平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


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  午後0時59分再開
○副議長(尾崎太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず、質問に入る前に、今行われております集団的自衛権をめぐる議論について発言をいたします。
 安倍内閣は、歴代の自民党政権がとってきた半世紀以上にわたる国会や国民への約束を大もとからひっくり返し、日本を海外で戦争できる国へとつくりかえようとしております。日本への直接の武力攻撃がなくても、国民の権利が根底から覆されるおそれがあれば、海外での武力行使ができるようにするという内容です。
 おそれさえあれば武力行使できるとなれば、本当に恐ろしいことになると思います。それを国会にも説明せず、国民的な議論もないまま、与党の密室協議だけで強行しようとする安倍内閣のやり方に強く抗議をしたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 最初に、自衛隊の防災訓練について伺います。
 この6月の1日から11日にかけて、南海レスキュー26と銘打った陸上自衛隊中部方面隊の防災訓練が、愛知、三重、和歌山、徳島、高知などで実施されたようです。和歌山県内では、6月2日から6日にかけて実施をされました。この南海レスキューは、昨年もありましたが、自衛隊の発表資料によりますと、ことしの訓練は、参加人数6300名を超える規模で計画をされました。期間も、11日間と長期です。
 この訓練について私たち日本共産党県議団が知ったのは、5月の28日のことでありました。あちこち聞いても断片的な情報しか集まらず、危機管理課のほうにも伺ったんですが、管理課が持っていた資料だけしか情報は得られませんでした。県民はもとより、県内のマスコミでも知らないところもあるという状態でした。
 そこで、日本共産党県議団として、5月30日に知事宛ての申し入れを行い、県は、訓練内容の全容を把握し、積極的に住民に公表すること及び安全性の確保や生活環境への影響について、県としてチェックし、問題点があれば自衛隊に改善の要望を行うことの2点を求めました。しかし、結局のところ、住民に訓練の詳細が知らされないままの実施となりました。
 6月4日に南紀白浜空港で行われた訓練には、自衛隊、米軍合わせて5機のヘリコプターに加えて、輸送機などが定期便の合間を縫って訓練を行いました。中でも、米軍の2機のヘリは、地上におりてもずっとエンジンを回しっ放しで、騒音がひどくて付近の住民から苦情が出ておりました。大変残念に思います。
 私は、自衛隊の防災訓練そのものに反対するものではありません。自衛隊は実態として軍隊であり、憲法の規定と矛盾するという認識はありますが、災害時の活動内容は、救出、医療、物資の輸送など、多様な機能を発揮できます。本来なら、災害対応に特化した専門機関を国が整備するべきだと考えますが、現状においては、国民の生命、財産を守るための必要な存在であり、災害時にしっかり活躍してもらうことは、大事なことだと考えております。
 ただ、申し入れでも述べたのですが、災害時に災害対策本部を指揮するのは、知事であり市町村長です。自衛隊に応援を要請する知事が、災害対策本部の責任者として自衛隊にどんな活動を要請するのかという主体性を持つこと、そしてきちんと自衛隊の行動を統括すること、この2点が大切だと考えます。
 そこで、1点目の質問です。
 今回の南海レスキュー26という防災訓練について、自衛隊から事前にどのような説明がありましたか。
 また、この訓練は自衛隊南海トラフ地震対処計画というものに基づくものですが、その概要は、皆さんにお配りしておりますその資料1にあります。これは、ホームページで公開をされている内容です。県は、その地震対処計画なるものの詳しい内容を御存じでしょうか。私は、防衛省に対し、計画の説明と計画そのものの県への提供を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 南海レスキュー26については、自衛隊から事前に、白浜空港での物資輸送訓練、県庁南館を使用した前進指揮所訓練等、訓練概要の説明を受けております。また、訓練の基礎となる自衛隊の南海トラフ地震対処計画については、5月上旬に計画の説明を受けており、ふだんから訓練等を通じて自衛隊と連携する中で、必要な内容を把握しております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
