平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第52号まで、議案第54号、議案第56号から議案第80号まで、議案第82号から議案第87号まで及び議案第89号から議案第100号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問に入りたいと思います。
 まず、県職員の不祥事について申し上げたいと思います。
 知事部局について申し上げますと、一昨年度は、収入証紙の売り上げの一部を抜き取り着服、昨年度の供応接待及び旅費不正取得、盗撮行為による迷惑防止条例違反、そして、今年度の異議申立書の放置、職員同士の暴力行為や酒気帯び運転及び事故、知事公印をコピーしての公文書偽造、先月には出張旅費に関する架空請求で公金の着服。免職や自主免職扱いとなっており、県民には、そんなことがまだ行われているのかという戸惑いがございます。
 仁坂県政のスタートは、県政への信頼回復であったと思います。就任直後の平成19年、検察庁OBの監察査察官をトップに、全国初めての監察査察制度を県庁内に設けました。県民の皆様から寄せられた不正行為通報の調査や県庁の事務などが適正かつ効率的に行われているかどうか調査し、必要により改善や再発防止を図ってきておられます。
 現状の不祥事を鑑み、今後どのような対応をお考えか、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
 次に、警察本部長に申し上げます。
 最近の新聞やマスコミ報道により、県警察の刑事企画課員による暴力団幹部に対する捜査情報漏えい事案や、刑事企画課長、機動捜査隊長といった重責の幹部職員と暴力団関係者との不適切な関係が明らかになりました。
 組織犯罪対策情報が漏えいしていることは、情報の管理上、著しくその信頼性を損なう重大な事件であり、官民一体となり暴力団排除活動を推進しているさなかにあって、信頼を著しく低減させる出来事となりました。
 また、昨年11月には第79回民事介入暴力対策全国大会をこの和歌山で開催し、同日に第22回暴力追放県民・市民大会を主催者側の1人として行い、暴力団撲滅、反社会的勢力を徹底的に排除しようとする機運に水を差す最悪のタイミングになったことも言わざるを得ません。
 まして、その中核を担うべき中枢の警察官が反社会勢力と不適切な関係があったことは、その衝撃は、はかり知れないものがあったことも間違いない事実です。大変残念としか言いようがございません。
 もちろん、日々黙々と地域の安全を確保するため勤務に従事している交番、駐在所勤務の警察官や、県民の身近で発生する犯罪や社会を震撼させる凶悪犯罪の犯人を検挙すべく昼夜を分かたず捜査に従事している刑事警察官が多くおられることは、承知しております。
 しかし、一握りの不心得者のために、警察に対する県民の信頼は一瞬にして失墜します。また、そのほかにも、年初から警察官の懲戒事案が発生していることは、県民への不安をあおるものとなっております。
 これら非違事案に対する本部長の御所見と再発防止策について、真摯な御答弁をお伺いいたします。
 あわせて、警察本部を管理する公安委員会にもお聞きしたいと思います。
 昨年4月、公安委員長は、「警察による被疑事案や不適切事案を出さないよう、固い決意を持ってほしい」と訓示されております。公安委員会として、このたびの事態を受けてどのような対応をお考えか、公安委員会にお伺いいたします。
 次に、教育委員会の不祥事について教育長にお伺いします。
 教員は、教育公務員として、県民の模範となり得る存在として特に期待されております。しかし、ここ数年、毎年のように県民の信頼を損なうような不祥事が常態化しています。平成22年から24年度は懲戒処分7件、昨年25年度は同じく8件。この中には管理職の方も入っておられます。
 文教委員会の折にも指摘させていただいておりますけども、平成26年度のスタートに当たり、改めて再発防止に向けて教育長の決意をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 最近、県庁で不祥事が幾つかございましたのは、大変遺憾に思っております。
 清潔で透明性の確保された県政を実現するためには、全ての職場の1人1人が、その職責に応じ、より志の高い意識を持って公務に当たることが必要であると考えております。
 職員の懲戒処分事案の発生については残念でございますけれども、清潔及び透明性という観点では、監察査察制度の運用が開始された以降は、不祥事が発生してもすぐばれるというようなことでございますし、また、そういうときに全容を解明して公表するなど、当該制度は有効に機能していると考えております。
 新聞に報じられたもののほか、例えばセクシャルハラスメントとかパワーハラスメントになりかねないような事案についても、それを大ごとにならないようにきちんと処理するというようなことも含めて機能していると思っております。
 また、不正のほかに気の緩み──暴力事件がありましたけれども、そういうようなところも、これは憂慮すべきことだと考えております。
 今後の職員による不祥事の再発防止策としては、研修等で服務規律の遵守、綱紀の厳正保持等の徹底を図るというのはもちろんでございますけれども、こういう心がけだけではどうもよくないというふうに思っておりまして、特に不正を招来した原因として借金の問題がございましたので、これについてもちゃんと役所ぐるみできちんと対応できるように、そういう制度も設けさせていただきました。
