平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(花田健吉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、早速、一般質問をさせていただきます。
 まず、有田保健医療圏の医師確保についてです。この問題は、昨年の6月県議会に引き続いての質問となります。
 有田保健医療圏内唯一の公立病院である有田市立病院では、産科医師の不足により、昨年9月から新規分娩の受け付けをやむなく休止されているという状況が続いています。
 私は、先日、有田市立病院へお伺いし、御苦労をおかけしている病院現場の事務長さんや産婦人科の助産師の皆さんからお話を聞いてまいりました。
 現在、有田市立病院では、分娩再開までの間は産科セミオープンシステム、これによって、妊婦健診は市立病院で、出産は県立医大や日高病院でと、こういう対応をとっておられます。これに加えて、この1月からは助産師外来と産後ケア事業をスタートさせています。
 助産師外来とは、医師の妊婦健診枠の中で医師にかわって妊婦健診を行う事業で、普通の妊婦健診であれば妊婦さんだけで健診を受けるわけなんですが、助産師外来の妊婦健診では、夫や例えば子供たちというような家族も含めて一緒に対応できるというのが特徴だそうです。おなかの中の赤ちゃんの様子を見ながら説明を受ける。これは、時には表情まで見ることができるそうでありますが、おなかの中にいるときから母性愛、父性愛を育んでいくことを大きな目標の1つとされているそうです。
 また、健診時間もたっぷりとることができるのが特徴で、通常の妊婦健診であれば、1時間から2時間待ちで受診をして、検査も含めて15分程度というとこなんですが、中身も異常の確認ということが健診の中心となります。その点、完全予約制の助産師外来の妊婦健診では、約1時間かけてゆったりと妊婦さんの相談に乗れるのがよい点だと強調されていました。
 また、助産師外来とともに取り組み始めたのが産後ケアです。この産後ケアとは、全国の先進的な地域で始まっている取り組みで、核家族化や若者の孤立化が進む中で産後の不安定な時期のお母さんをケアし、バックアップしていくものです。
 今は、たとえ核家族でなくても、祖父母の高齢化があったり、また逆に祖父母が現役で働き続けているという場合も多くて、必要なときに必要なアドバイスを受けにくいという状況があり、育児ノイローゼや、時には児童虐待というような深刻なケース、これにつながらないための取り組みとして注目をされています。
 産後のケア自体は、助産院などでは、これまでも特にそれをうたっていなくても当然のように行ってきた妊婦へのサポートです。出産直後のお母さんは、育児になれるまで本当にいっぱいいっぱいで、お乳のこと、育児のこと、赤ちゃんのこと、聞きたいけど、どこに行ったらいいのかわからないという時期に、1時間でも話ができて、子供を遊ばせて、リフレッシュして帰ってもらいたいんですと助産師さんたちは言います。産後ケアには、1時間程度の外来ケアや訪問ケアから日帰りケア、宿泊ケアと、いろんなバリエーションが用意をされています。
 こうした助産師外来にしても、産後ケアにしても、共通をしているのは、妊娠、出産、産後の母親がいかに楽しく育児ができるかをサポートしたいという姿勢です。夜、一睡もできずに育児に向き合う母親が、自分の体の変化も含め、不安でがちがちになりがちな時期に、いかに自分の不安を打ち明けられるか、相談に乗れるかということを大事にしていこうという姿勢です。
 また、助産師さんたちは、病院で待っているだけでなく、子育て支援センターに出向いての相談活動などもされています。住民の中では、市立病院の産科がなくなったという口コミだけが広がっていて、「いえいえ、やってますよ」というところから話が始まるんですと、明るく笑顔で話されていました。
 そして、でも何といっても一日も早く常勤の産科医師を配置してほしいです、医師と一緒になって分娩を再開したいですと、そう言う助産師さんの言葉が胸に響きました。
 現在、有田郡市においては、年間約550人の出産があるにもかかわらず、分娩ができる医療機関は民間クリニック1カ所だけという状況であり、お産の集中する月の受け付けはお断りするしかないという現状だそうです。この状況は、県内他の保健医療圏にはない状況です。
 有田保健医療圏内の1市3町の住民からは「地元で安心してお産ができる体制づくりを早く」との要望が日増しに高まっています。有田地方で安心して子どもを産み育てられる体制を求める会という住民団体も立ち上がり、事務局に問い合わせをさせていただくと、この1カ月で200通を超えるアンケートへの回答が寄せられていて、産科医師確保と市立病院での分娩再開を求める声が世論として大きく広がっていることを示しています。
