平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(冨安民浩議員の質疑及び一般質問)


平成26年2月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(冨安民浩議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第2、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第52号まで、議案第54号、議案第56号から議案第80号まで、議案第82号から議案第87号まで及び議案第89号から議案第100号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 22番冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問を始めたいと思いますが、その前に、先ほど午前中の本会議で168億円余の25年度補正予算案が成立を見ました。この予算計上の目的は、我が国の社会保障制度を持続するために、その財源確保に向けて、この4月から第1弾として消費税3%が上乗せされるわけでありますが、その消費税上乗せによる景気の腰折れを防ぐために、国のほうで5兆5000億が経済対策として措置されたことに伴い、和歌山県で計上した予算であります。その目的をしっかり認識していただきまして、予算執行に当たる職員の皆様方には速やかなる執行をお願い申し上げまして、本議会に議案対象となっております平成26年度和歌山県当初予算案について、何点か質問を申し上げたいと思います。
 第2次安倍政権が誕生して1年余が経過いたしました。強い日本を取り戻すことを使命とした安倍総理のリーダーシップのもと、さまざまな思い切った諸施策を果敢に実行することにより、日本社会の空気は一変しつつあります。特に、経済の再生を最優先に取り組むため、3本の矢から成る経済政策を打ち出し、その結果、日本経済は1年前の危機的な状況を脱し、順調に回復しております。実質成長率は4四半期連続のプラスとなり──ちなみに、昨年の第1・四半期は1.2%、第2、1%、第3、0.3、第4、0.3と、4四半期連続のプラスとなっております──有効求人倍率は6年ぶりに1倍を回復、さらに業況判断指数が中小企業非製造業で21年ぶりにプラスに転換しました。
 ちなみに、民主党政権時代を見てみますと、毎年、GDPで10兆ばかり落ち込んだ、まさに数字に例えるならば大体2%、3年間コンスタントに落ちた。そうしたことを考えるとき、安倍政権の取り組みというのは、これ、まさに評価せざるを得ない。大いに評価されるところだと思います。
 日本を苦しめ続けたデフレからようやく脱却する道筋が見え始めつつあります。完全にデフレ脱却を図るためには、第3の矢である成長戦略をしっかりと実行することが大事であり、とりわけ、その柱となる産業競争力強化のため思い切った規制改革を行うことや、女性や高齢者を含め、あらゆる人が社会で活躍し、その可能性を発揮できるチャンスを創出することなどにより経済の好循環を生み出し、成長を持続発展させることが大切であります。
 リーマンショック以降、数年間に及ぶ日本経済の低迷は地方の活力を失わせる結果を招きましたが、政権交代を契機として、景気回復に対して県民の期待が高まってきていることは、私自身も強く実感しております。そして、その期待に応えるためにも、政府の施策とあわせて、県が地域経済の活性化に取り組んでいく必要があります。
 そして、いよいよ紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会が来年開催されます。昨年開催され、熱戦が繰り広げられた東京国体では、和歌山県は男女総合18位となり、当初の目標を達成し、これからの活躍が期待できるものとなりました。開催に当たっては、大会の運営に万全を期すことはもちろんのこと、県外から多くの人がお越しいただけるまたとない機会でありますので、和歌山の魅力を十分に伝えることができるよう、県民総参加で、まさにおもてなしの心で取り組んでいかなければなりません。その結果、大会が成功裏に終われば、県民一人一人にとって大きな自信につながるものと考えます。
