平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成26年2月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
────────────────────
議事日程 第5号
 平成26年3月4日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第52号まで、議案第54号、議案第56号から
    議案第80号まで、議案第82号から議案第87号まで及び議案第89号から議案第100号まで(質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第52号まで、議案第54号、議案第56号から
    議案第80号まで、議案第82号から議案第87号まで及び議案第89号から議案第100号まで(質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
出席議員(38人)
 1番 立谷誠一
 2番 濱口太史
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 18番 岸本 健
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 森 礼子
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
 10番 欠員
 17番 欠員
 36番 欠員
 39番 欠員
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       市川靖之
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     塩崎 望
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     石原康弘
 会計管理者      植山 均
 教育委員会委員長   山本 哲
 教育長        西下博通
 公安委員会委員長   片山博臣
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     谷村守彦
────────────────────


  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第52号まで、議案第54号、議案第56号から議案第80号まで、議案第82号から議案第87号まで及び議案第89号から議案第100号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 32番藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。ちょっと春めいてまいりましたので、明るい服を着てまいりました。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず最初には、県科学捜査研究所におけるデータ流用事件についてであります。
 県の科学捜査研究所、いわゆる科捜研におけるデータ流用事件は、昨年、一定の決着がついていますが、その社会的影響は大変大きいものと思い、今回、質問をさせていただきます。
 平成24年に発覚した科捜研におけるデータ流用事件は、報道によると、捏造されたのは交通事故や無理心中などで証拠品とされる繊維片の素材や塗料片の成分を特定するための分析データであります。捏造を行った研究員は、赤外線を使う専門機器を用い、赤外線を物質に当て、得られた波形図から物質を特定する作業をしていたとあります。しかし、波形図の見ばえが悪かったとして、過去に同様の物質を分析した際に得られたはっきりした波形図を使っていたとのことであります。また、この研究員は、専門機器に接続されたパソコンに保存されていた波形図を取り出し、日付や事件名だけを書きかえていたとも報道されていました。
 初期の報道では、鑑定書の捏造は少なくとも7件に上るというものでした。しかし、その後の報道では、この研究員が捏造した鑑定書類の数はふえ、覚せい剤取締法違反事件などで19件の捏造が判明したという報道や、当時の証拠が十分残っていないため、捏造があったのか、なかったのか、明らかでないという報道もありました。少なくとも刑事時効の観点を除いた場合、捏造した鑑定書類や事件の数というのは相当程度存在しており、表に出てこない限り、かなりの余罪があるであろうこともうかがえるというものでした。
 この研究員は、昭和60年ごろから25年以上も科捜研に勤務し、科捜研の中でも主任研究員の地位にあり、薬物などの化学分野の分析や鑑定を担当していたとのことであります。
 この事件について、和歌山県警は、証拠隠滅、有印公文書偽造、同行使の容疑で在宅のまま和歌山地検に書類送検、同時に停職3カ月の懲戒処分とし、研究員は依願退職を認められ、退職しました。昨年3月、和歌山地検は、この研究員を起訴、6月に懲役2年、執行猶予4年の判決が出ています。これにより、この鑑定書類データ流用事件について、刑事事件としては1つの区切りがついています。
 しかし、冒頭に申し上げたように、科捜研の果たす役割は大変大きく、社会的影響ははかり知れません。1人の研究員によるデータ流用事件というだけでは済まされない大きな問題と言わざるを得ません。
 御存じのように、科学捜査研究所は、各都道府県の警察に設置されている公的な研究機関であります。犯行現場に残された血液(血痕)、体液(唾液、精液等)、毛髪、骨、繊維などの犯罪に関連する多くの資料について鑑定・検査を行っています。また、DNA鑑定を行ったり、火災、交通事故や放火、ひき逃げ、発砲事件での再現実験なども行っています。
 「科捜研の女」という沢口靖子さん主演のテレビ番組があり、証拠の鑑定が犯人を突きとめるきっかけとなり、事件解決につながるという筋書きであります。
 また、5年ほど前になりますが、足利事件で有罪になっていた菅家利和氏が無罪釈放されたというニュースが報道されました。1990年5月、栃木県足利市のパチンコ店駐車場で4歳の女児が行方不明になり、翌日、渡良瀬川河川敷で遺体となって発見された事件であります。DNA鑑定で菅家さんが逮捕され、2000年、最高裁で無期懲役が確定されたものです。2002年、再審請求するも棄却されましたが、高裁での即時抗告審で国内初のDNA再鑑定が行われ、不一致と判明し、無罪になったという事件でありました。決め手となったDNA鑑定は、科捜研で行われたものであります。
 このように、科捜研での客観的な証拠が犯人逮捕の大きな決め手になるということであります。その証拠が、捏造や他の同じ性質のものと入れかえられていたとしたら、犯人は仕立て上げることもできるのではないでしょうか。
 そこで、県警本部長にお伺いします。
 本部長は、平成24年9月議会で、「今回の事案は、鑑定人による検査、鑑定書の作成といった業務の中で発生したことから、鑑定業務のチェックをより強化するなど業務管理を徹底するとともに、職務倫理教養等を反復継続して実施するなど、再発防止に全力を挙げる所存である」と答弁されています。
 事件が決着して1年余りが経過しておりますが、この事件を教訓に、再発防止に警察として具体的にどのような取り組みを行ったのか、御答弁ください。
 また、県公安委員長にお伺いしますが、公安委員会は、警察を管理し、警察運営の民主化を図るとともに、その政治的中立性を保障するために設置されています。公安委員会は、知事直轄のもとに置かれていることを除けば、県警察を全面的に管理する独立性の強い機関であるともされています。
 そこで、公安委員会は今回のこの事件に対してどのような御見解をお持ちなのか、お伺いします。また、警察機構を指導監督しなければならない立場として、その後、どのような指導をされたのか、お伺いします。
○議長(山田正彦君) ただいまの藤本眞利子さんの質問に対する答弁を求めます。
 警察本部長植田秀人君。
  〔植田秀人君、登壇〕
○警察本部長(植田秀人君) 議員御質問の事案につきましては、警察捜査の信頼を損なう不適正な事案として重く受けとめ、事案の全容解明に向け、元職員のかかわった鑑定書を全て調査するなどの徹底した捜査を進め、平成24年12月17日、証拠隠滅及び有印公文書偽造、同行使で和歌山地方検察庁に書類送致いたしました。その結果、平成25年6月13日、有罪の判決が下されております。
 この事案は鑑定人による検査、鑑定書の作成といった業務の中で発生したことから、鑑定担当者が行った鑑定について鑑定担当者以外の研究員により鑑定方法やその結果等をチェックし、さらに、決裁時においては、検討表の活用等によりチェック漏れを防止するとともに、幹部が電子データそのものの作成日時等を目視確認して不正に操作されていないことを検証し、決裁後においては、保存する必要のないデータを削除して過去のデータの流用を防止するなど、不正防止に徹底を期しているところでございます。
 また、職員に対しては、反復継続した職務倫理教養、個々面接の実施による身上把握の徹底等を図り、この種事案の再発防止を図っているところでございます。
○議長(山田正彦君) 公安委員会委員長片山博臣君。
  〔片山博臣君、登壇〕
○公安委員会委員長(片山博臣君) 議員御質問の議案は、警察捜査における鑑定業務の信頼性を失墜させる事案でありまして、県警察を管理する公安委員会といたしましては、非常に重く受けとめております。
 当公安委員会は、警察本部長に対して遺憾の意を示すとともに、徹底した事案の全容解明、発生原因の追求、再発防止策の策定、そして、科学捜査研究所のように専門的な知識や技術が必要な部署に対して、その業務量に応じた適正な人員の配置と、それから将来を見据えた専門職の計画的採用、これを指示・指導したところであります。
 そして、事案の全容が解明され、当該職員に対する処分がなされたことを受けまして、当公安委員会は科学捜査研究所への現場視察を実施いたしまして、科学捜査研究所長から再発防止対策の進捗状況について報告を受けるとともに、関係書類や、それから使用機器の確認を行いました。また、同研究所で勤務する職員から、その勤務実態について聞き取りを行いました。その結果、同様の不祥事案防止のための対策が着実に実行されているということが確認できました。
 公安委員会といたしましては、今後も現場視察や、あるいは各警察施設等への指導・督励を通じまして、細部にわたる警察業務の把握に努めて、こうした不祥事案の根絶に向け、適正に県警察を管理してまいる所存であります。
○議長(山田正彦君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 科捜研における証拠捏造というふうに報道されておったんですが、本部長及び公安委員長に御答弁をいただきました。
 この事件は、一昨年の事件でもありますが、社会的にやっぱり重大な意味合いを持つということで、改めて質問したところです。
 警察は、捜査を行うに当たっては、供述調書というのと客観的証拠の2本立てで容疑を固めていくというふうに聞いています。最近は、取り調べの可視化ということで、取り調べの模様も録音・録画していると聞いています。そうであるなら、客観的証拠において最も重要な科捜研のデータがなぜ流用できたのかなあと思うわけです。
 今回のデータ流用事件で腑に落ちないのは、パソコンによるデータ移動というのは、どんなパソコンであっても履歴が必ず残っているはずではないかということでして、素人の私でもわかるようなことがどうしてチェックできなかったのかなあというのと、それから、科捜研の中でデータのアクセスを後でやっぱりモニタリングをするシステムがなかったからかなあというふうに私なりに判断をしております。
 その後、研究員の鑑定した──8000件に及ぶというふうに少し聞いておりまして──鑑定書を検証したとお聞きしましたので、大変な作業であったと思いますけれども、県民の信頼を取り戻すためには必要な作業であったというふうに思います。
 この事件は全国でも初めての事件でありまして、裁判所でも科捜研の客観的な証拠はもう疑う余地もないほど信頼されているものでありますので、そこで、うそということになれば何を信じたらいいんでしょうというふうな、そういうことにもなりまして、もう二度と繰り返してはならないということだと思います。今後は二度とこのような事態が起こることのないよう取り組みを続けていただきたい。
 また、最近、県警内部の不祥事がマスコミ等でも報道されておりまして、警察の信頼が大きく損なわれておるというふうに思います。警察への信頼を取り戻すためにも、さらなる綱紀粛正を強く要望いたします。
 次の質問に移ります。和歌山駅周辺の市街地活性化についてであります。