 また、先月、広川町で行われた県の行政報告会においても、西岡広川町長さんが御挨拶の中で、ひとつ知事に御要望申し上げたいと、この有田保健医療圏での産科医師確保を町民の皆さんの前で仁坂知事に強く要望されていたのも印象的でした。
 こうした状況を踏まえて、以下、順次質問をさせていただきます。
 まず第1点目に、有田保健医療圏での産科医師確保に向けての取り組みはどうなっているのか。この間の取り組みの状況について、福祉保健部長より御答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 有田市立病院の常勤産科医が退職したことに伴い、昨年11月以降、有田保健医療圏において分娩が可能な医療機関は1カ所となっております。
 このような中、有田市立病院では、非常勤医師2名を確保するとともに助産師外来を開設しております。また、有田保健医療圏では、妊婦健診は最寄りの医療機関で行い、分娩は圏域外の連携病院等で行うセミオープンシステムを昨年11月から実施しているところです。
 今後とも安全・安心なお産をしていただくため、有田市立病院の常勤医確保に協力し、医療体制の確保に取り組んでまいります。
○副議長(花田健吉君) 松坂秀樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 では次に、産後ケア事業など、妊娠から出産、産後をトータルで支える子育て支援策の拡充をという点で質問させていただきます。
 先ほど御紹介申し上げたように、妊婦や産後の母親への支援が今まで以上に必要となってきています。
 ところが、産後ケア事業などは保険適用外ですから、自己負担が結構かかるんですね。先進的に実施している自治体では、半額や9割の補助を出していて、自己負担を軽く抑える工夫をしながら利用をふやしています。
 こうした流れの中で、国においては、新年度から、妊産婦の孤立感解消を図り、既存の支援に欠けていた産後ケア事業と産前・産後サポート事業に取り組むためのモデル事業が始まると聞きました。こうした国事業の採択などに有田市と有田市立病院が手を挙げていくならば、ぜひ県としても援助、助言をしていただきたいし、また、県としても妊娠から出産、産後を見据えた子育て支援策拡充を県内市町村とともに進めていくよう求めるものですが、いかがでしょうか。福祉保健部長に答弁を求めます。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 国では、来年度、妊娠・出産に係る相談・支援サービスの充実と連携強化を図るためのモデル事業を開始します。
 これを受け、県としましても、有田市や有田市民病院を含め県内市町村に対してモデル事業への参加を働きかけているところであり、計画書の提出があれば、モデル事業として指定されるよう支援を行ってまいります。
 また、妊娠から出産、育児に関する支援につきましては、市町村が実施主体となり、妊婦健診、妊婦教室、新生児家庭訪問、乳幼児健康診査などを通じて、保健師等による相談支援等が行われているところです。
 県といたしましては、これまでも市町村や地域の保健医療関係者と協力して人材育成や支援技術の向上等に取り組んでいるところですが、今後さらに地域における切れ目のない妊娠から出産・産後支援体制の充実を図ってまいります。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 次に、産科医師の不足とともに、有田市立病院では内科医師や小児科医師などの医師不足という点でも困難を抱えております。
 内科については、外来診察が火曜日と木曜日が休診で週3日しか診察ができず、入院患者さんの受け入れにも困難を抱える、そういう状況となっています。
 この内科医師の不足問題は病院運営全体にかかわることであり、県並びに県立医大として特段の取り組みが必要とされていると思いますが、いかがでしょうか。この問題にどう取り組んでおられるのか、福祉保健部長に答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 有田市立病院においては、従来5名体制であった内科について、常勤医師の退職等が相次いだほか、小児科につきましても、昨年4月以降、常勤医師が確保できておりません。
 このため、県では緊急的に自治医科大学卒業の内科医を1月から派遣したほか、小児科につきましても非常勤医を確保するなど、当面の診療体制確保に努めているところです。
