平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時1分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第52号まで、議案第54号、議案第56号から議案第80号まで、議案第82号から議案第87号まで及び議案第89号から議案第100号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 23番森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 おはようございます。森礼子です。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 去る2月11日に、第10回国内観光活性化フォーラムin和歌山が、全国から1万人を超えるお客様をお迎えし、盛況に開催されました。知事の挨拶に、「最高のおもてなしをしなければ和歌山は廃る。全てのノウハウを交換し合い、改善すべきを改善し、楽しいひとときを過ごしていただけるおもてなしをする」と話され、とても力強く、うれしくなりました。
 和歌山県では、平成27年秋の紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会の成功に向け、さまざまな努力がなされています。国体・大会までには、ことしが紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録10周年を迎えるとともに、秋にはJR各社とタイアップしたデスティネーションキャンペーンが展開されます。また、来年春には高野山開創1200年記念大法会がとり行われるなど、全国的にも注目される行事が集中しています。この機会にたくさんのお客様が和歌山に来てくださることと期待しております。
 お客様でにぎわう和歌山を想像してみてください。一般観光客や修学旅行生、外国人、高齢者や障害者の方々など、全てのお客様に最高のおもてなしを提供すべきであると考えます。しかし、今の和歌山県の現状はどうでしょうか。高齢者や障害者など、いわゆる旅行弱者の方々への対応は十分なのでしょうか。
 日本では高齢化が急速に進み、現在、4人に1人が65歳以上となっています。特に団塊の世代は、経済的に豊かで行動的な高齢者になると言われています。また、昨今は、病気や事故で障害者になられた方も、車椅子や自動車などを使って積極的に外出する機会が多くなっています。そういう高齢者や障害者が旅行をするとき、入浴介護、食事介護、外出介護のヘルパーや看護師の派遣、リフトつきタクシーの手配、また特別な食事の用意、車椅子や電動ベッドの手配などが必要になります。もちろん、旅行弱者に配慮した施設整備だけでなく、行動支援や細やかな配慮まで求められることは言うまでもありません。
 来年10月には、第15回全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」が開催されます。競技会場となるのは整備された競技場ですが、宿泊や和歌山県までの移動には民間の施設や公共交通機関が使用されます。そのとき全国から和歌山県に来られた障害者の方はどのような印象を持って来られるのか、今から気になるところであります。
 高齢者や障害者を対象とした旅行サービスを、以前は「バリアフリー旅行」と呼んでいました。今は違います。「ユニバーサルツーリズム」という言葉を御存じでしょうか。ユニバーサルツーリズムとは、生後すぐの赤ちゃんから御高齢の方々まで、全ての人が平等に変わりなく旅行を楽しむことを言います。既に京都市や神戸市などでは、こうした観光ニーズに対応するためのホームページを立ち上げたり、民間と協力体制を整えるなど、積極的に取り組んでいます。高齢者や障害者の旅行がふえてくる中で、数ある旅行先の中から和歌山県を選んでいただくためにも、また、和歌山県にお越しになった後、心から和歌山県に観光に来てよかったと感じていただくためにも、ユニバーサルツーリズムの普及促進を図っていくことが重要ではないでしょうか。
 和歌山県観光立県推進条例の基本理念には、「観光客一人一人が、安全に、安心して、快適に観光が楽しめるようおもてなしをすること」と規定しています。観光立県を宣言している本県にとって、誰もが安心して快適に旅行を楽しむことができる環境を整備し、おもてなし度を上げていくことが真に求められている施策ではないでしょうか。
 そこで、質問します。
 今後、ユニバーサルツーリズムを本県観光振興に生かしていくための地域の受け入れの環境の現状はどうなっていますか。ユニバーサルツーリズムに関しての知事のお考えとあわせてお伺いいたします。
