平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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平成26年6月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成26年6月20日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第101号から議案第120号まで並びに報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第101号から議案第120号まで並びに報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 濱口太史
 2番 鈴木太雄
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 中本浩精
 10番 上田良治
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 岸本 健
 18番 森 礼子
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 立谷誠一
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
 36番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       市川靖之
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     石原康弘
 会計管理者      岩橋良晃
 教育委員会委員長   山本 哲
 教育長        西下博通
 公安委員会委員長   片山博臣
 警察本部長      下田隆文
 人事委員会委員    野添 勝
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾崎善亮
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     西原龍也
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  午前10時0分開議
○議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第101号から議案第120号まで並びに知事専決処分報告報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 34番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 皆さん、おはようございます。通告に従いまして、本日のトップバッターとして一般質問をさしていただきます。
 今回は、防災・減災対策と健康問題と予防医学について質問をさしていただきます。
 まず、防災・減災対策でありますが、私はさきの12月議会で、遊休状態となっている旧南紀白浜空港の跡地を利用して総合防災訓練場を整備して、そこに在日アメリカ軍の最新鋭機オスプレイも参加してもらい、大規模な防災訓練を実施してはどうかと質問をしたところ、質問から1週間がたつかたたないかのうちに防衛省がオスプレイを導入した訓練を発表いたしました。知事、そして県当局並びに関係者の働きや御尽力にお礼を申し上げる次第であります。
 仁坂知事は、今議会冒頭の挨拶の中に、県民の安全と安心の確保について、津波や地震による犠牲者ゼロを目指し、避難対策の強化、それに県土の強靱化に取り組んでまいりたいと述べています。
 私は、かつて本会議場で、津波や台風などの災害対策として、沿岸部の幹線道路からの避難誘導道路の整備や、津波や大雨情報を知らせる避難電子板などの設置を何度も力説をしてまいりました。しかしながら、防災対策はハード面によって多くの予算が伴うことから、なかなか実りのある施策が普及されていないのが現状であります。
 政府は、このほど南海トラフ巨大地震などを想定した津波避難対策特別強化地域を、全国の14都県の139市町村を指定いたしました。このうち本県では、沿岸の18市町と古座川町が指定をされ、指定市町村の数では全国でも静岡県に次いで高知県と並び2番目に多い数となっています。政府は、新たな防災対策を市町村に求めるかわりに国の財政的な支援拡充も盛り込まれています。
 この指定は、陸上において津波により30センチメートル以上の浸水が地震発生から30分以内に生じる地域などを指すもので、各市町村に対し、防災路や避難タワー、それに建物の耐震化や津波避難ビルの整備などについて具体的な目標と期限を定めた上での計画の策定を求めています。このほか、大きなホテルや病院なども避難計画の義務づけが課せられているわけであります。
 このうち大きな津波被害が予想される市町村は、特別強化地域に指定をされ、避難経路や避難場所を整備する際は、国の補助率もこれまでの半分の2分の1から3分の2にかさ上げされており、防災立県を掲げる本県にとっては、国費がふえれば防災対策の選択肢が広がるのは間違いありません。
 私の地元田辺市では、昭和21年の昭和南海地震の津波で文里港に面した新庄町を中心に69人もの方が亡くなられました。このため、沿岸部の地域では防災意識が高く、避難路の整備などを働きかけるために地域の人たちが市役所に何度も足を運んできました。その結果、新庄駅の北側の高台に橋谷避難広場ができ上がったわけであります。
 しかしながら、田辺市では、巨大地震が発生した際、第1波は地震発生から15分で到達し、最大で12メートルもの高さの津波の襲来が予想されていることから、沿岸近くの津波避難ビルに逃げるには、7階以上のフロアを持つビルが必要となってくるとのことであります。
 また、市が新庄町から会津川までの地区で津波避難の安全性を検証した結果によりますと、高台だけの避難達成率は38.9%と約4割、津波避難ビルを加えても42.6%の達成率しかないということであります。
 そこで、新たな対策として、避難達成率が65.6%にはね上がる津波避難タワーや津波ビルの整備などが見直されています。私は、本県の防災・減災対策を推進させようと4月の1日、そして2日に自由民主党県議団の同僚ら9人とともに、三重県沿岸部の熊野市と大紀町に視察に訪れました。
 まず、我々一行は、熊野市有馬町に建設をされております津波から避難するための円筒型の避難設備シリンダーシェルターを見学いたしました。このシェルターは3階建てで耐震構造となっており、津波はもちろんのこと、流れてくる漁船や瓦れきなどの浮遊物の衝撃にも耐えられるほか、火災にも巻き込まれる心配がないようにつくられているとのことであります。
 さらに、大きなメリットとしては、1基当たりの費用が約4000万円の避難タワーに比べ、大きさによりますが、2分の1から4分の1と安く、コスト削減の面でも全国の各地から注目を集めているということであります。
 次に訪れました大紀町では、昭和19年の東南海地震の津波で64人の死者が出るという被害に見舞われました。これを教訓に、海岸部は避難が困難な地域でもあることから、人口密集地域の住民を津波から守ろうということで、平成10年に鉄筋コンクリート5階建ての避難タワー「錦タワー」を建設いたしました。また、東日本大震災を受けて、新たに第2錦タワーを建設しました。
 新しいタワーは、高さ24メートルの7階建てのフロアと避難スペースの屋上展望所を備えているほか、ふだんは町民の憩いの場としての集会所や非常用の発電機などの防災資材を保管する消防倉庫、それに災害時での集会室も備えられ、約500人が収容できる立派なタワーとして住民の安心・安全に応えております。
 田辺市を初め県内の沿岸部では、防災・減災対策を推進する中で1つ大きな問題点がございます。それは、高齢化に伴う問題であります。高齢者は、いざ逃げろと避難するときの歩く速さは、健常者に比べて半分の毎秒0.5メートルしか進めません。地震が起きても、約10分から20分後に津波が襲ってきても余り逃げられないのが現実であります。このため、高齢者県の本県にとっては、避難路の整備はもちろんのこと、避難タワーや避難シェルターは必要不可欠なものだと私は考えています。
 県内には、これまでに避難タワーは10基設けられていますが、東日本大震災以降、避難路は461カ所整備をされたものの、避難タワーは増設されておらず、この数では少な過ぎると思うわけであります。なぜなら、高齢者に加え、本県に1日に何万人も訪れる観光客の避難対策も含めて考えなければなりません。そのためには、今以上のプロジェクトが必要であります。しかし、避難タワーやシェルターの設備は、市町村が主体の事業とされています。
 人の命は、お金では買えません。県民や観光客を守るためには、国、県、市町村が一体となった取り組みが絶対に必要であります。県当局におかれましては、防災・減災対策、特に津波避難対策について、今後、国や市町村とともにどう取り組まれるのか、また、避難タワーの増設やシェルターの導入について、知事並びに危機管理監の答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県は、南海トラフ地震により甚大な津波被害が想定されており、地震や津波による犠牲者ゼロを目指して、県内全域において防災・減災対策に取り組んでいるところであります。
 南海トラフ地震特別措置法については、議員各位の協力を得ながら、東日本大震災直後から国に法を制定するよう働きかけ、さらに、南海トラフ地震による甚大な被害が想定される県と協力して9県知事会議を設立して取り組んだ結果、先般成立をいたしました。
 特に、古座川を含む沿岸19市町が指定された津波避難対策特別強化地域では、避難施設や避難路の整備などに対して国の負担割合がかさ上げされるなど手厚い財政支援を受けられることから、本県が従来から推進してきた津波から命を守るための避難対策がより一層推進されるものと考えます。この点は、大沢議員がおっしゃったとおりだと思います。
 今後とも、市町と十分な連携を図りながら、避難路、避難施設の整備や津波災害対応実践訓練の実施など、さまざまな施策を推進し、しっかりと津波避難対策に取り組んでいく所存であります。また、国に対しても必要に応じて制度の充実を要望し、施策の推進につなげていきたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 津波から避難するためには、まずは高台等の緊急避難先を目指すことが大切です。しかしながら、近くに高台や津波避難ビル等がないため津波からの避難が困難な場合には、津波避難タワーは有効な避難施設であり、また、国の負担割合がかさ上げされるなど手厚い財政支援を受けられるため、現在、市町とともに策定中の「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」において、必要な箇所等を検討しています。
 なお、津波避難シェルターについては、複合施設であることから、活用方法等を十分検討しながら進めていく必要があると考えております。これらの施設の導入に当たっては、市町と地域住民が十分協議をすべきものであるというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(坂本 登君) 大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 続きまして、健康問題と予防医学について質問を続けます。
 我が国は、高齢化社会の進展に伴い、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの老人福祉施設が数多く整備されてきております。特養は社会福祉法人など公的な性格が強い団体が運営をしているのに対して、有料老人ホームは民間を中心に運営をされ、費用もサービスもさまざまなものがあるわけであります。
 有料ホームの中には、入居の際の一時金が2000万円から3000万もかかるほか、毎月の家賃などの費用に20万円を超える住宅型施設もあり、かわりに食事、清掃、それにショッピングやウオーキングにも職員が同行してくれたり、温泉やプールも備えられた施設も登場しております。このような多様なサービスが人気を呼び、連日、新聞紙上やテレビなどで広告が紹介をされ、一部では我が国の介護バブルの時代を迎えたとも言われています。
 一方で、介護が必要な特養については、入居待ちのお年寄りが全国で52万4000人もあり、受け皿の拡大が急がれています。
 そこで、本県の高齢化について調べてみますと、平成22年度の国勢調査によりますと、65歳以上の高齢者人口は27万人で、高齢化比率も急速に増加をし、27.3%と全国平均よりも高くなっております。これに伴い、本県の概算医療費は平成24年度では約3300億円と、高齢化社会の進展とともに全国的に年々ふえる傾向にあります。この中で、特に75歳以上の後期高齢者医療費は著しく増加をしており、今後も高い伸び率が予想されています。
 第2期和歌山県医療費適正化計画によりますと、医療費の適正化に取り組まなかった場合、平成29年度には3999億円、すなわち約4000億円と予想されております。これに対して、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病対策などに取り組んだ場合は3887億円となり、約112億円の医療費が削減される効果があるとされております。また、県民1人当たりでは年間8万円から10万円の削減効果があるとのことで、健康増進のための施策が必要視されています。この適正化計画では、健康診断の受診率の向上を初め、正しい食生活やウオーキングなど、運動する知識を身につけて実践できるよう、体力づくりの大切さを県民に啓発するとされております。
 私は、これらの施策を積極的に展開し、体力づくりや健康診断の大切さを訴えることによって、年間112億どころか、200億円も、そして300億円もの医療費の削減が可能とも考えております。
 そこで、医療費の削減と県民の健康増進対策について、福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 議員御指摘のとおり、高齢化の進展に伴い医療費も毎年増加しており、平成24年度では、75歳以上の高齢者の医療費の全体に占める割合は約4割となっております。また、後期高齢者医療費に占める生活習慣病の割合は約4割と高く、健康づくりを推進し、生活習慣病を予防することが、医療費の伸びの抑制につながるものと考えています。