 さらに、巨大地震への備えや少子高齢化、過疎化の問題、産業の振興等々、県が抱える課題は多岐にわたっております。特に防災対策については、これまでも地震や津波から県民の命を守るため、全国トップレベルの大規模建築物の耐震化支援や避難路の建設促進など、充実した対策が講じられておりますが、引き続き、県内外の自然災害を教訓とし、強靱な県土づくりを進めていただきたいと考えております。
 さて、知事が就任以来、厳しい財政状況への対応が求められる中、新政策プロセスに代表される新たな県政の運営手法を矢継ぎ早に導入し、さまざまな改革や施策を実行されてまいりました。加えて、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道などの高速道路ネットワークの整備や企業立地の推進など、県の発展に大きく貢献する成果も着実にあらわれてきております。そして、平成26年度当初予算は、知事就任2期目の集大成として取りまとめられたものと思いますが、知事は、「元気な和歌山」の実現に向けてどのような政策に重点的に取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
 次に、県の財政状況についてお尋ねをいたします。
 アベノミクスにより経済活動が好循環に向かい、また、消費税の改定等もあって平成26年度当初予算においては県税の増収が見込まれるものの、社会保障関係経費は増加し続ける中、地方交付税は税収増を反映して縮減される見通しとなっております。幾らかは好転したと言えるかもしれませんが、県財政の状況はいまだ厳しいままであることには違いないと考えますとき、政策を推し進めるに際して財政の健全性が担保されているか考えなければなりません。
 知事は、就任当時、財政収支見通しを推計、このままでは平成21年度には財調、県債基金が枯渇し、それ以降も慢性的な財源不足のまま推移する見通しであることを明らかにされました。そして、持続可能な県政を目指して新行財政改革推進プランを作成し、財政構造を転換すべく歳出削減を推し進められてこられました。また、国体・大会の開催や水害の発生、それに地震・津波対策等、新たに生じた課題に対処するため、平成24年3月には新行革プランを改定した新行財政改革推進プランを策定して取り組むことにより着実に改善してきていると思われます。
 中でも、人件費総額の縮減を図るために、この間、全職員の8%弱に当たる1200人以上もの職員数を見直し、特に行政部門では10%を上回る職員数の削減を行うことで、これまで総額460億円程度の経費を削減するなど、増加する社会保障関係経費やさまざまな課題に対応するために取りまとめられた新政策を推進する財源は、まさに人員削減によって捻出できたと言っても過言ではございません。
 知事が取り組まれた身を切る改革により職員一人一人の負担はふえたとも考えられますが、職員みずからが知恵を絞り、業務に工夫を凝らすなど、効率化に努めたことにより、政策は停滞することなく、むしろ新たな行政需要に対しても的確に対応していただいていると感じております。職員の皆様方の頑張りに感謝を申し上げたいと思います。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 平成26年度は、新行革プランの中間年度を迎えることになるわけですが、新年度予算において財政の健全性は担保されているのかどうか、お尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、平成26年度当初予算についてでございます。
 毎年、議員御指摘のように、新政策で、全庁を挙げて、今何をしなきゃいけないか、来年度はどうしようかというようなことを議論しておりまして、それがようやくでき上がって、26年度当初予算として議会にお出ししてるわけでございますが、毎年、よういいのができたなあと思いながら、議会の厳しい御審査を待ちたいと、こういうふうに思ってるわけでございます。
 26年度当初予算では、安心して暮らせる社会を構築するための「安全と安心」の政策と、それから将来の成長に導くための「未来への投資」の政策の2つの柱に重点を置いて予算編成を行ったところでございます。
 まず、「安全と安心」の政策では、地震や津波による犠牲者ゼロを目指すために、大規模建築物や住宅の耐震化促進のための予算や制度を充実するとともに、津波避難困難地域解消に向け、避難場所の見直しや避難タワー、避難ビルの整備など、ソフト・ハード両面による総合的な対策を推進してまいります。