 引き続き、有田市とともに、県立医科大学を初め県外の医育機関等に対して内科医師等を中心に派遣を依頼するなど、医師確保に取り組んでまいります。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 以上3点にわたって質問をさせていただきましたが、今回取り上げさせていただいた産科や内科医師の確保というような地域医療を守るという分野は、一市町村や一病院だけの課題ではなく、広域自治体である県の大きな責務であり、県立医大の存在意義にかかわる大事な課題であるというふうに考えます。
 県下の地域医療を守っていくために、県の果たす役割をどう考え、医師確保を初め地域医療の体制強化のためのさまざまな施策にどう取り組んでいくのか。あわせて、有田保健医療圏での地域医療を守るためにどう取り組んでいくのか。今度は知事の御所見と決意をお聞かせ願いたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県は、地域の医療崩壊を防ぎ、安全・安心な地域医療体制を構築する役割を担っております。
 これをどういうふうにして具体的にやっていくかというと、特に現在、御指摘のありましたような地域の公立病院を中心とするような拠点病院に頑張ってもらって、和歌山県はその拠点病院から、山のほうに集落が広がっておりますから、今度はそういう方々も診てもらえるようにするというのが戦略なんでございます。したがって、この拠点病院を中心とした救急医療体制の堅持とか、それを担う医師、看護職員の確保が大変大事なことでございます。
 具体的には、それでもそういう病院に関しては医師不足が顕著でございますので、その援軍も送らないかんということで、医師をふやさないという閣議決定を覆した県立医科大の都合40名の定員増の実現、あるいは医師不足が特に深刻な産科、小児科等を目指す研修医を対象とした修学資金制度の創設、あるいは若手医師の定着を支援する地域医療支援センターの県立医科大学への設置といった抜本的な医師確保対策に取り組んでまいりました。
 また、各保健医療圏ごとに、小児医療、救急医療における医師会と拠点病院間の協力体制の構築も進めてまいりました。
 今後とも、こうしたさまざまな取り組みを進め、引き続き地域医療体制の充実に向け取り組んでまいりたいと思います。
 有田保健医療圏においても、県立医科大学からの医師派遣や自治医科大学卒業の医師の派遣等により病院勤務医の確保に取り組んでいるところでございますが、まだ十分安心はできない状態でございまして、私自身も含めて、1人の医師を確保するというのが、これはもう大変な困難なことでございますが、これをやっていかないと、次々と崩壊が起こりますので、引き続き頑張っていきたいと思います。
 地域医療再生基金などもございますので、開業医と拠点病院が協力する体制の構築に支援するなど、保健医療圏全体で安心できる地域医療の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事から決意を込めた御答弁をいただきました。
 住民の皆さんの関心も非常に高い課題ですし、県、市、病院の関係者の皆さん、力を合わせて必死になって御苦労をいただいております。一日も早く医師確保のめどをつけ、地域医療を守れるよう取り組みを強化されるよう、重ねて強く要望をしておきたいと思います。
 2つ目の質問に移らせていただきます。
 和歌山の森林・林業の再生に向けて質問をいたします。
 先日、有田川町の清水森林組合を訪問し、組合長さんを初め役員、職員の皆さんからお話を伺ってまいりました。
 清水森林組合は、この間の経営危機を関係者の皆さんの努力で何とか乗り越えるめどをつけ、そして1月からは新体制でスタートをさせています。
 懇談の中で、組合長さんらからは、木材利用の拡大や林業後継者対策、森林の公益的機能の啓発、事業における書類等の合理化・簡素化の御要望を聞かせていただき、森林・林業の再生への思いを強くした次第であります。
 今、私たちは、県内の中山間地や山間部において、過疎化と若い世代の減少、流出がとまらず、ひとり暮らし、2人暮らしの高齢者世帯がこの数年でも急激に増加しているのを実感しております。
 県と市町村が力を合わせて取り組む過疎対策、地域活性化策の強化はもちろんのこと、本来の活力を取り戻すには、若い世代の雇用確保がその柱となるべき課題であります。林業や農業など第1次産業が元気になって、加工や販売などの裾野が広がることが求められています。