 また、高齢者や障害者を和歌山へお迎えするとき、適した施設や観光コースなどの情報提供や支援できる旅行業者、ボランティアなどの紹介、一元的な相談窓口を整えることが重要であると考えますが、その整備について、商工観光労働部長の御所見をお伺いします。
○議長(山田正彦君) ただいまの森礼子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 障害者や高齢者の方々が安全・安心・快適に観光地で過ごしていただくためには、受け入れる地域の配慮が特に重要と考えております。また、いろいろな機能が必要なので、こういう機能を担う人たちの幅広い連携が必要だと考えております。
 県では、実は平成24年10月に、これはかなり力を入れまして、県身体障害者連盟との共催で全国障害者熊野古道交流会を、地元自治体、社会福祉協議会、観光協会、ボランティア等の協力を得て、白浜町、田辺市で開催いたしました。そこで、本宮で熊野古道の散策などをやっていただいたんですけれども、宿泊、バス移動、散策に際しまして、車椅子の補助とか手話など、きめ細やかな対応の必要性を再認識したところでございます。
 また、観光庁の旅行事業者に対する調査がございまして、これによりますと、ユニバーサルツーリズムの取り組みに消極的な方も結構いるんですね。そういう方の理由としては、「専門ノウハウがないんです」とか、あるいは「協力者が確保できない」とか、「事故などリスクが起こったらどうしようか」とか、そういう回答が多くて、必要性を感じててもなかなか着手しにくい状況にあるというふうに思われます。これらの課題を解決するためには、旅行事業者自身の対応、努力だけじゃなくて、地域の協力が不可欠であるということだと思います。
 具体的には、ホテル、旅館等の宿泊サービス、観光施設、飲食店の観光サービス、列車、バス、タクシーの移送サービス、介護機関等による福祉サービスといったサービスを連携させて、観光地の自治体、社会福祉協議会、観光協会との協力のもと、展開を図る必要があるわけであります。
 今後、ユニバーサルツーリズムに関して、観光関係者、福祉関係者、交通関係者等との調整を図りながら、これはぜひやっていきたいと思いますので、効果的な受け入れが可能となるように関係市町村と協議を重ねていきたいと思います。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 議員御指摘のとおり、目的地の観光施設や宿泊施設のバリアフリーの状況、車椅子や福祉機器の貸し出し、福祉タクシーや介護支援サービスの有無などを事前に確認するために総合的に相談できる地域の窓口が近年求められていることは、認識しております。
 全国的には、三重県の伊勢志摩バリアフリーツアーセンターなど、地域の福祉や観光に携わるNPO法人が相談窓口として活動していますが、本県では、一部の旅行業者が取り組んでいるものの、今のところ総合的な窓口はないと思われますが、今後、さらにニーズが高まることが予想されるため、その整備に向け、主要観光地の関係機関を通じ、総合窓口として地域サービス情報を提供し、それぞれのサービスをコーディネートできる機関、事業者があるかどうか調査を行うとともに、関係機関との協議を図ってまいります。
○議長(山田正彦君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 続いて、JR和歌山駅東口エリアの整備と充実について質問いたします。
 観光シーズンを迎えると、和歌山駅東口付近には大型バスがあふれ返っています。交通量の多い通勤・通学の時間帯には、送迎車やタクシーでごった返す中、バスは車体が大きいので、ほかの交通の死角となり、子供がバスの間から飛び出すなど、多くの利用者がヒヤリハットの経験をしています。市民から、「何とかできないの」、「和歌山市にはなぜバスターミナルがないのか」と言われています。どうしてバスターミナルの整備が進まないのか。理由の1つは、バスの通行量が少ないからではないでしょうか。そして、その遠因として、高速道路などの道路整備のおくれがあると思います。
 幸い、和歌山県では、紀伊半島を一周する近畿自動車道紀勢線の整備、海南から紀伊田辺間の渋滞緩和等のための4車線化、さらには京阪神外環状と言うべき京奈和自動車道の早期整備について、知事を先頭に事業を促進しています。特に南紀田辺からすさみ間、京奈和自動車道の県内全線、第二阪和については、平成27年紀の国わかやま国体開催までの完成を目指しています。
 また、国では国土強靱化基本法が成立し、和歌山県の発展にとって不可欠であり、命の道と言うべき高速道路のミッシングリンクも解消していくと思います。同時に、高速道路の延伸は、観光バスの交通量を増加させ、高速バス路線も充実させるのではないでしょうか。そうなれば、和歌山市は高速3ルートの結節点となり、JR、南海、和歌山電鐵の結節点である和歌山駅東口は大変重要なポイントになります。
