平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 

 

  午前10時0分開議
○議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第103号及び議案第107号は、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第101号から議案第120号まで並びに知事専決処分報告報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 35番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 おはようございます。
 平成26年6月定例会の一般質問にトップバッターとして質問の機会を与えていただき、感謝申し上げます。
 まず初めに、今月8日、桂宮宜仁親王殿下が薨去されました。殿下におかれましては、農業や林業の振興、また伝統工芸への支援など、本県にとっても大変重要な分野に対し、幅広い御尽力をされてこられました。ここに、県民の皆様とともに心から哀悼の意を表したいと思います。
 また、先月の5月9日、元知事の西口勇さんが87歳にてお亡くなりになりました。西口さんは、知事公室長や副知事などを歴任し、小野知事、大橋知事、仮谷知事といった歴代知事の県政の屋台骨を支える重要な役割を担ってこられました。平成7年には、県民からの大きな支持のもと、知事に就任され、まさに本県の先頭に立ち、さまざまな課題に対し精力的に取り組んでいただきました。
 湯浅御坊道路の開通や国道311号の全線改良、南紀白浜空港のジェット化といった交通基盤の整備、熊野古道とスペイン「サンティアゴへの道」との姉妹道提携、紀南地域を中心に開催された南紀熊野体験博の開催など、観光や産業における新たな展開を推進されました。和歌山県立医科大学の紀三井寺への統合移転などの医療福祉環境の整備にも取り組まれるなど、本県の基盤となる道筋を確立されたことは、その大きな功績かと思います。
 しかしながら、「真の心」を信条にみずから県政の先頭に立ち、その責任の強さから実直に激務に取り組まれ続けたことは、西口さんの健康にとって大きな負担となったことかと思います。西口県政2期目のまさに脂の乗った時期である平成12年7月、その任期の半ばにして後任にバトンを託さざるを得なくなったことは、何よりも苦渋の決断であったかと思います。
 私も、知事とともに、アメリカやメキシコなど、何度か海外への訪問に同行したことがありますが、本当に多忙なスケジュールをこなされているなあというのが印象でした。
 町田議長の時代でありましたが、南加和歌山県人会創立85周年で西口知事と一緒にロサンゼルスを訪問したことがありました。式典会場の隣にとてもきれいなゴルフコースがあり、知事を式典後にお誘いしてみたのですが、「まだ公務が詰まっており、時間がない。次にロサンゼルスに来たときにぜひ行こう」と言われたことが思い出されます。その後、西口知事とともにロサンゼルスの地を訪れることがかなわなかったことは残念であります。
 誰よりもふるさと和歌山を愛し、和歌山の発展に情熱を注いでこられた西口さんに、県民の皆様方とともに心から感謝を申し上げ、御冥福をお祈りしたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 まず、第1点目、ブラジル訪問についての報告をさせていただきます。
 和歌山県議会では、仁坂知事を団長とするブラジル訪問団の一員として、山田前議長ほか10名の議員が、本年4月23日から5月3日までの日程により、ブラジル連邦共和国を訪問してまいりました。本県では、5年ごとに在伯和歌山県人会との交流を重ねてきておりますが、在伯和歌山県人会連合会創立60周年という節目の年に当たる本年は、行政、議会、民間を合わせて総勢74名と、これまでの最大の訪問団となりました。
 4月24日、私たち訪問団は、サンパウロにおいて県人会連合会の皆様の歓迎を受けた後、すぐに飛行機を乗り継ぎ、南マット・グロッソ州のドラードスに向かいました。ドラードスは、サンパウロ市から1000キロほど内陸に入ったところにある人口約20万人の市で、戦後、本県出身者が中心となって開拓を進めた松原移住地やクルパイ移住地があり、和歌山県出身者約110家族が入植したところであります。ドラードス市とその周辺地域には、現在も本県出身者及びその子弟の皆さん300世帯以上が暮らしており、南マット・グロッソ州和歌山県人会が組織されております。