 自衛隊のつくったこの南海トラフ地震対処計画について、計画の説明は受けているということで、必要な内容を把握しているというお答えだったと思います。
 私が伺いたいのは、この計画そのものをなぜ県が手に入れていないのかという点です。この計画に、私、こだわるのは、この南海トラフ対処計画なるものが、自衛隊の防災派遣計画をつくる大もとになっているからなんです。
 自衛隊は、防災業務の実施に当たっては、こんなふうに書いてます。「平素から関係機関特に地方公共団体と密接に連絡及び協力し」というふうに、いろんな計画にも書いてあります。密接に連絡及び協力をしているはずの和歌山県が、なぜこの自衛隊のつくった計画そのものをお持ちでないのか。防衛省や自衛隊にこの計画を下さいということを言われたのかどうか、このあたり、もう一度御答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 対処計画につきましては、県としましては、和歌山県にとって必要な部分、重要な部分については、説明を受けております。
 ただ、対処計画全体は、非常に幅の広い、例えば中部、四国、中国というふうにまたがって計画を立てられておりますので、そういう部分についての提供は求めておりません。
 以上です。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁いただきましたが、私は、県の担当課を通じて防衛省や自衛隊にこの地震対処計画を見せてほしいということでお願いしましたが、結局は、落ちついたところは、情報公開の請求をしてくださいということでございました。
 国会を通じて請求をしまして、昨日、ようやく私の手元にそのものが届きました。ここに持っておりますけれども、あちこち真っ黒に塗って、塗り潰したページの部分はありますが、ほとんどの内容を見ることができます。情報公開をした私が持っていて、密接に協力しているはずの県当局がこの全体像を持っていないというのは、私はいかがなものかというふうに思いますが、再度、これはやはり防衛省に全体の提供を求めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 先ほども申し上げましたように、自衛隊と県との連携は、訓練内容等について常に情報の把握をしております。先ほども申し上げましたように、県として当然知っておくべきこと、知らなければいけないことについては自衛隊からの情報の提供を受けておりますので、今のところ、その計画を防衛省に求めるということは考えておりません。
 以上です。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 県にとって必要な計画の部分はよくわかっているんだというお話だと思いますが、全体像を把握するということは、非常に大事なことだと思います。災害時に自衛隊に的確に活動を要請するためにも、ぜひ、そんなことを言わんと、計画の全体をくれるわけですから、見て、検討をいただきたいというふうに思います。
 2点目の質問に移ります。米軍ヘリの参加についてです。
 今回の訓練には、米軍ヘリも参加をしました。地域の防災を最初から他国の軍隊に依拠することは、私は、憲法の規定からも、また、防災のあり方としても問題ではないかと思います。
 高知県で、昨年、ことしと、米軍オスプレイが参加する予定だった日米共同防災演習では、米軍は自衛隊の高知駐屯地を使用することになっておりました。これは、あくまで自衛隊施設の中での訓練です。
 しかし、先日、6月4日に行われた南紀白浜空港での訓練は、米軍機2機も空港を使用しておりました。民間空港を防災訓練という名で米軍が使用した例は、これまでありましたでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
 また、あわせて、米軍ヘリの参加について、事前にどのような説明を受けていたのか。米軍が日本国内のさまざまな施設を一時的に使用する際の日米安保条約上の取り決めである地位協定による一時使用の手続はあったのでしょうか。あわせて答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 米軍機が給油等のために民間機が使用する空港に離発着したことはありますが、防災訓練で米軍機が使用するのは初めてであるということは、防衛省に確認をしております。米軍ヘリの訓練参加については、自衛隊航空機の活動の一部として参加することや、米軍ヘリの行動内容についても説明を受けております。
