平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(全文)


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平成26年2月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
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議事日程 第6号
 平成26年3月5日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第52号まで、議案第54号、議案第56号から
    議案第80号まで、議案第82号から議案第87号まで及び議案第89号から議案第100号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第52号まで、議案第54号、議案第56号から
    議案第80号まで、議案第82号から議案第87号まで及び議案第89号から議案第100号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(38人)
 1番 立谷誠一
 2番 濱口太史
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 18番 岸本 健
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 森 礼子
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
 10番 欠員
 17番 欠員
 36番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       市川靖之
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     塩崎 望
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     石原康弘
 会計管理者      植山 均
 教育委員会委員長   山本 哲
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第52号まで、議案第54号、議案第56号から議案第80号まで、議案第82号から議案第87号まで及び議案第89号から議案第100号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問に入りたいと思います。
 まず、県職員の不祥事について申し上げたいと思います。
 知事部局について申し上げますと、一昨年度は、収入証紙の売り上げの一部を抜き取り着服、昨年度の供応接待及び旅費不正取得、盗撮行為による迷惑防止条例違反、そして、今年度の異議申立書の放置、職員同士の暴力行為や酒気帯び運転及び事故、知事公印をコピーしての公文書偽造、先月には出張旅費に関する架空請求で公金の着服。免職や自主免職扱いとなっており、県民には、そんなことがまだ行われているのかという戸惑いがございます。
 仁坂県政のスタートは、県政への信頼回復であったと思います。就任直後の平成19年、検察庁OBの監察査察官をトップに、全国初めての監察査察制度を県庁内に設けました。県民の皆様から寄せられた不正行為通報の調査や県庁の事務などが適正かつ効率的に行われているかどうか調査し、必要により改善や再発防止を図ってきておられます。
 現状の不祥事を鑑み、今後どのような対応をお考えか、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
 次に、警察本部長に申し上げます。
 最近の新聞やマスコミ報道により、県警察の刑事企画課員による暴力団幹部に対する捜査情報漏えい事案や、刑事企画課長、機動捜査隊長といった重責の幹部職員と暴力団関係者との不適切な関係が明らかになりました。
 組織犯罪対策情報が漏えいしていることは、情報の管理上、著しくその信頼性を損なう重大な事件であり、官民一体となり暴力団排除活動を推進しているさなかにあって、信頼を著しく低減させる出来事となりました。
 また、昨年11月には第79回民事介入暴力対策全国大会をこの和歌山で開催し、同日に第22回暴力追放県民・市民大会を主催者側の1人として行い、暴力団撲滅、反社会的勢力を徹底的に排除しようとする機運に水を差す最悪のタイミングになったことも言わざるを得ません。
 まして、その中核を担うべき中枢の警察官が反社会勢力と不適切な関係があったことは、その衝撃は、はかり知れないものがあったことも間違いない事実です。大変残念としか言いようがございません。
 もちろん、日々黙々と地域の安全を確保するため勤務に従事している交番、駐在所勤務の警察官や、県民の身近で発生する犯罪や社会を震撼させる凶悪犯罪の犯人を検挙すべく昼夜を分かたず捜査に従事している刑事警察官が多くおられることは、承知しております。
 しかし、一握りの不心得者のために、警察に対する県民の信頼は一瞬にして失墜します。また、そのほかにも、年初から警察官の懲戒事案が発生していることは、県民への不安をあおるものとなっております。
 これら非違事案に対する本部長の御所見と再発防止策について、真摯な御答弁をお伺いいたします。
 あわせて、警察本部を管理する公安委員会にもお聞きしたいと思います。
 昨年4月、公安委員長は、「警察による被疑事案や不適切事案を出さないよう、固い決意を持ってほしい」と訓示されております。公安委員会として、このたびの事態を受けてどのような対応をお考えか、公安委員会にお伺いいたします。
 次に、教育委員会の不祥事について教育長にお伺いします。
 教員は、教育公務員として、県民の模範となり得る存在として特に期待されております。しかし、ここ数年、毎年のように県民の信頼を損なうような不祥事が常態化しています。平成22年から24年度は懲戒処分7件、昨年25年度は同じく8件。この中には管理職の方も入っておられます。
 文教委員会の折にも指摘させていただいておりますけども、平成26年度のスタートに当たり、改めて再発防止に向けて教育長の決意をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 最近、県庁で不祥事が幾つかございましたのは、大変遺憾に思っております。
 清潔で透明性の確保された県政を実現するためには、全ての職場の1人1人が、その職責に応じ、より志の高い意識を持って公務に当たることが必要であると考えております。
 職員の懲戒処分事案の発生については残念でございますけれども、清潔及び透明性という観点では、監察査察制度の運用が開始された以降は、不祥事が発生してもすぐばれるというようなことでございますし、また、そういうときに全容を解明して公表するなど、当該制度は有効に機能していると考えております。
 新聞に報じられたもののほか、例えばセクシャルハラスメントとかパワーハラスメントになりかねないような事案についても、それを大ごとにならないようにきちんと処理するというようなことも含めて機能していると思っております。
 また、不正のほかに気の緩み──暴力事件がありましたけれども、そういうようなところも、これは憂慮すべきことだと考えております。
 今後の職員による不祥事の再発防止策としては、研修等で服務規律の遵守、綱紀の厳正保持等の徹底を図るというのはもちろんでございますけれども、こういう心がけだけではどうもよくないというふうに思っておりまして、特に不正を招来した原因として借金の問題がございましたので、これについてもちゃんと役所ぐるみできちんと対応できるように、そういう制度も設けさせていただきました。
 さらに、これは残念なんですけども、前に不正事件が起こったときに、会計処理については、それが発生しないような工夫を全庁的に通達をして、それがなされているものと思っておりましたが、実は最近の事例でそうでなかったということがわかりました。
 そういうこともございますので、会計処理とか公印の管理などの点で指令がきちんと守られているかどうか、そういう点を重視いたしまして、監察査察課に、いま一度、全庁的に立入調査をしてもらうようにお願いをしているところであります。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘の子供や県民のまさに模範とならなければならない教職員の不祥事につきましては、大変遺憾に思ってございます。
 この教職員の不祥事防止につきましては、これまでも、県立学校長会や市町村教育長会議等におきまして厳しく指導してきており、各学校においても、学校長が所属職員に対して研修や個別面談を行うとともに、本県で作成したチェックリストを全教職員に配付し、不祥事を起こさせないための自己管理の徹底など、さまざまな取り組みを行ってきたところです。
 さらに、今年度は、県教育委員会が作成した不祥事防止マニュアルを県内全ての学校に配付し、各校でそれを活用し、研修会を実施するよう指導しているところでございます。
 しかしながら、いまだ不祥事が相次いでいることから、今後、職員会議だけではなくて、職員朝礼を利用するなど、さまざまな機会を捉え、より一層研修の充実を図り、教職員1人1人が教育公務員としての職責の重さを自覚し、不祥事根絶に向けた意識が高まるよう指導の徹底を図ってまいります。
○議長(山田正彦君) 警察本部長植田秀人君。
  〔植田秀人君、登壇〕
○警察本部長(植田秀人君) まず、県民の皆様と一丸となって暴力団排除活動を推進している中で、議員御指摘の事案を発生させたことは、警察職員としての信用を著しく失墜するものであり、県民の皆様に深くおわびを申し上げます。
 本事案につきましては、組織犯罪捜査に対する県民の信頼を揺るがすものと重く受けとめ、再発防止を図るため、組織犯罪対策部門における情報収集対象者との接触や情報収集活動のあり方、職務の公正を疑われ、または職務に支障を及ぼすおそれのある部外者との交際について通達を発出して、その適正を図るよう厳しく指示し、全警察職員への周知徹底を図っているところでございます。
 また、幹部警察官を含め、私生活上の非違事案も発生していることから、業務管理の強化のみならず、身上把握、指導を徹底するとともに職員に対する職務倫理教養を反復継続し、再発防止に向けた取り組みに全力を挙げる所存でございます。
○議長(山田正彦君) 公安委員溝端莊悟君。
  〔溝端莊悟君、登壇〕
○公安委員会委員(溝端莊悟君) 公安委員会を代表させていただき、お答え申し上げます。
 県警察において今回のような不祥事案が発生したことは、県警察を管理する公安委員会としましては、極めて遺憾であり、非常に重く受けとめております。
 当公安委員会は、これまで機会あるごとに警察本部長を初めとする警察幹部に対して、組織管理の徹底、特に非違・非行事案の根絶について指示をしてきたところでございますが、これまでの指示や進めてきた対策が十分でなかったと言わざるを得ない状況にあります。
 本件不祥事案の発覚を受け、当公安委員会は直ちに警察本部長に対し、事案の全容解明、そして発生要因の徹底究明、再発防止策の早期の策定と推進について指示したところでございます。
 今後、県警察では、危機感を持った各種対策の推進、さらなる業務管理の強化、職員の身上把握、指導の徹底など、再発防止に向け取り組んでいくわけでございますが、公安委員会としましては、これまで以上に県警察に対する管理機能を強化し、県警察が進める諸対策の進捗状況等を都度点検し、適時適切に指示、指導を行い、県警察における不祥事案の根絶に向け、尽力してまいる所存でございます。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 それぞれお答えいただきました。「民信なくば立たず」という、こういう言葉もございますので、しっかりこれからの対応をお願いしたいと思います。
 続いて、2つ目の質問に入らせていただきます。
 ストーカー、配偶者からの暴力対策についてでございます。
 ストーカーや配偶者からの暴力、いわゆるDVがふえており、社会問題となっております。昨年、平成24年1年間の全国のストーカー事案の認知件数が1万9920件、ストーカー規制法に基づく警告件数は2284件、ストーカー規制法が施行された平成12年以降で過去最多となってしまいました。また、DV認知件数も4万3950件と増加しております。
 増加した理由は、2年前、長崎県西海市で発生したストーカー殺人事件を受け、被害者側からの意識が高まり、警察に相談に訪れたことや、警察側からも被害者からの相談に積極的に対応してきたからだと思われます。
 和歌山市内でも、一昨年、元交際していた男性が女性の職場で殺害、犯人は現場から逃走し、近くの病院の寮の4階通路付近から飛び降り自殺という、まことに残念な事件がございました。
 その後も全国では、神奈川県逗子市で、昨年も東京三鷹市でストーカーによる殺人事件が発生しております。この2つの事件は、事前に警察に相談されたにもかかわらず、残念ながら殺人という凶悪事件を防ぐことができませんでした。
 特に三鷹の事件については、改正されたストーカー規制法が全面施行された直後の犯行であり、また、警視庁三鷹署に相談に行った当日に被害者が殺害されるなど、被害を事前に防げなかったことがまことに残念でなりません。
 しかし、時代の変化に伴い、長崎県や東京三鷹市の事件のように関係者の住所、場所が数県をまたぎ広域化するなど、1つの県だけでの対応には限界があると思います。
 このような現状を踏まえて、広域連携という視点から、相談段階から被害を未然に防止するために県警察本部としてどのような対応を講じているのか。
 また、本県における昨年1年間のストーカー認知件数は321件、DV認知件数は624件と既に発表されております。年々ふえている現状の中で、ストーカーやDV対策にどのような強化策をお考えか、警察本部長にお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 警察本部長。
  〔植田秀人君、登壇〕
○警察本部長(植田秀人君) まず最初に、ストーカー事案について、広域連携という視点から対応についてお答えいたします。
 ストーカー事案は、当初は小さなトラブルであっても、行為がエスカレートして状況が急展開し、殺人事件などの重大事件に発展するおそれがあります。
 このため、ストーカー事案の相談を認知すれば、事案ごとに危険性を判断し、被害者保護を最優先に、被害者や必要に応じて親族等の避難措置を講じるとともに、事件化できるものは事件化を、また事件に至らない場合には警告をするなど、諸対策を講じているところであります。
 議員御指摘のとおり、この種事案は関係者が複数県に及び、1都府県だけでは対応できないことがあります。このため、警察といたしましては、行為者や被害者、その関係者の居住地を管轄する警察本部に事案概要を速報し、必要な措置を具体的に依頼するなど相互に連携を図り、事案の未然防止に努めています。
 一昨年、当県警が他の都道府県警察と相互に連携を図った事案は、ストーカーが33件、DVが95件ございますが、いずれも重大な事案には至っておりません。
 次に、年々増加するストーカーやDV事案への強化策についてお答えいたします。
 県警察では、この種事案の特殊性に鑑み、必要な人員を必要なときに現場の警察署に早期投入する等のため、本年1月9日、警察本部に人身安全関連事案対処体制を整えたところであります。
 今後も、県民の安全と安心を確保するため、警察職員1人1人が危機意識を持ち、迅速かつ的確に組織的な対応を図り、重大事案の未然防止に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 お答えいただきました。
 神奈川県逗子ストーカー殺人事件で、市の職員による個人情報漏えいが女性の被害につながったことが明らかになりました。その取り扱いについて、ことし1月、総務省から通達があったと伺っております。
 その通達の主旨と県下各市町村への対応と今後の個人情報の取り扱いについて、総務部長にお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 神奈川県逗子ストーカー事件では、被害者の夫に成り済ました探偵業者からの電話照会を受けて、市役所職員による個人情報の漏えいがあったとの報道がありました。このため、本年1月に総務省から住民基本台帳事務の適正な運用に関する通知がございました。
 この通知では、外部からの電話による照会には回答が認められないことが再確認されました。また、ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等の被害者の保護のための措置を受けている方の住民票の写し等の閲覧・交付につきまして、加害者からの申し出を拒否し、第三者からの申し出に対しましては本人確認及び利用目的の確認を徹底するなど、厳格な取り扱いを求めております。
 これを受けまして、県においては、各市町村に対しまして通知内容を周知徹底いたしますとともに、今後、県内全市町村で構成する和歌山県市町村職員研修協議会と連携いたしまして研修等を行い、市町村職員に対する個人情報保護への意識の向上を図り個人情報がより厳格に取り扱われるよう、必要な支援、助言をしてまいります。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 この被害者の年齢層を確認しますと、20代が一番多くなっています。もっと若い、例えば中学生、高校生の若年被害者保護課題が指摘されております。
 昨年、「読売新聞」でも紹介された中学生交際相手からのストーカー事案は、学校にも警察にも相談したが、取り扱われなかったそうです。
 改正ストーカー規制法で被害者の通知制度が導入されましたので、警察、公安委員会とも、その趣旨にのっとり、その取り組みをお願いしたいと思います。