 このことは、さきの同僚議員の質問にも幾つかあったんですが、私は私の切り口でこのことについて質問させていただきたいというふうに思います。
 和歌山駅を中心に、和歌山市東部を含む市街地の活性化について質問させていただきます。
 和歌山市の中心市街地のにぎわいがどんどんなくなっています。昨今、そういうふうなことです。南海和歌山市駅の高島屋の撤退、ぶらくり丁の衰退、JR和歌山駅においては「近鉄、どうなるんやろう」との声も聞かれ、中心市街地と言われている地域のにぎわいを考えているだけでは和歌山市の活性化はありません。市の東部を含めた市街地の活性化が必要であると考えます。
 先ごろ、和歌山県景観づくりセミナーが開催され、篠原修氏による講演会がありました。篠原氏は、東京大学名誉教授、特定非営利活動法人GSデザイン会議の代表も務められています。
 講演会では、宮崎県日向市の日向市駅の駅舎の取り組みが紹介されました。本日ちょっと資料で皆さんにお配りをしているんですが、日向市駅は2008年に竣工されましたが、完成までおよそ10年以上にも及ぶ期間を要し、建築や都市の専門家、鉄道関係者、行政関係者、市民が協力し、完成に至ったものであります。駅舎は、鉄道に関係する国際的なデザインコンテストのブルネル賞で最優秀賞を受賞しており、日本では初めてのことだそうであります。
 また、駅舎建設に伴い、日向市駅近辺の踏切による交通渋滞緩和を目的に高架化工事が実施されました。中心市街地を活性化させる取り組みは、連続立体交差事業による鉄道の高架化と新駅建設、そしてこれを中心とする駅周辺の区画整理へとつながっていきました。駅舎を中心に市街地を活性化させる大きなビジョンがこの事業を完成させたと言えます。
 また、注目すべきは、日向市の取り組みは、行政だけに任せるのではなく、「ひとが主役で、街は舞台」というコンセプトで、ハードとソフトの両面から行政と設計者が議論を重ね、イベントやワークショップなどを開催しながら、市民を巻き込んだ取り組みを進めたといった点であります。
 さて、和歌山市の市街地の様子はどうでしょうか。
 JR和歌山駅につながる線路を挟んで、和歌山市の西と東では、まちの様子が全く違います。公官庁、ビジネス街が集中している西部は道路整備やインフラ整備が早かったのに比べ、東部は田園地帯であったため市街地としての整備がおくれています。私の住んでいる地域の最寄り駅であるJR宮前駅も、JR和歌山駅から1駅でありますが、無人駅であります。乗降客は1日平均2660人と大変多いにもかかわらず、ホームも狭量で、事故がないのがおかしいというような状況であります。最近は、ビッグホエールやビッグ愛、ビッグウエーブにお越しの県外からの方も、この駅を利用されています。
 特に朝の通勤時、駅隣接の踏切では、人、車、自転車が入り乱れ、大変な混みようで、線路の周りは大変危険な様子であります。地元では、この駅をもう少し北側に移動させ、JR和歌山駅からJR宮前駅までを鉄道高架にしてほしいといった声が上がっています。
 また、この間には、いわゆる田中町のアンダーがあるのですが、大量の雨が降ると、冠水し、通行できなくなるといったことが多く、和歌山インターチェンジから西への通行に大きな支障を来してきました。アンダーですので、人や自転車は通りにくく、まちとしての機能がそこで途切れてしまうといった様子です。ここも鉄道高架になれば、人も自転車も車も支障なく東西に通行できるようになります。
 和歌山駅周辺を見てみても、東に延びる都市計画道路は途中で途切れており、そのためか、飲食店やホテル等が建っているものの点在しているといった様子で、和歌山市の玄関口としては余りにも寂しい状況にあります。
 私は、和歌山市の発展と地域活性化は、JR和歌山駅の整備と、せめて宮前駅までの高架事業なども必要ではないかと考えます。また、和歌山市のまちづくりには、和歌山駅を中心とした西口・東口の両玄関の整備が和歌山のまちのにぎわいをつくり出す大きなキーポイントでもあると考えます。
 和歌山駅周辺を検証してみると、西口と東口をつなぐ連絡道が駅の北側に設置されています。この地下道は、以前に比べると少しは明るくなりましたが、駅の北側の端から延びているため、見つけにくく、入り口周辺も暗い。曲がっているため、見通しが悪く、ちょっと怖い感じの通路となっています。
 この地下道が、わかちか広場から真っすぐ東口につながっていれば、人の流れがもっとスムーズに開けたものになっていくと考えます。利用が進まないわかちか広場をこの東口に通じる連絡道に接合させるとともに、壁面には紀州材を張るなど明るい広場と通路に改装することで人の集いやすい空間が生まれると思います。また、駅周辺道路は、人の歩きやすい空間と集いやすい空間に変えるといった発想の転換が必要だと考えます。
 さらに、JR和歌山駅から東に延びる都市計画道路は、30年来、途中でとまったままになっていますが、県の計画では続行ということになっています。そこで、この都市計画を進めるためにもJR和歌山駅東口からの一体的な計画を進める必要があり、JR和歌山駅に人が集まってくるような空間と同時に、道路の計画を組み立てることが必要と考えられます。
 県では、本年度の重点施策の中で、都市空間の再構築戦略の推進として、暮らしやすい都市空間を構築するため、総合的なまちづくりを県が提案するとしています。ターミナル駅や駅周辺地域の再開発など、エリアの活性化に向けた調査を県で実施するともしています。この際、県都でもあり、和歌山の玄関口でもある和歌山駅東口・西口周辺の整備を人の動線から考え直す時期に来ていると考えます。
 日向市駅の取り組みは、16年前、1人のかけ声から始まりました。その後、県と市の行政マンを中心に夢が実現されていったことを思えば、私の提案も決して不可能ではないと考えます。
 そこで、県土整備部長にお尋ねします。
 県都和歌山市の玄関口でもあるJR和歌山駅の西口・東口を一体的に活性化させていくため、県と市が連携し、地元住民、鉄道関係者、まちづくりの専門家、建築家等を交えた意見交換の場を整え、人が集い、交流できる駅前空間のあり方を検討していくことが重要であると考えていますが、この点について質問をさせていただきます。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) JR和歌山駅は、大阪方面、奈良方面から県南部へつながる県内外からの人流・物流の中心であるとともに、和歌山県経済の中心の1つとして、また県都和歌山市の玄関口として重要な拠点であることから、和歌山市駅周辺や和歌山城周辺とあわせて活性化を図っていくことが重要であると考えております。
 先般、市で取りまとめられた和歌山市まちなか再生計画におきましても、JR和歌山駅周辺につきましては、交通結節点の機能強化を図るとともに、駅東西の連携強化を図ることが必要とされております。また、町なかの再生に向けては、行政指導だけでなく、市民が主役となって進めることが必要と考えております。
 いずれにしろ、今後、県と市が連携を密にし、さまざまな方々の意見も踏まえながら和歌山市のまちづくりについて取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 東口・西口整備について答弁いただきました。
 意見交換や関係者の連携とか、具体的でもちょっとないので、あんまり実現に向けられた話じゃないなあという印象であります。昨日の同僚議員の質問もそういったものでありましたが、私は、和歌山市再生のためには、和歌山市西部と東部の一体的な整備が必要だというふうに訴えています。その延長にJR和歌山駅の東口・西口整備とJR紀勢線の高架化事業があるというふうに位置づけているわけです。
 和歌山駅から延びる都市計画道路も並行して整備してほしいと言いましたけど、昨日の答弁でも、東側からの都市計画道路は平成30年代前半までにというふうなことでありました。東側は放置されてはや30年が経過しておりまして、その後、まだまだかかるのかという、そういう都市計画というのはいかがなものかと。もう四半世紀が終わってしまったというふうなことなので、一刻も早い完成が急がれると考えています。
 ようやく県が都市再生の実現を目指すというふうに示されましたので、具体的な取り組みを今後要望いたしまして、次の質問といたします。
 続きましては、県における障害者雇用施策についてお伺いしたいというふうに思います。
 昨年の2月議会において、和歌山県の施策を福祉の観点で総点検し、全庁で障害者や母子家庭世帯、高齢者など、社会的に弱い方々の自立と就労の政策を検討するよう質問を行いました。
 さきの質問では、入札制度の評価の中に福祉への配慮といった公共性を盛り込み、価格や技術による配点と同じように福祉への配慮を点数化し、総合的に評価、入札するといった大阪での取り組みを紹介しました。答弁では、「公共発注等にかかわる分野を含む関係部局との検討の場を設け、就労困難な方々の就労機会の拡大に努めてまいります」とのことでありました。
 先ごろ、「県として、総合評価落札方式等の評価項目に障害者雇用への取り組みを新たに追加」との知事の記者発表がありました。障害のある人の就業と自立を支援するために、平成26年度より総合評価落札方式の評価項目に障害者雇用の取り組み等を新たに追加し、企業における障害者雇用と障害者就労施設等からの物品や役務の調達を促進するといった目的で評価項目が追加されました。
 入札に障害者雇用と物品調達等の購入を点数化し、障害者就労を支援した点は高く評価したいと思います。初めての試みでもあり、各部局間での調整など、御苦労は推察いたします。これは、民間企業者への障害者雇用を誘導する動機づけになったと考えます。
 しかし、点数化しただけでは、その後の効果はわかりません。また、評価項目に障害者雇用を取り入れたのですから、雇用効果の検証や見直しも年度ごとに行う必要があります。この制度の検討は、評価項目に障害者雇用を盛り込んだ総合評価入札制度導入等に係る検討会議という長い名称の会議で検討を行ったわけでありますが、この検討会議を継続し、今後とも評価、検証、見直しをしていただきたいと考えますが、福祉保健部長の御見解をお伺いします。
 次に、公務労働分野における障害者等の就労促進についてお聞きします。
 「働く意欲は、働く場の提供から」といった言葉もあるように、働く場の確保は大変重要であります。しかし、知的な障害や精神の障害をお持ちの皆さんは、特に働く機会が得にくいという現状があります。
 厚生労働省の成長力底上げ戦略にて、各省庁、各自治体において障害者が一般就労に向けて経験を積むチャレンジ雇用の促進・拡大が掲げられました。県においても障害者の雇用を行っているとお聞きしますが、その状況はどうなっているのか、総務部長にお伺いします。
 また、県では、各振興局庁舎の清掃等業務を障害者就労支援施設に委託し、障害者の就労支援を行っています。あるいは、県庁北別館では、障害者就労支援施設に声をかけ、昼食時や夕方にお弁当を販売するということも行っています。
 このように、県としても障害者の雇用については訓練の機会をふやす努力をされていることは承知しておりますが、さらなる雇用の拡大・促進をするためにもっと就労訓練をする場の提供が必要であり、そのために訓練の場を県庁内で行う仕組みを整える必要があると考えます。
 例えば、特別支援学校を卒業する生徒に対して、公官庁を清掃業務の訓練の場として展開していただく。あるいは、お弁当の売り場を充実させ、常設の店舗として販売の訓練をしていただく。ほかにも集配やデータ入力等の訓練など、公官庁が取り組める訓練内容はたくさんあると思います。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 特に就労が困難な知的障害や精神障害の訓練の場を保障するためにも、県における訓練の場の提供にぜひ取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 以上です。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 障害者雇用等に配慮した入札制度につきましては、関係部局と検討を重ね、平成26年度から実施することとしており、企業における障害者雇用と障害者就労施設等からの物品や役務の調達が図られるものと考えております。
 今後とも障害のある方の働く場や仕事の確保に向けた支援を一層充実するため、まずはこの取り組みの円滑な実施を進めるとともに、必要に応じて関係部局が集まり検討を行うなどにより、引き続きよりよい仕組みとなるよう取り組んでまいります。
 次に、県における職業訓練機会の提供につきましては、障害のある方の知識や技能を高めるため職場実習を行う障害者就労インターンシップ事業を実施しており、今年度、県においても15名の方の実習を行ったところです。