 さらに、これは残念なんですけども、前に不正事件が起こったときに、会計処理については、それが発生しないような工夫を全庁的に通達をして、それがなされているものと思っておりましたが、実は最近の事例でそうでなかったということがわかりました。
 そういうこともございますので、会計処理とか公印の管理などの点で指令がきちんと守られているかどうか、そういう点を重視いたしまして、監察査察課に、いま一度、全庁的に立入調査をしてもらうようにお願いをしているところであります。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘の子供や県民のまさに模範とならなければならない教職員の不祥事につきましては、大変遺憾に思ってございます。
 この教職員の不祥事防止につきましては、これまでも、県立学校長会や市町村教育長会議等におきまして厳しく指導してきており、各学校においても、学校長が所属職員に対して研修や個別面談を行うとともに、本県で作成したチェックリストを全教職員に配付し、不祥事を起こさせないための自己管理の徹底など、さまざまな取り組みを行ってきたところです。
 さらに、今年度は、県教育委員会が作成した不祥事防止マニュアルを県内全ての学校に配付し、各校でそれを活用し、研修会を実施するよう指導しているところでございます。
 しかしながら、いまだ不祥事が相次いでいることから、今後、職員会議だけではなくて、職員朝礼を利用するなど、さまざまな機会を捉え、より一層研修の充実を図り、教職員1人1人が教育公務員としての職責の重さを自覚し、不祥事根絶に向けた意識が高まるよう指導の徹底を図ってまいります。
○議長(山田正彦君) 警察本部長植田秀人君。
  〔植田秀人君、登壇〕
○警察本部長(植田秀人君) まず、県民の皆様と一丸となって暴力団排除活動を推進している中で、議員御指摘の事案を発生させたことは、警察職員としての信用を著しく失墜するものであり、県民の皆様に深くおわびを申し上げます。
 本事案につきましては、組織犯罪捜査に対する県民の信頼を揺るがすものと重く受けとめ、再発防止を図るため、組織犯罪対策部門における情報収集対象者との接触や情報収集活動のあり方、職務の公正を疑われ、または職務に支障を及ぼすおそれのある部外者との交際について通達を発出して、その適正を図るよう厳しく指示し、全警察職員への周知徹底を図っているところでございます。
 また、幹部警察官を含め、私生活上の非違事案も発生していることから、業務管理の強化のみならず、身上把握、指導を徹底するとともに職員に対する職務倫理教養を反復継続し、再発防止に向けた取り組みに全力を挙げる所存でございます。
○議長(山田正彦君) 公安委員溝端莊悟君。
  〔溝端莊悟君、登壇〕
○公安委員会委員(溝端莊悟君) 公安委員会を代表させていただき、お答え申し上げます。
 県警察において今回のような不祥事案が発生したことは、県警察を管理する公安委員会としましては、極めて遺憾であり、非常に重く受けとめております。
 当公安委員会は、これまで機会あるごとに警察本部長を初めとする警察幹部に対して、組織管理の徹底、特に非違・非行事案の根絶について指示をしてきたところでございますが、これまでの指示や進めてきた対策が十分でなかったと言わざるを得ない状況にあります。
 本件不祥事案の発覚を受け、当公安委員会は直ちに警察本部長に対し、事案の全容解明、そして発生要因の徹底究明、再発防止策の早期の策定と推進について指示したところでございます。
 今後、県警察では、危機感を持った各種対策の推進、さらなる業務管理の強化、職員の身上把握、指導の徹底など、再発防止に向け取り組んでいくわけでございますが、公安委員会としましては、これまで以上に県警察に対する管理機能を強化し、県警察が進める諸対策の進捗状況等を都度点検し、適時適切に指示、指導を行い、県警察における不祥事案の根絶に向け、尽力してまいる所存でございます。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 それぞれお答えいただきました。「民信なくば立たず」という、こういう言葉もございますので、しっかりこれからの対応をお願いしたいと思います。
 続いて、2つ目の質問に入らせていただきます。
 ストーカー、配偶者からの暴力対策についてでございます。
 ストーカーや配偶者からの暴力、いわゆるDVがふえており、社会問題となっております。昨年、平成24年1年間の全国のストーカー事案の認知件数が1万9920件、ストーカー規制法に基づく警告件数は2284件、ストーカー規制法が施行された平成12年以降で過去最多となってしまいました。また、DV認知件数も4万3950件と増加しております。
 増加した理由は、2年前、長崎県西海市で発生したストーカー殺人事件を受け、被害者側からの意識が高まり、警察に相談に訪れたことや、警察側からも被害者からの相談に積極的に対応してきたからだと思われます。
 和歌山市内でも、一昨年、元交際していた男性が女性の職場で殺害、犯人は現場から逃走し、近くの病院の寮の4階通路付近から飛び降り自殺という、まことに残念な事件がございました。
 その後も全国では、神奈川県逗子市で、昨年も東京三鷹市でストーカーによる殺人事件が発生しております。この2つの事件は、事前に警察に相談されたにもかかわらず、残念ながら殺人という凶悪事件を防ぐことができませんでした。
 特に三鷹の事件については、改正されたストーカー規制法が全面施行された直後の犯行であり、また、警視庁三鷹署に相談に行った当日に被害者が殺害されるなど、被害を事前に防げなかったことがまことに残念でなりません。
