平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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平成25年12月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成25年12月13日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第136号から議案第162号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第136号から議案第162号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 休会決定の件
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出席議員(40人)
 1番 立谷誠一
 2番 濱口太史
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 鈴木太雄
 10番 岩田弘彦
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 平木哲朗
 18番 岸本 健
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 森 礼子
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
 36番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       市川靖之
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     塩崎 望
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     石原康弘
 会計管理者      植山 均
 教育委員会委員長   山本 哲
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      植田秀人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       宮端 宏
 次長         上坊 晃
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第136号から議案第162号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 29番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、おはようございます。29番谷口和樹でございます。(「頑張れ」と呼ぶ者あり)はい、ありがとうございます。
 私の住む田辺市では、今、ミカンの収穫が最盛期でございます。皆さん、朝から畑へ取りに行って、仕分けして、箱へ詰めて、年末まで本当に大忙しでございます。注文以外の電話をすると本当に迷惑なぐらいお忙しい、そういう状況であります。ことしの田辺のミカンはひときわ糖度が高くて、せんだって先輩議員にも食べていただきましたけども、「おいしい」と言っていただきました。
 先月、東京のほうに四国・紀淡インフラのシンポジウムに行かしていただいたときに、通りがけに──6個ぐらい入ってたかと思います──500円で和歌山県田辺産のミカンが売られていました。地元でいるとわかりにくいところなんですけども、都心では高く評価をいただいているということだと思います。
 皆様、年末年始は、一家団らん、こたつのお供にぜひとも田辺産のミカンをよろしくお願いいたしまして、一般質問に入らしていただきます。
 まず、1番目です。
 日本の女性の乳がんにかかる率は、18人に1人と言われています。30代から急増しまして、40代、50代と非常に多くなっています。欧米の乳がん率が高い、こういう中で日本人も生活様式が欧米化している、このことと関連があるのか、年々増加傾向にあります。しかしながら、早期発見、早期治療で治療することができ、発見のための受診率の向上が死亡率、重症度の低下に直結する、そういう傾向にあります。
 現在、乳がん検診の受診率を50%にと国の取り組みが行われてきましたが、残念ながら、オランダの80%超、アメリカの60%前後にはほど遠い約24%前後で推移をしております。いわゆる乳がん検診では、後進国となっております。
 この受診時の検査には、乳房エックス線、いわゆるマンモグラフィーと超音波検査があり、この乳房エックス線(マンモグラフィー)検査は、乳房をプラスチックの板で挟んで平たくして、乳房専用のエックス線装置で全体を撮影いたします。医師の触診や自己チェックでは発見できないしこりや石灰化のある小さな乳がんの発見に適しており、死亡率減少効果を示すことが証明されています。検査の感度、がんをがんだと判断できる精度は、80%前後だと言われています。乳房を平たくして挟むので痛みを伴うのと、乳腺密度の高い人や若い人の場合はわかりにくいときがあります。
 超音波検査とは、超音波を使って、医師の触診や自己チェックでは発見できないしこりや、見つかったしこりが良性か悪性かといった診断に用いられています。針を刺したり放射線や薬を使わないので体への負担は軽く、乳腺密度の高い人や若い人への検査に適していると言われています。
 この乳がん検診受診の啓発運動がピンクリボン運動であり、ピンクリボン運動は、アメリカの乳がんで亡くなられた患者さんの家族が、このような悲劇が繰り返されないようにと願いを込めてつくったリボンから、1980年代、アメリカでスタートしたと言われています。
 以来、行政、市民団体、企業などが乳がんの早期発見を啓発するためのイベントを展開したり、ピンクリボンに関連した商品を販売したりして、その売り上げを団体や研究に寄附したりして社会の意識を変えてきました。1990年代から急速に広がり、1993年にはナショナルマンモグラフィーデー──10月第3週金曜日──が制定されました。乳がんの早期発見の手段と重要性を国中に広げるための活動が、政府、関係学会、市民団体、企業が連携・協力し、大きく広がりました。
 このピンクリボン運動の象徴的なものが、社会的なシンボルをピンクにライトアップして啓発のメッセージを送るピンクライトアップでありまして、日本でも2000年に東京タワーがピンクにライトアップされました。その後、徐々に広がり、華岡青洲生誕の地、和歌山県でも、紀三井寺、そして金剛峯寺などで運動が始まっています。
 紀南では、ピンクリボン紀南が2010年に運動を始めまして、乳がん検診啓発月間の10月には、熊野本宮大社の大きな御協力を得まして、大斎原の大鳥居をピンクにライトアップし、啓発を行っています。このピンクリボン紀南は、さらには春に手づくりのリボンを市民の方に配布して、つけてもらって啓発運動を行っています。約1万個つけていただいています。
 活発になるピンクリボン運動、いわゆる乳がん検診受診啓発運動ですが、国は、これと同時に、50%の受診率を目指して進めてきたはずですが、来年度からがん検診助成事業の見直しがあると聞いています。今後の県の取り組み、方向性、ピンクリボン運動への支援について、福祉保健部長にお聞きをいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 乳がん検診は、早期発見・早期治療により死亡率を低減させる効果が大きく、受診促進を行うことが重要であると認識しております。
 平成21年度に開始された国のがん検診推進事業によって、本県の乳がん検診受診率は、事業開始前に比べて、受診者数で約1万4000人、受診率で約8%上昇するなど、一定の効果がありました。来年度、国の事業は、基本は40歳を対象としておりますが、過去に無料クーポンの配布を受けた未受診者を対象に加える予定としているため、影響は少なくなるものと考えております。
 県では、本年度から全てのがん検診対象者に個別勧奨を行う市町村への支援事業を開始しており、この事業によりさらなる受診率向上を図ってまいります。
 また、本県は華岡青洲の生誕の地であり、乳がん患者団体や支援者が乳がん検診の啓発を目的としたピンクリボン運動を積極的に展開されております。県といたしましては、こうした活動とも連携しながら、がん検診受診率50%を目指して、乳がん検診の受診促進に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 せっかく資料を出さしていただいたので、見ていただけたらと思います。大斎原のライトアップの写真を載せさしていただいています。あわせて、横に県内の市町村の受診率、これを載せさしていただいております。参考までに見てください。
 実は、この質問をしようとしたとき、当初はクーポンが40歳のみになるということで、国の制度がそういうふうになるということでお聞きしました。その後、二転三転されまして、最後、国は補正で、5年刻みで送っていたのを、40歳と今まで行っていない全年齢に出しますということに変わったわけでございます。これは、一旦、結果オーライということになるのですけれども、国の、女性の命を守るということに対しての扱いが軽いというのが露呈した形のように見えます。
 県は、国の方針がわかった最初から、足りないところは県でと決められていたということもお聞きしております。今後とも、国の動向に惑わされず、変わらぬ姿勢で御支援をよろしくお願いしたいところでございます。
 続きまして、2点目に入ります。
 こちらも資料のほうを用意してますので、あわせてごらんいただけたらと思います。
 国道311号の事故多発地点の対策についてでございます。
 国道311号、中辺路町栗栖川に馬留食堂というのがあります、この付近。そして、上富田町下鮎川、加茂橋の手前の上流50メーターぐらいの付近です。両地点とも道路改良の要望が届いているとは思いますが、長年、事故が多発しています。警察による交通安全対策、反射板や車線を引いていただいたりと、これ以上ないくらい頑張っていただいていますけれども、なかなか、現状、事故は減らず、根本的な道路改良をせずにずっと来ています。
 資料2の1を見ていただきたく思います。中辺路町栗栖川地点では、写真を見ていただくとわかるんですけども、ロングの車両がすれ違いできないほどの角度で曲がっています。知っている車は、一旦とまって、なくなってから進む、こういうようにしてるわけですけども、知らない車というのは本当に危険な状況です。あわせて、通学路、そして生活路というのが、ここに重なっております。こういう危険なところでございます。
 もう1つは、資料2の2でございます。上富田町下鮎川、この地点は直線から入るS字カーブで、カーブの角度が見えにくく、オーバーランして正面衝突事故、膨らんでの単独事故が多発しています。写真と、その下には過去5年のこの地点の事故件数というのをいただいて載せております。当然、夜中、明け方、暗くなってからの事故というのが多く、件数からしても、警察、そして消防の出動、本当に大変だろうと思います。近所も当然同じです。
 せんだって、息子のランニングに自転車でついていってるときに、ここの地点のS字カーブでおじさんが曲がり切れずにそのまま突っ込んでいました。けががなくて本当によかったのですけれども、当然、すぐに警察も来ていただいて事故処理もする中で、渋滞が起こって、人も集まって大騒ぎになったわけなんですけども、これは年に何度も、そして何年も見続けている光景でございます。
