におり立つと、駅前広場には二十世紀梨が植栽されていました。鳥取県といえば、やはり誰もが梨をイメージします。本当に鳥取県らしい取り組みに感心をいたしました。
 本年秋には、リニア中央新幹線が着工されます。山梨県では、リニア新駅の駅前には山梨県らしいブドウを植える計画だと聞いております。
 本県は、果樹王国と称しております。今回の質問に当たり、調べてみました。すると、農作物作付面積、農作物生産量、農業出荷額に占める果樹の比率が、全国で唯一、50%を超えるほんまもんの果樹王国であることを知りました。私の不明を恥じるばかりですが、「やったあ」という感じでもあります。
 そこで、本県でも、最初に県外の人が到着する県の顔ともいうべき駅前や高速道路のサービスエリア等に県産果樹を植栽してはどうでしょうか。
 今回の質問に際し、長く全国みかん議連の役員を務めておられる尾崎要二議員から、「右近の橘、左近の桜」について御教示いただきました。「右近の橘、左近の桜」とは、京都御所紫宸殿の正面に平安時代から植栽されているタチバナと桜のことであり、タチバナは長寿の、桜は知恵の象徴とされています。ちなみに、桜は元梅だったと言われておりますが、本県のミカンや梅は、単なる農産物ではなく、古来より信仰の対象となるような、歴史と文化のあふれる和歌山県にふさわしい作物であることがわかりました。
 さて、高速道路や電車の車窓から見える景色は、旅の大きな楽しみの1つであります。本県を早春に旅すれば梅の花が、5月にはミカンの花の濃厚な香りが、夏には桃が、秋には色づいた見事なミカン畑を見ることができます。このような農村風景は、実は世界遺産にまさるとも劣らないお宝であり、ぜひとも活用、保存すべきであります。今、バリ島やタイ・チェンマイでは、ホテルにわざわざ農村風景を再現しているそうであります。
 知事も、イタリアに駐在され、よく御存じとは存じますが、イタリアのトスカーナやフランスのプロバンスは世界中から観光客が訪れる農村地帯で、そこで栽培、生産された農畜産物は高級でおいしいというブランドができています。まさに、本県のお手本ではないでしょうか。
 しかしながら、本県では、農家も高齢化により耕作放棄地が増加し、現実には、高速道路や鉄道の沿線が必ずすばらしい景色とはなっておりません。
 歌手の細川たかしの出身地、北海道真狩村には、フラワーロードという道路があります。村はユリネの生産日本一で、沿道のジャガイモやトウモロコシの畑の2畝は、農家のお世話でユリの花を植えています。
 そこで、本県でも、高速道路や鉄道の沿線の農地を、農家の力をかりながら、農村風景を守るため、何らかの保護、修景をすることはできないでしょうか。あわせて、知事の御所見を伺います。
○副議長(尾崎太郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 駅前や高速道路のサービスエリア等で県の代表的な果樹を植栽してはどうかという議員の提案は、本県が果樹王国であることを広くPRするよいアイデアであると認識しております。しかし、管理作業が適正に行われないと逆にみすぼらしくなったりして、ちゃんと実がたわわに実らないといけない。実施する以上、たわわに実って、おいしそうにならないと宣伝になりません。
 議員お話しの例は、駅前の再開発の際に地元の商工会議所が自発的に植栽を実現したものと聞いておりまして、管理などもその人たちが自主的に実施しております。
 また、県内においては、早くから地元の観光協会等が、例えばJR南部駅前に地域の特産果樹である梅を植栽して、来訪者をお迎えしているというような例もございます。
 中村議員のアイデアは大変いいアイデアなので、各駅とか、あるいは高速道路のサービスエリア等での果樹の植栽について、県の観光当局から地元関係者に「どうじゃ」というふうに働きかけてまいりたいと、そういうふうに思っております。
 その次に、高速道路とか鉄道沿線の農村景観を守るため、何らかの工夫をできないかということでございました。
 きちんとした農地が守られていて、伝統的な農業の雰囲気が車窓からも見えるということは、すばらしいことでございますし、地域の魅力の向上や観光振興という観点からも、よいアイデアであると思います。
 議員御指摘のような特別に花を植えるというようなこともなかなかいいアイデアではないかと思いますが、一方では、今度は本物の農業生産の効率が悪くなって、そのロスを誰が支払うのかという議論が出てくると思います。県内全域で農村景観を守ろうとすれば、こういう形でやろうとすれば、相当なコストがかかるし、どういう地域をどうつくるかということについては、目指すべき姿はそれぞれ違うんじゃないかというふうに思います。