 また、米軍ヘリの空港使用につきましては、自衛隊の計画で参加しておりますので、日米地位協定を適用するものではなく、自衛隊航空機の通常の手続に米軍ヘリを含ませた内容で申請したと防衛省に確認をしております。
 以上です。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 米軍機が防災訓練として民間機も使用する空港を使用したのは初めてだという、重要な答弁だったと思います。そして、それも日米地位協定に基づく正規の手続ではなくて、防災訓練をする自衛隊機の中に含ませて空港使用許可を申請したということでございました。
 私は、こういう解釈が可能なら、防災訓練と名をつければ、自衛隊と米軍が、日本中どこでもセットで訓練できるようになるではないかと思います。こういう白浜方式が全国に広がらないか、心配です。
 先ほど言いましたが、最初から米軍を計画に組み込んだ対処計画では、実際の防災に役に立つのかという疑問があります。先ほど示した南海トラフ地震対処計画のこの情報公開でとった冊子ですが、黒塗りのところが一部あるというふうに申し上げましたが、ページ全体がこのように真っ黒で何もわからないんですけれども(資料を示す)、目次のところだけ見ると、これは米軍に関するところのようです。
 ただ、そこの端っこに、こんな記述があるページがあります。「米側の要員等は、トモダチ作戦の実績等を基準にした日側の要望であり、必ずしも表中の要員が派出可能となるわけではない」というふうに注釈で書いてあります。これは、正直に書いておられるなというふうに思いました。
 私は、東日本の震災でのトモダチ作戦には感謝をしております。ただ、緊急のときに米軍は何を最優先するかというと、この対処計画のお配りした資料の裏に新聞記事を載せております。「赤旗」の新聞の6月17日付ですが、集団的自衛権の最近の議論の中で出てきたものですけれども、米軍がまず優先して助けるのはアメリカの国民だと。これは至極当然だし、東日本の震災のときも、アメリカは、原発から半径50マイル以内のアメリカ人に避難勧告を出し、日本全国の米軍基地から少なくとも7800人以上が飛行機で日本から退避したと聞いております。
 ですから、こういうことを考えると、最初から米軍の救援ありきでは、発災後72時間が人命救助のボーダーラインだというふうによく言われますけれども、防災計画として大丈夫なのかということを申し上げておきたいというふうに思います。
 次の質問へ移ります。この項目の最後の質問として、県民への周知の問題を伺います。
 今回の訓練は、県民に十分周知されたとはとても言えません。どういう見解をお持ちでしょうか。また、今後、自衛隊の訓練が県内である場合、県がしっかりと内容を把握するとともに、その情報がきちんと県民に周知されるようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 自衛隊が実施する防災訓練は、基本的に自衛隊に説明責任があると思います。統合幕僚監部と中部方面総監部から5月中旬にそれぞれ記者発表が行われており、また、訓練が行われる関係市町には、自衛隊から訓練についての説明がされたと聞いております。
 県は、自衛隊としっかり連携し、訓練内容を常に把握の上、情報共有をしております。今後、その情報については、県からも必要に応じてホームページや資料提供などを通じ、県民に周知してまいりたいというふうに考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 関係市町には自衛隊から説明がなされているということですが、私は、本当に不十分な情報しか行ってないと感じました。ぜひ県も、そうした点では協議をしていただいて、しっかり情報提供されるようにお願いしたいというふうに要望をしておきます。
 次の2項目めの質問に移らせていただきます。南海トラフ地震への備えということで、まず物資の備蓄状況について伺います。
 内閣府の南海トラフ巨大地震対策の最終報告が、昨年5月に公表されました。その中で、食料や水、燃料などの備蓄という点では、今回、家庭での1週間分以上の備蓄が推奨をされています。想定では、和歌山県では、水道の92%、都市ガスの84%、電気は90%、電話は88%が被災直後には途絶える予測になっております。また、避難者は1週間後で46万人、県民の2人に1人が避難者となります。
