平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第101号から議案第120号まで並びに知事専決処分報告報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 18番森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 おはようございます。森礼子です。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問させていただきます。
 まずは、6月1日からの韓国の訪問と質問から始めさせていただきます。
 今、我が国とお隣の国、韓国との関係は、かつてないほど冷え込んでいます。少し前までは韓流ブームで、韓国のテレビドラマや映画が日本のテレビで盛んに放映されました。K-POPも若者の間に根づき、お互いの国を訪れる観光客数も右肩上がりで伸びてきました。しかし、ここ2~3年は、竹島問題などにより相手国に対する国民感情は悪化してきています。
 こうした情勢の中、去る6月1日、NHK交響楽団が韓国の首都ソウルで演奏会を開催し、二階・門両代議士、濱口議員とともに私も参加してきました。
 演奏会は、沈没したセウォル号の犠牲者への鎮魂曲で始まり、韓国人のピアニストとの共演によるコンチェルト、マーラーのシンフォニーと続き、最後は韓国民謡の「アリラン」で締めくくりました。日本国内でもなかなか聞くチャンスがないN響の約3時間に及ぶすばらしい演奏に、日本からの参加者300人も含め、2500人の聴衆が感動の拍手を送り続けました。このとき会場に集まった人々は、お互いの国籍を超えて、音楽という万国共通の言葉でお互いの心を理解し合ったように思いました。
 翌6月2日、大邱市郊外にある友鹿里を訪問しました。友鹿里は、司馬遼太郎の著書や神坂次郎先生の「海の伽耶琴」に書かれた沙也可将軍の里で、秀吉の朝鮮出兵に際し、朝鮮へ帰化した雑賀衆の末裔が住むと言われています。平成24年の春、友鹿里に沙也可に関する資料や日韓交流の歴史を展示する資料館が開館しました。この友好館には下副知事も訪れたと伺っておりますが、この施設には、沙也可将軍は雑賀衆ゆかりの人物であるとの認識のもとに、雑賀衆の故郷である和歌山県、和歌山市の歴史や文化に関する展示が行われています。私は、韓国の地方のまちにも本県と深い御縁があることに大変不思議に思うと同時に、両国の悠久の歴史に感動いたしました。
 実は、平成22年、和歌浦の紀州東照宮の境内に沙也可将軍の顕彰碑が建立されました。その碑には、日韓の友好を祈念する文章が刻まれています。
 また、和歌山県と韓国の自治体の友好提携は、現在、和歌山市が済州市と、紀の川市が西帰浦市と、白浜町が果川市と結んでいます。さらに、県内の高等学校や市町の国際交流団体等でも、特に若者を中心とした交流が進んでいます。
 さて、平成25年、本県観光客動態調査によると、外国人宿泊数のうち韓国は約7000人で、市場別では第7位とのことですが、観光庁の訪日外客数によると、一番多く訪れている市場は韓国で、年間240万人もの方が日本を訪れているということです。逆に言えば、これからふやしていくことができる可能性があると考えます。
 言うまでもなく、日本と韓国は、古くから深い交流のある国同士です。明治維新以降は、両国の関係が新たな局面を迎え、朝鮮が日本に併合され、その後、第2次世界大戦の終了による独立、朝鮮戦争による南北の分断など、両国の関係は大きく変化してきました。しかし、国と国との関係は、その時々の政治や経済情勢によって変化しますが、事、人と人の交流については、どんな時代にあっても続いていかなければならないと私は思います。
 私たち一人一人が、実際に外国の方と触れ合い、また外国に行って、その国の文化や自然を知り、同時に日本の文化を伝えるということは、自分たちの心を豊かにするだけではなく、そうした個人の交わりの積み重ねが国同士の関係をよくしていくことにつながっていくのではないでしょうか。
 そこで、知事に質問いたします。
 こうした和歌山県と韓国との交流の現状をごらんになって、今後どのように韓国との交流を進めていこうとお考えですか、御所見をお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの森礼子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 二階代議士、門代議士、森議員並びに濱口議員を初め、このたび訪韓された皆さん、また、沙也可の物語などを通じて今日まで日韓のかけ橋となってこられた方々の思いや活動に、心より敬意を表します。