 このような高速道路という社会インフラの整備や今後の個人旅行のさらなる増加を見据えると、和歌山駅東口へのバスターミナル設置は重要度の高い施設整備であると私は思います。
 では、最初に、関西周遊バス乗り放題乗車券について質問します。
 昨年、訪日外国人が1000万人の大台を初めて突破したと報道されています。韓国、台湾、香港に加えて、東南アジアから訪日外国人がふえているそうです。関西でも、LCCの中でひとり勝ちと言われているピーチ・アビエーションの成長を受けて、関空にも活気が出てきているのではないでしょうか。ピーチ就航のソウル、釜山、香港、台北を初め、アジアを中心に多くの外国人が関空におり立っています。
 また、国内線でも、ピーチ就航の那覇、石垣、鹿児島、長崎、福岡、仙台、札幌などを初め、これまで飛行機を使わなかった人々がLCCの安い運賃に誘導されて、飛行機の利用が盛んになっているようです。
 さらには、東南アジアの所得水準向上によって、今後、海外・国内ともに個人観光客がどんどん増加するものと見込まれています。
 ところで、個人観光客の関空から先の交通手段は何でしょうか。それはレンタカーか公共交通機関ではないでしょうか。そこで大事になるのは、先ほどの高速バスネットワークではないかと思います。
 九州では、かつて高速道路の延伸等に伴い、バス事業者が高速バスを順次運行を開始し、今日では網目のようなネットワークが形成され、九州各地の主要都市を結んでいます。現在、九州各地のバス事業者が連携し、SUNQパスという全九州乗り放題バスチケットを販売しているそうです。例えば全九州3日間チケットは、九州全7県と山口県の下関市を回れて3日間で1万円です。
 関空に着いた個人観光客に関西を周遊できる乗り放題バスチケットの選択肢があったら、和歌山への観光客の呼び込みにも大きく貢献するものかもしれません。関西の中でも、都市部のほうが私鉄等のアクセスがいいので、このバスチケットによる効果は、和歌山県のような魅力的な観光地を抱えつつ公共交通アクセスの悪い地域のほうが大きいのではないでしょうか。
 仮に関西周遊が難しければ、奈良県、三重県と協力して、紀伊半島周遊バスチケットでもいいと思います。京奈和自動車道の全線開通を見据えると、高野山は北東の玄関口です。関空から和歌山市に入った後、和歌山市と高野山口を結ぶ路線が奈良市や伊勢志摩にも延びていきます。JRで和歌山市や南海で高野山に入った後、アクセスが向上すれば、バスと鉄道という公共交通機関の相乗効果で鉄道利用客も増加につながると思います。
 このように、関西周遊バス乗り放題乗車券は、外国人個人観光客が交通費を気にすることなく旅ができるようにするのみでなく、親子で小旅行、友達と温泉めぐり、気ままな一人旅など、国内の個人観光客のいろいろなニーズに対応できるものではないかと思います。
 関西周遊バス乗り放題乗車券の販売はバス事業者の経営判断によるところが大きいですが、今後増加するであろう海外からの個人観光客の交通手段の確保は、和歌山県の観光振興における大きな課題ではないでしょうか。
 関西周遊バス乗り放題乗車券は1つのアイデアですが、和歌山県における個人観光客の交通手段の確保策について、商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 個人観光客の交通手段の確保策についてでございますが、まず、複数の交通事業者間をまたぐ乗り放題乗車券や企画乗車券は、個人観光客の利便性を高め、旅行動機を喚起するものであり、観光振興における具体的な手段であると認識しております。
 現在、本県にかかわる乗車券としては、スルッとKANSAI協議会の3dayチケットやJR西日本の関西1デイパス、JR東海の南紀・熊野古道フリーきっぷ、また海外からの観光客に対しては、JRグループのジャパンレールパスなどがあり、県としても個人観光客向けに情報発信を行っているところでございます。
 さらに、ことし秋、世界遺産登録10周年を契機として、県内全域を対象に和歌山デスティネーションキャンペーンを実施いたしますが、JR西日本の取り組みの1つとして、鉄道とバスを絡めた広域の乗車券の検討・協議を進めていただいております。県としましても、当該乗車券が継続的な販売につながるよう利用促進を図るとともに、JR西日本を初め関係事業者に対し要望してまいります。
 次に、インバウンド誘致への対策ですが、県では、外国人個人観光客の県内周遊を促進させるため、鉄道事業者、県内バス事業者等と協議会を設置しており、平成24年3月から2年間の期限で県内主要観光地が周遊できる関西和歌山パスを開発、販売しているところですが、今後も公共交通機関を利用する個人観光客数の増加が見込まれることから、関西和歌山パスに続くパスの開発を研究しつつ、当面は各社の既存のパスやそれらを組み合わせた観光ルートの情報発信を行いたいと考えております。