 これまで県では、住宅の耐震化や避難の仕組みについて事業を推進してきており、成果も出始めていると思います。しかし、この備蓄という点では、まだまだおくれているのではないかと思います。ライフラインが途絶えても、しばらくは生活が維持できる体制が必要であります。
 東日本の大震災のときには、道路が海岸部までくしの歯にルートを確保することができ、これが応急対応に役立ちました。しかし、南海トラフは、津波の怖さとともに震度が大きいことも特徴です。今、国体へ向けて高速道路整備など進めていて、これまでより防災力がアップすることは間違いないと思いますが、これが本当に南海トラフのときに十分機能するか、応急修理して利用するにしても時間がどれくらいかかるのかなど、心配な点が多いのも現実です。
 2004年、新潟県中越地震では、関越自動車道で大規模崩壊など被害が発生をし、発災後19時間で緊急車両は徐行運転できるようになったものの、期待される物資の輸送などに使えるようになったのは10日以上たってからでありました。こうした経験から考えるなら、食料や水、燃料や医薬品など生活必需品については、地域的な供給体制をとっていくということが大切になってくると思います。
 しかし、現状は、過疎地でのガソリンスタンドの減少、日用品や食料を販売する商店の閉鎖などが続いており、当面は備蓄をしっかりすることが求められております。
 そこで、伺います。家庭での備蓄を今後どのように進めていくのか、また県としての備蓄はどうなっているのか、答弁をお願いいたします。
 あわせて、病院や福祉施設の入所者、旅館など観光客への対応はどうなっているでしょうか。さらに、今後どう推進していくおつもりなのか、それぞれ担当部長から答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 家庭での備蓄については、従前、3日分の備蓄を呼びかけていましたが、昨年5月28日に公表された中央防災会議のワーキンググループによる南海トラフ巨大地震対策の最終報告で、1週間以上確保することが示されました。これを受けまして、県では、「出張!県政おはなし講座」や「出張!減災教室」などの各種啓発事業において、各家庭でふだんから消費している食料の蓄えをふやし、消費しながら備蓄するところてん方式での備蓄も呼びかけております。
 今後も、引き続き啓発活動に努めてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 県と病院、福祉施設での備蓄状況等についてお答えいたします。
 現在、県では、発災直後3日間の食糧、飲料水などを、避難生活者のために、県、市町村、県民の3者での分担備蓄をすることとしています。そのうち県分は約88万食で、うち30万食は、在庫備蓄として各振興局、特に災害時の搬送等を考慮して、西牟婁・東牟婁振興局へ重点的に備蓄を進めています。残り58万食は、流通備蓄として、民間企業との間で災害時の物資調達協定の締結を進めているところです。
 なお、平成26年3月末時点での在庫備蓄は、14万5000食分となっています。
 次に、病院、福祉施設についてですが、災害拠点病院では、災害時に多数の傷病者を受け入れる必要があることから、食糧、医薬品については、おおむね3日分の備蓄を行っています。また、特別養護老人ホームなどの福祉施設につきましても、おおむね3日分の食糧備蓄を行っているところです。
 今後とも、大規模な災害時に適切に対応できるよう計画的な備蓄に努めるとともに、関係施設に対して引き続き備蓄物資の確保を指導してまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 旅館等は宿泊客の安全確保に努める必要があり、大規模災害時には、できるだけ安全かつ速やかに帰宅していただくよう、市町村との連携のもと手配を行いますが、交通事情等ですぐに帰宅できず、しばらく旅館等で待機が必要となる場合も想定されます。
 一般的に、旅館等では、通常営業時において、生鮮食材を除き、数日分の食材、飲料水等を貯蔵しているため、市町村から食料等の供給、あるいは宿泊客が避難所へ避難するまでの間は、在庫食材、飲料水等を宿泊客に提供していただくよう、市町村を通じて働きかけてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 病院や福祉施設は、ある程度の備えが完了しているようです。旅館などについては、あるにはあるけれども、備蓄という点では、これからではないかと思います。
