平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、ただいまから通告に従いまして一般質問を行います。
 昨日、家のパソコンに、あした一般質問ですね、インターネット中継で見ますからというメッセージをいただいております。そういや、県議会ってインターネットで同時にリアルタイムで中継されていたんだなあということを改めて気づきましたので、議場に来ていただいてる人だけではなくて、ネットで見ていただいてる人のことも意識しながら一般質問に入りますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、都市空間の再構築戦略についての質問です。
 平成26年度の新政策にあるものですが、これは、暮らしやすい都市空間を構築するために総合的なまちづくりを和歌山県が市町村に提案する、こういった取り組みであります。その中には、都市再生と計画的なまちづくりの促進、この2本柱があります。その中で、和歌山市の都市空間再構築に絞って今回は質問をさせていただきます。
 ターミナル駅、それから県庁周辺の再開発など、エリアの活性化に向けた調査を実施すること、それから和歌山県が主導して策定と提案をすることなどがこの取り組みになろうかと思います。
 過去、和歌山市におきましては、平成19年8月から平成24年3月まで、中心市街地活性化基本計画を策定し、5カ年計画で再生に向けて取り組んできた、こういう経緯があります。そして、さきの2月、まちなか再生計画を策定したので、市民の皆さんを対象に和歌山市では報告会を開催しておるところであります。
 ここの提案は、居住人口をふやすこと、にぎわいと活力の向上を図ること、産業と雇用の創出を図ること、これらが提案されています。これらの提言は、提言のいかんにかかわらず中心市街地再生の基本となることですが、それを具体化、実現させることは簡単なことではありません。
 国の制度を活用して進めた和歌山市中心市街地活性化計画の基本計画の効果も評価しにくいところでありますが、調査をして提言書をまとめたとしても、実施主体となる事業者の登場、資金調達が図れなければ、再開発、再生は進まないと思います。そこに和歌山県、和歌山市が民間事業者の後方支援するような形になることが必要だというふうに思います。
 ただ、和歌山市の中心市街地には大規模な再開発ができる用地はそれほど多いものではなく、現状のまちの姿を維持したままリノベーションを図る、こういった計画に進んでいくのかなというふうに思います。まちの姿を変えるというよりも、限られた中心市街地と限られた予算の中で変貌を遂げるためにどのような計画に仕上げるのか、これは期待したいところであります。
 また、和歌山市が検討を続けてきたまちなか再生計画がこのたび完成いたしまして、策定にかかわった委員のほか市民の参画もあった2030年における和歌山市の中心市街地の好ましい姿、これが提言書として完成しております。
 ここでの現状把握といたしましては、和歌山市は、少子高齢化をしていること、進学や就職で和歌山市外へ転出していることから若い層が減少していること、そして、市街地の拡大は進む一方で、この地域での定住人口の減少、都市の希薄化、拡散化が加速的に進んでいることや郊外の大型商業施設の増加、医療、福祉施設や教育施設の郊外移転が進展した結果、中心市街地の活力は低下し、未利用の建物、低未利用用地が増加、中心市街地の魅力そのものが低下し、市民が中心市街地から遠のく、そういう結果になることが指摘されているところであります。それを受けて、和歌山市再生として、居住人口をふやすこと、にぎわいと活力の向上を図ること、産業と雇用の創出を図る、さきに述べた3点を目指そうと、こういうことをしているところであります。
 昨日の一般質問に対する当局の答弁にもあったわけですが、「市民の力」という言葉でまちづくりを表現しているところがあります。ところが、まちづくりを市民の力で成し遂げた事例は、全国を見渡しても、それほど多くはありません。どうしても事業主体となるべき人や事業者が必要になります。そこには、計画、資金調達力、継続した熱意、こういったものが必要となろうかと思います。
 昨日、浅井建設グループの浅井会長の話を伺う機会がありました。学園城郭都市ふじと台、これはもう御存じだと思うんですが、このまちづくりについての話をじっくりと聞かしていただきました。それによりますと、都市計画、都市づくり、まちづくり、それは生易しいものではないということがよくわかりました。
 かいつまんで報告さしていただきますと、まず最初にふじと台に着手してから現在までに要している費用、これは約500億円から600億円、それでも現段階では全体構想の約50%が完成したにすぎないということで、残り、全体が完成するまでに要する期間、これが15年、完成するまでに必要とする資金、これが2500億円と見積もっているようであります。
