平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

○議長(山田正彦君) 再開前でありますが、一言申し上げたいと思います。
 本日は、傍聴席に日高川町立江川小学校の児童の皆さん、1年生から5年生まで、先生を含め39名の皆様がこども県庁探検隊としてこの議場に勉強に来ていただきました。皆さん、ありがとう。(拍手)
 今、下にいる県議会議員の皆さんも、それぞれの地域のために、また和歌山県発展のために一生懸命頑張ってくれています。未来の和歌山を担う皆さんに、この県会議場に、あるいは県会に、また県行政に対して関心を持っていただいて、心から御礼を申し上げますとともに、我々としては、引き続き、県当局あるいは議員の皆さん各位が活発に実りのある議論をしていただくようにお願い申し上げておきます。
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  午後1時1分再開
○議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 昨日、この1年をあらわすことしの漢字が発表されました。「輪」という字であります。東京でのオリンピック・パラリンピックの開催決定など、日本中が輪になって歓喜に沸いたと、その年であるというのが選考理由の1つであったそうであります。和歌山県でも、紀の国わかやま国体、また、わかやま大会に向けて、花いっぱい運動やわかやまおもてなし宣言など、県民の皆さんの輪が着実に広がった、そういう1年であったと感じます。
 また、本日は、社団法人日本マスターズ陸上競技連合の鴻池会長、そして先ほど山田議長から御紹介がありました日高川町立江川小学校の児童の皆さんが傍聴に来ていただいております。一般質問を通して県議会に関心をお持ちいただく方々の輪を一層広げられたらいいなあと、そのような思いでこれから質問さしていただきたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らしていただきたいと思います。
 本定例会において4日間にわたり行われてまいりましたこの一般質問も、私で最後となります。今回は6項目にわたり質問させていただきますが、知事初め県当局の皆さん、お互いに気持ちよく1年が終われますように前向きな答弁をよろしくお願い申し上げます。
 初めに、紀淡海峡ルートの実現についてであります。
 この件に関しましては、既にこの定例会で服部議員、また多田議員が質問されておりますが、本県の県益確保において大変重要でありますので、私なりの考えに基づきお尋ねをいたしたいと思います。
 東日本大震災、さらに同年発生した紀伊半島大水害において、私たちは、幹線経路が被災した場合の代替幹線路を確保しておくことの重要性を大いに実感させられたところであります。局地災害がどこで発生するかわからない中で、いわゆる第二国土軸の整備は、現国土軸のリダンダンシー、いわゆる多重化を確保する強靭な国づくりにとって、大変重要な課題であります。さらに、現国土軸から離れ、高速交通網の整備がおくれたことによって地域格差が存在している現状からは、国土の均衡ある発展という面からも依然重要であると考えます。
 このような思いから、私は、平成25年6月の関西広域連合議会において一般質問に立ち、紀淡海峡ルートを初めとする広域交通ネットワークの整備について、経済発展のみならず、大規模災害に備えたリダンダンシーの確保において国土全体の強靭化に資するものであり、加えて、和歌山県においては、産業クラスター同士の連携促進、また観光資源へのアクセスの利便性向上、物流の広域化など、人、物、情報の交流の拡大等、県益確保に大いに貢献するのではないかとの質問をいたしました。
 その際、仁坂副連合長からは、紀淡海峡にルートをつけることには複数の意義があり、必要なインフラ整備に全力で協力して国に働きかけていくとの答弁をいただきました。また、知事は、早々9月にはその意義を共有する関係10府県に呼びかけ、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会を設立。紀淡海峡ルートを初めとして、これまで個々別々に取り組まれてきた四国新幹線、関空への高速鉄道、関西大環状道路などの実現に向け共同で取り組みを進めていけることは、大変心強い思いであります。
