平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(尾崎太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入らせていただきます。
 第1の柱として、今国会で議決された教育委員会制度にかかわる改革法についてお伺いいたします。
 教育委員会制度というのは、選挙管理委員会、公安委員会と並んだ行政委員会ですが、知事や市町村長、それを一括して首長といいますが、この首長の直轄にすることでは自主性が損なわれる分野について置かれているものです。教育委員会の場合、教育や子育ての分野はこうすべきだと一色に染め上げることになじまない分野です。時の首長の考えをストレートに持ち込んでは、さまざまな弊害が出てくる。
 また、教育委員会制度は、戦前の国家権力が教育を意のままにして子供たちを戦場に送ったことへの反省から発足したものです。そのため、第1に教育の地方分権、つまり国家権力の介入を許さないこと、第2に一般行政からの独立、教育内容は教育委員会に任せること、第3にレイマンコントロール、教育では素人であっても一般市民の立場から教育を統制する、この3つが戦後教育の3原則と言われてきました。
 もともと教育委員会は、教育委員が選挙で選ばれる公選制をとっていたのですが、それが任命制になりましたが、教育委員の皆さんは、県議会の同意を得て選任され、教育委員長を選出する権限を持っています。今でも大事な役割を果たしておられると思います。
 そこで、教育長にお伺いしますが、そもそも教育委員会制度をこのたびのように大きく変える必要があるのかどうかの問題です。
 教育委員会はこれでいいのかという議論が出てきたきっかけの1つが、大津でのいじめ自殺事件でした。大津の教育委員会が、いじめ問題とその原因を調査したアンケート結果などを隠して、いじめと自殺の関係を隠蔽した。そこで、越大津市長が乗り出して、第三者委員会を立ち上げて調査することになりました。ここから、教育委員会だけに任しておけない、首長直轄で教育を監督しなくてはならないという主張が出てきたわけです。
 しかし、第三者委員会の報告は、全く逆のことを指摘しています。「教育委員会開催まで、事務局や学校から委員に対して詳しい情報の提供はなく」と書かれている。「今、重要なことは、教育長以下、事務局の暴走をチェックすることであり、その一翼を担う存在としての教育委員会の存在は、決して小さくない」とまで指摘しています。
 大津いじめ事件の第三者委員会の報告書が引き出している教訓は、教育委員会の権限を強めることでこそあれ、弱めることではないわけです。
 教育長は、この第三者委員会の報告、この点についてどう受けとめられたでしょうか。和歌山県の教育委員会の実情はいかがでしょうか。教育長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 大津市立中学校におけるいじめに関する第三者調査委員会の報告にもありますように、当時の大津市においては、教育委員会事務局がその職責と役割を十分果たせず、また教育委員会もチェック機能の役割を果たせていなかったため、問題を深刻化させたと感じております。
 本県教育委員会では、各教育委員が、教育委員会定例会はもとより、自主的な勉強会を開催し、活発な議論や意見交換を行っております。さらに、定期的な学校訪問や地域住民との話し合いなどにより、常に新しい情報を積極的に収集できる体制をとるなど、いじめ問題を初めとするさまざまな課題について迅速かつ適切に対応し、安心・安全な学校づくりに努めているところでございます。
○副議長(尾崎太郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 和歌山では、きちんとやっておられるということです。
 次に、このたびの新しい改革法の中身であります。
 教育委員長や教育長の協議会が、改革法案の前段というべき中央教育審議会の部会の検討内容に対して、全国の教育委員会の意向を調査し、意見書を出しておられます。それによると教育長を首長の補助機関とするとともに、教育委員会を首長の附属機関にするという今回の教育委員会改革法案につながる考え方について、多数の教育委員会から批判意見があったとされています。
 このたびの改革法は、教育委員長をなくして、首長任命の教育長がトップになる。これでは、教育長に対する教育委員会の指揮監督権限がなくなり、教育長、教育委員会が、事実上、首長の補助機関、附属機関になると考えられます。中央教育審議会の検討内容に意見を出されている流れからいって、山本教育委員会委員長は、この改革法をどう考えておられるでしょうか。委員長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 教育委員会委員長山本 哲君。