 このふじと台をさらに都市とするために必要な機能は、ホテル、ショッピングセンター、病院、遊び場所──いわゆるアミューズメント施設──それから文化を感じられる施設、こういったものを完成させて初めて都市、こういうことを視野に入れているところであります。
 ここでわかることは、都市計画には相当な資金が必要なこと、情熱を燃やし続けることが必要であること、実現させるまでには長い時間が必要なこと、こういうことがわかります。
 ふじと台の構想をしたのが今から30年前、そして着手したのが15年前、現段階でまだ50%、さらに15年かかるということですから、半世紀程度の期間をこのまちづくりに情熱を燃やしている、そして、ようやくまちが完成する、こういうことをここで学ぶことができます。そして、この開発事業、都市づくりを和歌山県も和歌山市もモデルケースにぜひしてほしい、こういうことを話してくれました。
 これまで、ふじと台の住宅は年間平均して約100軒は売れ続けているそうです。現在設置されておりますが、藤戸台小学校、それから駅、もうすぐ完成のショッピングセンターも、何もない時代からふじと台は売れ続けていたのです。
 その売れた要因はという質問に対して、ここでは、学園城郭都市という都市づくり、都市計画ですが、明確な構想が当時からあった、こういうことが原因だろうということをおっしゃってくれました。将来は、このまちに小学校や駅、ショッピングセンターなどが建設されるとしっかりとしたまちづくりの構想があったので、購入する方はそれを信用して安心して購入できたと、こういうことであります。いかに都市計画、都市構想が必要であるかということがわかります。ここにまちづくりの真髄を見たような気がしました。
 繰り返しますが、和歌山県も和歌山市も、都市づくりのモデルとなるようなまちがふじと台に形成されていることを鑑みて、和歌山市中心市街地再開発に必要な要素、ここに学んでいただきたいところもあるような気がします。
 そこで、質問です。
 和歌山県の和歌山市の都市計画の推進、実現に向けて、来年度の新政策とは、どのような方向で取り組むものでしょうか。また、和歌山市が策定しているまちなか再生計画との関連はどう考えたらよいのでしょうか。2月末に和歌山市役所で行われた報告会には知事も参加しているので、そのときの感想も含めまして答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山田正彦君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほどの多田議員に対する答弁でも申し上げましたし、それから、本議会の冒頭の提案説明におきまして、未来への投資の政策といたしまして、都市の再生を目指すために都市計画の活用と都市再開発を具体的に県が企画提案をして市町村をリードしていきたいという考えを示しておりました。
 具体的には、平成26年度の新政策でターミナル駅周辺の再開発などの都市の活性化に向けた調査、といっても具体的に絵を描いていって、それで提案をしていくということなんですが、そういうことを実施することにしておりまして、その結果を和歌山市の都市再生に生かしてもらうようにお願いしていきたいというふうに思っております。
 先ほど御指摘のありました多田議員の御質問にもお答えいたしましたが、和歌山市における2つの構想、1つは民間中心になって2030わかやま構想というのができた、それからもう1つは、これは市のちゃんとした、いわゆる審議会でしょうかね、市の事務局も入ってきっちりつくった和歌山市まちなか再生計画を取りまとめたのは、大変時宜を得たものであると考えております。
 先ほども申し上げましたが、私も最後に、特にわかやま構想の御披露のタイミングでしたけども、それを聞かしていただいて、大変熱のこもった議論で、考えを新たにいたしました。
 ただ、両者を比較いたしますと、2030わかやま構想のほうは、割合具体的にいろいろ、こうしよう、ああしようという話が載っとるんですね。一方、和歌山市まちなか再生計画を読ましていただくと、実は構造があって、この2030わかやま構想なんかを踏まえてつくったんだというふうに書かれてあるんですけれども、中身を見ると、半分ぐらいのページは経緯で、何か議論してるところの写真か何かが出てきて、後半のほうは、これは先ほど議員から御指摘がありましたような大まかな原因分析と、それから抽象的な運動方向について書かれてあると。これではなかなか具体的な話は進まんなというふうに個人的には思うわけです。
 したがって、2030わかやま構想にあるような具体的な提案を、これは市民全体のものになるように市は努力をしてもらわないといかんのじゃないかなあというふうに思うし、そうできるように我々も企画提案なんかもしながら支援をしていかなきゃいけない。そんなふうに思っております。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、答弁にいただきましたように、計画の中では、なかなか抽象的というか、そういう具体化がない。先ほど知事の多田議員の答弁の中に、具体的な計画、具体的な行動が必要、これがなければ実現力はないよみたいな話をされておりましたが、まさにそのとおりだというふうに思います。