 また、私は、先月末に東京で開催されましたその協議会の設立記念シンポジウムに出席をいたしました。現内閣官房参与で京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡先生による基調講演が行われた後、新関空会社の安藤社長、また飯泉徳島県知事、そして藤井先生、また仁坂知事がコーディネーターを務めてのパネルディスカッションにおいて、これらの高速交通インフラがなぜ必要であるのか、そしてその整備はどんな効果があるのかに関する熱い議論を満席の会場で聞かせていただきました。改めて自分の考え方の妥当性を確信し、また非常に勇気づけられたわけであります。
 そこで、仁坂知事にお伺いいたします。
 このシンポジウムは、紀淡海峡ルートの実現を初めとする高速交通インフラ整備の意義や必要性を国等に対して強く働きかける機運醸成を図ることを目的としておりました。私も、この時期には機運醸成は非常に大切と考えておりますが、シンポジウムにどのような手応えを感じておられるのか、また今後どのように取り組んでいかれるのか、改めて知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、紀淡海峡ルートの実現は、本県の産業や観光振興の面において効果が期待されるだけではなくて、西日本地域にとって、国土軸のリダンダンシーの確保、四国新幹線の実現、大阪都心と関空を結ぶ高速交通アクセスの早期整備、関西大環状道路の実現に資するという4つの意義があると考えております。
 ことし9月に、これらの意義を共有する関係府県で、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会を設立し、機運醸成を図るため、先月、東京で設立記念シンポジウムを開催いたしました。
 そのシンポジウムにおいて、紀淡海峡ルートの実現をかなめとする高速交通インフラ整備は、経済成長やリダンダンシーの確保の面において、西日本のみならず日本全体にとって必要性が高いということを強く私も訴えたところでございまして、満席の会場の皆さんにもその必要性を十分御理解いただけたと思っております。
 折しも、先日、国土強靱化基本法が成立するなど、国全体で国土強靱化について議論が高まっているこの時期に広く情報発信をできたということは、今後その実現までのはるかなる道のりを考えるならば、ささやかではございますけれども、本県の将来に向けた取り組みにおいて意義ある一歩を踏み出せたと考えております。
 今後も、この協議会での活動を通じて、これらのプロジェクトの必要性やその整備の合理性を主張し続け、県民初め、より多くの国民から理解と支援が得られるように、機運醸成に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 具体的には、東京のシンポジウムと同じようなのを大阪でぜひ今度はやりたいなあ、それから、うまくいけば四国でもやったらいいんじゃないか、そういうようなことを思いながら、またさまざまな手を尽くして実現までに努力していきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次の質問に移ります。
 高齢化社会を迎える中で、年配の方が生き生きとした豊かな生活を送るためには、生涯スポーツは欠くことのできないものであると考えます。
 文部科学省の2012年度体力・運動能力調査では、地域のスポーツ同好会やフィットネスジムなどのスポーツクラブに所属している人の割合は70代で40%前後と、時間に余裕のある高齢者が積極的に運動に取り組んでいるということがこの調査からうかがわれます。
 近年、マラソン大会の開催やスポーツを核とした地域振興が盛んになっております。平成25年度の新政策において、スポーツを核とした地域づくりに取り組むプロジェクトを県が支援するという取り組みが行われています。
 さて、関西広域連合が中心となって2021ワールドマスターズゲームズの関西招致に向けて働きかけてきた結果、関西での開催について基本合意が行われました。ワールドマスターズゲームズは、予選はなく、登録すれば出場可能な、30歳以上の成人、中高年のアスリートを対象とした総合競技大会であります。どこで何のスポーツを開催するのか、また費用負担については、そういうことは今後詰めていくこととなっております。
 このワールドマスターズゲームズとは別に、競技性の高いマスターズ大会というものが開催されており、近年注目を集めております。ちなみに和歌山県は、日本で初めてマスターズ陸上競技団体が設立されるなど、マスターズ陸上発祥の地と言われております。マスターズ大会のうち、例えばアジアマスターズ陸上競技選手権大会は2014年に岩手県北上市で、また2016年にはシンガポールで開催される予定となっております。
 そこで、仁坂知事にお伺いをいたします。