 今まで過去5年の交通事故件数、消防の出動件数、負傷者の数、そして小規模対策、いろいろしていただきましたけども、こういうことを金額換算して、あわせて児童や高齢者、地域への影響などを考えていただいて拡幅改良をしていただけないか。この2カ所に関しての経過と問題点、見通しについて、県土整備部長に見解をお聞きいたします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 国道311号、栗栖川地内におきましては、幅員が狭小で歩道が設置されていないなど、交通安全上、支障を来す区間がございます。
 県としましては、平成23年度から、社会資本整備総合交付金を使い、まず原之瀬橋付近において、歩道整備と合わせた道路拡幅を実施しているところです。また、議員御指摘のJRバス栗栖川駅付近につきましては、現在事業中の区間の進捗状況を勘案し、地元の意見も聞きながら、歩道整備と合わせた道路拡幅について検討してまいります。
 次に、国道311号の上富田町下鮎川地内、加茂橋付近につきましては、平成19年度に、運転者に減速を促し注意を喚起する標識や路面標示等の交通安全対策を行った結果、対策前後の5年間を比較すると死傷者事故数は半減しており、一定の効果があったものと考えております。
 しかしながら、議員御指摘のようなカーブが急で見通しが悪いという現状を踏まえ、町や関係機関の意見も聞きながら、線形改良を含めたさらなる交通安全対策の必要性について検討してまいります。
○議長(山田正彦君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 この2カ所の過去5年の事故状況を見ていただいて、今後検討していただけたらと思います。
 この311号線ですけども、南紀熊野博を契機に、旧来の311号線、これに大幅改良を加えて利便性というのが増したわけでございますけれども、もともとの311号線の箇所というのがところどころ残っています。通りがよくなった部分、旧来の残った部分には詰まりが生じて負担がかかっている、こういう状況でございます。世界遺産観光と生活道路、これが重複する紀南の大動脈としての意識というのを高く持っていただいて、世界遺産登録10年、これを契機に、全体の整備計画といいますか、改良計画といいますか、また描いていただきたい、このように思っているところでございます。
 続きまして、3つ目の質問に入ります。
 田辺市選挙区、西牟婁郡選挙区の統合について質問をさしていただきます。
 田辺市と西牟婁郡、長らくともに発展をしてきました。時代の移り変わりとともに、地域の姿というのは大きく変化をしてきています。昭和の高度経済成長期などを経て、各市町村おのおのがある程度の潤沢な財政によって独立して運営してきていたのが、平成になり、バブルの後、厳しい財政事情から、周辺市町村、そして経済圏、生活圏でも、さまざまな広域連携によるコストダウン、効率化が進んでまいりました。当然、広域合併もその1つの事例であると思います。
 田辺市、西牟婁郡でいいますと、病院、消防、防災、処分場、広域で協議が進んでいます。当然、インフラでは高速道路、せんだってから先輩方からお話がある南紀白浜空港などもそうなんですけども、加えて、労働、消費、教育面でも、田辺市、西牟婁郡は、田辺市から西牟婁郡、西牟婁郡から田辺市へと、常に人、物が行き交いながら成立をしています。
 議員は地域の代表でありまして、その地域の設定というのは根元の部分だと思います。田辺市、西牟婁郡の現状からは同選挙区が合っているのかと、私はこう考えますが、実際、今後の選挙区併合というのは可能かどうか、公職選挙法の法解釈について、和歌山県選挙管理委員会委員長にお聞きをいたします。
○議長(山田正彦君) 選挙管理委員会委員長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(上山義彦君) 県議会議員の選挙区につきましては、公職選挙法第15条第1項において「郡市の区域による。」とされているため、現在、田辺市と西牟婁郡を1つの選挙区とすることはできないところですが、先日、12月11日、公職選挙法の一部を改正する法律が公布され、都道府県議会議員の選挙区は、1つの市の区域と隣接する町村の区域を合わせた区域とすることも可能となったところです。
 今後、和歌山県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例が改正されれば、平成27年3月1日以降に期日を告示する一般選挙から、田辺市と西牟婁郡を1つの選挙区とすることもできるようになります。
 以上でございます。
○議長(山田正彦君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 1生活圏1選挙区、これが目指すべき姿かと思い、選挙区統合の公職選挙法の法解釈についてお聞きをいたしました。
 続きまして、4番の質問に入ります。
 国の方針で、農業改革、とりわけ米農家への改革、特に戸別所得補償、減反政策の見直し、廃止への方向が次々打ち出されていますが、和歌山県の地理的な要因から、大規模農家への集約などは難しい上、国の減反政策で休耕田となった農地の復活や耕作放棄後の過疎で、特に中山間地の農家の減少や後継者不足の状況の中、取り残され、廃業を迫られる、こういう状況が予想されます。
 この国の方向転換に対して県はどのような対応を考えておられるか、知事にお聞きいたします。
○議長(山田正彦君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県農業は、果樹や野菜などの園芸作物の栽培面積が全体の約7割を占め、農家1戸当たりの水田面積は約0.5ヘクタールと少ないという特徴があります。このため、米の転作交付金と所得補償を合わせた昨年度の1農家当たりの交付額は、全国平均では約50万円あるんですけれども、本県は約10分の1の4万6000円程度となっております。
 私は、県内農業振興のためには、この所得補償よりも、農業の競争力強化に向けた政策に重点を置くべきだと考えております。こうしたことで、県では、農業緊急戦略アクションプログラムに基づき、生産対策を強化するとともに、国の内外への販売対策に力を入れて取り組んでいるところでありまして、例えば米については、JA紀南の「霧の精」のように、ブランド力を高め、競争力をつけるということも1つの方策であると考えております。今後も、農業の収益性を高める施策を重点的に実施してまいりたいと思っております。
 しかしながら、日本型の直接支払い制度などを含めた米政策の見直しについて、本県農業に大きな影響を与えるようであれば、必要に応じて国に対して申し入れをしていきたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 和歌山県の農業を1つの生産販売の会社と県を経営陣と例えさしていただきますと、先ほどのブランド化、収益性を高めるのは販売努力、これは本当にこれからも県で全力を挙げて頑張っていただきたいところではございますけれども、同時に、生産、売る者、つくる人がなくなると会社というのは成り立たない、このように思います。転作交付金、所得補償など、いろんな制度はありますけれども、会社に例えると設備投資、雇用投資に当たると思います。販売努力とともに生産努力も両輪でお考えいただきたい、こういうのが私の考えでございます。
 話は変わりますけれども、韓国へ行くと「日式」というレストランの看板を見ます。日本料理式ということだと思いますが、現在、和食がユネスコ無形文化遺産登録に申請され、ほぼ内定をしているとお聞きします。和食と日式の違いというのは何でしょうか。
 和食と日式の一番の大きな違いは、日本国内産で食材が賄えるかどうか、こういうことだと思います。TPP、消費税導入、今回の農業政策の転換、さらには、せんだっても先輩議員からありましたけども、農業に欠かせない軽トラックを含めた軽自動車税の税金も上がるとお聞きします。
 ここ1年の政府の農家への対応で、著しく県内の農業者というのは劣勢に追い込まれてきております。農業従事者の減少、過疎化、田畑の減少などで、世界遺産の和食も含めまして、和歌山の食文化というのは維持できるのか。例えば50年後、日式で生活するようになっていないか、このように考えるところでございます。
 地域農業というのは、食文化であって、生活文化であって、県そのものではないかと思います。市場の原理、これにばかり目を奪われるんではなくて、保護ではなくて和歌山県の農業の育成、そして投資に取り組んでいただきたいところでございます。食料供給県としても国へ対応していただきたい、このように考えるところでございます。
 質問のほうは以上でございますけれども、田辺に江川漁港というのがあります。せんだって、そこの漁師さんのイサギ漁に同行をさしていただきました。台風の合間を縫いまして、朝5時半過ぎに出港して、1時間かけてナビと陸地の山、この山とあの山の交わる角度、こういうところを見ながら、水深約80メートルのポイントを目指して行くわけなんです。最高のポイントにいかりをおろすには、その日の風、潮の流れ、そして船を操る技術と経験というのが要る、そういう状況で連れていっていただいたわけです。
 いかりをおろしまして、仕掛けを入れます。30センチぐらいのかごにオキアミを入れまして、その下に擬似針を5つぐらいつけるわけなんです。底に着くと2~3回たぐる。そうするとオキアミが出て、間違ってその擬似針を食べる。こういう漁法でとるわけなんですけども、80メーターの糸をたぐるために、自転車のチューブを加工した自製の指サックというのを持ってたぐるわけなんです。
 おもしろいのが、形のいいイサギが釣れますと、漁師の方は「ええ顔や」と、「べっぴんさんや」と、そういうふうに言うわけです。その日はいつも並みの水揚げだったんですけども、「燃料費、餌代を引くと、まあちょっともうかる程度やな」というようなお話でした。
 寒さと荒波の中、とってきたイサギを刺身でいただくとこりこりで、鮮度、魚のおいしさ、これを見きわめるハードルというのが世界陸上並みに上がります。同時に、食卓に上がるまでの苦労に、食べる前に手を合わせることの大切さ、この意味を改めて考えます。
 何を言いたいかと申しますと、これから年末年始、忘年会、新年会のシーズンであります。安くておいしい夕方揚がりのこりこりのイサギを食べに、龍神、本宮、温泉もあります田辺市のほうにぜひお越しをいただくようにお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕(拍手)
○鈴木太雄君 皆さん、改めまして、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。最後までおつき合いのほど、よろしくお願いいたします。
 大項目の1として、主要な県道整備について質問をいたします。
 まず、小項目の1点目として、県道平瀬上三栖線の整備についてであります。
 現在、県におきましては、紀南地方における主要な幹線道路について、中でも一昨年に起こった台風12号災害からの災害復旧工事につきましては、特に県管理の国道311号真砂から滝尻間や、県道田辺龍神線虎ケ峰付近等、順調にその工事が推し進められており、完全復旧が待ち望まれているところであります。