 また、事案がふえている現状を考えたときに、警察以外の対応として、知事部局との連携が必要になってまいります。どのような対応ができているのか、福祉保健部長にお聞きしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 県内の連携についてですが、女性相談所では、ストーカー被害者からの相談業務や一時保護を実施しており、相談内容に応じ、臨床心理士によるカウンセリングを行っております。
 相談件数につきましては、平成26年1月末で32件、うち一時保護は4件あり、3件は警察からの保護要請によるもの、1件は相談所で保護し、警察への同行支援を行ったものです。
 次に、DV被害者の支援につきましては、被害者からの相談内容に応じ一時保護を実施し、その件数は平成23年度66件から平成24年度91件と増加しております。
 また、女性相談所の助言等により被害者が申し立て、和歌山地方裁判所が行った接近禁止命令及び退去命令は、平成23年度13件、平成24年度31件となっております。
 ストーカーやDV被害者の支援におきましては、警察との緊密な連携は不可欠であると認識しており、今後とも速やかな対応や情報提供などにより被害者への積極的な支援に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今の御答弁で、女性相談所の役割も非常に大きくなってきているというのがわかりました。
 あわせて、県内の各地との連携や相談支援に地域格差が生じないような対策についても、これはきちっとしていかなきゃいけないと思います。
 再度、福祉保健部長にお伺いしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 女性相談所以外のストーカー、DV被害者への支援でございますが、各振興局に相談員を配置するとともに、紀南地域においては田辺市の民間支援団体に相談業務を委託し、支援体制の充実を図っております。
 また、市町村職員研修会を毎年開催するなど、圏域や市町村によって支援内容に格差が生じないように努めているところでございます。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 続いての質問に入りたいと思います。
 都市再生の推進についてということでございます。
 和歌山市では、昭和60年、40万1352人をピークに、現在は、平成23年には37万人を切り、平成25年12月末現在で36万5000人となっております。
 この間、平成10年度と16年度には中心市街地に関する基本計画、そして平成18年に改正された中心市街地活性化法に基づき、平成19年には近畿で初めて内閣総理大臣の認定を受けた和歌山市中心市街地活性化基本計画を策定し、平成19年から平成24年3月にかけて「歩いて暮らせる賑わいあふれる城まち」を目指して事業を実施してきたそうです。
 計画していた全64事業、例えば複合施設フォルテワジマや、けやき大通りの物販施設、ホテル、住宅整備など、町なかのにぎわいに大きく寄与したものもあります。
 けやき大通り第一種市街地再開発事業で建設された住宅78戸が短期間で完売し、居住人口がふえたことは成功事例と評価できますし、中心市街地のシンボルであった旧丸正百貨店が平成19年12月にフォルテワジマとして再生し、県や市の行政の応援もあり、テナントや周辺の通行量の増加が見られます。
 和歌山市が計画した全64事業のうち59事業が完了したということですが、にぎわいが取り戻せたかというと、当初期待していたほど効果が出ていないと言わざるを得ません。いまだ活性化に至っていないという評価になると思います。
 全国的に見ても、中心市街地活性化の成功例はまだまだ少ない状況です。そんな中で、和歌山市が市まちなか再生計画を策定、平成24年度に行った市民参加セミナー、ワークショップで提案された2030わかやま構想、平成24年6月から有識者会議での議論などを経て、先日、報告会がありました。市役所の14階で、150名ほどの市民が参加し、知事も参加しておられました。
 知事は、記者会見で、都市の再生について県庁としてもかなり力を入れるとし、基本的には市町村が主役で、今までは遠くのほうから眺め、こうやったほうがいいん違いますかという程度だったが、らちが明かないんで、県が具体的なアイデアを示して市町村に提案をしていこうと考えているとおっしゃっておられました。
 これまでの和歌山市市街地活性化策への評価を改めて知事にお聞きしたいと思います。
 また、2点目に、2030わかやま構想についての知事の御見解もお聞きしたいと思います。
 そして、3点目、若者がにぎわうまちづくり、これが私は非常に大事だというふうに思っております。
 知事も、けやき大通りを何とかしたいという思いで再生検討委員会を平成22年に設立し、複数の案が中間報告でとまっています。意見をまとめていく難しさを経験されたのではないでしょうか。
 私は、道路政策と都市政策を一体化させ、けやき大通りからお城までの空間、ここは歩いていける空間として曜日や時間限定で一部歩行者天国ゾーンにして、若者や外国人、そして観光客が集まるまちづくりを目指してはどうかと考えます。和歌山にも若者の新しい息吹が感じられます。
 県庁と新しい市長との協力、連携を図り、若者がにぎわうまちづくりについて、県土整備部長にお考えをお聞きしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山市の中心市街地活性化基本計画は、平成19年に策定され、「歩いて暮らせる賑わいあふれる城まち」を基本テーマに、平成23年度末を目標として、けやき大通り第一種市街地再開発事業など全64事業を実施することとしたものであると理解しております。
 平成24年6月に、和歌山市が最終フォローアップに関する報告を行っておりまして、その中で、御指摘のように、計画された事業はおおむね完成させることができたけれども、周辺への波及効果が少ないなど、いまだ活性化に至っていないと述べられております。
 事実、その報告では、中心市街地の居住人口の減少に歯どめがかからないなど、目標値をいずれも下回ったということも示されておりますけれども、考えてみたら、これは当たり前でありまして、その中心部への土地需要を高めないとそうなるはずがなくて、それにはそんなに全体としての土地需要が、あるいは人口の爆発力がないからには、もしそういうふうにしようと思ったら、周辺部への外縁的発展を少しセーブしなければいけないということであろうかというふうに思っております。
 どういうまちを設計するかは、これはもう市町村の哲学の問題であります。私自身は、何が何でも中心市街地が大事で周辺はどうでもいいんだという考え方は、実はあんまりとっておりません。
 しかしながら、中心市街地活性化というテーマでやるときは、そういうことは大事だ、大事だと言い、それで周辺の開発については、いろんな要望とか圧力があると、どんどん認めてしまうということであれば、これは一体何をしとるのかということになるわけで、そういう観点から、市町村がきちんとした哲学を持ってまちづくりを設計し、そのときに、このような今申し上げましたような観点から都市計画の重要性を指摘し、あるいはまた具体的な再開発プランなんかも提案しながら市町村に働きかけをしていきたいなあというふうに思っている次第でございます。
 次に、2030わかやま構想でございますが、実は、さるところの会合をちょっと途中で中座をいたしまして、後半の部分の発表会に、市役所に行かせていただいて後ろで聞かせていただきました。大変熱のこもった立派な発表会であったと思います。
 この中心人物の藤後さんという方は、実は私のもともとの知り合いでございまして、間接的ではございますけれども、市当局とか市長さんなんかに紹介をしたというところもありますので、私としても大変関心を持っております。平成24年から多くの市民を交えたセミナーとかワークショップなどをなさって、多くの市民から提案をいただいたものを構想として取りまとめたものであるということは、発表会の雰囲気を見てもよくわかる次第でございました。
 この中では、けやき大通りや自転車レーンやジョギングレーンを整備すること、あるいは沿道に斜め駐車のパーキングエリアを設置することなど、新しい町なかの風景としてさまざまな具体的な提案が盛り込まれておりまして、市民からの提案ということもあって、大変盛り上がりのある、よい構想であると思っております。
 今後は、市がせっかく頼んだんでございますので、本構想の具体化について動き出さなければいけないんじゃないかと私は思います。このとおりかどうかは別にして、いずれにしても、具体的な話を市民に提案して意見をまとめて、今度は具体的な行動に移るということが大事でございますが、そうなってくることを願いつつ、県としても構想の具体化に──構想というのはこのままではないかもしれませんが、そういうまちの活性化のためのいろんな工夫ができますように、具体化に向けて喜んで協力していきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 今ほどお話もありましたが、けやき大通りにつきましては、平成22年に地元自治会長からの整備の提案があったことをきっかけに、有識者や地元関係者、また和歌山市からは副市長に御参画いただき、委員会を設立し、整備のあり方について検討を進めてまいりましたが、整備計画案に対し、地元からさまざまな意見が出ました。
 その中には、反対する方も多くいらっしゃったり、やってほしいという方も個々には反対、このような意見もございました。また、市からも有効な案が出てこず、結果として、まとめられなかったため、やむを得なく整備を断念した経緯がございます。
 一方、今回取りまとめられました2030わかやま構想や和歌山市まちなか再生計画には、けやき大通り等の既存道路の空間の活用や町なかの交通、歩行者ネットワークの再構築を行うことで町なかに活気を呼び戻すことができるとされております。
 今後、こうした計画の具体化につきましては、先例に倣いますと、まとまっていくことが大変大事であると考えておりますし、また推進役が必要と考えております。そういった意味では、先ほど知事からの御発言もございましたが、若者を初め多くの方々の意見を聞きながらまとめていく必要があり、県としても協力してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 それぞれ御答弁いただきました。
 県都和歌山市の都市再生ということは、本当に和歌山市民だけじゃなくて県民の悲願でもあるんじゃないかと思うんです。長い間、私も市会議員の経験もさせていただきまして、中心市街地の活性化という策のもとに、いろんな形で市職員も努力を重ねてまいりましたけども、現状は今お話があったとおりだと思います。
 そこに、いろんな御提案がございました。今、お話しさせていただきましたように、和歌山市まちなか再生計画、そして2030わかやま構想、こういういろんな提案が出ておりますけども、これもけやきの経験のように、本当にいろんな形で御意見が出ると思いますけども、しっかりそれを収れんして、そしてまとめていくということをしないと──僕は当局の方といろいろ議論させていただいたんですけども、事業化をするぐらいのつもりがなかったら町なかの再生というのはなかなかできないんじゃないかと思います。
 逆に周辺のほうに──やっぱり車社会でございますので、そういう形で、特に和歌山県なんかは車でないと不便な方が非常に多うございます。そういう中にあって、町なかをいかに再生させていくか、このことの知事に対する期待値も高いと思います。
 今議会におきましても、森礼子議員も中議員も、それから藤本眞利子議員も、また私の後に片桐議員も、和歌山市選出の議員が、東口であったり、西口であったり、市駅周辺であったり、こんな思いはたくさんあるんです。だから、これをしっかり受けとめていただいて、まとめる方向でしっかり知事には頑張っていただきたいと、重ねてお願いを申し上げさしていただきたいと思います。
 4点目に移らせていただきます。
 地域包括ケアシステムについて質問さしていただきたいと思います。
 政府は、介護と医療サービスの提供体制を見直す医療・介護総合推進法案を閣議決定し、国会での法案提出と成立を目指しています。
 お年寄りが重要な要介護状態となっても住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域で医療、介護、予防、生活支援などのサービスを一体的に受けられる地域包括ケアシステムを構築する、それがこの狙いとなっております。
 お手元に配付さしていただきました。これは厚労省が発表しております地域包括ケアシステムのイメージ図になっております。ここにいろいろ説明がございますけども、今までの介護、医療というシステムは、とかく施設が中心にありがちだったんですね。そこに、施設の多様化、そしていろんなニーズの広がりという問題もございまして、身近なところで、この真ん中に人という住まいを設けて、30分ぐらいの圏内でこういう地域包括ケアシステム──介護と医療と、そしてそれを支えるいろんな方々がいらっしゃると。こういうイメージになってるんじゃないかと思うんです。
 団塊の世代が75歳以上になり、高齢化のピークを迎える2025年以降を見据えて、地域の特性を生かし、必要な高齢者ケアの仕組みを実現していくことを目指す内容となっております。
 県では、地域包括ケアシステムのありようを調査し、県内各市町村の地域ケア計画の円滑な策定作業を支援するため、このたびの補正予算と合わせて13カ月予算とした1160万円を計上しておられます。
 介護保険制度は、要介護者を社会全体で支える仕組みとして、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態になり、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにと、自立支援という理念でございました。介護サービスや介護ビジネスの広がりで、公助サービス「介護給付」の負担が大幅にふえ続けているのが現状です。
 明年2015年度から第6期介護保険事業もスタートいたします。
 そこで、何点か質問をいたします。
 厚労省では、2025年までの今後の医療費、介護給付費の推移、そして介護保険料の見通しについてお示しをされております。資料の2という形で、グラフでお示しさせていただいております。
 今後、和歌山県では、この医療費、介護給付費、また介護保険料がどのような見通しになるのか、お答えをいただきたいと思います。
 そして2点目に、今年度、先ほど申し上げました予算の使い方も含めまして、地域包括ケアシステムの県としての対応について。
 3点目、24時間対応の定期巡回・随時対応サービス──定期巡回や随時対応型訪問介護看護ですね──地域包括ケアシステムの柱だと理解しております。全ての地域でどのような対応を考えておられるのか。
 4点目、介護人材の育成こそ県の責務と言えると思います。これをどうするのか。
 以上、福祉保健部長にお尋ねをしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 本県における2025年度の医療費は、単純に推計を行うと、介護保険制度発足直後の2002年度の約2800億円が約4000億円超に、また介護給付費も同様に520億円が1000億円を超えることも考えられるところです。
 また、介護保険料の基準額の県平均は、介護保険制度発足時は月額2910円であったものが現在は5501円、加えて、今後も需要に見合う施設をつくっていくとすれば2025年度には7000円を超えることも考えられます。
 ただ、今申し上げた数字は単純な推計によるものですが、県としましてはできるだけ介護保険料の軽減が望ましいと考えており、このため、制度設計に責任のある国に働きかけを行うとともに、健康長寿の取り組みや介護予防の推進を図るため、さまざまな施策を講じてまいりたいと考えております。
 さらに、このような取り組みに加え、地域見守り活動のさらなる充実、県民それぞれのニーズに応じた老後の住まいと暮らしの安心確保、民間事業者による安心長寿ビジネスの活性化と雇用創出を進め、和歌山に住んでいれば老後は安心だと見通しが立てられるような政策体系を構築してまいりたいと考えております。
 次に、地域包括ケアシステムの県の対応でございますが、来年度、地域包括ケアの実現を図るための計画を県及び市町村で策定してまいります。県では、その際に地域の資源情報や将来推計等の調査分析を行い、課題や方向性を明らかにした上で各老人福祉圏域ごとの地域包括ケアのモデルを提示するなど、市町村が当該モデルを活用しながら地域特性を生かし、創意工夫した計画が策定できるよう支援してまいります。
 次に、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスについては、地域包括ケアシステムを支える新たな地域密着型サービスとして平成24年度に創設されましたが、全国的に普及が進んでいない状況にあり、本県でも和歌山市内の1事業所にとどまっております。
 県としましては、本サービスを普及促進するため、制度内容や事業所開設経費に対する国の補助制度を引き続き市町村や介護サービス事業所等に周知し、新たな参入を働きかけてまいります。
 次に、介護人材の育成についてですが、介護分野への新規就業を支援する「働きながら資格を取る」介護雇用プログラムや就職面談会などを実施するとともに、介護職員の定着につながるよう、介護技術を初め認知症やたんの吸引などの専門性を高めるための各種研修会を実施し、良質なサービスを提供できる介護職員の養成に取り組んでいるところです。
 今後とも、関係団体等と連携しながら介護職場への人材の参入を促進するとともに、キャリアアップ等の支援に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 これは要望にかえさせていただきたいと思いますけども、そういう中で、もちろん予算をつけて、これから介護包括ケアシステム、県がおつくりになっていくんでしょうけども、あくまでも市町村の役割というのが非常に大事になってくると思いますので、今後、しっかり市町村への役割を果たしていただきたいと思います。