 このような大会の誘致は、国体で整備したスポーツ施設の有効活用が図られるとともに、全国はもちろん海外からも選手や関係者など多くの宿泊が見込まれることから、地域の活性化にもつながるものと思われますが、和歌山での開催に向けた取り組みを進めるお考えはありますでしょうか、知事の御所見をお尋ねいたします。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) スポーツによる元気な和歌山の実現に向けてすばらしい御提案をいただいたと思っておりまして、感謝を申し上げております。
 ワールドマスターズゲームズにつきましては、2021年の関西での開催が関西広域連合で既に決定しておりまして、これの国際機関とも合意ができております。関西を生涯スポーツの先進地域にしていくためのさまざまな取り組みを進めるなど、その成功に向けて関西全体で一丸となって取り組んでいくつもりでございます。
 私は、この構想が出たときから、一番初めから、これは無条件で賛成であるというふうに旗を振ってまいりました。その心は2つございます。1つは、多くの方々が全世界から関西にお見えになる。それから、もちろん日本の方々もお見えになる。このワールドマスターズゲームズって予選がございませんので、多くの方々が家族などを連れてお見えになるということですから、そういう意味で関西への誘客になるだろうというふうに思うのが第1点でございます。
 しかし、そればかりじゃございませんで、むしろそれよりも、日本にとっても世界にとっても、高齢化がどんどん進むその中でいかにして健康で幸せな老後の生活を送るかというのが、これからは人類にとって大変大事なテーマになってくるんではないかと。そのときにスポーツを通じてそれを達成し、また、世界の人々とスポーツを通じて人脈がつながるというような希望の星を関西でぜひ上げたい。その希望の星がともっているところが関西であるということが、関西にとっても和歌山にとっても非常に象徴的ないい話なのではないか、そんなふうに思って旗を振ったわけでございます。
 そういうふうになったわけでございますが、議員御指摘のように、ワールドマスターズゲームズに限らず、マスターズ大会はたくさんございます。国内では、日本スポーツマスターズとか、あるいは全日本マスターズ陸上競技選手権大会などが定着しておりまして、後者は御指摘のように和歌山が発祥の地で、今は本部は東京に移ってはおりますけれども、会長は引き続き和歌山の鴻池さんが務めておられるということでございます。また、その関係でアジアマスターズ陸上競技選手権大会にも非常に関係は深いし、それから、世界マスターズ陸上競技選手権大会も世界で開かれているということでございます。
 2021年のワールドマスターズ大会のステップとして、関西広域連合では関西マスターズ大会という──これは一般名称でございます──それをやろうということになっています。それは、既にあるこういう立派な催しを押しのけてやるというんではなくて、むしろそういう方々と協力をして、できれば関西マスターズという冠をかぶさせていただいて、それで行っていこうというふうに思っております。
 そういう意味で、県としても、生涯スポーツの振興と地域活性化の観点から、このようないろいろなマスターズゲームに取り組んでいきたいと思います。もちろん、ワールドマスターズゲームズの中の、まだどこで何をやるかは決まっておりませんが、幾つかの競技については和歌山に誘致をしたいというふうに思っておりますし、それから関西マスターズ大会との関係で、和歌山でもその幾つかをできるようにしていけばいいんじゃないか。それは、たまたま国体関連施設を和歌山は整備したばかりですから、それからまた、おもてなしの心も磨かれたばかりですから、非常にいい大会ができるのではないか、そんなふうに思っておる次第でございます。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事、御答弁ありがとうございます。ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 では、次の質問に移ります。
 既に御承知のとおり、社会保障制度改革の全体像や進め方を明示した持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案、いわゆるプログラム法案が12月5日の参議院本会議で可決、成立をいたしました。
 この法案には、少子化対策、医療制度改革、介護保険制度改革、公的年金制度改革の内容が明記されております。このうち、医療制度改革における国民健康保険及び医療提供体制の改革は、どちらも都道府県に重い責任が負わせられることが懸念されます。