  〔山本 哲君、登壇〕
○教育委員会委員長(山本 哲君) 先日、国会で改正された教育委員会制度に関する法律には、地方教育行政における責任の所在の明確化、首長との連携の強化、引き続き教育委員会を執行機関にするというようなことが盛り込まれております。
 本県では、現行制度下でも、知事、教育長、教育委員会が相互の信頼関係を持って連携・協力しながら適正、円滑に教育施策を進めております。
 新制度に移行いたしましても、法律改正の趣旨をしっかり踏まえながら、引き続き、和歌山県の子供たちのために、知事、教育長、教育委員会がこれまで以上に意思疎通を図り、連携を強化することにより、3者一体となって本県が目指す教育を推し進めていくことが大事だと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 最初に、いじめ対策などの関係で教育長にお伺いしたんですが、答弁をお聞きしまして、和歌山県では、法改正などしなくても立派にやっていけると受けとめました。
 改革法の本当の狙いは、いじめ対策などではなくて、戦前のような政治の教育への介入ではないかという危惧を強くいたします。
 また、このたびの改革法には、多くの附帯決議がつけられています。その1つがレイマンコントロール、つまり教育委員の皆さんの意見を尊重するということが言われている。改革法とは矛盾する附帯決議だと思うわけですが、首長から任命される教育長に歯どめをかける、そういう意味でしょう。
 教育委員会の専権事項については教育委員会の意向を最大限に尊重する、新しく選ばれる教育長は教育委員の皆さんの意見を尊重する従来の教育委員会の制度の精神を大事にしていってもらいたいと希望するものでございます。
 次に、第2の柱に入らしていただきます。和歌山下津港、海南地区の浮上式防災堤防についてお伺いいたします。
 この事業は、津波が来れば空気圧でパイプを押し上げて津波を食いとめるというものですが、国直轄事業であり、基本的には、国が3分の2、県が3分の1を負担するものです。私は、この事業に期待するとともに、地方の熱意を示すとして海南市と地元企業もお金を出すということについては、公共事業のあり方として疑問を表明したこともございます。その後、昨年の3月28日には浮上動作実験が行われ、私も見学して、関係者の皆さんとともにその成功を喜んだところです。
 この事業は世界初と言われる実験的事業であるだけに、「本当にうまくいくのか」という質問も出されたことがあります。国土交通省の方は、「世界初といってもハイテク機械ではなくて、空気を送り込んでパイプを浮上させるという極めてローテクの技術ですから大丈夫です」とお答えになっていらっしゃって、私も、そうかなと思っておりました。
 ところが、昨年の暮れから少しおかしな情報が伝わり始めました。それは、国の技術検討会で問題点が指摘され、浮上式というのにはかなりの追加予算が必要になる、浮上式かどうかということも再検討されるという情報です。結論から先に言えば、本年度は21億円という予算はついたのですが、浮上式の部分はまだ取りかからないそうです。
 この間、私は県の担当部局に、昨年末にも、ことしに入ってからも、「浮上式堤防の進捗について、国のほうで新しい動きはありませんか」と問い合わせをしましたが、「変わった動きはありません。そのまま進むと思っています」とお答えをいただいております。
 一方、私どもの国会議員に問い合わせますと、技術検討会での検討内容がおぼろげに伝わってまいりました。それとともに、12月に行われた技術検討会にかかわる案内文も手に入りました。それによると、検討委員会の構成は、委員長以下、3人のアドバイザー、12人の委員──それぞれ専門家であります──それに加えて、関係者として、国土交通省港湾局、和歌山県県土整備部とあります。和歌山県からもこの検討会に参加していることがわかりました。
 世界初の実験的事業と言われるものですから、また津波想定も変わる中で、計画どおりいかないのが悪いと言うつもりはありませんが、問題点も検討内容も、国民に公開されるべきだろうと思います。
 そこで、質問です。
 第1点、津波防災堤防について、県も参加した技術検討会ではどういう検討がなされたのでしょうか。何が問題になっているのでしょうか。県土整備部長からお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 議員御指摘の技術検討会は、第3回和歌山下津港海岸海南地区津波対策事業に関する技術検討委員会であり、平成25年12月21日に開催されたものです。