 公明党は、この地域包括ケアセンターの推進本部を立ち上げさせていただきました。そして、いろんな各地域のモデルケースをつくりながら、今、推進本部の中で議論をさせていただきながら、また検討もさせていただいているところでございます。今後も、こういうことの質問もまた重ねていきたいと思いますので、あわせてよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、最後の教育問題について質問させていただきたいと思います。
 まず、少人数学級の推進についてお話ししたいと思います。
 国の標準定数が1学級40人を維持したまま改善されない中、子供の自然減と地方自治体の自助努力によって39人以下の少人数学級を先行して実施する都道府県が増加しております。
 少人数学級への取り組みについて、文科省の少人数学級検討会議の調査結果では、子供はもとより、保護者にもよい影響が見込まれることが客観的に浮き彫りになったと報告されております。
 小学校で少人数学級を導入して以降、徐々に欠席や不登校が減少し、中学校では授業に集中して積極的に参加する生徒が多くなったということでございます。また、先生の目が1人1人に行き届いたり、先生が家庭に頻繁に連絡をしたりするようになるなど、学校と家庭の連携という点で効果があったとする指摘もあったようです。しかし、学力の向上については、必ずしもクラスの人数だけで左右されるものではないということでございます。
 しかし、本県のように、学力において活用に課題がある場合は、少人数学級は、クラスの中でじっくり考え、発表し、話し合うなど、授業展開を進める中で効果が出しやすいと思われます。
 小学校における学級編制基準については、平成23年度の法改正により、小学校1年生の35人以下学級の実現が図られたものの、他の学年については小学校2年生のみに加配措置が行われるにとどまっております。
 その結果、本県において、小学校3年生から6年生については、1学年2クラス編制までは38人以下学級、3クラス編制からは35人以下学級を実現しております。文科省の予算措置が伴わず、平成25年4月から県下8校において学級人数が1.5倍から2倍になるところでした。市町村独自の判断で、4校は少人数学級を維持し、1校が2倍にふえ、3校が1.5倍の人数にふえております。
 平成26年度及び27年度における県下少人数学級編制で、どのような状況となるのか。また、県としての対応についてお聞かせいただきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 少人数学級についてお答えします。
 平成26年度につきましては、現小学校2年生が3年生になるとき、3クラスから2クラスに減少する学校は3校、2クラスから1クラスに減少する学校は8校、計11校と見込まれています。また、平成27年度は、現小学校1年生が3年生になるとき、同様にクラス数が減少する学校は13校と予想されます。
 県教育委員会といたしましては、当該学級の実態把握を行い、より適切な学級運営ができるよう努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 お答えいただきました。
 下村文科大臣も、少人数学級の有効性は認めているものの、小学校2年生以上は予算がつかないことに、この県議会としても、昨年3月15日、「少人数学級の推進及び義務教育に必要な財源の確保を求める意見書」を提出しました。御答弁でもありましたが、平成26年度は11校、平成27年度は13校と予想できるそうです。
 40人近いクラスと20人以下のクラスでは、同じ指導方法をとる教員も少ないでしょうし、子供たちの学習も異なってくるはずです。学習意欲や子供の人間関係、そして学校生活への適応性についても考えるべきだと思います。
 県内を一律に眺めるのではなく、教科別や課題解決テーマごとに市町村教育委員会と連携し、近くでは京都式少人数教育のような事例もございます。県独自の工夫を今後していただくように、要望にかえさせていただきます。
 続いて、2つ目の質問に移らせていただきます。
 いじめ問題への対応についてでございます。
 和歌山県は、いじめ問題への対応として、ホームページ上で知事や教育長への直接メールを一昨年開設いたしました。また、いじめアンケートも行い、教師へのマニュアルも配布しております。大変大事な取り組みとして評価しております。
 しかし、直接届くものばかりではありません。現に、子供がつらいと言って教師のところに来ないから問題がなかったわけではなく、見えていなかっただけなんだと反省に立って、いじめ問題に対応していく必要があります。潜在化していて、そのことが長い間、心の傷となり、いじめるほうもいじめられるほうも人間形成に悪影響を与え、学力のつまずきや不登校の原因、そして自殺という深刻な事態にも至ることが、いじめ問題にはあります。
 昨年6月定例県議会において、1月に議員辞職をされた岩田弘彦議員から、いじめ対策に有効とされるハイパーQU、いじめアンケートをぜひ導入すべきだとの質問がございました。御答弁では、前向きな取り組みが期待されておりました。しかし、この新年度には残念ながら導入に至らなかったようです。導入についてどのような検討がなされてきたのか、教育長にお尋ねします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のとおり、平成25年6月議会で、ハイパーQU等の学級集団アセスメント──評価でございますけども──の実施に向けて検討する旨の答弁をいたしました。それを受けまして、ハイパーQUの実施効果を検証するために、他県での取り組み状況や県内で実施している学校の成果を調査し、研究を重ねてまいりました。
 さらに、私自身が、このハイパーQUによる学級集団アセスメントだけではなくて、もっと具体的ないじめ防止のための方策がないかということで、よりよい人間関係を図ることを目的として研究をされていた、いわゆる発達心理学の権威でございますけども、エリクソンという方がいらっしゃいます。その方が提唱されたインテーク面接法、あるいはエクスポージャーというふうな、さまざまな方法がございます。そういうふうなさまざまなものをいろいろと研究させていただきました。
 そうした中で、ハイパーQUは児童生徒や学級集団の実態を把握する手段としては有効なものの1つであるということは確認はできましたけれども、いじめを未然に防止するために実効性のあるものかどうかについては、さらなる検討が必要であると判断をいたしまして、実施を見送ることにいたしました。
 今後、いじめの防止のために、このハイパーQUを含めて、より有効性のある方策について多面的に研究してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきました。
 「検討」という言葉に、本当に私はいろんな思いを感じるんですけども、実は昨年のこの岩田議員に対しては、実施に向けて検討されるという内容だったと思います。
 いろんなことを検討されたんでしょうけども、この重みは、僕はあると思いますし、別に私自身がこの出版社が発行しているハイパーQUについてということではございませんでしたけども、特にいじめ問題が大きな本県教育の最大の課題だと教育長もおっしゃっておりましたので前向きな答弁をしていただいたと、こういう認識でございました。
 私も、このハイパーQUについて、ちょっと調べてきました。昨年、TBSの「夢の扉」でも紹介されておりましたので、御存じの方も多いかもわかりませんけども、目には見えない問題を早期に発見、いじめ・不登校問題をあぶり出す、教育現場を激変させる心理検査と紹介をされております。
 これは、20年前に、早稲田大学・河村茂雄教授の開発したQUアンケートでございます。いじめ発見率95%とうたわれております。いじめを未然に防ぐツールとして、現在は230の自治体で年間448万部の発行と、多くの学校で用いられているようです。我が和歌山県内でも3市3町が採用されており、また今年度もふえていく傾向だそうでございます。
 教育委員会が検討されたのは、いろいろあったと思いますけども、いじめ問題についてどういう形で子供たちの心のありよう、またクラスのありよう、それを調査していくかということだけではなく、このハイパーQUについて、教育委員会所管の学びの丘には、河村教授のもとで研修を受けて、この診断を分析できる優秀なスタッフもそろっていると、こういう環境にもございました。非常に残念ではございますけども、本当に速やかな対応をお願いしたいということと、ぜひこの学びの丘のスタッフ、この方々を中心に、今検討されているようなことをどんなふうに和歌山県内の中で展開されていくのか、答弁をお聞きしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のように、いじめの問題というのは非常に深刻な問題であるというふうに私自身も厳しく受けとめております。
 教育センターの学びの丘には、御指摘のようにハイパーQUについて研究している者がいることから、平成26年度につきましては、学びの丘が中心となり、和歌山市教育委員会と連携をして、複数の小中学校でハイパーQUによる調査、分析と人間関係づくりの手法──具体的な方策がないと効果がありませんので、そういう人間関係づくりの手法等を組み合わせたよりよい学級集団づくりの実証研究を行うことといたしております。
 今後も、和歌山市を含め、当該の市町と連携しながら検証を進め、先ほどお答え申し上げましたようにいじめ防止のために、ハイパーQUを含めて、より有効性のある方策について多面的に検討してまいりたいというふうに考えております。
○議長(山田正彦君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 最後に、意見を申し上げたいと思います。
 本当に、今の取り組みにつきましては、前向きに和歌山市でおやりになるということですから、よい方向に行くようにという期待をさせていただきたいと思います。
 また、いじめ問題という教育の大きな課題解決に向けて、県教育委員会の判断が適切であったかどうかという疑問を私は持ちました。いつまで検討されるのでしょうか。適切で機動的な決断を速やかにお願いをして、いじめ問題への対応を県教育委員会としてもしっかりとっていただきたい。このように意見を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、ただいまから通告に従いまして一般質問を行います。
 昨日、家のパソコンに、あした一般質問ですね、インターネット中継で見ますからというメッセージをいただいております。そういや、県議会ってインターネットで同時にリアルタイムで中継されていたんだなあということを改めて気づきましたので、議場に来ていただいてる人だけではなくて、ネットで見ていただいてる人のことも意識しながら一般質問に入りますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、都市空間の再構築戦略についての質問です。
 平成26年度の新政策にあるものですが、これは、暮らしやすい都市空間を構築するために総合的なまちづくりを和歌山県が市町村に提案する、こういった取り組みであります。その中には、都市再生と計画的なまちづくりの促進、この2本柱があります。その中で、和歌山市の都市空間再構築に絞って今回は質問をさせていただきます。
 ターミナル駅、それから県庁周辺の再開発など、エリアの活性化に向けた調査を実施すること、それから和歌山県が主導して策定と提案をすることなどがこの取り組みになろうかと思います。
 過去、和歌山市におきましては、平成19年8月から平成24年3月まで、中心市街地活性化基本計画を策定し、5カ年計画で再生に向けて取り組んできた、こういう経緯があります。そして、さきの2月、まちなか再生計画を策定したので、市民の皆さんを対象に和歌山市では報告会を開催しておるところであります。
 ここの提案は、居住人口をふやすこと、にぎわいと活力の向上を図ること、産業と雇用の創出を図ること、これらが提案されています。これらの提言は、提言のいかんにかかわらず中心市街地再生の基本となることですが、それを具体化、実現させることは簡単なことではありません。
 国の制度を活用して進めた和歌山市中心市街地活性化計画の基本計画の効果も評価しにくいところでありますが、調査をして提言書をまとめたとしても、実施主体となる事業者の登場、資金調達が図れなければ、再開発、再生は進まないと思います。そこに和歌山県、和歌山市が民間事業者の後方支援するような形になることが必要だというふうに思います。
 ただ、和歌山市の中心市街地には大規模な再開発ができる用地はそれほど多いものではなく、現状のまちの姿を維持したままリノベーションを図る、こういった計画に進んでいくのかなというふうに思います。まちの姿を変えるというよりも、限られた中心市街地と限られた予算の中で変貌を遂げるためにどのような計画に仕上げるのか、これは期待したいところであります。
 また、和歌山市が検討を続けてきたまちなか再生計画がこのたび完成いたしまして、策定にかかわった委員のほか市民の参画もあった2030年における和歌山市の中心市街地の好ましい姿、これが提言書として完成しております。
 ここでの現状把握といたしましては、和歌山市は、少子高齢化をしていること、進学や就職で和歌山市外へ転出していることから若い層が減少していること、そして、市街地の拡大は進む一方で、この地域での定住人口の減少、都市の希薄化、拡散化が加速的に進んでいることや郊外の大型商業施設の増加、医療、福祉施設や教育施設の郊外移転が進展した結果、中心市街地の活力は低下し、未利用の建物、低未利用用地が増加、中心市街地の魅力そのものが低下し、市民が中心市街地から遠のく、そういう結果になることが指摘されているところであります。それを受けて、和歌山市再生として、居住人口をふやすこと、にぎわいと活力の向上を図ること、産業と雇用の創出を図る、さきに述べた3点を目指そうと、こういうことをしているところであります。
 昨日の一般質問に対する当局の答弁にもあったわけですが、「市民の力」という言葉でまちづくりを表現しているところがあります。ところが、まちづくりを市民の力で成し遂げた事例は、全国を見渡しても、それほど多くはありません。どうしても事業主体となるべき人や事業者が必要になります。そこには、計画、資金調達力、継続した熱意、こういったものが必要となろうかと思います。
 昨日、浅井建設グループの浅井会長の話を伺う機会がありました。学園城郭都市ふじと台、これはもう御存じだと思うんですが、このまちづくりについての話をじっくりと聞かしていただきました。それによりますと、都市計画、都市づくり、まちづくり、それは生易しいものではないということがよくわかりました。
 かいつまんで報告さしていただきますと、まず最初にふじと台に着手してから現在までに要している費用、これは約500億円から600億円、それでも現段階では全体構想の約50%が完成したにすぎないということで、残り、全体が完成するまでに要する期間、これが15年、完成するまでに必要とする資金、これが2500億円と見積もっているようであります。
 このふじと台をさらに都市とするために必要な機能は、ホテル、ショッピングセンター、病院、遊び場所──いわゆるアミューズメント施設──それから文化を感じられる施設、こういったものを完成させて初めて都市、こういうことを視野に入れているところであります。
 ここでわかることは、都市計画には相当な資金が必要なこと、情熱を燃やし続けることが必要であること、実現させるまでには長い時間が必要なこと、こういうことがわかります。
 ふじと台の構想をしたのが今から30年前、そして着手したのが15年前、現段階でまだ50%、さらに15年かかるということですから、半世紀程度の期間をこのまちづくりに情熱を燃やしている、そして、ようやくまちが完成する、こういうことをここで学ぶことができます。そして、この開発事業、都市づくりを和歌山県も和歌山市もモデルケースにぜひしてほしい、こういうことを話してくれました。
 これまで、ふじと台の住宅は年間平均して約100軒は売れ続けているそうです。現在設置されておりますが、藤戸台小学校、それから駅、もうすぐ完成のショッピングセンターも、何もない時代からふじと台は売れ続けていたのです。
 その売れた要因はという質問に対して、ここでは、学園城郭都市という都市づくり、都市計画ですが、明確な構想が当時からあった、こういうことが原因だろうということをおっしゃってくれました。将来は、このまちに小学校や駅、ショッピングセンターなどが建設されるとしっかりとしたまちづくりの構想があったので、購入する方はそれを信用して安心して購入できたと、こういうことであります。いかに都市計画、都市構想が必要であるかということがわかります。ここにまちづくりの真髄を見たような気がしました。
 繰り返しますが、和歌山県も和歌山市も、都市づくりのモデルとなるようなまちがふじと台に形成されていることを鑑みて、和歌山市中心市街地再開発に必要な要素、ここに学んでいただきたいところもあるような気がします。
 そこで、質問です。
 和歌山県の和歌山市の都市計画の推進、実現に向けて、来年度の新政策とは、どのような方向で取り組むものでしょうか。また、和歌山市が策定しているまちなか再生計画との関連はどう考えたらよいのでしょうか。2月末に和歌山市役所で行われた報告会には知事も参加しているので、そのときの感想も含めまして答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山田正彦君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほどの多田議員に対する答弁でも申し上げましたし、それから、本議会の冒頭の提案説明におきまして、未来への投資の政策といたしまして、都市の再生を目指すために都市計画の活用と都市再開発を具体的に県が企画提案をして市町村をリードしていきたいという考えを示しておりました。