 前に新聞報道があったんですが、那智勝浦町のホテル浦島では、ピーク時にあの島に1日2000人宿泊すると言われています。このお客さんが約10日間生活できる食料や水を備蓄していると言っておられました。身近にこうした先進例もあります。ぜひ取り組みを進められたいというふうに思います。
 また、あと、この質問を勉強する中で、なかなか法的にいろんな施設に備蓄を指導する根拠というのが不十分じゃないかという議論もありました。やはりそれがあるなら、きちんとこれを裏づけするような国への要望もしていただけたらというふうに思います。
 では、次の項目に移ります。県防災ヘリの充実について伺います。
 先ほど触れました南海トラフ巨大地震対策の最終報告でも、孤立集落対策にヘリコプターの活用が有効と述べております。そこで、和歌山県の防災ヘリ「きしゅう」の充実について質問いたします。
 防災ヘリ「きしゅう」は、導入されたのが平成7年、その後20年近く、大きな活躍をしてまいりました。平成25年度の実績でいうと、緊急運航が87回、そのうち救急が37回、救助が27回と、圧倒的に人命救助が占めています。特に、運航状況のレポートを拝見してわかるのは、山林労働者が現場で事故に遭って救出に向かう例や奥地での交通事故への対応など、まさに山間地が多い和歌山県ならではの出動状況があるということで、御苦労がしのばれました。
 近年では、平成19年度から、救命率の向上を目的として、南和歌山病院のドクターを同乗させて現場に向かう取り組みが開始されました。現場に着いて、必要なときには、ドクターと隊員を同時にワイヤーで降下させて救命に当たるそうで、ドクター自身も日ごろからワイヤーロープでの降下訓練を行っていると伺いまして、大変すばらしい取り組みだと思いました。
 また、防災ヘリは、中型ヘリという分類です。ドクターヘリよりも大きくて安定性があるので、少々風があっても活動できるという特徴があります。さらに、ドクターヘリは日没までに県立医大のあのヘリポートに帰らなあかんわけなんですけれども、防災ヘリは日没までに現場を出発すればいいという運用で、このことも有利な点であります。
 なお、前に視察で拝見しました県警ヘリの「きのくに」やドクターヘリの活躍についても紹介したいところなんですが、今回はテーマが防災ということなので、またの機会に取り上げたいと思いますので、御容赦ください。
 このように活躍している防災ヘリですが、最近、技術の進歩でいろんな資機材が開発、実用化されており、その導入を考えるときではないかと感じております。
 例えば、高知県では、今まで防災ヘリが1台あったんですけれども、この4月1日からさらにもう1台、南海トラフ地震への対応に必要だということで、消防庁からヘリが無償貸与されました。このヘリは、最新の衛星通信システムが乗っていて、ヘリからの映像情報を直接人工衛星へ送信するために地上のアンテナが不要であって、地上の施設が損壊した場合でも全国へ映像伝送が可能となっています。
 また、動態管理システムといって、ヘリコプターの位置情報を衛星通信を利用して地上に送って、ヘリがどこにいるのかがリアルタイムにパソコン上に表示されるシステムがあります。この動態管理システムは、広域災害には大変有効で、各地から緊急消防援助隊がわっと来ても、地理的に不案内でも、まるでカーナビのように目的地まで誘導することが可能になることや、任務を本部から的確に指示することができるようになるそうで、今、このシステムは、全国76の防災ヘリのうち41機に搭載をされているということでございます。
 宇宙航空研究機構(JAXA)が開発中のD‐NETというシステムもあります。これは、先日、テレビ番組でも取り上げられていましたが、広域災害のときなど、消防、海上保安庁、警察、自衛隊のヘリが全て一元管理できるというもので、実用化も近いようです。
 紹介をしましたことからわかりますように、ヘリの性能そのものも大切ですが、いかに災害時に集中してきたそれらをうまく運用できるか、そうしたことに焦点が当たっています。
 先日、NHKのニュースでも特集がありましたが、東日本大震災のときも、まさに全国各地から防災ヘリが現場に駆けつけたんですけれども、通信手段が断絶して要救助者の情報が入らない中、例えば岩手県花巻空港では、せっかく応援に来たものの、10台を超えるヘリが何時間も待機をしたままだったということも報道されていました。幾ら機材がそろっても、情報がない中では有効に活用できないのであります。