 また、国道311号が寸断した際の迂回路となった県道近露平瀬線については、ちょうど2年前の平成23年12月議会での一般質問において待避所設置に取り組む旨の答弁をいただき、現在、田辺市近露から同市下川下の区間で特に整備を急ぐ3カ所を選定し、測量設計を行っていただいております。いよいよ来年度には、用地の取得を行った後、工事に着手したいとお聞きしており、大変感謝をいたしているところであります。
 次に、県管理の国道371号については、紀北、紀中と紀南地方とを内陸部で結ぶ唯一の緊急輸送道路である県道龍神中辺路線の代替路としても大変重要な路線であり、残る未完成区間の龍神村殿原地区において、現在、橋梁及び改良工事が推し進められているところであります。
 今申し上げましたような主要な幹線道路の整備については、いずれも順調に工事が推し進められておりますが、そういった中にあって、県道の平瀬上三栖線、田辺市中辺路町西谷から同市上野間につきましては、用地取得の難航等により、その事業が休止をしている状況にあります。
 改めて申し上げますが、本路線は、地域間を結ぶ主要な道路であり、災害など緊急時には国道311号の代替路にもなります。しかし、現道は幅員が狭隘で線形も悪く、乗用車の対向や大型車両の通行が困難な状況であり、そのため、以前より事業再開に向け地元要望が根強い路線でもあります。
 ここで、休止をしているその区間の早期事業再開についてどのようにお考えか、県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの鈴木太雄君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 県道平瀬上三栖線は、田辺市中辺路町西谷から同市中心部に通じる生活幹線道路であり、また議員御指摘のように、災害時には国道311号の代替路ともなる路線であります。
 議員御指摘の田辺市中辺路町西谷から上野までの区間につきましては、狭隘な区間が連続していることから、事業を再開する方向で、平成24年度には概略設計を、平成25年度には予備設計を行うなど、ルートの検討を進めております。
 今後、地籍調査の進捗につきましても市や地元関係者の協力を仰ぎながら、本区間の事業の着手時期を検討してまいります。
○議長(山田正彦君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 次に、小項目の2点目として、県道上富田南部線の整備について質問をいたします。
 県道上富田南部線は、上富田町からみなべ町に至る国道42号を補完する非常に重要な路線であります。田辺市域の下万呂から秋津町田尻間においては、秋津野橋の橋梁つけかえを含め、1.3キロメートルの区間で工事が本年7月に完成をし、引き続き、中万呂地区の0.5キロメートル区間について測量設計が行われてるところであります。
 本路線から先の紀南病院前を通る温川田辺線までの区間については、現時点において整備予定がないと聞いておりますが、幅員が狭隘で特に線形も悪いため、区間を延長した整備が地域住民から求められているところであります。
 また、同市秋津町の右会津川沿いの紀南農協秋津支所から岩口池入り口交差点までの区間については、バス路線や通学路になっており、先ほどと同じく、幅員が狭隘で車両が対向できない上に歩道も整備されていないため、交通に支障を来し、児童生徒にとっても極めて危険な状況下であります。
 このため、本路線の未整備区間に対し、約20年前から長きにわたって地元要望がなされており、先般も地元から県に対し、改めて署名を添えて陳情が行われたところでもあります。さらに、同線稲成町までの区間についても、幅員はあるものの急カーブが多く、非常に危険な状況下にあります。
 以上のような本路線における未整備区間について、整備方針をも含め、県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 県道上富田南部線につきましては、議員御指摘のとおり、田辺市下万呂から秋津町までの1.3キロメートル区間が本年7月に完成し、引き続き田辺市中万呂の人家連檐区間0.5キロメートルの測量設計に着手したところです。
 その先線となる県道温川田辺線までの区間につきましては、事業中区間の進捗を踏まえ、市や地元関係者の意見を聞きながら、整備のあり方について検討したいと考えております。
 また、秋津町地内の右会津川に沿った区間につきましては、幅員が一部3メートル程度の特に狭隘な区間があります。この区間はバス路線であり、また地域の重要な生活道路でもあるため、用地協力が得られるのであれば、狭隘区間の解消について検討してまいります。
 さらに、田辺市稲成町までの区間につきましても、交通状況を勘案し、地元の意見を聞きながら、特に狭隘な、また急カーブの箇所につきましては、現道対策について検討してまいります。
○議長(山田正彦君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 今回質問いたしましたいずれの路線も、未整備区間が整備・解消されれば、生活用道路としてはもちろんのこと、他路線の代替路として非常に効果的かつ安全性も確保されることから、その整備や取り組みについて、ぜひ推し進めていっていただきたいと思います。これは要望といたします。
 続けて、大項目の2である梅産地の振興について、小項目4点にわたって質問を、また、この項の最後に要望を行います。
 まず、小項目の1点目として、梅干し等の動向について、特に梅干しの価格についてであります。
 梅は、言うまでもなく、本県を代表する農作物の1つであり、特に紀南地方においては、梅栽培農家を初め、梅干しや梅酒等の製造販売業、また観梅による観光業等、梅関連の産業が非常に盛んであり、裾野の広い地場産業として地域経済の大きな柱となっております。
 そういった中で、青梅の販売については、ことしも例年どおり、県や市町村、農協など、産地においてさまざまな取り組みを行っていただいておりますが、昨年の凶作により量販店の売り場面積が縮小されたことに加え、本年は全国的に豊作傾向であったことなどから、販売価格については非常に厳しい結果となりました。
 こういった状況下で、市場からは、小梅、古城、南高へと続くリレー販売について計画出荷の要望があり、早急に対応する必要があるのではないかと考えております。
 また、年末を控え、梅干しの流通も大変厳しいため、いまだ取引をしてもらえない農家もありますし、その上、梅干しの取引価格についても、公正取引委員会の警告以降は各社まちまちでありますので、産地の農家は梅の今後について不安を抱いております。やはり再生産価格を考慮した取引の確立が大変重要であり、求められているのではないかと考えるわけであります。とりわけ、この夏は、猛暑により熱中症対策として8月、9月の1世帯当たりの梅干しの購入数量や購入金額は前年同月よりも伸びているようでありますが、消費回復までに至っていないのが実情であります。
 今後、梅干しの消費拡大はもちろん、青梅の需要を拡大し、青梅と漬け梅のバランスを調整することも必要と考えておりますが、県として、取引価格の安定と継続的な需要を図るための方策についてどのようにお考えでしょうか。農林水産部長に御見解をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 本年産梅は、着果数、肥大ともに良好で、生産量は過去最高の7万9000トンとなり、農家が1次加工した白干し梅も、塩の使用量から見ると、例年の1.5倍に相当する約350万たるが生産されているものと推計しています。
 消費者の低価格志向が続く中、白干し梅は単価の高い等級の取引が進んでおらず、生産農家の経営が厳しい状況であると承知しています。
 県といたしましては、梅の消費拡大対策として、健康によいといった機能性の研究支援や、その成果をPRするフォーラムの開催に加え、梅干しについては、関係団体と協力して小学校等への配布を行っているところでございます。
 また、梅干しの消費量が10年前に比べて約2割程度減少する中で、梅干し以外の用途への拡大を図るため、梅ジュースや梅酒に適した品種への改植支援などの生産対策を実施するとともに、人工酸味料を添加した梅酒と、それを使っていないいわゆる本格梅酒を区別する表示基準の策定を財務省に要望しています。
 梅は本県農業の基幹品目であることから、関係市町やJAなど産地の方々とより一層連携を図りながら、梅干しの消費拡大や生産対策に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
○議長(山田正彦君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 次に、小項目の2点目であります。今後に向けた梅干し等の販路拡大の方策と取り組みについて質問をいたします。
 先ほども申し上げましたが、本年産の梅は大豊作であり、農家が抱える梅干しの在庫も大量となっております。来年も豊作となると、本年産の在庫とも相まって、通常の梅干し販売チャンネルではとても対応し切れないのではないかと危惧をいたしております。
 そういった中、田辺市とJA紀南でつくる紀州田辺うめ振興協議会では、先月8日に、梅干し製造時に発生する梅酢から抽出したポリフェノールにインフルエンザウイルスの増殖抑制と不活性化作用を発見したと発表をされました。これは、県の果樹産地再生緊急対策事業を活用して、元県立医科大学教授で和歌山信愛女子短期大学の小山学長のグループらに研究委託した成果であり、今後、うがい薬や抗ウイルス食品など、梅の機能性を生かした商品開発につながるものと期待しているところであります。
 このように、県においても県産品の販路拡大につなげようと努力をいただいておりますが、今後、在庫も含めた梅干し等の販路拡大についてどのように取り組まれるか、農林水産部長に御見解をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県では、従来より、スーパーマーケット・トレードショーやFOODEXといった大型商談会などにおいて、県産品の販路開拓に積極的に取り組んでまいりました。
 昨年度からは、梅を初め、和歌山のものはおいしいし、さらに健康にもいいといった機能性等についてもPRしていこうということで、「おいしい!健康わかやま」を積極的に推進しています。
 自治体ではほかに類を見ない取り組みとして、県産食材機能性ガイドを作成、配布するとともに、数々の健康関係のマスコミ媒体にも取り上げていただくよう働きかけるなど、機能性のPRに努めているところでございます。また、単なる販売促進だけでなく、アスリート向け梅干しの開発や食品メーカーへの食材・原料提案など、多角的な販路開拓にも努めております。
 折しも、和食が世界無形文化遺産に登録され、今後注目が期待される中、本県特産のしょうゆやみそなどとともに梅干しが食材の1つとして再認識してもらえるよう、国内はもとより、海外への販路拡大にも取り組んでいく所存でございます。
○議長(山田正彦君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 次に、小項目の3点目として、将来を見据えて梅との複合経営や新たな農産物の発掘について質問をいたします。
 梅は、去年の凶作から一転して本年は大豊作であったように、近年の温暖化の影響もあり、生産量や販売価格等が不安定で、梅農家の経営は年々厳しさを増してきております。こうした状況では後継者も残りにくく、産地の先細りが心配をされております。