 具体的には、平成26年度の新政策でターミナル駅周辺の再開発などの都市の活性化に向けた調査、といっても具体的に絵を描いていって、それで提案をしていくということなんですが、そういうことを実施することにしておりまして、その結果を和歌山市の都市再生に生かしてもらうようにお願いしていきたいというふうに思っております。
 先ほど御指摘のありました多田議員の御質問にもお答えいたしましたが、和歌山市における2つの構想、1つは民間中心になって2030わかやま構想というのができた、それからもう1つは、これは市のちゃんとした、いわゆる審議会でしょうかね、市の事務局も入ってきっちりつくった和歌山市まちなか再生計画を取りまとめたのは、大変時宜を得たものであると考えております。
 先ほども申し上げましたが、私も最後に、特にわかやま構想の御披露のタイミングでしたけども、それを聞かしていただいて、大変熱のこもった議論で、考えを新たにいたしました。
 ただ、両者を比較いたしますと、2030わかやま構想のほうは、割合具体的にいろいろ、こうしよう、ああしようという話が載っとるんですね。一方、和歌山市まちなか再生計画を読ましていただくと、実は構造があって、この2030わかやま構想なんかを踏まえてつくったんだというふうに書かれてあるんですけれども、中身を見ると、半分ぐらいのページは経緯で、何か議論してるところの写真か何かが出てきて、後半のほうは、これは先ほど議員から御指摘がありましたような大まかな原因分析と、それから抽象的な運動方向について書かれてあると。これではなかなか具体的な話は進まんなというふうに個人的には思うわけです。
 したがって、2030わかやま構想にあるような具体的な提案を、これは市民全体のものになるように市は努力をしてもらわないといかんのじゃないかなあというふうに思うし、そうできるように我々も企画提案なんかもしながら支援をしていかなきゃいけない。そんなふうに思っております。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、答弁にいただきましたように、計画の中では、なかなか抽象的というか、そういう具体化がない。先ほど知事の多田議員の答弁の中に、具体的な計画、具体的な行動が必要、これがなければ実現力はないよみたいな話をされておりましたが、まさにそのとおりだというふうに思います。
 抽象的な議論とか報告書にまとめて終わりというのが今まで過去多かったんですが、これをどう具体化するか。多分こんなん1年、2年でできることではないですし、事業主体も必要だろうし、継続する期間、そういったものをより求めていただきたいと思いまして、では、具体的にできるかどうかということについて、続きましてJR和歌山駅周辺と南海和歌山市駅前の都市開発活性化、こういったことについて質問に入らせていただきたいと思います。
 JR和歌山駅の乗降客数ですが、平成24年、この実績によると1日当たり3万8360人となっています。これは、直近というか、平成7年と比較してみますと、16%減少している。こういう数字になってます。
 また、和歌山駅の周辺は、比較的多くのマンションが建設されている地域であり、これからも計画が見込まれている地域でもあろうかと思います。そういう意味では、定住人口、交流人口の中心になるのがこのエリアであり、駅周辺の再開発が和歌山市のまちなか再生の1つの核になるのかなと、こういうふうに思うところであります。
 ただ、和歌山市のマンションの供給に関しては、平成18年度、290戸ありましたが、平成20年度になりますと196戸、平成21年度には110戸、そして平成23年度には50と減少傾向にありまして、また、回廊できる商業施設は、この駅前周辺、大型の商業施設は近鉄百貨店のほか、なかなか少ない状況にあろうかというのが現実であります。
 先日も、他府県から来てもらった人とともに駅前を歩いて、感想というんでしょうか、和歌山市の印象を話していただきました。平日の昼間ですが、人通りの少なさに、和歌山市の人は一体どこに出かけているのですかと、こういう質問をいただいたほどです。
 これに関しては、和歌山市に限らず地方都市は車社会であること、和歌山市のこの地域に大学生が出かける、こういった施設が少ないこと、企業や事務所のエリアから少し離れているためビジネスに訪れる人が少ないこと、ショッピングセンターが少ないことなどが人通りの少ない要因かなというふうに答えたところであります。
 また、少し離れて、和歌山城にも立ち寄っていただきました。そこに関しては、お城とこの周辺の景観はすぐれている、城下町らしいですね、誇りというんでしょうか、重みがあるとは話してくれたものの、これだけ観光客が少なくて地元の人が集まっていないお城は珍しいと、こういうことも言われました。非常に残念なことだというふうに思いましたが、これをばねに再生する必要性、これを改めて感じた次第であります。
 和歌山駅前をいきなりショッピングが楽しめるエリアにすることは難しいと思いますから、まずは定住人口をふやす施設、目的を持ち出かけられる施設、例えば病院、銀行なんかも僕はいいと思うんですが、こういったところから始めることも必要ではないかというふうに思います。
 事業者の観点からすると、低層階をにぎわいの創出の空間にしてほしいというふうな話をしたところ、低層階を商業施設にした場合、退去リスクがあると。これを軽減させるために、手がたい病院や銀行といったものの入居を好む、こういった傾向にあるそうです。
 これらは、ただ人が行き交うスペース、にぎわいを創出するスペースとしての役割を求めるところは難しいところもありますから工夫の余地はあろうかと思いますが、ディベロッパーの意見を交えながら、駅前に立地することで住む人の利便性を高めるなどの工夫をしながら誘致、立地を図ってほしいなというふうに思います。
 一方、南海和歌山市駅であります。
 まず、乗降客から見ますと、平成24年、この和歌山市駅の利用客は1日当たり2万534人となっておりまして、平成7年と比較すると実に44%の減少というふうになっております。半減している、こういう状況であります。
 また、築年数30年以上の建物が、この場所は約3分の2以上を占めるということで、まち自体が少し老朽化している地域になっているのかなというふうに思います。そして、建物の老朽化が進行しているにもかかわらず、建物の更新が停滞していること、ターミナル駅としての機能が衰退していること、駅前の商業が衰退している、こういう地域にもなっているのかなという現状があります。
 さらに、ことし8月末で高島屋が撤退することが決定し、地元のみならず、和歌山市民からは不安の声が聞こえているところであります。高島屋の撤退後に商業施設を含めた複合ビルになればよいのですが、現時点ではなかなか具体的な計画はなさそうですし、高島屋撤退の余波として和歌山市駅そのものもなくなるのではないかという不安の声すら出ているところであります。
 あり得ないことですが、このターミナル駅がなくなるとすれば、再開発、ここも計画は進めることは難しいでしょうし、駅周辺の既存のマンションを含めた資産価値──先ほど、土地需要、土地の価値を高める必要があるというふうな話もありましたが、これと逆に下落する、こういう事態になろうかというふうに思います。もし和歌山市駅がなくなれば大阪に引っ越しますよという人の声もありました。これは、市駅前の利便性のよさから大阪への通勤をしているビジネスマンの話なんですが、こういった声もあるように、何としてもこの地域も不安を払拭するような再開発、活性化が必要かなというふうに思います。
 ところで、平成26年2月26日付の「日本経済新聞」で、私鉄は駅前再開発で勝負をしている、こういう紹介する記事がありました。これはどういうことかといいますと、大手の私鉄各社は、駅周辺の再開発を今、急いでいる、取り組んでいる、こういうものであります。駅近くにマンションと店舗が一体となった複合ビルを建設することなど、都市機能を駅前などの中心部に集中させる、こういうコンパクトシティー計画がふえている、こういうことが記事で記されております。このまちなか居住という言葉が都市再生の1つの鍵になろうかと思います。
 現在のところ、これらの駅前再開発の計画は、具体化、明確になっているわけではありませんが、都市計画をつかさどっている行政──ここでは市になる話ですが──都市計画による再生の方針を示さなければ民間事業者は投資をしないと思います。
 また、沿線住民をつなぎとめようとする大手私鉄のような戦略が今のところ期待できない和歌山市両駅前ですから、鉄道会社以外の投資を呼び込んだ和歌山市中心市街地の活性化、これを図らなければならないかなというふうに思います。
 そこで、質問です。
 JR和歌山駅前で民間事業者が再開発事業を行おうとした場合、支援制度として適用できるような施策はあるのでしょうか。また、南海和歌山市駅前の活性化に向けてどのように考えているのでしょうか。県土整備部長の答弁をお願いします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) JR和歌山駅周辺及び和歌山市駅周辺は、県内外からの人流、物流の中心であるとともに、商業あるいは教育、文化施設の集積された重要な拠点であり、また県都和歌山市の玄関口であることから、同市の都市再生を進めていくに当たって活性化を図る必要があると考えております。
 JR和歌山駅周辺におきまして、民間事業者が再開発事業を行おうとした場合の支援制度については、国土交通省の社会資本整備総合交付金による市街地再開発事業や地方都市リノベーション事業等がありますが、その適用につきましては、事業内容を具体化する必要があると考えております。
 また、和歌山市駅周辺につきましては、周辺再開発に向けて、南海電鉄を中心に、県や市などの関係機関も連携しながら、特に住宅の整備を初め、集客施設の整備などによるにぎわい空間の創出、駅前広場の再整備による交通結節点の強化などのさまざまな検討が進められているところであります。
 県としましては、都市再生の実現に向けて、みずからさまざまな構想を検討・提案し、和歌山市に強く働きかけるとともに、関係事業者等と連携を密にして進めてまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 和歌山市のこの2つの駅における取り組みについて、さまざまな提言とか、あるいは事業の計画等々もあろうかというふうに思いますが、ぜひ和歌山市と協働しながら1つでも実現できるように取り組みを進めてほしいというふうに思います。
 そして、もう1つ、要望的なもんですが、中心市街地の再生、ここに乗り出してくれた事業者に対する固定資産税の取り扱いについても検討課題かなというふうに思います。
 工場立地の場合は、固定資産税の減免など、こういった取り扱いがあると思いますが、大型の商業施設に関して、例えば行政主導で、こういったところに来てほしいというふうに、進出してくれた事業者に対する固定資産税の同様の措置はないかというふうに思います。
 進出を検討するための1つの材料になると思いますから、和歌山市の中心市街地再生について協議する際の検討課題にしてほしいと思いますし、昨日のふじと台の会長との話でも出たんですが、ふじと台で公的施設、こういったものに関して事業化する場合、固定資産税を何とかしてくれないかということを行政のほうにも話をしたところ、それはできないよというふうな回答が即座に返ってきたそうです。これはもう無理を承知で言っている話なんですが、こういった、もう無理だというのはいかにも官僚的な発言であって、こういう返事を返すのは政治家ではないんではないかと、こういうふうな意見もありましたんで、参考までに伝えておきたいというふうに思います。
 この項目最後の質問に移らしていただきます。
 平成30年度、和歌山南スマートインターチェンジの計画が進展しようと動きを見せているところであります。海草振興局建設部の移転計画があり、交通の利便性向上、物流の拠点として、そして地域活性化への期待がこの地域では集まっているところであります。
 ただ、都市計画によって、このあたりの地域は市街化調整区域であり、開発が規制されているところでもあります。せっかく都市計画道路である南港山東線の整備とこのインターチェンジの設置が図られるのに、市街化調整区域にしておくのはどうだろうかなというふうに思います。
 中心市街地の再生やコンパクトシティーを目指す方向性と整合性がとれない、図れないところもあろうかと思いますが、和歌山市、この東南地域の活性化のためにも、都市計画の見直しも、これも検討すべき課題ではないかなというふうに思います。
 さらに、この地域には貴志川線が通っていることから、近くの駅と連携して地域活性化が図れる方向性もあろうかというふうに思います。必要以上にまちの拡散は避けるべきだというふうに思いますが、このインターチェンジを中心とした地域を1つの面として活性化につながるようなことでこの地域の再生、活性化も図れると思いますので、都市計画への見直しについて検討をいただきたいと思います。
 そこで、和歌山南スマートインターチェンジ付近の都市計画の見直しについて、和歌山市と、あるいは議論することは考えているのでしょうか。県土整備部長の答弁をお願いしいます。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山南スマートインターチェンジが完成すれば、南港山東線の整備と相まって、高速道路利用者の利便性向上はもとより、観光や産業の振興による地域活性化が期待されております。
 一方、外縁部で開発を行うことは、その分、中心市街地での土地需要を奪われることになりますので、まちなか再生と整合性が図れない部分もあり、和歌山市の都市再生を全体でどういう形で進めるかが問われることとなります。
 こうした観点から、当該地域において、どのような施設が必要か、また、どのような土地利用が適切かについて、県と市が一緒になって早急に検討してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 次の質問に移りますが、もう一言だけ言うのを忘れておりました。
 まちづくりですが、先ほどのふじと台を中心としたまちづくりをつくるというのは、大変な資金と苦労、覚悟を伴うものだということを踏まえた上で、まちづくりにはストーリーがある。そういうストーリーを語れるようなまちづくりをしているんだというふうなことがありまして、ぜひ和歌山県もストーリーを語れるようなまちづくり、これをつくってほしい、語り継げるようなストーリー、これをつくっていただきたいというふうにお願いいたしまして、第2問に入らせていただきたいと思います。
 平成26年度の重点施策として、海洋再生可能エネルギーの開発、これがうたわれております。表層型メタンハイドレートの国の本格的調査の誘致、それから海流発電の実現に向けた取り組みが主な項目になろうかと思います。
 このうち、海流発電に関しては、和歌山県海洋再生可能エネルギー検討委員会、これが設置され、委員会開催、それから実証フィールドの視察、こういったものが行われているところであります。
 海洋再生エネルギーには、浮上式洋上風力、波力、潮力、海洋温度差、そして海流発電の5種類がありますが、和歌山県では、このうち海流発電に取り組もうという動きがあります。
 この計画のもとになっているのが国の海洋基本計画で、ここで、海洋再生可能エネルギーの利用促進として、実証実験のための海域である実証フィールドの整備に取り組むことが記されています。
 国では、実証フィールドの整備と技術研究開発、この実施を目指すこととしておりますが、和歌山県では、海流発電の実証フィールドの整備と技術研究開発に取り組むことを目指していると思います。
 では、この海流発電の発電原理はといいますと、海中に浮遊式のブレードや発電機などで構成される装置を設置し、海流の運動エネルギーを回転運動に変換して発電機で発電する、こういった方式です。形式は、海底からタコのように発電装置を浮遊させる、こういう形状になっていようかと思います。
 この海流発電に和歌山県が取り組むのには理由があります。まず、国家的に多様性が求められるエネルギー情勢があること、国が海洋基本計画で海洋再生エネルギーの利用促進を目指し、その実証フィールドを公募していること、和歌山県沖にはすぐれた潜在的な可能性を秘めた黒潮エネルギーが存在していること、メタンハイドレートに代表される海洋新エネルギーへの期待が高まっていること、既存の水産業との協働による海洋産業の可能性があることなどが理由であります。
 ここで大きいのが、和歌山県沖を流れる黒潮のエネルギーについて、大いなる可能性があるところです。NEDOが調査した海洋エネルギーポテンシャルの把握に係る業務によりますと、和歌山県沖の黒潮のポテンシャルは20万333メガワットという数字になっております。これに続くのが高知県室戸沖の黒潮、これが4万7869メガワット、続いて奄美の黒潮、3万5089メガワットですから、和歌山県沖の黒潮は圧倒的な海流発電の可能性を秘めた海域であろうというふうに思います。
 しかも、海流発電の採算性が確保される、採算ベースに乗ると言われている平均流速2ノット、これを超える海域が点在していることも、和歌山県が可能性を持っている1つの理由であります。
 この海流発電には、さらに利点がありまして、それは安定した大きな発電が可能だということであります。黒潮は、蛇行しているものの、昼夜や季節による流れと速さの向きの変動が少ないことから、安定した海流エネルギーを長期的、そして連続的に利用することができます。そのため、年間を通じて安定的な発電が可能で、ベース電源としても期待できるところが、ほかの再生可能エネルギーと違うところであります。