 抽象的な議論とか報告書にまとめて終わりというのが今まで過去多かったんですが、これをどう具体化するか。多分こんなん1年、2年でできることではないですし、事業主体も必要だろうし、継続する期間、そういったものをより求めていただきたいと思いまして、では、具体的にできるかどうかということについて、続きましてJR和歌山駅周辺と南海和歌山市駅前の都市開発活性化、こういったことについて質問に入らせていただきたいと思います。
 JR和歌山駅の乗降客数ですが、平成24年、この実績によると1日当たり3万8360人となっています。これは、直近というか、平成7年と比較してみますと、16%減少している。こういう数字になってます。
 また、和歌山駅の周辺は、比較的多くのマンションが建設されている地域であり、これからも計画が見込まれている地域でもあろうかと思います。そういう意味では、定住人口、交流人口の中心になるのがこのエリアであり、駅周辺の再開発が和歌山市のまちなか再生の1つの核になるのかなと、こういうふうに思うところであります。
 ただ、和歌山市のマンションの供給に関しては、平成18年度、290戸ありましたが、平成20年度になりますと196戸、平成21年度には110戸、そして平成23年度には50と減少傾向にありまして、また、回廊できる商業施設は、この駅前周辺、大型の商業施設は近鉄百貨店のほか、なかなか少ない状況にあろうかというのが現実であります。
 先日も、他府県から来てもらった人とともに駅前を歩いて、感想というんでしょうか、和歌山市の印象を話していただきました。平日の昼間ですが、人通りの少なさに、和歌山市の人は一体どこに出かけているのですかと、こういう質問をいただいたほどです。
 これに関しては、和歌山市に限らず地方都市は車社会であること、和歌山市のこの地域に大学生が出かける、こういった施設が少ないこと、企業や事務所のエリアから少し離れているためビジネスに訪れる人が少ないこと、ショッピングセンターが少ないことなどが人通りの少ない要因かなというふうに答えたところであります。
 また、少し離れて、和歌山城にも立ち寄っていただきました。そこに関しては、お城とこの周辺の景観はすぐれている、城下町らしいですね、誇りというんでしょうか、重みがあるとは話してくれたものの、これだけ観光客が少なくて地元の人が集まっていないお城は珍しいと、こういうことも言われました。非常に残念なことだというふうに思いましたが、これをばねに再生する必要性、これを改めて感じた次第であります。
 和歌山駅前をいきなりショッピングが楽しめるエリアにすることは難しいと思いますから、まずは定住人口をふやす施設、目的を持ち出かけられる施設、例えば病院、銀行なんかも僕はいいと思うんですが、こういったところから始めることも必要ではないかというふうに思います。
 事業者の観点からすると、低層階をにぎわいの創出の空間にしてほしいというふうな話をしたところ、低層階を商業施設にした場合、退去リスクがあると。これを軽減させるために、手がたい病院や銀行といったものの入居を好む、こういった傾向にあるそうです。
 これらは、ただ人が行き交うスペース、にぎわいを創出するスペースとしての役割を求めるところは難しいところもありますから工夫の余地はあろうかと思いますが、ディベロッパーの意見を交えながら、駅前に立地することで住む人の利便性を高めるなどの工夫をしながら誘致、立地を図ってほしいなというふうに思います。
 一方、南海和歌山市駅であります。
 まず、乗降客から見ますと、平成24年、この和歌山市駅の利用客は1日当たり2万534人となっておりまして、平成7年と比較すると実に44%の減少というふうになっております。半減している、こういう状況であります。
 また、築年数30年以上の建物が、この場所は約3分の2以上を占めるということで、まち自体が少し老朽化している地域になっているのかなというふうに思います。そして、建物の老朽化が進行しているにもかかわらず、建物の更新が停滞していること、ターミナル駅としての機能が衰退していること、駅前の商業が衰退している、こういう地域にもなっているのかなという現状があります。
 さらに、ことし8月末で高島屋が撤退することが決定し、地元のみならず、和歌山市民からは不安の声が聞こえているところであります。高島屋の撤退後に商業施設を含めた複合ビルになればよいのですが、現時点ではなかなか具体的な計画はなさそうですし、高島屋撤退の余波として和歌山市駅そのものもなくなるのではないかという不安の声すら出ているところであります。