 3月末に、雑賀議員からの問い合わせに対し、当方から、平成26年度の事業内容と、この委員会での南海トラフ巨大地震時における浮上式防波堤に関する技術検討について説明させていただいたところです。
 具体的には、南海トラフの巨大地震のような最大クラスの津波を起こす地震に対して、地中部の鋼製の管──これは鋼管ですけれども──鋼管が曲がることにより防波堤が浮上しなくなる可能性があり、それに対して、周辺地盤の改良、鋼管の剛性強化等の追加対策を講じる必要があると指摘があったところです。国土交通省からは、今回の指摘を踏まえて、当該防波堤の整備方針の変更について検討を行っていると聞いております。
○副議長(尾崎太郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 実験的事業だからいろいろな検討があっていいと申しましたし、また、私は、そういう問題を乗り越えてこの堤防が完成することを期待しています。
 しかし、大幅な予算増をしないと予定どおりの浮上式堤防ができないというような内容の検討がなされているのであれば大変です。ただいまの答弁では、大きな地震・津波が来ると、浮上するはずのパイプが曲がったりして浮上しなくなるおそれがある、周辺地盤の改良も必要だということです。そういう問題点は、私たちが浮上実験が成功したと喜んでいたころに既に検討が始まっていたことが推測されます。
 海南市と津波対策協議会に入っている民間企業も、費用を負担しています。いつ、どういう報告をなさるのでしょうか。県土整備部長からお答えください。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 先ほどの第3回和歌山下津港海岸海南地区津波対策事業に関する技術検討委員会の内容につきましては、現在、国土交通省が検討している内容も含めて、しかるべきときに和歌山下津港(海南地区)津波対策協議会で説明できるように準備をしていると聞いております。県としても、適切な説明ができるように協力していきたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 心配なのは、費用負担の問題です。
 計画の変更は、予算をふやして浮上式堤防を完成させること、あるいは別の工法を検討することも考えられますが、工法と経費、地元負担の見通しはいかがでしょうか。県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 工法と事業費につきましては、先ほども述べましたように、現在、国土交通省において、技術検討委員会の結果を踏まえて今後の整備方針を検討しているところでございます。
 また、地元負担につきましては、海南市や沿岸部に立地している企業から事業への協力の申し入れがあり、負担金等として事業への協力をいただいているところであり、今後、整備方針が変更され、さらなる負担が生じるのであれば、関係者と協議してまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 費用の増加や負担の増加については、今後の検討課題だ、今後のことだということですが、実験的事業であれば、そのリスク、つまり技術的に実験的であるがゆえに予想外に費用が大きくなるというそのリスク、それは国で引き受けるべきでないかと思います。
 国土交通省の「ローテク技術だから大丈夫です」という説明を信じて、海南市や民間企業も、法的には義務のない費用負担を引き受けているわけです。地元企業の拠出金は、総工事費の4%ですから、ことしは8000万円余りになります。地元企業も、苦しい中で捻出していることと思います。
 次回の津波対策協議会で検討の内容が報告されると、地元の企業の皆さんも戸惑われると思います。とりあえずは、善意の拠出は県のほうで辞退したほうがいいのではないか。いただくとしても、浮上式堤防が当初の計画どおり完成できる見通しが立ってから、工事費用の4%ではなく、当初の計画の10億円──もともと10億円を上限にと言っていたわけですから、それを超すことはないと思うんですが──それを受け入れるという方針を示されたほうがいいという意見を申し上げ、あわせて、私としては、ぜひとも困難を乗り越えて有効な津波対策堤防の完成を期待することも、重ねて申し上げておきます。
 では、第3の柱として、量販店の出店と閉店、それに伴う買い物弱者の問題についてお伺いしたいと思います。
 さきの県議会でも、奥村県議が、南海和歌山市駅ビルの高島屋閉店問題を踏まえた、和歌山市内でも起こっている買い物弱者の問題に触れました。私は、今、県下各地域で大型店舗の出店・閉店によって地域が破壊されるという問題が起こってきていると思います。