 県では、生活習慣病を予防し、県民の健康寿命を延ばし、生活の質を維持していくため、本年3月に第3次和歌山県健康増進計画を策定したところであり、特定健診の啓発や特定保健指導を行うとともに、紀の国わかやま1万人健康リレーウオークやシニアエクササイズなど、誰でもすぐに取り組める運動習慣の確立のための施策を推進しているところです。
 また、今年度から健康推進員による運動を初めとする生活習慣の改善の普及啓発に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 次に、質問を続けます。
 この議場におられる皆さんは、予防医学という言葉を御存じでしょうか。この予防医学、10年、15年前までは余り聞きなれず、高齢化社会が進むにつれて脚光を浴びてきました。これは、「病気の予防と健康増進を図る科学と技術」と辞書には紹介をされています。そこで、病気の予防と健康増進を図るという点について触れさせていただきます。
 私は、さきの建設委員会で和歌山市街地を走る道路の問題点を指摘いたしました。それは、高校生や中学生、それにお年寄りらが、その道路を自転車で走ったりウオーキングを楽しもうとして、歩道が極端に狭かったり、雨水の排水対策のために歩道が大きく傾いたりして歩きにくいことを取り上げました。
 特に大浦街道では、歩道が狭いことから、本来この道路を利用したい和歌山工業高校や星林高校の生徒たちは、別の裏道を利用して通学をしています。私は、交通事故防止を図るとともに自転車も通れる歩道を拡幅して、生徒らが安心・安全に利用できたり、お年寄りら中高年が身近なウオーキングやサイクリングなどが楽しめる道路づくりが必要であると提案をいたしました。
 このような歩行者や通学者に優しい道路づくりに取り組むことによって、車を使わずに徒歩や自転車での通勤者がふえたり、また、高齢者のウオーキングにも一役買うのは間違いありません。
 そこで、安心・安全で健康づくりにもつながる歩行者や通学者に優しい道路づくりについて、県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 県では、福祉のまちづくり条例において、歩道の高さを低くしたセミフラット方式を基本とすることや横断歩道等に接続する車道との段差は2センチメートルを標準とすることなど、障害者や高齢者が安全に通行できるような構造を決定し、歩道等の整備に取り組んでおります。
 また、今般、都市部においては、自転車走行空間を確保するために、歩道や路肩に青い線、ブルーラインを設置することなどにより歩行者と自転車を分離して、自転車だけでなく歩行者の安全確保を図ることとしております。
 現在、和歌山城周辺を初め県内各所で多くの方々がウオーキングを楽しんでおられますが、県としましては、サイクリングロードの整備とあわせて、必要に応じてこうした歩道や自転車走行空間の整備を図ることにより、安全で安心できる道路空間を確保してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 近年、テレビショッピングや新聞広告では、「膝の痛みにヒアルロン酸を」とのCMが数多く紹介をされております。しかしながら、関節をスムーズに動かすこの潤滑油が少なくなると、軟骨のすり減りがひどくなり、激痛にも見舞われている中、中高年の患者数は推計で800万人とも言われています。そのため、40代、50代からウオーキングやサイクリングが見直しされています。
 ここ数年、旅行代理店の広告では、語り部と行く世界遺産熊野古道を歩く旅や、お伊勢さん参りハイキング、健康ハイキングしまなみ海道ウオークなどが頻繁に紹介をされています。
 私の県議会議員の同期生だった松本泰造元有田市長は、ミカンのまち有田市をPRするために、市長就任直後にミカンの花とにおいを楽しんでもらおうとみかん街道ウオークを立ち上げ、今に至って人気を呼んでいます。また、各市町村では、個別にマラソン、ウオーキングなどの催しを数多く実施しておりますが、参加者も地元の人を中心に限定をされています。
 ここで、私が訴えたいのは、健康ウオーク、サイクリングと観光とをコラボさせるということであります。本県には、すばらしい景観地や自然環境があります。先ほど紹介をした熊野古道ウオークなどは、ほとんど日帰りツアーとなっています。温泉につかって心を癒やしていただき、ウオーキングやサイクリングで和歌山の大自然の持つ魅力を京阪神や首都圏などの人たちに満喫をしていただくといった本県の新たな観光イベントを、旅行代理店や旅行の好きな人々にPRすべきではないでしょうか。
 本県には、四季を通じて魅力も満載であります。私の地元田辺市には、奇絶峡や動鳴気峡の桜、石神やみなべの梅林などが知られていますが、地元の人以外、余り紹介されていないレンゲ畑や菜の花畑を走るサイクリングやウオーキング、大島や由良のスイセンの花ウオーキング、また、紅葉めぐりサイクリングや円月島に沈む夕日を見るウオーキングなど、風光明媚なところを歩いたりサイクリングしてもらおうといったこともどんどんPRをしていけばよいと思うわけであります。
 長期滞在型の観光と健康づくりのコラボこそが、高齢化社会を迎えた中でのこれからの観光のあるべき姿だと思います。紀南地方の市町村は、自然公園、世界ジオパークの認定を目指してさまざまな取り組みを展開しています。このジオパーク認定と連動して、健康づくりの観光イベントも、これから時代にマッチするものと思われます。
 このほか、健康づくりイベントを調べてみますと、県内の観光地のレンタサイクルは、和歌山市を初め海南市、湯浅町、白浜町、那智勝浦町などでは数多く取り組まれていますが、団体客が利用するものがないほか、レンタル料金も100円から500円などばらばらとなっております。
 そこで、県が中心となり料金の統一化や、和歌山市から海南市まで、また白浜町から田辺市までといった、県内どこにでも乗り入れ、乗り捨てが可能な観光客中心の施策の展開が必要であります。そのために、和歌山県観光レンタサイクル協議会のようなものを立ち上げて、観光客が気軽に安心料金で楽しんで利用していただき、しかも、健康づくりが促進できるようにすべきではないかと思います。
 観光と健康づくりのコラボについては商工観光労働部長に、レンタサイクルの推進については企画部長に答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 議員御指摘の長期滞在型の観光と健康づくりをコラボする方策として、本県では、科学的根拠に基づく健康増進を理念としたヘルスツーリズムにいち早く取り組んでおり、こうした取り組みの推進団体であるNPO法人日本ヘルスツーリズム振興機構に唯一自治体として加盟しております。
 具体的には、ストレッチや呼吸法、また、温泉といった健康づくりの要素をウオークに取り入れた健康ウオークを、熊野古道を中心に活動しているNPO法人熊野で健康ラボと協働してヘルスツーリズムを推進しています。平成18年の事業開始から累計で約1万8000人の利用者がありますが、こういった取り組みを大都市圏の人により知っていただき、現地にお越しいただくため、今後とも、各種メディア、パンフレットなどを介した情報発信、さらに旅行会社に対しては、商品化を目的としたセールスや現地研修を行ってまいります。
 また、議員提案にありましたサイクリング、ジオパークにつきましても、サイクリングロードの環境整備やジオパークの認定状況に連動して、健康と絡めた企画を考え、積極的な情報発信と誘客に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) レンタサイクルの推進についてお答えさせていただきます。
 サイクリングは観光振興や健康増進に資することから、サイクリングロードの整備にあわせまして、休憩施設の確保やルートマップの作成等、自転車を利用される方の視点に立ったサービスを提供する仕組みづくりに取り組んでおります。現在、レンタサイクルにつきましては、一部の市町村や民間団体等で運営されておりますが、気軽に安心して御利用いただくことが重要であると認識いたしております。
 議員御指摘の利用料金につきましては、地域的な特性、利用頻度、自転車の種類等に応じて個々の運営者の方針により設定されておりますので、統一を図ることはなかなか困難であると思われます。
 レンタサイクルの乗り捨て制度につきましては、利用者からの要望もあり、利便性の向上につながるものと考えております。
 かねてから、サイクリングの利用環境を充実させるため、市町村を初め自転車愛好者団体やサイクリング関連企業の方々と意見交換を重ねているところですが、さらに、レンタサイクルの料金や乗り捨て制度など、利用者に喜んでいただけるような運営方法等について、関係者による協議の場を持ち、レンタサイクルを推進してまいります。
○議長(坂本 登君) 大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 今回質問をさせていただきましたが、もう再質問はいたしません。最後に、仁坂知事に1点だけ、重要な問題と思いまして、ちょっと要望をさしていただきたいと思います。
 仁坂知事は、精力的に県下各地で行政報告会を開かれて、そして、県民の声を聞かれております。私も何度か出席をいたしましたが、その中でも一番熱心に話をされているのが防災・減災対策であります。県民の安全と安心の確保、そして、津波や地震による犠牲者ゼロを目指し、避難対策の強化、それに県土の強靱化に取り組んでくれる仁坂知事の姿に感動をしている1人であります。
 どうか沿岸部に防災タワーをたくさんつくっていただいて、1人の死者も出ないように、ひとつ今後とも取り組みをしていただきますように特に知事に要望いたしまして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 1つ目に、人口社会減についてであります。
 5月12日月曜日付「朝日新聞」の「豊かな静岡に異変。人口社会減ワースト2。経済指標悪化」という記事に目がとまりました。静岡県といえば、ミカンやお茶など農産物生産も多い県ですが、首都圏にも近く、いろんな工場が集まり、工業生産の出荷額が都道府県ランキングで第3位であります。
 ところが、2013年の人口社会減、すなわち地域の外へ住民が引っ越していくことのほうがよその地域から入ってくるよりも多い転出超過のことですが、これが北海道8154人に次いで第2位の6892人になっています。年代別では、20代、10代を中心に50代までの働き盛りの世代が減少しています。もともと進学で都会へ出て行く若者は多く、ここ10年でも若い世代を中心に1000人から3000人程度の社会減はあったのですが、ここ数年、社会減はペースを上げて、ついに全国ワースト2位になりました。
 静岡県は、2012年の製造品(工業製品)出荷額15兆4852億円で、愛知県、神奈川県に次いで全国3位であります。自動車や二輪車の輸送機械が出荷額の約3割、電気機械が約1割、製紙が5%といったところが主な産業であります。しかしながら、2007年のピークを境に回復できていません。リーマンショック、そして、1ドル80円を超えた超円高に伴う製造現場の海外移転という製造業に対する逆風の影響をもろに受けたのであります。
 しかし、衰退の兆候はリーマンの前からあったといいます。それを放置した結果、数年で急激に経済が悪化したと静岡銀行系シンクタンクの主席研究員は指摘しています。
 2007年のピーク前から、電気関連も当時の液晶や携帯電話向けの工場や部品工場が少なく、時代の変化に乗りおくれたといいます。さらに、2011年の東日本大震災が起こったことで、臨海の津波危険地域を企業が敬遠するようになりました。工場が撤退すると雇用も必然的に減少、静岡県の有効求人倍率は、2009年から全国平均を下回るようになったそうです。
 静岡県と和歌山県では、交通インフラや工場立地等においては比べるべくもないありさまではありますが、同じく大都会をお隣に有する観光地であり、農林水産業においても類似点が多々ある県であります。リーマンショック、円高のような国際的な経済状況や時代のニーズの変化の影響は、本県の企業においても例外ではありません。いつ工場の閉鎖あるいは県外、海外移転もあるやもしれません。実際、雑賀崎金属工業団地に進出した東京製綱も5月末に撤退しました。
 本県も、ようやく来年の紀の国わかやま国体を呼び水に、高速道路網や市内の都市計画道路も整備されてまいりました。しかし、海岸沿いは、静岡県同様、津波の危険性が小さくありません。為替の高低にも輸出企業は大いに左右されます。
 和歌山県内の高校生の県外進学率は全国1位、若者の流出は目立っています。静岡県の県庁職員の中にも、「人口が減っているという認識がなかった。正直びっくりしている」と、そういう声が多く聞かれたといいます。本県も、危機感を持って、人口社会減を最小限に抑え、プラスに持っていく施策が必要であります。和歌山県の特性を生かした本県ならではの産業の振興と創出等で、働き盛りの人間が本県で働ける雇用環境を充実させていかなければなりませんし、そして、企業を引きとどめるための税の優遇措置も必要でしょう。
 そこで質問ですが、1点目、本県の直近の人口動態について、企画部長にお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 直近の県の人口でございますが、和歌山県人口調査の結果による本年4月1日現在の県の人口は97万4368人であり、この1年間では8142人の減少で、そのうち自然減が5719人、社会減が2423人となっております。
 近年の傾向といたしましては、社会減は落ちついており、2000人台で推移しておりますが、自然減は拡大傾向が続いており、年間の減少数は毎年300人程度増加している状況でございます。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、和歌山県で子供を安心して産んでいける状況を生み出して人口自然増になるためには、まず、人口社会減をプラスに転じていくことから始めないといけません。本県の人口の社会減を食いとめる施策について、知事の所見を伺います。