 あり得ないことですが、このターミナル駅がなくなるとすれば、再開発、ここも計画は進めることは難しいでしょうし、駅周辺の既存のマンションを含めた資産価値──先ほど、土地需要、土地の価値を高める必要があるというふうな話もありましたが、これと逆に下落する、こういう事態になろうかというふうに思います。もし和歌山市駅がなくなれば大阪に引っ越しますよという人の声もありました。これは、市駅前の利便性のよさから大阪への通勤をしているビジネスマンの話なんですが、こういった声もあるように、何としてもこの地域も不安を払拭するような再開発、活性化が必要かなというふうに思います。
 ところで、平成26年2月26日付の「日本経済新聞」で、私鉄は駅前再開発で勝負をしている、こういう紹介する記事がありました。これはどういうことかといいますと、大手の私鉄各社は、駅周辺の再開発を今、急いでいる、取り組んでいる、こういうものであります。駅近くにマンションと店舗が一体となった複合ビルを建設することなど、都市機能を駅前などの中心部に集中させる、こういうコンパクトシティー計画がふえている、こういうことが記事で記されております。このまちなか居住という言葉が都市再生の1つの鍵になろうかと思います。
 現在のところ、これらの駅前再開発の計画は、具体化、明確になっているわけではありませんが、都市計画をつかさどっている行政──ここでは市になる話ですが──都市計画による再生の方針を示さなければ民間事業者は投資をしないと思います。
 また、沿線住民をつなぎとめようとする大手私鉄のような戦略が今のところ期待できない和歌山市両駅前ですから、鉄道会社以外の投資を呼び込んだ和歌山市中心市街地の活性化、これを図らなければならないかなというふうに思います。
 そこで、質問です。
 JR和歌山駅前で民間事業者が再開発事業を行おうとした場合、支援制度として適用できるような施策はあるのでしょうか。また、南海和歌山市駅前の活性化に向けてどのように考えているのでしょうか。県土整備部長の答弁をお願いします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) JR和歌山駅周辺及び和歌山市駅周辺は、県内外からの人流、物流の中心であるとともに、商業あるいは教育、文化施設の集積された重要な拠点であり、また県都和歌山市の玄関口であることから、同市の都市再生を進めていくに当たって活性化を図る必要があると考えております。
 JR和歌山駅周辺におきまして、民間事業者が再開発事業を行おうとした場合の支援制度については、国土交通省の社会資本整備総合交付金による市街地再開発事業や地方都市リノベーション事業等がありますが、その適用につきましては、事業内容を具体化する必要があると考えております。
 また、和歌山市駅周辺につきましては、周辺再開発に向けて、南海電鉄を中心に、県や市などの関係機関も連携しながら、特に住宅の整備を初め、集客施設の整備などによるにぎわい空間の創出、駅前広場の再整備による交通結節点の強化などのさまざまな検討が進められているところであります。
 県としましては、都市再生の実現に向けて、みずからさまざまな構想を検討・提案し、和歌山市に強く働きかけるとともに、関係事業者等と連携を密にして進めてまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 和歌山市のこの2つの駅における取り組みについて、さまざまな提言とか、あるいは事業の計画等々もあろうかというふうに思いますが、ぜひ和歌山市と協働しながら1つでも実現できるように取り組みを進めてほしいというふうに思います。
 そして、もう1つ、要望的なもんですが、中心市街地の再生、ここに乗り出してくれた事業者に対する固定資産税の取り扱いについても検討課題かなというふうに思います。
 工場立地の場合は、固定資産税の減免など、こういった取り扱いがあると思いますが、大型の商業施設に関して、例えば行政主導で、こういったところに来てほしいというふうに、進出してくれた事業者に対する固定資産税の同様の措置はないかというふうに思います。
 進出を検討するための1つの材料になると思いますから、和歌山市の中心市街地再生について協議する際の検討課題にしてほしいと思いますし、昨日のふじと台の会長との話でも出たんですが、ふじと台で公的施設、こういったものに関して事業化する場合、固定資産税を何とかしてくれないかということを行政のほうにも話をしたところ、それはできないよというふうな回答が即座に返ってきたそうです。これはもう無理を承知で言っている話なんですが、こういった、もう無理だというのはいかにも官僚的な発言であって、こういう返事を返すのは政治家ではないんではないかと、こういうふうな意見もありましたんで、参考までに伝えておきたいというふうに思います。
 この項目最後の質問に移らしていただきます。
 平成30年度、和歌山南スマートインターチェンジの計画が進展しようと動きを見せているところであります。海草振興局建設部の移転計画があり、交通の利便性向上、物流の拠点として、そして地域活性化への期待がこの地域では集まっているところであります。
