平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(花田健吉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問続行いたします。
 42番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 けさほどからは、中議員から懐かしい海南高校応援エール「フレー、フレー、海南」を聞かせていただきました。私も実は、海南高校野球部の黄金時代の、野球部員ではありませんが、在校生でありました。その後の本当の野球部員である藤山県議と一緒にしっかり応援しなければならないなどと思ったところでございます。
 それでは、議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、紀北支援学校の改築にかかわる問題でございます。
 先日、紀北支援学校を訪問しました。和歌山県では、南紀支援学校に次いで開校して約40年になります。知的障害を持つ子供とともに肢体不自由な子供も受け入れ、一時は中庭にプレハブ校舎が並んでいたのですが、6期計画の校舎改築計画ができたとお聞きしておりました。
 第1期としては、生徒増に対応すると同時に、プレハブ解消のための新校舎が完成しておりました。古い校舎と新しい校舎を回らせていただきましたが、廊下の広さも新しい校舎は古い校舎の1.3倍ほどあり、快適です。校長先生は、「せっかく新しい校舎ができたので、中学部、高等部の生徒をここへ入れて、ここで卒業させてやりたいと思ったのです」と、生徒への思いやりを語っておられました。
 第1期工事が終われば第2期にかかると考えるのですが、実はそうはならない。次の工事にかかろうとしても、古い校舎が老朽化の基準まで来ておらないために、健全な校舎を壊したら、今後、建てかえる校舎に対して国の補助金を受けられないそうです。
 第1期工事のためにプールも撤去してしまった状態です。計画では、運動場に校舎を建てるため、工事中は運動場が狭くなります。近くのグラウンドを借りなくてはならないでしょう。
 校内を回って、これはと思ったのは、職員室の狭さです。小学部、中学部だけで1つの職員室があるのですが、普通より少し幅の広い机が入っている。それを2人の先生が区切って使っている。間にキャスターのついた引き出しを置いて区切りにしている。やっと膝が入るだけの空間が1人分です。職員朝礼するときは、高等部の先生が2階の職員室からおりてきて、机の間に立ったまま会議をするんだそうです。
 6期の工事まで完成したときにはこういう状態は解消するのでしょうが、いつまでこういう状態が続くのだろうか。一番大事な児童生徒は、工事完成までプールが使えない、建てかえ期間中は運動場が使えないという状態は、大変だろうと思います。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 すばらしい設計図ができて、改築に大いに期待するのですが、改築のタイムスケジュールはどのように考えておられるのでしょうか。まず、この点についてお伺いしたいと思います。
○副議長(花田健吉君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 改築のタイムスケジュールについてでございますが、紀北支援学校につきましては、施設全体の整備計画を平成20年度に作成し、平成22年度に教室不足解消のための校舎を増築しました。
 既存校舎等につきましては、既に耐震化や大規模改修を実施していることもあり、今後、既存校舎の全面建てかえについては、施設の状況を見ながら必要な時期に建てかえを行ってまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 それにしても、既存の学校の運動場に新しい校舎を建てて、古い校舎を壊していく。大変だなあと思いました。タイムスケジュールはいつまでというふうにはっきり言われませんでしたが、5~6年もかかるのでしょうか。
 まず、支援学校の子供たちにとって、身体の発達にとって大切なプールがなくなってしまっている。それについてはどのようにしていかれるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 紀北支援学校では、校舎等の全体配置計画上で、やむを得ず老朽化したプールを取り壊したところです。そのため、平成22年度から近隣の公共プールや高等学校等のプールを使用してきました。来年度からは、新たに秋葉山公園県民水泳場の室内温水プールの活用も予定しているところでございます。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 近くのプールを使うにしても、あるいは秋葉山のプールまで、スクールバスに乗って行かなくてはならない。それは時間的にも大変だろうと思います。秋葉山のプールは、温水プールがあるわけですから、年間を通じて使えるというメリットもあるのかなとも思います。
 ところで、スクールバスですが、かつては支援学校では、自前でバスを持ち、職員が運転をしておりました。それならいつでも学校の都合でバスを出すこともできるのですが、最近では、運転業務は民間会社に委託をしている。バスごと外注というケースもあります。関係者から、競争入札で価格が低下しているが、安全性は大丈夫かという問題提起を受けたこともございます。