 いずれにしても、まずは観光地に近い地域から、農村景観をこういうふうにいろいろ工夫したらどうだというようなことについての取り組みについては、地元の関係者によく相談をしてまいりたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございました。
 私も存じませんでしたが、実は県の景観条例にも農村風景を守るべきというようなことが記述されているそうでございまして、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、2番目は、情報提供と高齢者対策という視点で質問を行いたいと思います。
 まず、地籍調査について質問いたします。
 我が国は、戦後の焦土から、先人の不断の努力のおかげで奇跡的な高度経済成長を遂げました。そして、今や世界の経済大国に発展し、サミットやG8を構成する先進国の一員となりました。しかしながら、国家の基礎データともいうべき土地の面積、利用状況、所有状況など、いわゆる国土調査は未完成であります。
 例えば、固定資産税の課税対象である土地の面積はいまだに未確定であり、とても先進国とは言えない状況です。とりわけ東日本大震災の復旧・復興のおくれを見たとき、地籍調査は事前防災として至急にやり遂げねばならない課題であると考えます。
 本県でも昭和33年から60年近く取り組んできましたが、現在の実施状況はどうなっているのでしょうか。今後の取り組みについても、企画部長に伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 地籍調査の実施状況と今後の取り組みについてですが、地籍調査は、市町村主体の事業でありますが、土地の境界の明確化による所有権の保全や公共事業の円滑な推進など、大変重要な事業であります。
 本県の地籍調査の実施状況につきましては、平成25年度末で全国平均の約51%に満たない34.8%の進捗率でございますが、平成15年度から全国最大の事業量を確保しておりまして、最近では国全体の関連予算の1割以上を占めております。
 また、議員御指摘のとおり、地籍調査は災害からの復旧・復興に不可欠であることから、本県独自に津波浸水区域における地籍調査5箇年計画を策定いたしまして、当該区域の地籍調査を優先的に進めているところでございます。
 今後とも、地籍調査の早期完成に向けて、国や市町村と緊密に連携しながら所要の予算を確保するとともに、計画的に進捗させてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、汚水処理について質問します。
 知事の新政策、トイレ大作戦は大変好評で、各地できれいなトイレができたと喜びの声を聞きます。
 しかし、汚水処理人口普及率については、向上しているものの、相変わらず全国順位は徳島県との最下位争いです。県長期計画では目標年度の平成29年度に普及率70%を目指していますが、果たして達成できるのか、現状と取り組みについて県土整備部長に伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 汚水処理人口普及率の向上を図るため、現在、県としては、流域下水道事業として、伊都処理区、那賀処理区の整備を進めております。
 また、市町村が行う公共下水道事業や集落排水事業などの計画箇所116カ所につきましては、平成25年度までに80カ所が完了し、現在18カ所で事業を実施しております。
 合併浄化槽につきましては、29市町村において個人の負担軽減を図るための補助を行うとともに、県としては、市町村設置型浄化槽の導入を積極的に働きかけているところです。
 こうした取り組みは、県のホームページで公表するとともに、必要に応じて市町村と情報交換を行っておりますが、残念ながら平成24年度末の汚水処理人口普及率は55.2%となっており、全国的にも低い状況となっております。
 県としましては、下水道等の集合処理と合併浄化槽双方の特徴を生かした、より効率的、効果的な生活排水処理を進めることとし、平成29年度末の汚水処理人口普及率70%の目標達成に向けて取り組んでまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目は、住宅の耐震化です。
 本年度から、県では、耐震補助事業を木造以外の住宅にも対象を広げ、採択基準も緩和し、平成27年度には住宅の耐震化85%を目指して取り組んでいます。
 近く発生する南海地震に対して、1人でも多くの県民の命を救うためには、また避難路の確保や出火原因排除の観点からも、私は耐震化の目標は100%であるべきだと思います。