 ただ、都市計画によって、このあたりの地域は市街化調整区域であり、開発が規制されているところでもあります。せっかく都市計画道路である南港山東線の整備とこのインターチェンジの設置が図られるのに、市街化調整区域にしておくのはどうだろうかなというふうに思います。
 中心市街地の再生やコンパクトシティーを目指す方向性と整合性がとれない、図れないところもあろうかと思いますが、和歌山市、この東南地域の活性化のためにも、都市計画の見直しも、これも検討すべき課題ではないかなというふうに思います。
 さらに、この地域には貴志川線が通っていることから、近くの駅と連携して地域活性化が図れる方向性もあろうかというふうに思います。必要以上にまちの拡散は避けるべきだというふうに思いますが、このインターチェンジを中心とした地域を1つの面として活性化につながるようなことでこの地域の再生、活性化も図れると思いますので、都市計画への見直しについて検討をいただきたいと思います。
 そこで、和歌山南スマートインターチェンジ付近の都市計画の見直しについて、和歌山市と、あるいは議論することは考えているのでしょうか。県土整備部長の答弁をお願いしいます。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山南スマートインターチェンジが完成すれば、南港山東線の整備と相まって、高速道路利用者の利便性向上はもとより、観光や産業の振興による地域活性化が期待されております。
 一方、外縁部で開発を行うことは、その分、中心市街地での土地需要を奪われることになりますので、まちなか再生と整合性が図れない部分もあり、和歌山市の都市再生を全体でどういう形で進めるかが問われることとなります。
 こうした観点から、当該地域において、どのような施設が必要か、また、どのような土地利用が適切かについて、県と市が一緒になって早急に検討してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 次の質問に移りますが、もう一言だけ言うのを忘れておりました。
 まちづくりですが、先ほどのふじと台を中心としたまちづくりをつくるというのは、大変な資金と苦労、覚悟を伴うものだということを踏まえた上で、まちづくりにはストーリーがある。そういうストーリーを語れるようなまちづくりをしているんだというふうなことがありまして、ぜひ和歌山県もストーリーを語れるようなまちづくり、これをつくってほしい、語り継げるようなストーリー、これをつくっていただきたいというふうにお願いいたしまして、第2問に入らせていただきたいと思います。
 平成26年度の重点施策として、海洋再生可能エネルギーの開発、これがうたわれております。表層型メタンハイドレートの国の本格的調査の誘致、それから海流発電の実現に向けた取り組みが主な項目になろうかと思います。
 このうち、海流発電に関しては、和歌山県海洋再生可能エネルギー検討委員会、これが設置され、委員会開催、それから実証フィールドの視察、こういったものが行われているところであります。
 海洋再生エネルギーには、浮上式洋上風力、波力、潮力、海洋温度差、そして海流発電の5種類がありますが、和歌山県では、このうち海流発電に取り組もうという動きがあります。
 この計画のもとになっているのが国の海洋基本計画で、ここで、海洋再生可能エネルギーの利用促進として、実証実験のための海域である実証フィールドの整備に取り組むことが記されています。
 国では、実証フィールドの整備と技術研究開発、この実施を目指すこととしておりますが、和歌山県では、海流発電の実証フィールドの整備と技術研究開発に取り組むことを目指していると思います。
 では、この海流発電の発電原理はといいますと、海中に浮遊式のブレードや発電機などで構成される装置を設置し、海流の運動エネルギーを回転運動に変換して発電機で発電する、こういった方式です。形式は、海底からタコのように発電装置を浮遊させる、こういう形状になっていようかと思います。
 この海流発電に和歌山県が取り組むのには理由があります。まず、国家的に多様性が求められるエネルギー情勢があること、国が海洋基本計画で海洋再生エネルギーの利用促進を目指し、その実証フィールドを公募していること、和歌山県沖にはすぐれた潜在的な可能性を秘めた黒潮エネルギーが存在していること、メタンハイドレートに代表される海洋新エネルギーへの期待が高まっていること、既存の水産業との協働による海洋産業の可能性があることなどが理由であります。
 ここで大きいのが、和歌山県沖を流れる黒潮のエネルギーについて、大いなる可能性があるところです。NEDOが調査した海洋エネルギーポテンシャルの把握に係る業務によりますと、和歌山県沖の黒潮のポテンシャルは20万333メガワットという数字になっております。これに続くのが高知県室戸沖の黒潮、これが4万7869メガワット、続いて奄美の黒潮、3万5089メガワットですから、和歌山県沖の黒潮は圧倒的な海流発電の可能性を秘めた海域であろうというふうに思います。