 また、障害のある方の就労訓練の一環として、庁舎内で障害者就労支援施設等の製品である弁当やパンなどの食品販売の場を設けるなども行っておりますが、障害者就労支援施設等や関係部局とも協議しながら、庁舎あきスペースの活用など、障害のある方の実践的な訓練の場の充実に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 知事部局では、平成20年度から障害者の採用枠を設け、毎年、身体障害者を一般行政職員として1名、また知的障害者を非常勤職員として1名採用しております。来年度も引き続き採用する予定としております。
 なお、知事部局における障害者雇用率は2.61%となっており、法定雇用率の2.3%を上回っております。
○議長(山田正彦君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 要望をしたいと思います。
 障害者雇用に配慮した入札制度については、円滑な実施が行われるように準備していただきたいというふうに思います。また、今後は、評価、点検、見直しを行っていただき、障害者雇用をさらに促進されるよう努力を続けていただきたいというふうに思います。
 私は、当初、障害者だけではなくて母子家庭の母とか就労困難な方々の就労も視野に入れた入札時における点数化を要望しておりましたが、今回は障害者雇用の部分にとどまっております。今後は、障害者雇用を盛り込んだ総合評価入札に就労困難者の雇用も含んだものへと拡大していただくよう検討していっていただきたいというふうに思います。
 このことの取り組みについては、機会を見てまた改めて質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 御答弁いただきました障害の方々に県が率先して訓練の場を提供されることは、大変大切なことだと思います。どのような訓練が可能なのか、特別支援学校や関係者、関係部局とも十分協議をしていただき、計画的に進めていただくことを要望いたします。
 最後の質問に入りたいというふうに思います。
 県の防災訓練への米軍オスプレイの参加についてであります。
 昨年の12月20日、本年開催予定の津波災害対応実践訓練に米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイが参加することが明らかになり、知事は県庁で記者らの取材に応じ、「防衛省から参加の打診があり、了解した」との新聞報道でありました。そのことをミニ集会で話したところ、周りの女性たちは、「ええ、何でそんなもん県の防災訓練に参加するんよ」との反応でありました。「危ないんちゃうん」とか「防災訓練ってオスプレイが参加せなあかんの」といった素朴な質問であり、突然の知事の発表に女性たちは不安を持たれたようでありました。
 そこで、何点か質問したいと思います。
 昨年6月議会の松坂議員の質問に「米軍の低空飛行訓練でございますが、これは、住民生活の安全を脅かしているために、住民から目撃情報が寄せられる都度、国に米軍機の飛行確認と低空飛行訓練中止の申し入れを行っております」と答弁されています。これだけではありませんが、私は知事が答弁されている中身はもっともなことだというふうに受けとめておりました。
 今回、知事は、防衛省からの要請を受け、オスプレイを受け入れることを発表しましたが、女性たちの素朴な疑問である「なぜ県の防災訓練にオスプレイが参加せなあかんの」という点からも、オスプレイ参加の受け入れはこれまでの知事の姿勢と異なるように思いますが、その点について知事に御見解をお伺いします。
 次に、知事は、オスプレイの活用を「他の大型ヘリより重大事故の発生率が低く、航続距離が長くて積載重量が大きい。不安がある住民には、客観的なデータを示してわかってもらいたい」というふうに述べられております。恐らく防衛省が出された米軍全軍種で見た場合の事故率、クラスAというふうな事故率らしいんですが、飛行事故率といったようなデータを参照され、そのように理解されたかと思います。しかし、クラスAの飛行事故率にクラスBやCの事故率を加算すると、その事故率は決して低いとは言えないとなっています。
 また、2009年の6月23日に、アメリカの政府直属の国防分析研究所でオスプレイの分析評価に従事した元専門家リボロ氏は、米下院監視・政府改革委員会で行った証言で、「4月のモロッコ事故は、操縦士が回転翼を動かすスイッチをわずか数分の1秒長く押したため発生した。通常のヘリコプターでは許容範囲内の操縦が、オスプレイでは重大事故になる」と証言しています。操縦に複雑さ、困難性という構造的な問題があることが人為的なミスを誘発すると言えるのではないでしょうか。
 また、オスプレイには、ヘリコプターについているオートローテーション機能が備わっていないという構造的な欠陥があると言われており、このことはアメリカの国防総省も事実と認識しながらも実践配備に踏み切ったという経過があると聞いています。リボロ氏は、「民生用輸送機であったら、連邦航空局が定める安全航行要件を満たしていない」と証言されています。
 軍事の専門家でもない私が調査したのですが、このようにオスプレイの飛行にはさまざまな課題があると思われます。平成24年7月19日の全国知事会の緊急決議においても「安全性について未だ確認できていない」という記述があります。
 そこで、知事にオスプレイの安全性についてどのように捉えられているのかお伺いします。
 最後に、オスプレイの活用内容についてお伺いします。
 オスプレイは、迅速に大量輸送ができると言われており、物資等を1カ所に大量に輸送するのにすぐれていると思います。しかし、災害時、物資等を1カ所に集中させるよりも、できるだけ小まめに必要な場所へ輸送するほうが結果的に迅速な対応ができるということであります。
 また、災害になった場合、知事をトップに災害対策本部が設置されます。そのときに自衛隊や消防隊などとの協働は問題ないとしても、指揮系統の中に米軍への指示といったものが通るのでしょうか。
 「南海トラフ巨大地震などが起これば、あらゆる資源をかき集めて県民の命を守るのが使命」とおっしゃる知事の思いもよく理解できますが、着陸するのにも直径約75メートルの場所が必要なオスプレイが、直接被災地に入ることも難しく、迅速に物資や人を輸送しなければならない緊急時に果たして県民の命を守る一助になるのかどうか、私にはわかりません。
 そこで、防災訓練時にオスプレイが参加するとして、どのような活用を考えておられるのか、危機管理監にお伺いしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 防災訓練で「オスプレイも結構ですよ」というふうに申し上げましたけれども、議員御指摘のような前に申し上げてたような見解と別に矛盾はいたしません。前の見解も全く変わっておりません。丁寧に御説明申し上げます。
 かつて──前の見解ですが──オスプレイの低空飛行訓練で、在日米軍が我々に何の連絡もなく和歌山県上空で訓練を行うと発表した際に、私は不快感を表明したことがあります。その際に、私は、国民の1人として、国防について別に冷淡ではないし、日米安保も反対ではないし、米軍が訓練してはいけないと全く言ってないし、それからオスプレイが危ないとも思っていない。しかし、何で和歌山に飛んできて訓練をしなければならないのかということについて説明があってしかるべきであろうということで、不快だというふうに申し上げたわけです。この辺は国防上の日米関係の根幹にかかわるところなんで、なかなか難しいんですけれども、考えが変わっているわけではありません。
 今回は──今回というか、防災訓練について申し上げますと、別に説明もなく勝手に飛んでくるものではございませんで、南海トラフの地震と津波で深刻な被害を受けたときに、県民の命を救い、必要な救援物資を届けるという明確な目的のために訓練に参加してもらうものでありますし、訓練ですから、当然、事前にスケジュール等々の打ち合わせもきちんとなされるわけであります。したがって、何ら問題はございませんというふうに言うております。
 本県の訓練にオスプレイの参加もよろしいんじゃないでしょうかと言ったのは、和歌山県がどうしても直面せざるを得ないような南海トラフの地震と津波が発生するわけですが、そのときには、とにかくできるだけ多くの救援を、しかもできるだけ早く来てもらわなければいけない、そういう状況でございます。
 しかし、水害のときの経験でも明らかなんですが、水害のときは3県だけがとんでもなく被害を受けました。そのときに「できるだけ多くのヘリコプターを」と言ったときに大分努力してくれたんですけども、今回は、南海トラフの地震が起こったときは被害が広範に及ぶと思いますので、どれだけの資源を和歌山県に集中してくれるかという点については、かなり未知数になるし、不安要素があるわけです。
 また、主要幹線が寸断されると、救援隊とか、あるいは患者の搬送とか物資の輸送など、できるだけ多くのヘリコプターなど輸送機の確保が非常に重要になってくるときなんですが、このような災害時には、米軍だとかオスプレイの有する高い機動力とか航続距離とか運輸能力は、大変評価されるべきだろうと思っているわけであります。
 このように、災害から県民の命を守るためには持てる資源を最大限活用して助けていただきたいと思うのが、県民の命を守る立場の私としては当たり前だと思っております。そうすると、本番のときにそうであると予想されるならば、訓練にも参加してもらうというのが当たり前だというふうに思いますので、そのような見解を発表しているところでございます。
 今度は安全性の問題なんですけども、我が国政府は、航空安全や事故調査の専門家から成る防衛省の分析評価チームを立ち上げまして確認を行った結果、モロッコの事故について、機体自体に問題があり事故になったとは認められないというようなことでございます。日米両政府では安全な機体であると確認をされております。これは、そんなもの信用できるかというような方も中にはいるかもしれません。
 これは客観的な資料なんですが、防衛省を通じてもらったところによると、御指摘のように、人命などに影響する重大な航空事故が含まれるクラスAの事故率では、オスプレイは1.93であって、海兵隊の平均の2.45より低い数字となっておると。米軍もよくこんなものを出すなあというふうに私は思いますが、クラスB、クラスCは、機体整備員が作業台から落下して負傷したとか、整備員のミスによって機体が壊れたとか、軽微な人的事故が含まれた数字でございまして、機体の安全性を示す指標としてはクラスAを使うというのが航空機業界の常識だと私は思います。そういう意味では、オスプレイの事故率や件数は、ほかの機材に比べて高い数字とは言えないというふうに言えると思います。
 オスプレイはオートローテーションの機能がないというお話でしたが、オートローテーションというのは、ヘリコプターの推進力がとまったときに、エンジンがとまったときに、惰性でくるくる回りますので、だんだんと落ちてくると。それでも一気に落ちると思いますけど、多少はましだというような機能でありますが、上に向いてオスプレイが動いてるときにオートローテーションの機能がないということはあり得ないわけであります。しかし、オートローテーションに頼らないということができるのもオスプレイのちょっといいところというふうに言えると思います。
 一般的なヘリは、シングルローターですから、オートローテーションの機能に頼っているわけですけれども、逆に、例えば尾翼にあるところのテールローターが損傷したりしますと、実はくるくるくるくると回ってぽてんと落ちるわけですね。ところが、オスプレイというのは、双発のメーンローターが2つついてるわけですから、片方がとまっても片方で、つまり片翼飛行ができるというようなことで危機管理をしていくという設計思想だと思うんですね。そういう意味では、なかなかよくできた飛行機だと私は思います。
 この分野も私は多少興味がありますので、前に御質問のあった米軍の発表のときに不快感を表明したときも、今申し上げましたように、オスプレイが別に相対的に危ない飛行機だとは思っておりませんよというふうに言っておるんです。これは記録を調べていただくとよくわかると思いますけれども、マスコミは自分の大好きなことしか言いませんので、そういうことは多分報道されなかったというふうに思います。
 その後、オスプレイということになると、何か私のところへいつも取材が来るようになりました。それで、何かいわゆるオスプレイ知事みたいになってしまいまして。だけど、私は別にそんな時流に乗るようなことは言いませんので、自分の見解を淡々と言っておりました。「危ないでしょう」と言われたら「別にそう思わないんですが」といって言うとりましたら、3回目か4回目したら、もう何か二度と来なくなりまして、最近は無視をされております。報道を見られる方も、自分なりに都合のよいように、あるいは思い込みで解釈してしまうというところもあるかもしれません。