 現状と取り組みについて、これも県土整備部長に伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 住宅の耐震化を推進するため、平成16年度から木造住宅の耐震化に取り組み、耐震診断及び耐震改修の補助制度を創設し、順次、補強設計や避難重視型補強へも補助範囲を広げてまいりました。その結果、平成25年度末までの実績として、耐震診断は1万1194件、耐震改修工事は924件となっております。
 特に高齢者世帯等に対しましては、耐震改修サポート事業として耐震マネージャーを無料で派遣し、各種相談や改修計画の提案を行っております。
 また、今年度から、非木造住宅や現地建てかえに対する補助を追加し、耐震診断、耐震設計及び耐震改修を推進することとしました。さらに、避難重視型補強の補助要件である低所得者または昭和45年以前建設の要件を撤廃し、制度拡充を図ったところです。加えて、大規模建築物に対する補助も、全国トップクラスの規模で実施することとしました。
 こうした補助制度の概要は、県のホームページで公表するとともに、県内各地で説明会を開催し、制度の周知を図っているところです。
 県としましては、平成27年度末の住宅耐震化率85%を目標値に設定しており、これを目指して耐震化促進を図ってまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 4番目は、火災警報器について。
 私は、平成23年2月定例会において、同年6月に設置義務化される火災警報器の普及について質問を行いました。果たして、その後の設置状況はどうなっているのでしょうか。また、今後の取り組みもあわせて危機管理監に伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 本県の住宅用火災警報器の推計普及率は、平成25年6月1日時点で82.2%であり、全国平均の79.8%を上回っております。
 これまで、県内消防本部などでは広報紙やホームページ等で普及促進を図っており、県においても、ホームページや「県民チャンネル」、「県庁だより」で普及に向けた啓発を行ってきております。
 今後も、引き続き消防本部などと連携して普及啓発に努めてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 さて、ただいま4件について質問さしていただきました。いずれも重要な事業でありますけども、実は市町村によって大きな格差があります。なぜそのような格差が生まれるのか、よくよく考えてみました。私は、その原因は情報不足と高齢化にあるのではないかというふうに考えております。
 例えば、日高地方には、汚水処理人口普及率や地籍調査がほぼ終了した市町村がある一方、隣接にもかかわらず、逆に県内順位で大変おくれている市町村もあります。いずれの事業も住民生活に密接に関係する重要なものですが、不思議なことに、首長や議員の選挙でも争点になっておりません。これは、施策の便利さや、おくれていることが、住民に認識されてないからではないでしょうか。
 現在、各種施策の通知表ともいうべき市町村統計は、一括して「指標からみた和歌山県のすがた」などとして発表していますが、本来は、各部局で取りまとめ、その都度、丁寧に県民にお知らせし、果たして、みずから居住する市町村はどうなっているのか、正しく認識してもらう必要があると思います。そのための情報提供のあり方について、知事の所見を伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県の現状や行政の成果を県民の皆様にわかりやすくお示しするということは大事でございまして、このため、各種統計データを都道府県や市町村別に編集した「指標からみた和歌山県のすがた」というのを、これはかなり前から発行しておりまして、御指摘のように、ホームページにも掲載しているところでございます。こういうことによって県民の皆さんが、全国における本県の位置とか、あるいは県内における自分の住んでいる市町村の現状を正しく認識していただくということは、大事なことではないかと思います。
 また、御指摘のように、市町村にも県にも緊張感がないといけません。そういう意味では、あんまり意地悪になってはいけないんですけれども、淡々といろいろな情報開示をするということは大事だと思っております。