 1点目の国民健康保険制度は、財政問題の解決を前提に保険者を市町村から都道府県へ移行するとともに、保険料の賦課徴収は引き続き市町村が行うものとされています。しかしながら、所得の低い加入者が多く、年齢構成も高いなどの構造的問題を抱えるとともに、今後の高齢化を考えた場合、保険者が県に移行したとしても根本的な問題は解決しないのではないかと考えます。
 また、2点目の医療提供体制につきましては、体制整備における都道府県の役割、権限を拡大し、目指すべき姿として地域医療ビジョンを策定するとともに、これを踏まえ、病院、病床の機能再編を進め、救命、治療が前提の病院完結型から在宅医療や介護までをつなげる地域完結型医療への転換を行うこととしております。病院再編を促すため、全国一律の診療報酬による誘導だけでなく、地域の実情に応じ補助金を活用し、都道府県主導による再編を行うものであります。
 この病床再編が進まなければ、医療費の、結果として先述いたしました国民健康保険の運営主体である都道府県の財政を圧迫することから、地域医療ビジョンの策定と、それに引き続く病床機能の再編は大変重要なものであると考えます。地域医療ビジョン策定に向け、具体的な法改正の中身が不透明であることは十分承知をいたしておりますが、県にとって大変重要な改革でありますので、国の動きについて情報を把握しているのか、また今後どのように取り組んでいかれるのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 地域医療ビジョンの策定は、国の社会保障審議会医療部会における、国民が安心で良質な医療を受けることができるよう病院・病床の機能の明確化、強化の視点から医療法等の改正を含めた改革に積極的に取り組んでいくべきという意見のもと、国が制度化に向けて準備を進めているところであり、本年8月に出された社会保障制度改革国民会議報告書においても、その必要性が指摘されております。
 県としましても、地域医療ビジョンの策定は、将来的な医療ニーズに対応する本県の医療提供体制の構築に資するものであり、議員御指摘のとおり、大変重要な取り組みであると認識しております。しかし、一方で、このような医療提供体制を構築するには、地域の医療機関の御理解を初め、実効性のある具体的方策が必要となってきます。
 国は、医療法改正法案を来年の通常国会に提出し、それが成立すれば速やかに地域医療ビジョンの具体的なガイドラインの検討に入るとしており、引き続き、国の動向の把握に努めるとともに、必要に応じ他府県とも連携しながら、地域の実情に応じた制度となるよう働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次に、がん対策の充実についてお尋ねをいたします。
 議員提案による和歌山県がん対策推進条例の施行から、今月28日で1年となります。私は、この条例の検討会において座長を務めていたため、施行時には、本県のがん対策を進めていく基礎ができた、そう強く思ったところであります。しかしながら、どんなに立派な条例をつくっても、具体的な施策が伴わなければ意味はありません。
 この条例の第6条において、「がん対策についての基本的な政策決定及び政策提言」を県議会の役割の1つに規定しておりますので、今回は、がん対策のうち、啓発、医療及び緩和ケアの3点についてお尋ねをいたしたいと思います。
 ところで、県当局の皆様、リレー・フォー・ライフの活動というのは御存じでしたでしょうか。アメリカ発祥のリレー・フォー・ライフであります。これは、がん制圧を目指し、がん患者や支援者らが夜通し交代で歩き、勇気と希望を分かち合うチャリティーイベントであります。世界20カ国、世界中で毎年400万人以上が参加をしております。
 私も9月に、大阪府貝塚市の二色の浜公園で開催されましたこのイベントに、がん対策推進条例の検討時、副座長であった藤山議員とともに参加をしてまいりました。日本では、2006年に茨城県つくば市で初開催されて以降、広まってまいりました。2013年には、全国で約40カ所で開催されるようになりました。国内のイベントで寄せられた寄附金は、日本対がん協会を通じて、がん医療の発展や患者支援、検診の啓発などに役立てられております。
 この運動は、がん対策推進条例の前文にある「県民自ら、がんに関する理解と関心を深め、互いに支え合い、力を合わせることにより、みんなで一体となってがん対策の推進を行う」という部分にまさに合致したものであります。