 また、災害に強い県土づくりを進めていくため、命の道である高速道路ネットワークの充実や、トンネルや橋梁の老朽化対策、とりわけ緊急輸送道路についてちゃんと確保できるようにする対策など、災害に備えたインフラの強靱化に引き続き注力をする所存でございます。
 次に、医療では、従前から注力いたしておりますがん対策について、肺がん検診の充実等により、予防から早期発見、早期治療まで総合的に取り組んでまいります。
 次に、福祉では、県民が健康状態や所得に応じて自分らしく過ごせるように、老後の暮らしに安心を届けるため、特に来年度の政策では高齢者対策の充実に取り組みたいと思いました。具体的には、地域における見守り活動の充実──これは大分進んでおりますけれども──2番目に、健康推進員制度の創設による健康長寿の実現を促進していくこと、さらに3番目に、介護施設の整備を計画的に進めることなどによりまして安心を確保すること、それから第4番目に、民間事業者が運営する有料老人ホームの誘致などを促進する、すなわち、いわゆる産業化に向けても取り組んでいく所存でございます。
 このほか、少子化対策では、従前からのこうのとりサポートや紀州3人っこ施策など、子育て世代への支援に加え、若者の婚活を応援するため、わかやま結婚サポーターを県で養成してまいります。
 次に、もう1つの柱でございます「未来への投資」の政策では、来年開催する紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会に向けて、開催機運醸成のための県民運動や花いっぱい運動などを県民総参加で進めていくとともに、競技力を高め、男女総合優勝を目指したいと思っております。また、多くの人がスポーツに親しめるように、2021年に関西で開催するワールドマスターズゲームズなど、マスターズスポーツにも力を入れていきたいと考えております。
 また、県経済の活性化のためには地域経済を支える産業の強化が必要でございますから、県内企業が大学等の研究成果を効率的に活用できる環境を整えるなど、企業の成長支援にさらに取り組んでまいります。
 さらに、農業分野では、競争力強化を図るため、野菜、花卉の施設園芸を一層振興するとともに、農業の生産性を高め、担い手への農地集約化を進めるため、県独自の農地流動化の仕組みを構築していく所存でございます。
 観光については、世界遺産登録10周年を迎えることを契機とした誘客キャンペーンを切れ目なく展開するとともに、ビザの免除や免税品目の拡大などの好機を捉え、外国人観光客の積極的な誘客にも取り組んでまいります。
 また、都市の再開発や都市計画の見直しについて、県が企画、提案をし、市町をリードしていきたいと考えております。
 さらに、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道など幹線道路ネットワークを初めとした社会インフラ等の整備に取り組むことにいたしておりまして、特に、これは県の予算ではございませんが、このたび串本─すさみ間が国の次の事業化の候補として発表されたところでございまして、これはまた一段と進むということで高く評価したいと思っております。
 未来を担う子供を育むため、県独自の道徳の教科書を活用した道徳教育の徹底や、確かな学力の定着のため、優秀な退職教員を活用した教員の指導力の強化など、教育にも力を入れていきたいと考えております。
 次に、今度は財政の健全化の問題でございます。
 議員御指摘のように、新行財政改革推進プランで、大体、県が早期に破綻をしないというめどをつけました。さらに、このままでは人員削減を一直線にやりますと少し問題が起こるということなので、そのペースを少し緩めまして、しかも持続的な財政ができるかどうかということで同改定版をつくりまして、今これに沿った財政運営をしているところでございます。したがって、この改定版のプランに沿った財政運営をしている限り、県の財政は大丈夫ということだと考えております。
 財政の健全性については、県税は増収を見込んでおりますが、議員御指摘のとおり、地方交付税は当然減額してまいります。また、地方消費税の増収分につきましては、全額を社会保障の充実分に充てておりまして、決して全体として、もう大丈夫というか、安心というか、手放しで安心というようなことではない状態でございます。
 そこで、引き続き業務の効率化と簡素で効率的な体制の構築により人件費を削減するとともに、繰り上げ償還等を活用して公債費の抑制も行って、さらに事務事業の見直しを行うなど、一般財源の節減に努めることとしております。