 しかし、時代の変化に伴い、長崎県や東京三鷹市の事件のように関係者の住所、場所が数県をまたぎ広域化するなど、1つの県だけでの対応には限界があると思います。
 このような現状を踏まえて、広域連携という視点から、相談段階から被害を未然に防止するために県警察本部としてどのような対応を講じているのか。
 また、本県における昨年1年間のストーカー認知件数は321件、DV認知件数は624件と既に発表されております。年々ふえている現状の中で、ストーカーやDV対策にどのような強化策をお考えか、警察本部長にお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 警察本部長。
  〔植田秀人君、登壇〕
○警察本部長(植田秀人君) まず最初に、ストーカー事案について、広域連携という視点から対応についてお答えいたします。
 ストーカー事案は、当初は小さなトラブルであっても、行為がエスカレートして状況が急展開し、殺人事件などの重大事件に発展するおそれがあります。
 このため、ストーカー事案の相談を認知すれば、事案ごとに危険性を判断し、被害者保護を最優先に、被害者や必要に応じて親族等の避難措置を講じるとともに、事件化できるものは事件化を、また事件に至らない場合には警告をするなど、諸対策を講じているところであります。
 議員御指摘のとおり、この種事案は関係者が複数県に及び、1都府県だけでは対応できないことがあります。このため、警察といたしましては、行為者や被害者、その関係者の居住地を管轄する警察本部に事案概要を速報し、必要な措置を具体的に依頼するなど相互に連携を図り、事案の未然防止に努めています。
 一昨年、当県警が他の都道府県警察と相互に連携を図った事案は、ストーカーが33件、DVが95件ございますが、いずれも重大な事案には至っておりません。
 次に、年々増加するストーカーやDV事案への強化策についてお答えいたします。
 県警察では、この種事案の特殊性に鑑み、必要な人員を必要なときに現場の警察署に早期投入する等のため、本年1月9日、警察本部に人身安全関連事案対処体制を整えたところであります。
 今後も、県民の安全と安心を確保するため、警察職員1人1人が危機意識を持ち、迅速かつ的確に組織的な対応を図り、重大事案の未然防止に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 お答えいただきました。
 神奈川県逗子ストーカー殺人事件で、市の職員による個人情報漏えいが女性の被害につながったことが明らかになりました。その取り扱いについて、ことし1月、総務省から通達があったと伺っております。
 その通達の主旨と県下各市町村への対応と今後の個人情報の取り扱いについて、総務部長にお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 神奈川県逗子ストーカー事件では、被害者の夫に成り済ました探偵業者からの電話照会を受けて、市役所職員による個人情報の漏えいがあったとの報道がありました。このため、本年1月に総務省から住民基本台帳事務の適正な運用に関する通知がございました。
 この通知では、外部からの電話による照会には回答が認められないことが再確認されました。また、ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等の被害者の保護のための措置を受けている方の住民票の写し等の閲覧・交付につきまして、加害者からの申し出を拒否し、第三者からの申し出に対しましては本人確認及び利用目的の確認を徹底するなど、厳格な取り扱いを求めております。
 これを受けまして、県においては、各市町村に対しまして通知内容を周知徹底いたしますとともに、今後、県内全市町村で構成する和歌山県市町村職員研修協議会と連携いたしまして研修等を行い、市町村職員に対する個人情報保護への意識の向上を図り個人情報がより厳格に取り扱われるよう、必要な支援、助言をしてまいります。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 この被害者の年齢層を確認しますと、20代が一番多くなっています。もっと若い、例えば中学生、高校生の若年被害者保護課題が指摘されております。
 昨年、「読売新聞」でも紹介された中学生交際相手からのストーカー事案は、学校にも警察にも相談したが、取り扱われなかったそうです。
 改正ストーカー規制法で被害者の通知制度が導入されましたので、警察、公安委員会とも、その趣旨にのっとり、その取り組みをお願いしたいと思います。
 また、事案がふえている現状を考えたときに、警察以外の対応として、知事部局との連携が必要になってまいります。どのような対応ができているのか、福祉保健部長にお聞きしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 県内の連携についてですが、女性相談所では、ストーカー被害者からの相談業務や一時保護を実施しており、相談内容に応じ、臨床心理士によるカウンセリングを行っております。
 相談件数につきましては、平成26年1月末で32件、うち一時保護は4件あり、3件は警察からの保護要請によるもの、1件は相談所で保護し、警察への同行支援を行ったものです。
 次に、DV被害者の支援につきましては、被害者からの相談内容に応じ一時保護を実施し、その件数は平成23年度66件から平成24年度91件と増加しております。
 また、女性相談所の助言等により被害者が申し立て、和歌山地方裁判所が行った接近禁止命令及び退去命令は、平成23年度13件、平成24年度31件となっております。