 しかも、海流発電の採算性が確保される、採算ベースに乗ると言われている平均流速2ノット、これを超える海域が点在していることも、和歌山県が可能性を持っている1つの理由であります。
 この海流発電には、さらに利点がありまして、それは安定した大きな発電が可能だということであります。黒潮は、蛇行しているものの、昼夜や季節による流れと速さの向きの変動が少ないことから、安定した海流エネルギーを長期的、そして連続的に利用することができます。そのため、年間を通じて安定的な発電が可能で、ベース電源としても期待できるところが、ほかの再生可能エネルギーと違うところであります。
 まだ検討段階のため、実現可能性は未知数だとは思いますが、本格的に国内で海流発電に取り組んでいる府県はありませんから、この発電方式で再生可能エネルギー、海洋新エネルギーの先進県を目指してほしいなというふうに思います。
 そこで、知事は、この海洋再生エネルギー、特に和歌山県における海流発電の可能性についてどうお考えか、お答えいただきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のように、本県は広く海洋に面しておりますので、黒潮を初めとする海洋再生可能エネルギーの活用にも積極的に取り組みたいと考えているわけでございます。
 特に何が大事かといいますと、ソーラーとか風力といった他の再生可能エネルギーも、これも一生懸命やっておるわけでございますが、本県の海流発電は、議員御指摘の数字が今ありましたように、物すごく巨大な可能性を秘めているわけでございます。
 なかなか現在の他の再生可能エネルギーだと、例えばいっぱい集めても原発1基分というのはなかなか難しいんですけど、これは一発で、1つのプロジェクトで1つぐらいいってしまうというような、そういうことが語られておりまして、特にそれが幾つもできそうなのが潮岬沖の黒潮による海流発電でございます。
 また、和歌山県は消費地にも近いわけでございますし、また系統接続も容易でございますので、こういうことを和歌山県も姿勢を示し、企業と連携を進め、かつ国への働きかけなども大いにやって、事業化の暁にはぜひ和歌山でやってもらいたいというようなことをこれから進めていきたいと考えております。
 将来的にも、これは夢の話にだんだんなってくるわけですが、こういうことができますれば、この和歌山の地が、例えば発電機器の組み立てとか、メンテナンスの基地とか、そういうふうなことになり雇用や港湾利用が進みますし、また漁業と協調した取り組みとか、あるいは観光資源としての活用とか、関連メーカーもひょっとしたら少しは来てくれるかもしらんとか、そういうようなことが膨らんでまいりますので、地域経済への大変大きな手段になるんじゃないか、そんなふうに思っております。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、最後の項目になりますが、海洋再生エネルギーに関して、先進県の取り組み、これはもう御存じかと思いますが、幾つかございます。
 千葉県では洋上風力、北九州市、長崎県、福島県でも洋上風力、佐賀県は潮流・洋上風力のハイブリッド発電という少し珍しい形式、沖縄県では温度差発電、こういったものに既に取り組んでいるわけでありまして、これらの県と比較しても、今、答弁にございましたように、和歌山県の黒潮の持つエネルギー、ポテンシャルは、非常な可能性を秘めているというふうに思います。
 そこで、我が国で初めて海流発電の実用化に向けた取り組みに期待をしているところでありますが、商工観光労働部長に、今後の課題として考えられること、実用化までのタイムスケジュール、これはどのように考えているかということをお伺いして、一般質問を終わらしていただきます。よろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 本県では、大学教授や地元関係者による海洋再生可能エネルギー検討委員会を開催し、海洋エネルギーのポテンシャルについて検討を行い、潮岬沖を流れる黒潮を活用した海流発電が有望との意見を得ました。また、地元新宮市や串本町の積極的な取り組みもあり、先日、国に潮岬沖を海流発電の実証海域として申請したところです。
 事業化の実現に向けては、海域の詳細流速調査や海流発電機器の技術開発、海底ケーブルの設置など、それぞれの段階において数年ずつかかることが予想され、実際の事業化についてはそれ以降になると考えております。
 事業化の実現に向けて、漁業への影響や船舶航行の安全対策など、課題はありますが、関係機関と調整しながら実証事業を推進するとともに、海流発電に興味を持つ企業や電力事業者を積極的に誘致していきたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時41分休憩
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