 その結果、平成26年度当初予算における収支不足額は、先ほど御説明いたしました改定版の行革プランの目標額である6億円を堅持することができておりまして、財調・県債管理基金残高については目標額よりも27億円さらに積み増すと、改善できたということになっております。
 このように、未来に羽ばたく元気な和歌山の実現に向けた新政策の推進のために重点的な予算配分を図りながら、持続可能な財政構造の確立を達成できた予算に仕上がったものと考えております。
○議長(山田正彦君) 冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕
○冨安民浩君 ただいま、26年度予算案、知事から説明がございました。財政規模、昨年度より少しふえた程度でありますし、それぞれ財政措置した目的があるわけであります。それがかなうように実行しなきゃいけませんし、特に、先ほども当初申し述べましたとおり、補正予算と絡めて、やっぱり経済の状況もしっかり考える中で、これを遂行していかなきゃいけない。そうしたことを考えると、執行できるものは当初予算におきましても速やかに執行して、この消費税増税に伴う景気の腰折れを防ぐためにそうしたことに心して、その執行に努めていただきたいということをお願い申し上げておきます。
 次に、本年10月実施予定の県津波災害対応実践訓練への米軍オスプレイの参加について、数点お尋ねをいたします。
 昨年12月20日、小野寺防衛大臣より、本年10月実施予定の県津波災害対応実践訓練への自衛隊の全面協力の旨と在日米軍MV22オスプレイの活用も県側に打診したところ、県の了解を得た旨の報道がなされました。そのことが各紙に、21日の新聞に報道されておりました。
 来るべき南海トラフの地震・津波の発生に備え、自助、共助に資する等々のさまざまな対策を措置し、また、あらゆる資源を活用して県民の命を一命たりとも失わない備えを構築したいと事あるごとに述べる、災害発生に備える日ごろの知事の県政への取り組み姿勢を考えるとき、東日本大震災発生時におおむね1カ月、延べ2万4000人の将兵、190機の航空機、24隻の艦艇が被災現場での災害救助・救援や復興支援に大きく寄与したいわゆる米軍のトモダチ作戦の実績や、昨年のフィリピンでの台風高潮災害時の際、救援物資の輸送やけが人の搬送に、従来機のヘリであるCH46に比して速力で約2倍、搭載量で約3倍、航続距離では約5倍という固定翼機並みの能力を持ち、かつヘリ同様の垂直離着陸やホバリングも可能なオスプレイが絶大な機動的能力を発揮した事象から、県津波災害対応実践訓練への米軍オスプレイの参加了解は当然のことであり、その了解を高く評価いたしたいと思います。
 米軍のトモダチ作戦については、自由民主党県議団所属議員20余名が、昨年11月25日、沖縄県糸満市で執行された、さきの大戦で沖縄や南西諸島で護国の華と葬られた県主催の県出身戦没者追悼式に参列し──公明党から多田議員と中議員も、たしか参加、参列されておったと思いますが──その後、門博文衆議院議員のお世話をいただき、普天間基地を訪問、視察し、基地の概要や、またトモダチ作戦の概要をお聞かせいただきましたが、参加議員の中から詳細な説明を聞いたらどうかという提案があり、12月3日、米国海兵隊太平洋基地政務外交部次長を務められているロバート・エルドリッジ氏に本県にお出向きをいただき、詳細に聞き及んだ経緯があり、一同トモダチ作戦をひとしく高く評価いたしたところでもあります。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 まず1点目、本年10月実施予定の県津波災害対応実践訓練への米軍オスプレイの参加了解に至った経緯について、つぶさに御説明をお願いいたします。
 2点目、また、オスプレイの安全性については、偏った一部マスコミ報道により、その安全性に不安を抱く県民もおられると推察いたしますが、そうした人々に対する安全性の説明についてお尋ねをいたします。
 3点目、米軍と聞くと条件反射的に反対アレルギー症状を起こす人たちの反対の声が高まっても、予定どおりこの訓練を実施するおつもりなのか否か、吐露願いたいと思います。
 以上3点について知事の答弁を願います。
 引き続いて、次に危機管理監に3点質問をいたします。