 実は、私は、通商政策局の審議官のときに、担当が、米国、中国などと並んで韓国でございました。経済交流を盛んにするために最も力を入れた国の1つでございました。
 和歌山県では、お話にありましたように、韓国の友鹿里にある資料館の和歌山県コーナーに展示物を県から寄贈いたしまして、両国友好の歴史や関係を紹介しているところでございます。
 今後の活動としては、これまで交流を続けている方々の関係や資料館の展示物を生かして本県の魅力を発信するとともに、相互交流の促進や観光客の誘致を図るために、国や日本政府観光局のほか関係機関と連携しながら、みずからが先頭に立ってプロモーションを行っていきたいと考えております。
 韓国は、特に観光客誘致のターゲットでございます。プロモーション活動を一層盛んにして、いずれ私も直接乗り込んでやりたいと思っております。そのときは、友鹿里にも訪れたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次は、自転車道の整備とインバウンドの推進について。
 自転車は、環境に優しい健康的な乗り物として世界中で利用されています。そして、自転車に乗ること、つまりサイクリングは、日常生活、レクリエーション、スポーツとして普及し、欧米ではサイクリングを生かしたまちづくりが行われています。我が国でも、全国各地で自転車道が整備されるなど、サイクリングが盛んです。私は、サイクリングロードを整備することによって、県民の健康づくりの促進に加えて、次に質問するインバウンドを含め、本県の観光振興につなげていくべきではないかと思います。
 サイクリングは、比較的まとまった地域をマイペースで周遊することができ、和歌山県の地域の魅力を余すことなく伝える有効手段です。紀の川流域の歴史をめぐる川の道、高野山壇上伽藍を回る山の道、白崎海岸から煙樹海岸へ至る海の道、和歌山市内の紀州徳川家の歴史や万葉・記紀を周遊する歴史の道と、まさに県下全域がそのフィールドであります。
 既に人気の高いツール・ド・熊野や参加者の4割を女性が占めるピンクリボンサイクリングなどに加え、将来は紀淡海峡大橋を渡り四国へ、そしてしまなみ海道へ抜けていくようなツール・ド・フランス級の本格的なサイクリング大会などが開催されればどんなに楽しいことでしょう。
 かつて、千葉県銚子市から和歌山市加太へと結ぶ総延長1200キロに及ぶ太平洋岸自転車道が計画され、既に白浜日置川自転車道で6.6キロ、太地新宮自転車道で1キロが整備済みです。また、今回、川、山、海のサイクリングロードを整備するとの方針が発表されました。
 そこで、知事に伺います。
 本年度予算では、サイクリングロード整備として2億3100万円の予算が計上されていますが、太平洋自転車道などサイクリングロードの整備を具体的にどのように進めていくのか、今後の取り組みを伺います。
 また、サイクリングロードの整備とあわせて、さらなる地域振興や観光振興につなげるためには、イベント開催や自転車が利用しやすい環境整備が必要です。コースの設定や地図の提供はもちろんですが、例えば自転車を持参する輪行のお客さんに対しては、鉄道事業者や運送事業者との連携、そして自転車の車内持ち込みや荷物の回送などのサービスが必要になります。自家用車のお客さんにはパーク・アンド・ライドのようなサービス、市内観光の人にはレンタサイクルの乗り捨てサービスなど、自転車特有のサービスが必要になります。
 奈良県では、骨太の交通基本戦略を策定するとともに、自転車についても、その中に自転車利用促進計画を位置づけ、計画的、総合的に自転車利用促進施策が展開されています。
 本県における自転車利用促進施策について、知事の御答弁をお願いします。
 愛媛県では、昨年10月、ガルーダ・インドネシア航空の関空─ジャカルタ便就航に合わせて、しまなみ海道でサイクリング大会を開催しました。ガルーダ航空のエミルシャ・サタル社長は、かねてから「インドネシアから訪日観光客数が少ないので、インドネシアの富裕層で人気のあるサイクリングで誘客を図っては」と提案しています。既に、山梨県でも、富士五湖をめぐるサイクリングツアーも実施しています。同様に、広島県では、島めぐりサイクリングをPRして台湾からの観光客を誘致しているそうです。
 昨年、日本を訪れた外国人が初めて1000万人を突破いたしました。今後、東京オリンピックが開催される2020年に2000万人にふやすという目標を掲げています。本県においても、平成25年の外国人宿泊者数は20万人を超えたとの報告がありましたが、サイクリングをインバウンドの集客手段としてどのように活用していくのか、商工観光労働部長の御答弁をお願いいたします。