 まだ検討段階のため、実現可能性は未知数だとは思いますが、本格的に国内で海流発電に取り組んでいる府県はありませんから、この発電方式で再生可能エネルギー、海洋新エネルギーの先進県を目指してほしいなというふうに思います。
 そこで、知事は、この海洋再生エネルギー、特に和歌山県における海流発電の可能性についてどうお考えか、お答えいただきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のように、本県は広く海洋に面しておりますので、黒潮を初めとする海洋再生可能エネルギーの活用にも積極的に取り組みたいと考えているわけでございます。
 特に何が大事かといいますと、ソーラーとか風力といった他の再生可能エネルギーも、これも一生懸命やっておるわけでございますが、本県の海流発電は、議員御指摘の数字が今ありましたように、物すごく巨大な可能性を秘めているわけでございます。
 なかなか現在の他の再生可能エネルギーだと、例えばいっぱい集めても原発1基分というのはなかなか難しいんですけど、これは一発で、1つのプロジェクトで1つぐらいいってしまうというような、そういうことが語られておりまして、特にそれが幾つもできそうなのが潮岬沖の黒潮による海流発電でございます。
 また、和歌山県は消費地にも近いわけでございますし、また系統接続も容易でございますので、こういうことを和歌山県も姿勢を示し、企業と連携を進め、かつ国への働きかけなども大いにやって、事業化の暁にはぜひ和歌山でやってもらいたいというようなことをこれから進めていきたいと考えております。
 将来的にも、これは夢の話にだんだんなってくるわけですが、こういうことができますれば、この和歌山の地が、例えば発電機器の組み立てとか、メンテナンスの基地とか、そういうふうなことになり雇用や港湾利用が進みますし、また漁業と協調した取り組みとか、あるいは観光資源としての活用とか、関連メーカーもひょっとしたら少しは来てくれるかもしらんとか、そういうようなことが膨らんでまいりますので、地域経済への大変大きな手段になるんじゃないか、そんなふうに思っております。
○議長(山田正彦君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、最後の項目になりますが、海洋再生エネルギーに関して、先進県の取り組み、これはもう御存じかと思いますが、幾つかございます。
 千葉県では洋上風力、北九州市、長崎県、福島県でも洋上風力、佐賀県は潮流・洋上風力のハイブリッド発電という少し珍しい形式、沖縄県では温度差発電、こういったものに既に取り組んでいるわけでありまして、これらの県と比較しても、今、答弁にございましたように、和歌山県の黒潮の持つエネルギー、ポテンシャルは、非常な可能性を秘めているというふうに思います。
 そこで、我が国で初めて海流発電の実用化に向けた取り組みに期待をしているところでありますが、商工観光労働部長に、今後の課題として考えられること、実用化までのタイムスケジュール、これはどのように考えているかということをお伺いして、一般質問を終わらしていただきます。よろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 本県では、大学教授や地元関係者による海洋再生可能エネルギー検討委員会を開催し、海洋エネルギーのポテンシャルについて検討を行い、潮岬沖を流れる黒潮を活用した海流発電が有望との意見を得ました。また、地元新宮市や串本町の積極的な取り組みもあり、先日、国に潮岬沖を海流発電の実証海域として申請したところです。
 事業化の実現に向けては、海域の詳細流速調査や海流発電機器の技術開発、海底ケーブルの設置など、それぞれの段階において数年ずつかかることが予想され、実際の事業化についてはそれ以降になると考えております。
 事業化の実現に向けて、漁業への影響や船舶航行の安全対策など、課題はありますが、関係機関と調整しながら実証事業を推進するとともに、海流発電に興味を持つ企業や電力事業者を積極的に誘致していきたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時41分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(花田健吉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず、1点目の県防災訓練への米軍オスプレイ参加についてです。
 昨年の12月20日、知事は、和歌山県の防災訓練に米軍オスプレイが参加することを歓迎する表明をされました。それに対し、日本共産党県議団はオスプレイの参加撤回を求める申し入れを直ちに行わせていただきました。
 知事は、年末の発表の中でも、また今議会一般質問への答弁でも、MV22オスプレイは他に比して安全性の低い航空機とは思っていないという考えを示されています。
 一方で、全国知事会議では、平成24年の7月19日、「MV-22オスプレイの配備及び飛行訓練に関する緊急決議」を発表いたしました。その中では、「政府からは、米側から提供された情報として、事故に関して機体に機械的な不具合や設計上の欠陥はなかったとの説明があったが、これで十分な説明がなされたとは言えず、関係する自治体や住民が懸念している安全性について未だ確認できていない現状においては、受け入れることはできない」と述べ、また、「沖縄県への配備、全国各地で行われる飛行訓練等については、その具体的内容を明らかにするとともに、関係自治体の意向を十分尊重して対応するよう強く求める」と述べています。
 全国知事会議の決議の「安全性について未だ確認できていない現状」というくだりは、私は、いまだに解決していない問題だと考えます。また、「関係自治体の意向を十分尊重して」というくだりも、沖縄の現状を見れば、そのようなことは決して言えないと思います。
 沖縄県では、昨年1月、県内41市町村全ての首長、議会議長、県議会の全ての会派、民間団体などが東京まで出向き、安倍総理に対して、オスプレイの配備を直ちに撤回すること、米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念することなどを盛り込んだ建白書を手渡しております。私たち日本共産党県議団が昨年7月に沖縄調査に行ったときに、現地の県議会で、その建白書の原本のコピーをいただいてまいりました。このことをとっても、オスプレイの配備の問題は、従来のCH46という米軍のヘリコプターがオスプレイに置きかわるだけと納得している沖縄県民はいないということのあらわれではないでしょうか。
 そこで、知事に伺います。
 全国知事会の決議にある「安全性について未だ確認できていない現状」という問題は、既に解決されているとお考えでしょうか。答弁をお願いいたします。
○副議長(花田健吉君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 高田議員がただいまオスプレイの参加撤回を申し入れるというふうにされましたけれども、実際に大地震が起こったときなど、大量の被災者を早く安全なところに輸送したり、それから救援物資を大量に、しかも早く持ってきてもらったりするには、それでは、それにかわるどういうやり方でやるのか、そういう対案を示さないと天下の公党とは言えないのではないかと思う気持ちもあります。
 全国知事会では、平成24年7月19日、軍事訓練等を対象にした、そういうときの議論でしたので、「MV-22オスプレイの配備及び飛行訓練に関する緊急決議」を発表いたしました。
 その後、我が国政府は、米軍に任せるだけじゃなくて、平成24年のオスプレイの沖縄配備に先立ちまして、同年4月にモロッコ、6月にフロリダで事故があったことから、航空安全や事故調査の専門家から成る防衛省の分析評価チームを立ち上げ、オスプレイの安全性に係る確認を行っています。この結果、平成24年9月19日、両事故については、機体自体に問題があり事故になったとは認められないと評価し、公表しております。
 また、公表と同日、日米合同委員会において、十分な再発防止策が既にとられていることを確認し、地域住民に十分な配慮がなされ、最大限の安全対策がとられていることを両国間で合意しております。
 また、私は、軍事訓練の飛行モードと、それから巡航飛行とは、まあ違うんだろうなあというふうにも思います。
 これらを踏まえ、政府として総合的に検討した結果、オスプレイの安全性が確認されたと判断しているため、県としても政府同様の認識を持っている次第でございます。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 対案を示せということですが、それはもちろん私個人で考えるわけにはいきませんけれども、しかし、今まで米軍に対する駐留経費への思いやり予算や、また、さまざまなSACO合意に関しての日本側の負担、そういうことも考えれば、そういう予算をしっかり防災対策のほうに回しておけば、そうした問題についても十分対応できる防災予算が組めるのではないかと私は考えております。
 それで、知事は、県としても政府と同様の認識を持たれているというふうに最後におっしゃいましたけれども、私は、仲井眞沖縄知事はいろいろ今問題になっておりますけれども、同じ知事同士、沖縄と同様の認識を持っていただきたいと考えております。
 沖縄の仲井眞知事は、昨年9月に日本共産党国会議員団と懇談した際、「よく落ちる飛行機で話にならない。安全性の確認を求めてきたが、払拭されないまま持ち込まれた」と批判をされました。安全性の確認はできていないという認識です。
 先ほど、昨年のオール沖縄で提出をされた建白書のことに触れましたけれども、沖縄の全市町村長と議長、県議会の全ての会派は、オスプレイの安全性について誤解しているのでは、私は決してないと思います。現実は、政府が安全宣言を出した後もオスプレイのクラスAと言われる事故は続いています。「琉球新報」の報道によりますが、昨年の6月にはアメリカ・ノースカロライナ州で、また8月にはネバダ州で事故が起きましたが、いずれもクラスAの事故というふうに報告されています。この2件の事故を加えて計算すれば多分事故率はかなり上がるでしょうから、この機体は、アメリカ海兵隊の中でも最も事故率の高い機体の1つになるのではないかと思います。
 那覇市長になっておられる翁長さんは、「安保に賛成だからこそ、オスプレイには反対だ」と言っておられます。アメリカとの友好関係を保ちたいから、沖縄県民に危害をもたらすおそれのあるオスプレイ問題では絶対に譲らないという構えです。
 今、沖縄では、日米安保に対する立場の違いを超えて、オスプレイの配備を撤回せよという点では、自民党も共産党も全く一致しているのであります。そんなときに和歌山県が防災訓練とはいえオスプレイを受け入れることで、米軍とは「トモダチ」になれるかもしれませんが、同胞である沖縄県民とは逆のことになるのではないでしょうか。いざというときは防災に役立つからといって、オスプレイの存在を容認するのであれば、結局、それは、今、沖縄にしか配備されていないのですから、沖縄にオスプレイを押しつけ続けることになるものです。
 沖縄の普天間基地のすぐ近くには、普天間宮という神社があります。ここには熊野権現が祭られています。なぜかというと、かつて熊野・那智山を中心に栄えた補陀洛渡海信仰で船出をした僧侶が流れ流れて沖縄にたどり着き、そこで熊野信仰を広めたからだと言われています。
 いにしえからの交流があった和歌山と沖縄が平和の点でも末永く交流できるようにするためにも、また私の地元白浜町民の心配の声に応えるためにも、改めてオスプレイ参加の防災訓練には反対だということを申し上げて、次の質問に移らしていただきます。
 2つ目、印刷物の入札制度についてです。
 1番目、低価格落札の現状、県の印刷物の入札について伺います。
 印刷関連業界は、大手2社を中心とする上位27社で市場の95%を占めており、残り5%、3000億円の市場に3万社余りの中小企業が激しい競争をしていると言われています。電子媒体の普及で民間需要も縮小し、官公需における競争はますます激しくなっています。
 その過酷な競争のしわ寄せが労働者に来ています。3月2日付の「しんぶん赤旗」には、安値を競う印刷通販業界の最大手、プリントパックの記事が掲載されています。この会社は、年間140億円を超える業績を上げているものの、過酷な労働条件で知られています。そこに労働組合が結成されたという記事なのですが、この労働組合は印刷業界の労働者でつくる全印総連という組合で、以前から、労働者の生活を守るだけでなく印刷業界の発展に対しても政策提言を行ってきました。その中で、地方自治体などの発注する官公需での激し過ぎる競争の問題点を指摘しております。また、印刷工業組合など業界団体からも官公需に対する政策提言が出ているようです。
 このような中で、和歌山県の発注する印刷物はどうなっているでしょうか。県の印刷物の入札でも、10年ほど前と比べると3分の1以下に下落しているものもあり、最近でも信じられないような値段で落札されている印刷物がたくさんあります。業者の間でのダンピング競争が起こっています。
 例えば「県税のあらまし」という県が発行しているこういう雑誌がございます。(資料を示す)この小冊子は──ちょっと写真はついておりませんが──この平成15年版では、今と同じ1500部の発行部数でしたが、56万7000円という値段でした。ところが、同じものが10年たって、カラー写真もついて、よりきれいになってるんですが、この平成24年版では、何と11万5000円で落札をされています。印刷に詳しい方に見てもらいますと、どう見てもかつての50万円程度が妥当な値段だろうというお話でした。このような事例が、調べただけでも多数あります。
 そこで、物品調達の責任を担っておられる会計管理者に伺います。
 印刷物の低価格での落札の現状をどのように考えておられるのか。昨年12月議会では中小企業振興条例が成立しましたが、県で発注する契約で、こうした値引き合戦のような現状で果たして中小企業の経営が成り立っていくとお考えなのか、答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 会計管理者植山 均君。
  〔植山 均君、登壇〕
○会計管理者(植山 均君) 本県の印刷物の調達は、10万円以下の少額なものが多い状況でございます。また、その印刷物の入札については、従前から県内、振興局管内の登録業者の方々を特に入札参加の機会において優先して実施しております。登録業者の方々についても適切な価格で見積もりいただいているものと認識してございます。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 余り詳しく状況を話していただけないようなので、もう少し幾つか例を挙げたいというふうに思います。
 「県土整備の概要」というこの冊子ですが(冊子を示す)、平成21年版、これが1300部で121万円で落札をされましたが、平成22年版、ほとんど変わりませんけれども、同じ部数で、何と半額以下の52万円です。
 「統計年鑑」です。(冊子を示す)これは、県で毎年発行しているやつですが、平成15年版は発行部数が750部で54万円、1冊当たりの単価は730円弱だったものが、平成22年版では400部で15万円弱、1冊当たり362円と、半額になっております。ここまで単価が減っておりますけれども、この冊子は、歴史と伝統によるかどうかわかりませんが、ずっと2100円という値段で売られております。随分県がもうける仕組みになっております。
 「環境白書」です。(冊子を示す)こちらは、平成23年版では700冊で114万円弱、これが平成24年版、これもほとんど変わりませんけれども、ほぼ同部数で62万円と、6割の値段になっております。この冊子は原価で売られておるということで、情報公開をのぞきますと、ほとんど何も変わらないこの本が横に並んでいて、片一方には1600円という値段、片一方には950円という値段がついていて、県民の方から見ると、ほとんど同じ本なのにどう見てもおかしいと思われると思うんです。
 このように、印刷物の適正な価格とは、あってないような状況になってはいないでしょうか。こういう状況にあるということをぜひ県当局の皆さんにも認識していただきたいというふうに思います。
 では、次の質問に移ります。2番目の入札制度の改善の提案です。
 印刷の契約については、物品の売買か請負か明確な規定がなく、両方の性質を兼ね備えていると考えられ、官公需の契約、特に地方自治体でさまざまな取り扱いがされております。
 このような中、2002年3月の地方自治法施行令の改正で、167条の10というところで定められていた最低制限価格を設定できるとする根拠である「工事又は製造の請負契約」というふうに限られていた文言が、「工事又は製造その他についての請負の契約」とされました。この「その他についての請負」という範疇に印刷の契約を含める地方自治体が出始め、これにより、最低制限価格制度や低入札価格調査制度の採用が可能となり、全国に広がってきています。また、北海道のように、物品の売買契約のままで最低制限価格制度を採用した事例もあります。
 お隣の三重県の例を紹介します。三重県では、印刷物は一般競争入札かオープンカウンターという公開の見積もり合わせによる随意契約の2つの方法で入札をされています。どちらのやり方でも、100万円以上の予定価格の案件については最低制限価格を設定しております。予定価格の7割を切る入札だと失格になるそうです。
 また、全国的に見ても、昨年の状況ですが、先ほども述べた全印総連という労働組合の調査では、全国で18の道県で最低制限価格制度を導入しております。
 和歌山県でも、印刷物の随意契約の限度額は250万円になっています。これは、印刷が単に物品の納入ということではなく請負に該当するから、一般の物品の限度額である160万円ではなくて、この250万円という額を当てはめていると思うのです。それならば、いっそ印刷物は物品扱いではなく請負に位置づけ、その上で最低制限価格を設定するべきではと私は思います。
 そこで、伺います。