 私たち訪問団は、ドラードスでムリロ・ザウイッチ市長やイデノール・マシャード市議会議長、谷口史郎代表を初めとする県人会の皆様の心温まる歓迎を受け、また、現在も松原移住地で暮らしておられる方のお宅も訪問させていただきました。
 最終日には、ドラードス日本語モデル校を視察しました。ドラードス日本語モデル校は、南マット・グロッソ州日伯文化連合会がJICA──独立行政法人国際協力機構ですが──の助成を受けて平成元年10月に設立したもので、開校以降、本県出身者の子弟104名が同校で学んでおります。現在の生徒数67名で、うち10名が本県出身者の子弟であります。この学校では、継承語として日本語を教えるだけでなく、忍耐や感謝の心、礼儀正しさなど、ともすると我々自身が忘れがちな日本のよき伝統がしっかり伝えられていることに感動を覚えました。
 今回のブラジル訪問では、県議会として、知事とともにこのドラードスを県政史上初めて公式訪問したことに大きな意義がありました。
 ドラードスで2泊した後、サンパウロに戻り、4月27日に在伯和歌山県人会連合会創立60周年記念式典及び祝賀会に参加しました。式典には、木原好規会長を初めとする本県出身者とその子弟の皆さん、福嶌教輝在サンパウロ日本国総領事ら日本政府関係者、ブラジル日本都道府県人会連合会など現地日系団体役員、ブラジル連邦議員、サンパウロ州議会議員、サンパウロ市議会議員など現地行政関係者ら、総勢600名が出席して盛大に行われ、大いに交歓を深めました。
 その後、私たちは、昭和50年にサンパウロ市のイビラプエラ公園内に建立されたブラジル日本移民開拓先没者慰霊碑を参拝し、ブラジル各地において志半ばで亡くなられた開拓先没者に対して敬意を表し、慰霊をさせていただきました。
 4月28日には、県議会としてサンパウロ州議会を表敬訪問し、羽藤ジョージ副議長らと親交を深めるとともに、州議会に対し、本県からの移住者の存在を強くアピールしてまいりました。州議会では、羽藤ジョージ副議長のお母さんが新宮市出身ということもあり、我々を非常な親近感を持って手厚く迎えてくださいました。そして、ブラジル社会では日系人が尊敬されているが、その理由について、「日本からの移民は、当初は大変な貧困と労役に苦しんだけれども、決して犯罪に手を染めることなく、未来を信じて真面目に働き、子供への教育も怠らなかった。その忍耐と努力と賢明さをブラジル国民の多くが尊敬を持って認めているからである」と説明してくれました。
 私も、全くそのとおりであると思います。我が国からブラジルに渡った人々は、日本人の美点である忍耐、勤勉、努力、正直、相互扶助の精神などを誇りを持って実践したことが成功につながったのであり、そのことに心から敬意を表したいと思います。
 ドラードス市のムリロ・ザウイッチ市長は、私たち訪問団の歓迎式典で、「もしも和歌山県からの移民がいなければ現在のドラードス市の発展はなかった」と述べておられました。本県からの移住者のみならず、我が国からブラジルに渡った移民の多くが、持てる技術と体力と知恵の全てを総動員して未開の土地と格闘し、まさに未来をみずからの手で切り開いていったのであり、その結果として、地域の発展にも大きく寄与したのであります。そして、現在では、日系ブラジル人2世、3世は、高度な教育と勤勉さゆえ、社会の指導的役割を担う職業に多くつき、ブラジルの発展に大きく貢献しております。ブラジルにおける日系人の人口は、約150万人と言われており、国全体の1%にも達しませんが、その存在感は極めて大きく、本県出身者も立派にその一翼を担っていることを我々は和歌山県民として大いに誇るべきであると思います。
 今回の訪問では、いずれの公式行事についても、その実施に当たり、南マット・グロッソ州和歌山県人会の谷口代表、在伯和歌山県人会連合会の木原会長を初め、多くの関係の皆様に大変お世話になりました。この場をおかりし、改めて感謝申し上げます。
 このたびの訪問により、はるかなるブラジルの地に移住後も母県和歌山のことをいつまでも忘れず、故郷の発展を願ってくれる多くの同胞の存在を改めて実感し、我々の故郷であると同時に彼らの故郷である和歌山県のさらなる飛躍のため、邁進する決意を新たにした次第であります。
 以上、私から、ブラジル訪問に係る報告とさせていただきます。
 それでは、引き続き質問に入らせていただきます。
 2点目の紀伊半島一周の高速道路整備についてお尋ねいたします。