 近畿では、私が参加した貝塚市のほか、大阪市、兵庫県芦屋市、京都府宇治市、兵庫県養父市、奈良県橿原市の6カ所で開催されておりますが、滋賀と和歌山では開催されていませんでした。
 そこで、来年5月、和歌山でも開催を予定しており、その取り組みを進めておりますが、和歌山での開催に当たり県として応援していただけるお考えはあるのでしょうか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) リレー・フォー・ライフにつきましては、本年度、全国31都道府県において開催されていると聞いております。
 本県におきましては、リレー・フォー・ライフジャパン2014和歌山実行委員会が結成され、来年5月24日、25日両日の開催に向けて準備が進められており、議員御指摘のとおり、この活動はがん対策推進条例の前文に沿った有意義な催しと認識しております。
 県といたしましては、がん患者への支援を目的としたリレー・フォー・ライフの開催趣旨を広く周知し、多くの方々に参加していただけるよう、事前の広報活動や開催当日の検診車を活用したがん検診のPRなど、大会開催への応援を実施してまいります。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 それでは次に、がん医療の充実についてお尋ねをいたします。
 平成23年6月の県議会一般質問においてお伺いをいたしました重粒子線治療について、私は、以前から群馬大学重粒子線医学研究センターの視察などを行い、検討を行ってまいりましたが、先日、重粒子線治療の国内4番目の施設である九州国際重粒子線がん治療センター、いわゆるサガハイマットを同僚議員と視察をする機会を得ました。
 重粒子線治療は、体の深いところにあるがんをピンポント照射するとともに、今までの放射線治療では治りにくいがんにも有効とのことから、正常な細胞を傷つけにくいことや、仕事をしながら外来通院での治療が可能となるなど、生活の質を重視した体に優しい治療を提供するものであります。
 重粒子線治療を行うためには、多少大きな装置と体育館1つ分ぐらいの施設が必要であるとともに、治療費が約300万円と高額であることなど、大きな課題もあります。しかしながら、治療費の問題につきましては、がん保険加入者であれば、月々100円程度の先進医療特約をつけた場合、保険の対象になるなど、ハードルが下がりつつあります。
 本県のがん対策推進条例第14条では、県はがん患者が居住地域にかかわらずひとしくがんの状態に応じた適切かつ質の高い医療を受けることができるようにするため、先ほど述べました重粒子線治療のような時代に即応した高度で先進的ながん医療を実施する施設の整備や、がん医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師その他医療従事者の育成及び確保などの施策を実施することと規定をしております。
 条例施行以来、施設の整備やそれに係る情報収集、また人材の育成など、がん医療の充実に資する取り組みについて、この1年でどのようなことを行ってきたのか、また今後どう取り組んでいかれるのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 条例制定後のがん診療体制の整備、充実につきましては、県がん診療連携拠点病院である県立医科大学附属病院に、強度変調放射線治療対応型のリニアックを平成24年度に整備、本年度には手術室や内視鏡治療室の増室など、がん診療設備の充実を図った新棟が竣工予定となっております。
 地域のがん診療体制の整備としては、同様のリニアックを平成24年度に国立病院機構和歌山病院、本年度に新宮市立医療センターに整備しております。
 がん医療に携わる人材育成については、来年4月、県立医科大学でのがん看護専門看護コースの開講や、がん診療連携協議会と連携した医療従事者への研修を行っているところです。
 拠点病院等では、患者本人の意向が十分尊重されるよう、インフォームドコンセントやセカンドオピニオンの推進、相談支援体制の充実にも取り組んでいます。
 また、県立医科大学では、遺伝子解析による化学療法やがん免疫療法の開発といった新たな治療方法の研究に取り組んでおります。
 議員御指摘の粒子線治療施設につきましては、近隣の大阪市には平成28年度に陽子線治療施設、平成29年度に重粒子線治療施設、神戸市には平成29年度に小児がん向け粒子線治療施設が開設予定と聞いており、こうした近隣府県における先進的ながん医療の情報収集に努めているところです。