 印刷物を請負契約に位置づけること及び最低制限価格の導入を和歌山県でも検討されてはどうでしょうか。答弁をお願いいたします。
○副議長(花田健吉君) 会計管理者。
  〔植山 均君、登壇〕
○会計管理者(植山 均君) 印刷物については物品調達制度の中で処理していますが、既に製造その他の請負に位置づけて入札を実施しております。
 現在の印刷物においては、その予定価格についての統一された積算基準がなく、過去の契約実績等から標準的な市場価格を積算している状況であるため、最低制限価格の設定を行っておりません。
 以上です。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 できないという御答弁でしたが、隣の三重でできることがなぜできないのかと思います。
 実は、三重県では、平成12年度の包括外部監査で指摘があったことが大きなきっかけになっています。その中で、監査人の意見として次のように書かれております。「予定価格を算定できる職員を育てる必要がある」、「少額な印刷業者まで競争させるのはやり過ぎではないか」、「質の低下を防ぐために最低価格制限の導入が必要ではないか」などなどです。こういう監査意見を踏まえて三重県では、印刷物の積算ができるように職員を年に1~2回は東京へ行かせて業界団体の研修会に参加をさせたり、最低制限価格の導入を図っていったと、この間、電話で聞きましたら言っておられました。やればできると思います。
 次に、簡易公開入札制度の改善の問題について伺います。
 具体的な入札方法ですが、印刷物については、県の入札の要領によりますと、250万円以下の入札については、簡易公開入札といって、パソコンを利用した公開の見積もり合わせによる随意契約が行われております。250万円以上は一般競争入札になっております。
 そこで、伺います。
 決算の出ている平成24年度の印刷物の入札件数のうち、事務集中課が取り扱った一般競争入札、それから簡易公開入札の件数は、それぞれ何件になっているでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○副議長(花田健吉君) 会計管理者。
  〔植山 均君、登壇〕
○会計管理者(植山 均君) 平成24年度の印刷物の入札件数については、本庁及び海草振興局管内で、一般競争入札が4件、簡易公開入札が794件となってございます。
 以上でございます。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 私は、今御答弁いただきましたこの簡易公開入札794件の結果を調べてみました。私は、この簡易公開入札というやり方は、パソコンを使っての電子入札で、入札者の負担を減らし、より多くの中小業者に県の仕事を受ける機会をふやすのが目的の1つではないかと考えておりました。
 しかし、結果が公開をされている平成24年度の印刷物の簡易公開入札を見てみますと、525件ある入札の中で、1社だけでその4割以上、2番手の業者も合わせると6割近くが落札をされております。印刷業者の登録は100社以上あると思うんですが、たった2社で、その簡易公開入札の6割近くを落札されています。これは、簡易公開調達を導入した趣旨から外れ、一部の価格競争力のある業者だけが落札をしているという結果につながっていないでしょうか。問題はないでしょうか。御答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 会計管理者。
  〔植山 均君、登壇〕
○会計管理者(植山 均君) 簡易公開入札制度は、公共調達改革の一環で、競争性、公平性、透明性を確保した上で、物品の円滑かつ適正な調達が可能となる制度として導入したものでございます。競争入札参加有資格者名簿に登録されている業者を対象に幅広く参加を呼びかけた上、公募型見積もり合わせ方式による見積もり合わせを行っており、地方自治法上は随意契約となりますが、実質的な競争入札だと考えてございます。
 簡易公開入札制度の実施に当たり、広く入札参加を呼びかけておりますが、入札参加者が少ない案件も相当あります。その中で、積極的に参加される業者の方々がみずから積算した適正な価格で見積書を提出し、落札されているものと認識しております。結果的に一部の業者に落札が集中する場合もありますが、公正な競争性が確保されていることから、問題があるとは考えておりません。
 以上でございます。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 問題がないという御答弁だったんですが、続いて、私は一般競争入札も簡易公開入札も全て入札結果がホームページで公開・閲覧できると思って調べてたんですけれども、いろいろ調べてみると、印刷物の入札に限ってですが、入札結果が公開されていないものがあることがわかりました。
 簡易公開調達の中でも比較的予定価格の高い入札でやられているやり方ですが、県のほうであらかじめ業者を指名して見積もりを出させて、その中から随意契約の相手を決定するという、昔はあったと思うんですが、こういうやり方です。見積もり依頼というそうですが、いわば指名型の随意契約というようなやり方です。
 私は、この間の県の入札制度改革の中で、基本的に指名入札というのはなくなったという認識をしておりました。県土整備部で発行している「建設工事にかかる《新公共調達制度》の手引」という本の中でも、この制度改革の中で、物品においても、平成19年からは基本は一般競争入札になっていると書かれております。なのに、現実は簡易公開入札という随意契約のうちのかなりの部分が見積もり依頼という、県のほうから指名をしてそれに応札するという、こういう運用になっておるようです。
 そこで、伺います。
 なぜ印刷物に限ってこのような指名型の随意契約が残っているのでしょうか。また、どのような根拠に基づいて実施をされているのでしょうか。答弁をお願いします。
 あわせて、このような仕組みは廃止の方向で見直すべきではと考えるのですが、いかがでしょうか。また、今はホームページで公開されていない入札結果の情報をすぐにでも開示するべきではないでしょうか。御答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 会計管理者。
  〔植山 均君、登壇〕
○会計管理者(植山 均君) 印刷物の入札に当たりましては、地図や音声つきパンフレットなど専門技術や特殊な設備、優良品の納入実績を必要とするもの、選挙用印刷物など印刷内容について注意を要するものや迅速な対応が必要になるものなどについては、適切に対応できる登録業者の方々に入札参加していただく必要がございます。
 そのため、あらかじめ物品の競争入札参加資格申請書類等により専門技術や特殊な設備などを持つ業者を把握し、個々の案件ごとに必要な技術、能力を持つ登録業者の方々に呼びかけまして、見積書提出の形式で簡易公開入札への参加をいただいているものであり、指名型の随意契約というものではございません。
 また、現状では、落札結果を閲覧できる状況となっておりませんので、その点については検討してまいります。
 以上でございます。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 指名型の随意契約というものではないというお話ですが、指名型の競争入札というの自体がもう廃止をされているのですから、それは理由にならないと私は思います。
 私が思うに、この見積もり依頼という指名型の随意契約も、当初は、ある程度業者を絞り込むことによって印刷物の品質を確保して、ダンピングのない適正な価格での落札ということを意図されていたんではないかなというふうに思うんです。しかし、既に現実にはそうなっていないんです。
 最初に幾つか例を紹介した「県税のあらまし」、「県土整備の概要」、「統計年鑑」、「環境白書」、また加えて「商工観光労働行政の概要」や「和歌山県の農林水産業」というパンフレットなど、全ての部局にわたる印刷物が、この指名型の随意契約で契約をされております。こうした冊子は、私は印刷業の基本的な業務があればどの社でもできるものではないかと思うんです。専門技術を要するから随契でもいいというのは、当たらないというふうに思います。
 当初意図した狙いから外れ、また入札制度改革の中でも、もうやめようとなっている指名型のこの入札のあり方は見直すべきだということを申し上げたいと思います。
 次の質問です。少額の契約についてです。
 先ほど、一部の競争力のある業者がほとんどの落札をしていると紹介しました、登録業者なら誰でもパソコンによって参加ができる簡易公開入札ですが、見てみますと、ほとんどが10万円以下の発注なんです。平成24年度の数字をいただいて見ましたら、525件のうち55件しか10万円を上回るものがないんですね。その他の小さな入札が多いんです。
 このような10万円以下のものについては、近隣の登録業者から順番に購入するようなやり方でもいいのではないかと思います。実は、これも三重県でそのような方法をとっているようなので、やれないことはないと思うんですけれども、ぜひ研究をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 会計管理者。
  〔植山 均君、登壇〕
○会計管理者(植山 均君) 先ほども申し上げましたとおり、本県の印刷物の調達は10万円以下の少額なものが多い状況でございますが、それを順番制で発注するということについては、入札参加の機会の均等や競争性、公平性、透明性を確保する観点からは適切でないと考えております。
 したがって、現在行っているように、県内、振興局管内の登録業者の方々を優先する簡易公開入札で行うことが適切であると考えております。
 以上でございます。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 この問題の最後に、印刷物の入札制度改革についてのお考えを知事に伺いたいと思います。お願いします。
○副議長(花田健吉君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県の公共調達におきましては、県内企業優先のもと、競争性、公平性、透明性を確保するため、条件つき一般競争入札や簡易公開入札を導入しております。印刷物についても、地元企業優先に配慮した制度にしながら、その内容に応じた専門技術や設備、実績等を考慮した入札を実施しておりますし、これからもしてまいりたいと思います。
 なお、議員御発言の中で、指名型とか指名競争入札というのが、答弁はしておるんでございますけれども、実は違うんですけれども、その違いをきっちり認識されないで、あるいは混同して、または、させて議論しておられると思いますが、それは違いますので、どうぞ御理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 知事の最後の御答弁は、ちょっとよくわからなかったんで、私もさらに研究をしていきたいと思います。
 公共調達の改革をやはり徹底していくなら、さっき言われた指名型の随意契約というような、このことはやめていくべきだというふうに思います。実は、三重県では、県が指名する、私が言う随意契約というのは、既になくなっています。和歌山県でも、最低制限価格も設定をして、印刷業界で働く労働者と中小業者の経営を守る県政にされるよう要望して、次の質問に移りたいと思います。
 3つ目、南方熊楠記念館についてです。
 白浜町の円月島のある臨海という地域にある公益財団法人南方熊楠記念館が運営する同記念館が、来年で開館50周年を迎えます。この県議会議場でも、先輩議員がバリアフリー化などの問題で取り上げてこられたこの記念館も、老朽化が激しく、このたび県の新年度予算で再整備へ向けての予算を盛り込んでいただきました。地元にいるものとして、歓迎をする次第であります。
 この記念館は、昭和40年の開館当初は、同じ敷地内に番所山植物園というレジャー施設もあり、お配りしている縦長の資料にもありますように、来館者はすぐに年間6万人を突破しました。しかし、その後、植物園の経営が傾き、昭和50年に入り口が完全に閉鎖されるという事態が起こりました。以来、昭和57年3月の記念館再開までは、来館者はほとんどいない状態でした。ただ、再開されてからは、関係者の努力もありましたが、そこにあるように年間1万人前後という数字が続いておりました。
 これが転機を迎えましたのが、平成2年です。記念館開館25周年記念特別展が開催をされ、期間の入場者は1万1000人を超えました。田辺市でも南方熊楠賞制定などがあり、年末にはテレビで取り上げられ、平成3年には東京と大阪で「超人南方熊楠展」が開催をされ、ともに3万人以上の来客となったそうであります。
 その影響もあり、平成3年4万8000人、平成4年6万人の突破というふうに続き、その後はどんどん減っていってるんですが、平成11年までは年間3万人を超える来館者数でありました。その後、2万人台がずっと続いております。現在の来館者数は、ただ2万人前後とはいえ、この種の施設としては、紀伊風土記の丘が約2万人、県立博物館が3万人前後ですから、来館者は多いのではないかと思います。
 地元に住む者にとって、かつて閉鎖をされた番所山植物園というのは、今のアドベンチャーワールドのようなレジャー施設だったと思います。クジャクやニシキヘビ、オウム、アシカへの餌やり、動く歩道などなどありまして、私も楽しい思い出が残っております。しかし、その番所山植物園が閉鎖されてからは、地元の人も余り行かない、知らないスポットになっていて、熊楠記念館も地元の人は余り行っていないという実情があります。
 しかし、今度、このたび白浜町のほうで番所山公園が整備をされ、4月にオープンする予定です。風景はいいし、また記念館からの眺望は抜群によいものがあります。
 歴史もあります。近くには、かつて紀州藩の屋敷があったそうです。幼いころ、あの暴れん坊将軍吉宗もちょくちょく来て鍛練をしていたそうで、テレビのあの海岸を馬で駆けるシーンは、臨海の浜を駆けているイメージなのだそうです。これは館長さんの受け売りです。
 また、円月島など、ジオの見どころでもある。京大の水族館とあわせて、自然を学べる場でもあります。
 先日は、台風で荒れる中、わざわざオーストラリアから記念館を見るためにやってきたという老夫婦がおられたそうであります。今後、私も地元民の1人として大いに宣伝をしていきたいと考えております。
 そこで、知事に記念館の再整備の概要、狙いについて答弁をお願いしたいと思います。また、3年後の開館へ向けて、今のうちから熊楠のテレビドラマ化など、かつてもテレビが一役買って来館者数が急激にふえたわけですから、マスコミへのアピールも考えておいてほしいと思ってるんですが、いかがでしょうか。答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のように、番所山というのはすばらしいところで、実は最近、ちょっと整備がおくれるというか、ちょっと荒れていたということを、私が知事になりましてから白浜に参りまして、地元の人と話をしていて、なるほどというふうに思いまして、それで復活をすべくいろいろ努力をして、県のお金も投入しているんですが、そういうようなことをやりました結果、ことし、それができまして、これはまさに高田議員御指摘のように、いろんな要素をあわせて白浜の武器がもう1つできるということになろうかというふうに期待しているところでございます。
 その中の大変重要な要素である南方熊楠記念館なんですが、昭和40年に建築されまして、築後50年近くが経過しとるわけです。耐震性能も心配でございますし、バリアフリーでもありません。老朽化も進んでおります。そこで、新館建設構想を公益財団法人南方熊楠記念館とともに進めているところでございます。
 新館のコンセプトとしては、周囲の景観に配慮したデザインとしたいと考えております。また、機能面では、バリアフリー化や貴重な遺品、遺稿、標本などの資料の保存機能を高めるとともに、特に展示スペースの拡大や展示方法に工夫を凝らすなど、展示機能の強化に力を入れたいと考えております。そういう意味で、スペースは少し広いほうがよろしゅうございますので、現在の建物も利用していこうというふうに考えております。
 また、自然公園内という立地を生かしまして、新館を白浜町が整備を進めてくれております番所山公園の中核的施設として位置づけまして、本県が生んだ世界的な博物学者であります南方熊楠さんのすばらしい功績を紹介し、次世代にその魂を伝える社会見学の場、あるいは環境学習の場として積極的に活用していきたいと考えております。
 建設に当たりましては、単に県費をぽんと出すというだけではなくて、やっぱり全国にアピールをしたい、新たな熊楠ファンにも呼びかけたいというふうに思っておりますので、全国に幅広く寄附を働きかけまして、多くの皆様に御支援、御協力をお願いしたいと考えております。
 今回の新館建設構想の推進を機に、地元白浜町や田辺市にある南方熊楠顕彰館との連携強化を図りまして、熊楠さんの魅力を全国に強く発信していきたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 最後に、要望させていただきます。
 記念館が新しくなりましても、交通アクセスという点で大変わかりにくいという実情があります。これを改善することや、今、知事もお話しされました田辺市にある南方熊楠顕彰館との連携というのをぜひという声を地元でも聞いております。
 また、周遊観光コースの設定や京大臨海実験所との連携、さらに地元住民や小中学校へのアピールなど、町と県、財団が一体となって進めなければならない課題もあります。これらへの対応も要望しまして、私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 質問に入る前に、一言お礼を申し上げます。
 先般の大雪被害は全国に及び、本県でも、紀北・紀中地域のビニールハウスなど農業生産施設を中心に、約1億8000万円の被害が発生しました。被災された皆さんにお見舞いを申し上げますと同時に、迅速な対応をしていただいた仁坂知事初め農林水産部の皆さんにお礼を申し上げておきます。