 本年3月28日に、近畿自動車道紀勢線のすさみ─串本間の新規事業化が決定されました。紀伊半島一周高速道路の実現に向けた大きな前進であり、地元関係者として心から喜んでいる次第であります。知事を先頭に、これまで懸命に取り組んでこられた県土整備部を初めとする県当局の皆様方にお礼を申し上げますとともに、本県選出の与党国会議員のお力添えと地元関係者の方々の熱心な御協力に心から感謝を申し上げたいと思います。
 本県の道路整備は、いよいよ来年に迫った国体開催という目標に向け、これまで積極的な推進が図られてきたところであります。しかしながら、紀伊半島一周高速道路の実現には、まだ事業化されていない残された区間があります。発生が懸念される南海トラフ巨大地震や豪雨災害など、大規模災害から県民の命を守るには、この一周道路を早期に完成させることが何より重要かと考えます。紀南に暮らす我々にとって、この紀伊半島一周高速道路は、まさに命と暮らしを守る希望の道となるものであります。
 紀伊半島一周高速道路の実現は、紀南地域に暮らす者にとって、これまでなかなか実感が持てない遠い話のようなものでありました。さきの民主党政権時代にはいわれのない予算凍結なども行われ、足踏み状態の時代もありました。しかし、政権の交代とともに真に必要な道路としてきちんと評価されることとなり、政府の国土強靱化の方針のもと、現在、近畿自動車道紀勢線の工事は着実に南へと進んでおります。田辺─すさみ間を車で走っていても、その進捗は日ごとに目に見えるように進んでおり、ようやく半島一周道路実現への実感を抱くことができるようになってまいりました。今ここで、半島一周道路を完成することとなる残る区間の事業化が実現すれば、県民にとって何よりの大きな安心になるものと思います。
 さきの2月定例会において、知事は、3期目県政に向けた熱い思いを表明されました。ぜひとも知事には、引き続き先頭に立っていただき、今後もさらなる積極的な取り組みを展開していただきたいと願っております。
 そこで、知事に、紀伊半島一周の高速道路の実現に向けた今後の取り組みをどう考えておられるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、国体開催までの整備進捗についてお尋ねします。
 来年9月に迫る国体の開催に向け、現在、近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道、第二阪和国道など、県下各地での道路整備が加速してきております。特に紀伊半島一周高速道路の実現に資する田辺─すさみ間の整備は、各所で目に見えて進んでいるように思います。また、これまでの要望活動等による関係各位の取り組みの成果もあり、国のほうでもしっかりと予算の確保がされているかと思います。
 いよいよ国体の開会まで1年3カ月余りとなってまいりました。全国から多くの方々をお迎えし、競技会場や宿舎、あるいは観光スポットなど、県内のさまざまな場所を移動していただくこととなります。お越しになる方々に「和歌山はよかった」と実感していただくためにも、可能な限りの整備を進め、快適に移動していただけるような環境を整えていただきたいと思うところであります。
 そこで、近畿自動車道紀勢線の田辺─すさみ間及び那智勝浦道路における国体開催までの整備進捗の見通しはどのようになっているのか、県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの谷洋一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀伊半島一周高速道路は、企業立地や観光、農林水産業等の振興など、県民のチャンスを保障するため、また南海トラフの巨大地震や風水害などの大規模災害に備えて迅速な救助・救援活動を可能にする命の道として、その実現は不可欠かつ急務であり、県の重要課題の1つとして、これまでもさまざまな機会を捉えて早期整備を強く求めてきたところでございます。
 今般、昨年の新宮紀宝道路に続いて、すさみ串本道路の新規事業化が決定されました。また、田辺─すさみ間を平成27年紀の国わかやま国体に合わせて開通する見通しであると発表がありました。これらの成果は、県選出国会議員や県議会議員、関係市町村長を初め、多くの皆様の御尽力のおかげであり、心から感謝を申し上げております。