 10月実施予定の本県の津波災害対応実践訓練について、訓練の実施場所はどこを予定しているのか。また、訓練内容についてはどうなのか。さらにまた、オスプレイの離着陸地についてどうなっているのか。予定をお尋ねいたします。
 2点目、今回の訓練の実施については、関係市町村への説明はもとよりでありますが、広く能動的に県民への周知徹底を図るべきと考えますが、どのようにお考えなのか。
 3点目、今後、訓練実施に向け、どのように進めていくのか。
 以上、3点一括して危機管理監の答弁を求めます。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、本年10月の津波災害対応実践訓練の経緯でございます。
 和歌山県は、大規模災害に備えて実践的な防災訓練を常時行っております。従来は、実は実際には考えられないような形で、あらゆる関係者が一堂に会しまして、シナリオがもともと決まっとるというような形で訓練を行うのが──これは和歌山県だけじゃなくて、大体よその県でもそういう姿であったんですけれども、これでは実際に災害が起こったときにあんまり参考にならないということを考えまして、訓練を全面的に見直しました。
 大規模災害を想定すれば、訓練には和歌山県の固有の機関だけではなくて、さまざまな関係機関に参加してもらったほうがいいというふうに思っております。自衛隊もそうでございまして、自衛隊の参加もこれまでいただいておったんですけれども、実際に起こったときのことを想定すると、まだまだ小規模でありまして、県が行う最大規模の津波災害対応実践訓練でも、これまで陸上自衛隊のみの参加でございました。このため、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊と、自衛隊全体と連携した訓練の実施を防衛省に、これは私どものほうから打診をいたしました。
 その協議の中で、防衛省のほうから、在日米軍の協力も得てよろしいかというふうに言われました。私たちは、できるだけ多くの方面の協力を得られることは大変ありがたいわけですから、望むところであるというふうに申し上げました。
 また、その際、御指摘のオスプレイという機材の活用についても打診がありましたので、これは輸送力とか航続力について抜群に性能の高い機材でございますので、こういう機材の活用についてやっていただくのは大変ありがたいので、もちろん結構であるというふうに申しました。持てる資源を最大限活用して助けてもらいたいと思ってる状態でございます。
 それから、2番目にオスプレイでございますけれども、私は多少自分でも研究しておりますので、オスプレイが他に比して安全性の低い航空機とは思ったことはありません。誰がどんな根拠で、これは他に比べて危ないと言うとるのかと、非常に不思議でしようがないんですが、まあそんな状態でございます。防衛省を通じて入手した資料では、オスプレイのリスクは、大型の輸送能力を持つ他の代替機──これは大型ヘリコプターと比べるということだと思いますが──むしろ低いという状態でございます。
 昨年の台風でフィリピンの島々が深刻な被害を受けましたが、オスプレイは、その機動性を生かして緊急に救難出動いたしまして、多くの人命を救い、必要な救援物資を届けたと理解しております。東日本大震災の際には、オスプレイの前機種でありますところのシーナイトというのがあるんですが、これが東北地方に派遣されました。しかし、航続距離が短いということで、少しずつ休み休み行かないといけないんで、3日間、実際に可動するまで時間を要しております。オスプレイであれば、大体5時間ぐらいで東北まで行けるということなんで、これはかなり違ったろうなというふうに思います。
 大規模災害がこのように発生した場合、オスプレイの持っている高い機動力、航続距離、空輸能力に、私としては大変期待をしております。したがって、大変深刻な事態が予想される災害時に対する対応という意味での県の訓練へのオスプレイの協力参加は、極めて有用と考えております。
 県民の皆様には、県のホームページで実は安全性に関する資料をお示しして説明しているつもりなんでございまして、それを見ていただくとわかっていただけるものと思います。もちろん、何度でもそういう点については御説明したいというふうに思っております。