○議長(坂本 登君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 人口の社会減を食いとめるためには、産業の振興や雇用環境等の充実を図ることが必要でございます。こうしたことから、創業支援や産学による共同研究の支援など、産業を強化するとともに、産業別担当者制度により県内企業の課題を把握し、国、県の支援施策の情報を提供するなど、事業活動環境の向上を図っているところでございます。また、立地奨励金制度の活用や企業用地の造成により積極的に企業誘致を図るなど、新たな雇用の場の創出に取り組んでまいりました。
 さらに、環境がよくなるということが必要でございますので、その観点からも、高速道路や県内道路網の整備など、成長を支える社会インフラの整備にも鋭意取り組んでおります。
 加えて、都市部からの人口の流入を図るため、地域の食材等を活用した起業とか、あるいは1次産業への就業支援などによる移住交流政策を推進しているところでございます。
 それから、人が雇えないがゆえに生産が本当だったら伸びてもいいのに伸びないという面もあることは事実でございますので、進学で県外に出る学生が大変多い本県といたしましては、そういう学生と和歌山企業のマッチングを図る政策、これを一生懸命頑張っているところでございます。
 こうしたさまざまな政策を講じた結果、120社の企業の誘致が実現いたしまして、移住世帯数も都合430世帯となるなどの成果もあらわれております。また、年間の社会減が、平成17年当時約5000人でございましたが、近年では2000人台に改善することができました。それでも、2000人もあるということでございます。
 もっと頑張らないといけない、人口減少対策はまだ不十分だと考えておりまして、働く場所をさらに確保するため、県内産業の活力強化や企業誘致に一層努力するなど、今後とも危機感を持って社会減、自然減の両面から人口減少を食いとめる対策に注力していく所存でございます。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 知事を先頭に県当局のさまざまなお取り組みに敬意を表します。
 印南町でも、2008年から取り組んでいる空き家バンク制度が好調で、人口減少に歯どめをかける有効な対策として引き続き力を入れていくと聞きます。ただ、働き手の県外流出というのは構造的な問題です。まして、企業の生産拠点が一旦国外なんかへ出ていってしまうと、なかなか帰ってきてはくれません。働き盛りの夫婦、家族の流出を食いとめる、すなわち人口の社会減、自然減をプラスに転じるためにも、今後も、一方では6次産業化の取り組み、また、本県の工業技術センター等の公設試等の充実と利用促進、それに大学等の力もかりながら、産業の創出と拡大のために県当局のお知恵と積極的なアクションを要望させていただきます。
 2点目、和歌山県の医療と介護についてであります。
 厚生労働省は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住みなれた地域で自分らしい生活を人生の最後まで続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現しようとしています。
 地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域、具体的には中学校区を単位として想定しています。例えば、介護ニーズと医療ニーズをあわせ持つ高齢者を地域で確実に支えていくためには、訪問医療、訪問口腔ケア、訪問介護、訪問リハビリテーション、訪問薬剤師指導などの在宅医療が不可欠であります。
 在宅医療と介護の連携は、具体的には退院支援、日常の療養支援、急変時の対応、みとり等、さまざまな局面で求められます。特に、今後増加するであろう退院による在宅復帰の際に円滑に適切な在宅サービスにつなげることや、再入院をできる限り防ぎ、在宅生活を継続するために、在宅医療と介護の連携強化が求められています。ですから、今後、在宅医療については、在宅医療連携拠点が地域で医療、福祉の資源を把握、活用しながら、24時間365日対応の在宅医療提供体制を構築していくことが求められます。
 言うは簡単ですが、今後、地域包括ケアシステムの中で、在宅医療連携拠点病院と地域包括支援センターの業務は大変量が多くなりまして、その使命はまさに大きなものでしょう。双方の連携は、かなり密接なものにならざるを得ません。また、取りまとめる市町村の業務量も莫大なものになることが予想されます。
 ところで、日本の医療は質が高く、日本のがんの生存率はOECD34カ国中で最も高いです。それでいて、がんの検診率は低く、国の検診プログラムもありません。例えば、乳がんでは、マンモグラフィー検診率はOECDでは60%を超えているのに対して日本はわずか20.4%、しかし、がんの診断後5年生存率は、世界でアメリカに次いで第2位です。脳卒中の死亡率は、脳梗塞入院30日内死亡率がOECD平均は5.2%、日本ではわずか1.8%、脳出血入院30日内死亡率がOECDは19%に対し、日本は9.7%と低くなっています。ただ、心筋梗塞については、入院30日内死亡率はOECD平均5.4%に対して日本は9.7%と高くなっています。
 また、日本は、国民皆保険で医療受診率は世界一、それに対人口1000人当たりのベッド数も世界一、特に精神科病棟は多く、認知症患者の受入先にもなっています。それに、CT、MRI保有台数も世界一であります。乳幼児死亡率も世界で一番低くなっています。日本の看護師数は世界11位で、決して看護師不足が言われるほど少なくありません。地域偏在が大きいということでしょう。一方、日本の医師数は、アメリカに次いで27位ということで、決して多いわけではありません。
 さて、和歌山県は、がん死亡率が平成23年度で2位、要介護認定率も全国2位、ちなみに1位は長崎県です。男女とも高血圧の人が多く、男性は女性に比べて肥満が多く、高脂血症や糖尿病が多くなっています。原因は、塩分は全国比で摂取量が決して高くありませんが、食べ過ぎ、そして、地下鉄等鉄道交通機関が発達していませんから、車を利用せざるを得なくて、歩行距離の短さが大きな原因だと前和歌山県立医科大学学長・板倉徹先生はおっしゃっていました。65歳以上の10%以上の高齢者が認知症、それも脳卒中から認知症になって要介護になっている人が少なくありません。予防こそが医療費削減の決め手と言っても過言ではありません。
 そこで質問ですが、1点目、和歌山県において在宅医療と在宅介護の充実のために、今後の地域包括ケアシステムの構築に向けて、在宅医療連携拠点や地域包括支援センターの整備状況はいかがでしょうか。福祉保健部長にお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 地域において医療、介護を総合的にサポートする在宅医療連携拠点は、保健医療圏ごとに設置し、現在県内に15拠点あります。同拠点では、在宅医療を担う医師、歯科医師、看護師、薬剤師など多職種間連携体制の構築、24時間365日対応の在宅医療提供体制の構築、住民への普及啓発並びに地域の医療、福祉資源の把握及び活用などの取り組みを行っています。
 また、高齢者福祉の総合的な相談窓口である地域包括支援センターは、県内全ての市町村に設置され、現在39カ所ございます。同センターでは、社会福祉士、主任介護支援専門員、保健師などの専門職を配置し、介護予防プランの作成を初め、総合相談支援業務や虐待防止などの権利擁護業務、さらには包括的・継続的なマネジメントなど、地域包括ケアを支える中核機関として重要な役割を担っています。
 県としましても、同センターの機能強化を図る必要があることから、医療面での相談支援対策として医師等の専門職の派遣や、権利擁護対策として弁護士等による相談窓口の設置、地域ケア会議の運営の円滑化を推進する広域支援員の派遣などを実施しており、今後とも、より一層支援の強化に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、昨年秋に「歩く人。」の共同著者、大阪工業大学高校、明治大学、そして神戸製鋼、各ラグビー部で大活躍した大西一平氏が来和しましたが、東日本大震災直後からボランティアに現地へ入るうちに、仮設住宅に住む人たちが、震災直後の避難所時代と違って外へ出るのがおっくうになって、閉じこもりぎみの人が多くなって、健康がすぐれなくなっている方がふえている状況を憂慮して、歩く必要性を訴えておられました。
 私も、首都圏で学生時代、そしてサラリーマンをしていたとき、JRや私鉄、地下鉄を何度も乗りかえて早足で歩くことになれておりましたが、歩くことがいかに大事であったかを今さらに痛感しております。
 介護予防のメニューも、60歳を過ぎて体調がおかしくなってからの実践では遅いと思うので、40から50代から気をつけたいものですね。本県の介護予防プログラムの取り組みについて、福祉保健部長、教えてください。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 高齢者の方が自分の力で活動的な生涯を送れるよう介護予防に取り組むことは、非常に重要であると認識しております。このため、平成16年度より、和歌山大学や県立医科大学、県歯科医師会などと連携し、シニアエクササイズや口腔機能向上、栄養改善、認知症予防、ロコモ予防の5つの県独自の介護予防プログラムを開発し、市町村が普及に取り組んでいます。
 中でも、わかやまシニアエクササイズは、平成25年度までに運動教室の終了者が約1万8000人、教室終了後も仲間とともに自主グループをつくり運動している方は216グループ、約5300人に達するなど、県全域に普及しつつあります。
 今年度からは、わかやまシニア元気アップ事業により、こういった各種教室の自主グループ化を一層促進し、介護予防の充実に努めるとともに、紀の国わかやま1万人健康リレーウオークの実施や健康推進員の配置などにより、全世代を対象とした県民総参加の健康づくりに取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 3点目に、日本の認知症高齢者は、2012年時点で65歳以上の15%に当たる推計462万人、認知症予備軍と言われる軽度認知機能障害(MCI)も約400万人いると言われています。
 2012年の厚生労働省の介護保険サービスを利用する認知症の高齢者のデータですが、まず在宅で49%、次に、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設のような中間施設、そして介護型療養病床と続きます。認知症の方の居場所、社会とのかかわり方、それに、認知症の疑いで保護される身元不明高齢者の増加も大きな社会問題となっています。それだけに、認知症予防対策は欠かせません。
 それに、6月18日の「産経新聞」によると、フランスの国立疫学・公衆衛生研究センターとロンドン大学との共同研究で、男性5198例と女性2192例で追跡調査の上、認知機能低下は既に40代後半で始まっていると明らかにされています。
 和歌山県も、認知症患者の増加をできる限り抑制するため、本県が特徴的に行っている認知症予防プログラムについて、福祉保健部長にお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 認知症予防プログラムは、県の介護予防の取り組みの1つとして県立医科大学の協力のもと開発したプログラムであり、平成20年度以降、市町村を通じてその普及に取り組んでいます。
 標準的には2週間に1回、3カ月継続する教室に参加いただきますが、メニューは教室でのグループ活動と個人活動、自宅での活動で構成され、参加者が楽しみながら取り組むことで認知機能を向上させる効果があります。このプログラムの特徴は、医師の講義や認知機能検査結果に基づく個別面談などを通じて、認知症の正しい理解と早期発見、対応につなげていく点にあります。
 高齢化に伴い認知症の方が急増する中で、今後とも引き続き、市町村を通じてプログラムの普及に積極的に取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 4点目ですが、今後和歌山県の進むべき医療・介護対策について、知事にお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在の医療を取り巻く環境は、急速な少子高齢化や生活習慣病の急増、医療技術の進歩や医療ニーズの多様化により日々刻々と変化しております。高齢者にとって──高齢者だけではありませんけれども──一番幸せなことは、医療・介護サービスをちゃんと受けることなく元気に暮らせるということであります。そのため、健康づくりについては、若いうちからの対応が重要であるため、健康推進員による県民総参加の健康づくり運動を今年度から展開していく予定でございます。
 また、予防、これも必要でございますが、特にこの予防については、がんについての成績があんまりよくありませんが、検診も一生懸命やって、がん検診の受診の促進を図っていきたいと思っております。
 一昨日、医療・介護体制を一体で改革する、いわゆる地域医療介護総合確保推進法が成立いたしました。これまでの全国一律の改革から、地域の実情に応じた改革が推し進められようとしております。ということは、逆に言うと、和歌山県の責任重大ということでございます。
 今後、国の動向は当然見きわめながらも、病床の機能分化・連携、在宅医療・介護サービスの充実、医療従事者等の確保・養成などに取り組むとともに、医療と介護の連携強化を図って、県民の幸せを図っていきたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 これまでは、医療と介護の間で患者に関する情報の共有ができなくて、共通の問題点を認識する場がありませんでした。今後、在宅医療拠点病院・診療所や拠点薬局と介護事業者、そして在宅高齢者が1つの輪の中で地域での完結を目指すと、そうした地域包括ケアシステムの構築に期待したいと思います。
 3点目に行きます。介護保険制度についてであります。
 介護保険制度が平成12年に創設されて3年ごとの改定、来年度はまた新しい制度改正が行われます。平成27年度の改革は、医療・介護一体改革に向けた第一歩として、医療から介護へ、施設から在宅への方向を踏まえた改革と言えます。また、平成37年、すなわち団塊の世代が後期高齢者となる2025年を目標年度とした地域包括ケアシステムの完成に向けた第一歩という位置づけでもあります。