 ただ、完成して初めて意味を持つものでございますので、一刻も早く完成をさせなければいけないと思います。さらに、残る串本─太地間、新宮─熊野間の早期実現、事業化も図らないといけないと思います。そこで、今後とも皆様の御協力を得ながら、引き続き国や関係機関に働きかけてまいりたいと思います。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間の約38キロメートルにつきましては、必要な用地は全て取得し、全線で工事が展開されており、その中で、延長の約5割を占める22本のトンネルのうち、既に12本は貫通、8本が掘削中、残り2本についても既に契約を終えております。また、橋梁につきましては、44橋のうち、既に10橋が完成、残る34橋が工事中となっており、先般、国土交通省より、平成27年紀の国わかやま国体に合わせて開通する見通しとの発表があったところです。
 また、那智勝浦道路の約6キロメートルにつきましても、必要な用地は全て取得し、全線で工事が展開されており、その約6割を占める8本のトンネルのうち、3本が貫通、残る5本が掘削中となっております。また、橋梁につきましては、7橋のうち、1橋が完成し、残る6橋についても工事中となっております。
 県としましては、田辺─すさみ間と同様、那智勝浦道路につきましても、国体開催までに開通できるよう、引き続き強く国に働きかけてまいります。
○議長(坂本 登君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 御答弁いただきました。
 県議会でも、これまで議員連盟での要望活動などを通じて、高速道路の整備促進については積極的な取り組みを行ってきたところであります。
 和歌山県の高速道路は、半島地域であるがゆえ、これまで取り残されてきたところであり、その中でも紀伊半島の南部は、いまだに残された状況になっております。東日本大震災でのあの津波を見たとき、この現状の国道42号では、救命活動や救援物資の搬送は行えるのかということを痛切に感じました。
 平成23年の紀伊半島大水害の際にも紀南の道路網は寸断され、本県や三重県においても物流に支障を来したことがありました。紀伊半島南端の東牟婁郡選出の議員として私は、県民の安全・安心を考えた場合に、何よりもまずは紀伊半島一周高速道路の完成が重要であると考えております。ぜひともこの実現に向け、知事を初め県当局各位には、引き続き熱心な取り組みを期待しているところであります。御協力のほど、よろしくお願いしたいと思います。
 それと、残されておりますすさみ─太地間は、国道42号の中でも一番海岸線を走って、またウオーターレベルの一番低いところでございます。津波が押し寄せたら、すぐに波が乗っていくというところであります。そういうことで、今回のすさみ─串本間につきましては一日も早く工事を完了していただき、残った串本から太地間につきましては、これも一日も早く事業化をしていただき完成していただくようにお願いして、要望といたします。
 続いて、3点目の漁業振興についてお尋ねいたします。
 昨年の6月定例会において、私は、漁業における燃油の高騰問題についての質問をさせていただきました。国に対して燃油高騰対策の要望を行っていただくなど積極的な取り組みをしていただいた結果、国により緊急特別対策が実施されることとなったというものでありました。この緊急特別対策については、多くの漁業者がその制度を利用し、安定した漁業経営の継続につながっているということで、大変好評であるという声を聞いております。改めて、県当局、そして国の積極的な支援に感謝申し上げます。
 さて、ことしは、全国的にカツオが歴史的な不漁を迎えており、本県においても例外ではありません。この問題だけでなく、漁獲量の減少や後継者不足の問題など、ほかにも漁業は多くの課題を抱えている状況にあります。
 自然豊かな本県にとって、漁業は重要な基幹産業の1つであり、他のさまざまな産業とともに本県の大切な産業として末長く守っていくべきものと考えておりますが、本県の漁業振興に対する知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、カツオの不漁についてお尋ねします。
 さきにも触れましたが、本年は、カツオが経験したことのない歴史的な不漁となっております。市場に揚がる本数も大幅に少なくなり、価格も例年の何倍にも高騰しております。すさみ町では、例年開催しているケンケンかつお祭りが中止を余儀なくされたと聞いております。また、和歌山のカツオの味覚を楽しみに訪れる県内や県外からの観光客をも落胆させているということも耳にしております。
 漁師の方からも、「出漁してもほとんど釣れない」、「出漁しないことも多くある」という声を聞きますし、実際、漁港を見ても、カツオ漁の漁船が漁に出ず、並んで停泊している姿を目にします。