 かつて、大型店舗の問題というのは、大店法の規制緩和にかかわる問題、一定規模以上の大型店舗の出店から周りの商店の経営を守るという出店規制の問題として議論することが多かったと思います。しかし、そのときから懸念されていた問題、大型店舗の開店によって昔からの商店が駆逐されてしまっている中で、その大型店舗が閉店して地域の人たちが生活できなくなるという、いわば第2段階と言うべき問題が起こってきています。
 ことしの3月20日のことですが、私たちの生活相談所に、JR黒江駅近くの横山という地域にお住まいのおばあちゃんが入ってこられました。「プライスカットが閉店する。私ら、生きていかれへん」と言われたのです。私は、びっくりして、地元の方と一緒に黒江店を訪問して店長さんにお会いしました。店長さんは、「私の口からは何も言えません」と言われます。
 このプライスカット黒江店が出店したのは、今から27年前のことです。それまでは、この地域には、地域に根差したお店があったのです。商店街の皆さんは、プライスカット黒江店、当時はスーパー光と言っていた店の出店に反対しました。もちろん、便利になると歓迎する住民の方もおられました。
 そんな中で、地元から海南市議会に出された請願が満場一致で採択されています。その請願は、地元との話し合いを振り切ってスーパー光が出店されるが、深夜まで営業するのでなく、地元のお店と共存してほしいと要望しています。しかし、当時、新しい量販店はその要望を聞くことなく、周りの商店はなくなりました。
 ところで、プライスカット黒江店廃止にこんなに悲鳴の声が上がるのには、もう1つ理由があります。多くのこの種の量販店は、車の往来が多い国道沿いにある場合が多いと思います。ところが、プライスカット黒江店は、JR黒江駅の近くですが、前を通る県道はそんなに車が多いわけではない。県道でも大変狭くて、拡幅工事が期待されている県道です。ですから、このプライスカットは、車で往来する方が途中でたまたま立ち寄るというのではなくて、地元の皆さんが利用される店になっています。
 まあ地域と店舗にはそれぞれ特色と事情があるでしょうが、資本系列の大型店舗が出店する、周りの店が潰れる、大型店舗が撤退すると住民が暮らせないまちになってしまうというこのパターンは、もっと大規模な量販店の場合でも起こり得るし、もっと悲惨なことになるんではないでしょうか。
 私は、4年前に海南市で経済活性化シンポジウムというものを開いたことがあるんですが、その閉会の挨拶で、「大型店舗は、まちづくりのパートナーとしてテーブルに着いてもらいたい」と述べました。この「まちづくりのパートナー」という言葉をキーワードにしながら、以下の質問を行いたいと思います。
 まず、商工観光労働部長にお伺いいたします。
 オークワに限りませんが、大型店舗の出店・閉店の計画を把握しておられるのでしょうか。大型店舗の出店・閉店ということは、住民の生活に大きな影響があることから、住民と十分話し合いがあってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○副議長(尾崎太郎君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 店舗面積が1000平米を超える大型小売店舗を出店する場合、設置者は、開店日の8カ月前までに県に対して大規模小売店舗立地法に基づく新設の届け出を行うことになっているほか、閉店する場合においても、同法の規定に基づく廃止の届け出を行うこととなっております。
 また、住民との話し合いにつきましては、店舗を出店する場合、設置者は、新設の届け出を行った日から2カ月以内に地元向け説明会の開催が義務づけられておりますが、閉店する場合は説明会の開催義務はありません。
 なお、プライスカット黒江店は、店舗面積が1000平米以下であり、同法の適用を受けないため、手続は必要となっていません。
○副議長(尾崎太郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ただいまのお答えは、売り場面積1000平米以上の店舗については一定の届け出義務があるが、プライスカット黒江店のような大型店舗にも入らない場合は問題にならないということでございます。
 しかし、プライスカット黒江店というのは、売り場面積はともかく、オークワ系列のチェーン店です。住民は、その閉店で頭を抱えているのです。大型店舗の出店・閉店によって住民生活が振り回されるという実情をどうお考えでしょうか。商工観光労働部長にお伺いします。