 和歌山県の面積の77%が森林です。森林の持つ公益的機能についての意識は高まってきており、水源の確保、CO2の吸収源、生物多様性確保と、ますます重要な位置づけがされています。この和歌山の森林に蓄えられた高いポテンシャルを生かし、森林・林業の再生を図ることが大切です。
 日本国内の森林の成長量は約8000万立米に上り、現在の日本における年間木材消費量を上回る量となっており、現在約28%の自給率を抜本的に引き上げる条件があります。関税など国際的取引についても、木材も工業製品のような扱いではなく天然資源として扱おうという動きもあるように、世界的な木材需要の高まりと資源の減少の中で、いつでも、どれだけでも外国から木材を輸入するという輸入頼みは通用しない時代を迎えようとしています。
 ところが、国産材の消費は、輸入圧力により消費量も材価も低下の一方をたどり、国産材のほうが外材より安くなる逆転現象が起こっています。外材は丸太での輸入から加工済みのホワイトウッドに取ってかわられていて、木材加工場も外材から国産材への転換、対応が求められているなど、輸入頼みの木材政策、国策の転換こそが求められます。
 しかし、私たち和歌山県内の森林を見ると、有田川町の旧清水地域では、森林面積の85%までもが人工林という状況で、必ずしも適地適木でなかった過去の植林推進のために、過度の人工林化が進みました。また、多くの苗木を密植して成長させる育成法がとられたため、放置された人工林では、かえってそれが逆に弱点となって、光の入らない真っ暗闇のモヤシのような森となり、一見緑の森に見えても、実は緑の砂漠なんだと指摘をされています。
 こうした課題を解消するために、県としてもさまざまな施策に取り組んできたわけですが、和歌山の森林と林業の再生を求めて、以下5点にわたって質問をさせていただきます。
 1点目は、木材の利用拡大という点です。
 3年前、国において超党派で可決成立した公共建築物の木材利用促進法を受け、この間、木材の利用拡大に和歌山県としてどう取り組み、和歌山県産木材の利用拡大はどう進んだのか。まずはこの点から農林水産部長の答弁を求めます。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 平成22年10月に施行された公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき、平成24年2月、和歌山県木材利用方針を策定するとともに、市町村に対しても策定を働きかけ、既に全ての市町村において利用方針が策定されております。
 また、副知事、各部長等で構成する木の国プロジェクト推進会議において、公共施設の木造化、木質化に取り組んでおり、秋葉山県民水泳場の屋根部材や内外装仕上げ材など、多くの施設に紀州材が利用されています。
 こうした取り組みにより、法律施行前の平成21年度は県と市町村合わせて約1700立方メートルであった紀州材の使用量が、平成24年度には1.8倍の約3100立方メートルとなっており、着実に実績を上げているところでございます。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 次に、搬出された間伐材の利用促進についてお尋ねをいたします。
 林業経営を目指す森林の間伐は、利用間伐、搬出間伐が基本とされ、この間、この間伐事業、森林整備事業をスムーズに進めるためにも、搬出された間伐材の利用促進に力を入れてきました。
 しかし、景気の動向や一般材の木材価格、搬出量の変化、これらの影響を受けるために、せっかく搬出した間伐材が滞留をするといった局面もあったと伺いました。
 搬出間伐材の利用状況はどうか。供給量等はどう推移してきたか。今後、どう利用促進を進めていくのか。農林水産部長より御答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 間伐材は、建築用材や合板用材など、さまざまな用途に利用されております。
 供給量につきましては、平成19年度は約1万7000立方メートルでしたが、5年後の平成24年度は約6万立方メートルに増加しております。
 間伐材を初めとする紀州材の利用を進めるため、県では公共建築物での利用推進に加え、民間木造住宅における利用拡大などに取り組んでいるところです。また、合板用として年間約1万立方メートルが出荷されており、引き続き関係団体と連携して、新たな出荷先の確保など、需要の拡大に取り組んでまいります。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 次に、公共事業での木材利用拡大についてお尋ねをいたします。