 そういった中、国では、米や麦、野菜、果樹等の価格が下落した場合、農家の収入減少分の一定割合を補填する収入保険制度の検討を既に始められておりますが、制度の導入に至るまではしばらくかかるでしょうから、当面はこの制度を当てにすることはできません。
 私は、常々、梅農家の経営を安定させるためには、梅をベースとしながらも、多品目を取り入れた複合経営によりリスクを分散することが重要であると考えておりますし、事実、県においても既に取り組まれております。また、そうした複合経営に加え、将来的には、梅以外の新たな産物による産地化も必要となるのではないかとも感じております。この点について、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 一般的に単一経営は作柄による価格変動の影響を直接的に受ける点からもリスクが大きく、議員お話しのとおり、経営安定のためには複合経営が有効であると考えております。
 例えば、施設での野菜栽培は、永年作物とは違って年間複数回の収穫が可能、需給動向に応じた作物の転換が容易などといった利点があります。このため、県といたしましては、複合経営に取り組もうとする果樹農家の野菜・花卉用ハウスの導入を支援する和歌山版複合経営産地育成事業を昨年度から実施し、紀南地域の梅農家さんにも御活用いただいているところでございます。
 新たな産物の産地化の必要性については県としても認識しており、今後も関係市町やJAとよく相談しながら検討してまいります。
○議長(山田正彦君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 次に、小項目の4点目として、梅酒の販売促進について質問いたします。
 国内での梅酒の販売状況は非常に好調であり、それにつれ、日本全国で梅酒の生産量もふえてきている状況にあります。日本洋酒酒造組合の統計によりますと、平成2年の梅酒生産量7189キロリットルであったものが、平成21年には約5倍の3万5234キロリットルにも伸びてきております。
 梅酒は、20代の若い女性を中心に人気が高まっていることや、近年の酒類等でカロリーオフや糖質オフなどといった機能系飲料の普及があり、梅酒においてもその約4割が機能系梅酒であることから、生産量が増加をいたしております。また、梅酒人気は国内のみにとどまらず、今や海外への輸出製品として、日本酒や焼酎などとともに急成長しております。
 そういった状況下において、最近では、県内の酒造事業者はもとより、梅干し製造事業者においても、紀州産の梅を使用した梅酒の製造がふえてきております。日本一の梅の産地である紀南地方においても、田辺市を初め、みなべ町や上富田町で、梅の販売促進といった観点から、梅酒などに関する特区の認定を受け、梅酒の製造事業者をバックアップしているところでもあります。
 加えて、全国で乾杯条例が制定されておりますが、海南市においてもさきの10月に地酒で乾杯を推進する条例が制定され、今般、田辺市でも、梅酒や梅加工品の消費拡大による地域活性化をにらんだ通称「梅酒で乾杯条例」が議員提案により制定されたところであります。
 その内容について少し御紹介いたしますと、この条例は、梅の生産量日本一を誇る本県において、代表的な品種である南高梅等を原料とした紀州梅酒や梅ジュースによる乾杯の奨励と、梅干しなどの梅製品を積極的に普及させることで梅の消費を拡大し、さらなる紀州梅ブランドの確立、梅関連産業の振興・発展及び地域の活性化並びに市民の健康維持増進を図ることを目的としております。
 また、同時に、市、梅生産者、梅製品の事業者に積極的な取り組みを求めるとともに市民にも協力をお願いするものであり、県内はもとより、全国的な梅製品の消費拡大を期待するものであります。
 国内の梅酒人気の高まりとともに、このように、梅産地の各自治体においても地域全体で機運の醸成を図ろうと努力をいただいてるところであります。県としても、日本一の生産量を誇る紀州産梅の振興という観点から、梅酒の販売を促進していく今が一番の好機ではないかと考えますが、現在の取り組み状況と今後の販売促進について、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 梅酒の需要は、議員のお話のとおり、この20年近くで約5倍に拡大しており、要因として、若い女性を中心に、香りがよくて飲みやすいといっただけでなく、健康増進の効果もあるということで人気を集めていると受けとめています。
 県では、先ほども申し上げたとおり、「おいしい!健康わかやま」をキャッチフレーズに県内事業者の販路開拓を支援するとともに、首都圏でのPRイベントでもマスコミやバイヤー関係者等に梅酒の魅力をアピールし、好評をいただいております。
 県内梅酒メーカーも、国内はもとより、海外市場開拓にも積極的に取り組んでおり、また、お話のように、田辺市の梅酒で乾杯条例など、地元自治体でも機運が盛り上がってきていることから、今後もさらに各関係機関と連携しながら、本場紀州の梅酒の販売促進に取り組んでまいる所存でございます。
○議長(山田正彦君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 次に、梅の生育不良、根枯れについて要望いたします。
 これまで、本県においては梅の生育不良について、植物生理や大気環境等の専門家で構成された和歌山県うめ対策研究会の報告に基づき、新たに設置したうめ研究所において、栽培管理、養水分管理などの研究や現地指導、また補助事業による改植や土壌改良への支援を行っていただいております。その結果もあり、生育不良樹の栽培面積に占める発生割合は、ピーク時に11.6%であったものが、現在、0.6%まで減少している状況であります。
 しかし、先日行われた田辺うめ対策協議会による平成25年の梅生育不良樹に係る発生本数調査では、田辺市内で前年より約350本もの増加が見られます。その中には、地上部は健全であっても根が枯れている木もあり、今後、地上部に生育不良の症状が発現するのではないか、また発生本数が増加するのではないかと、農家から不安視されてるところであります。
 本年、梅はかつてない大豊作となり、夏の間の高温干ばつも厳しく、例年以上に木に負担がかかっているのではないかと話している農家の方もいらっしゃいますが、いずれにせよ、県におかれては、関係市町やJAと十分連携をして、梅の根枯れを含めた今後の梅生育不良の発生やその状況について、例年以上に注視しておくとともに、必要に応じてその対策もしっかり講じていただきたいと、このように要望いたします。よろしくお願いをいたします。
 それでは、引き続き、大項目の3であります。鳥獣害対策について、特に捕獲に取り組む農家の負担軽減について質問をいたします。
 近年、イノシシや鹿、猿などの野生鳥獣による農作物被害が深刻な問題となっているのは、皆さん御承知のとおりでございます。全国的に同じような状況にあり、被害金額は200億円前後で推移している状況です。また、本県におきましても被害金額は3億円前後で推移しており、鳥獣害対策を行っているにもかかわらず、なかなか被害が減らない状況にあります。このような状況が続くと、農家自身の栽培意欲の減退にもつながり、耕作放棄地増加の原因となる可能性もあり、農業振興上、解決しなければならない問題であります。
 しかし、農家自身も農作物が被害に遭うのを黙って見ているわけではなく、鳥獣害対策として主にわな猟免許を取得し、箱わなやくくりわなで野生鳥獣を捕獲されております。近年では、イノシシや鹿などといった野生鳥獣を農家自身が捕獲するという動きが目立ってきている状況であります。
 国を初め県や市町村も鳥獣害対策に支援をされているところでありますが、わなでの捕獲の場合、餌やりや見回り等が負担になるため何とか軽減できないものかと思っておりましたが、昨年度、規制緩和により、わな猟免許を持たない補助者も餌やりや見回りが可能となり、地域ぐるみで捕獲活動ができることとなりました。
 しかし、農家の方の場合、猟期に狩猟を目的としてわな猟免許を取得しているのではなくて、自衛手段としての有害捕獲であり、そのための狩猟者登録等にかかる費用が2万円を超え、経済的負担となっているので何とかならないかという声をよくお聞きいたします。
 そういった状況下で、鳥獣保護法の改正の検討に際し、平成24年11月に環境大臣から中央環境審議会に対し「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について」が諮問され、それに対する答申素案が、現在、パブリックコメントで公開されております。その検討に当たっては、特に緊急を要するニホンジカやイノシシの個体群管理に焦点を当てて議論を深めたとされており、効果的な捕獲体制の構築として、農林業者等がみずから行う被害防止のための捕獲についても議論されております。
 その内容はわなを用いた捕獲の規制緩和についてであり、答申素案では、「事業地内に限り、時期を問わず囲いわな、箱わなを用いた捕獲許可を不要とするなど、捕獲に係る手続きの簡素化を行うことは、農林業者が自ら行う被害防止のための捕獲の推進に寄与する」となっています。今後の法改正による規制緩和については安全性の確保などが危惧されているものの、箱わなに対する捕獲従事者要件のさらなる緩和が実現すれば農業者等への負担軽減につながるものと考えております。
 また、県のくくりわなに対する要件緩和においては「経験者のもとでは、1猟期を経過すれば有害捕獲に従事できる」とされておりますが、特にこの点である有害捕獲許可に係る経験者要件を県がさらに緩和すれば、先ほど申し上げた農業者等への経済的な負担軽減にもつながると考えますが、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 捕獲に取り組む農家の負担軽減については、これまでも狩猟免許取得やわなの購入に対する補助を行ってきましたが、個々の農家にとっては負担は大きいという声をお聞きしています。
 現在、国で行われている「農林業者等がみずからの事業地に限り、時期を問わず、囲いわな、箱わなを用いた捕獲許可を不要とする」という議論は安全について引き続き検討が必要となっていますが、鳥獣保護法の改正による規制緩和は農家の負担軽減につながることですので、肯定的に受けとめております。
 また、県が行っているくくりわなの有害捕獲許可に係る経験者要件の緩和は、農業者の負担軽減になっているものと考えております。
 くくりわなの有害捕獲において経験者要件をさらに緩和する場合、和歌山県第11次鳥獣保護事業計画の変更が必要となりますので、今後、関係者の意見をお伺いしながら、安全性を確保しつつ、農家の負担軽減となる内容を検討し、変更協議を行ってまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 ぜひ農業者等の気持ちを酌み取っていただき、経済的にも負担軽減が図れるように県としても御努力をいただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。
 続いて、4項目の海上における津波発生時の情報のあり方について、3点にわたって質問をいたします。
 その1点目として、海上における情報伝達の現状と認識について質問をいたします。
 現在、本県において東南海・南海地震等による津波の発生が懸念されている中、改めて言うまでもありませんが、地震発生時には、第1報として、防災行政無線による放送を初め、防災わかやまメール配信サービスやエリアメール、または緊急速報メール等、さまざまな手段で住民等へ緊急情報が発信をされます。そのことにより迅速に避難行動をとることができ、命を守ることにつながるものであります。