 自転車は、健康づくりやレジャーの手段として楽しまれるだけでなく、買い物や通勤・通学、子供の送迎などの日常生活における身近な交通手段として多くの住民の方々が利用しています。しかし、一方では、自転車の交通事故も多発しています。特に都市部においては、自転車交通量は多く、車道で自転車の走行空間がとても狭い上に、すぐ横を自動車がびゅうんとすごいスピードで、スピードを落とさずに走るので、大変危険です。私も、生活の中でいつも怖いなあというふうに感じています。また、逆に、自転車が歩道をすごいスピードで走る場合は、歩行者が危険にさらされます。
 自転車は、幼児から高齢者まで幅広く利用されています。それゆえに、整備に当たっては、各層が安全で快適に自転車を利用できる環境を整備することが急務であると思います。自転車は、環境に優しく、健康的な便利な乗り物ですが、交通安全上は、自動車、歩行者、どちらからも邪魔な中途半端な立場にあります。
 そこで、自転車道を整備するに当たり、都市部における自転車の走行空間をどのように確保するかについて、県土整備部長の答弁をお願いします。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 近年の健康志向や環境意識の高まり等を背景に、自転車の利用ニーズが拡大しておりまして、県としても、川、山、海の3つのサイクリングロードを整備して、県民の健康増進や観光振興といった魅力ある地域づくりに活用したいと考えており、平成26年度の新政策で発表したところであります。
 具体的には、本年度から、川のルートとして、紀の川を上流から下流まで通貫する紀の川自転車道に、自転車走行空間の目印として青い線、ブルーラインを設置するとともに、案内看板の設置や河川敷の舗装等を行っていくことにしております。
 また、世界遺産の高野山や熊野三山など紀伊山地をめぐる山のルートや、我が県選出の二階議員が提唱してきた太平洋岸自転車道として、これまで既に整備されてきました白浜日置川自転車道等、これを活用いたしまして、新宮から和歌山までの風光明媚な海岸沿いをめぐる海のルートについて具体的な路線を決定し、ブルーライン等の設置をする予定でございます。
 今後は、3つのルートの具体的な路線や休憩施設等の利用の便宜を図る施設等の整備を含めた基本計画を作成し、公表することにより、全長約800キロメートルに及ぶサイクリングロードのネットワークの整備を推進してまいりたいと思っております。
 以上がハードウエアなんですけども、第2問として御質問がありましたソフトウエア対策といたしまして、同時に、すぐにでも全国からサイクリング客を誘致するようなプロモーションにも力を入れていきたいと考えております。
 具体的には、自転車利用促進施策について、自転車を利用しやすい環境整備として、議員御指摘のとおり、輪行や荷物の回送、パーク・アンド・ライド、レンタサイクルなどが重要であると考えておりますので、先ほど申し上げましたサイクリングロードの整備に合わせて、簡単な修理工具の貸し出しや、あるいは観光情報の発信など、沿道の店舗等にお願いいたしまして、自転車愛好者に喜ばれるようなサービスを提供していくというのが1つでございます。
 また、サイクリングロードをPRするため、先行して整備を進めている紀の川自転車道について、奈良県と協働して紀の川の源流から下流を結ぶロードマップを作成したところでありますが、今後、山、海のサイクリングロードも含めてロードマップをどんどんつくっていきたいと思っております。
 次に、サイクリングイベントといたしましては、今年度、フォトラリーやスタンプラリーを開催する予定でございますが、紀の国わかやま国体・わかやま大会終了後も、スポーツ振興や健康増進の機運を継続させ、本県のサイクリングロードを全国に発信するため、大規模なイベントの誘致を進めたいと思います。
 いずれの自転車利用促進施策についても、市町村を初め、自転車愛好者団体、公共交通機関、自転車関連企業と協働しつつ、自転車愛好者の視点に立って取り組んでまいりたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) サイクリングを活用した海外からの観光客の誘致についてですが、現在、香港、台湾などのアジアを中心とした国・地域から多くの外国人観光客に来県をいただいているところです。
 日本を複数回訪問するリピーターが増加していく中で、外国人観光客の嗜好、行動パターンは多様化してきており、自然景観や日本食だけでなく、スポーツ、文化などを現場で体験する体験型観光が人気となってきております。そうした中で、サイクリングを目的とした旅行についても、健康志向の高まりとともに、海外において人気となっていると認識しております。