 建築関係での木材利用促進とともに、木材使用を量の面で大幅に引き上げる可能性を持つのが公共土木工事の分野であると考えます。鉄筋とコンクリートだけでなく、木材や石を利用できる工事はたくさんあります。県は、これまで、今年度末をめどに公共土木工事への間伐材利用推進指針を策定することや木材の活用マニュアルを早期に作成すると表明をし、農林水産部と県土整備部が連携してこの課題に取り組んでまいりました。ぜひこれらの取り組みが新年度予算による事業に生かされ、県内での木材使用量が増加していくことを願うものであります。
 新年度を迎えるに当たり、どのような指針とマニュアルを示そうとしているのか、お尋ねいたします。
 まずは、公共土木工事への間伐材利用推進指針についてはどうか、農林水産部長に御答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 公共土木工事における木材利用促進は、県内の森林整備を進める上で大変重要であると認識しております。
 和歌山県木材利用方針においても、公共建築物だけでなく、公共土木工事にも紀州材の利用を推進することとしており、木柵工や型枠などを中心に利用されております。
 今後、公共土木工事におけるより一層の利用拡大を図るため、重点的に木材利用を進めていく工事の種類を明記した木材利用推進指針を、年度末の策定を目標に県土整備部と協議を進めているところでございます。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からは、木材利用推進指針の説明として、重点的に木材利用を進めていく工事の種類について明記をしていくんだという答弁だったと思います。
 また、年度末までに策定ということでした。もう年度末だから、もうできたのかと聞いてるわけでありますが、もうすぐ発表するんだという意味でしょうから、発表を期待しておきます。
 そこで、この指針で示す内容、目標について再質問をいたします。
 国会での木材利用促進法の議論のときにもあったと思うんですが、これだけの量を使っていくんだ、そこを目指すんだという数値目標、特に量的な数値目標、こういったものが入らないと、「できるだけ努力する」にとどまる可能性が大きいんですね。和歌山県としてこれだけの量を使っていこうと、目指すべき数値目標が広く県民に示されれば、工事を実際に発注する役所の側も、また木材を供給する側も、見通しを持ってこの仕事を進めることができると思うんです。
 また、これが県民の皆さんに広くPRされるならば、木材を使っていこうという意識や合意になっていく、施工業者さんの協力を得ていく、こういうことにつながると思うんです。
 部長に再質問いたします。
 木材利用の数値目標、特に量的な目標を打ち出していくおつもりなのかどうかという点、また、この指針は県庁内プロジェクト、申し合わせというレベルではなくて、広く県民に公表して取り組まれるものかどうかという点も答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 現在策定作業中の指針では、例えば、山腹工における柵工であれば特殊な場合を除いて100%木製とするなどの具体的な目標割合を設定することとしております。
 それから、量的な目標についてでございますけれども、指針の中では、現在のところ、そこまでは議論はしておりません。といいますのは、その年度の事業量等によってきますので。
 それから、また、その指針の内容につきましては広く公表し、着実に木材利用が進むように取り組みを進めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長の御答弁は、工法により目標割合のそういう目標数値などを示していくという御答弁でした。
 事業量の伸び縮みがあるからというお話でありましたが、そういう積極面は評価をするものの、先ほど指摘をさせていただいたように、やはり量的な数値目標、これは目指していくべきじゃないかと思います。目指すべき目標と、それに至る段階的な目標や手だて、こういったものを示せる計画指針となるように、ぜひ実際に運用していく中で発展させていただきたいと強く要望をしておきたいと思います。
 続けて、県土整備部長に今度はお尋ねをいたします。
 農林水産部とも協議しながらまとめている公共土木工事への木材活用マニュアルの内容について、またマニュアルの運用開始時期について御答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 公共土木工事における木材利用拡大を図るため、今年度、農林水産部と連携しながら、木材利用に関するマニュアルの策定に取り組んできたところです。