 それから、最後に3番目でございますが、予定どおり実施するかどうかということなんですが、それはもちろん予定どおり実施するわけで、県民の命を守るためには、できるだけ多くの協力を得て、持てる資源を最大限活用して助けてもらいたいと考えております。そのため、オスプレイの協力参加は極めて有効でございますので、米軍にも参加してもらって、これは訓練を実施していきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 4番目の訓練の実施場所や訓練内容について、またオスプレイの離着陸地についての予定についてお答えします。
 訓練の実施場所については、南海トラフ地震の津波による大きな被害が予測される県の南部で実施したいと考えており、田辺市、白浜町、串本町を予定しているところです。
 広域防災拠点である旧南紀白浜空港と現空港については、当然活用したいと考えておりますが、その他の訓練実施場所や防災訓練内容についても、今後、防衛省、自衛隊等の関係機関と協議し、決定してまいります。また、オスプレイの離着陸場については、旧南紀白浜空港と現空港を拠点と考えております。
 5番目、訓練実施について関係市町村の同意、それから県民への周知ですが、田辺市、白浜町、串本町とも、今回の訓練は非常に重要であると捉えており、各市町に対し、具体的な訓練場所や訓練内容等をよく説明し、訓練の実施について協力を求めてまいります。
 県民への周知につきましては、3月に防衛省近畿中部防衛局と共催で防災に関するシンポジウムを開催するほか、県、市町村での広報を実施するなど、さまざまな機会を捉えて周知徹底を図ってまいります。
 6番目、今後の実施訓練に向け、どのように進めていくかということでございますが、3月には防衛省による現地調査を行い、新年度に入って、防衛省、自衛隊を初め、田辺市、白浜町、串本町やその他の関係機関による連絡会議を設置し、協議を進めてまいります。7月ごろには訓練の概要をまとめ、その後、県民の皆様にお知らせしたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(山田正彦君) 冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕
○冨安民浩君 知事より、不退転の決意でこの訓練目的を達するために行うという力強い宣言がございました。まさに、私は、どんなことがあってもやるべきだと思います。ただ、このオスプレイが参加しての防災訓練、これは和歌山県が1番だと思いますから、実施に向かって、いろんな角度からマスコミ報道がなされると思いますが、どうかそうしたことにお互いひるむことなく、大災害にはきちっと機能するんだと、そういうような実践訓練であり得るように、万全を期して、危機管理監におかれましてもその体制を整えていただくことをお願い申し上げたいと思います。
 引き続いて、野生鳥獣被害対策問題について質問をいたしたいと思います。
 野生鳥獣被害対策で初めて質問をしたのは、私は、記憶をたどってみますと20年前の9月議会だったと思います。その質問は、内容がどうであったかといえば、山村で和蜜を採取し、生活の糧の一部としている農家の住居近くに設置しているミツバチの巣箱にツキノワグマが夜ごと蜜をなめにあらわれ、追っ払おうとすると熊が威嚇を表し、生命の危機にさらされる懸念から、わなでその熊を捕らえたところ、県から放すようにという要請があり、その話を相談を受けましたので、まさに人間の生活権を脅かし、生命権さえ奪いかねないツキノワグマの保護とは山村に生きる者には断じて受け入れがたい、都会の動物園でこの寵児を見てかわいいと、そういう論理である趣旨の質問でありました。
 当時、県における野生鳥獣の所管課は今日の環境生活部自然環境室であり、保護中心の観点で、被害の観点は皆無でございました。担当課長にその理不尽さを訴え続けましたが、逆に、被害農家にツキノワグマを放すように頼んでくれと、こういうように逆に要請され、その放し方については、ツキノワグマの行動形態が探知できるよう首に探知機をつけるからとの話でございました。
 担当課長にとっては、鳥獣保護法に基づく措置であり、悪法もまた法なりで、彼は彼の任務を果たしていたと思いますが、その当時はシシや鹿の被害は散見程度であり、猿害に至ってはほとんど皆無であると言っても過言ではない程度でしたし、アライグマはその存在すら認知されていない状況だったと思っております。しかしながら、平成に入ってシシの被害が顕著になり、続いて鹿の被害もふえ、近年、猿の被害やアライグマの被害も広がりつつあります。
 こうした野生鳥獣被害の広がりにより耕作放棄地がふえつつあり、1次産業を主産業とする地域にとっては、被害を及ぼす野生鳥獣はまさに天敵であります。