 そこで、伺います。南海トラフ地震を想定しまして、県防災ヘリの機能を今後どのように充実をさせていくのか、答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 県防災ヘリ「きしゅう」は、つり上げによる要救助者の救助や、状況に応じて医師搭乗のもと、救助・救急活動を行うことが可能であり、さらには空中消火活動等、防災ヘリコプターとして日ごろの活動を行うための十分な機能を有しております。
 また、上空から撮影した映像をリアルタイムで県庁等に電送するヘリコプターテレビ電送システムを搭載しており、被災状況等の情報収集活動が可能であるとともに、被災地への救援物資の搬送等、応急対策活動に重要な役割を果たすものです。
 機体自体は、適切に検査を受けており、今後の使用にも十分耐えられます。一方で、技術的な向上は日進月歩であり、常に最新の技術を盛り込んだ機器を装備しておくことは、理想的ではありますが、現実的には難しいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
 防災ヘリが使用に十分耐えるというのもわかりますし、今すぐに今申し上げたような技術を全部乗せえと言うつもりもありません。やっぱり更新するとか、いろんな機会にこうしたシステムを順次整備していくということを申し上げてるわけで、ぜひ、それはよろしくお願いしたいというふうに思います。
 次、3点目の農政改革について伺います。
 内閣府に設置された規制改革会議の農政改革の議論について伺います。
 この規制改革会議の第2次答申が6月13日に公表されました。読みますと、今回の農政改革なるものは、これまで日本農業の発展に寄与してきた各制度を解体するに等しい内容になっています。
 まず、農業委員会の問題です。農業委員の公選制や推薦制を廃止して、数を半分にして、市町村長の任命制にすると言います。連綿と受け継がれてきた農地が、その時々の首長の考えで左右される、こういうことになっていきはしないでしょうか。また、全国農業会議所や都道府県農業会議──これは農業委員会の系統組織でありますけれども、こうした組織も見直して、新たな制度に移行すると述べております。
 その理由として新たな事業内容をするためにという例示が幾つかあるんですけれども、見ますと、既に農業会議などが行っているものばかりで、なぜ新しい制度が必要なのか、私にはわかりません。
 全国の農業委員会の系統組織である、先ほど申し上げた全国農業会議所ですが、この会議所が発行する「全国農業新聞」というのが手元にございますけれども、この「全国農業新聞」でも、改革案について、「組織の根底覆す」という大見出しを出して、いつになく強い調子で批判しているのも、私は当然であると思います。
 次に、農業生産法人の見直しについてです。これまで業務執行役員の過半が農業に従事する必要があった役員要件を、重要な使用人のうち1人以上が農作業に従事すればよいと、大幅に緩和することを提言しています。また、農地を所有できる法人の要件緩和なども検討するとし、農地を営利企業が所有もできるようになる、そんな道を開くものになっています。
 また、農協の見直しについては、先日議会で可決された意見書にもあるように、中央会制度の廃止と言っていたものが、「廃止」という言葉はなくなったものの、自律的に新たな制度に移行せよと、こう文言が変わりました。しかし、自主的に変われということ自体、自主的ではなく、強制的だと言っておかなければなりません。本質は変わっていません。
 何か、農協中央会や全農が単位農協に対して不当な規制をしているかのような描き方をしていますが、各単協からこういう制度をやめてくれという声は一切出ていないのであります。
 以上のようなことから、この規制改革会議の方向は到底受け入れられません。
 そこで伺いますが、県行政としてこれらの問題にどういう見解を持っておられるのか、農林水産部長の御答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 農政改革に関する質問について、お答え申し上げます。
 まず、農業委員会についてですが、農業委員会が農家の声を反映し、しっかりと農地を守れる仕組みであることが絶対条件であると考えます。
 答申では、事前に地域からの推薦・公募を行える、過半数は認定農業者から選任する、議会の同意が必要などの要件のもとに、市町村長が農業委員を選任することになっていますが、本当に地域の農業に精通した人が選任されるかどうか不明な部分もあり、農地の虫食い的な宅地化が進まないかという危惧があります。
 また、都道府県農業会議は、現在、意見の公表、行政庁への建議や答申、情報提供、調査研究、農業委員等の講習及び研修、助言、協力などの業務を行っていますが、こうした機能、役割が継承されるのかという心配もあります。