○副議長(尾崎太郎君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) プライスカット黒江店が閉店した場合、常日ごろの買い物に困難を感じる方が生じることを懸念しているところです。
 県としましては、海南市とともに実態の把握に努め、行政の支援が必要であるならば、実態に即した対策を講じてまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ただいまの答弁、規制がないからどうしようもないというんでなくて、海南市とともに実態を把握して、必要があれば対策をすることに県としても乗り出していただくという答弁をいただきました。大変大きな意味があると思っています。
 オークワも経営事情がおありでしょうが、また全てオークワが責任をとれという気はありません。しかし、事前に住民に相談をかければ、海南市も乗り出すこともできる、地域住民のボランティア活動もあり得るでしょう。県の福祉関係の施策、過疎対策の施策を動員して、何ができるのかを考えたらいいと思います。そのことを、私は、大型店舗もまちづくりのパートナーになってほしいと提言したわけであります。
 そうなれば、商工観光労働部でも知恵や施策をお持ちと思います。どんな施策をお持ちでしょうか。商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 買い物弱者は社会的な問題になっておりますが、県では、商店街が本来のにぎわいを取り戻せるよう、平成22年度から、商店街のコミュニティ機能強化支援事業を実施し、商店街の空き店舗を活用した宅配サービス等に取り組む商店街やNPO法人等を市町とともに支援しているところです。
 また、国においては、地域商業自立促進事業を実施し、例えば商店街組織等が地域における買い物機会をふやすため、移動販売車を購入して販売事業を行うとする場合には、支援の対象としております。
 県としましては、このような国及び県の補助事業に係る情報を商店街等に対し広く周知するとともに、地元市町と連携しながら積極的に活用するよう働きかけてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 買い物弱者問題は、ここだけではありません。私は、紀美野町で、地元町議と一緒に地域の商店アンケートというものに取り組みました。町内60の商店から37通の回答がありました。昔からあるお店で、おばあちゃんが細々とやっている。このままだと、こうした店舗は地域から消えていくに違いありません。
 こうした過疎地でも、そして今、町なかでも、こういう問題が起こってきている買い物弱者対策であります。過疎地域における対策や福祉の施策も含めて、やれることがあると思います。県下各地の努力も含めて、どんな施策がおありなのでしょうか。まず、企画部長からお話しいただきたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 過疎地域における買い物弱者対策についてでございますが、県では、過疎集落の再生、活性化を目的として全国に先駆けて事業化した過疎集落支援総合対策事業と、この事業をモデルとして国が全国展開すべく創設した過疎集落等自立再生対策事業において、日常生活機能の確保や地域資源を活用した活性化に取り組んでおります。
 これらの事業の中で、例えば田辺市の三川生活圏では、市街地への買い物バスツアーを3年間、月に1~2回ずつ実施してきましたが、県の事業終了後も、地域が主体となってこの取り組みが継続されております。
 また、印南町の奥真妻生活圏では、この事業によりまして、地域住民が閉店した商店を住民みずから運営する店舗に再生しまして、貴重な買い物の場として活用されております。地域の方々からは、この事業に取り組んだことにより、地域が元気になったという力強い御意見をいただいております。
 県としましては、過疎地域での買い物弱者対策を初めとする生活機能の確保は、大変重要な課題と認識しておりますので、今後とも、地域の実態を踏まえ、市町村とも連携して、過疎集落支援総合対策事業等によりまして積極的に支援してまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 それでは、福祉の立場からは何かできることがあるのでしょうか。福祉保健部長からお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 福祉行政としての買い物弱者対策でございますが、日常生活を営む上で大切な買い物に際し、最も困難を伴う要介護認定を受けた要援護者に対しては、ホームヘルパーが家庭を訪問し、掃除、洗濯などに加え、買い物サービスも提供されています。