 カツオは、季節を感じる魚であり、何よりも市場に活気を与えるものであります。カツオの不漁は、まさに漁業全体の死活問題でもあります。この原因を究明し、対応していくことが必要ではないかと思っております。
 また、このようにカツオが少なくなっている、カツオの群れがなかなか見当たらないとされる中、いかに的確に漁場を捉えることができるかということが重要となってきます。折しも燃油の高騰が続いている状況でもありますので、漁業の効率性を高めていくということがまさに強く求められております。
 そのような中、串本の水産試験場では、人工衛星データを活用したカツオの漁場探索が行われており、またその精度の向上も図られていると聞いております。
 そこで、農林水産部長にお尋ねします。
 このカツオの不漁の原因について、どのように考えておられますか。また、このようにカツオがとれないような状況の中、衛星を活用した効率的なカツオ漁への支援が有効と考えますが、その取り組み状況はどうなっているのか。あわせてお尋ねします。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の水産業の一番の問題は長年にわたり続く漁獲量の減少であり、その原因の1つとして、限られた資源をとり過ぎたということがあると思います。したがって、対策としては、資源管理のさらなる推進があると思っております。
 資源を回復させるためには、対象魚種のきちんとした資源調査を行いまして、どれだけとればよいのかを検討し、資源を減らさないように管理しながら漁獲していくということが重要であります。しかし、こういうことは、1漁業組合、あるいは1県だけでやりますと、ほかの人にとられてしまうということにもなりかねませんで、みんなが守らないといかんわけであります。
 そこで、先日も国に対して、総枠規制を強化すること、特により厳しい資源管理方法である個別割り当て方式、いわゆるIQへの取り組みも含めて、ぜひ検討願いたいというふうに要望をしたところでございます。
 もう1つは、いそ根漁業の回復であります。小規模漁家にとって安定収入を得られるいそ根資源は、非常に重要でございますけれども、いそ焼けにより漁獲量が減少しております。
 この対策といたしましては、県水産試験場では、原因とされる高水温に対応できる海藻の開発に取り組んでおります。また、海藻の移植や外敵生物の駆除等、それぞれの地域に応じた対策への技術指導や補助による支援を行っております。これらの対策を強力に進めることによりまして、水産業の復活を推進してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 今春のカツオ漁は全国的に大変な不漁となっており、本県におけるカツオの水揚げ量も、昨年の4分の1程度と激減しております。日本近海の海水温が例年になく低目で推移していること、太平洋熱帯域でのまき網によるカツオの漁獲量が急増していることが日本近海へのカツオの来遊に影響を与えている原因と考えられています。
 このような状況を受け、県といたしましては、先日、カツオの資源調査や国際的な規制について、政府に対して要望活動を行ったところであります。
 水産試験場では、平成9年度から、カツオ漁が効率的に行われるように、人工衛星画像をもとにした晴天時の海水温情報を漁業者に提供してまいりました。当初は海水温情報のみでしたが、平成18年度に海面の植物プランクトン情報を追加するとともに、カツオ漁場探索マップも提供を開始いたしました。
 平成19年度には、人工衛星画像が利用できない曇天時にも対応できるように調査船きのくにや海上ブイなどの水温実測値を活用するソフトを開発したところで、漁業者からは、漁場を効率的に見つけることができると高い評価をいただいております。
 今後も引き続き、利用できるさまざまな情報を活用して提供頻度をふやすなどの改良に取り組み、より精度の高い漁場情報の提供に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 今の和歌山県──これは和歌山県だけじゃなしに全国なんですが、漁業関係者は非常に厳しい状況に置かれているというのは、もう御承知のとおりであります。
 知事が答弁していただきましたように、いろんな方面で支援していただいてるんです。そういうことで感謝しますけれども、やはりカツオ漁なんかというのは、今まで和歌山県では、不漁の時期というのは、黒潮の蛇行で沖へ黒潮がはじけてしもうて釣れなんだというのはもう何回もありますけれども、今回のようなことは初めてなんです。