 そういう観点を踏まえて今後さらに情報発信力を高め、各種データを県民の皆様に十分活用していただけるよう、わかっていただけるよう、一層のPR等に取り組んでいきたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、県の情報は知事が直接首長さんに「あんたとこ、おくれてるね」と電話1本したらすごく効き目があると思いますし、県政報告会で住民が集まってるところでおっしゃられればきつく伝わると思いますが、そこと、それから今県のホームページだとかに出ております中間ぐらいの効果的な方法があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、高齢者対策について伺います。
 実は、私の御坊市の公共下水道では、接続率が伸び悩んでるというように聞いております。近所の水道屋さんが幾ら説明しても、接続してくれないそうです。理由は、高齢化が進み、近い将来、誰もいなくなる住宅に投資するのはもったいないという切実な内容です。
 浄化槽や耐震化、火災警報器についても、同様のことが言えます。26%という超高齢化が進行する本県では、通常の施策に加えて特別の高齢者対策が必要であると考えますが、知事の御所見を伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、高齢者にとっては、「もう私はあんまり長くないので、さわるのは嫌だ」とか「もういいんだ」とか、そういうような一般的な風潮があるということは事実だと思います。
 しかし、例えば耐震の問題とか、汚水処理もそうでございますが、これは御本人が今はそう思ってたって、現実に大変なことになったときに本当に困るわけでございますし、それから汚水処理などの問題については、ほかの方々にも御迷惑をかけるわけです。したがって、インセンティブはやっぱりつけないといけない。
 しかし、お年寄りだからお年寄りに特に優遇というわけにもいきませんので、いろいろ工夫いたしまして、例えば、住宅の耐震化の場合は、全面的に改装するととてもお金がかかるので、我が県のかなりこれは優遇された助成策があるんですが、こういうものを使ったときの自己負担率が少なくなるような使い方をしても、つまり命が助かるレベルで直しても、それは助成を受けられるというような制度に変えるとか、そういうような工夫をしていくことは必要だなあというふうに思います。
 と同時に、広い古い家に──したがって資産はたくさんお持ちなんだけども──お住まいだけれども、収入はあんまりないと、そういう方もたくさんあると思います。そういうところに住んでおられる人は何かと不便で、しかもだんだんお年を召してくると、特にそれが高じてくると思います。そういうときに、その家を誰かに貸したり、あるいは何がしかの工夫によって別途再開発の用に供したり、そういうようなことがうまくできるような制度というのがあると、資産が収入に変わっていって、それでその収入でもってかなり豊かな老後が送れるということもあるんではないかというふうに思います。
 そこで、そういう方のための賃貸のシステムとか、あるいはリバースモーゲージと言うんですけども、そういうようなものを県としても研究してみようというのが、ことしの目標でございます。
 実は、これは、特に後者は、ずうっと昔から言われておりまして、国のレベルでもそういうことが言われて久しいんですが、実はなかなか完璧な制度ができなくて、そう普及しておりません。ただ、勇気を持ってこういうことにも取り組んで、頑張っていきたいなあというふうに思っております。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事が、今年度の予算で県版リバースモーゲージを研究されるというふうに伺ってます。大変期待をしております。鶴保参議院議員なんかも、中古住宅を円滑に流通できるような、そういう制度をつくっていこうというふうに言われております。
 和歌山の地方のほうへ行きますと、なかなか過疎化が進んでおりますが、そういうところも、例えば農地つきで、今だと5反以上持たなあかんというようなこともありますが、もっとレクリエーションでできるような農業も私はできると思うんですが、そういうところについては規制を緩和して、農地つきで売るということは、また売れる可能性も広がってくることだと思いますので、ぜひ、補助金をたくさん出すということではなくて、アイデアで勝負をする、そういう対策を期待いたしたいと思います。
 最後に、和歌山市の渋滞対策について伺います。
 平日の朝、私が県議会に登庁するのに要する時間は、御坊から自動車で約50分です。高速道路が開通し、4車線化により、大変快適な道のりになりました。しかし、和歌山インターまでの約43キロをわずか30分で来ることができるのに、和歌山インターから県議会まで約5キロが20分もかかることは大変気に入りません。