 ストーカーやDV被害者の支援におきましては、警察との緊密な連携は不可欠であると認識しており、今後とも速やかな対応や情報提供などにより被害者への積極的な支援に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今の御答弁で、女性相談所の役割も非常に大きくなってきているというのがわかりました。
 あわせて、県内の各地との連携や相談支援に地域格差が生じないような対策についても、これはきちっとしていかなきゃいけないと思います。
 再度、福祉保健部長にお伺いしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 女性相談所以外のストーカー、DV被害者への支援でございますが、各振興局に相談員を配置するとともに、紀南地域においては田辺市の民間支援団体に相談業務を委託し、支援体制の充実を図っております。
 また、市町村職員研修会を毎年開催するなど、圏域や市町村によって支援内容に格差が生じないように努めているところでございます。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 続いての質問に入りたいと思います。
 都市再生の推進についてということでございます。
 和歌山市では、昭和60年、40万1352人をピークに、現在は、平成23年には37万人を切り、平成25年12月末現在で36万5000人となっております。
 この間、平成10年度と16年度には中心市街地に関する基本計画、そして平成18年に改正された中心市街地活性化法に基づき、平成19年には近畿で初めて内閣総理大臣の認定を受けた和歌山市中心市街地活性化基本計画を策定し、平成19年から平成24年3月にかけて「歩いて暮らせる賑わいあふれる城まち」を目指して事業を実施してきたそうです。
 計画していた全64事業、例えば複合施設フォルテワジマや、けやき大通りの物販施設、ホテル、住宅整備など、町なかのにぎわいに大きく寄与したものもあります。
 けやき大通り第一種市街地再開発事業で建設された住宅78戸が短期間で完売し、居住人口がふえたことは成功事例と評価できますし、中心市街地のシンボルであった旧丸正百貨店が平成19年12月にフォルテワジマとして再生し、県や市の行政の応援もあり、テナントや周辺の通行量の増加が見られます。
 和歌山市が計画した全64事業のうち59事業が完了したということですが、にぎわいが取り戻せたかというと、当初期待していたほど効果が出ていないと言わざるを得ません。いまだ活性化に至っていないという評価になると思います。
 全国的に見ても、中心市街地活性化の成功例はまだまだ少ない状況です。そんな中で、和歌山市が市まちなか再生計画を策定、平成24年度に行った市民参加セミナー、ワークショップで提案された2030わかやま構想、平成24年6月から有識者会議での議論などを経て、先日、報告会がありました。市役所の14階で、150名ほどの市民が参加し、知事も参加しておられました。
 知事は、記者会見で、都市の再生について県庁としてもかなり力を入れるとし、基本的には市町村が主役で、今までは遠くのほうから眺め、こうやったほうがいいん違いますかという程度だったが、らちが明かないんで、県が具体的なアイデアを示して市町村に提案をしていこうと考えているとおっしゃっておられました。
 これまでの和歌山市市街地活性化策への評価を改めて知事にお聞きしたいと思います。
 また、2点目に、2030わかやま構想についての知事の御見解もお聞きしたいと思います。
 そして、3点目、若者がにぎわうまちづくり、これが私は非常に大事だというふうに思っております。
 知事も、けやき大通りを何とかしたいという思いで再生検討委員会を平成22年に設立し、複数の案が中間報告でとまっています。意見をまとめていく難しさを経験されたのではないでしょうか。
 私は、道路政策と都市政策を一体化させ、けやき大通りからお城までの空間、ここは歩いていける空間として曜日や時間限定で一部歩行者天国ゾーンにして、若者や外国人、そして観光客が集まるまちづくりを目指してはどうかと考えます。和歌山にも若者の新しい息吹が感じられます。
 県庁と新しい市長との協力、連携を図り、若者がにぎわうまちづくりについて、県土整備部長にお考えをお聞きしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山市の中心市街地活性化基本計画は、平成19年に策定され、「歩いて暮らせる賑わいあふれる城まち」を基本テーマに、平成23年度末を目標として、けやき大通り第一種市街地再開発事業など全64事業を実施することとしたものであると理解しております。
 平成24年6月に、和歌山市が最終フォローアップに関する報告を行っておりまして、その中で、御指摘のように、計画された事業はおおむね完成させることができたけれども、周辺への波及効果が少ないなど、いまだ活性化に至っていないと述べられております。
 事実、その報告では、中心市街地の居住人口の減少に歯どめがかからないなど、目標値をいずれも下回ったということも示されておりますけれども、考えてみたら、これは当たり前でありまして、その中心部への土地需要を高めないとそうなるはずがなくて、それにはそんなに全体としての土地需要が、あるいは人口の爆発力がないからには、もしそういうふうにしようと思ったら、周辺部への外縁的発展を少しセーブしなければいけないということであろうかというふうに思っております。