 自分でできることは自分で行うことを原則に、公的サービスに頼る前に地域の互助の推進、その上で共助、それでも対応できない場合には公助という考え方により、要支援サービスの本体給付からの除外や利用者負担の変更等が行われる見込みになっています。
 介護業界は、離職率が10%台後半と高く、人手不足が続きます。団塊の世代が75歳以上になる2025年度までに、職員数を今の約150万人から約250万人に100万人ふやす必要があるとの試算もあります。実際問題として、在宅の24時間体制は大変であります。そこで、地域で高齢者を守っていこうということになると、どうしても介護職員の質、量ともに、さらなる充実が必要になってきます。
 また、ことし4月の消費増税に合わせ、事業者の仕入れコストがふえる分を利用者から回収できるよう、政府は介護報酬を0.63%引き上げています。さらに、来年10月に消費税が10%に引き上げられた場合、15年度改定で対応することを分科会で了承しています。そんな中、昨年12月13日、兵庫県議会にて介護職員の処遇改善を求める意見書が可決されました。
 そこで質問ですが、1つ目、介護保険制度利用による特定福祉用具の購入や住宅改修に伴う費用を支払う際、自治体によって、償還払いとしている自治体もあれば受領委任払いを認めている自治体もあります。介護保険においては、利用者が一旦費用の全額を支払い、その後に保険給付分9割の支払いを受ける償還払いを原則としています。
 一方、利用者が特定福祉用具の購入や住宅改修をした際にかかった費用、保険適用分の1割を事業者に支払い、残りの9割を利用者の委任に基づき市町村から直接受領委任払い登録事業者に支払う方法が受領委任払いであります。各府県によってばらつきがあるようですが、福祉用具の購入や住宅改修を今すぐに必要とする方々の一時的な経済的な負担の軽減のために、県下全域において受領委任払い可能に統一してもいいのではないかと考えますが、本県においてはいかがでしょうか。福祉保健部長、お願いいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 福祉用具購入費及び住宅改修費に係る支給方法については、利用者がその経費を全額、事業者に支払った上で、保険者に対し介護保険の支給申請を行う償還払いが基本となっているところです。
 そのため、県としては一律受領委任払いの制度とすることはできませんが、県内では16市町が利用者の負担軽減のために行政サービスの一環として受領委任払い可能としているところであり、残りの町村にも同制度の実施を働きかけてまいります。
 なお、現在、国においては、住宅改修について住宅改修事業者の事前登録制度をつくり、利用者は自己負担分のみ事業者に支払えばよい制度が検討されているところです。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目ですが、利用者及び家族から家事援助等ケアプランに記載されていない項目のサービスを強いられることがあります。事業者としては、その都度、ケアプラン以外のことはできないことの説明を行い、理解を求めています。
 しかし、やむにやまれずケアプラン以外のサービスを実施してしまう事業所があるのも事実です。もちろん事業所への指導も必要であるとともに、利用者及び家族に対して、介護保険でできること、できないことを行政としても周知、指導を図ることが必要だと思います。県としての対応はいかがなものでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 県としましては、利用者等に正しく理解していただくために、介護保険のサービスの対象となるもの、ならないものの例示を載せた訪問介護サービスに係る利用パンフレットを作成し、各居宅介護支援事業所等で活用を勧めるとともに、県のホームページにも掲載しているところです。
 今後とも、機会を捉えて介護保険制度の周知に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 ずっと連発しますんで、そこへずっといていただいても結構でございます。
 3点目へ行きます。介護職員としての悩みに、利用者本人あるいは家族との間でのさまざまなトラブルでハラスメントにまで至る場合もあります。利用する側のマナーについても、ケアマネジャーや事業者任せにするのではなく、あらかじめ市町村の責任において取り組む必要がありますが、サービスを利用する側のマナーやモラル向上に向けて、県として市町村にどのような指導を行っておられますか。福祉保健部長、お願いします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 介護保険法では、県は、保険者である市町村に対して、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう必要な助言等を行うこととされています。
 県としましては、介護職員と利用者本人あるいは家族との間でのトラブルをできる限り未然に防ぐためにも、市町村に対し、要介護認定の申請時などの機会を捉え、利用者側のマナーやモラル向上に向けた注意喚起を行うよう、従前より研修会等の機会を通じて働きかけているところです。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 利用者のマナーやモラル向上についても、市町村がその都度、事業者サイドに対して、介護サービスを利用するに当たって喚起、啓発する文書ですね、これを配布するように呼びかけているかどうか、一度確認していただけたらと思います。
 4点目へ行きます。介護認定審査は、通常、市町村が主催して行われています。市町村は、認定調査の結果と主治医の医師意見書の内容をコンピューターに入力し、全国一律の基準により介護に係る時間を1次判定基準として算出します。その後、市町村は、1次判定結果が記載されたシートを認定調査票の特記事項と主治医意見書とを合わせたものを介護認定審査会へ提示し、判定を求めます。
 要介護認定の更新申請及び区分変更申請の認定調査に限っては、指定居宅介護支援事業者やケアマネジャーがお宅を訪問してチェックした後、市の認定審査が行われると聞いております。現場からのお話の中で、同じような状況とケアマネが判断していても、1人は要介護度2、もう1人は要支援という場合もあるといいます。
 本人がひとり暮らしだから、自立した生活を送れているから要支援だと判断されたり、家族と住んでいる人は、家族に介護してもらってるぐらいだから、本人の状況が重くて本人1人では何もできないとして要介護度が高くなっている場合もあるといいます。
 判定結果の要介護度レベルによって、介護保険制度の利用限度額は制限されてきます。また、要介護認定更新時に判定結果が軽くなっているケースも少なくなく、今まで必要とされてきた介護サービスが提供されなくなっていることもあります。
 介護認定審査会の委員は、保健、医療、福祉の学識経験者を市町村長が任命し、任期は2年間で再任も可能です。実際に委員に任命されているのは、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、保健師、介護支援専門員、ケアマネジャー、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの資格を持つ方々がほとんどで、医師会や歯科医師会など、これらの資格の職能団体に推薦を求め、それに基づき任命していることが多いようです。
 介護保険制度発足時には、福祉系資格の職能団体が現在より未発達で、有資格者の人数も少なかったので、医療系の委員が中心となったいきさつがあります。現在でも、福祉系の委員数が限られているところは多くて、合議体数よりも少ないこともあります。
 そこで、ケアマネジャーやヘルパー等、現場をよく知る方々の意見が十分反映されていないのではないかという話も聞こえてまいります。介護認定審査会の公正、公平性が問われるわけですが、県におかれましては、例えば審査会のメンバーの中に居宅支援する側からも必ず1人入ったりとか、介護認定審査会のメンバー編成についてどう考え、指導されているのでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 介護認定審査会の合議体の委員構成については、国の介護認定審査会運営要綱の中で、委員は、保健、医療または福祉に関する学識経験者であり、各分野の均衡に配慮した構成とするよう定められており、市町村等がそれぞれ配慮すべきことであると考えます。
 県内のほとんどの合議体においては、福祉分野の委員が配置され、均衡に配慮されているものと考えますが、県としましては、市町村の認定審査会担当者研修会等を通じ、引き続き要綱の遵守を求めてまいります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 実際、介護福祉側の委員が少ないのは事実であります。全く福祉側の委員がいない町もあります。本人の現状を最も把握している側の意見も十分認定審査に反映されますよう、引き続きの御指導をお願いいたします。
 5点目、行きます。また、市町村によって介護認定審査のばらつきがあってはいけないと思いますが、各市町村間での介護認定審査の公正、公平性について、県はどのように把握し指導されているのでしょうか。福祉保健部長、お願いします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 介護認定の審査に当たっては、公正、公平性の観点から全国一律の基準が用いられているところです。県では、介護認定にかかわる認定調査員、審査会委員、事務局に対して、公正、公平かつ適切な要介護認定を行うための知識、技能の習得及び向上を目的に毎年研修会を実施しているところです。
 また、各市町村の要介護認定状況を分析することにより、市町村間で認定にばらつきが出ないよう指導し、要介護認定の適正化に取り組んでいるところです。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 認定審査会委員の資格バランスには、各市町村で大きな開きがあるのが現実です。地域の特殊性もあろうとは思いますが、より委員のバランスがとれた委員会審査でありますよう、引き続きの御指導をお願いいたします。
 6点目へ行きます。介護職員の給料が安いということで、事業所の中には人材の確保に苦労しているところが少なくありません。それに、例えば隣接する大阪府と和歌山県では、介護報酬の地域加算の差も大きくて、和歌山県に住んでいるが、大阪府の事業所へ介護職員が働きに出るといった現実もあります。他府県への介護職員の流出を防ぐため、本県で介護職場の処遇改善や人材の確保について、県はどのような取り組みを行っていますか。福祉保健部長、お答えください。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 介護職員の処遇改善については、平成24年度から介護報酬に処遇改善加算が創設され、賃金の引き上げにつながっていることから、全ての事業所等において活用されるよう積極的に働きかけているところです。
 介護人材の確保としましては、介護分野への新規就業を支援する「働きながら資格をとる」介護雇用プログラムや就職面談会、介護体験事業などを実施しているところです。また、介護技術を初め認知症や医療的ケアなど、専門性を高めるための各種研修を実施し、良質なサービスを提供できる介護職員の養成に取り組んでおり、これにより介護職員のやりがいが高まるとともに、給料アップや定着につながると考えています。
 今後とも、関係団体等と連携しながら、介護現場への人材の参入を促進していくとともに、介護職員のキャリアアップなどの支援に取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 お答えいただきました。介護報酬は制度の問題ですので、どうしても国の施策の充実が急がれます。例えば、要介護度が改善したことによる介護従事者への評価がありません。改善したら、むしろ事業収入が下がることにもなります。介護職員のモチベーションを向上させるためにも、改善結果が介護報酬上で評価されるべきだと思います。
 また、今年度より介護キャリア段位制度といって、利用者に適切な介護技術を提供できているかどうかを評価する制度が始まっています。これは介護の質の向上や処遇改善にもつながることが期待されますから、制度を導入する事業者への評価もあってしかるべきと思います。
 さらに、平成24年の改定から、一定要件のもと、介護職員等にもたんの吸引などの医療行為が認められました。しかし、この行為自体の介護報酬上の評価はありません。介護専門職の医療行為については、特段の評価があってもいいのではないかと思います。
 ぜひ機会を捉まえて、以上の点を国のほうへも要望いただけますようお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時23分休憩
────────────────────
  午後0時59分再開
○副議長(尾崎太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず、質問に入る前に、今行われております集団的自衛権をめぐる議論について発言をいたします。
 安倍内閣は、歴代の自民党政権がとってきた半世紀以上にわたる国会や国民への約束を大もとからひっくり返し、日本を海外で戦争できる国へとつくりかえようとしております。日本への直接の武力攻撃がなくても、国民の権利が根底から覆されるおそれがあれば、海外での武力行使ができるようにするという内容です。
 おそれさえあれば武力行使できるとなれば、本当に恐ろしいことになると思います。それを国会にも説明せず、国民的な議論もないまま、与党の密室協議だけで強行しようとする安倍内閣のやり方に強く抗議をしたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 最初に、自衛隊の防災訓練について伺います。
 この6月の1日から11日にかけて、南海レスキュー26と銘打った陸上自衛隊中部方面隊の防災訓練が、愛知、三重、和歌山、徳島、高知などで実施されたようです。和歌山県内では、6月2日から6日にかけて実施をされました。この南海レスキューは、昨年もありましたが、自衛隊の発表資料によりますと、ことしの訓練は、参加人数6300名を超える規模で計画をされました。期間も、11日間と長期です。