 今後、県内のサイクリングロードの整備状況を踏まえつつ、サイクリングイベントやレンタサイクルなどの関連情報を外国語で発信するなど、サイクリングを活用した観光を和歌山の魅力を満喫していただける新たな切り口として積極的にPRし、海外からの観光客誘致を図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 都市部の自転車利用につきましては、買い物や通勤・通学、子供の送迎、健康の増進等、多岐にわたっておりますが、一方、自転車が歩道上を走行することなどにより、議員御指摘のとおり、歩行者との接触事故が近年増加するなど、安全で快適な自転車の走行空間の確保に課題があると考えております。
 そのため、県としましては、都市部において、歩道幅が3メートル以上ある場合は、ブルーラインを設置することにより歩行者と自転車の通行空間を分離するとともに、歩道幅が3メートル未満の場合には、歩道から車道に自転車をおろし、1メートル以上ある路肩は自転車通行帯として青色を塗り、1メートル未満の路肩については青い矢羽根の図形表示、いわゆるピクトグラムの設置を検討しております。これにより、自転車の走行空間が明確化され、自転車だけでなく、歩行者の安全確保やドライバーへも注意喚起を促すことにより、道路を通行する全ての利用者の安全性が確保されるものと考えております。
 今後は、警察や教育委員会とも連携し、こうした自転車の安全な走行空間の明示方法や通行方法等について、広く啓発活動等を行ってまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 ありがとうございます。
 次は、食育です。今議会でも、食育について質問させていただきます。
 人の体は、自分が食べたものでできています。何をどのように食べるのかがとても大事です。また、食べるということは、ほかの命をいただくということです。食べることにより命の大切さに思い至り、自然や社会の中で生かされていることを学びます。さらに、家族や友達と一緒に食卓を囲み、地域でとれたものを食べることにより、仲間や郷土への思いも強まると思います。
 今回は、健康や食文化に関する食育について質問します。
 まずは、減塩食についてです。
 本県の健康寿命は全国27位で、全国平均を下回っています。この原因の1つは高血圧で、高血圧は、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病など、全ての生活習慣病のもとになります。いわゆる万病のもとです。高血圧の予防は、減塩と運動であると、紀北分院長の有田先生がおっしゃっています。先生によると、ダイエットはリバウンドしやすいが、減塩は一度なれてしまうと長く続くそうです。
 日本人の塩分摂取量は1日平均11から12グラムであり、世界トップクラスで塩分をとっています。日本人の食事摂取基準では、日本人の成人に勧められている1日の塩分の目標量は、男性10グラム未満、女性8グラム未満です。高血圧患者ではもっと厳しくて、日本高血圧学会の定めた目標では1日6グラム未満となっています。
 日本では、高塩分食は子供のころからの習慣であり、成人してからも塩分摂取量が多いことを自覚していない人も多いそうです。しかも、高塩分食になれればなれるほど味覚が鈍くなり、より濃い味つけのものを求めるようになります。塩分摂取量もふえてきます。
 したがって、大人になってからの高血圧や循環器病を防ぐためには、子供のころから減塩食に親しむことが大切だと思います。「三つ子の魂百まで」とのことわざがありますが、食習慣もそのとおりだと思います。減塩の舌をつくることは、これこそ食育の原点であると私は考えます。
 そこで、お伺いします。
 将来の高血圧や循環器病を防ぐため、学校給食における減塩食の取り組みはどのようになっているのか。また、減塩食は、だし汁をきかせた薄味のことであり、ようやくユネスコ無形文化遺産になった和食を理解、継承する上でも大切だと考えますが、給食による和食の取り組みについて、教育長の御答弁をお願いします。
 次に、鯨肉の普及について質問します。
 日本が南極海で行っている調査捕鯨について、国際司法裁判所は、現在のやり方では認められないとする調査捕鯨の中止を求める判決を言い渡しました。判決の内容そのものも残念でしたが、私は、日本国内でこの判決について関心を示さない人が多くなってきたのではないかと心配しています。
 日本は、四方を海に囲まれた島国で、古来より鯨を重要なたんぱく源として利用してきました。鯨をいただくことは、生活文化として我が国の捕鯨地で脈々と受け継がれてきました。