 どういうまちを設計するかは、これはもう市町村の哲学の問題であります。私自身は、何が何でも中心市街地が大事で周辺はどうでもいいんだという考え方は、実はあんまりとっておりません。
 しかしながら、中心市街地活性化というテーマでやるときは、そういうことは大事だ、大事だと言い、それで周辺の開発については、いろんな要望とか圧力があると、どんどん認めてしまうということであれば、これは一体何をしとるのかということになるわけで、そういう観点から、市町村がきちんとした哲学を持ってまちづくりを設計し、そのときに、このような今申し上げましたような観点から都市計画の重要性を指摘し、あるいはまた具体的な再開発プランなんかも提案しながら市町村に働きかけをしていきたいなあというふうに思っている次第でございます。
 次に、2030わかやま構想でございますが、実は、さるところの会合をちょっと途中で中座をいたしまして、後半の部分の発表会に、市役所に行かせていただいて後ろで聞かせていただきました。大変熱のこもった立派な発表会であったと思います。
 この中心人物の藤後さんという方は、実は私のもともとの知り合いでございまして、間接的ではございますけれども、市当局とか市長さんなんかに紹介をしたというところもありますので、私としても大変関心を持っております。平成24年から多くの市民を交えたセミナーとかワークショップなどをなさって、多くの市民から提案をいただいたものを構想として取りまとめたものであるということは、発表会の雰囲気を見てもよくわかる次第でございました。
 この中では、けやき大通りや自転車レーンやジョギングレーンを整備すること、あるいは沿道に斜め駐車のパーキングエリアを設置することなど、新しい町なかの風景としてさまざまな具体的な提案が盛り込まれておりまして、市民からの提案ということもあって、大変盛り上がりのある、よい構想であると思っております。
 今後は、市がせっかく頼んだんでございますので、本構想の具体化について動き出さなければいけないんじゃないかと私は思います。このとおりかどうかは別にして、いずれにしても、具体的な話を市民に提案して意見をまとめて、今度は具体的な行動に移るということが大事でございますが、そうなってくることを願いつつ、県としても構想の具体化に──構想というのはこのままではないかもしれませんが、そういうまちの活性化のためのいろんな工夫ができますように、具体化に向けて喜んで協力していきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 今ほどお話もありましたが、けやき大通りにつきましては、平成22年に地元自治会長からの整備の提案があったことをきっかけに、有識者や地元関係者、また和歌山市からは副市長に御参画いただき、委員会を設立し、整備のあり方について検討を進めてまいりましたが、整備計画案に対し、地元からさまざまな意見が出ました。
 その中には、反対する方も多くいらっしゃったり、やってほしいという方も個々には反対、このような意見もございました。また、市からも有効な案が出てこず、結果として、まとめられなかったため、やむを得なく整備を断念した経緯がございます。
 一方、今回取りまとめられました2030わかやま構想や和歌山市まちなか再生計画には、けやき大通り等の既存道路の空間の活用や町なかの交通、歩行者ネットワークの再構築を行うことで町なかに活気を呼び戻すことができるとされております。
 今後、こうした計画の具体化につきましては、先例に倣いますと、まとまっていくことが大変大事であると考えておりますし、また推進役が必要と考えております。そういった意味では、先ほど知事からの御発言もございましたが、若者を初め多くの方々の意見を聞きながらまとめていく必要があり、県としても協力してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 それぞれ御答弁いただきました。
 県都和歌山市の都市再生ということは、本当に和歌山市民だけじゃなくて県民の悲願でもあるんじゃないかと思うんです。長い間、私も市会議員の経験もさせていただきまして、中心市街地の活性化という策のもとに、いろんな形で市職員も努力を重ねてまいりましたけども、現状は今お話があったとおりだと思います。
 そこに、いろんな御提案がございました。今、お話しさせていただきましたように、和歌山市まちなか再生計画、そして2030わかやま構想、こういういろんな提案が出ておりますけども、これもけやきの経験のように、本当にいろんな形で御意見が出ると思いますけども、しっかりそれを収れんして、そしてまとめていくということをしないと──僕は当局の方といろいろ議論させていただいたんですけども、事業化をするぐらいのつもりがなかったら町なかの再生というのはなかなかできないんじゃないかと思います。
 逆に周辺のほうに──やっぱり車社会でございますので、そういう形で、特に和歌山県なんかは車でないと不便な方が非常に多うございます。そういう中にあって、町なかをいかに再生させていくか、このことの知事に対する期待値も高いと思います。
 今議会におきましても、森礼子議員も中議員も、それから藤本眞利子議員も、また私の後に片桐議員も、和歌山市選出の議員が、東口であったり、西口であったり、市駅周辺であったり、こんな思いはたくさんあるんです。だから、これをしっかり受けとめていただいて、まとめる方向でしっかり知事には頑張っていただきたいと、重ねてお願いを申し上げさしていただきたいと思います。
 4点目に移らせていただきます。
 地域包括ケアシステムについて質問さしていただきたいと思います。