 オスプレイの操縦方法、これは新しいカテゴリーであって、やっぱり訓練は大いに要すると思います。そういう意味で、訓練をどんどんやっていけば先ほど言ったような軽微なミスも含めて操縦ミスが大幅に減っていくんじゃないかなあというふうに、私はこの分野に興味がありますので、多少思っております。
 全体としていうと、オスプレイが絶対に安全な機材だとか、そんなことを言う人は誰もいないんですが、他の大型ヘリコプターなどに比べると安全性の低い飛行機とは思っておりません。
 「えっ、何でそんなもん、県の防災訓練に参加するんよ」と言われた方もいらっしゃると思いますが、大災害が起こって、多分、小さいヘリコプターとか、あるいは陸上の輸送手段で1カ所に病人が集められて一刻も早く損傷を受けていない地域の病院に運ばなきゃいけないというようなときに、「えっ、何でそんなもんで運んでもらうんよ。命なくなってもええわ」というようなことは、絶対にその人はおっしゃらないと私は確信しております。
○議長(山田正彦君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 大規模な災害が発生した場合には、異なった種類の数多くの航空機の応援が必要であり、違った特性を持つ機材をうまく組み合わせた総合的な運用により迅速に救援活動を行うことが最も大事なことです。すぐれた性能を持つオスプレイは、その運用の中において重要な役割を担ってくれるものと期待をしております。
 また、航空機の運用について、県は自衛隊とは協議を行いますが、米軍は自衛隊の運用の中で活動することになりますので、県が米軍に直接お願いをすることはありません。
 オスプレイの離着陸に要する広さは、通常の運用では直径75メートルですが、昨年のフィリピンでの救援活動では、30メートルよりも狭い場所でも安全に離着陸を行い、難しい任務を完遂したと聞いております。
 また、オスプレイは、大量の物資を輸送できる能力や固定翼機並みの高速性能があります。それにより、例えば中型ヘリ等で1カ所に集められた多くの患者を遠くの安全な医療機関に空輸搬送をしたり、DMATや救助部隊、あるいは大量の医薬材料等を一刻も早く被災地に空輸で送り込むことなどが可能です。このような能力の高いオスプレイを活用すれば、さまざまな訓練が実施可能であり、具体的な訓練内容は今後詰めてまいります。
 以上です。
○議長(山田正彦君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 防災訓練への米軍オスプレイ参加について御答弁いただきました。
 答弁で、安全性について、知事のほうから、クラスBとかCの事故は整備員の負傷や飛行中の乗組員の事故やとか機体の安全性と直接かかわりないものが含まれている──大したことない、そういうふうに私には聞こえました。しかし、このB・Cクラスの事故のうち6割は、エンジンの故障とか、離着陸時の事故とか、部品の落下などとか、そういうこともやっぱり記載されているようでありまして、これらの機体の一部が落ちてくるような、こんな事故もやっぱり軽視することはできないんじゃないかなあというふうに私は思います。
 そういった中で、オスプレイの安全性に「大丈夫かよ」と疑問を持たれている諸団体も、やっぱり1つや2つじゃないと私は思います。私の周りにいるごく身近な一般の県民の皆さんも安全性については大変不安を持たれておりますので、一部の皆さんだけが反応しているというだけではないというふうに私は思います。
 南海トラフの地震と津波を想定した防災訓練でもあって、紀南で行うのは初めてのことというふうにありますので、防災訓練というのは県民の皆さんの協力なしではやっぱり実施できないものであると思います。どうかそういったことも踏まえて、ちょっと不安な声にもしっかりと耳を傾けて、県民の皆さんととともに、やっぱり防災訓練が成功裏に行われるようにしなければいけないというふうに思いますので、そのことを強く要望いたしまして、質問を終えます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 大きな項目1番目、森林資源の活用と林業・木材業の振興についてであります。
 1つ目、素材増産に向けた今後の取り組みについてであります。
 御案内のとおり、和歌山県は県土総面積の77%が山林であり、特に新宮市は、実に90%を超えた地域です。熊野川の河口に位置する新宮地域は、古くから紀州材の産地として、上流で伐採された木材の集散地としてにぎわったことが知られています。
 車両などの近代交通機関が発達し、導入されるまでの間は、非常に重くかさのある木材の輸送は河川に頼ってきました。紀州材は、いかだの状態で熊野川河口まで運ばれ、そして主に東京などの大消費地へ輸送されました。戦後は、経済復興の進む東京など首都圏向けの旺盛な紀州材販売でにぎわい、製材工場も急速に増加するなど、地場産業として活気をもたらし、多くの地域住民が木材産業にかかわる中で、地域の基幹産業として大きく貢献してきました。
 さらに、昭和30年代以降は、国内的に好況による需要増を補うため外材輸入が増加傾向にあり、中でも、新宮港を輸入基地とした船舶による大量輸入によりコスト縮小が図られました。木材産業は活性化されることとなりましたが、その傍ら、国内産木材の搬出コスト等も反映して需要が低い状況で、外国産木材に押し切られる状況となっています。
 しかし、近年は、丸太での輸入から製材された製品での輸入に移り変わるなど、木材産業を取り巻く状況が激変し、木材の供給体系が根本から変わる中、新宮・東牟婁地域の木材産業の衰退は深刻な事態であります。これまでの歴史を振り返ると、現在低迷している新宮・東牟婁地域の経済再生を図るためには、これまでこの地域を主導し発展させてきた林業・木材産業の再生を図る必要があります。
 さて、材木の生産から活用までの一連の流れを川に例えて、林業を川上、木材産業を川下という言い方をされます。最近の林業・木材産業復活に向けた県の取り組みとしては、川上における林業振興と川下における木材産業振興を並行して進めていると聞いています。
 まず、川上における林業振興では、森林資源の充実に伴い、森林整備を行いながら間伐材を搬出して販売し、山主への還元を図る低コスト林業により一定の木材増産を達成しているとの報告をいただいております。
 その状況を確かめるべく、先日、間伐材の搬出作業の2カ所の現場を見させていただきました。
 1つ目の熊野川町の現場では、3人1組で間伐材をダンプに積み込み搬出する作業が行われていました。間伐材は、これまで、搬出にコストがかかるためにその場に放置されていましたが、県や市の支援を受けて作業道整備が進んだことにより、間伐材も無駄にしてはいけないという流れを生み出したと言えます。間伐材といえども樹齢50年前後の立派なものもありますので、十分商品になり得るというわけです。
 バイオマス発電の燃料やチップに活用するケースも多いようですが、せっかく手間暇かけて搬出するのだから、燃やして燃料にするような使い道だけでなく価値のある活用を本当は望んでいると、作業をしている人たちからは、そのような意見も聞かれました。確かに、もっともな意見だと思いました。山仕事に携わる人にとって、主伐材も間伐材も同じ森林資源に違いはないのです。
 平成20年から5年間にわたる紀州材生産販売プランに基づき、低コスト林業基盤整備サポート事業において、1人当たりの搬出量を県平均2立米から3立米と1.5倍増加させるとともに、生産性の向上を図るために整備された作業道によって労働者の体力と時間の節約も図られ、労働環境に大きな変化をもたらしていました。
 なお、ここで資料を配付させていただいています。それも見ながらお聞きをしていただければ幸いに存じます。
 若者に敬遠される仕事、従事している人でも自分の子供には継がせたくない仕事、その要因は、きつい、危険、汚い、いわゆる3Kと呼ばれ、山仕事もその1つに挙げられることがありますが、実際に現場を訪れたときの印象は、それとは違う感覚でした。
 視察した現場の中には、間伐材の仕分けや積み込み作業を行う林業機械を操作するオペレーターを女性が務め、3人1組のうち2人が女性というところもあり、山の現場が女性でも働くことができるほど安全性が向上しているという印象を受けました。
 そのほかには、新しい大型機械による木材集材システムを用いた現場でした。そこには、切り倒した木を山からつり上げる架線を張るタワーヤーダと大型トラックを組み合わせた高性能林業機械がありました。オーストリア製の機械に日本向けに改良を施したもので、従来のものより力が強く、高いタワーを持つ機器を道幅3.5メートルの林道でも通れる車両に積載できるよう、メーカーと協議を重ね、改良したそうです。
 タワーが高くなったことで、ワイヤーを長く伸ばせるようになりました。従来に比べ、ワイヤーの長さや最大つり上げ荷重が2倍にパワーアップし、集材範囲の拡大と一度に運べる量が増加。それに加えて、原木をつり上げる際の玉かけ作業、外すときにはねたワイヤーや木でけがをする事故が多く、危険度の高い作業とされていますが、リモコン操作によって木から外せるフックを使用、人が近づく必要がなくなりました。
 また、引き上げた原木を一定の長さに切断するプロセッサー機械の処理能力も高く、驚くほどの速さで1本の大木を処理していきます。
 これら一連の能力アップが功を奏し、搬出量はこれまでの3倍が見込めるそうです。
 このように、行政の援助を最大限に活用し、さまざまなコスト低減と安全性の向上を図ってきた県内の林業、これまでの県の施策結果を踏まえ、新宮地域を含む紀南地域の現状と山側における素材の増産に向けた今後の取り組みをどのように考えておられますか。農林水産部長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 新宮地域を含む紀南地域においては林業は主要な産業であり、県では、充実する森林資源を有効に活用するために、これまで作業道の開設や高性能林業機械の導入支援など、搬出間伐の低コスト化に向け、森林組合等に対してさまざまな支援を行ってまいりました。
 その結果、紀南地域の間伐材の搬出量を例にとりますと、平成19年度、約8000立方メートルであったものが、5年後の平成24年度末には約3万5000立方メートルと大きく増加いたしました。
 今後の紀南地域はもとより、本県の林業の振興を考えたとき、搬出間伐、主伐を問わず、低コストで原木を伐採、搬出することが重要であります。
 県としては、これまでの取り組みに加え、紀南地域で取り組まれている地域の実情に合ったタワーヤーダ等の架線系集材システムの改良に対する支援や主伐後の再造林コストの低減など、低コスト林業の推進に向けて積極的に取り組んでまいります。
 また、素材の増産に向けた事業体の体制強化を図るため、森林組合の合併を推進してまいります。
○議長(山田正彦君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 続きまして、2番目、紀州材の有効活用による地域再生に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。
 製材後の乾燥作業は、商品価値を左右する重要な工程だそうです。特に雨の多い地域ですから、自然乾燥だけでは安定供給を達成しにくい環境にあります。伺った新宮市内の製材所では、乾燥設備を導入するなど、出荷準備期間の短縮を図っているとのことです。
 川下における木材産業振興では、紀州材の加工・乾燥施設など生産体制の整備を行い、生産地としての基盤整備を強化するとともに、これまでの販売先に加え、新たな販路の拡大への取り組みによる需要拡大を推進していると聞いております。製材・加工分野への支援施策も引き続きお願いするところです。
 先ほども申し上げましたとおり、新宮・東牟婁地域の経済が疲弊する中、地域再生の突破口の1つとしては、豊富な森林資源を活用しながら、山村地域での雇用を生み出し、紀州材としてブランドを高め、加工利用する木材産業の活性化が重要であると考えます。そして、そのためには山林部での計画的な素材増産と出口対策である木材の需要拡大がポイントになりますが、特に出口対策を考える上で、近年の木材利用を取り巻く状況には、消費税アップに伴う駆け込み需要とその反動やバイオマス燃料としての新たなマーケットの誕生、法律施行による公共施設木造・木質化や公共土木工事への木材利用への期待感など、さまざまな要素があると考えられます。
 過日、間伐材に高温熱処理を施し、腐れや狂いを軽減し、耐久性を高めたデッキ材や外装材を製造している大阪の木材加工会社を訪ねました。新宮市においても、新しく建築された小学校の木造校舎の塀やテラス、サッカー場クラブハウスの外壁、駅のベンチなどに使用されています。
 製品の説明、工場見学の後、実際にその資材を使用した大阪市内の建築物を見学してまいりました。