 県としましては、いずれにしても、農業委員会等の組織は、農業委員会法に定める設置目的の「農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位の向上に寄与する」ことが第一と考えます。
 次に、農業生産法人についてですが、本県では、県内農業の維持発展のため、農業後継者の確保はもとより、非農家からの新規参入や、多様な担い手の1つとして企業の農業参入も推進しているところですが、耕作放棄地は増加傾向にあり、十分な効果を上げるには至っておりません。
 答申では、企業の農業参入の障壁を低くするため、農地を保有できる農業生産法人の役員要件と構成員要件──出資比率のことですけれども──の緩和が打ち出されていますが、深刻な危機に直面している我が国の農業を下支えし、農業をこれからの成長産業として発展させるという観点においては、方向としては基本的には好ましいものと考えます。
 全国農業協同組合中央会が本年4月に策定した改革のプランにおいて、JA出資型法人による直接的な営農サポートの展開を掲げているところであり、特に、農協自身がみずから農業生産法人をつくり農業を営むことを期待するものであります。
 なお、企業が農地を所有することについては、経営不振などで農地を荒らしたまま撤退するような事態を防止するための仕組みが必要と考えます。
 最後に、農業協同組合の見直しについて、本県では果樹農業を中心とした商品作物の生産が多く、これまでも県と県内JAグループが一体となって地域の実情を踏まえた生産振興や販売促進に取り組んできたところであり、JAグループが地域農業の振興に果たしてきた役割は非常に大きいものがございます。
 答申には、地域の農協の自主的な活動を制約している全国中央会等を弱くすれば農協が活性化するという発想があるように感じますが、仮にそうであるとするならば、必ずしも実態に即した現状認識とは言いがたいところがあります。
 県としましては、農協改革は、組織を変えることが目的ではなく、農協が農業の発展、営農者の幸福実現にいかに寄与できるかという観点から議論が行われるべきものと考えており、当面は改革議論の推移を見守ってまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 次の質問に移らせていただきます。
 カツオの不漁問題です。これは1日目の谷議員の質問とかぶりますので、これについては要望とさせていただきます。
 地元のすさみ町では、おいしく手ごろな値段のケンケンかつおの不漁は、皆さんも御存じのとおりであります。ことし3月の水揚げは、平年比の40分の1以下、2.4%と聞いております。
 すさみの漁業関係者の話では、将来の展望が見えない中、若い人が意欲がなくなっていると伺いました。年に10人近く引退する漁師がいますから、10年たてば半分になると嘆いておられました。
 すさみ町では、以前から「景気は海から」と言われ、それほど漁業というのは大きなウエートを占めているんです。この不漁がもし連続で続くようなことがあればと考えるだけで恐ろしくなってきます。
 不漁に加えて、燃油代も高騰しています。伺いますと、この16日から税込みで1リッター114円になると言っておりました。ダブルパンチです。
 不漁の原因については、いろいろ説がありますが、全体としては資源を維持されているという報告があるんですが、フィリピン東方の黒潮の源流域という海域では、カツオの資源が明確に減少しているという研究発表も出されております。それが主な原因なら、やはりまき網によるとり過ぎを規制することが求められていると思います。
 私は、中西部の太平洋におけるカツオを対象としたまき網の漁獲規制強化とカツオの生態の研究、さらに資源量調査など、必要な手だてを国や各県とも連携をとって和歌山県が取り組まれますよう、要望をさせていただきます。
 5つ目の通学路の安全対策について伺います。
 平成24年の京都府亀岡市の事故を受けまして、県は、緊急に通学路の安全点検を実施されました。危険箇所が596カ所見つかり、対策済みや対策予定が現在573カ所と聞いております。残りは23カ所まで減らしてきました。
 今、紀南地方では、御承知のように近畿自動車道紀勢線の工事が急ピッチで進んでいます。地域によっては、従来からの交通の流れや道路状況などが大きく変わっております。また、道路交通法が改正をされ、路側帯のある道路での自転車の右側通行が昨年12月から禁止になりました。この影響で、児童生徒の安全と矛盾する事態も起こっています。