 それでは、通告に従い、一般質問を行います。
 「一年の計は穀を樹うるに如くは莫く、十年の計は木を樹うるに如くは莫く、終身の計は人を樹うるに如くは莫し。一樹一穫なる者は穀なり、一樹十穫なる者は木なり、一樹百穫なる者は人なり」──1年の計は穀物を植えるに及ぶものはなく、10年の計は木を植えるに及ぶものはなく、終身の計は人を植えるに及ぶものはない、1を植えて1の収穫があるものは穀物であり、1を植えて10の収穫があるのは木であり、1を植えて100の収穫があるのは人であるという意味であります。先般、ある会合で県病院協会の成川会長がスピーチで言われたことをいただきました。知事もたしかメモをされてたと思いますが。これは有名な管子のフレーズでありますが、現在の和歌山に私は2つのことを示唆していると思いました。
 1つは、県政においても、この終身のような長い視点が必要であるということです。県長期総合計画は、わずか10年後が目標です。100年先を考えて初めて見えてくるものがあるのではないでしょうか。私は、県政においても100年後を目標にした政策が必要と考えますが、知事の御所見を伺います。
 さて、もう1つは、何よりも人に投資をするのが効率がよいということであります。人づくり、教育の大切さを説いています。
 今から100年ほど前、明治、大正のころ、全国の府県では、帝国大学や旧制大学、ナンバースクールなど、旧制高校の誘致合戦が行われていました。当時の本県の取り組みは不明ですが、戦後に至るまで大学や高校はありませんでした。江戸時代は御三家で、明治6年に城下の人口が6万1000人余で全国8位だったこのまちに、なぜ大学や高校ができなかったのか。理由はわかりませんが、それが和歌山の凋落の遠因ではないかと考えております。それゆえに、今後の100年のおくれをとらないためには、ぜひとも大学をつくるべきだと強く訴えたいと思います。
 現在、本県の大学進学率は47.8%。しかし、県外進学率は86.6%で、長らく全国ワースト1位にあります。
 本日は、県内進学率を示す資料2をお配りしております。昭和50年から平成20年までの約30年間の推移を示しています。岩手や新潟、島根、大分、宮崎など、地方でも大きく伸ばしたところが目を引く一方、断トツの低どまりが本県であります。過去100年以上にわたり県民が県外に支払った授業料や仕送りは、莫大な金額になります。しかも、県外へ一度出た人は容易に帰りません。
 自民党から、薬剤師不足解消のため、知事に薬学部設置の提案をしています。四国や九州の私学の定員割れを理由に取り組みが進んでいません。定員割れは、わずかこの10年間に全国の薬学部の入学定員が倍増したことが原因ですが、よく考えてみれば、本来なら本県においてもつくれた可能性を知らぬ間に県外の私学にとられたのも同然だと気がつきました。このような県外進学状況について、知事はどのような御認識でしょうか。
 ところで、大学は教育機関であると同時に、優秀な研究者を糾合し、地域の文化や産業を興す重要な機能を果たしています。山中教授のようなノーベル賞受賞者の多くは大学に在籍しています。世界の先端技術企業が集積するシリコンバレー発展の原動力は、スタンフォード大学を中心とした大学群にあったと言われています。
 現在、関西広域連合では先進医療特区を申請中ですが、本県と滋賀県は、はっきり言って蚊帳の外にあります。やっぱり大学や理化学研究所のような公的研究機関がないとあかんと思いました。
 現代医学では、どんな優秀な医者といえども、機械を使わずに診断や治療はできません。同様に、薬剤を使わずに診断、治療はできません。せっかく立派な医学部を持っているんですから、薬学部や医療系工学部を増設し、大学と県民医療を充実させ、加えて進学率の向上、産業振興に役立てば大変有効だと考えます。先進医療技術や創薬は成長産業であり、安倍政権が提唱する国策でもあります。
 先ほどの薬学部については、法科大学院と同様の定員バブルですが、資料3のとおり、研究者志向の強い国公立大学の薬学部には影響は少ないようです。要はやり方であると思います。
 また、パイロットや航空機整備士、航空機開発技術者については、将来にわたり世界中で不足が予想されており、国土交通省では夏までに養成方針を取りまとめる予定です。航空機関連は、世界の成長産業として期待されており、パイロット養成に関しては、余裕がある白浜空港や旧空港を有する本県は絶好の立地環境にあります。
 和歌山を元気にするためには、県経済を牽引するような医療や航空機など成長産業を創造する必要があります。そのためには、終身の計として、遠回りでも産業振興に役に立つ、時代の先を行く大学をつくることから始めるべきだと考えます。大学設立は子供たちの県内進学率向上にも大いに役立ちます。
 そして、大学設立に当たっては、優秀な私学が来ればありがたいことですが、仮に来なくても、公立であればいいと考えています。県立医大同様に交付税が措置され、授業料を安く抑えることで優秀な学生を集め、結果的に経営も安定させることができます。
 文科省では、公立大学は地域における高等教育機会の提供と知的・文化的拠点の中心的役割を担っており、今後とも地域の社会・経済・文化への貢献が期待されるとして、大学数、学生数とも平成元年の39大学6万人から平成25年度には83大学14万人へと倍増しており、地域から高等教育の拡大を支えていると称賛しています。幸い、文科省は、私学や公立大学は一定水準以上を満たせば今後とも認めるとの方針です。
 皆さん、国際教養大学を御存じでしょうか。昨年夏、有志で視察に行ってきました。全ての授業を英語で行うということで有名でありますが、設立後わずか数年で阪大や一橋大学クラスの偏差値に到達し、就職先もみんな一流企業だと言われています。この大学から学ぶべきことは、秋田県のような地方でも──失礼ながら──少子化の時代であっても、やり方次第ではすばらしい大学ができるということです。そして、県立文系学部ながら授業料など年間約200万円程度の結構な負担をしてでも、草深い秋田に全国から優秀な学生が集まるということです。
 そこで、仁坂知事に大学の効果と大学設立の可能性について御所見を伺います。どうか、終身の計の御答弁を期待する次第であります。
○副議長(花田健吉君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、県政の運営に当たりましては、10年間の計画である長期総合計画のみならず、50年後、100年後の和歌山県の将来を見据えることが必要であると考えております。
 そして、向こうから見たときに、50年後、100年後から見たときに、今、具体的に何をしとかないといけないのかということを考えることが大事だと考えております。それが先ほどの管子さんがおっしゃったようなことにつながるのかなあというふうに思っております。
 そういう観点から、今年度の政策においても、実は大きな柱の2つのうち1つは「未来への投資」の政策ということで、これは分類というか、名前をつけたということなんですが、そういうつもりでつけました。中身として、県民の将来のチャンスを保障するための高速道路ネットワークなどの社会インフラの整備に加えて、道徳教育とか、学力の向上とか、体力の向上とか、郷土学習とか、よき職業人の育成とか、国際人の育成から成る教育6本柱による人材の育成とか、そういう長期的な視点に立った政策をたくさん盛り込んでやっていこうと、こう考えているところでございます。
 次に、大学の県外進学率、そのとおりであります。本県の大学・短大への進学率が比較的高い中で、県外への大学・短大への進学割合が高いというのが現状であります。
 ここで問題は幾つかあるんですけども、1つの問題は、県外大学に進学した学生の4割超が実は和歌山県内での就職を希望しているという調査結果もございます。私は、それぞれ行きたいところに行くというのはしようがない、あるいは問題はないのかもしれませんが、県内に残りたいという人が学ぶ場所や働く場所がなくて県外に出ざるを得ないというのは、断固問題だと考えております。
 そこで、和歌山県に帰りたいと考えてる人が県内企業の情報を知らずにチャンスを失っている可能性もありますので、和歌山にたくさんある世界に通用する企業の情報を直接大学生に提供するため──これ、プライバシーの関係で結構大変なんですけど──UIターンわかやま就職ガイドブックの送付やUターン就職セミナーの開催などに取り組んでいるところでございます。
 続きまして、もう1つの問題は──問題というよりも特徴は、大学自体が若者の集積の場所である、地域との交流という点でも大変好影響があるという、そういう問題でございます。したがって、私は、大学は絶対につくりたいと、そういうふうに思っております。もっと言うと、つくっておかなければならなかったというふうに思っております。
 もっと言いますと、実は学生が減って、大学はみんな経営が大変です。大学をつくるブームというのがあったんですけれども、今、その中の幾つかの大学が大変な苦労をしています。その後あったのは、外国大学の分校というのがありました。これも大分チャンスがあったんですが、和歌山県は残念ながら全てのチャンスを放棄して時代は過ぎてしまいました。今チャンスがあるかというと、まだあると思っております。今あり得るのは専門職業人の育成校だけだなあというふうに思うわけでございます。
 そういう意味で、これまで県立医科大学の定員増とか、あるいは保健看護学部の博士課程とか、和歌山大学の観光学部の設置とか、日高看護専門学校とか、努力をしてまいったわけですが、今のような考え方で、まだまだ可能性があるんじゃないかと思って、いつもウの目タカの目でございます。
 具体的に言いますと、うまくいっとらんのですが、看護大学に可能性があると思っております。和歌山県立医大に看護学部がありますから、これはもう私立しかないんですが、大分そういう意向のある民間の方々に働きかけを本当にやりました。しかし、研修病院の手当てなどの問題があってうまくいっておらんというのが現状です。
 県立医科大学の薬学部の設置とか、あるいはパイロットや航空機整備士等を養成するための県立大学の設立というようなお話が、現在ありました。私は、可能性は追求していくべきだというふうに思っております。
 ただ、いろいろ勉強はしておるんですが、初期投資にお金がかかるということは事実であります。交付税措置は運営に係るところだけですので、そういう財政支援はありませんから、これをどう考えるかという問題があります。それから、運営に係る交付税はいただけるんですけども、実際に要するお金などをとてもくれません。和歌山県立医大もベースとして県から毎年40億円余をつぎ込んでるということから、それは明らかではないかと思います。それから、その分、学生に応分の負担を求め得るかというと、これは程度の問題ではないかというふうに考えます。
 ということをいろいろ真面目に考えないといけませんが、何でも「反対」とか「難しい」とか言ってると、それこそ50年後に笑われる可能性もありますので、今後も可能性については真摯に、かつ幅広く研究していきたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 おべんちゃらを言うわけじゃありませんけども、仁坂知事は、県政推進に真面目にこつこつ頑張っていただいてると思います。私は個人的に及第点を差し上げたいと思いますが、ぜひ満点を目指して頑張っていただきたいと思います。そのためには、私は、県民がわくわくするような、夢のある──これは夢で終わったらあかんわけですけども──そういう大きな政策も掲げてやっていただきたいというふうに御期待を申し上げておきます。
 大学自体は、私が申し上げた航空機関連、それから医療関係というのは、もう大きな成長産業だと思いますし、日本の国もそういうところで生きていかないとだめだと思います。その大きな流れに和歌山も乗っかればいいんじゃないかなと思っております。
 次の質問に移ります。2番目は、高速道路についてであります。
 去る2月25日、一般国道42号すさみ串本道路を平成26年度の新規事業化の候補として新規事業採択時評価の手続を進めることが国土交通省から発表されました。紀伊半島一周高速道路の実現に向け大きな前進であり、二階俊博代議士初め県関係与党国会議員の御尽力と知事や関係者の熱心な要望活動、国交省の御理解のおかげであります。この際、県議会の議員連盟を代表してお礼申し上げておきます。
 先日、テレビで、関西人1000人が行きたい温泉ベスト10という番組がありました。残念ながら那智勝浦温泉は入ってませんでした。やはり京阪神から遠いと損だなあと思いました。一刻も早い紀伊半島一周を目指して、どうか切れ目のない事業継続を期待しますが、今後、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の御所見を伺います。
 また、今回のすさみ─串本間は田辺─すさみ間に続く路線ですが、平成27年には京奈和自動車道路や第二阪和道路なども開通することから、平成27年は本県の道路整備の節目の年になります。果たして、その後の道路整備をどうしていくのか。ぜひそのあり方についてもあわせて御答弁願います。
○副議長(花田健吉君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 2月25日、国土交通省から、一般国道42号すさみ串本道路について、平成26年度新規事業化に向けた評価手続に着手するとの連絡がありました。ちょっとかたい言葉を使いましたけれども、事業化候補としてちゃんと位置づけてあげるから頑張りますというようなことであったわけでございます。
 大変喜んでおりまして、今後は3月中に第三者委員会の審議や国会での予算審議を経た上で事業化が決まるということになりますけれども、今回の決定は大きな前進であると思っておりまして、大変喜んでおります。これまで御尽力いただきました御指摘の国会議員や関係県議会議員、地元の首長を初め多くの皆様のおかげと、心から感謝をしております。
 近畿自動車道紀勢線の紀伊半島一周の実現は、企業立地や観光振興、農林水産業の振興など県民の将来のチャンスを保障するものとして、さらには南海トラフ巨大地震など大規模災害への備えとしても、不可欠かつ急務でございます。今後とも議員の皆様の御協力を得ながら、まずは、すさみ串本道路の事業化を決定していただくとともに一刻も早く完成さしていただくと、引き続き、紀伊半島一周高速道路の早期実現を国や関係機関に働きかけてまいりたいと思っております。
 続きまして、平成27年度以降の高速道路等の整備ということでございます。
 和歌山県の高速道路等の整備については、これは国でもいろいろ配慮していただいて平成27年の国体というところが大変な節目になってることは、議員御指摘のとおりでございます。ここまでに近畿自動車道紀勢線の田辺─すさみ間を完成させようと、京奈和自動車道路全線をやろうと、それから第二阪和国道など事業中区間の供用についてやろうと、こういうことになっとるわけですが、正確に言いますと、国は27年度でございまして、我々は国体までということで強く働きかけているところでございます。
 今度は、平成27年度以降については、有田─南紀田辺間の4車化の話がございます。それから、この間事業化されました新宮紀宝道路を推進すると、それから、来年度事業化が期待される──まあ大丈夫だと思いますが──すさみ串本道路をどんどん進める、それから、残り区間についても早期事業化を図ると、そういうことによって、紀伊半島一周高速道路の実現を第一に進めなければいけないと思います。また、府県間道路や川筋ネットワーク道路の残った区間、これもいまだ27年度を過ぎてもございますので、これを急いで整備を進めていくということをやっていきたいと思っております。
 その次の問題でございますけれども、川筋に次ぐようなプロジェクトは幾つか、まだ決めておりませんが、県内ではあると思います。それに加えて、次に続くプロジェクトとして考えられる京奈和関空連絡道路や、あるいは大阪都心と関空を結ぶ高速交通アクセスと四国新幹線などに資する紀淡海峡ルート等の構想、こういうものの具体化に取り組んでいきたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目に、医科大学について伺います。
 昨年9月、社会保険紀南病院の透析科常勤医3人のうち1名が欠けたという理由で、県立医科大学の腎臓内科学講座は、国保日高病院の唯一の常勤透析専門医を紀南病院へ転勤させ、かわりに日高病院には非常勤の医師を月水金に派遣することにしました。現在は事なきを得ていますが、御坊周辺では日高病院初め4施設で人工透析が行われており、合併症など重篤患者が発生すると総合病院である日高病院で対応する必要があり、その際に専門医がいなければ受け入れができません。
 事態を心配した患者団体が、昨年末、同講座に常勤医師の派遣を1200名以上の署名を添えて嘆願したところ、中紀地方の重篤患者は紀南病院へ、和歌山市北部の重篤患者はりんくう医療センターへ行くように説明があったそうです。
 このような地域医療にかかわる重要な決定が県立医科大学の医局だけの都合で行われたことに憤りを感じます。しかも、和歌山市北部の県民に大阪へ行けとは、聞き捨てなりません。こんなことがまかり通るのであれば、地域医療計画は要りません。
 県立医科大学の医師の派遣は、人工透析事件以来、平成25年から地域医療機関医師適正配置検討委員会において行うことになっており、知事も、困難なときはみずから乗り出して調整すると答弁してくれていましたが、果たして機能しているのでしょうか。
 県民の生命にかかわる地域医療計画が機能するかどうか、その鍵を握る県立医科大学が公立大学法人化され、県議会に出てくる義務がなくなり、約40億円もの予算を計上しながらわかりにくい計画書を提出するだけで、直接質問や説明を受けることができません。
 また、学長が就任しても、その抱負や県民医療についての所見を聞くためには一般参考人と同様に本会議で議決しなければならないなどということは、とても民主的とは思えません。しかも、県立医科大学の情報は公開性に乏しく、世の中の流れに逆行をしています。公立大学法人化は本当に県民のためになっているのかと、私はいつも思います。