 とりあえず、お伺いしておきたいんですが、土木事業などの発注では最低制限価格というものもありますが、スクールバスの外注競争入札では最低制限価格というものを設定しておられるのでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 最低制限価格の設定は、過度な価格競争、あるいは調達する業務について品質の低下が懸念されるような場合に考慮する必要があると考えておりますが、スクールバスの契約においてはそのような状況は生じていないことから、最低制限価格は設定しておりません。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 入札問題については、きょうはそこまでにしておきますが、過当競争で安全性が低下しないように十分に配慮をしていただきたいと思います。
 そのスクールバスは、子供の送迎だけでなく、学校行事やプールへの送迎も十分できるような体制になっているんでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 契約では、子供の登下校の送迎以外に学校行事やプールへの送迎についても規定しており、その中で対応できる体制となっております。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 重ねてお聞きしますが、事前にスクールバスの運行委託会社との契約状況を見せていただいてチェックしたのですが、バス5台で各8回プールの送迎をしています。乗車定員いっぱい乗せれば延べ1840人を送れますという説明をいただきました。児童生徒数は237人、1人当たり7回余りということでした。
 ところが、実際は多くの職員が一緒に乗らなくてはなりません。車椅子の子供もいる。いろいろな子供を抱えて、そういうわけにはいかないだろうと思います。もちろん、学校の時間の配分もあるでしょうが、温水プールで1年中利用できるというメリットがあるなら、年に10回ぐらいはプールに送迎できるようにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 契約では、学校教育活動等で年間48回まで運行が可能となっていますので、その範囲内での対応は可能でございます。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 1台のバスについて、一応プールは8回としているが、年間48回使えるので、その範囲で対応は可能という答弁をいただきました。
 もちろん、何回使うかというのは学校の判断でございますから、学校が使いたいときには十分使えるようにお願いしたいと思います。
 次の質問ですが、心配なのは職員室などの狭さです。職員室などはどのようにお考えでしょうか。その上に、工事中は運動場も使えなくなる。工事にかかる6年間ほどの間、近くで土地を借りるということも含めて何らかの対応が必要だと考えるのですが、いかがでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 職員室等につきましては、校舎の建てかえの際に、必要な面積の確保に努めてまいります。
 また、工事期間中の運動場につきましては、可能な限り敷地内での確保に努めてまいりますが、困難な場合は御指摘のように近くで借地することも検討してまいります。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 和歌山県の支援教育は、全県各地域に支援学校を配置していること、高等部全員入学など、誇るべき到達点を持っていると思っています。このたびの紀北支援学校改築にも大きな期待を持っています。
 しかし、その改築期間にこの学校で学ぶ子供たちに不自由な思いをさせないように十分な配慮をお願いして、次に移りたいと思います。
 それでは、次の大きな柱、昨年9月の県議会で取り上げた盲学校の敷地に係る道路建設の問題です。
 あのとき、仁坂知事から、教育環境を保持できるよう全力を挙げて対策を検討するという答弁をいただきました。
 それをベースにした盲学校、盲教育関係者と県教育委員会、道路関係者との話し合いに私も何度か立ち会わせていただきました。
 いよいよ煮詰まってきていると思いますが、盲学校の教育環境を守る有効な対応はできるのでしょうか。県土整備部長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山盲学校に関する道路環境対策につきましては、知事から、教育環境を保持できるように全力を挙げて対策を検討することとの指示を受け、これまで教育委員会及び盲学校と10数回に及ぶ話し合いを重ね、検討してまいりました。
 話し合いの中で、音が視覚障害のある児童生徒にとって大切な情報源であることを重視し、グラウンドなど5カ所において昼間の騒音レベルを45デシベル、寄宿舎では夜間の騒音レベルを40デシベルとする目標を設定し、対策を講じることとしたところです。
 具体的には、道路と盲学校の境界、歩車道の境界及び中央分離帯に防音壁を設置し、あわせて低騒音舗装を行う予定であります。
 また、供用後におきましても、児童生徒の教育環境を保持できるよう、教育委員会及び盲学校とも十分に話し合いを行いながら適切に対応してまいります。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私も何度か話し合いに立ち会いながら、知事の答弁を受けて、真剣な検討をしていただいているというふうに思いました。