 1カ所目は、昨年3月にオープンした大阪木材仲買会館です。建てかえられる前の会館は、老朽化したありきたりな事務所ビルであったが、新築に当たり積極的な木質化を進めた結果、木材を扱う業界団体の会館としてふさわしいものとなったと、大変好評であります。
 中を案内していただくと、随所に設計者や施工業者のこだわりが感じられました。最新資材や照明器具、空調設備などと木材を融合させていました。外見だけでなく、木材でも建築基準法をクリアするための工夫や技術も随所に見られました。一例を紹介しますと、はりや柱には、内部にモルタルの燃えどまり層を組み込むことにより耐火性を向上させた耐火集成材を採用しています。1時間の耐火性能を持ち、4階建ての木造建築も可能だそうです。木材の利用促進、都市部の木造化ビルの普及モデルとして建築されたというだけあって、新たな技術がふんだんに盛り込まれた建築物です。
 2カ所目は、大阪府木材連合会です。やや老朽化が見られるコンクリートビルの表側外壁一面に、化粧用木材をさまざまな組み方で取りつけていました。見る人に木のぬくもりとリニューアル感を与えるだけでなく、コンクリート蓄熱の抑制などの効果があり、夏の室内温度が2度下がるなどのメリットもあるとのことです。
 3カ所目は、同じく外壁に熱処理加工を施した木材で建物全体を覆っている新築オフィスビルで、建築業界誌にも大々的に取り上げられたそうです。ちなみに、紀州材も多く使われているとのことでした。
 全てを木造でというと、コスト面、条件面での事情もあるかと思いますし、強度や品質にすぐれた従来の建設・建築資材をないがしろにするというわけではありません。さきに紹介した大阪市内の建築物のように、外壁だけでも木材で化粧を施すなどの工夫があってもいいのではないかという考え方です。
 公共建築物、例えば新宮市においても、庁舎、文化ホールの建てかえを間近に控えていますが、最新技術による加工が施されたものも含め、木材を外側内側にふんだんに使用して木材で栄えた歴史を表現するべく、象徴的な設計に期待します。
 また、JR新宮駅の駅舎も、老朽化したコンクリートが少し古びた寂しいイメージと感じます。元来、開通100周年を迎えた新宮鉄道の起こりが材木運搬が目的であった歴史もありますし、まちの玄関口を木のぬくもりであらわし、癒やし効果を与えるものになればと夢を描いております。木材の地産地消と需要拡大の目的はもちろん、「木の国和歌山」のイメージをさらに向上させる効果があるものと考えます。
 そこで、農林水産部長にお伺いします。紀州材の需要拡大に向けた出口対策をどのようにお考えでしょうか。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 紀州材の需要拡大は、林業・木材産業の振興を図る上で大変重要と認識しており、これまで県内の需要拡大に向けて民間木造住宅への紀州材の使用や公共施設の木造・木質化を支援してまいりました。
 また、現在、公共土木工事への紀州材利用を促進するため、農林水産部、県土整備部が連携して、木材利用推進指針、木材利用技術マニュアルの策定を進めているところです。
 県外への販路開拓では、首都圏における大型住宅展示会への出展や記念市開催を支援するとともに、今年度から新たに九州地域での記念市開催支援や県内製材業者と首都圏の工務店、住宅建材業者との商談会を開催いたしました。
 今後も引き続き、こうした取り組みを通じて紀州材の販路の開拓に積極的に取り組んでまいります。
 また、議員から発言のございました公共建築物への木材利用による地域イメージ向上の効果につきましては、重要なことと認識し、今後、県の公共建築物への導入を検討してまいります。
○議長(山田正彦君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 答弁をいただきました。
 続きまして、大きな項目2つ目、南紀熊野ジオパーク構想の推進についてであります。
 まず初めに、平成25年度の取り組みと成果についてお尋ねをいたします。
 推進協議会発足から約1年が経過しました。平成25年度も、ジオツアーや関連の講演会など、ジオパークという取り組みを広く認知してもらうための企画が活発に展開され、「ジオ」という言葉がメディアを通じて浸透しつつあります。
 ジオパークにおいて重要な役割を担うジオパークガイドの養成講座が開講されました。募集定員30名に対し、2倍以上の74名の応募があったため、全員が受講できるように受講枠を大幅に拡大し、にぎやかにスタートを切りました。私も上富田文化会館においての第1回講座を初め地元での講座に参加をさせてもらい、講座の雰囲気や地域の特色の一端に触れました。受講者は、長時間にわたる講義にも最後まで熱心に取り組み、ガイドとしての知識習得に励んでおりました。
 紀南地域の大地の特色や歴史・文化を初め、ガイドテクニックや安全管理に至るまでの5回の講座とジオサイト見学、試行ジオツアーなどの実習を経て、59名が実技試験に合格したとのことで、3月には、その養成講座修了予定者によって企画された6つのコースのジオツアーを受講者みずからがガイドを行うと聞いております。
 ジオパーク認定の審査においてはもちろんのこと、認定後も、南紀熊野ジオパークの魅力を伝えるには、ジオパークガイドのレベルやおもてなし力にかかっており、これからの活躍に期待を寄せているところです。
 また、盛り上がりを見せるのは行政の取り組みだけでなく、民間にも及んできた感があります。
 ことし1月、新宮市において、国内の世界ジオパークの1つ、山陰海岸ジオパークでジオを活用した民宿経営で有名な旦那さんと名物ジオガイドとして御活躍の奥さん、御夫婦それぞれが講演を行いました。主催は、新宮市、東牟婁の有志で構成されている熊野円座という民間団体で、県のジオパーク調査研究事業業務委託の一環として開催されました。
 経営する民宿での接客では、山陰の地酒を例に挙げ、「このお酒は、花崗岩のところの伏流水でつくられています。花崗岩にはろ過作用があり、飲みやすい水になるなどと、ちょっとした説明やストーリー性を加えるだけで喜んでいただける」と話していました。
 また、地元の食材をアピールするため、カニ、牛肉、魚を加えたジオ鍋を考案。重要なことは、1店舗だけで提供するのではなく、数店舗が足並みをそろえたことで、地域の協働事業やまちおこしの話題としてメディアを通して全国に発信できたことなど、民間の立場でのかかわり方の事例を紹介されておりました。
 参加者には「地域を伝えるためには、まず地元のことを知ることが大事だ」と呼びかけていました。民間と同様に教育の一環としてジオに取り組む学校もあるとお聞きし、とても心強く感じています。
 そこで、平成25年度における南紀熊野ジオパーク構想の推進に向けた取り組みの成果について、環境生活部長にお伺いをいたします。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長塩崎 望君。
  〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 平成25年度の主な取り組みとしては、まず、学術専門委員会の知見を得ながら、9月にジオパークの見どころであるジオサイト候補地83カ所を公表し、その後も逐次、追加選定を進めているところです。また、ジオパーク認定に向けての基本計画書、日本ジオパークネットワーク加盟申請書の作成についても、鋭意作業を進めております。
 南紀熊野の魅力を伝える上で不可欠なジオパークガイドの養成につきましては、議員お話しのとおり、全8回の養成講座を実施し、このたび50名を超えるガイドが誕生する運びになりました。
 さらに、ジオサイトを初めとする地域資源の発掘や活用を目的に調査研究事業を実施し、民間の団体などから企画提案のあった11の事業を行ったところです。
 このほかにも、ジオパーク構想の普及啓発のため、多くの講演会や学習会、ウオークイベントなどを開催し、地元のジオパークへの関心は大いに高まっていると感じております。
○議長(山田正彦君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 続きまして、平成26年度の日本ジオパーク認定に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 さきに紹介しました山陰海岸ジオパークガイドの御夫婦が「ジオパークの取り組みは、地域の特効薬ではなく、じわじわと効いてくる漢方薬のようなもの」と言っていたのが印象的でした。
 日本ジオパーク認定が決定されれば、県民の関心度も一気に上昇すると思います。この取り組みには、人の活動が重要であると同時に、アイデア次第で活用方法は無限に広がることが理解していただけるものと確信しています。地域の機運の高まりはもちろんですが、携わっている県や市町村の職員さんとのやりとりの中にもやりがいに満ちあふれた姿を感じ取れることが何よりも頼もしく思います。私がこの取り組みの先にある地域活性化の効果に期待を抱いてしまうのは、そんなところにあるのかもしれません。
 いよいよ平成26年度は南紀熊野ジオパークの誕生に向けて日本ジオパークネットワーク認定への申請を行うとのことですが、申請手続の流れと認定までのスケジュールなどをお聞かせください。また、あわせて、その他の取り組みや計画についても環境生活部長にお聞きをいたします。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長。
  〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 日本ジオパーク認定までのスケジュールは、3月末までに日本ジオパークネットワーク加盟申請書を提出し、4月末のプレゼンテーション、その後の現地審査を経て、合否の判断は8月28日の第21回日本ジオパーク委員会で発表されると伺っております。
 平成26年度の取り組みとしては、日本ジオパーク認定対応のほか、情報提供の拠点となるジオステーションの整備やジオサイトの説明板の設置を進めてまいります。また、南紀熊野の大地の成り立ち、自然、文化、人の暮らしをわかりやすく紹介するDVDの作成、教育現場で活用できる副読本の作成やジオパーク検定も実施してまいります。ガイドの養成につきましては、継続的なスキルアップを図るとともに、新たな人材の養成を目指して講座を開設いたします。
 これらの事業に取り組むことにより、多くの方々に訪問していただける南紀熊野ジオパークに育て上げ、地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 どうぞよろしくお願いいたします。
 大きな項目、最後、宇宙工学(人工衛星など)の活用についてであります。
 まず、大規模自然災害に対する防災や復旧計画への活用について、要望を行わせていただきます。
 先日、和歌山大学において、「和歌山を、宇宙からの防災・教育の拠点に」と題したシンポジウムが開かれました。パネラーは、国土強靱化を進めていく上で宇宙からも地域を観測するため衛星技術を取り入れることを提唱された二階俊博衆議院議員、千葉工業大学惑星探査研究センター松井孝典所長、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の西村英俊事務総長など、そうそうたるメンバーがそろいました。宇宙工学、特に人工衛星と地上のセンサーチップを使って地上の変化を観測するシステムを防災や災害発生後の救助や復旧対策に生かすため、その技術開発や実証を本県で展開していこうという内容でした。
 また、和歌山大学の秋山演亮教授は、平成26年1月8日付「読売新聞」の「論点」というコラムで、「通信衛星のような大型衛星は大手企業が既に進出しているが、観測衛星はまだ市場と呼べるほど成熟していない。ならば、私たちが開発した超小型衛星を使って参入する余地がある。日本国内での市場は限られるが、海外へ目を転じると可能性は広がる」と述べています。「例えばインドネシアのように島の多いところは、地上に施設を整備するより衛星を打ち上げて利用したほうが効率的で、台風などの被害が多いアジア諸国では、被災状況を把握できる観測衛星が役に立つ」と述べています。
 ERIAのネットワークを駆使し、日本の設計技術を世界に広め、衛星そのものや部品などを輸出するなど、その技術をもとに世界的規模の産業発展が期待できるのではないでしょうか。
 これまでも、軍事、通信、地球観測、航行、気象、科学など、さまざまな分野の役割を託された衛星が次々と打ち上げられ、現代社会の身近な分野にも及ぶ活用がなされています。代表的なものには、携帯やスマートホン、また車両に搭載されたナビゲーションシステムなどに見られるGPS機能が挙げられます。また、地球の表面の状態を観測することもできるようです。