 平成26年度の取り組みとしましては、個人旅行化が進む香港、台湾、韓国を対象として、JR西日本が外国人観光客向けに販売している関西ワイドエリアパスとタイアップし、バスと組み合わせた企画乗車券を販売する予定としております。
 以上です。
○議長(山田正彦君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、和歌山駅東口エリアの整備に関して、和歌山インターとJR和歌山駅間のアクセス向上について質問します。
 慢性化している宮街道の渋滞の解消は、平成27年紀の国わかやま国体開催に向け、対策が急がれています。また、JR和歌山駅東口のバスターミナル整備に関しても、和歌山インターとJR和歌山駅のアクセス向上は極めて重要です。
 慢性化した交通渋滞は、住民の日常生活や企業の産業生活に大きな支障となります。また、観光客に魅力のある地域づくりは、「住んでよし、訪れてよし」と言われています。住民にとって住みやすい地域は、観光客にも魅力的であるということだと思います。
 都市計画道路市駅小倉線のJR和歌山駅と和歌山インター間は、進捗がおくれているので大変心配しています。当区間は和歌山市の担当区間であると聞いていますが、県と市でさらに連携を強化して事業の進捗を図ることはできないでしょうか。市駅小倉線について、事業進捗がおくれている要因及び今後の整備、見込みについて、県土整備部長の答弁をお願いします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 都市計画道路市駅小倉線につきましては、和歌山市内を東西に結び、JR和歌山駅と和歌山インターチェンジとを連結する重要な路線です。この路線は、国道24号から東側、和歌山市井ノ口地内までの約2.5キロメートルにつきまして、平成10年度に県が事業着手し、平成25年3月に4車線道路として完成・供用したところです。
 残る国道24号から西側は市が事業を行っておりますが、用地交渉の難航により、思うように事業進捗が図れていませんでした。しかしながら、駅近くの出水工区につきましては、用地難航箇所もおおむね解決し、大門川を渡る橋梁の工事や道路改良工事を進めており、国体までに既供用区間から市道までの約600メートルを供用する予定です。また、次の鳴神工区で特に懸案であった大規模工場との契約締結に至っております。
 和歌山市からは、市施工区間の全線を平成30年代前半には供用できるように進めていると聞いておりますが、県としましても、関係機関との協議や調整に積極的に協力し、市と連携して事業進捗を図ってまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、JR和歌山駅東口におけるバスターミナル整備については、バス事業者や和歌山市の理解を得る必要もあると思いますが、東口の整備によって、地域の住民だけでなく、車椅子を使用される高齢者、障害者のバスの乗降を含め、東口を利用される方々の安心と安全の確保となります。
 このように、JR和歌山駅東口の整備は、当県にとって未来に向かっての大きな大切な挑戦ではないかと思います。
 こうした点を踏まえて、東口エリア整備と充実について、知事の答弁をお願いします。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) JR和歌山駅は、大阪方面、奈良方面から県南部へつながる県内外からの人流、物流の中心であるとともに、和歌山県経済の中心の1つとして、また県 都和歌山市の玄関口として重要な拠点であることから、和歌山市駅周辺や和歌山城周辺とあわせて活性化を図っていくことが重要であると考えております。
 また、近畿自動車道紀勢線の延伸や4車線化、京奈和自動車道の全線開通により、観光客の増加、物流の活性化など、和歌山市を含めた県全体における交通環境は大きく変わっていくものと考えられます。
 このような中にあって、JR和歌山駅に関しては、先般、市で取りまとめられた和歌山市まちなか再生計画においても交通結節点の機能強化を図ることになっており、今後、県と市が連携を密にして、バス事業者、タクシー事業者など関係事業者や周辺住民の意見も聞きながら、今後のまちづくりや施設整備について検討してまいりたいと思います。
○議長(山田正彦君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、母子感染の予防について質問します。
 初めに風疹感染対策について、昨年、仁坂知事がいち早く補正で取り組んだ結果、子供を出産する世代からは安心を得られたと大きな喜びの声が上がると同時に、ワクチン接種が加速いたしました。知事の素早い英断に感謝をいたします。