 県では、全てのがん検診対象者に個別勧奨を行う市町村への支援を開始したところであり、条例に記載されている、がん患者が居住地域にかかわらず、等しく、がんの状態に応じた適切かつ質の高い医療を受けることができるよう、がん医療の充実を図り、早期発見から専門治療に至る一貫したがん対策の推進に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁いただきました。この際、部長に一言申し上げたいと思います。
 遺伝子治療や医療機器の開発に関しましては、日進月歩で技術が革新されております。引き続き、重粒子線を含めた実効性のある医療の充実を考えていっていただきたい。よろしくお願い申し上げます。
 また、今回は質問はいたしませんが、効果が期待できる検診事業の導入等も、このことも大変重要ではないでしょうか。例えば、通常の肺のエックス線検査よりは低線量CT検査のほうが、がん発見率が高いと言われております。また、胃がんに関しましても、胃がん患者の99%がピロリ菌に感染していることから、ピロリ菌の検査を検診に導入するなどの対策も必要ではないかと考えます。
 財政的なこともあるでしょうが、これらの検査実施体制の整備について県として今後十分検討していただきますよう、この場で御要望さしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、がん対策関連の3点目として、緩和ケアについてお尋ねをいたします。
 昨年10月に、静岡県立静岡がんセンターを視察いたしました。このセンターの基本理念は患者さんの視点の重視であり、がんの患者に最新の医療機器、施設を整備し、最善の医療を提供することはもとより、患者に対するわかりやすい説明やセカンドオピニオンへの対応等、患者参加型医療の推進に努めておられます。
 また、完治が見込めない患者に対しましては、まず社会復帰を目指し、さらに、状態が悪化した患者さんについては、緩和ケア病棟の利用や在宅医療を支援し、充実した緩和医療を提供する体制を整備しております。
 本県のがん対策推進条例第16条では、県は、がん告知の段階から行う緩和ケアの充実を図るため、緩和ケア病棟、緩和ケアチーム及び緩和ケア外来の整備の促進などの施策を実施することと規定をしております。
 がん患者やその家族が直面する痛みなどの身体的問題や、また心理的、社会的問題に対し、的確な対応を行うことが重要であります。緩和ケアの充実に対しての県のお考えを福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) がん患者やその家族が直面するさまざまな不安や苦痛に対する全人的なケアを診断時から提供し、がん性疼痛を和らげるため緩和ケアを組み入れたがん診療体制を整備し、その充実を図っていくことは、重点的に取り組むべき課題と認識しております。
 県といたしましては、がん診療連携拠点病院を中心に、がん患者の方々が緩和ケアを受けられるよう、緩和ケアチームや緩和ケア外来など、診療体制の充実に努めているところです。
 また、がん診療連携協議会と連携し、がん診療に携わる全ての医師、医療従事者が緩和ケアを理解し、知識と技術を習得するための研修を実施するほか、県立医科大学附属病院では、緩和ケアセンター開設の準備を進めているところです。
 今後は、地域と連携した在宅緩和ケア体制の充実を図るなど、さらに緩和ケアの充実、普及を図ってまいります。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 福祉保健部長、御答弁ありがとうございます。
 しつこく言ってきたというのはわかってるんですけど、本当に私の周りでも、がんになったという方が多いです。そして、それは随分前と比べれば、本当に今申してきたように、手術の方法であったり、また機器であったり、随分と昔のがんというイメージからは変わってきたというふうに思うんですが、しかし、そう宣告された御本人であったり、また御家族の方は、本当に心配であります。自分の命がかかっていく、仕事を続けられるかどうかだとか、そういうことが、一番最悪な場合は家族が、ばらばらになってしまう、そういう悲しい事例もあるんですね。
 ですから、本当にしつこく言ってきて申しわけないんですけど、できる限り県のほうでも、このことに関しましてはこれからも考えていっていただきたい、そのように思います。御答弁ありがとうございました。
 それでは、次の質問に移ります。教育であります。
 さて、先ごろ、4年ぶりに全ての小学6年生、中学3年生を対象にいたしました全国学力テストの結果が出ました。都道府県別の正答率は、上位、下位とも固定化されていますが、地域格差は縮小するなど、文部科学省においても全体としての底上げがされたものと評価をしております。