 先日、テレビ番組で紹介されていたのですが、衛星を利用して海水温度、植物プランクトンの量、潮の流れなどを観測し、これまで蓄積された過去のデータをもとに、その日の条件の良好な海域を割り出す漁場予測システムが開発され、漁業者が漁に出る際に目的の種類の魚が多くいる場所をあらかじめ予測、いわゆる当たりの確率を上げることによって一定の漁獲量の確保や高騰する燃油コストを抑えることを可能にするそうです。
 日進月歩、人工衛星を使った各種の対応システムが盛んに開発されている昨今、和歌山大学では、宇宙関連技術や教育ツールの開発、人材育成を目的とした宇宙教育研究所が設置されました。施設としては、電波観測通信施設である直径12メートルのパラボラアンテナや屋上天文台などを有しています。当然、人工衛星に関する研究も行われており、その技術が大規模自然災害への対策にも役立つものとなるでしょう。
 歴史的に見ると、たび重なる大規模自然災害に見舞われてきた和歌山県。県民の安心・安全の確保のために、雨量計や川の水位計、地殻の変化を察知する計器を随所に設置するなど、既にさまざまな防災対策が講じられていますが、さらにその危機管理体制を強化するため、人工衛星を利用し、地域の平時の状況との変化を観測することによって危険な状況を予知したり、万が一、大規模自然災害が発生した場合には、足を踏み入れることが困難な場所であっても、衛星からの観測によって正確な災害状況を把握し、より有効かつより迅速に復旧計画や対策に生かすこともできるのではないかと期待します。
 本県の平成26年度予算編成の中に、和歌山県土砂災害啓発センターの整備事業に対し、1億1480万円が計上されています。土砂災害の危険性について啓発、研修を実施するための施設を整備し、そこには、我が自民党県議団砂防事業推進議員連盟も国土交通省や全国治水砂防協会、県選出国会議員への要望活動を行ってきましたが、国の研究機関となる国立砂防研究所の誘致も行うとの説明がありました。
 土砂災害啓発センター並びに国立砂防研究所における事業内容並びに人員配置等は、現在検討中とのことです。そのような段階であるならば、ぜひ人工衛星の技術も取り入れ、あらゆる技術を駆使してデータ収集に努めていただくとともに、国や大学などの研究機関の協力を得て万全の対策を講じられるよう、県が連携の中心的役割を果たしていただくことを強く要望いたします。
 続けて、2つ目の項目に移ります。
 宇宙開発利用を持続的に進めるための宇宙教育についてであります。
 若者が職業を選択、決定する基準の1つに、その職業に従事している親や身近な大人に影響を受けることは少なくありません。例えば、代々続いた先祖や親の会社、あるいは職人の極意も含め家業を受け継ぐなど、子供や身内が後継者になることは、「看板を守る」というごく自然な流れとして社会に息づいています。
 また、政治家やスポーツの世界でも、親が傾けてきた情熱や活躍ぶりに影響を受け、加えて身内の指導、いわゆる家庭内英才教育を経て、同じ世界で親をもしのぐ活躍や実績を残すケースもあります。あるいは、身内だけでなくても、よき経験者や指導者との運命的な遭遇に影響を受けることもあるでしょう。
 しかしながら、これからの分野とも言える宇宙開発分野においては、そのような環境はごくまれではないでしょうか。とするならば、宇宙の仕事に憧れ、将来の開発利用を持続的に支えてもらう人材を育成するためには、幼少のころから関心を示す環境、宇宙開発利用に触れる機会を設けることは大きな効果があると考えます。
 平成24年12月に科学技術・学術審議会などがまとめた文部科学省における宇宙分野の推進方策には、その意義として「我が国が宇宙先進国として宇宙開発利用を持続的に進めていくには、これらを支える人材育成が不可欠である。具体的には、様々なニーズに適切に対応し、優れたプロジェクトをまとめあげる総合力を持った人材、技術面で豊富な知見を有し、ロケット、衛星等の設計・製作等を的確に行える人材、更には新規利用分野の創出に貢献できる人材の育成が重要である」と記されています。
 具体的な推進方策として、1つ目に、専門人材の育成は量ではなく質が問われる状況にあり、魅力あるプロジェクトへの参加を通じた能力向上が重要である、2つ目に、「関心を有する青少年の裾野の拡大」とあり、小中学生等に対しては宇宙分野への関心の向上を主眼とした教材開発などの取り組みを、高校生、大学生等に対しては模擬のロケットや衛星の打ち上げ等の実体験を通じてより専門的な関心を高める取り組みなどを支援するべきであると記されています。
 本県には、地元和歌山大学に全国に先駆けた宇宙教育研究所があり、また、コスモパーク加太のような模擬のロケットや衛星の打ち上げ実験に適した敷地面積、都市部や近隣住宅からの安全距離が確保できる場所もあります。宇宙開発利用の分野での先進地を目指すことは、和歌山県の新たな特色や産業の創出につながるものと考えます。そのためには、子供たちが宇宙を身近に感じられるよう、宇宙工学を学ぶ環境づくりに取り組むことが将来の本県の発展につながる大変意義のあることだと考えますが、青少年に対する宇宙教育をどのようにお考えでしょうか。教育長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 青少年に対する宇宙教育についてお答えします。
 宇宙開発に係る科学技術というのは、今後ますます発展することが予想され、この分野で活躍する人材の育成が強く求められていくものと考えております。
 県教育委員会では、広く科学に興味や関心を持った子供たちの育成に努めており、宇宙に関しても、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携協定を結び、中高校生が筑波宇宙センターを見学したり、宇宙開発に関する講義を受けるなどの機会を提供しております。
 また、県内の高校生が、自分たちでつくった空き缶サイズの模擬衛星を打ち上げて大気データの入手、分析を競う缶サット甲子園全国大会で優勝し、アメリカで開催された世界大会に招待されるなど、高度な知識と技術を有する生徒も育っております。
 今後も、科学への興味・関心を高め、宇宙工学の道に進む子供が育っていくよう、宇宙に関する題材も取り入れながら科学教育の充実に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 答弁をいただきました。今後の積極的な取り組み、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時39分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(花田健吉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、早速、一般質問をさせていただきます。
 まず、有田保健医療圏の医師確保についてです。この問題は、昨年の6月県議会に引き続いての質問となります。
 有田保健医療圏内唯一の公立病院である有田市立病院では、産科医師の不足により、昨年9月から新規分娩の受け付けをやむなく休止されているという状況が続いています。
 私は、先日、有田市立病院へお伺いし、御苦労をおかけしている病院現場の事務長さんや産婦人科の助産師の皆さんからお話を聞いてまいりました。
 現在、有田市立病院では、分娩再開までの間は産科セミオープンシステム、これによって、妊婦健診は市立病院で、出産は県立医大や日高病院でと、こういう対応をとっておられます。これに加えて、この1月からは助産師外来と産後ケア事業をスタートさせています。
 助産師外来とは、医師の妊婦健診枠の中で医師にかわって妊婦健診を行う事業で、普通の妊婦健診であれば妊婦さんだけで健診を受けるわけなんですが、助産師外来の妊婦健診では、夫や例えば子供たちというような家族も含めて一緒に対応できるというのが特徴だそうです。おなかの中の赤ちゃんの様子を見ながら説明を受ける。これは、時には表情まで見ることができるそうでありますが、おなかの中にいるときから母性愛、父性愛を育んでいくことを大きな目標の1つとされているそうです。
 また、健診時間もたっぷりとることができるのが特徴で、通常の妊婦健診であれば、1時間から2時間待ちで受診をして、検査も含めて15分程度というとこなんですが、中身も異常の確認ということが健診の中心となります。その点、完全予約制の助産師外来の妊婦健診では、約1時間かけてゆったりと妊婦さんの相談に乗れるのがよい点だと強調されていました。
 また、助産師外来とともに取り組み始めたのが産後ケアです。この産後ケアとは、全国の先進的な地域で始まっている取り組みで、核家族化や若者の孤立化が進む中で産後の不安定な時期のお母さんをケアし、バックアップしていくものです。
 今は、たとえ核家族でなくても、祖父母の高齢化があったり、また逆に祖父母が現役で働き続けているという場合も多くて、必要なときに必要なアドバイスを受けにくいという状況があり、育児ノイローゼや、時には児童虐待というような深刻なケース、これにつながらないための取り組みとして注目をされています。
 産後のケア自体は、助産院などでは、これまでも特にそれをうたっていなくても当然のように行ってきた妊婦へのサポートです。出産直後のお母さんは、育児になれるまで本当にいっぱいいっぱいで、お乳のこと、育児のこと、赤ちゃんのこと、聞きたいけど、どこに行ったらいいのかわからないという時期に、1時間でも話ができて、子供を遊ばせて、リフレッシュして帰ってもらいたいんですと助産師さんたちは言います。産後ケアには、1時間程度の外来ケアや訪問ケアから日帰りケア、宿泊ケアと、いろんなバリエーションが用意をされています。
 こうした助産師外来にしても、産後ケアにしても、共通をしているのは、妊娠、出産、産後の母親がいかに楽しく育児ができるかをサポートしたいという姿勢です。夜、一睡もできずに育児に向き合う母親が、自分の体の変化も含め、不安でがちがちになりがちな時期に、いかに自分の不安を打ち明けられるか、相談に乗れるかということを大事にしていこうという姿勢です。
 また、助産師さんたちは、病院で待っているだけでなく、子育て支援センターに出向いての相談活動などもされています。住民の中では、市立病院の産科がなくなったという口コミだけが広がっていて、「いえいえ、やってますよ」というところから話が始まるんですと、明るく笑顔で話されていました。
 そして、でも何といっても一日も早く常勤の産科医師を配置してほしいです、医師と一緒になって分娩を再開したいですと、そう言う助産師さんの言葉が胸に響きました。
 現在、有田郡市においては、年間約550人の出産があるにもかかわらず、分娩ができる医療機関は民間クリニック1カ所だけという状況であり、お産の集中する月の受け付けはお断りするしかないという現状だそうです。この状況は、県内他の保健医療圏にはない状況です。
 有田保健医療圏内の1市3町の住民からは「地元で安心してお産ができる体制づくりを早く」との要望が日増しに高まっています。有田地方で安心して子どもを産み育てられる体制を求める会という住民団体も立ち上がり、事務局に問い合わせをさせていただくと、この1カ月で200通を超えるアンケートへの回答が寄せられていて、産科医師確保と市立病院での分娩再開を求める声が世論として大きく広がっていることを示しています。
 また、先月、広川町で行われた県の行政報告会においても、西岡広川町長さんが御挨拶の中で、ひとつ知事に御要望申し上げたいと、この有田保健医療圏での産科医師確保を町民の皆さんの前で仁坂知事に強く要望されていたのも印象的でした。
 こうした状況を踏まえて、以下、順次質問をさせていただきます。
 まず第1点目に、有田保健医療圏での産科医師確保に向けての取り組みはどうなっているのか。この間の取り組みの状況について、福祉保健部長より御答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 有田市立病院の常勤産科医が退職したことに伴い、昨年11月以降、有田保健医療圏において分娩が可能な医療機関は1カ所となっております。
 このような中、有田市立病院では、非常勤医師2名を確保するとともに助産師外来を開設しております。また、有田保健医療圏では、妊婦健診は最寄りの医療機関で行い、分娩は圏域外の連携病院等で行うセミオープンシステムを昨年11月から実施しているところです。
 今後とも安全・安心なお産をしていただくため、有田市立病院の常勤医確保に協力し、医療体制の確保に取り組んでまいります。
○副議長(花田健吉君) 松坂秀樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 では次に、産後ケア事業など、妊娠から出産、産後をトータルで支える子育て支援策の拡充をという点で質問させていただきます。
 先ほど御紹介申し上げたように、妊婦や産後の母親への支援が今まで以上に必要となってきています。