 また、災害発生後においては、避難情報の収集並びに避難所内での安否情報や支援物資情報の収集など、極めて重要なことから、情報伝達手段の改善や複層化に鋭意取り組まれているところでもあります。つまり、山村、農村、漁村、まち等を問わず、陸上においては、地震発生時、第1報の緊急情報が瞬時に発信されますし、発災後においても情報伝達手段が着実に確立しつつあると考えております。
 また、海上域におきましても、去る9月議会で行われた一般質問での答弁で、海上域における漁業者への情報伝達については、操業エリアのほとんどをカバーし、漁業者にも広く普及している携帯電話メールの緊急地震速報で認識していただくことが最も迅速かつ確実であると考えているとのことであり、私も、海上域における携帯電話への地震緊急情報の発信は有効な情報伝達手段として理解してるところであります。無論、言うまでもありませんが、携帯電話のサービスエリア内を航行している船舶においてもしかりであります。
 しかしながら、漁船の操業中においては異なる事情があるのも事実であります。そもそも、漁業者は、操業中、水しぶきをかぶる作業であり、かっぱを着用するため、ほとんど携帯電話を身につけておらず、潮をかぶらないようデッキ等に保管をいたしております。また、仮に身につけていたとしても、特に網を上げている作業中などでは、携帯電話をのぞくことや着信を確認することは到底できるものではありません。
 さらに、まき網漁船等においては、大きなエンジン音や振動があることに加えて、スピーカーを通した無線を使用しているため、第1報の緊急地震速報に気づくことは非常に難しい状況にあります。
 このことを踏まえていただき、改めて海上域における情報伝達の現状とその認識について、知事の御見解をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 海上で操業中の漁業者に対する地震発生時の第1報の伝達手段としては、携帯電話による緊急地震速報や緊急速報メールが普及率とか一斉同報機能という観点から最も迅速かつ確実な手段であると思います。大体35キロぐらいだったら届くということのようでございます。
 しかしながら、議員お話しのように、携帯電話を身につけずにデッキに保管する、あるいはエンジン音等で気づきにくい、一生懸命操業しておられるときはなかなか熱中してるからわからんというようなことがありまして、緊急時における携帯電話による情報伝達には一定の制約があるということは容易に想像するところであります。
 東南海・南海地震等による津波の被害を軽減させるためには、まず、第1報を迅速かつ確実に伝えることが基本でございます。携帯電話による操業中の漁船への緊急地震速報等の伝達にはこうした制約があることを踏まえ、対応策を考慮してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 次に、2点目として、漁業無線の積極的な活用について質問いたします。
 先ほど、改めて、海上域における情報伝達の現状とその認識についての項で、第1報を含めた情報伝達手段としての携帯電話の有効性並びに活用上の問題点について答弁をいただきましたが、そもそも操業中の漁業者におきましては、漁協や船と船との情報のやりとりや作業の指示など、漁業無線をふだんから使用しております。その使いなれた漁業無線を活用すれば、地上からの防災情報を漁船で受信することや、漁船からの緊急情報を災害対策室あるいは海上保安部等に提供することに加え、漁船からの現場情報を各漁船において送受信することもできます。
 このように、陸上域や海上域を問わず双方向での情報のやりとりが可能であるため、発災後、津波等で流された人の救助や、またその復旧時においても、物資の輸送等に役立つことができ、非常に大きく重要な役割を果たすものであります。
 しかしながら、現在、本県にあるほとんどの漁業無線海岸局は海抜5メートル未満のところに位置してるため、地震発生時におきましては無線従事者が高台への避難を余儀なくされ、漁船への緊急情報の第1報が発信できません。
 操業中の漁業者にとりましては、陸上とは違い、地震の揺れを体で感じることはなく、地震が発生したこと自体わからないのが実情であります。そういったことから、避難するためには陸上からの第1報が唯一の生命線であり、むしろ海上域における緊急情報の第1報については、地震を感じない分、陸上域より重要度が高いと言っても過言ではありません。つまり、緊急時における漁業者への第1報についても、陸上同様に情報伝達手段の複層化を図ることが操業中である漁業者の安全性を確保することにつながるものと考えます。
 したがって、海上域にいる、特に操業中の漁業者まで瞬時かつ確実に緊急情報を届けるためには、携帯電話メール機能だけではなく、漁業無線を活用した体制づくりが最良であり、最適であると考えます。
 緊急時における第1報の発信を含めた漁業無線の積極的な活用について、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 地震発生時の第1報の伝達手段の複層化は、情報伝達の確実性を高めるために、当然必要なことであると考えております。
 東南海・南海地震等に際しましては、議員御指摘のように、無線従事者が高台に避難せざるを得ないため、海岸局からの漁業無線による第1報の発信は困難であります。対応策としましては、例えば漁船の無線機を、緊急時には海上保安庁からの緊急通信周波数に自動的に同調する機種に機能アップするという方法などがございます。
 先ほど知事がお答え申し上げましたように、携帯電話による操業中の漁船への緊急地震速報等の伝達には一定の制約がございますので、今後、情報伝達手段の複層化に漁業無線を活用できるよう、海上保安庁の緊急通信の各漁船での受信について勉強してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 本県には約5200隻もの漁船があり、そのうちの約2100隻が漁業無線を積んでおります。先ほども申し上げましたが、海上域で操業している漁船に対しての第1報の緊急情報は、携帯電話のメールのみでは心もとない状況であります。無論、携帯電話のメール機能を活用した緊急情報発信も大事ではありますが、やはり陸上同様、海上域でも、情報伝達の複層化は非常に重要であります。
 また、津波がおさまった後なども、救援物資の搬送などで漁船は大いに役立つものでありますので、第1報を含めた情報伝達の複層化のみならず、発災後の災害応急対策の観点からも漁業無線の活用について検討していただきたいと思います。
 今回はあえて触れておりませんが、本来であれば、発信元である漁業無線海岸局の高台移転を行うことが海上域での漁業者の安全を確保することにつながり、また発災後にも何よりも効果的であるわけであります。しかし、漁業者の命を守る、その意味において、まずは最低でも第1報を含めた情報伝達手段の複層化を図りたいという強い思いで今回は質問をいたしました。この点も含めて、各関係機関とも協議や研究をしていただきたいと思います。
 続いて、次に移ります。
 小項目の3点目として、海上域におけるレジャー客等への情報伝達の取り組みについて質問をいたします。
 先ほどから特に海上域における漁業者への情報伝達について質問をいたしましたが、広域な沿岸部を持つ本県では、海上域での余暇を楽しむために多くの観光客に訪れていただいている状況でもあります。特に休日ともなると、海上域では多くの釣り客やプレジャーボートに乗ったレジャー客が訪れており、こうした観光客は観光立県を目指している本県にとりましても非常に重要であります。
 しかし、本県は、東南海・南海地震等の脅威が常につきまとい、沿岸部ではいつ何どき津波に襲われても不思議でない環境にあり、海上域においての観光客に対する安全の確保が求められております。
 そういったことから、海上域でレジャーを楽しむ方々に対し、県ではどのようにして地震・津波の第1報を伝えるのか、危機管理監の御見解をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 沿岸部のみならず、近海の海上におられる観光客の皆さんにも、エリアメール及び緊急速報メールにより緊急地震速報や津波警報が送信されます。
 また、防災わかやまメール配信サービスの登録をされている方には、気象庁が発表する地震情報や沖合観測津波情報などのメールが随時配信されます。このメール配信サービスは、現在、約4万人の方々に御利用いただいておりますが、さらに観光協会、旅館組合、JRやNEXCO等とも連携し、パンフレットを配布するなど、観光客への周知にも力を入れているところです。
 今後も、より多くの方々にメール配信サービスを登録していただけるよう、連携先を広げるなど、引き続き啓発に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 これで、私の一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。
○議長(山田正彦君) 以上で、鈴木太雄君の一般質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時19分休憩
────────────────────
○議長(山田正彦君) 再開前でありますが、一言申し上げたいと思います。
 本日は、傍聴席に日高川町立江川小学校の児童の皆さん、1年生から5年生まで、先生を含め39名の皆様がこども県庁探検隊としてこの議場に勉強に来ていただきました。皆さん、ありがとう。(拍手)
 今、下にいる県議会議員の皆さんも、それぞれの地域のために、また和歌山県発展のために一生懸命頑張ってくれています。未来の和歌山を担う皆さんに、この県会議場に、あるいは県会に、また県行政に対して関心を持っていただいて、心から御礼を申し上げますとともに、我々としては、引き続き、県当局あるいは議員の皆さん各位が活発に実りのある議論をしていただくようにお願い申し上げておきます。
────────────────────
  午後1時1分再開
○議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 昨日、この1年をあらわすことしの漢字が発表されました。「輪」という字であります。東京でのオリンピック・パラリンピックの開催決定など、日本中が輪になって歓喜に沸いたと、その年であるというのが選考理由の1つであったそうであります。和歌山県でも、紀の国わかやま国体、また、わかやま大会に向けて、花いっぱい運動やわかやまおもてなし宣言など、県民の皆さんの輪が着実に広がった、そういう1年であったと感じます。
 また、本日は、社団法人日本マスターズ陸上競技連合の鴻池会長、そして先ほど山田議長から御紹介がありました日高川町立江川小学校の児童の皆さんが傍聴に来ていただいております。一般質問を通して県議会に関心をお持ちいただく方々の輪を一層広げられたらいいなあと、そのような思いでこれから質問さしていただきたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らしていただきたいと思います。
 本定例会において4日間にわたり行われてまいりましたこの一般質問も、私で最後となります。今回は6項目にわたり質問させていただきますが、知事初め県当局の皆さん、お互いに気持ちよく1年が終われますように前向きな答弁をよろしくお願い申し上げます。