 しかし、盲学校関係者は、まだまだ不安を抱えています。今の答弁の中でも言われましたが、やってみて問題があった場合には、さらに対策をお願いできる、対策をするとお答えいただいたことを確認して、次の問題に行きたいと思います。
 第3の柱として、自然エネルギー開発についてお伺いいたします。
 1月末に行政改革・基本計画等に関する特別委員会の視察で伊方原発に行かせていただきました。再稼働を目指して準備中という伊方原発は、比較的高台にあります。したがって、静岡県の浜岡原発のように20数メートルの防波堤で囲む必要はありません。それでも1000億円近いお金をかけて再稼働に向けての準備をしていました。
 廃棄物の収容能力は、あと10年は大丈夫だということですが、案内の方も言われたとおり、10年というのはすぐですから、再処理施設が動き出さないとどうにもなりません。
 管理棟は、免震構造の上、事故が起こった場合、全ての職員を収容できる、食料の備蓄もある、中の気圧を高くして外から放射能は入らないようにするなどの機能を備えているなど、万一の事故に備えて労働者を守るために考えられているという説明でした。
 しかし、説明の方に「この原発再稼働のネックは半島部の住民の避難体制でしょうね。どうなっていますか」とお聞きしました。「それは県のほうで考えてくれています」という返事が返ってきまして、少し違和感も感じたところです。1000億円かけてもたくさんの課題が残る中、原発は本当に必要なのか。
 先日は、想定される東海地震の震源域の真上にある一番危険な原発と言われる浜岡原発を3000億円かけて整備し、安全審査の書類を提出したという報道を聞くにつけても、そんなことよりも自然エネルギーなどの研究開発、そして一日も早い普及に力を入れればと思った次第でございます。
 そこで質問ですが、平成26年度の当初予算新政策には、新エネルギーの推進とあります。メガソーラーは14メガワットが稼働中であり、76メガワットが計画中だといいます。風力は76メガワット稼働中で、142メガワット計画中と言います。
 まず、私が再々被害者救済を訴えてきた風力発電についてお伺いしたいと思います。
 実は、一昨日、風力発電の被害を考える会・わかやまの総会が開かれました。そこには、北海道から大学の先生がわざわざこの総会に参加するためにおいでになっていました。北海道でも風力発電が進められようとしているが、大丈夫なのか、和歌山の経験を吸収して帰りたいというお話でして、和歌山の風力発電と低周波・超低周波問題が全国的に注目されているわけです。
 そして、その場所で、ここに持ってきているものですが、「風力発電の羽根の下で」というDVDが発表されました。私がよく紹介する由良町の被害者の方、また、最初に私に訴えをされた下津町大窪にお住まいだった方などが風力発電の被害について淡々と語っています。
 ここに持ってきましたので、後ほど知事にも1枚お渡しをし、また担当の関係者の皆さんにもごらんいただきたいと思っています。
 これまで県内では、たくさんの風力発電が計画されているとお伺いしていました。昨年9月県議会で私が取り上げた直前に日高川町の2つの計画が撤退を表明しました。これまでの計画で中止になったもの、その後計画されたものなどを踏まえて、さまざまな計画の消長といいますか、変更があると思います。そして、現在の計画、その規模についてお答えいただきたいと思います。商工観光労働部長、お願いします。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 平成23年度末時点では、9カ所、90基、185.5メガワットの計画がありましたが、現在計画が進行しているものは、建設中を含め4カ所、56基、142メガワットとなっております。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 たくさんの計画が中止になっています。これまで風力発電と体調異常の因果関係はわからないと何回もお答えいただいているんですが、1000キロワットから1500キロワットの風力発電から被害の訴えが目立っていると思います。
 それが、このたびで言うと3000キロワットの風車の建設を、一方では被害の訴えと風車の関係はよくわからないと言いながら進めようとしても、住民の皆さんの理解は得られないだろうと思います。被害の訴えへの対応をしっかりとしていただきたいということだけ、ここでは申し上げておきます。
 次に、メガソーラーと住宅等へのソーラーの発電です。
 メガソーラーについては、計画中のものが現行の5倍ということです。住宅等への補助は、国では廃止しても県は継続するということでございます。メガソーラーはどういう計画があるのか。太陽光発電システム、住宅用ソーラーの普及促進の現状と見通しをお聞かせいただきたいと思います。商工観光労働部長、環境生活部長から、それぞれお答えいただきたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県で把握しておりますメガソーラーの計画は、和歌山市の20メガワット、有田市の30メガワット、上富田町の15.7メガワットなど、建設中のものも含め10カ所、75.8メガワットとなっております。
○副議長(花田健吉君) 環境生活部長塩崎 望君。
  〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 県内の住宅用太陽光発電設備の導入状況につきましては、国の調査資料や補助実績から、平成25年12月末までの累計で設置件数約1万4800件、発電能力約6万1500キロワットと推測され、ここ2~3年では毎年2000件から3000件の設置がございます。