 公立大学法人化に際し、平成17年6月定例会で、町田亘議員の質問に対し当時の木村知事は、公立大学法人化されても税金が投入され、医師や看護師を養成し、地域医療の中核をなす大学であり、さらに県民のためによくなるように県としてかかわっていくと答えています。また、仁坂知事は、平成24年2月の私の一般質問に対して、中期計画のチェックや日常問題については毎月開催している連絡協議会で指導していくと答えていただきました。
 最近の公立大学では理事長と学長が分離されている傾向というふうに聞いております。果たして、和歌山におきましても分離の必要はないのか。そして、今回のような医局の人事に際しては県当局に相談する制度を設けるというような新たな管理方法が必要だと思いますが、知事の御所見を伺います。
○副議長(花田健吉君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大学があちこちで独立行政法人化しているんですが、最近、大阪で理事長と学長が別人格になりましたけれども、大体のところは一体であるところが多いようです。これは、いろいろ考えてみますと、大学はやっぱり学問をして学問のレベルを上げなきゃいけない、それを背景に人を集めて、つまり学生を集めて、それで、医科大学ですから、その学生を中心として地域医療に貢献してもらおうと、こういうメカニズムだと思います。
 したがって、学内の人はさておき、別のところから人を入れると。管理はそれでうまい人が行くかもしれませんが、余り管理ばかり意識されると、大学人全体が少しやる気がなくなって、それで例えばいろんな機能が落ちてくるということもちょっと懸念するところなんです。そういうところに大学の自治というのが強調されるゆえんがあるというふうに思います。私は、結論を言うと、今のところ一体がよろしいというふうに思っております。
 しかし、一体ならどうでもいいというわけでは、もちろんございません。大学の自治が拡大解釈されると困るわけであります。大学は、現在いる大学人が唯我独尊に何でもやっていいというものではありません。医大は、特に和歌山県立医大は、学長のものでも教授のものでもありません。県民のものであります。特に地域医療を守ってもらわないといけないという、我々としては悲願にも近いような、そういう大事な役割を持っているわけでございます。そういう意味で、大学のガバナンスというのは、これはいつも問われることだというふうに思います。
 今回、学長選挙、理事長選挙があって、岡村さんが理事長、学長に推挙をされたわけでございます。形の上では理事長に推挙をされて、私が任命をするかどうかということなんですが、その岡村さんとよく話をして、まず3つのことを確認させてもらいました。地域医療をあなたは一生懸命やろうとするか、それから、学内の融和、これはちょっと、ずうっと割合対立が結構あるもんですから、少なくとも特に対立があるように言われるもんですから、これは勝者のほうがちゃんと寛容の気持ちで融和に努めなきゃいけないということで、そういうつもりがあるか、それから、学内のガバナンスをもうちょっと改善しなきゃいけないように思うけれども、それに協力をするかという3つの点について確認をいたしまして、それは前向きにやるというふうに言っておられるので、岡村さんは任命したいと私は思っております。
 特にガバナンスという観点からは、医大の理事長推挙方法がこれでいいのか、それから教授の選考がこれでいいのか──例えば弟子を全く最近集めていないような教授がずうっと長くいるということがあって、これが医師不足に拍車をかけているわけであります──このままこの地位に置いといていいのか、それから、選考過程では論文の多寡とかそういうことばかり議論になってはいないかというようなことを考え、かつ教授会と理事会ってあるんですが、そのチェック・アンド・バランスがこれでいいのかというようなことをやっぱり考えていかないといけないなあというふうに思っております。
 これは大きな制度の問題でございますが、さらに月1回打ち合わせをいたしまして、それで、その時々の問題について今議論をしておりまして、これも続けていきたいと考えております。
 それから、医師派遣についてでございますけれども、現実にどこにどういうような派遣をするかということを、形はともかくといたしまして、和歌山県が知らないでいいというわけでは決してないというふうに思います。そういう意味で、制度化も含めて、もうちょっと検討してもいいかなというふうに思いますが、現実の問題としては、実はよく知っております。知らなかったというか、それはどうかと思ってるのは、大阪へ行けと言った人がいるという話ですが、こういう人はちょっと注意をせないかんということで、これは県の見解とは全く違います。
 本質は、病院に行ってよいとか、あるいは学内に残って、医局にとどまって全体として和医大をサポートするとか、そういう医師の数が足りないというところにあるわけであります。したがって、たくさんいれば任命すればいいんですけれども、任命したくても人がいないという状態であります。
 医大を中心にして、人が足りなくなったときに、何とかしたいと思っていろいろ駆けずり回るわけでございますが、医大が難しかったら、実は他の大学にも手を回して、これは実は、私も含めて県が中心になって必死で人探しをしながら何とかつないでいるというのが現状であります。
 御指摘の腎臓内科についても、これは数が足りません。田辺で1人引退するということで、実は、これは全部は守れないので、拠点化をして人をちょっと集めてということで、日高の方を田辺に持っていったという事態でございます。ただ、日高も大事でございますし、議員御指摘のような事態にはちゃんと備えないといけないので、非常勤の方も駆り集めてまいりまして現在対応してるということでございます。
 以上のように、実際、私だけじゃなくて、大事なことになってくると私とこへ来ますが、日常的にも健康局長を中心にして相談に応じておりまして、申し上げましたように、時には、私も含めてですが、県が走り回ってるというのが実情であります。
 今後とも苦難は続くと思います。しばらくの間はずっと続くと思いますが、地域の目配りをしながら──特定の地域が割を食わないようにという意味でございますが、目配りをしながら頑張っていきたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 いろんな議論をしてみても、医師不足であるということは、なかなかこれを補うことはできません。そのことについての努力は、知事初め県の担当部局長、担当の課長さん、皆さん本当に涙ぐましい御努力をいただいてることを承知しております。
 ただ、今回の日高病院の人事については、まず地元の新聞に報道された。どういう経過があったんかわかりませんけども、それ以降、地元の人でありました野尻局長が走り回ってくれたというふうに聞いております。だけど、本当は大学からあらかじめ県にも相談があってもしかるべきだと思いますし、私は、そういう制度があってもいいんじゃないのかなあというふうに思うんです。
 知事もおっしゃいましたが、貧乏な和歌山県が、県民からお金を集めて、せっかく大学を持ってるんですから、やっぱり知事の思うとおりに動かせるようなことにするためには、私は、県から理事長を派遣するとか、そういうふうにしたほうがいいと思う。都会のように大学がいっぱいあるところは、自由にやってもらってもいいと思うんですが、なけなしのお金でやってますから、よろしく御検討いただきたいというふうに思います。
 次に移ります。避難困難地域での民間ビルの活用について伺います。
 県では、南海トラフ地震の基本的な考え方として、1人の犠牲者も出さないという強い方針を打ち出しました。県防災対策の最高責任者として、知事の大きな決断を評価し、今後の積極的な取り組みを期待するものであります。
 早速、提案されている平成26年度予算においても、住宅の耐震改修支援の充実として、非木造住宅や建てかえを補助対象に追加するとともに、避難重視型補強の要件を撤廃しました。また、大規模建築物の耐震改修促進法の改正に伴い、耐震診断が義務化される大規模建築物のうち、避難所となる施設等の耐震化にも補助を広げ、津波避難困難地域にある県営住宅に屋外階段や手すりを設置する予算3000万円が計上されました。
 いつ発生するかわからない南海トラフ地震の避難対策は、最も優先すべき政策であり、官民問わず、あらゆる手段を活用して対処すべきであると考えます。
 本年度末には、逃げ切るプランが公表され、避難所や避難方法が県民に示されます。速やかな公表と、その精度の検証を期待いたしております。そして、私は、その際は、避難困難地域においては、避難ビルとして有効な建物は公的建物だけではなく民間ビルも活用すべきではないかと考えます。また、その場合に、耐震化や避難階段設置など機能強化に対して、県としても支援はできないのかと考えますが、あわせて危機管理監の所見を伺います。
○副議長(花田健吉君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 津波から命を守るためには、とにかく逃げ切ることが第一です。避難場所や避難先を確保することは、津波対策として最も重要であると考えております。
 そのため、避難場所や避難先として既存の民間ビルを活用することは、非常に有効であると考えます。民間ビルの所有者が屋上を開放したり、自己資金により外づけの非常階段を整備していただいている例もありまして、このような行動も企業の社会貢献につながっているものと考えます。
 県は、これまでも沿岸市町に対し、できるだけ多くの民間ビルを避難ビルに指定するよう助言を行ってきたところです。沿岸市町には、今後も避難路や避難方法など地域の事情に沿った検討を行い、避難ビルの指定に向け、しっかりと民間ビルの所有者に働きかけるよう助言してまいります。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事が、県民だよりとかに、コメントというのか、思いを述べておられるのに、かつて県の職員に「やった気になってたらあかん」というのがあったと思うんですが、これは私はすごく印象的で、この議会で質問をしても、必ず「やってます」という答えをいただくんですが、やるべきこと100あって、1やっててもやってる、99やっててもやっぱりやってる、これは実は同じ「やってる」でも差があるというふうに思います。
 防災対策でいつも思うのは、県は、自分とこの施設ですから、県の建物なり県立学校、それから県営住宅、これをする──もちろん必要なことでありますけども──これで万全ではないと思うんです。避難困難地域に民間の建物しかなかったら、それを耐震化するなり外階段をつける、こういうことが本当の防災対策、県の必要な施策ではないかなというふうに思っておりますので、どうぞよろしく御検討をお願いしたいと思います。
 次の質問に行きます。次は、障害者福祉について伺います。
 数年前、自民党県議団福祉議連で北海道伊達市を訪問しました。障害者が商店街でも雇用され、鮮魚店や青果店などで仕事をしているとのお話を伺いました。作業所や大企業でなくても、志があれば、どこでも障害者の雇用は可能だということを教えていただきました。ぜひとも、この伊達市のように障害者雇用が全国に広がるよう希望します。
 さて、平成25年4月1日から障害者優先調達推進法が施行され、国や地方自治体は障害者就労施設等から物品等を優先的に調達することになりました。現在、県ではどのように取り組んでいるのでしょうか。また、今後の展開についても伺います。
 続いて、県単独医療費助成制度について伺います。
 「出物腫れ物所嫌わず」と言います。皆さん、きれいな話ではありませんけども、大便を我慢できる人がおられるでしょうか。知事はどうですか。
 実は、下半身不随の人たちは排便をコントロールしています。1人ではトイレに行けないので、食事や水分摂取を制限して、わざと便秘の状態にして、1週間に1~2度訪問する看護師により摘便を受けています。摘便とは、肛門から指を入れ便を摘出する医療行為です。
 私は、このお話を聞いて、大変気の毒に思いました。交通事故などで脊髄を損傷し、下半身不随となった障害者は、重度になると就労することも困難で、生活保護や障害年金だけで暮らしています。そして、家族がいない人は、排便をどうしても訪問看護師にお願いしなければなりません。しかし、週1~2回の訪問看護を受けるためには、月3万円程度の自己負担がかかり、それが大きな負担になっています。
 毎日とは言いませんが、もっとすっきり快便できるよう県単独医療費助成制度の充実を求めますが、福祉保健部長の所見を伺います。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 障害者優先調達推進法につきましては、今年度から施行され、県では平成25年度の調達方針を作成して、昨年度の調達実績を上回ることを目標に、障害者就労施設等からの物品や役務の調達の推進に取り組んでおります。
 また、県内各圏域に共同受注窓口を設置することにより、窓口をわかりやすくし、市町村等が地元の障害者就労施設等に発注しやすくする仕組みづくりなどを進めております。
 さらに、平成26年度から関係部局と連携して、総合評価落札方式等において、法定雇用障害者数を超えて障害者を雇用している企業や障害者就労施設等からの物品等の購入が年間一定額以上である企業を評価する項目を新たに追加し、障害者の雇用機会の拡大、就労の促進を図ってまいります。
 次に、訪問看護を県単独医療費助成制度の対象とすることについてでございますが、これまで、この制度の対象となる範囲や患者負担のあり方などについて見直しの検討を行ってまいりましたが、制度対象者が安心して医療を受けられ、また制度を維持可能なものとする観点から、現行の制度となっております。本制度の対象拡大につきましては、こうした観点も踏まえながら、制度全体の中で総合的に検討してまいります。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 この県単独医療費助成制度の拡大でありますが、数年前に、どなたか忘れましたが、議会でお聞きした答弁とあんまり変わっておりませんが、ぜひ実際に検討していただくことを重ねてお願いを申し上げておきます。
 最後に、九九のできない高校生について伺います。
 数年前、知人が彼氏と別れ、その理由が九九が言えないことだったと聞いて、大変驚きました。以来、その人はどうして九九が言えなかったのか、ずっと疑問に思っていました。ところが、昨年、ある高校の先生から、九九が言えない高校生が多数いることを聞きました。九九が言えないということは、算数はおろか、中学の数学はどのように学習してきたのか、まして高校入試はどうして合格できたのか、不思議に思うというよりも、社会に出て九九が言えないと仕事にも困るのではないかと心配いたします。果たして、九九の言えない高校生とは一体どんな状況にあるのでしょうか。
 また、九九を学習するのは小学校2年生ですが、なぜできなかったのでしょうか。そして、小学2年生でつまずけば、以降の算数、数学の授業が成り立ちません。そのことを考えれば、小学校でも中学校でも九九ができないことが判明した時点で徹底的にやればいいと考えますが、できるようにするためにはどうすればよいのか。
 教育長に、以上の3点について伺います。
○副議長(花田健吉君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学力の向上について3点御質問いただきました。回答いたします。
 議員御指摘のとおり、高等学校への進学率が100%に近い状況にある中、小中学校段階での学習が十分に定着していない生徒がいるという実態もあります。
 そのため、こうした課題を抱える高等学校においては、しっかりとした学力をつけるために、義務教育段階での学習内容を確実に身につけるための基礎的な科目を開設したり、生徒1人1人の課題に即した補充学習を実施するなど、生徒の実態に応じた指導に努めているところでございます。
 次に、小学校2年生で九九を学習するべきだけれども、どのような理由でできないのかという御質問ですが、小学校段階で学習する基礎的な学力が定着してない背景といたしましては、まず、学年が進行する中で、新しい学習内容が次々と加わり、基礎的な内容を繰り返し繰り返し学習する機会を十分に確保できなかったために、一度は身につけていた知識などを忘れてしまうということが挙げられます。また、学習に対して意欲や集中力が不足したり、家庭学習の習慣化が図れなかったりすることなども一因と考えられます。
 3点目に、では、できるようにするためにはどうしたらよいのかという御質問ですが、県教育委員会といたしましては、基礎的、基本的な知識や技能が十分に身についていない児童生徒に対しましては、時間をかけた繰り返し学習が大切であり、個々の児童生徒に合った補充学習を行うことが重要であると捉えております。
 現在、県内全ての小中学校で補充学習を行っておりますが、今後、それぞれのやり方をもう一度見直し、1人1人の児童生徒のつまずきを踏まえた、より効果的なものにしていく必要があると考えております。そのため、各学校が個別指導を徹底するなど、わからないところはわかるまで責任を持って教えるという意識を持って、計画的、組織的にきめ細かく指導してまいります。
 さらに、来年度は、すぐれた教育実践力を持った退職教員を学校に派遣し、授業改善などの取り組みを支援し、教員の指導力の一層の向上を目指しながら子供たちの学力の向上に努めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。(拍手)
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時40分散会

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