 この訓練について私たち日本共産党県議団が知ったのは、5月の28日のことでありました。あちこち聞いても断片的な情報しか集まらず、危機管理課のほうにも伺ったんですが、管理課が持っていた資料だけしか情報は得られませんでした。県民はもとより、県内のマスコミでも知らないところもあるという状態でした。
 そこで、日本共産党県議団として、5月30日に知事宛ての申し入れを行い、県は、訓練内容の全容を把握し、積極的に住民に公表すること及び安全性の確保や生活環境への影響について、県としてチェックし、問題点があれば自衛隊に改善の要望を行うことの2点を求めました。しかし、結局のところ、住民に訓練の詳細が知らされないままの実施となりました。
 6月4日に南紀白浜空港で行われた訓練には、自衛隊、米軍合わせて5機のヘリコプターに加えて、輸送機などが定期便の合間を縫って訓練を行いました。中でも、米軍の2機のヘリは、地上におりてもずっとエンジンを回しっ放しで、騒音がひどくて付近の住民から苦情が出ておりました。大変残念に思います。
 私は、自衛隊の防災訓練そのものに反対するものではありません。自衛隊は実態として軍隊であり、憲法の規定と矛盾するという認識はありますが、災害時の活動内容は、救出、医療、物資の輸送など、多様な機能を発揮できます。本来なら、災害対応に特化した専門機関を国が整備するべきだと考えますが、現状においては、国民の生命、財産を守るための必要な存在であり、災害時にしっかり活躍してもらうことは、大事なことだと考えております。
 ただ、申し入れでも述べたのですが、災害時に災害対策本部を指揮するのは、知事であり市町村長です。自衛隊に応援を要請する知事が、災害対策本部の責任者として自衛隊にどんな活動を要請するのかという主体性を持つこと、そしてきちんと自衛隊の行動を統括すること、この2点が大切だと考えます。
 そこで、1点目の質問です。
 今回の南海レスキュー26という防災訓練について、自衛隊から事前にどのような説明がありましたか。
 また、この訓練は自衛隊南海トラフ地震対処計画というものに基づくものですが、その概要は、皆さんにお配りしておりますその資料1にあります。これは、ホームページで公開をされている内容です。県は、その地震対処計画なるものの詳しい内容を御存じでしょうか。私は、防衛省に対し、計画の説明と計画そのものの県への提供を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 南海レスキュー26については、自衛隊から事前に、白浜空港での物資輸送訓練、県庁南館を使用した前進指揮所訓練等、訓練概要の説明を受けております。また、訓練の基礎となる自衛隊の南海トラフ地震対処計画については、5月上旬に計画の説明を受けており、ふだんから訓練等を通じて自衛隊と連携する中で、必要な内容を把握しております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
 自衛隊のつくったこの南海トラフ地震対処計画について、計画の説明は受けているということで、必要な内容を把握しているというお答えだったと思います。
 私が伺いたいのは、この計画そのものをなぜ県が手に入れていないのかという点です。この計画に、私、こだわるのは、この南海トラフ対処計画なるものが、自衛隊の防災派遣計画をつくる大もとになっているからなんです。
 自衛隊は、防災業務の実施に当たっては、こんなふうに書いてます。「平素から関係機関特に地方公共団体と密接に連絡及び協力し」というふうに、いろんな計画にも書いてあります。密接に連絡及び協力をしているはずの和歌山県が、なぜこの自衛隊のつくった計画そのものをお持ちでないのか。防衛省や自衛隊にこの計画を下さいということを言われたのかどうか、このあたり、もう一度御答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 対処計画につきましては、県としましては、和歌山県にとって必要な部分、重要な部分については、説明を受けております。
 ただ、対処計画全体は、非常に幅の広い、例えば中部、四国、中国というふうにまたがって計画を立てられておりますので、そういう部分についての提供は求めておりません。
 以上です。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁いただきましたが、私は、県の担当課を通じて防衛省や自衛隊にこの地震対処計画を見せてほしいということでお願いしましたが、結局は、落ちついたところは、情報公開の請求をしてくださいということでございました。
 国会を通じて請求をしまして、昨日、ようやく私の手元にそのものが届きました。ここに持っておりますけれども、あちこち真っ黒に塗って、塗り潰したページの部分はありますが、ほとんどの内容を見ることができます。情報公開をした私が持っていて、密接に協力しているはずの県当局がこの全体像を持っていないというのは、私はいかがなものかというふうに思いますが、再度、これはやはり防衛省に全体の提供を求めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 先ほども申し上げましたように、自衛隊と県との連携は、訓練内容等について常に情報の把握をしております。先ほども申し上げましたように、県として当然知っておくべきこと、知らなければいけないことについては自衛隊からの情報の提供を受けておりますので、今のところ、その計画を防衛省に求めるということは考えておりません。
 以上です。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 県にとって必要な計画の部分はよくわかっているんだというお話だと思いますが、全体像を把握するということは、非常に大事なことだと思います。災害時に自衛隊に的確に活動を要請するためにも、ぜひ、そんなことを言わんと、計画の全体をくれるわけですから、見て、検討をいただきたいというふうに思います。
 2点目の質問に移ります。米軍ヘリの参加についてです。
 今回の訓練には、米軍ヘリも参加をしました。地域の防災を最初から他国の軍隊に依拠することは、私は、憲法の規定からも、また、防災のあり方としても問題ではないかと思います。
 高知県で、昨年、ことしと、米軍オスプレイが参加する予定だった日米共同防災演習では、米軍は自衛隊の高知駐屯地を使用することになっておりました。これは、あくまで自衛隊施設の中での訓練です。
 しかし、先日、6月4日に行われた南紀白浜空港での訓練は、米軍機2機も空港を使用しておりました。民間空港を防災訓練という名で米軍が使用した例は、これまでありましたでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
 また、あわせて、米軍ヘリの参加について、事前にどのような説明を受けていたのか。米軍が日本国内のさまざまな施設を一時的に使用する際の日米安保条約上の取り決めである地位協定による一時使用の手続はあったのでしょうか。あわせて答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 米軍機が給油等のために民間機が使用する空港に離発着したことはありますが、防災訓練で米軍機が使用するのは初めてであるということは、防衛省に確認をしております。米軍ヘリの訓練参加については、自衛隊航空機の活動の一部として参加することや、米軍ヘリの行動内容についても説明を受けております。
 また、米軍ヘリの空港使用につきましては、自衛隊の計画で参加しておりますので、日米地位協定を適用するものではなく、自衛隊航空機の通常の手続に米軍ヘリを含ませた内容で申請したと防衛省に確認をしております。
 以上です。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 米軍機が防災訓練として民間機も使用する空港を使用したのは初めてだという、重要な答弁だったと思います。そして、それも日米地位協定に基づく正規の手続ではなくて、防災訓練をする自衛隊機の中に含ませて空港使用許可を申請したということでございました。
 私は、こういう解釈が可能なら、防災訓練と名をつければ、自衛隊と米軍が、日本中どこでもセットで訓練できるようになるではないかと思います。こういう白浜方式が全国に広がらないか、心配です。
 先ほど言いましたが、最初から米軍を計画に組み込んだ対処計画では、実際の防災に役に立つのかという疑問があります。先ほど示した南海トラフ地震対処計画のこの情報公開でとった冊子ですが、黒塗りのところが一部あるというふうに申し上げましたが、ページ全体がこのように真っ黒で何もわからないんですけれども(資料を示す)、目次のところだけ見ると、これは米軍に関するところのようです。
 ただ、そこの端っこに、こんな記述があるページがあります。「米側の要員等は、トモダチ作戦の実績等を基準にした日側の要望であり、必ずしも表中の要員が派出可能となるわけではない」というふうに注釈で書いてあります。これは、正直に書いておられるなというふうに思いました。
 私は、東日本の震災でのトモダチ作戦には感謝をしております。ただ、緊急のときに米軍は何を最優先するかというと、この対処計画のお配りした資料の裏に新聞記事を載せております。「赤旗」の新聞の6月17日付ですが、集団的自衛権の最近の議論の中で出てきたものですけれども、米軍がまず優先して助けるのはアメリカの国民だと。これは至極当然だし、東日本の震災のときも、アメリカは、原発から半径50マイル以内のアメリカ人に避難勧告を出し、日本全国の米軍基地から少なくとも7800人以上が飛行機で日本から退避したと聞いております。
 ですから、こういうことを考えると、最初から米軍の救援ありきでは、発災後72時間が人命救助のボーダーラインだというふうによく言われますけれども、防災計画として大丈夫なのかということを申し上げておきたいというふうに思います。
 次の質問へ移ります。この項目の最後の質問として、県民への周知の問題を伺います。
 今回の訓練は、県民に十分周知されたとはとても言えません。どういう見解をお持ちでしょうか。また、今後、自衛隊の訓練が県内である場合、県がしっかりと内容を把握するとともに、その情報がきちんと県民に周知されるようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 自衛隊が実施する防災訓練は、基本的に自衛隊に説明責任があると思います。統合幕僚監部と中部方面総監部から5月中旬にそれぞれ記者発表が行われており、また、訓練が行われる関係市町には、自衛隊から訓練についての説明がされたと聞いております。
 県は、自衛隊としっかり連携し、訓練内容を常に把握の上、情報共有をしております。今後、その情報については、県からも必要に応じてホームページや資料提供などを通じ、県民に周知してまいりたいというふうに考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 関係市町には自衛隊から説明がなされているということですが、私は、本当に不十分な情報しか行ってないと感じました。ぜひ県も、そうした点では協議をしていただいて、しっかり情報提供されるようにお願いしたいというふうに要望をしておきます。
 次の2項目めの質問に移らせていただきます。南海トラフ地震への備えということで、まず物資の備蓄状況について伺います。
 内閣府の南海トラフ巨大地震対策の最終報告が、昨年5月に公表されました。その中で、食料や水、燃料などの備蓄という点では、今回、家庭での1週間分以上の備蓄が推奨をされています。想定では、和歌山県では、水道の92%、都市ガスの84%、電気は90%、電話は88%が被災直後には途絶える予測になっております。また、避難者は1週間後で46万人、県民の2人に1人が避難者となります。
 これまで県では、住宅の耐震化や避難の仕組みについて事業を推進してきており、成果も出始めていると思います。しかし、この備蓄という点では、まだまだおくれているのではないかと思います。ライフラインが途絶えても、しばらくは生活が維持できる体制が必要であります。
 東日本の大震災のときには、道路が海岸部までくしの歯にルートを確保することができ、これが応急対応に役立ちました。しかし、南海トラフは、津波の怖さとともに震度が大きいことも特徴です。今、国体へ向けて高速道路整備など進めていて、これまでより防災力がアップすることは間違いないと思いますが、これが本当に南海トラフのときに十分機能するか、応急修理して利用するにしても時間がどれくらいかかるのかなど、心配な点が多いのも現実です。
 2004年、新潟県中越地震では、関越自動車道で大規模崩壊など被害が発生をし、発災後19時間で緊急車両は徐行運転できるようになったものの、期待される物資の輸送などに使えるようになったのは10日以上たってからでありました。こうした経験から考えるなら、食料や水、燃料や医薬品など生活必需品については、地域的な供給体制をとっていくということが大切になってくると思います。
 しかし、現状は、過疎地でのガソリンスタンドの減少、日用品や食料を販売する商店の閉鎖などが続いており、当面は備蓄をしっかりすることが求められております。
 そこで、伺います。家庭での備蓄を今後どのように進めていくのか、また県としての備蓄はどうなっているのか、答弁をお願いいたします。
 あわせて、病院や福祉施設の入所者、旅館など観光客への対応はどうなっているでしょうか。さらに、今後どう推進していくおつもりなのか、それぞれ担当部長から答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 家庭での備蓄については、従前、3日分の備蓄を呼びかけていましたが、昨年5月28日に公表された中央防災会議のワーキンググループによる南海トラフ巨大地震対策の最終報告で、1週間以上確保することが示されました。これを受けまして、県では、「出張!県政おはなし講座」や「出張!減災教室」などの各種啓発事業において、各家庭でふだんから消費している食料の蓄えをふやし、消費しながら備蓄するところてん方式での備蓄も呼びかけております。
 今後も、引き続き啓発活動に努めてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 県と病院、福祉施設での備蓄状況等についてお答えいたします。