 国の補助制度が今年度末までの申請で終了となる中、本県では平成26年度も引き続き住宅用太陽光発電設備導入補助の実施を提案しており、また、太陽光パネルの価格低下や再生可能エネルギー固定価格買取制度による支援、県民の環境意識の向上などにより、これからも太陽光発電の普及が図られていくものと考えております。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 大型のメガソーラーが進んでいるようで、和歌山市の20メガワットの計画というものは、私も事前に和歌山市の議員から資料をいただきました。これはコスモパーク加太の和歌山市管轄部分にメガソーラーを募集したものですが、1平米350円で22年間に27億5000万円、地域貢献金と合わせて33億円払うと業者は言っています。
 何回も取り上げる問題ですが、県の場合は、20億円かけて造成した土地を1平米100円でカゴメ菜園として貸している。余りにも落差が大きいということは、本日は改めて指摘するにとどめておきます。
 海洋エネルギー開発は、まだまだ時間がかかりますが、期待いたします。太陽光発電システムの普及促進については、先日、知事と懇談した際、国の施策に合わせて廃止を検討しておられるかのような話があって心配したんですが、継続されることは結構でございます。さらに予算をふやしていくことを要望して、次に行きたいと思います。
 次に、少し変わったテーマなんですが、「話せる英語」の大合唱についてという表題をつけました。
 話せる英語、英語早期教育の議論が花盛りであります。和歌山県でも、高校生にディベートをさせよという試みがありますし、文部科学省は小学校3年生から英語教育を実施しようとしています。
 日本の中高校生は、英語学習に膨大な時間を使ってきた。それなのに話すことができない。役に立たない。これは、これまでの英文解釈や文法中心の受験英語教育が行われてきたからである。英文解釈や文法中心でなく、会話を中心にした生きた英語を学ばせなくてはならないという考えが、その基礎にあると思います。それも一理あることでございます。決して否定はいたしません。
 実は、私もかつては英語を話せない英語教師でありまして、英語教師に見切りをつけて、通信教育で社会科の免許を取って社会科に転向したという前歴を持っているわけでございます。したがって「英語を話せない英語教育」という言葉にはコンプレックスに近いものを持っておりまして、この種の英語教育批判には逆らえないという気持ちを持ってまいりました。
 しかし、話せる英語の大合唱を前にして、少し冷静になって考えてみる必要があるのではないかと思うわけでございます。
 そこで、少し古いことになりますが、1970年代に、日本の英語教育はこれでいいのかをめぐって英語教育大論争というものが行われたことがありました。ここに文春文庫で「英語教育大論争」という冊子を持ってきておりますが、こうした論争があったことを教育長は御存じでしょうか。和歌山県で考えられている英語教育改革と絡んで、この論争についてもきょうは皆さんと一緒に考えてみたいと思うんですが、教育長、何かお考えのことがあれば、まずお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いわゆる英語教育大論争というのは、昭和50年前後、参議院議員であった平泉渉氏と上智大学教授であった渡部昇一氏との間で、いわゆる使える英語という実学を重視すべきであるという論点と、もう1つは知的訓練としての教養英語をしっかりとやっていくべきだという、そういう2つの論点から、当時、日本の英語教育のあり方について意見が交わされたものであり、海外でも反響を呼んだものとして知られております。私も、その点につきましては承知をいたしております。
 過去の論争は論争として、グローバル化が急速に進んでいる現在、世界の国際共通語としての英語の重要性はますます高まってきており、英語教育の改善は喫緊の課題であると捉えております。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 お答えいただきましたように、この論争は自由民主党参議院議員平泉渉氏と英語学者である渡部昇一氏との論争でした。渡部昇一氏というのは保守の論客でありまして、その歴史観については、私などとは全く相反する方なんですが、この方の本職は英語学者であります。この平泉、渡部のお2人が「諸君」という雑誌で英語教育大論争を繰り広げたわけであります。
 平泉参議院議員は、これまでの英語教育は成果は全く上がっていないとして、全ての中学生に教える英語は初歩的なものでいいとして、英語が必要な5%の生徒を養成するコースを設ける、全国的な外国語能力検定制度を設けるなど主張しました。つまり、英文解釈や英文法で多くの高校生が悪戦苦闘しても英語が使えないのは無駄だから、やめてしまおうということでした。全ての生徒にディベートをさせろ、小学校3年生から英語になれさせろというのとは、全く対極にあるように見える主張です。
 しかし、その根本にあるのは、話せない英語、使えない英語教育は意味がないということであり、この2つの主張には共通点があります。