 政府は、介護と医療サービスの提供体制を見直す医療・介護総合推進法案を閣議決定し、国会での法案提出と成立を目指しています。
 お年寄りが重要な要介護状態となっても住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域で医療、介護、予防、生活支援などのサービスを一体的に受けられる地域包括ケアシステムを構築する、それがこの狙いとなっております。
 お手元に配付さしていただきました。これは厚労省が発表しております地域包括ケアシステムのイメージ図になっております。ここにいろいろ説明がございますけども、今までの介護、医療というシステムは、とかく施設が中心にありがちだったんですね。そこに、施設の多様化、そしていろんなニーズの広がりという問題もございまして、身近なところで、この真ん中に人という住まいを設けて、30分ぐらいの圏内でこういう地域包括ケアシステム──介護と医療と、そしてそれを支えるいろんな方々がいらっしゃると。こういうイメージになってるんじゃないかと思うんです。
 団塊の世代が75歳以上になり、高齢化のピークを迎える2025年以降を見据えて、地域の特性を生かし、必要な高齢者ケアの仕組みを実現していくことを目指す内容となっております。
 県では、地域包括ケアシステムのありようを調査し、県内各市町村の地域ケア計画の円滑な策定作業を支援するため、このたびの補正予算と合わせて13カ月予算とした1160万円を計上しておられます。
 介護保険制度は、要介護者を社会全体で支える仕組みとして、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態になり、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにと、自立支援という理念でございました。介護サービスや介護ビジネスの広がりで、公助サービス「介護給付」の負担が大幅にふえ続けているのが現状です。
 明年2015年度から第6期介護保険事業もスタートいたします。
 そこで、何点か質問をいたします。
 厚労省では、2025年までの今後の医療費、介護給付費の推移、そして介護保険料の見通しについてお示しをされております。資料の2という形で、グラフでお示しさせていただいております。
 今後、和歌山県では、この医療費、介護給付費、また介護保険料がどのような見通しになるのか、お答えをいただきたいと思います。
 そして2点目に、今年度、先ほど申し上げました予算の使い方も含めまして、地域包括ケアシステムの県としての対応について。
 3点目、24時間対応の定期巡回・随時対応サービス──定期巡回や随時対応型訪問介護看護ですね──地域包括ケアシステムの柱だと理解しております。全ての地域でどのような対応を考えておられるのか。
 4点目、介護人材の育成こそ県の責務と言えると思います。これをどうするのか。
 以上、福祉保健部長にお尋ねをしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 本県における2025年度の医療費は、単純に推計を行うと、介護保険制度発足直後の2002年度の約2800億円が約4000億円超に、また介護給付費も同様に520億円が1000億円を超えることも考えられるところです。
 また、介護保険料の基準額の県平均は、介護保険制度発足時は月額2910円であったものが現在は5501円、加えて、今後も需要に見合う施設をつくっていくとすれば2025年度には7000円を超えることも考えられます。
 ただ、今申し上げた数字は単純な推計によるものですが、県としましてはできるだけ介護保険料の軽減が望ましいと考えており、このため、制度設計に責任のある国に働きかけを行うとともに、健康長寿の取り組みや介護予防の推進を図るため、さまざまな施策を講じてまいりたいと考えております。
 さらに、このような取り組みに加え、地域見守り活動のさらなる充実、県民それぞれのニーズに応じた老後の住まいと暮らしの安心確保、民間事業者による安心長寿ビジネスの活性化と雇用創出を進め、和歌山に住んでいれば老後は安心だと見通しが立てられるような政策体系を構築してまいりたいと考えております。
 次に、地域包括ケアシステムの県の対応でございますが、来年度、地域包括ケアの実現を図るための計画を県及び市町村で策定してまいります。県では、その際に地域の資源情報や将来推計等の調査分析を行い、課題や方向性を明らかにした上で各老人福祉圏域ごとの地域包括ケアのモデルを提示するなど、市町村が当該モデルを活用しながら地域特性を生かし、創意工夫した計画が策定できるよう支援してまいります。
 次に、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスについては、地域包括ケアシステムを支える新たな地域密着型サービスとして平成24年度に創設されましたが、全国的に普及が進んでいない状況にあり、本県でも和歌山市内の1事業所にとどまっております。
 県としましては、本サービスを普及促進するため、制度内容や事業所開設経費に対する国の補助制度を引き続き市町村や介護サービス事業所等に周知し、新たな参入を働きかけてまいります。
 次に、介護人材の育成についてですが、介護分野への新規就業を支援する「働きながら資格を取る」介護雇用プログラムや就職面談会などを実施するとともに、介護職員の定着につながるよう、介護技術を初め認知症やたんの吸引などの専門性を高めるための各種研修会を実施し、良質なサービスを提供できる介護職員の養成に取り組んでいるところです。