 おつけした資料の2なんですけれども、この崖の写真です。これは上富田町の南紀の台という住宅地の町道なんですけども、小中学生の通学路にもなっていて、道路交通法改正以前には、こっちの崖のほうが危ないんで自転車も右側を通行していたのですけれども、今は左側通行ということで、落石が多くてもこの左側をやむなく通行しているようなんです。早く崖を直せと言われそうなんですが、役場も努力していただいておりますが、うまくいっていない現状があります。これは、安全性という点で、どう見ても私は不合理だというふうに思います。
 そこで、教育長にお願いしたいんですが、現時点での新たな通学路の安全調査を行ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。また、その際、道交法の改正によって自転車通学にどんな影響が出ているのかも把握していただきたいと思います。答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 通学路の安全対策についてお答えをいたします。
 平成24年度に京都府亀岡市で小学生等が犠牲となった大変痛ましい事故を受けまして、直ちに学校、警察及び道路管理者等による小学校の通学路における緊急合同点検を実施し、危険箇所を解消するための対策を進めてきたところでございます。
 昨年12月の改正道路交通法の施行や近年の道路状況の変化を踏まえ、今年度、新たな危険箇所を把握するため、関係機関と連携・協力し、小学校の通学路だけでなく、自転車通学を含む中学校の通学路の状況調査を実施し、自転車通学への影響等を把握してまいります。
 今後も、児童生徒のかけがえのない命を守るため、交通安全教育の徹底を図るとともに、関係機関と一層連携を深め、通学路の安全確保に努めてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ぜひよろしくお願いいたします。
 最後の質問です。
 先ほどの質問でも触れましたが、今、高速道路の建設が進んできて、10トンのダンプが国道42号を中心に残土処分場まで列をなしております。ふだん渋滞の起こらないところが突然渋滞になったりして、多少時間が余計にかかるぐらいやったらええんですけれども、ふだんはもう5分もかからないようなとこが20分ぐらいかかったり、狭い踏切の前後にダンプが並んで大変危険が増したりする、そんな場所が出てまいりました。
 私、この質問を準備する中で、地元の役場や工事主体の国土交通省紀南河川国道事務所、そして県警にも実情をお話しして対応を求めてまいりました。早速、県警のほうが動いてくださり、国土交通省と協議をする中で、先週からダンプの運行コースを一部変えることになり、現時点では見事に渋滞が解消されました。ありがとうございました。
 そもそも、かなりの量のダンプを走らせることは、初めからわかっています。国土交通省も、あらかじめ運搬コースを設定しているんですから、県警と十分協議をしていれば渋滞騒ぎにならずに済んだはずです。工事は、これから交通量のふえてくる夏場も依然続きます。今後は、国土交通省と連携して十分事前協議などしていただきたいというふうに思います。このことについて、警察本部長の御答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 警察本部長下田隆文君。
  〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) 議員御指摘のとおり、近畿自動車道紀勢線延伸工事に伴い大型貨物自動車の通行量が増加し、通常では渋滞が起こらないところに交通渋滞が発生している状況にありました。
 県警察といたしましては、早急に建設工事主体である紀南河川国道事務所と協議を行い、大型貨物自動車の運行コースの変更等により渋滞が解消したところであります。
 今後とも、引き続き国土交通省等と十分連携を図りながら、近畿自動車道紀勢線延伸工事の周辺道路における交通の安全と円滑に向け、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁、ありがとうございました。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(尾崎太郎君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。

 

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