 そこで、平泉氏の主張に渡部氏が反論している中で私が重要だと考えるのは、中学生になってから英語を学ぶことは、それを通じて母国語と格闘することであるとしている点です。英文和訳や和文英訳や英文法などは、ことごとく知力の極限まで使ってやる格闘技なのである、そして、ふと気がついてみると、外国語と格闘していると思ったら日本語と格闘していたことに気づくのだと渡部氏は述べています。つまり、英語学習を通じて日本語の能力が鍛えられるというわけです。私は、今日でも英語教育のあり方を考える上で、この観点も大変大事だと思います。教育長はどうお考えでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 英語教育のあり方につきましては、さまざまな考えがあることは十分承知いたしております。
 しかし、今日のグローバル化社会に対応する英語教育では、自分の意見を伝える、話せる、相手の言うことがわかる、使えるなど、国際化する社会で実際に英語が使える能力を育成することが求められております。
 こうした考え方から、本県では、現在、国際人育成プロジェクトを積極的に推進しているところでございます。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私も教育長が言われることを否定するつもりはありません。
 さらに、もう少しお聞きしますが、渡部氏は、子供が外国に連れていかれたとき、幼児はいともたやすく現地語を覚える、次の国に移ると、覚えた言葉をすっぱり忘れて新しい言葉を覚えるということを言っています。外国で生活した子供が日本に帰ってきて、しばらく外国語が話せるが、外国語を使わない環境に置かれるとすぐ忘れるということが言われる。
 前回の県議会で討論された方が、知事と一緒に外国に出張したが、知事は英会話が堪能で、自分ももっと英語の勉強をしておけばよかったとお話をされました。
 私は、知事の英語力は、学生時代に勉強されたことももちろんあるでしょうが、その後、外国の大使という英語を使う環境を経験されたことも大きいのではないかと思いながら、その討論をお聞きいたしました。
 それはさておき、今日の英語学者の中で、早期英語教育に疑問を持つ方も多いのです。小学校段階では、しっかり身につけなくてはならないこともたくさんある。英語の早期教育に時間を割く必要があるのかどうか疑問です。教育長はどうお考えでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 近年、急速に国際化が進んでいく中で、世界の人々とコミュニケーションできる生きた英語力を身につけるためには、小・中・高等学校と継続して、授業やさまざまな行事の中で広く英語を使う機会を取り入れることが必要だと考えております。
 特に、英語への抵抗感が少ない小学校段階では、本県が独自に策定した「英語版ふるさと教材」などをしっかりと活用しながら、英語の歌やゲームなども取り入れ、英語を身近なものとして親しませるとともに、外国の人と対話したり、外国の歴史や文化を受け入れていく態度を育成することが重要だと考えてございます。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 さらにお伺いしますが、和歌山県では、全ての高校生が英語でディベートできるようにするということをぶち上げています。
 相手をやっつけるディベートというものが教育の場にいいのかどうかという意見もありますが、日本語でも討論できない高校生が多い中で何がディベートかという意見もあります。
 今、どういう成果が上がっているのか、お伺いしたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 高等学校の英語の授業において、全国的に見ても本県では早い時期からディベートやディスカッションを取り入れたり、今年度、県内の12校、18チームが参加した高校生英語ディベート大会を実施したりしてございます。
 このような機会を通して、英語を使って自分の意見を伝えたり、相手の意見を聞いたりする能力が着実に育成されてきております。
 また、こうした取り組みは、日本語による討論や論理的思考力を育む上でも大きな効果を発揮していくものと受けとめております。
○副議長(花田健吉君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 きょうの英語教育についての議論は、余り質問と討論、かみ合ったというふうに思わないんですが、もっと厳しくディベートをすべきだったんかわかりませんけども。しかし、きょうの質問は、私も、使える英語──ディベートが悪いというのではありませんで、使える英語の大合唱の中で、やはり批判的な意見もあるという一石を投じておいたほうがいいだろうと。そういうとこで歴史観が全く違う渡部昇一先生にも登場いただいて、きょうは英語教育をさまざまな面から考えてみたいということを申し上げたのであります。
 英語教育には、さまざまな面があります。母国語の格闘を紹介したのは、その大事な一面です。ただ、かつての私のように、英語を話せない英語の教師がいいとは決して思いませんので、話すことだけでなく、英語の先生がよい英語にしっかりと触れる機会を保障することも、また大切かなと思います。そのためには、教員にゆとりと研修の機会が保障されなくてはならないというのは前回の議会でも申し上げたところです。
 以上で、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時44分散会

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