 県の鳥獣被害対策が前進したのは、仁坂知事誕生により、この担当課を被害の観点に重きを置く農林水産部に移行されたことにより取り組みが積極化され、以後、年々財政措置が講じられ、鳥獣保護法のもと許される範囲内での規制緩和等も取り入れ、今日に至っているのが現状だと私は思います。
 そうした継続的な取り組み効果で、シシ被害については、少なくとも日高地方においては大幅に減少しつつあると農家の方から聞いておりますし、鹿についても一時のひどい被害状況に比して減少傾向にある、まさに効果が出ておると聞いておりますが、これは、しかし、対策を緩めるとまたふえていくわけでありますから、この対策を緩めるわけにはいかないと思います。
 また、鹿の背後にはカモシカが迫っておると言われております。まさに、野生鳥獣被害との飽くなき闘いを、これからは財政厳しい中でしなきゃいけない。さらに人員を配置する。まことに腹立たしい限りでありますが、これはまさに行政課題としてしっかり位置づけなければいけない問題だと思っております。
 この対策については、多くの同僚議員の質問や被害農家の訴え、また、県関係者の努力に応え、二階代議士が中心になって尽力いただいて、3年前、国会において鳥獣対策議連が結成されました。私も2回ばかり参画をさしていただきましたが、そうした議連活動により、今国会に、鹿、イノシシの生息数を10年後までに半減を目指す適正管理という言葉がようやく盛り込まれている鳥獣保護法の一部改正案が成立見込みのようであり、この問題解決にネックとなっていた法律にちょっとメスが入るんじゃないかな、また、そうしたことによって大きな前進だと私は思っております。
 この法律が実施されれば、先ほど申しましたように、10年後に鹿、イノシシは半分にするということでありますから、その基準をどこへ置くかという問題等も残りますが、鹿やイノシシの被害減少に向けて、私は、ある程度対策が担保されたと、このように思っておりますが、猿や外来種のアライグマは全く方向が見えないわけであります。
 私は、猿については、単に農作物被害にとどまらず、人間にも危害を及ぼすことを想定して取り組まなければいけないと思います。また、アライグマについては、外来種であり、日本古来の野生鳥獣の生態系を狂わすウイルスか何か持っておるんじゃないかなということも言われておりますし、その影響かどうかわかりませんが、最近、私はタヌキを見る機会が極めて少ないわけであります。そういうことを聞いてみますと、タヌキの毛が抜ける、これはアライグマの何か持ってるウイルスなのか、あるいは菌なのか知りませんが、その影響でタヌキが死んでおるという話を農家の人から聞きました。
 そこで、私は、農林水産部長にお尋ねをいたしたいと思いますが、手に負えない猿害対策について、その個体数の減少に特別緩和を設ける、例えば特区制度の創設を国に求めて、この制度のもとで個体数をちょっと抜本的に減らしていく。もちろん有期でしなきゃいけないです、地元同意が必要ですから。例えば、ある区で2カ月なり3カ月なり、この個体数の減少のやり方についてはちょっと抜本的にやっても結構だというような、そういう制度を設けるように要請していかないと、猿と人間との知恵比べ──なかなか猿も大変なもんでありますから、なかなか現行の中でやっていっても個体数の減少は追いかけっこで、むしろこちらのほうがおくれるぐらいの猿の知恵だと思いますから、それぐらいの思い切ったことを1回訴えて、そのことを訴えることによってこの猿害にどれだけ苦しんでおるかということが私はわかると思うんです。
 私は、この質問をするに際して、鳥獣害の対策室長、非常に頑張ってくれておりますが、1回この県の室長さんが中心になって、お互い地域でこの話をしてても都会の連中はわからないし、ましてや自然環境局、環境省、これは守るためにある役所ですから、ここを大いに揺すりまくらないことには、これは絶対変わらないと思いますから、こういう思い切ったことでも訴えていこうじゃないですか。その辺について、農林水産部長の見解をお尋ねいたしたいと思います。
 次に、環境生活部長に強く要望いたしたいと思いますが、アライグマはまさに外来種であります。日本古来の種の保護を目的とする鳥獣保護法、環境省自然環境局で管轄してるこの法律の対象外の鳥獣であり、日本古来の鳥獣に悪い影響を及ぼすウイルスを持つと言われてます。その個体数の減少、縮減に向けて引き続いて国のほうへ要望しておると聞いておりますが、要望するだけで──結果を出すのがまさに政治でありますから、結果を出せるように粘り強くちょっと運動しようじゃないですか。