 そういうことで、部長に答弁していただいたように、太平洋沖のまき網のことやとか、あるいは水温の上昇やとか、いろんな原因があると思いますけれども、しかし、普通の漁も何でも大事なんですが、特にカツオやとかサンマというのは、そこの市場に活気を与えるといいますか、それが釣れただけで、皆、漁師が──値の高い安いは関係なしに市場が活気づく漁獲物であります。
 そういうことで、ぜひもとの姿に返れるように、より一層の御支援をしていただいたらというふうに思いますし、議会にも水産部会というのもございますんで、我々も水産庁やとか、いろんな働きかけ等で応援できたらと思っておりますので、大沢会長を初め皆さんと相談して頑張っていきたいと思いますんで、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、4点目の福祉意識についてお尋ねします。
 日本は、経済的にも文化的にも先進国であると言われておりますが、福祉に対する意識については、残念に思うことがよくあります。障害のある方や高齢者などに対しては、譲り合いの配慮など、お互い助け合えるような社会づくりが大切だと考えます。そして、国民、県民一人一人がそういった心を持った社会であるべきだと思います。
 しかしながら、公共施設やスーパーなど、さまざまな場所に出かけた際に、そこに設けられている障害者用駐車区画に健常者と思われる方が駐車していることをよく見かけます。どういった意識かはわかりませんが、モラルなきその行動にがっかりさせられることがあります。また、若い方々のそのような行動を見かけることもあります。
 私は、アメリカを初め海外を何度か訪れておりますが、そこでは福祉に対する意識が高く、障害者用駐車区画の利用などについては、その趣旨の徹底がしっかりとされているように感じます。実際、施設などに設置されている駐車区画は、障害者などのためにきちんとあけられていることがほとんどのように思います。
 本県においても、全ての県民が安心して暮らせるようにするには、お互いの助け合い、譲り合いなど、福祉の意識の醸成を深めていくことが必要かと思います。来年は、国民体育大会とともに、全国障害者スポーツ大会が本県で開催されます。多くの来県者をお迎えする上でも、この機会に私たちの福祉への意識がしっかりと深まっていってほしいと思うところであります。
 このことについて、県としてどのように取り組みを行っているのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 障害のある人もない人も、ともに支え合って暮らす社会を目指すことは非常に重要であると考えています。そのために、県では、和歌山県福祉のまちづくり条例に基づき、誰もが暮らしやすいまちづくりを進めています。
 障害者用駐車区画の適正利用につきましては、これまでも、子供たちに理解を深めてもらうため、教育委員会と連携し教員に向けた研修や、ショッピングセンターにおいて障害者用駐車区画の趣旨を理解してもらうための店内放送の実施依頼、「県民の友」などの広報媒体を使った啓発活動を行ってきました。
 今後とも、県民一人一人に理解を深めていただくため、関係機関とも連携しながら、さらに取り組みを進めてまいります。
○議長(坂本 登君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 ただいま部長から答弁いただきました。御答弁にもありましたけれども、やはりいろんなメディアとか、そういうことで、こうしてくださいよと。やっぱりこれは、福祉の、ハンディキャップの方たちのためなんですよということがわかってない方も、僕、結構おられるんじゃないかなあというふうに思います。そういうことで、そういうことをしていただきたい。
 特にあそこのスペースというのは、目に見えた福祉なんですよ。福祉というのは、大体自分の心の中にあるもんが多いんですが。だから、そこはきっちりやっぱりできるという、せないかんという、そういう意識を持っていただくのが僕は重要かと思うんで、今後ともそういうことで取り組んでいただきますようにお願いして、私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、谷洋一君の質問が終了いたしました。

 

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