 これまで、県木材協同組合連合会との意見交換や各建設部等に対する調査などで、木柵工や丸太伏せ工等の施工実績及び維持管理上の課題について整理を行ってまいりました。
 今後、これらの調査分析等を踏まえまして、公共土木工事の設計施工に活用できる木製品の利用が可能な工法につきまして、年度末を目標にマニュアルとして取りまとめ、運用してまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 もう年度末でございます。取りまとめの段階ということで、時期についても早急にという答弁でありました。
 木材使用量が実際にふえるかどうかの鍵を握っている、その主役は、私は県土整備部だというふうに思うんです。これまで試され済みの工法に加えて、河川工事など木材を使用できる工事は、私はかなりあると思うんです。ぜひ実際に使えるいいマニュアルをまとめていただいて、早くスタートをさせていただきたいと思います。
 再質問で部長に確認させていただきますが、この運用の開始時期なんですが、新年度のさまざまな公共事業において、マニュアルが示された後は、新年度発注の工事から順次適用、運用されていくということでよろしいですね。その点を確認させてください。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 今ほど答弁させていただきましたけれども、マニュアルにつきましては、年度末を目標に取りまとめをさせていただいております。
 取りまとめた暁には、速やかにこれが公共土木工事に運用されるように進めていきたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 一日も早くスタートできるように期待しておりますので、どうぞよろしくお願いしておきます。
 次の質問に移ります。林業後継者対策と森林組合の役割についてです。
 和歌山県は、緑の雇用など、さまざまな施策を通じて林業振興と林業後継者の育成に取り組み、和歌山県の山間地域の活性化と森林環境の保全を目指してきました。
 森林組合の作業班は、地域の雇用の場という点で、民間事業者とともに地域で大切な役割を果たしてきました。しかし、昨今は、森林組合の経営難等を理由に、林業後継者の雇用環境において厳しいものがあるのも現実です。
 林業後継者対策の到達と現在の支援策、森林組合の果たすべき役割についてお伺いをいたします。
 県の取り組みの到達として、緑の雇用で就労した方が現在どれぐらい森林・林業の現場で働いておられるのか。また、新たな林業後継者の就労や技術力向上などの支援策はどうか。林業後継者育成における森林組合の果たすべき役割について、県はどう考えているのか。農林水産部長の御答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) まず、これまで行ってきた緑の雇用事業についてですが、林業に従事されている方は、平成24年度末で168名で、森林施業の中核となって活躍いただいております。
 次に、就労や技術向上などの支援策についてですが、国からの委託事業であるフォレストワーカー研修などに加え、県では、林業の基礎的な知識から高性能林業機械の操作に至るまで幅広い技能を習得することを目的に、グリーンワーカー育成研修を実施するなど、林業の担い手の育成に積極的に取り組んでいるところです。
 本県の林業振興において、林業従事者の育成は非常に重要であり、林業従事者の多くを雇用する森林組合の役割は大きいことから、組合が森林所有者の負託に応えて森林施業を行っていくことができるよう、経営の安定化に向けた指導を行うとともに、体制強化を図るため、森林組合の合併を推進してまいります。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 質問項目の最後に、尾根筋や谷筋の天然林化事業について提案をし、答弁を求めたいと思います。
 新年度予算において、ごまさんブナ林再生プロジェクトとして、貴重なブナ林の保全と周辺の人工林の天然林化に取り組むとされていることを私は高く評価したいと思います。
 県は、これまで計画的に環境林整備に取り組んできました。私は、この分野で、尾根筋の部分と、そして谷筋、沢沿いの渓畔林と呼ばれる部分の天然林化に思い切って取り組むよう、事業化を提案したいと思います。