 初めに、紀淡海峡ルートの実現についてであります。
 この件に関しましては、既にこの定例会で服部議員、また多田議員が質問されておりますが、本県の県益確保において大変重要でありますので、私なりの考えに基づきお尋ねをいたしたいと思います。
 東日本大震災、さらに同年発生した紀伊半島大水害において、私たちは、幹線経路が被災した場合の代替幹線路を確保しておくことの重要性を大いに実感させられたところであります。局地災害がどこで発生するかわからない中で、いわゆる第二国土軸の整備は、現国土軸のリダンダンシー、いわゆる多重化を確保する強靭な国づくりにとって、大変重要な課題であります。さらに、現国土軸から離れ、高速交通網の整備がおくれたことによって地域格差が存在している現状からは、国土の均衡ある発展という面からも依然重要であると考えます。
 このような思いから、私は、平成25年6月の関西広域連合議会において一般質問に立ち、紀淡海峡ルートを初めとする広域交通ネットワークの整備について、経済発展のみならず、大規模災害に備えたリダンダンシーの確保において国土全体の強靭化に資するものであり、加えて、和歌山県においては、産業クラスター同士の連携促進、また観光資源へのアクセスの利便性向上、物流の広域化など、人、物、情報の交流の拡大等、県益確保に大いに貢献するのではないかとの質問をいたしました。
 その際、仁坂副連合長からは、紀淡海峡にルートをつけることには複数の意義があり、必要なインフラ整備に全力で協力して国に働きかけていくとの答弁をいただきました。また、知事は、早々9月にはその意義を共有する関係10府県に呼びかけ、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会を設立。紀淡海峡ルートを初めとして、これまで個々別々に取り組まれてきた四国新幹線、関空への高速鉄道、関西大環状道路などの実現に向け共同で取り組みを進めていけることは、大変心強い思いであります。
 また、私は、先月末に東京で開催されましたその協議会の設立記念シンポジウムに出席をいたしました。現内閣官房参与で京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡先生による基調講演が行われた後、新関空会社の安藤社長、また飯泉徳島県知事、そして藤井先生、また仁坂知事がコーディネーターを務めてのパネルディスカッションにおいて、これらの高速交通インフラがなぜ必要であるのか、そしてその整備はどんな効果があるのかに関する熱い議論を満席の会場で聞かせていただきました。改めて自分の考え方の妥当性を確信し、また非常に勇気づけられたわけであります。
 そこで、仁坂知事にお伺いいたします。
 このシンポジウムは、紀淡海峡ルートの実現を初めとする高速交通インフラ整備の意義や必要性を国等に対して強く働きかける機運醸成を図ることを目的としておりました。私も、この時期には機運醸成は非常に大切と考えておりますが、シンポジウムにどのような手応えを感じておられるのか、また今後どのように取り組んでいかれるのか、改めて知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、紀淡海峡ルートの実現は、本県の産業や観光振興の面において効果が期待されるだけではなくて、西日本地域にとって、国土軸のリダンダンシーの確保、四国新幹線の実現、大阪都心と関空を結ぶ高速交通アクセスの早期整備、関西大環状道路の実現に資するという4つの意義があると考えております。
 ことし9月に、これらの意義を共有する関係府県で、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会を設立し、機運醸成を図るため、先月、東京で設立記念シンポジウムを開催いたしました。
 そのシンポジウムにおいて、紀淡海峡ルートの実現をかなめとする高速交通インフラ整備は、経済成長やリダンダンシーの確保の面において、西日本のみならず日本全体にとって必要性が高いということを強く私も訴えたところでございまして、満席の会場の皆さんにもその必要性を十分御理解いただけたと思っております。
 折しも、先日、国土強靱化基本法が成立するなど、国全体で国土強靱化について議論が高まっているこの時期に広く情報発信をできたということは、今後その実現までのはるかなる道のりを考えるならば、ささやかではございますけれども、本県の将来に向けた取り組みにおいて意義ある一歩を踏み出せたと考えております。
 今後も、この協議会での活動を通じて、これらのプロジェクトの必要性やその整備の合理性を主張し続け、県民初め、より多くの国民から理解と支援が得られるように、機運醸成に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 具体的には、東京のシンポジウムと同じようなのを大阪でぜひ今度はやりたいなあ、それから、うまくいけば四国でもやったらいいんじゃないか、そういうようなことを思いながら、またさまざまな手を尽くして実現までに努力していきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次の質問に移ります。
 高齢化社会を迎える中で、年配の方が生き生きとした豊かな生活を送るためには、生涯スポーツは欠くことのできないものであると考えます。
 文部科学省の2012年度体力・運動能力調査では、地域のスポーツ同好会やフィットネスジムなどのスポーツクラブに所属している人の割合は70代で40%前後と、時間に余裕のある高齢者が積極的に運動に取り組んでいるということがこの調査からうかがわれます。
 近年、マラソン大会の開催やスポーツを核とした地域振興が盛んになっております。平成25年度の新政策において、スポーツを核とした地域づくりに取り組むプロジェクトを県が支援するという取り組みが行われています。
 さて、関西広域連合が中心となって2021ワールドマスターズゲームズの関西招致に向けて働きかけてきた結果、関西での開催について基本合意が行われました。ワールドマスターズゲームズは、予選はなく、登録すれば出場可能な、30歳以上の成人、中高年のアスリートを対象とした総合競技大会であります。どこで何のスポーツを開催するのか、また費用負担については、そういうことは今後詰めていくこととなっております。
 このワールドマスターズゲームズとは別に、競技性の高いマスターズ大会というものが開催されており、近年注目を集めております。ちなみに和歌山県は、日本で初めてマスターズ陸上競技団体が設立されるなど、マスターズ陸上発祥の地と言われております。マスターズ大会のうち、例えばアジアマスターズ陸上競技選手権大会は2014年に岩手県北上市で、また2016年にはシンガポールで開催される予定となっております。
 そこで、仁坂知事にお伺いをいたします。
 このような大会の誘致は、国体で整備したスポーツ施設の有効活用が図られるとともに、全国はもちろん海外からも選手や関係者など多くの宿泊が見込まれることから、地域の活性化にもつながるものと思われますが、和歌山での開催に向けた取り組みを進めるお考えはありますでしょうか、知事の御所見をお尋ねいたします。
○議長(山田正彦君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) スポーツによる元気な和歌山の実現に向けてすばらしい御提案をいただいたと思っておりまして、感謝を申し上げております。
 ワールドマスターズゲームズにつきましては、2021年の関西での開催が関西広域連合で既に決定しておりまして、これの国際機関とも合意ができております。関西を生涯スポーツの先進地域にしていくためのさまざまな取り組みを進めるなど、その成功に向けて関西全体で一丸となって取り組んでいくつもりでございます。
 私は、この構想が出たときから、一番初めから、これは無条件で賛成であるというふうに旗を振ってまいりました。その心は2つございます。1つは、多くの方々が全世界から関西にお見えになる。それから、もちろん日本の方々もお見えになる。このワールドマスターズゲームズって予選がございませんので、多くの方々が家族などを連れてお見えになるということですから、そういう意味で関西への誘客になるだろうというふうに思うのが第1点でございます。
 しかし、そればかりじゃございませんで、むしろそれよりも、日本にとっても世界にとっても、高齢化がどんどん進むその中でいかにして健康で幸せな老後の生活を送るかというのが、これからは人類にとって大変大事なテーマになってくるんではないかと。そのときにスポーツを通じてそれを達成し、また、世界の人々とスポーツを通じて人脈がつながるというような希望の星を関西でぜひ上げたい。その希望の星がともっているところが関西であるということが、関西にとっても和歌山にとっても非常に象徴的ないい話なのではないか、そんなふうに思って旗を振ったわけでございます。
 そういうふうになったわけでございますが、議員御指摘のように、ワールドマスターズゲームズに限らず、マスターズ大会はたくさんございます。国内では、日本スポーツマスターズとか、あるいは全日本マスターズ陸上競技選手権大会などが定着しておりまして、後者は御指摘のように和歌山が発祥の地で、今は本部は東京に移ってはおりますけれども、会長は引き続き和歌山の鴻池さんが務めておられるということでございます。また、その関係でアジアマスターズ陸上競技選手権大会にも非常に関係は深いし、それから、世界マスターズ陸上競技選手権大会も世界で開かれているということでございます。
 2021年のワールドマスターズ大会のステップとして、関西広域連合では関西マスターズ大会という──これは一般名称でございます──それをやろうということになっています。それは、既にあるこういう立派な催しを押しのけてやるというんではなくて、むしろそういう方々と協力をして、できれば関西マスターズという冠をかぶさせていただいて、それで行っていこうというふうに思っております。
 そういう意味で、県としても、生涯スポーツの振興と地域活性化の観点から、このようないろいろなマスターズゲームに取り組んでいきたいと思います。もちろん、ワールドマスターズゲームズの中の、まだどこで何をやるかは決まっておりませんが、幾つかの競技については和歌山に誘致をしたいというふうに思っておりますし、それから関西マスターズ大会との関係で、和歌山でもその幾つかをできるようにしていけばいいんじゃないか。それは、たまたま国体関連施設を和歌山は整備したばかりですから、それからまた、おもてなしの心も磨かれたばかりですから、非常にいい大会ができるのではないか、そんなふうに思っておる次第でございます。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事、御答弁ありがとうございます。ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 では、次の質問に移ります。
 既に御承知のとおり、社会保障制度改革の全体像や進め方を明示した持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案、いわゆるプログラム法案が12月5日の参議院本会議で可決、成立をいたしました。
 この法案には、少子化対策、医療制度改革、介護保険制度改革、公的年金制度改革の内容が明記されております。このうち、医療制度改革における国民健康保険及び医療提供体制の改革は、どちらも都道府県に重い責任が負わせられることが懸念されます。