 本県の太地町は、捕鯨発祥の地として約400年の歴史があり、鯨やイルカをとって生き、栄えてきた町です。今でも、鯨やイルカなどの鯨肉の食文化や鯨の漁に関する伝統行事などが色濃く残っています。
 南極海の調査捕鯨で供給される鯨肉は全体の20%で、それほど多くありませんし、今回の判決において、太地町などで行っている小型捕鯨が問われたわけではありませんが、今後の影響が懸念されます。
 鯨肉の消費は、地域によって大きく偏っていると言われています。大都市や捕鯨地から遠い地域では、鯨肉に対する無関心が広まっているのではないでしょうか。また、鯨肉はおいしくないと言う人もいます。かつて、日本でたんぱく源が不足していたころの鯨肉のイメージがあるのだと思います。流通経路で傷んでしまった鯨肉の味は、確かにおいしくなかったのかもしれません。でも、今ではそれも大きく改善され、鯨肉は本当においしくなっています。
 鯨肉の学校給食も徐々に復活してきているそうです。食文化の継承という意味でも、まずは捕鯨地を抱えている本県の子供たちにおいしい鯨肉に親しんでもらい、全国にも伝えていかなければならないと思います。
 本県における学校給食での鯨肉の普及について、どのように取り組んでいかれるのか、教育長の答弁をお願いします。
 また、鯨肉を食する伝統文化を全国にどのように伝え、継承していくのか、農林水産部長の答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学校給食では、文部科学省が食塩の摂取量につきまして、幼年期から青年期に薄味になれさせる必要があるとの認識のもと、基準値を定めています。
 平成25年度の調査では、本県の学校給食の1食当たりの食塩の摂取量は、小学校、中学校ともに基準値内となっております。今後も、引き続き県教育委員会では、学校給食用減塩メニュー研修会等を行い、県内の学校給食にかかわる職員の減塩に対する意識を向上させてまいります。
 さらに、減塩につながる和食における「だし」の大切さを啓発し、学校給食により多く和食が取り入れられるよう働きかけてまいります。
 次に、本県における学校給食での鯨肉の利用の現状と普及についてでございますが、学校給食における鯨肉は、昭和57年の商業捕鯨の一時停止から供給量が減少し、学校給食には使われなくなっていましたが、太地町開発公社から調査捕鯨でのミンククジラの肉を確保できたことから、平成17年の1月から使用しております。平成25年度の県内の実績としましては、給食を実施している小学校の59%、中学校は52%、特別支援学校では全ての学校で鯨肉を使用しております。
 今後の見通しといたしましては、南極海における調査捕鯨の中止を受け、南極海のミンククジラの供給は本年度1学期をもって終了しますが、子供たちに鯨肉の食文化を継承するため、2学期からは北西太平洋調査捕鯨によるイワシクジラ及びニタリクジラを現在と同等量を引き続き供給し、鯨肉の普及に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 議員お話しのように、食べることは自然や命の大切さを学ぶことであり、また、伝統的な食文化を守り伝えていくことは仲間や郷土への思いを強めることにもつながることと思います。
 和歌山県民と鯨との結びつきは古く、鯨を食べる習慣は、紀南地域を中心に本県を代表する食文化の1つとして定着していますが、残念ながら全国的には鯨肉への関心は高くないというのが現実です。
 和歌山県には、鯨以外にも、しょうゆや金山寺みそ、高野豆腐、かつおぶしなど、本県で生まれて日本全国に広まっている食文化があります。県ホームページ等の広報媒体を通じて、こういった和歌山のすぐれた食材、食文化とあわせてアピールすることにより、鯨肉への消費者の関心を高めると同時に、鯨を食する和歌山の伝統文化を全国に発信してまいりたいと存じます。
○議長(坂本 登君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次は、小中学校における道徳教育の徹底についてです。
 私は、平成24年2月定例会の予算特別委員会で、道徳教育について質問させていただきました。今回、本県独自に道徳教材集を作成し、学校での道徳教育を徹底されるということを踏まえて、改めて道徳教育について質問します。
 教材集は、和歌山県ゆかりの偉人の生涯や、いじめ、ネット問題に関する教材に加え、文部科学省が作成した教材集から精選されたもので編集されています。小学生用が「心のとびら」、中学生用が「希望へのかけはし」です。子供たちが、自分の行いの間違いに気づき、それを直していく勇気を持つことや、他人との心の交流の大切さがわかるお話、ふるさとへの誇りを持ってもらうための郷土出身の偉人についてのお話など、実際に子供たちに接する先生方が選んだエピソードがバランスよく盛り込まれています。私も読んでみましたが、とてもよくできているなあと感心しました。