 一方で、和歌山県の状況を見ますと、全国平均との差が縮まっているものの、全科目で平均正答率が全国平均を下回り、特に中学の国語で全国平均との差が大きく開いております。現在も、補習学習の徹底や指導する教員の研修、学力テストの実施などに取り組まれておりますが、この結果を受け、さらなる対策が必要ではないかと考えます。今後の取り組みについて教育長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県の児童生徒の学力は全国に比べ低い状況にありまして、県教育委員会といたしましては、このことを大変重く受けとめています。このため、補充学習の徹底や授業改善のための実践的な研修を積極的に行うなど、市町村教育委員会とも連携して、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 今後、学力向上対策をより充実するため、このたび実施した県独自の学習到達度調査の結果を生かして、各学校や教員一人一人は児童生徒の学力の定着状況をきめ細かく把握、分析し、教師みずからも効果的な授業の創意工夫に努め、毎日子供たちが学校で学ぶことが楽しいということを実感させ、わかる授業、力のつく授業、伸びる授業の取り組みを進めてまいりたいと思っております。
 こうした各学校に対する授業改善の取り組みに対する支援を強化するとともに、家庭での学習習慣の確立にも一層力を入れて取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま、積極的な取り組みを行っていくとの答弁をいただきましたが、学力向上のための方策の1つとして、次に、土曜日の活用についてお尋ねをいたします。
 大分県豊後高田市では、ゆとり教育による学力低下に危機感を持った市長のかじ取りで、学びの21世紀塾を平成14年度から実施しております。出席は個人の判断で、第1、第3、第5土曜は国語、算数、また数学、英語の復習や英会話、そして第2、第4土曜はスポーツ教室などの体験活動に選択で参加するものであり、教員OBや塾の方々が指導に当たっておられます。
 この取り組みの結果、土曜日の学びが定着して、子供たちの基礎力は底上げされ、かつてワースト2位だった県の学習状況調査が8年連続で1位になるなど、成果を上げているとお聞きをいたしております。
 また、文部科学省におきましても、平成26年度概算要求において、土曜日の教育活動の推進に向け、特別非常勤講師の活用支援や土曜日の教育支援体制構築に向けた予算要求がなされております。
 このように土曜日の教育活動を推進する動きがある中で、県として現在どのように取り組んでおり、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のように、学力向上のためには、土曜日をどのように活用するかが1つの大きな課題であると認識しております。
 本県におきましても、市町村教育委員会や公民館等が地域の人材を活用した学習会を開き、学校で学んだことをしっかり定着させるためのサポートをするなど、土曜日を積極的に活用した取り組みを行っているところがあります。
 土曜日を活用した教育活動につきましては、教職員の勤務時間の問題などさまざまな課題はありますが、児童生徒の学力の向上のためにどう生かすべきか、議員御指摘のように、大分県豊後高田市での取り組みを初めとした全国のさまざまな先進事例に学びながら、市町村とも連携をして検討を進めてまいりたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま、教育長に御答弁をいただきました。
 文部科学省の土曜授業に関する検討チームの中間報告におきましても、土曜授業の効果は認めるものの、教職員の代休確保など勤務体制に課題があることから一律実施は見送られたところでありますが、自治体の判断で実施しやすいように省令改正がなされておりますので、積極的な運用に努めていただくよう要望させていただきます。
 次の質問に移ります。
 「グローバル化」という言葉が使われるようになって久しく感じます。情報通信技術の著しい進歩などを受け、まるで国境がないかのように、政治、経済、学術など、さまざまな分野で国際間の相互依存は高まっております。和歌山県でも、県産品や工業製品などの販売促進のため海外市場の開拓に取り組む事業者の方を積極的に支援すべく、さまざまな事業が展開されております。
 このような取り組みも重要でありますが、あわせて、将来の和歌山を担っていく地球的規模で活躍のできる優秀な人材を育成することも重要な課題の1つであります。そのためには、学校での使える英語教育の充実は急務ではないでしょうか。