 1点目の国民健康保険制度は、財政問題の解決を前提に保険者を市町村から都道府県へ移行するとともに、保険料の賦課徴収は引き続き市町村が行うものとされています。しかしながら、所得の低い加入者が多く、年齢構成も高いなどの構造的問題を抱えるとともに、今後の高齢化を考えた場合、保険者が県に移行したとしても根本的な問題は解決しないのではないかと考えます。
 また、2点目の医療提供体制につきましては、体制整備における都道府県の役割、権限を拡大し、目指すべき姿として地域医療ビジョンを策定するとともに、これを踏まえ、病院、病床の機能再編を進め、救命、治療が前提の病院完結型から在宅医療や介護までをつなげる地域完結型医療への転換を行うこととしております。病院再編を促すため、全国一律の診療報酬による誘導だけでなく、地域の実情に応じ補助金を活用し、都道府県主導による再編を行うものであります。
 この病床再編が進まなければ、医療費の、結果として先述いたしました国民健康保険の運営主体である都道府県の財政を圧迫することから、地域医療ビジョンの策定と、それに引き続く病床機能の再編は大変重要なものであると考えます。地域医療ビジョン策定に向け、具体的な法改正の中身が不透明であることは十分承知をいたしておりますが、県にとって大変重要な改革でありますので、国の動きについて情報を把握しているのか、また今後どのように取り組んでいかれるのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 地域医療ビジョンの策定は、国の社会保障審議会医療部会における、国民が安心で良質な医療を受けることができるよう病院・病床の機能の明確化、強化の視点から医療法等の改正を含めた改革に積極的に取り組んでいくべきという意見のもと、国が制度化に向けて準備を進めているところであり、本年8月に出された社会保障制度改革国民会議報告書においても、その必要性が指摘されております。
 県としましても、地域医療ビジョンの策定は、将来的な医療ニーズに対応する本県の医療提供体制の構築に資するものであり、議員御指摘のとおり、大変重要な取り組みであると認識しております。しかし、一方で、このような医療提供体制を構築するには、地域の医療機関の御理解を初め、実効性のある具体的方策が必要となってきます。
 国は、医療法改正法案を来年の通常国会に提出し、それが成立すれば速やかに地域医療ビジョンの具体的なガイドラインの検討に入るとしており、引き続き、国の動向の把握に努めるとともに、必要に応じ他府県とも連携しながら、地域の実情に応じた制度となるよう働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次に、がん対策の充実についてお尋ねをいたします。
 議員提案による和歌山県がん対策推進条例の施行から、今月28日で1年となります。私は、この条例の検討会において座長を務めていたため、施行時には、本県のがん対策を進めていく基礎ができた、そう強く思ったところであります。しかしながら、どんなに立派な条例をつくっても、具体的な施策が伴わなければ意味はありません。
 この条例の第6条において、「がん対策についての基本的な政策決定及び政策提言」を県議会の役割の1つに規定しておりますので、今回は、がん対策のうち、啓発、医療及び緩和ケアの3点についてお尋ねをいたしたいと思います。
 ところで、県当局の皆様、リレー・フォー・ライフの活動というのは御存じでしたでしょうか。アメリカ発祥のリレー・フォー・ライフであります。これは、がん制圧を目指し、がん患者や支援者らが夜通し交代で歩き、勇気と希望を分かち合うチャリティーイベントであります。世界20カ国、世界中で毎年400万人以上が参加をしております。
 私も9月に、大阪府貝塚市の二色の浜公園で開催されましたこのイベントに、がん対策推進条例の検討時、副座長であった藤山議員とともに参加をしてまいりました。日本では、2006年に茨城県つくば市で初開催されて以降、広まってまいりました。2013年には、全国で約40カ所で開催されるようになりました。国内のイベントで寄せられた寄附金は、日本対がん協会を通じて、がん医療の発展や患者支援、検診の啓発などに役立てられております。
 この運動は、がん対策推進条例の前文にある「県民自ら、がんに関する理解と関心を深め、互いに支え合い、力を合わせることにより、みんなで一体となってがん対策の推進を行う」という部分にまさに合致したものであります。
 近畿では、私が参加した貝塚市のほか、大阪市、兵庫県芦屋市、京都府宇治市、兵庫県養父市、奈良県橿原市の6カ所で開催されておりますが、滋賀と和歌山では開催されていませんでした。
 そこで、来年5月、和歌山でも開催を予定しており、その取り組みを進めておりますが、和歌山での開催に当たり県として応援していただけるお考えはあるのでしょうか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) リレー・フォー・ライフにつきましては、本年度、全国31都道府県において開催されていると聞いております。
 本県におきましては、リレー・フォー・ライフジャパン2014和歌山実行委員会が結成され、来年5月24日、25日両日の開催に向けて準備が進められており、議員御指摘のとおり、この活動はがん対策推進条例の前文に沿った有意義な催しと認識しております。
 県といたしましては、がん患者への支援を目的としたリレー・フォー・ライフの開催趣旨を広く周知し、多くの方々に参加していただけるよう、事前の広報活動や開催当日の検診車を活用したがん検診のPRなど、大会開催への応援を実施してまいります。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 それでは次に、がん医療の充実についてお尋ねをいたします。
 平成23年6月の県議会一般質問においてお伺いをいたしました重粒子線治療について、私は、以前から群馬大学重粒子線医学研究センターの視察などを行い、検討を行ってまいりましたが、先日、重粒子線治療の国内4番目の施設である九州国際重粒子線がん治療センター、いわゆるサガハイマットを同僚議員と視察をする機会を得ました。
 重粒子線治療は、体の深いところにあるがんをピンポント照射するとともに、今までの放射線治療では治りにくいがんにも有効とのことから、正常な細胞を傷つけにくいことや、仕事をしながら外来通院での治療が可能となるなど、生活の質を重視した体に優しい治療を提供するものであります。
 重粒子線治療を行うためには、多少大きな装置と体育館1つ分ぐらいの施設が必要であるとともに、治療費が約300万円と高額であることなど、大きな課題もあります。しかしながら、治療費の問題につきましては、がん保険加入者であれば、月々100円程度の先進医療特約をつけた場合、保険の対象になるなど、ハードルが下がりつつあります。
 本県のがん対策推進条例第14条では、県はがん患者が居住地域にかかわらずひとしくがんの状態に応じた適切かつ質の高い医療を受けることができるようにするため、先ほど述べました重粒子線治療のような時代に即応した高度で先進的ながん医療を実施する施設の整備や、がん医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師その他医療従事者の育成及び確保などの施策を実施することと規定をしております。
 条例施行以来、施設の整備やそれに係る情報収集、また人材の育成など、がん医療の充実に資する取り組みについて、この1年でどのようなことを行ってきたのか、また今後どう取り組んでいかれるのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 条例制定後のがん診療体制の整備、充実につきましては、県がん診療連携拠点病院である県立医科大学附属病院に、強度変調放射線治療対応型のリニアックを平成24年度に整備、本年度には手術室や内視鏡治療室の増室など、がん診療設備の充実を図った新棟が竣工予定となっております。
 地域のがん診療体制の整備としては、同様のリニアックを平成24年度に国立病院機構和歌山病院、本年度に新宮市立医療センターに整備しております。
 がん医療に携わる人材育成については、来年4月、県立医科大学でのがん看護専門看護コースの開講や、がん診療連携協議会と連携した医療従事者への研修を行っているところです。
 拠点病院等では、患者本人の意向が十分尊重されるよう、インフォームドコンセントやセカンドオピニオンの推進、相談支援体制の充実にも取り組んでいます。
 また、県立医科大学では、遺伝子解析による化学療法やがん免疫療法の開発といった新たな治療方法の研究に取り組んでおります。
 議員御指摘の粒子線治療施設につきましては、近隣の大阪市には平成28年度に陽子線治療施設、平成29年度に重粒子線治療施設、神戸市には平成29年度に小児がん向け粒子線治療施設が開設予定と聞いており、こうした近隣府県における先進的ながん医療の情報収集に努めているところです。
 県では、全てのがん検診対象者に個別勧奨を行う市町村への支援を開始したところであり、条例に記載されている、がん患者が居住地域にかかわらず、等しく、がんの状態に応じた適切かつ質の高い医療を受けることができるよう、がん医療の充実を図り、早期発見から専門治療に至る一貫したがん対策の推進に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁いただきました。この際、部長に一言申し上げたいと思います。
 遺伝子治療や医療機器の開発に関しましては、日進月歩で技術が革新されております。引き続き、重粒子線を含めた実効性のある医療の充実を考えていっていただきたい。よろしくお願い申し上げます。
 また、今回は質問はいたしませんが、効果が期待できる検診事業の導入等も、このことも大変重要ではないでしょうか。例えば、通常の肺のエックス線検査よりは低線量CT検査のほうが、がん発見率が高いと言われております。また、胃がんに関しましても、胃がん患者の99%がピロリ菌に感染していることから、ピロリ菌の検査を検診に導入するなどの対策も必要ではないかと考えます。
 財政的なこともあるでしょうが、これらの検査実施体制の整備について県として今後十分検討していただきますよう、この場で御要望さしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、がん対策関連の3点目として、緩和ケアについてお尋ねをいたします。
 昨年10月に、静岡県立静岡がんセンターを視察いたしました。このセンターの基本理念は患者さんの視点の重視であり、がんの患者に最新の医療機器、施設を整備し、最善の医療を提供することはもとより、患者に対するわかりやすい説明やセカンドオピニオンへの対応等、患者参加型医療の推進に努めておられます。
 また、完治が見込めない患者に対しましては、まず社会復帰を目指し、さらに、状態が悪化した患者さんについては、緩和ケア病棟の利用や在宅医療を支援し、充実した緩和医療を提供する体制を整備しております。
 本県のがん対策推進条例第16条では、県は、がん告知の段階から行う緩和ケアの充実を図るため、緩和ケア病棟、緩和ケアチーム及び緩和ケア外来の整備の促進などの施策を実施することと規定をしております。