 ところが、産後ケア事業などは保険適用外ですから、自己負担が結構かかるんですね。先進的に実施している自治体では、半額や9割の補助を出していて、自己負担を軽く抑える工夫をしながら利用をふやしています。
 こうした流れの中で、国においては、新年度から、妊産婦の孤立感解消を図り、既存の支援に欠けていた産後ケア事業と産前・産後サポート事業に取り組むためのモデル事業が始まると聞きました。こうした国事業の採択などに有田市と有田市立病院が手を挙げていくならば、ぜひ県としても援助、助言をしていただきたいし、また、県としても妊娠から出産、産後を見据えた子育て支援策拡充を県内市町村とともに進めていくよう求めるものですが、いかがでしょうか。福祉保健部長に答弁を求めます。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 国では、来年度、妊娠・出産に係る相談・支援サービスの充実と連携強化を図るためのモデル事業を開始します。
 これを受け、県としましても、有田市や有田市民病院を含め県内市町村に対してモデル事業への参加を働きかけているところであり、計画書の提出があれば、モデル事業として指定されるよう支援を行ってまいります。
 また、妊娠から出産、育児に関する支援につきましては、市町村が実施主体となり、妊婦健診、妊婦教室、新生児家庭訪問、乳幼児健康診査などを通じて、保健師等による相談支援等が行われているところです。
 県といたしましては、これまでも市町村や地域の保健医療関係者と協力して人材育成や支援技術の向上等に取り組んでいるところですが、今後さらに地域における切れ目のない妊娠から出産・産後支援体制の充実を図ってまいります。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 次に、産科医師の不足とともに、有田市立病院では内科医師や小児科医師などの医師不足という点でも困難を抱えております。
 内科については、外来診察が火曜日と木曜日が休診で週3日しか診察ができず、入院患者さんの受け入れにも困難を抱える、そういう状況となっています。
 この内科医師の不足問題は病院運営全体にかかわることであり、県並びに県立医大として特段の取り組みが必要とされていると思いますが、いかがでしょうか。この問題にどう取り組んでおられるのか、福祉保健部長に答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 有田市立病院においては、従来5名体制であった内科について、常勤医師の退職等が相次いだほか、小児科につきましても、昨年4月以降、常勤医師が確保できておりません。
 このため、県では緊急的に自治医科大学卒業の内科医を1月から派遣したほか、小児科につきましても非常勤医を確保するなど、当面の診療体制確保に努めているところです。
 引き続き、有田市とともに、県立医科大学を初め県外の医育機関等に対して内科医師等を中心に派遣を依頼するなど、医師確保に取り組んでまいります。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 以上3点にわたって質問をさせていただきましたが、今回取り上げさせていただいた産科や内科医師の確保というような地域医療を守るという分野は、一市町村や一病院だけの課題ではなく、広域自治体である県の大きな責務であり、県立医大の存在意義にかかわる大事な課題であるというふうに考えます。
 県下の地域医療を守っていくために、県の果たす役割をどう考え、医師確保を初め地域医療の体制強化のためのさまざまな施策にどう取り組んでいくのか。あわせて、有田保健医療圏での地域医療を守るためにどう取り組んでいくのか。今度は知事の御所見と決意をお聞かせ願いたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県は、地域の医療崩壊を防ぎ、安全・安心な地域医療体制を構築する役割を担っております。
 これをどういうふうにして具体的にやっていくかというと、特に現在、御指摘のありましたような地域の公立病院を中心とするような拠点病院に頑張ってもらって、和歌山県はその拠点病院から、山のほうに集落が広がっておりますから、今度はそういう方々も診てもらえるようにするというのが戦略なんでございます。したがって、この拠点病院を中心とした救急医療体制の堅持とか、それを担う医師、看護職員の確保が大変大事なことでございます。
 具体的には、それでもそういう病院に関しては医師不足が顕著でございますので、その援軍も送らないかんということで、医師をふやさないという閣議決定を覆した県立医科大の都合40名の定員増の実現、あるいは医師不足が特に深刻な産科、小児科等を目指す研修医を対象とした修学資金制度の創設、あるいは若手医師の定着を支援する地域医療支援センターの県立医科大学への設置といった抜本的な医師確保対策に取り組んでまいりました。
 また、各保健医療圏ごとに、小児医療、救急医療における医師会と拠点病院間の協力体制の構築も進めてまいりました。
 今後とも、こうしたさまざまな取り組みを進め、引き続き地域医療体制の充実に向け取り組んでまいりたいと思います。
 有田保健医療圏においても、県立医科大学からの医師派遣や自治医科大学卒業の医師の派遣等により病院勤務医の確保に取り組んでいるところでございますが、まだ十分安心はできない状態でございまして、私自身も含めて、1人の医師を確保するというのが、これはもう大変な困難なことでございますが、これをやっていかないと、次々と崩壊が起こりますので、引き続き頑張っていきたいと思います。
 地域医療再生基金などもございますので、開業医と拠点病院が協力する体制の構築に支援するなど、保健医療圏全体で安心できる地域医療の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事から決意を込めた御答弁をいただきました。
 住民の皆さんの関心も非常に高い課題ですし、県、市、病院の関係者の皆さん、力を合わせて必死になって御苦労をいただいております。一日も早く医師確保のめどをつけ、地域医療を守れるよう取り組みを強化されるよう、重ねて強く要望をしておきたいと思います。
 2つ目の質問に移らせていただきます。
 和歌山の森林・林業の再生に向けて質問をいたします。
 先日、有田川町の清水森林組合を訪問し、組合長さんを初め役員、職員の皆さんからお話を伺ってまいりました。
 清水森林組合は、この間の経営危機を関係者の皆さんの努力で何とか乗り越えるめどをつけ、そして1月からは新体制でスタートをさせています。
 懇談の中で、組合長さんらからは、木材利用の拡大や林業後継者対策、森林の公益的機能の啓発、事業における書類等の合理化・簡素化の御要望を聞かせていただき、森林・林業の再生への思いを強くした次第であります。
 今、私たちは、県内の中山間地や山間部において、過疎化と若い世代の減少、流出がとまらず、ひとり暮らし、2人暮らしの高齢者世帯がこの数年でも急激に増加しているのを実感しております。
 県と市町村が力を合わせて取り組む過疎対策、地域活性化策の強化はもちろんのこと、本来の活力を取り戻すには、若い世代の雇用確保がその柱となるべき課題であります。林業や農業など第1次産業が元気になって、加工や販売などの裾野が広がることが求められています。
 和歌山県の面積の77%が森林です。森林の持つ公益的機能についての意識は高まってきており、水源の確保、CO2の吸収源、生物多様性確保と、ますます重要な位置づけがされています。この和歌山の森林に蓄えられた高いポテンシャルを生かし、森林・林業の再生を図ることが大切です。
 日本国内の森林の成長量は約8000万立米に上り、現在の日本における年間木材消費量を上回る量となっており、現在約28%の自給率を抜本的に引き上げる条件があります。関税など国際的取引についても、木材も工業製品のような扱いではなく天然資源として扱おうという動きもあるように、世界的な木材需要の高まりと資源の減少の中で、いつでも、どれだけでも外国から木材を輸入するという輸入頼みは通用しない時代を迎えようとしています。
 ところが、国産材の消費は、輸入圧力により消費量も材価も低下の一方をたどり、国産材のほうが外材より安くなる逆転現象が起こっています。外材は丸太での輸入から加工済みのホワイトウッドに取ってかわられていて、木材加工場も外材から国産材への転換、対応が求められているなど、輸入頼みの木材政策、国策の転換こそが求められます。
 しかし、私たち和歌山県内の森林を見ると、有田川町の旧清水地域では、森林面積の85%までもが人工林という状況で、必ずしも適地適木でなかった過去の植林推進のために、過度の人工林化が進みました。また、多くの苗木を密植して成長させる育成法がとられたため、放置された人工林では、かえってそれが逆に弱点となって、光の入らない真っ暗闇のモヤシのような森となり、一見緑の森に見えても、実は緑の砂漠なんだと指摘をされています。
 こうした課題を解消するために、県としてもさまざまな施策に取り組んできたわけですが、和歌山の森林と林業の再生を求めて、以下5点にわたって質問をさせていただきます。
 1点目は、木材の利用拡大という点です。
 3年前、国において超党派で可決成立した公共建築物の木材利用促進法を受け、この間、木材の利用拡大に和歌山県としてどう取り組み、和歌山県産木材の利用拡大はどう進んだのか。まずはこの点から農林水産部長の答弁を求めます。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 平成22年10月に施行された公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき、平成24年2月、和歌山県木材利用方針を策定するとともに、市町村に対しても策定を働きかけ、既に全ての市町村において利用方針が策定されております。
 また、副知事、各部長等で構成する木の国プロジェクト推進会議において、公共施設の木造化、木質化に取り組んでおり、秋葉山県民水泳場の屋根部材や内外装仕上げ材など、多くの施設に紀州材が利用されています。
 こうした取り組みにより、法律施行前の平成21年度は県と市町村合わせて約1700立方メートルであった紀州材の使用量が、平成24年度には1.8倍の約3100立方メートルとなっており、着実に実績を上げているところでございます。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 次に、搬出された間伐材の利用促進についてお尋ねをいたします。
 林業経営を目指す森林の間伐は、利用間伐、搬出間伐が基本とされ、この間、この間伐事業、森林整備事業をスムーズに進めるためにも、搬出された間伐材の利用促進に力を入れてきました。
 しかし、景気の動向や一般材の木材価格、搬出量の変化、これらの影響を受けるために、せっかく搬出した間伐材が滞留をするといった局面もあったと伺いました。
 搬出間伐材の利用状況はどうか。供給量等はどう推移してきたか。今後、どう利用促進を進めていくのか。農林水産部長より御答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 間伐材は、建築用材や合板用材など、さまざまな用途に利用されております。
 供給量につきましては、平成19年度は約1万7000立方メートルでしたが、5年後の平成24年度は約6万立方メートルに増加しております。
 間伐材を初めとする紀州材の利用を進めるため、県では公共建築物での利用推進に加え、民間木造住宅における利用拡大などに取り組んでいるところです。また、合板用として年間約1万立方メートルが出荷されており、引き続き関係団体と連携して、新たな出荷先の確保など、需要の拡大に取り組んでまいります。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 次に、公共事業での木材利用拡大についてお尋ねをいたします。
 建築関係での木材利用促進とともに、木材使用を量の面で大幅に引き上げる可能性を持つのが公共土木工事の分野であると考えます。鉄筋とコンクリートだけでなく、木材や石を利用できる工事はたくさんあります。県は、これまで、今年度末をめどに公共土木工事への間伐材利用推進指針を策定することや木材の活用マニュアルを早期に作成すると表明をし、農林水産部と県土整備部が連携してこの課題に取り組んでまいりました。ぜひこれらの取り組みが新年度予算による事業に生かされ、県内での木材使用量が増加していくことを願うものであります。
 新年度を迎えるに当たり、どのような指針とマニュアルを示そうとしているのか、お尋ねいたします。
 まずは、公共土木工事への間伐材利用推進指針についてはどうか、農林水産部長に御答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 公共土木工事における木材利用促進は、県内の森林整備を進める上で大変重要であると認識しております。