 現在、県では、発災直後3日間の食糧、飲料水などを、避難生活者のために、県、市町村、県民の3者での分担備蓄をすることとしています。そのうち県分は約88万食で、うち30万食は、在庫備蓄として各振興局、特に災害時の搬送等を考慮して、西牟婁・東牟婁振興局へ重点的に備蓄を進めています。残り58万食は、流通備蓄として、民間企業との間で災害時の物資調達協定の締結を進めているところです。
 なお、平成26年3月末時点での在庫備蓄は、14万5000食分となっています。
 次に、病院、福祉施設についてですが、災害拠点病院では、災害時に多数の傷病者を受け入れる必要があることから、食糧、医薬品については、おおむね3日分の備蓄を行っています。また、特別養護老人ホームなどの福祉施設につきましても、おおむね3日分の食糧備蓄を行っているところです。
 今後とも、大規模な災害時に適切に対応できるよう計画的な備蓄に努めるとともに、関係施設に対して引き続き備蓄物資の確保を指導してまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 旅館等は宿泊客の安全確保に努める必要があり、大規模災害時には、できるだけ安全かつ速やかに帰宅していただくよう、市町村との連携のもと手配を行いますが、交通事情等ですぐに帰宅できず、しばらく旅館等で待機が必要となる場合も想定されます。
 一般的に、旅館等では、通常営業時において、生鮮食材を除き、数日分の食材、飲料水等を貯蔵しているため、市町村から食料等の供給、あるいは宿泊客が避難所へ避難するまでの間は、在庫食材、飲料水等を宿泊客に提供していただくよう、市町村を通じて働きかけてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 病院や福祉施設は、ある程度の備えが完了しているようです。旅館などについては、あるにはあるけれども、備蓄という点では、これからではないかと思います。
 前に新聞報道があったんですが、那智勝浦町のホテル浦島では、ピーク時にあの島に1日2000人宿泊すると言われています。このお客さんが約10日間生活できる食料や水を備蓄していると言っておられました。身近にこうした先進例もあります。ぜひ取り組みを進められたいというふうに思います。
 また、あと、この質問を勉強する中で、なかなか法的にいろんな施設に備蓄を指導する根拠というのが不十分じゃないかという議論もありました。やはりそれがあるなら、きちんとこれを裏づけするような国への要望もしていただけたらというふうに思います。
 では、次の項目に移ります。県防災ヘリの充実について伺います。
 先ほど触れました南海トラフ巨大地震対策の最終報告でも、孤立集落対策にヘリコプターの活用が有効と述べております。そこで、和歌山県の防災ヘリ「きしゅう」の充実について質問いたします。
 防災ヘリ「きしゅう」は、導入されたのが平成7年、その後20年近く、大きな活躍をしてまいりました。平成25年度の実績でいうと、緊急運航が87回、そのうち救急が37回、救助が27回と、圧倒的に人命救助が占めています。特に、運航状況のレポートを拝見してわかるのは、山林労働者が現場で事故に遭って救出に向かう例や奥地での交通事故への対応など、まさに山間地が多い和歌山県ならではの出動状況があるということで、御苦労がしのばれました。
 近年では、平成19年度から、救命率の向上を目的として、南和歌山病院のドクターを同乗させて現場に向かう取り組みが開始されました。現場に着いて、必要なときには、ドクターと隊員を同時にワイヤーで降下させて救命に当たるそうで、ドクター自身も日ごろからワイヤーロープでの降下訓練を行っていると伺いまして、大変すばらしい取り組みだと思いました。
 また、防災ヘリは、中型ヘリという分類です。ドクターヘリよりも大きくて安定性があるので、少々風があっても活動できるという特徴があります。さらに、ドクターヘリは日没までに県立医大のあのヘリポートに帰らなあかんわけなんですけれども、防災ヘリは日没までに現場を出発すればいいという運用で、このことも有利な点であります。
 なお、前に視察で拝見しました県警ヘリの「きのくに」やドクターヘリの活躍についても紹介したいところなんですが、今回はテーマが防災ということなので、またの機会に取り上げたいと思いますので、御容赦ください。
 このように活躍している防災ヘリですが、最近、技術の進歩でいろんな資機材が開発、実用化されており、その導入を考えるときではないかと感じております。
 例えば、高知県では、今まで防災ヘリが1台あったんですけれども、この4月1日からさらにもう1台、南海トラフ地震への対応に必要だということで、消防庁からヘリが無償貸与されました。このヘリは、最新の衛星通信システムが乗っていて、ヘリからの映像情報を直接人工衛星へ送信するために地上のアンテナが不要であって、地上の施設が損壊した場合でも全国へ映像伝送が可能となっています。
 また、動態管理システムといって、ヘリコプターの位置情報を衛星通信を利用して地上に送って、ヘリがどこにいるのかがリアルタイムにパソコン上に表示されるシステムがあります。この動態管理システムは、広域災害には大変有効で、各地から緊急消防援助隊がわっと来ても、地理的に不案内でも、まるでカーナビのように目的地まで誘導することが可能になることや、任務を本部から的確に指示することができるようになるそうで、今、このシステムは、全国76の防災ヘリのうち41機に搭載をされているということでございます。
 宇宙航空研究機構(JAXA)が開発中のD‐NETというシステムもあります。これは、先日、テレビ番組でも取り上げられていましたが、広域災害のときなど、消防、海上保安庁、警察、自衛隊のヘリが全て一元管理できるというもので、実用化も近いようです。
 紹介をしましたことからわかりますように、ヘリの性能そのものも大切ですが、いかに災害時に集中してきたそれらをうまく運用できるか、そうしたことに焦点が当たっています。
 先日、NHKのニュースでも特集がありましたが、東日本大震災のときも、まさに全国各地から防災ヘリが現場に駆けつけたんですけれども、通信手段が断絶して要救助者の情報が入らない中、例えば岩手県花巻空港では、せっかく応援に来たものの、10台を超えるヘリが何時間も待機をしたままだったということも報道されていました。幾ら機材がそろっても、情報がない中では有効に活用できないのであります。
 そこで、伺います。南海トラフ地震を想定しまして、県防災ヘリの機能を今後どのように充実をさせていくのか、答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 県防災ヘリ「きしゅう」は、つり上げによる要救助者の救助や、状況に応じて医師搭乗のもと、救助・救急活動を行うことが可能であり、さらには空中消火活動等、防災ヘリコプターとして日ごろの活動を行うための十分な機能を有しております。
 また、上空から撮影した映像をリアルタイムで県庁等に電送するヘリコプターテレビ電送システムを搭載しており、被災状況等の情報収集活動が可能であるとともに、被災地への救援物資の搬送等、応急対策活動に重要な役割を果たすものです。
 機体自体は、適切に検査を受けており、今後の使用にも十分耐えられます。一方で、技術的な向上は日進月歩であり、常に最新の技術を盛り込んだ機器を装備しておくことは、理想的ではありますが、現実的には難しいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
 防災ヘリが使用に十分耐えるというのもわかりますし、今すぐに今申し上げたような技術を全部乗せえと言うつもりもありません。やっぱり更新するとか、いろんな機会にこうしたシステムを順次整備していくということを申し上げてるわけで、ぜひ、それはよろしくお願いしたいというふうに思います。
 次、3点目の農政改革について伺います。
 内閣府に設置された規制改革会議の農政改革の議論について伺います。
 この規制改革会議の第2次答申が6月13日に公表されました。読みますと、今回の農政改革なるものは、これまで日本農業の発展に寄与してきた各制度を解体するに等しい内容になっています。
 まず、農業委員会の問題です。農業委員の公選制や推薦制を廃止して、数を半分にして、市町村長の任命制にすると言います。連綿と受け継がれてきた農地が、その時々の首長の考えで左右される、こういうことになっていきはしないでしょうか。また、全国農業会議所や都道府県農業会議──これは農業委員会の系統組織でありますけれども、こうした組織も見直して、新たな制度に移行すると述べております。
 その理由として新たな事業内容をするためにという例示が幾つかあるんですけれども、見ますと、既に農業会議などが行っているものばかりで、なぜ新しい制度が必要なのか、私にはわかりません。
 全国の農業委員会の系統組織である、先ほど申し上げた全国農業会議所ですが、この会議所が発行する「全国農業新聞」というのが手元にございますけれども、この「全国農業新聞」でも、改革案について、「組織の根底覆す」という大見出しを出して、いつになく強い調子で批判しているのも、私は当然であると思います。
 次に、農業生産法人の見直しについてです。これまで業務執行役員の過半が農業に従事する必要があった役員要件を、重要な使用人のうち1人以上が農作業に従事すればよいと、大幅に緩和することを提言しています。また、農地を所有できる法人の要件緩和なども検討するとし、農地を営利企業が所有もできるようになる、そんな道を開くものになっています。
 また、農協の見直しについては、先日議会で可決された意見書にもあるように、中央会制度の廃止と言っていたものが、「廃止」という言葉はなくなったものの、自律的に新たな制度に移行せよと、こう文言が変わりました。しかし、自主的に変われということ自体、自主的ではなく、強制的だと言っておかなければなりません。本質は変わっていません。
 何か、農協中央会や全農が単位農協に対して不当な規制をしているかのような描き方をしていますが、各単協からこういう制度をやめてくれという声は一切出ていないのであります。
 以上のようなことから、この規制改革会議の方向は到底受け入れられません。
 そこで伺いますが、県行政としてこれらの問題にどういう見解を持っておられるのか、農林水産部長の御答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 農政改革に関する質問について、お答え申し上げます。
 まず、農業委員会についてですが、農業委員会が農家の声を反映し、しっかりと農地を守れる仕組みであることが絶対条件であると考えます。
 答申では、事前に地域からの推薦・公募を行える、過半数は認定農業者から選任する、議会の同意が必要などの要件のもとに、市町村長が農業委員を選任することになっていますが、本当に地域の農業に精通した人が選任されるかどうか不明な部分もあり、農地の虫食い的な宅地化が進まないかという危惧があります。
 また、都道府県農業会議は、現在、意見の公表、行政庁への建議や答申、情報提供、調査研究、農業委員等の講習及び研修、助言、協力などの業務を行っていますが、こうした機能、役割が継承されるのかという心配もあります。
 県としましては、いずれにしても、農業委員会等の組織は、農業委員会法に定める設置目的の「農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位の向上に寄与する」ことが第一と考えます。
 次に、農業生産法人についてですが、本県では、県内農業の維持発展のため、農業後継者の確保はもとより、非農家からの新規参入や、多様な担い手の1つとして企業の農業参入も推進しているところですが、耕作放棄地は増加傾向にあり、十分な効果を上げるには至っておりません。
 答申では、企業の農業参入の障壁を低くするため、農地を保有できる農業生産法人の役員要件と構成員要件──出資比率のことですけれども──の緩和が打ち出されていますが、深刻な危機に直面している我が国の農業を下支えし、農業をこれからの成長産業として発展させるという観点においては、方向としては基本的には好ましいものと考えます。
 全国農業協同組合中央会が本年4月に策定した改革のプランにおいて、JA出資型法人による直接的な営農サポートの展開を掲げているところであり、特に、農協自身がみずから農業生産法人をつくり農業を営むことを期待するものであります。
 なお、企業が農地を所有することについては、経営不振などで農地を荒らしたまま撤退するような事態を防止するための仕組みが必要と考えます。
 最後に、農業協同組合の見直しについて、本県では果樹農業を中心とした商品作物の生産が多く、これまでも県と県内JAグループが一体となって地域の実情を踏まえた生産振興や販売促進に取り組んできたところであり、JAグループが地域農業の振興に果たしてきた役割は非常に大きいものがございます。
 答申には、地域の農協の自主的な活動を制約している全国中央会等を弱くすれば農協が活性化するという発想があるように感じますが、仮にそうであるとするならば、必ずしも実態に即した現状認識とは言いがたいところがあります。
 県としましては、農協改革は、組織を変えることが目的ではなく、農協が農業の発展、営農者の幸福実現にいかに寄与できるかという観点から議論が行われるべきものと考えており、当面は改革議論の推移を見守ってまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 次の質問に移らせていただきます。
 カツオの不漁問題です。これは1日目の谷議員の質問とかぶりますので、これについては要望とさせていただきます。
 地元のすさみ町では、おいしく手ごろな値段のケンケンかつおの不漁は、皆さんも御存じのとおりであります。ことし3月の水揚げは、平年比の40分の1以下、2.4%と聞いております。
 すさみの漁業関係者の話では、将来の展望が見えない中、若い人が意欲がなくなっていると伺いました。年に10人近く引退する漁師がいますから、10年たてば半分になると嘆いておられました。
 すさみ町では、以前から「景気は海から」と言われ、それほど漁業というのは大きなウエートを占めているんです。この不漁がもし連続で続くようなことがあればと考えるだけで恐ろしくなってきます。
 不漁に加えて、燃油代も高騰しています。伺いますと、この16日から税込みで1リッター114円になると言っておりました。ダブルパンチです。