 道徳教育は、子供たちがこれからの人生を歩むに当たって人格の基盤となる道徳性を育成するものです。教育は子供たちの人格の完成を目指して行われるものであり、道徳教育は学校教育の基本であると思います。学力や体力の向上ももちろん大切ですが、人として大切なものを判断できる心や精神を育むことは、それぞれの学齢期に的確に行っていく必要があります。命を大切にする心や他人への思いやり、善悪の判断など規範意識、郷土愛について、できるだけわかりやすく具体的に子供たちに伝え、みずから考えるきっかけをつくることが重要です。
 道徳教育は、家庭でのしつけから始まることは言うに及びません。そして、地域社会との連携も大切ですが、教育施策として行うことは、この教材集が学校現場で的確に活用されることであると思います。
 そこで、教育長に質問いたします。
 今回、道徳教材集を作成した目的について、そして具体的な教材集を活用した授業の進め方や学習効果についてどのようにお考えか、聞かせてください。
 次に、授業に際しては、まず教員みずから教材集の目的や内容を理解しておく必要性がありますが、教員に対してどのような指導、研修を行っていますか、御答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 近年、子供たちの道徳性の低下がさまざまな方面から指摘されてきており、県教育委員会では、人を思いやる心やふるさとを愛する心、決まりを守ろうとする態度等を和歌山の子供たちにしっかりと身につけさせることを目的として、本県独自の道徳教材集「心のとびら」、「希望へのかけはし」を作成しました。作成に当たりましては、和歌山にゆかりのある先人の生き方や、近年社会問題となっているいじめやインターネットを扱ったものなど、子供たちの心に響く教材を取り上げました。
 こうした教材を全ての小中学校において道徳の時間を初めさまざまな機会を捉えて使用することによって、子供たちが積極的に自分の思いや考えを述べ合い、深く考えることで、これまで以上に自分をしっかりと見詰め、規範意識や豊かな心を育み、心優しく、たくましく生き抜く力を身につけさせることができるものと考えております。
 教員に対する指導、研修でございますが、本教材集を効果的に活用し、道徳教育を徹底するためには、教員の指導力の向上は極めて重要です。そのため、授業の進め方や子供たちに伝えたいメッセージ等を掲載した指導の手引もあわせて作成し、各学校に配布いたしました。
 また、昨年度、県内2会場において、各学校の道徳教育の中心となる教員を対象とし、本教材集を使って、子供の考えを深めるためにどう問いかけるのか、自分の生き方にどうつなげさせるのかなど、授業に実際に生かす、授業実践に生かせる研修会を実施しており、本年度も県内5会場での開催を予定しております。これらの研修の成果を教員同士が共有することで、学校全体での指導力の向上を図っているところでございます。
 今後も、市町村教育委員会と連携し、道徳教育が各学校でしっかりと行われるよう指導してまいります。
○議長(坂本 登君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 ありがとうございます。
 うちの娘、6年生ですけども、道徳の授業で使っているのかと聞いてみたら、使っているということで、授業がすごく楽しいというふうに言ってました。
 まだ配って2カ月少しなので、成果が出ていないというふうに聞いておりますけれども、私が感じるには、最近、うちの子供を例にしたら、学校から帰ってきて開口一番は、学校での愚痴から聞かさしてもらうんですけれども、できることなら、きょうは学校でこんないいことがあったとか、こんなことに感動したとかというふうに変わってほしいなあというふうに思っています。
 最近、私がすごく心に残ったのは、前山田議長の退任の御挨拶のときに、感動で涙ぐむシーンがありましたけども、すごく私にはすてきに映りまして、子供たちも感動で涙が流せるような美しい心を持ってもらいたいなあというふうに思っておりますが、この本の活用を期待して、私の一般質問を終わります。
 どうもありがとうございました。私も頑張ります。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、森礼子さんの質問が終了いたしました。

 

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