 時間がかかる理由は、和歌山インター、花山、田中町の各交差点の渋滞です。平成22年度の調査では混雑度はそれほど切迫したものではありませんが、道路の快適さや多くの県民の膨大な時間の喪失を考えれば、立体交差など、何とか渋滞対策を講じていただきたいと思います。
 続きまして、道路の政策としてお聞きしたいと思います。
 県では、これまで県内の道路整備については、X軸ネットワーク、川筋ネットワークと整備方針を決めて注力してきました。しかし、和歌山市内については遠慮してきたのではないでしょうか。幸い、和歌山南インター設置や最近の都市計画道路の見直し提案は、ある意味、画期的であり、県都の道路整備についても主体的に対応していくとの強い意思が感じられます。
 和歌山市は、県土の4%しか面積はありませんが、人口の40%が集中し、企業や商業施設、大学、高校等が集積する拠点都市であります。したがって、道路に限らず、各種施策について、和歌山市と協調しながらも主体的に対応することが大切であり、むしろ指導していくくらいのパワーが必要だと考えます。
 県では、以前から、高速道路のアクセス性向上のため、交付金事業で道路整備に取り組んできてくれております。ぜひ和歌山市周辺においても同様の特別な政策が必要と考えますが、あわせて県土整備部長の御所見を伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山インターチェンジから田中町交差点付近の渋滞状況ですが、当該区間は、平成24年度の和歌山県道路交通渋滞対策協議会において選定した主要渋滞区間になっております。
 特に、通勤・通学時間帯である朝7時から8時の西向きの交通は、和歌山インター南口交差点を先頭に、時速20キロメートル以下の渋滞が発生しております。また、夕方5時から6時には、東向きの交通が、花山交差点前後の区間において同様の渋滞を発生し、さらに田中町交差点では、朝夕関係なく、交差点前後の区間で慢性的な渋滞が発生しています。
 このため、渋滞対策としまして、和歌山市の東部と市中心部を結ぶ交通を分散させるため、都市計画道路市駅小倉線の整備を進めております。このうち国道24号から東側の県施工区間は平成25年3月に既に供用済みであり、効果を早期に発現させるためには、残っている西側の市施工区間を一日も早く供用させる必要があることから、市に働きかけているところです。
 また、市南部と国体道路を利用し東部を結ぶ交通につきましては、都市計画道路松島本渡線の整備によって交通分散を図る計画であり、現在、県、市が連携して整備を推進しているところです。
 さらに、和歌山インターへの交通集中の分散を図るため、和歌山北インターチェンジに加えて、仮称・和歌山南スマートインターチェンジの整備を県と西日本高速道路株式会社で連携して推進しているところです。
 続きまして、和歌山市内の道路政策についてですが、和歌山市内では、周辺地域から中心市街地への流入交通が一部の幹線道路に集中していることが最大の課題であると認識をしており、この分散を図る施策を最重点に取り組んでおります。
 その中で、平成18年度以降の取り組みとしては、まず東西の新たな幹線道路としては、先ほど御説明しましたように、市駅小倉線のほかに西脇山口線を重点的に整備しており、これまで善明寺工区など5キロメートルが供用し、平成29年度の全線供用を目標に、残り5.8キロメートルの整備を進めております。
 また、南港山東線は、これまで坂田工区420メートルが供用し、現在事業中区間3キロメートルを、和歌山南スマートインターチェンジとあわせて早期に供用できるよう整備を進めております。
 次に、南北の新たな幹線道路としましては、松島本渡線は、これまで神前工区など1キロメートルが供用し、県道秋月海南線まで約900メートルにつきまして、平成27年度紀の国わかやま国体までの供用を目指しております。
 このように、和歌山市内の渋滞対策としましては、まず幹線道路を整備し、ネットワークを早期に形成することが重要と考えており、これに向けて県と市が連携して進めてまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。(拍手)
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は6月23日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時26分散会

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