 今後とも、関係団体等と連携しながら介護職場への人材の参入を促進するとともに、キャリアアップ等の支援に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 これは要望にかえさせていただきたいと思いますけども、そういう中で、もちろん予算をつけて、これから介護包括ケアシステム、県がおつくりになっていくんでしょうけども、あくまでも市町村の役割というのが非常に大事になってくると思いますので、今後、しっかり市町村への役割を果たしていただきたいと思います。
 公明党は、この地域包括ケアセンターの推進本部を立ち上げさせていただきました。そして、いろんな各地域のモデルケースをつくりながら、今、推進本部の中で議論をさせていただきながら、また検討もさせていただいているところでございます。今後も、こういうことの質問もまた重ねていきたいと思いますので、あわせてよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、最後の教育問題について質問させていただきたいと思います。
 まず、少人数学級の推進についてお話ししたいと思います。
 国の標準定数が1学級40人を維持したまま改善されない中、子供の自然減と地方自治体の自助努力によって39人以下の少人数学級を先行して実施する都道府県が増加しております。
 少人数学級への取り組みについて、文科省の少人数学級検討会議の調査結果では、子供はもとより、保護者にもよい影響が見込まれることが客観的に浮き彫りになったと報告されております。
 小学校で少人数学級を導入して以降、徐々に欠席や不登校が減少し、中学校では授業に集中して積極的に参加する生徒が多くなったということでございます。また、先生の目が1人1人に行き届いたり、先生が家庭に頻繁に連絡をしたりするようになるなど、学校と家庭の連携という点で効果があったとする指摘もあったようです。しかし、学力の向上については、必ずしもクラスの人数だけで左右されるものではないということでございます。
 しかし、本県のように、学力において活用に課題がある場合は、少人数学級は、クラスの中でじっくり考え、発表し、話し合うなど、授業展開を進める中で効果が出しやすいと思われます。
 小学校における学級編制基準については、平成23年度の法改正により、小学校1年生の35人以下学級の実現が図られたものの、他の学年については小学校2年生のみに加配措置が行われるにとどまっております。
 その結果、本県において、小学校3年生から6年生については、1学年2クラス編制までは38人以下学級、3クラス編制からは35人以下学級を実現しております。文科省の予算措置が伴わず、平成25年4月から県下8校において学級人数が1.5倍から2倍になるところでした。市町村独自の判断で、4校は少人数学級を維持し、1校が2倍にふえ、3校が1.5倍の人数にふえております。
 平成26年度及び27年度における県下少人数学級編制で、どのような状況となるのか。また、県としての対応についてお聞かせいただきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 少人数学級についてお答えします。
 平成26年度につきましては、現小学校2年生が3年生になるとき、3クラスから2クラスに減少する学校は3校、2クラスから1クラスに減少する学校は8校、計11校と見込まれています。また、平成27年度は、現小学校1年生が3年生になるとき、同様にクラス数が減少する学校は13校と予想されます。
 県教育委員会といたしましては、当該学級の実態把握を行い、より適切な学級運営ができるよう努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 お答えいただきました。
 下村文科大臣も、少人数学級の有効性は認めているものの、小学校2年生以上は予算がつかないことに、この県議会としても、昨年3月15日、「少人数学級の推進及び義務教育に必要な財源の確保を求める意見書」を提出しました。御答弁でもありましたが、平成26年度は11校、平成27年度は13校と予想できるそうです。
 40人近いクラスと20人以下のクラスでは、同じ指導方法をとる教員も少ないでしょうし、子供たちの学習も異なってくるはずです。学習意欲や子供の人間関係、そして学校生活への適応性についても考えるべきだと思います。
 県内を一律に眺めるのではなく、教科別や課題解決テーマごとに市町村教育委員会と連携し、近くでは京都式少人数教育のような事例もございます。県独自の工夫を今後していただくように、要望にかえさせていただきます。
 続いて、2つ目の質問に移らせていただきます。
 いじめ問題への対応についてでございます。
 和歌山県は、いじめ問題への対応として、ホームページ上で知事や教育長への直接メールを一昨年開設いたしました。また、いじめアンケートも行い、教師へのマニュアルも配布しております。大変大事な取り組みとして評価しております。
 しかし、直接届くものばかりではありません。現に、子供がつらいと言って教師のところに来ないから問題がなかったわけではなく、見えていなかっただけなんだと反省に立って、いじめ問題に対応していく必要があります。潜在化していて、そのことが長い間、心の傷となり、いじめるほうもいじめられるほうも人間形成に悪影響を与え、学力のつまずきや不登校の原因、そして自殺という深刻な事態にも至ることが、いじめ問題にはあります。