 不漁の原因については、いろいろ説がありますが、全体としては資源を維持されているという報告があるんですが、フィリピン東方の黒潮の源流域という海域では、カツオの資源が明確に減少しているという研究発表も出されております。それが主な原因なら、やはりまき網によるとり過ぎを規制することが求められていると思います。
 私は、中西部の太平洋におけるカツオを対象としたまき網の漁獲規制強化とカツオの生態の研究、さらに資源量調査など、必要な手だてを国や各県とも連携をとって和歌山県が取り組まれますよう、要望をさせていただきます。
 5つ目の通学路の安全対策について伺います。
 平成24年の京都府亀岡市の事故を受けまして、県は、緊急に通学路の安全点検を実施されました。危険箇所が596カ所見つかり、対策済みや対策予定が現在573カ所と聞いております。残りは23カ所まで減らしてきました。
 今、紀南地方では、御承知のように近畿自動車道紀勢線の工事が急ピッチで進んでいます。地域によっては、従来からの交通の流れや道路状況などが大きく変わっております。また、道路交通法が改正をされ、路側帯のある道路での自転車の右側通行が昨年12月から禁止になりました。この影響で、児童生徒の安全と矛盾する事態も起こっています。
 おつけした資料の2なんですけれども、この崖の写真です。これは上富田町の南紀の台という住宅地の町道なんですけども、小中学生の通学路にもなっていて、道路交通法改正以前には、こっちの崖のほうが危ないんで自転車も右側を通行していたのですけれども、今は左側通行ということで、落石が多くてもこの左側をやむなく通行しているようなんです。早く崖を直せと言われそうなんですが、役場も努力していただいておりますが、うまくいっていない現状があります。これは、安全性という点で、どう見ても私は不合理だというふうに思います。
 そこで、教育長にお願いしたいんですが、現時点での新たな通学路の安全調査を行ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。また、その際、道交法の改正によって自転車通学にどんな影響が出ているのかも把握していただきたいと思います。答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 通学路の安全対策についてお答えをいたします。
 平成24年度に京都府亀岡市で小学生等が犠牲となった大変痛ましい事故を受けまして、直ちに学校、警察及び道路管理者等による小学校の通学路における緊急合同点検を実施し、危険箇所を解消するための対策を進めてきたところでございます。
 昨年12月の改正道路交通法の施行や近年の道路状況の変化を踏まえ、今年度、新たな危険箇所を把握するため、関係機関と連携・協力し、小学校の通学路だけでなく、自転車通学を含む中学校の通学路の状況調査を実施し、自転車通学への影響等を把握してまいります。
 今後も、児童生徒のかけがえのない命を守るため、交通安全教育の徹底を図るとともに、関係機関と一層連携を深め、通学路の安全確保に努めてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ぜひよろしくお願いいたします。
 最後の質問です。
 先ほどの質問でも触れましたが、今、高速道路の建設が進んできて、10トンのダンプが国道42号を中心に残土処分場まで列をなしております。ふだん渋滞の起こらないところが突然渋滞になったりして、多少時間が余計にかかるぐらいやったらええんですけれども、ふだんはもう5分もかからないようなとこが20分ぐらいかかったり、狭い踏切の前後にダンプが並んで大変危険が増したりする、そんな場所が出てまいりました。
 私、この質問を準備する中で、地元の役場や工事主体の国土交通省紀南河川国道事務所、そして県警にも実情をお話しして対応を求めてまいりました。早速、県警のほうが動いてくださり、国土交通省と協議をする中で、先週からダンプの運行コースを一部変えることになり、現時点では見事に渋滞が解消されました。ありがとうございました。
 そもそも、かなりの量のダンプを走らせることは、初めからわかっています。国土交通省も、あらかじめ運搬コースを設定しているんですから、県警と十分協議をしていれば渋滞騒ぎにならずに済んだはずです。工事は、これから交通量のふえてくる夏場も依然続きます。今後は、国土交通省と連携して十分事前協議などしていただきたいというふうに思います。このことについて、警察本部長の御答弁をお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 警察本部長下田隆文君。
  〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) 議員御指摘のとおり、近畿自動車道紀勢線延伸工事に伴い大型貨物自動車の通行量が増加し、通常では渋滞が起こらないところに交通渋滞が発生している状況にありました。
 県警察といたしましては、早急に建設工事主体である紀南河川国道事務所と協議を行い、大型貨物自動車の運行コースの変更等により渋滞が解消したところであります。
 今後とも、引き続き国土交通省等と十分連携を図りながら、近畿自動車道紀勢線延伸工事の周辺道路における交通の安全と円滑に向け、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁、ありがとうございました。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(尾崎太郎君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 大きく3点、質問を行いたいと思います。どうぞ皆さん、御清聴をお願い申し上げます。
 私は、和歌山へ来てくださるお客さんを県産果樹でお迎えしたらどうかというふうに考えております。
 一昨年の夏、関西広域連合議会出席のため、鳥取市を訪問しました。鳥取駅におり立つと、駅前広場には二十世紀梨が植栽されていました。鳥取県といえば、やはり誰もが梨をイメージします。本当に鳥取県らしい取り組みに感心をいたしました。
 本年秋には、リニア中央新幹線が着工されます。山梨県では、リニア新駅の駅前には山梨県らしいブドウを植える計画だと聞いております。
 本県は、果樹王国と称しております。今回の質問に当たり、調べてみました。すると、農作物作付面積、農作物生産量、農業出荷額に占める果樹の比率が、全国で唯一、50%を超えるほんまもんの果樹王国であることを知りました。私の不明を恥じるばかりですが、「やったあ」という感じでもあります。
 そこで、本県でも、最初に県外の人が到着する県の顔ともいうべき駅前や高速道路のサービスエリア等に県産果樹を植栽してはどうでしょうか。
 今回の質問に際し、長く全国みかん議連の役員を務めておられる尾崎要二議員から、「右近の橘、左近の桜」について御教示いただきました。「右近の橘、左近の桜」とは、京都御所紫宸殿の正面に平安時代から植栽されているタチバナと桜のことであり、タチバナは長寿の、桜は知恵の象徴とされています。ちなみに、桜は元梅だったと言われておりますが、本県のミカンや梅は、単なる農産物ではなく、古来より信仰の対象となるような、歴史と文化のあふれる和歌山県にふさわしい作物であることがわかりました。
 さて、高速道路や電車の車窓から見える景色は、旅の大きな楽しみの1つであります。本県を早春に旅すれば梅の花が、5月にはミカンの花の濃厚な香りが、夏には桃が、秋には色づいた見事なミカン畑を見ることができます。このような農村風景は、実は世界遺産にまさるとも劣らないお宝であり、ぜひとも活用、保存すべきであります。今、バリ島やタイ・チェンマイでは、ホテルにわざわざ農村風景を再現しているそうであります。
 知事も、イタリアに駐在され、よく御存じとは存じますが、イタリアのトスカーナやフランスのプロバンスは世界中から観光客が訪れる農村地帯で、そこで栽培、生産された農畜産物は高級でおいしいというブランドができています。まさに、本県のお手本ではないでしょうか。
 しかしながら、本県では、農家も高齢化により耕作放棄地が増加し、現実には、高速道路や鉄道の沿線が必ずすばらしい景色とはなっておりません。
 歌手の細川たかしの出身地、北海道真狩村には、フラワーロードという道路があります。村はユリネの生産日本一で、沿道のジャガイモやトウモロコシの畑の2畝は、農家のお世話でユリの花を植えています。
 そこで、本県でも、高速道路や鉄道の沿線の農地を、農家の力をかりながら、農村風景を守るため、何らかの保護、修景をすることはできないでしょうか。あわせて、知事の御所見を伺います。
○副議長(尾崎太郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 駅前や高速道路のサービスエリア等で県の代表的な果樹を植栽してはどうかという議員の提案は、本県が果樹王国であることを広くPRするよいアイデアであると認識しております。しかし、管理作業が適正に行われないと逆にみすぼらしくなったりして、ちゃんと実がたわわに実らないといけない。実施する以上、たわわに実って、おいしそうにならないと宣伝になりません。
 議員お話しの例は、駅前の再開発の際に地元の商工会議所が自発的に植栽を実現したものと聞いておりまして、管理などもその人たちが自主的に実施しております。
 また、県内においては、早くから地元の観光協会等が、例えばJR南部駅前に地域の特産果樹である梅を植栽して、来訪者をお迎えしているというような例もございます。
 中村議員のアイデアは大変いいアイデアなので、各駅とか、あるいは高速道路のサービスエリア等での果樹の植栽について、県の観光当局から地元関係者に「どうじゃ」というふうに働きかけてまいりたいと、そういうふうに思っております。
 その次に、高速道路とか鉄道沿線の農村景観を守るため、何らかの工夫をできないかということでございました。
 きちんとした農地が守られていて、伝統的な農業の雰囲気が車窓からも見えるということは、すばらしいことでございますし、地域の魅力の向上や観光振興という観点からも、よいアイデアであると思います。
 議員御指摘のような特別に花を植えるというようなこともなかなかいいアイデアではないかと思いますが、一方では、今度は本物の農業生産の効率が悪くなって、そのロスを誰が支払うのかという議論が出てくると思います。県内全域で農村景観を守ろうとすれば、こういう形でやろうとすれば、相当なコストがかかるし、どういう地域をどうつくるかということについては、目指すべき姿はそれぞれ違うんじゃないかというふうに思います。
 いずれにしても、まずは観光地に近い地域から、農村景観をこういうふうにいろいろ工夫したらどうだというようなことについての取り組みについては、地元の関係者によく相談をしてまいりたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございました。
 私も存じませんでしたが、実は県の景観条例にも農村風景を守るべきというようなことが記述されているそうでございまして、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、2番目は、情報提供と高齢者対策という視点で質問を行いたいと思います。
 まず、地籍調査について質問いたします。
 我が国は、戦後の焦土から、先人の不断の努力のおかげで奇跡的な高度経済成長を遂げました。そして、今や世界の経済大国に発展し、サミットやG8を構成する先進国の一員となりました。しかしながら、国家の基礎データともいうべき土地の面積、利用状況、所有状況など、いわゆる国土調査は未完成であります。
 例えば、固定資産税の課税対象である土地の面積はいまだに未確定であり、とても先進国とは言えない状況です。とりわけ東日本大震災の復旧・復興のおくれを見たとき、地籍調査は事前防災として至急にやり遂げねばならない課題であると考えます。
 本県でも昭和33年から60年近く取り組んできましたが、現在の実施状況はどうなっているのでしょうか。今後の取り組みについても、企画部長に伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 地籍調査の実施状況と今後の取り組みについてですが、地籍調査は、市町村主体の事業でありますが、土地の境界の明確化による所有権の保全や公共事業の円滑な推進など、大変重要な事業であります。
 本県の地籍調査の実施状況につきましては、平成25年度末で全国平均の約51%に満たない34.8%の進捗率でございますが、平成15年度から全国最大の事業量を確保しておりまして、最近では国全体の関連予算の1割以上を占めております。
 また、議員御指摘のとおり、地籍調査は災害からの復旧・復興に不可欠であることから、本県独自に津波浸水区域における地籍調査5箇年計画を策定いたしまして、当該区域の地籍調査を優先的に進めているところでございます。
 今後とも、地籍調査の早期完成に向けて、国や市町村と緊密に連携しながら所要の予算を確保するとともに、計画的に進捗させてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、汚水処理について質問します。
 知事の新政策、トイレ大作戦は大変好評で、各地できれいなトイレができたと喜びの声を聞きます。
 しかし、汚水処理人口普及率については、向上しているものの、相変わらず全国順位は徳島県との最下位争いです。県長期計画では目標年度の平成29年度に普及率70%を目指していますが、果たして達成できるのか、現状と取り組みについて県土整備部長に伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 汚水処理人口普及率の向上を図るため、現在、県としては、流域下水道事業として、伊都処理区、那賀処理区の整備を進めております。
 また、市町村が行う公共下水道事業や集落排水事業などの計画箇所116カ所につきましては、平成25年度までに80カ所が完了し、現在18カ所で事業を実施しております。
 合併浄化槽につきましては、29市町村において個人の負担軽減を図るための補助を行うとともに、県としては、市町村設置型浄化槽の導入を積極的に働きかけているところです。
 こうした取り組みは、県のホームページで公表するとともに、必要に応じて市町村と情報交換を行っておりますが、残念ながら平成24年度末の汚水処理人口普及率は55.2%となっており、全国的にも低い状況となっております。