 また、要介護認定を受けるに至らないまでも、移動に多少の困難を伴う高齢者の方も少なくないことから、県では、これまで、地域支え合い体制づくり事業として、隣近所での助け合い活動を行うNPOなどの活動支援に取り組んできたところです。
 さらに、今年度からは、シニアのちから活用推進事業に取り組むこととしています。この事業は、市町村にわかやまシニア活躍推進拠点を設置し、買い物支援を初め、配食、見守りや子育て支援、高齢者サロンの充実など、地域の困り事の解決のために、元気高齢者に有償ボランティアという形で活躍の場を提供しようというものです。
 県としましては、高齢者の生きがいづくりの推進や地域力の向上に向け、この事業を県内各地で展開できるよう、積極的に市町村に働きかけてまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 商工、企画、福祉、それぞれの部門から多角的にお話をいただきました。
 私が提案をしたいのは、海南市も加わって、オークワも店舗閉鎖を延期できるものは延期して、パートナーとしてテーブルに着いてもらいたい。町なかでも買い物弱者が大きな問題になっているわけですから、従来の過疎対策も、もっと広い地域で適用することはできないのか。答弁の中に、商店街が出す販売車に補助をするという施策もありました。海南市が販売車に補助をすれば、それを活用する、そんなこともあってもいい。
 しかし、3月30日に新聞発表して、最近になって「閉店します」という張り紙をして、7月末には閉店するというのでは、海南市が何か施策を打とうとしても打ちようがない。私は、オークワに先日お伺いしてお話ししたときも、「和歌山のオークワですから」とオークワさんはおっしゃっておられるわけですから、大きな店舗と地域住民のよい関係をこの和歌山からつくっていきたいと考えるわけでございます。
 私の提案について、知事の感想なり御意見なりをお伺いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 量販店と地域住民がよい関係でいることは、大事であります。事業者が地域住民に対して喜ばれるサービスを供給することにより良好な関係を構築することができると思っております。
 例えば、通常、安くて、それで質のいい商品をどんどん供給するということも、事業者の当然なさなければいけないサービスでありますが、いろいろ知恵を絞って、店舗で購入した商品を自宅まで配達したり、移動販売車を走らして地域で販売する事業者も出てきております。あるいは、買い物バスの運行やインターネットによる宅配サービスを行う事業者も出てきております。このような取り組みは、利用者からも好評を得ており、地域住民との良好な関係づくりに貢献していると思います。
 そういう意味で、こういうよい関係をつくるということは、お客さんを獲得し続けるという点でも、事業者にとってもいいことだということになろうかと思います。また、一方、お客さんのほうも、やっぱり地元で便利だと思うんならば大いに愛用してあげて、採算が悪くならないようなふうにも考えてあげないといけないというようなことではないか、そんなふうに思います。
○副議長(尾崎太郎君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 何度も言いますが、私は、オークワさんに全て責任を押しつけようと言っているわけではありません。行政としては海南市が中心なのでしょうが、量販店と地域と住民がまちづくりのパートナーとしてよい関係を築くために何ができるのか、県としても、商工観光労働部、企画部、福祉保健部、それぞれ持っているカードをきょうは出していただきました。
 知事も、量販店と住民のよい関係という表現で、私のパートナーという表現とは少し違いますが、基本的に力を合わせて地域のためによくしていくということでは共感もしていただけたんではないかと思っています。
 「さすが、和歌山のオークワ」と言われるような結果になるように、県のほうでも調査をして、できることをやっていくということですから、閉店を延期するのか、閉店までに対策がまとめられるのか、これからですが、海南市や地域自治会の皆さんとともに私も汗をかきたいと思っています。関係者の皆さんの御協力もお願いをしながら、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(尾崎太郎君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時45分散会

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