 昨年6月定例県議会において、1月に議員辞職をされた岩田弘彦議員から、いじめ対策に有効とされるハイパーQU、いじめアンケートをぜひ導入すべきだとの質問がございました。御答弁では、前向きな取り組みが期待されておりました。しかし、この新年度には残念ながら導入に至らなかったようです。導入についてどのような検討がなされてきたのか、教育長にお尋ねします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のとおり、平成25年6月議会で、ハイパーQU等の学級集団アセスメント──評価でございますけども──の実施に向けて検討する旨の答弁をいたしました。それを受けまして、ハイパーQUの実施効果を検証するために、他県での取り組み状況や県内で実施している学校の成果を調査し、研究を重ねてまいりました。
 さらに、私自身が、このハイパーQUによる学級集団アセスメントだけではなくて、もっと具体的ないじめ防止のための方策がないかということで、よりよい人間関係を図ることを目的として研究をされていた、いわゆる発達心理学の権威でございますけども、エリクソンという方がいらっしゃいます。その方が提唱されたインテーク面接法、あるいはエクスポージャーというふうな、さまざまな方法がございます。そういうふうなさまざまなものをいろいろと研究させていただきました。
 そうした中で、ハイパーQUは児童生徒や学級集団の実態を把握する手段としては有効なものの1つであるということは確認はできましたけれども、いじめを未然に防止するために実効性のあるものかどうかについては、さらなる検討が必要であると判断をいたしまして、実施を見送ることにいたしました。
 今後、いじめの防止のために、このハイパーQUを含めて、より有効性のある方策について多面的に研究してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきました。
 「検討」という言葉に、本当に私はいろんな思いを感じるんですけども、実は昨年のこの岩田議員に対しては、実施に向けて検討されるという内容だったと思います。
 いろんなことを検討されたんでしょうけども、この重みは、僕はあると思いますし、別に私自身がこの出版社が発行しているハイパーQUについてということではございませんでしたけども、特にいじめ問題が大きな本県教育の最大の課題だと教育長もおっしゃっておりましたので前向きな答弁をしていただいたと、こういう認識でございました。
 私も、このハイパーQUについて、ちょっと調べてきました。昨年、TBSの「夢の扉」でも紹介されておりましたので、御存じの方も多いかもわかりませんけども、目には見えない問題を早期に発見、いじめ・不登校問題をあぶり出す、教育現場を激変させる心理検査と紹介をされております。
 これは、20年前に、早稲田大学・河村茂雄教授の開発したQUアンケートでございます。いじめ発見率95%とうたわれております。いじめを未然に防ぐツールとして、現在は230の自治体で年間448万部の発行と、多くの学校で用いられているようです。我が和歌山県内でも3市3町が採用されており、また今年度もふえていく傾向だそうでございます。
 教育委員会が検討されたのは、いろいろあったと思いますけども、いじめ問題についてどういう形で子供たちの心のありよう、またクラスのありよう、それを調査していくかということだけではなく、このハイパーQUについて、教育委員会所管の学びの丘には、河村教授のもとで研修を受けて、この診断を分析できる優秀なスタッフもそろっていると、こういう環境にもございました。非常に残念ではございますけども、本当に速やかな対応をお願いしたいということと、ぜひこの学びの丘のスタッフ、この方々を中心に、今検討されているようなことをどんなふうに和歌山県内の中で展開されていくのか、答弁をお聞きしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のように、いじめの問題というのは非常に深刻な問題であるというふうに私自身も厳しく受けとめております。
 教育センターの学びの丘には、御指摘のようにハイパーQUについて研究している者がいることから、平成26年度につきましては、学びの丘が中心となり、和歌山市教育委員会と連携をして、複数の小中学校でハイパーQUによる調査、分析と人間関係づくりの手法──具体的な方策がないと効果がありませんので、そういう人間関係づくりの手法等を組み合わせたよりよい学級集団づくりの実証研究を行うことといたしております。
 今後も、和歌山市を含め、当該の市町と連携しながら検証を進め、先ほどお答え申し上げましたようにいじめ防止のために、ハイパーQUを含めて、より有効性のある方策について多面的に検討してまいりたいというふうに考えております。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 最後に、意見を申し上げたいと思います。
 本当に、今の取り組みにつきましては、前向きに和歌山市でおやりになるということですから、よい方向に行くようにという期待をさせていただきたいと思います。
 また、いじめ問題という教育の大きな課題解決に向けて、県教育委員会の判断が適切であったかどうかという疑問を私は持ちました。いつまで検討されるのでしょうか。適切で機動的な決断を速やかにお願いをして、いじめ問題への対応を県教育委員会としてもしっかりとっていただきたい。このように意見を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。

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