 県としましては、下水道等の集合処理と合併浄化槽双方の特徴を生かした、より効率的、効果的な生活排水処理を進めることとし、平成29年度末の汚水処理人口普及率70%の目標達成に向けて取り組んでまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目は、住宅の耐震化です。
 本年度から、県では、耐震補助事業を木造以外の住宅にも対象を広げ、採択基準も緩和し、平成27年度には住宅の耐震化85%を目指して取り組んでいます。
 近く発生する南海地震に対して、1人でも多くの県民の命を救うためには、また避難路の確保や出火原因排除の観点からも、私は耐震化の目標は100%であるべきだと思います。
 現状と取り組みについて、これも県土整備部長に伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 住宅の耐震化を推進するため、平成16年度から木造住宅の耐震化に取り組み、耐震診断及び耐震改修の補助制度を創設し、順次、補強設計や避難重視型補強へも補助範囲を広げてまいりました。その結果、平成25年度末までの実績として、耐震診断は1万1194件、耐震改修工事は924件となっております。
 特に高齢者世帯等に対しましては、耐震改修サポート事業として耐震マネージャーを無料で派遣し、各種相談や改修計画の提案を行っております。
 また、今年度から、非木造住宅や現地建てかえに対する補助を追加し、耐震診断、耐震設計及び耐震改修を推進することとしました。さらに、避難重視型補強の補助要件である低所得者または昭和45年以前建設の要件を撤廃し、制度拡充を図ったところです。加えて、大規模建築物に対する補助も、全国トップクラスの規模で実施することとしました。
 こうした補助制度の概要は、県のホームページで公表するとともに、県内各地で説明会を開催し、制度の周知を図っているところです。
 県としましては、平成27年度末の住宅耐震化率85%を目標値に設定しており、これを目指して耐震化促進を図ってまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 4番目は、火災警報器について。
 私は、平成23年2月定例会において、同年6月に設置義務化される火災警報器の普及について質問を行いました。果たして、その後の設置状況はどうなっているのでしょうか。また、今後の取り組みもあわせて危機管理監に伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 本県の住宅用火災警報器の推計普及率は、平成25年6月1日時点で82.2%であり、全国平均の79.8%を上回っております。
 これまで、県内消防本部などでは広報紙やホームページ等で普及促進を図っており、県においても、ホームページや「県民チャンネル」、「県庁だより」で普及に向けた啓発を行ってきております。
 今後も、引き続き消防本部などと連携して普及啓発に努めてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 さて、ただいま4件について質問さしていただきました。いずれも重要な事業でありますけども、実は市町村によって大きな格差があります。なぜそのような格差が生まれるのか、よくよく考えてみました。私は、その原因は情報不足と高齢化にあるのではないかというふうに考えております。
 例えば、日高地方には、汚水処理人口普及率や地籍調査がほぼ終了した市町村がある一方、隣接にもかかわらず、逆に県内順位で大変おくれている市町村もあります。いずれの事業も住民生活に密接に関係する重要なものですが、不思議なことに、首長や議員の選挙でも争点になっておりません。これは、施策の便利さや、おくれていることが、住民に認識されてないからではないでしょうか。
 現在、各種施策の通知表ともいうべき市町村統計は、一括して「指標からみた和歌山県のすがた」などとして発表していますが、本来は、各部局で取りまとめ、その都度、丁寧に県民にお知らせし、果たして、みずから居住する市町村はどうなっているのか、正しく認識してもらう必要があると思います。そのための情報提供のあり方について、知事の所見を伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県の現状や行政の成果を県民の皆様にわかりやすくお示しするということは大事でございまして、このため、各種統計データを都道府県や市町村別に編集した「指標からみた和歌山県のすがた」というのを、これはかなり前から発行しておりまして、御指摘のように、ホームページにも掲載しているところでございます。こういうことによって県民の皆さんが、全国における本県の位置とか、あるいは県内における自分の住んでいる市町村の現状を正しく認識していただくということは、大事なことではないかと思います。
 また、御指摘のように、市町村にも県にも緊張感がないといけません。そういう意味では、あんまり意地悪になってはいけないんですけれども、淡々といろいろな情報開示をするということは大事だと思っております。
 そういう観点を踏まえて今後さらに情報発信力を高め、各種データを県民の皆様に十分活用していただけるよう、わかっていただけるよう、一層のPR等に取り組んでいきたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、県の情報は知事が直接首長さんに「あんたとこ、おくれてるね」と電話1本したらすごく効き目があると思いますし、県政報告会で住民が集まってるところでおっしゃられればきつく伝わると思いますが、そこと、それから今県のホームページだとかに出ております中間ぐらいの効果的な方法があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、高齢者対策について伺います。
 実は、私の御坊市の公共下水道では、接続率が伸び悩んでるというように聞いております。近所の水道屋さんが幾ら説明しても、接続してくれないそうです。理由は、高齢化が進み、近い将来、誰もいなくなる住宅に投資するのはもったいないという切実な内容です。
 浄化槽や耐震化、火災警報器についても、同様のことが言えます。26%という超高齢化が進行する本県では、通常の施策に加えて特別の高齢者対策が必要であると考えますが、知事の御所見を伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、高齢者にとっては、「もう私はあんまり長くないので、さわるのは嫌だ」とか「もういいんだ」とか、そういうような一般的な風潮があるということは事実だと思います。
 しかし、例えば耐震の問題とか、汚水処理もそうでございますが、これは御本人が今はそう思ってたって、現実に大変なことになったときに本当に困るわけでございますし、それから汚水処理などの問題については、ほかの方々にも御迷惑をかけるわけです。したがって、インセンティブはやっぱりつけないといけない。
 しかし、お年寄りだからお年寄りに特に優遇というわけにもいきませんので、いろいろ工夫いたしまして、例えば、住宅の耐震化の場合は、全面的に改装するととてもお金がかかるので、我が県のかなりこれは優遇された助成策があるんですが、こういうものを使ったときの自己負担率が少なくなるような使い方をしても、つまり命が助かるレベルで直しても、それは助成を受けられるというような制度に変えるとか、そういうような工夫をしていくことは必要だなあというふうに思います。
 と同時に、広い古い家に──したがって資産はたくさんお持ちなんだけども──お住まいだけれども、収入はあんまりないと、そういう方もたくさんあると思います。そういうところに住んでおられる人は何かと不便で、しかもだんだんお年を召してくると、特にそれが高じてくると思います。そういうときに、その家を誰かに貸したり、あるいは何がしかの工夫によって別途再開発の用に供したり、そういうようなことがうまくできるような制度というのがあると、資産が収入に変わっていって、それでその収入でもってかなり豊かな老後が送れるということもあるんではないかというふうに思います。
 そこで、そういう方のための賃貸のシステムとか、あるいはリバースモーゲージと言うんですけども、そういうようなものを県としても研究してみようというのが、ことしの目標でございます。
 実は、これは、特に後者は、ずうっと昔から言われておりまして、国のレベルでもそういうことが言われて久しいんですが、実はなかなか完璧な制度ができなくて、そう普及しておりません。ただ、勇気を持ってこういうことにも取り組んで、頑張っていきたいなあというふうに思っております。
○副議長(尾崎太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事が、今年度の予算で県版リバースモーゲージを研究されるというふうに伺ってます。大変期待をしております。鶴保参議院議員なんかも、中古住宅を円滑に流通できるような、そういう制度をつくっていこうというふうに言われております。
 和歌山の地方のほうへ行きますと、なかなか過疎化が進んでおりますが、そういうところも、例えば農地つきで、今だと5反以上持たなあかんというようなこともありますが、もっとレクリエーションでできるような農業も私はできると思うんですが、そういうところについては規制を緩和して、農地つきで売るということは、また売れる可能性も広がってくることだと思いますので、ぜひ、補助金をたくさん出すということではなくて、アイデアで勝負をする、そういう対策を期待いたしたいと思います。
 最後に、和歌山市の渋滞対策について伺います。
 平日の朝、私が県議会に登庁するのに要する時間は、御坊から自動車で約50分です。高速道路が開通し、4車線化により、大変快適な道のりになりました。しかし、和歌山インターまでの約43キロをわずか30分で来ることができるのに、和歌山インターから県議会まで約5キロが20分もかかることは大変気に入りません。
 時間がかかる理由は、和歌山インター、花山、田中町の各交差点の渋滞です。平成22年度の調査では混雑度はそれほど切迫したものではありませんが、道路の快適さや多くの県民の膨大な時間の喪失を考えれば、立体交差など、何とか渋滞対策を講じていただきたいと思います。
 続きまして、道路の政策としてお聞きしたいと思います。
 県では、これまで県内の道路整備については、X軸ネットワーク、川筋ネットワークと整備方針を決めて注力してきました。しかし、和歌山市内については遠慮してきたのではないでしょうか。幸い、和歌山南インター設置や最近の都市計画道路の見直し提案は、ある意味、画期的であり、県都の道路整備についても主体的に対応していくとの強い意思が感じられます。
 和歌山市は、県土の4%しか面積はありませんが、人口の40%が集中し、企業や商業施設、大学、高校等が集積する拠点都市であります。したがって、道路に限らず、各種施策について、和歌山市と協調しながらも主体的に対応することが大切であり、むしろ指導していくくらいのパワーが必要だと考えます。
 県では、以前から、高速道路のアクセス性向上のため、交付金事業で道路整備に取り組んできてくれております。ぜひ和歌山市周辺においても同様の特別な政策が必要と考えますが、あわせて県土整備部長の御所見を伺います。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山インターチェンジから田中町交差点付近の渋滞状況ですが、当該区間は、平成24年度の和歌山県道路交通渋滞対策協議会において選定した主要渋滞区間になっております。
 特に、通勤・通学時間帯である朝7時から8時の西向きの交通は、和歌山インター南口交差点を先頭に、時速20キロメートル以下の渋滞が発生しております。また、夕方5時から6時には、東向きの交通が、花山交差点前後の区間において同様の渋滞を発生し、さらに田中町交差点では、朝夕関係なく、交差点前後の区間で慢性的な渋滞が発生しています。
 このため、渋滞対策としまして、和歌山市の東部と市中心部を結ぶ交通を分散させるため、都市計画道路市駅小倉線の整備を進めております。このうち国道24号から東側の県施工区間は平成25年3月に既に供用済みであり、効果を早期に発現させるためには、残っている西側の市施工区間を一日も早く供用させる必要があることから、市に働きかけているところです。
 また、市南部と国体道路を利用し東部を結ぶ交通につきましては、都市計画道路松島本渡線の整備によって交通分散を図る計画であり、現在、県、市が連携して整備を推進しているところです。
 さらに、和歌山インターへの交通集中の分散を図るため、和歌山北インターチェンジに加えて、仮称・和歌山南スマートインターチェンジの整備を県と西日本高速道路株式会社で連携して推進しているところです。
 続きまして、和歌山市内の道路政策についてですが、和歌山市内では、周辺地域から中心市街地への流入交通が一部の幹線道路に集中していることが最大の課題であると認識をしており、この分散を図る施策を最重点に取り組んでおります。
 その中で、平成18年度以降の取り組みとしては、まず東西の新たな幹線道路としては、先ほど御説明しましたように、市駅小倉線のほかに西脇山口線を重点的に整備しており、これまで善明寺工区など5キロメートルが供用し、平成29年度の全線供用を目標に、残り5.8キロメートルの整備を進めております。
 また、南港山東線は、これまで坂田工区420メートルが供用し、現在事業中区間3キロメートルを、和歌山南スマートインターチェンジとあわせて早期に供用できるよう整備を進めております。
 次に、南北の新たな幹線道路としましては、松島本渡線は、これまで神前工区など1キロメートルが供用し、県道秋月海南線まで約900メートルにつきまして、平成27年度紀の国わかやま国体までの供用を目指しております。
 このように、和歌山市内の渋滞対策としましては、まず幹線道路を整備し、ネットワークを早期に形成することが重要と考えており、これに向けて県と市が連携して進めてまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。(拍手)
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は6月23日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時26分散会

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