 がん患者やその家族が直面する痛みなどの身体的問題や、また心理的、社会的問題に対し、的確な対応を行うことが重要であります。緩和ケアの充実に対しての県のお考えを福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) がん患者やその家族が直面するさまざまな不安や苦痛に対する全人的なケアを診断時から提供し、がん性疼痛を和らげるため緩和ケアを組み入れたがん診療体制を整備し、その充実を図っていくことは、重点的に取り組むべき課題と認識しております。
 県といたしましては、がん診療連携拠点病院を中心に、がん患者の方々が緩和ケアを受けられるよう、緩和ケアチームや緩和ケア外来など、診療体制の充実に努めているところです。
 また、がん診療連携協議会と連携し、がん診療に携わる全ての医師、医療従事者が緩和ケアを理解し、知識と技術を習得するための研修を実施するほか、県立医科大学附属病院では、緩和ケアセンター開設の準備を進めているところです。
 今後は、地域と連携した在宅緩和ケア体制の充実を図るなど、さらに緩和ケアの充実、普及を図ってまいります。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 福祉保健部長、御答弁ありがとうございます。
 しつこく言ってきたというのはわかってるんですけど、本当に私の周りでも、がんになったという方が多いです。そして、それは随分前と比べれば、本当に今申してきたように、手術の方法であったり、また機器であったり、随分と昔のがんというイメージからは変わってきたというふうに思うんですが、しかし、そう宣告された御本人であったり、また御家族の方は、本当に心配であります。自分の命がかかっていく、仕事を続けられるかどうかだとか、そういうことが、一番最悪な場合は家族が、ばらばらになってしまう、そういう悲しい事例もあるんですね。
 ですから、本当にしつこく言ってきて申しわけないんですけど、できる限り県のほうでも、このことに関しましてはこれからも考えていっていただきたい、そのように思います。御答弁ありがとうございました。
 それでは、次の質問に移ります。教育であります。
 さて、先ごろ、4年ぶりに全ての小学6年生、中学3年生を対象にいたしました全国学力テストの結果が出ました。都道府県別の正答率は、上位、下位とも固定化されていますが、地域格差は縮小するなど、文部科学省においても全体としての底上げがされたものと評価をしております。
 一方で、和歌山県の状況を見ますと、全国平均との差が縮まっているものの、全科目で平均正答率が全国平均を下回り、特に中学の国語で全国平均との差が大きく開いております。現在も、補習学習の徹底や指導する教員の研修、学力テストの実施などに取り組まれておりますが、この結果を受け、さらなる対策が必要ではないかと考えます。今後の取り組みについて教育長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県の児童生徒の学力は全国に比べ低い状況にありまして、県教育委員会といたしましては、このことを大変重く受けとめています。このため、補充学習の徹底や授業改善のための実践的な研修を積極的に行うなど、市町村教育委員会とも連携して、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 今後、学力向上対策をより充実するため、このたび実施した県独自の学習到達度調査の結果を生かして、各学校や教員一人一人は児童生徒の学力の定着状況をきめ細かく把握、分析し、教師みずからも効果的な授業の創意工夫に努め、毎日子供たちが学校で学ぶことが楽しいということを実感させ、わかる授業、力のつく授業、伸びる授業の取り組みを進めてまいりたいと思っております。
 こうした各学校に対する授業改善の取り組みに対する支援を強化するとともに、家庭での学習習慣の確立にも一層力を入れて取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま、積極的な取り組みを行っていくとの答弁をいただきましたが、学力向上のための方策の1つとして、次に、土曜日の活用についてお尋ねをいたします。
 大分県豊後高田市では、ゆとり教育による学力低下に危機感を持った市長のかじ取りで、学びの21世紀塾を平成14年度から実施しております。出席は個人の判断で、第1、第3、第5土曜は国語、算数、また数学、英語の復習や英会話、そして第2、第4土曜はスポーツ教室などの体験活動に選択で参加するものであり、教員OBや塾の方々が指導に当たっておられます。
 この取り組みの結果、土曜日の学びが定着して、子供たちの基礎力は底上げされ、かつてワースト2位だった県の学習状況調査が8年連続で1位になるなど、成果を上げているとお聞きをいたしております。
 また、文部科学省におきましても、平成26年度概算要求において、土曜日の教育活動の推進に向け、特別非常勤講師の活用支援や土曜日の教育支援体制構築に向けた予算要求がなされております。
 このように土曜日の教育活動を推進する動きがある中で、県として現在どのように取り組んでおり、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のように、学力向上のためには、土曜日をどのように活用するかが1つの大きな課題であると認識しております。
 本県におきましても、市町村教育委員会や公民館等が地域の人材を活用した学習会を開き、学校で学んだことをしっかり定着させるためのサポートをするなど、土曜日を積極的に活用した取り組みを行っているところがあります。
 土曜日を活用した教育活動につきましては、教職員の勤務時間の問題などさまざまな課題はありますが、児童生徒の学力の向上のためにどう生かすべきか、議員御指摘のように、大分県豊後高田市での取り組みを初めとした全国のさまざまな先進事例に学びながら、市町村とも連携をして検討を進めてまいりたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま、教育長に御答弁をいただきました。
 文部科学省の土曜授業に関する検討チームの中間報告におきましても、土曜授業の効果は認めるものの、教職員の代休確保など勤務体制に課題があることから一律実施は見送られたところでありますが、自治体の判断で実施しやすいように省令改正がなされておりますので、積極的な運用に努めていただくよう要望させていただきます。
 次の質問に移ります。
 「グローバル化」という言葉が使われるようになって久しく感じます。情報通信技術の著しい進歩などを受け、まるで国境がないかのように、政治、経済、学術など、さまざまな分野で国際間の相互依存は高まっております。和歌山県でも、県産品や工業製品などの販売促進のため海外市場の開拓に取り組む事業者の方を積極的に支援すべく、さまざまな事業が展開されております。
 このような取り組みも重要でありますが、あわせて、将来の和歌山を担っていく地球的規模で活躍のできる優秀な人材を育成することも重要な課題の1つであります。そのためには、学校での使える英語教育の充実は急務ではないでしょうか。
 このような中、政府の教育再生実行会議の第3次提言である「これからの大学教育等の在り方について」が5月に発表されました。その提言において、国は、グローバルリーダーを育成する先進的な高校をスーパーグローバルハイスクール──これは仮称でありますが、このように指定をし、外国語、特に英語を使う機会の拡大、幅広い教養や問題解決力等の国際的素養の育成を支援するとされております。
 その提言を具体化するため、文部科学省の平成26年度概算要求におきまして、先進的な人文科学、社会科学分野の教育の重点化等に取り組む高等学校を指定し、質の高いカリキュラムの開発、実践や、その体制整備を支援するスーパーグローバルハイスクール事業が要求され、平成26年度に全国で100校の指定を目指すこととされております。生徒の選択肢をふやすため、和歌山県においても少なくとも1校は必要ではないかと考えますが、県としてどう取り組まれるか、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) グローバル人材の育成は本県教育の最重要課題の1つと捉えており、小・中・高等学校と系統立てて、将来、国際社会において活躍する上で必要な英語によるコミュニケーション能力の育成に努めているところであります。
 議員御指摘の国が計画しているスーパーグローバルハイスクールの事業につきましては、語学力とともに国際的素養を身につけたグローバルリーダーの育成を目指すものであり、本県が推進している国際人育成の取り組みを進める上でも効果が期待できるものと考えております。
 本県といたしましても、この事業が実施できるよう積極的に準備を進めてまいります。
○議長(山田正彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 要望させていただきたいと思います。
 世界で通用する大学入学資格を与える国際バカロレアという教育プログラムも御存じかと思います。このうち、16歳から19歳を対象としたディプロマプログラムについて、平成28年から日本語での実施が可能となることから、導入を検討する高校や、また自治体がふえていると聞いております。今後、このような動向を注視し、国際的素養を身につけた人材の育成に努められるよう要望させていただきます。
 英語を話せるっていいですよね。実は、議長を務めさせていただいたときに、仁坂知事と同行させていただくことが多うございました。とりわけ、シドニーに御同行させていただいたとき、本当に仁坂知事の英語は堪能でありまして、素直に格好いいな、勉強しとけばよかったなというふうに思いました。
 これからでも遅くはないんですが、和歌山の子供たちが、英語は任しとけというような形で大きくなっていっていただければ、また違った可能性がいっぱい出てくる、そのように思いますので、今回この質問を取り上げさしていただきました。教育長、よろしくお願いをいたします。
 質問の最後に申し上げたいと思います。
 2013年、平成25年も、残すところあとわずかとなりました。きょうは、教育長に最後、幾つか質問さしていただきましたが、実はこれも議長在職中、教育長からいただいた言葉がございました。「全ては県民の幸せのために」という言葉であります。今も額に入れて事務所に飾らしていただいてるわけでありますが、全くそのとおりであると思いました。
 来年も、私たち県議会は、県勢発展に向け頑張ります。そして、仁坂知事を先頭に県当局の皆様も、全ては県民の幸せのために、元気な和歌山の実現に向け、また新しい年に向かって議会とともに歩んでいこうではありませんか。来る平成26年がふるさと和歌山にとって実り多き1年となりますことを御祈念申し上げ、私の一般質問を終わらしていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第136号から議案第162号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。12月16日及び17日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、12月16日及び17日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、12月18日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時47分散会

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