 このような中、政府の教育再生実行会議の第3次提言である「これからの大学教育等の在り方について」が5月に発表されました。その提言において、国は、グローバルリーダーを育成する先進的な高校をスーパーグローバルハイスクール──これは仮称でありますが、このように指定をし、外国語、特に英語を使う機会の拡大、幅広い教養や問題解決力等の国際的素養の育成を支援するとされております。
 その提言を具体化するため、文部科学省の平成26年度概算要求におきまして、先進的な人文科学、社会科学分野の教育の重点化等に取り組む高等学校を指定し、質の高いカリキュラムの開発、実践や、その体制整備を支援するスーパーグローバルハイスクール事業が要求され、平成26年度に全国で100校の指定を目指すこととされております。生徒の選択肢をふやすため、和歌山県においても少なくとも1校は必要ではないかと考えますが、県としてどう取り組まれるか、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) グローバル人材の育成は本県教育の最重要課題の1つと捉えており、小・中・高等学校と系統立てて、将来、国際社会において活躍する上で必要な英語によるコミュニケーション能力の育成に努めているところであります。
 議員御指摘の国が計画しているスーパーグローバルハイスクールの事業につきましては、語学力とともに国際的素養を身につけたグローバルリーダーの育成を目指すものであり、本県が推進している国際人育成の取り組みを進める上でも効果が期待できるものと考えております。
 本県といたしましても、この事業が実施できるよう積極的に準備を進めてまいります。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 要望させていただきたいと思います。
 世界で通用する大学入学資格を与える国際バカロレアという教育プログラムも御存じかと思います。このうち、16歳から19歳を対象としたディプロマプログラムについて、平成28年から日本語での実施が可能となることから、導入を検討する高校や、また自治体がふえていると聞いております。今後、このような動向を注視し、国際的素養を身につけた人材の育成に努められるよう要望させていただきます。
 英語を話せるっていいですよね。実は、議長を務めさせていただいたときに、仁坂知事と同行させていただくことが多うございました。とりわけ、シドニーに御同行させていただいたとき、本当に仁坂知事の英語は堪能でありまして、素直に格好いいな、勉強しとけばよかったなというふうに思いました。
 これからでも遅くはないんですが、和歌山の子供たちが、英語は任しとけというような形で大きくなっていっていただければ、また違った可能性がいっぱい出てくる、そのように思いますので、今回この質問を取り上げさしていただきました。教育長、よろしくお願いをいたします。
 質問の最後に申し上げたいと思います。
 2013年、平成25年も、残すところあとわずかとなりました。きょうは、教育長に最後、幾つか質問さしていただきましたが、実はこれも議長在職中、教育長からいただいた言葉がございました。「全ては県民の幸せのために」という言葉であります。今も額に入れて事務所に飾らしていただいてるわけでありますが、全くそのとおりであると思いました。
 来年も、私たち県議会は、県勢発展に向け頑張ります。そして、仁坂知事を先頭に県当局の皆様も、全ては県民の幸せのために、元気な和歌山の実現に向け、また新しい年に向かって議会とともに歩んでいこうではありませんか。来る平成26年がふるさと和歌山にとって実り多き1年となりますことを御祈念申し上げ、私の一般質問を終わらしていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第136号から議案第162号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。12月16日及び17日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、12月16日及び17日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、12月18日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時47分散会

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