 そこで、母子感染の予防について質問します。
 以前、あるお母さんから、お嬢さんが生まれつき難聴であることを聞きました。どうして難聴になったかといえば、お子さんがまだおなかの中にいるとき、サイトメガロウイルスに感染したためであるとのことでした。そして、もっと早く子供の感染に気づいていれば重症にならずに済んだのかもしれないと御自身を責めておられました。子供を授かる幸せは、実は大変な苦難とともにあるということです。
 そこで、サイトメガロウイルスについて私なりに調べてみると、いろいろなことがわかってきました。サイトメガロウイルスは、乳幼児期にほとんどの人が感染しており、約90%の人が抗体を持っていること、しかし、近年は若い女性の抗体保有率が70%程度まで低下しており、妊娠中に初めてサイトメガロウイルスに感染した場合は20~40%の確率で胎児に感染し、新生児が難聴や肝機能異常、知的障害などの重篤な症状になりやすいこと、また、生後も尿や唾液を介して感染するとのことです。現在、我が国では、推計で約1000人の子供がこのウイルスによって障害を起こしていると言われています。
 残念ながらこのウイルスを予防するワクチンはないので、対策としては、まず妊婦に抗体があるかどうかを検査し、抗体のない妊婦には、妊娠中にこのウイルスに感染しないよう指導することが有効です。例えば上に小さなお子さんがいる場合など、おむつ交換のときは手洗いを小まめにする、食事の際に子供が使ったスプーンを口に入れないことなど、細かな注意が必要です。
 新生児がこのウイルスに感染しているかどうかを診断する方法としては、尿から診断するのが一般的で、生後2~3週間以内におむつにろ紙を入れて検査をすることで簡単に感染の有無がわかります。
 啓発について、大阪府吹田市では、妊婦やその夫婦を対象に、両親学級で医師がサイトメガロウイルスなど母子感染症の予防講習を行っているそうです。
 また、先日、新聞で読みました。妊婦がヒトT細胞白血病ウイルス1型を持っていると母乳を飲んだ赤ちゃんが感染する可能性があり、妊婦が検査で感染しているとわかれば、直接母乳保育を避け、粉ミルクや凍結母乳を赤ちゃんにあげるという対策をとることで母子感染の割合を減少させることができると書かれていました。
 母子感染を防ぐために大切なことは、妊婦さんに予防の知識について啓発を行うことです。
 そこで、福祉保健部長に質問します。
 安心して子供を産み育てる環境づくりのため、妊婦への感染を防ぐため、普及啓発には一層力を入れていく必要があると考えますが、今後どのような取り組みをされるのか、お伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 母子感染を予防するため、県では、妊婦健康診査の実施主体である市町村や関係機関と協力して、ワクチン接種など、感染症予防策に取り組んでまいりました。
 主な取り組みといたしましては、妊婦健康診査は18の検査項目があり、ヒトT細胞白血病ウイルス1型については平成22年度から検査項目となっております。また、各保健所では、B型肝炎ウイルス、HIV等の検査も行い、早期発見に努めているところです。
 議員御指摘のとおり、母子感染の予防には正しい知識を身につける必要があり、サイトメガロウイルスなどの感染予防については、リーフレットを作成し、「母子健康手帳」配布時に直接妊婦さんに注意喚起を行ってまいります。また、母子感染症の最新の情報やその予防法について、今後とも市町村や関係機関と協力しながら、なお一層の取り組みを進めてまいります。
○議長(山田正彦君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 ありがとうございます。
 サイトメガロウイルスに関しては、ウイルスの予防やワクチンがなく、治療方法も難しいと言われていますが、生まれてくる赤ちゃんにとっては、どんな病気でも早くわかったほうがいいと思いますし、早く治療ができ、重篤になることを回避できるので、ぜひろ紙の検査について取り組んでいただけるように要望いたします。
 続いて、最後に食育について質問いたします。
 昨年の2月議会や9月議会において、食育に関しての質問をさせていただき、早ね・早おき・朝ごはんの実践、旬をテーマにした食育、学校給食における地産地消の推進が重要であると指摘させていただきました。
 子供たちが日々口にする食べ物は、子供たちの心や体を育んでくれるとても大切なものなので、食育をもっと推進しなければという私の考えについては、多くの保護者の方々から共感の声をいただきました。そして、こうした食育や地産地消の推進を求める声は、和歌山県だけでなく、全国に広がっていると感じています。