 和歌山県木材利用方針においても、公共建築物だけでなく、公共土木工事にも紀州材の利用を推進することとしており、木柵工や型枠などを中心に利用されております。
 今後、公共土木工事におけるより一層の利用拡大を図るため、重点的に木材利用を進めていく工事の種類を明記した木材利用推進指針を、年度末の策定を目標に県土整備部と協議を進めているところでございます。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からは、木材利用推進指針の説明として、重点的に木材利用を進めていく工事の種類について明記をしていくんだという答弁だったと思います。
 また、年度末までに策定ということでした。もう年度末だから、もうできたのかと聞いてるわけでありますが、もうすぐ発表するんだという意味でしょうから、発表を期待しておきます。
 そこで、この指針で示す内容、目標について再質問をいたします。
 国会での木材利用促進法の議論のときにもあったと思うんですが、これだけの量を使っていくんだ、そこを目指すんだという数値目標、特に量的な数値目標、こういったものが入らないと、「できるだけ努力する」にとどまる可能性が大きいんですね。和歌山県としてこれだけの量を使っていこうと、目指すべき数値目標が広く県民に示されれば、工事を実際に発注する役所の側も、また木材を供給する側も、見通しを持ってこの仕事を進めることができると思うんです。
 また、これが県民の皆さんに広くPRされるならば、木材を使っていこうという意識や合意になっていく、施工業者さんの協力を得ていく、こういうことにつながると思うんです。
 部長に再質問いたします。
 木材利用の数値目標、特に量的な目標を打ち出していくおつもりなのかどうかという点、また、この指針は県庁内プロジェクト、申し合わせというレベルではなくて、広く県民に公表して取り組まれるものかどうかという点も答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 現在策定作業中の指針では、例えば、山腹工における柵工であれば特殊な場合を除いて100%木製とするなどの具体的な目標割合を設定することとしております。
 それから、量的な目標についてでございますけれども、指針の中では、現在のところ、そこまでは議論はしておりません。といいますのは、その年度の事業量等によってきますので。
 それから、また、その指針の内容につきましては広く公表し、着実に木材利用が進むように取り組みを進めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長の御答弁は、工法により目標割合のそういう目標数値などを示していくという御答弁でした。
 事業量の伸び縮みがあるからというお話でありましたが、そういう積極面は評価をするものの、先ほど指摘をさせていただいたように、やはり量的な数値目標、これは目指していくべきじゃないかと思います。目指すべき目標と、それに至る段階的な目標や手だて、こういったものを示せる計画指針となるように、ぜひ実際に運用していく中で発展させていただきたいと強く要望をしておきたいと思います。
 続けて、県土整備部長に今度はお尋ねをいたします。
 農林水産部とも協議しながらまとめている公共土木工事への木材活用マニュアルの内容について、またマニュアルの運用開始時期について御答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 公共土木工事における木材利用拡大を図るため、今年度、農林水産部と連携しながら、木材利用に関するマニュアルの策定に取り組んできたところです。
 これまで、県木材協同組合連合会との意見交換や各建設部等に対する調査などで、木柵工や丸太伏せ工等の施工実績及び維持管理上の課題について整理を行ってまいりました。
 今後、これらの調査分析等を踏まえまして、公共土木工事の設計施工に活用できる木製品の利用が可能な工法につきまして、年度末を目標にマニュアルとして取りまとめ、運用してまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 もう年度末でございます。取りまとめの段階ということで、時期についても早急にという答弁でありました。
 木材使用量が実際にふえるかどうかの鍵を握っている、その主役は、私は県土整備部だというふうに思うんです。これまで試され済みの工法に加えて、河川工事など木材を使用できる工事は、私はかなりあると思うんです。ぜひ実際に使えるいいマニュアルをまとめていただいて、早くスタートをさせていただきたいと思います。
 再質問で部長に確認させていただきますが、この運用の開始時期なんですが、新年度のさまざまな公共事業において、マニュアルが示された後は、新年度発注の工事から順次適用、運用されていくということでよろしいですね。その点を確認させてください。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 今ほど答弁させていただきましたけれども、マニュアルにつきましては、年度末を目標に取りまとめをさせていただいております。
 取りまとめた暁には、速やかにこれが公共土木工事に運用されるように進めていきたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 一日も早くスタートできるように期待しておりますので、どうぞよろしくお願いしておきます。
 次の質問に移ります。林業後継者対策と森林組合の役割についてです。
 和歌山県は、緑の雇用など、さまざまな施策を通じて林業振興と林業後継者の育成に取り組み、和歌山県の山間地域の活性化と森林環境の保全を目指してきました。
 森林組合の作業班は、地域の雇用の場という点で、民間事業者とともに地域で大切な役割を果たしてきました。しかし、昨今は、森林組合の経営難等を理由に、林業後継者の雇用環境において厳しいものがあるのも現実です。
 林業後継者対策の到達と現在の支援策、森林組合の果たすべき役割についてお伺いをいたします。
 県の取り組みの到達として、緑の雇用で就労した方が現在どれぐらい森林・林業の現場で働いておられるのか。また、新たな林業後継者の就労や技術力向上などの支援策はどうか。林業後継者育成における森林組合の果たすべき役割について、県はどう考えているのか。農林水産部長の御答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) まず、これまで行ってきた緑の雇用事業についてですが、林業に従事されている方は、平成24年度末で168名で、森林施業の中核となって活躍いただいております。
 次に、就労や技術向上などの支援策についてですが、国からの委託事業であるフォレストワーカー研修などに加え、県では、林業の基礎的な知識から高性能林業機械の操作に至るまで幅広い技能を習得することを目的に、グリーンワーカー育成研修を実施するなど、林業の担い手の育成に積極的に取り組んでいるところです。
 本県の林業振興において、林業従事者の育成は非常に重要であり、林業従事者の多くを雇用する森林組合の役割は大きいことから、組合が森林所有者の負託に応えて森林施業を行っていくことができるよう、経営の安定化に向けた指導を行うとともに、体制強化を図るため、森林組合の合併を推進してまいります。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 質問項目の最後に、尾根筋や谷筋の天然林化事業について提案をし、答弁を求めたいと思います。
 新年度予算において、ごまさんブナ林再生プロジェクトとして、貴重なブナ林の保全と周辺の人工林の天然林化に取り組むとされていることを私は高く評価したいと思います。
 県は、これまで計画的に環境林整備に取り組んできました。私は、この分野で、尾根筋の部分と、そして谷筋、沢沿いの渓畔林と呼ばれる部分の天然林化に思い切って取り組むよう、事業化を提案したいと思います。
 議場内に資料を配付させていただいておりますのが尾根筋の天然林。これは護摩壇周辺のものでありますが、尾根筋に天然林が広がっているのがわかると思います。そして、右側は渓流沿いの天然林ということで、こうした水際、沢沿いのところに天然林が残っているというのは、実は非常に大事なんですね。
 先人の知恵として、植林をする際にも、山を丸々全部人工林にするのではなく、尾根筋や谷筋、沢沿いの渓畔林には天然林を残しておくことが健全な山を保つ知恵として受け継がれてきました。これは、自然環境という点でも、また森林への栄養分の補給という点でも、また土砂災害を防ぐ治山の面でも大切だということが経験上わかっていたわけです。
 しかし、和歌山の山においては、人工林化が極端に進んで、それこそ谷沿いの水際から山の天の天まで植林されてしまったところが多いのが現状です。
 尾根筋の天然林は、しっかりとした根を張ることによる土砂崩壊の防止、落葉による土壌の育成、栄養素の供給、多様な生物環境の保全などの機能を持ち、また谷筋の渓畔林は、洪水による浸食防止、流下土砂のろ過に加えて、落葉、落下昆虫の供給、栄養元素の交換、生き物の生息場所の提供など、それぞれ多くの機能を持ちます。
 放置された森林の環境林化に加えて、目的と効果をよりはっきりさせた環境林化事業を打ち出す時期ではないかと考えます。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 和歌山県として環境林整備に取り組んできたが、今後の方向性をどう考えているのか、豊かな森林自然環境の保全・回復と災害防止の観点から、尾根筋や渓畔林を環境林として天然林化する事業についてどう考えるか、御答弁を願います。
○副議長(花田健吉君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、これまで、利用期を迎えつつある人工林を対象に、搬出間伐を積極的に推進してまいりました。利用すべきものはきちんと利用するということでございます。
 一方、林業経営の観点から、収益が期待できない尾根筋とか急傾斜地の森林とか、また、もちろん渓流沿いに生育する渓畔林などについては、国の補助事業を初め、紀の国森づくり基金を活用して、広葉樹が混在する森づくりに向けて、共同間伐の実施など環境林整備に取り組んでまいりました。条件的に厳しく手入れが進まない森林や自然環境の面で重要な森林を中心に、環境林としての保全整備に取り組んでいきたいと思います。
 それ以上に、まだもとのままの自然が本格的に残されている、こういうところも積極的に保全をせないかんというふうにも思っております。県立自然公園の再編を就任早々やりましたが、そのときもそのような考え方で配慮してまいりました。
 また、貴重な生態系を持つ森林などについては、そのまま保全しようということで、紀の国森づくり基金を活用して公有林化を進めてまいりました。
 それから、来年度、御指摘のように、新たに鹿による食害が拡大している護摩壇山のブナ林保全に、これはちょっと技術も生かして取り組むなど、貴重な森林資源の保全対策もさらに強化してまいりたいと思っております。
 このように、豊かな森林資源を次の世代に引き継いでいくためには、森林の持つ公益的機能の維持増進のための施策を積極的に推進していくことが重要と考えております。
○副議長(花田健吉君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁いただきました。
 知事からは、環境林整備の中でこれまでやってきたこと、そして、今後も条件的に厳しくて整備の進まない森林を中心に環境林整備を進めていくとの答弁がありました。
 私のきょうの質問での提案は、知事がおっしゃったように、地理的、経済的要因で整備が進まず放置された森林の整備、進めたことは大事なんだけども、これからは、その中でも特にというか、それに加えてというか、和歌山県の森林の尾根筋や渓畔林を目的意識的に整備すること、ここに意義があると提案をしたわけです。
 環境林の整備を始めて10年がたちました。この整備計画の到達点を踏まえ、今後ともこういった点をぜひ吟味しながら整備を進めていただきたいと要望しておきたいと思います。
 そして、加えて要望しておきますが、新年度予算では、県として土砂災害啓発センター(仮称)の設置が盛り込まれ、国の土砂災害研究機関を誘致して防災対策に取り組むというふうにされております。
 ぜひ、この新しい組織でも、森林の土砂災害防止という点から尾根筋や渓畔林の天然林化の効果を研究するよう指示も出していただき、県の施策に生かしていただくよう要望いたしまして、本日の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時46分散会

このページの先頭へ