 それとあわせて、先ほどのタヌキに影響が出ておる話を聞くにつけ、ウイルスなのか菌なのかわかりませんが、人体にもやがて影響が出てくるかもわからないわけでありますから、これ、環境省にもあわせて、セットで、1回ちょっと気がついたときにやっぱりやっておかないと。例えば5年先、10年先──10年先には私はもうこの任にあらないと思いますが──あのとき気がついておりながら、やっぱりその取り組みをしなかったばかりにこんなことになったということになったら、自分自身を責めることになるわけでありますから、ぜひそうした思いで、今申し上げた点にお取り組みいただきたいと思いますが、答弁を求めます。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長塩崎 望君。
  〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 議員御指摘のとおり、アライグマは、農作物の被害のみならず、タヌキやニホンザリガニ、サンショウウオといった希少動物等、日本古来の生態系を脅かしているため、外来生物法で駆除されるべき特定外来生物に指定されております。
 そういったことから、本県では、平成24年度より、国直轄による防除対策並びに地方公共団体が実施する取り組みへの支援制度の創設を国に働きかけているところです。
 野生動物は何らかのウイルスに感染している確率が高く、アライグマも同様ですが、今のところアライグマ特有のウイルスというものは確認されておりません。当面は一刻も早い全頭駆除が先決であると考え、アライグマの駆除を進める上で必要な制度の創設等をこれまで以上に強く国に働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 猿の被害対策については、これまで銃器による有害鳥獣捕獲を中心に取り組んでまいりました。さらに、県直営の大型囲いわな2カ所、市町村営の大型囲いわな12カ所を設置し、今年度から新たに管理捕獲を始めましたが、イノシシや鹿に比べ猿は警戒心が強く、目標頭数600頭に対して、きょう現在、約半分の326頭の捕獲にとどまっております。
 今、国で行われております鳥獣保護法改正の議論を踏まえつつ、既存の捕獲方法に加え、例えば猿捕獲専従者の育成など新たな手法を検討する中で、議員御提案の特区制度の創設も含めて幅広く考えてまいりたいと存じます。
○議長(山田正彦君) 冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕
○冨安民浩君 安倍総理は、「瑞穂の国」、「美しい国」、こういう言葉をよく使われます。まさに瑞穂の国の瑞穂が、野生鳥獣にもう、少なくても日高地方の至るところでこてんぱんにやられておるわけでありますから、こうした実態を知ったとき、安倍総理はそういう言葉を使えるんだろうかという思いがいたすわけでありますが、この鳥獣被害の対策というのは、これはもう先ほど申し上げましたように飽くなき闘いだと思いますが、やっぱり今までの不作為なのか、あるいは鳥獣保護法という作為なのかわかりませんが、結果として出てきておる。
 私は、山村で頑張っておる同じ年配の人と、これは農業で頑張っていただいておる方でありますから、その方といろいろ農業のお話をするわけでありますが、「農業ほどいいものはない。おかげで2人の子育ても終えた。大学も卒業した。農業ほどいいものはなかった」と言うんですね。「じゃあ、子供にも1回やらしてみたらどうか」と。「しかしね、冨安君、もう今の野生鳥獣のざまを見たら、こんなことをやっぱりやっておれん。そっちのほうへ労力がとられて農業どころじゃない」。そういう話を聞くにつけ、私はこの問題を質問のたびに取り上げるんですが、私は、日高郡の議席を今担当してる者として、このことを述べずして私の責任は果たし得ないんだと、そういう思いで質問をいたしておるわけであります。
 飽くなき闘いでありますが、知事のほうにおかれましても、ぜひよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、冨安民浩君の質問が終了いたしました。

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