 こうした声を国も真摯に受けとめていただいたのでしょうか、うれしい話題が耳に届きました。現在、国会で審議されている平成26年度予算案には、学校給食における地産地消を推進するための学校給食地場食材利用拡大モデル事業や、学校給食における食育の底上げを図るためのスーパー食育スクール事業が計上されているということです。
 学校給食地場食材利用拡大モデル事業では、地元食材を生かしたメニュー開発や地元食材の生産・供給体制の整備などに係る費用を、スーパー食育スクール事業では、全国で24カ所程度を指定し、食事の大切さについての理解を向上させるための授業の充実や学校給食における地産地消の推進などに係る費用を1カ所当たり800万円程度を上限に補助がされるそうです。
 せっかく食育や学校給食における地産地消を推進するための国の事業が新設されようとしているのですから、情報収集のためのアンテナを高くして積極的に国に働きかけていただけるよう、そして和歌山県に十分な箇所づけがなされるように取り組んでいただきたいと思います。
 食育や学校給食における地産地消の推進については、保護者や学校関係者、生産者、加工業者など、多くの方々の御理解や協力が大切です。その点では、食育や学校給食における地産地消の推進は一朝一夕になされるものではなく、さまざまな課題を1つ1つ着実に解決していくことによって達成できるものだと思っています。
 このように乗り越えるべきハードルは決して低くないかもしれませんが、食育の底上げは、和歌山の子供たちが心身ともに健やかに成長するための大きな支えとなるものです。食育の底上げがなされれば、多くの子供たちは、食事の重要性を理解し、生活習慣を改善でき、食品を選択する能力を習得し、食に対する感謝の心を醸成することができるようになると思います。
 それに、和歌山は旬の果樹、野菜、魚介に恵まれています。これらは本当においしくて、新鮮で、体にいいものです。このように和歌山では子供たちへの食育の教材に事欠きません。だからこそ、さまざまな大切な課題にきっちりと取り組み推進できれば、食育王国和歌山と言われる日も遠くないのではないかと思います。
 そこで、知事に質問をいたします。
 先ほど要望させていただいた2つの事業は、国においても農林水産省と文部科学省が連携を図る省庁間連携事業とされているそうです。国から事業採択され、和歌山県で事業を進めることになった場合にも、農林水産部と教育委員会がそれぞれの所管分野のみを視野に入れて仕事を進めているようでは十分な事業効果は得られないと思います。農林水産部と教育委員会が連携を密にしていただくことはもとより、食育王国和歌山県に向けて、仁坂知事の手腕のもと、県庁全体でしっかりとスクラムを組んで、食育の底上げや学校給食における地産地消の推進に取り組んでいただく必要があると思います。関係部局が連携した食育の取り組みについて、知事のお考えを御答弁お願いします。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 食育は、生涯にわたって健全な心身を養い、豊かな人間性を育むために重要なものでございまして、それを推進するためには幅広い分野での取り組みが必要であるということは、議員御指摘のとおりであると思います。
 こうしたことで、本県では、食育を総合的かつ計画的に推進するため、副知事をキャップに庁内の15課室で構成する和歌山県食育推進本部を、これは平成18年5月から設置しておりまして、関係部局が連携した取り組みを行うということになっております。
 具体的には、毎年10月を和歌山県食育推進月間と定めておりまして、健康づくりや朝御飯の大切さ、食の安全・安心など食育に関するラジオ啓発をシリーズで行うとともに、福祉保健部と農林水産部とで、わかやま食と健康フェアを開催しているところでございます。
 この中で、最近は特に給食に大いに注目をしておりまして、どうしても給食においては大量に集荷、取り扱う業者に頼る傾向があります。そういたしますと──これは採算面でどうしてもそういうことになってしまうんですが──海外産のものなどががばっと入ってしまうというようなことが考えられるわけでございます。そこで、地産地消という要素も入れまして、昨年度から、教育委員会と農林水産部が協働いたしまして、県内全ての小学校や特別支援学校へ、給食や家庭料理等の教材として、地場産のミカン、柿、魚などの県産の主な農水産物を提供しているところでございます。
 今後も関係部局の連携を密にし、家庭や教育現場、地域における食育を推進し、引き続き県民運動として展開してまいる所存でございます。
○議長(山田正彦君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、森礼子さんの質問が終了いたしました。

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