 議場内に資料を配付させていただいておりますのが尾根筋の天然林。これは護摩壇周辺のものでありますが、尾根筋に天然林が広がっているのがわかると思います。そして、右側は渓流沿いの天然林ということで、こうした水際、沢沿いのところに天然林が残っているというのは、実は非常に大事なんですね。
 先人の知恵として、植林をする際にも、山を丸々全部人工林にするのではなく、尾根筋や谷筋、沢沿いの渓畔林には天然林を残しておくことが健全な山を保つ知恵として受け継がれてきました。これは、自然環境という点でも、また森林への栄養分の補給という点でも、また土砂災害を防ぐ治山の面でも大切だということが経験上わかっていたわけです。
 しかし、和歌山の山においては、人工林化が極端に進んで、それこそ谷沿いの水際から山の天の天まで植林されてしまったところが多いのが現状です。
 尾根筋の天然林は、しっかりとした根を張ることによる土砂崩壊の防止、落葉による土壌の育成、栄養素の供給、多様な生物環境の保全などの機能を持ち、また谷筋の渓畔林は、洪水による浸食防止、流下土砂のろ過に加えて、落葉、落下昆虫の供給、栄養元素の交換、生き物の生息場所の提供など、それぞれ多くの機能を持ちます。
 放置された森林の環境林化に加えて、目的と効果をよりはっきりさせた環境林化事業を打ち出す時期ではないかと考えます。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 和歌山県として環境林整備に取り組んできたが、今後の方向性をどう考えているのか、豊かな森林自然環境の保全・回復と災害防止の観点から、尾根筋や渓畔林を環境林として天然林化する事業についてどう考えるか、御答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、これまで、利用期を迎えつつある人工林を対象に、搬出間伐を積極的に推進してまいりました。利用すべきものはきちんと利用するということでございます。
 一方、林業経営の観点から、収益が期待できない尾根筋とか急傾斜地の森林とか、また、もちろん渓流沿いに生育する渓畔林などについては、国の補助事業を初め、紀の国森づくり基金を活用して、広葉樹が混在する森づくりに向けて、共同間伐の実施など環境林整備に取り組んでまいりました。条件的に厳しく手入れが進まない森林や自然環境の面で重要な森林を中心に、環境林としての保全整備に取り組んでいきたいと思います。
 それ以上に、まだもとのままの自然が本格的に残されている、こういうところも積極的に保全をせないかんというふうにも思っております。県立自然公園の再編を就任早々やりましたが、そのときもそのような考え方で配慮してまいりました。
 また、貴重な生態系を持つ森林などについては、そのまま保全しようということで、紀の国森づくり基金を活用して公有林化を進めてまいりました。
 それから、来年度、御指摘のように、新たに鹿による食害が拡大している護摩壇山のブナ林保全に、これはちょっと技術も生かして取り組むなど、貴重な森林資源の保全対策もさらに強化してまいりたいと思っております。
 このように、豊かな森林資源を次の世代に引き継いでいくためには、森林の持つ公益的機能の維持増進のための施策を積極的に推進していくことが重要と考えております。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁いただきました。
 知事からは、環境林整備の中でこれまでやってきたこと、そして、今後も条件的に厳しくて整備の進まない森林を中心に環境林整備を進めていくとの答弁がありました。
 私のきょうの質問での提案は、知事がおっしゃったように、地理的、経済的要因で整備が進まず放置された森林の整備、進めたことは大事なんだけども、これからは、その中でも特にというか、それに加えてというか、和歌山県の森林の尾根筋や渓畔林を目的意識的に整備すること、ここに意義があると提案をしたわけです。
 環境林の整備を始めて10年がたちました。この整備計画の到達点を踏まえ、今後ともこういった点をぜひ吟味しながら整備を進めていただきたいと要望しておきたいと思います。
 そして、加えて要望しておきますが、新年度予算では、県として土砂災害啓発センター(仮称)の設置が盛り込まれ、国の土砂災害研究機関を誘致して防災対策に取り組むというふうにされております。
 ぜひ、この新しい組織でも、森林の土砂災害防止という点から尾根筋や渓畔林の天然林化の効果を研究するよう指示も出していただき、県の施策に生かしていただくよう要望いたしまして、本日の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時46分散会

このページの先頭へ